JPWO2017111030A1 - 光電変換素子及び太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

本発明は、外光条件や視野角によって発生する色調変化を抑えた高い外観性を有する太陽電池を提供することを目的とする。素子基板(106)上に、一対の電極(101、105)と、該一対の電極間に活性層(103)と、を有する光電変換素子(107)であって、前記一対の電極(101、105)の少なくとも一方の電極は、金属層を有する透明電極であり、前記透明電極と前記活性層(103)との間にバッファ層(102、104)を有し、前記バッファ層(102、104)の上部表面及び下部表面の少なくとも一方の表面の算術平均粗さSaが30nm以上であることを特徴とする光電変換素子(107)により課題を解決する。

Description

本発明は、光電変換素子及び太陽電池モジュールに関する。
近年、有機半導体化合物を用いた太陽電池が検討されている。このような太陽電池は、従来の結晶シリコンを用いた太陽電池と比較して、柔軟かつ軽量化が可能であるという利点を生かし、建築物の壁面、窓ガラス等に設置して使用されることが検討されている。
例えば、公知文献1には、透明基板上に、ITOから構成される透明電極と、銀のグリッド電極との間に、光電変換層を有する太陽電池を窓貼り用のフィルムとして使用することが提案されている。
また、公知文献2には、太陽電池を建物の屋根等に設置した場合に、「眩しさ」や「ぎらつき」を抑えるために、入射面に凹凸形状を形成した型板ガラスを使用することが記載されている。
特開2012−186310号公報 特開平11−74552号公報
上述の通り、太陽電池は、建物の壁面や窓ガラス等、人目に近いところに設置されることが想定されるために、太陽電池の実用化のためには高い意匠性が求められる。しかしながら、本発明者らの検討によると、公知文献1に記載されるように、有機太陽電池を窓ガラス等に設置して使用しようとする場合、有機太陽電池を構成する電極の構成によっては、有機太陽電池内に入射した光の干渉により、外光条件又は視野角により色調が変化する現象が発生する場合があることが判明した。この問題を改善するために、公知文献2に記載されるように太陽電池の外部に光拡散体を設けることも考えられるが、この場合、透過光が拡散してしまい、太陽電池を通して見える光景が霞んでしまうために意匠性に新たな問題が発生し、さらには、光拡散体を設けるためにプロセスが煩雑化してしまうという問題が発生する場合があることが判明した。本発明は、簡易な方法により、高い意匠性を備えた太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、バッファ層の表面の算術平均粗さSaを調整することによって、上記課題を解決することができ、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]素子基板上に、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有する光電変換素子であって、前記一対の電極の少なくとも一方の電極は、金属層を有する透明電極であり、前記透明電極と前記活性層との間にバッファ層を有し、前記バッファ層の上部表面及び下部表面の少なくとも一方の表面の算術平均粗さSaが30nm以上であることを特徴とする光電変換素子。
[2]前記バッファ層の表面の算術平均粗さSaが30nm以上である表面が前記透明電極側の表面であることを特徴とする[1]に記載の光電変換素子。
[3]前記透明電極が、上部電極であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4]前記バッファ層の膜厚が100nm以上500nm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光電変換素子。
[5]前記バッファ層の前記透明電極側表面の算術平均粗さSaが100nm以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
本発明により、簡易な方法で高い意匠性を備えた太陽電池を提供することができる。
本発明の一実施形態における光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態における太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
<1.光電変換素子>
本発明の一実施形態に係る光電変換素子は、素子基板上に、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有し、該一対の電極の少なくとも一方の電極は透明電極であり、該透明電極と該活性層との間にバッファ層を有する。なお、なかでも光電変換素子は、透明基板上に一対の透明電極と、該一対の透明電極間に活性層と、を有し、該一対の透明電極の少なくとも一方の電極と該活性層との間にバッファ層を有する構成であることが好ましい。以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る光電変換素子107の構成を説明する。
図1に示すように、光電変換素子の一実施形態は、基材106上に、下部電極101及び上部電極105により構成される一対の透明電極と、該一対の透明電極間に活性層103と、下部電極101と活性層103との間に下部バッファ層102と、上部電極105と活性層103との間に上部バッファ層を有する。なお、本発明において、下部電極とは、基材106側に積層される電極を意味し、上部電極とは、基材106をボトムとした際に、下部電極よりも上部に形成される電極を意味する。なお、下部バッファ層102及び上部バッファ層104は、必ずしも両方を有する必要はなく、少なくとも一方のバッファ層を有していればよい。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、光電変換素子は、上記以外の別の層を任意で有していてもよい。以下、光電変換素子の各構成部材について説明する。
<1−1.素子基板106>
素子基板106は、光電変換素子を構成する支持部材である。透明基板106は、光電変換素子107を構成する電極および活性層を積層し、支持できる限り制限されないが、例えば、絶縁層が形成された金属基板、薄膜ガラス又は透明な樹脂基材が挙げられる。なかでも、素子基板106は、薄膜ガラス又は透明な樹脂基材等の透明基板であることが好ましい。なお、本発明において、透明基板とは、JISR 3106で定義される可視光線透過率が60%以上である基板を意味する。これらのなかでも、光電変換素子を含む太陽電池の設置の自由度を上げるためには、素子基板106は透明な樹脂基材であることが好ましい。
