JPWO2017057360A1 - 新規なテトラカルボン酸二無水物、及び該テトラカルボン酸二無水物から誘導されるポリイミド、及び該ポリイミドからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

様々な種類の有機溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、熱可塑性をも併せ持つために加工性に優れ、低い線熱膨張係数、及び高い光透過性(透明性)を兼ね備えた新規なテトラカルボン酸二無水物から誘導されるポリイミド、及び該ポリイミドの成形体の提供を課題とする。下記式(1)

で表されるテトラカルボン酸二無水物から誘導されるポリイミドにより、上記課題は解決できる。

Description

本発明は、新規なテトラカルボン酸二無水物から誘導されるポリイミドであり、加工性に優れ、低い線熱膨張係数、及び高い光透過性(透明性)を兼ね備えたポリイミド、及び該ポリイミドからなる成形体に関する。該ポリイミドは、優れた溶液加工性に加えて熱可塑性も示すため、溶液キャスト法による製膜だけでなく溶融成型が可能である。更に該ポリイミドからなる成形体は、従来の溶媒可溶性ポリイミドや熱可塑性ポリイミドに比べて低い線熱膨張係数を示すとともに透明性にも優れる。このような特徴から、熱に対する寸法安定性と透明性を必要とする液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、電子ペーパー、発光ダイオード(LED)デバイス、太陽電池などに使用される透明基板、透明保護膜材料、接着材料として有用である。
成形加工可能な従来の透明樹脂として、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなどが知られているが、これらの樹脂は溶液加工性や溶融成形性に優れるものの、熱に対する寸法変化(線熱膨張係数)が大きい。成形体としての線熱膨張係数が大きい場合、LCD、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、LEDなどの表示デバイスや照明デバイスに用いられている低熱膨張性無機材料と積層すると様々な不具合が生じる可能性があり、好ましくない。例えば、上記の透明樹脂成形体と透明電極(ITO;Indium Tin Oxide)、銅、銀、アルミなどの配線、または薄膜トランジスタ(TFT;Thin−Film Transistor)など素子を形成する際の熱工程によって、低熱膨張性無機材料と従来の高熱膨張性樹脂の間で線熱膨張係数の不整合が発生し、その界面で歪が生じて層間剥離や基板の歪み、そして素子の破壊につながる恐れがある。
一方、優れた熱寸法安定性を有する樹脂として芳香族ポリイミドが知られている。化学構造が剛直で直線的な芳香族ポリイミドから成る成形体、例えばポリイミドフィルムは、フレキシブルプリント配線基板のベースフィルムや半導体の層間絶縁膜など高い寸法安定性(低線熱膨張係数)が要求される分野で広く使われている。しかしながら、低線熱膨張係数を有する芳香族ポリイミドは、分子内共役および、分子内・分子間電荷移動相互作用により強く着色するため、上記光学用途に適用することは困難である。更に、ポリイミドは分子間力が非常に強いため、しばしば溶媒に対する溶解性、および熱可塑性を示さず加工性に乏しい。
一方、これらの欠点を克服したポリイミドが提案されている。例えば、ポリイミド構造中にフッ素原子を導入する方法(非特許文献1)や、ポリイミドを構成するジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分の一方、または両方に脂環式化合物を用いることにより分子内共役及び電荷移動相互作用を抑制し、透明性を高める方法が提案されている(非特許文献2、3)。これらの先行技術によって透明性と溶液加工性を両立したポリイミドが開発されたが、加工性に加えて低熱膨張性を併せ持つポリイミドの報告例は限られている。
その数少ない報告例として、エステル基を有する特定のポリイミドが提案されている(特許文献1)。このポリイミドは、透明性、耐熱性に加えて、無機材料と同等の低線熱膨張係数を有するものの、様々な種類の有機溶媒に対する溶解性が十分ではなく、この点で改善の余地があった。
更に、熱可塑性をも併せ持つ優れた加工性を有するポリイミドは知られていない。
Macromolecules,24,5001(1991) J.Polym.Sci.,PartA,Polym.Chem.,51,575(2013) Polymer,55,4693(2014)
特開2013−082876号公報
本発明は、新規なテトラカルボン酸二無水物から誘導されるポリイミドであり、様々な種類の有機溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、熱可塑性をも併せ持つために加工性に優れ、低い線熱膨張係数、及び高い光透過性(透明性)を兼ね備えたポリイミド、及び該ポリイミドからなる成形体を提供することを目的とする。
前記の技術背景を鑑み、本発明者らは鋭意研究を積み重ねた結果、下記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物から加工性の優れたポリイミドが得られ、当該分野において極めて有用な材料となることを見出し、本発明を完成するにいたった。
本発明は以下の通りである。
1.下記式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物。
2.下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
3.式(2)で表される繰り返し単位の含有率が、ポリイミド中の全ての繰り返し単位に対し55mol%以上であることを特徴とする2に記載のポリイミド。
4.2または3に記載のポリイミドと有機溶媒とを含有するポリイミド溶液であって、固形分濃度が5重量%以上であることを特徴とするポリイミド溶液。
5.2または3に記載のポリイミド成形体。
本発明によれば、従来技術では得られなかった特性、即ち、様々な種類の有機溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、熱可塑性をも併せ持つために加工性に優れ、低い線熱膨張係数、及び高い光透過性(透明性)を全て兼ね備えたポリイミド、及び該ポリイミドからなる成形体は、中央フェニレン基に嵩高いシクロヘキシル基が置換されていることを特徴とするテトラカルボン酸二無水物を使用することにより得られる。
