実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和装置1の概略図である。空気調和装置1は冷媒回路11を備え、冷房運転や暖房運転により室内に冷風や温風等を供給する。
冷媒回路11は、冷媒が充填されており、冷媒配管内を冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。充填される冷媒は、例えばアンモニア冷媒やフロン冷媒であるが、これらに限定されるものではない。
冷媒回路11は、圧縮機21、流路切換器25、室内熱交換器22、絞り装置23、及び室外熱交換器24が冷媒配管を介して接続されて形成されるものである。
圧縮機21は、室外機に設置され、冷媒蒸気を圧縮するものである。圧縮機21は、例えばスクロール型の圧縮機である。
室内熱交換器22は室内機に設置されており、例えば、フィンチューブ型の熱交換器からなっている室内熱交換器22は暖房運転時には凝縮器として機能し、圧縮機21から供給された冷媒と室内の空気とを熱交換するものである。また室内熱交換器22は、冷房運転時又は除霜運転時には蒸発器として機能し、絞り装置23から供給された冷媒と室内機の空気とを熱交換するものである。また、室内機には室内熱交換器22に送風を行う室内ファン26が設置されている。
絞り装置23は、室外機に設置され、冷媒を減圧する減圧手段であり、例えば、電子膨張弁で形成されている。絞り装置23は、暖房運転時には室内熱交換器22から供給された冷媒を減圧して室外熱交換器24へ供給する。また絞り装置23は、冷房運転時又は除霜運転時には室外熱交換器24から供給された冷媒を減圧して室内熱交換器22へ供給する。
室外熱交換器24は室外機に設置されており、フィンチューブ型の熱交換器からなっている。室外熱交換器24は暖房運転時には蒸発器として機能し、絞り装置23から供給された冷媒と室外の空気とを熱交換するものである。また室外熱交換器24は、冷房運転時又は除霜運転時には凝縮器として機能し、圧縮機21から供給された冷媒と室外機との空気を熱交換するものである。また、室外熱交換器24には室外ファン27が対で形成され、室外ファン27は室外機に設置されている。
流路切換器25は、例えば四方弁からなり、室外機に設置される。流路切換器25には、第1ポート25aから第4ポート25dまでの4つのポートが形成されている。冷房運転や暖房運転等の運転状態に応じて4つのポートの接続状態を切り換えることで、冷媒回路11内の接続関係を切り換えるものである。
流路切換器25の切り換え動作について説明する。図1に示すように、流路切換器25は、第1ポート25aが圧縮機21の吐出側である吐出管と接続されている。流路切換器25は、第2ポート25bが室内熱交換器22と接続されている。流路切換器25は、第3ポート25cが圧縮機21の吸入側である吸入管と接続されている。流路切換器25は、第4ポート25dが室外熱交換器24と接続されている。流路切換器25は、図1に実線で示すように、第1ポート25aと第2ポート25bとがつながっているときには、第3ポート25cと第4ポート25dとがつながっている状態となる。また流路切換器25は、図1に破線で示すように、第1ポート25aと第4ポート25dとがつながっているときには、第2ポート25bと第3ポート25cとがつながっている状態となる。
つまり、流路切換器25の4つのポートの接続状態は、暖房運転時には、第1ポート25aと第2ポート25bとがつながり、圧縮機21と室内熱交換器22とが接続された状態となる。また冷房運転時には、第1ポート25aと第4ポート25dとがつながり、圧縮機21と室外熱交換器24とが接続された状態となる。
図1に示すように、空気調和装置1はさらに制御装置50と温度センサ41とを備えている。温度センサ41は、室外熱交換器24に設置され、室外熱交換器24の温度を検出するものである。室外熱交換器温度によって着霜しやすい条件であるか否かを検出できるため、検出された温度情報は、制御装置50に送られる。