樹脂基材を形成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料などが挙げられる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル樹脂フィルムが、光電変換素子107の形成しやすさの点で好ましい。
また、プロセス性を考えた場合、樹脂基材に使用される材料のガラス転移温度は100℃以上であることが好ましい。
なお、透明基板106の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これら透明基板106の材料に炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。
透明基板106の厚さは、上記の透光性を有する限りにおいて特段の制限はないが、取り扱いの容易さの観点からは、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であり、一方、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下である。
<1−2.一対の電極(101、105)>
一対の電極は、下部電極101及び上部電極105により構成され、一対の電極のうち一方の電極は活性層が光を吸収することにより発生する正孔を捕集する機能を有する電極(以下、アノードと称す)であり、他方の電極は、活性層が光を吸収することにより発生する電子を捕集する機能を有する電極である(以下、カソードと称す)。下部電極101をアノードとする場合、上部電極105をカソードとし、下部電極101をカソードとする場合、上部電極105をアノードとすることが好ましい。
光電変換素子107が光を受光して発電するために、一対の電極のうち、少なくとも一方の電極は、透明電極であることが好ましく、他方の電極は、必ずしも透明電極である必要はない。しかしながら、意匠性の高いシースルー型の光電変換素子とする場合は、一対の電極はともに透明電極であることが好ましい。なお、本発明において透明電極とは、通常60%以上の可視光線透過率を有する電極を意味するが、変換効率を向上させるためには、透明電極の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、一方、上限は特段限定されないが、通常90%以下である。なお、該電極の可視光線透過率は、分光光度計により測定することができ、例えば、製紫外可視近赤外分光光度計UV−3600(島津製作所製)とフィルムサンプルホルダーを用いて測定することができる。測定結果は、JIS R 3106:1998に従って、波長380nm〜900nmまでの透過率が算出され、これらの波長領域の透過率の平均として、透明電極の透過率を算出することができる。
下部電極101及び/又は上部電極105を透明電極とする場合、下部電極101及び/又は上部電極105は、上述の可視光線透過率を有してさえいれば、透明導電層又は金属層による単層で形成されていてもよいし、透明導電層及び金属層との積層により形成されていてもよい。しかしながら、透明電極を透明導電層のみで形成すると、抵抗が高く、良好な導電性を示さない傾向があるために変換効率が低下する場合がある。また、透明電極を薄い金属層のみにより形成する場合、金属層は腐食しやく、経時的に光電変換素子が劣化する傾向があるために、透明電極とする電極は、透明導電層と金属層の積層により形成することが好ましい。一方、通常、金属層は光の反射率が高い傾向があるために、後述するように、光の干渉によって、光電変換素子の外観色が影響を受ける場合がある。しかしながら、本発明によれば、後述するように、活性層と該透明電極との間に設けられたバッファ層表面の形状を調整することにより、光の干渉による光電変換素子の外観色の影響を抑制することができる。そのため、本発明においては、透明電極の腐食防止及び高い導電性を達成しつつ、光干渉による光電変換素子の外観色が影響を受けるのを抑制することができるために、透明電極を透明導電層及び金属層を用いて構成した光電変換素子において特に有効である。なお、透明導電層と金属層を積層させる場合、透明電極として上述の光透過率を有する限りにおいて、複数の金属層及び/又は複数の透明導電層を積層させてもよい。例えば、透明導電層、金属薄層及び透明導電層が順次形成された積層構造であってもよい。
透明電極層に用いられる材料としては、特段の制限はないが、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、亜鉛とスズの複合酸化物(ZTO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化トリウム(ThO)、酸化スズ(SnO)、酸化ランタン(La)、酸化インジウム(In)、酸化ニオブ(Nb)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化チタン(TiO)、酸化ビスマス(BiO)等である。また、透明高屈折率硫化物を用いても良く、具体的に例示すると、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモン(Sb)等が挙げられる。これらの中でも、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とスズの複合酸化物(ZTO)等の非晶質性酸化物を用いることが好ましい。
また、透明導電層は、シート抵抗が100Ω/□以下であることが好ましく、50Ω/□以下であることがさらに好ましく、一方、0.1Ω/□以上であることが好ましい。
金属層の材料は、特段の制限はなく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、クロム、銅、コバルトの等の金属又はその合金が挙げられる。これらのなかでも、金属層を形成する材料は、高い電気伝導性を示すとともに、薄膜における可視光線透過率の高い銀又は銀の合金であることが好ましい。なお、銀の合金としては、硫化又は塩素化の影響を受けにくく薄膜としての安定性を向上させるために、銀と金の合金、銀と銅の合金、銀とパラジウムの合金、銀と銅とパラジウムの合金、銀と白金の合金等が挙げられる。
金属層の膜厚は、透明電極として70%以上の可視光線透過率を維持できる限りにおいて、特段の制限はないが、良好な導電性を得るために1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、一方、光透過率が低下して活性層に入射する光量が低下するのを防ぐために、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
