JPWO2017057266A1 - 棒状体及び切削工具 - Google Patents

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Abstract

WC粒子とCoとを含有する超硬合金からなり、長手方向において第1端部及び第2端部を有する長尺状の棒状体であって、第1端部が幅方向の中央に位置する第1中央部を有するとともに、第2端部が幅方向の中央に位置する第2中央部を有し、第1中央部におけるCoの含有量が、第2中央部におけるCoの含有量よりも少ないとともに、EBSD法にて測定されたWC粒子の平均KAM値の測定において、第1中央部における平均KAM値が、第2中央部における平均KAM値よりも小さい。

Description

本態様は、棒状体並びにドリル及びエンドミル等の切削工具に関する。
長尺状の棒状体は、構造部材として用いられている。例えば、長尺状の円柱形状の棒状体からなるブランクは、刃付け加工をすることによってドリル及びエンドミル等の切削工具になる。孔開け加工に使用するドリルとして、先端に位置する切刃及び切刃から延びたフルート溝を有するソリッドドリルが知られている。ドリルは、例えば電子部品を搭載する基板の孔開け加工において用いられる。棒状体の一例として、特開2012−526664号公報(特許文献1)には、径方向又は長手方向に組成が異なるブランクが開示されている。
近年、ブランクには、更なる耐摩耗性と耐折損性の向上が求められている。
本態様は、WC粒子及びCoを含有する超硬合金からなり、長手方向において第1端部及び第2端部を有する長尺状の棒状体であって、前記第1端部は、幅方向の中央に位置する第1中央部を有し、前記第2端部は、幅方向の中央に位置する第2中央部を有し、前記第1中央部におけるCoの含有量が、前記第2中央部におけるCoの含有量よりも少ないとともに、前記WC粒子の後方散乱電子回折像システム付きの走査電子顕微鏡による電子線後方散乱回折(EBSD)法にて測定された平均KAM値の測定において、前記第1中央部における平均KAM値が、前記第2中央部における平均KAM値よりも小さい。
図1は、図1A〜図1Dで構成される。図1Aは、本実施形態の棒状体の一例であるブランクについての側面図である。図1Bは、図1AのブランクにおけるCoの含有量の分布を示す図である。図1Cは、図1AのブランクにおけるCrの含有量の分布を示す図である。図1Dは、図1AのブランクにおけるVの含有量の分布を示す図である。 図2は、図2A及び図2Bで構成される。図2Aは、図1Aのブランクの変形例についての側面図である。図2Bは、図2AのブランクにおけるCoの含有量の分布を示す図である。 図1のブランクの製造方法の一例について、金型の構成を説明するための模式図である。 本実施形態のドリルの一例についての側面図である。
棒状体について図面に基づいて説明する。本実施形態における切削工具用のブランク(以下、単にブランクともいう)は、棒状体の一例である。図1Aは、ブランクの側面図であり、図1B〜図1Dは、それぞれブランクにおけるCoの含有量、Crの含有量、Vの含有量の分布をそれぞれ示す図である。なお、図1Aにおける点線で示される部分は、ブランクを用いて形成される切削工具の一例を示している。
切削工具の一例である図1のドリル1に用いられるブランク2は、WC及びCoを含有する超硬合金からなる長尺状の円柱形状であり、長手方向において、第1端部側に位置する端部(以下、端部Aとする。)及び第2端部側に位置する端部(以下、端部Bとする。)を有している。本実施形態のブランク2をドリル1に用いる場合には、第1端部側に位置する端部(以下、端部Xとする。)に切刃5が形成され、ドリル1における第2端部側の端部(以下、端部Yとする。)に位置するシャンク3にブランク2の端部Bが接合される。ブランク2は、直接にシャンク3に接合されてもよいし、別部材を介してもよい。
本実施形態においては、ブランク2における端部Aを研磨することによって切刃5が形成されることから、ブランク2における端部Aは、ドリル1における切刃5が形成される端部Xよりも第1端部側に位置している。
本実施形態によれば、ブランク2の端部Aが、幅方向の中央に位置する第1中央部(以下、中央部A1とする。)を有し、ブランク2の端部Bが、幅方向の中央に位置する第2中央部(以下、中央部B1とする。)を有している。そして、中央部A1におけるCoの含有量Coが、中央部B1におけるCoの含有量Coよりも少ない。
別の見方をすれば、ドリル1の状態では、端部Xが、幅方向の中央に位置する中央部(以下、中央部X1とする。)を有し、ドリルの端部Yが、幅方向の中央に位置する中央部(以下、中央部Y1とする。)を有している。そして、中央部X1におけるCoの含有量が、中央部Y1におけるCoの含有量よりも少ない。
これによって、切刃5を有する端部Xの側における耐摩耗性を高くすることができるとともに、ドリルやエンドミル等の切削工具において折損しやすい端部Yの側における耐折損性を高めることができる。
なお、本実施形態における幅方向とは、ブランク2の長手方向に垂直な方向を指し、幅方向の中央部とは、ブランク2の長手方向に垂直な方向の長さに対して、半分の長さの位置、すなわち、ブランク2の幅方向の中心を含む領域を指す。また、本実施形態における「含有量」とは、絶対的な量を指す値ではなく、含有比率(質量%)を指す値である。
そして、本実施形態によれば、WC粒子の後方散乱電子回折像システム付きの走査電子顕微鏡による電子線後方散乱回折(EBSD)法にて測定された平均KAM値の測定において、中央部A1における平均KAM値が、中央部B1における平均KAM値よりも小さい。別の見方をすれば、ドリル1の状態では、中央部X1における平均KAM値が、中央部Y1における平均KAM値よりも小さい。
