JP2005200245A - 窒素製造装置、アンモニア合成システム及び窒素製造方法並びにアンモニア合成方法 - Google Patents

窒素製造装置、アンモニア合成システム及び窒素製造方法並びにアンモニア合成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高純度の窒素を連続的に製造可能とする簡単な構成の窒素製造装置、これを備えたアンモニア合成システム、及び窒素製造方法並びにアンモニア合成方法を提供する。
【解決手段】 窒素及び酸素を含有する大気(窒素含有気体)から、高純度の窒素を得る窒素製造装置S1であって、上流側から下流側に向かって、大気(窒素含有気体)に還元剤を添加する還元剤添加手段16と、還元剤と酸素とを作用させて、窒素に対して除去容易である水蒸気等の除去容易気体を生成する触媒を有する触媒ユニット17と、この除去容易気体及び未作用の還元剤を除去することで連続的に高純度の窒素を得る第1分離(除去)ユニット18と、を備えた窒素製造装置S1である。また、窒素製造装置S1とアンモニア合成反応器30を備えたアンモニア製造システムSである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒素製造装置、アンモニア合成システム及び窒素製造方法並びにアンモニア合成方法に関する。
基礎化学ガスとして広く利用されている窒素を製造する方法としては、主に次の5つの方法が知られている。
第1の窒素製造方法は、燃焼を利用した方法である。すなわち、天然ガスや軽油等の炭化水素を空気中で完全燃焼させることで酸素を消失させた後、生成した二酸化炭素を湿式吸収法で除去することにより、窒素を製造する方法である。
第2の窒素製造方法は、膜分離を利用した方法である。すなわち、窒素と比較して膜に溶解しやすく、2.2〜5.0倍の速度で膜を透過するという酸素の特性に基づいて、酸素と窒素を分離することで、窒素を製造する方法である。
第3の窒素製造方法は、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)方法である。具体的には、ゼオライトや活性炭の微多孔質媒体等を使用し、窒素と酸素の吸着力の差に基づいて、昇圧、吸着、減圧、パージからなるバッチ処理を繰り返して行い、窒素と酸素を分離することにより、窒素を製造する方法である。
第4の窒素製造方法は、酸素と窒素の沸点の違いを利用する深冷分離方法である。
第5の窒素製造方法は、前記PSA方法において、水素を導入して燃焼させた後、除湿する方法である(特許文献1参照)。
特開昭62−91408号公報(第2頁左下欄第19行目〜第4頁右上欄第2行目、第1図)
しかしながら、第1の窒素製造方法では、完全燃焼の制御が非常に困難であり、燃料の未燃焼成分や、CO2以外のCO、NOx等の生成成分を高効率で除去することは困難であるという問題があった。仮に除去するとしても、除去システムが複雑化且つ大型化してしまうという問題があった。
また、第2窒素の製造方法において、膜分離は気体を富化する技術であるため、酸素を極力除去するためには、同時に相当量の窒素が除去されてしまうという問題があった。すなわち、高純度の窒素を製造するには、高圧かつ必要窒素量に応じて大流量で運転しなければならないという問題があった。
さらに、第3の窒素製造方法(PSA方法)では、製造装置が大型化かつ複雑化してしまい、製造に多大なエネルギーを必要とするだけでなく、バッチ処理であるため連続的に製造するためには、相当量のバッファタンクが必要となるという問題があった。
さらにまた、第4の窒素製造方法(深冷分離方法)は、酸素及び窒素の融点までの冷却を必要とするため装置が大掛かりになってしまうため、工業用途以外では現実的ではないという問題があった。
また、第5の窒素製造方法では、スリップ抑制のため水素濃度を精密に測定しなければならず、また水素以外の気体が混入した場合にその除去が困難であり、さらに脱湿にゼオライト、シリカゲル等の吸着材を使用するため、その再生工程が必要であるという問題があった。
そこで、本発明は、これらの問題を解決すべく、高純度の窒素を連続的に製造可能とする簡単な構成の窒素製造装置、これを備えたアンモニア合成システム、及び窒素製造方法並びにアンモニア合成方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として請求項1に係る発明は、窒素及び酸素を含有する窒素含有気体から、高純度の窒素を得る窒素製造装置であって、上流側から下流側に向かって、前記窒素含有気体に還元剤を添加する還元剤添加手段と、当該還元剤と前記酸素とを作用させて、前記窒素に対して除去容易である除去容易気体を連続的に生成する触媒を有する触媒ユニットと、前記除去容易気体を除去することで、連続的に高純度の窒素を得る第1除去ユニットと、を備えたことを特徴とする窒素製造装置である。
ここで、除去容易気体とは、窒素含有気体から酸素等の除去(分離)しにくい気体に対して、水蒸気、二酸化炭素等の除去しやすい気体を意味する。
このような窒素製造装置によれば、還元剤添加手段により窒素含有気体に還元剤を添加した後に、触媒ユニットの触媒により還元剤と酸素を作用させることにより、酸素は窒素に対して除去容易である除去容易気体に変換される。そして、第1除去ユニットにより、この除去容易気体を除去することで、高純度の窒素を製造することができる。
また、窒素から除去しやすい除去容易気体に変換するため、低圧あっても除去容易であり、高純度かつ高流量の窒素を製造可能であると共に、バッチ式でないため連続的に窒素を製造することができる。さらに、冷却を必要としないため簡易な構成であり、吸着材を使用しないため、その再生工程も必要としない。
なお、後記する第1実施形態及び第3実施形態では、窒素含有気体を大気とした場合、第2実施形態では、窒素含有気体をエンジンに取り込まれる外気とした場合について、それぞれ説明する。また、除去の一態様として、除去容易気体(分離容易気体)の分離を例とした場合について説明する。
請求項2に係る発明は、前記第1除去ユニットは、未作用の還元剤も除去することを特徴とする請求項1に記載の窒素製造装置である。
このような窒素製造装置によれば、第1ユニットにおいて、除去容易気体と共に、未作用の還元剤も除去されるため、より高純度の窒素を製造することができる。また、このように、未作用の還元剤も除去するため、還元剤添加手段において、過剰な量の還元剤を添加することで、除去容易気体を生成し易くすることによって、酸素濃度を低下させることもできる。
請求項3に係る発明は、前記還元剤添加手段の上流側に、前記窒素含有気体から前記酸素を除去して、酸素濃度を低下させる第2除去ユニットを、さらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒素製造装置である。
このような窒素製造装置によれば、第2除去ユニットにより、窒素含有気体中の酸素濃度を低下させることで、還元剤添加手段による還元剤を添加量を少なくして、高純度の窒素を製造することができる。
請求項4に係る発明は、前記還元剤は水素であり、前記除去容易気体は水蒸気であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の窒素製造装置である。
このような窒素製造装置によれば、還元剤として水素を使用し、酸素と作用させることにより、除去容易気体である水蒸気を生成することができる。この水素と酸素の作用、つまり、水素と酸素との反応は発熱反応である。したがって、生成する水蒸気を含有する気体は、熱量を有する、つまり加熱され、水蒸気等の分子運動エネルギーは高くなる。
そうすると、後記する実施形態に記載するように、第1除去ユニットが分離膜を内蔵し、この分離膜によって水蒸気を除去する場合、加熱された水蒸気が分離膜を透過する速度が高くなり、その結果として、高効率で水蒸気が除去(分離)され、高純度の窒素を得ることができる。
