以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の軸流タービン10における冷却媒体の系統を模式的に示した図である。なお、図1に示した軸流タービン10として、例えば、ガスタービンやCO2タービンなどが挙げられる。CO2タービンでは、燃焼器で生成した二酸化炭素(CO2)の一部を超臨界流体に昇圧して作動流体の系統に循環させている。これらの軸流タービン10から排出される作動流体の温度は、例えば、630℃を超える。
図1に示すように、軸流タービン10は、外部ケーシング20と、この外部ケーシング20の内部に内部ケーシング30を備える。ここで、内部ケーシング30は、例えば、静翼および動翼を備えるタービン段落を包囲する内部ケーシング30a、30bと、最終段のタービン段落を通過した作動流体が流入する排気室の一部を構成する内部ケーシング30cを備える。
軸流タービン10は、例えば、高温となる内部ケーシング30cと、外部ケーシング20との間に冷却媒体を導入する導入管50を備える。導入管50は、例えば、外部ケーシング20に連結されている。この導入管50には、供給源(図示しない)から冷却媒体が供給される。なお、内部ケーシング30a、30bは、例えば、静翼を冷却するための冷却媒体が内部を流れるため、高温にはならない。
導入管50に導入される冷却媒体としては、ガスタービンの場合には、例えば、圧縮機から抽気された空気などが挙げられ、CO2タービンの場合には、例えば、系統から抽気された循環する二酸化炭素などが挙げられる。なお、抽気は、冷却媒体として温度および圧力が適した媒体が得られる部位において行われる。このように、導入管50には、例えば、軸流タービン10における主系統から抽気された媒体が冷却媒体として供給される。
また、導入管50には、図1に示すように、流量調整弁54が設けられている。流量調整弁54は、導入管50を介して、外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間に導入される冷却媒体の流量を調整する。換言すれば、流量調整弁54は、外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間に導入される冷却媒体の圧力を調整している。
例えば、流量調整弁54は、軸流タービン10の起動時、運転時、停止後などに、外部ケーシング20の温度に基づいて冷却媒体の流量を最適な流量に調整する。なお、流量調整弁54は、流量調整装置として機能する。
外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間に導入管50から導入された冷却媒体は、図1に示すように、排出管55を通り排出される。排出管55は、例えば、外部ケーシング20に連結される。
このように、導入管50、外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間の空間、排出管55などによって、主として外部ケーシング20を冷却する外部ケーシング冷却系統が構成されている。
また、軸流タービン10は、外部ケーシング20に溶接接合され、軸流タービン10から排出される作動流体が内部を流れる排出管60を備える。ここで、下流側における外部ケーシング20の下半側には、作動流体を排出するために、例えば、下方に延設された管形状部20aを有する。この管形状部20aは、1つまたは複数備えられる。例えば、外部ケーシング20の管形状部20aに、排出管60が溶接接合される。
図2は、本発明に係る第1の実施の形態の軸流タービン10を下流側から見たときの平面図である。本実施の形態では、管形状部20aを2つ備えた構成を例示している。なお、図1では、一方の管形状部20aが表われ、他方の管形状部20aは見えない状態となっている。
この場合、図2に示すように、2つの管形状部20aは、外部ケーシング20の最下部を挟むように二股に構成されている。そして、各管形状部20aが下方に延設されている。これらの管形状部20aには、排出管60が溶接接合される。
なお、外部ケーシング20の管形状部20aおよび排出管60の内部の構成は、後述する。排出管60は、作動流体排出管として機能する。
外部ケーシング20の管形状部20aには、例えば、管形状部20aと排出管60との接合部61を内側から冷却する冷却媒体を導入する導入管70が連結されている。なお、図1には示されていないが、他方の管形状部20aにも、後述する流量調整弁74の下流側で分岐した導入管70が連結されている。この導入管70には、例えば、軸流タービン10のタービン段落から抽気された媒体が冷却媒体として供給される。
なお、ここでは、導入管70に冷却媒体を供給する供給源として、軸流タービン10のタービン段落からの抽気を例示しているが、これに限られるものではない。導入管70に供給される冷却媒体としては、冷却媒体として温度や圧力が適した媒体であればよい。このように、導入管70には、例えば、軸流タービン10における主系統のいずれかの部位から抽気された媒体が冷却媒体として供給される。
導入管70には、図1に示すように、流量調整弁74が設けられている。流量調整弁74は、導入管70を介して、接合部61の内部側に導入される冷却媒体の流量を調整する。換言すれば、管形状部20aおよび排出管60の内部に導入される冷却媒体の圧力を調整している。
例えば、流量調整弁74は、軸流タービン10の起動時、運転時、停止後などに、接合部61の温度に基づいて冷却媒体の流量を最適な流量に調整する。なお、流量調整弁74は、流量調整装置として機能する。
管形状部20aおよび排出管60の内部に導入管70から導入された冷却媒体は、図1に示すように、排出管75を通り排出される。排出管75は、例えば、排出管60に連結される。なお、図2に示すように、他方の排出管75も、他方の排出管60に連結される。
このように、導入管70、管形状部20aおよび排出管60の内部の空間、排出管75などによって、接合部61を冷却する接合部冷却系統が構成されている。
