JPWO2016204115A1 - 硬化物の製造方法、硬化物、及び前記硬化物を含む積層物 - Google Patents

硬化物の製造方法、硬化物、及び前記硬化物を含む積層物 Download PDF

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Abstract

耐熱性、耐クラック性(若しくは耐冷熱衝撃性)、被接着体に対する接着性及び密着性に優れた硬化物を提供する。本発明の硬化物は、重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して得られる硬化物であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とする加熱処理により得られる。前記重合性基を有する化合物としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される基を有する化合物が好ましく、特にエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンが好ましい。

Description

本発明は、硬化物の製造方法、前記方法で得られた硬化物、及び被接着体が前記硬化物によって接着された構成を有する積層物に関する。本願は、2015年6月17日に、日本に出願した特願2015−122349号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
半導体の積層や電子部品の接着に用いられる接着剤としては、ベンゾシクロブテン(BCB)、ノボラック系エポキシ樹脂、又はエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する熱硬化型接着剤が知られている(特許文献1)。
しかし、BCBを含有する熱硬化型接着剤を硬化させるためには200〜350℃程度の高温で加熱することが必要であり、前記高温に曝されることで被接着体がダメージを受ける可能性があった。また、ノボラック系エポキシ樹脂を含有する熱硬化型接着剤は、鉛フリー半田リフローなどの高温プロセス(例えば、260〜280℃)に付した際に接着剤が分解してアウトガスが発生し、それにより接着性が低下する問題があった。
一方、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する熱硬化型接着剤は、BCBを含有する熱硬化型接着剤に比べて低温で硬化させることができ、基板に対して接着性及び密着性に優れた硬化物を形成することができる。また、高温プロセスに付した際にも接着性を維持することができる。しかし、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する熱硬化型接着剤の硬化物は、冷熱衝撃を付与することによりクラックが発生し易いことが問題であった。
特開2010−226060号公報
従って、本発明の目的は、耐熱性、耐クラック性(若しくは耐冷熱衝撃性)、被接着体に対する接着性及び密着性に優れた硬化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記硬化物を介して被接着体が接着された構成を有する積層物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、硬化性組成物に硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して硬化させ、且つ1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とすることで、耐熱性、耐クラック性(若しくは耐冷熱衝撃性)、被接着体に対する接着性及び密着性に優れた硬化物が得られることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して得られる硬化物であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とする加熱処理により得られる硬化物を提供する。
本発明は、また、重合性基を有する化合物における重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される1種以上の基である前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、重合性基を有する化合物が、下記式(1)
[R1SiO3/2] (1)
[式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す]
で表される構成単位を有し、
下記式(I)
[RaSiO3/2] (I)
[式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
で表される構成単位と、下記式(II)
[RbSiO2/2(ORc)] (II)
[式(II)中、Rbは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Rcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位]が5以上であり、
シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する上記式(1)で表される構成単位及び下記式(4)
[R1SiO2/2(ORc)] (4)
[式(4)中、R1は、式(1)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ]
で表される構成単位の割合が55〜100モル%であり、数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0であるエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンである前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、上記R1が、下記式(1a)〜(1d)で表される基からなる群より選択される1種以上の基である前記の硬化物を提供する。
Figure 2016204115
(式中、R1a、R1b、R1c、R1dは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
本発明は、また、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンが、更に、下記式(2)
[R2SiO3/2] (2)
[式(2)中、R2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す]
で表される構成単位を有する前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、上記R2が、置換若しくは無置換のアリール基である前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、硬化性組成物が、さらに重合開始剤を含む前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、硬化性組成物が、さらに重合安定剤を含む前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、硬化性組成物が、さらにシランカップリング剤を含む前記の硬化物を提供する。
本発明は、また、重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して硬化物を製造する方法であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とすることを特徴とする硬化物の製造方法を提供する。
本発明は、また、3層以上で構成される積層物であって、
2層の被接着層と、該被接着層の間の接着層とを有し、
前記接着層が、前記の硬化物の層であることを特徴とする積層物を提供する。
本発明は、また、前記の積層物を有する装置を提供する。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して得られる硬化物であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とする加熱処理により得られる硬化物。
[2]重合性基を有する化合物における重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される1種以上の基である[1]に記載の硬化物。
[3]重合性基を有する化合物が、下記式(1)
[R1SiO3/2] (1)
[式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す]
で表される構成単位を有し、
下記式(I)
[RaSiO3/2] (I)
[式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
で表される構成単位と、下記式(II)
[RbSiO2/2(ORc)] (II)
[式(II)中、Rbは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Rcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位]が5以上であり、
シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する上記式(1)で表される構成単位及び下記式(4)
[R1SiO2/2(ORc)] (4)
[式(4)中、R1は、式(1)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ]
で表される構成単位の割合が55〜100モル%であり、数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0であるエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンである[1]に記載の硬化物。
[4]上記R1が、下記式(1a)〜(1d)で表される基からなる群より選択される1種以上の基である[3]に記載の硬化物。
Figure 2016204115
(式中、R1a、R1b、R1c、R1dは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
[5]エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンが、更に、下記式(2)
[R2SiO3/2] (2)
[式(2)中、R2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す]
で表される構成単位を有する[3]又は[4]に記載の硬化物。
[6]上記R2が、置換若しくは無置換のアリール基である[5]に記載の硬化物。
[7]エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位、上記式(2)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、及び下記式(5)