上述の通り、一対の電極(101、105)は、一方の電極が透明電極であれば、他方の電極は必ずしも透明電極でなくてもよく、非透明電極であってもよい。非透明電極を用いる場合、特段の制限はないが、例えば、上述したような金属層を厚膜化して形成することにより、非透明電極を形成することができる。なお、下部電極101及び上部電極105を共に透明電極とする場合、下部電極101及び上部電極105はともに、金属層と透明導電層の積層構造であることが好ましい。
下部電極101及び上部電極105の全体の厚さは、特段の制限はなく、光学特性及び電気特性を考慮して任意で選択すればよい。なかでも、シート抵抗を抑えるために、下部電極101及び上部電極105のそれぞれの膜厚は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、一方、高い透過率を維持するために、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。
下部電極101をアノードとし、上部電極105をカソードとする場合、下部電極101は上部電極105よりも仕事関数の大きい材料を使用することが好ましい。一方、下部電極101をカソードとして、上部電極105をアノードとする場合、下部電極101は上部電極105よりも仕事関数の小さい材料により形成することが好ましい。なお、光電変換素子に、後述するような下部バッファ層102及び/又は上部バッファ層104を設けて仕事関数を調整することにより、下部電極101及び上部電極105は同じ仕事関数を有する材料により形成することもできる。
下部電極101及び上部電極105の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法等が挙げられる。なお、下部電極101及び上部電極105に対して表面処理を行うことにより、電気特性や濡れ特性等を改良してもよい。
<1−3.バッファ層(102、104)>
本実施形態に係る光電変換素子は、一対の透明電極(101、105)の少なくとも一方の透明電極と活性層103との間にバッファ層を有する。すなわち、上部電極105と活性層103との間に上部バッファ層104、及び/又は下部電極101と活性層103との間に下部バッファ層102を有する。
バッファ層は、活性層103からカソードへの電子取り出し効率を向上させる電子取り出し層又は活性層103からアノードへの正孔取り出し効率を向上させる正孔取り出し層に分類される。なお、下部バッファ層102及び上部バッファ層104の両方を設ける場合、下部バッファ層102及び上部バッファ層104の一方の層を正孔取り出し層とし、他方のバッファ層を電子取り出し層とすればよい。例えば、下部電極101をアノードとし、上部電極105をカソードとする場合、下部バッファ層102を正孔取り出し層とし、上部バッファ層104を電子取り出し層とすればよい。一方、下部電極101をカソードとし、上部電極105をアノードとする場合、下部バッファ層102を電子取り出し層とし、上部バッファ層104を正孔取り出し層とすればよい。
本実施形態において、下部電極101及び上部電極105のうち、金属層を有する透明電極である一方の電極に隣接する少なくとも一方のバッファ層の表面の算術平均粗さSaは、30nm以上である。すなわち、下部バッファ層102及び上部バッファ層104の少なくとも一方のバッファ層の、上部表面及び下部表面の少なくとも一方の表面の算術平均粗さSaは、30nm以上である。なお、下部バッファ層102の上部表面とは、活性層103側の表面を意味し、下部バッファ層102の下部表面とは、下部電極101側の表面を意味する。一方、上部バッファ層104の上部表面とは、上部電極105側の表面を意味し、上部バッファ層104の下部表面とは、活性層103側の表面を意味する。
バッファ層の表面の算術平均粗さSaを上述の範囲とすることで、色調の変化を抑制でき、外観性に優れた光電変換素子を提供できるものと考えられる。この理由としては、以下の理由が考えられる。一般的に、光電変換素子の変換効率を向上させるために、特開2013−55125号公報及び特開2014−27101号公報に記載されるように、活性層と電極との間に、電子ブロッキング層や正孔取り出し層のようなバッファ層が設けられる。また、通常、バッファ層に隣接して設けられる活性層は、可視光領域の光を吸収するように着色された層であるのに対して、バッファ層は、活性層が多くの光を吸収できるようにより透明であることが好ましいと考えられる。そのために、光電変換素子の外観色は活性層の色彩特性に依存する傾向がある。逆に言えば、意匠性が求められるような光電変換素子及び/又は太陽電池の場合、活性層の色彩特性を調整することにより、光電変換素子及び/又は太陽電池が望ましい外観色を呈するように調整することができると考えられる。しかしながら、本発明者らの検討によると、上述のような金属層を有する透明電極と活性層との間にバッファ層を設けた場合、一般的に金属層は反射率が高い傾向があるために、仮に、活性層の色彩特性を調整して望ましい外観色を備えた光電変換素子を作製しようとしても、該電極側から光電変換素子を観察した場合、金属層とバッファ層間の反射光と、バッファ層と活性層間の反射光と、の光干渉により、光電変換素子及び/又は太陽電池が望ましくない外観色を呈する場合があることが判明した。
このような課題に対して、本発明においては、上述の通り、金属層を有する透明電極に隣接するバッファ層の少なくとも一方の表面の算術平均粗さSaを30nm以上とすることにより、バッファ層と電極、又はバッファ層と活性層との界面で光散乱を効率よく起こすことができ、その結果、透明電極の金属層とバッファ層との界面における反射光と、バッファ層と活性層との界面における反射光による光干渉を抑えることができる。そのため、光電変換素子及び/又は太陽電池が望ましくない外観色を呈するのを防ぐことができ、意匠性の高い光電変換素子及び太陽電池を提供することができる。
なかでも、該算術平均粗さSaは、35nm以上であることがさらに好ましく、40nm以上であることが特に好ましい。
一方、バッファ層と電極間及び/又はバッファ層と活性層間の光散乱効率を抑制して光電変換素子を通して見える光景が霞んでしまうのを防ぎ、さらには、バッファ層と他の層との密着性の低下の抑制、光電変換素子が短絡するのを防ぐために、該算術平均粗さSaは、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがさらに好ましく、45nm以下であることが特に好ましい。
なお、算術平均粗さSaは、JIS B0681−6(2014)に基づいて算出することができ、具体的には、測定面積Aの平面上の点(x、y)の高さz(x、y)に対して、下記式により定義される。
Figure 2017111030
具体的に、算術平均粗さSaは、3次元表面測定機により測定することができ、例えば、菱化システム社製「VertScan(登録商標)」により測定することができる。