なお、ここでは、管形状部20aに導入管70を連結し、排出管60に排出管75を連結した一例を示したが、これに限られない。例えば、管形状部20aに排出管75を連結し、排出管60に導入管70を連結してもよい。なお、これらの連結の組み合わせについては、後述する。
ここでは、図1に示すように、排出管55の下流端と、排出管75の下流端とが連結され、一つの排出管76を構成している。この排出管76には、流量調整弁77が設けられている。この構成にすることで、外部ケーシング20を冷却する冷却媒体の圧力と、接合部61を冷却する冷却媒体の圧力とを等しくすることができる。
接合部61を冷却する冷却媒体の流量は、主として流量調整弁74で調整され、流量調整弁77は、主として圧力を調整するために使用される。なお、流量調整弁77は、流量調整装置として機能する。
ここでは、排出管55の下流端と、排出管75の下流端とが連結された一例を示したが、この構成に限られるものではない。例えば、排出管55の下流端と排出管75の下流端とは連結されず、それぞれの管を維持してもよい。この場合、排出管55および排出管75のそれぞれに流量調整弁が備えられる。
上記したように、ケーシング冷却系統と接合部冷却系統とを備えることで、各系統を独立して制御することができる。
なお、上記した流量調整弁54、74、77は、例えば、バルブ弁などで構成される。また、流量調整弁54、74、77の代わりにオリフィスなどの絞りを使用してもよい。
次に、上記した冷却媒体の系統を備える第1の実施の形態の軸流タービン10の構成について説明する。
図3は、第1の実施の形態の軸流タービン10の子午断面を示す図である。図4は、第1の実施の形態の軸流タービン10における、外部ケーシング20の管形状部20aおよび排出管60の縦断面を示す図である。
図3に示すように、軸流タービン10は、外部ケーシング20と、この外部ケーシング20の内部に設けられた内部ケーシング30とから構成される二重構造のケーシングを備えている。
前述したように、内部ケーシング30は、例えば、静翼42および動翼40を備えるタービン段落を包囲する内部ケーシング30a、30bと、最終段のタービン段落を通過した作動流体が流入する排気室80の一部を構成する内部ケーシング30cを備える。
ここで、外部ケーシング20は、例えば、高Cr鋼、低Cr鋼などの従来材で構成される。内部ケーシング30a、30bは、例えば、静翼を冷却するための冷却媒体が内部を流れるため、例えば、高Cr鋼、低Cr鋼などの従来材で構成される。一方、高温となる内部ケーシング30cは、例えば、高強度材料などで構成される。
内部ケーシング30内には、動翼40が植設されたタービンロータ41が貫設されている。このタービンロータ41は、ロータ軸受(図示しない)によって回転可能に支持されている。
内部ケーシング30a、30bの内面には、タービンロータ軸方向に動翼40と交互になるように静翼42が配設されている。なお、静翼42と、この静翼42の直下流の動翼40とでタービン段落を構成する。
内部ケーシング30cに隣接する内部ケーシング30bの外周面には、例えば、周方向に亘って半径方向外側に突出する環状壁30dが設けられている。この環状壁30dの外周面は、例えば、外部ケーシング20の内周に接している。そして、この環状壁30dによって、内部ケーシング30と外部ケーシング20との間に形成される空間は区画されている。そのため、環状壁30dよりも上流側の空間32と、環状壁30dよりも下流側の空間31は、連通していない。
なお、空間31は、外部ケーシング20、内部ケーシング30c、内部ケーシング30b、環状壁30dおよびタービンロータ41によって囲まれた空間である。空間32は、外部ケーシング20、内部ケーシング30a、内部ケーシング30bおよび環状壁30dによって囲まれた空間である。
タービンロータ41と、外部ケーシング20および内部ケーシング30aとの間には、作動流体の外部への漏洩を防止するために、シール部43が設けられている。
最終段のタービン段落の下流側には、排気室80が設けられている。排気室80は、最終段のタービン段落を通過した作動流体が流れる環状の内部ケーシング30cと、この内部ケーシング30cの下半側に設けられた管形状部82とを備える。環状の内部ケーシング30c内には、環状通路81が形成されている。
環状通路81は、図3に示すように、タービンロータ41の周囲に形成される。環状通路81は、最終段のタービン段落を通過した作動流体を管形状部82に導く。
管形状部82は、例えば、環状通路81の最下部を挟むように、二股に設けられている。そして、それぞれの管形状部82は、外部ケーシング20の管形状部20aの内部に、管形状部20aに沿って下方に延設されている。このように、排気室80は、外部ケーシング20によって覆われている。
ここで、図3に示すように、例えば、外部ケーシング20の最下部には、外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間に冷却媒体を導入する導入管50が連結されている。すなわち、導入管50は、管形状部20a間となる外部ケーシング20の最下部に連結されている。
導入管50は、例えば、図3に示すように、上流側から下流側に傾斜するように、外部ケーシング20に連結されている。そして、空間31に、導入管50から冷却媒体が導入される。この空間31は、前述した外部ケーシング冷却系統を構成する外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間の空間である。
なお、空間31に導入された冷却媒体を排出する排出管55は、図3には示していないが、外部ケーシング20の所定の部位に連結されている。排出管55は、例えば、管形状部20aに連結されてもよい。
管形状部82の端部には、図4に示すように、管状のスリーブ83の一端が連結されている。スリーブ83の他端は、排出管60の内部まで延設されている。そして、スリーブ83の他端は、排出管60に連結している。
