JPWO2016190262A1 - 包装材料及び包装容器 - Google Patents
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Abstract
耐摩耗性が向上した包装材料及び包装容器を提供する。包装材料1は、基材2と、基材2上に設けられる接着層3と、接着層3上に設けられ、疎水性微粒子及びバインダーを有する撥水層4と、を備える。撥水層4に面する接着層3の表面3aは、凸部11及び凹部12が設けられた凹凸面である。撥水層4において、凸部11上の第1部分21の空隙率を凹部12上の第2部分22の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である。
Description
本発明は、包装材料及び包装容器に関する。
液体、半固体又はゲル状の内容物が封入された包装容器の蓋材には、該内容物の付着を抑制する機能を有するものがある。例えば下記特許文献1に記載される蓋材において、内容物と対向する面側の最外層として、疎水性酸化物微粒子により形成される多孔質層が形成されている。この特許文献1では、上記多孔質層が撥水性を奏することによって、内容物が蓋材に付着することを抑制している。下記特許文献2においても、最外層として疎水性酸化物微粒子を含んだ付着防止層が記載されている。
上記特許文献1に記載される蓋材を用いて内容物が収容される容器を封止する際には、該蓋材をローラ等の搬送機械によって搬送し、該蓋材を打ち抜き等によって個片化する。これらの際、多孔質層と搬送機械との摩擦等により、該多孔質層を形成する疎水性酸化物微粒子が蓋材から脱離することがある。この場合、多孔質層の撥水性が十分に奏されなくなり、多量の内容物が蓋材に付着するおそれがある。
本発明は、耐摩耗性が向上した包装材料及び包装容器を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る包装材料は、基材と、基材上に設けられる接着層と、接着層上に設けられ、疎水性微粒子及びバインダーを有する撥水層と、を備え、撥水層に面する接着層の表面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面であり、撥水層において、凸部上の第1部分の空隙率を凹部上の第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である。
この包装材料では、撥水層は疎水性微粒子及びバインダーを有しており、且つ、凸部上の第1部分の空隙率を凹部上の第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である。これにより、搬送機械等との摩擦が確実に発生する撥水層における第1部分の疎水性微粒子は、第2部分の疎水性微粒子に比べて、バインダーによって強固且つ高密度に結合されている。このため、該第1部分の摩擦等に対する耐性が高くなるので、撥水層の耐摩耗性を向上できる。
本発明の他の一態様に係る包装材料は、基材と、基材上に設けられる接着層と、接着層上に設けられ、疎水性微粒子及びバインダーを有する撥水層と、を備え、疎水性微粒子は、第1疎水性微粒子と、第1疎水性微粒子よりも大きい平均粒径を有する第2疎水性微粒子とを含み、撥水層に面する接着層の表面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面であり、撥水層において、凸部上の第1部分の空隙率を凹部上の第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である。
この包装材料では、撥水層は疎水性微粒子及びバインダーを有しており、且つ、凸部上の第1部分の空隙率を凹部上の第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である。これにより、搬送機械等との摩擦が確実に発生する撥水層における第1部分の疎水性微粒子は、第2部分の疎水性微粒子に比べて、バインダーによって強固且つ高密度に結合されている。このため、該第1部分の摩擦等に対する耐性が高くなるので、撥水層の耐摩耗性を向上できる。加えて、疎水性微粒子は、第1疎水性微粒子と、第1疎水性微粒子よりも大きい平均粒径を有する第2疎水性微粒子とを含むことによって、疎水性微粒子によるフラクタル構造が形成されやすくなり、撥水層の撥水性を向上できる。
上記いずれかの包装材料では、第1部分の空隙率を第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.1以下であってもよい。この場合、第1部分の疎水性微粒子は、バインダーによって更に強固且つ高密度に結合されるので、撥水層の耐摩耗性をより向上できる。
撥水層において、疎水性微粒子とバインダーとの重量比は、20:80〜80:20であってもよい。この場合、疎水性微粒子をバインダーにて結合させやすくなり、撥水層の耐摩耗性をより向上できる。
撥水層において、疎水性微粒子とバインダーとの重量比は、30:70〜50:50であってもよい。この場合、疎水性微粒子をバインダーにて更に結合させやすくなり、撥水層の耐摩耗性をより一層向上できる。
撥水層において、第1部分の厚さは、第2部分の厚さよりも小さくてもよい。この場合、第1部分に含まれる疎水性微粒子はバインダーによって結合されやすくなるので、撥水層の耐摩耗性をさらに向上できる。
第1部分の表面の少なくとも一部には、疎水性微粒子が露出していてもよい。この場合、第1部分の空隙率が小さい場合であっても、露出した疎水性微粒子によって十分に撥水性を奏することができる。
疎水性微粒子の平均粒径は、5nm〜5000nmであってもよい。この場合、疎水性微粒子は、撥水層中を良好に分散すると共に、バインダーによって良好に結合される。
接着層は、軟化点が70℃以上であるホットメルト接着剤を含んでもよい。この場合、接着層の凹凸面を維持しながら撥水層を良好に形成できる。
