JPWO2017119494A1 - マグネシウム化合物、二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びにマグネシウム化合物の製造方法 - Google Patents

マグネシウム化合物、二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びにマグネシウム化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017119494A1
JPWO2017119494A1 JP2017560438A JP2017560438A JPWO2017119494A1 JP WO2017119494 A1 JPWO2017119494 A1 JP WO2017119494A1 JP 2017560438 A JP2017560438 A JP 2017560438A JP 2017560438 A JP2017560438 A JP 2017560438A JP WO2017119494 A1 JPWO2017119494 A1 JP WO2017119494A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnesium
secondary battery
positive electrode
raw material
magnesium compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017560438A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7060866B2 (ja
Inventor
タイタス ニャムワロ マセセ
タイタス ニャムワロ マセセ
鹿野 昌弘
昌弘 鹿野
栄部 比夏里
比夏里 栄部
博 妹尾
博 妹尾
光 佐野
光 佐野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Publication of JPWO2017119494A1 publication Critical patent/JPWO2017119494A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7060866B2 publication Critical patent/JP7060866B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G3/00Compounds of copper
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G45/00Compounds of manganese
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G49/00Compounds of iron
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G51/00Compounds of cobalt
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G53/00Compounds of nickel
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/054Accumulators with insertion or intercalation of metals other than lithium, e.g. with magnesium or aluminium
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/48Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic oxides or hydroxides
    • H01M4/50Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic oxides or hydroxides of manganese
    • H01M4/505Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic oxides or hydroxides of manganese of mixed oxides or hydroxides containing manganese for inserting or intercalating light metals, e.g. LiMn2O4 or LiMn2OxFy
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/48Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic oxides or hydroxides
    • H01M4/52Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic oxides or hydroxides of nickel, cobalt or iron
    • H01M4/525Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic oxides or hydroxides of nickel, cobalt or iron of mixed oxides or hydroxides containing iron, cobalt or nickel for inserting or intercalating light metals, e.g. LiNiO2, LiCoO2 or LiCoOxFy
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Compounds Of Iron (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

高い理論容量、高電位かつ、低コストで、理論エネルギー密度の高いマグネシウム二次電池を構築できる、新規なマグネシウム化合物及びこのマグネシウム化合物を含む正極活物質、並びにマグネシウム化合物の製造方法を提供する。本発明のマグネシウム化合物は、MgaXbMncOd(1)(ここで、式(1)中、XはFe及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種である。また、aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)で表される。

Description

本発明は、マグネシウム化合物、二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びにマグネシウム化合物の製造方法に関する。
近年、多価イオンをキャリアとする多価イオン二次電池の研究が盛んに行われている。例えば、Ca2+をキャリアとするカルシウム二次電池、Be2+をキャリアとするベリリウム二次電池、Mn2+をキャリアとするマンガン二次電池、Ni2+をキャリアとするニッケル二次電池、Zn2+をキャリアとする亜鉛二次電池、Y3+をキャリアとするイットリウム二次電池、Al3+をキャリアとするアルミニウム二次電池、Mg2+をキャリアとするマグネシウム二次電池などが挙げられる。最近では、マグネシウム二次電池に関する研究が注目を集めている。
マグネシウムは高い理論重量及び体積容量を有し、比較的卑な酸化還元電位を示すため、マグネシウムを負極に用いた二次電池は高エネルギー密度を有することが期待される。特に体積当たりの理論容量に関してはリチウムを凌ぐ値であり、これは電気自動車用二次電池等、限られたスペース(体積)に大容量を詰め込める点で有利である。さらに、マグネシウム埋蔵量が地殻層に豊富であり、リチウムイオン二次電池の欠点である、資源枯渇及びコストの問題もクリアできる。
また、マグネシウムは融点が約650℃であり、Li(180℃)、Na(98℃)などと比べて非常に高い。融点は金属の安定性の指標であり、この観点からもマグネシウムを用いた二次電池は、安全性の向上も見込める。将来、金属負極の実用化まで見据えると負極金属の安全性というのは非常に重要なファクターになる。さらに、リチウム、ナトリウムなどは空気中の水分などと激しく反応するため取り扱いが困難であるが、マグネシウムは空気中で安定であり、取り扱いも容易である。これらの理由から、マグネシウムイオン二次電池はポストリチウムイオン二次電池の候補とみなされ、これまで数々の研究が行われている。例えば、非特許文献1には、正極としてシェブレル相を有するMo(高価なMoを含む)を用いた二次電池はマグネシウムイオン二次電池として安定で可逆的な充放電特性を示すことを開示している。
Prototype systems for rechargeable magnesium batteries、Nature 407、724−727(2000)
