JPWO2016181911A1 - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

非透光性を有し、かつ金属により構成されている第一の電極(2)と、前記第一の電極(2)の上に設けられたホールブロッキング層(3)と、前記ホールブロッキング層(3)の上に設けられた電子輸送層(4)と、前記電子輸送層(4)の上に設けられたホール輸送層(6)と、前記ホール輸送層(6)の上に設けられた透光性を有する第二の電極(7)と、を有してなり、前記ホールブロッキング層(3)が、前記第一の電極(2)における前記金属の酸化物を含む光電変換素子である。

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
近年、電子回路における駆動電力が非常に少なくなり、微弱な電力(μWオーダー)でもセンサ等の様々な電子部品を駆動することができるようになった。更に、センサの活用に際し、その場で発電し消費できる自立電源(環境発電素子)への応用が期待されている。これらの中でも、太陽電池(光電変換素子の一種)は光があればどこでも発電できる素子として注目を集めている。小型の環境発電素子は、様々な場所に配置することが可能となり、二次電池と組合せることで、交換不要な一次電池となり得る。発電性能向上は、更なる小型化やセンサ情報を無線通信にて送信する回数を増やすことが可能となる。
前記太陽電池の中でも、スイスのローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表した色素増感型太陽電池は、微弱な室内光環境化においてアモルファスシリコン太陽電池以上の高い光電変換特性を有することが報告されている(非特許文献1参照)。通常、LEDライトや蛍光灯等の室内光の照度は200ルクスから1,000ルクス程度であり、太陽の直射光(およそ100,000ルクス)と比較して、非常に微弱な光である。前記環境発電素子が設置される場所は、室内光の直下ではなく、壁等に設定されることが多い。その場合、前記環境発電素子に照射される光は、更に微弱光となる。執務室の壁は、300ルクス程度であり、作業室の壁は、50ルクス程度である。そのため、室内光等の微弱光環境下でも高い光電変換効率が望まれる。
一方、従来の電解液を用いた色素増感型太陽電池は、電解液の揮発や漏れ等の懸念がある。そのため、実用化を想定した際には、電解液の固体化が望まれ、例えば、以下に示すような固体型色素増感型太陽電池についての報告が数多くなされている。
(1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献2参照)
(2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献1、及び非特許文献3、4参照)
(3)導電性ポリマーを用いたもの(例えば、特許文献2及び非特許文献5参照)
しかしながら、これまでに報告されている固体型色素増感型太陽電池は、いずれも擬似太陽光における光電変換効率のみが報告されており、室内光等における光電変換効率については報告されておらず、特に、微弱光環境下(50ルクスから300ルクス)における光電変換効率については全く報告されていない。
特開平11−144773号公報 特開2000−106223号公報
パナソニック電工技報,Vol.56,No.4(2008)87 Semicond.Sci.Technol.,10(1995)1689 Synthetic Metals,89(1997)215 Nature,398(1998)583 Chem.Lett.,(1997)471
本発明は、室内光等の微弱な照射光(50ルクスから300ルクス)の場合であっても、高い光電変換効率を有する光電変換素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の光電変換素子は、非透光性を有し、かつ金属により構成されている第一の電極と、
前記第一の電極の上に設けられたホールブロッキング層と、
前記ホールブロッキング層の上に設けられた電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に設けられたホール輸送層と、
前記ホール輸送層の上に設けられた透光性を有する第二の電極と、を有してなり、
前記ホールブロッキング層が、前記第一の電極における前記金属の酸化物を含むことを特徴とする。
本発明によると、室内光等の微弱な照射光(50ルクスから300ルクス)の場合であっても、高い光電変換効率を有する光電変換素子を提供することができる。
図1は、本発明の光電変換素子の一例を示す概略図である。
(光電変換素子)
本発明の光電変換素子は、非透光性を有し、かつ金属により構成されている第一の電極と、前記第一の電極の上に設けられたホールブロッキング層と、前記ホールブロッキング層の上に設けられた電子輸送層と、前記電子輸送層の上に設けられたホール輸送層と、
前記ホール輸送層の上に設けられた透光性を有する第二の電極と、を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
<第一の電極>
前記第一の電極としては、可視光に対して不透光性(非透光性)を有し、かつ金属により構成されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、前記非透光性とは、可視光の透過率が50%未満であることを意味する。
前記可視光の透過率は、例えば、可視・紫外分光法(UV−vis)により測定することができる。
前記第一の電極の材質としては、例えば、銀、ステンレス鋼、銅、チタン、アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、チタンが好ましい。
前記第一の電極の平均厚みは、100nm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、50μm以上が更に好ましい。
なお、前記第一の電極は一定の硬性を維持するため、前記平均厚みが1μm以下の場合は、前記第一の電極を前記基板上に設けることが好ましい。前記基板としては、例えば、ガラス板、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが挙げられる。前記第一の電極の平均厚みが50μm程度あれば、硬性を維持することが可能となるので、基板は不要である。
<ホールブロッキング層>
前記ホールブロッキング層は、電解質が電極と接して、電解質中のホールと電極表面の電子が再結合(いわゆる逆電子移動)することによる電力低下を抑制するために設けられる。また、前記ホールブロッキング層は、前記第一の電極とホール輸送層との電子的コンタクトを防ぐ目的でも形成される。
前記ホールブロッキング層の効果は、固体型色素増感型太陽電池において特に顕著である。これは、電解液を用いた湿式色素増感太陽電池と比較して、有機ホール輸送材料等を用いた固体型色素増感型太陽電池は、ホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合(逆電子移動)速度が速いことに起因している。
前記ホールブロッキング層は、前記第一の電極における前記金属の酸化物を含むことを特徴とする。
前記ホールブロッキング層の材質としては、前記第一の電極における前記金属の酸化物であり、可視光に対して透明(透光性)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化銅、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、酸化チタンが好ましい。
前記ホールブロッキング層の作製方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室内光における損失電流を抑制するためには、高い内部抵抗が必要であり、製膜方法も重要である。
前記ホールブロッキング層の製膜方法としては、一般的には、湿式製膜となるゾルゲル法があるが、膜密度が低く十分に損失電流を抑制できない。そのため、スパッタ法等の乾式製膜が好ましく、膜密度が十分に高く損失電流を抑制できる。
前記スパッタ法は、金属からなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法が好ましい。
また、前記第一の電極を酸素雰囲気中で700℃〜1,100℃に加熱することにより前記第一の電極表面の金属が金属酸化物に改質され、前記第一の電極表面を金属酸化物膜で被覆することができる。前記金属酸化物膜は、前記第一の電極との界面接合性がより優れているので、前記第一の電極への必要な電子注入性を向上させることができる。
前記ホールブロッキング層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm以上1μm以下が好ましい。
<電子輸送層>
前記電子輸送層は、前記ホールブロッキング層の上に設けられた多孔質状の層であり、単層であっても多層であってもよい。
前記多層の場合には、粒径の異なる半導体粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。