なお、本発明は、下記の理由により、下記式(1)を満たす光電変換素子において、特に効果的である。
780nm≧(4×n×d)/(2m+1)≧380nm (1)
なお、式(1)中、nは該算術平均粗さSaを有するバッファ層の屈折率を表し、dは該バッファ層の膜厚を表し、mは0以上の整数を表わす。
通常、活性層の屈折率はバッファ層の屈折率よりも大きいために、バッファ層と透明電極の金属層間との反射光と、バッファ層と活性層間とによる光干渉、すなわち、バッファ層内の光干渉により、下記式(2)を満たす波長(λ)の干渉光が発生することになる。2×n×d=(m+1/2)×λ (2)
なお、式(2)中のn、d、m及びλはそれぞれ、式(1)中のn、d、m及びλと同義である。ここで、可視光領域の波長は、おおよそ380nm以上780nm以下であるために、上記式(2)から、λ=(4×n×d)/(2m+1)が、380nm以上780nm以下の場合にバッファ層内の光干渉により、可視光領域の干渉光が目立つことになる。従って、上記式(1)を満たす場合に、特に、可視光領域の干渉光が光電変換素子の外観色に影響を及ぼすことになる。一方、本発明においては、上記式(1)におけるn及びdを有するバッファ層の少なくとも一方の表面が上述のように特定の算術平均粗さSaを有しているため、光散乱効果によるバッファ層内でのこのような光干渉の発生を抑制することができる。従って、本発明は、上記式(1)を満たす光電変換素子において特に有効になりうる。
なお、以下の理由により、上記式(1)の中でも、mが0以上3以下の整数の場合において、本発明は特に有効となり得る。式(1)を満たす場合、mが大きくなるにつれて、n×dの値が大きくなるにつれて、可視光領域に現れる干渉波の数は多くなり、反射率の極大ピークが多くなることになる。つまり、mが大きくなるにつれて、多くの反射光が混色されることになり、特定の原色の干渉色が目立たなくなる。特に、mが4以上の場合、特定の原色の干渉色が目立たなくなる傾向があるために、上記式(1)において、mが0以上3以下の整数の場合、すなわち、バッファ層内における可視光の光干渉がより目立つ場合に、本発明は特に有効である。
なお、バッファ層に使用される材料を考慮すると、バッファ層の屈折率は、通常、2以下である。そして、可視光の波長の下限が約400nmであることを踏まえて上記式(1)を考慮すると、バッファ層の膜厚が100nm以上となる場合に、バッファ層内の特定色の干渉光が発生する傾向があると考えられる。一方、バッファ層の膜厚が500nmを超えると、多重光干渉が発生する傾向があるために、特定色の干渉光が発生しにくくなる。従って、上記式(1)を満たす場合という要件を別の側面から見ると、バッファ層の膜厚が100nm以上500nm以下であるとの要件と、近い関係にあることが理解できる。そのため通常、バッファ層の膜厚が100nm以上500nm以下の場合、バッファ層内において特定色の可視光領域の干渉光が発生する傾向があり、光電変換素子の外観色に影響を及ぼす傾向がある。従って、本発明は、上記特定の算術平均粗さを有するバッファ層の膜厚が、100nm以上500nm以下を満たす光電変換素子において特に有効になり得る。
上記の中でも、特に、窓ガラス等の人目に付きやすい箇所に太陽電池モジュールを設置する場合、太陽電池モジュールが赤色や黄色を呈するのは好ましくないと考えられる。そのため、上記式(1)において、下記式(3)を満たす光電変換素子に対して、本発明はさらに有効であり得る。
780nm≧(4×n×d)/(2m+1)≧570nm (3)
なお、式(3)中のn、d及びmはそれぞれ、式(1)中のn、d及びmと同義である。
なお、波長によって屈折率nに変動が生じる場合があるが、バッファ層に使用されるような透明の材料は屈折率の波長依存性は小さいために、本発明において、屈折率nは485nmの波長における屈折率を使用するものとする。また、屈折率nを測定する方法は特段の制限はないが、例えば、JIS K 0062記載の方法に従って、アッベ屈折率計やプルフリッヒ屈折率計、ディジタル屈折率計などを用いて測定することができる。また、プリズムカップラ法や液浸法、分光学的方法によっても測定することができる。なお、分光学的方法の具体的な例は、応用物理第65巻第11号1125頁〜1130頁に記載に従って、a)分光反射率や分光透過率を用いて光学シミュレーションによって求める方法や、b)分光エリプソメトリによって求める方法等がある。
また、後述するようにバッファ層は、半導体化合物又は導電性化合物により形成することができるが、半導体化合物と比較して、抵抗の小さい導電性化合物をバッファ層として用いた場合には、バッファ層の膜厚を大きくすることが可能となるために、変換効率を向上させることができる。一方、上述の通り、バッファ層がある程度の膜厚を有する場合に可視光領域の光干渉が目立つ場合があるが、本発明では該バッファ層の算術平均粗さを調整することにより、可視光領域の光干渉を抑制することができるために、本発明においては、金属層を有する透明電極に隣接する、特定の算術平均粗さを有するバッファ層は、導電性化合物であることがより好ましい。
本実施形態に係る光電変換素子は、少なくとも一方のバッファ層の表面の算術平均粗さSaが上述の範囲であればよく、他方のバッファ層の表面の算術平均粗さSaは上述の範囲内であってもよいし、範囲外であってもよい。また、バッファ層の下部表面及び上部表面の少なくとも一方の表面の算術平均粗さSaが上記の範囲であれば、他方の表面の算術平均粗さSaは上記の範囲内であってもよいし、範囲外であってもよい。なお、下部電極101及び上部電極105が共に金属層を有する透明電極であっても、少なくとも一方のバッファ層の表面の算術平均粗さSaが30nm以上であれば、少なくとも当該算術平均粗さを有するバッファ層が存在する側から光電変換素子を観察した場合に、可視光領域による光干渉による外観色への影響を抑制することができる。
なかでも、本発明は、下記の通り、光電変換素子の変換効率及び耐久性の低下を防ぐという観点から、上部電極に金属層を有する透明電極を備えた光電変換素子において特に有効である。一般的に光電変換素子は基板106上に各層を積層させることにより製造することができるが、下部電極101と活性層103との間の下部バッファ層102の上部表面及び/又は下部表面の算術平均粗さSaが大きくなると、これに起因して、下部バッファ層102上に形成される活性層103の下部表面にも凹凸形状が形成されることになるために、活性層103の均一性が失われてしまう傾向がある。その結果、光電変換素子が短絡してしまったり、安定性が失われる可能性があり、さらには、下部バッファ層102及び活性層103との界面の密着性が弱くなる場合があり、高い耐久性が得られにくくなる場合がある。従って、活性層103の下部表面を比較的平坦に形成するために、下部バッファ層の上部表面及び下部表面の算術平均粗さSaを30nm未満とし、上部バッファ層104の上部表面及び/又は下部表面の算術平均粗さSaを30nm以上とする形態としてもよい。なかでも、活性層103の上部表面も平坦に形成して、安定な光電変換素子を提供する場合、上部バッファ層の上部表面側、すなわち、上部電極105側の表面の算術平均粗さSaを30nm以上とし、下部表面側、すなわち、活性層103側の表面の算術平均粗さSaを30nm未満とすることが好ましい。