スリーブ83と管形状部82との間、スリーブ83と排出管60との間には、シールリング84が設けられている。シールリング84は、スリーブ83の軸方向に複数配置されている。このスリーブ83を備えることで、スリーブ83と管形状部82との間およびスリーブ83と排出管60との間からの作動流体の漏洩を防止している。
管形状部20aおよび排出管60の内部、かつスリーブ83の外周には、図4に示すように、管状部材90が設けられている。この管状部材90は、スリーブ83の軸方向に延びる管状筒体である。この管状部材90は、接合部61の内周側を覆うように設けられている。また、管状部材90の外面91と、管形状部20aおよび排出管60の内面21、62との間には、所定の隙間を有する。
管状部材90の一端は、例えば、図4に示すように、半径方向外側に周方向に亘って突出するフランジ部92を備える。このフランジ部92は、例えば、管形状部20aに形成された段部22に支持される。そして、フランジ部92は、例えば、ボルトなどの固定部材によって、段部22に固定される。なお、フランジ部92の固定方法は、これに限られるものではない。例えば、フランジ部92は、段部22に溶接接合されてもよい。
一方、管状部材90の他端は、固定されていない非固定端である。管状部材90の他端は、例えば、排出管60の段部63に周方向に形成された環状の溝部64内に嵌め込まれる。なお、管状部材90の他端と、溝部64との間には、若干の隙間が形成されている。
ここで、管形状部20a、排出管60を構成する材料は異なる。そのため、それぞれの材料の線膨張係数の違いを考慮して、上記隙間を構成している。そして、この隙間によって、管形状部20aと排出管60との熱伸びの差が吸収される。
なお、管状部材90の非固定端の構成は、これに限られるものではない。管状部材90の非固定端は、管形状部20aと排出管60との熱伸びの差によって熱応力を受けない構造であればよい。
このように管状部材90を備えることで、スリーブ83と、管形状部20aおよび排出管60との空間が区画される。そして、管状部材90の外面91と、管形状部20aおよび排出管60の内面21、62、フランジ部92の一方の平面92a、段部63とによって囲まれた環状の空間94が形成されている。
また、管状部材90は、図4に示すように、例えば、周方向に亘って外周側に突出する突条部93を備えてもよい。この突条部93は、管状部材90の外面91に、スリーブ83の軸方向に所定の長さに亘って形成される。突条部93の外面は、例えば、管形状部20aの内面21および排出管60の内面62に平行な面で構成される。突条部93は、図4に示すように、例えば、接合部61に対向する位置に形成されることが好ましい。
突条部93の外面と、管形状部20aの内面21および排出管60の内面62との間の隙間は、管状部材90の外面91と、管形状部20aの内面21および排出管60の内面62との間の隙間よりも狭くなる。なお、突条部93は、管状部材90に一体的に構成されてもよいし、管状部材90と別体で構成されてもよい。
管形状部20aには、上記した管状部材90で区画された環状の空間94に冷却媒体を導入する導入口23が設けられている。導入口23は、管状部材90のフランジ部92側に形成されている。また、導入口23は、突条部93よりもフランジ部92側に形成されている。
導入口23は、図4に示すA−A断面において、例えば、管状部材90の中心軸に向かう方向に開口されてもよい。なお、導入口23の開口方向は、これに限られない。
ここで、図5は、図4のA−A断面の一例を模式的に示す図である。導入口23は、例えば、図5に示すように、管状部材90の中心軸に垂直な断面において、中心軸に向かう方向とは異なる方向に向けて開口されてもよい。この場合、導入口23から空間94内に導入された冷却媒体の流れは、旋回流となる。このように旋回流を形成することで、冷却媒体を周方向の全周に亘って導入できる。なお、導入口23は、1つまたは複数設けられる。
一方、排出管60には、空間94に導入された冷却媒体を排出する排出口65が設けられている。排出口65は、排出管60の段部63側に形成されている。また、排出口65は、突条部93よりも段部63側に形成されている。
導入口23は、管状部材90の固定端となる一端側(フランジ部92側)に設けられ、排出口65は、非固定端となる他端側に設けられることが好ましい。導入口23は、図3を参照して説明した導入管70に連結される。また、排出口65は、図3を参照して説明した排出管75に連結される。
ここで、図4において、排気室80の管形状部82、スリーブ83、管形状部20a、管状部材90とで囲まれる空間95には、外部ケーシング20と内部ケーシング30との間に導入された冷却媒体が流動する。
管状部材90の固定端側は、シールされているため、空間95の冷却媒体は、固定端側から空間94に流入しない。一方、管状部材90の非固定端側は、シールされていないため、空間95の冷却媒体は、圧力条件によっては、非固定端側から空間94に流入する。なお、空間95の冷却媒体は、外部ケーシング20などを冷却したものであるため、空間94を流れる冷却媒体よりも高温となる。
そこで、管状部材90の固定端側から冷却媒体を導入することで、高温の冷却媒体が混合することなく、接合部61を冷却することができる。一方、冷却媒体が排出される側(非固定端)で、接合部61を冷却した後の冷却媒体に空間95の冷却媒体が流入しても問題は生じない。このように、管状部材90の固定端側から冷却媒体を導入することで、接合部61を確実に冷却することができる。
ここで、管状部材90の他端を固定端とし、一端を非固定端としてもよい。この場合、管状部材90の他端は、例えば、排出管60の段部63に固定される。そのため、空間95の冷却媒体は、管状部材90の他端側から空間94に流入しない。一方、空間95の冷却媒体は、管状部材90の一端側から空間94に流入する。この構成の場合、排出口65は、管状部材90の非固定端となる一端側(フランジ部92側)に設けられ、導入口23は、固定端となる他端側に設けられることが好ましい。