これによって、端部Aの側においてはクラックの進展が起きにくく、耐チッピング性が高いとともに、端部Bの側においては剛性が高くブランク2が撓みにくい。そのためブランク2を、端部Xの側に切刃5を有するとともに端部Yの側にシャンク3を有する切削工具とした際には、切刃5の耐チッピング性が向上するとともに、端部Bの剛性を高めることができるので、切削工具の加工精度を高めることができる。
特に、中央部A1における平均KAM値が0.5〜0.65°であり、中央部B1における平均KAM値が0.75〜0.92°である場合には、端部Aにおける耐チッピング性と端部Bにおける剛性とをさらに高めることができ、切削工具とした際には、切刃5の耐チッピング性及び加工精度をさらに高めることができる。
ここで、KAM(Karnel Average Misorientation)とは、EBSD(Electron Backscatter Diffraction:後方散乱電子回折)法にて測定した隣接測定点間の結晶方位の差である局所方位差を表し、KAM値は塑性ひずみ等の大きさと相関を有する。また、KAMは微視レベルで局所的な変形や転移密度を反映するので、KAM値の測定によって微視レベルでの局所的な塑性変形が確認できる。平均KAM値は、観測領域内の各位置におけるKAM値を測定して、これを平均したものである。
本実施形態では、ブランク2を焼成する前の成形体において、端部A側のCoの添加量を端部B側のCoの添加量よりも少なくし、焼成中にCoを一部拡散させることによって、ブランク2において、中央部A1におけるCoの含有量Coを中央部B1におけるCoの含有量Coよりも少なくしている。端部A側のCoの添加量を端部B側のCoの添加量よりも少なくしていることから、端部A側の焼成収縮量と端部B側の焼成収縮量が異なる。そのため、焼成工程において歪みが生じやすいが、焼成条件を制御することによって、端部A側と端部B側に存在するWC粒子の一部に微小な塑性歪みを残存させつつ、平均KAM値を所定の範囲内に制御することができる。
本実施形態のブランク2における端部Aは、中央部A1に加えて外周に位置する第1外周部(以下、外周部A2とする。)をさらに有している。外周部A2におけるWC粒子の平均KAM値が、中央部A1におけるWC粒子の平均KAM値よりも小さい場合には、回転工具として用いたときに、切刃5の加工精度を高めて、工具寿命を延ばすことができる。
ここで、外周部A2とは、端部Aにおける外周の端部を含み平均KAM値が分析可能な範囲を指している。例えば、平均KAM値の測定領域は、ブランク2の長手方向に沿った断面において、長手方向と垂直な方向の幅に対して10%以下の幅で測定すればよい。
そして、Coの含有量において、Coが0〜10質量%であり、Coが2〜16質量%である場合には、ブランク2の耐摩耗性及び耐欠損性を高く維持できる。Co及びCoのより望ましい範囲は、加工条件によって変わるが、例えば、プリント基板加工用のドリルとしてブランク2を用いる場合には、Coを1〜4.9質量%とするとともに、Coを5〜10質量%とすればよい。
Coが5質量%以上の場合には、通常の均一な組成において端部Bを緻密化させることが容易であり、焼成後のブランク2中にCoの凝集部ができにくい。そのため、Coの分布にムラができにくい。これは、Coが5質量%以上の場合には、Coの毛細管現象によってCoが拡散するために、Coの凝集部ができにくく、均一な分布状態になり易いためと考えられる。その結果、端部Aの側においてはCoが相対的に少なくても、緻密な超硬合金となる。
また、CoとCoとの比率(Co/Co)が0.2〜0.7である場合には、端部Aにおける硬度を向上させることができるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。
また、外周部A2におけるCoの含有量をCoAOと定義した場合に、このCoAOが、中央部A1におけるCoの含有量を示すCoよりも少ない場合には、切削工具のうちのドリルやエンドミル等の回転工具において、切刃5のうちで最も摩耗しやすい外周部A2における耐摩耗性を高めることができる。
本実施形態において、ブランク2は、WC及びCo以外に、Cr元素及びV元素を含有していてもよい。さらに、ブランク2は、W、Cr、Vを除く周期表4、5、6族金属の炭化物を含有していてもよい。ブランク2がCrを含有している場合には、ブランク2の耐食性を高くすることができ、また、Co及びCrを含有している場合には耐熱性を高めることができる。また、Cr及びVは、WC粒子の異常粒成長を抑制することができるので、強度の高い超硬合金を安定して作製することができる。
Vは、焼成時にWC粒子の粒成長を抑制する成分でもある。端部Aの側においてVの含有量が少ない場合には、端部Aの側においてWC粒子の粒成長が抑制されにくくなり、WC粒子の平均粒径が大きくなる。その結果、端部Aの側においては、超硬合金の耐チッピング性が向上する。一方、端部Bの側においてVの含有量が多い場合には、端部Bの側においてWC粒子の粒成長が抑制され、WC粒子の平均粒径が小さくなる。その結果、端部Bの側においては、超硬合金の強度が高くなり、ドリル1の耐折損性が向上する。
中央部A1におけるVの含有量Vは、中央部B1におけるVの含有量Vより少なくてもよい。また、ブランク2は、中央部A1から中央部B1へ向かうにしたがってCrの含有量が傾斜SCrで変化するとともにVの含有量が傾斜Sで変化する領域を有していてもよい。このとき、傾斜SCrが傾斜Sよりも小さい場合には、ブランク2の全体に亘って耐食性が良好になる。また、傾斜Sが傾斜SCrより大きい場合には、端部Aの側においては硬度が高くかつ耐チッピング性が向上するとともに、端部Bの側においては強度が高くかつ耐折損性が向上する。
