JP4047566B2 - 空気調和機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプ式の空気調和機に利用されて、暖房運転時に室外熱交換器に付着する霜を取り除くための除霜運転を行う空気調和機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は従来の空気調和機の電気ブロック図であり、室内制御部300と室外制御部400は、共通電源線220、圧縮機制御線221、室外熱交換器制御線620、流路切換弁制御線710の4本の電線で接続され、室内ユニット側の端子台に4つの端子と、室外ユニット側の端子台に4つの端子を各々備えている。冷凍サイクルの圧縮機は、運転周波数が一定の交流電動機である電動機450を動力源として駆動される。電源は単相交流であり、電源スイッチ310を介してAC/DCコンバータ320に供給され、各種内部電圧に変換された直流電力が各部に供給される。マイコン330は、ドライバ、リレーおよびスイッチからなる流路切換弁駆動部406、室外熱交換器駆動部C8、圧縮機駆動部C9、細部を省略したが室内熱交換器駆動部C7を制御する。そして、冷凍サイクルの四方弁を切換駆動する四方弁コイル101、室外熱交換器のファンモータ401、および圧縮機の電動機450に電力が供給される。また、室内制御部300により室内熱交換器のクロスフローファンのファンモータ301が制御される。
【0003】
室外熱交換器温度Tc′は室外制御部400の温度センサ403によって検出され、2Pコネクタを介して室内制御部300に取り込まれる。また、室内制御部300は、温度センサ302によって室内温度Taを検出し、温度センサ303によって室内熱交換器温度Tcを検出する。なお、赤外線式等のリモコン500の信号を受信部304で受信することにより、室内制御部300の運転の切換えや設定等がリモコン操作でも可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の技術のものは、室内制御部300から2Pコネクタ(温度センサ用コネクタ)を介して、温度センサ403の電線を室外制御部400に布設するに、「コネクタ抜け」、「センサ電線の断線」、「センサの取り付け忘れ」等で温度センサ403のない状態が原因して空気調和機の運転制御、特に除霜運転制御を行うことができなかった。したがって、この点、改良の余地を残している。
【0005】
また、制御ソフト切替用ジャンパ等を用いてセンサが2本の場合とセンサが3本の場合とで別の制御工程(プログラム)を切り替えている為、検査工程、製造工程等を共通化できない点、余計な部材(ジャンパ)を必要とする点に、改良の余地を残している。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、温度センサが3本の場合も2本の場合も、ソフト切替用ジャンパ等を必要とせず一つの制御工程(プログラム)により、暖房運転中に「着霜検出」を行って除霜運転を開始し、次に、「除霜終了検出」を行って暖房運転に復帰する空気調和機の制御装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の空気調和機の制御装置は、空気調和機の室内ユニット側に室内熱交換器温度を検出する温度センサと、室内温度を検出する温度センサと、空気調和機の室外ユニット側に室外熱交換器温度を検出するサーミスタセンサからなる温度センサと、を備え、前記3つの温度センサの検出信号を入力して、前記空気調和機の暖房運転時の着霜状態、または除霜終了状態を判定して、除霜運転を制御する空気調和機の制御装置において、最短暖房運転時間を設定する制御工程と、暖房運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該室外熱交換器温度が略氷点以下である場合、かつ、最短暖房運転時間を設定し、前記最短暖房運転時間が経過した場合、かつ、室内熱交換器温度と室内温度との温度差の変化を所定時間毎に監視し、該温度差の変化が負の方向に徐々に小さくなり、所定回数以上計数した場合に、室外熱交換器が着霜したと判定して除霜運転を開始する制御工程と、除霜運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該温度が所定温度以上である場合、または、除霜運転時間を計測し、第2所定時間以上が経過した場合に、室外熱交換器の除霜が終了したと判定して除霜運転を終了する制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置は、空気調和機