上記従来の構成では、充電または放電の開始時等において、一部の蓄電素子のみが充電または放電され、他の蓄電素子が電源または負荷から切り離された状態となる場合がある。この場合、一部の蓄電素子に過電流が流れることとなり、不具合が発生する虞がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、過電流による蓄電ユニットの不具合の発生を抑制することができる制御装置等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制御装置は、蓄電素子を備える1以上の蓄電ユニットの充電または放電を制御する制御装置であって、前記1以上の蓄電ユニットの各々の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチと、前記スイッチに制御信号を供給する制御部と、前記スイッチに外部入力信号を供給する外部入力端子とを備え、前記スイッチの各々は、前記制御信号及び前記外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチをオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、前記制御信号及び前記外部入力信号のいずれも当該スイッチをオンとする信号の場合にオンとなるオン機能、の少なくとも一方を有する。
これによれば、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチが外部入力信号によって一斉にオフとなる、または、外部入力信号によって一斉にオンとなる。よって、全ての蓄電ユニットが一斉に充電または放電を開始する、もしくは、停止することとなるため、蓄電ユニットの不具合の発生を低減することができる。
また、前記制御装置は、一の蓄電ユニットの充電または放電を制御し、さらに、他の蓄電ユニットの前記電流経路に設けられた他のスイッチに外部出力信号を出力する外部出力端子を備え、前記外部出力端子からは、前記一の蓄電ユニットの前記電流経路に設けられた一のスイッチがオンとなる場合に前記他のスイッチをオンとする前記外部出力信号が出力され、前記一のスイッチがオフとなる場合に前記他のスイッチをオフとする前記外部出力信号が出力されることにしてもよい。
これにより、一の蓄電ユニットに対応するスイッチがオフとなる場合に他の蓄電ユニットに対応する他のスイッチも連動してオフとなる。または、一の蓄電ユニットに対応するスイッチがオンとなる場合に他の蓄電ユニットに対応する他のスイッチも連動してオンとなる。したがって、全ての蓄電ユニットが連動して充電または放電することができるため、蓄電ユニットの不具合の発生を低減することができる。つまり、本構成によれば、外部出力信号により他の蓄電ユニットの電流経路に設けられた他のスイッチを制御できるため、設置現場での据付作業を簡易かつ確実に行うことができる。
また、前記1以上の蓄電ユニットのいずれかの電圧が放電終止電圧以下の場合、前記外部入力信号として、前記スイッチをオフとする信号が入力されることにしてもよい。
これにより、いずれかの蓄電ユニットの電圧が放電終止電圧以下になった場合、電流経路の各々に設けられたスイッチが一斉にオフとなる。よって、各蓄電ユニットが一斉に負荷から切り離されるため、蓄電ユニットの不具合の発生を低減することができる。
また、前記1以上の蓄電ユニットに接続される電力系統が復電した場合、前記外部入力信号として、前記スイッチをオンまたはオフとする信号が入力されることにしてもよい。
これにより、電流経路の各々に設けられたスイッチが復電時に一斉にオンまたは一斉にオフとなるため、各蓄電ユニットが一斉に電力系統に接続される、または、一斉に電力系統から切り離される。よって、復電時における蓄電ユニットの不具合の発生を低減することができる。
また、前記制御装置の電源投入後に前記スイッチをオンとすることが許可された場合、前記外部入力信号として、前記スイッチをオンとする信号が入力されることにしてもよい。
これにより、電源投入後にスイッチをオンとすることが許可されると、電流経路の各々に設けられたスイッチが一斉にオンとなるため、各蓄電ユニットが一斉に電力系統に接続される。よって、メンテナンス時または初期設定時等における蓄電ユニットの不具合の発生を低減することができる。
また、前記1以上の蓄電ユニットのいずれかが試験モードになった場合、前記試験モードになった各蓄電ユニットの電流経路に設けられた前記スイッチはオンとなることにしてもよい。
一般的に、安全性確保等の観点から、蓄電ユニットを収容する筐体の外部接続端子には、充電時または放電時を除き蓄電ユニットの電圧が出力されない。このため、蓄電ユニットの充電または放電を行う前に予め蓄電ユニットの電圧を取得することが困難である。
これに対し、試験モードとなった蓄電ユニットでは、電流経路のスイッチがオンとなることにより、当該スイッチを介して蓄電ユニットに接続される外部接続端子において、当該蓄電ユニットの電圧を測定することができる。
また、前記1以上の蓄電ユニットのいずれかに異常が生じた場合、前記異常が生じた各蓄電ユニットの電流経路に設けられた前記スイッチはオフとなることにしてもよい。
これにより、異常が生じた蓄電ユニットを電源または負荷から切り離すことができる。つまり、一部の蓄電ユニットに異常が生じた場合であっても他の蓄電ユニットが継続して充電または放電することとなり、N+1の冗長設計が図られる。
また、本発明は、上記制御装置を備える移動体として実現されてもよい。
これにより、蓄電素子に過電流が流れることによる不具合の発生を抑制できる移動体が実現される。
また、本発明は、上記制御装置としてだけでなく、蓄電装置として実現されてもよい。
つまり、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子を備える蓄電ユニットと、前記蓄電ユニットの充電または放電の電流経路に設けられたスイッチと、前記スイッチに制御信号を供給する制御部と、前記スイッチに外部入力信号を供給する外部入力端子とを備え、前記スイッチは、前記制御信号及び前記外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチをオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、前記制御信号及び前記外部入力信号のいずれも当該スイッチをオンとする信号の場合にオンとなるオン機能、の少なくとも一方を有する。
また、本発明は、上記蓄電装置を備える移動体として実現されてもよい。
これにより、蓄電素子に過電流が流れることによる不具合の発生を抑制できる移動体が実現される。
また、本発明の他の一態様に係る制御装置は、蓄電素子を備える蓄電ユニットの充電または放電を制御する制御装置であって、前記蓄電ユニットの充電または放電の電流経路に設けられたスイッチと、前記スイッチに制御信号を供給する制御部と、前記スイッチに外部入力信号を供給する外部入力端子と、他のスイッチを備える他の制御装置に外部出力信号を出力する外部出力端子とを備え、前記スイッチは、前記制御信号及び前記外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチをオフとする信号の場合にオフとなり、または、前記制御信号及び前記外部入力信号のいずれも当該スイッチをオンとする信号の場合にオンとなり、前記外部出力端子からは、前記スイッチがオンとなる場合に前記他のスイッチをオンとする前記外部出力信号が出力され、前記スイッチがオフとなる場合に前記他のスイッチをオフとする前記外部出力信号が出力される。
また、本発明は、このような制御装置を備える蓄電装置、さらには蓄電システムとして実現されてもよい。
つまり、本発明の一態様に係る蓄電装置は、上記の制御装置と、当該制御装置によって充電または放電が制御される蓄電ユニットとを備える。
また、本発明の一態様に係る蓄電システムは、上記の蓄電装置を複数備える蓄電システムであって、複数の前記蓄電装置が備える複数の前記蓄電ユニットは、並列接続され、複数の前記制御装置は、ループ状にデイジーチェーン接続され、複数の前記制御装置の各々は、前記外部入力信号として前段の前記制御装置から出力された前記外部出力信号が入力される。
また、本発明は、上記蓄電システムを備える移動体として実現されてもよい。
これにより、蓄電素子に過電流が流れることによる不具合の発生を抑制できる移動体が実現される。
また、本発明は、蓄電素子を備える1以上の蓄電ユニットの充電または放電を制御する制御方法として実現されてもよく、前記1以上の蓄電ユニットの各々の充電または放電の電流経路には、スイッチが設けられ、前記スイッチに制御信号を供給するステップと、前記スイッチに外部入力信号を供給するステップと、前記制御信号及び前記外部入力信号の少なくとも一方が前記スイッチをオフとする信号の場合に当該スイッチがオフとなるオフ機能、及び、前記制御信号及び前記外部入力信号のいずれも前記スイッチをオンとする信号の場合に当該スイッチがオンとなるオン機能、の少なくとも一方を実行するステップとを含む。
また、複数の蓄電素子を備える蓄電装置において、従来、これら複数の蓄電素子を並列に接続する構成が知られている(例えば、特許文献2:特開2013−240142号公報参照)。この蓄電装置においては、並列に接続された蓄電素子間に、選択的に接続または非接続とされる抵抗が設けられている。
ここで、複数の蓄電素子が並列に接続される際には、蓄電素子間に電流(横流)が流れる場合があり、特にこの横流が大きい場合には、蓄電素子の劣化等の不具合が生じる虞がある。
上記従来の構成では、蓄電素子同士の電圧が均等でない場合に、蓄電素子間の抵抗を介して蓄電素子同士を接続することにより、例えば蓄電素子同士の電圧の均一化を図る(いわゆるプリチャージをする)ことができる。よって、複数の蓄電素子を並列に接続する際の過大な横流を抑制することが可能である。
しかしながら、上記従来の構成では、蓄電装置を負荷に接続する際の蓄電素子の充電または放電の電流経路と並列に、例えばプリチャージ用の抵抗を有するバイパス回路を別途設けることが必要となるため、構成が複雑になるという問題がある。
本発明の一態様に係る制御装置は、並列に複数設けられた蓄電素子(すなわち、並列に複数設けられた蓄電ユニット)の充電または放電を制御する制御装置であって、前記蓄電素子の充電または放電の電流経路に設けられ、通過する電流を制限する電流制限部と、前記電流経路の電圧と異なる情報から得られた当該電流経路の電流量を用いて、前記電流制限部を通過する電流が所定量以下となるように前記電流制限部を制御する制御部とを備える。
このように、充電または放電の電流経路に設けられた電流制限部を通過する電流が所定量以下となるように制御することにより、当該電流経路と並列に、例えばプリチャージ用の抵抗を有するバイパス回路を設けることなく、過大な横流を抑制することができる。よって、簡易な構成で、複数の蓄電素子を並列に接続する際に過大な横流が流れることを抑制できる。
また、前記制御部は、非接触式の電流センサによって得られた前記電流経路の電流量を取得し、取得した前記電流経路の電流量を用いて前記電流制限部を制御することにしてもよい。
このように非接触式の電流センサを用いることにより、電流経路を流れる電流のロスを抑制しつつ、当該電流経路の電流量を取得することができる。このため、蓄電素子の高出力化を図ることができる。
また、前記制御部は、前記電流経路の電流量が前記所定量を超えているか否かを判断し、超えている場合に前記電流制限部を通過する電流が前記所定量以下となるように制御することにしてもよい。
これにより、電流制限部による過剰な電流制限を抑制できる。よって、並列に接続された蓄電素子同士の電圧の均一化に要する時間(プリチャージに要する時間)の短縮化が図られる。
また、前記制御装置は、さらに、前記電流経路において前記電流制限部と直列に設けられ、オンとオフとが切り替えられるスイッチを備えることにしてもよい。
このように、当該電流経路において電流制限部と直列に設けられたスイッチを備えるため、過充電保護または過放電保護の冗長設計が図られる。つまり、蓄電素子の安全性を確保する構成を冗長構成にすることができる。
また、前記制御部は、さらに、前記電流制限部の温度が所定温度を越えている場合、前記スイッチをオフにすることにしてもよい。
このように、電流制限部の温度が所定温度を越えている場合にスイッチをオフにすることにより、例えば電流制限部に異常が生じた場合であっても横流を遮断することができる。よって、安全性を一層確保することができる。
また、前記制御部は、前記電流制限部を通過する電流が前記所定量以下の定電流となるように制御することにしてもよい。
ここで、並列に接続された蓄電素子同士に流れる横流は、蓄電素子同士の電圧が均一化するにしたがって次第に小さくなる。このため、例えばプリチャージされている蓄電素子における電圧変化は次第に鈍くなる。これに対して、電流制限部を通過する電流が定電流となるように制御することにより、当該プリチャージされている蓄電素子における電圧変化をプリチャージ完了まで一定にすることができる。このため、プリチャージに要する時間の短縮化が図られる。
また、前記電流制限部は、前記電流経路に設けられた半導体素子を有し、前記制御部は、前記半導体素子をリニア領域で動作させることにより、前記電流制限部を通過する電流が前記所定量以下となるように制御することにしてもよい。
このように、半導体素子をリニア領域で動作させることにより、当該電流が所定量以下となるように制御するため、例えば、プリチャージ用の専用の抵抗を設ける必要がない。これにより、構成の簡素化が図られる。
また、前記半導体素子は、FET(Field effect transistor)であることにしてもよい。
このように、半導体素子としてFETを用いることにより、簡易な構成で過大な横流を抑制することができる。
また、本発明は、上記制御装置を備える移動体として実現されてもよい。
これにより、蓄電素子に過電流が流れることによる不具合の発生を抑制できる移動体が実現される。
また、本発明は、上記制御装置としてだけでなく、それを備える蓄電装置として実現されてもよい。
つまり、本発明の一態様に係る蓄電装置は、上記の制御装置と、当該制御装置によって充電または放電が制御される蓄電素子とを備える。