請求項5に係る発明は、前記還元剤は水素であり、前記除去容易気体は水蒸気であり、
前記第2除去ユニットが酸素濃度を低下することで、前記第1除去ユニットに導入される水蒸気が飽和水蒸気圧以下となるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の窒素除去装置である。
ここで、例えば、第1除去ユニットが水蒸気を分離する分離膜を内蔵するユニットである場合、第1分離ユニットでは、飽和水蒸気圧以下にしないと水蒸気を除去することができない。すなわち、第1除去ユニットで除去できる水蒸気量には制限があり、これは窒素含有気体中の酸素量(詳細には酸素原子の数)と比例する。
したがって、このような窒素除去装置によれば、窒素含有気体の酸素量に応じて、第2除去ユニットを大型化、または複数の第2除去ユニットを直列・並列で備えること等によって、窒素含有気体中の酸素濃度を低下させ、触媒ユニットにおいて、過剰の水蒸気(除去容易気体)が発生しないようにすることできる。よって、第1除去ユニットに導入される水蒸気は、飽和水蒸気圧以下にすることができ、第1除去ユニットにおいて水蒸気除去し、高純度の窒素を製造することができる。すなわち、第1除去ユニットにおいて、飽和水蒸気圧以下であるので、水蒸気が液化することもない。
また、窒素含有気体中の酸素濃度は、予め、例えば酸素濃度センサ等で測定すればよい。
請求項6に係る発明は、前記還元剤添加手段は、前記還元剤及び前記窒素含有気体を混合させる混合器と、当該混合器に供給する還元剤量を調整する還元剤量調整機器とを有し、前記混合器に供給される前記窒素含有気体中の酸素量を検出する酸素量検出手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の窒素製造装置である。
このような窒素製造装置によれば、酸素量検出手段で検出された酸素量に基づいて、還元剤量調整機器を調整することにより、適量の還元剤を窒素含有気体に添加することができる。
また、下流側で還元剤を含有する窒素が必要な場合は、還元剤量調整機器を適宜調整することによって、下流側における還元剤の含有量を適宜調整することもできる。
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の窒素製造装置と、当該窒素製造装置の下流側に接続し、水素が流通する水素流路と窒素が流通する窒素流路とを隔て、且つ、水素が透過可能な前記水素流路側の水素透過層、及び、当該水素透過層を透過した水素と窒素との作用させてアンモニアの生成を促進させる前記窒素流路側の触媒を有する隔膜を具備したアンモニア合成反応器と、を備え、前記アンモニア合成反応器により、前記窒素製造装置で得た窒素を利用して、アンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成システムである。
このようなアンモニア合成システムによれば、アンモニア合成反応器の窒素流路に窒素製造装置で製造された高純度の窒素を供給し、水素流路に水素を供給することで、アンモニアを連続的に合成することができる。
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項6にいずれか1項に記載の窒素製造装置と、当該窒素製造装置の下流側に接続し、窒素と水素とを作用させて、アンモニアを合成するアンモニア合成触媒を有するアンモニア合成反応器と、を備え、前記アンモニア合成反応器により、前記窒素製造装置で得た窒素を利用して、アンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成システムである。
ここで、一般に、アンモニア合成触媒上で、窒素と水素を作用させてアンモニアを合成する場合、原料となる窒素は酸素を含まないことが好ましいとされる。原料となる窒素が酸素を含んでしまうと、この酸素が原料の水素と反応し、水蒸気が発生するからである(不均一触媒反応過程)。そして、この発生した水蒸気がアンモニア合成触媒上の反応活性点に化学吸着し、その結果として、アンモニア合成触媒の活性が低下し、アンモニア合成反応の反応速度の低下を促して、アンモニアの収量が低下するからである。
因みに、時には、酸素自体もアンモニア合成触媒の活性点に吸着して、触媒活性の低下の原因となる。
したがって、このようなアンモニア合成システムによれば、窒素中に酸素が含まれたとしても、この酸素と水素の触媒反応熱(水素と酸素の燃焼反応は発熱反応)により、原料気体(窒素及び水素)を活性化され、アンモニア合成は促進される。
また、この場合、触媒毒となる酸素がほとんど含まれない高純度の窒素を原料気体として利用し、さらに、触媒毒となる水蒸気の発生を抑えることができるため、アンモニア合成触媒の活性を低下させることなく、アンモニアを合成することができる。
請求項9に係る発明は、窒素及び酸素を含有する窒素含有気体から、高純度の窒素を得る窒素製造方法であって、窒素及び酸素を含有する窒素含有気体に、還元剤を添加する還元剤添加工程と、当該還元剤と前記酸素とを触媒存在下で作用させて、前記窒素に対して除去容易である除去容易気体を連続的に生成する除去容易気体生成工程と、当該除去容易気体を除去することで、連続的に高純度の窒素を得る除去工程と、を有することを特徴とする窒素製造方法である。
このような窒素製造方法によれば、窒素含有気体に還元剤を添加し(還元剤添加工程)、触媒存在下で還元剤と酸素とを反応(作用)させて、窒素に対して除去容易である除去容易気体を生成(除去容易気体生成工程)した後に、この除去容易気体を除去することで(除去工程)、高純度の窒素を連続的に製造することができる。
すなわち、酸素を窒素に対して除去しやすい除去容易気体に変換するため、低圧であっても高純度の窒素を製造可能であると共に、連続的に窒素を製造することができる。また、冷却工程、再生工程も必要としないため、手間が掛かることもない。
請求項10に係る発明は、前記除去工程において、未作用の還元剤も除去することを特徴とする請求項9に記載の窒素製造方法である。
このような窒素製造方法によれば、除去工程において、未作用の還元剤も除去するため、より高純度の窒素を製造することができる。また、未作用の還元剤も除去するため、還元剤添加工程において、過剰な量の還元剤を添加し、除去容易気体を生成し易くすることもできる。
請求項11に係る発明は、前記還元剤添加工程の前に、前記窒素含有気体から前記酸素を除去して酸素濃度を低下させる酸素濃度低下工程を、さらに有することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の窒素製造方法である。
このような窒素製造方法によれば、窒素含有気体中の酸素濃度を低下させることで(酸素濃度低下工程)、還元剤を添加量を少なくして(還元剤添加工程)、高純度の窒素を製造することができる。
請求項12に係る発明は、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の窒素製造方法で製造された窒素と、水素とを作用させてアンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成方法である。
このようなアンモニア合成方法によれば、高純度の窒素と水素とを作用させて、アンモニアを連続的に合成することができる。
本発明によれば、高純度の窒素を連続的に製造可能とする簡単な構成の窒素製造装置、これを備えたアンモニア合成システム、及び窒素製造方法並びにアンモニア合成方法を提供することができる。
すなわち、請求項1に係る発明によれば、低圧であっても連続して高純度の窒素を製造することができる。
請求項2に係る発明によれば、過剰な量の還元剤を添加することもできる。
請求項3に係る発明によれば、還元剤の添加量を少なくして、高純度の窒素を製造することができる。
