JP2022121401A - 低熱膨張特性および溶液加工性を併せ持つ透明耐熱プラスチック基板材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶媒溶解性、高い透明性、高いガラス転移温度及び低い線熱膨張係数を兼ね備えたポリイミドの提供。【解決手段】下記一般式(1):TIFF2022121401000038.tif51113(R1及びR2は、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数1~12の芳香族基を表し、R3及びR4は、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12の芳香族基又はハロゲン原子を表す。n1及びn2は0~3の整数を表す。)で表されるジアミン類由来の構成単位、及びテトラカルボン酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド。【選択図】なし
Description
本発明は、低熱膨張特性及び溶液加工性(ポリイミド溶液が調製可能であること)を併せ持つ透明耐熱プラスチック基板材料として使用可能なポリイミド、並びに該ポリイミドを製造するためのポリアミド酸及びジアミン類に関する。
従来、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の画像表示機器においてガラス基板が用いられてきた。しかしながら、ガラスは重く、かつ曲げることができない為、近年、画面表示機器の小型化、薄型化、軽量化及びフレキシブル化の要求に対して、ガラス代替材料が求められており、斯かる材料として、高い耐熱性を有する種々のポリイミドが提案されている。
一方、ポリイミドは分子内および分子間電荷移動相互作用によりフィルムが強く着色しており、無色透明な現行のガラス基板代替材料としてそのまま適用することは多くの場合困難である。そのため近年、従来タイプのポリイミドの優れた耐熱性を維持したまま、フィルムの着色および濁りを抑制したポリイミドの開発検討が広くなされている(例えば非特許文献1および2)。
また、無色透明ポリイミドフィルムを画像表示デバイスのガラス基板代替材料として適用する場合、ポリイミドフィルムは、デバイス製造時の高温プロセスに対する十分な耐熱性(高いガラス転移温度)を有していなければならない。また、ポリイミドフィルムのガラス温度領域における、即ちガラス転移温度以下での線熱膨張係数が大きい場合、デバイス製造時の昇温―降温サイクルに対してフィルムがそれに追従し、大きく熱膨張―熱収縮することになり、基板上の電子回路の位置ずれ、基板の反り、電極の断線等深刻な不具合の引き金となる恐れがあるため、ガラス代替材料としてのポリイミドフィルムには、低熱膨張特性も求められる。
ポリイミドフィルムを無色化するには電荷移動相互作用を妨害すればよいが、その方法として、ポリイミドのモノマー成分であるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンのうち、少なくともどちらか一方に脂肪族(耐熱性の観点から通常脂環式)モノマーを用いることが極めて有効である(例えば非特許文献1)。また、ポリイミドフィルムが低線熱膨張係数を示すためには、ポリイミド主鎖が全体に渡って直線状で剛直な構造であることが必須条件である(例えば非特許文献2)。しかしながら、多くの脂環式モノマーは、その立体構造が平面性・直線性に乏しいため、脂環式モノマーを用いて製造されるポリイミドは、多くの場合低熱膨張性を示さず、更には、溶媒溶解性も殆ど示さない。そのため、耐熱性が高く、透明性に優れ、低線熱膨張係数を示し、かつ溶媒溶解性に優れたポリイミドの提供は非常に困難であった。
Progress in Polymer Science, 26, 259-335 (2001).
Polymers, 9, 520-550 (2017).
本発明は、溶媒溶解性を有すると共に、高い透明性、高いガラス転移温度及び低い線熱膨張係数を兼ね備えたポリイミドの提供を目的とする。
本発明者らが上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記構造を有するポリイミドが上記の課題を解決可能であることを見出した。具体的には、本発明は以下の発明を含む。
[1]
下記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド。
下記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド。
[2]
下記一般式(P-1)で表される繰り返し単位を有する、[1]に記載のポリイミド。
下記一般式(P-1)で表される繰り返し単位を有する、[1]に記載のポリイミド。
[3]
R1及び/又はR2が、フッ素原子若しくはフッ素原子を含む置換基を有する炭素数1~12のアルキル基、又はフッ素原子若しくはフッ素原子を含む置換基を有する炭素数1~12の芳香族基である、[1]又は[2]に記載のポリイミド。
R1及び/又はR2が、フッ素原子若しくはフッ素原子を含む置換基を有する炭素数1~12のアルキル基、又はフッ素原子若しくはフッ素原子を含む置換基を有する炭素数1~12の芳香族基である、[1]又は[2]に記載のポリイミド。
[4]
フッ素原子を含む置換基がトリフルオロメチル基である、[3]に記載のポリイミド。
フッ素原子を含む置換基がトリフルオロメチル基である、[3]に記載のポリイミド。
[5]
更に下記一般式(P-2)で表される繰り返し単位を有する、[1]~[4]いずれか一項に記載のポリイミド。
更に下記一般式(P-2)で表される繰り返し単位を有する、[1]~[4]いずれか一項に記載のポリイミド。
[6]
下記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸。
下記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸。
[7]
下記一般式(1)で表されるジアミン類。
下記一般式(1)で表されるジアミン類。
[8]
下記一般式(2):
下記一般式(2):
で表されるジニトロジエステル類を還元する、[7]に記載のジアミン類の製造方法。
[9]
下記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類。
下記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類。
[10]
下記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類。
下記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類。
[11]
[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドと有機溶媒とを含有する、ポリイミド溶液。
[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドと有機溶媒とを含有する、ポリイミド溶液。
[12]
[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドを含有する、ポリイミドフィルム。
[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドを含有する、ポリイミドフィルム。
[13]
[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドを含有する、プラスチック基板材料。
[1]~[5]のいずれかに記載のポリイミドを含有する、プラスチック基板材料。
上述した本発明のポリイミド(上記一般式(1)で表されるジアミン由来の構成単位を主鎖に含むポリイミド)は、溶媒溶解性に優れるため、高い固形分濃度で安定なワニス(ポリイミド溶液)を与えることが可能であると共に、該ワニスにより得られるキャスト膜が高い透明性、高いガラス転移温度および低い線熱膨張係数(高い熱寸法安定性)を示すとの特徴も兼ね備える。更には、一般に線熱膨張係数が低い場合、複屈折が高くなる(トレードオフの関係にある)傾向にあるところ、本発明のポリイミドは、線熱膨張係数が低いにも拘わらず、複屈折も低いといった特徴も有する。
<本発明のポリイミド>
以下、本発明の実施形態を記載する。本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
以下、本発明の実施形態を記載する。本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
で表されるジアミン類由来の構成単位、及びテトラカルボン酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含む。(以下、該ポリイミドを「本発明のポリイミド」と称することがある。)。また、「上記一般式(1)で表されるジアミン由来の構成単位」とは、上記一般式(1)から二つのアミノ基を除いた構造を示す。)。
上記一般式(1)中、置換基R1及びR2における置換基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基について、炭素数1~12のアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4~12(好ましくは炭素数5~8)で表されるシクロアルキル基を挙げることができる。これらアルキル基の中でも、好ましくは炭素数1~8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1~6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。
置換基を有してもよい炭素数1~12の芳香族基について、炭素数1~12の芳香族基として例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
置換基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1~12の芳香族基における置換基として例えば、分岐を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、分岐を有してもよい炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子等が挙げられ、これら置換基の中でもフッ素原子又はフッ素原子を含む置換基であることが好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
R1及びR2は置換基を有してもよい炭素数1~12の芳香族基であることが好ましく、該置換基としてフッ素原子又はフッ素原子を含む置換基であることがより好ましい。また、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよいが、一般式(1)で表されるジアミン類の製造工程の簡便性の観点から、R1及びR2は同一であることが好ましい。
上記一般式(1)中、置換基R3及びR4における置換基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基として例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4~12(好ましくは炭素数5~8)で表されるシクロアルキル基を挙げることができる。これらアルキル基の中でも、好ましくは炭素数1~8の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、より好ましくは炭素数1~6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1~3の直鎖状又は分岐状アルキル基である。
置換基を有してもよい炭素数1~12の芳香族基として例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基である。
置換基を有してもよい炭素数1~12のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数1~12の芳香族基における置換基として例えば、分岐を有してもよい炭素数1~4のアルキル基、分岐を有してもよい炭素数1~4のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、フッ素が好ましい。
R3及びR4の数を表すn1及びn2は通常0~3の整数であり、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
R3及びR4は同一であっても異なっていてもよく、また、複数のR3及び/又はR4が存在する場合、それぞれは同一であっても異なっていてもよいが、一般式(1)で表されるジアミン類の製造工程の簡便性の観点から、R3及びR4は同一であることが好ましい。
n1及びn2は同一であっても異なっていてもよいが、一般式(1)で表されるジアミン類の製造工程の簡便性の観点から、n1及びn2は同一であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるジアミン類の製造工程の簡便性の観点から、該ジアミン類のエステル基(-OCOR1及び-OCOR2)の結合位置はキサンテン骨格の3,6位、又は2,7位であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるジアミン類の具体例として、下記式(1-1)で表されるジアミンが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のポリイミドにおいて、上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位は1種、あるいは2種以上含まれていてもよい。