上記したように、管状部材90を備え、空間94に冷却媒体を流すことで、接合部61を確実に冷却することができる。また、管状部材90を備えることで、導入口23から導入される冷却媒体が高温のスリーブ83に接触することで生じる熱応力を防止することができる。さらに、管状部材90を備えることで、高温のスリーブ83からの熱放射によって接合部61が加熱されることを防止できる。
また、管状部材90に突条部93を備えることで、突条部93において導入口23から導入された冷却媒体の流れが絞られ、周方向へ冷却媒体が均等に広がる。また、突条部93と、管形状部20aおよび排出管60の内面21、62との間の狭い隙間を流れる際、流速が上昇して熱伝達率が増加する。そのため、例えば、接合部61に対向して突条部93を備えることで、より効率よく接合部61を冷却することができる。
また、接合部61の冷却効果の向上に伴って、例えば、空間94に導入される冷却媒体の流量を減少させることができる。これによって、軸流タービン10の抽気を冷却媒体として使用する場合には、抽気の流量を減らせるため、タービン性能を向上させることができる。
次に、軸流タービン10の作用および冷却媒体の系統における作用について、図1、図3および図4を参照して説明する。
ここで、軸流タービン10は、例えば、接合部61や外部ケーシング20の温度を検知する温度検知装置(図示しない)や、制御部(図示しない)を備える。そして、制御部は、温度検知装置からの検知信号に基づいて、上記した各流量調整弁54、74、77の開度を制御する。なお、制御部は、温度検知装置や各流量調整弁54、74、77と電気信号の入出力が可能に構成されている。
まず、軸流タービン10の作用について説明する。
燃焼器(図示しない)からの作動流体(燃焼ガス)は、図3に示すように、例えば、トランジションピース35を通り、初段のタービン段落に流入する。タービン段落に流入した作動流体は、膨張仕事をしながら内部ケーシング30a、30b内を流動し、最終段のタービン段落を通過する。
最終段のタービン段落を通過した作動流体は、環状通路81、管形状部82、スリーブ83を通り、排出管60から排出される。なお、排出管60から排出された作動流体は、例えば、軸流タービン10における主系統に導入される。
次に、軸流タービン10の冷却媒体の系統における作用について説明する。
例えば、軸流タービン10における主系統から導入管50に供給された冷却媒体は、図3に示すように、外部ケーシング20と内部ケーシング30cとの間に導入される。すなわち、導入管50から空間31に冷却媒体が導入される。
そして、導入された冷却媒体は、空間31に広がる。なお、空間31に導入された冷却媒体は、環状壁30dよりも上流側の空間32には流入しない。また、空間31に導入された冷却媒体は、図4に示す空間95にも広がる。
空間31に広がった冷却媒体は、主として外部ケーシング20を冷却する。なお、この際、冷却媒体は、内部ケーシング30cも冷却する。また、空間95に広がった冷却媒体は、スリーブ83や管状部材90を冷却する。
ここで、空間95には、例えば、外部ケーシング20などを冷却した冷却媒体が流入するため、空間95に流れる冷却媒体の温度は、軸流タービン10内に導入された直後の冷却媒体の温度よりも高い。そのため、この温度の高い冷却媒体が高温のスリーブ83に接触しても、大きな熱応力は生じない。
そして、空間31に導入され、外部ケーシング20などを冷却した冷却媒体は、図1に示すように、軸流タービン10内から排出管55に排出される。
ここで、空間31に導入される冷却媒体の流量は、制御部が、外部ケーシング20の温度を検知する温度検知装置からの検知信号に基づいて、流量調整弁54の開度を設定することで調整される。
例えば、外部ケーシング20の温度が許容温度を超えた場合には、冷却媒体の流量は、増加される。一方、外部ケーシング20の温度が許容温度を十分に下回る場合には、冷却媒体の流量は、減少される。許容温度は、例えば、外部ケーシング20を構成する材料などに基づいて設定される。具体的には、許容温度は、例えば、外部ケーシング20を構成する材料の高温強度などに基づいて設定される。
ここで、空間31に導入される冷却媒体の温度は、外部ケーシング20の温度よりも低く、内部ケーシング30cに生じる熱応力が許容範囲内となる冷却媒体の最低温度(以下、熱応力許容最低温度という。)以上である。冷却媒体の温度を外部ケーシング20の温度よりも低くすることで、外部ケーシング20から熱を奪い、外部ケーシング20を冷却することができる。冷却媒体の温度を熱応力許容最低温度以上とすることで、冷却媒体が内部ケーシング30cに接触することで生じる熱応力を許容範囲内とすることができる。
また、空間31に導入される冷却媒体の圧力は、環状通路81を流れる作動流体の圧力よりも高い。軸流タービン10において、例えば、内部ケーシング30bと、これに隣接する内部ケーシング30cとは、それぞれ異なる材料で構成される。このような場合、それぞれの材料の線膨張係数の違いを考慮して、例えば、内部ケーシング30bと内部ケーシング30cとの間に隙間が設けられる。この隙間によって、熱伸び差によって生じる熱応力を防止できる。
このような構造の軸流タービン10において、空間31に導入される冷却媒体の圧力を上記した圧力とすることで、空間31への作動流体の流入が防止できる。これによって、作動流体の流入によって外部ケーシング20が加熱されるのを防止できる。
一方、図3に示す導入管70に供給された冷却媒体は、図4に示す管形状部20aの導入口23から空間94に導入される。空間94に導入した冷却媒体の流れは、例えば、突条部93において絞られることで周方向へ均等に広がる。そして、突条部93と、管形状部20aおよび排出管60の内面21、62との間の狭い隙間を流れ、接合部61を冷却する。この際、冷却媒体の流速が上昇して熱伝達率が増加し、接合部61の冷却が促進される。
空間94に導入される冷却媒体の流量は、制御部が、接合部61の温度を検知する温度検知装置からの検知信号に基づいて、流量調整弁74の開度を設定することで調整される。