の室内ユニット側に室内熱交換器温度を検出する温度センサと、室内温度を検出する温度センサと、空気調和機の室外ユニット側に室外熱交換器温度を検出するサーミスタセンサからなる温度センサと、を備え、前記3つの温度センサの検出信号を入力して、前記空気調和機の暖房運転時の着霜状態、または除霜終了状態を判定して、除霜運転を制御する空気調和機の制御装置において、前記室外熱交換器温度を検出する温度センサの検出信号を入力して、制御範囲下限未満か否かを判定する制御工程と、最短暖房運転時間を設定する制御工程と、暖房運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該室外熱交換器温度が略氷点以下である場合、かつ、最短暖房運転時間を設定し、前記最短暖房運転時間が経過した場合、かつ、室内熱交換器温度と室内温度との温度差の変化を所定時間毎に監視し、該温度差の変化が負の方向に徐々に小さくなり、所定回数以上計数した場合に、室外熱交換器が着霜したと判定して除霜運転を開始する制御工程と、除霜運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該温度が所定温度以上である場合、または、除霜運転時間を計測し、第2所定時間以上が経過した場合に、室外熱交換器の除霜が終了したと判定して除霜運転を終了する制御工程と、前記室外熱交換器温度を検出する温度センサの検出信号を入力して、第2所定温度未満か否かを判定する制御工程と、前記室内熱交換器温度を検出する温度センサの検出信号を入力して、第3所定温度を超えたか否かを判定する制御工程と、を備え、前記制御範囲下限未満でないと判定された場合、前記最短暖房運転時間を設定する制御工程は、前記室外熱交換器温度が第2所定温度未満の場合、前記最短暖房運転時間を室外熱交換器温度に反比例するように設定し、前記制御範囲下限未満であると判定された場合、前記最短暖房運転時間を設定する制御工程は、前記室内熱交換器温度が第3所定温度を超えた場合、前記最短暖房運転時間を室内熱交換器温度に反比例するように設定することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置に関わる技術の第1例を示す。圧縮機を始動して20〜25分が経過した時点で、0℃≧Tc′>−3℃の時、tH0=30分、−3℃≧Tc′>−8℃の時、tH0=45分、−8℃≧Tc′の時、tH0=70分となるように設定する。ここに、Tc′は室外熱交換器温度、tH0は最短暖房運転時間である。
【0015】
上記空気調和機の制御装置は、前記温度差の変化を監視するに、単位時間の1/2の時間毎に前記温度差を算出し、温度差の時間変化量は単位時間毎の変化量として監視してもよい。
また、前記除霜運転時間の前回と今回との長/短を比較し、次の暖房運転時の最短暖房運転時間を設定する場合、前記最短暖房運転時間を短/長に補正して設定してもよい。
また、前記室外熱交換器温度を検出し、該室外熱交換器温度が氷点近傍に存在する時間を計測して前記除霜運転時間としてもよい。
【0016】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置に関わる技術の第2例を示す。圧縮機を始動して20〜25分が経過した時点で、Tc>40℃の時、tH0=30分、40℃≧Tc>35℃の時、tH0=45分、35℃≧Tc>30℃の時、tH0=70分となるように設定する。ここに、Tcは室内熱交換器温度、tH0は最短暖房運転時間である。
【0017】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置に関わる技術の第3例を示す。圧縮機を始動して20〜25分が経過した時点で、30℃≧Tc>冷風防止設定温度値の時、tH0=30分となるように設定する。Tc、tH0は第2例と同じである。
【0018】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置によれば、室外熱交換器温度Tc′についての制御範囲は例えば−20℃≦Tc′≦50℃として構成し、もし、Tc′<−20℃を検出すると「制御範囲下限未満」、すなわち、「コネクタ抜け」、「センサ電線の断線」、「センサの取り付け忘れ」等の事態が発生したと判断する。すなわち、サーミスタセンサの抵抗値が大きければ、マイコンは「温度が低い」と判断し、さらに上記の事態が発生すると抵抗値(インピーダンス)が無限大になるので、マイコンが「温度がさらに低い」と判断することを利用する。したがって、室外熱交換機温度を検出する温度センサの「コネクタ抜け」、「センサ電線の断線」、「センサの取り付け忘れ」、若しくは、低外気温を検出する。なお、空気調和機では、おおよそ−20℃を低い方の制御範囲限界(制御範囲下限)としてよい。