制御装置50は、冷媒回路11の圧縮機21、絞り装置23、流路切換器25、室内ファン26及び室外ファン27等の駆動を制御する。また制御装置50は、温度センサ41から温度情報を取得する。制御装置50は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)等で構成されており、各種運転の制御を行う。
空気調和装置1は、例えば暖房、冷房、及び送風等の運転モードを備えている。次に、暖房中に実施される暖房運転及び除霜運転について説明する。
暖房運転時には、圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒は接続配管を経由して流路切換器25、室内熱交換器22、及び絞り装置23を通過し、絞り装置23により減圧された低温低圧の冷媒は室外熱交換器24に流入する。暖房運転中、制御装置50は、室内空気温度、室外空気温度及び配管温度等の情報を取得しながら最適な暖房条件となるよう室内ファン26、室外ファン27及び圧縮機21等の運転速度制御を行う。
このとき、外気温度により、空気中の水分が結露するとともに低温であるため氷結が生じることで霜となる。そのため、このまま暖房運転を続けた場合、室外熱交換器24のフィン表面に付着した霜が堆積してフィン間を塞ぎ伝熱性能を低下させてしまいCOP(エネルギー消費効率)が低くなる。
本実施の形態における空気調和装置1は、暖房中に暖房運転を除霜運転に切り換えて、室外熱交換器24の除霜を行う。制御装置50は、暖房運転中に除霜が必要か否かの判定を行い、除霜が必要である場合には流路切換器25を切り換えることで冷媒の循環方向を冷房運転時と同じ方向にして除霜運転を開始する。すなわち冷媒は、流路切換器25、室外熱交換器24、絞り装置23、室内熱交換器22、及び流路切換器25の順に循環し、圧縮機21に吸入される。これにより、高温高圧の冷媒が室外熱交換器24に流入することで、室外熱交換器24に付着していた霜を除去することができる。除霜運転中、制御装置50は、室内ファン26の運転を停止して室内にいる居住者に不快感又は寒冷感を与えないようにする。また、制御装置50は、室外ファン27の運転を停止して、室外熱交換器24に付着した霜に冷媒の熱エネルギーが十分に伝達されるようにする。制御装置50は、除霜運転停止条件が成立すると流路切換器25を切り換えて暖房運転に戻す。
次に、制御装置50の詳細について図2から図4を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における制御装置50の機能ブロック図である。図2に示す制御装置50の機能構成は、例えばマイコン等のハードウェア上でプログラムを実行させることにより構築されるものである。制御装置50は、運転制御手段51、記憶手段52、除霜判定手段53、計時手段54、補正値設定手段55、及び補正手段56を備える。
運転制御手段51は、運転指令に基づいて冷媒回路11の制御を行う。具体的には、運転制御手段51は、リモコン3を介して入力された運転指令に基づき、冷房、暖房、又は送風等から運転モードを選択して実行する。選択された運転モードが暖房であれば、運転制御手段51は冷媒回路11を制御して暖房運転を実施する。このとき運転制御手段51は、冷媒の循環方向が暖房運転時の方向となるよう必要に応じて流路切換器25を切り換える。
また運転制御手段51は、除霜が必要な場合には冷媒回路11を制御して暖房運転から除霜運転に切り換え、除霜運転停止条件が満たされるまで除霜運転を続行する。除霜運転停止条件が成立すると、運転制御手段51は除霜運転を終了し暖房運転を再開する。暖房運転を再開する際、運転制御手段51は、記憶手段52に記憶されている除霜運転禁止時間τ1を参照する。その後、運転制御手段51は、除霜運転の終了後から除霜運転禁止時間τ1の間に次の除霜運転が行われないよう制御しながら暖房運転を行う。
記憶手段52は、例えばROM等のメモリで構成され、除霜運転禁止時間τ1、除霜運転禁止時間の初期値、及び補正テーブル61を記憶する。また、記憶手段52は初期設定等に関する情報を記憶し、空気調和装置1に電源が投入された時に制御装置50が初期設定を参照するよう構成してもよい。