例えば、接合部61の温度が許容温度を超えた場合には、冷却媒体の流量は、増加される。一方、接合部61の温度が許容温度を十分に下回る場合には、冷却媒体の流量は、減少される。許容温度は、例えば、接合部61を構成する材料などに基づいて設定される。具体的には、許容温度は、例えば、接合部61の高温強度などに基づいて設定される。
突条部93を通過した冷却媒体は、排出口65から、図3に示す排出管75に排出される。なお、排出口65側の管状部材90は、非固定端であるため、空間95内の冷却媒体の圧力が空間94内の冷却媒体の圧力よりも高い場合には、空間95内の冷却媒体が、管状部材90の他端と溝部64との間の隙間を通り、空間94内に流入する。この場合においても、温度の高い空間95内の冷却媒体は、空間94内の冷却媒体とともに排出口65から排出される。そのため、流入した空間95内の冷却媒体が、接合部61などの冷却の妨げになることはない。
ここで、図1に示すように、排出管55と排出管75は、連結して排出管76を構成する。そして、この排出管76には、流量調整弁77が設けられている。すなわち、外部ケーシング20と内部ケーシング30との間の冷却媒体の圧力と、空間94内の冷却媒体の圧力とを等しくすることができる。換言すれば、空間95内の冷却媒体の圧力と、空間94内の冷却媒体の圧力とを等しくすることができる。これによって、空間95内の冷却媒体が、空間94内に漏洩することを防止できる。また、空間94内の冷却媒体が、空間95内に漏洩することを防止できる。
ここで、排出管76の下流端は、例えば、排出管76から導入される冷却媒体によって熱応力による割れなどを生じない温度の作動流体が流れる配管に連結される。排出管76の下流端は、例えば、排出管76を流れる冷却媒体の温度と同じ程度の温度、または排出管76を流れる冷却媒体の温度よりも低い温度の作動流体が流れる部位に連結されている。なお、排出管76を流れる冷却媒体の圧力は、冷却媒体が導入される部位を流れる作動流体の圧力よりも高い。これによって、作動流体の排出管76への流入を防止できる。
なお、排出管55の下流端と排出管75の下流端とを連結しない構成においても、それぞれの下流端は、排出管55、75から導入される冷却媒体によって熱応力による割れなどを生じない温度の作動流体が流れる配管に連結される。
上記した第1の実施の形態の軸流タービン10によれば、管状部材90を備え、空間94に冷却媒体を流すことで、接合部61を確実に冷却することができる。また、管状部材90を備えることで、導入口23から導入される冷却媒体が高温のスリーブ83に接触することで生じる熱応力を防止することができる。さらに、管状部材90を備えることで、高温のスリーブ83からの熱放射によって接合部61が加熱されることを防止できる。
このように、軸流タービン10によれば、スリーブ83などの熱応力を抑制しつつ、接合部61の温度を許容温度以下に維持することができる。
管状部材90に突条部93を備えることで、突条部93において導入口23から導入された冷却媒体を周方向へ均等に広げることができる。これによって、接合部61を周方向に亘って斑なく冷却することができる。
また、突条部93を備えることで、突条部93と、管形状部20aおよび排出管60の内面21、62との間の狭い隙間を流れる冷却媒体の速度を上昇させ、接合部61の冷却を促進することができる。接合部61の冷却効果の促進に伴って、例えば、空間94に導入される冷却媒体の流量を減少させることができる。これによって、例えば、軸流タービン10からの抽気の流量を削減することができ、タービン性能を向上させることができる。
また、軸流タービン10によれば、ケーシング冷却系統と接合部冷却系統とを備えることで、各系統を独立して制御することができる。このように、軸流タービン10において、接合部61以外にも、外部ケーシング20を冷却することができる。
ここで、第1の実施の形態の軸流タービン10の構成は、上記した構成に限られるものではない。上記した軸流タービン10において、外部ケーシング20が2つの管形状部20aを備える一例を示した。この構成において、各管形状部20aは、流量調整弁74の下流側で2つに分かれた導入管70のそれぞれに連結している。
ここで、流量調整弁74は、導入管70の分岐する上流側に設けられることに限られない。例えば、各管形状部20aに連結される分岐点よりも下流側の導入管70のそれぞれに流量調整弁74を備えてもよい。
図6は、図3のB−B断面を模式的に示す図である。なお、図6には、導入管50から導入された冷却媒体の流れを矢印で示している。
図3および図6に示すように、外部ケーシング20の内部で、かつ導入管50の出口50aに対向する位置には、冷却媒体の流れを誘導する誘導部材100が配置されている。この誘導部材100は、2つの側壁101と、この側壁101のそれぞれと接続された天板102とを備える。側壁101および天板102は、例えば、矩形の平板で構成される。すなわち、誘導部材100は、図6に示すように、断面コ字状の形状を有している。
天板102は、導入管50の出口50aに所定の間隙をおいて対向している。2つの側壁101は、図3に示すように、周方向に所定の間隙をおいて、タービンロータ軸方向に沿って対向して配置される。すなわち、誘導部材100において、天板102に対向する側およびタービンロータ軸方向の上流端と下流端は、開口されている。
導入管50の出口50aから流出した冷却媒体は、天板102に衝突し、天板102および側壁101に沿ってタービンロータ軸方向(図3に示す矢印方向)に誘導される。そのため、出口50aから流出した冷却媒体は、直接内部ケーシング30cに吹き付けられない。なお、図6では、天板102に衝突した後の冷却媒体の流れは、紙面に垂直な方向となる。
タービンロータ軸方向に誘導された冷却媒体は、外部ケーシング20の内面に沿って流れる。この際、冷却媒体の一部は、上半側に流れ込む。そして、例えば、上半側に流れた冷却媒体は、図6の矢印で示すように、外部ケーシング20の内面に沿って下半側に流れる。
そして、外部ケーシング20を冷却した冷却媒体は、例えば、外部ケーシング20の管形状部20aに設けられた排出口から排出管55に排出される。