本発明のポリイミドに用いられるテトラカルボン酸二無水物(テトラカルボン酸二無水物由来の構成単位を構成するテトラカルボン酸二無水物)として例えば、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、5-(ジオキソテトラヒドロフリル-3-メチル)-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-テトラリン-1,2-ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,4-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
また、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の他、芳香族テトラカルボン酸二無水物も選択することができ、例えば無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m-タ-フェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、p-タ-フェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独でも、あるいは必要に応じて2種類以上併用(即ち共重合)してもよい。
また、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の他、芳香族テトラカルボン酸二無水物も選択することができ、例えば無水ピロメリット酸、4,4’-オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-(2,2-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m-タ-フェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、p-タ-フェニル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独でも、あるいは必要に応じて2種類以上併用(即ち共重合)してもよい。
上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を含むことにより、ポリイミドに溶媒溶解性及び低熱膨張特性を与えることが可能であるが、これら特性をより向上させたい場合、使用するテトラカルボン酸二無水物として脂肪族テトラカルボン酸二無水物を選択することが好ましく、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の中でも特に1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)が好ましい。その際、脂肪族テトラカルボン酸二無水物の使用量は、全テトラカルボン酸二無水物の内、70~100モル%であることが好ましく、90~100モル%であることがより好ましく、100モル%、即ち芳香族テトラカルボン酸二無水物は使用せずに脂肪族テトラカルボン酸二無水物のみ使用することが更に好ましい。
上述した本発明のポリイミドの中でも、具体的には下記一般式(P-1):
で表される繰り返し単位を有するポリイミドが好ましい。なお、上記一般式(P-1)においてA1は上述した脂肪族テトラカルボン酸二無水物に由来する。そのため、本発明のポリイミドに含まれる上記一般式(P-1)で表される繰り返し単位が、本発明のポリイミドの全繰り返し単位1モルに対し通常70モル%、好ましくは90モル%含まれることにより、上述した脂肪族テトラカルボン酸二無水物が含まれる場合の特性がより効果的に発現する。
本発明のポリイミドには必要に応じ、上記一般式(1)で表される本発明のジアミン類以外のジアミン類(以下、「他のジアミン類」と称することがある。他のジアミン類は本発明のポリイミドを構成する構成単位となる)を主鎖に含んでいてもよい。具体的に例えば、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノトルエン、4,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン-5,5-ジオキシド、4,4-ジアミノベンゾフェノン,3,3’-ジアミノベンゾフェノン,4,4’-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)―2,2-ジメチルプロパン、1,2-ビス[2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-5-アミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’-ジカルボキシ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,6-ジヒドロキシ-1,3-フェニレンジアミン、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’-テトラアミノビフェニル、1,6-ジアミノヘキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4-ジアミノシクロヘキサン、2,5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタンビス(メチルアミン)、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン-1,3-ジアミン、4-アミノ安息香酸-4-アミノフェニル、2-(4-アミノフェニル)-5-アミノベンゾオキサゾール、9,9-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]フルオレン、2,2’-ビス(3-スルホプロポキシ)―4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル―3,3’-ジスルホン酸、1,4-ジアミノ-2-フルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,6-ジフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,6-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2-フルオロベンジジン、3-フルオロベンジジン、2,3-ジフルオロベンジジン、2,5-ジフルオロベンジジン、2,6-ジフルオロベンジジン、2,3,5-トリフルオロベンジジン、2,3,6-トリフルオロベンジジン、2,3,5,6-テトラフルオロベンジジン、2,2’-ジフルオロベンジジン、3,3’-ジフルオロベンジジン、2,3’-ジフルオロベンジジン、2,2’,3-トリフルオロベンジジン、2,3,3’-トリフルオロベンジジン、2,2’,5-トリフルオロベンジジン、2,2’,6-トリフルオロベンジジン、2,3’,5-トリフルオロベンジジン、2,3’,6,-トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’-テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’-オクタフルオロベンジジン、2-(トリフルオロメチル)ベンジジン、3-(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2、6-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6-トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’-テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン等が挙げられる。これらジアミン類は単独でも、あるいは必要に応じて2種類以上併用(即ち共重合)してもよい。
本発明のジアミン類と併用し得る他のジアミン類(共重合ジアミン成分)の中でも、フッ素原子を含む芳香族ジアミン類が、ポリイミドの透明性、溶媒溶解性及び低熱膨張性改善の観点から好ましい。また、フッ素原子を含む芳香族ジアミン類の中でも、特にトリフルオロメチル基を有する芳香族ジアミン類を使用することがより好ましく、トリフルオロメチル基を有する芳香族ジアミン類の中でも、コストおよび入手性の観点から2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)が特に好ましい。
ポリイミドの溶媒溶解性、フィルムの高透明性、高耐熱性、低熱膨張性維持の観点から、本発明のジアミン類と併用する他のジアミンの使用量は、全ジアミン量の内、0~70モル%であることが好ましく、0~50モル%であることがより好ましい。
また、本発明のポリイミドには、上述した構成単位(繰り返し単位)以外に、以下一般式(P-2):
で表される繰り返し単位を有することが好ましい。なお、上記一般式(P-2)において、A1にて表される4価の脂肪族基は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物に由来し、A2にて表されるフッ素原子を含む2価の芳香族基は、上述したフッ素原子を有する芳香族ジアミン類に由来し、具体的に例えば、芳香環の水素原子の一部がフッ素原子に置換された構造、芳香環上の置換基であるアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された構造等が挙げられる。
本発明のポリイミドが上記一般式(P-2)で表される繰り返し単位を有する場合、該繰り返し単位の含有比率は、本発明のポリイミドの全繰り返し単位1モルに対し通常1~70モル%であり、好ましくは1~50モル%である。
本発明のポリイミドには、更に、一般的にポリイミドに含まれ得る構成単位(例えばアミド基、エステル基を有する化合物由来の構成単位)を含んでいてもよい。
<本発明のポリイミドの物性>
(1)重量平均分子量
本発明のポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、30,000~500,000の範囲であることが好ましく、40,000~300,000の範囲であることがより好ましく、50,000~200,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が30,000以上であれば、ポリイミドをフィルムとした場合に十分な可撓性を得ることができる。一方、重量平均分子量が500,000以下であれば、良好な溶解性を保つことができるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜またはフィルムを得ることができる。本発明における分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいう。
(1)重量平均分子量
本発明のポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、30,000~500,000の範囲であることが好ましく、40,000~300,000の範囲であることがより好ましく、50,000~200,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が30,000以上であれば、ポリイミドをフィルムとした場合に十分な可撓性を得ることができる。一方、重量平均分子量が500,000以下であれば、良好な溶解性を保つことができるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜またはフィルムを得ることができる。本発明における分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値のことをいう。
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度が高いほど樹脂の物理的耐熱性が高いことを意味する。本発明のポリイミドは、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、330℃以上であることが更に好ましい。ガラス転移温度の測定法については実施例の項にて詳述する。ガラス転移温度の上限値は、特に限定されるものではないが、500℃以下であってもよい。
ガラス転移温度が高いほど樹脂の物理的耐熱性が高いことを意味する。本発明のポリイミドは、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、330℃以上であることが更に好ましい。ガラス転移温度の測定法については実施例の項にて詳述する。ガラス転移温度の上限値は、特に限定されるものではないが、500℃以下であってもよい。
(3)線熱膨張係数
試料の温度をT1からT2まで変化させる昇温過程において、試料の長さがL1からL2まで変化したとき、長さの変化量(ΔL=L2-L1)の、試料の初期長(L0)に対する比を、温度T1とT2との間の熱膨張率という。これを更に温度差ΔT=T2-T1で除した値を、温度T1とT2との間の平均線熱膨張係数(以下、「CTE」と称することもある。)といい、下記式で表される。なお、本発明においては特に断りがない限り、CTEは100~200℃の範囲における平均線熱膨張係数のことを表す。
CTE=(ΔL/L0)/ΔT
試料の温度をT1からT2まで変化させる昇温過程において、試料の長さがL1からL2まで変化したとき、長さの変化量(ΔL=L2-L1)の、試料の初期長(L0)に対する比を、温度T1とT2との間の熱膨張率という。これを更に温度差ΔT=T2-T1で除した値を、温度T1とT2との間の平均線熱膨張係数(以下、「CTE」と称することもある。)といい、下記式で表される。なお、本発明においては特に断りがない限り、CTEは100~200℃の範囲における平均線熱膨張係数のことを表す。
CTE=(ΔL/L0)/ΔT
本発明のポリイミドフィルムのCTEは熱寸法安定性の観点から、1~30ppm/Kであることが好ましく、5~25ppm/Kであることがより好ましい。CTEの具体的測定法については実施例の項にて詳述する。
(4)全光線透過率