実施例2のポリイミドフィルムの赤外吸収スペクトル 実施例2のポリイミドフィルムの動的粘弾性曲線 実施例3のポリイミドフィルムの赤外吸収スペクトル 実施例3のポリイミドフィルムの動的粘弾性曲線 実施例4のポリイミドフィルムの赤外吸収スペクトル 実施例4のポリイミドフィルムの動的粘弾性曲線 比較例2のポリイミドフィルムの動的粘弾性曲線
本発明のテトラカルボン酸二無水物は、下記式(1)で表される構造を有する。
本発明にかかる式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以後、TACHQと略称する場合がある)の化学構造的な特徴は、エステル結合を介して、中央フェニレン基のパラ位に2つの無水フタル酸構造が結合され、更に中央フェニレン基に嵩高いシクロヘキシル基が置換されている点である。
本発明の式(1)で表されるTACHQの合成方法は、特に限定されないが、例えば、下記式(3)で表されるジオール、即ち、シクロヘキシルヒドロキノンまたはそのジアセテート体と下記式(4)で表されるトリメリット酸またはその誘導体から公知のエステル化反応によって合成される。
トリメリット酸誘導体としては、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸ハライド等が挙げられる。
本発明のポリイミドは、下記式(2)で表される繰り返し単位を有する。
本発明にかかる式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの第一の特徴は、テトラカルボン酸二無水物部位の中央フェニレン基のパラ位に2つのエステル結合が存在し、ジアミン部位ではパラ位で結合したビフェニレン構造を有しているため、ポリイミド主鎖構造が直線的で剛直な構造を形成している点である。この特徴により、ポリイミド鎖が高度にフィルム平面方向に沿って配向(面内配向)し、優れた熱寸法安定性(低線熱膨張係数)を示すと考えられる。しかしながら、この様な直線的で剛直な構造を有する低熱膨張性ポリイミドは、ポリイミド鎖間の凝集力が強いため、通常有機溶媒に不溶であり、溶融もせず、加工性に乏しい。そこで一般に、ポリイミド主鎖中にシロキサン結合、エーテル結合、メタ結合を導入し、ポリイミド主鎖構造を屈曲させる方法や、ポリイミド繰り返し単位中のイミド基濃度を低減させる方法、そしてポリイミド側鎖に嵩高い置換基を導入してポリイミド鎖間の凝集力を弱め加工性を高める方法が採用される。しかしながら、これらの方法は、ポリイミド成形体特にフィルムにおける面内配向を阻害し、結果として線熱膨張係数を増大させる。つまり、加工性と低熱膨張性を両立することは、非常に困難である。
そこで、本発明にかかる式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの次に記載する第二の特徴によって、この問題を解決することが可能になる。つまり、テトラカルボン酸二無水物部位の中央フェニレン基に嵩高いシクロヘキシル基が置換され、且つジアミン部位の側鎖に電子求引性で嵩高いトリフルオロメチル基を置換することで、ポリイミド鎖間の面内配向を阻害せずに凝集力のみを弱めることができる。この絶妙なバランスを実現した式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、様々な種類の有機溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、熱可塑性をも併せ持つために加工性に優れ、そして、本来両立困難であった低い線熱膨張係数を示し、更にはポリイミドの電荷移動相互作用も抑制されて高い透明性をも実現することができる。
本発明にかかる式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドは、式(1)で表されるTACHQを原料とすることで、上記のような優れた特性を有するポリイミドを合成することができる。そのポリイミドの製造方法については特に限定されないが、例えば、式(1)で表されるTACHQと、ジアミンとして下記式(5)で表される2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以後、TFMBと略称する場合がある)と反応させて、式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドの前駆体(ポリアミド酸)を得る工程およびポリアミド酸をイミド化する工程を経て製造することができる。
ポリアミド酸を重合する際、重合反応性およびポリイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、式(1)で表されるTACHQ以外の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸二無水物を共重合成分として併用することができる。
その際に使用可能な芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、メチルハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物等が挙げられる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、例えば、脂環式のものとしては、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。また、これらを2種類以上併用することもできる。
ポリイミドの溶解性、耐熱性、透明性を更に高める観点から、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(以後、6FDAと略称する場合がある)、ポリイミド成形体の更なる低熱膨張性発現という観点から、剛直で直線的な構造を有するテトラカルボン酸二無水物、即ちピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が、共重合成分として好適である。
