JPWO2017163818A1 - 赤外線フィルタ、赤外線センサおよび赤外線フィルタ用組成物 - Google Patents

赤外線フィルタ、赤外線センサおよび赤外線フィルタ用組成物 Download PDF

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Abstract

所定の波長の赤外線を選択的に透過ないし遮光する赤外線フィルタ、赤外線センサおよび赤外線フィルタ用組成物を提供する。有機材料を含む赤外線フィルタであって、波長1〜16μmの範囲内に、領域Aと、領域Aよりも透過率の高い領域Bとを有し、領域Aと領域Bとを、短波長側から長波長側に向かって領域A、領域B、領域Aの順に有するか、あるいは、短波長側から長波長側に向かって領域B、領域A、領域Bの順に有する。

Description

本発明は、赤外線フィルタ、赤外線センサおよび赤外線フィルタ用組成物に関する。
近年において、赤外線を用いたセンサの開発が行われている。例えば、赤外線を、ガスや人体、火災、欠陥部、距離、血糖値の検出に用いる試みがある。
この種のセンサには、所定の波長の赤外線を、選択的に透過ないし遮蔽するフィルタが用いられている。前述のフィルタの材料としては、従来より、無機材料が用いられている。例えば、特許文献1には、板状のSiからなるフィルタ基板上に、Geを用いた高屈折率の層と、Al23やTa23を用いた低屈折率の層とを交互に積層した多層膜フィルタを用いて、所定の波長の赤外線を選択的に透過するフィルタを形成することが記載されている。
特開2011−64633号公報
無機材料で構成されたフィルタは、各種無機材料の結晶インゴットを切削加工して形成したり、蒸着法やスパッタ法などで製膜して形成していた。しかしながら、結晶インゴットの切削加工は、手間や時間を要する問題があった。また、蒸着法やスパッタ法での製膜は、製造装置が高価であり、装置コストがかかる問題があった。このため、特許文献1などに記載されたフィルタは、製造に手間やコストがかかるものであった。
本発明の目的は、所定の波長の赤外線を選択的に透過ないし遮蔽する赤外線フィルタを、製造に手間やコストがかかりにくい、新たな方法で製造可能な赤外線フィルタ、赤外線センサおよび赤外線フィルタ用組成物を提供することにある。
かかる状況のもと、本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下の構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 有機材料を含む赤外線フィルタであって、
波長1〜16μmの範囲内に、領域Aと、領域Aよりも透過率の高い領域Bとを有し、
領域Aと領域Bとを、短波長側から長波長側に向かって領域A、領域B、領域Aの順に有するか、あるいは、短波長側から長波長側に向かって領域B、領域A、領域Bの順に有する、赤外線フィルタ。
<2> 領域Aの平均透過率が50%以下である、<1>に記載の赤外線フィルタ。
<3> 赤外線フィルタの吸収スペクトルにおいて、波長1〜16μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、
吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲が領域Aであり、
吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波側の範囲が領域Bであり、
吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲が領域Bである、
<1>または<2>に記載の赤外線フィルタ。
<4> 波長1〜16μmの範囲内に上述の吸収ピークを2以上有する、<3>に記載の赤外線フィルタ。
<5> 波長8.5〜10.5μmの範囲内に上述の吸収ピークの領域Aを有する、<3>または<4>に記載の赤外線フィルタ。
<6> 波長7.5〜9.5μmの範囲内に上述の吸収ピークの領域Aを有する、<3>または<4>に記載の赤外線フィルタ。
<7> 波長9.5〜11.5μmの範囲内に上述の吸収ピークの領域Aを有する、<3>または<4>に記載の赤外線フィルタ。
<8> 波長7.5〜11.5μmの範囲内に上述の吸収ピークを有し、
波長7.5〜11.5μmの範囲内において透過率が50%以下をなす領域が、上述の吸収ピークの領域Aで構成されている、<3>または<4>に記載の赤外線フィルタ。
<9> Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物を含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外線フィルタ。
<10> 赤外線センサ用である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の赤外線フィルタ。
<11> 血糖値センサ用である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の赤外線フィルタ。
<12> <1>〜<11>のいずれか1つに記載の赤外線フィルタと、赤外線フィルタの領域A以外の範囲に極大発光波長を有する光を発生させる光源とを有する赤外線センサ。
<13> 血糖値センサである、<12>に記載の赤外線センサ。
<14> 有機材料を含む赤外線フィルタ用組成物であって、
1μmの膜を形成した際に、波長1〜16μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の平均透過率をAとし、吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波の範囲における平均透過率をBとし、吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲における平均透過率をCとした際に、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上である赤外線フィルタ用組成物。
本発明によれば、所定の波長の赤外線を選択的に透過ないし遮蔽する赤外線フィルタを、従来とは異なる方法で製造可能な赤外線フィルタ、赤外線センサおよび赤外線フィルタ用組成物を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)も包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)も包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、赤外線とは、波長0.7〜1000μmの光(電磁波)を意味する。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したポリスチレン換算値として定義される。
<赤外線フィルタ>
本発明の赤外線フィルタは、有機材料を含む赤外線フィルタであって、
波長1〜16μmの範囲内に、領域Aと、領域Aよりも透過率の高い領域Bとを有し、
領域Aと領域Bとを、短波長側から長波長側に向かって領域A、領域B、領域Aの順に有するか、あるいは、短波長側から長波長側に向かって領域B、領域A、領域Bの順に有する。
ここで、領域Bは、領域Aよりも透過率の高い領域であり、以下、領域Bを透過領域ともいう。また、領域Aは、領域Bよりも透過率の低い領域であり、以下、領域Aを遮蔽領域ともいう。
なお、本発明において、有機材料は、炭素原子を有する材料である。好ましくは、炭素原子と水素原子とを有する材料である。有機材料は、赤外線遮蔽性を有する材料であってもよく、赤外線遮蔽性を有さない材料であってもよい。有機材料は、後述する赤外線フィルタ用組成物で説明する、樹脂(アルカリ可溶性樹脂、分散剤を含む)、重合性化合物、光重合開始剤などに由来する成分であってもよい。また、有機材料は、赤外線遮蔽性を有する材料と、赤外線遮蔽性を有さない材料とを併用することもできる。
本発明の赤外線フィルタは、領域A(遮蔽領域)と領域B(透過領域)とを、短波長側から長波長側に向かって領域A(遮蔽領域)、領域B(透過領域)、領域A(遮蔽領域)の順に有するか、あるいは、短波長側から長波長側に向かって、領域B(透過領域)、領域A(遮蔽領域)、領域B(透過領域)の順に有するので、波長1〜16μmの範囲における赤外線を選択的に透過ないし遮蔽することができる。
そして、本発明の赤外線フィルタは、有機材料を含むので、基材に、有機材料を含む赤外線フィルタ用組成物を適用して製造することができる。又、有機材料を含む赤外線フィルタ用組成物を用いて、射出、プレスおよび押出しなどの各種成形方法を用いて製造することもできる。このため、簡単な方法で、赤外線フィルタを製造することができる。
また、本発明の赤外線フィルタは、有機材料を含むので、光の反射を抑制することができる。このため、領域A(遮蔽領域)における反射光による影響を抑制することができ、入射角度による遮蔽波長の変化(入射角依存性)を抑制することもできる。
本発明の赤外線フィルタは、波長2.5〜16μmの範囲に上述した領域A(遮蔽領域)と領域B(透過領域)とを有することが好ましく、波長5〜16μmの範囲に上述した領域A(遮蔽領域)と領域B(透過領域)とを有することがより好ましい。
ここで、赤外線フィルタが、短波長側から長波長側に向かって領域A(遮蔽領域)、領域B(透過領域)、領域A(遮蔽領域)の順に有する態様とは、例えば、波長1〜16μm(好ましくは2.5〜16μm、より好ましくは5〜16μm)の範囲内に透過ピークを1以上有する態様や、波長1〜16μm(好ましくは2.5〜16μm、より好ましくは5〜16μm)の範囲内に吸収ピークを2以上有する態様が挙げられる。
波長1〜16μmの範囲内に透過ピークを1以上有する態様の場合、例えば、1つの透過ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲を領域B(透過領域)とし、同透過ピークの短波側の半値波長から所定の範囲短波長側の範囲および同透過ピークの長波側の半値波長から所定の範囲長波長側の範囲を領域A(遮蔽領域)とする態様が挙げられる。なお、透過ピークの半値波長とは、透過ピークにおいて、透過ピークの最大透過率の1/2となる波長を意味する。
また、波長1〜16μmの範囲内に吸収ピークを2以上有する態様の場合、各吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲を領域A(遮蔽領域)とし、短波長側に位置する吸収ピークの長波側の半値波長から、長波長側に位置する吸収ピークの短波側の半値波長までの範囲を領域B(透過領域)とする態様が挙げられる。この態様の場合、2つの吸収ピークの中心波長の差は0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。なお、吸収ピークの半値波長とは、吸収ピークにおいて、吸収ピークの吸光度の1/2となる波長を意味する。
また、赤外線フィルタが、短波長側から長波長側に向かって、領域B(透過領域)、領域A(遮蔽領域)、領域B(透過領域)の順に有する態様とは、例えば、波長1〜16μm(好ましくは2.5〜16μm、より好ましくは5〜16μm)の範囲内に吸収ピークを1以上有する態様や、波長1〜16μm(好ましくは2.5〜16μm、より好ましくは5〜16μm)の範囲内に透過ピークを2以上有する態様が挙げられる。
波長1〜16μmの範囲内に吸収ピークを1以上有する態様の場合、例えば、吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲を領域A(遮蔽領域)とし、吸収ピークの短波側の半値波長から所定の範囲短波長側の範囲および吸収ピークの長波側の半値波長から所定の範囲長波長側の範囲を領域B(透過領域)とする態様が挙げられる。
また、波長1〜16μmの範囲内に透過ピークを2以上有する態様の場合、各透過ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲を領域B(透過領域)とし、短波長側に位置する透過ピークの長波側の半値波長、から、長波長側に位置する透過ピークの短波側の半値波長までの範囲を領域A(遮蔽領域)とする態様が挙げられる。この態様の場合、2つの透過ピークの中心波長の差は0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。
本発明の赤外線フィルタは、領域A(遮蔽領域)と領域B(透過領域)とが隣接した波長域に有することが好ましい。すなわち、領域Aの波長帯域と領域Bの波長帯域が隣接していることが好ましい。
また、本発明の赤外線フィルタは、波長1〜16μmの範囲内に、短波長側から長波長側に向かって、領域B(透過領域)、領域A(遮蔽領域)、領域B(透過領域)の順に有することが好ましい。
また、本発明の赤外線フィルタは、波長1〜16μmの範囲内に吸収ピークを1以上有し、吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲を領域A(遮蔽領域)とし、吸収ピークの短波側の半値波長から所定の範囲短波長側の範囲および吸収ピークの長波側の半値波長から所定の範囲長波長側の範囲を領域B(透過領域)とする態様がこのましい。
本発明の赤外線フィルタにおいて、領域A(遮蔽領域)の帯域幅は、2μm以下が好ましく、0.1〜1.9μmがより好ましく、0.5〜1.8μmがさらに好ましい。また、領域B(透過領域)の帯域幅は、2μm以下が好ましく、0.1〜1.9μmがより好ましく、0.5〜1.8μmがさらに好ましく、1μmが特に好ましい。
本発明の赤外線フィルタにおいて、領域A(遮蔽領域)の平均透過率は、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。下限は、0%とすることもでき、1%とすることもできる。また、領域B(透過領域)の平均透過率は、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
領域B(透過領域)の平均透過率と、領域A(遮蔽領域)の平均透過率との差は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。上限は、例えば、100%以下とすることができる。
本発明の赤外線フィルタにおいて、波長1〜16μmの範囲内における平均反射率は、60%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。また、領域A(遮蔽領域)における平均反射率は、60%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
本発明の赤外線フィルタは、有機材料を含むので、平均反射率を低くすることができる。そして、平均反射率が上記であれば、入射角度による遮蔽波長の変化(入射角依存性)を抑制することもできる。
なお、赤外線フィルタおよび赤外線フィルタの領域Aにおける平均反射率は、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)を用いてATR(全反射測定法)法、正反射法、拡散反射法、高感度反射法等などの方法で測定することができる。
本発明の赤外線フィルタの好ましい態様としては以下が挙げられる。
赤外線フィルタの吸収スペクトルにおいて、波長1〜16μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、
吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲が領域A(遮蔽領域)であり、
吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波側の範囲が領域B(透過領域)であり、
吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲が領域B(透過領域)である態様。
上記の吸収ピークは、波長1〜16μmの範囲内に1つ有する態様であってもよく、2以上有する態様であってもよい。
赤外線フィルタの吸収ピークは、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の赤外線フィルタを、赤外線式のガスセンサに用いる場合には、検出対象のガスの種類に応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、検出対象ガスがCO2の場合、CO2は、4.25μm近傍に吸収を有するため、赤外線フィルタの吸収ピークは、4.25μm近傍(例えば、3〜5μm)に有することが好ましい。
また、グルコースは、9.5μm近傍に吸収を有するため、7〜12μm近傍(例えば、7.5〜11.5μm、好ましくは9〜10μm)に吸収ピークを有する赤外線フィルタは、血糖値センサに好ましく用いることができる。
また、本発明の赤外線フィルタは、以下の態様が好ましい態様の一例として挙げられる。以下の態様の赤外線フィルタは、血糖値センサ用の赤外線フィルタとして好ましく用いることができる。なお、以下の(1)〜(3)の態様において、領域Aの全範囲が以下の波長範囲内に有していなくてもよい。領域Aの少なくとも一部が、以下の波長範囲内に有していればよい。
(1)波長8.5〜10.5μmの範囲内に上記吸収ピークの領域A(遮蔽領域)を有する態様。
(2)波長7.5〜9.5μmの範囲内に上記吸収ピークの領域A(遮蔽領域)を有する態様。
(3)波長9.5〜11.5μmの範囲内に上記吸収ピークの領域A(遮蔽領域)を有する態様。
また、本発明の赤外線フィルタは、波長7.5〜11.5μm(好ましくは、波長9〜10μm)の範囲内に上記吸収ピークを有し、波長7.5〜11.5μm(好ましくは、波長9〜10μm)の範囲内において透過率が50%以下をなす領域が、吸収ピークの領域A(遮蔽領域)で構成されている態様も好ましい。
また、本発明の赤外線フィルタは、波長7.5〜9μmの範囲と、波長10〜11.5μmの範囲にそれぞれ上記吸収ピークの領域A(遮蔽領域)を有する態様も好ましい。この態様において、波長7.5μm以上9μm以下の範囲と、波長10μm以上11.5μm以下の範囲が領域A(遮蔽領域)をなし、波長9μmを超え波長10μm未満の範囲が領域B(透過領域)をなすことが好ましい。このような赤外線フィルタは、血糖値センサ用の赤外線フィルタとして好ましく用いることができる。