しかしながら、上記多価イオン二次電池を実現するために克服するべき課題は多く、特に、重要なのが正極材料の開発である。多価イオンはリチウムイオンに比べ、固相内でのアニオンとのクーロン相互作用が飛躍的に増大するため、正極ホスト化合物中での多価イオンの固相内拡散が遅く、反応を大きく制限させる要因となり得る。上記非特許文献1に開示されるような硫黄イオン等の軟らかい塩基を含む化合物においても、反応電位が低下しやすく(約1.1V)、また、シェブレル相は分子量が大きくその理論容量が低い(約116mAhg−1)という問題点もあった。このような観点から、正極内における固相内の拡散の問題を解決でき、かつ、その二次電池のポテンシャルを引き出すには負極と同様で資源が豊富な元素からなり高容量な正極材料の開発が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、高い理論容量、高電位かつ、低コストで、理論エネルギー密度の高いマグネシウム二次電池を構築できる、新規なマグネシウム化合物及びこのマグネシウム化合物を含む正極活物質、並びにマグネシウム化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定組成のマグネシウム化合物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.下記一般式(1)
MgMn (1)
(ここで、式(1)中、XはFe及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種である。また、aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)
で表される、マグネシウム化合物。
項2.下記一般式(2)
MgMn (2)
(ここで、式(2)中、YはFe、Cu、Mn、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種である。また、aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)
で表されるマグネシウム化合物を含む、二次電池用正極活物質。
項3.上記項2に記載の正極活物質を構成要素とする二次電池。
項4.上記項1に記載のマグネシウム化合物の製造方法であって、
Mgを含有する原料と、上記Xを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む原料混合物を加熱する加熱工程を備える、製造方法。
項5.前記加熱工程における加熱温度が500〜1500℃である、上記項4に記載の製造方法。
本発明に係るマグネシウム化合物は、エネルギー密度の高いマグネシウム二次電池を構成するための正極活物質として適しており、マグネシウムイオン二次電池を高容量とすることができ、かつ、低コストでマグネシウムイオン二次電池を提供することが可能な材料である。
また、本発明に係るマグネシウムイオン二次電池用正極活物質は、上記マグネシウム化合物を含有するので、マグネシウム二次電池への使用に適している。
実施例1で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例1で得られた生成物の(上段)および、実施例1で使用した各原料(下段)のXRDパターンを示す。 実施例1で得られたMgFeMnOのXRDパターンと、異種カチオンを含有する鉄系マンガネート系化合物(LiFeMnO、LiFeMnO、KFeMnO)のXRDパターンを示す。 実施例1で得られたMgFeMnOのSEM像を示す。 実施例1で得られたMgFeMnOの開回路電位測定の結果を示す。 実施例1で得られたMgFeMnOを正極材料として用いたときの充放電特性、並びに、各サイクルと放電容量との関係を示す。 実施例1で得られたMgFeMnOを正極材料として用いたときのMg全電池の電位−時間特性の結果を示す。 実施例1で得られたMgFeMnOを正極材料として用いたときのMg全電池の各サイクルと放電容量との関係を調べた結果を示している。 実施例2で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例2で得られたMgCuMnOのSEM像を示す。 実施例2で得られたMgCuMnOの開回路電位測定の結果を示す。 実施例2で得られたMgCuMnOを正極材料として用いたときの充放電特性、並びに、各サイクルと放電容量との関係を示す。 実施例2で得られたMgCuMnOを正極材料として用いたときのMg全電池の電位−時間特性の結果を示す。 実施例3で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例4で得られた生成物のSEM像を示す。 実施例4〜5で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例4で得られたMgCoMnOを正極材料として用いたときのMg全電池の電位−時間特性の結果を示す。 実施例5で得られた生成物のSEM像を示す。 実施例6,7で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例6で得られた生成物のSEM像を示す。 実施例6で得られた生成物の高分解能SEM像を示す。 実施例7で得られた生成物のSEM像を示す。 MgFe1-xCuxMnO4(x=0,0.5,1)の格子定数の変化をプロットしたグラフである 実施例6で得られた生成物のSEM−EDXを示す。 実施例7で得られた生成物のSEM像を示す。 実施例8で得られた生成物のXRDパターンを示す。 実施例8で得られた生成物のSEM像を示す。 各化合物のXRDパターンを示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において範囲を示す場合、いずれも両端の数値を含む。
1.マグネシウム化合物
本実施形態のマグネシウム化合物は、下記一般式(1)
MgMn (1)
(ここで、式(1)中、XはFe及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種である。aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)
このようなマグネシウム化合物は、マグネシウムイオンを挿入及び脱離することができることから、マグネシウムイオン二次電池用正極活物質として有用である。
一般式(1)において、XはFe及びCuからなる群より選ばれるいずれか1種である。Fe及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種であることで、マグネシウム化合物を低コストで製造できる。
上記aの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.8〜1.3であることがより好ましく、0.9〜1.1であることが特に好ましい。
上記bの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.5〜1.1であることがより好ましく、0.8〜1.1であることが特に好ましい。なお、念のための注記であるが、XがFe及びCuの2種を同時に含む場合、bの値は、それら2種各元素の総量を表す。
上記cの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.5〜1.1であることがより好ましく、0.8〜1.1であることが特に好ましい。
上記dの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、3.8〜4.0であることがより好ましく、3.9〜4.0であることが特に好ましい。
一般式(1)で表されるマグネシウム化合物としては、具体的には、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、低コスト、容量、並びに高電位の観点から、MgFeMnO及びMgCuMnOが好ましい。
一般式(1)におけるXの価数は2価であることが好ましく、Mnの価数は4価であることが好ましい。すなわち、一般式(1)におけるマグネシウム化合物は、MgX2+Mn4+であることが好ましい。この場合、マグネシウムイオンの挿入及び脱離が起こりやすく、マグネシウムイオン二次電池用正極活物質として使用した場合に、マグネシウムイオン二次電池を高容量及び高電位とさせやすい。
マグネシウム化合物の結晶構造は特に制限されない。例えば、一般式(1)におけるXがFe及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種を含むので、マグネシウム化合物は立方晶系(Fd−3m空間群)を有し得るので、スピネル型構造を形成しやすい。このようなスピネル型構造のマグネシウム化合物であれば、マグネシウムイオン二次電池用正極活物質に使用した場合に、マグネシウムイオン二次電池をより高容量とすることが可能となる。