このように誘導部材100を備えることで、導入管50の出口50aから流出した冷却媒体が、直接内部ケーシング30cに吹き付けられることを防止できる。これによって、内部ケーシング30cに大きな熱応力が生じることを防止できる。
また、誘導部材100を備えることで、空間31の全体に亘って、冷却媒体を行き渡らせることができる。これによって、外部ケーシング20を均等に冷却できる。
ここで、誘導部材100の形状は、上記した形状に限られるものではない。例えば、天板102の周方向の中央部が外部に突出するように湾曲させてもよい。換言すると、天板102を半円筒状に形成してもよい。
また、内部ケーシング30cの外周面から所定の隙間をあけて、内部ケーシング30cの周囲を覆う筒体で、誘導部材100を構成してもよい。この筒体は、例えば、内部ケーシング30cの外周面から半径方向外側に突出した棒状の支持体によって支持される。この支持体は、例えば、周方向に複数設けられる。
すなわち、誘導部材100の形状は、導入管50の出口50aから流出した冷却媒体が、直接内部ケーシング30cに吹き付けられることを防止できる構造であればよい。
また、本実施の形態では、管形状部20aを外部ケーシング20の下半側に備えた一例を示したが、管形状部20aは、外部ケーシング20の上半側に備えられてもよい。
また、流量調整弁54よりも上流側の導入管50に、導入管50に冷却媒体を供給する供給源とは別体の供給源から冷却媒体を導入する導入管を連結してもよい。さらに、流量調整弁74よりも上流側の導入管70に、導入管70に冷却媒体を供給する供給源とは別体の供給源から冷却媒体を導入する導入管を連結してもよい。
ここで、上記した別体の供給源とは、例えば、導入管50や導入管70に冷却媒体を供給する系統とは別の系統の供給源である。そのため、別体の供給源は、例えば、軸流タービン10における主系統の動作が停止したときでも、冷却媒体を導入管50や導入管70に供給できる。すなわち、別体の供給源は、補助供給源としての機能を有する。
ここで、軸流タービン10が停止しているときとしては、例えば、軸流タービン10の運転を通常に停止した直後の状態や、軸流タービン10の運転を急停止するタービントリップ状態などが例示される。
なお、別体の供給源から供給される冷却媒体も、導入管50や導入管70に導入される冷却媒体と同様に、冷却媒体として適した温度および圧力の媒体である。別体の供給源から供給される冷却媒体は、ガスタービンの場合には、空気などが挙げられ、CO2タービンの場合には、二酸化炭素などが挙げられる。
この別体の供給源から供給された冷却媒体は、導入管50や導入管70に流入し、前述した冷却媒体と同様に作用する。
(第2の実施の形態)
図7は、本発明に係る第2の実施の形態の軸流タービン11における冷却媒体の系統を模式的に示した図である。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態の構成と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明は、省略または簡略する。
ここで、図7に示した軸流タービン10として、例えば、蒸気タービンなどが挙げられる。なお、軸流タービン11における外部ケーシング冷却系統は、排出管55を備えない以外は、第1の実施の形態の外部ケーシング冷却系統と同じである。また、蒸気タービンの入口における作動流体の温度は、例えば、630℃を超える。
なお、導入管50に導入される冷却媒体としては、系統から抽気された蒸気などが挙げられる。抽気は、冷却媒体として温度および圧力が適した媒体が得られる部位において行われる。このように、導入管50には、例えば、軸流タービン11における主系統から抽気された媒体が冷却媒体として供給される。
後に詳しく説明するが、外部ケーシング20と内部ケーシング33との間に導入管50から導入された冷却媒体の一部は、内部ケーシング33間の隙間34から内部ケーシング33内の作動流体が流れる通路に流出する。そして、作動流体が流れる通路に流出した冷却媒体は、作動流体とともに軸流タービン11から排出される。冷却媒体の残部は、例えば、外部ケーシング20とタービンロータ41との間のシール部から排気される。なお、作動流体は、蒸気である。
このように、導入管50、外部ケーシング20と内部ケーシング33との間の空間などによって、主として外部ケーシング20を冷却する外部ケーシング冷却系統が構成されている。
上流側における外部ケーシング20の下半側には、図7に示すように、作動流体を導入するために、例えば、下方に延設された管形状部20bを有する。この管形状部20bは、1つまたは複数備えられる。そして、外部ケーシング20の管形状部20bには、軸流タービン10に導入される作動流体が内部を流れる導入管110が溶接接合されている。
本実施の形態では、管形状部20bを2つ備えた構成を例示している。軸流タービン11を上流側から見たとき、2つの管形状部20bは、図2に示した管形状部20aと同様に、外部ケーシング20の最下部を挟むように二股に構成されている。そして、各管形状部20bが下方に延設されている。そして、それぞれの管形状部20bには、導入管110が溶接接合されている。
なお、図7では、一方の管形状部20bが表われ、他方の管形状部20bは、見えない状態となっている。導入管110は、作動流体導入管として機能する。
外部ケーシング20の管形状部20bには、例えば、管形状部20bと導入管110との接合部111を内側から冷却する冷却媒体を導入する導入管120が連結されている。なお、図7には示されていないが、他方の管形状部20bにも、後述する流量調整弁124の下流側で分岐した導入管120が連結されている。
この導入管120には、例えば、軸流タービン11における主系統から抽気された媒体が冷却媒体として供給される。なお、導入管120に供給される冷却媒体としては、冷却媒体として温度および圧力が適した媒体であればよい。