赤外線フィルタの吸収ピークの波長は、赤外線フィルタを構成する材料を選択することで適宜調整することができる。具体的には、化合物のバンドギャップから類推することや、公知の書籍(有機化合物のスペクトルによる同定法、Sliverstein、Aldrich社の赤外線スペクトルライブラリ)や、インターネット上のデータベース(有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS))等から望みの吸収ピークを持つ官能基や化合物を選択し、赤外線フィルタが、目的の吸収ピークを有する化合物(赤外線遮蔽性を有する材料)を多く含むように設計することで達成できる。上述の化合物としては、例えば、C−O結合、C−O−C結合、Ar−O結合(Arはアリール基である)等のエーテル結合を有する化合物;アセタール、ケタールなどのエステル結合を有する化合物;アルコール、フェノールなどのヒドロキシル基を有する化合物;カルボキシル基を有する化合物;スルホ基を有する化合物;ラクトン化合物;アミン化合物;C=S結合および/またはS=O結合を有する化合物;CO−O−CO結合を有する化合物;Si−H結合を有する化合物;Si−C結合を有する化合物;Si−O−Si結合を有する化合物(シロキサン樹脂、SiO2など);P−H結合を有する化合物;P−O−H結合を有する化合物;
O=P−OH結合を有する化合物;P−O−P結合を有する化合物;または、これらの化合物の前駆体(例えば、製膜時に反応して、Si−O−Si結合やP−O−P結合を形成する化合物など。具体例としては、シラン化合物など)などが挙げられる。
例えば、Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物を赤外線フィルタに含有させることで、上述した(1)〜(3)の態様の赤外線フィルタや、波長7.5〜11.5μmの範囲内に上記吸収ピークを有し、波長7.5〜11.5μmの範囲内において透過率が50%以下をなす領域が、吸収ピークの領域Aで構成されている態様の赤外線フィルタを製造することができる。
Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物を赤外線フィルタに含有させることで、上述した分光特性を有する赤外線フィルタとすることができる理由としては以下によるものと推測する。Si−O−Si結合およびP−O−P結合は、官能基に由来する赤外の指紋スペクトルが9〜10μm帯に存在するため、上述の結合を有する化合物を赤外線フィルタに含有させることで、波長7.5〜11.5μmの範囲に吸収ピークを有する赤外線フィルタとすることができ、その結果、上述した分光特性を有する赤外線フィルタとすることができると推測する。
Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物としては、後述する赤外線フィルタ用組成物で説明する化合物A、化合物A由来の成分(例えば化合物Aの反応物など)などが挙げられる。
本発明の赤外線フィルタが含有する有機材料は、上述したSi−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物や、後述する赤外線フィルタ用組成物に含まれる成分に由来するものなどが挙げられる。
本発明の赤外線フィルタは、Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
本発明の赤外線フィルタは、有機材料の含有量が、1質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。また、有機材料中における、Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物の含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。赤外線フィルタ中における、Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物の含有量を高めることで、波長7.5〜11.5μmの範囲以外の範囲における吸収の小さい赤外線カットフィルタとすることができる。
赤外線フィルタの形状は、特に限定はない。用途に応じて適宜調整できる。例えば、膜状、板状またはレンズ状が挙げられる。膜状の形成体の場合、厚みは、0.1〜20μmが好ましく、0.1〜15μmがより好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましい。板状の形成体の場合、厚みは、50〜10000μmが好ましく、100〜5000μmがより好ましく、100〜3000μmがさらに好ましい。レンズ状の形成体は、凹レンズであってもよく、凸レンズであってもよい。レンズの厚みは適宜調整することができる。
また、Si−C結合を有する化合物(例えば、SiC(炭化ケイ素)など)と、SiO2(二酸化ケイ素)とを、赤外線フィルタに含有させることで、波長7.5〜9μmの範囲と、波長10〜11.5μmの範囲にそれぞれ上記吸収ピークの領域A(遮蔽領域)を有する赤外線フィルタとすることができる。この赤外線フィルタは、例えば、波長7.5μm以上9μm以下の範囲と、波長10μm以上11.5μm以下の範囲が領域A(遮蔽領域)をなし、波長9μmを超え波長10μm未満の範囲が領域B(透過領域)をなすことが好ましい。
本発明の赤外線フィルタは、赤外線を用いたセンサー(赤外線センサ)に用いることができる。赤外線センサの具体例としては、血糖値センサ、ガス検知センサ、人体検知センサ、非破壊検査センサ、距離測定センサ、生体認証センサ、モーションキャプチャセンサ、温度測定センサ、成分分析センサ、車載用センサなどが挙げられる。
<赤外線フィルタ用組成物>
次に、本発明の赤外線フィルタ用組成物について説明する。
本発明の赤外線フィルタ用組成物は、有機材料を含む赤外線フィルタ用組成物であって、
1μmの膜を形成した際に、波長1〜16μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、上記吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の平均透過率をAとし、上記吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波の範囲における平均透過率をBとし、上記吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲における平均透過率をCとした際に、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上である。
上記透過率の条件は、どのような手段によって達成されても良いが、赤外線フィルタ用組成物を構成する各成分の種類や量比を調整することで達成できる。例えば、遮蔽したい波長領域に吸収を有する化合物(赤外線遮蔽性を有する材料)や、その前駆体(製膜時に反応して、遮蔽したい波長領域に吸収を有する化合物となる成分など)を含む組成物を用いることで達成できる。具体的には、化合物のバンドギャップから類推することや、公知の書籍(有機化合物のスペクトルによる同定法、Sliverstein、Aldrich社の赤外線スペクトルライブラリ)や、インターネット上のデータベース(有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS))等から望みの吸収ピークを持つ官能基や化合物を選択し、赤外線フィルタが、目的の吸収ピークを有する化合物(赤外線遮蔽性を有する材料)を多く含むように組成物の処方を設計することで達成できる。上述の化合物としては、例えば、C−O結合、C−O−C結合、Ar−O結合(Arはアリール基である)等のエーテル結合を有する化合物;アセタール、ケタールなどのエステル結合を有する化合物;アルコール、フェノールなどのヒドロキシル基を有する化合物;カルボキシル基を有する化合物;スルホ基を有する化合物;ラクトン化合物;アミン化合物;C=S結合および/またはS=O結合を有する化合物;CO−O−CO結合を有する化合物;Si−H結合を有する化合物;Si−C結合を有する化合物;Si−O−Si結合を有する化合物(シロキサン樹脂、SiO2など);P−H結合を有する化合物;P−O−H結合を有する化合物;O=P−OH結合を有する化合物;P−O−P結合を有する化合物;または、これらの化合物の前駆体(例えば、製膜時に反応して、Si−O−Si結合やP−O−P結合を形成する化合物など。具体例としては、シラン化合物など)などが挙げられる。
例えば、Si−O−Si結合、および、P−O−P結合から選ばれる少なくも1種類の結合を有する化合物、または、その前駆体(製膜時に反応して、Si−O−Si結合やP−O−P結合を形成する化合物など。例えば、シラン化合物など)を含む組成物を用いることで、波長7.5〜11.5μmの範囲内に吸収ピークを1個有し、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上の分光特性を有する赤外線フィルタを製造することができる。この態様において、波長6〜16μmの範囲に上記吸収ピークを有することが好ましく、波長7.5〜11.5μmの範囲に上記吸収ピークを有することがより好ましく、波長9〜10μmの範囲に上記吸収ピークを有することがさらに好ましい。
また、例えば、Si−C結合を有する化合物(例えば、SiCなど)と、SiO2(二酸化ケイ素)とを含む組成物を用いることで、波長7.5〜9μmの範囲と、波長10〜11.5μmの範囲にそれぞれ吸収ピークを有し、各吸収ピークにおける、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上の分光特性を有する赤外線フィルタを製造することができる。
本発明の赤外線フィルタ用組成物は、赤外線遮蔽性を有する無機粒子を有機材料で分散させた組成物であることも好ましい。
以下、本発明の赤外線フィルタ用組成物の各成分について説明する。
<<赤外線遮蔽性を有する材料>>
本発明の赤外線フィルタ用組成物(以下、組成物ともいう)は、赤外線遮蔽性を有する材料を含むことが好ましい。赤外線遮蔽性を有する材料としては、上述した材料が挙げられる。
本発明の赤外線フィルタ用組成物は、Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物(以下、化合物Aともいう)を含有することが好ましく、塗布性および製膜性の観点から、Si−O−Si結合を有する化合物がより好ましい。化合物Aを含む組成物を用いることで、波長7.5〜11.5μmの範囲に吸収ピークを有する赤外線フィルタを製造することができる。
Si−O−Si結合を有する化合物としては、SiO2、シロキサン樹脂が挙げられる。上述の(1)〜(3)の態様の赤外線フィルタを製造する場合、Si−O−Si結合を有する化合物は、シロキサン樹脂であることが好ましい。
シロキサン樹脂の製造に用いる原料としては、例えば、以下の式(S1)〜(S3)で表されるシラン化合物が挙げられる。
Si(OR122 2 ・・・(S1)
Si(OR132 1 ・・・(S2)
Si(OR14 ・・・(S3)
式(S1)〜(S3)において、R1は、アルキル基またはアリール基を表し、R2は置換基を表す。
1が表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
1が表すアリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
2が表す置換基としては、以下の置換基T群が挙げられる。アルキル基、アリール基が好ましい。
(置換基T群)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のヘテロアリールオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のヘテロアリールチオ基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のヘテロアリールスルホニル基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のヘテロアリールスルフィニル基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のウレイド基)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のリン酸アミド基)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数1〜30)、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。
複数のR1およびR2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(S1)で表されるシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが挙げられる。
式(S2)で表されるシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリイソブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシランなどが挙げられる。
式(S3)で表されるシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。
シラン化合物は、1種類のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シロキサン樹脂を得るための加水分解反応および縮合反応は公知の方法を使用することができる。必要に応じて、触媒を使用してもよい。
加水分解反応および縮合反応に用いる触媒としては、Al、Zn、Ti、及びSnを含む金属酸化物、酸、アルカリ、ホウ素化合物等が挙げられる。
Al、Zn、Ti、及びSnを含む金属酸化物としては、例えばアルミニウムイソプロコキシドを挙げることができる。
酸(有機酸、無機酸)としては、例えば硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸、ほう酸などを挙げることができる。
アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。
ホウ素化合物としては、アルコキシボラン(例えば、トリアルコキシボラン等)を挙げることができる。
触媒の使用量は、特に限定されないが、シラン化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。触媒は、1種類のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
加水分解反応および縮合反応の反応系には、必要に応じて、溶剤を加えてもよい。溶剤としては加水分解反応および縮合反応が実施できれば特に制限されない。例えば、水または後述する有機溶剤を用いることが好ましい。加水分解反応および縮合反応の条件(温度、時間など)は使用される材料の種類に応じて、適宜最適な条件が選択される。
シロキサン樹脂の市販品としては、信越シリコーン(株)製のKR−220L、KR−220LP、KR−242A、KR−251、KR−112、KR−211、KR−212、KR−255、KR271、KR−272、KR−282、KR−300、KR−311、KR−2621−1、KR−480、KR−216、ES−1001N、ES−1002T、ES−1023、KR−5206、KR−5230、KR−5234、KR−5235、KR−114B、KR−165、KR−169、KR−2038、KC−89S、KR−515、KR−500、KR−401N、KR−510、KR−9218、KR−213、KR−400、KR−401、KR−517、KR−516、KR−513、KR−511が挙げられる。また、小西化学工業(株)製のSR−13、SR−23、SR−20、SR−21、SR−33等が挙げられる。また、(株)カネカ製のゼムラックAM1532、YC3623、YC3653、YC5920、YP1915B、YC4383、YC4150、YC4650等が挙げられる。なかでも、塗布性および製膜性の観点から、KR−220LP(信越シリコーン(株)製)およびSR−13(小西化学工業(株)製)が好ましい。シロキサン樹脂は、遮光領域以外の吸収を抑える為、なるべく他の官能基を持たないものが好ましい。例えば、芳香環やアルキル基等を有さないシロキサン樹脂は、透過領域の透過率が高くなる為好ましい。
本発明において、Si−O−Si結合を有する化合物として、SiO2を用いることもできる。SiO2は粒子であることが好ましい。SiO2粒子の市販品としては、日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズ(中空粒子、イソプロパノール(IPA)分散、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)分散など。例えばスルーリア2320など。)、OSCALシリーズ、日産化学工業(株)製スノーテックスシリーズ(多孔質粒子、IPA分散、エチレングリコール分散、メチルエチルケトン(MEK)分散、ジメチルアセトアミド分散、MIBK分散、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メタノール分散、酢酸エチル分散、酢酸ブチル分散、キシレン−n−ブタノール分散、トルエン分散など。例えばMIBK−SD−L、MIBK−ST、ST−UPなど。)、日鉄鉱業(株)製シリナックス(多孔質粒子)、扶桑化学工業(株)製PLシリーズ(多孔質粒子、IPA分散、トルエン分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メチルエチルケトン分散など。例えばPL−1−IPA、PL−2L−PGMEなど。)、EVONIK社製アエロジルシリーズ(多孔質粒子、プロピレングリコールアセテート分散、エチレングリコール分散、MIBK分散など)などが挙げられる。
本発明において、P−O−P結合を有する化合物としては、ポリリン酸化合物が挙げられる。
ポリリン酸化合物としては、下記式(P−1)で表される化合物が挙げられる。
式(P−1)