なお、本実施形態において、端部A及び端部Bとは、ブランク2の端部を指すが、具体的には、EPMA分析によってブランク2の組成が分析できる範囲を指す。ブランク2の長手方向の組成変化を確認するには、ブランク2の長手方向の各金属元素の含有量の分布をEPMA分析によって測定して確認する。なお、図1C及び図1Dにおいては、ブランク2のEPMA分析において、正確な組成の測定ができない端部における測定値は記載を省略する。また、図2においては、Cr及びVの分布の記載を省略する。
中央部A1におけるCrの含有量を示すCrが0.05〜2質量%であり、中央部B1におけるCrの含有量を示すCrが0.1〜3質量%であり、中央部A1におけるVの含有量を示すVが0〜1質量%であり、中央部B1におけるVの含有量を示すVが0.05〜2質量%である場合には、ブランク2の耐食性、耐熱性及び強度が高い。
Crは、その少なくとも一部は結合相中に金属として固溶し、加えて、Cr又は他の金属との複合炭化物などとして存在する。Vは、その少なくとも一部は結合相中に金属として固溶し、加えて、VC又は他の金属との複合炭化物としても存在し得る。なお、Vは、Cr元素に比べて結合相中への固溶量が少ない。本実施形態において、Cr、CrはCr元素の含有量をCr換算した値とし、V、VはV元素の含有量をVC換算した値とする。
Crが0〜0.1質量%/mmであり、Sが0.1〜0.5質量%/mmである場合には、ブランク2の耐食性、耐熱性、端部Aの側における耐摩耗性及び耐チッピング性、端部Bの側における耐折損性が高い。
なお、Co、Co、Cr、Cr、V、Vの測定方法は、ブランク2を長手方向に沿って半分に分割にした状態で、EPMA分析によって中央部A1及び中央部B1における組成を測定することにより確認できる。ブランク2の端部Aから端部Bに亘る組成分析は、断面の長手方向に平行な中心軸上において測定する。ブランク2の長手方向のCrの含有量及びVの含有量の分布をEPMA分析によって測定し、ブランク2の全体の分布について最小二乗法で直線に近似した際の傾きをSCr、Sとして算出する。
ここで、長手方向に対して垂直な方向において、ブランク2の外周部におけるCrの含有量が、外周から100μm以上内部に位置する部分におけるCrの含有量に比べて多い場合には、ブランク2の耐食性がより向上する。なお、外周部におけるCrの含有量とは、外周におけるEPMA分析によってブランク2の組成が分析できる範囲でのCrの含有量を指す。また、本実施形態においては、ブランク2を長手方向に沿って分割した断面での端部Aの側の角部を外周部A2として、この外周部A2におけるCrの含有量をとして測定している。
中央部A1におけるWC粒子の平均粒径aが、中央部B1におけるWC粒子の平均粒径aよりも大きい場合には、硬度が高くて欠損が発生しやすい端部Aの耐摩耗性を改善することができる。また、端部Bの剛性が高められるので棒状体が撓みにくい。そのためブランク2を、端部Aの側に切刃5を有するとともに端部Bの側にシャンク3を有する切削工具とした際には、切刃5の耐摩耗性及び端部Aにおける耐チッピング性がより向上するとともに、端部Bにおける耐折損性が向上する。
WC粒子の平均粒径は、SEM写真からルーゼックス解析法にて算出できる。また、WC粒子の平均粒径を確認する他の方法として、以下の方法を用いてもよい。まず、ブランク2の断面について、後方散乱電子回折像システム付きの走査電子顕微鏡による電子線後方散乱回折(EBSD)法にてWC粒子の配向方向を観察する。各WC粒子の配向方向を確認することによって、各WC粒子の輪郭を特定する。そして、各WC粒子の輪郭に基づいて各WC粒子の面積を算出し、この面積を円に換算したときの直径を粒径とする。そして、各WC粒子の粒径の平均値を平均粒径とする。
ここで、平均粒径aと平均粒径aとの比率(a/a)が、1.5〜4である場合には、端部Aの側における耐摩耗性及び耐欠損性を適正化できるとともに、端部Bの側における耐折損性を高めることができる。
本実施形態において、端部A及び端部BにおけるWC粒子の平均粒径を測定する領域は、SEM分析によってブランク2の組織を観察したとき、ブランク2の第1端から第2端に向かう直線を引いて、直線が10個以上のWC粒子を横切る長さでの領域とする。また、第1端及び第2端からの領域は、それぞれ棒状体の幅を越えない長さの領域とする。
また、長手方向に対して垂直な方向において、中央部A1におけるWC粒子の平均粒径aが、端部Aの幅方向の外周部A2におけるWC粒子の平均粒径aAOよりも大きい場合には、外周部A2における耐欠損性が向上するとともに、中央部A1における剛性が向上する。
なお、外周部A2とは、ブランク2の端部Aにおける外周表面からの幅方向の長さの10%の厚み領域を指し、中央部A1とは、ブランク2の端部Aの幅方向における中心を含み、ブランク2の端部Aにおける幅の10%の厚み領域を指す。また、本実施形態においては、ブランク2を長手方向に半割した断面での端部Aの側の角部である、外周部A2におけるWC粒子の平均粒径をaAOと定義する。
また、平均粒径aが0.3〜1.5μmであり、平均粒径aが0.1〜0.9μmである場合には、端部Aの耐チッピング性がより向上するとともに、端部Bの耐折損性がより向上する。ブランク2がドリル1に用いられる場合、平均粒径aの望ましい範囲は0.4〜0.7μmであり、平均粒径aの望ましい範囲は0.15〜0.5μmである。
ブランク2は、中央部A1から中央部B1へ向かうにしたがってCoの含有量が傾斜S1Coで変化する第1領域11と、第1領域11よりも端部Bの側に位置しており、中央部A1から中央部B1へ向かうにしたがってCoの含有量が傾斜S2Coで変化する第2領域12とを有していてもよい。このとき、傾斜S1Coが傾斜S2Coよりも大きい場合には、端部Aの側における耐摩耗性を高く維持したまま、端部Bの側の広範囲における靭性を高めることができてブランク2の耐折損性を高めることができる。
