JPWO2017104021A1 - アンモニアの製造方法 - Google Patents
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Abstract
[課題] 窒素と水ないし水素を反応させてアンモニアを合成する際に、安価でかつ最適なプロセスを提供する。
[解決手段]窒素と、水若しく水素とを原料にアンモニアを合成するアンモニアの製造方法において、
窒素含有ガスと、水若しくは水の電気分解で得られる水素とを反応させて得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用い、少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して、高純度のアンモニアを回収することを特徴とする、アンモニアの製造方法。
[解決手段]窒素と、水若しく水素とを原料にアンモニアを合成するアンモニアの製造方法において、
窒素含有ガスと、水若しくは水の電気分解で得られる水素とを反応させて得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用い、少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して、高純度のアンモニアを回収することを特徴とする、アンモニアの製造方法。
Description
本発明は、窒素ガスと、水または水素を原料にして、工業的なアンモニアの合成方法に関する。
従来、アンモニアはハーバーボッシュ法により工業レベルで広く製造されている。ハーバーボッシュ法は、鉄を主成分とする触媒を用いて水素と窒素とを400〜600℃、20〜40MPaの高圧条件で反応しアンモニアを得るものである。工業触媒としては、鉄にアルミナと酸化カリウムとを加えることで鉄の触媒性能を向上させた触媒が用いられている。また、他の技術として、Ru系の触媒を用いることが提案されている例もある。
このような従来のアンモニア合成プロセスを図2に示す。アンモニア原料ガスとして窒素と水素との混合ガスを、加圧下にアンモニア合成反応器で反応させて得られた合成ガスからアンモニア液化装置などによって、水素や窒素、アルゴンなどの不純物と分離させて、液体アンモニアとして回収している。合成ガスの一部をリサイクルガスとして回収して圧縮し合成反応器に送る。
またアンモニア原料ガスとしては、天然ガスなどの軽質炭化水素の水蒸気改質、空気部分酸化を経て得られた、水素と窒素とがモル比で3対1の割合で含むアンモニア合成用素ガスを使用されていた。そして、本出願人は、軽質炭化水素を原料としてアンモニア合成用素ガスを製造する際に、製造装置を簡便とすることができアンモニア合成用素ガスの製造方法および製造装置を提案している(特開2007-320779号公報、特許文献1)。
しかしながら、ハーバーボッシュ法では、高温高圧で反応が行われるため、多大なエネルギーを消費するとともに、また原料として使用する水素ガスを製造する際、天然ガスなどの化石燃料を使用し、しかも地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素の排出するため、省エネルギーかつ環境に優しいプロセスの構築が求められていた。
また、特開2005-200245号公報(特許文献2)には、高純度の窒素を連続的に製造可能とする簡単な構成の窒素製造装置、これを備えたアンモニア合成システムが開示され、窒素製造方法として、膜分離やPSA(Pressure Swing Adsorption)方法が開示されている。特許文献2では、水の電気分解により製造された水素を水素源として使用し、水素透過膜を介して、気相で窒素と反応させてアンモニアを合成する方法が開示されている。
これに対し、アンモニアの新規合成法の一つとして、電気化学的にアンモニアを合成することが着目されている。具体的には、プロトン導電性物質を使用し、水素と窒素あるいは水蒸気と窒素を供給し、更にセルに電圧を印加することにより、アンモニアを合成する方法が提案されている。たとえば特開2013-209684号公報(特許文献3)には、プロトン導電性酸化物を固体電解質に用いたアンモニア電解合成方法が開示されている。
また、特開2014-40336号公報(特許文献4)では、水素イオンを透過する材料としてプロトン交換膜を利用し、メタロセン錯体を溶かしたイオン性液体を触媒として用いて、イオン性液体と水とを隔絶させた状態で、所定電位を印加するアンモニア製造プロセスが開示されている。
従来のアンモニア合成プロセスでは、合成ガス中に製品となるアンモニアの他に原料となる水素と窒素が不純物として含まれる。このため、合成ガスからアンモニアを回収する際、これらの不純物とアンモニアを分離する必要がある。
