JP7169650B2 - カリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにカリウムイオン二次電池 - Google Patents

カリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにカリウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、カリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びにカリウムイオン二次電池に関する。
近年、ポストリチウムイオン蓄電池の研究開発が強く要望されている。この研究開発は、蓄電池分野の研究者にとって、学術的にも産業的にも非常に魅力的である。ポストリチウム蓄電池のキャリアイオンとしては、K、Na、Cs、Mg2+、Ca2+、Be2+、Ba2+、Al3+等が検討されている。
特にカリウムイオン(K)は、1価のアルカリイオンの中でも、リチウムイオン及びナトリウムイオンよりもルイス酸性が弱く、ひいては脱溶媒和過程の活性化エネルギーが低いため、超高速充放電可能な蓄電池の実現が期待される。実際に生体内では、カリウムイオンがイオンキャリアとなって、発電(例えば、電気ウナギ等のように強力な電気を起こす魚による発電)、エネルギー伝達(例えば、心臓ポンプ)、神経伝達(例えば、Hodgkin-Huxley Axiom)等を超高速で行うことが知られている。さらに、カリウムイオン(-2.925V)は、リチウムイオン(-3.045V)に並んで標準電極電位が卑であるため、エネルギー密度の点においても電池のキャリアイオンとした場合に高い電圧を発揮することが期待される。
このようなカリウムイオン二次電池用の正極材料はこれまでにも種々提案されており(特許文献1等)、例えば、K0.6CoO等のカリウムとカリウム以外の金属元素を含有する複合酸化物が正極材料として提案されている(非特許文献1、2等を参照)。
国際公開第2016/059907号
Adv. Energy Mater. 2017, 7, 1700098(1of6) Chem. Commun., 2017, 53, 3693-3696
しかしながら、従来のカリウムイオン二次電池用の正極材料では、サイクル特性が十分でなく、充放電を繰り返すことで容量低下が顕著に起こりやすいものであったため、近年の二次電池等に求められる高い要求性能に応えられる材料ではなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、優れたサイクル特性を二次電池にもたらすことができるカリウムイオン二次電池用正極活物質及びその製造方法、並びに二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、3価の金属及び4価の金属を含む化合物を使用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
下記一般式(1)
(1)
(式(1)中、Aは、Cr、Fe、Mn、Cu、Co、Ni、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の3価の金属を示し、Dは、Mn、Si、Ge、Ti、Mo及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の4価の金属を示し、0.25≦x≦0.75、0.25≦y≦0.75及び0.25≦z≦0.75である)
で表される化合物を含む、カリウムイオン二次電池用正極活物質。
項2
項1に記載のカリウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
カリウムを含む原料R1と、前記金属Aを含む原料R2と、前記金属Dを含む原料R3とを含む出発原料を焼成することにより前記式(1)で表される化合物を得る工程を備える、製造方法。
項3
項1に記載のカリウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
カリウム及び前記金属Aを含む原料R12と、前記金属Dを含む原料R3とを含む出発原料を焼成することにより前記式(1)で表される化合物を得る工程を備える、製造方法。
項4
項1に記載のカリウムイオン二次電池用正極活物質を含む、正極。
項5
項4に記載の正極を構成要素とするカリウムイオン二次電池。
項6
電解液がイオン液体を含む、請求項5に記載のカリウムイオン二次電池。
本発明に係るカリウムイオン二次電池用正極活物質は、二次電池に優れたサイクル特性をもたらすことができる。
実施例1で得られた正極活物質のXRDパターンである。 (a)は、実施例1で得られた正極活物質のTEM画像、(b)はTEM実像[110]入射の画像、(c)はシミュレーション結果である。 実施例1で得られた正極活物質のX線吸収分光測定の結果である。 実施例1で得られた正極活物質のICP測定の結果である。 実施例1で得られた正極活物質を使用した電池の評価結果である。 実施例1で得られた正極活物質を使用した電池の評価結果である。 実施例1で得られた正極活物質と、従来のカリウム化合物系正極活物質とのサイクル特性の比較結果を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。また、本明細書中において、「~」で結ばれる数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
1.カリウムイオン二次電池用正極活物質
本発明のカリウムイオン二次電池用正極活物質は、下記一般式(1)
(1)
で表される化合物を含む。
本発明に係るカリウムイオン二次電池用正極活物質は、二次電池に優れたサイクル特性をもたらすことができる。「サイクル特性が優れる」とは、例えば、二次電池等において充放電を繰り返し行ったとしても、容量低下が起こりにくいことを意味する。