式(1)で表されるTACHQ以外の芳香族または脂肪族テトラカルボン酸二無水物を共重合成分として併用する場合には、全てのテトラカルボン酸二無水物に対するTACHQの割合は、好ましくは55mol%以上、より好ましくは70mol%以上、更に好ましくは80mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であるとよい。
本発明にかかるポリアミド酸を重合する際、重合反応性およびポリイミドの要求特性を著しく損なわない範囲で、式(5)で表されるTFMB以外の芳香族または脂肪族ジアミンを共重合成分として併用することができる。
その際に使用可能な芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン等が挙げられる。
また、脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族乃至脂環式ジアミンであり、脂環式ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、鎖状脂肪族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、ジアミノシロキサン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
重合反応の際、使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーと生成するポリアミド酸、そしてイミド化されたポリイミドが溶解すれば如何なる溶媒であっても何ら問題なく使用でき、特にその溶媒の構造には限定されない。具体的には例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用でき、これらを2種類以上混合して用いてもよい。
式(1)で表されるTACHQと式(5)で表されるTFMBを重付加反応させてポリアミド酸を得た後、次いでこれをイミド化することにより、当該産業上極めて有用な本発明のポリイミドを得ることができる。
本発明のポリイミドは、高分子主鎖の直線性、剛直性、側鎖に嵩高い置換基が存在するという化学構造上の特徴から、ポリイミド樹脂とした際に、様々な種類の有機溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、熱可塑性をも併せ持つために加工性に優れ、更に、そのポリイミドの成形体、特にフィルムは、低い線熱膨張係数、そして高い透明性を併せ持つ材料とすることができる。
通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重合反応性は、最終的に得られるポリイミド成形体の靭性に大きな影響を及ぼす。重合反応性が十分高くないと、高重合体が得られず、結果としてポリマー鎖同士の絡み合いが低くなり、ポリイミド成形体が脆弱になる恐れがある。本発明で使用する式(1)のTACHQと式(5)のTFMBは、十分に高い重合反応性を示すため、そのような懸念がない。
本発明のポリイミドを製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、以下の方法により合成できる。先ず式(5)のTFMBを重合溶媒に溶解し、この溶液に式(5)のTFMBと実質的に等モルの式(1)のTACHQ粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラー等を用い、0〜100℃の範囲、好ましくは20〜60℃で0.5〜150時間好ましくは1〜48時間撹拌する。この際モノマー濃度は、通常、5〜50重量%の範囲、好ましくは10〜40重量%の範囲である。このようなモノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリアミド酸を得ることができる。ポリアミド酸の重合度が増加しすぎて、重合溶液が撹拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。ポリイミド成形体の靭性の観点からポリアミド酸の重合度はできるだけ高いことが望ましい。上記モノマー濃度範囲で重合を行うことによりポリマーの重合度が十分高く、モノマー及びポリマーの溶解性も十分確保することができる。上記範囲より低い濃度で重合を行うと、ポリアミド酸の重合度が十分高くならない場合があり、また、上記モノマー濃度範囲より高濃度で重合を行うと、モノマーや生成するポリマーの溶解が不十分となる場合がある。また、脂肪族ジアミンを使用した場合、重合初期にしばしば塩形成が起こり、重合が妨害されるが、塩形成を抑制しつつできるだけ重合度を上げるためには、重合時のモノマー濃度を上記の好適な濃度範囲に管理することが好ましい。
次にポリアミド酸をイミド化する方法について説明する。本発明のポリイミドは、公知の方法でイミド化が可能である。例えば、脱水環化試薬によってポリアミド酸をイミド化する化学イミド化法、ポリアミド酸を高沸点溶媒中で重合した後、続いてキシレン等の共沸剤存在下で150℃以上に加熱して副生する水を系内から除去して高重合度のポリイミドを溶液状態で得る溶液熱イミド化法、または、ポリアミド酸溶液をガラス基板等の支持体上に流延し乾燥して得られたポリアミド酸のフィルム状成形体を加熱炉等で250℃以上、好ましくは300℃以上で加熱してイミド化する熱イミド化法が挙げられる。透明性の高いポリイミド成形体を得るためには、これらのイミド化方法の内、穏和な条件下でイミド化が可能な化学イミド化法が好ましい。
化学イミド化方法について詳しく説明する。先に記載した方法で得られたポリアミド酸溶液を重合時に使用した溶媒と同一の溶媒で希釈する。撹拌し易い適度な溶液粘度に希釈したポリアミド酸溶液をメカニカルスターラーなどで撹拌しながら、この中に有機酸の無水物と、塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、0〜100℃、好ましくは10〜50℃で1〜72時間撹拌することで化学的にイミド化を完結させる。その際に使用可能な有機酸無水物としては特に限定されないが、無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。試薬の取り扱いや精製のし易さから無水酢酸が好適に使用される。また塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が使用できるが試薬の取り扱いや分離のし易さからピリジンが好適に用いられるが、これらに限定されない。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリアミド酸の理論脱水量の1〜10倍モルの範囲であり、より好ましくは1〜5倍モルである。また塩基性触媒の量は、有機酸無水物量に対して0.1〜2倍モルの範囲であり、より好ましくは0.1〜1倍モルの範囲である。