しかしながら、水素は透過性が高いために分離することが難しく、吸着側でアンモニアを回収する場合、回収率が極端に落ち、かつ、アンモニアを吸着することでガス圧力が低下するため、再圧縮の動力が課題になる。
本発明者は上記課題を鑑み、新たなアンモニア製造プロセスを鋭意検討した結果、以下に示す最適なプロセス構成を見い出し、本発明を完成するに至った。
[1]窒素と、水若しく水素とを原料にアンモニアを合成するアンモニアの製造方法において、
窒素含有ガスと、水若しくは水の電気分解で得られる水素とを反応させて得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用い、少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して、高純度のアンモニアを回収することを特徴とする、アンモニアの製造方法。
[2]吸着塔を並列して設置される別の吸着塔に切り替える際に、合成ガス導入を止め、置換用窒素ガスを導入することにより、吸着塔内に残存するアンモニアを回収する機構を有することを特徴とする[1]に記載のアンモニアの製造方法。
[3]前記吸着塔から排出されるアンモニアを含む置換用窒素ガスを、並列して設置される別の吸着塔に導入することにより、アンモニア成分を回収する機構を有することを特徴とする[2]に記載のアンモニアの製造方法。
[4]少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかによって、空気中の窒素濃度を高めた窒素含有ガスを使用することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
[5]窒素含有ガスが0.1MPaG〜8MPaGの範囲で圧縮されて供給されることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
[6]少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して得られた高濃度アンモニア含有ガスを、圧縮および/または冷却により液化して回収することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
[7]水素のモル濃度が窒素のモル濃度よりも少ないアンモニア合成ガスを使用することを特徴とする[1]に記載のアンモニアの製造方法。
[8]プロトン交換膜を介して供給された水素(イオン)と、窒素とを反応させてアンモニアを合成する反応器を用いることを特徴とする[7]に記載のアンモニアの製造方法。
[1]窒素と、水若しく水素とを原料にアンモニアを合成するアンモニアの製造方法において、
窒素含有ガスと、水若しくは水の電気分解で得られる水素とを反応させて得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用い、少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して、高純度のアンモニアを回収することを特徴とする、アンモニアの製造方法。
[2]吸着塔を並列して設置される別の吸着塔に切り替える際に、合成ガス導入を止め、置換用窒素ガスを導入することにより、吸着塔内に残存するアンモニアを回収する機構を有することを特徴とする[1]に記載のアンモニアの製造方法。
[3]前記吸着塔から排出されるアンモニアを含む置換用窒素ガスを、並列して設置される別の吸着塔に導入することにより、アンモニア成分を回収する機構を有することを特徴とする[2]に記載のアンモニアの製造方法。
[4]少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかによって、空気中の窒素濃度を高めた窒素含有ガスを使用することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
[5]窒素含有ガスが0.1MPaG〜8MPaGの範囲で圧縮されて供給されることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
[6]少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して得られた高濃度アンモニア含有ガスを、圧縮および/または冷却により液化して回収することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
[7]水素のモル濃度が窒素のモル濃度よりも少ないアンモニア合成ガスを使用することを特徴とする[1]に記載のアンモニアの製造方法。