式(1)中、Aは、Cr、Fe、Mn、Cu、Co、Ni、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の3価の金属を示す。式(1)中、Dは、Mn、Si、Ge、Ti、Mo及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の4価の金属を示す。式(1)中、0.25≦x≦0.75、0.25≦y≦0.75及び0.25≦z≦0.75である。
ここで、本発明において、一般式(1)中のx、y及びzは、本発明のカリウムイオン二次電池用正極活物質のICP測定(誘導結合プラズマ発光分光分析)によって計測される値をいう。
本明細書において、本発明のカリウムイオン二次電池用正極活物質を、以下では単に「正極活物質」と略記することがある。
正極活物質において、式(1)で表される化合物(以下、「化合物C」と略記する)は、カリウムと、上記の3価の金属Aと、上記の4価の金属Dを構成元素として含む複合金属酸化物である。
化合物Cは、カリウムイオンを挿入及び脱離することができる性質を有することから、カリウムイオン二次電池に用いられる正極活物質として好適に使用される。
式(1)において、3価の金属Aは、サイクル特性が向上しやすいという点で、Fe、Cr及びMnからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましく、少なくともFeを含むことが特に好ましい。
式(1)において、3価の金属Aは1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
式(1)において、4価の金属Dは、サイクル特性が向上しやすいという点で、Mn、Si、Ge、Ti及びMoからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましく、少なくともMnを含むことが特に好ましい。
式(1)において、4価の金属Dは1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
式(1)において、3価の金属A及び4価の金属Dの組合せとして、3価の金属AがFeを含み、4価の金属DがMnを含むことが特に好ましい。この場合、正極活物質は特に優れたサイクル特性を示すことができる。式(1)において、3価の金属A及び4価の金属Dの組合せとして、3価の金属AはFeのみであり、4価の金属DはMnのみとすることができる。
化合物Cにおいて、3価及び4価の金属を含有しているかどうかは、X線吸収分光測定により、判断することができる。具体的に、3価金属の酸化物のX線吸収分光スペクトルと、化合物CのX線吸収分光スペクトルとを比較することで、金属Aが3価であるかどうかを判定でき、同様に、4価金属の酸化物のX線吸収分光スペクトルと、化合物CのX線吸収分光スペクトルとを比較することで、金属Dが4価であるかどうかを判定できる。
式(1)において、xの値は、カリウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、及び、正極活物質が優れたサイクル特性を有しやすいという観点から、0.3~0.7であることがより好ましく、0.4~0.6であることが特に好ましい。
式(1)において、yの値は、カリウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、及び、正極活物質が優れたサイクル特性を有しやすいという観点から、0.3~0.7であることがより好ましく、0.4~0.6であることが特に好ましい。なお、3価の金属Aが2種以上の金属を含む場合、yの値は、それら2種以上の各元素の総量を表す。
式(1)において、zの値は、カリウムイオンの挿入及び脱離のしやすさ、及び、正極活物質が優れたサイクル特性を有しやすいという観点から、0.3~0.7であることがより好ましく、0.4~0.6であることが特に好ましい。なお、4価の金属Dが2種以上の金属を含む場合、zの値は、それら2種以上の各元素の総量を表す。
式(1)において、x、y及びzの関係は、2≦x+3y+4z≦6であることが好ましく、2.4≦x+3y+4z≦5.6であることがより好ましく、3.2≦x+3y+4z≦4.8であることが特に好ましい。
化合物Cにおいて、その主相である結晶構造の種類は特に限定されず、組成に応じて種々の結晶構造を形成することができる。例えば、化合物Cの結晶構造は、斜方晶を有することができる。この場合、正極活物質は特に優れたサイクル特性を示すことができる。例えば、式(1)において、3価の金属AがFeを含み、4価の金属DがMnを含む場合、化合物Cは斜方晶を形成し得る。本発明の効果が損なわれない限り、化合物Cは、複数の結晶構造を有していてもよい。なお、化合物Cの結晶構造は、X線回折測定により確認することができる。
化合物Cは、その主相である結晶構造の存在量は特に限定的ではない。例えば、化合物C全体を基準として、主相である結晶構造の存在量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上がより好ましい。化合物Cは、単相の結晶構造からなる材料として形成されることもある。
化合物Cは、例えば、粒子状の形状となり得る。化合物Cが粒子状である場合、その平均粒子径は、例えば、0.005~50μmが好ましく、0.01~5μmがより好ましく、0.01~1μmが特に好ましい。化合物Cの平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)観察により測定する。ここでいう平均粒子径とは、例えば、電子顕微鏡による直接観察によって測定された円相当径の算術平均値をいう。
本発明の正極活物質は、本発明の効果が阻害されない程度において、化合物C以外の化合物、あるいは、各種添加剤を含むこともでき、また、本実施形態の正極活物質は、化合物Cのみで形成することもできる。本実施形態の正極活物質は、化合物Cを1種のみ含むことができ、あるいは、異なる2種以上の化合物Cを含むこともできる。