式(P−1)において、R11〜R13は、それぞれ独立して水素原子、または置換基を表す。nは2以上の整数を表す。置換基としては、上述した置換基T群が挙げられる。例えば、アルキル基、アリール基が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜12がより好ましい。
ポリリン酸化合物の市販品としては、例えば、バイオエネックス社製の超長鎖ポリリン酸、長鎖ポリリン酸、短鎖ポリリン酸、純正化学社製のポリリン酸ナトリウム、Merck Millipore社製のポリリン酸、和光純薬工業社製のポリリン酸ナトリウム、米山化学工業社製のポリリン酸カリウム、関東化学社製のポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明において、赤外線遮蔽性を有する材料は、Si−C結合を有する化合物を用いることもできる。Si−C結合を有する化合物は、単独で用いてもよく、他の赤外線遮蔽性を有する材料と組み合わせて用いてもよい。特に、本発明の組成物を、血糖値センサ用の赤外線フィルタの製造に用いる場合は、Si−C結合を有する化合物と、SiO2(二酸化ケイ素)とを併用することが好ましく、SiC(炭化ケイ素)と、SiO2(二酸化ケイ素)とを併用することがより好ましい。この態様によれば、波長7.5〜9μmの範囲と、波長10〜11.5μmの範囲にそれぞれ吸収ピークを有する赤外線フィルタを製造することができる。より具体的には、波長7.5μm以上9μm以下の範囲と、波長10μm以上11.5μm以下の範囲が領域A(遮蔽領域)をなし、波長9μmを超え波長10μm未満の範囲が領域B(透過領域)をなす赤外線フィルタを製造することができる。
本発明において、SiC(炭化ケイ素)は、粒子であることが好ましい。また、SiO2(二酸化ケイ素)は粒子であることが好ましい。SiC粒子の市販品としては、信濃電気製錬株式会社製SSC−A15,SSC−A30,SER06,10,15,20,SER−A06,10,15,20,20H,シナノランダム等、Nanomakers製NMSiC99(35nm、50nm、75nmNMSiCΩC99(40nm、75nm))等が挙げられる。
本発明において、赤外線遮蔽性を有する材料の含有量は、組成物の全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
また、化合物Aの含有量は、組成物の全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。化合物Aの含有量を高めることで、波長7.5〜11.5μmの範囲以外の範囲における吸収の小さい赤外線カットフィルタを製造することができる。このため、透過率のムラを抑制でき、赤外線センサの検出感度を高めることができる。
また、Si−C結合を有する化合物と、Si−O−Si結合とを有する化合物とを併用する場合、Si−C結合を有する化合物100質量部に対して、Si−O−Si結合とを有する化合物を、50〜200質量部含有することが好ましい。
<<シラン化合物>>
本発明の組成物は、シラン化合物を含有することもできる。シラン化合物を含む組成物を用いることで、製膜時にシラン化合物が反応して、Si−O−Si結合を含む反応物が生成される。このため、シラン化合物を含む組成物を用いることによっても、波長7.5〜11.5μmの範囲に吸収ピークを有する赤外線フィルタを製造することができる。シラン化合物は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、アルコキシシリル基におけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が特に好ましい。
また、シラン化合物のうち、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物(シランカップリング剤)は、密着促進剤として用いることもできる。ここで、加水分解性基とは、珪素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基は、樹脂などとの間で相互作用もしくは結合形成して親和性を示す基を有することが好ましい。例えば、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。
シラン化合物としては、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノメチルエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、上記以外にアルコキシオリゴマーを用いることができる。また、下記化合物や、上述したシロキサン樹脂の原料で説明したシラン化合物を用いることもできる。
シラン化合物の市販品としては、信越シリコーン(株)製のKBM−13、KBM−22、KBM−103、KBE−13、KBE−22、KBE−103、KBM−3033、KBE−3033、KBM−3063、KBM−3066、KBM−3086、KBE−3063、KBE−3083、KBM−3103、KBM−3066、KBM−7103、SZ−31、KPN−3504、KBM−1003、KBE−1003、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−9659、KBE−585、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007、X−40−1053、X−41−1059A、X−41−1056、X−41−1805、X−41−1818、X−41−1810、X−40−2651、X−40−2655A、X−40−9227、X−40−9247、X−40−2308、X−40−9238、X−40−2667A、X−40−9225、X−40−9246、X−40−9250、X−40−2327、X−40−9227、X−41−1059A、X−24−9590、X−41−1805、X−41−1818、X−41−1810、X−40−9296、X−40−2670などが挙げられる。また、特開2009−288703号公報の段落番号0018〜0036に記載の化合物、特開2009−242604号公報の段落番号0056〜0066に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
シラン化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
また、シラン化合物と上述の化合物Aとの合計含有量は、全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
組成物中におけるシラン化合物と化合物Aとの合計含有量を高めることで、波長7.5〜11.5μmの範囲以外の範囲における吸収の小さい赤外線カットフィルタを製造することができる。このため、透過率のムラを抑制でき、赤外線センサの検出感度を高めることができる。
また、シラン化合物を密着促進剤の目的で含有させる場合、シラン化合物(シランカップリング剤)の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜7質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。この態様によれば、基材などとの密着性の高い膜を形成することができる。
シラン化合物は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。シラン化合物を2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<有彩色着色剤>>
本発明の組成物は、有彩色着色剤を含有することができる。本発明において、有彩色着色剤とは、白色着色剤および黒色着色剤以外の着色剤を意味する。有彩色着色剤は、波長400〜650nmの範囲に吸収を有する着色剤が好ましい。
有彩色着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料は、有機顔料であることが好ましく、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)、
これら有機顔料は、単独若しくは種々組合せて用いることができる。
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。また、特開2015−028144号公報、特開2015−34966号公報に記載の染料を用いることもできる。
有彩色着色剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%がさらに好ましい。着色剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。本発明の組成物は、着色剤を実質的に含有しないこともできる。着色剤を実質的に含有しないとは、組成物の全固形分に対して、0.5質量%以下であることをいい、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないこと(0質量%)がさらに好ましい。
<<近赤外線吸収剤>>
本発明の組成物は、上述した赤外線遮蔽性を有する材料の他に、近赤外線吸収剤を含有することができる。近赤外線吸収剤は、波長700nm以上1000nm未満の範囲に極大吸収波長を有する化合物が挙げられる。近赤外線吸収剤は、有機色素が好ましい。有機色素は、有機化合物からなる色素化合物である。近赤外線吸収剤としては、例えば、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ペリレン化合物、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、ジチオール金属錯体化合物、ナフトキノン化合物、イモニウム化合物、アゾ化合物およびスクアリリウム化合物などの有機化合物が挙げられ、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物が好ましく、ピロロピロール化合物がより好ましい。ピロロピロール化合物は、ピロロピロールホウ素化合物であることが好ましい。ピロロピロール化合物としては、例えば、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載の化合物などが挙げられる。フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イモニウム化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物及びクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落番号0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
また、近赤外線吸収剤として、無機粒子を用いることもできる。無機粒子は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などの無機酸化物粒子、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子などの金属粒子など挙げられる。無機粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。
また、無機粒子として、酸化タングステン系化合物が使用できる、具体的には、式(組成式)(W−1)で表される酸化タングステン系化合物であることがより好ましい。
xyz・・・(W−1)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mが表す金属としては、アルカリ金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられ、アルカリ金属が好ましく、RbまたはCsがより好ましく、Csが特に好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができ、Cs0.33WO3又はRb0.33WO3であることが好ましく、Cs0.33WO3であることが更に好ましい。
酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物として入手可能である。
無機粒子の平均粒径は、800nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。無機粒子の平均粒径がこのような範囲であることによって、可視域における透過性が良好である。光散乱を回避する観点からは、平均粒径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、無機粒子の平均粒径は、1nm以上であることが好ましい。
近赤外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、15〜35質量%がさらに好ましい。近赤外線吸収剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。本発明の組成物は、近赤外線吸収剤を実質的に含有しないこともできる。近赤外線吸収剤を実質的に含有しないとは、組成物の全固形分に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことがさらに好ましい。
<<樹脂>>
本発明の組成物は、上述した化合物A以外の樹脂(以下、単に樹脂ともいう)を含むことができる。樹脂は、例えば、粒子などを組成物中で分散させる用途、バインダーの用途で配合される。なお、主に粒子などを組成物中で分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外を目的として樹脂を使用することもできる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましい。下限は、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。重量平均分子量の測定は、たとえば、測定装置としてHPC−8220GPC(東ソー製)、ガードカラムとしてTSKguardcolumn SuperHZ−L、カラムとしてTSKgel SuperHZM−M、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000を直結したカラムを用い、カラム温度を40℃にして、試料濃度0.1質量%のテトラヒドロフラン溶液を10μl注入し、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分0.35mlの流量でフローさせ、RI(示差屈折率)検出装置にて試料ピークを検出し、標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算することができる。
樹脂の含有量は、組成物の全固形分に対して0.1〜50質量%であることが好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。樹脂を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の組成物は、樹脂を実質的に含有しないこともでき、樹脂を実質的に含有しないことが好ましい。なお、樹脂を実質的に含有しないとは、組成物の全固形分に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、樹脂を含有しないことがさらに好ましい。
(バインダー)
バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、樹脂は、酸基を有する樹脂を用いることもできる。酸基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。これら酸基は、1種類のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。また、分散剤として用いることもできる。
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシ基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているポリマー、すなわち、カルボキシ基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、側鎖にカルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体を用いることもできる。
酸基を有する樹脂の分子量は、特に定めるものではないが、重量平均分子量(Mw)が5000〜200,000であることが好ましい。上限は、100,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましい。また、数平均分子量(Mn)は、1000〜20,000であることが好ましい。
酸基を有する樹脂の酸価は、30〜500mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下がさらに好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましく、120mgKOH/g以下が最も好ましい。
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシ基を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものが挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。他のモノマーは、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種類のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸基を有する樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体も好ましく用いることができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および下記式(ED2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分を重合してなるポリマーを含むことも好ましい。
式(ED1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。