本発明の他の一態様に係る包装容器は、上記いずれかの包装材料を蓋材として用いる。この場合、接着層の表面上に好適に維持される撥水層によって、容器中に収容された内容物が蓋材に付着することを良好に抑制できる。
本発明によれば、耐摩耗性が向上した包装材料及び包装容器を提供できる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る包装材料の概略断面図である。図1に示されるように、包装材料1は、基材2と、基材2上に設けられる接着層3と、接着層3上に設けられる撥水層4とを備えている。包装材料1の表面には、例えば印刷又は貼り合わせの加工を施して、文字及び模様等の意匠性が付与されていてもよい。
基材2は、支持体となる物であれば特に制限はなく、例えば紙、樹脂を含むフィルム、又は金属箔の少なくとも一種を有する。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、又はクラフト紙等が挙げられる。樹脂を含むフィルムとしては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、及びセロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔又はニッケル箔等が挙げられる。基材2が積層体である場合、例えば接着剤等が用いられてもよい。
基材2は、バリア性フィルム、無機蒸着フィルム、又は金属箔等のバリア膜を更に有してもよい。これらのバリア膜は、液体及び空気が包装材料1を通過することを阻害する機能、及び光が包装材料1を透過することを抑制する機能の少なくとも一つを有している。
バリア性フィルムとしては、例えばポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、又はポリビニルアルコール(PVA)等から構成されるフィルムが挙げられる。バリア性フィルムとして、PETフィルム、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等の延伸オレフィン樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セルロースアセテートフィルム、又はセロファンフィルム等を用いてもよい。この場合、これらのフィルムの表面にPVDCコート、PVAコート、アクリル酸系樹脂コート等を施してもよい。
バリア性フィルムとして、PVDC共押出フィルム、EVOH共押出フィルム、ナイロン(ONY)系共押出フィルム、又はOPP共押出フィルム等を用いてもよい。
無機蒸着フィルムは、例えば延伸オレフィン樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セルロースアセテートフィルム、又はセロファンフィルムに対して、アルミニウム、アルミナ、又はシリカ等が蒸着されることによって形成されるフィルムである。
図2は、本実施形態に係る包装材料の使用例を示す概略図である。図2に示されるように、バリア膜が含まれた基材2を備える包装材料1は、例えば内容物6が収容されたカップ状の容器7の蓋材として用いられる。この場合、包装材料1の接着層3が容器7の縁7aに接着することにより、包装材料1は容器7を封止している。包装材料1のバリア膜は、内容物6の基材2内への浸透を阻害する機能、内容物6の酸化劣化を防止する機能、内容物6の水分の揮発を抑える機能、または、内容物6の光劣化を防止する機能の少なくとも一つを呈することができる。
図1に戻って、接着層3は、包装材料1によって容器等の対象物を包装する際に接着性を発揮する層である。接着層3の撥水層4に対向する(面する)表面3aは凹凸面となっている。つまり、接着層3の表面3aには、複数の凸部11及び複数の凹部12が設けられている。接着層3の厚さ方向(以下、単に厚さ方向とする)に沿った凸部11の頂点から凹部12の底面までの距離dは、1μm以上100μm以下である。本実施形態においては、凸部11及び凹部12は、厚さ方向において垂直な方向に延在し、距離dの中心を通過する中心線cを基準として定められる。具体的には、接着層3において、厚さ方向に沿って中心線cよりも基材2と反対側を凸部11とし、中心線cよりも基材2側を凹部12とする。隣接する凸部11同士の頂点間距離pは、例えば、0.1mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、又は0.5mm以上であり、且つ、1.0mm以下である。
接着層3は、主成分としてホットメルト接着剤を含んでいる。ホットメルト接着剤には、ワックス、熱可塑性樹脂、及び粘着付与材の少なくとも一種が含まれている。ホットメルト接着剤の軟化点は、例えば、70℃以上、80℃以上、又は100℃以上であり、且つ、120℃以下である。
ワックスとしては、例えば天然ワックス又は合成ワックス等が用いられる。天然ワックスとしては、例えばキャンデリラロウ、カルナバロウ、米ぬかロウ、又はミツロウ等が挙げられる。合成ワックスとしては、例えばパラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタンワックス、又はフィッシャートロプスワックス等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレン、ポリアセタール(POM)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メタクリル・スチレン共重合体(MS)、酢酸セルロース(CA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン(PU)、及びPCTFE,PTFE,FEP,PFA,ETFE,PVDF等のフッ素系樹脂から用途に応じて選定できる。
粘着付与材は、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、及び石油樹脂等から用途に応じて選定できる。