また、本発明の正極活物質は、化合物Cの他、不可避不純物を含むこともできる。不可避不純物としては、化合物Cの製造時に使用する原料並びに該原料に由来する元素又は化合物等が挙げられる。不可避不純物は、例えば、正極活物質中に10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは2モル%以下含有し得る。
化合物Cは、3価の金属Aと、4価の金属Dとを含むことから、酸素レドックスを有効に活用することができるため、従来のカリウム化合物よりも優れた電気化学特性を有することができる。この結果、本発明の正極活物質は、高容量であり、二次電池に優れたサイクル特性をもたらすことができる。
化合物Cは、後記するように、安価で容易なプロセスで製造することができるため、本発明の正極活物質によれば、低コストでカリウムイオン二次電池を提供することができる。そのため、正極活物質は、サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を構成するための材料として適している。
正極活物質は、化合物Cと、炭素材料(例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック等)との複合体を含むこともできる。これにより、正極活物質の焼成時に炭素材料が化合物Cの粒成長を抑制するため、電極特性に秀でた微粒子状の正極活物質となり得る。この場合、炭素材料の含有量は、正極活物質中に3~20質量%、特に5~15質量%となるように調整することが好ましい。
2.カリウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
本発明の正極活物質の製造方法は特に限定されず、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、正極活物質は、下記の製造方法1及び製造方法2のいずれかの方法で製造することができる。
製造方法1は、カリウムを含む原料R1と、前記金属Aを含む原料R2と、前記金属Dを含む原料R3とを含む出発原料を焼成することにより前記式(1)で表される化合物(化合物C)を得る工程を備える。
製造方法2は、カリウム及び前記金属Aを含む原料R12と、前記金属Dを含む原料R3とを含む出発原料を焼成することにより前記式(1)で表される化合物(化合物C)を得る工程を備える。
まず、製造方法1で使用する出発原料及び製造方法2で使用する出発原料を説明する。
(製造方法1で使用する出発原料)
製造方法1では、カリウムを含む原料R1と、前記金属Aを含む原料R2と、前記金属Dを含む原料R3とを少なくとも含む原料を出発原料とする。
カリウムを含有する原料R1は、例えば、金属単体のカリウムであってもよいし、あるいは、カリウムを含む化合物であってもよい。
カリウムを含む化合物としては特に限定されず、例えば、KCO、KNO、KOH、CHCOOK、K等が挙げられる。
カリウムを含む化合物は、水和物であってもよい。
製造方法1では、カリウムを含む原料R1は市販品等から入手できる原料を使用することができ、あるいは、公知の方法等で製造してカリウムを含む原料R1を得ることもできる。
前記金属Aを含む原料R2は、例えば、金属単体の金属Aであってもよいし、あるいは、金属Aを含む化合物であってもよい。
金属Aを含む化合物としては特に限定されず、例えば、金属Aの酸化物、金属Aの硫化物、金属Aのセレン化物等が挙げられる。
金属Aを含む化合物は、水和物であってもよい。
製造方法1では、金属Aを含む原料R2は市販品等から入手できる原料を使用することができ、あるいは、公知の方法等で製造して金属Aを含む原料R2を得ることもできる。
前記金属Dを含む原料R3は、例えば、金属単体の金属Dであってもよいし、あるいは、金属Dを含む化合物であってもよい。
金属Dを含む化合物としては特に限定されず、例えば、金属Dの酸化物、金属Dの硫化物、金属Dのセレン化物等が挙げられる。
金属Dを含む化合物は、水和物であってもよい。
製造方法1では、金属Dを含む原料R3は市販品等から入手できる原料を使用することができ、あるいは、公知の方法等で製造して金属Dを含む原料R3を得ることもできる。
出発原料はカリウムを含む原料R1、金属Aを含む原料R2及び金属Dを含む原料R3以外の原料を含むことができ、あるいは、カリウムを含む原料R1、金属Aを含む原料R2及び金属Dを含む原料R3のみで構成されていてもよい。出発原料は、カリウム、金属A及び金属D以外のその他金属元素(特に希少金属元素)を含まないことが好ましい。出発原料が、その他金属元素を含む場合であっても、その他金属元素は、非酸化性雰囲気下での熱処理により離脱及び揮発する性質を有していることが望ましい。
出発原料はカリウムを含む原料R1、金属Aを含む原料R2及び金属Dを含む原料R3それぞれを所定の配合割合で混合することで調製することができる。混合方法は、特に制限されず、例えば、各原料を均一に混合できる方法を採用することができる。具体的には、乳鉢混合、メカニカルミリング処理、共沈法、各原料を溶媒中に分散させた後に混合する方法、各原料を溶媒中で一度に分散させて混合する方法等を採用することができる。なお、各原料がより均一な混ざり合った出発原料を得ることを目的とする場合は、共沈法を採用することができる。
出発原料における各原料の混合割合については、特に限定的ではない。例えば、最終生成物である所望の組成を有する化合物Cを得ることができるように、各原料を配合することが好ましい。具体的には、化合物Cに含まれる各元素の比率が、目的とする化合物C中の各元素の比率と同一となるように、各原料の配合割合を調整することが好ましい。
(製造方法2で使用する出発原料)
製造方法2では、カリウム及び前記金属Aを含む原料R12と、前記金属Dを含む原料R3とを少なくとも含む原料を出発原料とする。
カリウム及び金属Aを含む原料R12は、例えば、カリウムと金属Aとを含む化合物である。