式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜30の有機基を表す。式(ED2)の具体例としては、特開2010−168539号公報の記載を参酌できる。
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種類のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
酸基を有する樹脂は、式(X)で示される化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。

式(X)において、R1は、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは1〜15の整数を表す。
上記式(X)において、R2のアルキレン基の炭素数は、2〜3が好ましい。また、R3のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、より好ましくは1〜10であり、R3のアルキル基はベンゼン環を含んでもよい。R3で表されるベンゼン環を含むアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。
酸基を有する樹脂は、特開2012−208494号公報の段落番号0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685〜0700)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012−32767号公報の段落番号0029〜0063に記載の共重合体(B)および実施例で用いられているアルカリ可溶性樹脂、特開2012−208474号公報の段落番号0088〜0098に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012−137531号公報の段落番号0022〜0032に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2013−024934号公報の段落番号0132〜0143に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2011−242752号公報の段落番号0092〜0098および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012−032770号公報の段落番号0030〜0072に記載のバインダー樹脂を用いることもできる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。酸基を有する樹脂の具体例としては、以下の樹脂が挙げられる。
樹脂は、硬化性基を有していてもよい。硬化性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基、エポキシ基、メチロール基、アルコキシシリル基等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられる。なお、硬化性基を有する樹脂は、硬化性化合物でもある。
硬化性基を含有する樹脂としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer.Diamond Shamrock Co.,Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれも(株)ダイセル製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュアRD−F8(日本触媒(株)製)などが挙げられる。
本発明において、樹脂は、マープルーフG−0150M、G−0105SA、G−0130SP、G−0250SP、G−1005S、G−1005SA、G−1010S、G−2050M、G−01100、G−01758(日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)、ARTON F4520(JSR(株)製)、アクリベースFF−187(藤倉化成(株))などを使用することも好ましい。
(分散剤)
本発明の組成物は、樹脂として分散剤を含有することができる。分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、アミン基を有する樹脂(ポリアミドアミンとその塩など)、オリゴイミン系樹脂、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕等を挙げることができる。高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
分散剤は、粒子に対する吸着能を有する部位を有することが好ましい(以下、「吸着部位」と総称する)。吸着部位としては、酸基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、複素環基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、カルボキシ基、スルホンアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基を少なくとも1種類有する1価の置換基等が挙げられる。吸着部位は、酸系吸着部位であることが好ましい。酸系吸着部位としては酸基等が挙げられる。なかでも、酸系吸着部位がリン原子含有基またはカルボキシ基の少なくとも一方であることが好ましい。リン原子含有基としては、リン酸エステル基、ポリリン酸エステル基、リン酸基等が挙げられる。吸着部位の詳細については、特開2015−34961号公報の段落番号0073〜0080を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明において、分散剤は、下記式(100)で表される樹脂が好ましい。
上記式(100)中、R1は、(m+n)価の連結基を表し、R2は単結合又は2価の連結基を表す。A1は、酸基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、複素環基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、カルボキシ基、スルホンアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基及びヒドロキシ基よりなる群から選択される基を少なくとも1種類有する1価の置換基を表す。n個のA1及びR2は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。mは8以下の正の数を表し、nは1〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。P1は1価のポリマー鎖を表す。m個のP1は、同一であっても、異なっていてもよい。
式(100)において、R1は、(m+n)価の連結基を表す。(m+n)価の連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。(m+n)価の連結基は、具体例として、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)を挙げることができる。(m+n)価の連結基の詳細については、特開2007−277514号公報の段落番号0076〜0084を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
式(100)において、P1は、1価のポリマー鎖を表す。1価のポリマー鎖は、ビニル化合物由来の繰り返し単位を有する1価のポリマー鎖が好ましい。ポリマー鎖の詳細については、特開2007−277514号公報の段落番号0087〜0098を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
式(100)において、R2は単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、1〜100個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜200個の水素原子、および0〜20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。上述の基は、無置換であってもよく、置換基を更に有していてもよい。2価の連結基は、具体的な例として、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基を挙げることができる。2価の連結基の詳細については、特開2007−277514号公報の段落番号0071〜0075を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
式(100)において、A1が表す1価の置換基の詳細については、特開2007−2
77514号公報の段落番号0041〜0070を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
式(100)で表される樹脂は、特開2007−277514号公報の段落番号0039(対応する米国特許出願公開第2010/0233595号明細書の<0053>)の記載、および、特開2015−34961号公報の段落番号0081〜0117の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明において、分散剤は、下記式(111)〜式(114)のいずれかで表される繰り返し単位を含むグラフト共重合体を用いることもできる。
式(111)〜式(114)において、W1、W2、W3、及びW4はそれぞれ独立に酸素原子、または、NHを表し、X1、X2、X3、X4、及びX5はそれぞれ独立に水素原子又は1価の基を表し、Y1、Y2、Y3、及びY4はそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Z1、Z2、Z3、及びZ4はそれぞれ独立に1価の基を表し、R3はアルキレン基を表し、R4は水素原子又は1価の基を表し、n、m、p、及びqはそれぞれ独立に1〜500の整数を表し、j及びkはそれぞれ独立に2〜8の整数を表し、式(113)において、pが2〜500のとき、複数存在するR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、式(1
14)において、qが2〜500のとき、複数存在するX5及びR4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
1、W2、W3、及びW4は酸素原子であることが好ましい。X1、X2、X3、X4、及びX5は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。Y1、Y2、Y3、及びY4は、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Z1、Z2、Z3、及びZ4が表す1価の基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z1、Z2、Z3、及びZ4で表される1価の基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5〜24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5〜24の分岐アルキル基、炭素数5〜24の環状アルキル基、又は、炭素数5〜24のアルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
式(111)〜式(114)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1〜500の整数である。また、式(111)及び式(112)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(111)及び式(112)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
式(113)中、R3はアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2〜500のとき、複数存在するR3は互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(114)中、R4は水素原子又は1価の基を表す。1価の基としては特に構造上限定はされない。R4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、更に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。R4がアルキル基である場合、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。式(114)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX5及びR4は互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記グラフト共重合体については、特開2012−255128号公報の段落番号0025〜0094の記載を参酌でき、本明細書には上記内容が組み込まれることとする。また、特開2012−255128号公報の段落番号0072〜0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれることとする。
分散剤は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤も好ましい。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。この樹脂は、窒素原子と、構造Xが有するpKa14以下の官能基との双方で、粒子と相互作用し、さらに樹脂が原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを有するために、例えば、オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yが立体反発基として機能することにより、良好な分散性を発揮して、粒子を均一に分散することができる。また、オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yと溶剤とが相互作用を行うことにより、粒子の沈降を長期間抑制することができる。さらに、オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yが立体反発基として機能することで粒子の凝集が防止されるため、粒子の含有量を高くしても、優れた分散性が得られる。
ここで、塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はないが、樹脂がpKb14以下の窒素原子を有する構造を含有することが好ましく、pKb10以下の窒素原子を有する構造を含有することがより好ましい。本発明においてpKb(塩基強度)とは、水温25℃でのpKbをいい、塩基の強さを定量的に表すための指標のひとつであり、塩基性度定数と同義である。塩基強度pKbと、酸強度pKaとは、pKb=14−pKaの関係にある。
部分構造Xが有するpKa14以下の官能基は、特に限定はなく、物性がこの条件を満たすものであれば、その構造などは特に限定されない。特にpKaが12以下の官能基が好ましく、pKaが11以下の官能基が最も好ましい。具体的には、例えば、カルボキシ基(pKa 3〜5程度)、スルホ基(pKa −3〜−2程度)、−COCH2CO−基(pKa 8〜10程度)、−COCH2CN基(pKa 8〜11程度)、−CONHCO−基、フェノール性水酸基、−RFCH2OH基又は−(RF2CHOH基(RFはペルフルオロアルキル基を表す。pKa 9〜11程度)、スルホンアミド基(pKa 9〜11程度)等が挙げられる。pKa14以下の官能基を有する部分構造Xは、窒素原子を含有する繰り返し単位における塩基性窒素原子に直接結合することが好ましいが、塩基性窒素原子を含有する繰り返し単位の塩基性窒素原子と部分構造Xとは、共有結合のみならず、イオン結合して塩を形成する態様で連結していてもよい。
オリゴイミン系分散剤は、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xが結合する塩基性窒素原子を含有する繰り返し単位と、側鎖に原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yとを有する樹脂であることが好ましい。
また、オリゴイミン系分散剤は、(i)ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種類の、塩基性窒素原子を含有する繰り返し単位であって、塩基性窒素原子に結合し、かつ、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、側鎖に(ii)原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yとを有する樹脂が好ましい。なお、本発明において、ポリ(低級アルキレンイミン)における低級とは炭素数が1〜5であることを示し、低級アルキレンイミンとは炭素数1〜5のアルキレンイミンを表す。
原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yとしては、樹脂の主鎖部と連結できるポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の公知のポリマー鎖が挙げられる。オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yの樹脂との結合部位は、オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yの末端であることが好ましい。
オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yは、ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種類の窒素原子を含有する繰り返し単位の窒素原子と結合していることが好ましい。ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種類の窒素原子を含有する繰り返し単位などの主鎖部とYとの結合様式は、共有結合、イオン結合、又は、共有結合及びイオン結合の混合である。Yと主鎖部の結合様式の比率は、共有結合:イオン結合=100:0〜0:100であるが、95:5〜5:95が好ましい。Yは、窒素原子を含有する繰り返し単位の窒素原子とアミド結合、又はカルボン酸塩としてイオン結合していることが好ましい。
オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yの原子数としては、分散性、分散安定性および現像性の観点から、50〜5,000が好ましく、60〜3,000がより好ましい。また、Yの数平均分子量はGPC法でのポリスチレン換算値により測定することができる。Yの数平均分子量は、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましい。
オリゴイミン系分散剤は、例えば、式(I−1)で表される繰り返し単位と、式(I−2)で表される繰り返し単位、および/または、式(I−2a)で表される繰り返し単位を含む樹脂などが挙げられる。

1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。
aは、各々独立に、1〜5の整数を表す。*は繰り返し単位間の連結部を表す。
8及びR9はR1と同義の基である。
Lは単結合、アルキレン基(炭素数1〜6が好ましい)、アルケニレン基(炭素数2〜6が好ましい)、アリーレン基(炭素数6〜24が好ましい)、ヘテロアリーレン基(炭素数1〜6が好ましい)、イミノ基(炭素数0〜6が好ましい)、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、またはこれらの組合せに係る連結基である。なかでも、単結合もしくは−CR56−NR7−(イミノ基がXもしくはYの方になる)であることが好ましい。ここで、R5、R6は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。R7は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。
aはCR8CR9とNとともに環構造形成する構造部位であり、CR8CR9の炭素原子と合わせて炭素数3〜7の非芳香族複素環を形成する構造部位であることが好ましい。さらに好ましくは、CR8CR9の炭素原子及びN(窒素原子)を合わせて5〜7員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、より好ましくは5員の非芳香族複素環を形成する構造部位であり、ピロリジンを形成する構造部位であることが特に好ましい。この構造部位はさらにアルキル基等の置換基を有していてもよい。XはpKa14以下の官能基を有する基を表す。Yは原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を表す。
上記分散剤(オリゴイミン系分散剤)は、さらに式(I−3)、式(I−4)、および、式(I−5)で表される繰り返し単位から選ばれる1種類以上を共重合成分として含有していてもよい。上記分散剤が、このような繰り返し単位を含むことで、粒子の分散性能を更に向上させることができる。
1、R2、R8、R9、L、La、a及び*は式(I−1)、(I−2)、(I−2a)における規定と同義である。Yaはアニオン基を有する原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を表す。
オリゴイミン系分散剤については、特開2015−34961号公報の段落番号0118〜0190の記載を参酌でき、本明細書には上記内容が組み込まれることとする。オリゴイミン系分散剤の具体例としては、例えば、下記の樹脂や、特開2015−34961号公報の段落番号0169〜0190に記載の樹脂を用いることができる。
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYK Chemie(株)製「DISPERBYK 101、103、107、110、180、130、161、162、163、164、165、166、170」、BYK Chemie(株)製「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)」、EFKA(株)製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ(株)製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学(株)製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、共栄社化学(株)製「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成(株)製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王(株)製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、花王(株)製「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、花王(株)製「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、Lubrizol(株)製「ソルスパース5000(Solsperse 5000)(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、26000、28000、32000、36000、38500(グラフト型高分子)、41000」、日光ケミカルズ(株)製「NIKKOL T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。また、酸系吸着部位としてリン原子含有基(例えば、リン酸基等)を有する分散剤の市販品として、Lubrizol(株)製「ソルスパース26000(Solsperse 26000)、36000、41000」が挙げられる。これらを好適に用いることができる。
分散剤は、1種類単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤として、酸基を有する樹脂を用いる場合、このような分散剤(酸基を有する樹脂)は、アルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
分散剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜40質量%が好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、分散剤の含有量は、粒子100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。上限は、80質量部以下が好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。下限は、2.5質量部以上が好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。
<<溶剤>>
本発明の組成物は溶剤を含有することが好ましい。溶剤は種々の有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独あるいは混合して使用することができる。
本発明において、溶剤は、金属含有量が少ない溶剤を用いることが好ましい。溶剤の金属含有量は、例えば、10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルのものを用いてもよく、そのような高純度溶剤は、例えば、東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いた濾過を挙げることができる。濾過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタとしては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、または、ナイロン製のフィルタが好ましい。
溶剤には、異性体(同じ原子数で異なる構造の化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種類のみが含まれていてもよいし、複数種類含まれていてもよい。
溶剤の含有量は、組成物の固形分濃度が、5〜70質量%となる量が好ましい。上限は、60質量%以下がより好ましい。下限は、10質量%以上がより好ましい。組成物の固形分濃度が上記範囲であれば、組成物の塗布性および、塗布ムラを向上できる。
<<硬化性化合物>>
本発明の組成物は、上述した化合物Aやシラン化合物以外の硬化性化合物を含有することができる。硬化性化合物としては、ラジカル、酸、熱により硬化可能な公知の化合物を用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、メチロール基を有する化合物等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましい。硬化性化合物は、重合性化合物であることが好ましく、ラジカル重合性化合物であることがより好ましい。重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物などが挙げられる。
硬化性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
また、本発明の組成物は、硬化性化合物を実質的に含有しないこともできる。なお、重合性化合物を実質的に含有しないとは、組成物の全固形分に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、硬化性化合物を含有しないことがさらに好ましい。
(エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物(重合性化合物))
本発明において、硬化性化合物として、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物(以下、重合性化合物ともいう)を用いることができる。重合性化合物は、モノマーであることが好ましい。重合性化合物の分子量は、100〜3000が好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上が更に好ましい。重合性化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する基を1個以上有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物も好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート及びこれらの混合物を挙げることができ、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
重合性化合物は、下記式(MO−1)〜(MO−5)で表される、重合性化合物も好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
上記の式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、又は、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記式(MO−1)〜(MO−5)で表される、重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜0251に記載されている化合物が挙げられる。
また、特開平10−62986号公報に記載の、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
重合性化合物は、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、A−TMMT;新中村化学工業(株)製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬(株)製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製)が好ましく、ペンタエリスリトールテトラアクリレートがより好ましい。
重合性化合物は、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有する重合性化合物は、多官能アルコールの一部のヒドロキシ基を(メタ)アクリレート化し、残ったヒドロキシ基に酸無水物を付加反応させてカルボキシ基とするなどの方法で得られる。酸基を有する重合性化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルなどが挙げられる。酸基を有する重合性化合物は、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシ基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた化合物が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成(株)製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。酸基を有する重合性化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
また、重合性化合物は、カプロラクトン構造を有する重合性化合物も好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する重合性化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、下記式(Z−1)で表される化合物が好ましい。
式(Z−1)中、6個のRは全てが式(Z−2)で表される基であるか、又は6個のRのうち1〜5個が式(Z−2)で表される基であり、残余が式(Z−3)で表される基である。