[R2SiO2/2(ORc)] (5)
[式(5)中、R2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。Rcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位の割合(総量)が60〜100モル%である、[5]又は[6]に記載の硬化物。
[8]硬化性組成物における上記重合性化合物の含有量(配合量)が、溶媒を除く硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、70重量%以上、100重量%未満であり、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの割合が、重合性化合物全量(100重量%)の70重量%以上である、[3]〜[7]のいずれか1つに記載の硬化物。
[9]硬化性組成物が、さらに重合開始剤を含む[1]〜[8]のいずれか1つに記載の硬化物。
[10]硬化性組成物が、さらに重合安定剤を含む[1]〜[9]のいずれか1つに記載の硬化物。
[11]硬化性組成物が、さらにシランカップリング剤を含む[1]〜[10]のいずれか1つに記載の硬化物。
[12]熱分解温度が200℃以上である[1]〜[11]のいずれか1つに記載の硬化物。
[13]重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して硬化物を製造する方法であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とすることを特徴とする硬化物の製造方法。
[14]重合性基を有する化合物が、下記式(1)
[R1SiO3/2] (1)
[式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す]
で表される構成単位を有し、
下記式(I)
[RaSiO3/2] (I)
[式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
で表される構成単位と、下記式(II)
[RbSiO2/2(ORc)] (II)
[式(II)中、Rbは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Rcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位]が5以上であり、
シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する上記式(1)で表される構成単位及び下記式(4)
[R1SiO2/2(ORc)] (4)
[式(4)中、R1は、式(1)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ]
で表される構成単位の割合が55〜100モル%であり、数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0であるエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンを含む、[13]に記載の硬化物の製造方法。
[15]1段階目の加熱処理を5分以上かけて行う[13]又は[14]に記載の硬化物の製造方法。
[16]1段階目の加熱処理における加熱温度が90℃以上、150℃未満である、[15]に記載の硬化物の製造方法。
[17]2段階目以降の加熱処理における加熱温度が150〜200℃である[13]〜[16]のいずれか1つに記載の硬化物の製造方法。
[18]2段階目以降の加熱処理における加熱時間が5〜120分である[13]〜[17]のいずれか1つに記載の硬化物の製造方法。
[19]1段階目と2段階目の加熱処理にかける時間の合計(3段階目以降も行う場合は、3段階目以降の加熱処理に要する時間も合計する)が0.5〜2時間である[13]〜[18]のいずれか1つに記載の硬化物の製造方法。
[20]3層以上で構成される積層物であって、2層の被接着層と、該被接着層の間の接着層とを有し、前記接着層が、[1]〜[12]のいずれか1つに記載の硬化物の層であることを特徴とする積層物。
[21][20]に記載の積層物を有する装置。
積層物中の接着層にクラックや剥離が生じると、被接着層が剥離したり、配線が破壊される原因となり、結果として積層物を備えた装置の故障の原因となるが、本発明の硬化物は耐熱性、耐クラック性、被接着体に対する接着性及び密着性に優れるため、冷熱衝撃を付与しても接着層にクラックや剥離が生じることがなく、信頼性を有する装置を形成することができる。そして、本発明の積層物が半導体チップの三次元積層体である場合は、従来の半導体よりも高集積、省電力であるため、本発明の積層物を使用すれば、より小型で高性能な電子機器を提供することができる。
硬化物の耐熱性の評価方法を示す説明図(熱重量分析結果の模式図)である。
[硬化性組成物]
本発明における硬化性組成物は、重合性基を有する化合物(以後、「重合性化合物」と称する場合がある)を少なくとも含有する。本発明における硬化性組成物は、さらに、重合開始剤や重合安定剤、表面調整剤あるいは表面改質剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
(重合性基を有する化合物)
前記重合性基を有する化合物における重合性基は、加熱処理を施すことにより重合して硬化物を形成することができる基であればよく、例えば、カチオン重合性基やラジカル重合性基が含まれる。本発明においては、なかでも、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される1種以上の基が好ましい。
すなわち、本発明における重合性化合物としては、エポキシ基を有する化合物(以後、「エポキシ化合物」と称する場合がある)、オキセタニル基を有する化合物(以後、「オキセタン化合物」と称する場合がある)、ビニルエーテル基を有する化合物(以後、「ビニルエーテル化合物」と称する場合がある)、及びビニルフェニル基を有する化合物(以後、「ビニルフェニル化合物」と称する場合がある)からなる群より選択される1種以上の化合物が好ましい。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物としては、分子内に1以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、エポキシ変性シロキサン化合物、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)等が挙げられる。
<エポキシ変性シロキサン化合物>
上記エポキシ変性シロキサン化合物としては、例えば、エポキシ変性シリコーンやエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記エポキシ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の末端及び側鎖の少なくとも1つにエポキシ基(例えば、グリシジル基、脂環エポキシ基等)を導入した化合物である。
前記エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、シルセスキオキサン構造と、それに結合したエポキシ基を有するポリシロキサン化合物であり、前記シルセスキオキサン構造には、ランダム型構造、カゴ型構造、及びラダー型構造が含まれる。
好ましいエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、例えば、下記式(1)
[R1SiO3/2] (1)
[式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す]
で表される構成単位を有し、
下記式(I)
[RaSiO3/2] (I)
[式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
で表される構成単位(「T3体」と称する場合がある)と、下記式(II)
[RbSiO2/2(ORc)] (II)
[式(II)中、Rbは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Rcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
で表される構成単位(「T2体」と称する場合がある)のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位;「T3体/T2体」と記載する場合がある]が5以上であり、
シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する上記式(1)で表される構成単位及び下記式(4)
[R1SiO2/2(ORc)] (4)
[式(4)中、R1は、式(1)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ]
で表される構成単位の割合(総量)が55〜100モル%であり、数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0である化合物を挙げることができる。
上記式(I)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(I')で表される。また、上記式(II)で表される構成単位をより詳細に記載すると、下記式(II')で表される。下記式(I')で表される構造中に示されるケイ素原子に結合した3つの酸素原子はそれぞれ、他のケイ素原子(式(I')に示されていないケイ素原子)と結合している。また、下記式(II')で表される構造中に示されるケイ素原子の上と下に位置する2つの酸素原子もそれぞれ、他のケイ素原子(式(II')に示されていないケイ素原子)に結合している。即ち、上記T3体及びT2体は、いずれも、一般に[RSiO3/2]で表される構成単位(いわゆるT単位)であり、対応する加水分解性三官能シラン化合物の加水分解及び縮合反応により形成される。尚、上記式中のRは、水素原子又は一価の有機基を示し、以下においても同じである。
Figure 2016204115
上記式(I)中のRa(式(I')中のRaも同じ)及び式(II)中のRb(式(II')中のRbも同じ)は、それぞれ、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Ra及びRbの具体例としては、後述の式(1)におけるR1、式(2)におけるR2と同様のものが例示される。尚、式(I)中のRa及び式(II)中のRbは、それぞれ、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(a)〜(c)におけるR1、R2、水素原子等)に由来する。