カリウムと金属Aとを含む化合物としては特に限定されず、例えば、カリウムと金属Aとの複合酸化物、カリウムと金属Aとの複合硫化物、カリウムと金属Aとの複合セレン化物等を挙げることができる。
カリウムと金属Aとを含む化合物は、水和物であってもよい。
前記金属Dを含む原料R3は、製造方法1で使用する金属Dを含む原料R3と同様の種類を挙げることができる。製造方法2においても、金属Dを含む原料R3は市販品等から入手できる原料を使用することができるし、あるいは、公知の方法等で製造して金属Dを含む原料R3を得ることもできる。
出発原料は、カリウム及び前記金属Aを含む原料R12並びに前記金属Dを含む原料R3以外の原料を含むことができ、あるいは、カリウム及び前記金属Aを含む原料R12並びに前記金属Dを含む原料R3のみで構成されていてもよい。出発原料は、カリウム、金属A及び金属D以外のその他金属元素(特に希少金属元素)を含まないことが好ましい。出発原料が、その他金属元素を含む場合であっても、その他金属元素は、非酸化性雰囲気下での熱処理により離脱及び揮発する性質を有していることが望ましい。
カリウム及び前記金属Aを含む原料R12及び金属Dを含む原料R3それぞれを所定の配合割合で混合することで調製することができる。混合方法は、特に制限されず、例えば、各原料を均一に混合できる方法を採用することができる。具体的には、乳鉢混合、メカニカルミリング処理、共沈法、各原料を溶媒中に分散させた後に混合する方法、各原料を溶媒中で一度に分散させて混合する方法等を採用することができる。なお、各原料がより均一な混ざり合った出発原料を得ることを目的とする場合は、共沈法を採用することができる。
出発原料における各原料の混合割合については、特に限定的ではない。例えば、最終生成物である所望の組成を有する化合物Cを得ることができるように、各原料を配合することが好ましい。具体的には、化合物Cに含まれる各元素の比率が、目的とする化合物C中の各元素の比率と同一となるように、各原料の配合割合を調整することが好ましい。
(製造方法1及び2の焼成)
製造方法1及び2では、それぞれの出発原料の焼成処理を行う。これにより、化合物C(前記式(1)で表される化合物)を得ることができる。
製造方法1及び2において、出発原料の焼成は、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気等で行うことができる。あるいは、真空等の減圧下で焼成を行うこともできる。
出発原料の焼成するにあたり、出発原料は、例えば粉体状態で使用することができ、あるいは、適宜の方法で出発原料を成型して成型体として使用することができる。
焼成を行うための温度(焼成温度)は特に限定されず、公知の焼成温度を広く適用することができる。例えば、焼成温度は、焼成が促進されやすく、また、化合物Cが所望の結晶構造を有しやすいという観点から、500~1500℃とすることが好ましい。より好ましい焼成温度は700~900℃である。焼成を行う時間については特に限定的ではなく、焼成温度に応じて適宜設定することができる。例えば、焼成時間は10分~48時間が好ましく、30分~24時間がより好ましい。
焼成を行うために使用する装置は特に限定されず、例えば、公知の加熱炉等の加熱装置を広く使用することができる。
焼成後は、適宜の冷却速度で冷却することができる。なお、焼成後に一度冷却してから再度、所定の温度にて加熱処理を行うこともできる。
上記の焼成により、少なくともカリウムと、金属Aと、金属Dとを含む複合酸化物が形成され、化合物Cを得ることができる。この化合物Cをそのまま本発明の正極活物質として使用することができる。あるいは、得られた化合物Cに他の材料を組み合わせることで正極活物質として得ることもできる。
化合物Cは、上記製造方法1及び2の他、例えば、共沈法、ゾルゲル法、水熱合成法などの方法によって製造することができる。
3.二次電池
本発明のカリウムイオン二次電池(以下、単に「二次電池」と略記する)は、前述の本発明の正極活物質を構成要素として含む。
二次電池は、本発明の正極活物質として使用する他は、基本的な構造は、例えば、公知の非水電解液の二次電池を参考に構成することができる。例えば、正極、負極及びセパレータを、前記正極及び負極がセパレータによって互いに隔離されるように電池容器内に配置することができる。その後、非水電解液を当該電池容器内に充填した後、当該電池容器を密封すること等によって二次電池を製造することができる。電池容器の材料、大きさ及び形状は、二次電池の用途に応じて適宜決定することができる。
正極は、本発明の正極活物質を含む。具体的に正極として、本発明の正極活物質を含有する正極材料を正極集電体に担持した構造を採用することができる。例えば、本発明の正極活物質、導電助剤、及び必要に応じて結着剤を含有する正極合剤を、正極集電体に塗布することで製造することができる。
導電助材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、気相法炭素繊維、カーボンナノファイバー、黒鉛、コークス類等の炭素材料を用いることができる。導電助剤の形状は、特に制限はなく、例えば粉末状等を採用することができる。
結着剤としては、公知の材料を広く採用することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等が挙げられる。
正極材料中の各種成分の含有量については特に制限はなく、材料の種類に応じて適宜決定することができる。例えば、正極活物質を50~95体積%(好ましくは70~90体積%)、導電助剤を2.5~25体積%(好ましくは5~15体積%)、結着剤を2.5~25体積%(好ましくは5~15体積%)含有することができる。
正極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、白金、モリブデン、ステンレス、銅等が挙げられる。前記正極集電体の形状としては、例えば、多孔質体、箔、板、繊維からなるメッシュ等が挙げられる。
なお、正極集電体に対する正極材料の塗布量は、所望の二次電池の用途等に応じて適宜決定することが好ましい。