また、本発明は、並列に複数設けられた蓄電素子(すなわち、並列に複数設けられた蓄電ユニット)の充電または放電を制御する制御方法として実現されてもよく、前記蓄電素子の充電または放電の電流経路の電圧と異なる情報から得られた当該電流経路の電流量を取得するステップと、取得された前記電流量を用いて、前記電流経路を通過する電流を所定量以下に制限するステップとを含む。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る充電または放電を制御する制御装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ及びその順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、蓄電装置の説明のための図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
また、以下では、各々に制御装置が搭載された複数の蓄電装置を備える蓄電システムについて説明する。なお、以下では、充電または放電を‘充放電’と称し、充電の電流経路または放電の電流経路を‘充放電電流経路’または単に‘電流経路’と称する場合がある。つまり、以下、‘充放電’とは充電及び放電の少なくとも一方を意味し、‘充放電電流経路’または‘電流経路’とは充電電流及び放電電流の少なくとも一方の電流経路を意味する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る蓄電システムの構成について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る蓄電システム1000の全体外観図を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る蓄電システム1000の機能構成を示すブロック図である。
なお、図1では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。例えば、X軸方向が上下方向になってもかまわない。以下の図においても、同様である。
蓄電システム1000は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができるシステムである。本実施の形態では、蓄電システム1000は、電源2000等の電力系統及び負荷3000に接続されており、電源2000からの電気を充電し、負荷3000へ電気を放電する。蓄電システム1000は、複数の蓄電装置1(本実施の形態では3つの蓄電装置1A〜1C)を備え、例えば、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される。具体的には、蓄電システム1000は、例えば自動車、自動二輪車、電車、船舶、AGV(無人搬送車)、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体に用いられ、例えば当該移動体のエンジン始動用バッテリーとして用いられる。なお、蓄電装置1の数は、2以上であれば、どのような数であってもかまわない。
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる、例えば蓄電モジュールである。中でも、本実施の形態に係る蓄電装置1は、据置用の電源装置として好適に使用される。この蓄電装置1は、蓄電ユニット40と、当該蓄電ユニット40の充電または放電を制御する制御装置90とを備えている。つまり、本実施の形態では、制御装置90は、1以上の蓄電ユニット40(本実施の形態では3つの蓄電ユニット40)うち一の蓄電ユニット40の充電または放電を制御する。言い換えると、本実施の形態では、1以上の蓄電ユニット40の各々について制御装置90が設けられている。
蓄電ユニット40は、電力を充電または放電することができる電池ユニットである。本実施の形態では、蓄電ユニット40は、直列に接続された1以上の蓄電素子41を備える。複数の蓄電装置1が備える複数の蓄電ユニット40は、電源線3によって並列に接続されている。
制御装置90は、蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチ91を有し、当該スイッチ91をオン及びオフすることで蓄電ユニット40の充放電を制御する。複数の蓄電装置1が備える複数の制御装置90は、RS−232用ケーブル、RS−485用ケーブル等の通信線2によってループ状にデイジーチェーン接続されている。なお、通信線2の規格は特に限定されず、シリアル通信用のケーブルであってもかまわないし、パラレル通信用のケーブルであってもかまわない。制御装置90の詳細な機能構成については、後述する。
次に、蓄電装置1の構成について、図3を用いて図1を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図1及び図3に示すように、蓄電装置1は、外装体本体100と前壁部200と上壁部300とからなる外装体10を備えている。また、図3に示すように、蓄電装置1は、外装体10の内方に、底面側配置部材20と、蓄電素子41と、端子側配置部材50と、バスバー60と、配線基板70と、計測基板81と、主回路基板82とを備えている。
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱型)の容器(モジュールケース)である。外装体10は、蓄電素子41や基板(配線基板70、計測基板81及び主回路基板82)などを所定の位置に配置し、蓄電素子41や当該基板などを衝撃などから保護する。外装体10は、例えば、アルミニウムや鉄等の金属などの剛性の高い材料により構成されている。なお、外装体10は、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の樹脂材料により構成されていてもかまわない。
外装体本体100は、外装体10の本体を構成する部材であり、矩形状の底壁と、当該底壁から立設した3つの矩形状の側壁とを有している。外装体本体100は、板状の部材を折り曲げた形状を有している。また、前壁部200は、外装体10のもう1つの側壁を構成する矩形状かつ板状の部材である。つまり、外装体本体100と前壁部200とで、有底矩形筒状の部材を形成する。前壁部200には、蓄電装置1の外部接続端子201(端子台)が設けられている。なお、前壁部200の外面に、取っ手が設けられていてもかまわない。これにより、蓄電装置1の取り外しや移動(持ち運び)などを容易に行うことができる。
上壁部300は、外装体10の上壁(蓋)を構成する部材であり、外装体本体100及び前壁部200からなる有底矩形筒状の部材の開口を塞ぐ矩形状かつ板状の部材である。つまり、外装体本体100及び前壁部200の内方に、蓄電素子41や基板(配線基板70、計測基板81及び主回路基板82)等が配置された状態で、当該開口部が上壁部300で閉止される。
底面側配置部材20は、蓄電素子41の底面側に配置される扁平な矩形状の部材であり、蓄電素子41を下方から支持する。つまり、底面側配置部材20は、外装体本体100の底壁に載置されて当該底壁に取り付けられて固定され、蓄電素子41を外装体10に対して所定位置で支持する。
具体的には、底面側配置部材20は、絶縁性の材料により構成されており、上面に形成された凹部に蓄電素子41が挿入されて、蓄電素子41を外装体10内で固定する。このようにして、底面側配置部材20は、蓄電素子41が外装体10等の導電性の部材に接触することを回避するとともに、蓄電素子41等を振動や衝撃等から保護する。
なお、底面側配置部材20は、どのような絶縁性の材料で形成されていてもかまわないが、例えばガラス繊維によって強化されたポリブチレンテレフタレート(GF強化PBT)や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性の高い樹脂で形成されるのが好ましい。これにより、蓄電素子41が発熱した場合でも、底面側配置部材20が損傷して他の蓄電素子41に影響を及ぼすのを抑制することができる。なお、蓄電素子41の絶縁性を確保できるのであれば、底面側配置部材20は、絶縁性の材料で形成されていなくともかまわない。
蓄電素子41は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。本実施の形態では、外装体10内に13個の蓄電素子41が収容されているが、空いたスペースにもう1つの蓄電素子41を追加して、14個の蓄電素子41が収容された構成でもかまわない。または、蓄電素子41の個数は、上記以外の複数個であってもかまわないし、1つの蓄電素子41しか収容されていない構成でもかまわない。また、蓄電素子41は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
端子側配置部材50は、蓄電素子41の電極端子側に配置される扁平な矩形状の部材であり、蓄電素子41を上方から支持する。つまり、端子側配置部材50は、蓄電素子41の上方に配置されており、底面側配置部材20とともに、蓄電素子41を上下両側(Z軸方向)から挟み込むことで、蓄電素子41を外装体10に対して所定位置で支持する。
具体的には、端子側配置部材50は、絶縁性の材料により構成されており、下面に形成された凹部に蓄電素子41が挿入されて、蓄電素子41を外装体10内で固定する。このようにして、端子側配置部材50は、蓄電素子41が外装体10等の導電性の部材に接触することを回避するとともに、蓄電素子41等を振動や衝撃等から保護する。
また、端子側配置部材50には、バスバー60及び配線基板70が載置される。つまり、端子側配置部材50は、バスバー60及び配線基板70を蓄電素子41に取り付ける際の蓄電素子41に対する位置決めの機能も有する。なお、端子側配置部材50は、どのような絶縁性の材料で形成されていてもかまわないが、コスト面等から、例えばポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)またはABS樹脂等の樹脂で形成されるのが好ましい。なお、蓄電素子41やバスバー60等の絶縁性を確保できるのであれば、端子側配置部材50は、絶縁性の材料で形成されていなくともかまわない。
バスバー60は、端子側配置部材50の上方に配置され、複数の蓄電素子41同士を電気的に接続する金属など導電性の板状部材である。具体的には、バスバー60は、隣接する蓄電素子41において、一の蓄電素子41の正極端子または負極端子と、他の蓄電素子41の負極端子または正極端子とを接続する。本実施の形態では、バスバー60は、13個の蓄電素子41を直列に接続する。このように、バスバー60によって直列に接続された1以上の蓄電素子41(本実施の形態では13個の蓄電素子41)によって蓄電ユニット40が構成されている。
配線基板70は、端子側配置部材50の上方に配置されている。また、蓄電素子41の電圧を検出するために、配線基板70は、蓄電装置1が備える蓄電素子41のうちの少なくとも1つの蓄電素子41の電極端子(本実施の形態では、全ての蓄電素子41の正極端子)に一端が接続された配線を有している。また、配線基板70は、矩形状を有しており、蓄電素子41の正極端子と負極端子との間に配置される。本実施の形態では、2枚の配線基板70が配置されているが、配線基板70の枚数は限定されない。また、配線基板70に代えて、ハーネス等を用いることもできるが、配線基板70を用いて電極端子と計測基板81とを接続することにより、配線の引き回しが容易となり、組付性が向上する。なお、配線基板70は、サーミスタを実装し、蓄電素子41の温度を検出することができる構成を有していてもかまわない。
計測基板81及び主回路基板82は、上述の制御装置90を構成する回路基板である。計測基板81及び主回路基板82は、蓄電素子41と外装体10の側壁との間に配置され、かつ、蓄電装置1が備える蓄電素子41のうちの少なくとも1つの蓄電素子41と接続されて、蓄電素子41の状態を計測及び制御する。
具体的には、主回路基板82は、大電流が流れる主回路部品を実装した基板であり、蓄電素子41の容器の短側面に対向する外装体10の側壁の内面に固定される。主回路基板82には、上述のスイッチ91が搭載され、本実施の形態では、蓄電ユニット40の充放電電流経路を形成する正の電源線61及び負の電源線62のうち、負の電源線62に接続されている。ここで、正の電源線61は、一方の端部の蓄電素子41の正極端子に電気的に接続される電源線であり、負の電源線62は、他方の端部の蓄電素子41の負極端子に接続される電源線である。
また、計測基板81は、小電流が流れる周辺回路部品を実装した基板であり、蓄電素子41の容器の長側面に対向する外装体10の側壁の内面に固定される。この計測基板81は、配線基板70を介して蓄電素子41と接続されるとともに、主回路基板82と、外部機器とに接続される。計測基板81には、外部入力端子83と外部出力端子84とが設けられている。
外部入力端子83は、スイッチ91に外部入力信号を供給するコネクタである。本実施の形態では、外部入力端子83には、3つの蓄電ユニット40のいずれかの電圧が放電終止電圧以下の場合、外部入力信号として、スイッチ91をオフとする信号が入力される。また、外部入力端子83には、3つの蓄電ユニット40に接続される電力系統(本実施の形態では電源2000)が復電した場合、外部入力信号として、スイッチ91をオンとする信号が入力される。
外部出力端子84は、他のスイッチ91を備える他の制御装置90に外部出力信号を出力するコネクタである。この外部出力端子84からは、一のスイッチ91(自身の制御装置90のスイッチ91)がオンとなる場合に他のスイッチ91(他の制御装置90のスイッチ91)をオンとする外部出力信号が出力され、当該一のスイッチ91がオフとなる場合に他のスイッチ91をオフとする外部出力信号が出力される。
本実施の形態では、一の蓄電ユニット40(自身の制御装置90に対応する蓄電ユニット40)の電圧が放電終止電圧以下の場合、外部出力端子84からは、他のスイッチ91をオフとする外部出力信号が出力される。また、蓄電ユニット40に接続される電源2000が復電した場合、外部出力端子84からは、他のスイッチ91をオンとする外部出力信号が出力される。また、蓄電ユニット40に異常が生じた場合、外部出力端子84からは、他のスイッチ91をオンとする外部出力信号が出力される。
外部入力端子83及び外部出力端子84は、複数の蓄電装置1の複数の制御装置90をループ状にデイジーチェーン接続する通信線2を介して、他の蓄電装置1の外部入力端子83及び外部出力端子84と接続される。具体的には、一の蓄電装置1の外部入力端子83は、通信線2を介して、前段の蓄電装置1の外部出力端子84と接続される。また、一の蓄電装置1の外部出力端子84は、通信線2を介して、後段の蓄電装置1の外部入力端子83と接続される。