上記式(II)中の(ORc)基(式(II')中の(ORc)基も同じ)は、水酸基又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。式(II)中の(ORc)基は、一般的には、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用した加水分解性シラン化合物におけるアルコキシ基(例えば、後述のX1〜X3としてのアルコキシ基等)に由来する。
上記式(1)で表される構成単位はT単位(特にT3体)であり、対応する加水分解性三官能シラン化合物(例えば、後述の式(a)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
式(1)中のR1は、エポキシ基を含有する基(一価の基)を示す。上記エポキシ基を含有する基としては、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられ、特に限定されないが、硬化性組成物の硬化性及び硬化物の耐熱性の観点で、下記式(1a)〜(1d)で表される基からなる群より選択される1種以上の基が好ましく、なかでも下記式(1a)又は(1c)で表される基が好ましく、特に好ましくは下記式(1a)で表される基である。
Figure 2016204115
式中、R1a、R1b、R1c、R1dは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示し、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基等の炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
1a、R1b、R1c、R1dとしては、なかでも、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、さらに好ましくはエチレン基、トリメチレン基である。
式(1)中のR1としては、特に、上記式(1a)で表される基であって、R1aがエチレン基である基[例えば、2−(3',4'−エポキシシクロヘキシル)エチル基]が好ましい。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位を1種のみ有するものであってもよいし、上記式(1)で表される構成単位を2種以上有するものであってもよい。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、T単位(特にT3体)として、上記式(1)で表される構成単位以外にも、下記式(2)
[R2SiO3/2] (2)
で表される構成単位を有していてもよい。上記式(2)で表される構成単位は、対応する加水分解性三官能シラン化合物(例えば、後述の式(b)で表される化合物)の加水分解及び縮合反応により形成される。
上記式(2)中のR2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
上述の置換アリール基、置換アラルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルキル基、置換アルケニル基としては、上述のアリール基、アラルキル基、シクロアルキル基、アルキル基、アルケニル基における水素原子又は主鎖骨格の一部若しくは全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、及びヒドロキシ基(水酸基)からなる群より選択された少なくとも1種で置換された基が挙げられる。
なかでも、R2としては、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基が好ましく、より好ましくは置換若しくは無置換のアリール基、さらに好ましくはフェニル基である。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(1)で表される構成単位、及び式(2)で表される構成単位の割合は、これらの構成単位を形成するための原料(加水分解性三官能シラン)の組成により適宜調整することが可能である。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、T単位(特にT3体)として、上記式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位以外にも、例えば、下記式(3)
[HSiO3/2] (3)
で表される構成単位を有していてもよい。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの上記割合[T3体/T2体]が5以上であることは、T3体に対し一定以上のT2体が存在していることを意味する。このようなT2体としては、例えば、下記式(4)
[R1SiO2/2(ORc)] (4)
で表される構成単位、下記式(5)
[R2SiO2/2(ORc)] (5)
で表される構成単位、下記式(6)
[HSiO2/2(ORc)] (6)
で表される構成単位等が挙げられる。尚、上記R1、R2、(ORc)は、前記に同じ。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記式(I)で表される構成単位(T3体)と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)の割合[T3体/T2体]は、上述のように5以上であり、好ましくは5〜18、より好ましくは6〜16、さらに好ましくは7〜14である。上記割合[T3体/T2体]を5以上とすることにより、硬化物の接着性が著しく向上する。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]は、例えば、29Si−NMRスペクトル測定により求めることができる。29Si−NMRスペクトルにおいて、上記式(I)で表される構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上記式(II)で表される構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なる位置(化学シフト)にシグナル(ピーク)を示すため、それぞれのピークの積分比を算出することにより、上記割合[T3体/T2体]が求められる。例えば、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンが、上記式(1)で表され、R1が2−(3',4'−エポキシシクロヘキシル)エチル基である構成単位を有する場合には、上記式(I)で表される構造(T3体)におけるケイ素原子のシグナルは−64〜−70ppmに現れ、上記式(II)で表される構造(T2体)におけるケイ素原子のシグナルは−54〜−60ppmに現れる。従って、この場合、−64〜−70ppmのシグナル(T3体)と−54〜−60ppmのシグナル(T2体)の積分比を算出することによって、上記割合[T3体/T2体]を求めることができる。
尚、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの29Si−NMRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「JNM−ECA500NMR」(日本電子(株)製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
一般に、完全カゴ型シルセスキオキサンは、T3体のみにより構成されたポリオルガノシルセスキオキサンであり、分子中にT2体が存在しない。即ち、上記割合[T3体/T2体]が5以上であるエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、不完全カゴ型シルセスキオキサン構造を有することが示唆される。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンがカゴ型(特に不完全カゴ型)シルセスキオキサン構造を有することは、FT−IRスペクトルにおいて1050cm-1付近と1150cm-1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有さず、1100cm-1付近に一つの固有吸収ピークを有することから確認できる[参考文献:R.H.Raney, M.Itoh, A.Sakakibara and T.Suzuki, Chem. Rev. 95, 1409(1995)]。これに対して、一般に、FT−IRスペクトルにおいて1050cm-1付近と1150cm-1付近にそれぞれ固有吸収ピークを有する場合には、ラダー型シルセスキオキサン構造を有すると同定される。尚、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンのFT−IRスペクトルは、例えば、下記の装置及び条件により測定することができる。
測定装置:商品名「FT−720」((株)堀場製作所製)
測定方法:透過法
分解能:4cm-1
測定波数域:400〜4000cm-1
積算回数:16回
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは上述のT単位以外にも、例えば、[R3SiO1/2]で表される構成単位(いわゆるM単位)、[R2SiO]で表される構成単位(いわゆるD単位)、及び[SiO2]で表される構成単位(いわゆるQ単位)からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン構成単位を有していてもよい。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位及び上記式(4)で表される構成単位の割合(総量)は、上述のように、55〜100モル%であり、好ましくは65〜100モル%、さらに好ましくは80〜99モル%である。上記割合を55モル%以上とすることにより、硬化性組成物の硬化性が向上し、また、硬化物の接着性が著しく高くなる。尚、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける各シロキサン構成単位の割合は、例えば、原料の組成やNMRスペクトル測定等により算出できる。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(2)で表される構成単位及び上記式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、0〜70モル%が好ましく、より好ましくは0〜60モル%、さらに好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは1〜15モル%である。上記割合を70モル%以下とすることにより、相対的に式(1)で表される構成単位及び式(4)で表される構成単位の割合を多くすることができるため、硬化性組成物の硬化性が向上し、硬化物の接着性がより高くなる傾向がある。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおけるシロキサン構成単位の全量[全シロキサン構成単位;M単位、D単位、T単位、及びQ単位の全量](100モル%)に対する、上記式(1)で表される構成単位、上記式(2)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、及び上記式(5)で表される構成単位の割合(総量)は、特に限定されないが、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。上記割合を60モル%以上とすることにより、硬化物の接着性がより高くなる傾向がある。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンのGPCによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、上述のように、1.0〜3.0であり、好ましくは1.1〜2.0、より好ましくは1.2〜1.9、特に好ましくは1.45〜1.80である。分子量分散度を3.0以下とすることにより、硬化物の接着性がより高くなる。一方、分子量分散度を1.0以上(好ましくは1.1以上)とすることにより、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンのGPCによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、上述のように1000〜3000であり、好ましくは1000〜2800、より好ましくは1000〜2600である。数平均分子量を1000以上とすることにより、硬化物の耐熱性、接着性がより向上する。一方、数平均分子量を3000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上し、硬化物の耐熱性がより向上する。