上記マグネシウム化合物において、主相である結晶構造の存在量は特に限定的ではなく、一般式(1)で表されるマグネシウム化合物全体を基準として80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。このため、一般式(1)で表されるマグネシウム化合物は、単相の結晶構造からなる材料として形成され得る。ただし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、一般式(1)で表されるマグネシウム化合物は、複数の結晶構造を有する材料して形成されていてもよい。なお、一般式(1)で表されるマグネシウム化合物の結晶構造は、X線回折測定により確認することができる。
一般式(1)で表されるマグネシウム化合物のX線回折測定において、2θで表される回折角度が17.1〜19.1°、29.2〜31.0°、34.4〜36.4°、36.7〜38.4°、42.1〜44.5°、52.6〜54.2°、56.2〜58.2°、61.6〜63.7°、73.1〜75.4°および78.3〜79.6°にピークを有していることが好ましい。この場合、一般式(1)で表されるマグネシウム化合物の結晶構造がスピネル型構造になり得るものであり、マグネシウムイオン二次電池用正極活物質に使用した場合に、マグネシウムイオン二次電池の容量を向上させやすい。
上記のような結晶構造及び組成を有する一般式(1)で表されるマグネシウム化合物は、例えば、粒子状の粉末の形態となり得る。マグネシウム化合物が粒子状である場合、その平均粒子径は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.005〜50μmが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。一般式(1)で表されるマグネシウム化合物の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)観察により測定する。ここでいう平均粒子径とは、例えば、電子顕微鏡による直接観察によって測定された円相当径の算術平均値をいう。
2.二次電池用正極活物質(正極活物質)
本実施形態の二次電池用正極活物質は、下記一般式(2)
MgMn (2)
(ここで、式(2)中、YはFe、Cu、Mn、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種である。aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)で表されるマグネシウム化合物を含む。つまり、本実施形態の正極活物質は、上述したマグネシウム化合物(式(2)のYはFe及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種)に加えて、YがMn、Co及び/又はNiである場合も含む。ここで、YがMnである場合は、一方のMnと他方のMnとは異なる価数を有する。
上記aの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.8〜1.3であることがより好ましく、0.9〜1.1であることが特に好ましい。
上記bの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.5〜1.1であることがより好ましく、0.8〜1.1であることが特に好ましい。なお、念のための注記であるが、YがFe、Cu、Mn、Co及びNiからなる群より選ばれる2種以上を同時に含む場合、bの値は、それら各元素の総量を表す。
上記cの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、0.5〜1.1であることがより好ましく、0.8〜1.1であることが特に好ましい。
上記dの値は、マグネシウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、容量、並びに高電位の観点から、3.8〜4.0であることがより好ましく、3.9〜4.0であることが特に好ましい。
上記のような一般式(2)で表される正極活物質を用いて例えばマグネシウムイオン二次電池を形成すると、当該マグネシウムイオン二次電池を高容量とすることができる。しかも、上記一般式(2)で表される正極活物質では、Y2+/Y3+及びY3+/Y4+の二段階でのレドックス反応が起こるので、これによってマグネシウムイオン二次電池の容量が高くなりやすい。また、上記マグネシウム化合物は安価で容易なプロセスで製造することができるため、本実施形態の正極活物質によれば、低コストでマグネシウム二次電池を提供することができる。そのため、本実施形態の正極活物質は、エネルギー密度の高いマグネシウム二次電池(例えば、マグネシウムイオン二次電池)を構成する正極材料として適している。
一般式(2)において、YがFe及びCuからなる群より選ばれるいずれか1種であれば、マグネシウム化合物を低コストで製造できる。また、一般式(2)において、YがCo及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種であれば、二次電池の電位を向上させやすい。
なお、本実施形態の正極活物質の性能が阻害されない限り、正極活物質には他の材料が含まれていてもよい。また、上記正極活物質は、マグネシウム化合物の他に不可避不純物を含むこともできる。このような不可避不純物としては、後述する原料混合物等が挙げられ、例えば、マグネシウムイオン二次電池用正極活物質中に10モル%以下程度、好ましくは5モル%以下程度、より好ましくは2モル%以下程度含有し得る。
正極活物質においては、上記マグネシウム化合物と炭素材料(例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック等)とが複合体を形成していてもよい。これにより、焼成時に炭素材料がマグネシウム化合物の粒成長を抑制するため、電極特性に秀でた微粒子状の正極活物質となり得る。この場合、炭素材料の含有量は、正極活物質中に3〜40質量%、特に5〜15質量%となるように調整することが好ましい。
3.マグネシウム化合物の製造方法
上記一般式(1)で表されるマグネシウム化合物及び上記一般式(2)で表される正極活物質を製造する方法は特に限定されない。例えば、Mgを含有する原料と、上記Xを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む原料混合物を加熱する加熱工程を備える製造方法によって、上記一般式(1)で表されるマグネシウム化合物を製造することができる。あるいは、Mgを含有する原料と、上記Yを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む原料混合物を加熱する加熱工程を備える製造方法によって、上記一般式(2)で表される正極活物質を製造することができる。以下、マグネシウム化合物の製造方法について具体的に説明する。なお、YはXを包含することから、上記一般式(1)で表されるマグネシウム化合物は、Mgを含有する原料と、上記Yを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む原料混合物を加熱する加熱工程を備える製造方法によっても製造され得る。
(1)原料混合物
上記製造方法における原料混合物は、Mgを含有する原料と、上記Yを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む。上記原料混合物は、Mgを含有する原料、上記Yを含有する原料及びMnを含有する原料を各1種類ずつ含む3種類の混合物であってもよい。Mgを含有する原料、上記Yを含有する原料及びMnを含有する原料はいずれも、1種又は2種以上とすることができる。さらに、原料混合物は、Mg、上記Y及びMnの内の2種類又はそれ以上の元素を同時に含む化合物を原料の一部として用いることができる。この場合は、原料混合物は、3種類未満の混合物となる。
Mgを含有する原料は、例えば、金属Mgであってもよいし、あるいは、Mg元素を含む化合物であってもよい。Mg元素を含む化合物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、塩化マグネシウム(MgCl)、炭酸マグネシウム(MgCO)、硝酸マグネシウム(Mg(NO)、シュウ酸マグネシウム(MgC)、酢酸マグネシウム(Mg(CHCOO))等が例示される。Mg元素を含む化合物は、水和物であってもよい。
上記Yを含有する原料は、金属単体であってもよいし、あるいは、金属Yを含む化合物であってもよい。金属Yを含む化合物としては、金属Yの酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩等が例示される。金属Yを含む化合物は、水和物であってもよい。
金属Yを含む化合物のさらなる具体例として、YがFeであればFeC、YがMnであればMnC、YがNiであれば、Ni(OH)、YがCoであればCoC、YがCuであれば、CuOが例示される。
Mnを含有する原料は、例えば、金属Mnであってもよいし、あるいは、Mn元素を含む化合物であってもよい。Mn元素を含む化合物としては、例えば、酸化マンガン(MnO)、水酸化マンガン(Mn(OH))、塩化マンガン(MnCl)、炭酸マンガン(MgCO)、酢酸マンガン(Mn(CHCOO))等が例示される。Mn元素を含む化合物は、水和物であってもよい。