【0019】
本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、1.室外熱交換器温度Tc′が略氷点(0℃)以下である場合、2.最短暖房運転時間tH0(除霜運転禁止時間)が経過した場合、3.室内熱交換器温度Tcと室内温度Taとの温度差ΔTの変化を所定時間毎に監視し、温度差ΔTの変化が負の方向に徐々に小さくなり、この監視回数を計数して、所定回数(例えば、5〜10回)以上を計数した場合、室外熱交換器が着霜したと判定する。
【0020】
したがって、2つのセンサの場合も3つのセンサの場合も、上記「1.かつ2.かつ3.」の条件を満たして着霜判定ができる。すなわち、室外熱交換器温度を検出する温度センサがない時でも、既に1.は満たされているので、2つのセンサ時も3つのセンサ時も同一プログラムで良いという、優れた効果が得られる。
【0021】
本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、温度差ΔTの変化を監視するに、単位時間(例えば5分)の1/2の時間(所定時間=2.5分)毎に温度差ΔTを算出し、温度差ΔTの時間変化量は単位時間毎の変化量として監視してもよい。すなわち、室内熱交換器温度と室温との温度差を監視するに、所定時間ずつオーバーラップさせる。
【0022】
本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、4.室外熱交換器温度Tc′を検出し、Tc′が所定温度(略10℃)以上である場合、または、5.除霜運転時間を計測し、第2所定時間(例えば10分)以上が経過した場合、室外熱交換器の除霜が終了したと判定する。
【0023】
したがって、2つのセンサの場合も3つのセンサの場合も、上記「4.または5.」(「4.及び5.」を含む)の条件を満たして除霜終了判定ができる。すなわち、室外熱交換器温度を検出する温度センサがない時、4.は満たされないから「温度復帰」はあり得ず、常に5.で「時間復帰」するので、2つのセンサ時も3つのセンサ時も同一プログラムで良いという、優れた効果が得られる。
【0024】
本発明の請求項1または2の空気調和機の制御装置によれば、除霜運転時間の前回と今回との「長/短」を比較し、次の暖房運転時の最短暖房運転時間を設定する場合、前記最短暖房運転時間tH0(=除霜運転禁止時間)を「短/長」に補正して設定してもよい。すなわち、室外熱交換器への着霜量に応じて除霜運転時間は異なるので、次の、最短暖房運転時間(除霜運転禁止時間)を補正して設定する。
【0025】
本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、室外熱交換器温度Tc′を検出し、該温度Tc′が氷点(0℃)近傍に存在する時間を計測して除霜運転時間としてもよい。
【0026】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置によれば、室外熱交換器温度Tc′を検出する温度センサの検出信号を入力して第2所定温度(−3℃)未満か否かを判定する。また、最短暖房運転時間tH0(除霜運転禁止時間)を設定する。すなわち、室外熱交換器温度Tc′が制御範囲下限(−20℃)以上の場合、最短暖房運転時間tH0を室外熱交換器温度Tc′に反比例するように設定する。
【0027】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置によれば、室内熱交換器温度Tcが第3所定温度(30℃)を超えた場合、最短暖房運転時間tH0を室内熱交換器温度Tcに反比例するように設定する。すなわち、温度センサが3本の場合も、2本の場合も、ハード手段によることなく、最短暖房運転時間tH0(除霜運転禁止時間)を設定する。
【0028】
前記請求項2の空気調和機の制御装置に関わる技術の第1例によれば、湿り空気線図を用い、相対湿度100%を想定して算出したので、実際の暖房運転時間tHは必ず最短暖房運転時間tH0と比べて同じか、長くなる。したがって、温度センサが3本の場合、外気中の水分量に応じて、より好適な、最短暖房運転時間tH0(除霜運転禁止時間)を設定できる。したがって、さらに、快適性が向上し、省エネ性も向上する。
【0029】
前記請求項2の空気調和機の制御装置に関わる技術の第2例によれば、温度センサが2本の場合、空気調和機の運転が安定した状態で、高圧側冷媒の温度に応じて、最短暖房運転時間tH0(除霜運転禁止時間)を設定する。したがって、「カラ除霜」が少なく、快適性が向上し、省エネ性も向上する。