撥水層4は、少なくとも撥水性を発揮する層であり、接着層3の表面3aを覆うように形成されている。撥水層4の厚さは、例えば0.1μm以上20μm以下である。撥水層4の厚さがこの範囲内である場合、包装材料1は、撥水性を十分に発揮できると共に、接着層3による良好な接着性を発揮する。撥水層4は、平面視にて接着層3の表面3aの30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上を覆うように設けられる。包装材料1が上述した容器7等と接着する場合、包装材料1の内容物と接触しないことが明らかである部位には撥水層4が設けられていなくてもよい。
図1に示されるように、撥水層4の厚さは一定ではない。撥水層4を、凸部11上に位置する第1部分21と、凹部12上に位置する第2部分22とに区画した場合、第1部分21の厚さは第2部分22の厚さよりも小さくなっている。第1部分21の厚さ(例えば、凸部11の頂点における第1部分21の厚さ)は、第2部分22の厚さ(例えば、凹部12の底面における第2部分22の厚さ)の0.1倍〜0.8倍である。撥水層4は、その少なくとも一部に空隙を有している層である(例えば、後述する図4等を参照)。
撥水層4は、疎水性微粒子及びバインダーを有している。撥水層4内において、疎水性微粒子とバインダーとの重量比(疎水性微粒子:バインダー)は、例えば20:80〜80:20である。この場合、撥水層4は、撥水性を十分に発揮し、且つ、良好な耐摩耗性を示す。撥水層4内において、疎水性微粒子とバインダーとの重量比は、30:70〜70:30でもよく、30:70〜50:50でもよく、50:50〜70:30でもよい。撥水層4において、第1部分21の疎水性微粒子に対するバインダーの比率は、第2部分22の疎水性微粒子に対するバインダーの比率よりも高くなっていてもよい。
撥水層4において、第1部分21の空隙率は、第2部分22の空隙率よりも小さくなっている。この理由、及び空隙率の定義については、後述の実施例にて説明する。例えば、第1部分21の空隙率は、0.05以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下、又は0.015以下であり、且つ、0以上である。つまり、第1部分21には必ずしも空隙が形成されなくてもよい。第2部分22の空隙率の最小値は、例えば0.10以上であり、第2部分22の空隙率の最大値は、例えば0.24以下、0.2以下、又は0.15以下である。第1部分21の空隙率を第2部分22の空隙率で除した値は、例えば0.3以下、0.22以下、0.2以下、0.15以下、0.1以下、0.06以下、0.05以下、又は0.03以下であり、且つ、0以上である。
疎水性微粒子は、無機酸化物を主成分としている。この無機酸化物は、例えば酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化マグネシウムの内少なくとも1種を含んでいる。無機酸化物が酸化珪素である場合、合成シリカ又は天然シリカが用いられる。合成シリカは、例えば燃焼法若しくはアーク法等の乾式製法、沈殿法、又はゲル法等の湿式製法によって合成される。
疎水性微粒子の表面には疎水化処理が施されている。疎水化処理としては、乾式法、湿式法等が挙げられる。微粒子の全面を処理するためには、CVD法又はプラズマ法等による乾式法を用いることが好ましい。このような疎水化処理を行うことによって、微粒子の表面に疎水性官能基を結合させ、付着防止機能を付与している。
微粒子の表面に結合する疎水性官能基は、例えばジメチルシリル基((CH3)2Si(O−R)2)、トリメチルシリル基((CH3)3SiO−R)、ジメチルポリシロキサン基((CH3)2−Si−O−Si(O−R)3)、ジメチルシロキサン基、アミノアルキルシリル基、アルキルシリル基、又はメタクリルシリル基である。このような官能基を微粒子の表面に結合させることにより、撥水層4の臨界表面張力(表面エネルギー)を小さくする。なお、Rは低級アルキル基であり、例えば炭素数が1〜4のアルキル基である。
疎水性微粒子の平均粒径は、例えば5nm以上5μm(5000nm)以下であればよい。疎水性微粒子の平均粒径が上記範囲内であることにより、該疎水性微粒子がバインダーによって良好に結合され、撥水層4から脱落しにくくなる。加えて、疎水性微粒子は撥水層4中を良好に分散でき、該疎水性微粒子をハンドリングよく用いることができる。撥水層4内に様々な平均粒径を有する疎水性粒子が存在する場合、フラクタル構造が形成されやすくなり、結果として撥水層4の撥水性が高まる。疎水性微粒子は、互いに平均粒径が異なる複数の種類の粒子から構成されてもよい。例えば、撥水層4は、第1疎水性微粒子と、第1疎水性微粒子よりも大きい平均粒径を有する第2疎水性微粒子とを有してもよい。これによりフラクタル構造が形成されやすくなり、撥水層4の撥水性が高まる。なお、第1疎水性微粒子の平均粒径は例えば5nm以上1000nm以下であり、第2疎水性微粒子の平均粒径は例えば1μm以上5μm以下である。
疎水性微粒子の平均粒径は、撥水層4の表面に露出している疎水性微粒子の粒径から算出される。疎水性微粒子の粒径は、例えば走査電子顕微鏡(SEM)による目視観察にて計測された値と定義する。疎水性微粒子の平均粒径の測定法として、まずSEMにて任意の5箇所を測定する。次に、各観察表面にて確認される疎水性微粒子100個の粒径を測定する。そして、各観察表面の全計測値の平均値を算出することによって、疎水性微粒子の平均粒径を求める。
バインダーは、撥水層4内の疎水性微粒子を強固に結合するために用いられる物質である。このバインダーとして、例えば1種以上の金属アルコキシドが用いられる。この金属アルコキシドは加水分解物でもよい。この場合、金属アルコキシドの加水分解物と、水/アルコール混合溶媒とが含まれるバインダーであってもよい。必要に応じてシランカップリング剤、又はバインダーの反応を制御するための触媒等の添加剤がさらに含まれてもよい。