バッファ層の上部表面の算術平均粗さSaを調整する方法に特段の制限はない。例えば、該バッファ層を湿式成膜法により形成する場合、湿式成膜に用いる塗布液に超音波処理を施した後に、一定時間放置した塗布液を用いることにより特定の該算術平均粗さSaを有するバッファ層を形成することができる。このとき、超音波処理時間を長くする又は超音波処理後の放置時間を長くすることにより算術平均粗さSaを大きくすることができる。例えば、室温で超音波処理を行う場合は、放置時間を20時間以上とすることが好ましい。なお、超音波処理を行う際の温度を高くすることにより、放置時間を短くしてもバッファ層の上部電極側表面の算術平均粗さを大きくすることができる。また、バッファ層を形成した後に、エッチングプロセス等の物理的・化学的プロセスを施すことにより、バッファ層の電極表面側の算術平均粗さSaを調整することもできる。また、マスク等を用いてバッファ層を形成することで、バッファ層の電極側の算術平均粗さSaを調整することもできる。また、バッファ層の下部表面の算術平均粗さSaを調整する場合は、該バッファ層の下地となる層に対して、例えば、上述のエッチングプロセス等により算術平均粗さを調整すればよい。
電子取り出し層の材料は、活性層103からカソードへの電子取り出し効率を向上させることができる材料であれば特段の制限はなく、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、光電変換素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層の材料は特段の制限はないが、LUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である。一方、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることは、n型半導体材料への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上である。一方、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法を参考にして実施することができる。
正孔取り出し層の材料としては、活性層103からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば、特段の制限はないが、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物等の導電性化合物;酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物半導体、ナフィオン、後述のp型半導体等の半導体化合物;が挙げられる。好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。
バッファ層(101、105)の膜厚は特段の制限はなく、用いられるバッファ層材料により、適宜設定し得る。バッファ層材料として半導体化合物を用いる場合、電子又は正孔取り出し効率を向上させるために、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。一方、光電変換素子の内部抵抗を低く保ち、光電変換素子の変換効率を向上させるために、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。一方、バッファ層材料として導電性化合物を用いる場合、電子又は正孔取り出し効率を向上させるために、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。一方、光電変換素子の内部抵抗を低く保ち、光電変換素子の変換効率を向上させるために1000nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがさらに好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。光電変換素子において、一実施形態では導電性化合物がバッファ層として用いられることから、上記の算術平均粗さSaを有するバッファ層の膜厚が100nm以上500nm以下の場合に、本発明は特に有効である。なお、バッファ層の膜厚は、分光エリプソメトリを用いて平均膜厚を算出することにより求めることができる。
電子取り出し層及び正孔取り出し層の形成方法は特段の制限は無く、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は蒸着法、スパッタ法等の真空蒸着法により形成することができる。また、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。また、半導体材料を用いる場合は、活性層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換してもよい。なかでも、PEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOSTMシリーズや、アグファ社製のORGACONTMシリーズ等が挙げられる。
<1−4.活性層103>
活性層103は、光電変換が行われる層である。すなわち、光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、活性層103内で電気が発生し、発生した電気がアノード及びカソードから取り出される。
活性層103の層構成としては、特段の制限はないが、p型半導体化合物を含有する層とn型半導体化合物を含有する層とが積層された薄膜積層型、又はp型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層(混合層)であるバルクヘテロ型接合型が挙げられる。また、活性層103はペロブスカイト化合物を用いて形成することもできる。なお、バルクヘテロ接合型の活性層及びペロブスカイト化合物を用いた活性層は、該混合層の他にp型半導体化合物を含有する層及び/又はn型半導体化合物を含有する層がさらに積層された構造であってもよい。また、ペロブスカイト化合物を用いて活性層を形成する場合、該有機無機混成化合物の下地層として酸化チタン等の多孔質膜を設けてもよい。これらのなかでも、高い変換効率が期待できることから、活性層103はバルクヘテロ接合型であることが好ましい。
