JPWO2017069069A1 - フッ素樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

耐放射線性に優れるフッ素樹脂の提供。
テトラフルオロエチレンとエチレンとの2元系共重合体からなるフッ素樹脂であって、前記テトラフルオロエチレンに由来する単位と前記エチレンに由来する単位との合計に対して、前記テトラフルオロエチレンに由来する単位が50〜60モル%であり、ASTM D3159に準拠し、温度297℃、荷重49Nの条件下で測定されたメルトフローレートが、0.1g/10分以下である、フッ素樹脂。

Description

本発明はフッ素樹脂、およびフッ素樹脂の製造方法に関する。
フッ素樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れており、各種の用途に広く用いられている。
高分子量のテトラフルオロエチレンの単独重合体(以下「PTFE」とも記す。)は溶融流動性を示さず押出し成形できないのに対して、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体は加熱溶融させて押出し成形できるフッ素樹脂として知られている(特許文献1、2)。
特許文献1および2は、押出し成形可能なテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体の製造方法に関するものである。特許文献2の実施例に記載のテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体の製造方法では、重合時に、分散安定剤として連鎖移動性を有するn-セタンを使用し、かつ、ラジカル重合開始剤を多量に使用された。そのため、得られた共重合体は、高分子量体ではなく、溶融流動性を示す。
特公昭39−22586号公報 特公昭55−23847号公報
従来のPTFEやテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体は、放射線の照射によって分子鎖の切断が進行し、機械的特性が低下する。そのため原子力施設内や宇宙空間などの放射線環境下では使用できないという問題があった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、耐放射線性に優れるフッ素樹脂を提供することを目的とする。
本発明者等は、テトラフルオロエチレンとエチレンを特定の比率で共重合させるとともに、溶融流動性を示さないような、高結晶性の高分子量体とすることにより、耐放射線性に優れるフッ素樹脂が得られることを見出した。
本発明は、以下の[1]〜[10]の構成を有する、フッ素樹脂およびその製造方法を提供する。
[1] テトラフルオロエチレンとエチレンとの2元系共重合体であって、前記テトラフルオロエチレンに由来する単位と前記エチレンに由来する単位との合計に対する前記テトラフルオロエチレンに由来する単位の割合が50〜60モル%である、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体からなるフッ素樹脂であり、
ASTM D3159に準拠し、温度297℃、荷重49Nの条件下で測定されたメルトフローレートが、0.1g/10分以下であることを特徴とするフッ素樹脂。
[2] 融点が270〜290℃である、[1]のフッ素樹脂。
[3] 結晶化度が75〜95%である、[1]または[2]のフッ素樹脂。
[4] 交互共重合性が75〜95%である、[1]〜[3]のいずれかのフッ素樹脂。
[5] 水溶性有機溶媒と水との混合液、または水から選ばれる水性媒体、乳化剤、融点が35〜90℃のパラフィンワックス、および前記水性媒体に対して10〜500ppmのラジカル重合開始剤の存在下で、テトラフルオロエチレンとエチレンとを、テトラフルオロエチレンとエチレンとの合計量に対して、テトラフルオロエチレンの60〜85モル%、エチレンの40〜15モル%の比率を保持して共重合させてテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体を製造することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかのフッ素樹脂の製造方法。
[6] 前記共重合させる際の重合圧力が1.8〜5.0MPaである、[5]のフッ素樹脂の製造方法。
[7]前記乳化剤が、炭素数4〜7でエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸およびその塩からなる群から選ばれる1種以上からなる、[5]または[6]のフッ素樹脂の製造方法。
[8]重合温度が35〜100℃である、[5]〜[7]のいずれかのフッ素樹脂の製造方法。
[9]テトラフルオロエチレンとエチレンとを、テトラフルオロエチレンの60〜78モル%、エチレンの40〜22モル%の比率に保持して共重合させる、[5]〜[8]のいずれかのフッ素樹脂の製造方法。