透明性の観点から、本発明のポリイミドの全光線透過率は、膜厚が5~30μmである場合に、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また本発明における「膜厚」とは、本発明のポリイミドをフィルム化した際の該フィルムの厚みのことを意味し、例えば接触式膜厚計を用いて測定することができる。全光線透過率の測定方法については実施例の項にて詳述する。
透明性の観点から、本発明のポリイミドの全光線透過率は、膜厚が5~30μmである場合に、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。また本発明における「膜厚」とは、本発明のポリイミドをフィルム化した際の該フィルムの厚みのことを意味し、例えば接触式膜厚計を用いて測定することができる。全光線透過率の測定方法については実施例の項にて詳述する。
(5)複屈折
本発明のポリイミドは、複屈折が通常0.05以下であり、好ましくは0.045以下である。一般的には、線熱膨張係数が小さいポリイミドは複屈折が大きくなる傾向にあるにもかかわらず、本発明のポリイミドは複屈折が小さいとの特徴と共に、後述する通り、線熱膨張係数も小さいとの特徴も兼ね備える。なお、本発明における複屈折とは、ポリイミドフィルムの面内屈折と面外屈折との差から求められる「厚み方向複屈折」のことを意味し、後述する実施例の項にて記載する条件にて測定される。
本発明のポリイミドは、複屈折が通常0.05以下であり、好ましくは0.045以下である。一般的には、線熱膨張係数が小さいポリイミドは複屈折が大きくなる傾向にあるにもかかわらず、本発明のポリイミドは複屈折が小さいとの特徴と共に、後述する通り、線熱膨張係数も小さいとの特徴も兼ね備える。なお、本発明における複屈折とは、ポリイミドフィルムの面内屈折と面外屈折との差から求められる「厚み方向複屈折」のことを意味し、後述する実施例の項にて記載する条件にて測定される。
<上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸>
上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸(以下、「本発明のポリアミド酸」と称することがある)は上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位、及びテトラカルボン酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸であり、上記一般式(1)で表されるジアミン類の具体的態様、及びテトラカルボン酸二無水物の具体的態様及び好ましい態様等は上述した本発明のポリイミドの項にて記載した通りである。また、本発明のポリイミドと同様、必要に応じ、その他ポリイミドに含まれ得る構成単位(例えばアミド基、エステル基を有する化合物由来の構成単位)を含んでいてもよい。
上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸(以下、「本発明のポリアミド酸」と称することがある)は上記一般式(1)で表されるジアミン類由来の構成単位、及びテトラカルボン酸二無水物由来の構成単位を主鎖に含むポリアミド酸であり、上記一般式(1)で表されるジアミン類の具体的態様、及びテトラカルボン酸二無水物の具体的態様及び好ましい態様等は上述した本発明のポリイミドの項にて記載した通りである。また、本発明のポリイミドと同様、必要に応じ、その他ポリイミドに含まれ得る構成単位(例えばアミド基、エステル基を有する化合物由来の構成単位)を含んでいてもよい。
本発明のポリアミド酸の重量平均分子量は、その用途にもよるが、30,000~500,000の範囲であることが好ましく、40,000~300,000の範囲であることがより好ましく、50,000~200,000の範囲であることがさらに好ましい。ポリアミド酸の重量平均分子量が30,000以上であれば、フィルム形成可能であり、また良好な力学特性を維持しやすい。またポリアミド酸の重量平均分子量が500,000以下であれば、合成する場合に反応溶液のゲル化を回避しやすく、また、溶液粘度が高くなりすぎてハンドリングが大きく損なわれることもない。なお、ポリアミド酸の重量平均分子量は、ポリアミド酸溶液の粘度(固有粘度)を目安にすることができる。
<上記一般式(1)で表されるジアミン類>
上記一般式(1)で表されるジアミン類(以下、「本発明のジアミン類」と称することがある)の具体的態様及び好ましい態様等は上述した本発明のポリイミドの項にて記載した通りである。
上記一般式(1)で表されるジアミン類(以下、「本発明のジアミン類」と称することがある)の具体的態様及び好ましい態様等は上述した本発明のポリイミドの項にて記載した通りである。
<本発明のジアミン類の製造方法>
上記一般式(1)で表される本発明のジアミン類は、例えば酸存在下、下記一般式(5):
上記一般式(1)で表される本発明のジアミン類は、例えば酸存在下、下記一般式(5):
で表されるフェノール類を反応させて、下記一般式(3):
で表されるジニトロビスフェノール類を得た後、塩基存在下、下記一般式(4):
で表されるカルボン酸ハロゲン化物を反応させ下記一般式(2):
で表されるジニトロジエステル類を得、該ジニトロジエステル類のニトロ基を還元することで製造することができる。以下、上記製造方法について詳述する。
<上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類の製造方法>
上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類は、例えば、酸存在下、上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類と上記一般式(6)で表されるフェノール類とを反応することにより得られる。(以下、キサンテン化反応と称することもある。)
上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類は、例えば、酸存在下、上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類と上記一般式(6)で表されるフェノール類とを反応することにより得られる。(以下、キサンテン化反応と称することもある。)
上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類は、9-フルオレノンをニトロ化する等の従来公知の方法によって製造することができ、また、市販品を用いることもできる。上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類は、入手容易性の観点から、2,7-ジニトロ-9-フルオレノンであることが好ましい。
上記一般式(6)で表されるフェノール類において、置換基R6及び置換基数n3は、上記一般式(1)で表されるジアミン類における置換基R3及びR4並びに置換基数n1及びn2に対応する。従って、置換基R6及び置換基数n3の具体的態様及び好ましい態様等については置換基R3及びR4並びに置換基数n1及びn2について詳述したものと同一である。
キサンテン化反応に用いられる酸は、無機酸、有機酸いずれでもよく、無機酸として例えば硫酸、塩酸、りん酸などが、有機酸としてパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸などが例示される。これら酸の中でも、硫酸、塩酸、及びパラトルエンスルホン酸が好適に用いられる。これら酸は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。酸の使用量として例えば、上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類1モルに対し0.01~10モル、好ましくは0.1~7モル、更に好ましくは0.4~5モルである。使用量を10モル以下とすることにより、得られるジニトロビスフェノール類の純度の向上や着色の低減が容易となる。また、使用量を0.01モルより多くすることにより、十分な反応速度を得ることができる。
キサンテン化反応を実施する際、必要に応じて不活性な有機溶媒を使用することができる。使用可能な有機溶媒として例えば、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類等が例示される。芳香族炭化水素類としては、トルエン、キシレン、メシチレン等が例示され、脂肪族炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が例示され、ハロゲン化芳香族炭化水素類としてはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が例示され、ハロゲン化脂肪族炭化水素類としてはジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等が例示される。これら有機溶媒の中でも、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類が好ましく、特にトルエン、キシレンが好ましい。有機溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
有機溶媒を使用する際の使用量は、上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類1重量部に対して通常1~15重量部、好ましくは1.5~10重量部、更に好ましくは1.5~4重量部である。有機溶媒の使用量を1重量部以上とすることにより、より容易にジニトロビスフェノール類を製造することが可能となり、使用量を15重量部以下とすることにより、より経済的かつ生産性良くジニトロビスフェノール類を製造することができる。
キサンテン化反応は通常、80℃以上、好ましくは80~140℃、更に好ましくは100~120℃で実施する。反応温度を80℃以上とすることにより、上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類と上記一般式(6)で表されるフェノール類との縮合反応後の環化反応が効率よく進行する結果、十分な反応速度を得ることができる。また、140℃以下とすることにより、2量体以上の多量体の生成を抑制できると共に、得られるジニトロビスフェノール類の着色等を低減することができる。
キサンテン化反応を実施する際、必要に応じてチオ化合物を併用してもよい。併用可能なチオ化合物として例えば、チオ酢酸、β-メルカプトプロピオン酸、α-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸などのメルカプトカルボン酸、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプルピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ベンジルメルカプタンなどのアラルキルメルカプタンやそれらのアルカリ金属塩が挙げられる。チオ化合物は1種、あるいは必要に応じ2種類以上併用してもよい。これらチオ化合物の中でもアルキルメルカプタンが好ましく、更には、臭気が少なく取り扱いが容易なことから、アルキル基の炭素数が6以上のアルキルメルカプタンが好ましく、特にドデシルメルカプタンが好ましい。チオ化合物の使用量は、例えば、上記一般式(5)で表されるジニトロフルオレノン類1モルに対して0.01~0.3モル、好ましくは0.01~0.1モルである。
キサンテン化反応後、得られた反応液をそのまま後述するエステル化反応に供してもよいが、慣用の精製方法(抽出、洗浄、吸着、水蒸気蒸留、晶析、カラム精製など)を利用して精製したものを該反応で用いてもよい。また、精製は一回のみ、もしくは複数回行ってもよい。
<上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類の製造方法>
上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類の製造方法として例えば、塩基存在下、上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類と、上記一般式(4)で表されるカルボン酸ハロゲン化物とを反応することにより得られる。(以下、エステル化反応と称することもある。)
上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類の製造方法として例えば、塩基存在下、上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類と、上記一般式(4)で表されるカルボン酸ハロゲン化物とを反応することにより得られる。(以下、エステル化反応と称することもある。)
上記一般式(4)で表されるカルボン酸ハロゲン化物において、置換基R5は上記一般式(1)で表されるジアミン類における置換基R1及びR2に対応する。従って、置換基R5の具体的態様及び好ましい態様等については置換基R1及びR2について詳述したものと同一である。また、X1で表されるハロゲン原子は例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が例示され、該カルボン酸ハロゲン化物の入手容易性の観点から塩素が好ましい。
エステル化反応を実施する際、上記一般式(4)で表されるカルボン酸ハロゲン化物は溶解性が高く反応後の洗浄による除去が容易であるため、反応当量より過剰に使用することができ、その使用量として例えば、上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類1モルに対して、通常2モル~10モル使用し、好ましくは2モル~5モル使用する。カルボン酸ハロゲン化物の使用量を2モル以上10モル以下とすることにより、反応が未完結なモノエステル体の生成を抑制しながら、過剰なカルボン酸ハロゲン化物を完全に除去することが可能となる。