[8]プロトン交換膜を介して供給された水素(イオン)と、窒素とを反応させてアンモニアを合成する反応器を用いることを特徴とする[7]に記載のアンモニアの製造方法。
本発明によれば、従来のアンモニア製造プロセスでは殆ど用いられていなかったPSA(圧力スイング式吸着分離プロセス)、TSA(温度スイング式吸着分離プロセス)、圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを採用して、アンモニア合成ガス中のアンモニアを回収する。これにより、プロセス全体を通じて、高効率でアンモニアを合成・回収することが可能となる。従来のアンモニア合成プロセスと比較した時、大きな駆動力を必要とするリサイクル圧縮機の必要がない。
また、本発明のプロセス構成は、外部熱源を必要としない構成が可能であり、電力のみでの運転を容易に実現できることから、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーとの相性が非常によい。高純度のアンモニアは容易に液化することが可能なほか、近年、発電タービンの燃料とする開発も進んでいる。このため、再生可能エネルギーであるとともに、液体燃料として保存・運搬する手段としても活用することも可能であり、利用価値は非常に高い。
図1に本特許における代表的なプロセス構成を示す。
本発明にかかるアンモニアの製造方法では窒素含有ガスと、水若しくは水の電気分解で得られる水素とをアンモニア合成反応器内で反応させて得られたアンモニアを含む合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用いて、アンモニアを回収する。
1)アンモニア原料
アンモニア合成反応器では原料として、窒素と、水または水素を反応させる。
アンモニア合成反応器では原料として、窒素と、水または水素を反応させる。
原料として使用される窒素含有ガスとしては、空気をそのまま利用することが可能である。アンモニア生成反応の効率や、空気中に含まれる酸素や二酸化炭素などの不純物が、アンモニア分離回収時の分離設備での処理負荷増大の原因となるため、原料の段階でなるべく窒素の濃度を高い窒素含有ガスを使用することが好ましく、具体的には、窒素が78〜100体積%、好ましくは98〜100体積%で含まれている窒素含有ガスを使用することが好ましい。窒素以外に含まれているガスとしては反応に不活性なガスであれば何れのガスであっても良く、たとえば水蒸気、水素、アルゴン、二酸化炭素などである。
空気から窒素濃度を高めた窒素含有ガスを得る手段として、動力及び設置コストの面で、並列に並んだ複数の吸着塔を使用して、圧力、温度あるいは圧力・温度を変動(スイング)させることにより、窒素を分離・回収する圧力スイング吸着法(PSA)、温度スイング吸着法(TSA)、圧力温度スイング吸着法(PTSA)のいずれかを用いることが望ましい。中でも、圧力スイング吸着法(PSA)が最適である。特に大型装置では装置そのものの熱容量が大きいこともあり、温度を変動させること自体が難しいためである。吸着材としては活性炭、モレキュラーシーブ、ゼオライトなどが充填される。酸素などと窒素の吸着速度の違いを利用し、加圧下で短時間の内に酸素などを優先的に吸着させ、空気より高純度の窒素を効率的に得る。これらの分離方式では、空気中のアルゴンについては除去することが難しいが、アルゴンについては、後段のアンモニア液化装置で簡便に除去することが可能である。
また超高純度の窒素ガスを得る手段としては、深冷分離式の空気分離装置を利用することもできる。深冷分離式の空気分離装置ではアルゴンを含まない窒素含有ガスを得ることが可能である。
窒素含有ガスは、一部置換用窒素ガスとして使用することもできる。
アンモニア合成時の水素源としては、水若しくは水の電気分解で得られる水素が使用される。水素は、ガス状であっても、H+(プロトン)のイオン状であってもよい。
2)アンモニア合成
アンモニア合成は、ハーバーボッシュ法を始めとするアンモニア製造プロセスで行ってもよいが、本発明では、プロトン交換膜を介して供給された水素(イオン)と、窒素とを反応させてアンモニアを合成する反応器を用いると、高温・高圧条件を設定する必要がないので、多くのエネルギーを必要としない反応条件を設定できるので望ましい。
アンモニア合成は、ハーバーボッシュ法を始めとするアンモニア製造プロセスで行ってもよいが、本発明では、プロトン交換膜を介して供給された水素(イオン)と、窒素とを反応させてアンモニアを合成する反応器を用いると、高温・高圧条件を設定する必要がないので、多くのエネルギーを必要としない反応条件を設定できるので望ましい。