[10]前記パラフィンワックスの融点が35〜75℃である、[5]〜[9]のいずれかのフッ素樹脂の製造方法。
本発明のフッ素樹脂は耐放射線性に優れる。
本発明のフッ素樹脂の製造方法よれば、耐放射線性に優れるフッ素樹脂が得られる。
実施例で得られたフッ素樹脂の耐放射線性の評価結果を示すグラフである。 比較例で得られたフッ素樹脂の耐放射線性の評価結果を示すグラフである。 実施例で得られたフッ素樹脂のペースト押出し後に延伸されたビードの内部構造を示す走査型電子顕微鏡による観察写真である。
以下の用語の意味は、以下の通り。
「メルトフローレート(以下「MFR」と記す。)」は、ASTM D3159のB法に準拠し、温度297℃、荷重49Nの条件下で測定される値である。分子量が高いほどMFRは低くなる傾向がある。通常、工業的に溶融成形できるフッ素樹脂のMFRの値としては、0.1g/10分超であることが知られている。0.1g/10分以下のMFRの値は、測定値としては算出可能であるが、実際に溶融成形できる特性ではなく、MFRが0.1g/10分以下のフッ素樹脂は、溶融流動性を示さない樹脂として扱われる。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解による吸熱ピークにおける温度である。
「交互共重合性」とは、フッ素樹脂においてTFE単位とE単位の交互配列が存在する割合(単位:%)である。測定方法は後述する。仮に、フッ素樹脂を構成するTFE単位とE単位が等モルで、該TFE単位とE単位とが完全に交互に配列している場合、交互共重合性の値は100%である。
含有量の単位である「ppm」は質量基準である。
重合圧力はゲージ圧で表す。
なお、以下、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」と記す。)に由来する単位をTFE単位、エチレンに由来する単位をE単位と記載する。共重合体を構成する各単位の比率を共重合体組成という。
本発明のフッ素樹脂は、TFEとエチレンとの2元系共重合体からなる。該2元系共重合体は、TFEとエチレン以外の単量体に由来する単位を含まず、TFE単位およびE単位以外の成分の質量は痕跡程度であり無視できるものとする。
本発明のフッ素樹脂の製造方法において、上記2元系共重合体の収率はほぼ100%であり、上記2元系共重合体におけるTFE単位とE単位のモル比は、TFEとエチレンとの共重合反応において消費されるTFEとエチレンのモル比と等しいと見積ることができる。
以下、本発明におけるTFE単位とE単位とからなる2元系共重合体を「TFE/E共重合体」と記す。
<フッ素樹脂>
本発明のフッ素樹脂は、特定割合のTFE単位とE単位とから構成されるTFE/E共重合体からなる。このTFE/E共重合体は、TFEとエチレン以外の単量体に由来する単位を含まない。
TFE/E共重合体中のTFE単位とE単位との合計に対するTFE単位の割合は50〜60モル%であり、残りはE単位である。TFE単位は50〜55モル%が好ましい。TFE単位の割合は50〜52モル%がさらに好ましい。
TFE単位の割合が50モル%以上であると、TFE/E共重合体中にE単位の連鎖が減るため、フッ素樹脂の耐熱性がよい。また、60モル%以下であるとフッ素樹脂の結晶化度が高い。
本発明のフッ素樹脂のMFRは、0.1g/10分以下であり、0.08g/10分以下が好ましく、0.05g/10分以下がより好ましい。フッ素樹脂のMFRが前記範囲以下であれば、耐放射線性に優れる。MFRが上記範囲の上限値以下であると良好な耐放射線性が得られる。TFE/E共重合体の分子量を十分に高くすることにより、上記のMFRの範囲を達成できる。
フッ素樹脂の融点は270〜290℃が好ましく、275〜285℃がより好ましい。融点が上記範囲の下限値以上であるとフッ素樹脂は耐放射線性に優れる。上限値以下であれば製造時の操作性に優れる。
フッ素樹脂の結晶化度は75〜95%が好ましく、80〜90%がより好ましい。結晶化度が上記範囲の下限値以上であるとフッ素樹脂は耐放射線性に優れる。上限値以下であれば製造時の操作性に優れる。
TFE/E共重合体の交互共重合性は75〜95%が好ましく、85〜95%がより好ましい。交互共重合性が上記範囲の下限値以上であるとフッ素樹脂は耐放射線性に優れる。上限値以下であれば製造時の操作性に優れる。
<フッ素樹脂の製造方法>
本発明におけるTFE/E共重合体は、水性媒体、乳化剤、特定のパラフィンワックス、および特定量のラジカル重合開始剤の存在下で、TFEとエチレンとを特定比率で共重合させることにより製造できる。乳化剤を用いる共重合法である乳化重合法を用いることにより、分子量が高いTFE/E共重合体が得られ、MFRが小さいフッ素樹脂が得られやすい。
[水性媒体]