エステル化反応で用いられる塩基として例えば、ピリジン等の塩基性を示す含窒素環状化合物類、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、プロピレンオキサイド等のエポキシ類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。製造コストおよび分離のしやすさの観点からピリジンが好適に用いられる。塩基の使用量としては、上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類1モルに対して、通常2モル~10モル、好ましくは2モル~5モル、さらに好ましくは、2モル~4モルである。塩基の使用量を2モル以上10モル以下とすることにより、反応が未完結なモノエステル体の生成を抑制しながら、過剰な塩基を完全に除去することが可能となる。
エステル化反応を実施する際、必要に応じ有機溶媒を使用することができる。使用可能な有機溶媒としては、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素類及びハロゲン化芳香族炭化水素類が例示され、ケトン類として具体的にはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が、エーテル類としてとして具体的には1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等が、芳香族炭化水素類として具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等が、ハロゲン化芳香族炭化水素類として具体的にはクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が例示される。これら有機溶媒の中でもエーテル類が好ましい。有機溶媒を使用する場合、通常、上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類1重量部に対し、2~50重量部、好ましくは5~20重量部使用する。
エステル化反応は通常、上記一般式(4)で表されるカルボン酸ハロゲン化物と有機溶媒とを混合させた溶液に、該溶液を撹拌しながら、上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類及び塩基を溶媒に混合した溶液を、通常-20℃~20℃、好ましくは-10~10℃で間欠あるいは連続的に添加し、添加後、-10℃~50℃、好ましくは0℃~40℃、さらに好ましくは10℃~30℃で更に反応を行うことにより実施される。前記の手順、温度範囲で反応を行うことにより、反応速度を向上させつつ副生成物の抑制が可能となる。
エステル化反応実施後、例えば得られた反応混合物を冷却することにより上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類の結晶を析出させ、該結晶を濾別することにより上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類を単離することができる。このようにして得られた上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類はこのまま後述する還元に供してもよいが、慣用の精製方法(抽出、洗浄、吸着、水蒸気蒸留、晶析、カラム精製など)を利用して再精製したものを還元に供してもよい。また、精製は一回のみ、もしくは複数回行ってもよい。
<上記一般式(1)で表されるジアミン類の製造方法>
上記一般式(1)で表されるジアミン類は、例えば、上記一般式(2)で表されジニトロジエステル類のニトロ基を還元することによって得られる。還元する方法としては例えば、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類をメタノール、エタノール等に溶解させた後、塩化錫等の還元剤を用いて還元する方法、あるいは上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類を不活性な有機溶媒に溶解させ、水素雰囲気化、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒を用い還元する方法(以下、接触還元法と称することもある)等が挙げられる。工業的な実施に際しては、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類を溶解するための溶媒の種類、反応温度の適用範囲の広さ、或いは後処理の容易さの点から、接触還元法が好適に用いられる。以下、接触還元法について詳述する。
上記一般式(1)で表されるジアミン類は、例えば、上記一般式(2)で表されジニトロジエステル類のニトロ基を還元することによって得られる。還元する方法としては例えば、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類をメタノール、エタノール等に溶解させた後、塩化錫等の還元剤を用いて還元する方法、あるいは上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類を不活性な有機溶媒に溶解させ、水素雰囲気化、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒を用い還元する方法(以下、接触還元法と称することもある)等が挙げられる。工業的な実施に際しては、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類を溶解するための溶媒の種類、反応温度の適用範囲の広さ、或いは後処理の容易さの点から、接触還元法が好適に用いられる。以下、接触還元法について詳述する。
接触還元法で用いられる触媒としては、パラジウムや白金等の遷移金属原子を活性炭に担持させた触媒が用いられ、この中でもパラジウムを活性炭に担持させた触媒(パラジウム/カーボン)又は白金を活性炭に担持させた触媒(白金/カーボン)が反応速度を向上させやすい点から好適に用いられる。これら触媒の使用量は、触媒中の遷移金属原子の重量として、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類1重量部に対し、通常0.001~0.1重量部、好ましくは0.01~0.05重量部である。
接触還元法で用いられる有機溶媒としては、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類、あるいは生成物である上記一般式(1)で表されるジアミン類と反応せず、接触還元時に反応を受けないものであればよい。このような有機溶媒として例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、フェノール類、アミド類、その他ピコリン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が例示される。アルコール類として例えばメタノール、エタノールが、エーテル類として例えばテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジグライム、トリグライム等が、エステル類として例えば酢酸エチル、γ-ブチロラクトン等が、ハロゲン化脂肪族炭化水素類として例えばクロロホルム、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等が、芳香族炭化水素類として例えばトルエン、キシレン等が、アミド類として例えばN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これら有機溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。これら有機溶媒の中でも、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド類が好適に用いられる。これら有機溶媒の使用量は、例えば、上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類1重量部に対し2~10重量部である。
接触還元法を実施する際の温度は通常20~160℃であり、反応速度の向上及び不純物生成抑制の観点から20~100℃とすることが好ましい。
接触還元法を実施する際、反応容器内の水素の圧力は通常、101.3kPa~1013kPaである。101.3kPa以上とすることにより十分な還元速度が得られ、1013kPa以下とすることにより反応速度のコントロールが可能となり、不必要な副反応やゲル化を抑制することが可能となる。
接触還元法の実施後、接触還元に使用した触媒を濾過により除去し、例えば有機溶媒の一部または全部を留去した後、必要に応じ貧溶媒を添加し、沈殿を析出させることにより、上記一般式(1)で表されるジアミン類を単離することができる。
こうして得られた上記一般式(1)で表されるジアミン類は、このまま後述するポリアミド酸またはポリイミドの製造に用いてもよいが、慣用の精製方法(抽出、洗浄、吸着、水蒸気蒸留、晶析、カラム精製など)を利用して精製したものを用いてもよい。また、精製は一回のみ、もしくは複数回行ってもよい。
<本発明のポリアミド酸の製造方法>
本発明のポリアミド酸の製造方法として例えば、上記一般式(1)で表されるジアミン類、及び前述した他のジアミン類を後述する重合溶媒に溶解後、通常10~30℃で前述したテトラカルボン酸二無水物粉末を添加し、10~100℃、好ましくは10~30℃で撹拌することで、本発明のポリアミド酸が重合溶媒に均一に溶解した溶液(以下、ポリアミド酸溶液と称することもある)を得ることができる。
本発明のポリアミド酸の製造方法として例えば、上記一般式(1)で表されるジアミン類、及び前述した他のジアミン類を後述する重合溶媒に溶解後、通常10~30℃で前述したテトラカルボン酸二無水物粉末を添加し、10~100℃、好ましくは10~30℃で撹拌することで、本発明のポリアミド酸が重合溶媒に均一に溶解した溶液(以下、ポリアミド酸溶液と称することもある)を得ることができる。
本発明のポリアミド酸を製造する際に用いられる重合溶媒として例えば、アミド類、鎖状エステル類、環状エステル類、カーボネート類、グリコール類、フェノール類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、スルホン類が例示される。アミド類として例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-ピロリドン等が例示され、鎖状エステル類として例えば酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等が例示され、環状エステル類としてはγ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン等が例示され、カーボネート類としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が例示され、グリコール類としてはトリエチレングリコール、エチルセロソルプ、ブチルセロソルプ、プロピレングリコールメチルアセテート、2-メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルプアセテート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコール等が例示され、フェノール類としてはフェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール等が例示され、エーテル類としてはテトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル等が例示され、ケトン類としてはメチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトフェノン等が例示され、芳香族炭化水素類としてはキシレン、トルエン、クロロベンゼン等が例示され、スルホン類としてはジメチルスルホキシド、スルホラン等が例示される。これら重合溶媒の中でも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-ピロリドン等のアミド類が好適に用いられる。これら溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
重合溶媒の使用量は、反応系中のモノマー成分(テトラカルボン酸二無水物+ジアミン類)の合計濃度が通常5~40重量%、好ましくは10~30重量%となる量とする。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリアミド酸溶液を得ることができる。なお、上記モノマー濃度範囲よりも低濃度で重合を行うと、ポリアミド酸の重合度が十分高くならず、最終的に得られるポリイミド膜が脆弱になる場合があり、上記モノマー濃度範囲よりも高濃度で重合を行うとモノマーが十分溶解しない場合や反応溶液が不均一になる(ゲル化する)場合がある。上記の方法で得られた本発明のポリアミド酸溶液は通常、このままあるいは重合溶媒と同一の溶媒で適度に希釈して後述するイミド化反応で使用される。
<本発明のポリイミドの製造方法>
本発明のポリイミドは、上記ポリアミド酸溶液を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化反応は、従来公知の手法、例えば、熱イミド化法や化学イミド化法を用いて行うことができる。以下、熱イミド化法および化学イミド化法の一例を示す。
本発明のポリイミドは、上記ポリアミド酸溶液を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化反応は、従来公知の手法、例えば、熱イミド化法や化学イミド化法を用いて行うことができる。以下、熱イミド化法および化学イミド化法の一例を示す。
熱イミド化法では、まず、ポリアミド酸の重合溶液をガラス板等の支持体上に流延し、真空中、あるいは窒素等の不活性ガス中、又は空気中で加熱を行うことにより、ポリアミド酸フィルムを得る。例えば、オーブン中、通常50~190℃、好ましくは100~180℃で乾燥することにより、ポリアミド酸のフィルムを得ることができる。