Mnを含有する原料については、上記YもMnである場合には、一方のMnの価数と他方のMnの価数は異なるようにする。例えば、上記Y(=Mn)を含有する原料が2価のMnを含有するMnCであり、Mnを含有する原料が4価のMnを含有する酸化マンガン(MnO)とすることができる。
原料混合物は、Mg、上記金属Y、Mn以外のその他金属元素(特に希少金属元素)を含まないことが好ましい。また、その他金属元素については、非酸化性雰囲気下での熱処理により離脱・揮発していくものが望ましい。
なお、上記したMgを含有する原料、上記Yを含有する原料、Mnを含有する原料はいずれも市販品を使用してもよく、あるいは、別途合成して使用することもできる。
原料混合物の形状については特に限定はなく、取り扱い性の観点から、粉末状が好ましい。また反応性の観点から粒子は微細である方がよく平均粒子径が1μm以下(特に60〜80nm程度)の粉末状が好ましい。各原料の平均粒子径は、電子顕微鏡観察(SEM)により測定する。
原料混合物は、Mgを含有する原料と、上記Yを含有する原料と、Mnを含有する原料とを所定の配合割合で混合することで調製することができる。混合方法は、特に制限されず、例えば、各原料を均一に混合できる方法を採用することができる。具体的には、乳鉢混合、メカニカルミリング処理、共沈法、各原料を溶媒中に分散させた後に混合する方法、各原料を溶媒中で一度に分散させて混合する方法等を採用することができる。これらのなかでも、乳鉢混合を採用するとより簡便な方法でマグネシウム化合物を得ることができる。より均一な混ざり合った原料混合物を得る場合は、共沈法を採用することができる。
各原料混合物における各原料の混合割合については、特に限定的ではない。例えば、最終生成物である所望の組成を有するマグネシウム化合物が得られるように各原料を配合することが好ましい。具体的には、各原料に含まれる各元素の比率が、目的とするマグネシウム化合物中の各元素の比率と同一となるように各原料の配合割合を調整することが好ましい。
(2)加熱工程
加熱工程では、Mgを含有する原料と、上記Yを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む原料混合物を加熱する。
上記加熱工程は、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気等で行うことができる。あるいは、上記加熱工程は、真空等の減圧下で行ってもよい。
加熱工程における加熱温度(すなわち、焼成温度)は500〜1500℃であることが好ましい。この場合、加熱工程の操作をより容易に行うことができるとともに、得られるマグネシウム化合物がスピネル型構造を形成しやすい。その結果、得られるマグネシウム化合物の結晶性及び電極特性(特に容量及び電位)が向上しやすい。
加熱工程における加熱温度の下限は、上記YがFeであれば、700℃であることが好ましく、800℃であることが特に好ましい。なお、加熱温度の上限値は、マグネシウム化合物の製造における操作を容易におこなうことができる範囲で適宜決定することができる(例えば、1500℃)。
加熱工程における加熱温度の下限は、上記YがCu、Mn(Mn2+)、Co又はNiであれば、500℃であることが好ましく、800℃であることがより好ましく、1150℃であることが特に好ましい。なお、焼成温度の上限値は、マグネシウム化合物の製造における操作を容易におこなうことができる範囲で適宜決定することができる(例えば、1500℃)。
加熱工程における加熱時間については、特に限定的ではなく、例えば、10分〜48時間が好ましく、30分〜24時間がより好ましい。上記YがCu、Mn(Mn2+)、Co又はNiであれば、加熱時間は好ましくは1時間以上、より好ましくは12時間以上、さらに好ましくは24時間以内である。
所定時間加熱を行った後、冷却することで所望のマグネシウム化合物が得られる。また、一度冷却してから再度、前記加熱温度にて加熱処理を行って焼成を行ってもよい。
なお、マグネシウム化合物は、上記製造方法の他に、例えば、共沈法、ゾルゲル法、水熱合成法、Pecchini法などの方法によって製造することができる。
4.二次電池
本実施形態の二次電池は、上記二次電池用正極活物質を構成要素とする。特に、上記二次電池用正極活物質はマグネシウムイオン二次電池の構成要素として適している。
マグネシウムイオン二次電池は、上記二次電池用正極活物質を正極活物質として使用する他は、基本的な構造は、公知の非水電解液マグネシウムイオン二次電池を参考に構成することができる。例えば、正極、負極及びセパレータを、前記正極及び負極がセパレータによって互いに隔離されるように電池容器内に配置することができる。その後、非水電解液を当該電池容器内に充填した後、当該電池容器を密封すること等によってマグネシウムイオン二次電池を製造することができる。なお、マグネシウムイオン二次電池は、マグネシウム二次電池であってもよい。本明細書において、「マグネシウムイオン二次電池」は、マグネシウムイオンをキャリアイオンとする二次電池を意味し、「マグネシウム二次電池」は、負極活物質としてマグネシウム金属又はマグネシウム合金を使用する二次電池を意味する。
前記正極は、二次電池用正極活物質を含有する正極材料を正極集電体に担持した構造を採用することができる。例えば、上記二次電池用正極活物質、導電助剤、及び必要に応じて結着剤を含有する正極合剤を、正極集電体に塗布することで製造することができる。
導電助材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、気相法炭素繊維、カーボンナノファイバー、黒鉛、コークス類等の炭素材料を用いることができる。導電助剤の形状は、特に制限はなく、例えば粉末状等を採用することができる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等が挙げられる。
正極材料中の各種成分の含有量については、特に制限はなく適宜決定することができ、例えば、二次電池用正極活物質を50〜95体積%(特に70〜90体積%)、導電助剤を2.5〜25体積%(特に5〜15体積%)、結着剤を2.5〜25体積%(特に5〜15体積%)含有することが好ましい。
正極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、白金、モリブデン、ステンレス、銅等が挙げられる。前記正極集電体の形状としては、例えば、多孔質体、箔、板、繊維からなるメッシュ等が挙げられる。
なお、正極集電体に対する正極材料の塗布量は、マグネシウムイオン二次電池の用途等に応じて適宜決定することが好ましい。
マグネシウムイオン二次電池の負極を構成する負極活物質としては、例えば、マグネシウム金属;ケイ素;ケイ素含有Clathrate化合物;マグネシウム合金;M (M:Co、Ni、Mn、Sn等、M:Mn、Fe、Zn等)で表される三元又は四元酸化物;M (M:Fe、Co、Ni、Mn等)、M (M:Fe、Co、Ni、Mn等)、MnV、M(M:Sn、Ti等)、MO(M:Fe、Co、Ni、Mn、Sn、Cu等)等で表される金属酸化物;黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラフェン;上記した炭素材料;MgC、MgC・2HO等のような有機系化合物等が挙げられる。マグネシウム合金としては、例えば、マグネシウム及びアルミニウムを構成元素として含む合金、マグネシウム及び亜鉛を構成元素として含む合金、マグネシウム及びマンガンを構成元素として含む合金、マグネシウム及びビスマスを構成成分として含む合金、マグネシウム及びニッケルを構成元素として含む合金、マグネシウム及びアンチモンを構成元素として含む合金、マグネシウム及びスズを構成元素として含む合金、マグネシウム及びインジウムを構成元素として含む合金;金属(スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル等)とカーボンを構成元素として含むMXene系合金、M BC系合金(M:Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta等)等の四元系層状炭化又は窒化化合物;マグネシウム及び鉛を構成元素として含む合金等が挙げられる。
前記負極は、負極活物質から構成することもでき、また、負極活物質、導電助剤、及び必要に応じて結着剤を含有する負極材料が負極集電体上に担持する構成を採用することもできる。負極材料が負極集電体上に担持する構成を採用する場合、負極活物質、導電助剤、及び必要に応じて結着剤を含有する負極合剤を、負極集電体に塗布することで製造することができる。
負極が負極活物質から構成される場合、上記の負極活物質を電極に適した形状(板状等)に成形して得ることができる。
また、負極材料が負極集電体上に担持する構成を採用する場合、導電助剤及び結着剤の種類、並びに負極活物質、導電助剤及び結着剤の含有量は上記した正極のものを適用することができる。負極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられる。前記負極集電体の形状としては、例えば、多孔質体、箔、板、繊維からなるメッシュ等が挙げられる。なお、負極集電体に対する負極材料の塗布量は、マグネシウムイオン二次電池の用途等に応じて適宜決定することが好ましい。