尚、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの数平均分子量、分子量分散度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、例えば、1種又は2種以上の加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。但し、前記加水分解性シラン化合物としては、上述の式(1)で表される構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(a)で表される化合物)を必須の加水分解性シラン化合物として使用する必要がある。
より具体的には、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンは、例えば、T単位を形成するための加水分解性シラン化合物である下記式(a)
1Si(X13 (a)
で表される化合物、必要に応じてさらに、下記式(b)
2Si(X23 (b)
で表される化合物、下記式(c)
HSi(X33 (c)
で表される化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。
上記式(a)で表される化合物は、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(1)で表される構成単位、及び式(4)で表される構成単位を形成する化合物である。式(a)中のR1は、上記式(1)、(4)におけるR1に対応する。
上記式(a)中のX1は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X1におけるアルコキシ基としては、(ORc)基における炭素数1〜4のアルコキシ基と同様の例が挙げられる。また、X1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。X1としては、なかでもアルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。尚、3つのX1は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(b)で表される化合物は、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(2)で表される構成単位、及び式(5)で表される構成単位を形成する化合物である。式(b)中のR2は、上記式(2)、(5)におけるR2に対応する。
上記式(b)中のX2は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X2の具体例としては、X1として例示したものが挙げられる。なかでも、X2としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。尚、3つのX2は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記式(c)で表される化合物は、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける式(3)で表される構成単位、及び式(6)で表される構成単位を形成する化合物である。上記式(c)中のX3は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。X3の具体例としては、X1として例示したものが挙げられる。なかでも、X3としては、アルコキシ基が好ましく、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。尚、3つのX3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記加水分解性シラン化合物としては、上記式(a)〜(c)で表される化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。例えば、上記式(a)〜(c)で表される化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成する加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成する加水分解性二官能シラン化合物、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物等が挙げられる。
上記加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、所望するエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの構造に応じて適宜調整できる。例えば、上記式(a)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、55〜100モル%が好ましく、より好ましくは65〜100モル%、さらに好ましくは80〜99モル%である。
また、上記式(b)で表される化合物の使用量は、特に限定されないが、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対して、0〜70モル%が好ましく、より好ましくは0〜60モル%、さらに好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは1〜15モル%である。
さらに、使用する加水分解性シラン化合物の全量(100モル%)に対する式(a)で表される化合物と式(b)で表される化合物の割合(総量の割合)は、特に限定されないが、60〜100モル%が好ましく、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。
また、上記加水分解性シラン化合物として2種以上を併用する場合、これらの加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、同時に行うこともできるし、逐次行うこともできる。上記反応を逐次行う場合、反応を行う順序は特に限定されない。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うこともできるし、非存在下で行うこともできる。なかでも溶媒の存在下で行うことが好ましい。上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。上記溶媒としては、なかでも、ケトン、エーテルが好ましい。尚、溶媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量100重量部に対して、0〜2000重量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよい。上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。尚、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
上記触媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.002〜0.200モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.5〜20モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよい。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応を行う際の反応条件としては、特に、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンにおける上記割合[T3体/T2体]が5以上となるような反応条件を選択することが重要である。上記加水分解及び縮合反応の反応温度は、特に限定されないが、40〜100℃が好ましく、より好ましくは45〜80℃である。反応温度を上記範囲に制御することにより、上記割合[T3体/T2体]をより効率的に5以上に制御できる傾向がある。また、上記加水分解及び縮合反応の反応時間は、特に限定されないが、0.1〜10時間が好ましく、より好ましくは1.5〜8時間である。また、上記加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。尚、上記加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、特に限定されず、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応により、エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。上記加水分解及び縮合反応の終了後には、エポキシ基の開環を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、得られたエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンには、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製を施してもよい。
<脂環式エポキシ化合物>
上記脂環式エポキシ化合物としては、分子内に1個以上の脂環と1個以上のエポキシ基とを有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、以下の化合物等が挙げられる。