したがって、それぞれの制御装置90には、外部入力信号として前段の制御装置90から出力された外部出力信号が入力される。
次に、制御装置90の詳細な構成について、説明する。
図4は、本実施の形態に係る制御装置90の機能構成を示すブロック図である。図5は、本実施の形態に係る制御装置90の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。なお、図4及び図5には、蓄電ユニット40も併せて図示されている。
制御装置90は、蓄電素子41を備える蓄電ユニット40の充放電を制御する装置である。図4に示すように、制御装置90は、スイッチ91と、制御部92と、外部入力端子83と、外部出力端子84とを備える。また、図5に示すように、本実施の形態では、制御装置90は、さらに、大電流が流れる主回路部品側との絶縁性を確保しつつ信号を伝達するフォトカプラ931〜936と、フォトカプラ933〜936の発光ダイオードを発光させるトランジスタ941〜944とを備える。
スイッチ91は、蓄電ユニット40の充放電電流経路であって、外部接続端子201を介して電源線3に接続されている電源線62に設けられている。このスイッチ91は、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチ91をオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチ91をオンとする信号の場合にオンとなるオン機能、の少なくとも一方(本実施の形態では両方)を有する。このオフ機能及びオン機能は、例えば、図5に示すスイッチ91周辺の回路構成によって実現される。また、本実施の形態では、3つの蓄電ユニット40のいずれかに異常が生じた場合、異常が生じた各蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチ91はオフとなる。
以下、スイッチ91をオンとする信号をオン信号、スイッチ91をオフとする信号をオフ信号と称する場合がある。
図5に示すように、スイッチ91は、例えば、電源線62に直列に挿入されたスイッチ911〜913を備える。よって、スイッチ911〜913の少なくとも1つがオフとなる場合にスイッチ91はオフとなり、スイッチ911〜913全てがオンとなる場合にスイッチ91はオンとなる。
スイッチ911〜913の各々は、例えば、ゲートに供給される電圧に応じてオン及びオフするFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)、及び、当該FETに並列に接続されたダイオードによって構成される。
スイッチ911は、制御信号、外部入力信号及び放電信号の少なくとも一方がオフ信号の場合にオフとなり、いずれもオン信号の場合にオンとなる放電スイッチである。具体的には、スイッチ911は、n型のFET911aと、当該FET911aのソース−ドレイン間に放電電流に対して逆方向に接続されたダイオード911bとを有する。
スイッチ912は、制御信号、外部入力信号及び充電信号の少なくとも一方がオフ信号の場合にオフとなり、いずれもオン信号の場合にオンとなる充電スイッチである。具体的には、スイッチ912は、n型のFET912aと、当該FET912aのソース−ドレイン間に充電電流に対して逆方向に接続されたダイオード912bとを有する。
スイッチ913は、充電信号がオフ信号の場合にオフとなり、オン信号の場合にオンとなる充電スイッチである。スイッチ913は、スイッチ912と同様に構成され、n型のFET913aとダイオード913bとを有する充電スイッチである。
本実施の形態では、充電スイッチ(スイッチ912、913)は、放電スイッチ(スイッチ911)に比べて冗長に設けられている。一般的に、安全性確保の観点から、蓄電装置では蓄電素子の過充電を抑制することが重要である。このため、充電スイッチを冗長に設けることにより、蓄電素子41の過充電を抑制できる。なお、充電スイッチは冗長に設けられていなくてもかまわないし、充電スイッチと放電スイッチとが一体に設けられていてもかまわない。また、放電スイッチ及び充電スイッチの各々は、1つのFETによって構成されていてもかまわないし、並列に接続された複数のFET(例えば5つのFET)によって構成されていてもかまわない。
なお、スイッチ91は、充電電流及び放電電流を遮断できるものであればよく、n型のFETによって構成されていなくてもよい。例えば、スイッチ91は、p型のFETによって構成されていてもかまわないし、電流によってオン及びオフするバイポーラトランジスタによって構成されていてもかまわないし、リレー接点またはMCCB(Molded Case Circuit Breaker:配線用遮断器)によって構成されていてもかまわない。ただし、通常の充放電時における制御部92等の消費電力を削減する観点から、スイッチ91は、ロー電圧の場合にオンとなる構成が好ましい。
ここで、本実施の形態では、蓄電ユニット40は、正極側が接地されており、スイッチ91は、蓄電ユニット40に接続される正の電源線61及び負の電源線62のうち、負の電源線62に設けられている。このため、本実施の形態に係る蓄電システム1000は、正極側が接地されて用いられる移動体通信用の基地局等の通信用の蓄電システムとして有用である。なお、スイッチ91は、蓄電ユニット40の充放電電流経路に設けられていればよく、正の電源線61に設けられていてもかまわない。
制御部92は、スイッチ91に制御信号を供給する。本実施の形態では、制御部92は、図5に示すように、スイッチ911〜913に、制御信号と放電信号と充電信号とを供給する。制御部92は、その少なくとも一部が、例えば、制御プログラムを保持するROM(Read Only Memory)等のメモリと、その制御プログラムを実行するプロセッサとを備える、CPU(Central Processing Unit)等の1チップマイクロコンピュータである。
本実施の形態では、図4に示すように、制御部92は、終止電圧判定部191と、復電判定部192と、異常判定部193とを備える。
制御部92は、終止電圧判定部191によって蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下と判定された場合、スイッチ91をオフとする制御信号を出力する。本実施の形態では、当該場合、制御部92は、制御信号、放電信号及び充電信号の各々をオフ信号とすることにより、フォトカプラ931〜936の発光ダイオードが発光して電流が流れることにより、スイッチ911〜913がオフとなる。また、当該場合、外部出力端子84から出力される外部出力信号はオフ信号となる。
また、制御部92は、復電判定部192によって、蓄電ユニット40に接続される電力系統が復電したと判定された場合、スイッチ91をオンとする制御信号を出力する。本実施の形態では、当該場合、制御部92が制御信号、放電信号及び充電信号の各々をオン信号とすることにより、フォトカプラ933〜936の発光ダイオードが発光して電流が流れるため、スイッチ913がオンとなる。また、当該場合、外部入力信号がオン信号であれば、フォトカプラ931、932の発光ダイオードが発光して電流が流れるため、スイッチ911、912もオンとなり、外部出力端子84から出力される外部出力信号もオン信号となる。一方、当該場合、外部入力信号がオフ信号であれば、フォトカプラ931、932の発光ダイオードが発光しないため、スイッチ911、912はオフとなり、外部出力端子84から出力される外部出力信号もオフ信号となる。
また、制御部92は、異常判定部193によって蓄電ユニット40に異常が生じたと判定された場合、スイッチ91をオフとする制御信号を出力する。本実施の形態では、当該場合、制御部92が制御信号をオン信号としつつ、放電信号及び充電信号の各々をオフ信号とすることにより、フォトカプラ933〜934の発光ダイオードが発光しないため、スイッチ911〜913はいずれもオフとなる。また、当該場合、外部出力信号は、制御信号及び外部入力信号のうち外部入力信号のみに依存する。つまり、外部入力信号がオフ信号であれば外部出力信号もオフ信号となり、外部入力信号がオン信号であれば外部出力信号もオン信号となる。
終止電圧判定部191は、蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下であるか否かを判定する。ここで、放電終止電圧とは、安全に放電を行うことができる蓄電ユニット40の最小電圧である。終止電圧判定部191は、例えば、配線基板70を介して蓄電素子41の電圧を検出することにより、蓄電ユニット40の電圧を測定する。なお、蓄電ユニット40の電圧を測定する手法は特に限定されず、外部接続端子201の電圧を測定してもかまわない。
復電判定部192は、蓄電ユニット40に接続される電力系統が復電したか否かを判定する。復電判定部192は、例えば、外部接続端子201の電圧を測定し、測定した電圧が所定の電圧以上の場合に電力系統が復電したと判定する。なお、復電を判定する手法は特に限定されず、系統に設けられたMCCBの遮断および開放を検出することにより判定してもかまわない。
異常判定部193は、蓄電ユニット40に異常が生じているか否かを判定する。ここで、蓄電ユニット40に生じる異常とは、例えば、過負荷または短絡等による過電流や、蓄電素子41の許容温度以上の発熱などである。異常判定部193は、例えば、電源線62に設けられたホール素子(不図示)を用いて電源線62に流れる電流量を検出し、検出した電流量が所定量以上の場合、蓄電ユニット40に異常が生じていると判定する。また、異常判定部193は、例えば、配線基板70に実装されたサーミスタ(不図示)を用いて蓄電素子41の温度を検出し、検出した温度が所定温度以上の場合、蓄電ユニット40に異常が生じていると判定する。
次に、本実施の形態に係る制御装置90の動作について、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、本実施の形態に係る制御装置90の動作を示すフローチャートである。図6Bは、図6AのステップS30における詳細な動作を示すフローチャートである。
図6Aに示すように、まず、スイッチ91に制御信号を供給する(S10)。本実施の形態では、制御部92が、制御信号と放電信号と充電信号とをスイッチ91に供給する。
そして、スイッチ91に外部入力信号を供給する(S20)。本実施の形態では、通信線2を介して前段の蓄電装置1の外部出力端子84と接続された外部入力端子83が、外部入力信号をスイッチ91に供給する。
その後、スイッチ91をオフとするオフ機能、及び、スイッチ91をオンとするオン機能、の少なくとも一方を実行する(S30)。具体的には、図6Bに示すように、ステップS30では、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチ91をオフとする信号の場合(S31で「少なくとも一方がオフ信号」の場合)に、スイッチ91をオフとするオフ機能を実行する(S32)。このとき、外部出力端子84からは、外部出力信号としてオフ信号が出力される。一方、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチ91をオンとする信号の場合(S31で「いずれもオン信号」の場合)に、スイッチ91をオンとするオン機能を実行する(S33)。このとき、外部出力端子84からは、外部出力信号としてオン信号が出力される。
以下、本実施の形態に係る蓄電システム1000において、各蓄電装置1の制御装置90が奏する効果について、図7〜図11を用いて具体例を述べつつ説明する。なお、これらの図では、充電電流及び放電電流の直感的な理解を容易にするため、制御装置90が蓄電ユニット40の正の電源線61に設けられていることとして説明する。このため、これらの図では、図5と比べて、充電電流及び放電電流の流れる方向が反対方向となっている。
まず、電源2000(電源系統)の停電時において、蓄電システム1000が奏する効果について説明する。
図7及び図8は、本実施の形態において、停電時の蓄電システム1000の状態を模式的に示す図である。
図7に示すように、電源2000が停電すると、蓄電システム1000は負荷3000に電力を供給する。つまり、蓄電システム1000は、電源2000の停電時に電力のバックアップを行う。このとき、複数の蓄電装置1のそれぞれのスイッチ91はオンとなっているため、並列に接続された複数の蓄電ユニット40の各々から負荷3000へと放電電流が流れることとなる。
その後、負荷3000への電力供給が継続すると、図8に示すように、蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となる蓄電装置1(ここでは蓄電装置1B)が現れる。このとき、当該蓄電装置1Bの制御装置90では、スイッチ91がオフとなるとともに、外部出力信号としてオフ信号が出力される。
これにより、外部入力信号として蓄電装置1Bの制御装置90から出力された外部出力信号が入力される蓄電装置1Cの制御装置90では、スイッチ91がオフとなる。さらに、蓄電装置1Cの制御装置90では、外部出力信号としてオフ信号が出力される。
これにより、蓄電装置1Cから出力された外部出力信号が入力される蓄電装置1Aにおいても、スイッチ91がオフとなり、外部出力信号としてオフ信号が出力される。
したがって、本実施の形態に係る蓄電システム1000では、複数の蓄電装置1のうち蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となる蓄電装置1が1つでもあれば、全ての蓄電装置1の蓄電ユニット40からの放電電流が連動して停止する。
ここで、複数の蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となるタイミングは、蓄電ユニット40の容量のバラつき等の影響により、互いに異なるタイミングとなり得る。このため、複数の蓄電ユニット40からの放電電流が連動して停止せずに、各々の蓄電ユニット40の電圧が放電電流以下となる独立のタイミングで停止する場合、次のような問題が生じる虞がある。