第1領域11においては、Crの含有量が傾斜S1Crで変化していてもよく、また、Vの含有量が傾斜S1Vで変化していてもよい。加えて、第2領域12においては、Crの含有量が傾斜S2Crで変化していてもよく、また、Vの含有量が傾斜S2Vで変化していてもよい。
第1領域11及び第2領域12の存在は、ブランク2の長手方向でのCoの含有量の分布によって確認できる。そして、第1領域11及び第2領域12におけるCrの含有量、Vの含有量を測定し、各領域における分布を最小二乗法で近似した際の傾きを、S1Co、S1Cr、S1V、S2Co、S2Cr、S2Vとして算出する。なお、傾きは、中央部A1から中央部B1に向かって低くなる向きをプラスとし、中央部A1から中央部B1に向かって高くなる向きをマイナスとする。
傾斜S1Coが0.2〜1質量%/mmであり、傾斜S2Coが0〜0.2質量%/mmである場合には、端部Aの側における硬度を向上できるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。なお、第1領域11における傾斜S1Coは領域内で一定でなくてもよい。特に、第1領域11の中でも、端部Aに位置する第1端に近付くにしたがって傾斜S1Coが大きくなる場合には、第1端における耐摩耗性が高く、かつブランク2の耐折損性がより高くなる。
なお、ブランク2の表面にダイヤモンド被覆層(図示せず)を被覆する際に、第2領域12に含有されるCoの含有量が少ない場合には、ダイヤモンド結晶の成長を妨げるCoの含有量が少ないため、第2領域12においてはダイヤモンド被覆層の結晶化度が高くなるので、ダイヤモンド被覆層の硬度及び密着性が向上する。
また、第2領域12と第1領域11との間に、中央部A1から中央部B1へ向かうにしたがってCoの含有量が傾斜S3Coで変化する第3領域13を有していてもよい。このとき、傾斜S3Coの傾斜が傾斜S2Coよりも大きい場合には、第1領域11及び第2領域12の傾斜S1Co、S2Coを制御することが容易であり、折損が発生しやすい端部Bの側における耐折損性をさらに高めることができる。傾斜S3Coが2〜50質量%/mmであれば、端部Aの側の耐摩耗性と端部Bの側の耐折損性をともに高めることができる。
図1Dには、Co元素の含有量の変化に対応するようにV元素の含有量が変化している様子が示されている。つまり、図1Dにおいては、第1領域11におけるV元素の傾斜S1Vが、第2領域12におけるV元素の傾斜S2Vよりも大きくなっている。また、第3領域13におけるV元素の傾斜S3Vが、第1領域11におけるV元素の傾斜S1Vよりも大きくなっている。
一方、図1Cにおいて、Cr元素の含有量の変化は、Co元素の含有量の変化に対応しておらず、理由は不明であるが、隣接する位置におけるCrの含有量の値が大きくばらついている一方で、全体としては小さな傾斜の変化となっている。
さらに、図2に示すように、第1領域11よりも第1端の側に、Coの含有量が傾斜S4Coで変化する第4領域14を有していてもよい。このとき、傾斜S4Coの傾斜が傾斜S1Coの傾斜よりも小さい場合には、端部Aの側における耐摩耗性の高い範囲を広くすることができることがある。
また、傾斜S4Coが0〜0.5質量%/mmであるとともに、第4領域14におけるCoの含有量が0〜0.6質量%である場合には、ブランク2の表面にダイヤモンド被覆層をコーティングする際に、第4領域14に含有されるCoの含有量が少なくなるため、第4領域14の表面においてダイヤモンド被覆層の結晶化度をさらに高めることができる。そのため、ダイヤモンド被覆層の硬度及び密着性が向上する。第1領域11と第4領域14との境界には、Coの含有量の分布における屈曲点が存在してもよい。
第1領域11の長さをL1、第2領域12の長さをL2、第3領域13の長さをL3、第4領域14の長さをL4としたとき、L1/L2=0.3〜3である場合には、端部Aにおける硬度を向上できるとともに、ブランク2の耐折損性を高めることができる。L3/L2=0.01〜0.1である場合には、第2領域12及び第1領域11におけるCoの含有量の調整が容易である。L4/L2=が0〜0.05である場合には、端部Aにおける超硬合金の緻密化をより安定して促進できる。L4/L2=が0.05より大きく、かつ第4領域14に緻密化されていない部分が存在する場合には、ドリル1を作製する際に、第4領域14の一部を研磨除去してもよい。
なお、第1領域11、第2領域12、第3領域13及び第4領域14の組成は、それぞれブランク2の幅方向の中央部において測定すればよい。
端部Aの外周部におけるCoの含有量CoAOが、端部Aの中央部におけるCoの含有量Coよりも少ない場合には、ドリルやエンドミル等の回転工具において、切刃5のうちで最も摩耗しやすい外周部における耐摩耗性を高めることができる。
図1、2においては、ブランク2は、端部Aよりも長手方向の外側に位置する突起部15を有している。突起部15は、端部Aよりも直径が小さい形状である。すなわち、端部Aの直径dに対して、突起部15の直径dが小さい。突起部15は容易に形成できるとともに、突起部15に刃付け加工したドリル1の先端部を形成することもできるので、加工代の無駄が少ない。
図1、2に示すように、突起部15が半球状である場合には、ブランク2をランダムに接合装置内に投入する際にブランク2同士が衝突しても、突起部15が欠けることが抑制され、また、突起部15によって他のブランク2が傷つけられることも抑制できる。また、本実施形態では、突起部15は端部Aにつながる根元側が、断面視においてR面でつながっている。これによって、成形体35の成形時に下パンチ23の端部に荷重が集中して、下パンチ23が欠けてしまうことが抑制される。
ここで、ブランク2の端部Aの直径d及びブランク2のB部の直径dがともに2mm以下で、長手方向の長さをLとしたとき、dに対するLの比率(L/d)が3以上である場合には、焼成後のブランク2において、Co及びCoを所定の値に調整することが容易である。すなわち、比率(L/d)が大きい値である場合には、焼成中にCoが拡散したとしても、ブランク2中のCoとCoの差を十分に確保し易い。比率(L/d)のより望ましい範囲としては、4〜10である。