このようなプロトン交換膜を用いた反応装置としては、たとえば特開2014-40336号公報(特許文献4)に開示されたアンモニア製造装置を例示することができる。すなわち、電気化学的に窒素ガスと水から、アンモニアを合成する装置であって、水分子を透過せず、水素イオン(プロトン)を透過するプロトン交換膜によって、触媒を含むイオン性液体と水とを隔てた状態で、イオン性液体中に窒素含有ガスを導入し、イオン性液体と水との間に所定の電位を印加することで、電気化学的にアンモニアを得る反応装置である。
窒素含有ガスはプロトン交換膜式アンモニア合成器の陰極側に導入される。陰極側はプロトン交換膜によって陽極側と隔離されている。もう一つの原料である水は、イオン交換膜などで不純物を取り除かれた後にプロトン交換膜式アンモニア合成器の陽極側に導入される。プロトン交換膜式アンモニア合成器では、電気分解により陽極側から酸素を発生し、陰極側は、プロトン交換膜を介して水素が供給され、触媒存在下にアンモニアが合成される。
イオン性液体は、陽イオンと陰イオンから構成される、100℃未満で液体状態の塩である。イオン性液体としては、特に、室温で液体状態にあるものを用いることが好ましい。陽イオンとしては、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、第3級スルホニウム、イミダゾリウム、ピリジニウムなどが挙げられ、陰イオンA-としては、例えば、Cl-、Br-、I-、BF4 -、BF3C2F5 -、PF6 -、NO3 -、CF3CO2 -、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、(CN)2N-、(CF3SO2)3C-、(C2F5SO2)2N-、AlCl4 -、およびAl2Cl7 -から選択されるものを用いることができる。触媒としては特開2014-40336号公報、特開2014-40335号公報に開示されたメタロセン錯体が挙げられる。
陽イオン交換膜としては、例えば、Nafion(登録商標) NR-212が採用可能である。
イオン性液体と水とは、陽イオン交換膜等によってイオン性液体と水とを隔てることで、イオン性液体中の触媒の水との接触による分解が抑えられ、しかも水素イオンの透過はプロトン交換膜によって調整されるために、過剰量の水素がアンモニア合成時に存在することがないので、アンモニア合成ガス中に含まれる水素量を少なくできる。
プロトン交換膜を用いたアンモニア合成反応では、反応条件は常温常圧で行うことが可能である。ただし、動力削減の観点からは、原料となる窒素及び水は、より高圧で供給することが好ましい。これは、反応器において、N2 + 6H+ → 2NH3 という反応が起こるため、窒素ガスからアンモニアガスが合成される過程において約2倍の体積に膨張し、より多くの圧縮エネルギーが必要となるためである。合成されたアンモニアを圧縮機で昇圧するよりも、原料である窒素含有ガスを昇圧する方が消費エネルギーの観点から望ましい。また、もう一つの原料である水についても、圧縮機よりも遥かに容易に昇圧できるポンプを用いて昇圧可能であることからも、合成後のアンモニアを昇圧するよりも原料側を昇圧することが望ましい態様である。
原料ガスの圧力については、反応器の耐圧の問題もあるが、一般的にアンモニアを液化する際に用いられる圧力まで昇圧することが可能であり、液化後はより効率的な圧縮手段である液体ポンプが利用できる。具体的には、窒素含有ガスは、0.1MPaG〜8MPaGの範囲で圧縮されて供給されることが好ましい。
また、特開2013-209684号公報に開示された固体電解質を使用した電気化学セルを用いてアンモニアを合成することも可能である。
上記アンモニア合成の際に、プロトン交換膜を利用したアンモニア製造プロセスでは、ハーバーボッシュ法を始めとした従来のアンモニア製造プロセスとは異なり、合成ガス中に水素ガスが殆ど存在しないという特徴を有している。水素ガスは、透過性が高いため吸着塔で吸着回収できず、最終的にアンモニアを液化して分離される。しかし、アンモニアを回収する場合、回収率が極端に落ち、かつ、製品アンモニアの圧力が低下することにより再圧縮の動力が必要になる。
一方、プロトン交換膜を利用したアンモニア製造プロセスでは、水素はアンモニア合成に必要な量のみがプロトン交換膜を介して供給されるため、合成ガス中に水素をきわめて少なくできる。この特徴を生かして、従来のアンモニア製造では実施されてこなかったスイング式吸着法によるアンモニアの分離と組み合わせることが可能となり、アンモニア製造における所要動力を大幅に低減することが可能となる。また、アンモニアの液化が必要な場合であっても、スイング式吸着法などでアンモニア純度を高めた後に、液化することで、より低い圧力で液化させることが可能となり、プロセス全体の効率化につながる。