つまり、各々の蓄電ユニット40からの放電電流が独立のタイミングで停止する場合、容量の小さい蓄電ユニット40から放電電流が順次停止する。ここで、負荷3000に供給される電流は一定であることが好ましいため、放電電流が停止される蓄電ユニット40が増えるに伴い、当該蓄電ユニット40と並列に接続された他の蓄電ユニット40の電流分担が大きくなる。つまり、他の蓄電ユニット40からの放電電流の電流量が増加する。
したがって、複数の蓄電ユニット40のうち放電終止電圧以下となるタイミングが最も遅い蓄電ユニット40では、他の蓄電ユニット40が供給していた放電電流の合計量に相当する非常に大きな電流(過電流)が流れることとなり、過電流による不具合が発生する虞がある。
例えば、10個の蓄電ユニットが並列に接続された蓄電システムにおいて、定格時に1並列あたり40Aの放電電流が流れる場合、放電終止電圧以下となるタイミングが最も遅い蓄電ユニットでは、蓄電ユニットで許容され得る最大電流(例えば80A)を超える400Aの放電電流(過電流)が流れてしまう。
これに対して、本実施の形態によれば、蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となる蓄電装置1があれば、全ての蓄電装置1からの放電電流が連動して停止するため、過電流による不具合の発生を低減することができる。
また、本実施の形態における制御装置90では、外部入力端子83から供給される外部入力信号が、制御部92等に入力されることなく、スイッチ91をオン及びオフをするための信号となっている。これにより、外部入力信号のオン信号からオフ信号への切り替えからスイッチ91がオンからオフに切り替わるのに要する時間を非常に短時間(例えば数十μS程度)とすることができる。なお、オフからオンに切り替わる際も同様である。
具体的には、例えば、外部入力信号がCPU等に入力されてコンピュータ上で何らかの処理が行われた後にスイッチ91をオン及びオフするための信号として供給される場合、外部入力信号の切り替えからスイッチ91の切り替えに要する時間は比較的長い時間(例えば数十mS)となる。
これに対して、本実施の形態では、外部入力信号がコンピュータ上で処理されることなくスイッチ91をオン及びオフする信号となっているため、外部入力信号の切り替えからスイッチ91の切り替えに要する時間を非常に短時間とすることができる。よって、過電流が流れ得る時間の大幅な短縮化が図られる。このため、過電流による不具合の発生を大幅に低減することができる。
次に、電源2000(電源系統)の復電時において、蓄電システム1000が奏する効果について説明する。
図9及び図10は、本実施の形態において、復電時の蓄電システム1000の状態を模式的に示す図である。
まず、復電前の状態では、複数の蓄電装置1のそれぞれのスイッチ91はオフとなっている。その後、図9に示すように、電源2000が停電から復電すると、制御装置90によって復電したと判定される蓄電装置1(ここでは蓄電装置1C)が現れる。ここで、当該蓄電装置1Cでは、蓄電装置1Bから出力された外部出力信号が外部入力信号として入力されており、当該外部出力信号はオフ信号となっている。このため、復電を検出した蓄電装置1Cにおいても、スイッチ91はオフのままとなっている。
その後、図10に示すように、他の蓄電装置(ここでは蓄電装置1A、1B)全ての制御装置90が復電したと判定すると、全ての蓄電装置1の各々から出力される外部出力信号がオン信号となることにより、全ての蓄電装置1のスイッチ91がオンとなる。
このように、本実施の形態に係る蓄電システム1000では、復電時に、全ての蓄電装置1の蓄電ユニット40で連動して充電電流の供給が開始される。
ここで、複数の蓄電ユニット40について、接続される電力系統が復電したと判定されるタイミングは、蓄電装置1を構成するアナログ素子の特性のバラつき等の影響により、互いに異なるタイミングとなり得る。このため、複数の蓄電ユニット40への充電電流の供給が連動して開始されずに、各々の蓄電ユニット40に接続される電力系統が復電したと判定される独立のタイミングで開始される場合、次のような問題が生じる虞がある。
つまり、各々の蓄電ユニット40への充電電流の供給が独立のタイミングで開始される場合、複数の蓄電ユニット40のうち復電したと判定されるタイミングが最も早い蓄電ユニット40では、他の蓄電ユニット40に供給されるべき充電電流の合計量に相当する非常に大きな電流(過電流)が流れることとなり、過電流による不具合が発生する虞がある。
これに対して、本実施の形態によれば、全ての蓄電装置1で復電したと判定されるまで充電電流の供給は停止され、全ての蓄電装置1で復電したと判定されると充電電流の供給が連動して開始される。このため、過電流による不具合の発生を低減することができる。
次に、蓄電装置1の異常発生時において、蓄電システム1000が奏する効果について説明する。なお、以下では、電源2000の停電時において蓄電装置1Aで異常が発生した場合について説明するが、電源2000が停電していないときに異常が発生した場合、または、他の蓄電装置1で異常が発生した場合についても、同様の効果が奏される。
図11は、本実施の形態において、異常発生時の蓄電システム1000の状態を模式的に示す図である。
制御装置90によって異常が発生したと判定された蓄電装置1(ここでは蓄電装置1A)では、スイッチ91はオフとなり、外部出力信号はオン信号となる。このため、蓄電装置1Aから出力された外部出力信号が外部入力信号として入力される蓄電装置1Bでは、スイッチ91はオンのままとなっており、外部出力信号もオン信号のままとなっている。よって、蓄電装置1A以外の蓄電装置1B、1Cでは、スイッチ91はオンのままとなる。したがって、異常が発生した蓄電ユニット40のみ放電電流を停止することができる。
このように、本実施の形態に係る蓄電システム1000では、異常が発生した蓄電ユニット40を負荷3000から切り離しつつ、他の蓄電ユニット40によって継続して放電することができる。
以上のように、本実施の形態では、蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路(本実施の形態では、負の電源線62)に設けられたスイッチ91は、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチ91をオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチ91をオンとする信号の場合にオンとなるオン機能、の少なくとも一方(本実施の形態では両方)を有する。
これによれば、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチ91が外部入力信号によって一斉にオフとなる、または、外部入力信号によって一斉にオンとなる。よって、全ての蓄電ユニット40が一斉に充電または放電を開始する、または、停止することとなるため、蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
また、本実施の形態では、制御装置90が一の蓄電ユニット40の充電または放電を制御し、外部出力端子84からは、スイッチ91がオンとなる場合に他の制御装置90のスイッチ91をオンとする外部出力信号が出力され、スイッチ91がオフとなる場合に他の制御装置90のスイッチ91をオフとする外部出力信号が出力される。
これにより、一の蓄電ユニット40に対応するスイッチ91がオフとなる場合に他の蓄電ユニット40に対応する他のスイッチ91も連動してオフとなる。または、一の蓄電ユニット40に対応するスイッチ91がオンとなる場合に他の蓄電ユニット40に対応する他のスイッチ91も連動してオンとなる。したがって、全ての蓄電ユニット40が連動して充電または放電することができるため、蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。つまり、本構成によれば、外部出力信号により他の蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられた他のスイッチ91を制御できるため、設置現場での据付作業を簡易かつ確実に行うことができる。
具体的には、本実施の形態によれば、1以上の蓄電ユニット40のいずれかの電圧が放電終止電圧以下の場合、外部入力信号として、スイッチ91をオフとする信号が入力される。これにより、いずれかの蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下になった場合、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチ91が一斉にオフとなる。よって、各蓄電ユニット40が一斉に負荷3000から切り離されるため、蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
また、本実施の形態によれば、1以上の蓄電ユニット40に接続される電力系統(本実施の形態では電源2000)が復電した場合、外部入力信号として、スイッチ91をオンとする信号が入力される。これにより、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチ91が復電時に一斉にオンとなるため、各蓄電ユニット40が一斉に電力系統に接続される。よって、復電時における蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
なお、当該電力系統が復電した場合、外部入力信号として、スイッチ91をオフとする信号が入力されてもかまわない。これにより、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチ91が復電時に一斉にオフとなるため、各蓄電ユニット40が一斉に電力系統から切り離される。このため、短時間の停電を経た後の復電時に生じ得る蓄電ユニット40の過充電等の不具合の発生を低減することができる。
また、本実施の形態によれば、異常が生じた蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチ91がオフとなる。これにより、異常が生じた蓄電ユニット40を電源2000または負荷3000から切り離しつつ、他の全ての蓄電ユニット40が一斉に充電もしくは放電を開始する、または、停止することとなるため、蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。つまり、一部の蓄電ユニット40に異常が生じた場合であっても他の蓄電ユニット40が継続して充放電することとなり、N+1の冗長設計が図られる。
また、本実施の形態では、複数の蓄電装置1の各々は、制御装置90と、制御装置90によって充電または放電が制御される蓄電ユニット40とを備える。各制御装置90は次のように構成されている。すなわち、制御装置90は、蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチ91と、スイッチ91に制御信号を供給する制御部92と、スイッチ91に外部入力信号を供給する外部入力端子83と、他のスイッチ91を備える他の制御装置90に外部出力信号を出力する外部出力端子84とを備える。ここで、スイッチ91は、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチ91をオフとする信号の場合にオフとなり、または、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチ91をオンとする信号の場合にオンとなる。また、外部出力端子84からは、スイッチ91がオンとなる場合に他のスイッチ91をオンとする外部出力信号が出力され、スイッチ91がオフとなる場合に他のスイッチ91をオフとする外部出力信号が出力される。
ここで、本実施の形態では、複数の蓄電装置1が備える複数の蓄電ユニット40は、並列接続されている。また、複数の制御装置90は、ループ状にデイジーチェーン接続され、当該複数の制御装置90の各々は、外部入力信号として前段の制御装置90から出力された外部出力信号が入力される。
これによれば、複数の制御装置90のいずれかのスイッチ91がオフとなる場合に他の制御装置90のスイッチ91も連動してオフとなる。または、複数の制御装置90のいずれかのスイッチ91がオンとなる場合に他の制御装置90のスイッチ91も連動してオンとなる。したがって、全ての蓄電ユニット40が連動して充電もしくは放電を開始する、または、停止することができるため、蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
(制御装置の変形例)
なお、実施の形態1で説明した制御装置90の構成は一例であり、図4及び図5と異なる構成であってもかまわない。そこで、以下に、制御装置の変形例について説明する。
図12は、本変形例に係る制御装置190の機能構成を示すブロック図である。なお、同図では、蓄電ユニット40も併せて図示され、本変形例に係る蓄電装置101が図示されている。
同図に示す制御装置190は、実施の形態1における制御装置90と比べて、さらに、駆動部93を備える。
駆動部93は、制御信号及び外部入力信号が入力され、制御信号及び外部入力信号に応じてスイッチ91をオフ及びオンする。例えば、駆動部93は、制御信号と外部入力信号とが入力されるNORゲート等の論理ICと、当該論理ICの出力が入力されるフォトカプラとを有する。
このように構成された制御装置190であっても、上記実施の形態1と同様の効果が奏される。さらに、本変形例によれば、制御信号及び外部入力信号の駆動能力が小さい場合であってもスイッチ91をオン及びオフとすることができる。
例えば、駆動部93が論理ICを有する場合、論理ICは、供給される電源によって、制御信号及び外部入力信号の駆動能力より大きい駆動能力を有する信号を出力することができる。このため、駆動能力の大きい信号でフォトカプラの発光ダイオードを発光させることができるため、FET等で構成されるスイッチ91のオン及びオフを確実に行うことができる。
したがって、本変形例によれば、制御部92として駆動能力の高い高価なCPU等を用いることなく蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
なお、駆動部93は、このような構成に限定されず、例えば、バッファ等に用いられるICを用いた構成であってもかまなわないし、レベルシフタ等に用いられるICを用いた構成であってもかまわない。また、駆動部93は、大電流が流れる主回路部品側との絶縁性が確保されるのであれば、フォトカプラを有さなくてもかまわない。