上記のように化学イミド化後の反応溶液中には、化学イミド化剤やカルボン酸などの副生成物(以下、不純物という)が混入しているため、これらを除去してポリイミドを精製する必要がある。精製は公知の方法が利用できる。例えば、最も簡便な方法としては、イミド化した反応溶液を撹拌しながら大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が適用できる。この時、使用できる貧溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好適であり、これらを混合して用いてもよい。貧溶媒中に滴下して析出させる時のポリイミド溶液の濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粗大な粒子中に不純物が残留する可能性や、得られたポリイミド粉末を溶媒に溶解する時間が長時間要する恐れがある。一方、ポリイミド溶液の濃度を薄くし過ぎると、多量の貧溶媒が必要となり、廃溶剤処理による環境負荷増大や製造コスト高になるため好ましくない。したがって、貧溶媒中に滴下する時のポリイミド溶液の濃度は、20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。この時使用する貧溶媒の量はポリイミド溶液の等量以上が好ましく、5〜100倍量が好適である。得られたポリイミド粉末を回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する。乾燥温度と時間は、ポリイミドが変質せず、残留溶媒が蒸発する温度であれば制限はなく、30〜200℃の温度範囲において48時間以下で乾燥させることが好ましい。
本発明のポリイミドは、ポリイミド成形体の靭性及び溶液のハンドリングの観点から、ポリイミドの固有粘度として、好ましくは0.1〜10.0dL/gの範囲であり、より好ましくは0.3〜5.0dL/gの範囲である。
本発明のポリイミドは、様々な種類の有機溶媒に可溶なことから、使用用途や加工条件に合わせて溶媒を選ぶことができる。例えば、長時間にわたり連続塗工する場合、ポリイミド溶液中の溶媒が大気中の水分を吸湿し、ポリイミドが析出する恐れがあるので、トリエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトンあるいはシクロペンタノンなどの低吸湿性溶媒を使用することが好ましい。したがって、本発明のポリイミドは低吸湿性を示す様々な溶媒や混合溶媒を選ぶことができる。使用される低吸湿性溶媒は、特に限定されないが、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール系溶媒、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエ−テル等のエ−テル系溶媒、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、クロロホルム、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども使用でき、これらを2種類以上混合して用いてもよい。また、吸湿性溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒でも、上記低吸湿性溶媒と混合することで、吸湿によるポリイミドの析出を抑制することもできる。
本発明のポリイミドを溶媒に溶解して溶液とするときの固形分濃度としては、ポリイミドの分子量、製造方法や製造するフィルムの厚さにもよるが、5重量%以上が好ましい。固形分濃度が低すぎると、十分な膜厚のフィルムを形成することが困難となる。本発明のポリイミドを溶媒に溶解するときの方法としては、例えば、溶媒を撹拌しながら本発明のポリイミド粉末を加え、空気中、または不活性ガス中で室温〜溶媒の沸点以下の温度範囲で1〜48時間かけて溶解させ、ポリイミド溶液にすることができる。
また、本発明のポリイミドには、必要に応じて離型剤、フィラー、染料、顔料、シランカップリング剤、架橋剤、末端封止剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤などの添加物を加えることができる。
得られたポリイミド溶液は、公知の方法で製膜し、ポリイミド成形体やフィルムを形成できる。例えば、ポリイミド溶液をガラス基板等の支持体上にドクターブレード等を用いて流延し、熱風乾燥器、赤外線乾燥炉、真空乾燥器、イナートオーブン等を用いて、通常、40〜300℃の範囲、好ましくは、50〜250℃の範囲で乾燥することによってポリイミドフィルムを形成することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<赤外吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)を用い、KBr透過法にてテトラカルボン酸二無水物の赤外吸収スペクトルを測定した。また、ポリイミド薄膜の赤外吸収スペクトルは、透過法によって測定した。
H−NMRスペクトル>
フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM−ECP400(JEOL製)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中でテトラカルボン酸二無水物および化学イミド化したポリイミド粉末のH−NMRスペクトルを測定した。
<示差走査熱量分析(融点)>
テトラカルボン酸二無水物の融点は、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
<固有粘度>
0.5重量%のポリアミド酸溶液、または、ポリイミド溶液の還元粘度は、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。この値をもって固有粘度とみなした。