除霜運転禁止時間τ1は、直前に行われた除霜運転の終了後からその間は、次の除霜運転の実行を禁止するものである。外気温度が低い条件で暖房を行った場合、着霜を検出する方法によっては、室外熱交換器24に着霜が生じていないにもかかわらず除霜運転が必要であると判定される場合がある。また、除霜運転終了後すぐに除霜運転が再開されてしまうと、運転が不安定になり、また、暖房運転の時間を確保できずに暖房効率を低下させてしまう。そのため、記憶手段52は、除霜運転の制御に必要な除霜運転禁止時間τ1を記憶している。
除霜運転禁止時間の初期値は、暖房が開始された時に運転制御手段51によって参照されるものである。除霜運転禁止時間τ1は除霜運転が終了するごとに更新される。そのため、記憶手段52に初期値を記憶しておくことで、まだ適切な除霜運転禁止時間τ1が記憶されていない場合であっても、予め設定された初期値に基づいて最初の暖房運転が開始されるように構成されている。
除霜判定手段53は、温度センサ41から取得した温度情報を基に除霜の要否を判定する。具体的には、除霜判定手段53には予め閾値温度が設定されており、除霜判定手段53は、温度センサ41で検出した温度が、設定された閾値温度以下となった場合には除霜が必要であると判定する。
なお、本実施の形態においては、除霜判定手段53は、室外熱交換器24の温度と閾値温度とを用いて除霜の要否を判定したが、特にこれに限定しない。除霜が必要であるか否かの判定ができればどのような方法でもよい。例えば、温度センサ又は圧力センサ等の検出手段が一又は複数台設置され、除霜判定手段53は、冷媒の蒸発温度を測定し除霜の要否を判定してもよい。この場合、例えば、除霜判定手段53は、蒸発温度が所定の温度以下となったときに除霜が必要であると判定するよう構成すればよい。また、複数台の温度センサが室内機の冷媒吸込み温度及び吹出し温度を検知し、除霜判定手段53は両者の温度差を検出して除霜の要否を判定してもよい。この場合、空気調和装置1の暖房能力の低下を検出して除霜が必要であると判定するよう構成すればよい。また、判定時には、予め設定された閾値温度の他に変化量を用いることとしてもよい。除霜が必要であるか否かを判定する方法については、多くの公知技術に示された技術を用いることができる。
次に、本実施の形態における除霜運転停止条件について説明する。運転制御手段51は、除霜運転禁止時間τ1の経過後、除霜が必要であると判定されてから除霜運転停止条件が満たされるまで除霜運転を行う。また、計時手段54により測定された除霜運転時間τ2は、補正値設定手段55が除霜運転禁止時間τ1の補正値τ4を選択する際に利用される。そのため、一定の時間によってのみ除霜運転が停止される場合は本発明に適しない。したがって、本実施の形態においては、例えば、温度センサ41により検出される室外熱交換器24の温度が、所定の温度まで回復した場合に除霜運転停止条件が満たされたこととしてもよい。このとき、室外熱交換器24の温度が回復したか否かの判定は、除霜判定手段53が行ってもよい。また、最大除霜時間を設けることにより、除霜運転時間τ2が長くなりすぎた場合には除霜運転を打ち切るよう構成してもよい。なお、除霜が完了したことを検出する方法としては、温度センサや圧力センサの他、例えば光学式センサ等を利用してもよい。除霜が終了したことを検知する方法については、多くの公知技術に示された技術を用いることができる。
計時手段54は、除霜運転が実施された除霜運転時間τ2を計測する。また、計時手段54はタイマ機能を有してもよい。計時手段54は、運転制御手段51からの信号を受けて計時又はタイマ機能を実行する。設定した時間が経過した場合、又は運転制御手段51から要求を受けた場合には、運転制御手段51へ情報を送信する。
なお、計時手段54は、除霜運転時間τ2の他に暖房運転時間を計測してもよい。更に計時手段54は、タイマ機能において除霜運転禁止時間τ1の経過を監視し、経過したか否かを示す情報を運転制御手段51へ送ってもよい。