【0030】
前記請求項2の空気調和機の制御装置に関わる技術の第3例によれば、温度センサが2本の場合、前回の除霜運転が不充分であった場合を想定して、早めに除霜運転を行えるように設定する(残霜があった場合の例である)。したがって、安全性、信頼性が向上する。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による空気調和機の制御装置の各実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は実施形態の空気調和機における冷凍サイクルとその制御装置の例を示す原理的ブロック図である。なお、この実施形態の空気調和機は前記従来の空気調和機と制御工程(プログラム)は異なっているが、電気ブロックは図2と同様であり、必要に応じて図2の符号を用いて説明する。図1に示したように、圧縮機4、流路切換弁100、室内熱交換器9A、絞り装置10A、室外熱交換器9B、アキュムレータ200により冷凍サイクルAが構成されており、流路切換弁100の切り換えにより、冷媒は暖房モードでは実線の矢印のように流れ、冷房モードでは破線の矢印のように流れる。
【0033】
この空気調和機は、制御装置C、室内熱交換器9Aのファンモータ等の室内熱交換器駆動源301、室外熱交換器9Bのファンモータ等の室外熱交換器駆動源401、流路切換弁100の四方弁コイル等の流路切換弁駆動源101、圧縮機4の電動機等の圧縮機動力源450を備え、制御装置Cで各駆動源や動力源を駆動制御して冷凍サイクルAを制御する。
【0034】
制御装置Cにおいて、入力部C2はリモコン500の送信部から送出される赤外線信号を受信する室内ユニットに設けられた受信部あるいは図示しないマニュアルスイッチに対応している。また、検出部C3は、図2に示した室内温度Taを検出する温度センサ302、室内熱交換器9Aの室内熱交換機温度Tcを検出する温度センサ303、室外熱交換器9Bの室外熱交換器温度Tc′を検出する温度センサ403などに対応している。さらに、停電検出部C4は図示しない電圧検出器に対応し、半固定記憶部C5はEEPROM340に対応している。
【0035】
また、室内熱交換器駆動部(ドライバ)C7は室内熱交換器駆動源(ファンモータ)301に制御信号を出力し、室内熱交換器9Aの熱交換能力が制御される。室外熱交換器駆動部C8は室外熱交換器駆動源(ファンモータ)401に制御信号を出力し、室外熱交換器9Bの熱交換能力が制御される。流路切換弁駆動部406は流路切換弁駆動源(四方弁コイル)101への駆動電流を出力し、圧縮機駆動部C9は圧縮機動力源(電動機)450への電力の供給を制御する。
【0036】
本発明は暖房運転中に着霜検出を行って除霜運転を行うものであり、暖房運転中の温度センサの検出温度に応じて着霜検出を行う。図3は暖房運転開始時からの室内熱交換器温度、室外熱交換器温度及び室温の変化の一例を示す図、図4は室内熱交換器温度Tcと室温Taとの温度差ΔTの変化を示す図である。図3に示したように、室内熱交換器温度Tcは暖房運転開始直後は急上昇するが所定温度付近で緩やかに上昇及び下降する。これに追従して、室温Taは暖房運転開始直後は、一瞬、急上昇するがその後は緩やかに上昇する。一方、室外熱交換器温度Tc′は暖房運転開始直後は急下降するがその後、環境に応じて異なるが緩やかに下降する。
【0037】
また、室内熱交換器温度Tcと室温Taとの温度差ΔTは、暖房運転開始直後は、急に大きくなるが所定値まで達すると緩やかに減少し、この減少のしかたは緩やかではあるが次第に大きくなる。詳細には、温度差ΔTの曲線は上に凸で単調減少(曲線の接線の傾きが右下がりで傾きの絶対値が次第に大きくなっている。すなわち、「温度差ΔTの変化が(曲線の接線の傾きが)負の方向(右下がり)に徐々に小さく(傾きの絶対値は大きく)なっている。そして、この状態が所定の時間経過した時点t0で着霜が生じているとして判定し、除霜運転を開始する。なお、この所定時間の経過は、温度差ΔTの変化が上記の条件のままで、着霜判定処理の回数を所定回数以上計数したことに対応する。
【0038】
次に実施形態における制御装置C(マイコン330)による制御動作をフローチャートに基づいて説明する。図5は暖房運転モード時に例えばタイマ割込等により2.5分毎に処理される着霜判定処理のフローチャートである。以下の制御には、適宜時間を計時するタイマと、データの記憶等を行う下記のレジスタが用いられる。なお、以下の説明及びフローチャートにおいて、レジスタの名称とそのレジスタの格納内容(データ)は、特記しない限り同じ名称を用いる。