ブランク2は焼成後に研磨しない状態であってもよいが、ブランク2をシャンク3に接合する工程において、ブランク2を把持する際にブランク2の位置精度を高めるために、焼成後のブランク2の外周面をセンタレス加工するものであってもよい。
なお、ブランク2の好適な寸法は、プリント基板加工用のドリルとして用いる場合には、d、dが0.2〜2mm、長さLが3〜20mmである。dの特に望ましい範囲は0.3〜1.7mmである。他の用途においては、dは2mmを越える場合もあり、このような場合におけるdの望ましい範囲は、0.2〜20mmであり、L=3〜50mmである。
本実施形態においては、切削工具としてプリント基板の孔開け加工に用いられるドリル1が例示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、長尺状の本体部を有するものであればよい。例えば、金属加工用ドリルや医療用ドリル、エンドミル、内径加工用のスローアウェイチップ等の旋削加工用の切削工具として適用可能である。また、ブランク2等の棒状体は、切削工具以外でも、耐摩材、摺動部材として用いることができる。棒状体は、切削工具以外として用いる場合でも、所定の形状に加工され、端部Bが固定された状態で、端部Aを含む領域が相手材と接触して使用される用途に好適に用いられる。
(ブランクの製造方法)
上記ブランクを作製する方法の一例として、突起部15を有するブランク2を作製する方法について説明する。まず、ブランク2及び切削工具(ドリル1)をなす超硬合金を作製するためのWC粉末等の原料粉末を調合する。本実施形態においては、2種類の原料粉末を調合する。
すなわち、ブランク2における突起部15が位置する端部Aを含む部位を作製するための第1原料粉末30と、ブランク2における端部Bの側を作製するための第2原料粉末33とを調合する。第1原料粉末30は、原料粉末としてWC粉末を含有している。第1原料粉末30は、原料粉末としてCo粉末を含有していてもよい。
第2原料粉末33は、原料粉末としてWC粉末及びCo粉末を含有している。第1原料粉末30中のCo粉末の含有量は、第2原料粉末33中のCo粉末の含有量よりも少ない。第1原料粉末30中のCo粉末の含有量は、第2原料粉末33中のCo粉末の含有量に対する質量比率で、0〜0.5、特に0〜0.3である。
第1原料粉末30及び第2原料粉末33は、それぞれWC粉末以外にCr粉末、VC粉末、又はCo粉末を含有していてもよい。また、第1原料粉末30及び第2原料粉末33は、それぞれ上記の粉末以外に、WC、Cr、VC以外の周期表第4、5及び6族金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物粉末のいずれかの添加物を含有していてもよい。
例えば、第1原料粉末30中のWC粉末の調合量は90〜100質量%であり、Co粉末の調合量は0〜8質量%、添加物の調合量は総量で0〜5質量%である。第2原料粉末33中のWC粉末の調合量は65〜95質量%であり、Co粉末の調合量は5〜30質量%であり、添加物の調合量は総量で0〜10質量%である。また、第1原料粉末30中のWC粉末の平均粒径と、第2原料粉末33中のWC粉末の平均粒径とを異ならせることによって、焼成後のブランク2の端部Aから端部BにかけてのCo及び他の金属元素の分布状態、硬度や靭性等の特性を調整することもできる。
上記の調合された粉末にバインダ及び溶媒を添加することによってスラリーが作製される。このスラリーを造粒して顆粒とし、成形用粉末とする。
図3に示すように、プレス成形金型(以下、単に金型と略す。)20を準備し、金型20のダイス21のキャビティ22内に上記の顆粒を投入する。そして、ダイス21のキャビティ22内に投入された顆粒の上方から上パンチ24を下降させて加圧することにより成形体が作製される。本実施形態においては、キャビティ22の底部である下パンチ23のプレス面となる上面は、突起部15を形成するための凹部25を有する。
本実施形態における成形方法は、キャビティ22内の凹部25を含む領域に第1原料粉末30を投入する工程と、キャビティ22に第2原料粉末33を投入する工程と、上方から上パンチ24を下降させてダイス21のキャビティ22内に投入された第1原料粉末30及び第2原料粉末33の積層体を加圧する工程と、この積層体からなる成形体35を金型20から取り出す工程とを具備する。
成形体35は円柱形状であり、突起部15及び端部AにおけるCoの含有量が、端部BにおけるCoの含有量よりも少ない。その結果、ブランク2において所定のCoの含有量の分布に調整しやすくなる。
また、凹部25の底面が曲面である場合には、成形体35において、生突起部32の欠けを抑制できるとともに、焼成後のブランク2における突起部15内のCoの含有量のバラツキを抑制できるため、局所的に焼結不良となることが避けられ易い。なお、凹部25及び突起部15は省略してもよい。
直径が2mm以下の焼結体を得る場合には、例えば、加圧時の上パンチ24の保持位置から上パンチ24の位置が0.1mm〜2mm、成形体の長さに対して0.1%〜20%の長さ分だけ下方に下降するように上パンチ24に追加荷重を加えるとともに下パンチ23の荷重を小さくしてもよい。成形条件が上記である場合には、成形体35に加わる圧力のムラが改善されるので、成形体35を抜き出す際に破損することが避けられ易く、成形体35を焼成した後のブランク2の形状を所定の形状とすることができる。
このとき、図3に示すように、成形体35の下パンチ23側の直径Dを上パンチ24側の直径Dよりも小さくしてもよい。本実施形態における比率D/Dの望ましい範囲は、0.8〜0.99である。