セパレータとしては、電池中で正極と負極を隔離し、且つ、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保することができる材料からなるものであれば制限はない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、末端アミノ化ポリエチレンオキシド等のポリオレフィン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;アクリル樹脂;ナイロン;芳香族アラミド;無機ガラス;セラミックス等の材質からなり、多孔質膜、不織布、織布等の形態の材料を用いることができる。
非水電解液は、マグネシウムイオンを含む電解液が好ましい。このような電解液としては、例えば、マグネシウム塩の溶液、マグネシウムを含む無機材料で構成されるイオン液体等が挙げられる。
また、二次電池がマグネシウムイオン二次電池である場合、電解液は、マグネシウムカチオンを含むことができる。このような電解液としては、例えば、マグネシウム塩を溶媒に溶解させた溶液、マグネシウムを含む無機材料で構成されるイオン液体などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。マグネシウム塩としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、ヘキサフルオロリン酸マグネシウム、ヘキサフルオロヒ酸マグネシウムなどのマグネシウム無機塩化合物;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウム、トリス(ペンタフルオロエタン)トリフルオロフォスフェイトマグネシウム、安息香酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、グリニャール試薬などのマグネシウム有機塩化合物などが挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメトルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート化合物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン化合物;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、グライム、N−プロピル−N−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジメトキシエタン、ジメトキメタン、ジエトキメタン、ジエトキエタン、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物;アセトニトリル等が挙げられる。
また、上記非水電解液の代わりに固体電解質を使用することもできる。固体電解質としては、例えば、(Mg0.1Hf0.94/3.8Nb(PO、(Mg0.1Hf0.94/3.8(Nb1−y)(PO (0≦y≦3)、MgZr(PO(a、b=1、2、4、5、7;c=2、4、6、8、10)、Mg(BH(NH等のマグネシウムイオン伝導体等が列挙される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、FeC・2HO(純正化学、99.9%(3N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、FeC・2HO及びMnOをマグネシウム、鉄及びマンガンのモル比が1:1:1となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度で1時間、2時間、4時間または6時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例2)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、CuO(高純度化学、99.99%(4N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、CuO及びMnOをマグネシウム、銅及びマンガンのモル比が1:1:1となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度で1時間、2時間、4時間または6時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例3)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、MnC(高純度化学、99.9%(3N))とMnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、MnC及びMnOをマグネシウム、Mn2+及びMn4+のモル比が1:1:1となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800〜1150℃の焼成温度で3時間または8時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例4)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、CoC(高純度化学、99%(2N))及びMnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、CoCとMnOをマグネシウム、コバルト及びマンガンのモル比が1:1:1となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800〜1150℃の焼成温度で3時間または8時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例5)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、Ni(OH)(高純度化学、99.9%(3N))及びMnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、Ni(OH)とMnOをマグネシウム、ニッケル及びマンガンのモル比が1:1:1となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800〜1150℃の焼成温度で3時間または8時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例6)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、CuO(高純度化学、99.99%(4N))、FeC・2HO(純正化学、99.9%(3N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、CuO、FeC・2HO及びMnOを、マグネシウム、銅、鉄及びマンガンのモル比が2:1:1:2となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度で1時間焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例7)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、Ni(OH)2(高純度化学、99.9%(3N))、FeC・2HO(純正化学、99.9%(3N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、Ni(OH)、FeC・2HO及びMnOを、マグネシウム、ニッケル、鉄及びマンガンのモル比が2:1:1:2となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度で1時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
(実施例8)
原料粉体としてMgO(和光化学、0.05μm、99.9%(3N))、CuO(高純度化学、99.99%(4N))、Ni(OH)(高純度化学、99.9%(3N))、MnO(レアメタリック、99.99%(4N))を用いた。MgO、CuO、Ni(OH)及びMnOを、マグネシウム、銅、ニッケル及びマンガンのモル比が2:1:1:2となるように秤量し、めのう乳鉢で約30分混合して原料混合物を得た。その後、原料混合物をジルコニアボール(15mmΦ×10個)と共にクロム鋼製容器に入れ、アセトンを加えて遊星ボールミル(Fritsch;P−6)にて、400rpmで6時間粉砕混合した。その後、減圧下でアセトンを留去したのち、回収した粉末を40MPaでペレット成型し、Ar気流下にて、800℃の焼成温度で1時間で焼成した。このとき昇温速度を400℃/hとした。冷却速度は300℃まで100℃/hとし、以降は自然冷却により室温まで放冷した。焼成後に得られた生成物をAr雰囲気に保ったグローブボックス内に持ち込み、空気との接触がない環境で保管した。
<評価方法>
[粉末X線回折(XRD)測定]