p型の有機半導体化合物は、特段の制限はなく、p型の低分子有機半導体化合物、p型の有機半導体オリゴマー、及びp型の有機半導体ポリマーが挙げられる。
p型の低分子有機半導体化合物は、特段の制限はないが、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン等が挙げられる。
p型の有機半導体オリゴマーは特段の制限はないが、セキシチオフェン等のオリゴチオフェン又はこれら化合物を骨格として含む誘導体等が挙げられる。
p型の有機半導体ポリマーは、特段の制限はないが、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、チオフェン環又はチオフェン縮合環を含むポリマー等が挙げられる。より具体的には、国際公開第2011/016430号、国際公開第2013/180243号、日本国特開2012−191194号公報等に記載される公知のp型半導体ポリマーが挙げられる。
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、フラーレン;フラーレン誘導体;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。
これらのなかでも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はn型高分子半導体材料が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型高分子半導体化合物がより好ましく、フラーレン化合物が特に好ましい。これらの化合物としては、特段の制限はないが、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。なお、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
ペロブスカイト化合物は、特段の制限はなく、公知のペロブスカイト化合物が挙げられ、例えば、国際公開第2014/045021号、日本国特開2014−49596号公報、日本国特開2016−82003号公報等に記載のペロブスカイト化合物が挙げられる。
活性層103の膜厚は特に限定されないが、通常50nm以上、好ましくは100nm以上であり、一方、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。活性層103の膜厚が50nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、活性層103の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
活性層103の形成方法は、特段の制限はく、使用する材料を考慮して、公知の方法により形成することができる。具体的には、蒸着法、スパッタ法等の真空成膜法又は該p型半導体化合物及び/又はn型半導体化合物と、溶媒を含有するインクを用いた湿式成膜法により形成することができる。
湿式成膜法としては、特段の制限はなく、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
活性層103を湿式成膜法により形成する場合のインクの溶媒は、特段の制限はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、テトラリン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。なお、溶媒は1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。
活性層103をp型半導体化合物を含む層とn型半導体化合物とを含む層の薄膜積層型とする場合、特段の制限はないが、上述のような方法により各層を成膜することにより形成すればよい。また、活性層103をバルクヘテロ接合型とする場合、特段の制限はないが、p型半導体化合物と、n型半導体化合物と、溶媒とを含むインクを作製しておき、該インクを用いて湿式成膜法により形成することが好ましい。また、活性層103をペロブスカイト化合物を用いて形成する場合は、例えば、国際公開第2014/045021号、日本国特開2014−49596号公報、日本国特開2016−82003号公報等に記載の方法を用いればよい。
<1−5.その他の層>
光電変換素子107は、上記説明した層以外の層を有してもよい。例えば、アンダーコート層又はバリア層を有していてもよい。
<1−5−1.アンダーコート層>
透明基板106と下部電極101との間にアンダーコート層を設けてもよい。アンダーコート層は基材106と下部電極101の密着性を向上させる機能を有する。アンダーコート層の材料は、特段の制限はないが、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料、有機ケイ素化合物の加水分解により生成する物質、シリカ等の無機物質等が挙げられる。なお、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料を用いる場合は、架橋させて用いてもよいし、非晶質シリカなどの無機物を混合して用いてもよい。
アンダーコート層は、透明性を有することが好ましい。具体的には、アンダーコート層はJISR 3106で定義される可視光線透過率が70%以上であることが好ましい。
アンダーコート層の厚さは、取り扱いの容易さの観点からは、通常10nm、好ましくは15nm以上であり、一方、通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。
<1−5−2.バリア層>
透明基板106と下部電極101との間にバリア層を有していてもよい。バリア層を有することにより、下部電極101の成膜時に、透明基板106からの脱ガスが抑えられるために下部電極101の成膜性が改善するとともに、透明基板106の耐熱性、耐プラズマ性を向上させることができる。
バリア層の材料としては、特段の制限はないが、緻密な膜を形成できるものが好ましい。具体的には、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の透明無機化合物、あるいは、その混合化合物からなるものが挙げられる。これらのなかでも、酸化珪素、窒化珪素及びその混合物、並びに酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及びその混合物が挙げられる。