また、特に図示しないが、例えば、第1原料粉末30と第2原料粉末33との間に、第1原料粉末30におけるCo粉末の含有量よりも少なく、かつ、第2原料粉末33におけるCo粉末の含有量よりも多いCo粉末の含有量を有する第3原料粉末など、他の原料粉末が存在していてもよい。
加圧成形された成形体は、金型から取り出され、1300〜1500℃で0.5〜2時間焼成された後、シンターHIP処理されることによってブランク2となる。焼成温度は、Coの含有量やWC粒子の平均粒径によって調整される。このとき、本実施形態では、焼成時の1000℃から焼成温度までの昇温速度を4〜7℃/分、焼成温度における減圧圧力を50〜200Paとする。そして、シンターHIPは、焼結温度よりも5〜20℃低い温度で、5〜10MPaの圧力で処理する。これによって、端部A及び端部BのCoの含有量を容易に調整することができる。
また、第1原料粉末30及び第2原料粉末33の焼結性が異なるために、焼成中、端部A及び端部Bの収縮率が異なって成形体が変形し、端部Bの収縮率が端部Aの収縮率よりも大きくなる。すなわち、焼成によって、端部BのCoの一部が、端部Aに向かって拡散するために、端部Bは端部Aよりも収縮する。これによって、焼結体の形状は端部Bの直径が端部Aの直径よりも小さくなる傾向にある。
ここで、昇温速度が4℃/分より速い場合には、焼成中にCoの拡散が進行し過ぎることが避けられるため、焼結後のブランク2におけるCo濃度の差を大きくでき、かつ中央部A1の平均KAM値を中央部B1の平均KAM値よりも小さくし易い。また、場合によっては、中央部A1の平均粒径を中央部B1の平均粒径よりも大きくし易い。昇温速度が7℃/分より遅い場合には、ブランク2を良好に収縮させることができ、中央部A1の平均KAM値を中央部B1の平均KAM値よりも小さくし易い。また、場合によっては、端部AにおいてWCを緻密化させ易くなる。
また、焼成温度における減圧圧力が50Pa以上の場合には、焼成中にCoの拡散が進行し過ぎることが避けられるため、焼結後のブランク2におけるCo濃度の差を大きくでき、かつ、中央部A1の平均KAM値を中央部B1の平均KAM値よりも小さくし易い。また、減圧圧力が200Pa以下の場合には、ブランク2を良好に収縮させることができ、中央部A1の平均KAM値を中央部B1の平均KAM値よりも小さくし易い。そのため、端部AにおいてWCを緻密化させ易くなる。
さらに、シンターHIPの処理温度と焼結温度との差が5℃より大きい場合には、中央部A1の平均KAM値を中央部B1の平均KAM値よりも小さくし易い。また、場合によっては、中央部A1の平均粒径を中央部B1の平均粒径よりも大きくし易い。シンターHIPの処理温度と焼結温度との差が20℃以下の場合には、ブランク2を良好に収縮させることができ、中央部A1の平均KAM値を中央部B1の平均KAM値よりも小さくし易い。そのため、端部AにおいてWCを緻密化させ易くなる。
なお、本発明における成形工程は上記実施形態に示したプレス成形に限定されるものではなく、冷間静水圧プレス、ドライバッグ成形、射出成形等によって成形することもできる。
(切削工具の製造方法)
上記工程によって得られたブランク2を用いて、プリント基板加工用のドリル1を作製する方法の一例について説明する。数十本又は数百本のブランク2が、ランダムに接合装置内に投入される。ブランク2は、接合装置内で長手方向が揃えられた状態で整列される。突起部15を有する場合には、突起部15を画像データ等にて確認し、ブランク2の端部Aと端部Bとを特定する。この特定に基づいて、自動的に、端部Aと端部Bとを一定の方向に並べることができる。
そして、並べられたブランク2は、自動的に、別途準備されたシャンク3及び首部7によって構成される部材に当接された後、レーザ等で接合される。その後、接合されたブランク2に刃付け加工が施される。このとき、ドリル1の構成は、図1に示すように、端部Xがドリル1の切刃5側で、端部Yがドリル1のシャンク3側となる。
(切削工具)
上記ブランク2の刃付け加工によって、ドリル1等の切削工具が作製される。図4のドリル1は、刃付け加工されたブランク(加工部)と、加工部に接合された首部7と、首部7の後端側(図4における上側)に位置するシャンク3とによって構成されている。加工部は、端部Xに位置する切刃5と、切刃5に続く溝6とを有している。加工部及び首部7によってボディ8が構成されている。そのため、シャンク3は、ボディ8の後端側に位置しているともいえる。
切刃5は、中心軸を有して回転しながら被削材に最初に接触する部分であり、高い耐チッピング性と耐摩耗性が要求される。溝6は加工によって発生する切屑を後方へ排出する機能を持ち、首部7は、互いに直径の異なる加工部及びシャンク3を接続するつなぎの部分である。加工部の最大直径は、例えば2mm以下に設定される。シャンク3は、ドリル1を加工機に固定する部分として利用可能である。
特に図示しないが、ドリル1の表面には被覆層が位置していてもよい。被覆層としては、例えば、PVD法で成膜されたTiN、TiCN、TiAlN、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン、及び、CVD法で成膜されたダイヤモンド等が挙げられる。
ドリル1は、首部7及びシャンク3が鋼、合金鋼又はステンレス鋼等の安価な材質で構成され、ブランク2が首部7の先端に接合された構造であってもよい。また、ドリル1の全体がブランク2によって構成されていてもよい。また、首部7は必須ではなく、ドリル1は、ブランク2とシャンク3とが直接に接合された構成であってもよい。
金属コバルト(Co)粉末と、炭化クロム(Cr)粉末と、炭化バナジウム(VC)粉末と、残部が平均粒径0.3μmの炭化タングステン(WC)粉末を表1に示す割合で、表1に示す第1原料粉末及び第2原料粉末の2種類の混合粉末を調合した。各混合粉末に対して、バインダや溶媒を添加、混合して、スラリーを作製し、スプレードライヤにて平均粒径70μmの顆粒を作製した。