X線回折装置((株)リガク製 RINT−UltimaIII/G)を用いて合成した試料の測定を行った。X線源には CuKα線を用い、印加電圧40 kV、電流値40 mAとした。測定は0.02°/secの走査速度で10°〜80°の角度範囲で行った。
[ICP−AES測定]
ICP−AES測定は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社の「iCAP6500」を使用して行った。
[試験例1:カチオン脱離及び挿入の検討(Liハーフセル)]
充放電測定を行うために、実施例で得られた生成物と、アセチレンブラック(AB)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とが重量比80:10:10となるように、めのう乳鉢で混合し、得られたスラリーを集電体であるAl箔(厚さ20μm)上に塗布し、これを円形(直径8mm)に打ち抜き正極とした。セルはCR2032型コインセルを用いた。Li箱を負極として用い、電解液はエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比1:2で混合した溶媒に支持電解質としてLiPFを1Mの濃度で溶解した電解液を使用した。定電流充放電測定は電圧切り替え器を用い、電流10mAg−1、上限電圧4.8V、下限電圧1.5Vに設定し、充電より開始した。55℃恒温槽内にセルを入れた状態で充放電測定を行った。
[試験例2:マグネシウムイオン脱離及び挿入の検討(Mg全電池)]
セルはCR2032型コインセルを用いた。Mg盤を負極として、電解液は、Mg(TFSI)をその濃度が0.5Mとなるようにエチレングリコールジメチルエーテル ジメトキシエチレングリコール(商品名:monoglyme)に溶解させて調製した。定電流充放電測定は電圧切り替え器を用い、電流5mAg−1、上限電圧3.6V、下限電圧0Vに設定し、充電より開始することで充放電測定を行った。なお、測定は室温で行った。
図1は、実施例1において種々の焼成時間で焼成された生成物のXRDパターンを示している。なお、焼成温度は800℃である。使用したX線波長は1.5418Åである。
図1から、焼成温度が650℃以上である場合、少なくとも2θ値が29.2〜31.0°、34.4〜36.4°、42.1〜44.5°、56.2〜58.2°または61.6〜63.7°に複数の主要ピークが見られることがわかる。これらのピークは、単相のMgFeMnOに対応することから、生成物として単相のMgFeMnOが得られていることがわかる。また、2θ値が34.4〜36.4°に見られるピークは、焼成時間が高いほど、強いピークとなっていることから、焼成時間は、6時間以上であることが好ましいことがわかる。
図2は、実施例1において800℃で1時間の加熱工程を行って得られた生成物(上段)および、各原料(下段)のXRDパターンを比較して示している。得られたMgFeMnOのX線回折パターンより、出発材料やその関連の不純物相に由来するピークが見られないことから、MgFeMnO単一相の合成ができることがわかった。
図3には、実施例1で得られたMgFeMnO(焼結時間は1時間)のXRDパターンと、異種カチオンを含有する鉄系マンガネート系化合物(LiFeMnO、LiFeMnO、KFeMnO)のXRDパターンを示している。
図3から、実施例1で得られたMgFeMnOの結晶は、粉末X線回折によるX線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度が17.1〜19.1°、29.2〜31.0°、34.4〜36.4°、36.7〜38.4°、42.1〜44.5°、52.6〜54.2°、56.2〜58.2°、61.6〜63.7°、73.1〜75.4°および78.3〜79.6°にピークを有していることがわかる。そして、異種カチオンを含有する鉄系マンガネート系化合物と比較すると、MgFeMnOのピーク位置は、LiFeMnOと類似している。MgFeMnOの格子定数はLiFeMnOの格子定数とほぼ近いことがわかる。
また、MgFeMnOのピーク位置及び強度はHausmannite型MnFeと類似していることから、MgFeMnOはスピネル構造を有することがわかった。
実施例1で得られた上記のMgFeMnOのリートベルト法による構造解析の結果、得られたMgFeMnOの結晶は、立方晶構造(Fd−3m空間群)を有し、格子定数がa=b=c=8.4043(6)Å、α=β=γ=90°であり、単位格子体積(V)が593.6(0)Åである結晶であることがわかった。信頼度因子は、Rwp=4.65%、R=3.61%、χ=1.04であった。なお、ICP解析によって前記結晶における元素組成を調べたところ、Mg0.9FeMnOであることが確認された。
図4には、実施例1で得られたMgFeMnO(焼結時間は1時間)のSEM像を示している。図中、スケールバーは100nmを示す。実施例1で得られたMgFeMnOは、粒子が凝集している傾向にあるが、平均粒子径100nm前後であることがわかる。
図5は、実施例1で得られたMgFeMnO(焼結時間は1時間)の試験例1の結果(開回路電位測定の結果)を示している。MgFeMnO試料の開回路電位は約3.2Vであることがわかった。これはマグネシウム電位基準に換算すると2.5Vvs.Mg2+となることから、実施例1で得られた材料は高電位正極材料として使用し得るものである。
図6は、実施例1で得られたMgFeMnO(焼結時間は1時間)を正極材料として用いたときの試験例1の結果(充放電特性、並びに、各サイクルと放電容量との関係)を示している。図6では、1回目の放電を行ったときの放電曲線と2回目の充電を行ったときの充電曲線との交点と、2回目の充電を行ったときの充電曲線と2回目の放電を行ったときの放電曲線との交点とが重なっている。この結果は、得られた正極材料を用いることにより、2サイクル目以降の充放電では可逆的に充放電反応を行うことができることがわかる。また、図に示された結果から、作動電位は、3.2Vであることもわかる。さらに、引き出し可能な容量(放電容量)は、105mAhg−1であり、充放電サイクルを繰り返しても、ほとんど劣化していないことがわかる。
図7は、実施例1で得られたMgFeMnO(焼結時間は1時間)を正極材料として用いたときの試験例2の結果(Mg全電池の電位−時間特性の結果)を示している。初期はあまり作動しないが、時間の経過と共にマグネシウムの挿入及び脱離を示唆する電位応答が見られている。
図8は、実施例1で得られたMgFeMnO(焼結時間は1時間)を正極材料として用いたときの試験例2の結果(Mg全電池の各サイクルと放電容量との関係を調べた結果)を示している。高次サイクルに伴って、引き出せる容量が増加し50サイクル目において放電容量は100mAhg−1であることがわかる。
図9は、実施例2において種々の焼成温度で得られた生成物(焼結時間は3時間)のXRDパターンを示している。なお、焼成時間は1時間である。使用したX線波長は1.5418Åである。
焼成温度が800℃以上である場合、少なくとも2θ値が17.75〜19.36°、29.8〜31.21°、32.16〜33.13°、34.95〜36.82°、37.15〜37.91°、38.39〜39.46°、43.05〜44.29°、48.04〜49.58°、53.55〜54.84°、56.94〜58.92°、61.0〜62.18°、62.77〜63.90°、65.72〜66.90°、67.70〜68.89°、74.08〜76.61°または78.96〜80.94°に複数の主要ピークが見られることがわかる。これらのピークは、単相のMgCuMnOに対応することから、実施例2では、生成物として単相のMgCuMnOが得られていることがわかる。
図10には、実施例2で得られたMgCuMnO(焼結時間は3時間)のSEM像を示している。実施例2で得られたMgCuMnOは、粒子状の形態であることがわかる。また、実施例2で得られたMgCuMnOも、粒子が凝集している傾向にあるが、平均粒子径1〜10μm前後であることがわかる。
図11は、実施例2で得られたMgCuMnO(焼結時間は3時間)の試験例1の結果(開回路電位測定の結果)を示している。MgCuMnO試料の開回路電位は約3.25Vであることがわかった。これはマグネシウム電位基準に換算すると2.55Vvs.Mg2+となることから、実施例2で得られた材料は高電位正極材料として使用し得るものである。
図12は、実施例2で得られたMgCuMnO(焼結時間は3時間)を正極材料として用いたときの試験例1の結果(充放電特性、並びに、各サイクルと放電容量との関係)を示している。図12では、1回目の放電を行ったときの放電曲線と2回目の充電を行ったときの充電曲線との交点と、2回目の充電を行ったときの充電曲線と2回目の放電を行ったときの放電曲線との交点とが重なっている。この結果は、得られた正極材料を用いることにより、2サイクル目以降の充放電では可逆的に充放電反応を行えることがわかる。また、図に示された結果から、平均作動電位は、約3.0Vであることもわかる。さらに、高次サイクルにおいて引き出し可能な容量(放電容量)は、110mAhg−1であり、充放電サイクルを繰り返しても、ほとんど劣化していないことがわかる。