また、導入管120には、図7に示すように、流量調整弁124が設けられている。流量調整弁124は、導入管120を介して、接合部111の内部側に導入される冷却媒体の流量を調整する。換言すれば、管形状部20bおよび導入管110の内部に導入される冷却媒体の圧力を調整している。
例えば、流量調整弁124は、軸流タービン11の起動時、運転時、停止後などに、接合部111の温度に基づいて冷却媒体の流量を最適な流量に調整する。なお、流量調整弁124は、流量調整装置として機能する。
管形状部20bおよび導入管110の内部に導入管120から導入された冷却媒体は、図7に示すように、排出管125を通り排出される。排出管125は、例えば、導入管110に連結される。この排出管125には、例えば、流量調整弁126が設けられる。
接合部111を冷却する冷却媒体の流量は、主として流量調整弁124で調整され、流量調整弁126は、主として圧力を調整するために使用される。なお、流量調整弁126は、流量調整装置として機能する。
このように、導入管120、管形状部20bおよび導入管110の内部の空間、排出管125などによって、接合部111を冷却する接合部冷却系統が構成されている。
上記したように、ケーシング冷却系統と接合部冷却系統とを備えることで、各系統を独立して制御することができる。
なお、上記した流量調整弁54、124、126は、例えば、バルブ弁などで構成される。また、流量調整弁54、124、126の代わりにオリフィスなどの絞りを使用してもよい。
次に、上記した冷却媒体の系統を備える第2の実施の形態の軸流タービン11の構成について説明する。
図8は、第2の実施の形態の軸流タービン11の子午断面を示す図である。図8に示すように、軸流タービン11は、外部ケーシング20と、この外部ケーシング20の内部に設けられた内部ケーシング33とから構成される二重構造のケーシングを備えている。また、内部ケーシング33内に動翼40が植設されたタービンロータ41が貫設されている。このタービンロータ41は、ロータ軸受(図示しない)によって回転可能に支持されている。
ここで、内部ケーシング33は、例えば、タービンロータ軸方向に分割されている。そして、上流側と下流側の内部ケーシング33間には、隙間34が形成さている。
内部ケーシング33の内面には、タービンロータ軸方向に動翼40と交互になるように静翼42が配設されている。そして、内部ケーシング33は、静翼42および動翼40を備えるタービン段落を包囲している。この内部ケーシング33は、例えば、高強度材料などで構成される。
内部ケーシング33の外周面には、例えば、周方向に亘って半径方向外側に突出する環状壁33aが設けられている。この環状壁33aの外周面は、例えば、外部ケーシング20の内周に接している。そして、この環状壁33aによって、内部ケーシング30と外部ケーシング20との間に形成される空間は、空間38と空間39とに区画されている。
また、図8に示すように、上流側の環状壁33aには、連通孔33bが形成されている。この連通孔33bは、例えば、周方向に複数形成される。外部ケーシング20と内部ケーシング33との空間において、連通孔33bを介して冷却蒸気が流動する。
タービンロータ41と、外部ケーシング20および内部ケーシング33との間には、作動流体の外部への漏洩を防止するために、シール部43が設けられている。
内部ケーシング33内には、初段のタービン段落における静翼42を備えたノズルボックス44が設けられている。ノズルボックス44は、内部ケーシング33とタービンロータ41との間に環状の通路を構成する環状通路45と、この環状通路45の下半側に設けられた管形状部46とを備える。
管形状部46は、例えば、環状通路45の最下部を挟むように、二股に設けられている。そして、管形状部46は、外部ケーシング20の管形状部20bの内部に、管形状部20bに沿って、下方に延設されている。これらの管形状部46は、軸流タービン11に導入された高温の作動流体を環状通路45に導く。
例えば、外部ケーシング20の最下部には、図8に示すように、外部ケーシング20と内部ケーシング33との間に冷却媒体を導入する導入管50が連結されている。すなわち、導入管50は、管形状部20a間となる外部ケーシング20の最下部に連結されている。
導入管50は、例えば、図8に示すように、上流側から下流側に傾斜するように、外部ケーシング20に連結されている。そして、例えば、外部ケーシング20、上流側の内部ケーシング33によって囲まれた空間38に、導入管50から冷却媒体が導入される。
最終段のタービン段落の下流側には、排気室130が設けられている。
ここで、外部ケーシング20の管形状部20bおよび導入管110の内部の構成は、第1の実施の形態における外部ケーシング20の管形状部20aおよび排出管60の内部の構成と同じである。
図4を参照して説明すると、管形状部20bは管形状部20a、導入管110は排出管60に相当する。管形状部46は、管形状部82に相当する。管形状部46の端部には、管状のスリーブ83の一端が連結されている。スリーブ83の他端は、導入管110の内部まで延設されている。そして、スリーブ83の他端は、導入管110に連結している。
スリーブ83と管形状部46との間、スリーブ83と導入管110との間には、シールリング84が設けられている。管形状部20bおよび導入管110の内部、かつスリーブ83の外周には、管状部材90が設けられている。
管形状部20bには、管状部材90で区画された環状の空間94に冷却媒体を導入する導入口23が設けられている。この導入口23は、導入管120に連結される。一方、導入管110には、空間94に導入された冷却媒体を排出する排出口65が設けられている。この排出口65は、排出管125に連結される。
なお、導入口23および排出口65を形成する部位は、第1の実施の形態で説明したとおり、管状部材90の固定端、非固定端の位置によって適宜設定される。導入口23の開口方向も、第1の実施の形態で説明したとおりである。また、第1の実施の形態と同様に、誘導部材100を備えてもよい。