補正値設定手段55は、計時手段54において計測された除霜運転時間τ2と、記憶手段52に記憶された補正テーブル61とに基づき補正値τ4を設定する。具体的には、計測された除霜運転時間τ2は、運転制御手段51により計時手段54から取得されて補正値設定手段55へ送られる。補正値設定手段55は除霜運転時間τ2を受けとると、記憶手段52の補正テーブル61を参照し、受けとった除霜運転時間τ2に対応する補正値τ4を選択する。
次に、図3を用いて、除霜運転禁止時間τ1の補正について説明する。図3は、本発明の実施の形態1における除霜運転時間τ2と補正値τ4との対応関係を示す図である。
図3は、記憶手段52が記憶する補正テーブル61の一例である。補正テーブル61には、基準となる除霜運転時間(τ3)を基準に設定された複数の閾値A〜Dにより、除霜運転時間を複数の領域に分け、複数の領域の各々に対して補正値τ4が関連付けられ記憶されている。基準の除霜運転時間τ3とは、除霜運転禁止時間τ1が最適となるよう予め設定されているものである。例えば標準的な除霜運転時間である。また、複数の閾値A〜D及び基準の除霜運転時間τ3の間には、A<B<τ3<C<Dの関係が成り立っている。
一方、補正値τ4は、基準の除霜運転時間τ3を含む除霜運転時間の領域(B<τ2<C)に対して加算値0が対応付けられている。また、除霜運転時間が短い領域ほど、補正値τ4には大きな補正時間が対応付けられている。図3に示すように、除霜運転時間τ2が基準の除霜運転時間τ3を含む基準範囲(B<τ2<C)内であれば、補正を行わないよう構成してもよい。基準範囲は、複数の閾値A〜Dのうち基準の除霜運転時間τ3に近い2つの閾値(下限閾値Bと上限閾値C)で設定される。本実施の形態では、補正値τ4は複数の閾値A〜Dによって階段状に対応づけられている。そのため、この補正値τ4を用いて補正を行う際は、補正値τ4が正の値であるか負の値であるかに応じて、記憶手段52に記憶された除霜運転禁止時間τ1に加算又は減算の補正がなされる。言い換えると、補正テーブル61は、基準の除霜運転時間τ3に除霜運転禁止時間τ1を同じ除霜運転禁止時間τ1に補正する補正値が対応付けられ、基準の除霜運転時間τ3より短い除霜運転時間に除霜運転禁止時間τ1を長くする補正値が対応付けられ、基準の除霜運転時間τ3より長い除霜運転時間に除霜運転禁止時間τ1を短くする補正値τ4が対応付けられている。
なお、図3に示した表は1つの実施例であり、直前の除霜運転時間τ2と補正テーブル61の除霜運転時間とを比較して補正値τ4を設定するものであれば何でも良い。例えば、補正テーブル61に、除霜運転時間と補正値との関係を示す関係式を記憶しておき、計測された除霜運転時間τ2を関係式に代入して決まる補正値τ4を用いて除霜運転禁止時間τ1を補正してもよい。また、補正値τ4としては、記憶された除霜運転禁止時間τ1に加算又は減算して補正するものの代わりに補正係数等を用いてもよい。
図3の補正手段56は、補正値設定手段55において設定された補正値τ4を用いて記憶手段52に記憶された除霜運転禁止時間τ1を補正する。具体的には、補正手段56は、補正値設定手段55において設定された正値補正値を用いて記憶手段52に記憶されている除霜運転禁止時間τ1を補正する。更新された記憶手段52の除霜運転禁止時間τ1は、運転制御手段51により参照され、その後再開する暖房運転において使用される。例えば、直前の除霜運転時間τ2が短時間で終了した場合には、それほど除霜に時間を要しない外気条件であるので、除霜運転禁止時間τ1は長くなるよう補正される。図4を用いながら具体的な一例を挙げる。
図4は、本発明の実施の形態1における圧縮機21の動作例を示す概略図ある。なお、図4では、低外気条件で暖房を行った際の圧縮機21の動作を示したものである。制御装置50は圧縮機21を起動して暖房運転を実施し、除霜判定手段53にて除霜が必要であると判定されると除霜運転へ移行する。除霜運転中は除霜運転停止条件の判定を行ない、条件を満足すれば除霜運転は停止する。その際、除霜運転時間τ2と補正テーブル61とが比較され、補正値τ4が設定される。例えば、除霜運転が最小の閾値Aより短い時間で終了した場合(τ2<A)には、補正値τ4として+30分が設定される。除霜運転禁止時間τ1は設定された補正値τ4を用いて補正され、暖房運転に復帰する。つまり、除霜運転禁止時間τ1は30分長く補正される。このように、図3に例示した補正テーブル61に従えば、除霜運転時間τ2と基準の除霜運転時間τ3とが比較され、除霜運転が必要ない場合は除霜運転禁止時間τ1が長くなるように補正される。