(1)分子内に脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(本明細書においては、「脂環エポキシ基」と称する場合がある。脂環エポキシ基には、例えば、シクロヘキセンオキシド基等が含まれる)を有する化合物
(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物
(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物(グリシジルエーテル型エポキシ化合物)
上記(1)分子内に脂環エポキシ基を有する化合物としては、下記式(i)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2016204115
上記式(i)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。炭素数3〜18の二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記式(i)で表される脂環式エポキシ化合物の代表的な例としては、(3,4,3’,4’−ジエポキシ)ビシクロヘキシル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタンや、下記式(i-1)〜(i-10)で表される化合物等が挙げられる。尚、下記式(i-5)中のR'は炭素数1〜8のアルキレン基であり、なかでも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。また、下記式(i-5)、(i-7)、(i-9)、(i-10)中のn1〜n8は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2016204115
Figure 2016204115
上述の(2)脂環にエポキシ基が直接単結合で結合している化合物としては、例えば、下記式(ii)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016204115
式(ii)中、R"は、p価のアルコールの構造式からp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R"(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、nは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの[ ]内(外側の角括弧内)の基におけるnは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(ii)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の(3)分子内に脂環及びグリシジルエーテル基を有する化合物としては、例えば、脂環式アルコール(特に、脂環式多価アルコール)のグリシジルエーテルが挙げられる。より詳しくは、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパンなどのビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタンなどのビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(水素化ビスフェノールF型エポキシ化合物);水素化ビフェノール型エポキシ化合物;水素化フェノールノボラック型エポキシ化合物;水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAの水素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物;水素化ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物を水素化した化合物;下記芳香族エポキシ化合物を水素化した化合物等が挙げられる。
<芳香族エポキシ化合物>
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等]と、エピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;これらのエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノール類とさらに付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類[例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等]とアルデヒド[例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等]とを縮合反応させて得られる多価アルコール類を、さらにエピハロヒドリンと縮合反応させることにより得られるノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フルオレン環の9位に2つのフェノール骨格が結合し、且つこれらフェノール骨格のヒドロキシ基から水素原子を除いた酸素原子に、それぞれ、直接又はアルキレンオキシ基を介してグリシジル基が結合しているエポキシ化合物等が挙げられる。
<脂肪族エポキシ化合物>
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、q価の環状構造を有しないアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル;一価又は多価カルボン酸[例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、イタコン酸等]のグリシジルエステル;エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまし油等の二重結合を有する油脂のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン等のポリオレフィン(ポリアルカジエンを含む)のエポキシ化物等が挙げられる。尚、上記q価の環状構造を有しないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール等の一価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の二価のアルコール;グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等の三価以上の多価アルコール等が挙げられる。また、q価のアルコールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等であってもよい。
(オキセタン化合物)
上記オキセタン化合物としては、分子内に1以上のオキセタン環を有する公知乃至慣用の化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル)}オキセタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
(ビニルエーテル化合物)
上記ビニルエーテル化合物としては、分子内に1以上のビニルエーテル基を有する公知乃至慣用の化合物を使用することができ、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(エチレングリコールモノビニルエーテル)、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8−オクタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールジビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、イソソルバイドジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、ビスフェノールFジビニルエーテル、ヒドロキシオキサノルボルナンメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられる。
(ビニルフェニル化合物)
上記ビニルフェニル化合物としては、例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、酢酸4−ビニルフェニル、(4−ビニルフェニル)ジヒドロキシボラン、4−エテニルフェニルボロン酸、4−ビニルフェニルボラン酸、4−ビニルフェニルボロン酸、p−ビニルフェニルホウ酸、N−(4−ビニルフェニル)マレインイミド等、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。
本発明における硬化性組成物における上記重合性化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、溶媒を除く硬化性組成物の全量(100重量%)に対して、70重量%以上、100重量%未満が好ましく、より好ましくは80〜99.8重量%、さらに好ましくは90〜99.5重量%である。上記重合性化合物の含有量を70重量%以上とすることにより、硬化物の耐熱性がより向上する傾向がある。
また、本発明における硬化性組成物は重合性化合物としてエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンを含有することが、耐熱性、耐クラック性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの割合は、硬化性組成物に含まれる重合性化合物全量(100重量%)の70重量%以上(例えば、70〜100重量%)が好ましく、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。
(重合開始剤)
重合開始剤にはカチオン重合開始剤とアニオン重合開始剤が含まれる。前記カチオン重合開始剤は加熱することによってカチオン種を発生して、重合性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、前記アニオン重合開始剤は加熱することによってアニオン種を発生して、重合性化合物の硬化反応を開始させる化合物である。本発明における硬化性組成物が重合開始剤を含有すると、タックフリーとなるまでの硬化時間を短縮することができる。尚、重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、加熱乾燥により硬化反応を進行させること無く速やかに接着剤層を形成することができ、また、50℃未満では接着性を有さず、被接着体へのダメージを抑制可能な温度で加熱することにより接着性を発現し、その後、速やかにタックフリーとなるまで硬化する特性を有する接着剤層が得られる点で、下記硬化特性を有する重合開始剤を使用することが好ましい。