バリア層の膜厚は、特段の制限はないが、光電変換素子107の透明性を損ねない範囲でガスバリア性を保てる膜厚であることが好ましい。具体的には、通常10nm以上、好ましくは20nm以上であり、一方、通常500nm以下、好ましくは100nm以下である。バリア層が薄すぎると均一で連続した膜を得ることが難しくバリア性が低下しやすく、バリア層が厚すぎると基体との密着力が低下したり、該薄膜層が割れ易くなりバリア性が低下し、また、光の干渉により着色したりして好ましくない。
なお、光電変換素子107がアンダーコート層及びバリア層の両方を有する場合、その構成は、基材106、アンダーコート層、バリア層、下部電極101の順であってもよいし、基材106、バリア層、アンダーコート層、下部電極101の順であってもよい。
<1−6.光電変換素子107の製造方法>
光電変換素子107は、各層について説明した上述の方法に従い、基材106上に、各層を順次積層することにより作製することができる。
下部電極101及び/又は上部電極105を積層した後に、加熱によりアニール処理を行ってもよい。アニール処理を行うことにより各層の密着性を向上させることができる。アニール処理を行う場合、加熱温度は特段の制限はないが、各層の密着性を向上させるために、50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、一方、光電変換素子を構成する材料が熱分解するのを抑制するために、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。
加熱時間は、特段の制限はないが、1分以上であることが好ましく、3分以上であることがさらに好ましく、一方、3時間以下であることが好ましく、1時間以下であることがさらに好ましい。また、アニール処理は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱は、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せて行ってもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れて行ってもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
本発明に係る光電変換素子を構成する各層は、特段の制限はなく、シート・ツー・シート(枚葉)方式で形成してもよいし、ロール・ツー・ロール方式で形成してもよい。
ロール・ツー・ロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロール・ツー・ロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、シート・ツー・シート方式に比べて量産化に適した生産方式である。
<2.太陽電池モジュール>
本発明の実施形態に係る光電変換素子は、太陽電池モジュールとして使用することができる。例えば、図2に示すように、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、光電変換素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備えた太陽電池モジュールとすることができる。なお、太陽電池モジュールは、通常、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、光電変換素子6が発電する。なお、太陽電池モジュールは、これらの構成部材を全て有する必要はなく、各構成部材を任意で選択して設ければよい。
太陽電池モジュールを構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。
なお、太陽電池モジュールは、直接反射光と拡散反射光により測定された色座標の測定値と、拡散反射光のみにより測定された色座標の測定値との色相差であるΔHが5以下であることが好ましい。
ΔHを5以下にすることにより、外光条件や視野角に依存する色調の変化を抑えることができる。
なお、直接反射光は、光の入射角と等しい角度の反射光のことであり、拡散反射光は、光の入射角とは異なる角度の反射光のことである。直接反射光と拡散反射光を合わせた反射光スペクトル、および拡散反射光だけの反射光スペクトルは、通常の分光測色系により測定することができる。具体的には、分光測色計CM−700D(コニカミノルタ社製)を用いて測定することができる。
なお、色相差ΔHは、直接反射光と拡散反射光を合わせた反射色の色座標LI*、aI*、bI*と、拡散反射光だけの反射色の色座標LE*、aE*、bE*を用い、以下の式に従って算出する。ここで色座標はJIS Z 8722条件cに従い、例えば、コニカミノルタ社製分光測色計CM−700Dを用いて測定することができる。
Figure 2017111030
色相差ΔHが大きいほど反射色に占める直接反射光の割合が高く、外光条件や視野角による色調が変化しやすいことを意味する。
<3.用途>
太陽電池モジュール10の用途は、制限はなく任意である。太陽電池モジュール10を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池及び玩具用太陽電池などに用いて好適である。
具体例としては、建材用太陽電池としてハウス屋根材、屋上、トップライト、壁、窓等に適用したり、インテリア用太陽電池として内装等に適用したり、自動車用太陽電池として自動車のボンネット、ルーフ、トランクリッド、ドア、フロントフェンダー、リアフェンダー、ピラー、バンパーおよびバックミラーの表面等に適用したり、その他としてひさし、ルーバー、手摺、野菜工場や駐車場の外壁、高速道路の遮音壁及び浄水場の外壁等、人目につきやすい箇所に適用することができる。特に、窓に適用したウインドフイルムや、ガラス壁に適用したガラスカーテンウォールとして使用されるのが好ましい。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。まず、本実施例で行った測定試験について説明する。
<正孔取り出し層表面の算術平均粗さSaの測定>
正孔取出し層を形成した後に、白色干渉方式表面形状測定装置VertScan(菱化システム製)を用いて正孔取り出し層の表面の算術平均粗さSaを測定した。
<色相差ΔHの測定>
有機薄膜太陽電池モジュールの色相差ΔHは、コニカミノルタ製分光測色計CM=700dを用いて、D光源10度視野での直接反射光を含めて測定するSCIモード及び直接反射光は含めずに測定するSCEモードでの色座標を測定し、SCIモード及びSCEモードでの測定から色相差ΔHを測定して得た。
<太陽電池モジュールの変換効率の測定>
JIS C 8935:2005に準拠して、太陽電池モジュールの光電変換効率を測定した。
<色調評価>
有機薄膜太陽電池モジュールの色調評価は、照度700ルクスの昼光色蛍光灯下、黒色の下敷きの上に有機薄膜太陽電池を置き、斜め45度の角度で約100cmの距離から目視評価した。色調評価は下記の通りである。