負極活物質としては、例えば、カリウム金属;ケイ素;ケイ素含有Clathrate化合物;カリウム合金;M1121 (M11:Co、Ni、Mn、Sn等、M21:Mn、Fe、Zn等)で表される三元又は四元酸化物;M31 (M31:Fe、Co、Ni、Mn等)、M41 (M41:Fe、Co、Ni、Mn等)、MnV、M(M:Sn、Ti等)、MO(M:Fe、Co、Ni、Mn、Sn、Cu等)等で表される金属酸化物;黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラフェン;上記した炭素材料;Lepidocrocite型K0.8Li0.2Ti1.67;KC;KTi;KTi13;KTinO2n+1(n=3,4,6,8);KSiP;KSi;MnSnO;K1.4Ti16;K1.5Ti6.51.516;K1.4Ti6.6Mn1.416;Zn(HCOO);Co(HCOO);Zn1.5Co1.5(HCOO);KVMoO;AV(A=Mn,Co,Ni,Cu);MnGeO;Ti(SO;KTi(PO;SnO;Nb;TiO;Te;VOMoO;polyacetyle (PAc),polyanthracite,polyparaphenylene(PPP),1,4-benzenedicarboxylate (BDC),polayaniline(PAn),polypyrrole (PPy),polythiophene(PTh),teteraethylthiuram disulfide(TETD),poly(2,5-dimercapto-1,3,4-thiadiazole)(PDMcT),poly(2,2’-dithiodianiline)(PDTDA),poly(5,8-dihydro-1H,4H-2,3,6,7-tetrathia-anthracene)(PDTTA),poly(2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl-4-yl methacrylate)(PTMA),K、K・2HO、K,K,K14,K,K24,K,K,K,K14,K,K14,K,K1812,K16,K10等の有機金属化合物等が挙げられる。カリウム合金としては、例えば、カリウム及びアルミニウムを構成元素として含む合金、カリウム及び亜鉛を構成元素として含む合金、カリウム及びマンガンを構成元素として含む合金、カリウム及びビスマスを構成成分として含む合金、カリウム及びニッケルを構成元素として含む合金、カリウム及びアンチモンを構成元素として含む合金、カリウム及びスズを構成元素として含む合金、カリウム及びインジウムを構成元素として含む合金;金属(スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル等)とカーボンを構成元素として含むMXene系合金、M BC系合金(M:Sc、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta等)等の四元系層状炭化又は窒化化合物;カリウム及び鉛を構成元素として含む合金等が挙げられる。
その他、負極活物質としては、SiBN、TiNb1439、Borophane、NiP3、MgNb3487、MnSb、Ti、NaTi13、KTi、LiTi12、NaTi12、NaTi、KTi17、TiC、Ta、(V0.5Cr0.5、MoS、SnSb、PbNb13、CoSe、V、VSe、Ni、ReS、CoS、KTi(PO、Sn、Vitamin K、CoC、Sb、K0.23、Bi、phosphorene、borophene、FeCl、GeSe、Sn、Co[Co(CN)]、Na-K合金、SnS、FeP、SnP、Sn0.5Ge0.25Sb0.25、CN、Al3-xMo12(0<x<2)、Ca0.5Ti(PO、CoSnO、ZnSnO、ZnSnO、CdSnO、NiSnO、SnSe、SnP、SnS、Bi0.57Sb0.43、MoO、FeS、FeSe、MoSe、MoS、Al12、Al2.5Mo0.512、polythiophene、V、K、VS、BiSe、Ni1.8Fe1.2、BS、SnS、ReN、CuMn、WS、ZnC、K0.25TiS、MoN等を挙げることがで
きる。
負極は、集電体に金属カリウム、黒鉛またはカリウム合金を担持させた電極であってもよく、金属カリウム、黒鉛やカーボンまたはカリウム合金を電極に適した形状(例えば、板状など)に成形して得られた電極であってもよい。
前記負極は、負極活物質から構成することもでき、また、負極活物質、導電助剤、及び必要に応じて結着剤を含有する負極材料が負極集電体上に担持する構成を採用することもできる。負極材料が負極集電体上に担持する構成を採用する場合、負極活物質、導電助剤、及び必要に応じて結着剤を含有する負極合剤を、負極集電体に塗布することで製造することができる。
負極が負極活物質から構成される場合、上記の負極活物質を電極に適した形状(板状等)に成形して得ることができる。
また、負極材料が負極集電体上に担持する構成を採用する場合、導電助剤及び結着剤の種類、並びに負極活物質、導電助剤及び結着剤の含有量は上記した正極のものを適用することができる。負極集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられる。前記負極集電体の形状としては、例えば、多孔質体、箔、板、繊維からなるメッシュ等が挙げられる。なお、負極集電体に対する負極材料の塗布量は二次電池の用途等に応じて適宜決定することが好ましい。
セパレータとしては、電池中で正極と負極を隔離し、且つ、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保することができる材料からなるものである限り制限はない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリイミド;ポリビニルアルコール;末端アミノ化ポリエチレンオキシドポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;アクリル樹脂;ナイロン;芳香族アラミド;無機ガラス;セラミックス等の材質からなり、多孔質膜、不織布、織布等の形態の材料を用いることができる。