金属アルコキシドは、M(OR)nで示される。Mは金属原子であり、nは自然数である。Mは、例えば、Li、Na、Cu、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、B、Al、Ga、Y、Si、Ge、Pb、P、Sb、Ta、W、La、Nd、Ti等である。nはMの原子価である。Rは低級アルキル基であり、例えば炭素数が1〜4のアルキル基である。
金属アルコキシドの具体例として、例えば、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン、アルミニウムプロポキシド、チタンイソプロポキシド、亜鉛t−ブトキシド、亜鉛n−ブトキシド、カルシウムエトキシド、鉄エトキシド、バナジウムイソプロポキシド、錫t−ブトキシド、リチウムエトキシド、ベリリウムエトキシド、ホウ素エトキシド、燐エトキシド、燐メトキシド、マグネシウムメトキシド、又はマグネシウムエトキシド等が挙げられる。本実施形態では、上記金属アルコキシドの中で、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)、トリイソプロポキシアルミニウム、及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの少なくとも一種を用いている。
バインダーとして、例えばアクリル樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、塩酢ビ樹脂(塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合物)、SBR樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又はポリビニルアルコール等の少なくとも一種が更に用いられてもよい。
次に、本実施形態に係る包装材料1の形成方法の一例、及び包装材料1による容器7の封止方法の一例を、図1及び図2を用いながら説明する。まず、基材2を準備する。基材2は、単層でもよく、接着剤によって互いに接着された積層体でもよい。基材2は、例えばPETフィルム等のプラスチックフィルムに金属又は金属酸化物等が蒸着されたフィルムでもよい。
次に、基材2の一方の主面上に接着層3を形成する。例えば、加熱されたグラビア版を用いたダイレクトグラビア方式で、上述したホットメルト接着剤を基材2上にコーティングする。これにより、凹凸面である表面3aを有する接着層3を形成する。
次に、疎水性微粒子及びバインダーが混入された液体を準備する。この液体の溶媒は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、若しくはイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール溶媒、酢酸エチル、トルエン、アセトン等の有機溶媒、又は水である。この液体は、接着層3を形成する前に準備してもよい。
次に、上記液体を接着層3の表面3aにコーティングする。例えば、グラビアコート、バーコート、キスリバースコート、ダイコート、ドクターブレードコート、刷毛塗り、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、又は押出しラミネーション等の公知の方法によって、上記液体を表面3aにコーティングする。
次に、上記液体の溶媒を除去することにより、接着層3上に空隙を有する撥水層4を形成する。例えば、ヒータ若しくは温風等を用いた加熱乾燥、又は自然乾燥によって、上記溶媒を除去する。以上により、基材2、接着層3、及び撥水層4を有する包装材料1を形成する。
次に、形成した包装材料1の撥水層4側と容器7とを対向させ、撥水層4と容器7の縁7aとを接触させる。そして、包装材料1を加熱すると共に容器7に押し付けることによって、包装材料1の軟化した接着層3が容器7の縁7aに接着する。具体的には、包装材料1を容器7に押し付ける際に、撥水層4において容器7の縁7aに接する部分が割れ、クラックが生じる。このクラックから溶融したホットメルト接着剤が流れ込むことにより、接着層3が容器7の縁7aに接着する。これにより、図2に示される内容物6が封止された包装容器100を形成する。なお、撥水層4において容器7の縁7aに接する部分の殆どは、ホットメルト接着剤の流入に伴って縁7aの外部に押し出される。
以上に説明した本実施形態に係る包装材料1では、撥水層4は疎水性微粒子及びバインダーを有しており、且つ、凸部11上の第1部分21の空隙率を凹部12上の第2部分22の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である。これにより、搬送機械等との摩擦が確実に発生する撥水層4における第1部分21の疎水性微粒子は、第2部分22の疎水性微粒子に比べて、バインダーによって強固且つ高密度に結合されている。このため、第1部分21の摩擦等の物理的刺激に対する耐性が高くなるので、撥水層4の耐摩耗性を向上できる。
撥水層4の疎水性微粒子は、第1疎水性微粒子と、第1疎水性微粒子よりも大きい平均粒径を有する第2疎水性微粒子とを含んでもよい。この場合、疎水性微粒子によるフラクタル構造が形成されやすくなり、撥水層4の撥水性を向上できる。
第1部分21の空隙率を第2部分22の空隙率で除した値は、0以上0.1以下であってもよい。この場合、第1部分21の疎水性微粒子は、バインダーによって更に強固且つ高密度に結合されるので、撥水層4の耐摩耗性をより向上できる。
撥水層4において、疎水性微粒子とバインダーとの重量比は、20:80〜80:20であってもよい。この場合、疎水性微粒子をバインダーにて結合させやすくなり、撥水層4の耐摩耗性をより向上できる。
撥水層4において、疎水性微粒子とバインダーとの重量比は、30:70〜50:50であってもよい。この場合、疎水性微粒子をバインダーにて更に結合させやすくなり、撥水層4の耐摩耗性をより一層向上できる。
撥水層4において、第1部分21の厚さは、第2部分22の厚さよりも小さくてもよい。この場合、第1部分21に含まれる疎水性微粒子はバインダーによって結合されやすくなるので、撥水層4の耐摩耗性をさらに向上できる。