続いて、得られたポリアミド酸フィルムを支持体上で通常200~400℃、好ましくは230~350℃で加熱し、イミド化反応(熱イミド化)を行う。加熱温度を250℃以上とすることにより、熱イミド化反応を充分に進行させることができ、また、400℃以下とすることにより、熱分解を抑制しながらポリイミドが得られる。熱イミド化反応は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化反応温度が300℃以下であれば空気中で行っても差し支えない。
一方、化学イミド化法では、上記の方法で得られた本発明のポリアミド酸溶液に重合時と同一の溶媒を加えて撹拌し易い適度な溶液粘度とした後、撹拌しながら、有機酸の無水物と塩基性触媒として3級アミンからなる脱水閉環剤(化学イミド化剤)を滴下し、更に0~100℃、好ましくは10~50℃で撹拌することで化学的にイミド化を完結させることができる。
化学イミド化の際、使用可能な有機酸無水物としては無水酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。これら有機酸無水物の中でも、取り扱いや分離のし易さから無水酢酸が好ましい。また、化学イミド化において使用可能な塩基性触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、キノリン等が挙げられる。これら塩基性触媒の中でも、取り扱いや分離のし易さからピリジンが好ましい。化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、ポリアミド酸の理論脱水量1モルに対し1~10モルであり、より好ましくは2~5モルである。また塩基性触媒の量は、有機酸無水物量1モルに対して0.1~3モルであり、より好ましくは0.2~2モルである。
化学イミド化の反応溶液中には、未反応の化学イミド化剤、有機酸、副生成物等(以下、不純物という)が混入しているため、これらを除去してポリイミドを単離・精製してもよい。精製は公知の方法が利用できる。例えば、化学イミド化した反応溶液を撹拌しながら大量の貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させた後、ポリイミド粉末を回収して不純物が除去されるまで繰返し洗浄し、減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得る方法が挙げられる。
上記方法に使用可能な貧溶媒としては、ポリイミドを析出させ、不純物を効率よく除去でき、乾燥し易い溶媒であればよく、例えば、水、及びメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好適であり、これらを併用してもよい。
貧溶媒中に滴下してポリイミドを析出させる際のポリイミド溶液の濃度は、高すぎると析出するポリイミドが粒塊となり、その粗大な粒子中に不純物が残留する場合や、得られたポリイミド粉末を溶媒に再溶解する際に長時間を要する場合がある。したがって、貧溶媒中に滴下する際のポリイミド溶液の固形分濃度は、通常20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。貧溶媒の使用量はポリイミド溶液1重量部に対し1重量部以上が好ましく、1.5~10重量部がより好ましい。
得られたポリイミド粉末を回収し、残留溶媒を真空乾燥や熱風乾燥などで除去する際の温度は、ポリイミドが変質しない温度であれば特に制限はなく、30~150℃が好ましい。
化学イミド化反応は、例えば、ガラス板等の支持体上にポリアミド酸を塗布してフィルムを形成させ、該フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の有機酸無水物を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。前記操作により、部分的またはほぼ完全にイミド化したポリイミドフィルムを作製することもでき、更に該フィルムを、例えば、オーブン中、通常200~400℃、好ましくは250~350℃で熱処理することにより、完全にイミド化したポリイミドフィルムとすることもできる。
<本発明のポリイミド溶液>
上記の方法により得られた本発明のポリイミドは、任意の有機溶媒に溶解させてポリイミド溶液とすることができる。
上記の方法により得られた本発明のポリイミドは、任意の有機溶媒に溶解させてポリイミド溶液とすることができる。
本発明のポリイミド溶液の調製に用いられる有機溶媒として例えば、アミド類、エステル類、カーボネート類、グリコール類、フェノール類、ケトン類、エーテル類が例示され、アミド類として例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等が、エステル類としてはγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等が、カーボネート類としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が、グリコール類としてはジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が、フェノール類としてはフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール等が、ケトン類としてはシクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等が、エーテル類としてはテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、メチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエチル)エーテル)およびメチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)等が、その他汎用溶媒として、アセトフェノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールメチルアセテート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2-メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ等が挙げられる。これら有機溶媒は1種、あるいは必要に応じ2種以上併用してもよい。
これら有機溶媒の中でも、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN-メチル-2-ピロリドン(NMP))、ケトン類(メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン)、エーテル類(メチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエチル)エーテル)およびメチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン))等が好ましい。また、本発明のポリイミド溶液の濃度は、5~40重量%が好ましく、後述する方法によりポリイミドフィルムとする際、フィルムの平滑性を確保する観点から5~20重量%であることがより好ましい。
<ポリイミドフィルムの製造方法>
上記した方法により得られる本発明のポリイミドは、任意の方法を用いてフィルム化することができる。フィルム化する方法として例えば、上述した方法により、ポリアミド酸のフィルムを作製後、熱イミド化あるいは化学イミド化によりポリイミドフィルムとする方法の他、上述した本発明のポリイミド溶液を支持体上に塗布(塗工ともいう)し、乾燥した後、支持体から剥離する方法を選択することもできる。
上記した方法により得られる本発明のポリイミドは、任意の方法を用いてフィルム化することができる。フィルム化する方法として例えば、上述した方法により、ポリアミド酸のフィルムを作製後、熱イミド化あるいは化学イミド化によりポリイミドフィルムとする方法の他、上述した本発明のポリイミド溶液を支持体上に塗布(塗工ともいう)し、乾燥した後、支持体から剥離する方法を選択することもできる。
上記ポリイミド溶液を塗工する支持体としては、ガラス基板もしくはステンレス等の金属基板、または金属ベルト、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレートもしくはトリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム等が使用されるが、これらに限定されるものではない。現行のバッチタイプのデバイス製造プロセスに適応させるためには、ガラス基板を用いることが好ましい。
ポリイミド溶液を支持体上に塗布した後、ポリイミドフィルムを乾燥させる条件は、プロセスに合わせた条件を適宜選択することが可能である。具体的に例えば、ポリイミド溶液を支持体上に塗布した後、150℃で1時間熱処理を行い、その後更に250℃で1時間熱処理するといった方法が挙げられる。
<本発明のポリイミドの利用>
本発明のポリイミドは例えば、回路基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイスまたは画像表示装置等に使用することができる。さらには、現在ガラスまたは透明材料が使用されている部分の代替材料とすることができる。
本発明のポリイミドは例えば、回路基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイスまたは画像表示装置等に使用することができる。さらには、現在ガラスまたは透明材料が使用されている部分の代替材料とすることができる。
上記基板として例えば、TFT基板、フレキシブルディスプレイ基板および透明導電膜基板等が挙げられる。電子デバイスとして例えば、タッチパネルおよび太陽電池等が挙げられる。また、画像表示装置として例えば、フレキシブルディスプレイ、液晶表示装置、有機EL、電子ペーパーおよび3Dディスプレイ等が挙げられる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、各実施例、合成例及び比較例で示した値は下記分析方法による値である。
[1]1H-NMR測定
本発明の化合物の1H-NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒として重ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を用いて、JNM-ECP400(JEOL製)によって測定した。
本発明の化合物の1H-NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒として重ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を用いて、JNM-ECP400(JEOL製)によって測定した。
[2]赤外線吸収スペクトル
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT-IR4100)を用い、KBrプレート法にて本発明のジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT-IR4100)を用い、KBrプレート法にて本発明のジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。
[3]元素分析
ジェイ・サイエンス・ラボ(株)社製 有機微量元素分析装置(JM10)を用いて、元素分析を行った。
ジェイ・サイエンス・ラボ(株)社製 有機微量元素分析装置(JM10)を用いて、元素分析を行った。
[4]示差走査熱量分析(融点測定)
本発明の化合物の融点は、示差走査熱量分析装置DSC3100(NETZSCH製)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定し、融解の吸熱ピーク温度から決定した。
本発明の化合物の融点は、示差走査熱量分析装置DSC3100(NETZSCH製)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定し、融解の吸熱ピーク温度から決定した。
[5]固有粘度
溶質濃度0.5重量%のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液として調製したポリアミド酸またはポリイミドを、オストワルド粘度計(柴田科学製 粘度計番号1)を用いて30℃における還元粘度を測定した。この値をもって固有粘度とみなした。
溶質濃度0.5重量%のN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液として調製したポリアミド酸またはポリイミドを、オストワルド粘度計(柴田科学製 粘度計番号1)を用いて30℃における還元粘度を測定した。この値をもって固有粘度とみなした。
[6]線熱膨張係数:CTE
ポリイミドフィルムサイズを幅5mmおよび長さ20mmとし、荷重(静荷重)を膜厚(μm)×0.5g重として、NETZSCH製TMA4000を用いて測定した。上記ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ポリイミドフィルムの温度を5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線より計算した。線熱膨張係数は100~200℃の間の平均値として求めた。
ポリイミドフィルムサイズを幅5mmおよび長さ20mmとし、荷重(静荷重)を膜厚(μm)×0.5g重として、NETZSCH製TMA4000を用いて測定した。上記ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ポリイミドフィルムの温度を5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線より計算した。線熱膨張係数は100~200℃の間の平均値として求めた。
[7]全光線透過率:T.T.