請求項4に係る発明によれば、除去容易である水蒸気を生成することができる。
請求項5に係る発明によれば、飽和蒸気圧以下において、水蒸気を除去することができる。
請求項6に係る発明によれば、適量の還元剤を添加することができる。また、後流(下流側)で、還元剤を含有する窒素が必要な場合は、その比率を調整することもできる。
請求項7及び請求項8に係る発明によれば、高純度の窒素を水素と作用させることで、アンモニアを好適に合成することができる。
請求項9に係る発明によれば、低圧であっても連続して高純度の窒素を製造することができる。
請求項10に係る発明によれば、過剰な還元剤を添加することもできる。
請求項11に係る発明によれば、少ない還元剤で高純度の窒素を製造することができる。
請求項12に係る発明によれば、高純度の窒素と水素とを作用させて、アンモニアを好適に合成することができる。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
≪第1実施形態:大気からの窒素製造及びアンモニア合成≫
まず、第1実施形態に係るアンモニア合成システムについて、図1及び図2を参照して説明する。参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る窒素製造装置を備えたアンモニア合成システムの全体構成図である。図2は、図1に示すアンモニア合成反応器によるアンモニア合成状況を模式的に示す図である。
<アンモニア合成システムの構成>
第1実施形態に係るアンモニア合成システムは、窒素含有気体である大気から高純度の窒素を製造すると共に、この高純度の窒素を利用してアンモニアを合成するシステムである。
図1に示すように、アンモニア合成システムSは、上流側から下流側に向かって順に、窒素製造装置S1と、アンモニア合成装置S2を備えて構成されている。
[窒素製造装置の構成]
まず、窒素製造装置S1の構成について説明する。
窒素製造装置S1は、上流側から下流側に向かって順に、原料ガス供給ポンプ12(ガス供給手段)と、第2分離ユニット13(第2除去ユニット)と、流量調整弁15(流量調整手段)と、還元剤である水素を添加する水素添加手段16(還元剤添加手段)と、触媒ユニット17(触媒燃焼器ともいわれる)と、第1分離ユニット18と、流量調整弁19と、これら機器を接続させる配管と、第2分離ユニット13と流量調整弁15との間で後記するN2富化気体中の酸素濃度を測定する酸素濃度計14と、制御ユニット20(以下、ECUという)を備えて構成されている。
すなわち、窒素製造装置S1は、特許請求の範囲における第2除去ユニットとして、第2分離ユニット13を備えている。また、第1実施形態において原料ガスは大気である。
(原料ガス供給ポンプ)
原料ガス供給ポンプ12は、その稼動により大気を原料ガスとして取り込むと共に、取り込んだ原料ガスを圧縮し、所定圧力で下流側の第2分離ユニット13に供給する機器である。また、原料ガス供給ポンプ12は、ECU20と電気的に接続しており、ECU20により制御可能となっている。
(第2分離ユニット)
第2分離ユニット13(第2除去ユニット)は、原料ガスから酸素(O2)を分離(除去)して、酸素濃度を低下させるための機器である。すなわち、第2分離ユニット13は、原料ガスを、窒素(N2)を主成分とするN2富化気体と、酸素(O2)を主成分とするO2富化気体とに分離する機器である。そして、第2分離ユニット13の下流側には、N2富化気体が酸素濃度計14を経由して流量調整弁15に供給されるように、配管が適所に設けられている。
第2分離ユニット13は、分離膜M1を内蔵しており、分離膜M1は窒素(N2)が透過しにくく、酸素(O2)は透過しやすいという特性を有している。この特性に基づいて、第2分離ユニット13において、原料ガスをN2富化気体とO2富化気体とに分離可能となっている。
分離膜M1の形状は、本発明では特に限定されないが、薄膜状、板状、中空糸状等から適宜選択することができる。特に、分離膜M1が中空糸状である場合は、体積当たりの分離効率を向上させることができる。
また、分離膜M1を形成する材料は、本発明では特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリスルホン酸、ポリジメチルシロキサン、ゼオライト、多孔質炭素材等から適宜選択して使用することができる。
さらに具体的に説明すると、例えば、分離膜M1がポリイミドから形成された場合、表1に示す透過速度比に基づいて、窒素(N2)を分離可能となっている。
Figure 2005200245
表1は、分離膜M1を透過する窒素(N2)の透過速度に対して、アルゴン(Ar)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、水素(H2)、水蒸気(H2O)の透過速度の比をそれぞれ示したものある。すなわち、表1に示す透過速度比が大きいガスほど、そのガスは、窒素(N2)より分離膜M1を透過しやすいことを示す。
したがって、表1に係る分離膜M1よれば、窒素(N2)が分離膜M1を最も透過しにくく、酸素(O2)、水蒸気(H2O)等その他ガスが分離膜M1を通過することにより、原料ガスから、酸素(O2)等を分離可能である。これは、例えば酸素(O2)と窒素(N2)に着目すると、表2に示すように、酸素(O2)は窒素(N2)と比較して、分子径が小さいため分離膜M1内での拡散速度が高く、また沸点が高いため分離膜M1への吸着速度が高くなり、その結果として、酸素(O2)の透過速度が窒素(N2)より高くなるからである。
Figure 2005200245
(酸素濃度計)
酸素濃度計14は、第2分離ユニット13から排出されたN2富化気体(図1参照)中の酸素濃度を測定する機器であり、第2分離ユニット13と流量調整弁15を接続する配管の途中位置に設けられている。また、酸素濃度計14は、ECU20と電気的に接続しており、ECU20はN2富化気体中の酸素濃度を監視可能となっている。
(流量調整弁)
流量調整弁15は、N2富化気体を所定流量に調整して、後記混合器16Bに供給するための機器である。そして、流量調整弁15は、ECU20と電気的に接続しており、ECU20は流量調整弁15を制御可能となっている。流量調整弁15としては、例えば、電磁式のバタフライ弁、ニードル弁等を使用することができる。
ここで、第1実施形態では、特許請求の範囲おける酸素量検出手段は、酸素濃度計14と流量調整弁15とを備えて構成されている。そして、ECU20は、酸素濃度計14で検出された酸素濃度と、流量調整弁15の開度より、混合器16Bに供給される酸素量を算出可能となっている。
(水素添加手段)
水素添加手段16(還元剤添加手段)は、還元剤である水素(H2)を、N2富化気体に添加するためのものであり、水素源16Aと混合器16Bと流量調整弁16C(還元剤量調整機器)を備えて構成されている。そして、水素源16Aは、流量調整弁16C及び配管を介して混合器16Bに接続しており、混合器16Bに水素を適宜供給可能となっている。
ただし、本発明において、還元剤としては水素(H2)に限定されず、その他に例えば一酸化炭素(CO)を使用してもよい。
水素源16Aとしては、水素を供給可能であれば、本発明では特に限定されず、例えば、水素(H2)が高圧で貯蔵された水素タンクや、水素が吸蔵された水素吸蔵合金から構成してもよいし、その他、水の電気分解により製造された水素、自動車の燃料(ガソリン、軽油、天然ガス等)が改質された水素を使用可能なように構成してもよい。このうち、水の電気分解または燃料の改質により製造された水素には、水素中にある程度の水蒸気を含まれるが、この水蒸気は後記する第1分離ユニット18によって、容易に分離(除去)されるため、何ら問題なく使用可能である。