第1部分21の表面の少なくとも一部には、疎水性微粒子が露出していてもよい。この場合、第1部分21の空隙率が小さい場合であっても、露出した疎水性微粒子によって十分に撥水性を奏することができる。
疎水性微粒子の平均粒径は、5nm〜5000nmであってもよい。この場合、疎水性微粒子は、撥水層4中を良好に分散すると共に、バインダーによって良好に結合される。
接着層3は、軟化点が70℃以上であるホットメルト接着剤を含んでもよい。この場合、接着層3の凹凸面を維持しながら撥水層4を良好に形成できる。
図2に示される包装容器100は、本実施形態に係る包装材料1を蓋材として用いたものであってもよい。この場合、接着層3の表面3a上に好適に維持される撥水層4によって、容器7中に収容された内容物6が包装材料1に付着することを良好に抑制できる。また、落下等の衝撃、積載における加圧、及び保管時の高温等の環境に耐え、良好なシール性を発揮する包装容器100を得ることができる。また、内容物6を使用する時は、包装材料1を容器7から容易に剥離して開封できる機能を有する。なお、包装容器100の容器7の材質は、特に限定されない。容器7の材質として、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリスチレン等の樹脂材料が用いられ得る。容器7は、例えば紙とポリオレフィンシートとの積層体から構成されてもよい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み12μmのPETフィルムの片面に、厚さ7μmのアルミニウム箔をドライラミネートにて貼り付けた。そして、アルミニウム箔に、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPEフィルム)を押し出し法にて成膜することにより、図1に示される基材2を形成した。この基材2のLDPEフィルム上に、接着層3を形成した。この接着層3は、75線/インチのグラビア板を用いたグラビアコートによって形成されており、接着層3の表面3aに形成された凸部11の頂点間距離を約0.5mmとした。接着層3を構成するホットメルト樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH232を用いた。
厚み12μmのPETフィルムの片面に、厚さ7μmのアルミニウム箔をドライラミネートにて貼り付けた。そして、アルミニウム箔に、厚さ25μmの低密度ポリエチレンフィルム(LDPEフィルム)を押し出し法にて成膜することにより、図1に示される基材2を形成した。この基材2のLDPEフィルム上に、接着層3を形成した。この接着層3は、75線/インチのグラビア板を用いたグラビアコートによって形成されており、接着層3の表面3aに形成された凸部11の頂点間距離を約0.5mmとした。接着層3を構成するホットメルト樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH232を用いた。
次に、平均粒径が15nmであるシリカ微粒子と、金属アルコキシド加水分解液とを2−プロパノールに加えて分散させることにより、該シリカ微粒子が分散した液体を作成した。このシリカ微粒子の表面には、ポリジメチルシロキサンにより疎水化処理が施されていた。金属アルコキシド加水分解液は、バインダーとして機能するテトラエトキシシラン(TEOS)を、0.1規定濃度の塩酸溶液に加えて加水分解させることによって形成した。上記液体では、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比は、50:50となるように調整した。
次に、上記液体を接着層3の表面3aに塗布した後、60℃の熱風に曝して2−プロパノール等の溶媒を蒸発させた。これにより、撥水層4が接着層3上に形成された包装材料1を得た。上記液体内の固形分塗布量が2g/m2になるように、該液体をマイクログラビアコートによって塗布した。
(実施例2)
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、30:70となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、30:70となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例3)
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、20:80となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、20:80となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例4)
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、70:30となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、70:30となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例5)
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、80:20となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、80:20となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例6)
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例7)