<ポリイミド粉末の有機溶媒への溶解性試験>
ポリイミド粉末10mgに対し、表1に記載の有機溶媒1g(固形分濃度1重量%)をサンプル管に入れ、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。溶媒として、クロロホルム(CF)、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン(DOX)、酢酸エチル、シクロペンタノン(CPN)、シクロヘキサノン(CHN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、m−クレゾール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロルラクトン(GBL)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−GL)を使用した。
評価結果は、室温で溶解した場合を++、加熱により溶解し、且つ室温まで放冷後も均一性を保持していた場合を+、膨潤/一部溶解した場合を±、不溶の場合を−と表示した。
<ガラス転移温度:T、熱可塑性>
TA Instruments社製動的粘弾性測定装置(Q800)を用いて周波数0.1Hz、振幅0.1%、昇温速度5℃/分における損失ピークからポリイミドフィルムのガラス転移温度を求めた。また、ガラス転移温度直後の貯蔵弾性率曲線の低下の急峻さより熱可塑性を評価した。
<線熱膨張係数:CTE>
ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ネッチ社製TMA4000を用いて(サンプルサイズ 幅5mm、長さ15mm)、荷重を膜厚(μm)×0.5gとして、5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線より計算した。線熱膨張係数は100〜200℃の間の平均値として求めた。
<ポリイミド膜の透過率:T400
日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計(V−650)を用いて、ポリイミドフィルム(20μm厚)の200−700nmにおける光透過率を測定し、400nmの波長における光透過率を透明性の指標として用いた。また、透過率が0.5%以下となる波長(カットオフ波長)も求めた。
<黄色度(イエローネスインデックス):YI>
紫外−可視分光光度計V−530(日本分光社製)を用い、波長380〜780nmにおけるポリイミドフィルムの光透過率(T%)からVWCT−615型 カラ−診断プログラム(日本分光社製)によってJISK77373に準拠して黄色度(YI)算出した。
<全光線透過率およびヘイズ>
Haze Meter NDH4000(日本電色工業製)を用い、JISK7361に準拠したポリイミドフィルムの全光線透過率とJISK7136に準拠したヘイズ(濁度)を求めた。
<複屈折:Δn>
アタゴ社製アッベ屈折計(アッベ1T)を用いて、ポリイミドフィルム面に平行な方向(nin)と垂直な方向(膜厚方向)(nout)の屈折率をアッベ屈折計(ナトリウムランプ使用、波長589nm)で測定し、これらの屈折率の差から複屈折(Δn=nin−nout)を求めた。複屈折値が高いほど、ポリマー鎖の面内配向度が高いことを意味する。
<合成例1>
A.TAHQの合成
下記式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物(TAHQ)は次のように合成した。ナスフラスコに無水トリメリット酸クロリド12.6751g(60.1940mmol)を入れ、脱水テトラヒドロフラン(THF)33mLに室温で溶解させ、セプタムシールして溶液Aを調製した。更に別のフラスコ中でハイドロキノン(HQ)2.2209g(20.1700mmol)を脱水THF8.2mL、ピリジン9.7mL(120mmol)を加えてセプタムシールし溶液Bを調製した。氷浴中で冷却、撹拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジによって約5分間かけて徐々に滴下し、その後室温で24時間撹拌した。反応終了後、白色沈殿を濾別し、THFおよびイオン交換水で洗浄した。ピリジン塩酸塩の除去は、洗液に硝酸銀水溶液を添加し白色沈殿が見られなくなったことをもって確認した。洗浄した生成物を回収し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた生成物は、白色粉末であり、収量は8.0287g、収率87.6%であった。
B.TAHQの同定
生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、3082cm−1に芳香族C−H伸縮振動吸収帯、1847cm−1および1781cm−1に酸無水物基C=O伸縮振動吸収帯、1742cm−1にエステル基C=O伸縮振動吸収帯を確認した。
また、フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM−ECP400(JEOL製)を用いてH−NMR測定を行った結果、(DMSO−d,δ,ppm):7.54(s,4H),8.30(d,J=7.9Hz,2H),8.65(sd,J=0.72Hz,2H),8.67(dd,J=8.0Hz,1.3Hz,2H)と帰属でき、元素分析値は推定値C:62.89%,H:2.20%,実測値C:62.69%,H:2.42%であり、生成物はTAHQであることが確認された。
また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)によって融点を測定したところ、272.4℃に鋭い融解ピ−クを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
<合成例2>
A.テトラカルボン酸二無水物TAPhの合成