式(Z−2)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、mは1又は2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。

式(Z−3)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。
カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(Z−1)〜(Z−3)においてm=1、式(Z−2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(Z−2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(Z−2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(Z−2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等が挙げられる。
重合性化合物は、式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物を用いることもできる。
式(Z−4)及び(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CH2yCH2O)−、又は−((CH2yCH(CH3)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基、水素原子、又はカルボキシ基を表す。
式(Z−4)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。
式(Z−5)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。
式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、式(Z−4)又は式(Z−5)中の−((CH2yCH2O)−又は−((CH2yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物は1種類単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。特に、式(Z−5)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
また、式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端ヒドロキシ基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物を合成することができる。
式(Z−4)又は式(Z−5)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物が挙げられ、中でも、化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
式(Z−4)、(Z−5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー(株)製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
重合性化合物は、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類も好ましい。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ(株)製)、U−4HA、U−6LPA、UA−32P、U−10HA、U−10PA、UA−122P、UA−1100H、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学(株)製)、UA−9050、UA−9048(BASF社製)などが挙げられる。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、形成体の強度を高める観点では、3官能以上の重合性化合物が好ましい。また、官能数および種類の異なる化合物を併用することも好ましい。さらに、3官能以上の重合性化合物であって、エチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することも好ましい。また、組成物に含まれる他の成分(例えば、光重合開始剤、樹脂等)との相溶性や分散性に対しても、重合性化合物の選択および/または使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種類以上の併用により、相溶性などを向上することができる。
重合性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
また、本発明の組成物は、重合性化合物を実質的に含有しないこともできる。なお、重合性化合物を実質的に含有しないとは、組成物の全固形分に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、重合性化合物を含有しないことがさらに好ましい。
(エポキシ基を有する化合物)
本発明では、硬化性化合物として、エポキシ基を有する化合物を用いることもできる。エポキシ基を有する化合物は、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1〜100個有することが好ましい。上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。下限は、2個以上が好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、エポキシ当量(=エポキシ基を有する化合物の分子量/エポキシ基の数)が500g/当量以下であることが好ましく、100〜400g/当量であることがより好ましく、100〜300g/当量であることがさらに好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200〜100000が好ましく、500〜50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、特開2013−011869号公報の段落番号0034〜0036、特開2014−043556号公報の段落番号0147〜0156、特開2014−089408号公報の段落番号0085〜0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれることとする。市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER825、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1002、jER1003、jER1055、jER1007、jER1009、jER1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、jER806、jER807、jER4004、jER4005、jER4007、jER4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER152、jER154、jER157S70、jER157S65(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、(株)ダイセル製)、デナコール EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、jER1031S(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物は、特開2009−265518号公報の段落番号0045等に記載の化合物を用いることもできる。これらの内容は本明細書に組み込まれる。
エポキシ基を有する化合物の含有量は、組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましい。下限は、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。エポキシ基を有する化合物は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の組成物は、エポキシ基を有する化合物を実質的に含有しないこともできる。なお、エポキシ基を有する化合物を実質的に含有しないとは、組成物の全固形分に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、エポキシ基を有する化合物を含有しないことがさらに好ましい。
<<光重合開始剤>>
本発明の組成物は、光重合開始剤を含有することができる。特に、組成物が、重合性化合物を含む場合、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有するものが好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤が好ましい。また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50のモル吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種類含有していることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.Schaeferら著のJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載の化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィン系開始剤も用いることができる。ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE 184、DAROCUR 1173、IRGACURE 500、IRGACURE 2959、IRGACURE 127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 907、IRGACURE 369、及び、IRGACURE 379、IRGACURE 379EG(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤は、365nm又は405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE 819やIRGACURE TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
露光後の着色防止の観点からアシルホスフィン系開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、オキシム化合物を好ましく用いることもできる。オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物、特開2016−21012号公報記載の化合物を用いることができる。
本発明において、好適に用いることのできるオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイルオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。また、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等も挙げられる。市販品ではIRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、IRGACURE OXE03、IRGACURE OXE04(以上、BASF社製)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−930((株)ADEKA製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報の光重合開始剤2)も用いることができる。
本発明は、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910公報に記載のOE−01〜OE−75が挙げられる。
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報及び米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開第2009/131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、特開2014−137466号公報の段落番号0076〜0079に記載された化合物などを用いてもよい。
好ましくは、例えば、特開2013−29760号公報の段落番号0274〜0275を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。オキシム化合物は、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、オキシムのN−O結合が(Z)体のオキシム化合物であってもよく、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
式(OX−1)中、RおよびBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が好ましい。これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。
本発明は、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014−137466号公報記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明は、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報記載の化合物、特表2014−500852号公報記載の化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報記載の化合物(C−3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれることとする。
本発明は、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落番号0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落番号0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007〜0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI−831((株)ADEKA製)が挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有する化合物がより好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高い化合物が特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数が、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数の測定は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian(株)製、Cary−5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤の含有量は、組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは1〜20質量%である。この範囲で、より良好な感度とパターン形成性が得られる。組成物は、光重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
本発明の組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられ、分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物又は分子量500以上のチオエーテル化合物が好ましい。また、酸化防止剤は、フェノール化合物が好ましく、分子量500以上のフェノール化合物がより好ましい。
フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。特に、フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基がより好ましい。また、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。
フェノール化合物は、多置換フェノール系化合物が好ましい。多置換フェノール系化合物は、大きく分けて置換位置および構造の違う3種類((A)ヒンダードタイプ、(B)セミヒンダードタイプ、(C)レスヒンダードタイプ)がある。

式(A)〜(C)において、Rは、水素原子または、置換基である。置換基は、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基が好ましい。
フェノール化合物は、上記式(A)〜(C)で表される構造が同一分子内に複数存在する化合物が好ましく、上記式(A)〜(C)で表される構造が同一分子内に2〜4個存在する化合物がより好ましい。
フェノール化合物としては、例えばp−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、4,4−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノール樹脂類、及びクレゾール樹脂類からなる群より選択される化合物などが挙げられる。
市販品として入手できる代表例には、(A)としてはSumilizer BHT (住友化学製)、Irganox 1010、1222(BASF社製)、アデカスタブAO−20、AO−50、AO−50F、AO−60、AO−60G、AO−330((株)ADEKA製)などがあり、(B)としてはSumilizer BBM−S(住友化学(株)製)、Irganox 245(BASF社製)、アデカスタブAO−80((株)ADEKA製)などがあり、(C)としてはアデカスタブAO−30、AO−40((株)ADEKA製)などがある。
亜リン酸エステル化合物としては、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物が挙げられる。
酸化防止剤は、上述したもののほか、アデカスタブ PEP−36A、アデカスタブ AO−412S((株)ADEKA)などを用いることもできる。
酸化防止剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.3〜15質量%がより好ましい。酸化防止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<増感剤>>
本発明の組成物は、光重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。増感剤としては、光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。増感剤は、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。具体的には、特開2010−106268号公報の段落番号0231〜0253(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0256>〜<0273>)の説明を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
増感剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。増感剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<共増感剤>>
本発明の組成物は、共増感剤を含有してもよい。共増感剤は、光重合開始剤や増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは、重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。共増感剤としては、具体的には、特開2010−106268号公報の段落番号0254〜0257(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0277>〜<0279>)の説明を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
共増感剤の含有量は、重合成長速度と、硬化速度の向上の観点から、組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、1.5〜20質量%が更に好ましい。共増感剤は1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<重合禁止剤>>
本発明の組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤は、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p−メトキシフェノールが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、光重合開始剤100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.01〜8質量部がより好ましく、0.01〜5質量部が最も好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の組成物は、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の組成物が、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素含有率が上述した範囲内である場合は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落番号0060〜0064(対応する国際公開第2014/17669号公報の段落番号0060〜0064)等に記載の界面活性剤、特開2011−132503号公報の段落番号0117〜0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F−171、同F−172、同F−173、同F−176、同F−177、同F−141、同F−142、同F−143、同F−144、同R30、同F−437、同F−475、同F−479、同F−482、同F−554、同F−780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−1068、同SC−381、同SC−383、同SC−393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落番号0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。また、下記化合物をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する官能基を持つ分子構造で、熱を加えると官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。フッ素原子の官能基を持つ分子構造で、熱を加えると官能基の部分が切れてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物としてはDIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS−21を用いてもよい。
フッ素系界面活性剤として、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011−89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位とを含む、含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。