Ta:室内温度のレジスタ
Tc:室内熱交換器温度のレジスタ
Tc′:室外熱交換器温度のレジスタ
Tcc:冷風防止設定温度値のレジスタ
ΔT:TcとTaとの温度差のレジスタ
tH:暖房運転時間のレジスタ
tH0:最短暖房運転時間(=除霜運転禁止時間)のレジスタ
カウンタ:除霜開始の判定基準となる所定回数(実施形態では“5”)を計数するレジスタ
前々回値:温度差を取得するときの5分前の温度差を格納するレジスタ
前回値:温度差を取得するときの2.5分前の温度差を格納するレジスタ
今回値:今回取得した温度差を格納するレジスタ
【0039】
着霜判定処理が開始されると、ステップS1で最短暖房運転時間tH0が設定済みであるか否かを判定し、設定済みであればステップS4に進み、設定済みでなければステップS2で暖房運転開始から20分以上経過したか判定し、20分以上経過していなければ元のルーチンに復帰し、20分以上経過していれば、ステップS3で図6のtH0設定処理を行って元のルーチンに復帰する。
【0040】
tH0が設定済みでありステップS4に進むと、このステップS4で室外熱交換器温度Tc′が略氷点(0℃)以下で有るか否かを判定し、略氷点以下でなければ空気中の水分は霜にならないので元のルーチンに復帰し、略氷点以下であればステップS5に進む。ステップS5ではTc′≦0℃での暖房運転時間tHを積算し、ステップS6で、積算した暖房運転時間tHが最短暖房運転時間tH0以上で有るか否かを判定する。tH0以上でなければ元のルーチンに復帰し、tH0以上であれば、ステップS7でタイマが2.5分以上経過しているか否かを判定する。なお、このタイマは暖房運転開始から計時を開始し、2.5分を計時するとタイムアップを示すフラグを立てて再スタートするような構成になっており、ステップS7の判定は上記フラグを参照し、2.5分が経過していればフラグをリセットする処理を同時に行う。
【0041】
タイマが2.5分以上経過していなければ元のルーチンに復帰し、タイマが2.5分以上経過していれば、ステップS8で、2.5分前の前回値(前回値のレジスタの内容)を前々回値のレジスタへ格納し、ステップS9で2.5分前の今回値(今回値のレジスタの内容)を前回値のレジスタに格納し、ステップS10で今回の温度差ΔT(TcとTaとの温度差)を取得して今回値のレジスタに格納する。そして、ステップS11で、5分前の値である前々回値と今回値の変化量(前々回値−今回値)を算出し、ステップS12で変化量が−0.5℃以下であるか否かを判定する。そして、変化量が−0.5℃以下でなければステップS13でカウンタをリセットし、ステップS14で暖房運転処理を行って元のルーチンに復帰する。一方、変化量が−0.5℃以下であればステップS15でカウンタをインクリメントし、ステップS16でカウンタの計数値が“5”以上であるか否かを判定する。計数値が“5”未満であれば、ステップS14で暖房運転処理を行って元のルーチンに復帰し、計数値が“5”以上であれば、ステップS17で除霜運転処理を行って元のルーチンに復帰する。
【0042】
以上の処理により、暖房運転時間tHが最短暖房運転時間tH0(除霜運転禁止時間)以上経過しているとステップS7以降に進み、2.5分毎にステップS8以降で着霜判定を行う。そしてこの着霜判定では、温度差ΔTの5分間の変化量が−0.5℃以下となっていることと、これが2.5分毎に5回連続した場合、着霜していると判断する。
【0043】
図6のtH0設定処理では、ステップS21で、室外熱交換器温度Tc′が−20℃以上であるか否かを判定し、−20℃以上であれば室外センサ(温度センサ)が有効であると判断できるので、ステップS22で室外熱交換器温度Tc′が−8℃を越えているか否かを判定する。−8℃以下であればステップS23で最短暖房運転時間(=除霜運転禁止時間)tH0を70分に設定して元のルーチンに復帰する。−8℃を越えていれば、ステップS24で室外熱交換器温度Tc′が−3℃を越えているか否かを判定する。−3℃以下であればステップS25で最短暖房運転時間tH0を45分に設定して元のルーチンに復帰し、−3℃を越えていれば、ステップS26で最短暖房運転時間tH0を30分に設定して元のルーチンに復帰する。
【0044】
なお、室外熱交換器温度Tc′が低いほど最短暖房運転時間(=除霜運転禁止時間)tH0を長くしているのは次の理由による。空気中に飽和水分があると、外気温度が氷点以下になったときこの飽和水分が霜となって室外熱交換器に形成される。しかし、外気温度が低くなるほど、飽和水蒸気圧が下がるので、飽和水分は少なくなり、着霜量が少なくなる傾向にある。このため、室外熱交換器温度Tc′が低いほど最短暖房運転時間tH0を長くしている。