Haze Meter NDH4000(日本電色工業製)を用い、ポリイミドフィルムのJISK7361に準拠した全光線透過率(T.T.)を求めた。
Haze Meter NDH4000(日本電色工業製)を用い、ポリイミドフィルムのJISK7361に準拠した全光線透過率(T.T.)を求めた。
[8]ガラス転移温度:Tg
幅5mm、長さ20mm、膜厚約20μmのポリイミドフィルムを試験片として、TAインスツルメンツ製DMA-Q800を用いて窒素雰囲気中、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分にて動的粘弾性測定を行い、損失弾性率が最大となる温度をガラス転移温度(Tg)とした。
幅5mm、長さ20mm、膜厚約20μmのポリイミドフィルムを試験片として、TAインスツルメンツ製DMA-Q800を用いて窒素雰囲気中、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分にて動的粘弾性測定を行い、損失弾性率が最大となる温度をガラス転移温度(Tg)とした。
[9]厚み方向複屈折:Δn
偏光板付Abbe屈折計4T(ATAGO社製)を用い、光源としてNaD線(589.3nm)を、中間液としてヨウ化メチレン溶液に硫黄を飽和させた溶液(nD=1.72~1.80)およびテストピース(nD=1.72)を用いて、ポリイミドフィルムの面内屈折率ninと面外屈折率noutとを測定し、厚み方向複屈折Δn(=nin-nout)を求めた。
偏光板付Abbe屈折計4T(ATAGO社製)を用い、光源としてNaD線(589.3nm)を、中間液としてヨウ化メチレン溶液に硫黄を飽和させた溶液(nD=1.72~1.80)およびテストピース(nD=1.72)を用いて、ポリイミドフィルムの面内屈折率ninと面外屈折率noutとを測定し、厚み方向複屈折Δn(=nin-nout)を求めた。
1.上記一般式(1)で表されるジアミン類の製造例
<実施例1>
上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類の内、下記式(3-1)で表されるジニトロビスフェノールの製造例
上記一般式(3)で表されるジニトロビスフェノール類の内、下記式(3-1)で表されるジニトロビスフェノールの製造例
次にこの粗生成物を次のようにしてカラム精製を行った。粗生成物5.02gをアセトン63mLに溶かし、この溶液にシリカゲル(ワコーゲル、C-300)15gを入れてよく撹拌したのち、エバポレーターで溶媒を完全に留去してシリカゲルに粗生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムの上部にチャージし、酢酸エチル/ヘキサン(体積比1/1)を展開溶媒として分離操作を行った。溶出液の溶媒をエバポレーターで留去し、100℃で12時間真空乾燥して黄色粉末を得た(カラム精製収率45%、トータル収率34%)。更に生成物をメタノールと酢酸エチルで洗浄して乾燥させた。得られた生成物の分析結果を以下に示す。
融点:157℃(DSC)、
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3483(O-H伸縮振動)、3067(Carom-H)、1518/1340(NO2)、1211(キサンテン基、C-O-C)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):9.82(s、2H(相対積分強度2.00H)、OH)、8.45(d、2H(2.08H)、J=8.4Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.37(dd、2H(2.05H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.81(sd、2H(2.09H)、J=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.67(sd、2H(2.08H)、J=2.4Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.31(dd、2H(2.03H)、J=8.6、2.5Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.12(d、2H(2.06H)、J=8.6Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、
元素分析(C25H14O7N2,分子量454.40):推定値(%)C;66.08、H;3.11、N;6.17、分析値C;65.89、H;3.29、N;6.20。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3483(O-H伸縮振動)、3067(Carom-H)、1518/1340(NO2)、1211(キサンテン基、C-O-C)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):9.82(s、2H(相対積分強度2.00H)、OH)、8.45(d、2H(2.08H)、J=8.4Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.37(dd、2H(2.05H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.81(sd、2H(2.09H)、J=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.67(sd、2H(2.08H)、J=2.4Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.31(dd、2H(2.03H)、J=8.6、2.5Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.12(d、2H(2.06H)、J=8.6Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、
元素分析(C25H14O7N2,分子量454.40):推定値(%)C;66.08、H;3.11、N;6.17、分析値C;65.89、H;3.29、N;6.20。
<実施例2>
上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類の内、下記式(2-1)で表されるジニトロジエステルの製造例
上記一般式(2)で表されるジニトロジエステル類の内、下記式(2-1)で表されるジニトロジエステルの製造例
100mL三口フラスコ中、式(3-1)で表されるジニトロビスフェノール2.74g(6.02mmol)、脱水済みテトラヒドロフラン(THF、20mL)、および脱酸剤としてピリジン(1.12mL)を入れ、セプタムキャップしてA液とした。A液を氷浴に浸して0℃とし、これに4-(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(4-TFBC)2.7mL(18.25mmol)をシリンジでゆっくり滴下し、数時間撹拌後、室温で12時間撹拌した。生成した白色のピリジン塩酸塩を濾過により分離し、濾液を1Lのヘキサン中にゆっくり滴下して沈殿を析出させた。沈殿を濾過し、ヘキサンおよび水でよく洗浄後、100℃で12時間真空乾燥した(収率89%)。得られた生成物の分析結果を以下に示す。
融点:283℃(DSC)、
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3091(Carom-H)、1749(エステル基、C=O)、1528/1325(NO2)、1490(1,4-フェニレン)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.55(d、2H(2.07H)、J=8.5Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.46(dd、2H(2.02H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、8.31(d、4H(4.21H)、J=8.2Hz、末端ベンゾエート基の2,2’、6,6’-プロトン)、8.07(sd、2H(2.02H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、7.99(d、4H(4.25H)、J=8.5Hz、末端ベンゾエート基の3,3’、5,5’-プロトン)、7.50(sd、2H(2.00H)、J=2.4Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.93(dd、2H(2.00H)、J=8.6、2.4Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.50(d、2H(1.96H)、J=8.6Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、
元素分析(C41H20O9N2F6,分子量798.61):推定値(%)C;61.66、H;2.52、N;3.51、分析値C;61.53、H;2.68、N;3.63。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3091(Carom-H)、1749(エステル基、C=O)、1528/1325(NO2)、1490(1,4-フェニレン)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.55(d、2H(2.07H)、J=8.5Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.46(dd、2H(2.02H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、8.31(d、4H(4.21H)、J=8.2Hz、末端ベンゾエート基の2,2’、6,6’-プロトン)、8.07(sd、2H(2.02H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、7.99(d、4H(4.25H)、J=8.5Hz、末端ベンゾエート基の3,3’、5,5’-プロトン)、7.50(sd、2H(2.00H)、J=2.4Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.93(dd、2H(2.00H)、J=8.6、2.4Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.50(d、2H(1.96H)、J=8.6Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、
元素分析(C41H20O9N2F6,分子量798.61):推定値(%)C;61.66、H;2.52、N;3.51、分析値C;61.53、H;2.68、N;3.63。
<実施例3>
上記一般式(1)で表されるジアミン類の内、下記式(1-1)で表されるジアミンの製造例
上記一般式(1)で表されるジアミン類の内、下記式(1-1)で表されるジアミンの製造例
得られた粗生成物を実施例1記載の方法と同様な方法でカラム精製(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=体積比1/2)を行い、溶出液をエバポレーターで濃縮してオイル状の生成物を得た。これを少量のエタノールで希釈後、大量の水に滴下して沈殿を析出させた。沈殿を濾過し、水でよく洗浄後、40℃で12時間真空乾燥して精製物を得た(カラム精製収率80%)。得られた生成物の分析結果を以下に示すと共に、図1に得られたジアミンの1H-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)、図2に得られたジアミンの1H-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6)の内、6.2~8.4ppm付近を拡大したもの、及び図3にFT-IRスペクトルを示す。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3467/3378/3219(アミノ基、N-H)、3071/3035/3008(Carom-H)、1743(エステル基、C=O)、1489(1,4-フェニレン)、1326(トリフルオロメチル基、C-F)、1262(キサンテン基、C-O-C)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.32(d、4H(4.36H)、J=8.2Hz、末端ベンゾエート基の2,2’、6,6’-プロトン)、8.00(d、4H(4.21H)、J=8.4Hz、末端ベンゾエート基の3,3’、5,5’-プロトン)、7.39(d、2H(2.01H)、J=8.1Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、7.34(sd、2H(2.00H)、J=2.4Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.91(dd、2H(2.19H)、J=8.6、2.3Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.55(dd、2H(2.12H)、J=8.1、2.0Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.49(d、2H(2.11H)、J=8.6Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、6.30(sd、2H(2.19H)、J=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、5.06(s、4H(3.95H)、NH2)、
元素分析(C41H24O5N2F6,分子量738.64):推定値(%)C;66.67、H;3.28、N;3.79、分析値C;66.22、H;3.35、N;3.75。
<合成例1>
下記式(2-2)で表されるジニトロ化合物の製造例
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.32(d、4H(4.36H)、J=8.2Hz、末端ベンゾエート基の2,2’、6,6’-プロトン)、8.00(d、4H(4.21H)、J=8.4Hz、末端ベンゾエート基の3,3’、5,5’-プロトン)、7.39(d、2H(2.01H)、J=8.1Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、7.34(sd、2H(2.00H)、J=2.4Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.91(dd、2H(2.19H)、J=8.6、2.3Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.55(dd、2H(2.12H)、J=8.1、2.0Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.49(d、2H(2.11H)、J=8.6Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、6.30(sd、2H(2.19H)、J=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、5.06(s、4H(3.95H)、NH2)、
元素分析(C41H24O5N2F6,分子量738.64):推定値(%)C;66.67、H;3.28、N;3.79、分析値C;66.22、H;3.35、N;3.75。
<合成例1>
下記式(2-2)で表されるジニトロ化合物の製造例