上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%は質量%である。
また、フッ素系界面活性剤として、エチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報の段落番号0050〜0090および0289〜0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72−K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤として、特開2015−117327号公報の段落番号0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1)、パイオニンD−6512、D−6414、D−6112、D−6115、D−6120、D−6131、D−6108−W、D−6112−W、D−6115−W、D−6115−X、D−6120−X(竹本油脂(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)、NIKKOL ECT−3(日光ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、W004、W005、W017(裕商(株)製)、Emulsogen COL−020、Emulsogen COA−070、Emulsogen COL−080(クラリアントジャパン(株)製)、プライサーフ A208B(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」、「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン(株)製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー(株)製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤は、共役ジエン系化合物が好ましく、下記式(UV)で表される化合物がより好ましい。
式(UV)において、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、R1とR2とは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはない。
1及びR2は、R1及びR2が結合する窒素原子と共に、環状アミノ基を形成してもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。
1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。
3及びR4は、電子求引基を表す。ここで電子求引基は、ハメットの置換基定数σp値(以下、単に「σp値」という。)が、0.20以上1.0以下の電子求引基である。好ましくは、σp値が0.30以上0.8以下の電子求引基である。R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい。R3及びR4は、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましく、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基がより好ましい。
上記のR1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。他のモノマーとの共重合体であっても良い。
式(UV)で示される紫外線吸収剤の具体例としては、下記化合物が挙げられる。式(UV)で示される紫外線吸収剤の置換基の説明は、WO2009/123109号公報の段落番号0024〜0033(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の<0040>〜<0059>)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。式(I)で表される化合物の好ましい具体例は、WO2009/123109号公報の段落番号0034〜0037(対応する米国特許出願公開第2011/0039195号明細書の<0060>)の例示化合物(1)〜(14)の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、紫外線吸収剤は、アミノジエン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アクリロニトリル系化合物、トリアジン系化合物等の紫外線吸収剤を用いることができる。具体例としては特開2013−68814号に記載の化合物が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物としてはミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)を用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。また、本発明においては、紫外線吸収剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の添加剤>>
本発明の組成物は、更に、可塑剤や感脂化剤等の公知の添加剤を含有することができる。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が挙げられる。可塑剤の含有量は、硬化性化合物と樹脂との合計質量に対し10質量%以下が好ましい。
<<組成物の調製方法>>
本発明の組成物は、前述の成分を混合して調製できる。
組成物の調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解または分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
また、組成物が粒子を含む場合、粒子を分散させるプロセスを含むことが好ましい。粒子を分散させるプロセスとしては、粒子の分散に用いる機械力として圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどを使用するプロセスが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。また、サンドミル(ビーズミル)における粒子の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することも好ましい。「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015−157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用することが出来る。また、粒子を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程での微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は例えば特開2015−194521号公報、特開2012−046629号公報に記載のものを使用することができる。
組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、各成分を混合後の組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン−6、ナイロン−6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜3.0μm程度、さらに好ましくは0.05〜0.5μm程度である。この範囲とすることにより、微細な異物を確実に除去することが可能となる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましく、ろ材としては例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられ、具体的にはロキテクノ(株)製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジを用いることができる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社(DFA4201NXEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
例えば、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のろ過を行ってもよい。
<<組成物の用途>>
本発明の組成物は、波長1〜16μmの範囲の赤外線を、選択的に透過ないし遮蔽する赤外線フィルタなどに好ましく用いることができる。より具体的には、赤外線を利用したセンサに用いる赤外線フィルタとして好ましく用いることができる。赤外線センサの具体例としては、血糖値センサ、ガス検知センサ、人体検知センサ、非破壊検査センサ、距離測定センサ、生体認証センサ、モーションキャプチャセンサ、温度測定センサ、成分分析センサ、車載用センサなどが挙げられる。
また、本発明の組成物を用いて形成される赤外線フィルタが、Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物する場合においては、波長7.5〜11.5μm(好ましくは、波長9〜10μm)の範囲に吸収ピークを有する赤外線フィルタとすることができる。
また、本発明の組成物を用いて形成される赤外線フィルタが、Si−C結合を有する化合物(好ましくは、SiC)と、SiO2(二酸化ケイ素)とを含む組成物を用いることで、波長7.5〜9μmの範囲と、波長10〜11.5μmの範囲にそれぞれ吸収ピークを有する赤外線フィルタを製造することができる。この赤外線フィルタは、例えば、波長7.5μm以上9μm以下の範囲と、波長10μm以上11.5μm以下の範囲が領域A(遮蔽領域)をなし、波長9μmを超え波長10μm未満の範囲が領域B(透過領域)をなすことが好ましい。
グルコースは、9.5μm近傍に吸収を有するため、上述した吸収ピークを有する赤外線フィルタは、血糖値センサに好ましく用いることができる。
本発明の組成物は、基材に塗布などの方法で適用したり、射出、プレスおよび押出しなどの各種成形方法を用いて、赤外線フィルタを製造することができる。
例えば、膜状の赤外線フィルタは、本発明の組成物を基材に適用して組成物層を形成する工程を経て製造できる。また、必要に応じて、組成物層を乾燥する工程、組成物層を硬化する工程、組成物層に対してパターンを形成する工程などを行ってもよい。本発明においては、組成物層を乾燥する工程および組成物層を硬化する工程の少なくとも一方の工程を有することが好ましい。また、赤外線フィルタは、基材から膜を剥離して用いてもよく、基材に膜が積層された状態で用いてもよい。
組成物層を形成する工程において、基材への組成物の適用方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された特許公報に記載の方法(特に115ページ〜133ページ)や、特開2003−262716号公報、特開2003−185831号公報、特開2003−261827号公報、特開2012−126830号公報、特開2006−169325号公報などに記載の方法が挙げられる。
組成物を適用する基材としては、Si基材、Ge基材などが好ましい。また、これらの基材表面には反射防止膜を有していることも好ましい。反射防止膜としては、多層からなる膜であることが好適である。また、反射防止膜は、耐熱性に優れる点で、無機多層膜が好適である。無機多層膜としては、基材上に、真空蒸着法やスパッタリング法等により、低屈折率材料及び高屈折率材料を交互に積層させた屈折率制御多層膜であることが好ましい。
無機多層膜としては、誘電体層Aと、誘電体層Aが有する屈折率よりも高い屈折率を有する誘電体層Bとを交互に積層した誘電体多層膜が好適である。誘電体層Aを構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を通常用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が挙げられる。誘電体層Bを構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、好ましくは、屈折率の範囲が1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分とし酸化チタン、酸化錫、酸化セリウム等を少量含有させたもの等が挙げられる。
誘電体層A及び誘電体層Bの各層の厚みは、遮断しようとする光の波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚みであることが好ましい。
誘電体層Aと誘電体層Bとを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、化学蒸着(CVD)法、スパッタ法、真空蒸着法等によって、誘電体層Aと誘電体層Bとを交互に積層することにより、誘電体多層膜を形成することができる。また、離型処理したガラス等の仮の基材に誘電体多層膜を形成し、赤外線フィルタの基材に、上述した仮の基材に形成した誘電体多層膜を転写して形成することもできる。この場合、赤外線フィルタの基材の基材には、接着層を形成しておくことが好ましい。
組成物層を乾燥する工程において、乾燥条件としては、組成物層に含まれる媒質の種類や含有量によって適宜調整することができる。例えば、60〜150℃の温度で、30秒間〜15分間が好ましい。
組成物層を硬化する工程において、硬化処理としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、露光処理、加熱処理などが好適に挙げられる。
露光処理に用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は、例えば、0.03〜2.5J/cm2が好ましく、0.05〜1.0J/cm2がより好ましい。
露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、好ましくは15体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、好ましくは22体積%以上、より好ましくは30体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2〜100000W/m2(例えば、好ましくは5000W/m2以上、より好ましくは15000W/m2以上、更に好ましくは35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
加熱処理における加熱温度は、100〜260℃が好ましい。下限は120℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。上限は240℃以下が好ましい。加熱時間は、1〜180分が好ましい。下限は3分以上が好ましい。上限は120分以下が好ましい。加熱装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
パターンを形成する工程は、フォトリソグラフィ法で組成物層にパターンを形成してもよいし、ドライエッチング法で組成物層にパターンを形成してもよい。
フォトリソグラフィ法で組成物層にパターンを形成する場合、本発明の組成物を、基材に適用して組成物層を形成する工程と、組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程とを含む方法などが挙げられる。フォトリソグラフィ法を用いたパターン形成の場合、上述の組成物は、重合性化合物と、光重合開始剤と、アルカリ可溶性樹脂とを含むことが好ましい。
組成物層を形成する工程は、上述した方法を用いて行うことができる。
組成物層をパターン状に露光する工程では、基材上の組成物層に対し、ステッパー等の露光装置を用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光する方法が挙げられる。これにより、露光部分を硬化することができる。
未露光部を現像除去する工程において、未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、未露光部の組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、アルカリ現像液が望ましい。現像液の温度は、例えば、20〜30℃が好ましい。現像時間は、20〜180秒が好ましく、20〜90秒がより好ましい。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ剤を含むアルカリ性水溶液を使用することができる。更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液のアルカリ剤の濃度は、0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。アルカリ現像液のpHは、10.0〜14.0が好ましい。アルカリ現像液のアルカリ剤濃度及びpHは、適宜調整して用いることができる。アルカリ現像液は、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加して用いてもよい。