下記式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物(TAPh)は次のように合成した。ナスフラスコに無水トリメリット酸クロリド15.1116g(71.8mmol)を入れ、脱水テトラヒドロフラン(THF)16.5mLに室温で溶解させ、セプタムシールして溶液Aを調製した。更に別のフラスコ中で2−フェニルハイドロキノン6.2721g(34mmol)を脱水THF23.5mL、ピリジン8.7mL(108mmol)を加えてセプタムシールし溶液Bを調製した。氷浴中で冷却、撹拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジによって約5分かけて徐々に滴下し、その後室温で24時間撹拌した。反応終了後、白色沈殿を濾別し、THFおよびイオン交換水で洗浄した。ピリジン塩酸塩の除去は、洗液に硝酸銀水溶液を添加し白色沈殿が見られなくなったことをもって確認した。洗浄した生成物を回収し、80℃1時間、更に100℃で12時間真空乾燥した。得られた生成物は、白色粉末であり、収量は17.93g、収率98.7%であった。
B.TAPhの同定
生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、3092,3065cm−1に芳香族C−H伸縮振動吸収帯、1847cm−1および1775cm−1に酸無水物基C=O伸縮振動吸収帯、1752cm−1にエステル基C=O伸縮振動吸収帯を確認した。
また、フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM−ECP400(JEOL製)を用いてH−NMR測定を行った結果、(DMSO−d,δ,ppm):7.30−7.40(m,3H),7.55−7.66(m,5H),8.23(d,J=7.8Hz,1H),8.29−8.32(m,1H),8.50−8.56(m,2H),8.66−8.70(m,2H)と帰属でき、元素分析値は推定値C:67.42%,H:2.64%,実測値C:67.49%,H:2.82%であ
り、生成物はTAPhであることが確認された。
また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)によって融点を測定したところ、198.4℃に鋭い融解ピークを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
<実施例1>
A.式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物TACHQの合成
式(1)で表されるTACHQは次のように合成した。ナスフラスコに無水トリメリット酸クロリド12.7003g(60.3137mmol)を入れ、脱水テトラヒドロフラン(THF)33mLに室温で溶解させ、セプタムシールして溶液Aを調製した。更に別のフラスコ中で2−シクロヘキシルハイドロキノン(CHQ)3.8551g(20.0661mmol)を脱水THF6.5mL、ピリジン9.7mL(120mmol)を加えてセプタムシールし溶液Bを調製した。
氷浴中で冷却、撹拌しながら、溶液Aに溶液Bをシリンジによって約5分かけて徐々に滴下し、その後室温で24時間撹拌した。反応終了後、白色沈殿を濾別し、THFおよびイオン交換水で洗浄した。ピリジン塩酸塩の除去は、洗液に硝酸銀水溶液を添加し白色沈殿が見られなくなったことをもって確認した。洗浄した粗生成物を回収し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた粗生成物は、白色粉末であり、収量は6.54g、収率87.6%であった。
(精製)
得られた粗生成物2.5526gを無水酢酸とトルエン(体積比1:10)混合溶媒に90℃で溶解させた後、自然放冷して72時間静置した。析出した白色粉末を濾別し、160℃で12時間真空乾燥した。得られた白色粉末の収量は1.3602g、再結晶収率は53.3%であった。
B.TACHQの同定
再結晶によって精製した生成物は、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR4100(日本分光社製)より、2928cm−1に脂肪族C−H伸縮振動吸収帯、1861cm−1および1778cm−1に酸無水物基C=O伸縮振動吸収帯、1745cm−1にエステル基C=O伸縮振動吸収帯を確認した。
また、フーリエ変換核磁気共鳴分光光度計JNM−ECP400(JEOL製)を用いてH−NMR測定を行った結果、(DMSO−d,δ,ppm):1.80−1.23(m,10H),2.69(t,J=12Hz,1H),7.50−7.18(m,3H),8.33−8.29(m,2H),8.71−8.65(m,4H)と帰属でき、元素分析値は理論値C:66.67%,H:3.73%,実測値C:66.27%,H:3.78%であり、生成物はTACHQであることが確認された。
また、示差走査熱量分析装置DSC3100(ネッチ社)によって融点を測定したところ、229.1℃に鋭い融解ピ−クを示したことからこの生成物は高純度であることが示唆された。
<実施例2>
A.式(8)で表される繰り返し単位のポリイミドの合成
(ポリアミド酸の重合)TACHQ/TFMB
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)3mmolを脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した。ここに実施例1に記載のTACHQ粉末3mmolをゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、適宜DMAcを加えポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度16.7重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.72dL/gであった。