【0045】
ステップS21で、室外熱交換器温度Tc′が−20℃以上でなければ、室外センサ無効(温度センサ403の「コネクタ抜け」、「センサ電線の断線」、「センサの取り付け忘れ」等)と判断できるので、ステップS27以降の処理を行う。ステップS27では、室内熱交換器温度Tcが40℃を越えているか否かを判定する。40℃を越えていればステップS28で最短暖房運転時間(=除霜運転禁止時間)tH0を30分に設定して元のルーチンに復帰する。40℃以下であれば、ステップS29で室内熱交換器温度Tcが35℃を越えているか否かを判定する。35℃を越えていればステップS30で最短暖房運転時間tH0を45分に設定して元のルーチンに復帰し、35℃以下であれば、ステップS31で室内熱交換器温度Tcが30℃を越えているか否かを判定する。30℃を越えていればステップS32で最短暖房運転時間tH0を70分に設定して元のルーチンに復帰し、30℃以下であれはステップS33で最短暖房運転時間tH0を30分に設定して元のルーチンに復帰する。
【0046】
このステップS27以降の処理は、室内熱交換器温度Tcが低いほど、すなわち室温が低いほど最短暖房運転時間tH0を長く設定する処理であり、室内ユニットに設けられた温度センサを利用して、好適な最短暖房運転時間tH0が設定される。すなわち、カラム[0044]と同様の作用をしている。
【0047】
ステップS17の除霜運転処理では、室外熱交換器温度Tc′を検出し、Tc′が10℃以上である場合、または、除霜運転時間を計測し、例えば10分以上が経過した場合、室外熱交換器の除霜が終了したと判定し、除霜運転時間を記憶しておいて、除霜運転を終了する。また、これに加えて、除霜運転時間の前回と今回との「長/短」を比較し、前回の除霜運転時間が今回の除霜運転時間より長ければ、次回の暖房運転時の最短暖房運転時間tH0を短く設定する。また、前回の除霜運転時間が今回の除霜運転時間より短ければ、次回の暖房運転時の最短暖房運転時間tH0を長く設定する。また、室外熱交換器温度Tc′を検出し、該室外熱交換器温度Tc′が氷点近傍に存在する時間を計測し、その計測時間を記憶しておき、次回の除霜運転時間とする。
【0048】
図5のステップS17の[除霜運転処理]において、除霜運転処理の毎に、除霜運転時間を記憶して「前回と今回の除霜運転時間」を比較し、今回の方が長かったら次の暖房運転時の最短暖房運転時間(=除霜運転禁止時間)tH0を「−α分」補正する。逆に、今回の方が短かったら次の暖房運転時の最短暖房運転時間(=除霜運転禁止時間)tH0を「+α分」補正する。この「±α分」の決定はステップS17の中で行われる。そして、図6のステップS23、ステップS25、ステップS26、ステップS28、ステップS30、ステップS32において、最短暖房運転時間tH0を設定する際、「±α分」を加算して補正することにより、気候条件に応じる最適の最短暖房運転時間を決定する。
【0049】
【発明の効果】
本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、室外熱交換機温度を検出する温度センサの「コネクタ抜け」、「センサ電線の断線」、「センサの取り付け忘れ」、若しくは、低外気温を検出できる。したがって、温度センサが3本であっても2本であっても、除霜運転が可能となり、「多湿地域では3本/低湿地域では2本」とする機種変更の工数が不要で、また、ハード手段による切換が不要で、標準化された制御装置となる。よって、人手を要する工数が少ない分、安価な制御装置を提供できる。
【0050】
また、本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、温度センサが3本であっても2本であっても、好適な「着霜検出」ができるので、「カラ除霜」が少なく、快適性の向上、省エネ性の向上という効果が得られる。
【0052】
また、本発明の請求項1の空気調和機の制御装置によれば、温度センサが3本であっても2本であっても、室外熱交換器の除霜が終了したと判定できるので、制御勝手が向上するという効果が得られる。
【0055】