非水電解液は、二次電池の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、電解液はカリウムカチオンを含むことができる。
特に本発明の二次電池では、電解液がイオン液体を含むことが好ましい。イオン液体としては、カリウムビスフルオロスルホニルイミド(KFSI)のN-プロピル-N-メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Pyr13FSI)溶液、カリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(KTFSI)のN-プロピル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Pyr13TFSI)溶液、その他、カリウム塩として、KPF、KBETI、KfTfN、KfTPfN等を挙げることができる。
その他、イオン液体として、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルロメタンスルホニルアミド)、N,N,N-トリエチル-N-ペンチルアンモニウム(トリフルロメタンスルホニルアミド)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルロメタンスルホニルアミド)N-ブチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルロメタンスルホニルアミド)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(トリフルロメタンスルホニルアミド)等をあげることができる。
その他、非水電解液としては、例えば、カリウム塩を溶媒に溶解させた溶液などが挙げられる。
カリウム塩としては、塩化カリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、ヨウ化カリウムなどのハロゲン化カリウム、過塩素酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロヒ酸カリウムなどのカリウム無機塩化合物;トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、ペンタフルオロプロピオン酸カリウム、カリウムエトキシド、テトラフェニルホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドカリウム、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドカリウム、トリス(ペンタフルオロエタン)トリフルオロフォスフェイトカリウム、安息香酸カリウム、サリチル酸カリウム、フタル酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、グリニャール試薬などのカリウム有機塩化合物などが例示される。
溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメトルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート化合物;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどのラクトン化合物;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メトキシメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、グライム、N-プロピル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジメトキシエタン、ジメトキメタン、ジエトキメタン、ジエトキエタン、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物;アセトニトリル等が挙げられる。
本発明の二次電池は、本発明の正極活物質を構成要素として含むことから、充放電特性に優れると共に、特にサイクル特性に優れる。
本発明の二次電池では、上記非水電解液の代わりに固体電解質を使用することもできる。固体電解質としては、例えば、KBiO3、KNO2-Gd2O3固溶体系、KSbO3、K2SO4、KH2PO4、KZr2(PO4)3、K9Fe(MoO4)6、K4Fe3(PO4)2P27、K3MnTi(PO4)3、KTi2(PO4)3、KHf2(PO4)3、KAg4I5、K2AgI3、K2CuCl3、K2CuBr3、KCu4I5、K1+xMxTi2-x(PO4)3(M=Al, Sc, Y, La)、K2+2xZn1-xGeO4、KTi2(PO4)3、K1+xAlxTi2-x(PO4)3、K1+xScxTi2-x(PO4)3、K1+xYxTi2-x(PO4)3、K1+xLaxTi2-x(PO4)3、K2S-P2S5、K2S-GeS2-P2S5セラミックス、K4-xGe1-xPxS4, K14Zn(GeO4)4、K10GeP2S12、K9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3、K2O-xAl2O3(x=1,5,11)、K1+xZr2SixP3-xO12、K3Zr2Si2PO12、K2.8Zr2-xSi1.8-4xP1.2+4xO12、K3Zr1.6Ti0.4Si2PO12、K3Hf2Si2PO12、K1.2Ag0.8PbP2O7、KCaNb3O10、K0.23Y0.05Si0.18O0.55、K0.17P0.21S0.62、K2O-K5.9Sm0.6Al0.1P0.3Si3.6O9、K6Zn(P2O7)2、KSmP2O7、KLaP2S6、K2La(P2S