(化学イミド化反応)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度約10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら2.8mL(30mmol)の無水酢酸と1.2mL(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のメタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた白色沈殿物をメタノールで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた繊維状ポリイミド粉末についてH−NMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ=13ppm付近)およびNHCOプロトン(δ=11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、2.55dL/gであり、高分子量体であった。また、ポリイミド粉末の溶媒に対する溶解性を表1に示す。表1より優れた溶媒溶解性を示すことがわかる。
B.ポリイミド溶液の調製およびポリイミドフィルムの製膜
上記のポリイミド粉末をγ−ブチロラクトン(GBL)に加温しながら再溶解し6.0重量%の均一溶液を調製した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、80℃2時間熱風乾燥器中で乾燥した。その後、基板ごと真空中200℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中200℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
得られたポリイミドフィルムの赤外吸収スペクトルを図1、動的粘弾性曲線を図2、熱的特性・光学的特性を表2に示す。図1より目的のポリイミドであることが同定できる。図2より急峻な貯蔵弾性率の低下が225℃付近で観測され、高い熱可塑性を示すことがわかる。表2より、線熱膨張係数(CTE)が11.9ppm/Kと低く、無色透明なフィルムであることがわかる。これらの優れた特性は、式(2)の構造による効果である。
<実施例3>
A.下記式(9)で表される繰り返し単位のポリイミドの合成
(ポリアミド酸の重合)TACHQ(80)6FDA(20)/TFMB
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)3mmolを脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した。ここに実施例1に記載のTACHQ粉末2.4mmolと4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)粉末0.6mmolをゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、適宜DMAcを加えポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度22.7重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.91dL/gであった。
(化学イミド化反応)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度約10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら2.8mL(30mmol)の無水酢酸と1.2mL(15mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のメタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた白色沈殿物をメタノ−ルで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた繊維状ポリイミド粉末についてH−NMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ=13ppm付近)およびNHCOプロトン(δ=11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、1.75dL/gであり、高分子量体であった。また、ポリイミド粉末の溶媒に対する溶解性を表1に示す。表1より優れた溶媒溶解性を示すことがわかる。
B.ポリイミド溶液の調製およびポリイミドフィルムの製膜
上記のポリイミド粉末をシクロペンタノン(CPN)に加温しながら再溶解し8.0重量%の均一溶液を調製した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、60℃2時間熱風乾燥器で乾燥した。その後、基板ごと真空中200℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中200℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。得られたポリイミドフィルムの赤外吸収スペクトルを図3、動的粘弾性曲線を図4、熱的特性・光学的特性を表2に示す。図3より目的のポリイミドであることが同定できる。図4より急峻な貯蔵弾性率の低下が225℃付近で観測され、高い熱可塑性を示すことがわかる。表2より、線熱膨張係数(CTE)が24.7ppm/Kと低く、無色透明なフィルムであることがわかる。これらの優れた特性は、式(2)の構造による効果である。
<実施例4>
A.下記式(10)で表される繰り返し単位のポリイミドの合成
(ポリアミド酸の重合)TACHQ(50)6FDA(50)/TFMB
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)2mmolを脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した。ここに実施例1に記載のTACHQ粉末1.0mmolと4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)粉末1.0mmolをゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、適宜DMAcを加えポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度30重量%)。
得られたポリアミド酸の固有粘度は、0.56dL/gであった。