次にこれをカラム精製するために、この生成物3.77g(7.00mmol)にアセトン80mLを加えて溶かし、これにシリカゲル(ワコーゲル、C-300)12gを加え、よく撹拌後、エバポレーターで溶媒を完全に留去してシリカゲルにこの生成物を吸着させた。これをシリカゲルカラムの上部にチャージし、酢酸エチル/ヘキサン(体積比1/3)を展開溶媒として分離操作を行った。溶出液の溶媒をエバポレーターで留去し、80℃で12時間真空乾燥して黄色粉末を得た(カラム精製収率63%)。得られた生成物の分析結果を以下に示す。
融点:232℃(DSC)、
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3086(Carom-H)、2966/2878(Caliph-H)、1523/1340(NO2)、1261(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.48(d、2H(2.06H)、J=8.5Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.39(dd、2H(2.11H)、J=8.4、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.83(sd、2H(2.00H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.87(sd、2H(2.02H)、J=2.1Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.46(dd、2H(1.99H)、J=8.7、2.5Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.22(d、2H(2.02H)、J=8.7Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、3.93(t、4H(4.06H)、J=6.5Hz、O-CH2)、1.70(sextet、4H(4.26H)、J=6.9Hz、O-C-CH2)、0.95(t、6H(6.39H)、J=7.4Hz、O-C-C-CH3)。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3086(Carom-H)、2966/2878(Caliph-H)、1523/1340(NO2)、1261(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.48(d、2H(2.06H)、J=8.5Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.39(dd、2H(2.11H)、J=8.4、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.83(sd、2H(2.00H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.87(sd、2H(2.02H)、J=2.1Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.46(dd、2H(1.99H)、J=8.7、2.5Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.22(d、2H(2.02H)、J=8.7Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、3.93(t、4H(4.06H)、J=6.5Hz、O-CH2)、1.70(sextet、4H(4.26H)、J=6.9Hz、O-C-CH2)、0.95(t、6H(6.39H)、J=7.4Hz、O-C-C-CH3)。
<合成例2>
下記式(1-2)で表されるジアミンの製造例
下記式(1-2)で表されるジアミンの製造例
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3451/3371(アミノ基、N-H)、3032(Carom-H)、2964/2934/2875(Caliph-H)、1254(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):7.31(d、2H(1.97H)、J=8.0Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、6.71(sd、2H(2.00H)、J=2.2Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.48-6.46(m、4H(4.12H)、キサンテン基の1,8-+2,7-プロトン)、6.23(d、2H(2.06H)、J=8.7Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.16(sd(分解が不十分)、2H(1.98H)、フルオレン基1,8-プロトン)、4.93(s、4H(3.83H)、NH2)、3.91(t、4H(4.34H)、J=6.5Hz、O-CH2)、1.70(sextet、4H(4.32H)、J=7.0Hz、O-C-CH2)、0.96(t、6H(6.43H)、J=7.4Hz、O-C-C-CH3)。
<合成例3>
下記式(2-3)で表されるジニトロ化合物の製造例
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):7.31(d、2H(1.97H)、J=8.0Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、6.71(sd、2H(2.00H)、J=2.2Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.48-6.46(m、4H(4.12H)、キサンテン基の1,8-+2,7-プロトン)、6.23(d、2H(2.06H)、J=8.7Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.16(sd(分解が不十分)、2H(1.98H)、フルオレン基1,8-プロトン)、4.93(s、4H(3.83H)、NH2)、3.91(t、4H(4.34H)、J=6.5Hz、O-CH2)、1.70(sextet、4H(4.32H)、J=7.0Hz、O-C-CH2)、0.96(t、6H(6.43H)、J=7.4Hz、O-C-C-CH3)。
<合成例3>
下記式(2-3)で表されるジニトロ化合物の製造例
融点:135℃(DSC)、
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3082(Carom-H)、2953/2928/2870(Caliph-H)、1522/1340(NO2)、1259(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.47(d、2H(2.00H)、J=8.4Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.39(dd、2H(2.00H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.83(sd、2H(2.07H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.87(sd、2H(2.08H)、J=2.5Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.47(dd、2H(2.06H)、J=8.8、2.5Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.21(d、2H(2.02H)、J=8.7Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、3.96(t、4H(4.02H)、J=6.4Hz、O-CH2)、1.68(quin、4H(4.06H)、J=7.3Hz、O-C-CH2)、1.42-1.26(m、12H(12.12H)、O-C-C-(CH2)3)、0.86(t、6H(6.01H)、J=7.0Hz、O-C-C-C-C-C-CH3)、
元素分析(C37H38O7N2,分子量622.72):推定値(%)C;71.37、H;6.15、N;4.50、分析値C;71.18、H;6.21、N;4.45。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3082(Carom-H)、2953/2928/2870(Caliph-H)、1522/1340(NO2)、1259(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.47(d、2H(2.00H)、J=8.4Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.39(dd、2H(2.00H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.83(sd、2H(2.07H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.87(sd、2H(2.08H)、J=2.5Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.47(dd、2H(2.06H)、J=8.8、2.5Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.21(d、2H(2.02H)、J=8.7Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、3.96(t、4H(4.02H)、J=6.4Hz、O-CH2)、1.68(quin、4H(4.06H)、J=7.3Hz、O-C-CH2)、1.42-1.26(m、12H(12.12H)、O-C-C-(CH2)3)、0.86(t、6H(6.01H)、J=7.0Hz、O-C-C-C-C-C-CH3)、
元素分析(C37H38O7N2,分子量622.72):推定値(%)C;71.37、H;6.15、N;4.50、分析値C;71.18、H;6.21、N;4.45。
<合成例4>
下記式(1-3)で表されるジアミンの製造例
下記式(1-3)で表されるジアミンの製造例
融点:50℃(DSC)、
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3462/3374/3213(アミノ基、N-H)、3032(Carom-H)、2953/2930/2859(Caliph-H)、1254(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):7.31(d、2H(2.00H)、J=8.1Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、6.71(sd、2H(2.06H)、J=2.6Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.48-6.44(m、4H(4.29H)、キサンテン基の1,8-+2,7-プロトン)、6.22(d、2H(2.06H)、J=8.7Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.15(sd、2H(2.09H)、=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、4.93(s、4H(4.02H)、NH2)、3.93(t、4H(4.57H)、J=6.5Hz、O-CH2)、1.68(quin、4H(4.62H)、J=7.3Hz、O-C-CH2)、1.39-1.29(m、12H(13.69H)、O-C-C-(CH2)3)、0.87(t、6H(6.70H)、J=7.1Hz、O-C-C-C-C-C-CH3)、
元素分析(C37H42O3N2,分子量562.75):推定値(%)C;78.97、H;7.52、N;4.98、分析値C;78.74、H;7.61、N;4.95。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3462/3374/3213(アミノ基、N-H)、3032(Carom-H)、2953/2930/2859(Caliph-H)、1254(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):7.31(d、2H(2.00H)、J=8.1Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、6.71(sd、2H(2.06H)、J=2.6Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.48-6.44(m、4H(4.29H)、キサンテン基の1,8-+2,7-プロトン)、6.22(d、2H(2.06H)、J=8.7Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.15(sd、2H(2.09H)、=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、4.93(s、4H(4.02H)、NH2)、3.93(t、4H(4.57H)、J=6.5Hz、O-CH2)、1.68(quin、4H(4.62H)、J=7.3Hz、O-C-CH2)、1.39-1.29(m、12H(13.69H)、O-C-C-(CH2)3)、0.87(t、6H(6.70H)、J=7.1Hz、O-C-C-C-C-C-CH3)、
元素分析(C37H42O3N2,分子量562.75):推定値(%)C;78.97、H;7.52、N;4.98、分析値C;78.74、H;7.61、N;4.95。
<合成例5>
下記式(2-4)で表されるジニトロ化合物の製造例
下記式(2-4)で表されるジニトロ化合物の製造例
融点:114℃(DSC)、
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3088(Carom-H)、2958/2929/2872(Caliph-H)、1523/1341(NO2)、1254(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.48(d、2H(2.10H)、J=8.5Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.39(dd、2H(2.02H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.83(sd、2H(2.00H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.86(sd、2H(2.15H)、J=2.5Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.46(dd、2H(2.06H)、J=8.8、2.6Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.20(d、2H(2.10H)、J=8.8Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、3.84(d、4H(4.35H)、J=5.6Hz、O-CH2)、1.65-1.60(m、2H(2.04H)、O-C-CH)、1.43-1.25(m、16H(20.24H)、O-C-C-(CH2)4)、0.88-0.82(m、12H(14.85H)、末端CH3)。