混合器16Bは、第1実施形態では箱状を呈し、その内部において拡散により、流量調整弁15を経由して供給されたN2富化気体と、水素源16Aから供給された水素(H2)とを混合可能となっている。そして、混合された水素(H2)とN2富化気体が、第1分離ユニット18に供給されるように、適所に配管が設けられている。
また、必要に応じて混合器16Bの内部にリブ等を設けたり、混合器16Bの水素導入口(図示しない)にじゃま板等を設けたり、メッシュ金属板やパンチングメタル板で仕切るなどして、N2富化気体と水素(H2)とが混合しやすくなるようにしてもよい。
さらに、混合器16Bに電熱ヒータ等(加熱手段)を設け、N2富化気体及び水素(H2)を適宜加熱し、混合を促進するようにしてもよい。このようにN2富化気体及び水素(H2)を加熱する場合は、結果的に、予備的に加熱されたN2富化気体及び水素(H2)を触媒ユニット17に導入することになり、この触媒ユニット17に内蔵される触媒の活性も高めることができると共に、触媒負荷を軽減することができる。
流量調整弁16C(還元剤量調整機器)としては、流量調整弁15と同様に、電磁式のバタフライ弁、ニードル弁等を使用可能である。そして、流量調整弁16Cは、ECU20に電気的に接続しており、ECU20によって制御可能となっている。
(触媒ユニット)
触媒ユニット17は、主として、添加された水素(H2)と、N2富化気体中の酸素(O2)とを作用させて、窒素(N2)に対して分離(除去)容易である水蒸気(H2O)及び二酸化炭素(CO2)を含んでなる分離(除去)容易気体を生成するユニットである。
触媒ユニット17は、その内部に、複数の細孔を有する支持体に触媒を担持した触媒ユニット本体(図示しない)と、触媒の活性を高めるための電気ヒータ等の加熱手段を備えている。
触媒ユニット本体は、本発明では特に限定されないが、例えば、N2富化気体及び水素(H2)が高速で流通する場合には、ハニカム状の支持体と、この支持体の細孔を取り囲む壁面(以下、内壁面という)に薄層状で形成された触媒とを備えて構成するとよい。その他、N2富化気体及び水素(H2)が低速で流通する場合には、支持体として、整流効果は低いが空孔率の高い発砲体などを使用することによって、触媒ユニット17の体積を小さくし、体積当たりの触媒反応効率を高めてもよい。
支持体を形成する材料としては、コージエライト、ムライト、シリコンカーバイド(SiC)等の多孔質担体(耐熱性無機材料)や、FeCrAlYやNi合金、ステンレス等の金属が挙げられる。
触媒としては、アルミナ(γAl23)等の多孔質担体に白金(Pt)を担持した白金系触媒(Pt/Al23)や、多孔質担体にパラジウム(Pd)を担持したパラジウム系触媒(Pd/Al23)等を使用することができる。
これら白金系触媒(Pt/Al23)、パラジウム系触媒(Pd/Al23)は、次の式(1)に示すように、水素(H2)と酸素(O2)を反応(作用)させて、水蒸気(H2O)を生成可能となっている。
2H2+O2→2H2O …(1)
このように触媒ユニット17では、N2富化気体と水素(H2)は、式(1)の反応により生成された水蒸気(H2O)と、作用せず残留した僅かな量の酸素(O2)と、未反応の水素(H2)と、式(1)に関与しない窒素(N2)を含む混合ガスXに変換可能となっている。そして、触媒ユニット17には、この混合ガスXを第1分離ユニット18に供給可能なように、適所に配管が設けられている。
(第1分離ユニット)
第1分離ユニット18(第1除去ユニット)は、窒素(N2)と分離(除去)容易気体を分離するための機器である。すなわち、第1分離ユニットは、前記混合ガスXから分離(除去)容易気体である水蒸気(H2O)及び未反応の水素(H2)と、触媒ユニット17で作用せず残留した僅かな量の酸素(O2)とを含む混合ガスYを除去して、高純度の窒素(N2)を製造するための機器である。そして、第1分離ユニット18の下流側には、分離された高純度の窒素(N2)が流量調整弁19に供給されるように、配管が適所に設けられている。
第1分離ユニット18は、第2分離ユニット13と同様の構成であり、分離膜M2を内蔵している。分離膜M2は、第2分離ユニット13の分離膜M1と同様の特性を有している。したがって、第1分離ユニット18は、前記した表1の透過速度比に基づいて、従来と同様に酸素を除去するだけでなく、触媒ユニット17で生成された水蒸気等の除去容易気体を、容易に除去可能となっている。
(流量調整弁)
流量調整弁19は、流量調整弁15と同様の構成あり、第1分離ユニット18で分離された高純度の窒素(N2)の流量を調整する機器である。
(ECU)
ECU20は、CPU、ROM、I/O等から構成されている。ECU20は、原料ガス供給ポンプ12と、酸素濃度計14と、流量調整弁15と、流量調整弁16Cと電気的に接続している。
そして、ECU20は、原料ガス供給ポンプ12の稼動を制御し、原料ガスとして取り込む大気の量を制御可能となっている。また、ECU20は、酸素濃度計14で検出された酸素濃度と、流量調整弁15の開度とから、水素添加手段16に供給されるN2富化気体中の酸素濃度を監視可能となっている。さらに、ECU20は、前記酸素濃度に対応して、流量調整弁16Cを制御可能となっている。
[アンモニア合成装置の構成]
次に、アンモニア合成装置S2について説明する。
アンモニア合成装置S2は、主としてアンモニア合成反応器30から構成されており、流量調整弁19の下流側に接続している。
(アンモニア合成反応器)
アンモニア合成反応器30は、ケーシング31と、ケーシング31の中空部を水素流路31aと窒素流路31bとに分割する隔膜M3を備えて構成されている(図2参照)。水素流路31aは、配管を介して水素添加手段16の水素供給源16Aと接続しており、窒素流路31bは、配管を介して前記流量調整弁19に接続している。また、水素流路31aの下流側には、余剰水素を前記水素供給源16Aと水素流路31aとを接続する配管に戻せるように、配管32が設けられている。
ケーシング31は、耐腐食性、耐圧性等を考慮して、例えばステンレス(SUS316)から形成される。隔膜M3は、第1実施形態では、窒素流路31ab側の表面に触媒層M3bを有する水素透過膜M3aであり、この水素透過膜M3aが水素透過層としての役割を果たす。
水素透過膜M3aは、次の式(2)に示すように、水素分子(H2)を表面に吸着させた後(H(a))、プロチウムと呼ばれる活性の高い原子状水素(H)に分解し拡散する機能を有する。また、水素透過膜M3aは、仮に水素を含む混合ガスが水素流路に供給されても、水素のみを選択的に分解する機能を有する。したがって、水素流路31a側から窒素流路31b側に、水素透過膜M3aを通過して、水素(H2)以外の物質が供給されることはない。
2→2H(a)→2H …(2)
このような水素透過膜M3aとしては、例えば、パラジウム(Pd)と銀(Ag)の合金からなるパラジウム−銀膜(Pd−Ag膜)、パラジウム(Pd)と銅(Cu)の合金からなるパラジウム−銅膜(Pd−Cu膜)等の合金膜を使用することができる。
また、触媒層M3bは、水素透過膜M3aの窒素流路31b側に薄層状(薄膜)で形成されている。触媒層M3bは、多孔質支持体とこの多孔質支持体に担持した触媒とから形成される。この触媒は、次の式(3)に示すように、窒素分子(N2)から吸着窒素分子(N2(a))に、さらに吸着窒素原子(2N(a))に分解する機能を有する。さらに、触媒層M3bは、この吸着窒素原子(N(a))と、水素透過膜M3aを透過した原子状水素(H)が触媒に吸着した吸着水素原子(H(a))とを、所定比で結合(作用)させて、アンモニア(NH3)の生成(合成)を促進させる機能を有する。
2→N2(a)→2N(a) …(3)
このような触媒層M3bの触媒を構成する活性物質としては、例えば、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ウラン(U)、セリウム(Ce)、レニウム(Re)等、周期律表の3A〜7A族と8族の一部の元素が高い活性を示し、使用可能である。そして、これらの合金や混合物等が触媒として使用可能である。