(実施の形態1の変形例1)
上記実施の形態1で説明した複数の蓄電装置1のスイッチ91が連動してオン及びオフする構成は、制御装置の電源投入時における過電流の発生を低減する構成としても適用することができる。そこで、本変形例では、電源投入時における過電流の発生を低減できる蓄電システムについて説明する。
図13は、本変形例に係る蓄電システム1002の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、本変形例に係る蓄電システム1002は、実施の形態1に係る蓄電システム1000と比べて、制御装置90に代わり制御装置290を有する蓄電装置102(蓄電装置102A〜102C)を備える。
本変形例では、複数の蓄電装置102のうち任意の1つの蓄電装置102(ここでは、蓄電装置102A)を、複数の蓄電装置1のスイッチ91を連動してオンするホストバッテリ(マスターバッテリ)とする。また、他の蓄電装置102(ここでは、蓄電装置102B、102C)を、ホストバッテリの制御によってスイッチ91がオンするターゲットバッテリ(スレーブバッテリ)とする。
図14は、本変形例に係る制御装置290の機能構成を示すブロック図である。なお、同図では、蓄電ユニット40も併せて図示され、本変形例に係る蓄電装置102が図示されている。
本変形例に係る制御装置290は、蓄電ユニット40の電源投入後にスイッチ91をオンとすることが許可された場合、後述するスタンバイ完了信号を後段の蓄電装置102に出力する。制御装置290は、制御装置90と比べて、制御部92に代わり制御部292を備える。また、本変形例では、制御装置290は、蓄電装置102がホストバッテリであるか否かを示すホスト信号が入力され、前段の蓄電装置102から、通信線2及び外部入力端子83を介して、スタンバイ完了信号が入力される。また、本変形例では、制御装置290は、さらに、外部出力端子84及び通信線2を介して、後段の蓄電装置102にスタンバイ完了信号を出力する。
ホスト信号は、例えば、外部入力端子83の所定のピン間を短絡または開放することによって切り替えられる。具体的には、ホストバッテリでは、外部入力端子83の所定のピン間を短絡する専用のコネクタが外部入力端子83に取り付けられ、ターゲットバッテリでは当該所定のピン間を短絡しない通常のコネクタが外部入力端子83に取り付けられる。
制御部292は、実施の形態1における制御部92と比べて、終止電圧判定部191、復電判定部192及び異常判定部193に代わり、スタンバイ判定部293を備える。制御部292は、スタンバイ判定部293によってスタンバイが完了したと判定された場合、制御信号をオンとする。
スタンバイ判定部293は、制御装置290の電源投入後にスタンバイが完了したか否かを判定し、スタンバイが完了したと判定した場合、スタンバイ完了信号を出力する。具体的には、ホストバッテリのスタンバイ判定部293は、自身の制御装置290の電源投入後に自己診断を行い、自己診断により‘異常無し’となった場合、スタンバイが完了したと判定して後段の蓄電装置102にスタンバイ完了信号を出力する。一方、ターゲットバッテリのスタンバイ判定部293もホストバッテリのスタンバイ判定部293と同様に、スタンバイの完了を判定する。ただし、ターゲットバッテリのスタンバイ判定部293は、スタンバイが完了したと判定して、かつ、前段の蓄電装置102からスタンバイ完了信号が入力された場合に、後段の蓄電装置102にスタンバイ完了信号を出力する。
ここで、自己診断とは、例えば、自身の蓄電装置102の電源スイッチ(不図示)が投入されたことにより起動した内部のBMU(Battery Management Unit)によって実行される異常判定等の有無の診断である。
また、ホストバッテリでは、制御装置290の電源投入後にスイッチ91をオンとすることが許可された場合、外部入力信号として、スイッチ91をオンとする信号が入力される。つまり、ホストバッテリの外部出力端子84は、蓄電ユニット40の電源投入後にスイッチ91をオンとすることが許可された場合、他(後段)の制御装置290のスイッチ91をオンとする外部出力信号を出力する。ここで、「スイッチ91をオンとすることが許可される」とは、自身のスタンバイ判定部293によってスタンバイが完了したと判定され、かつ、他(前段)の蓄電装置102からスタンバイ完了信号が入力されることを指す。
つまり、ホストバッテリは、自身のスタンバイ判定部293によってスタンバイが完了したと判定され、かつ、前段の蓄電装置102からスタンバイ完了信号が入力された場合、外部入力信号によらずオン信号の外部出力信号を出力する。
図15は、本変形例において、各蓄電装置102の電源投入時における蓄電装置102間のやり取りを示すシーケンス図である。このようなやり取りは、例えば、蓄電システム1002の据付時等に行われる。なお、以下では、蓄電装置102B、蓄電装置102A及び蓄電装置102Cの順で電源が投入された例を説明するが、電源が投入される順序はこれに限らず、どのような順序でもよいし、2以上の蓄電装置102の電源が同時に投入されてもかまわない。
まず、電源投入前の状態では、複数の蓄電装置102のそれぞれのスイッチ91はオフとなっている。
同図に示すように、蓄電装置102Bにおいて、例えばユーザが電源ボタンを押すことにより電源が投入されると(S201)、自己診断が行われ(S202)、スタンバイが完了したと判定されると制御信号がオン信号となる。ただし、蓄電装置102Bでは、蓄電装置102Aから出力された外部出力信号が外部入力信号として入力されており、当該外部出力信号はオフ信号となっている。このため、蓄電装置1Bにおいて、スイッチ91はオフのままとなっている。
その後、蓄電装置102Aにおいて、電源が投入されると(S211)、自己診断が行われ(S212)、スタンバイが完了したと判定されると制御信号がオン信号となる。ただし、蓄電装置102Aでは、蓄電装置102Cから出力された外部出力信号が外部入力信号として入力されており、当該外部出力信号はオフ信号となっている。このため、蓄電装置102Aにおいて、スイッチ91はオフのままとなっている。
ここで、蓄電装置102Aはホストバッテリであるため、スタンバイが完了したと判定されると、後段の蓄電装置102Bにスタンバイ完了信号を出力する(S213)。スタンバイ完了信号が入力された蓄電装置102Bでは、既にスタンバイの完了が判定されており、前段の蓄電装置102Aからスタンバイ完了信号が入力されたため、後段の蓄電装置102Cにスタンバイ完了信号を出力する(S214)。
その後、蓄電装置102Cにおいて、電源が投入されると(S221)、自己診断が行われ(S222)、スタンバイが完了したと判定されると制御信号がオン信号となる。ただし、蓄電装置102Cでは、蓄電装置102Bから出力された外部出力信号がオフ信号となっているため、スイッチ91はオフのままとなっている。
また、蓄電装置102Cでは、スタンバイが完了したと判定され、かつ、前段の蓄電装置102Bからスタンバイ完了信号が入力されているため、後段の蓄電装置102Aにスタンバイ完了信号を出力する(S223)。つまり、ホストバッテリである蓄電装置102Aにスタンバイ完了信号が入力される。
したがって、蓄電装置102Aでは、スタンバイが完了したと判定され、かつ、前段の蓄電装置102Cからスタンバイ完了信号が入力されるため、外部出力信号がオン信号となる。これにより、全ての蓄電装置102の各々から出力される外部出力信号がオン信号となるため、各蓄電装置102のスイッチ91が連動してオンとなる(S231)。
このように、本変形例に係る蓄電システム1002では、複数の蓄電装置102全てでスタンバイが完了したと判定された後に、全ての蓄電装置1の蓄電ユニット40で連動して充電電流の供給が開始される。
ここで、一般的に、特にリチウムイオン二次電池等の蓄電素子は、安全性確保の観点から、充電状態が低い状態(例えば5%程度)で出荷される。また、一般的に、蓄電装置では、ユーザが電源ボタン等を押すことにより電源投入が行われるため、複数の蓄電装置の電源投入は、互いに異なるタイミングとなり得る。これらのことから、蓄電システムの据付時等において、複数の蓄電ユニットを電源または負荷に接続する際に、次のような問題が生じる虞がある。
つまり、最初に電源が投入された蓄電装置の蓄電ユニットでは、他の蓄電ユニットに供給されるべき充電電流の合計量に相当する非常に大きな電流(過電流)が流れることとなり、過電流による不具合が発生する虞がある。
これに対して、本変形例によれば、ホストバッテリ(本変形例では蓄電装置102A)において制御装置290の電源投入後にスイッチ91をオンとすることが許可された場合、外部入力信号として、スイッチ91をオンとする信号が入力される。これにより、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチ91が一斉にオンとなるため、各蓄電ユニット40が一斉に電力系統に接続される。よって、メンテナンス時または初期設定時等における蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
具体的には、ホストバッテリは、制御装置290の電源投入後にスイッチ91をオンとすることが許可された場合、外部出力端子84からは、他の制御装置290のスイッチ91をオンとする外部出力信号が出力される。
これにより、ホストバッテリにおいてスイッチ91をオンとすることが許可されるまで、ターゲットバッテリ(本変形例では蓄電装置102B、102C)のスイッチ91はオンされずに待機状態となる。よって、並列に接続された複数の蓄電ユニット40の各々に対応して本構成の制御装置290を設け、一の制御装置290の外部出力端子84を他の一の制御装置290の外部入力端子83に順次接続する所定の構成にすることで、電源投入後に全ての蓄電ユニット40が連動して電源2000または負荷3000に接続されるため、蓄電ユニット400の不具合の発生を低減することができる。
(実施の形態1の変形例2)
以下、実施の形態1の変形例2に係る蓄電システムについて説明する。本変形例に係る蓄電システムは、蓄電装置が選択的にとり得るモードとして、通常モードと試験モードとを有する。
図16は、本変形例に係る蓄電装置の動作モードに関する状態遷移図である。
同図に示す通常モードS1は、上記実施の形態1で説明した動作を行うモードである。つまり、通常モードS1は、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方がオフ信号の場合にスイッチ91がオフとなり、または、制御信号及び外部入力信号のいずれもオン信号の場合にスイッチ91がオンとなり、さらに、スイッチ91がオンとなる場合に外部出力信号がオン信号となり、スイッチ91がオフとなる場合に外部出力信号がオフ信号となるモードである。言い換えると、複数の蓄電装置のスイッチ91が連動してオンまたはオフとなるモードである。
一方、試験モードS2は、スイッチ91がオンとなるモードであり、他の蓄電装置のスイッチ91がオフとなっていても、自身の蓄電装置のスイッチ91がオンとなるモードである。
本変形例に係る蓄電装置は、例えばユーザから試験モードS2への遷移を指示するモード遷移コマンドが入力された場合に、通常モードS1から試験モードS2に遷移する。試験モードS2では、所定時間(例えば1分間)継続して、スイッチ91をオンとする。その後、試験モードS2において所定時間が経過すると、蓄電装置は、試験モードS2から通常モードS1に遷移する。なお、通常モードS1と試験モードS2とは互いに遷移しなくてもよい。その場合、例えば、電源投入時に試験モードコマンドが入力されている場合には試験モードS2、当該コマンドが入力されていない場合には通常モードS1にて動作する。
図17は、本変形例に係る制御装置390の機能構成を示すブロック図である。なお、同図では、蓄電ユニット40も併せて図示され、本変形例に係る蓄電装置103が図示されている。
同図に示す制御装置390は、実施の形態1における制御装置90と比べて、制御部92に代わり制御部392を備え、さらに、スイッチ393を備える。
制御部392は、実施の形態1における制御部92と比べて、さらに、試験モード部394を備える。試験モード部394は、自身の蓄電装置103が試験モードS2になった場合、スイッチ91をオンとするオン信号を出力する。つまり、本変形例では、1以上の蓄電ユニット40のいずれかが試験モードS2になった場合、当該試験モードS2になった各蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチ91がオンとなる。
このように構成された本変形例に係る蓄電装置103を備える蓄電システムにおいても、上記実施の形態1と同様の効果が奏される。
ここで、一般的に、安全性確保等の観点から、蓄電ユニット40を収容する外装体10(筐体)の外部接続端子には、充放電時を除き蓄電ユニット40の電圧が出力されない。このため、蓄電ユニット40の充放電を行う前に予め蓄電ユニット40の電圧を取得することが困難である。
これに対し、本変形例によれば、試験モードとなった蓄電ユニット40では、スイッチ91がオンとなることにより、スイッチ91を介して蓄電ユニット40に接続される外部接続端子201において、蓄電ユニット40の電圧を測定することができる。よって、例えば、工場出荷時等において、簡便に蓄電ユニット40の電圧を測定することができる。
また、本変形例によれば、試験モードS2において所定時間が経過すると通常モードS1に遷移するため、スイッチ91が不要にオンとなることによる過放電を低減することができる。
なお、本変形例では、通常モードを、実施の形態1で説明した動作を行うモードとして説明した。しかし、通常モードはどのような動作を行うモードであってもよく、例えば、実施の形態1の変形例1で説明した動作(スタンバイ動作)を行うモードであってもよい。
また、電源投入後の最初のモードが試験モードであってもかまわない。このような構成にすることにより、電源投入後の所定時間、蓄電ユニット40の電圧を外部接続端子201で簡便に測定することができる。
(実施の形態1の変形例3)
上記実施の形態1ならびにその変形例1及び2では、1以上の蓄電ユニット40の各々について制御装置が設けられているとした。つまり、複数の蓄電装置の各々が制御装置を備えるとした。しかし、図18に示すように、1以上の蓄電ユニット40について1つの制御装置490が設けられていてもかまわない。つまり、制御装置は、複数の蓄電装置の外部装置として設けられていてもかまわない。