すなわち、カチオン重合開始剤の場合は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート[例えば、商品名「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製)]100重量部に対してカチオン重合開始剤を1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間が3.5分以上(例えば3.5〜7.0分、好ましくは4.5〜6.0分)である重合開始剤を使用することが好ましい。
また、アニオン重合開始剤の場合は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル100重量部に対してアニオン重合開始剤を1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間が3.5分以上である重合開始剤を使用することが好ましい。
尚、本発明における熱硬化時間とは、JIS K5909(1994年)に準拠した方法で求めた、前記組成物を熱板上で熱してゴム状になるまで(より具体的には、硬化が進み、針先に糸状について上がらなくなるまで)の時間である。熱硬化時間が上記範囲を下回る重合開始剤を使用すると、加熱乾燥する際にカチオン重合開始剤を使用した場合はカチオン種、アニオン重合開始剤を使用した場合はアニオン種が発生し、それ以降室温でも徐々に重合が進行するため、保存安定性を有する接着剤層の形成が困難となる。
上記カチオン重合開始剤は、熱を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、アレン−イオン錯体、第4級アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。本発明においては、なかでも、硬化速度の点でアリールスルホニウム塩が好ましい。
アリールスルホニウム塩におけるカチオン部としては、例えば、(4−ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
アリールスルホニウム塩におけるアニオン部としては、例えば、SbF6 -、PF6 -、BF4 -、(CF3CF23PF3 -、(CF3CF2CF23PF3 -、(C654-、(C654Ga-、スルホン酸アニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン等)、(CF3SO23-、(CF3SO22-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。
上記カチオン重合開始剤としては、例えば、商品名「SP−66」、「SP−77」(以上、(株)ADEKA製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−150L」(以上、三新化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。
アニオン重合開始剤としては、例えば、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、イミダゾール類、三フッ化ホウ素−アミン錯体等を挙げることができる。前記イミダゾール類には、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]エチル−s−トリアジン、2−フェニルイミダゾリン、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等が含まれる。また、前記第3級アミンには、例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7)等が含まれる。
本発明においては、カチオン重合開始剤(特に好ましくは熱カチオン重合開始剤、最も好ましくはアリールスルホニウム塩)を使用することが、硬化速度の点で好ましい。
上記重合開始剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、本発明における硬化性組成物に含まれる重合性化合物100重量部に対して、0.01〜3.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜2.0重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部、とりわけ好ましくは0.3〜0.8重量部である。重合開始剤の含有量を0.01重量部以上とすることにより、硬化反応を効率的に進行させることができ、硬化物の耐熱性、接着性がより向上する傾向がある。一方、重合開始剤の含有量を3.0重量部以下とすることにより、硬化性組成物の保存性が一層向上したり、硬化物の着色が抑制される傾向がある。
(重合安定剤)
重合安定剤は、カチオンをトラップすることによりカチオン重合の進行を抑制する化合物である。重合安定剤によるカチオンのトラップ能は、加熱により飽和して失われる。本発明における硬化性組成物がカチオン重合開始剤を含有する場合、カチオン重合開始剤と共に重合安定剤を含有することが、塗布・乾燥して接着剤層を形成した後、長期に亘って重合の進行を抑制することができ、接着性が求められるタイミングで加熱することで優れた接着性を発現することができる、保存安定性に優れた接着剤層を形成することができる点で好ましい。
前記重合安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ([6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ])、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス(2,3−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ミックスト(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]ジエチル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ([6−N−モルホリル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ])、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、商品名「LA−77」、「LA−67」、「LA−57」(以上、ADEKA製)、商品名「TINUVIN123」、「TINUVIN152」(以上、チバ・ジャパン(株)製)等のヒンダードアミン系化合物や、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルサルファイト(サンエイドSI助剤、三新化学工業(株)製)等のスルホニウム硫酸塩系化合物、商品名「PEP−36」((株)ADEKA製)等のホスファイト系化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
重合安定剤の使用量は、カチオン重合開始剤100重量部に対して、例えば1重量部以上、好ましくは3〜20重量部、特に好ましくは5〜15重量部である。
本発明における硬化性組成物は、さらに、必要に応じて、沈降シリカ、湿式シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、酸化チタン、アルミナ、ガラス、石英、アルミノケイ酸、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カーボンブラック、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機質充填剤、これらの充填剤をオルガノハロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物により処理した無機質充填剤;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の有機樹脂微粉末;銀、銅等の導電性金属粉末等の充填剤、硬化助剤、溶剤(有機溶剤等)、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤、重金属不活性化剤など)、難燃剤(リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、補強材(他の充填剤など)、核剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、滑剤、ワックス、可塑剤、離型剤、耐衝撃改良剤、色相改良剤、透明化剤、レオロジー調整剤(流動性改良剤など)、加工性改良剤、着色剤(染料、顔料など)、帯電防止剤、分散剤、表面調整剤(レベリング剤、ワキ防止剤など)、表面改質剤(スリップ剤など)、艶消し剤、消泡剤、抑泡剤、脱泡剤、発泡剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤などの慣用の添加剤を1種又は2種以上含んでいてもよい。
本発明における硬化性組成物は、特に限定されないが、上記の各成分を室温で又は必要に応じて加熱しながら攪拌・混合することにより調製することができる。尚、本発明における硬化性組成物は、各成分があらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物として使用することもできるし、例えば、別々に保管しておいた2以上の成分を使用前に所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物として使用することもできる。
本発明における硬化性組成物は、特に限定されないが、常温(約25℃)で液体であることが好ましい。スピンコートにて塗布を行う場合、硬化性組成物の粘度は塗布膜厚に応じて調整することが好ましく、0.1〜50μmの膜厚で塗布する場合には、1〜5000mPa・sとすることが好ましい。この粘度において、例えばシリコンウェハなどの基板に均一な膜厚を有する塗膜を形成することができる。尚、硬化性組成物の粘度は、粘度計(商品名「MCR301」、アントンパール社製)を用いて、振り角5%、周波数0.1〜100(1/s)、温度:25℃の条件で測定される。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記硬化性組成物に硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して得られる硬化物であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下(例えば50〜85%、特に好ましくは55〜85%、更に好ましくは60〜80%)とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超(好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上。尚、硬化度の上限は100%である)とする加熱処理により得られる硬化物である。尚、1段階目の加熱処理終了時の硬化度は、1段階目の加熱処理終了時のサンプルの発熱量、及び加熱処理を施す前のサンプルの発熱量をDSCにより測定し、以下の式から算出できる。