さらに、触媒層M3bの作製方法について説明すると、例えば、活性物質としてルテニウム(Ru)、多孔質担体としてマグネシア(MgO)を選択した場合は、触媒となるルテニウム化合物とマグネシア(MgO)を所定配合で混合してスラリを調製し、このスラリを前記した水素透過膜M3aの片面に所定量塗布し、所定の温度と雰囲気で焼成(乾燥)することにより、作製することができる。
<アンモニア合成システムの動作>
続いて、アンモニア合成システムSの動作について、窒素製造装置S1の動作とアンモニア合成装置S2の動作に分けて説明する。合わせて、アンモニア合成方法について、窒素製造方法とアンモニア合成方法を説明する。
[窒素製造装置の動作]
まず、窒素製造装置S1の動作を説明しつつ、窒素製造方法を説明する。
ECU20は、原料供給ポンプ12を稼動させ、所定圧力(例えば、0.1〜1.0MPaG(ゲージ圧))で、第2分離ユニット13に供給する。
第2分離ユニット13に供給された原料ガスは、前記所定圧力を駆動力として、表1に示す透過速度比に基づいて、分離膜M1を透過しにくい窒素(N2)を主成分とするN2富化気体と、分離膜M1を透過しやすい酸素(O2)を主成分とするO2富化気体とに分離される。すなわち、第2分離ユニット13によって、原料ガスから、酸素(O2)を主成分とするO2富化気体は除去される。
ここで、原料ガスである大気とN2富化気体とを比較すると、第2分離ユニット13により、酸素濃度は低下することになる。この工程が特許請求の範囲における「酸素濃度低下工程」に相当する。
また、第2分離ユニット13による分離工程によって、窒素濃度は高くなる。第2分離ユニット13による窒素濃度の上昇程度は、分離後のN2富化気体において、窒素濃度が95〜98%の範囲内とすることが好ましい。酸素(O2)が除去されず窒素濃度が95%より低いと、水素添加手段16によって多量の水素(H2)を添加する必要があるからである。また、窒素濃度を98%より高くするには、高圧下で分離しなければならなく、このように高圧にするとN2富化気体の量が極端に少なくなるからである。
そして、酸素濃度計14によって、N2富化気体中の酸素濃度が検出されると共に、この酸素濃度は、ECU20で監視される。その後、ECU20は、流量調整弁15を所定開度に調整し、所定流量に調整されたN2富化気体を混合器16Bに供給する。この供給において、ECU20は、前記酸素濃度と流量調整弁15の開度に基づいて、混合器16Bに供給されるN2富化気体中の酸素量を計算する。
混合器16BへのN2富化気体の供給と共に、水素源16Aから所定量の水素(H2)が混合器16Bに供給され、混合器16Bにおいて、N2富化気体と水素(H2)とが好適に混合される。
さらに説明すると、ECU20は、前記酸素量に基づいて、流量調整弁16Cの開度を制御し、水素源16Aから混合器16Bへ供給される水素(H2)を所定量に調整する。この所定量は、N2富化気体中の酸素(O2)等を触媒ユニット17で燃焼(作用)させて、窒素(N2)に対して除去容易な水蒸気(H2O)等の分離(除去)容易気体を好適に生成可能な量に設定される。
また、下流側で水素(還元剤)を含有する窒素が必要な場合には、流量調整弁15、16Cを適宜調整することによって、下流側における水素の含有量も適宜調整することができる。
そして、N2富化気体と水素源16Aから供給された水素(H2)とは、混合したまま触媒ユニット17に供給される。
次いで、N2富化気体及び水素(H2)が混合状態で供給された触媒ユニット17では、N2富化気体中の酸素(O2)を、触媒存在下で水素(H2)と反応させて、窒素(N2)に対して除去容易である水蒸気(H2O、除去容易気体)を生成する。この工程が特許請求の範囲における「除去容易気体生成工程」に相当する。
詳細に説明すると、図示しない電気ヒータ等により活性が高められた白金系触媒(Pt/Al23)等の触媒により、N2富化気体中の酸素(O2)は、水素(H2)と反応して水蒸気(H2O)を生成する(前記式(1)参照)。
また、例えば、水素源16Aとして、ガソリン等の燃料が改質された水素(H2)が使用された場合であって、未改質の炭化水素(HC)が添加されたときは、触媒ユニット17において、その未改質の炭化水素(HC)は、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)に変換されるが、二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)は、第1分離ユニット18で除去される。
このようにして、N2富化気体は、触媒ユニット17により、窒素(N2)と、変換された水蒸気(H2O)を主成分とする混合ガスXに変換された後、混合ガスXは第1分離ユニット18に供給される。
第1分離ユニット18に、混合ガスXが供給されると、第2分離ユニット13での分離と同様に分離される。詳細には、前記した表1に示す透過速度比に基づいて、分離膜M2を透過しやすい水蒸気(H2O)は、容易に分離膜M2を透過する。一方、分離膜M2を透過しにくい窒素(N2)は分離膜M2を透過しない。このようにして、混合ガスXから除去容易気体である水蒸気(H2O)が除去されることで、高純度の窒素(N2)が製造される(除去工程)。
また、仮に水素源16Aにより、水素(H2)が過剰に混合器16Bに供給されたとしても、この過剰な水素(H2)は、分離膜M2を透過するので、窒素(N2)の濃度が低下することはない。さらに、触媒ユニット17で反応せず、僅かな量の酸素(O2)が残留したとしても、この残留した酸素(O2)は、分離膜M2を透過し除去される。なお、図1では、これら分離膜M2を透過することで除去される気体を総称して混合ガスYと示している。
このように第1分離ユニット18では、窒素(N2)と、窒素(N2)に対して除去しやすい水蒸気(H2O)等の除去容易気体を除去するため、従来と比較して低圧であっても、高純度の窒素(N2)を多量で製造することができる。すなわち、第1分離ユニット18での分離においては、従来のPSA方法において、高圧に加圧するための装置を特別に必要とせず、低エネルギーで分離することができる。
そして、分離膜M2を通過しないことで分離された高純度の窒素(N2)は、下流側の流量調整弁19に供給され、この流量調整弁19を所望の開度とし、所望量の高純度の窒素(N2)を製造することができる。
このようにして窒素製造装置S1によれば、連続的に高純度の窒素(N2)を製造することができる。また、窒素製造装置S1は、冷却等を必要としないため、簡易に構成可能であり、ディーゼル車等の車両に容易に搭載することができ、車両重量も大幅に増加しないため、車両の燃費が低下することもない。
さらに、窒素製造装置S1を構成する分離膜M1、分離膜M2は、連続的に使用可能であるため、特別な再生工程等を行う必要もなく、手間をかけずに高純度の窒素(N2)を製造することができる。
[アンモニア合成装置の動作]
次に、アンモニア合成装置S2の動作及びアンモニア合成方法について、図2を合わせて参照しつつ説明する。
前記窒素製造装置S1で製造された高純度の窒素(N2)が、窒素流路31bに、前記水素源16Aから水素流路31aに水素がそれぞれ供給されると、アンモニア合成反応器30ではアンモニア(NH3)が連続的に合成(製造)される(図2参照)。
アンモニア合成反応器30の近傍には、図示しない電熱ヒータ(加熱手段)が設けられており、この電熱ヒータによって、アンモニア合成反応器30の触媒層M3bに含まれる触媒は加熱され、その触媒活性は高められている。
そして、図2に示すように、隔膜M3の水素流路31a側では、水素(H2)が、水素透過膜M3aに吸着し解離することで、吸着水素(H(a))となり、さらに水素透過膜M3a内に活性の高い原子状水素(H)として取り込まれる。原子状水素(H)は、濃度勾配を駆動力として、水素透過膜M3a中を触媒層M3b側に移動する(式(2)参照)。