水性媒体としては、水、又は、水溶性有機溶媒と水との混合液が用いられる。水としては、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エチレングリコール類、プロピレングリコール類などが挙げられる。これらのうちガス吸収の点でアルコール類が好ましい。アルコール類としては、tert−ブタノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等が挙げられる。特に連鎖移動反応が生起し難く、高分子量のTFE/E共重合体が生成し易い点でtert−ブタノールが好ましい。
水溶性有機溶媒を含有する場合、その含有量は、水の100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。なお、ラジカル重合開始剤の添加量の基準となる水性媒体の量は水溶性有機溶媒と水の合計であり、重合開始剤などの他の添加剤の含有量は含まれない。
[乳化剤]
乳化剤は、公知の含フッ素乳化剤を用いることができる。残留性が低く、生体蓄積性が低い点で、炭素数4〜7でエーテル性酸素原子を有してもよい含フッ素カルボン酸およびその塩からなる群から選ばれる1種以上の含フッ素乳化剤が好ましく、炭素数4〜7でエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸およびその塩からなる群から選ばれる1種以上の含フッ素乳化剤がより好ましい。ここで、炭素数とは、含フッ素乳化剤中の全炭素数を意味する。
該エーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸は、炭素数が4〜7で主鎖の炭素鎖の途中にエーテル性酸素原子を有し、末端に−COOHを有する化合物である。末端の−COOHは塩を形成していてもよい。主鎖の途中に存在するエーテル性酸素原子は1個以上であり、1〜4個が好ましく、1又は2個がより好ましい。炭素数は5〜7が好ましい。
含フッ素カルボン酸としては、パーフルオロモノオキサアルカン酸、エーテル性酸素原子に置換された炭素原子の数が2〜4個のパーフルオロポリオキサアルカン酸、またはこれらカルボン酸のフッ素原子の1〜3個が水素原子に置換されたカルボン酸が好ましい。なお、これらカルボン酸の炭素数は酸素原子に置換された炭素原子を含まない数である。
該含フッ素カルボン酸の好ましい具体例としては、COCFCFOCFCOOH、COCFCFOCFCOOH、CFOCFOCFOCFOCFCOOH、CFO(CFCFO)CFCOOH、CFCFO(CFCOOH、CFCFHO(CFCOOH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CFO(CFOCF(CF)COOH、CFO(CFOCHFCFCOOH、COCF(CF)COOH、COCFCFCOOH、CFO(CFOCFCOOH、CFO(CFOCHFCOOH、CFOCFOCFOCFCOOH、COCFCOOH、COCFCFCOOH、COCHFCFCOOH、COCF(CF)COOH、CFCFHO(CFCOOH、CFOCFCFOCFCOOH、COCFCFCOOH、COCHFCOOH、CFOCFCFCOOH、CF(CFCOOHが挙げられる。
より好ましい具体例としては、COCFCFOCFCOOH、CFO(CFOCFCOOH、CFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CFO(CFOCFCFCOOH、CFO(CFOCHFCFCOOH、COCF(CF)COOH、COCF(CF)COOHが挙げられる。
含フッ素カルボン酸塩としては、上記含フッ素カルボン酸のアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられ、具体的には、Li塩、Na塩、K塩、NH塩などが挙げられる。
特に好ましくは、上記化合物のアンモニウム塩(NH塩)である。アンモニウム塩であると水性媒体中への溶解性に優れるとともに、金属イオン成分が得られるTFE/E共重合体中に不純物として残留するおそれがない。
乳化剤の使用量の合計は、TFE/E共重合体の収量に対して1,500〜20,000ppmが好ましく、2,000〜20,000ppmがより好ましく、3,000〜20,000ppmがさらに好ましい。該乳化剤は、重合の初期から全量を添加してもよいし、重合途中に分割して添加してもよい。
上記範囲の下限値以上かつ上記範囲の上限値以下であると重合時の良好な乳液安定性が得られやすい。
[パラフィンワックス]
パラフィンワックスは、融点が35〜90℃であるものを用いる。乳化重合の反応液に該パラフィンワックスを含有させることにより、生成するTFE/E共重合体の微粒子の分散安定性が優れることから、分子量が高いTFE/E共重合体が得られ、MFRが小さいフッ素樹脂が得られやすい。
パラフィンワックスの融点は35〜75℃が好ましく、35〜60℃がより好ましい。融点が35℃より低いと低分子量体が多く含まれるので、連鎖移動反応しやすく、分子量が低いTFE/E共重合体が生成しやすい。90℃を超えると重合温度を高くする必要が生じる場合がある。