3)アンモニアの回収
得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用いてアンモニアを回収する。
得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用いてアンモニアを回収する。
水素のモル濃度が窒素のモル濃度よりも少ないアンモニア合成ガスを使用することが好ましい。水素が少なければ、最終的にアンモニアに混入する水素量を少なくできるので液化処理での負荷を少なくできる。
吸着塔として、並列に並んだ複数の吸着塔を使用して、圧力、温度あるいは圧力・温度を変動(スイング)させることにより、分離・回収する圧力スイング吸着法(PSA)、温度スイング吸着法(TSA)、圧力温度スイング吸着法(PTSA)のいずれかを用いる。
吸着塔内には、活性炭やゼオライトなどの吸着材が充填され、吸着材の細孔を利用して、圧力、温度、圧力・温度による吸着容量の違いにより、アンモニアが分離・回収される。スイング式吸着法では、1つの塔で、加圧・加温下で吸着工程を実施、この間、もう一つの塔では、減圧下・降温下に脱着工程を行い、複数の塔で吸着・脱着サイクルを繰り返すものである。
合成ガス中に存在する、アンモニアは極性ガスであり、主な不純物となる酸素・窒素は無極性ガスであることから、これらの手法で容易に分離することが可能となる。
アンモニアは、吸着塔の吸着側にも透過側にも設定できるが、アンモニアの回収率及び圧力の観点から、アンモニアはこれらプロセスの透過側に設定することが好ましい。
合成ガス中の不純物、特に窒素が主に取り除かれるが、原料窒素として空気または低濃度の窒素ガスを利用した場合、空気中に含まれる二酸化炭素や酸素などは、本工程にて取り除かれる。
スィング式吸着法の場合、吸着塔を並列して設置される別の吸着塔に切り替える際に、合成ガス導入を止め、塔を脱着工程に切り替え、塔内がパージされる。このとき、塔内に残ったアンモニアは、パージガスとともに、排ガスとして排出される。しかしながら、アンモニアの排出はアンモニアの回収率を下げる要因となる他、アンモニア自体が有毒ガスであるため、大気に放出する前に、アンモニアの処理設備が必要となる。そこで、本発明では、パージ前に吸着塔内を窒素ガスで置換して、吸着塔内に残ったアンモニアを排出せずに製品側へ送り出す構造を有することが好ましい。このような窒素ガスを導入する機構を有する運転例を図4に示す。
置換用の窒素ガスを導入することにより、吸着塔内に残存するアンモニアは、塔外に排出されるが、アンモニアを含む窒素置換ガスを、並列して設置される別の吸着塔に導入することにより、排出するアンモニア成分を回収することが好ましい。アンモニアを含む窒素置換ガスは、別の吸着塔に導入する際に、運転中の吸着塔にアンモニア合成ガスに合流させて導入してもよく、また、待機中の吸着塔に導入してもよい。このような窒素置換ガスを吸着塔に再導入する機構を有する運転例を図5に示す。なお図5は、窒素置換ガスを運転中の吸着塔に導入したものであるが、これに限らずに、待機中の吸着塔に導入することは可能である。
パージ前に窒素ガスで置換する構成を採用した場合、PSAなどの分離装置から供出される高純度アンモニアに窒素が混入しアンモニア純度が低下するが、切り替えのわずかな時間のみであるために、濃度は低く抑えることができる。またPSAなどの分離装置の運転サイクルを適切に管理することによりアンモニア液化装置の動力への影響を低減することができる。特に窒素置換の期間をどの程度に設定するかが重要となる。窒素置換を終了させるタイミングについては、出口ガス中のアンモニア若しくは窒素濃度をセンサーにて監視することが最も確実ではあるが、窒素ガスの流量と吸着塔の容量から計算される窒素で置換するために必要な時間を算出するといった手法でも問題なく対応可能である。
4)アンモニア液化処理
本発明では回収した高濃度アンモニア含有ガスから、圧縮および/または冷却によりアンモニアを液化して回収する。分離装置より供出された高純度アンモニアはアンモニア液化装置に導入される。アンモニア液化装置では、昇圧後、脱圧による温度低下を利用して熱交換器で降温することによりアンモニア成分を凝縮させ、気液分離器にて液体アンモニアを回収する。高純度アンモニアに含まれたアルゴン、窒素といった不純物は気液分離器のガス側から回収される。
本発明では回収した高濃度アンモニア含有ガスから、圧縮および/または冷却によりアンモニアを液化して回収する。分離装置より供出された高純度アンモニアはアンモニア液化装置に導入される。アンモニア液化装置では、昇圧後、脱圧による温度低下を利用して熱交換器で降温することによりアンモニア成分を凝縮させ、気液分離器にて液体アンモニアを回収する。高純度アンモニアに含まれたアルゴン、窒素といった不純物は気液分離器のガス側から回収される。