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、30:70となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、30:70となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例8)
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、20:80となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、20:80となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例9)
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、70:30となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、70:30となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例10)
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、80:20となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用い、シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、80:20となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(実施例11)
シリカ微粒子を、平均粒径が15nmである第1シリカ微粒子と、平均粒径が4μmである第2シリカ微粒子とを用いると共に、シリカ微粒子とTEOSとの重量比を、80:20となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。シリカ微粒子における第1シリカ微粒子と第2シリカ微粒子との重量比は、50:50とした。なお、第1シリカ微粒子の表面には、ジメチルポリシロキサンにより疎水化処理が施されていた。第2シリカ微粒子の表面には、ジメチルポリシロキサンにより疎水化処理が施されていた。
シリカ微粒子を、平均粒径が15nmである第1シリカ微粒子と、平均粒径が4μmである第2シリカ微粒子とを用いると共に、シリカ微粒子とTEOSとの重量比を、80:20となるように調整したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。シリカ微粒子における第1シリカ微粒子と第2シリカ微粒子との重量比は、50:50とした。なお、第1シリカ微粒子の表面には、ジメチルポリシロキサンにより疎水化処理が施されていた。第2シリカ微粒子の表面には、ジメチルポリシロキサンにより疎水化処理が施されていた。
(比較例1)
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、100:0となるように調整したこと、すなわちバインダーを用いることなく撥水層4を形成したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、100:0となるように調整したこと、すなわちバインダーを用いることなく撥水層4を形成したこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(比較例2)
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、100:0となるように調整したこと、すなわちバインダーを用いることなく撥水層4を形成したこと、及び接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
シリカ微粒子と、バインダーとして機能するTEOSとの重量比を、100:0となるように調整したこと、すなわちバインダーを用いることなく撥水層4を形成したこと、及び接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(比較例3)
接着層3にエンボス加工が施されていないこと、及び接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
接着層3にエンボス加工が施されていないこと、及び接着層3を構成する樹脂として、東洋アドレ株式会社製トヨメルトH319FAを用いたこと以外は、実施例1と同様にして包装材料1を形成した。
(評価方法)
実施例1〜11及び比較例1〜3の包装材料を下記の方法で試験し、評価した。
実施例1〜11及び比較例1〜3の包装材料を下記の方法で試験し、評価した。
(撥水層の断面観察)
図3及び図4は、実施例1の包装材料の撥水層側の面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図3の倍率は100倍であり、図4の倍率は250倍である。図5〜8は、それぞれ図4の地点A〜Dにおける断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S−4800)によって撮影した写真である。図5〜8の倍率は10000倍である。図4において、地点Aは接着層3の凹部12の底面上であり、地点Bは接着層3の凹部12の底面より上側であり、地点Cは接着層3の凸部11の凹部12側であり、地点Dは接着層3の凸部11の頂点及びその近傍である。
図3及び図4は、実施例1の包装材料の撥水層側の面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図3の倍率は100倍であり、図4の倍率は250倍である。図5〜8は、それぞれ図4の地点A〜Dにおける断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S−4800)によって撮影した写真である。図5〜8の倍率は10000倍である。図4において、地点Aは接着層3の凹部12の底面上であり、地点Bは接着層3の凹部12の底面より上側であり、地点Cは接着層3の凸部11の凹部12側であり、地点Dは接着層3の凸部11の頂点及びその近傍である。