図13は、実施例2で得られたMgCuMnO(焼結時間は3時間)を正極材料として用いたときの試験例2の結果(Mg全電池の各サイクルと放電容量との関係を調べた結果)を示している。MgCuMnOを正極材料として用いることで、マグネシウムの挿入及び脱離を示唆する電位応答が見られることがわかった。
図14は、実施例3において種々の焼成温度及び焼成時間で得られた生成物のXRDパターンを示している。使用したX線波長は1.5418Åである。
焼成温度が800℃以上である場合、少なくとも2θ値が17.21〜19.14°、28.52〜28.92°、30.57〜31.84°、32.22〜34.10°、35.12〜37.63°、38.01〜39.99°、42.67〜46.75°、49.53〜52.69°、53.88〜55.27°、56.13〜57.68°、58.49〜59.72°、60.08〜63.73°、64.23〜66.69°、67.65〜71.45°または74.03〜80.68°に複数の主要ピークが見られることがわかる。これらのピークは、単相のMgMn2+Mn4+に対応することから、実施例3では生成物として単相のMgMn2+Mn4+が得られていることがわかる。
図15は、実施例4で得られたMgCoMnO(焼結時間は3時間)のSEM像を示している。実施例4で得られたMgCoMnOは、粒子状の形態であることがわかる。また図15に示す如く、平均粒子径は約1〜6μm前後であることがわかる。
図16は、実施例4〜5で得られた種々の生成物(焼結時間は3時間)のXRDパターンを示している。使用したX線波長は1.5418Åである。実施例4では生成物として単相のMgCoMnO(MgCo2+Mn4+)、実施例5では生成物として単相のMgNiMnO(MgNi2+Mn4+)が得られていることがわかる。
図17は、実施例4で得られたMgCoMnO(焼結時間は3時間)を正極材料として用いたときの試験例2の結果(Mg全電池の各サイクルと放電容量との関係を調べた結果)を示している。MgCoMnO(MgCo2+Mn4+を正極材料として用いることで、マグネシウムの挿入及び脱離を示唆する電位応答が見られることがわかった。
図18には、実施例5で得られたMgNiMnO(焼結時間は3時間)のSEM像を示している。実施例5で得られたMgNiMnOは、粒子状の形態であることがわかる。また図18に示す如く、平均粒子径は約1〜3μm前後であることがわかる。
表1には、各実施例で得られた生成物(すなわち、一般式(2)で表されるマグネシウム化合物;MgYMnO(Y=Fe,Cu,Co,Mn,Ni))の格子定数パラメータを示す。
表1から、MgFeMnO及びMgCoMnOは、立方(cubic)晶系(Fd−3m空間群)を有し、結晶構造がスピネル型構造を形成していることがわかる。
Figure 2017119494
表2には、実施例1,2,5,4で得られた生成物(すなわち、一般式(2)で表されるマグネシウム化合物;MgYMnO(Y=Fe,Cu,Ni,Co)のICPによる元素分析結果を示している。表1から、原料の使用量に見合う組成比で化合物が形成されていることがわかった。
Figure 2017119494
図19は、実施例6(MgCu0.5Fe0.5MnO4)及び実施例7(MgNi0.5Fe0.5MnO4)で得られた生成物のXRDパターンである。MgCu0.5Fe0.5MnO4及びMgNi0.5Fe0.5MnO4の固溶体の合成ができていることが分かる。
図20は、実施例6で得られた生成物のSEM像を示している。
図21は、実施例6で得られた生成物の高分解能SEM像を示している。
図20、図21から、実施例6で得られた生成物(MgCu0.5Fe0.5MnO4)は、粒子状の形態であることがわかる。
図22は、実施例7で得られた生成物のSEM像を示している。図22から、実施例7で得られた生成物(MgNi0.5Fe0.5MnO4)は、粒子状の形態であることがわかる。
表3は、MgFe1-xCuxMnO4(x=0,0.5,1)の格子定数の変化を示す表である。
Figure 2017119494
表3から、Cuを導入することによってMgFe1-xCuxMnO4の格子定数が減少することがわかる。この結果は、Cu2+のイオン半径がFe2+よりも小さいために、格子縮小が生じることを示している。
図23は、MgFe1-xCuxMnO4(x=0,0.5,1)の格子定数の変化をプロットしたグラフである。実施例6で得られた生成物(MgCu0.5Fe0.5MnO4)は固溶体が形成され得ることを示している。
図24は、実施例6で得られた生成物(MgCu0.5Fe0.5MnO4)のSEM-EDX結果である。この結果は、実施例6で得られたMgCu0.5Fe0.5MnO4において、CuとFeは等量であることを示している。
図25は、実施例7で得られた生成物のSEM像を示している。図25から、実施例7で得られた生成物(MgNi0.5Fe0.5MnO4)は、粒子状の形態であることがわかる。
図26は、実施例8で得られた生成物(MgCu0.5Ni0.5MnO4)のXRDパターンである。MgCu0.5Ni0.5MnO4の固溶体の合成ができていることが分かる。
図27は、実施例8で得られた生成物のSEM像を示している。図27から、実施例8で得られた生成物は、粒子状の形態であることがわかる。
図28は、MgNi2+MnO4、MgCu2+MnO4、MgCo2+MnO4、MgFe2+MnO4、MgMn2+MnO4のXRDパターンである。Fe2+、Co2+、Cu2+、Ni2+、Cu2+、Co2+、Fe2+の順にXRDピークが高角度側にシフトしており、格子の収縮が起こっていることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    MgMn (1)
    (ここで、式(1)中、XはFe及びCuからなる群より選ばれる少なくとも1種である。また、aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)
    で表される、マグネシウム化合物。
  2. 下記一般式(2)
    MgMn (2)
    (ここで、式(2)中、YはFe、Cu、Mn、Co及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種である。また、aは0.5〜1.5、bは0.5〜1.5、cは0.5〜1.5、dは3.8〜4.1を示す。)
    で表されるマグネシウム化合物を含む、二次電池用正極活物質。
  3. 請求項2に記載の正極活物質を構成要素とする二次電池。
  4. 請求項1に記載のマグネシウム化合物の製造方法であって、
    Mgを含有する原料と、上記Xを含有する原料と、Mnを含有する原料とを含む原料混合物を加熱する加熱工程を備える、製造方法。
  5. 前記加熱工程における加熱温度が500〜1500℃である、請求項4に記載の製造方法。
JP2017560438A 2016-01-06 2017-01-06 二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びに二次電池用正極活物質の製造方法 Active JP7060866B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016000930 2016-01-06
JP2016000930 2016-01-06
PCT/JP2017/000303 WO2017119494A1 (ja) 2016-01-06 2017-01-06 マグネシウム化合物、二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びにマグネシウム化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017119494A1 true JPWO2017119494A1 (ja) 2018-11-22
JP7060866B2 JP7060866B2 (ja) 2022-04-27

Family

ID=59273711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017560438A Active JP7060866B2 (ja) 2016-01-06 2017-01-06 二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びに二次電池用正極活物質の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7060866B2 (ja)
WO (1) WO2017119494A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020158322A (ja) * 2019-03-25 2020-10-01 株式会社高純度化学研究所 マグネシウム複合酸化物の製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4837372A (ja) * 1971-09-14 1973-06-01
JP2002100344A (ja) * 2000-09-22 2002-04-05 Sony Corp 正極及び電池