アンモニア液化装置としては、高濃度アンモニア含有ガス及を圧縮する圧縮機システム、冷媒で冷却してアンモニアを液化するアンモニア液化装置などが挙げられる。冷媒としては、アンモニア自体を冷媒とすることも可能である。また冷媒を供給する冷凍設備、液化したアンモニアを貯蔵するアンモニア貯蔵タンクなどを備えていてもよい。
本発明では、原料となる窒素ガスは、0.1MPaGから8MPaGの範囲内で圧縮して供給されるが、8MPaGは、一般的にアンモニアを液化する際に用いられる圧力である。液化後はより効率的な圧縮手段である液体ポンプが利用できる。
図3に、本発明にかかるアンモニアの合成方法の一態様について概略図を示す。図3には、原料として使用される圧力スイング吸着法(PSA)で処理された窒素含有ガスを導入し、上記方法でアンモニア合成、分離、回収したのち、液化処理を行う一連のフロー図が示される。なお本発明はかかる態様に限定されず、適宜変更が可能である。
実施例
表1に窒素導入の機構のみを有するPSAを採用した場合(図4)の液体アンモニアの回収率と、置換ガスを別の吸着塔に再導入する機構を有するPSAを採用した場合の液体アンモニアの回収率を記載する。
実施例
表1に窒素導入の機構のみを有するPSAを採用した場合(図4)の液体アンモニアの回収率と、置換ガスを別の吸着塔に再導入する機構を有するPSAを採用した場合の液体アンモニアの回収率を記載する。
まず、表1に示す窒素ガスをアンモニア合成反応装置に導入した。合成装置としては、プロトン交換膜アンモニア合成器を用いて、水素源としてはイオン交換膜で処理した純水を用いた。得られた合成ガスと、吸着材としてゼオライトが充填された三塔式の圧力スィング式吸着塔(PSA)を用いて、分離を行い、8MPaGまで昇圧後、脱圧による温度低下を利用して熱交換器で降温することによりアンモニア成分を凝縮させ、気液分離器にて液体アンモニアを回収した。
また、表1に、置換ガスを別の吸着塔に再導入する機構を有するPSAを採用した場合(図5)に、同様にして回収した液体アンモニアの回収率を記載した。置換ガスを別の吸着塔に再導入することによりアンモニアの回収率が改善される効果が確認できる。
Claims (8)
- 窒素と、水若しくは水素とを原料にアンモニアを合成するアンモニアの製造方法において、
窒素含有ガスと、水若しくは水の電気分解で得られる水素とを反応させて得られた合成ガスを、吸着塔を有する分離設備を用い、少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して、高純度のアンモニアを回収することを特徴とする、アンモニアの製造方法。 - 吸着塔を並列して設置される別の吸着塔に切り替える際に、合成ガス導入を止め、置換用窒素ガスを導入することにより、吸着塔内に残存するアンモニアを回収する機構を有することを特徴とする請求項1に記載のアンモニアの製造方法。
- 前記吸着塔から排出されるアンモニアを含む置換用窒素ガスを、並列して設置される別の吸着塔に導入することにより、アンモニア成分を回収する機構を有することを特徴とする請求項2に記載のアンモニアの製造方法。
- 少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかによって、空気中の窒素濃度を高めた窒素含有ガスを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
- 窒素含有ガスが0.1MPaG〜8MPaGの範囲で圧縮されて供給されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
- 少なくとも圧力スイング式吸着塔(PSA)、温度スイング式吸着塔(TSA)または圧力温度スイング式吸着塔(PTSA)のいずれかを通して得られた高濃度アンモニア含有ガスを、圧縮および/または冷却により液化して回収することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンモニアの製造方法。
- 水素のモル濃度が窒素のモル濃度よりも少ないアンモニア合成ガスを使用することを特徴とする請求項1に記載のアンモニアの製造方法。
- プロトン交換膜を介して供給された水素(イオン)と、窒素とを反応させてアンモニアを合成する反応器を用いることを特徴とする請求項7に記載のアンモニアの製造方法。
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