図5、図6に示されるように、撥水層4において、接着層3の凹部12に重なる第2部分22には多数の空隙が確認された。一方、図7、図8に示されるように、撥水層4において、接着層3の凸部11に重なる第1部分21には殆ど空隙が確認されなかった。加えて、撥水層4において、第1部分21の厚さは第2部分22の厚さよりも小さいことが確認された。これらの違いは、撥水層4の形成時に多数のシリカ微粒子が凸部11から凹部12に流れることにより発生したと考えられる。
図9及び図10は、実施例11の包装材料の撥水層側の面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図9は、実施例11における接着層3の凹部12の底面上を撮影したものであり、図10は、実施例11における接着層3の凸部11の頂点及びその近傍を撮影したものである。図9に示されるように、実施例11の撥水層4においても、実施例1と同様に第2部分22には多数の空隙が確認された。加えて、第2部分22には、平均粒径が異なる複数の疎水性粒子が確認された。一方、図10に示されるように、実施例11の撥水層4においても、実施例1と同様に第1部分21には殆ど空隙が確認されなかった。
(空隙率)
実施例1において、地点Aに重なる撥水層4の空隙率を測定した。この測定では、まず、図5に示される撥水層4の断面観察写真中の任意の領域(約1.0μm2)を切り出した。次に、切り出した領域を画像処理ソフト(ImageJ)で空隙部と非空隙部とに二値化した。具体的には、上記切り出した領域を8ビット(256階調)画像に変換し、空隙部と非空隙部との閾値となる階調を、断面画像の最表面の空隙部と非空隙部が鮮明に判別できるように目視で閾値を設定し、空隙部と非空隙部との二値化を実施した。そして、切り出した領域中における空隙部の面積比を算出した。このような領域の切り出し、二値化、及び空隙部の面積比算出を、上記断面観察写真内の3箇所で行った。算出された3箇所の空隙部の面積比の平均値を求め、当該平均値を実施例1における空隙率とした。地点Aにおける撥水層4の空隙率は、約0.1851だった。同様にして、図8に示される撥水層4の空隙率を測定したところ、地点Dにおける撥水層4の空隙率は、約0.0169だった。したがって実施例1においては、地点Dに重なる撥水層4の空隙率を地点Aに重なる撥水層4の空隙率で除した値は、約0.0913だった。同様にして測定した実施例2〜11及び比較例1,2の空隙率等を、下記表1に示す。
実施例1において、地点Aに重なる撥水層4の空隙率を測定した。この測定では、まず、図5に示される撥水層4の断面観察写真中の任意の領域(約1.0μm2)を切り出した。次に、切り出した領域を画像処理ソフト(ImageJ)で空隙部と非空隙部とに二値化した。具体的には、上記切り出した領域を8ビット(256階調)画像に変換し、空隙部と非空隙部との閾値となる階調を、断面画像の最表面の空隙部と非空隙部が鮮明に判別できるように目視で閾値を設定し、空隙部と非空隙部との二値化を実施した。そして、切り出した領域中における空隙部の面積比を算出した。このような領域の切り出し、二値化、及び空隙部の面積比算出を、上記断面観察写真内の3箇所で行った。算出された3箇所の空隙部の面積比の平均値を求め、当該平均値を実施例1における空隙率とした。地点Aにおける撥水層4の空隙率は、約0.1851だった。同様にして、図8に示される撥水層4の空隙率を測定したところ、地点Dにおける撥水層4の空隙率は、約0.0169だった。したがって実施例1においては、地点Dに重なる撥水層4の空隙率を地点Aに重なる撥水層4の空隙率で除した値は、約0.0913だった。同様にして測定した実施例2〜11及び比較例1,2の空隙率等を、下記表1に示す。
(撥水層の表面観察)
図11は、実施例1の包装材料の撥水層側の面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図12は、図11にて確認された凸部の頂面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図11の倍率は400倍であり、図12の倍率は30000倍である。図11、図12に示されるように、シリカ微粒子の少なくとも一部が接着層3の凸部11上にて露出していることが確認された。
図11は、実施例1の包装材料の撥水層側の面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図12は、図11にて確認された凸部の頂面を電子顕微鏡によって撮影した写真である。図11の倍率は400倍であり、図12の倍率は30000倍である。図11、図12に示されるように、シリカ微粒子の少なくとも一部が接着層3の凸部11上にて露出していることが確認された。
(耐摩耗性試験)
上述の実施例1〜11及び比較例1〜3の包装材料1に対して、JIS L 0849:2013に準拠した耐摩耗性試験1及び耐摩耗性試験2を行った。これらの耐摩耗性試験1,2では、まず各実施例及び各比較例の包装材料1から、所定の大きさの試験片を作成した。そして、学振試験用の摩擦試験機(株式会社大栄科学精器製作所製RT−300)を用いて、包装材料1の撥水層4に荷重500gにて摩擦子を押し当て、該摩擦子が撥水層4上を水平往復運動した。耐摩耗性試験1では、摩擦子が撥水層4上を100回水平往復運動した。耐摩耗性試験2では、摩擦子が撥水層4上を500回水平往復運動した。
上述の実施例1〜11及び比較例1〜3の包装材料1に対して、JIS L 0849:2013に準拠した耐摩耗性試験1及び耐摩耗性試験2を行った。これらの耐摩耗性試験1,2では、まず各実施例及び各比較例の包装材料1から、所定の大きさの試験片を作成した。そして、学振試験用の摩擦試験機(株式会社大栄科学精器製作所製RT−300)を用いて、包装材料1の撥水層4に荷重500gにて摩擦子を押し当て、該摩擦子が撥水層4上を水平往復運動した。耐摩耗性試験1では、摩擦子が撥水層4上を100回水平往復運動した。耐摩耗性試験2では、摩擦子が撥水層4上を500回水平往復運動した。