図18は、本変形例に係る蓄電システム1004の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、制御装置490は、1以上の蓄電ユニット40の各々の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチ91に制御信号を供給する制御部492と、当該スイッチ91に外部入力信号を供給する外部入力端子483とを備えていてもかまわない。
このような構成であっても、各スイッチ91が外部入力信号によって一斉にオフとなる、または、外部入力信号によって一斉にオンとなる。このため、上記実施の形態と同様に、過電流による蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る蓄電システムの構成について、図19を用いて説明する。
図19は、本実施の形態に係る蓄電システム1000aの機能構成を示すブロック図である。
蓄電システム1000aは、図2に示した蓄電システム1000と比べて、制御装置90を有する蓄電装置1に代わり制御装置90aを有する蓄電装置1aを備える。蓄電システム1000aでは、蓄電素子41(本実施の形態では複数の蓄電ユニット40)が並列に複数(本実施の形態では3つ)設けられている。
制御装置90aは、蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられ、蓄電ユニット40を構成する1以上の蓄電素子41の充電または放電を制御する。制御装置90aは、当該電流経路に設けられた電流制限部91aを備え、当該電流制限部91aによって電流を制限することにより、複数の蓄電素子41を並列に接続する際の過大な横流を抑制することができる。以下、本実施の形態では、制御装置90aが当該横流としてプリチャージの際の過大な充電電流を抑制する例について、説明する。
また、本実施の形態では、制御装置90aは、さらに、当該電流経路において電流制限部91aと直列に設けられたスイッチ91bを備える。本実施の形態では、制御装置90aは、プリチャージの後の通常使用時において、スイッチ91bをオン及びオフすることにより、蓄電ユニット40の充放電を制御する。つまり、本実施の形態に係る制御装置90aは、実施の形態1に係る制御装置90と比べて、さらに、電流経路に設けられ、通過する電流を制限する電流制限部91aを備える。
次に、制御装置90aの詳細な構成について、説明する。
図20は、本実施の形態に係る制御装置90aの機能構成を示すブロック図である。なお、図20及び図21には、蓄電ユニット40も併せて図示されている。
図20に示すように、制御装置90aは、電流制限部91aと、スイッチ91bと、制御部92aと、電流センサ94と、外部入力端子83と、外部出力端子84とを備える。
電流制限部91aは、蓄電素子41の充電または放電の電流経路に設けられ、通過する電流を制限する。本実施の形態では、電流制限部91aは、蓄電ユニット40の充放電電流経路であって、外部接続端子201を介して電源線3に接続されている電源線62に設けられている。電流制限部91aの具体的な構成については、図21を用いてスイッチ91bの具体的な構成と併せて後述する。
スイッチ91bは、蓄電素子41の充電または放電の電流経路(ここでは電源線62)において電流制限部91aと直列に設けられ、オンとオフとが切り替えられるスイッチである。このスイッチ91bは、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチ91bをオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチ91bをオンとする信号の場合にオンとなるオン機能、の少なくとも一方を有する。このオフ機能及びオン機能は、例えば、スイッチ91b周辺の回路構成(図21参照)によって実現される。スイッチ91bの具体的な構成については、図21を用いて後述する。
制御部92aは、蓄電素子41の充電または放電の電流経路(ここでは電源線62)の電圧と異なる情報から得られた当該電流経路の電流量を用いて、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように電流制限部91aを制御する。具体的には、本実施の形態では、制御部92aは、電流経路の電流量が所定量を超えているか否かを判断し、超えている場合に電流制限部91aを通過する電流が当該所定量以下となるように制御する。本実施の形態では、制御部92aは、電流制限部91aを通過する電流が当該所定量以下の定電流となるように制御する。
ここで、当該所定量とは、予め定められた任意の電流量であり、特に限定されないが、例えば、蓄電装置1aを構成する回路素子等の定格によって定まる定格電流、一定時間(例えば10sec)連続して流れても安全に充放電ができる最大の電流である最大電流、または、比較的短時間(例えば数十msec)であれば安全に充放電ができる最大の電流である瞬時耐量、等である。
また、定電流の電流量は、所定量以下の第一の電流量であれば特に限定されないが、例えば、上記の定格電流である。また、制御部92aが、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下の定電流となるように制御する期間についても、特に限定されない。ただし、蓄電装置1aを交換した際のプリチャージに要する時間の短縮化を図る観点から、当該期間を長く確保することが好ましい。また、同様の観点から、スイッチ91bがオフからオンに切り替えられた後に、当該第一の電流量より小さい第二の電流量を第一の電流量に引き上げて定電流を維持してもかまわない。
また、本実施の形態では、制御部92aは、さらに、スイッチ91bに制御信号を供給する。
また、本実施の形態では、制御部92aは、次の電流センサ94によって取得された電流量を用いて、電流制限部91aを制御する。なお、制御部92aは、電流センサ94によって直接的に取得された電流量を用いなくてもよく、間接的に電流量を取得してもかまわない。例えば、制御部92aは、蓄電素子41(または蓄電ユニット40)の電圧値またはSOC(State Of Charge:充電状態)、及び、蓄電素子41等の抵抗値等を取得または予め記憶し、これらの値から電流量を算出することにより取得してもかまわない。
電流センサ94は、電流経路を流れる充電電流または放電電流を検出するセンサである。本実施の形態では、電流センサ94は、電源線62に設けられた非接触式の電流センサであって、充電電流または放電電流の電流量を示す電流信号を出力する、例えばHCT(Hall−effect Current Sensor)である。つまり、制御部92aは、非接触式の電流センサ94によって得られた電流経路の電流量を取得し、取得した電流経路の電流量を用いて電流制限部を制御する。例えば、電流センサ94がHCTである場合、制御部92aは、電源線62の周囲の磁界を示す情報(電流信号)から当該電源線62の電流量を取得する。
なお、電流センサ94は、電流経路(本実施の形態では電源線62)の電圧と異なる情報によって当該電流経路の電流量を示すものであればよく、電流経路のジュール熱によって当該電流量を示す熱電形電流計、あるいは、シャント(分流器)に流れる電流量を用いて上記電流経路の電流量を示す電流計等の接触式の電流センサであってもかまわない。
このような制御装置90aは、より詳細には、図21に示すような回路構成によって実現される。図21は、本実施の形態に係る制御装置90aの具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
図21に示すように、本実施の形態では、制御装置90aは、さらに、大電流が流れる主回路部品側との絶縁性を確保しつつ信号を伝達するフォトカプラ931〜935と、フォトカプラ933〜935の発光ダイオードを発光させるトランジスタ941〜943とを備える。また、制御部92aは、スイッチ91bに対して上記制御信号に加えて放電信号と受電信号とを供給する充放電部921と、電流制限部91aに対してプリチャージ信号を供給するプリチャージ部922とを備える。
ここで、スイッチ91b及び電流制限部91aの具体的な構成について説明する。本実施の形態では、スイッチ91b及び電流制限部91aは、図5に示したスイッチ91と同様の構成を有する。
図21に示すように、スイッチ91bは、本実施の形態では、放電電流を遮断または通過させる放電スイッチ911と、充電電流を遮断または通過させる充電スイッチ912とを有する。放電スイッチ911は、n型のFET911aと、当該FET911aのソース−ドレイン間に放電電流に対して逆方向に接続されたダイオード911bとを有する。この放電スイッチ911は、制御信号、外部入力信号及び放電信号のいずれか1つでもオフ信号の場合にオフとなり、いずれもオン信号の場合にオンとなる。充電スイッチ912は、n型のFET912aと、当該FET912aのソース−ドレイン間に充電電流に対して逆方向に接続されたダイオード912bとを有する。この充電スイッチ912は、制御信号、外部入力信号及び充電信号のいずれか1つでもオフ信号の場合にオフとなり、いずれもオン信号の場合にオンとなる。なお、‘オン信号’とは、スイッチをオンさせる信号を指し、‘オフ信号’とはスイッチをオフさせる信号を指す。
なお、スイッチ91bは、放電スイッチ911と充電スイッチ912とが独立に設けられていなくてもよく、放電電流及び充電電流のいずれも遮断または通過できる、リレー接点またはMCCB(Molded Case Circuit Breaker:配線用遮断器)によって構成されていてもかまわない。
電流制限部91aは、実施の形態では、充電または放電の電流経路(ここでは、電源線62)に設けられた半導体素子を有する。具体的には、本実施の形態では、当該半導体素子として、FETが設けられている。より具体的には、本実施の形態では、電流制限部91aは、充電スイッチ912と同様に構成され、n型のFET913aと、当該FET913aのソース−ドレイン間に充電電流に対して逆方向に接続されたダイオード913bとを有する。つまり、本実施の形態では、電流制限部91aは、オン(導通状態)とオフ(非導通状態)とが切り替えられるスイッチとして構成され得る回路構成を用いて、電流経路を通過する電流を制限する。なお、FET911a〜913aは、p型のFETであってもかまわない。
ここで、FET913aは、充電電流として、プリチャージ部922からゲートに供給されたプリチャージ信号に応じた電流を通過させる。言い換えると、FET913aは、電源線62を通過する電流を、当該プリチャージ信号に応じた電流に制限することができる。
図22は、電流制限部91aに用いられるFET913aの特性の一例を示すグラフである。具体的には、同図には、プリチャージ信号によって決定されるFET913aのゲート−ソース間電圧Vgsに対する、FET913aのドレイン電流Id(すなわち充電電流)が示されている。
同図に示すように、FET913aは、Vgsが閾値電圧Vt以上の飽和領域では、当該Vgsが上昇しても大きな変化は見られない(飽和した)充電電流を通過させる。一方、FET913aは、Vgsが閾値電圧Vt未満のリニア領域では、当該Vgsに応じて対数表記でリニア(線形)に変化する充電電流を通過させる。
すなわち、プリチャージ部922は、FET913aをリニア領域で動作させることにより、FET913aが流す充電電流を所定量以下に制御することができる。つまり、制御部92aは、半導体素子(ここではFET913a)をリニア領域で動作させることにより、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように制御する。
なお、電流制限部91aが有する半導体素子は、図22に示すような特性を有していればよく、FETに限定されない。例えば、半導体素子として、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等を用いてもかまわない。
次に、このような制御を行うプリチャージ部922の具体的な構成について、図23を用いて説明する。図23は、本実施の形態に係るプリチャージ部922の機能構成の一例を示すブロック図である。
同図に示すように、プリチャージ部922は、例えば、基準電圧生成部925と、IV変換器926と、比較部927と、駆動部928とを備え、電流センサ94からの電流信号に応じた電圧信号であるプリチャージ信号を出力する。
基準電圧生成部925は、プリチャージ部922において、電源線62の電流量が所定量を超えているか否かを判断する基準となる基準電圧を生成する。基準電圧生成部925は、当該基準電圧として、例えば、電流経路(ここでは電源線62)を通過する電流が所定量の場合における、電流センサ94からの電流に対応する電圧を生成する。この基準電圧生成部925は、例えば、制御部92aの電源を抵抗分圧することにより、当該電流信号に対応する電圧を生成する。
IV変換器926は、電流センサ94からの電流信号をIV変換(電流電圧変換)することにより、電流信号に応じた電圧信号を生成する。つまり、電流信号が変動した場合、電圧信号も同様に変動する。
比較部927は、基準電圧生成部925で生成された基準電圧とIV変換器926で生成された電圧信号とを比較し、当該基準電圧と当該電圧信号との差分電圧に応じた電圧信号を生成する。例えば、比較部927は、電圧信号から基準電圧を減算した差分が0より大きい場合に、当該差分が大きいほど絶対値が大きくなる正の電圧を出力する。一方、比較部927は、当該差分が0以下の場合に、当該差分が大きいほど絶対値が小さくなる負の電圧を出力する。
駆動部928は、比較部927から出力された電圧信号を駆動能力の大きな電圧信号に変換することにより、電流制限部91aを制御するプリチャージ信号を生成する。例えば、駆動部928は、大電流が流れる電流制限部91aとの絶縁性を確保しつつ信号を伝達するフォトカプラと、比較部927から出力された電圧信号を増幅して当該フォトカプラの発光ダイオードを発光させるトランジスタとを有する。