一方、窒素流路31b側では、分子状の窒素(N2)が、触媒層M3bの触媒に吸着し(N2(a))、さらに活性の高い吸着窒素原子(2N(a))に分解される(式(3)参照)。
このように、水素(H2)は水素透過膜M3aで、窒素(N2)は触媒層M3bの触媒で、それぞれ独立して活性状態となるため、触媒にかかる負荷を低減できて、温和な条件でアンモニア(NH3)を合成可能となる。
そして、水素透過膜M3a中を移動してきた原子状水素(H)が、触媒層M3bの触媒に到達すると吸着水素原子(H(a))となる。そして、この吸着水素原子(H(a))3個と、1個の吸着窒素原子(N(a))とが逐次結合してアンモニア(NH3)が生成する。生成したアンモニアは、触媒から脱離した後、連続的に供給される高純度の窒素(N2)により、窒素流路31bの下流側に移動し、窒素流路31bの下流側から、アンモニア合成反応器30の外部に、未反応の窒素(N2)とアンモニア(NH3)の混合ガスとして排出される。
次いで、この未反応の窒素(N2)とアンモニア(NH3)とからなる混合ガスについて、例えば、分離膜による分離や湿式除去等により、未反応の窒素(N2)と生成したアンモニア(NH3)を分離し、アンモニア(NH3)を回収することで、アンモニア(NH3)を容易に製造することができる。
ここで、通常のアンモニア気相合成によって合成したアンモニアは、窒素及び水素との混合ガスの状態で存在する。ところが、第1実施形態では、前記混合ガスには、未反応の窒素(N2)とアンモニア(NH3)以外は含まれないため、容易に分離することができる。
このようにして、第1実施形態に係るアンモニア合成システムSによれば、連続的に高純度の窒素(N2)を製造すると共に、製造された窒素(N2)を利用してアンモニア(NH3)を連続的に合成(製造)することができる。
≪第2実施形態:内燃機関の排気ガスからの窒素製造≫
続いて、第2実施形態に係る窒素製造装置について、図3を参照して詳細に説明する。図3は、第2実施形態に係る窒素製造装置の全体構成図である。
[窒素製造装置の構成]
図3に示すように、第2実施形態に係る窒素製造装置S3は、第1実施形態に係る窒素製造装置S1(図1参照)に対し、主として、最上流側にエンジンEG(内燃機関)と、冷却器11をさらに備え、このエンジンEGから排出される排気ガスを利用して、高純度の窒素を製造する装置である。
すなわち、第2実施形態に係る窒素製造装置S3は、上流側から下流側に向かって順に、エンジンEG(第2除去ユニット)と、エンジンEGから排出される排気ガスを取り込む分岐管を介して接続した冷却器11と、原料ガス供給ポンプ12と、第2分離ユニット13と、流量調整弁15と、水素添加手段16と、触媒ユニット17と、第1分離ユニット18と、流量調整弁19と、これら機器を接続させる配管と、酸素濃度計14と、ECU20を備えて構成されている。
そして、窒素製造装置S3は、特許請求の範囲における第2除去ユニットとして、除去態様の異なるエンジンEGと、第2分離ユニット13を直列に備えている。ここで、前記分岐管を介して、冷却器11に取り込まれる排気ガスを原料ガスとする。
(エンジン)
エンジンEG(第2除去ユニット)は、図示しないエレメントを通過して取り込まれた外気(窒素含有気体)と、図示しない燃料供給装置から供給された燃料とを含んでなる混合気体を燃焼させることによって、酸素(O2)を消失させることにより除去して、酸素濃度が低下した排気ガスを生成すると共に、この排気ガスを下流側に供給する内燃機関である。
エンジンEGは、本発明においてその種類は特に限定されず、例えば、ディーゼルエンジン、リーンバーンエンジン等が挙げられる。また、エンジンEGから排出された排気ガスは、その一部が排気ガス管及び分岐管を介して、冷却器11に供給可能となっている。
(冷却器)
冷却器11は、分岐管から取り込まれた原料ガスを所定温度に冷却する機器であり、本実施形態では車両のラジエータに接続した冷却管で構成される。そして、冷却された原料ガスは、配管を介してガス供給ポンプ12に供給可能となっている。
(第2分離ユニット)
第2実施形態に係る分離ユニット13は、第1実施形態と同様の構成であるが、第2実施形態では、排気ガスを原料ガスとしている点で異なるため、第2実施形態に係る第2分離ユニット13は、窒素(N2)、酸素(O2)を主成分とする混合ガスAと、窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)を主成分とする混合ガスBとに分離する機器である。ここで、混合ガスAにおいては「N2>O2」の関係にあり、混合ガスBにおいては「O2>N2」の関係にある。
酸素濃度計14、流量調整弁15、水素添加手段16については、第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(触媒ユニット)
触媒ユニット17も、第1実施形態と同様の構成であるが、第2実施形態では排気ガスを原料ガスとするため、触媒による反応機構が異なる。
すなわち、触媒ユニット17に装填された白金系触媒(Pt/Al23)、パラジウム系触媒(Pd/Al23)によれば、第1実施形態と同様、次の式(4)に示すように、水素(H2)と酸素(O2)を反応(作用)させて、水蒸気(H2O)を生成可能となっている。これに加えて第2実施形態では、式(5)に示すように、一酸化炭素(CO)と酸素(O2)とを反応させて、二酸化炭素(CO2)を生成可能となっている。また、式(6)に示すように、炭化水素(HC)と、酸素(O2)とを反応させて、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)を生成可能となっている。
2H2+O2→2H2O …(4)
2CO+O2→2CO2 …(5)
2Cn(2n+2)+(3n+1)O2→2nCO2+(2n+2)H2O …(6)
このように第2実施形態に係る触媒ユニット17では、混合ガスAと水素(H2)は、式(4)〜式(6)の反応により生成された水蒸気(H2O)及び二酸化炭素(CO2)と、未反応の窒素(N2)を含む混合ガスCに変換可能となっている。
第2実施形態に係る第1分離ユニット18、流量調整弁19、ECU20は、第1実施形態と同様の構成であるので、ここでの説明は省略する。
ただし、第2実施形態に係るECU20は、エンジンEGとも回転速度計、トルク計等を介して、電気的に接続している。そして、ECU20は、エンジンEGの回転速度、負荷等に基づいて、エンジンEGの稼動状態を監視可能であると共に、エンジンEGの稼動状態に基づいて、原料ガス供給ポンプ12の稼動を制御し、排気ガスの量に対応して冷却器11に取り込む原料ガスの量を制御可能となっている。
[窒素製造装置の動作]
続いて、窒素製造装置S3の動作を説明しつつ、窒素製造方法を説明する。
エンジンEGは、その稼動によって、エンジンEGに取り込まれた外気中の酸素の一部を燃焼によって消失(除去)し、酸素濃度が低下した排気ガスを排出する。これに並行して、ECU20はエンジンEGの稼動を監視しており、このエンジンEGの稼動状況に対応して、原料ガス供給ポンプ12を稼動させて、エンジンEGから排出された排気ガスの一部を分岐管を介し、原料ガスとして冷却器11に取り込む。
エンジンEGの排気ガスから取り込まれた原料ガスは、冷却器11により所定温度に冷却される。
ここで、原料ガスには、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、酸素(O2)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)が含まれている。ただし、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)は、排気ガス浄化装置(図示しない)により十分に除去されており、高純度の窒素を製造する障害になることは無い。また、原料ガスは、エンジンEGで燃焼後に排出されたものであるため、窒素濃度は約70〜90%である。なお、前記したように一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)は、ごく微量にしか原料ガス中に存在していないため、図3の原料ガス成分には示していない。