(撥水性試験)
上述の実施例1〜11及び比較例1〜3の包装材料1において、撥水層4が設けられた側の撥水性を確認した。まず、40度に傾斜させた試料台に、包装材料1の基材2を貼り付けた。これにより、包装材料1の撥水層4を露出した状態とした。次に、包装材料1の撥水層4上に、ヨーグルト(ダノンジャパン株式会社製「ダノンビオ(R)プレーン加糖」)を約0.5ミリリットル、包装材料1の2センチメートル上から滴下した。ヨーグルトの滴下から所定時間経過した後に、包装材料1へのヨーグルトの付着状態を目視で観察及び評価した。
上述の実施例1〜11及び比較例1〜3の包装材料1において、撥水層4が設けられた側の撥水性を確認した。まず、40度に傾斜させた試料台に、包装材料1の基材2を貼り付けた。これにより、包装材料1の撥水層4を露出した状態とした。次に、包装材料1の撥水層4上に、ヨーグルト(ダノンジャパン株式会社製「ダノンビオ(R)プレーン加糖」)を約0.5ミリリットル、包装材料1の2センチメートル上から滴下した。ヨーグルトの滴下から所定時間経過した後に、包装材料1へのヨーグルトの付着状態を目視で観察及び評価した。
上記撥水性試験は、包装材料の形成後(初期撥水性)、耐摩耗性試験1の実施後、及び耐摩耗性試験2の実施後に、各実施例及び各比較例の包装材料に対して行った。この撥水性試験の評価結果は以下のように判定した。各実施例及び各比較例の評価結果を下記表1に示す。
A:液滴の付着なし。
B:わずかな付着はするが、液滴の大半は付着しない。
C:液滴の付着あり。
A:液滴の付着なし。
B:わずかな付着はするが、液滴の大半は付着しない。
C:液滴の付着あり。
上記表1に示されるように、実施例1〜11及び比較例1〜3の全てにおいて、包装材料1を形成した段階ではヨーグルトが包装材料1に付着しなかった。実施例1〜11では、耐摩耗性試験1を行った後であってもヨーグルトが包装材料1に付着しなかった。一方、比較例1,2では耐摩耗性試験1を行った後にヨーグルトが包装材料1の少なくとも一部に付着した。この結果から、撥水層4にバインダーが含まれていないことにより、撥水層4を構成する微粒子が摩擦により脱離しやすくなったことがわかる。
撥水層4にバインダーが含まれている比較例3においても、耐摩耗性試験1を行った後にヨーグルトが包装材料1に付着した。この結果から、比較例3においては撥水層4の全体が多孔質層となり、バインダーによるシリカ微粒子の結合が強固ではなかったため、撥水層4が摩擦により脱離しやすくなったことがわかる。
実施例1,2,6〜8の包装材料1においては、耐摩耗性試験2を行った後であっても撥水性が発揮されることが確認された。
1…包装材料、2…基材、3…接着層、3a…表面、4…撥水層、6…内容物、7…容器、7a…縁、11…凸部、12…凹部、21…第1部分、22…第2部分、100…包装容器。
Claims (10)
- 基材と、
前記基材上に設けられる接着層と、
前記接着層上に設けられ、疎水性微粒子及びバインダーを有する撥水層と、
を備え、
前記撥水層に面する前記接着層の表面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面であり、
前記撥水層において、前記凸部上の第1部分の空隙率を前記凹部上の第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である、
包装材料。 - 基材と、
前記基材上に設けられる接着層と、
前記接着層上に設けられ、疎水性微粒子及びバインダーを有する撥水層と、
を備え、
前記疎水性微粒子は、第1疎水性微粒子と、前記第1疎水性微粒子よりも大きい平均粒径を有する第2疎水性微粒子とを含み、
前記撥水層に面する前記接着層の表面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面であり、
前記撥水層において、前記凸部上の第1部分の空隙率を前記凹部上の第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.3以下である、
包装材料。 - 前記第1部分の空隙率を前記第2部分の空隙率で除した値は、0以上0.1以下である、請求項1又は2に記載の包装材料。
- 前記撥水層において、前記疎水性微粒子と前記バインダーとの重量比は、20:80〜80:20である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装材料。
- 前記撥水層において、前記疎水性微粒子と前記バインダーとの重量比は、30:70〜50:50である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装材料。
- 前記撥水層において、前記第1部分の厚さは、前記第2部分の厚さよりも小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装材料。
- 前記第1部分の表面の少なくとも一部には、前記疎水性微粒子が露出している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装材料。
- 前記疎水性微粒子の平均粒径は、5nm〜5000nmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装材料。
- 前記接着層は、軟化点が70℃以上であるホットメルト接着剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装材料。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の包装材料を蓋材として用いる包装容器。
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