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3088(Carom-H)、2958/2929/2872(Caliph-H)、1523/1341(NO2)、1254(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):8.48(d、2H(2.10H)、J=8.5Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、8.39(dd、2H(2.02H)、J=8.5、2.1Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、7.83(sd、2H(2.00H)、J=2.1Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、6.86(sd、2H(2.15H)、J=2.5Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.46(dd、2H(2.06H)、J=8.8、2.6Hz、キサンテン基の2,7-プロトン)、6.20(d、2H(2.10H)、J=8.8Hz、キサンテン基の1,8-プロトン)、3.84(d、4H(4.35H)、J=5.6Hz、O-CH2)、1.65-1.60(m、2H(2.04H)、O-C-CH)、1.43-1.25(m、16H(20.24H)、O-C-C-(CH2)4)、0.88-0.82(m、12H(14.85H)、末端CH3)。
<合成例6>
下記式(1-4)で表されるジアミンの製造例
下記式(1-4)で表されるジアミンの製造例
FT-IRスペクトル(KBrプレート法、cm-1):3464/3375/3213(アミノ基、N-H)、3029(Carom-H)、2958/2927/2872(Caliph-H)、1255(Caliph-O)、
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):7.31(d、2H(2.06H)、J=8.0Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、6.72(sd、2H(2.00H)、J=2.5Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.49-6.46(m、4H(4.24H)、キサンテン基の1,8-+2,7-プロトン)、6.23(d、2H(2.09H)、J=8.7Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.16(sd、2H(2.14H)、=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、4.93(s、4H(4.27H)、NH2)、3.84(d、4H(4.06H)、J=5.7Hz、O-CH2)、1.67-1.63(m、2H(2.12H)、O-C-CH)、1.45-1.28(m、16H(18.18H)、O-C-C-(CH2)4)、0.90-0.86(m、12H(14.02H)、末端CH3)、
元素分析(C41H50O3N2,分子量618.86):推定値(%)C;79.57、H;8.14、N;4.53、分析値C;79.15、H;8.06、N;4.55。
1H-NMRスペクトル(400MHz,DMSO-d6,δ,ppm):7.31(d、2H(2.06H)、J=8.0Hz、フルオレン基の4,5-プロトン)、6.72(sd、2H(2.00H)、J=2.5Hz、キサンテン基の4,5-プロトン)、6.49-6.46(m、4H(4.24H)、キサンテン基の1,8-+2,7-プロトン)、6.23(d、2H(2.09H)、J=8.7Hz、フルオレン基の3,6-プロトン)、6.16(sd、2H(2.14H)、=2.0Hz、フルオレン基1,8-プロトン)、4.93(s、4H(4.27H)、NH2)、3.84(d、4H(4.06H)、J=5.7Hz、O-CH2)、1.67-1.63(m、2H(2.12H)、O-C-CH)、1.45-1.28(m、16H(18.18H)、O-C-C-(CH2)4)、0.90-0.86(m、12H(14.02H)、末端CH3)、
元素分析(C41H50O3N2,分子量618.86):推定値(%)C;79.57、H;8.14、N;4.53、分析値C;79.15、H;8.06、N;4.55。
2.本発明のポリイミドの製造例
<実施例4>
よく乾燥した密閉反応容器に、上記式(1-1)で表されるジアミン0.7mmol、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、「TFMB」と称することもある)0.3mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N-ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と称することもある)を入れて溶解した。この溶液に、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、「CBDA」と称することもある)粉末1mmolを加え、初期の全溶質濃度40重量%より重合反応を開始した。反応開始後、室温で72時間撹拌することで均一で粘稠なポリアミド酸溶液が得られた。なお、反応中、溶液粘度が高くなりすぎたため、DMAcを適宜追加し、最終溶質濃度は36重量%であった。
よく乾燥した密閉反応容器に、上記式(1-1)で表されるジアミン0.7mmol、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、「TFMB」と称することもある)0.3mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N-ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と称することもある)を入れて溶解した。この溶液に、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、「CBDA」と称することもある)粉末1mmolを加え、初期の全溶質濃度40重量%より重合反応を開始した。反応開始後、室温で72時間撹拌することで均一で粘稠なポリアミド酸溶液が得られた。なお、反応中、溶液粘度が高くなりすぎたため、DMAcを適宜追加し、最終溶質濃度は36重量%であった。
反応終了後、ポリアミド酸の固有粘度を、DMAc中、30℃、0.5重量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定した結果、固有粘度は0.75dL/gであった。
続いて、上記のように得られたポリアミド酸溶液をDMAcで希釈して10重量%の溶液とし、理論脱水量の5倍の無水酢酸を含む化学イミド化剤(無水酢酸/ピリジン、体積比:7/3)を滴下して、室温で24時間撹拌することで化学イミド化反応を行った。反応溶液は化学イミド化の間常に均一状態を保持していた。化学イミド化終了後、反応溶液をDMAcで適度に希釈し、大量のメタノール中にゆっくりと滴下することでポリイミドの繊維状粉末を析出させ、これを濾過・洗浄し、120℃で12時間真空乾燥することにより白色繊維状ポリイミド粉末を単離した。このポリイミド粉末をDMSO-d6に溶解し1H-NMRスペクトルを測定したところ、ポリアミド酸由来のδ10ppm付近のアミドプロトンおよびδ13ppm付近のCOOHプロトンシグナルが完全に消失しており、化学イミド化反応が完結していることが確認された。また得られたポリイミド粉末の固有粘度は、2.27dL/gであった。得られたポリイミド粉末の溶解性試験(ポリイミド約10mgに対し、各溶媒1mLで溶解するか否か)の結果を表1に示す。
続いて、得られたポリイミド粉末をDMAcに再溶解して、固形分濃度15重量%の均一なポリイミド溶液を得た。これをガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中、60℃で2時間予備乾燥後、基板ごと真空中250℃で1時間乾燥し、次いで残留歪を除くため、該フィルムを基板から剥がして275℃で1時間熱処理を行い、膜厚約20μmの濁りのない自立フィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの物性値を表2及び表3に示す。
<実施例5>
上記式(1-1)で表されるジアミン及びTFMBの使用量をそれぞれ0.5mmolとする以外は、実施例4に記載した方法と同様にして重合、化学イミド化を行い、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミド粉末の溶解性試験の結果を表1に示す。また、得られたポリイミド粉末から、実施例4に記載した方法と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの物性値を表2及び表3に示す。
上記式(1-1)で表されるジアミン及びTFMBの使用量をそれぞれ0.5mmolとする以外は、実施例4に記載した方法と同様にして重合、化学イミド化を行い、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミド粉末の溶解性試験の結果を表1に示す。また、得られたポリイミド粉末から、実施例4に記載した方法と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの物性値を表2及び表3に示す。
<比較例1>
ジアミンとしてTFMBを単独(0.1mmol)で使用する以外は実施例4に記載の方法と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸を、実施例4に記載の方法と同様にして化学イミド化を試みたが、反応溶液がゲル化、一部沈殿物が析出したため、化学イミド化は不可であった。そこで、ポリアミド酸溶液をガラス基板に塗布し、60℃で2時間予備乾燥したのち、真空中200℃で1時間、次いで300℃で1時間加熱して熱イミド化した。更にガラス基板から剥がして304℃で熱処理し残留歪を除いてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの溶解性試験の結果を表1に、物性値を表2に示す。
ジアミンとしてTFMBを単独(0.1mmol)で使用する以外は実施例4に記載の方法と同様にしてポリアミド酸を重合した。得られたポリアミド酸を、実施例4に記載の方法と同様にして化学イミド化を試みたが、反応溶液がゲル化、一部沈殿物が析出したため、化学イミド化は不可であった。そこで、ポリアミド酸溶液をガラス基板に塗布し、60℃で2時間予備乾燥したのち、真空中200℃で1時間、次いで300℃で1時間加熱して熱イミド化した。更にガラス基板から剥がして304℃で熱処理し残留歪を除いてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの溶解性試験の結果を表1に、物性値を表2に示す。
<比較例2>
ジアミンとして上記式(1-2)で表されるジアミン1.0mmol、およびTFMB1.0mmolを用いる以外は実施例4に準じて重合、化学イミド化を行った。化学イミド化を行った粉末はDMAcへの溶解性が悪く、多量の溶媒で溶解させ、製膜すると膜の一部に濁りが見られ、また一部粉末の析出もあり、化学イミド化では均一なフィルムを得ることが困難であった。
ジアミンとして上記式(1-2)で表されるジアミン1.0mmol、およびTFMB1.0mmolを用いる以外は実施例4に準じて重合、化学イミド化を行った。化学イミド化を行った粉末はDMAcへの溶解性が悪く、多量の溶媒で溶解させ、製膜すると膜の一部に濁りが見られ、また一部粉末の析出もあり、化学イミド化では均一なフィルムを得ることが困難であった。
そこで、ポリアミド酸溶液をガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中、150℃30分、200℃30分、300℃1時間乾燥することにより別途熱イミド化を行い、比較例1と同様に残留歪を除いてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの物性値を表2に示す。
<比較例3>
ジアミンとして上記式(1-3)で表されるジアミン1.4mmol、およびTFMB0.6mmolを用いる以外は実施例4に準じて重合、化学イミド化を行った。化学イミド化を行った粉末はDMAcへの溶解性が悪く、多量の溶媒で溶解させ、製膜すると膜の一部に濁りが見られ、また一部粉末の析出もあり、化学イミド化では均一なフィルムを得ることが困難であった。
ジアミンとして上記式(1-3)で表されるジアミン1.4mmol、およびTFMB0.6mmolを用いる以外は実施例4に準じて重合、化学イミド化を行った。化学イミド化を行った粉末はDMAcへの溶解性が悪く、多量の溶媒で溶解させ、製膜すると膜の一部に濁りが見られ、また一部粉末の析出もあり、化学イミド化では均一なフィルムを得ることが困難であった。
そこで、ポリアミド酸溶液をガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中、150℃30分、200℃30分、300℃1時間乾燥することにより別途熱イミド化を行い、比較例1と同様に残留歪を除いてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの物性値を表2に示す。
<比較例4>
ジアミンとして上記式(1-4)で表されるジアミン1.4mmol、およびTFMB0.6mmolを用いる以外は実施例4に準じて重合、化学イミド化を行った。化学イミド化を行った粉末はDMAcへの溶解性が悪く、多量の溶媒で溶解させ、製膜すると膜の一部に濁りが見られ、また一部粉末の析出もあり、化学イミド化では均一なフィルムを得ることが困難であった。
ジアミンとして上記式(1-4)で表されるジアミン1.4mmol、およびTFMB0.6mmolを用いる以外は実施例4に準じて重合、化学イミド化を行った。化学イミド化を行った粉末はDMAcへの溶解性が悪く、多量の溶媒で溶解させ、製膜すると膜の一部に濁りが見られ、また一部粉末の析出もあり、化学イミド化では均一なフィルムを得ることが困難であった。
そこで、ポリアミド酸溶液をガラス基板に塗布し、熱風乾燥器中、150℃30分、200℃30分、300℃1時間乾燥することにより別途熱イミド化を行い、比較例1と同様に残留歪を除いてポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの物性値を表2に示す。
なお、表1において、NMPはN-メチル-2-ピロリドン、DMAcはN,N-ジメチルアセトアミド、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、DMSOはジメチルスルホオキシド、GBLはγ―ブチロラクトン、CPNはシクロペンタノン、Tri-GLはトリエチレングリコールジメチルエーテルを示す。また、++は室温で溶解することを示し、+は加熱により溶解することを示し、-は加熱しても溶解しないことを示す。
なお、表2及び表3において、括弧内の数値は、各物性を測定した時の膜厚を示す。
Claims (13)
- R1及び/又はR2が、フッ素原子若しくはフッ素原子を含む置換基を有する炭素数1~12のアルキル基、又はフッ素原子若しくはフッ素原子を含む置換基を有する炭素数1~12の芳香族基である、請求項1又は2に記載のポリイミド。
- フッ素原子を含む置換基がトリフルオロメチル基である、請求項3に記載のポリイミド。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイミドと有機溶媒とを含有する、ポリイミド溶液。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイミドを含有する、ポリイミドフィルム。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイミドを含有する、プラスチック基板材料。
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-
2022
- 2022-02-07 JP JP2022016804A patent/JP2022121401A/ja active Pending
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