そして、冷却された原料ガスは、原料ガス供給ポンプ12により所定圧力(例えば、0.1〜1.0MPaG)で、第2分離ユニット13に供給される。
第2分離ユニット13に供給された原料ガスは、前記所定圧力を駆動力として、前記した表1に示す透過速度比に基づいて、分離膜M1を透過しにくい窒素(N2)を主成分とする混合ガスAと、分離膜M1を透過しやすい酸素(O2)を主成分とする混合ガスBとに分離される。すなわち、第2分離ユニット13によって、原料ガスから、酸素(O2)を主成分とする混合ガスBは除去される。
詳細に説明すると、混合ガスAは、窒素(N2)を主成分とし、その他に一酸化炭素(CO)、酸素(O2)を含んでなる。一方、混合ガスBは、酸素(O2)を主成分とし、その他に二酸化炭素(CO2)を含んでなる。
ここで、原料ガスと混合ガスAとを比較すると、第2分離ユニット13により、酸素濃度は低下することになる。この工程が特許請求の範囲における「酸素濃度低下工程」に相当する。
言い換えれば、第2分離ユニット13による分離工程によって、窒素濃度は高くなる。第2分離ユニット13による窒素濃度の上昇程度は、分離後の混合ガスAにおいて、酸素濃度を低くすることが好ましい。酸素(O2)が除去されないと、水素添加手段16によって多量の水素(H2)を添加する必要があるからである。
このように混合ガスA中の酸素濃度を低下させる理由は、前記水素消費が多くなる問題点もさることながら、触媒ユニット17にて、水蒸気(H2O)が多量に生成してしまうと、第1分離ユニット18内で結露して、水蒸気除去が行われないからである。
すなわち、第1分離ユニット18導入される水蒸気の濃度は、必ず飽和水蒸気圧以下でなくてはならない。したがって、第1分離ユニット18に導入されるガスの流量(流量調整弁15の開度より求める)と酸素濃度計14で検出された酸素濃度とを掛け合わせて、酸素量を求め、この酸素量に基づいて、水素添加手段16において必要な水素量、第2分離ユニットの13の酸素除去能力の設定を行わなければならない。
また、酸素濃度を2%以下とする理由は、高圧下で分離しなければならなく、このように高圧にすると混合ガスAの量が極端に少なくなるからである。
そして、酸素濃度計14によって、混合ガスA中の酸素濃度が検出されると共に、この酸素濃度は、ECU20で監視される。その後、ECU20は、流量調整弁15を所定開度に調整し、所定流量に調整された混合ガスAを混合器16Bに供給する。この供給において、ECU20は、前記酸素濃度と流量調整弁15の開度に基づいて、混合器16Bに供給される混合ガスA中の酸素量を計算する。
混合器16Bへの混合ガスAの供給と共に、水素源16Aから所定量の水素(H2)が混合器16Bに供給され、混合器16Bにおいて、混合ガスAと水素(H2)とが好適に混合される。
さらに説明すると、ECU20は、前記酸素量に基づいて、流量調整弁16Cの開度を制御し、水素源16Aから混合器16Bへ供給される水素(H2)を所定量に調整する。この所定量は、混合ガスA中の酸素(O2)等を触媒ユニット17で燃焼(作用)させて、窒素(N2)に対して除去容易な水蒸気(H2O)等の分離(除去)容易気体を好適に生成可能な量に設定される。
そして、混合ガスAと水素源16Aから供給された水素(H2)とは、混合したまま触媒ユニット17に供給される。
次いで、混合ガスA及び水素(H2)が混合状態で供給された触媒ユニット17では、混合ガスA中の酸素(O2)等を、触媒存在下で水素(H2)と反応させて、窒素(N2)に対して除去容易である水蒸気(H2O)、二酸化炭素(CO2)等の除去容易気体を生成する(除去容易気体生成工程)。
詳細に説明すると、図示しない電気ヒータ等により活性が高められた白金系触媒(Pt/Al23)等の触媒により、混合ガスA中の酸素(O2)は、水素(H2)と反応して水蒸気(H2O)を生成する(前記式(4)参照)。また、混合ガスA中の一酸化炭素(CO)は、酸素(O2)と反応して二酸化炭素(CO2)を生成する(前記式(5)参照)。さらに、炭化水素(HC)は酸素(O2)と反応して、二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)を生成する(前記式(6)参照)。
さらにまた、例えば、水素源16Aとして、ガソリン等の燃料が改質された水素(H2)が使用され場合であって、未改質の炭化水素(HC)が添加されたときは、触媒ユニット17において、その未改質の炭化水素(HC)は、二酸化炭素(CO2)、水蒸気(H2O)に変換される。
このようにして、混合ガスAは、触媒ユニット17により、窒素(N2)と、変換された水蒸気(H2O)及び二酸化炭素(CO2)とを主成分とする混合ガスCに変換された後、混合ガスCは第1分離ユニット18に供給される。
第1分離ユニット18に、混合ガスCが供給されると、第2分離ユニット13での分離と同様に分離される。詳細には、第1実施形態で説明した表1に示す透過速度比に基づいて、分離膜M2を透過しやすい二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)は、容易に分離膜M2を透過する。一方、分離膜M2を透過しにくい窒素(N2)は分離膜M2を透過しない。このようにして、混合ガスCから二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)等の除去容易気体が除去されることで(除去工程)、高純度の窒素(N2)が製造される
このように第1分離ユニット18では、窒素(N2)と、窒素(N2)に対して除去しやすい二酸化炭素(CO2)及び水蒸気(H2O)等の除去容易気体を除去するため、従来と比較して低圧であっても、高純度の窒素(N2)を多量で製造することができる。
そして、分離膜M2を通過しないことで分離された高純度の窒素(N2)は、下流側の流量調整弁19に供給され、この流量調整弁19を所望の開度とし、所望量の高純度の窒素(N2)を製造することができる。
このようにして窒素製造装置S3によれば、連続的に高純度の窒素(N2)を製造することができる。また、窒素製造装置S3は、冷却等を必要としないため、簡易に構成可能であり、ディーゼル車等の車両に容易に搭載することができる。
≪第3実施形態≫
続いて、第3実施形態に係るアンモニア合成システムについて説明する。
第3実施形態に係るアンモニア合成システムは、第1実施形態に係るアンモニア合成システムSにおいて、アンモニア合成反応器30(図1参照)の代わりに、アンモニア合成容器を備えたことを特徴とする。
アンモニア合成容器は、主として、容器本体と、この容器本体の内部に装填され、Fe34を主体とし、Al23、K2Oを助触媒とする鉄系の3元系触媒やルテニウム(Ru)系の触媒(アンモニア合成触媒)と、を備えて構成されている。
そして、アンモニア合成反応器は、窒素製造装置S1の下流側に接続しており、窒素製造装置S1が製造した高純度の窒素と、水素源16Aから供給される水素とを、アンモニア合成触媒上で作用させて、アンモニアを合成可能となっている。
このような第3実施形態に係るアンモニア合成システムによれば、高純度の窒素と、水素を利用するため、酸素と水素が作用して水蒸気が発生し、この水蒸気がアンモニア合成触媒の反応活性点に化学吸着することもない。したがって、アンモニア合成触媒の活性を低下させることなく、高効率でアンモニアを合成することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他に例えば以下のような変更が可能である。