貫通孔を144個有するダイスを備えた図3に示す金型を準備した。表1の第1原料粉末を投入し、続いて、表1の第2原料粉末を充填してプレス成形を行なった。第1原料粉末及び第2原料粉末が積層された成形体をプレス成形によって成形し、金型から取り出した。このとき、下パンチ側の直径をD、上パンチ側の直径をD、成形体下部の長さをH、成形体上部の長さをHとして、成形体の形状が表1に示される。
成形体を、1000℃から表2に示す昇温速度で昇温し、表2に示す雰囲気及び焼成温度で1時間焼成した後、表2に示すシンターHIP(表2においてHIPと記載)温度に変えて、5MPaの圧力で30分間シンターHIP処理をすることによりブランクを得た。
得られたブランクについて、端部A、端部Bの直径(d、d)を測定して表2に記載した。また、ブランクを長手方向に沿って半分に分割にして、端部Aから端部BまでのCoの含有量、Crの含有量、Vの含有量の変化をEPMA分析にて測定し、第1領域から第4領域の有無、傾斜、長さを確認した。さらに、ブランクの端部Aについては、外周部におけるCoの含有量を測定した。結果は表2〜5に示した。また、EBSD法によって、中央部A1、外周部A2、中央部B1におけるWC粒子の平均粒径を測定した。
EBSD法によるKAMの測定は次のように実施した。まず、ブランクの長手方向の断面について、コロイダルシリカを用いてバフ研磨した後、オックスフォード社製EBSD(型番JSM7000F)を用いて、測定領域を四角形の領域(ピクセル)に区切った。区切られた各領域について、試料表面に入射させた電子線の反射電子から菊地パターンを得てピクセルの方位を測定した。測定した方位データをJSM7000Fの解析ソフトを用いて解析し、各種パラメータを算出した。
観察条件は、加速電圧15kV、測定面積はブランクの表面において、幅60μm×深さ5μmとし、隣接するピクセル間の距離(ステップサイズ)は0.1μmとした。隣接するピクセル間の方位差が5°以上となる場合を結晶粒界とみなした。KAMは結晶粒内のあるピクセルと、結晶粒界を超えない範囲に存在する隣接ピクセルとの方位差の平均値を計算し、測定全面積を構成する全ピクセルにおける平均値として平均KAM値を測定した。なお、上記平均KAM値の測定は、任意の3視野について測定し、その平均値で評価した。結果は表5に示した。
そして、このブランクの外周部をセンタレス加工した後、ランダムに接合装置内に投入し、接合装置内にてブランクの突起部の向きを認識して、各ブランクの端部A及び端部Bを同じ向きに整列させ、ブランクの端部Bをシャンクに当接させて接合し、ブランクの端部Aを含む部位に刃付け加工を施すことによって、ドリルを作製した。
得られたドリルについて、下記条件でドリル加工テストを行った。結果を表5に示す。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FR4、0.8mm厚、3枚重ね
ドリル形状:φ0.25mm
回転数:160krpm
送り速度:3.2m/分
評価項目:孔開け加工ができた製品の個数(個)と試験後のドリルの逃げ面摩耗幅(μm)
表1〜5より、CoがCoと同じである試料No.I−14では逃げ面摩耗幅が大きく、試料No.I−15では焼結不足で1孔目で初期欠損した。また、中央部A1の平均KAM値(A)が中央部B1の平均KAM値(B)と同じであり、中央部A1におけるWC粒子の平均粒径aが、中央部B1におけるWC粒子の平均粒径aと同じである試料No.I−16〜I−22では、耐チッピング性が低く、穴位置精度が低下して、加工個数が少なくなった。また、試料No.I−16〜I−22では、中央部A1におけるWC粒子の平均粒径aが中央部B1におけるWC粒子の平均粒径aと同じであったため、逃げ面摩耗幅が大きく、加工個数も少ないものとなっていた。
これに対して、CoがCoよりも少なく、中央部A1の平均KAM値が中央部B1の平均KAM値よりも小さい試料No.I−1〜I−13及びI−23では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。中でも、中央部A1における平均KAM値が0.50〜0.65°であり、中央部B1における平均KAM値が0.75〜0.92°である試料No.I−1、I−2及びI−7〜I−13では、さらに加工個数が多くなった。
また、外周部A2におけるWC粒子の平均KAM値(AO)が、中央部A1におけるWC粒子の平均KAM値よりも小さい試料No.I−1〜I−3、I−7〜I−13では、加工個数が多かった。
また、比率(Co/Co)が0.2〜0.7である試料No.I−1、I−2、I−7、I−8、I−10〜I−13では、加工個数が多くなった。さらに、中央部A1における平均粒径aが、中央部B1における平均粒径aよりも大きい試料No.I−1〜I−4、I−6〜I−13及びI−23では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。いずれの試料も、平均粒径aが0.3〜1.5μmであり、平均粒径aが0.1〜0.9μmであった。特に、平均粒径aと平均粒径aとの比率(a/a)が1.5〜4である試料No.I−1〜I−3、I−7〜I−13では、加工個数が多くなった。
さらに、平均粒径aAOと平均粒径aと比率(aAO/a)が、1.1〜2である試料No.I−1〜I−4、I−7、I−9、I−11〜I−13では、より、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。
さらに、試料No.I−1〜I−12では、いずれも傾斜S2Coの第2領域と、傾斜S2Coよりも大きい傾斜S1Coの第1領域を有し、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。特に、傾斜S1Coが0.2〜1質量%/mmであり、傾斜S2Coが0〜0.2質量%/mmである試料No.I−1、I−2、I−6〜I−12では、逃げ面摩耗幅が小さかった。