○:外光条件や視野角による色調変化がない。
×:外光条件や視野角により明らかな色調変化がある。
<実施例1>
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム社製Q65、厚さ125μm)の片面に、スパッタリング法により、厚さ50nmの第1の酸化インジウム層、厚さ8nmの銀層、厚さ30nmの第2の酸化インジウム層をこの順に積層して、下部電極を形成した。
次に、下部電極の上に、日本国特開2015−127408号公報に記載された方法により、下部バッファ層である電子取り出し層として、厚さ50nmの酸化亜鉛層を形成した。
次に、酸化亜鉛層上に、厚さ320nmの光電変換層を形成した。具体的には、高分子有機半導体とフェニルC61フラーレン酪酸メチルエステル(PCBM)を重量比1:2.5で含む混合物を、6質量%となるように有機溶媒に溶解させた溶液を用いて酸化亜鉛層上に塗布することにより形成した。
次に、光電変換層上に、上部バッファ層である正孔取り出し層として、厚さ400nmのPEDOT:PSS層(波長485nmにおける屈折率:1.52)を形成した。具体的には、PEDOT:PSS層は、PEDOT:PSS分散液を超音波分散した後、96時間放置し、その後、ドクターブレード法で光電変換層上に塗布し、窒素雰囲気化145℃、30分間乾燥して形成した。なお、得られたPEDOT:PSS層の平均膜厚は、分光エリプソメーターGES5−E(日本セミラボ社製)を用いて求めた。
次に、正孔取り出し層上に、スパッタリング法により厚さ8nmの銀層、及び厚さ40nmの酸化インジウム層をこの順に積層して、上部電極を形成し、2mm×2mmのサイズの受光面積部分を有する光電変換素子を作製した。
次に、光電変換素子の両面を、エポキシ接着剤とバリアフィルム(三菱樹脂製ビューバリア(R))を用いて、140℃1時間加熱して封止して、有機薄膜太陽電池モジュールを作製した。
<実施例2>
PEDOT:PSSを超音波分散した後の放置時間を96時間から92時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法により有機薄膜太陽電池モジュールを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例1>
PEDOT:PSSを超音波分散した後の放置時間を96時間から1時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法により有機薄膜太陽電池モジュールを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例2>
PEDOT:PSSを超音波分散した後の放置時間を96時間から3時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法により有機薄膜太陽電池モジュールを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例3>
PEDOT:PSSを超音波分散した後の放置時間を96時間から15時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法により有機薄膜太陽電池モジュールを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例4>
PEDOT:PSSを超音波分散した後の放置時間を96時間から17時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法により有機薄膜太陽電池モジュールを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例1及び実施例2の有機薄膜太陽電池モジュール、並びに比較例1〜比較例5の有機薄膜太陽電池モジュールにおける外光条件及び視野角依存による色調の変化の評価、色相差ΔH及び算術平均粗さSaを測定した。また、実施例1及び比較例1により製造した太陽電池モジュールの変換効率を測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2017111030
表1の結果を参照すると、実施例1及び実施例2の有機薄膜太陽電池モジュールは、正孔取り出し層の表面の算術平均粗さは30nm以上となり、その結果、色相差はそれぞれ、2.97、1.53と小さく上部電極側から観察した場合の外光条件や視野角依存による色調の変化がほとんど見られなかった。一方で、比較例1〜4に係る有機薄膜太陽電池モジュールにおける正孔取り出し層の算術平均粗さは30nm未満となり、色相差が非常に大きくなり上部電極側から観察した場合に、外光条件や視野角依存による色調の変化が見られた。以上の結果から、バッファ層の表面粗さを特定の範囲内にすることにより光の干渉による色調の変化を抑えることができることが分かる。また、比較例1に対して、実施例1のように上部バッファ層の凹凸を大きくしても変換効率の低下は見られなかった。
101 下部電極
102 下部バッファ層
103 活性層
104 上部バッファ層
105 上部電極
106 基板
107 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 光電変換素子
10 バックシート
14 太陽電池モジュール

Claims (6)

  1. 素子基板上に、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有する光電変換素子であって、
    前記一対の電極の少なくとも一方の電極は、金属層を有する透明電極であり、
    前記透明電極と前記活性層との間にバッファ層を有し、
    前記バッファ層の上部表面及び下部表面の少なくとも一方の表面の算術平均粗さSaが30nm以上であることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記バッファ層の表面の算術平均粗さSaが30nm以上である表面が前記透明電極側の表面であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記透明電極が、上部電極であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記バッファ層の膜厚が100nm以上500nm以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記バッファ層の前記透明電極側表面の算術平均粗さSaが100nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池モジュール。
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