現像後、更に、加熱や露光を行ってもよい。この態様によれば、膜の硬化をさらに進行して、より強固に硬化した膜を製造できる。
<赤外線センサ>
本発明の赤外線センサは、本発明の赤外線フィルタと、赤外線フィルタの領域A(遮蔽領域)以外の範囲に極大発光波長を有する光を発生させる光源とを有する。
光源の種類は、赤外線フィルタが有する遮蔽領域の波長により異なる。例えば、赤外線LEDや赤外線レーザーなどが挙げられ、赤外線フィルタの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、血糖値センサの場合、光源としては、YAGレーザー(Yttrium Aluminum Garnet Laser)を用い、赤外線フィルタとして、領域A(遮蔽領域)が、7.5〜11.5μm(好ましくは9〜10μm)の範囲に有するフィルタを用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
<重量平均分子量の測定方法>
重量平均分子量の測定は、測定装置としてHPC−8220GPC(東ソー製)、ガードカラムとしてTSKguardcolumn SuperHZ−L、カラムとしてTSKgel SuperHZM−M、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000を直結したカラムを用い、カラム温度を40℃にして、試料濃度0.1質量%のテトラヒドロフラン溶液を10μl注入し、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分0.35mlの流量でフローさせ、RI(示差屈折率)検出装置にて試料ピークを検出し、標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。
[試験例1]
<組成物の調製>
(シロキサン樹脂(A−1)の合成)
メチルトリエトキシシランを用いて、加水分解および縮合反応を行った。このときに用いた溶媒はエタノールであった。得られたシロキサン樹脂A−1は重量平均分子量約10000であった。
(実施例1)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例1の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(A−1)・・・19.96部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
(実施例2〜16)
シロキサン樹脂(A−1)の代わりに下記表に記載の樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製した。
(実施例17)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例17の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(KR−220LP、信越シリコーン(株)製)・・・19.96部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.04部
(実施例18)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロヘキサノンとの混合溶液(質量比で1:1)を添加して、実施例18の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(KR−220LP、信越シリコーン(株)製)・・・19.96部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
(実施例19)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例19の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(KR−220LP、信越シリコーン(株)製)・・・19.76部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
密着促進剤1(KBM−503、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
(実施例20)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例20の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(KR−220LP、信越シリコーン(株)製)・・・19.76部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
密着促進剤1(KBM−503、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)・・・0.01部
密着促進剤2(KBM−502、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、信越シリコーン(株)製)・・・0.01部
(実施例21)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例21の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(KR−220LP、信越シリコーン(株)製)・・・18.96部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
重合性化合物(KAYARAD DPHA 、日本化薬(株)製)・・・1.00部
(実施例22)
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例21の組成物を調製した。
−組成−
シロキサン樹脂(KR−220LP、信越シリコーン(株)製)・・・11.96部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
光重合開始剤(IRGACURE OXE01 (BASF社製)・・・1.00部
重合性化合物(KAYARAD DPHA 、日本化薬(株)製)・・・1.00部
アルカリ可溶性樹脂(アクリキュアRD−F8、(株)日本触媒製)・・・6.00部
実施例1〜22の組成物は、実施例1〜22の組成物を用いて1μmの膜を形成した際に、膜は、波長8〜11μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の平均透過率をAとし、吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波の範囲における平均透過率をBとし、吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲における平均透過率をCとした際に、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上であった。
<評価方法>
[分光]
実施例の組成物を、東京エレクトロン製スピンコーターACT−8 SODを用いて、8インチ(1インチ=2.54cm)Siウェハ上にスピン塗布し、塗布膜を得た。得られた塗布膜を、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱した。その後、230℃で10分間加熱して膜厚約3μmの硬化膜(赤外線フィルタ)を形成した。得られた硬化膜の波長2.5〜25μmの範囲における透過率をNICOLET6700FT−IR(Thermo Scientific製)を使用して測定した。また、基板をガラスに変えた以外は上記と同様にして硬化膜を作製し、得られた硬化膜の0.4〜2.5μmの範囲における透過率をU−4150((株)日立ハイテクノロジーズ製)を使用して測定した。
上記表の吸収ピークの欄に、硬化膜(赤外線フィルタ)の吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の帯域を記載した。また、上記表において、領域Aの平均透過率は、吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の帯域の平均透過率である。領域B1は、吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波側の範囲の帯域の平均透過率である。領域B2は、吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲の帯域の平均透過率である。
上記表に記載の樹脂は以下である。
A−1:上述したシロキサン樹脂(A−1)
A−2:KR−220LP(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したシロキサン樹脂)
A−3:KR−242A(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したシロキサン樹脂)
A−4:KR−251(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したシロキサン樹脂)
A−5:KR−112(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したとフェニル基が置換したシロキサン樹脂)
A−6:KR−212(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したとフェニル基が置換したシロキサン樹脂)
A−7:KR−271(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したとフェニル基が置換したシロキサン樹脂)
A−8:KR−282(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したとフェニル基が置換したシロキサン樹脂)
A−9:KR−311(信越シリコーン(株)製、メチル基が置換したとフェニル基が置換したシロキサン樹脂)
A−10:ゼムラックZT−118Z((株)カネカ製、シロキサン樹脂)
A−11:ゼムラックYC−3623((株)カネカ製、シロキサン樹脂)
A−12:ゼムラックYP−1915B((株)カネカ製、シロキサン樹脂)
A−13:SR−13(小西化学工業(株)製、末端基が−OC25であるポリメチルシロキサン樹脂、重量平均分子量5000〜7000)
A−14:SR−33(小西化学工業(株)製、末端基が−OC25であるポリメチル/フェニルシロキサン樹脂、重量平均分子量10000)
A−15:SR−21(小西化学工業(株)製、末端基が−OHであるポリフェニルシロキサン樹脂、重量平均分子量2000〜4000)
A−16:KR−220LP(信越シリコーン(株)製、シロキサン樹脂)と、KR−251(信越シリコーン(株)製、シロキサン樹脂)との1:1(質量比)混合物
[透過率ムラ]
実施例の組成物を、東京エレクトロン製スピンコーターACT−8 SODを用いて、8インチ(1インチ=2.54cm)Siウェハ上にスピン塗布し、塗布膜を得た。得られた塗布膜を、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱し、ついで、230℃で10分間加熱し、膜厚約700nmの硬化膜(赤外線フィルタ)を形成した。
得られた硬化膜の波長9.5μmの透過率を、NICOLET6700FT−IR(Thermo Scientific製)を使用して測定した。面内のランダムな5点で測定を行い、5点測定した中の透過率の最大値と最小値の差で下記のように評価した。測定条件は、透過率は、空気補正の無い条件でバックグラウンドを測定した。
AA:透過率差が0.5%以下
A:透過率差が0.5%より大きく1%以下
B:透過率差が1%より大きく2%以下
C:透過率差が2%より大きく3%以下
[面状1]
実施例の組成物を、東京エレクトロン製スピンコーターACT−8 SODを用いて、8インチ(1インチ=2.54cm)Siウェハ上にスピン塗布し、塗布膜を得た。得られた塗布膜を、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して膜厚約700nmの硬化膜(赤外線フィルタ)を形成した。得られた硬化膜の面状を光学顕微鏡で観察した。結果を下記に区分して判定した。
AA:ムラや気泡がないもの
A:若干ムラや気泡があるが許容できる
B:ムラや気泡が目立つ
C:ムラや気泡を超えハジキが生じている
[面状2]
実施例の組成物を、東京エレクトロン製スピンコーターACT−8 SODを用いて、8インチ(1インチ=2.54cm)Siウェハ上にスピン塗布し、塗布膜を得た。得られた塗布膜を、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱し、ついで、230℃で10分間加熱して膜厚約700nmの硬化膜(赤外線フィルタ)を形成した。得られた硬化膜の面状を光学顕微鏡で観察した。結果を下記に区分して判定した。
AA:クラックが発生していない
A: クラックが1個以上2個以下である
B: クラックが2個を超え20個未満である
C: クラックが20個以上である
実施例の赤外線フィルタは、波長9〜10μmの光を選択的に遮蔽することができた。
また、グルコースは9〜10μmに吸収を有しており、実施例の赤外線フィルタはこの領域の赤外線を選択的に遮蔽することができる為、血糖値の検出に用いることができる。このため、実施例の赤外線フィルタを、血糖値センサに組み込むことで、グルコースを精度よく検出することができる。
また、人体の発熱は9.4μm付近にピークがあるために、実施例の赤外線フィルタを用いることで同様に人感センサ等にも用いることができる。
実施例21および22において、光重合開始剤および重合性化合物を、本明細書に記載の化合物を2種以上併用しても同様の効果が得られる。
[試験例2]
(実施例101)
<分散液1の調製>
循環型分散装置(ビーズミル)として、寿工業株式会社製ウルトラアペックスミルを用い、以下の組成の混合液を分散処理して分散液を得た。
(混合液の組成)
粒子:SiC粒子(Nanomakers製、NM SiC 99 平均粒子径35nm)・・・18部
樹脂:樹脂A(固形分30%、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル)・・・6.7部
・有機溶剤:シクロヘキサノン・・・75.3部
分散装置は以下の条件で運転した。
・ビーズ径:直径0.05mm
・ビーズ充填率:75体積%
・周速:10m/秒
・ポンプ供給量:10kg/時間
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
・分散処理する混合液量:0.7kg
樹脂A:下記構造の樹脂(重量平均分子量24000、酸価53mgKOH/g)
<分散液2の調製>
以下に示す混合液を用いた以外は、分散液1と同様の方法で、分散液2を調製した。
(混合液の組成)
粒子:SiO2粒子(日産化学工業(株)製、ST−UP)・・・18部
樹脂:上述した樹脂A(固形分30%、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル)・・・6.7部
有機溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート・・・75.3部
<組成物の調製>
以下に示す各種素材を添加して混合液を調製した。その後、混合液の固形分率が20%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加して、実施例101の組成物を調製した。
−組成−
上記分散液1・・・100部
上記分散液2・・・100部
界面活性剤1(KF6001、信越シリコーン(株)製)・・・0.02部
界面活性剤2(NIKKOL ECT−3、日光ケミカルズ(株)製)・・・0.02部
光重合開始剤(IRGACURE OXE01 (BASF社製)・・・1.00部
重合性化合物(KAYARAD DPHA 、日本化薬(株)製)・・・1.00部
アルカリ可溶性樹脂(アクリキュアRD−F8、(株)日本触媒製)・・・6.00部
実施例101の組成物は、実施例101の組成物を用いて1μmの膜を形成した際に、膜は、波長7.5〜9μmの範囲と、波長10〜11.5μmの範囲に半値幅が2μm以下の吸収ピークをそれぞれ有し、各吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の平均透過率をAとし、吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波の範囲における平均透過率をBとし、吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲における平均透過率をCとした際に、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上であった。
試験例1と同様の方法で、硬化膜(赤外線フィルタ)を形成し、分光、透過率ムラ、面状1および面状2を評価した。結果を以下に記す。