実施例1で用いた原料粉末を用いて表6の成形体を作製し、表7の条件で焼成した。そして、このブランクを用いてドリルを作製した。得られたドリルについて、下記条件でドリル加工テストを行った。結果を表7〜10に示す。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FR4材、24層板、3.2mm厚、1枚
ドリル形状:φ0.25mm
回転数:160krpm
送り速度:3.2m/分
評価項目:孔開け加工ができた製品の個数(個)と試験後のドリルの逃げ面摩耗幅(μm)
表6〜10より、CoがCoよりも少なく、中央部A1の平均KAM値が中央部B1の平均KAM値よりも小さい試料No.II−1〜II−4では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。試料No.II−1〜II−4では、中央部A1における平均粒径aが、中央部B1における平均粒径aよりも大きかった。
実施例1で用いた原料粉末を用いて表11の成形体を作製し、表12の条件で焼成した。そして、このブランクを用いてドリルを作製した。得られたドリルについて、下記条件でドリル加工テストを行った。結果を表12〜15に示す。
(ドリル加工テスト条件)
被削材 :FP4材、0.06mm厚、10枚重ね
ドリル形状:φ0.105mm
回転数:300krpm
送り速度:1.8m/分
評価項目:孔開け加工ができた製品の個数(個)と試験後のドリルの逃げ面摩耗幅(μm)
表11〜15より、CoがCoよりも少なく、中央部A1の平均KAM値が中央部B1の平均KAM値よりも小さい試料No.III−1〜III−3では、逃げ面摩耗幅が小さく、かつ加工個数が多くなった。試料No.III−1〜III−3では、中央部A1における平均粒径aが、中央部B1における平均粒径aよりも大きかった。
1 ドリル(切削工具)
2 ブランク(切削工具用ブランク)
3 シャンク
5 切刃
6 溝
7 首部
8 ボディ
11 第1領域
12 第2領域
13 第3領域
14 第4領域
15 突起部

Claims (12)

  1. WC粒子及びCoを含有する超硬合金からなり、長手方向において第1端部及び第2端部を有する長尺状の棒状体であって、
    前記第1端部は、幅方向の中央に位置する第1中央部を有し、
    前記第2端部は、幅方向の中央に位置する第2中央部を有し、
    前記第1中央部におけるCoの含有量が、前記第2中央部におけるCoの含有量よりも少ないとともに、
    前記WC粒子の後方散乱電子回折像システム付きの走査電子顕微鏡による電子線後方散乱回折(EBSD)法にて測定された平均KAM値の測定において、前記第1中央部における平均KAM値が、前記第2中央部における平均KAM値よりも小さい棒状体。
  2. 前記第1端部は、外周に位置する第1外周部をさらに有し、
    前記第1外周部における前記平均KAM値が、前記第1中央部における前記WC粒子の平均KAM値よりも小さい請求項1記載の棒状体。
  3. 前記第1中央部における前記平均KAM値が0.50〜0.65°であり、前記第2中央部における平均KAM値が0.75〜0.92°である請求項1又は2記載の棒状体。
  4. 前記第1中央部における前記WC粒子の平均粒径が、前記第2中央部における前記WC粒子の平均粒径よりも大きい請求項1乃至3のいずれか記載の棒状体。
  5. 前記第1中央部における前記WC粒子の平均粒径に対する、前記第2中央部における前記WC粒子の平均粒径の比率が、1.5〜4である請求項4記載の棒状体。
  6. 前記第1外周部における前記WC粒子の平均粒径が、前記第1中央部における前記WC粒子の平均粒径よりも大きい請求項4又は5記載の棒状体。
  7. 前記第1外周部における前記WC粒子の平均粒径に対する、前記第1中央部における前記WC粒子の平均粒径の比率が、1.1〜2である請求項6記載の棒状体。
  8. 前記第1中央部における前記WC粒子の平均粒径が0.3〜1.5μmであり、前記第2中央部における前記WC粒子の平均粒径が0.1〜0.9μmである請求項4乃至7のいずれか記載の棒状体。
  9. 前記第1中央部におけるCoの含有量に対する、前記前記第2中央部におけるCoの含有量の比率が、0.2〜0.7である請求項1乃至8のいずれか記載の棒状体。
  10. 前記棒状体は、前記第2端部の側に位置して、前記Coの含有量が傾斜S2Coで変化している第2領域と、前記第1端部の側に位置して、前記Coの含有量が傾斜S1Coで変化している第1領域とを有し、
    前記傾斜S1Coが、前記傾斜S2Coよりも大きい請求項1乃至9のいずれか記載の棒状体。
  11. 前記傾斜S1Coが0.2〜1質量%/mmであり、前記傾斜S2Coが0.2質量%/mm未満である請求項10記載の棒状体。
  12. WC粒子とCoとを含有する超硬合金からなり、長手方向において、切刃を有する端部Xと、シャンク側に位置する端部Yとを有する長尺状の切削工具であって、
    前記端部Xは、幅方向の中央に位置する中央部X1を有し、
    前記端部Yは、幅方向の中央に位置する中央部Y1を有し、
    前記中央部X1におけるCoの含有量が、前記中央部Y1におけるCoの含有量よりも少ないとともに、
    前記WC粒子の後方散乱電子回折像システム付きの走査電子顕微鏡による電子線後方散乱回折(EBSD)法にて測定された平均KAM値の測定において、前記X中央部における平均KAM値が、前記Y中央部における平均KAM値よりも小さい切削工具。
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