このように構成されたプリチャージ部922は、例えば、電源線62を通過する電流が所定量を超えている場合に、プリチャージ信号の電圧を低下させることにより、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように制御することできる。具体的には、本実施の形態では、プリチャージ部922は、当該場合に、プリチャージ信号の電圧を低下させてFET913aをリニア領域で動作させることにより、当該電流を所定量以下にすることができる。
また、プリチャージ部922は、電流センサ94からの電流信号の変動に応じてプリチャージ信号の電圧を変動させることができる。つまり、プリチャージ部922は、電源線62を通過する電流をフィードバック制御によって調整することができる。このため、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下の定電流となるように制御することができる。
このように構成された制御装置90aは、以下のように動作する。
以下では、蓄電素子41(本実施の形態では複数の蓄電ユニット40)が並列に複数(本実施の形態では3つ)接続された蓄電システム1000aにおいて、蓄電素子41が交換または増設される場合における、制御装置90aの動作(制御方法)について説明する。
また、以下では、制御装置90aの動作について、複数の蓄電ユニット40のうち1つの蓄電ユニット40(蓄電装置1aCの蓄電ユニット40)が交換される場合を例に説明する。しかし、交換される蓄電ユニット40の個数は全ての蓄電ユニット40の個数より少なければよく、2つであってもかまわない。また、蓄電ユニット40が増設される場合についても、交換される場合と同様に動作する。
また、本実施の形態では、蓄電ユニット40が交換される際には、当該蓄電ユニット40を含む蓄電装置1a全体が交換されるものとする。つまり、以下で説明する制御装置90aの動作は、交換された蓄電装置1aの制御装置90aにおいて実行される。また、本実施の形態では、蓄電ユニット40が交換される際には、蓄電システム1000a全体としては充放電を行っていないものとする。つまり、例えば、蓄電システム1000aと電源2000との間のMCCB(不図示)及び蓄電システム1000aと負荷3000との間のMCCB(不図示)がオフとなっているとする。
以下、制御装置90aの動作について、図24〜図30を用いて説明する。
図24は、実施の形態に係る制御装置90aの動作を示すフローチャートである。具体的には、同図には、交換された蓄電装置1aの制御装置90aの動作の一例が示されている。
同図に示すように、まず、交換された蓄電装置1a(ここでは、蓄電装置1aC)の制御装置90aは、自身の蓄電ユニット40にプリチャージが必要か否かを判定する(S60)。例えば、制御装置90aは、計測基板81(図3参照)等を介して、外部接続端子201の電圧Vterm、及び、蓄電ユニット40の電圧Vcellを取得する。そして、これらの差分電圧|Vterm−Vcell|が設定値より大きい場合に、プリチャージが必要(S60でYes)と判断する。一方、制御装置90aは、差分電圧|Vterm−Vcell|が設定値以下の場合に、プリチャージが不要(S60でNo)と判断する。
ここで、当該設定値とは、予め定められた任意の電圧であり、特に限定されないが、例えば、蓄電素子41に不具合が起こり得る最小の横流が流れた場合の、外部接続端子201の電圧と蓄電ユニット40の電圧との差分電圧である。
図25は、蓄電装置1aCが交換された際の蓄電システム1000aの状態を模式的に示す図である。
同図に示すように、蓄電装置1aCが交換された際には、当該蓄電装置1aCのスイッチ91bはオフとなっている。また、他の蓄電装置1aA、1aBのスイッチ91bはオンとなっている。
ここで、一般的に、リチウムイオン二次電池では、安全性確保の観点から、SOCが低い状態(例えば5%程度)で出荷される。一方、交換されずに使用されている(通常使用時における)他の蓄電装置では、SOCが高い状態(例えば100%程度)となっている。
よって、交換された蓄電装置1aCの蓄電ユニット40の電圧|Vcell|が小さいのに対して、交換されない他の蓄電装置1aA、1aBの蓄電ユニット40の電圧|Vcell|は大きいこととなる。ここで、蓄電装置1aA、1aBではスイッチ91bがオンとなっているため、蓄電装置1aA、1aBの電圧|Vterm|は当該蓄電装置1aA、1aBの電圧|Vcell|と同等となる。よって、蓄電装置1aA、1aBと並列に接続された蓄電装置1aCの電圧|Vterm|は、蓄電装置1aA、1aBの電圧|Vcell|と同等となる。したがって、蓄電装置1aCでは、|Vterm−Vcell|>設定値となるため、プリチャージが必要と判定される。
プリチャージが必要と判定された場合(S60でYes)、制御装置90aはプリチャージ動作を行う(S70)。一方、プリチャージが不要と判定された場合(S60でNo)、制御装置90aはプリチャージ動作をせずに、充放電動作を行う(S80)。
ここで、制御装置90aのプリチャージ動作(S70)について、具体的に説明する。なお、制御装置90aの充放電動作(S80)については、後述する。
図26は、図24のプリチャージ動作(S70)の具体例を示すフローチャートである。具体的には、同図には、プリチャージ動作(S70)における制御装置90aの動作の一例が示されている。
同図に示すように、まず、蓄電装置1aCの制御装置90aは、スイッチ91bをオンとする(S71)。
図27は、本実施の形態において、プリチャージ中の蓄電システム1000aの状態を模式的に示す図である。具体的には、同図には、交換された蓄電装置1aCのスイッチ91bがオフからオンとなった際の蓄電システム1000aの状態が模式的に示されている。
なお、同図では、直感的な理解を容易にするため、横流(充電電流)の流れる方向として、制御装置90aが蓄電ユニット40の正の電源線61に設けられている場合の電流の流れが示されている。このため、同図では、図21と比べて、充電電流の流れる方向が反対方向となっている。以降の同様の模式図においても同様に、図21と比べて放電電流の流れる方向が反対方向となっている。
図27に示すように、蓄電装置1aCのスイッチ91bがオンとなることにより、他の蓄電装置1aA、1aBから当該蓄電装置1aCに横流(充電電流)が流れ込むこととなる。
このとき、制御装置90aは、蓄電素子41の充電または放電の電流経路(ここでは電源線62)の電圧と異なる情報から得られた当該電流経路の電流量を取得する(S72)。具体的には、電流センサ94から出力された電流信号によって、当該電流経路の電流量を取得する。
そして、制御装置90aは、取得された電流量を用いて、当該電流経路を通過する電流を所定量以下に制限する。具体的には、制御装置90aは、当該電流経路(ここでは電源線62)の電流量が所定量を超えているか否かを判断する(S73)。つまり、制御装置90aは、自身の蓄電装置1aCに流れ込む横流が所定値を超えているか否かを判断する。その結果、電流量が所定量を超えていると判断した場合(S73でYes)、当該電流を所定量以下に制限する(S74)。具体的には、当該電流が所定量以下となるように、プリチャージ信号の電圧をFET913aのVgsがVt未満となるようにすることで、FET913aをリニア領域で動作させる。一方、電流量が所定量以下の場合(S73でNo)、制御装置90aは電流を制限せずに(S75)通過させる。具体的には、プリチャージ信号の電圧をFETのVgsがVt以上となるようにすることで、FET913aを飽和領域で動作させる。つまり、FET913aをオン(導通状態)とする。
このようなステップS22〜ステップS25の処理を、プリチャージが完了したと判断する(S76でYes)まで繰り返す。具体的には、|Vterm−Vcell|>設定値の場合、プリチャージが完了していない(S76でNo)と判断して、ステップS72に戻る。一方、|Vterm−Vcell|≦設定値の場合、プリチャージが完了した(S76でYes)と判断して、プリチャージ動作を完了する。
図28は、本実施の形態において、プリチャージ完了時の蓄電システム1000aの状態を模式的に示す図である。具体的には、同図には、交換された蓄電装置1aCのプリチャージが完了した際の蓄電システム1000aの状態が模式的に示されている。
同図に示すように、プリチャージが完了すると、横流が停止し、並列に接続された蓄電ユニット40のSOCは均一化(例えばα%)される。
このようなプリチャージ動作により、複数の蓄電素子41(ここでは複数の蓄電ユニット40)を並列に接続する際の過大な横流を抑制することができる。
次に、制御装置90aの充放電動作(図24のS80)について、説明する。
ここで、本実施の形態では、充放電動作の際には、蓄電システム1000a全体としては充放電可能な状態になっているものとする。つまり、例えば、蓄電システム1000aと電源2000との間のMCCB(不図示)及び蓄電システム1000aと負荷3000との間のMCCB(不図示)がオンとなっているとする。これにより、例えば、電源2000の停電時において、蓄電システム1000aは負荷3000に電力を供給することができる。
また、電流制限部91aは、オフ(非導通状態)となっていなければよく、オン(導通状態)となっていてもかまわない。具体的には、電流制限部91aは、FET913aがリニア領域で動作することにより電流量を所定量以下に制限していてもかまわないし、FET913aが飽和領域で動作することによりオンとなっていてもかまわない。ただし、充電電流または放電電流の増大を図る観点から、オンとなっていることが好ましい。例えば、充放電動作(図24のS80)において、制御装置90aは、電流制限部91aをオンとしつつ、図6A及び図6Bに示した各処理(S10〜S30)を行う。
このような充放電動作(S30)により、例えば、次のような効果が奏される。以下、電源2000(電源系統)の停電時において、蓄電システム1000aが奏する効果について説明する。
図29及び図30は、本実施の形態において、停電時の蓄電システム1000aの状態を模式的に示す図である。
図29に示すように、本実施の形態に係る蓄電システム1000aは、図7に示した蓄電システム1000と同様に、電源2000が停電すると、負荷3000に電力を供給する。つまり、蓄電システム1000aは、電源2000の停電時に電力のバックアップを行う。このとき、複数の蓄電装置1aのそれぞれのスイッチ91bはオンとなっているため、並列に接続された複数の蓄電ユニット40の各々から負荷3000へと放電電流が流れることとなる。
その後、負荷3000への電力供給が継続すると、図30に示すように、蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となる蓄電装置1(ここでは蓄電装置1aB)が現れる。このとき、当該蓄電装置1aBの制御装置90aでは、スイッチ91bがオフとなるとともに、外部出力信号としてオフ信号が出力される。
これにより、外部入力信号として蓄電装置1aBの制御装置90から出力された外部出力信号が入力される蓄電装置1aCの制御装置90aでは、スイッチ91bがオフとなる。さらに、蓄電装置1Cの制御装置90aでは、外部出力信号としてオフ信号が出力される。
これにより、蓄電装置1aCから出力された外部出力信号が入力される蓄電装置1aAにおいても、スイッチ91bがオフとなり、外部出力信号としてオフ信号が出力される。
したがって、本実施の形態に係る蓄電システム1000aであっても、実施の形態1に係る蓄電システム1000と同様に、複数の蓄電装置1aのうち蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となる蓄電装置1aが1つでもあれば、全ての蓄電装置1aの蓄電ユニット40からの放電電流が連動して停止する。よって、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、蓄電ユニット40の電圧が放電終止電圧以下となる蓄電装置1aがあれば、全ての蓄電装置1aからの放電電流が連動して停止する。
なお、各制御装置90aは、自身の蓄電装置1aに接続される電力系統が復電した場合、外部出力信号をオン信号またはオフ信号としてもかまわない。これにより、蓄電システム1000aのスイッチ91bが復電時に一斉にオンまたは一斉にオフとなるため、各蓄電ユニット40が一斉に電力系統に接続される、または、一斉に電力系統から切り離される。よって、復電時における蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
ここで、制御部92aは、蓄電システム1000aのスイッチ91bが一斉にオンまたは一斉にオフとなるとき(例えば、放電電流の連動停止時、電力系統の復電時、等)においても、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように電流制限部91aを制御してもかまわない。つまり、制御装置90aは、蓄電システム1000aのスイッチ91bが一斉にオンまたは一斉にオフとなるタイミングで、図24に示す動作を行ってもかまわない。
例えば、蓄電装置1aの制御装置90aは、自身のスイッチ91bがオンとなるタイミング(詳細にはオンする直前)で、自身の蓄電ユニット40にプリチャージが必要か否かを判定する(S60)。そして、プリチャージが必要と判断した場合(S60でYes)、スイッチ91bをオンしてプリチャージ動作を行った後(S70の後)に、充放電動作を行う(S80)。一方、当該制御装置90aは、上記タイミングでプリチャージが不要と判断した場合(S60でNo)、プリチャージ動作を行うことなく、スイッチ91bをオンして充放電動作を行う(S80)。
これにより、蓄電システム1000aのスイッチ91bが一斉にオンまたは一斉にオフとなるときに、過電流を抑制しつつ、横流を抑制することができる。
なお、プリチャージが必要か否かを判定する基準は、電圧(上記説明では、差分電圧|Vterm−Vcell|)に限らず、例えば電流であってもかまわない。例えば、蓄電装置1aの制御装置90aは、自身のスイッチ91bがオンとなるタイミング(詳細にはオンした直後)で、電流経路(ここでは電源線62)の電流量が所定量を超えている場合にプリチャージが必要と判定し、超えていない場合にプリチャージが不要と判定してもかまわない。
以上説明したように、本実施の形態では、電流経路(本実施の形態では電源線62)に設けられた電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように制御する。このため、本実施の形態では、当該電流経路と並列に、例えばプリチャージ用の抵抗を有するバイパス回路を設けることなく、過大な横流を抑制することができる。よって、簡易な構成で、複数の蓄電素子を並列に接続する際に過大な横流が流れることを抑制できる。