上記表の吸収ピークの欄に、硬化膜(赤外線フィルタ)の吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の帯域を記載した。また、上記表において、領域A1の平均透過率は、7.5〜9μmの範囲の吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の帯域の平均透過率である。領域A2の平均透過率は、10〜11.5μmの範囲の吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の帯域の平均透過率である。領域Bの平均透過率は、7.5〜9μmの範囲の吸収ピーク長波側の半値波長から1μm長波側の範囲の帯域の平均透過率である。
実施例101の赤外線フィルタは、波長9〜10μmの光を選択的に透過することができた。
また、グルコースは9〜10μmに吸収を有しており、実施例の赤外線フィルタはこの領域の赤外線を透過することができる為、血糖値の検出に用いることができた。このため、実施例の赤外線フィルタを、血糖値センサに組み込むことで、グルコースを精度よく検出することができた。
実施例101において、光重合開始剤、重合性化合物およびアルカリ可溶性樹脂を、本明細書に記載の化合物を2種以上併用しても同様の効果が得られた。

Claims (14)

  1. 有機材料を含む赤外線フィルタであって、
    波長1〜16μmの範囲内に、領域Aと、前記領域Aよりも透過率の高い領域Bとを有し、
    前記領域Aと前記領域Bとを、短波長側から長波長側に向かって領域A、領域B、領域Aの順に有するか、あるいは、短波長側から長波長側に向かって領域B、領域A、領域Bの順に有する、赤外線フィルタ。
  2. 前記領域Aの平均透過率が50%以下である、請求項1に記載の赤外線フィルタ。
  3. 赤外線フィルタの吸収スペクトルにおいて、波長1〜16μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、
    前記吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲が前記領域Aであり、
    前記吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波側の範囲が前記領域Bであり、
    前記吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲が前記領域Bである、
    請求項1または2に記載の赤外線フィルタ。
  4. 波長1〜16μmの範囲内に前記吸収ピークを2以上有する、請求項3に記載の赤外線フィルタ。
  5. 波長8.5〜10.5μmの範囲内に前記吸収ピークの前記領域Aを有する、請求項3または4に記載の赤外線フィルタ。
  6. 波長7.5〜9.5μmの範囲内に前記吸収ピークの前記領域Aを有する、請求項3または4に記載の赤外線フィルタ。
  7. 波長9.5〜11.5μmの範囲内に前記吸収ピークの前記領域Aを有する、請求項3または4に記載の赤外線フィルタ。
  8. 波長7.5〜11.5μmの範囲内に前記吸収ピークを有し、
    波長7.5〜11.5μmの範囲内において透過率が50%以下をなす領域が、前記吸収ピークの前記領域Aで構成されている、請求項3または4に記載の赤外線フィルタ。
  9. Si−O−Si結合およびP−O−P結合から選ばれる少なくとも1種類の結合を有する化合物を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の赤外線フィルタ。
  10. 赤外線センサ用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の赤外線フィルタ。
  11. 血糖値センサ用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の赤外線フィルタ。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の赤外線フィルタと、前記赤外線フィルタの領域A以外の範囲に極大発光波長を有する光を発生させる光源とを有する赤外線センサ。
  13. 血糖値センサである、請求項12に記載の赤外線センサ。
  14. 有機材料を含む赤外線フィルタ用組成物であって、
    1μmの膜を形成した際に、波長1〜16μmの範囲内に半値幅が2μm以下の吸収ピークを有し、前記吸収ピークの短波側の半値波長から長波側の半値波長までの範囲の平均透過率をAとし、前記吸収ピークの短波側の半値波長から1μm短波の範囲における平均透過率をBとし、前記吸収ピークの長波側の半値波長から1μm長波側の範囲における平均透過率をCとした際に、B/Aが5以上であり、C/Aが5以上である赤外線フィルタ用組成物。

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