パラフィンワックスの添加量は、水性媒体に対して0.1〜12質量%が好ましく、0.1〜8質量%がさらに好ましい。添加量が上記範囲の下限値以上かつ上記範囲の上限値以下であれば生成するTFE/E共重合体の微粒子の良好な分散安定性が得られる。
[ラジカル重合開始剤]
ラジカル重合開始剤(以下、単に重合開始剤ともいう。)は、TFE/E共重合体の製造において公知のものを使用できる。特に水溶性の重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤の具体例としては、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、過酸化水素、過マンガン酸カリウムおよびこれらと亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、シュウ酸などの還元剤との組合せからなるレドックス重合開始剤、さらにこれらに少量の鉄、第一鉄塩(例えば、硫酸第一鉄塩など)、硫酸銀などを共存させた系の無機系重合開始剤、またはジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩などの有機系重合開始剤等を例示することができる。
重合開始剤は、乳化重合の最初から添加してもよいし、乳化重合の途中から添加してもよい。重合開始剤の添加量は、水性媒体に対して10〜500ppmであり、30〜300ppmが好ましく、50〜250ppmがより好ましい。添加量が10ppm以上であると良好な重合速度が得られる。500ppm以下であると分子量が高いTFE/E共重合体が得られやすい。この範囲にあると、重合速度が速く、高分子量のTFE/E共重合体が得られやすい。
TFE/E共重合体の製造において、連鎖移動剤は使用しないことが好ましい。重合時に連鎖移動剤が存在すると、MFRが大きく、低分子量のTFE/E共重合体が生成しやすいので、好ましくない。
[重合工程]
重合工程では、水性媒体、乳化剤、パラフィンワックス、および重合開始剤の存在下で、TFEとエチレンとを重合反応させる。これにより、目的のTFE/E共重合体を含む水性乳化液が得られる。
該TFE/E共重合体の交互共重合性は重合時の温度の影響を受け、低温の方が交互性が高い。重合温度は35〜100℃が好ましく、35〜80℃がより好ましく、35〜75℃がさらに好ましい。
重合圧力は1.8〜5.0MPaが好ましく、2.5〜4.5MPaがより好ましく、2.5〜4.0MPaがさらに好ましく、3.0〜4.0MPaが最も好ましい。重合圧力が上記範囲の下限値以上であると重合反応が速やかに開始され、高分子量のTFE/E共重合体が得られやすい。上限値以下であると操作性に優れる。
重合反応後に得られる水性乳化液中のTFE/E共重合体の濃度は、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本発明の製造方法において、単量体であるTFEとエチレンとの比率は、特に限定されない。本発明の特定の組成のTFE/E共重合体を得るために、これらの単量体の反応性比を考慮して、共重合反応時の単量体中のTFEの比率を多くすることが好ましい。また、E単位とTFE単位の比率である共重合体組成を一定に保つために、共重合反応時の単量体中のTFE/エチレンの比率を常に一定に保持することが好ましい。
具体的には、TFE単位が50〜60モル%であり、E単位が50〜40モル%であるTFE/E共重合体を得るためには、単量体中のTFEとエチレンのモル比率は、60〜85/40〜15が好ましい。重合反応途中に、この比率を保つことによって、TFE単位が50〜60モル%であり、E単位が50〜40モル%であるTFE/E共重合体が生成しやすい。
TFE単位が50〜55モル%であり、E単位が50〜45モル%であるTFE/E共重合体を得るためには、単量体中のTFEとエチレンのモル比率は、60〜82/40〜18が好ましい。
TFE単位が50〜52モル%であり、E単位が50〜48モル%であるTFE/E共重合体を得るためには、共重合反応時の単量体中のTFEとエチレンのモル比率は、60〜78/40〜22が好ましい。
重合操作としては、たとえば、実施例1に示すように、単量体中のTFE/エチレンのモル比を70/30にする。そして、生成するTFE/E共重合体が生成するに従い、生成するTFE/E共重合体と同じ量で、同じ比率(TFE/エチレン=50/50モル比)の単量体を常に共重合系に加えることが好ましい。これは、重合反応中に、重合圧力を一定に保持するように、一定組成の単量体混合物を供給することで達成される。このような操作によって、TFE単位の50モル%、E単位の50モル%の比率のTFE/E共重合体が製造できる。
[凝集工程]
重合工程で得られた水性乳化液からのTFE/E共重合体の取得は、公知の方法で行える。
例えば該水性乳化液に、凝集剤を添加して、TFE/E共重合体を凝集させることができる。また、水性乳化液を凍結させて凝集させることもできる。