上記したように、管状部材90を備え、空間94に冷却媒体を流すことで、接合部111を確実に冷却することができる。また、管状部材90を備えることで、導入口23から導入される冷却媒体が高温のスリーブ83などに接触することで生じる熱応力を防止することができる。さらに、管状部材90を備えることで、高温のスリーブ83からの熱放射によって接合部111が加熱されることを防止できる。
また、接合部111の冷却効果の向上に伴って、例えば、空間94に導入される冷却媒体の流量を減少させることができる。
次に、軸流タービン11の作用および冷却媒体の系統における作用について、図7および図8を参照して説明する。
ここで、軸流タービン11は、例えば、接合部111や外部ケーシング20の温度を検知する温度検知装置(図示しない)や、制御部(図示しない)を備える。そして、制御部は、温度検知装置からの検知信号に基づいて、上記した各流量調整弁54、124、126の開度を制御する。なお、制御部は、温度検知装置や各流量調整弁54、124、126と電気信号の入出力が可能に構成されている。
まず、軸流タービン11の作用について説明する。
軸流タービン11を作動する高温で高圧の作動流体(蒸気)は、図8に示すように、導入管110、スリーブ83、管形状部46を通り、環状通路45に流入する。環状通路45に流入した作動流体は、周方向に広がるとともに、初段の静翼42から初段の動翼40に向けて噴出される。
タービン段落に流入した作動流体は、膨張仕事をしながら内部ケーシング33内を流動し、最終段のタービン段落を通過する。そして、最終段のタービン段落を通過した作動流体は、排気室130を通り排出される。排気室130から排出された作動流体は、例えば、他の蒸気タービンに導入される。
次に、軸流タービン11の冷却媒体の系統における作用について説明する。
なお、ここでは、第1の実施の形態における冷却媒体の系統における作用と異なる作用について主に説明する。
例えば、軸流タービン11が作動時において、軸流タービン11における主系統から導入管50に供給された冷却媒体は、図8に示すように、空間38に導入される。空間38に広がった冷却媒体は、主として外部ケーシング20を冷却する。また、空間38に広がった冷却媒体は、環状壁33aの連通孔33bを通り、空間39に導入される。空間39に広がった冷却媒体は、主として外部ケーシング20を冷却する。なお、空間38、39に広がった冷却媒体によって内部ケーシング33も冷却される。
ここで、空間39に導入された冷却媒体の圧力は、隙間34が形成されるタービンロータ軸方向位置における内部ケーシング33内を流れる作動流体の圧力よりも高い。そのため、空間39に導入された冷却媒体の一部は、図8に示す内部ケーシング33間の隙間34から内部ケーシング33内の作動流体が流れる通路に流出する。そして、作動流体とともに排気室130から排出される。
一方、冷却媒体の残部は、例えば、外部ケーシング20とタービンロータ41との間のシール部43から排出される。
なお、導入管120に供給された冷却媒体は、第1の実施の形態の導入管70から空間94に供給された冷却媒体の作用と同様である(図4参照)。導入管120から空間94に導入される冷却媒体の流量は、制御部が、接合部111の温度を検知する温度検知装置からの検知信号に基づいて、流量調整弁124の開度を設定することで調整される。そして、空間94に導入された冷却媒体は、図7および図8に示すように、排出管125に排出される。
ここで、排出管125の下流端は、例えば、排出管125から導入される冷却媒体によって熱応力による割れなどを生じない温度の作動流体が流れる配管に連結される。排出管125の下流端は、例えば、排出管125を流れる冷却媒体の温度と同じ程度の温度、または排出管125を流れる冷却媒体の温度よりも低い温度の作動流体が流れる部位に連結されている。なお、排出管125を流れる冷却媒体の圧力は、冷却媒体が導入される部位を流れる作動流体の圧力よりも高い。これによって、作動流体の排出管125への流入を防止できる。
上記した第2の実施の形態の軸流タービン11によれば、管状部材90を備え、空間94に冷却媒体を流すことで、接合部111を確実に冷却することができる。また、管状部材90を備えることで、導入口23から導入される冷却媒体が高温のスリーブ83に接触することで生じる熱応力を防止することができる。さらに、管状部材90を備えることで、高温のスリーブ83からの熱放射によって接合部111が加熱されることを防止できる。
このように、軸流タービン11によれば、スリーブ83などの熱応力を抑制しつつ、接合部111の温度を許容温度以下に維持することができる。
また、軸流タービン11によれば、ケーシング冷却系統と接合部冷却系統とを備えることで、各系統を独立して制御することができる。このように、軸流タービン11において、接合部111以外にも、外部ケーシング20の冷却もできる。
また、流量調整弁54よりも上流側の導入管50に、導入管50に冷却媒体を供給する供給源とは別体の供給源から冷却媒体を導入する導入管を連結してもよい。さらに、流量調整弁124よりも上流側の導入管120に、導入管120に冷却媒体を供給する供給源とは別体の供給源から冷却媒体を導入する導入管を連結してもよい。
ここで、上記した別体の供給源とは、例えば、導入管50や導入管120に冷却媒体を供給する系統とは別の系統の供給源である。そのため、別体の供給源は、例えば、軸流タービン11における主系統の動作が停止したときでも、冷却媒体を導入管50や導入管120に供給できる。すなわち、別体の供給源は、補助供給源としての機能を有する。
なお、別体の供給源から供給される冷却媒体も、導入管50や導入管120に導入される冷却媒体と同様に、冷却媒体として適した温度および圧力の媒体である。別体の供給源から供給される冷却媒体は、蒸気である。
この別体の供給源から供給された冷却媒体は、導入管50や導入管120に流入し、前述した冷却媒体と同様に作用する。
以上説明した実施形態によれば、構成部材に発生する熱応力を抑制しつつ、溶接接合部を確実に冷却することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。