硬化度(%)=[1−(1段階目の加熱処理終了時の発熱量/加熱処理を施す前の発熱量)]×100
すなわち、本発明の硬化物の製造方法は、重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して硬化物を製造する方法であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下(例えば50〜85%、特に好ましくは55〜85%、更に好ましくは60〜80%)とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超(好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上。尚、硬化度の上限は100%である)とすることを特徴とする。1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下に制御することによって、応力緩和しやすい構造体を形成することができ、最終的に得られる硬化物の耐クラック性が向上すると考えられる。
硬化度は加熱温度、及び加熱時間を調整することで制御できる。本発明においては、硬化度が50〜85%(好ましくは55〜85%、更に好ましくは60〜80%)に達するまでは、ある程度時間をかけてゆっくりと硬化させることが、より一層優れた耐クラック性を有する硬化物を得ることができる点で好ましく、1段階目の加熱処理を、例えば5分以上(好ましくは5〜120分、特に好ましくは10〜60分、最も好ましくは30〜60分)かけて行うことが好ましい。
1段階目の加熱処理における加熱温度は、5分以上加熱処理を行っても、1段階目の加熱処理終了時の硬化度が85%を超えない温度であればよく、硬化性組成物が重合性化合物としてエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンを含有する場合は、例えば90℃以上、150℃未満、好ましくは100〜140℃、特に好ましくは110〜140℃である。1段階目の加熱処理を上記範囲の温度で行うと、耐クラック性に優れた硬化物を良好な作業性で製造することができる。一方、1段階目の加熱処理を、150℃を超える温度で行うと、ゆっくりと硬化させることができず、得られる硬化物の耐クラック性が低下する傾向がある。また、硬化が早く進行しすぎるため、硬化度が85%以下の段階で1段階目の加熱処理を終了することが困難となる傾向がある。1段階目の加熱処理を、90℃未満の温度で行うと、硬化に時間がかかりすぎ、作業性が低下する傾向がある。
2段階目以降の加熱処理における加熱温度は、例えば150〜200℃、好ましくは160〜190℃、特に好ましくは160〜180℃である。加熱時間は、例えば5〜120分、好ましくは10〜60分である。2段階目以降の加熱処理温度が150℃を下回ると、得られる硬化物の硬化度を100%にまで高めることが困難となり、耐熱性、耐クラック性、被接着体に対する接着性及び密着性が低下する傾向がある。また、たとえ硬化度を100%近くまで高めることができても、硬化に時間がかかりすぎ、作業性が低下するため好ましくない。一方、2段階目以降の加熱処理温度が200℃を上回ると、被接着体が熱により劣化する場合がある。
尚、各段階における加熱処理は、上記範囲内において温度を段階的に変更しつつ行ってもよく、上記範囲内の特定の温度に固定して加熱処理を行ってもよい。また、本発明の加熱処理は2段階以上であればよく、2段階でも、3段階以上の多段階でもよい。
また、1段階目と2段階目の加熱処理にかける時間の合計(3段階目以降も行う場合は、3段階目以降の加熱処理に要する時間も合計する)は、例えば0.5〜2時間程度、好ましくは0.75〜1.5時間である。
上記製造方法で得られる本発明の硬化物は耐クラック性に優れ、冷熱衝撃を付与してもクラックの発生が抑制される。
また、上記製造方法で得られる本発明の硬化物は耐熱性に優れ、熱分解温度は、例えば200℃以上(例えば200〜500℃)、好ましくは260℃以上である。尚、熱分解温度は実施例に記載の方法で求められる。
本発明の硬化物の形状は、用途に応じて適宜調整することができ特に制限されないが、例えば、シート状、フィルム状、テープ状、板状等が挙げられる。硬化物の厚みについても特に制限されることが無い。
本発明の硬化物は、耐熱性、耐クラック性、被着体に対する優れた接着性及び密着性を有する。そのため、本発明における硬化性組成物を接着剤、特に熱硬化性接着剤として使用した場合、それを硬化させることにより得られる本発明の硬化物は、耐熱性、耐クラック性、被着体に対する接着性及び密着性に優れた接着材となり、所望の被接着体同士を接着する用途に使用することができる。
[積層物]
本発明の積層物は、3層以上で構成される積層物であって、2層の被接着層と、該被接着層の間の接着層とを有し、前記接着層が、上記硬化物の層であることを特徴とする。
本発明の積層物は、特に限定されないが、例えば、一方の被接着層に本発明における硬化性組成物を塗布し、さらに、必要に応じて乾燥させることによって接着剤層を形成し、若しくは一方の被接着層に、予め本発明における硬化性組成物を剥離紙等の表面に塗布し、さらに、必要に応じて乾燥させることによって得られた接着剤層を貼り合わせ、続いて、当該接着剤層に対して他方の被接着層を貼り合わせ、その後、上述の通りの加熱処理を施して前記接着剤層を硬化させることによって得ることができる。但し、本発明の積層物の製造方法は、上記方法に限定されない。
硬化性組成物の塗布の方法は特に限定されず、周知慣用の手段を利用することができる。また、乾燥の手段や条件も特に限定されず、溶媒等の揮発分をできるだけ除去できる条件を適宜設定することができ、周知慣用の手段を用いることができる。特に、硬化性組成物が、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)100重量部に対して1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間が3.5分以上である重合開始剤を含有する場合は、加熱乾燥により、硬化反応の進行を抑制しつつ、速やかに溶媒等の揮発分を除去することができ、作業性に優れる。また、得られる接着剤層は、50℃未満では接着性を有さず、被接着体へのダメージを抑制可能な温度で加熱することにより接着性を発現する。
本発明の積層物における被接着層を形成する被接着体は特に限定されず、例えば、プラスチック基材、金属基材、セラミックス基材、半導体基材(半導体チップ、半導体ウェハ等を含む)、ガラス基材、紙基材、木基材、表面が塗装表面である基材等が挙げられる。尚、本発明の積層物は、被接着層を2層のみ有するものであってもよいし、3層以上有するものであってもよい。また、被接着層の厚みは特に限定されず、例えば、1〜100000μmの範囲で適宜選択できる。被接着層は、厳密な層状の形態を有していなくてもよい。
本発明の積層物は、接着層を1層のみ有するものであってもよいし、2層以上有するものであってもよい。また、接着層の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1〜10000μmの範囲で適宜選択できる。
本発明の積層物は、上記被接着層と接着層以外にも、その他の層(例えば、中間層、下塗り層、その他の接着層等)を有するものであってもよい。
本発明の積層物は、耐熱性、耐クラック性、被接着体に対する接着性及び密着性に優れた接着層により被接着体が接着された構成を有する。そのため、本発明の積層物は、接着層にクラックや剥離が生じることにより被接着体が剥離したり、配線が破壊されたりすることを防止することができ、積層物を備えた装置の信頼性を向上することができる。そして、本発明の積層物が半導体チップの三次元積層体である場合は、従来の半導体よりも高集積、省電力であるため、本発明の積層物を使用すれば、より小型で高性能な電子機器を提供することができる。
本発明の積層物としては、例えば、マイクロプロセッサ、半導体メモリ、電源用IC、通信用IC、半導体センサー、MEMS、及びこれらを組み合わせた半導体等を挙げることができる。これらは高性能なサーバー、ワークステーション、車載用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、通信機器、撮影機器、画像表示装置等において使用される。
従って、前記積層物を有する(若しくは、積層物を備えた)本発明の装置としては、例えば、サーバー、ワークステーション、車載用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、通信機器、撮影機器、画像表示装置等を挙げることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
尚、生成物の数平均分子量、及び分子量分散度は、下記条件下でのGPC分析により求めた。
Alliance HPLCシステム 2695(Waters製)
Refractive Index Detector 2414(Waters製)
カラム:Tskgel GMHHR−M×2(東ソー(株)製)
ガードカラム:Tskgel guard column HHRL(東ソー(株)製)
カラムオーブン:COLUMN HEATER U−620(Sugai製)
溶媒:THF
測定条件:40℃
分子量:標準ポリスチレン換算
生成物におけるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]の測定は、JEOL ECA500(500MHz)による29Si−NMRスペクトル測定により行った。
調製例1
(エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンの調製)
温度計、攪拌装置、還流冷却器、及び窒素導入管を取り付けた300mLのフラスコ(反応容器)に、窒素気流下で2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン161.5mmol(39.79g)、フェニルトリメトキシシラン9mmol(1.69g)、及びアセトン165.9gを仕込み、50℃に昇温した。このようにして得られた混合物に、水1700mmol(30.60g)を20分かけて滴下した後、5%炭酸カリウム水溶液4.70g(炭酸カリウムとして1.7mmol)を5分かけて滴下した。なお、滴下の間、著しい温度上昇は起こらなかった。その後、50℃のまま、重縮合反応を窒素気流下で4時間行った。
重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は1900であり、分子量分散度は1.5であった。上記生成物の29Si−NMRスペクトルから算出されるT2体とT3体の割合[T3体/T2体]は10.3であった。
その後、メチルイソブチルケトンおよび食塩水を添加し、加熱攪拌を行った後、反応溶液を冷却し、下層液が中性になるまで水洗を行い、上層液を分取した後、1mmHg、40℃の条件で溶剤量が25重量%になるまで上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサン)を得た。
(硬化性組成物の調製)
得られたエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサン100重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量部、アンチモン系スルホニウム塩(商品名「SI−150L」、三新化学工業(株)製、セロキサイド2021P((株)ダイセル製)100重量部に対して1重量部添加して得られる組成物の130℃における熱硬化時間:5.4分)0.45重量部(固形分換算)、(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムメチルサルファイト(商品名「サンエイドSI助剤」、三新化学工業(株)製)0.05重量部を混合して、硬化性組成物を得た。
実施例1
シリコン板(サイズ:2cm×5cm、(株)SUMCO製、直径100mmのシリコンウエハをダイシングして得た)にシランカップリング剤(商品名「KBE403」、信越化学工業(株)製、以後「KBE403」と称する場合がある)をスピンコートで塗布し、120℃で5分加熱して、シランカップリング剤層付きシリコン板を得た。
シランカップリング剤層付きシリコン板のシランカップリング剤層表面に調製例1で得られた硬化性組成物をスピンコートで塗布し、80℃で4分、次いで100℃で2分加熱して残留する溶剤を除去して、接着剤層付きシリコン板[接着剤層/シランカップリング剤層/シリコン板]を得た。接着剤層の膜厚は5〜6μmであった。
得られた接着剤層付きシリコン板の接着剤層をサンプルとし、これを130℃で30分加熱し、次いで170℃で30分加熱して硬化物を得た。一段階目の硬化反応終了後(130℃で30分加熱後)の接着剤層の硬化度は80%であった。尚、1段階目の加熱処理終了時の硬化度は、1段階目の加熱処理終了時のサンプルの発熱量、及び加熱処理を施す前のサンプルの発熱量をDSCにより測定し、以下の式から算出した。以下の実施例及び比較例においても同様の方法で硬化度を算出した。
硬化度(%)=[1−(1段階目の加熱処理終了時の発熱量/加熱処理を施す前の発熱量)]×100
得られた硬化物について耐熱性、耐クラック性、及び密着性を以下の方法で評価した。
(耐熱性)
硬化物について、熱分析装置(商品名「TG−DTA6300」、セイコー電子工業(株)製)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱重量分析して熱分解温度(T)を測定したところ、260℃以上であり、耐熱性に優れていることがわかった。
尚、熱分解温度(T)とは、図1に示すように、初期の重量減少のない、或いは漸減しているところ(図中のAで示される範囲)の接線と、急激に重量減少が起こっているところ(図中のBで示される範囲)の変曲点の接線が交叉するところの温度である。
(耐クラック性)
硬化物に、250℃で30分加熱し、続いて室温まで急冷する冷熱衝撃を付与したところ、クラックの無い部分が硬化物の60%以上であり、耐クラック性に優れることが確認された。
(密着性)
硬化物のシリコン板への密着性を、碁盤目テープ試験(JIS K5400−8.5準拠)を行って評価した。その結果、シリコン板からの剥離は見られず、密着性に優れることが確認された。
実施例2
実施例1と同様の方法で得られた接着剤層付きシリコン板の接着剤層をサンプルとし、これを120℃で30分加熱し、次いで170℃で30分加熱して硬化物を得た。一段階目の硬化反応終了後(120℃で30分加熱後)の接着剤層の硬化度は60%であった。
得られた硬化物について耐熱性、耐クラック性、及び密着性を実施例1と同様の方法で評価した。
(耐熱性)
熱分解温度(T)は、260℃以上であり、耐熱性に優れていることがわかった。
(耐クラック性)
クラックの無い部分が硬化物の60%以上であり、耐クラック性に優れることが確認された。
(密着性)
シリコン板からの剥離は見られず、密着性に優れることが確認された。
比較例1
実施例1と同様の方法で得られた接着剤層付きシリコン板の接着剤層をサンプルとし、これを150℃で30分加熱し、次いで、170℃で30分加熱して硬化物を得た。一段階目の硬化反応終了後(150℃で30分加熱後)の接着剤層の硬化度は95%であった。
得られた硬化物について、実施例1と同様の方法で耐クラック性を評価したところ、硬化物全体に激しくクラックが発生した。
実施例3
ガラス板(4インチ、SCHOTT日本(株)製)にシランカップリング剤(商品名「KBE403」、信越化学工業(株)製、以後「KBE403」と称する場合がある)をスピンコートで塗布し、120℃で5分加熱して、シランカップリング剤層付きガラス板を得た。得られたシランカップリング剤層付きガラス板のシランカップリング剤層面に、減圧下で、実施例1と同様の方法で得られた接着剤層付きシリコン板[接着剤層/シランカップリング剤層/シリコン板]の接着剤層面を合わせ、60℃に加熱しながら200g/cm2の圧力をかけて貼り合わせた後、130℃で30分加熱し、次いで、170℃で30分加熱することにより積層物[ガラス板/シランカップリング剤層/接着層/シランカップリング剤層/シリコン板]を得た。尚、一段階目の硬化反応終了後(130℃で30分加熱後)の接着剤層の硬化度は80%であった。
得られた積層物の接着性を以下の方法で評価した。
(接着性)
積層物の接着界面にカミソリ刃(商品名「片刃トリミング用カミソリ」、日新EM(株)製)を挿入したところ、界面での剥離は生じず、接着層は接着性に優れることが確認された。
実施例4
実施例3と同様の方法で得られたシランカップリング剤層付きガラス板のシランカップリング剤層面に、減圧下で、実施例3と同様の方法で得られた接着剤層付きシリコン板[接着剤層/シランカップリング剤層/シリコン板]の接着剤層面を合わせ、60℃に加熱しながら200g/cm2の圧力をかけて貼り合わせた後、120℃で30分加熱し、次いで、170℃で30分加熱することにより積層物[ガラス板/シランカップリング剤層/接着層/シランカップリング剤層/シリコン板]を得た。尚、一段階目の硬化反応終了後(120℃で30分加熱後)の接着剤層の硬化度は60%であった。
得られた積層物について、実施例3と同様の方法で接着性を評価したところ、界面での剥離は生じず、接着層は接着性に優れることが確認された。
本発明の硬化物は、耐熱性、耐クラック性、被着体に対する優れた接着性及び密着性を有する。そのため、本発明における硬化性組成物を接着剤、特に熱硬化性接着剤として使用した場合、それを硬化させることにより得られる本発明の硬化物は、耐熱性、耐クラック性、被着体に対する接着性及び密着性に優れた接着材となり、所望の被接着体同士を接着する用途に使用することができる。

Claims (12)

  1. 重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して得られる硬化物であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とする加熱処理により得られる硬化物。
  2. 重合性基を有する化合物における重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及びビニルフェニル基からなる群より選択される1種以上の基である請求項1に記載の硬化物。
  3. 重合性基を有する化合物が、下記式(1)
    [R1SiO3/2] (1)
    [式(1)中、R1は、エポキシ基を含有する基を示す]
    で表される構成単位を有し、
    下記式(I)
    [RaSiO3/2] (I)
    [式(I)中、Raは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す]
    で表される構成単位と、下記式(II)
    [RbSiO2/2(ORc)] (II)
    [式(II)中、Rbは、エポキシ基を含有する基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は水素原子を示す。Rcは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す]
    で表される構成単位のモル比[式(I)で表される構成単位/式(II)で表される構成単位]が5以上であり、
    シロキサン構成単位の全量(100モル%)に対する上記式(1)で表される構成単位及び下記式(4)
    [R1SiO2/2(ORc)] (4)
    [式(4)中、R1は、式(1)におけるものと同じ。Rcは、式(II)におけるものと同じ]
    で表される構成単位の割合が55〜100モル%であり、数平均分子量が1000〜3000、分子量分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.0〜3.0であるエポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンである請求項1に記載の硬化物。
  4. 上記R1が、下記式(1a)〜(1d)で表される基からなる群より選択される1種以上の基である請求項3に記載の硬化物。
    Figure 2016204115
    (式中、R1a、R1b、R1c、R1dは、同一又は異なって、直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
  5. エポキシ変性ポリオルガノシルセスキオキサンが、更に、下記式(2)
    [R2SiO3/2] (2)
    [式(2)中、R2は、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルキル基、又は、置換若しくは無置換のアルケニル基を示す]
    で表される構成単位を有する請求項3又は4に記載の硬化物。
  6. 上記R2が、置換若しくは無置換のアリール基である請求項5に記載の硬化物。
  7. 硬化性組成物が、さらに重合開始剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化物。
  8. 硬化性組成物が、さらに重合安定剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化物。
  9. 硬化性組成物が、さらにシランカップリング剤を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化物。
  10. 重合性基を有する化合物を含有する硬化性組成物に、硬化温度を段階的に変化させる加熱処理を施して硬化物を製造する方法であって、1段階目の加熱処理終了時の硬化度を85%以下とし、2段階目以降の加熱処理によって硬化度を85%超とすることを特徴とする硬化物の製造方法。
  11. 3層以上で構成される積層物であって、
    2層の被接着層と、該被接着層の間の接着層とを有し、
    前記接着層が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化物の層であることを特徴とする積層物。
  12. 請求項11に記載の積層物を有する装置。
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