凝集剤としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどの水溶性塩、硝酸、塩酸、硫酸などの酸類、アルコール、アセトンなどの水溶性有機溶媒類などが挙げられる。凝集剤の添加量は、水性乳化液の100質量部に対して、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましい。
凝集されたTFE/E共重合体は、濾別して、洗浄水で洗浄することが好ましい。洗浄水としては、イオン交換水、純水、超純水などが挙げられる。
洗浄後、乾燥させることによりTFE/E共重合体の粉末が得られる。乾燥方法としては、真空乾燥、高周波乾燥、熱風乾燥が挙げられる。乾燥温度は60〜110℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
<作用・機序>
本発明のフッ素樹脂は、TFE単位とE単位を特定の比率で含み、かつ溶融流動性を示さないような高分子量体のTFE/E共重合体からなることにより、耐放射線性に優れる。具体的に、後述の実施例に示されるように放射線の照射により却って引張強度が向上する。
その理由は明らかではないが、本発明におけるTFE/E共重合体は、分子量が十分に高く、かつ放射線の照射によって架橋が生じやすい構造を有していると考えられる。融点、結晶化度、または交互共重合性が高いと架橋がより生じ易くなると考えられる。
また本発明の製造方法によれば、溶融流動性を示さない高分子量のTFE/E共重合体を製造できる。TFEとエチレンの乳化重合において、融点35〜90℃のパラフィンワックスが反応液の分散安定性に寄与するため、ラジカル重合開始剤の使用量を低減しても重合反応が効率良く進み、その結果、高分子量のTFE/E共重合体が生成すると考えられる。
<成形方法>
本発明のフッ素樹脂は、溶融流動性を示さないため、公知のPTFEの成形法を適用できる。圧縮成形法を用いて所望の形状に成形できる。例えば、金型内にフッ素樹脂の粉末を充填し、常温でプレスに挟んで圧縮(予備成形)した後、予備成形品を取り出して加熱焼結し、冷却する方法を用いることができる。該予備成形品を加熱焼結した後、加圧しながら冷却する方法もある。また、金型内にフッ素樹脂の粉末を充填して加熱した後に、加圧して圧縮し、冷却する方法を用いることもできる。また、本発明のフッ素樹脂粉末のペースト押し出し成形物は、その後に乾燥し延伸することにより、多孔体を得ることができる。延伸条件としては、適当な速度、例えば10%/秒〜50000%/秒の速度、適当な延伸倍率、例えば100%以上の延伸倍率が採用される。多孔体で構成される物品の形状としては、チューブ、シート、フィルム、繊維など種々の形状が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[共重合体組成(単位:モル%)]
全フッ素量測定および溶融19F−NMR測定の結果より算出した。
[MFR(単位:g/10分)]」
高温メルトインデックサ(東洋精機製作所社製)を用い、ASTM D3159 B法に準拠し、温度297℃、荷重49Nにて測定される値である。この際の密度は、フッ素樹脂の実測値である1.7g/cm3を使用した。
[融点(単位:℃)]
走査型示差熱分析器(セイコーインスツルメンツ社製、製品名:DSC220CU)を用いて、空気雰囲気下に室温から300℃まで10℃/分で加熱した際の吸熱ピークから求めた。
[結晶化度(単位:%)]
結晶化度はX線回折法より得られた回折ピークの積分強度より求めた。
(X線回折測定)
粉末状のフッ素樹脂をサンプル用石英板に貼り付け、サンプル台に固定し、粉末X線回折装置を用いてX線回折測定を行った。得られた回折強度曲線を、解析ソフトを用いてカーブフィッティングを行った。関数はピアソンvii関数を用い、フィッティングカーブと実曲線の差が10%以下となるように行った。ピーク分離法を用い、非結晶部分のピーク位置は、2θ=17.268°とし、二つの結晶ピークについては自動検出させた。結晶ピークは2つあり、それぞれの面積比を求めた。
(測定条件)
サンプルの形状: 厚さが50μmで1.5cm角のフィルム。
測定装置: Bruker社製、製品名:D2 PHASER。
測定方法: 2θ/θ法。
測定範囲: 2θ=10〜30°の範囲。
X線強度: 30kV、10mA。
X線源: CuKα線。
解析ソフト: Bruker社製、製品名:TOPAS Ver.4.2。
測定温度: 室温。
(結晶化度の算出)
X線回折測定により得られた回折強度曲線の積分強度を用いて、下記式により算出した。結晶化度(%)=(S19+S20)/(S17+S19+S20)×100
S20:2θ=20°付近のピーク面積。
S17:2θ=17°付近のピーク面積。
S19:2θ=19°付近のピーク面積。
[交互共重合性(単位:%)]