本発明の請求項2の空気調和機の制御装置によれば、温度センサが3本であっても2本であっても、ハード手段による切替えが不要で、最短暖房運転時間(除霜運転禁止時間)を設定するので、「カラ除霜」が少なく、快適性の向上、省エネ性の向上という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の空気調和機における冷凍サイクルとその制御装置の例を示す原理的ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態及び従来の空気調和機の電気ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における暖房運転開始時からの室内熱交換器温度、室外熱交換器温度及び室温の変化の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における室内熱交換器温度と室温との温度差の変化を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における着霜判定処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態におけるtH0設定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
300 室内制御部
302,303,403 温度センサ
330 マイコン
400 室外制御部
Claims (2)
- 空気調和機の室内ユニット側に室内熱交換器温度を検出する温度センサと、室内温度を検出する温度センサと、空気調和機の室外ユニット側に室外熱交換器温度を検出するサーミスタセンサからなる温度センサと、を備え、前記3つの温度センサの検出信号を入力して、前記空気調和機の暖房運転時の着霜状態、または除霜終了状態を判定して、除霜運転を制御する空気調和機の制御装置において、
最短暖房運転時間を設定する制御工程と、
暖房運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該室外熱交換器温度が略氷点以下である場合、かつ、最短暖房運転時間を設定し、前記最短暖房運転時間が経過した場合、かつ、室内熱交換器温度と室内温度との温度差の変化を所定時間毎に監視し、該温度差の変化が負の方向に徐々に小さくなり、所定回数以上計数した場合に、室外熱交換器が着霜したと判定して除霜運転を開始する制御工程と、
除霜運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該温度が所定温度以上である場合、または、除霜運転時間を計測し、第2所定時間以上が経過した場合に、室外熱交換器の除霜が終了したと判定して除霜運転を終了する制御工程と、
を備えることを特徴とする空気調和機の制御装置。 - 空気調和機の室内ユニット側に室内熱交換器温度を検出する温度センサと、室内温度を検出する温度センサと、空気調和機の室外ユニット側に室外熱交換器温度を検出するサーミスタセンサからなる温度センサと、を備え、前記3つの温度センサの検出信号を入力して、前記空気調和機の暖房運転時の着霜状態、または除霜終了状態を判定して、除霜運転を制御する空気調和機の制御装置において、
前記室外熱交換器温度を検出する温度センサの検出信号を入力して、制御範囲下限未満か否かを判定する制御工程と、
最短暖房運転時間を設定する制御工程と、
暖房運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該室外熱交換器温度が略氷点以下である場合、かつ、最短暖房運転時間を設定し、前記最短暖房運転時間が経過した場合、かつ、室内熱交換器温度と室内温度との温度差の変化を所定時間毎に監視し、該温度差の変化が負の方向に徐々に小さくなり、所定回数以上計数した場合に、室外熱交換器が着霜したと判定して除霜運転を開始する制御工程と、
除霜運転を開始した後、室外熱交換器温度を判定し、該温度が所定温度以上である場合、または、除霜運転時間を計測し、第2所定時間以上が経過した場合に、室外熱交換器の除霜が終了したと判定して除霜運転を終了する制御工程と、
前記室外熱交換器温度を検出する温度センサの検出信号を入力して、第2所定温度未満か否かを判定する制御工程と、
前記室内熱交換器温度を検出する温度センサの検出信号を入力して、第3所定温度を超えたか否かを判定する制御工程と、
を備え、
前記制御範囲下限未満でないと判定された場合、前記最短暖房運転時間を設定する制御工程は、前記室外熱交換器温度が第2所定温度未満の場合、前記最短暖房運転時間を室外熱交換器温度に反比例するように設定し、
前記制御範囲下限未満であると判定された場合、前記最短暖房運転時間を設定する制御工程は、前記室内熱交換器温度が第3所定温度を超えた場合、前記最短暖房運転時間を室内熱交換器温度に反比例するように設定することを特徴とする空気調和機の制御装置。
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