前記した第2実施形態に係る窒素製造装置S1は、水素添加手段16の上流側に、エンジンEG及び第2分離ユニット13を備え、このエンジンEG及び第2分離ユニット13により、外気(窒素含有気体)から酸素(O2)を除去した後に、水素(H2)を添加したが、酸素濃度の低い窒素含有気体を使用可能である場合は、エンジンEG及び第2分離ユニット13を備えなくてもよい。
前記した第1実施形態では、第1分離ユニット18及び第2分離ユニット13は、それぞれ単独で所定位置に配置したが、第1分離ユニット18及び第2分離ユニット13の数はこれに限定されず、例えば、時間当たりの分離能力の向上のために、複数の第1分離ユニット18、複数の第2分離ユニット13を、並列または直列に配置してもよいし、並列と直列を組み合わせて配置してもよい。
前記した第1実施形態では、第1分離ユニット18、第2分離ユニット13は、分離膜M1、分離膜M2をそれぞれ内蔵するとしたが、分離可能であれは膜状に限定されず、その他に例えば、分離ユニットの内部にパウダ状または粒状の吸着材を充填したり、柱状の吸着材を配置して、吸着率の違いにより分離してもよい
前記した第2実施形態では、原料ガスを原料ガス供給ポンプ12で供給したが、これに限定されず、原料ガス供給ポンプ12に代えて、例えば排気ガスの流量に応じて回転する排気タービンを使用してもよい。このように排気タービンを使用すれば、排気ガスの流量に応じて、排気ガスの一部を原料ガスとして取り込むことができる。
前記した第1実施形態では、水素添加手段16は混合器16Bを備えて構成されたとしたが、混合器16Bを備えずに、水素源16Aと流量調整弁15及び触媒ユニット17間の配管とを直接的に接続し、この配管内で水素(H2)が混合されるようにしてもよい。
前記した第1実施形態では、窒素製造装置S1、アンモニア合成装置S2、アンモニア合成システムSは、ディーゼル車等の車両に搭載容易としたが、本発明はこれに限定されず、据え置き型等であってもよいことは言うまでもない。
なお、本発明では、高純度の窒素を製造する窒素製造装置としたが、窒素及び酸素を含有する窒素含有気体から選択的に酸素を除去する酸素除去装置と考えることもできる。同様に、本発明では、窒素製造方法としたが、窒素含有気体から酸素を選択的に除去する酸素除去方法と考えることもできる。ただし、この酸素除去装置及び酸素除去方法は、本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
第1実施形態に係る窒素製造装置を備えたアンモニア合成システムの全体構成図である。 図1に示すアンモニア合成反応器によるアンモニア合成状況を模式的に示す図である。 第2実施形態に係る窒素製造装置の全体構成図である。
符号の説明
S アンモニア合成システム
S1、S3 窒素製造装置
S2 アンモニア合成装置
EG エンジン(第2除去ユニット)
13 第2分離ユニット(第2除去ユニット)
14 酸素濃度計(酸素量検出手段)
15 流量調整弁(酸素量検出手段)
16 水素添加手段(還元剤添加手段)
16A 水素源
16B 混合器
16C 流量調整弁(還元剤量調整機器)
17 触媒ユニット
18 第1分離ユニット(第1除去ユニット)
20 ECU
30 アンモニア合成反応器
31 ケーシング
31a 水素流路
31b 窒素流路
M1、M2 分離膜
M3 隔膜
M3a 水素透過膜
M3b 触媒層

Claims (12)

  1. 窒素及び酸素を含有する窒素含有気体から、高純度の窒素を得る窒素製造装置であって、
    上流側から下流側に向かって、
    前記窒素含有気体に還元剤を添加する還元剤添加手段と、
    当該還元剤と前記酸素とを作用させて、前記窒素に対して除去容易である除去容易気体を連続的に生成する触媒を有する触媒ユニットと、
    前記除去容易気体を除去することで、連続的に高純度の窒素を得る第1除去ユニットと、
    を備えたことを特徴とする窒素製造装置。
  2. 前記第1除去ユニットは、未作用の還元剤も除去することを特徴とする請求項1に記載の窒素製造装置。
  3. 前記還元剤添加手段の上流側に、
    前記窒素含有気体から前記酸素を除去して、酸素濃度を低下させる第2除去ユニットを、さらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒素製造装置。
  4. 前記還元剤は水素であり、前記除去容易気体は水蒸気であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の窒素製造装置。
  5. 前記還元剤は水素であり、前記除去容易気体は水蒸気であり、
    前記第2除去ユニットが酸素濃度を低下することで、前記第1除去ユニットに導入される水蒸気が飽和水蒸気圧以下となるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の窒素除去装置。
  6. 前記還元剤添加手段は、前記還元剤及び前記窒素含有気体を混合させる混合器と、当該混合器に供給する還元剤量を調整する還元剤量調整機器とを有し、
    前記混合器に供給される前記窒素含有気体中の酸素量を検出する酸素量検出手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の窒素製造装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の窒素製造装置と、
    当該窒素製造装置の下流側に接続し、
    水素が流通する水素流路と窒素が流通する窒素流路とを隔て、且つ、水素が透過可能な前記水素流路側の水素透過層、及び、当該水素透過層を透過した水素と窒素との作用させてアンモニアの生成を促進させる前記窒素流路側の触媒を有する隔膜を具備したアンモニア合成反応器と、
    を備え、
    前記アンモニア合成反応器により、前記窒素製造装置で得た窒素を利用して、アンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成システム。
  8. 請求項1から請求項6にいずれか1項に記載の窒素製造装置と、
    当該窒素製造装置の下流側に接続し、
    窒素と水素とを作用させて、アンモニアを合成するアンモニア合成触媒を有するアンモニア合成反応器と、
    を備え、
    前記アンモニア合成反応器により、前記窒素製造装置で得た窒素を利用して、アンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成システム。
  9. 窒素及び酸素を含有する窒素含有気体から、高純度の窒素を得る窒素製造方法であって、
    窒素及び酸素を含有する窒素含有気体に、還元剤を添加する還元剤添加工程と、
    当該還元剤と前記酸素とを触媒存在下で作用させて、前記窒素に対して除去容易である除去容易気体を連続的に生成する除去容易気体生成工程と、
    当該除去容易気体を除去することで、連続的に高純度の窒素を得る除去工程と、
    を有することを特徴とする窒素製造方法。
  10. 前記除去工程において、未作用の還元剤も除去することを特徴とする請求項9に記載の窒素製造方法。
  11. 前記還元剤添加工程の前に、
    前記窒素含有気体から前記酸素を除去して酸素濃度を低下させる酸素濃度低下工程を、さらに有することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の窒素製造方法。
  12. 請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の窒素製造方法で製造された窒素と、水素とを作用させてアンモニアを合成することを特徴とするアンモニア合成方法。
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