溶融19F−NMR分析とフッ素含有量分析により、下記トライアッドシーケンス(a)のモル分率a、(b)のモル分率b、(c)のモル分率cを求め、a/{a+(b/2)+c}×100の計算式より算出される値を交互共重合性(単位:%)の値とした。100%に近い程交互共重合性が優れていることを示す。
(a)E単位−TFE単位−E単位。
(b)TFE単位−TFE単位−E単位。
(c)TFE単位−TFE単位−TFE単位。
[実施例1](フッ素樹脂A(TFE/E2元系共重合体)の製造)
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3.2Lのステンレス鋼製の耐圧反応器に、イオン交換水の1670g、乳化剤としてCOCOCFCOONHの2.25g、tert−ブタノールの198g、融点が54℃であるパラフィンワックスの84gを加えた。
ついで、該耐圧反応器内を窒素置換後脱気し、次いで60℃で、TFE/エチレン(モル比)=70/30の初期単量体混合ガスを、反応器の内圧が3.0MPaになるように圧入した。アンカー翼を200rpmで回転させ、その後、重合開始剤として過硫酸アンモニウムの3.2質量%水溶液(以下「APS3.2質量%水溶液」と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。重合反応が開始した時点で、APS3.2質量%水溶液の添加を停止した。
重合温度を60℃、かつ反応器の内圧を3.0MPaに維持しながら、TFE/エチレン(モル比)=50/50の単量体混合ガスを連続的に圧入した。該単量体混合ガスの圧入量の総量が300gとなった時点で、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、フッ素樹脂Aのラテックスを得た。APS3.2質量%水溶液の添加量は7.81gであり、含まれるAPSの添加量は0.25gであった。重合時間は10時間であった。
該ラテックスに硝酸を添加して凝集し、フッ素樹脂Aを析出させた。フッ素樹脂Aをろ過し、回収した。ついでフッ素樹脂Aをイオン交換水により洗浄し、80℃のオーブンで15時間乾燥させ、白色のフッ素樹脂Aの紛末290g(収率97質量%)を得た。
得られたフッ素樹脂について、上記の方法で共重合体組成、MFR、融点、結晶化度、交互共重合性を測定した。その結果を表1に示す。表1には主な製造条件も示す(以下、同様。)
[実施例2](フッ素樹脂B(TFE/E共重合体)の製造)
重合温度を70℃に、APSの添加量を0.28gに、重合時間を9.5時間に変えた以外は、実施例1と同様にして、白色のフッ素樹脂Bの紛末285g(収率95質量%)を得た。
[実施例3](フッ素樹脂C(TFE/E共重合体)の製造)
重合温度を70℃に、APSの添加量を0.27gに、初期単量体混合ガスのTFE/エチレン(モル比)を74/26に、連続的に圧入する単量体混合ガスのTFE/エチレン(モル比)を52/48に、かつ重合時間を9時間に変えた以外は、実施例1と同様にして、白色のフッ素樹脂Cの紛末285g(収率95質量%)を得た。
[実施例4](フッ素樹脂D(TFE/E共重合体)の製造)
重合温度を70℃に、APSの添加量を0.26gに、初期単量体混合ガスのTFE/エチレン(モル比)を76/24に、連続的に圧入する単量体混合ガスのTFE/エチレン(モル比)を54/46に、かつ重合時間を8.5時間に変えた以外は、実施例1と同様にして、白色のフッ素樹脂Dの紛末275g(収率92質量%)を得た。
以下の比較例1、2、3では、重合溶媒としてCF(CFH(以下「C6H」と記す。)を用い、溶液重合によりフッ素樹脂を製造した。またTFEおよびエチレンと共重合させる他の単量体としてHC=CHCFCFCFCF(以下「PFBE」と記す。)を用いた。
[比較例1](フッ素樹脂E(TFE/E/PFBE共重合体)の製造)
内容積が1.3Lの撹拌機付き耐圧反応器を脱気し、C6Hの1340g、メタノールの10.8g、PFBEの4.5gを仕込んだ。撹拌しながらTFE/エチレン(モル比)=70/30の初期単量体混合ガスを、反応器の内圧が1.4MPaになるように圧入した。反応器内を73℃に昇温し、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの0.5質量%C6H溶液の9gを仕込み、重合を開始させた。
重合中圧力が一定になるようにTFE/エチレン(モル比)=51/49の単量体混合ガスおよび該単量体混合ガスに対して1.0モル%に相当する比率のPFBEを連続的に供給した。重合開始8.0時間後、単量体混合ガスの87gを仕込んだ時点で、反応器内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリー状のフッ素樹脂Eを、ガラスフィルターで吸引ろ過し、溶媒を分離し、150℃で12時間乾燥することにより、フッ素樹脂Eの紛末84g(収率97質量%)を得た。
[比較例2](フッ素樹脂F(TFE/E/PFBE共重合体)の製造)