6)0.5(PS4)、K3La(PS4)2、K4La0.67(PS4)2、K9-xLa1+x/3(PS4)4(x=0.5)、K4Eu(PS4)2、KEuPS4、K2La(P2Se6)0.5(PSe4)、K3La(PSe4)2、K4La0.67(PSe4)2、K9-xLa1+x/3(PSe4)4(x=0.5)、KEuPSe4、KEuAsS4、K3Dy(AsS4)2、K2SmP2S7、K3Gd3(PS4)4、K9Gd(PS4)4、KInP2Se6、K3Cr2P3S12、KSmP2S7、K6Yb3(PS4)5、K2SnAs2S6、KSnAsS5、K3PuP2S7、K3Cr2(PS4)3、K4M2P6S25(M=Ti,Sn)、K3Ti2P5S18(M=Sn,Ti)、K3Cr2(PS4)4、K6Cr2(PS4)4、K2Cr2P2S7、K3Cr2(AsO4)3、K3CeP2S8、K4Sc2(PSe4)2(P2Se6)、KSnPS4、KZrPS6、K3Nd(PS4)2、K9Nd(PS4)4、K9Yb3(PS4)5、K2SnAs6S6、K3Pu(PS4)2、KEuAsS3、K3Ln(AsS4)2(Ln=Nd,Sm,Sd)、KPuP2O7、KScO2、KInO2、K0.72In0.72Sn0.28O2、KxZnx/2Sn1-x/2O2(x=0.58,0.7,0.79,0.8)、K4Nb6O17、KAlSiO4、KFeSi3O8, KAlSi3O8、KFeTi3O8、KAlTi3O8、K2ScSe4、K2ScS4、K2YSeS4、K2YS4、1-xLn2O3-xKTFSA(Ln=Gd,Y,In,Lu,Sm等)、KNO2-Gd2O3、K3Al2(PO4)3、KHf2(PO4)3、K7La3Zr2O12、Na2SO4-Ln2(SO4)3-SiO2(Ln=Y,Gd)、K7La3Zr2O12-K3BO2等のカリウムイオン伝導体等が列挙される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
原料としてKCO(キシダ化学製、純度99.5%)、Fe(キシダ化学製、純度99%)及びMnO(レアメタリック社製、純度99.99%)を準備した。これらの原料をカリウム:鉄:マンガン(モル比)が0.5:0.5:0.5となるようにそれぞれ秤りとり、めのう乳鉢で約30分混合して出発原料を得た。次いで、出発原料をペレット成型し、得られた成型体を、電気炉で空気中、焼成温度を850℃及び焼成時間を16時間として加熱処理した。これにより、カリウムと、鉄と、マンガンを含む酸化物(化合物C)を正極活物質として得た。後に示す装置及び条件でのXRD測定と解析により、正極活物質はK0.5Fe0.5Mn0.5であることを確認した。
(実施例2)
原料としてKFeO及びMnO(レアメタリック社製、純度99.99%)を準備した。これらの原料をカリウム:鉄:マンガン(モル比)が0.5:0.5:0.5となるようにそれぞれ秤りとり、めのう乳鉢で約30分混合して出発原料を得た。なお、KFeOは次のように調製した。原料としてKCO(キシダ化学製、純度99.5%)及びFe(キシダ化学製、純度99.0%)を1:1となるようにそれぞれ秤りとり、めのう乳鉢で約30分混合して混合物を得た。次いで、混合物をペレット成型し、得られた成型体を電気炉で空気中、焼成温度を850℃及び焼成時間を16時間として加熱処理した。これによりKFeOを得た。
前期出発原料をペレット成型し、得られた成型体を、電気炉で空気中、焼成温度を800℃及び焼成時間を15時間間として加熱処理した。これにより、カリウムと、鉄と、マンガンを含む酸化物(化合物C)を正極活物質として得た。後に示す装置及び条件でのXRD測定と解析により、正極活物質はK0.5Fe0.5Mn0.5であることを確認した。
<評価方法>
上記実施例で得られた正極活物質をサンプルとして、下記の評価を行った。
[粉末X線回折(XRD)測定]
X線回折装置((株)リガク製 RINT-UltimaIII/G)を用いてサンプルの測定を行った。X線源にはCuKα線を用い、印加電圧40kV、電流値40mAとした。測定は0.01°/secの走査速度で10°~90°の角度範囲で行った。使用したX線波長は1.5418Åとした。XRD測定の解析は、直接法により結晶構造モデルを決定し、Rietveld法によって解析した。
[ICP測定]
誘導結合プラズマ発光分光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック社の「iCAP6500」を使用してICP-AES測定を行った。
[X線吸収分光測定]
X線吸収分光法(XAS)測定はFe K-及びMn K-edgeに対して透過法で行った。測定用サンプルは、吸収端の立ちあがり「μt」が1程度になるまでBN(窒化ホウ素)を用いて希釈した後、ペレットに成形して測定に用いた。試料調製時の試料の厚さは、一般に入手可能なプログラムコード「Samplem」によって計算した。
[正極活物質の評価(充放電特性及びレートサイクル特性)]
試験用のセルとして、CR2032型コインセルを用いた。各実施例で得たサンプルと、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、アセチレンブラック(AB)とを重量比が85:7.5:7.5となるようにめのう乳鉢で混合した。これにより得られた混合物を、正極集電体であるアルミニウム箔(厚さ20μm)上に塗布し、これを円形(直径8mm)に打ち抜き正極とした。また、試料が正極集電体から剥がれないように30~40MPaで圧着した。負極には14mmΦで打ち抜いた金属カリウムを使用した。セパレータは18mmΦで切り抜いた多孔質celgard 2500(登録商標)を使用した。電解質は以下のイオン液体A及びイオン液体Bの2種類それぞれを使用して試験を行った。
・イオン液体A;カリウムビスフルオロスルホニルイミド(KFSI(森田化学工業株式会社製))を、N-プロピル-N-メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Pyr13FSI)溶媒に、0.5Mの濃度で溶解させたイオン液体。