図5は、本発明の実施の形態1における基本動作制御を示すフローチャートである。図1〜図5を参照して制御装置50が行う除霜制御動作について説明する。まず空気調和装置1に電源が投入されると(S100)、制御装置50は動作を開始し、空気調和装置1の動作制御のための初期設定を実施する(S101)。このとき、制御装置50は、記憶手段52に記憶された情報を参照して初期設定を実施してもよい。
次に制御装置50は、運転モードで暖房運転を設定する(S102)。例えばリモコン3を介して暖房の運転指令が入力されていれば、暖房運転が実施される。このとき、制御装置50は流路切換器25を暖房運転時の接続状態(流路切換器ON)に切り換える。
また、このとき、運転制御手段51は、記憶手段52から除霜運転禁止時間の初期値を取得して除霜運転禁止時間τ1として設定する(S103)とともに、暖房運転での圧縮機運転時間を計時する。そして運転制御手段51は、圧縮機運転時間が除霜運転禁止時間τ1を経過したか否かを判定する(S104)。圧縮機運転時間が除霜運転禁止時間τ1を経過していない場合にはS104を繰り返す。一方、圧縮機運転時間が除霜運転禁止時間τ1を経過している場合にはS105へ進む。
S105では、除霜判定手段53は、温度センサ41から送られる温度情報に基づいて、除霜が必要であるか否かの判定を行う。除霜が必要でないと判定された場合にはS105を繰り返す。一方、除霜が必要であると判定された場合にはS106へ進む。除霜判定手段53は除霜判定結果を運転制御手段51へ送る。
S106では、運転制御手段51は除霜運転を開始する。このとき、運転制御手段51は、流路切換器25を冷房運転時の接続状態(流路切換器OFF)に切り換える。また、除霜運転を開始する際、運転制御手段51は計時手段54に除霜運転時間τ2の計時を開始させる(S107)。
次に、運転制御手段51は、除霜運転停止条件が成立するか否かを判定する(S108)。このとき運転制御手段51は、例えば、除霜判定手段53の除霜判定結果、及び計時手段54が計時中の時間情報を参照して判定を行ってもよい。除霜運転停止条件が成立しないと判定された場合にはS108を繰り返す。一方、除霜運転停止条件が成立すると判定された場合にはS109へ進む。
S109では、運転制御手段51は、流路切換器25の切り換えを行って除霜運転を停止する(流路切換器ON)とともに、計時手段54によって計測された除霜運転時間τ2を取得する。また除霜運転を停止すると同時に、運転制御手段51は、補正値設定手段55へ除霜運転時間τ2を送る。
補正値設定手段55は、除霜運転時間τ2を受けとると、更に記憶手段52の補正テーブル61を参照し、除霜運転時間τ2と補正テーブル61の除霜運転時間とを比較して補正値τ4を選択し、選択した補正値τ4を補正手段56へ送る(S110)。
次に、補正手段56は補正値τ4を受けとると、記憶手段52に記憶された除霜運転禁止時間τ1に補正値τ4を用いて補正を行う。これより、記憶手段52に記憶される除霜運転禁止時間τ1は更新される(S111)。
次に運転制御手段51は、計時手段54の計測をリセット(S112)して暖房運転を再開する。このとき、運転制御手段51は、記憶手段52から除霜運転禁止時間τ1を取得して除霜運転禁止時間τ1を設定し(S103)、再開された暖房運転に使用する。
暖房中は、S103からS112が繰り返される。