また、本実施の形態では、非接触式の電流センサ94を用いることにより、電流経路を流れる電流のロスを抑制しつつ、当該電流経路の電流量を取得することができる。このため、蓄電素子41の高出力化を図ることができる。また、非接触式の電流センサ94を用いることにより、大電流が流れる主回路と小電流が流れる周辺回路との絶縁を確保することができる。
また、本実施の形態では、制御部92aが当該電流経路の電流量が所定値を超えているか否かを判断し、超えている場合に電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように制御する。これにより、電流制限部91aによる過剰な電流制限を抑制できる。よって、並列に接続された蓄電素子41同士の電圧の均一化に要する時間(プリチャージに要する時間)の短縮化が図られる。
また、本実施の形態では、当該電流経路において電流制限部91aと直列に設けられたスイッチ91bを備えることにより、過充電保護または過放電保護の冗長設計が図られる。つまり、蓄電素子41の安全性を確保する構成を冗長構成にすることができる。このような冗長構成は、出荷時のSOCが高い(例えば約100%)鉛電池等と比べて出荷時のSOCが低い(例えば約5%)リチウムイオン二次電池などが蓄電素子41として用いられる場合に、安全性確保の観点から特に有効である。
また、本実施の形態では、電流制限部91aを充電スイッチ912と同様の構成とした。つまり、電流制限部91aは、充電電流及び放電電流のうち充電電流を、遮断もしくは通過、または制限する。蓄電素子41では、過放電よりも過放電の方がより大きな不具合が生じやすい。このため、電流制限部91aを、充電電流を遮断等できる構成にすることにより、大きな不具合が生じやすい過充電保護について冗長な構成とすることができる。
また、本実施の形態では、制御部92aが電流制限部91aを通過する電流が定電流となるように制御することにより、例えばプリチャージに要する時間の短縮化が図られる。具体的には、並列に接続された蓄電素子41(本実施の形態では蓄電ユニット40)同士に流れる横流は、蓄電素子41同士の電圧が均一化するにしたがって次第に小さくなる。このため、例えばプリチャージされている蓄電素子41(本実施の形態では、蓄電装置1aCの蓄電素子41)における電圧変化は次第に鈍くなる。これに対して、電流制限部91aを通過する電流が定電流となるように制御することにより、当該プリチャージされている蓄電素子41における電圧変化をプリチャージ完了まで一定にすることができる。このため、プリチャージに要する時間の短縮化が図られる。
また、本実施の形態では、半導体素子(本実施の形態ではFET913a)をリニア領域で動作させることにより、当該電流が所定量以下となるように制御するため、例えば、プリチャージ用の専用の抵抗を設ける必要がない。これにより、構成の簡素化が図られる。
特に、本実施の形態では、スイッチ91bも電流制限部91aと同様に、半導体素子(本実施の形態ではFET911a、912a)を有し、当該半導体素子が飽和領域で動作することによりオンとなり、当該半導体素子が遮断領域で動作することによりオフとなる。言い換えると、本実施の形態では、半導体素子によって構成された略同一の構成を、飽和領域及び遮断領域で動作させることによりスイッチ91bとして用い、リニア領域で動作させることにより電流制限部91aとして用いている。このため、プリチャージ用の専用の構成を用いることなく、過大な横流を抑制することができる。
また、本実施の形態では、当該半導体素子としてFET(本実施の形態ではFET913a)を用いることにより、簡易な構成で過大な横流を抑制することができる。具体的には、FETは電圧制御型素子のため、バイポーラトランジスタ等の電流制御型と比べて、制御側の回路構成を簡素化することができる。また、同様の理由から、小さい駆動電流で当該電流経路を通過する電流を制限することができる。したがって、制御装置90aの低消費電力化が図られる。
(実施の形態2の変形例)
また、制御部は、さらに、電流制限部91aの温度が所定温度を越えている場合、スイッチ91bをオフにしてもかまわない。
図31は、実施の形態2の変形例に係る制御装置190aの機能構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には、蓄電ユニット40も併せて図示されている。
同図に示すように、本変形例に係る蓄電装置101aは、上記実施の形態2と比べて、制御装置90aに代わり制御装置190aを備える。この制御装置190aは、上記実施の形態2と比べて、制御部92aに代わり制御部192aを備え、さらに温度センサ195を備える。
ここで、制御部192aによる電流制限部91aの制御が何らかの異常によって正常に行われない場合、次のような問題がある。すなわち、電流制限部91aは、例えば、FET913aの耐量を越えて電流が流れた場合、当該FET913aが破壊される虞がある。この場合、電流制限部91aが電流を制限することが困難となるため、蓄電ユニット40に過大な横流が流れることとなり、蓄電素子41の劣化等の不具合が生じる虞がある。
発明者らは、このように電流制限部91aによる電流の制限が困難な場合、当該電流制限部91aが通常よりも発熱することに着目し、本変形例に係る制御装置190aの着想を得た。
すなわち、本変形例では、制御部192aは、電流制限部91aの温度が所定温度を超えている場合、スイッチ91bをオフにする。これにより、電流制限部91aに異常が生じた場合に横流を遮断することができるので、安全性を確保することができる。ここで、所定温度とは、特に限定されないが、例えばFET913aが破壊される最小の電流を流した場合のFET913aの温度である。
本変形例では、制御部192aは、次の温度センサ195によって取得された温度を示す情報を用いて、電流制限部91aを制御する。
温度センサ195は、電流制限部91aの温度を検出するセンサである。本変形例では、温度センサ195は、FET913aが実装された主回路基板82(図3参照)のFET913a近傍に設けられた、例えばサーミスタである。
このように構成された制御装置190aは、以下のように動作する。
図32は、本変形例に係る制御装置190aの動作を示すフローチャートである。具体的には、同図には、プリチャージ動作(S170)における制御装置190aの動作の一例が示されている。
同図に示すように、変形例におけるプリチャージ動作(S170)は、上記実施の形態2におけるプリチャージ動作(図26参照:S70)と比べてほぼ同じであるが、さらに、温度判定処理(S121)と、スイッチ91bをオフする処理(S122)とを含む。
具体的には、制御装置190aは、ステップS74及びステップS75の後の温度判定処理(S171)において、電流制限部91aの温度が所定温度を超えているか否かを判定する。そして、電流制限部91aの温度が所定温度を超えていない場合(S171でNo)、ステップS76に移行する。一方、電流制限部91aの温度が所定温度を超えている場合(S171でYes)、スイッチをオフして(S172)、プリチャージ動作を完了する。
以上のような本変形例に係る制御装置190aにおいても、上記実施の形態2と同様の効果が奏される。すなわち、簡易な構成で、複数の蓄電素子41(本変形例では複数の蓄電ユニット40)を並列に接続する際に過大な横流が流れることを抑制できる。
また、本変形例では、電流制限部91aの温度が所定温度を越えている場合にスイッチ91bをオフすることにより、例えば電流制限部91aに異常が生じた場合であっても横流を遮断することができる。よって、安全性を一層確保することができる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電システムについて説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及び変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態及び変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
また、例えば、上記説明では、各々が制御装置を備える複数の蓄電装置により構成される蓄電システムについて説明したが、制御装置、もしくは、制御装置とこれによって充電または放電が制御される蓄電ユニットとを備える蓄電装置も、本発明の範囲内に含まれる。このような構成において、蓄電ユニット及び制御装置の双方が移動体に搭載されてもかまわないし、いずれか一方のみが移動体に搭載されてもかまわない。また、各々が制御装置を備える複数の蓄電装置により構成される蓄電システムにおいて、一部の蓄電装置のみが移動体に搭載されてもかまわない。
また、次のような蓄電装置も、本発明の範囲内に含まれる。すなわち、蓄電装置は、蓄電素子41を備える蓄電ユニット40と、前記蓄電ユニット40の充電または放電の電流経路に設けられたスイッチと、スイッチに制御信号を供給する制御部と、スイッチに外部入力信号を供給する外部入力端子とを備える。ここで、スイッチは、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチをオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチをオンとする信号の場合にオンとなるオン機能、の少なくとも一方を有する。このような蓄電装置は、例えば移動体に搭載される。
また、例えば、上記実施の形態1及びその変形例では、スイッチは、制御信号及び外部入力信号の少なくとも一方が当該スイッチをオフとする信号の場合にオフとなるオフ機能、及び、制御信号及び外部入力信号のいずれも当該スイッチをオンとする信号の場合にオンとなるオン機能の両方を有するとして説明した。しかし、スイッチは、当該オフ機能及び当該オン機能のいずれか一方のみを満たすように構成されていてもかまわない。
このように構成された制御装置であっても、充電または放電の電流経路の各々に設けられたスイッチが外部入力信号によって一斉にオフとなる、または、外部入力信号によって一斉にオンとなる。このため、効果は多少劣るものの、上記実施の形態と同様に、過電流による蓄電ユニット40の不具合の発生を低減することができる。
また、スイッチとしてFETが用いられる構成では、当該FETを充放電電流経路に流れる充電電流または放電電流の電流制限用に用いてもかまわない。
また、実施の形態1の変形例1の構成を用いて、各蓄電装置102にIDの自動割り付けを行ってもかまわない。具体的には、ホストバッテリが起点となって、ターゲットバッテリにID(CAN−ID)の自動割り付けを行ってもかまわない。このようにIDの自動割り付けを行うことにより、ホストバッテリのみにIDを割り当てればよいため、IDの割り当てに関する作業工程の簡略化が図られる。
また、制御装置は、蓄電ユニット40の充電及び放電の少なくとも一方を制御すればよく、例えば、充電及び放電の一方について制御しなくてもかまわない。例えば、上記実施の形態2及びその変形例では、制御部は、横流として過大な充電電流を抑制するとして説明したが、当該横流として過大な放電電流を抑制してもかまわない。
また、上記実施の形態2及びその変形例で説明したいずれかの制御装置と当該制御装置によって充電または放電が制御される蓄電素子41とを備える蓄電装置が並列に複数設けられた蓄電システムも、本発明の範囲内に含まれる。
このような構成によれば、各蓄電装置が制御装置を有していることにより、当該蓄電装置の活線挿抜(ホットスワップ)が可能となる。つまり、上記実施の形態2及びその変形例では、蓄電システム1000aと電源2000との間のMCCB(不図示)及び蓄電システム1000aと負荷3000との間のMCCB(不図示)がオフしているとして説明した。しかし、これらMCCBはオンしていてもかまわない。これにより、複数の蓄電装置のうち一部の蓄電装置が交換される際に、他の蓄電装置が継続して充電または放電することとなり、N+1の冗長設計が図られる。
また、このような構成によれば、交換された蓄電装置を他の蓄電装置からプリチャージすることができるため、外部の充電器が不要となり、交換作業の容易化が図られる。
また、上記実施の形態2及びその変形例では、プリチャージの際の過大な横流を抑制するとして説明したが、抑制される横流はプリチャージの際に限らず、例えば、蓄電装置または蓄電システムの据付時の横流であってもかまわない。
また、上記実施の形態2及びその変形例で説明した制御装置の構成は、横流を抑制するだけでなく、通常の充放電時における過大な電流を抑制する構成として用いることもできる。
また、上記実施の形態2及びその変形例では、制御装置は蓄電装置に設けられていた(内蔵されていた)が、制御装置は蓄電装置外に設けられていてもかまわない。また、複数の蓄電装置に対して1つの制御装置が設けられていてもかまわない。つまり、制御装置は、並列に接続された複数の蓄電素子41の各々の充電または放電の電流経路に設けられた電流制限部と、複数の電流制限部を制御する制御部とを備えていてもかまわない。
また、実施の形態2及びその変形例では、制御装置はスイッチ91bを備えなくてもかまわない。このような構成であっても、電流制限部91aを備えることにより、過大な横流を抑制することができる。特に、電流制限部91aがFETを有する場合、制御装置は、プリチャージ後の充放電動作において、当該FETを飽和領域で動作させることにより、電流制限部91aをスイッチとして用いることができる。つまり、電流制限部91aを通常の充放電時における充電または放電を制御するために利用することができる。
また、実施の形態2及びその変形例において、制御部は、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように制御すればよく、定電流となるように制御しなくてもかまわない。
また、実施の形態2及びその変形例において、制御部は、蓄電素子41の電流経路の電流量が所定量を超えているか否かを判断しなくてもかまわない。例えば、制御部は、常に電流制限部91aが通過する電流を制限するように制御してもかまわないし、当該電流量の変化率が所定の変化率を超える場合に、電流制限部91aを通過する電流が所定量以下となるように制御してもかまわない。