・イオン液体B;カリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(KTFSI(森田化学工業株式会社製))を、N-プロピル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Pyr13TFSI)溶媒に、0.5Mの濃度で溶解させたイオン液体。
定電流充放電測定は電圧切り替え器を用い、電流約7mAg-1、上限電圧4.7V、下限電圧1.3V、レスト時間10分に設定し、充電より開始した。充放電測定は、25℃恒温槽内にセルを入れた状態で行った。充放電測定において、電流密度は、0.1、0.3、0.5、1、3、5、10及び20Cに相当する電流密度を採用した。なお、カリウム含有化合物の吸湿性による気曝露の影響を回避するため、電池作製等の手段はAr雰囲気に保ったグローブボックス内にて行った。
カリウムが挿入脱離する際の充放電容量実測値を実効容量(attained capacity)とし、金属カリウム電極(負極)に対する電位差を平均作動電位として計測した。正極材料の作動電位と負極材料の作動電位の差を、電池の作動電圧とした。
<評価結果>
図1は、実施例1で得られた正極活物質のXRDパターンを示している。図1において、a,b及びcは格子定数、Vは単位格子体積を示す。XRDパターンから、正極活物質は単一相であることがわかり、また、結晶格子は斜方晶格子を有することが確認された。
図2(a)は、実施例1で得られた正極活物質のTEM画像、(b)はTEM実像[110]入射の画像、(c)はシミュレーション結果を示している。これらの結果からも、実施例1で得られた正極活物質は、結晶格子は斜方晶格子を有することが確認された。
図3は、実施例1で得られた正極活物質のX線吸収分光測定の結果を示し、(a)は6500~6600ev領域、(b)は7050~7200ev領域のX線吸収分光測定の結果である。図3(a)には比較として、4価のマンガンの酸化物(MnO)のX線吸収分光スペクトルを、図3(b)には比較として、3価の鉄の酸化物(KFeO)及びKFe0.5Mn0.5(つまり、3価の鉄と3価のマンガンを含む酸化物)のX線吸収分光スペクトルを示している。この結果から、実施例1で得られた正極活物質は、3価の鉄及び4価のマンガンを有していることが明らかとなった。
図4は、実施例1で得られた正極活物質のICP測定の結果を示す。この結果から、実施例1で得られた正極活物質は、K0.4Fe0.5Mn0.5であることがわかった。仕込み組成であるK0.5Fe0.5Mn0.5からのずれは、高温焼成においてカリウムが多少欠損したことを示している。
図5は、実施例1で得られた正極活物質を使用した電池の評価結果であって、電解液としてイオン液体Aを使用した場合の評価結果である。図5(a)は充放電特性、(b)はレートサイクル特性の結果を示している。図5から、実施例1で得られた正極活物質は良好なサイクル特性を有していることがわかった。
図6は、実施例1で得られた正極活物質を使用した電池の評価結果であって、電解液としてイオン液体Bを使用した場合の充放電特性の結果を示している。図6から、KTFSIイオン液体を用いた場合は、サイクル特性が特に向上することがわかった。
図7は、実施例1で得られた正極活物質と、従来のカリウム化合物系正極活物質とのサイクル特性の比較を示している。実施例1で得られた正極活物質は、他の正極活物質に比べて、高容量であり、しかも、優れたサイクル特性を有していることがわかる。
本発明のカリウムイオン二次電池用正極活物質は、特定の金属を含有するカリウム化合物を含み、優れたサイクル特性を二次電池にもたらすことができることから、カリウムイオン二次電池用の正極材料として好適に使用することができる。また、本発明のカリウムイオン二次電池用正極活物質は製造も容易であるから、低コストの観点からも有利である。従って、本発明のカリウムイオン二次電池用正極活物質を正極材料に含むカリウムイオン二次電池は、低コスト、高容量及び優れたサイクル特性を示すことが期待されることから、ポストリチウムイオン電池として有望である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    (1)
    (式(1)中、Aは、Cr、Fe、Mn、Cu、Co、Ni、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種の3価の金属を示し、Dは、Mn、Si、Ge、Ti、Mo及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の4価の金属を示し、0.25≦x≦0.75、0.25≦y≦0.75及び0.25≦z≦0.75である)
    で表される化合物を含む、カリウムイオン二次電池用正極活物質。
  2. 請求項1に記載のカリウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    カリウムを含む原料R1と、前記金属Aを含む原料R2と、前記金属Dを含む原料R3とを含む出発原料を焼成することにより前記式(1)で表される化合物を得る工程を備える、製造方法。
  3. 請求項1に記載のカリウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    カリウム及び前記金属Aを含む原料R12と、前記金属Dを含む原料R3とを含む出発原料を焼成することにより前記式(1)で表される化合物を得る工程を備える、製造方法。
  4. 請求項1に記載のカリウムイオン二次電池用正極活物質を含む、正極。
  5. 請求項4に記載の正極を構成要素とするカリウムイオン二次電池。
  6. 電解液がイオン液体を含む、請求項5に記載のカリウムイオン二次電池。
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