(化学イミド化反応)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度約10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら1.9mL(20mmol)の無水酢酸と0.8mL(10mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に24時間撹拌した。得られたポリイミド溶液を大量のメタノールにゆっくりと滴下しポリイミドを沈澱させた。得られた白色沈殿物をメタノールで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた繊維状ポリイミド粉末についてH−NMR測定を行ったところ、ポリアミド酸に特有のCOOHプロトン(δ=13ppm付近)およびNHCOプロトン(δ=11ppm付近)は観測されなかったことから、化学イミド化反応は完結していることが示唆された。得られたポリイミドの固有粘度は、0.76dL/gであった。また、ポリイミド粉末の溶媒に対する溶解性を表1に示す。表1より優れた溶媒溶解性を示すことがわかる。
B.ポリイミド溶液の調製およびポリイミドフィルムの製膜
上記のポリイミド粉末を室温でシクロペンタノン(CPN)に再溶解し23重量%の均一溶液を調製した。このポリイミド溶液をガラス基板上に流延し、60℃2時間熱風乾燥器で乾燥した。その後、基板ごと真空中200℃で1時間乾燥して室温まで放冷後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中200℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
得られたポリイミドフィルムの赤外吸収スペクトルを図5、動的粘弾性曲線を図6、熱的特性・光学的特性を表2に示す。図5より目的のポリイミドであることが同定できる。図6より急峻な貯蔵弾性率の低下が230℃付近で観測され、高い熱可塑性を示すことが、更には、表2より無色透明なフィルムであることがわかる。
<比較例1>
A.下記式(11)で表される繰り返し単位のポリイミドの合成
(ポリアミド酸の重合)TAPh(100)/TFMB
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)3mmolを脱水N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解した。ここに合成例2に記載のTAPh粉末3mmolをゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度20重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、1.6dL/gであった。
B.ポリイミドフィルムの製膜
ポリアミド酸溶液をガラス基板上に流延し、80℃3時間熱風乾燥器で乾燥した。その後、基板ごと真空中250℃で1時間、350℃で1時間熱イミド化した後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中200℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
得られたポリイミドフィルムの熱的特性・光学的特性を表2に示す。表2より、低い光透過率、そして激しい黄変と濁りがあることがわかる。式(8)の繰り返し単位のポリイミド中のシクロヘキシル基をフェニル基に変えたために、式(11)の繰り返し単位のポリイミドフィルムの光学特性は著しく悪化したと考えられる。つまり、同じような嵩高い構造であっても、シクロヘキシル基の構造が極めて有用であることがわかる。
<比較例2>
A.式(12)で表される繰り返し単位のポリイミドの合成
(ポリアミド酸の重合)TAHQ/TFMB
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)2mmolを脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した。ここに合成例1に記載のTAHQ粉末2mmolをゆっくり加え、室温で72時間撹拌し、適宜DMAcを加えポリイミド前駆体であるポリアミド酸を得た(固形分濃度11.4重量%)。得られたポリアミド酸の固有粘度は、4.45dL/gであった。
(化学イミド化反応)
得られたポリアミド酸溶液を脱水DMAcで固形分濃度約10.0重量%に希釈後、これを撹拌しながら1.9mL(20mmol)の無水酢酸と0.8mL(10mmol)のピリジンの混合溶液を室温でゆっくり滴下し、滴下終了後更に3時間で溶液の流動性が消失しゲル化した。式(8)と式(12)の繰り返し単位のポリイミドの比較から嵩高いシクロヘキシル基が、溶媒に対する溶解性を極めて高めていることがわかる。
B.ポリイミドフィルムの製膜
上記のポリアミド酸溶液をガラス基板上に流延し、60℃2時間熱風乾燥器で乾燥した。その後、基板ごと真空中200℃で0.5時間、250℃で2時間熱イミド化した後、ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。このポリイミドフィルムをもう一度真空中300℃で1時間熱処理して残留歪を除去した。
得られたポリイミドフィルムの動的粘弾性曲線を図7、熱的特性・光学的特性を表2に示す。図7より、貯蔵弾性率の低下が始まる温度が375℃と高いため、式(8)の繰り返し単位のポリイミドよりも熱加工性に劣ることがわかる。また黄色度やヘイズも高めであり光学特性も劣っている。
つまり、式(2)のシクロヘキシル基は、極めて重要な働きをしていることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記式(1):
    で表されるテトラカルボン酸二無水物。
  2. 下記式(2):
    で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
  3. 式(2)で表される繰り返し単位の含有率が、ポリイミド中の全ての繰り返し単位に対し55mol%以上であることを特徴とする請求項2に記載のポリイミド。
  4. 請求項2または3に記載のポリイミドと有機溶媒とを含有するポリイミド溶液であって、固形分濃度が5重量%以上であることを特徴とするポリイミド溶液。
  5. 請求項2または3に記載のポリイミド成形体。
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