内容積が1.3Lの撹拌機付き耐圧反応器を脱気し、C6Hの1340g、メタノールの5.23g、PFBEの15.38gを仕込んだ。撹拌しながらTFE/エチレン(モル比)=80/20の初期単量体混合ガスを、反応器の内圧が1.5MPaになるように圧入した。反応器内を66℃に昇温し、重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの2質量%C6H溶液の5gを仕込み、重合を開始させた。
重合中圧力が一定になるようにTFE/エチレン(モル比)=58/42の単量体混合ガスおよび該単量体混合ガスに対して3.3モル%に相当する比のPFBEを連続的に供給した。重合開始8.0時間後、単量体混合ガスの90gを仕込んだ時点で、反応器内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリー状のフッ素樹脂Fを、ガラスフィルターで吸引ろ過し、溶媒を分離し、150℃で12時間乾燥することにより、フッ素樹脂Fの紛末85g(収率94質量%)を得た。
以下の比較例3では、連鎖移動剤である1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(AK225cb、旭硝子社製、以下、「AK225cb」という。)を用い、溶液重合によりフッ素樹脂を製造した。
[比較例3](フッ素樹脂G(TFE/E共重合体)の製造)
内容積が1.3Lの撹拌機付き耐圧反応器を脱気し、AK225cbの380g、C6Hの900gを仕込んだ。
ついで、66℃で、TFE/エチレン(モル比)=70/30の初期単量体混合ガスを、反応器の内圧が1.5MPaになるように圧入した。重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの2質量%C6H溶液の2gを仕込み、重合を開始させた。
重合中圧力が一定になるようにTFE/エチレン(モル比)=50/50の単量体混合ガスを連続的に供給した。重合開始1.5時間後、該単量体混合ガスの90gを仕込んだ時点で、反応器内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリー状のフッ素樹脂Gを、ガラスフィルターで吸引ろ過し、溶媒を分離し、150℃で12時間乾燥することにより、フッ素樹脂Gの紛末75g(収率83質量%)を得た。
[実施例5](フッ素樹脂H(TFE/E共重合体)の製造)
実施例1で使用した耐圧反応器に、イオン交換水の1670g、乳化剤としてCOCOCFCOONHの3.72g、tert−ブタノールの198g、融点が54℃であるパラフィンワックスの84g、シュウ酸の0.2g、コハク酸の2.00gを仕込んだ。次いで、該反応器を窒素置換後脱気しTFE/エチレン(モル比)=70/30の初期単量体混合ガスを、加圧容器の内圧が3.0MPaになるように圧入し、60℃に昇温後にアンカー翼を200rpmで回転させた。
重合開始剤として0.30%の過マンガン酸カリウム水溶液を0.5〜1.0mL/分で添加し途中で停止した。温度を60℃、かつ加圧容器の内圧を3.0MPaに維持しながら、TFE/エチレン(モル比)=50/50の単量体混合ガスを連続的に圧入した。この後、該単量体混合ガスの総量が260gとなった時点で、加圧容器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、フッ素樹脂Hのラテックスを得た。重合時間は390分であった。
実施例1と同様にして、白色のフッ素樹脂Hの紛末225g(収率87質量%)を得た。
[耐放射線性の評価]
フッ素樹脂A〜Gの各粉末を下記の方法で圧縮成形して厚さ1mmのシートを作製した。シートから試験片を切り出し、電子線の照射前(照射量ゼロ)の試験片、および空気(室温)中で所定の照射量を照射した試験片についてそれぞれ引張強度(単位:MPa)を測定した。電子線の照射量は60kGy、120kGy、240kGyの3通りとした。
シートの作製は、熱プレス機で300℃5分間保持した後、300℃100kPaで5分間プレスし、冷水で5分間冷却する方法で行った。
引張強度の測定は、ASTMD3159に記載された方法で行い、引張速度は50mm/分とした。
結果を図1、2に示す。図1、2において、横軸は電子線の照射量、縦軸は引張強度をそれぞれ示す。
[押出し圧および延伸性の評価]
室温で2時間以上放置されたフッ素樹脂Aを1910μmの篩にかけた。この粉末(50g)および潤滑剤である140℃以上の沸点を持つ含フッ素溶媒(29.0g)とを内容量100mLのガラス瓶に入れ、3分間混合した。次いで得られたフッ素樹脂混合物を70℃恒温槽に2時間放置した後に、内径8.5mmのシリンダーをもつ金型にて該フッ素樹脂混合物の5gを65kg/cm2で3分間圧縮し、得られたプレフォームを内径9.5mmの内径を持つ80℃に保持されたシリンダーを持つ押出し機に挿入し1時間放置した。次いで、押出し速度0.5mm/秒の速度で、内径2.0mm,ランド長20mm,導入角度30°のオリフィスを通して、ペースト押出ししビードを得た。このときの押出しに要する圧力を測定し、押出し圧とした。得られたビードを80℃で8時間乾燥し、潤滑剤を除去した。次いで、ビードの長さを適当な長さに切断し、クランプ間が5mmの間隔となるよう、各末端を固定し、空気循環炉中で80℃に加熱した。次いで、10000%/秒の速度で2倍の倍率まで延伸した。