以上のように本実施の形態においては、制御装置50は、除霜運転が禁止される除霜運転禁止時間τ1と、除霜運転禁止時間τ1を補正する補正値τ4が除霜運転時間τ2に対応付けされた補正テーブル61とを記憶する記憶手段52と、室外熱交換器24の除霜の要否を判定する除霜判定手段53と、除霜判定手段53において除霜が必要であると判定されたとき、除霜が完了する除霜完了条件を満たすまで除霜運転が行われるように冷媒回路11を制御するとともに、記憶手段52に記憶された除霜運転禁止時間τ1の間、除霜運転の終了後から除霜運転の実行を禁止する運転制御手段51と、運転制御手段51により除霜運転が実施された除霜運転時間を計測する計時手段54と、計時手段54において計測された除霜運転時間τ2と、記憶手段52に記憶された補正テーブル61とに基づき補正値τ4を設定する補正値設定手段55と、補正値設定手段55において設定された補正値τ4を用いて記憶手段52に記憶された除霜運転禁止時間τ1を補正する補正手段56とを備えたものである。
このため、補正値τ4を用いて最適な除霜運転禁止時間τ1が設定されるので、不必要な除霜運転を防止し、最低暖房運転時間を確保することで暖房効率を向上させることができる。また、着霜の多い条件においては、適切なタイミングで除霜運転を実施することで効率の良い安定した空調を行うことができる。
また、補正テーブル61は、除霜運転時間が長いほど除霜運転禁止時間τ1を短くする補正値τ4が対応付けされているものであってもよい。このため、除霜運転時間に対し更に最適な除霜運転禁止時間が設定され、効率的で安定した空調を行うことができる。
また、補正テーブル61は、最適な除霜運転時間として設定された基準の除霜運転時間τ3を含む除霜運転時間の基準範囲を有し、基準範囲の下限閾値より短い除霜運転時間については除霜運転禁止時間τ1を長くする補正値τ4が対応付けされ、基準範囲の上限閾値より長い除霜運転時間については除霜運転禁止時間τ1を短くする補正値τ4が対応付けされ、補正値設定手段55は、計時手段54において計測された除霜運転時間τ2が、補正テーブルの基準範囲内である場合には補正を行わないものであってもよい。
これより、補正値設定手段55は、計測された除霜運転時間τ2が基準範囲内である場合は補正を行わないので、除霜運転禁止時間τ1を補正するための演算処理を省略できる。またこの場合、記憶手段52が記憶している除霜運転禁止時間τ1は直前の除霜運転時間τ2に対し適した時間とものとなっている。
また、補正テーブル61は、除霜運転時間と補正値との関係を設定する関係式により除霜運転時間に補正値τ4が対応付けされたものであってもよい。
このため、補正手段56は、関係式により細かく対応付けされた補正値τ4を用いて除霜運転禁止時間τ1を更新するので、運転制御手段51は直前の除霜運転時間τ2に適した除霜運転を行うことができる。
本発明に係る空気調和装置は、圧縮機、流路切換器、室内熱交換器、絞り装置、及び室外熱交換器が冷媒配管を介して接続された冷媒回路と、前記流路切換器を制御することにより、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させ前記室内熱交換器を凝縮器として機能させる暖房運転と、前記室外熱交換器を凝縮器として機能させ前記室内熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転との切り換えを行う制御装置とを備え、前記制御装置は、除霜運転が禁止される除霜運転禁止時間と、除霜運転禁止時間を補正する補正値が除霜運転時間に対応付けされた補正テーブルとを記憶する記憶手段と、前記室外熱交換器の除霜の要否を判定する除霜判定手段と、前記除霜判定手段において除霜が必要であると判定されたとき、除霜が完了する除霜完了条件を満たすまで除霜運転が行われるように前記冷媒回路を制御するとともに、前記記憶手段に記憶された前記除霜運転禁止時間の間、除霜運転の終了後から除霜運転の実行を禁止する運転制御手段と、前記運転制御手段により前記除霜運転が実施された除霜運転時間を計測する計時手段と、前記計時手段において計測された前記除霜運転時間と、前記記憶手段に記憶された基準の除霜運転時間に対する補正テーブルとに基づき補正値を設定する補正値設定手段と、前記補正値設定手段において設定された補正値を用いて前記記憶手段に記憶された除霜運転禁止時間を補正する補正手段とを備えたものである。