JP2011083682A (ja) * 2009-10-14 2011-04-28 Tosoh Corp パティキュレート燃焼触媒及びそれを用いたパティキュレートの燃焼除去方法
JP2011165639A (ja) * 2010-02-04 2011-08-25 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd マグネシウムを有する陽極活物質及びこれを備えるマグネシウム二次電池
JP2013533577A (ja) * 2010-05-25 2013-08-22 ペリオン テクノロジーズ インク. マグネシウム電池用の電極材料
JP2014007155A (ja) * 2012-05-30 2014-01-16 Showa Denko Kk マグネシウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法並びにマグネシウムイオン二次電池
WO2016143675A1 (ja) * 2015-03-06 2016-09-15 学校法人東京理科大学 マグネシウム二次電池及び充放電方法
WO2017119493A1 (ja) * 2016-01-06 2017-07-13 国立研究開発法人産業技術総合研究所 二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びに二次電池

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4837372A (ja) * 1971-09-14 1973-06-01
JP2002100344A (ja) * 2000-09-22 2002-04-05 Sony Corp 正極及び電池
JP2011083682A (ja) * 2009-10-14 2011-04-28 Tosoh Corp パティキュレート燃焼触媒及びそれを用いたパティキュレートの燃焼除去方法
JP2011165639A (ja) * 2010-02-04 2011-08-25 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd マグネシウムを有する陽極活物質及びこれを備えるマグネシウム二次電池
JP2013533577A (ja) * 2010-05-25 2013-08-22 ペリオン テクノロジーズ インク. マグネシウム電池用の電極材料
JP2014007155A (ja) * 2012-05-30 2014-01-16 Showa Denko Kk マグネシウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法並びにマグネシウムイオン二次電池
WO2016143675A1 (ja) * 2015-03-06 2016-09-15 学校法人東京理科大学 マグネシウム二次電池及び充放電方法
WO2017119493A1 (ja) * 2016-01-06 2017-07-13 国立研究開発法人産業技術総合研究所 二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びに二次電池

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ACTA CRYST., vol. B32, JPN6021041005, 1976, pages 2796 - 2798, ISSN: 0004619130 *
BRAESTRUP, F. ET AL.: "Characterization of MgMnxFe2-xO4 as a possible cathode material for electrochemical reduction of NOx", JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY, vol. 39, no. 12, JPN6017005186, December 2009 (2009-12-01), pages 2369 - 2374, XP019749476, ISSN: 0004736498, DOI: 10.1007/s10800-009-9923-1 *
CHEM. MATER., vol. 14, no. 4, JPN6021041003, 2002, pages 1649 - 1656, ISSN: 0004619131 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017119494A1 (ja) 2017-07-13
JP7060866B2 (ja) 2022-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6927579B2 (ja) リチウム鉄マンガン系複合酸化物
JP7034471B2 (ja) カリウム化合物及びそれを含有するカリウムイオン二次電池用正極活物質
EP3537521A1 (en) Lithium cobalt oxide positive electrode material and preparation method therefor and lithium ion secondary battery
JP6708326B2 (ja) ナトリウム二次電池用正極材料
JP6845507B2 (ja) カリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法
JP2021520333A (ja) O3/p2混合相ナトリウム含有ドープ層状酸化物材料
EP0885845A1 (en) Spinel-type lithium-manganese oxide containing heteroelements, preparation process and use thereof
JP5294225B2 (ja) リチウム二次電池電極用酸化物の単結晶粒子及びその製造方法、ならびにそれを用いたリチウム二次電池
JP7169650B2 (ja) カリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにカリウムイオン二次電池
JP7224617B2 (ja) カリウム化合物、カリウムイオン二次電池用固体電解質、カリウムイオン二次電池用正極活物質及び二次電池
JP7016148B2 (ja) カリウムイオン二次電池用正極活物質
JP6691714B2 (ja) リチウムニッケルマンガン複合酸化物及びその製造方法並びにそれを用いた正極及び蓄電デバイス
JP7116464B2 (ja) 二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びに、二次電池
WO2018096972A1 (ja) リチウムマンガン系複合酸化物及びその製造方法
JP2022097885A (ja) 正極活物質の製造方法
JP7074314B2 (ja) カリウムイオン二次電池用正極活物質及び二次電池
JP7060866B2 (ja) 二次電池用正極活物質、及び二次電池、並びに二次電池用正極活物質の製造方法
JP6934665B2 (ja) 二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びに二次電池
JP2016190782A (ja) マンガン酸化物およびその製造方法並びにこれを用いるリチウム二次電池
JP6857361B2 (ja) リチウム銅系複合酸化物
JP7126234B2 (ja) カリウム化合物及びそれを含有するカリウムイオン二次電池用正極活物質
JP2017216211A (ja) 非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池用負極、非水電解質二次電池、非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法
JP6636827B2 (ja) ナトリウムイオン二次電池用電極活物質およびその製造方法、並びにナトリウムイオン二次電池
Pfanzelt Development of TiO2 rutile as negative electrode material for lithium ion batteries
Hao Synthesis and Defect Structure Analysis of Complex Oxides for Li-Ion Battery Electrodes

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191219

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20191219

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210126

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7060866

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150