得られた延伸されたフッ素樹脂Aからなるビードの走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察結果を図3に示す。該観察結果よりフッ素樹脂Aが延伸により結節点とフィブリルから構成される多孔体構造となっていることが判る。
Figure 2017069069
表1に示されるように、実施例1〜5で得られたフッ素樹脂A〜DおよびHは、MFRが充分に低くて溶融流動性を示さなかった。これらフッ素樹脂A〜Dは、図1に示されるように、電子線を照射すると却って引張強度が向上する傾向を示し、耐放射線性に優れていた。
一方、比較例1、2のフッ素樹脂E、Fは、フッ素樹脂A〜Dに比べてMFRが高く、図2に示されるように、電子線を照射すると引張強度が低下した。
比較例3で得られたフッ素樹脂Gは、共重合体組成が同じであるフッ素樹脂A、Bに比べてMFRが高く、図2に示されるように、電子線を照射すると引張強度が低下した。
図3に示される様に、実施例1で得られたフッ素樹脂Aは、本明細書の実施例に従って、ペースト押出し後に延伸されたことにより、結節点とフィブリルから構成される多孔体構造となっている。
本発明のフッ素樹脂は、TFE/E共重合体の優れた特性(耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性、機械的特性等)に加えて、耐放射線性に優れる。したがって、原子力施設内や宇宙空間などの放射線環境下で使用される各種部材の材料として好適である。また放射線滅菌される医療器具の材料としても使用できる。粉末のペースト押し出し成形物の、チューブ、電線被覆、シール材料、多孔膜、フィルターなどの形状での使用も可能である。
なお、2015年10月20日に出願された日本特許出願2015−206267号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (10)

  1. テトラフルオロエチレンとエチレンとの2元系共重合体であって、前記テトラフルオロエチレンに由来する単位と前記エチレンに由来する単位との合計に対する前記テトラフルオロエチレンに由来する単位の割合が50〜60モル%である、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体からなるフッ素樹脂であり、
    ASTM D3159に準拠し、温度297℃、荷重49Nの条件下で測定されたメルトフローレートが、0.1g/10分以下であることを特徴とするフッ素樹脂。
  2. 融点が270〜290℃である、請求項1に記載のフッ素樹脂。
  3. 結晶化度が75〜95%である、請求項1または2に記載のフッ素樹脂。
  4. 交互共重合性が75〜95%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフッ素樹脂。
  5. 水溶性有機溶媒と水との混合液、または水から選ばれる水性媒体、乳化剤、融点が35〜90℃のパラフィンワックス、および前記水性媒体に対して10〜500ppmのラジカル重合開始剤の存在下で、テトラフルオロエチレンとエチレンとを、テトラフルオロエチレンとエチレンとの合計量に対して、テトラフルオロエチレン60〜85モル%、エチレン40〜15モル%の比率を保持して共重合させてテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体を製造することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフッ素樹脂の製造方法。
  6. 前記共重合させる際の重合圧力が1.8〜5.0MPaである、請求項5に記載のフッ素樹脂の製造方法。
  7. 前記乳化剤が、炭素数4〜7でエーテル性酸素原子を有する含フッ素カルボン酸およびその塩からなる群から選ばれる1種以上からなる、請求項5または6に記載のフッ素樹脂の製造方法。
  8. 重合温度が35〜100℃である、請求項5〜7のいずれかの一項に記載のフッ素樹脂の製造方法。
  9. テトラフルオロエチレンとエチレンとを、テトラフルオロエチレンの60〜78モル%、エチレンの40〜22モル%の比率に保持して共重合させる、請求項5〜8のいずれかの一項に記載のフッ素樹脂の製造方法。
  10. 前記パラフィンワックスの融点が35〜75℃である、請求項5〜9のいずれかの一項に記載のフッ素樹脂の製造方法。
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