一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
一般的に、前記電子輸送層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりに担持される光増感化合物の量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。
したがって、前記電子輸送層の平均厚みは、100nm以上100μm以下が好ましい。
前記半導体粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の単体半導体、金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、又はペロブスカイト構造を有する化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属のカルコゲニドとしては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物などが挙げられる。
前記化合物半導体としては、例えば、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物などが挙げられる。
前記ペロブスカイト構造を有する化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられる。
これらの中でも、酸化物半導体が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブがより好ましい。
前記半導体の結晶型については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質であっても構わない。
前記半導体粒子のサイズについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一次粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がより好ましい。
より大きい平均粒径の半導体粒子を混合又は積層して入射光を散乱させる効果から、光電変換効率を向上させることも可能である。
前記半導体粒子の平均粒径は、50nm以上500nm以下が好ましい。
前記電子輸送層の作製方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法などが挙げられる。これらの中でも、製造コスト等を考慮した場合、湿式製膜法が好ましく、半導体粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、基板上に塗布する方法がより好ましい。
前記湿式製膜法を用いた場合、塗布方法については特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等の様々な方法を用いることができる。
前記半導体粒子の分散液を機械的粉砕、あるいはミルを使用して作製する場合、少なくとも半導体粒子単独、又は半導体粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成することができる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記半導体粒子を分散する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオールなどが挙げられる。
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル系溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
前記炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
前記半導体粒子の分散液又はゾル−ゲル法等によって得られた半導体粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤などを添加することができる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
前記増粘剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロースなどが挙げられる。
前記半導体粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、又はレーザー光照射を行うことが好ましい。これらの処理は、1種単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
前記焼成する場合、焼成温度の範囲は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度を上げ過ぎると前記基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30℃以上700℃以下が好ましく、100℃以上600℃以下がより好ましい。また、焼成時間についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間以上10時間以下が好ましい。
前記マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以内で行うことが好ましい。
焼成後、半導体粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
直径が数十nmの半導体粒子を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表すことができる。
前記ラフネスファクターは、基板に塗布した半導体粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表す数値である。したがって、前記ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の厚みとの関係もあり、20以上が好ましい。
−光増感化合物−
本発明では変換効率の更なる向上のため、光増感化合物を電子輸送層である電子輸送性半導体の表面に吸着させる。
前記光増感化合物は、使用される励起光により光励起される化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224, Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号公報、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号公報等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号公報等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号公報等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号公報、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.Porphyrins
Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物が好ましい。
前記光増感化合物としては、三菱製紙株式会社製の下記構造式(2)で表されるD131、下記構造式(3)で表されるD102などが好適に挙げられる。
<構造式(2):D131>
<構造式(3):D102>
また、前記光増感化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
<一般式(2)>
ただし、前記一般式(2)中、Rは置換又は無置換のアルキル基を示す。
前記一般式(2)におけるRが、アルキル基又はカルボン酸基によって置換されたアルキル基であることが好ましい。
以下に前記一般式(2)における具体的な例示化合物として、三菱製紙株式会社製の下記構造式(4)で表されるD358が挙げられるが、これに限定されるものではない。
<構造式(4):D358>
前記電子輸送層に光増感化合物を吸着させる方法としては、例えば、光増感化合物溶液中、又は分散液中に前記半導体粒子を含有する電子集電電極を浸漬する方法、光増感化合物溶液又は分散液を前記電子輸送層に塗布して吸着させる方法などが挙げられる。
前記光増感化合物溶液中、又は分散液中に半導体粒子を含有する電子集電電極を浸漬する方法の場合には、例えば、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などを用いることができる。
前記光増感化合物溶液又は分散液を前記電子輸送層に塗布して吸着させる方法の場合には、例えば、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などを用いることができる。
なお、二酸化炭素等の超臨界流体中で光増感化合物を吸着させても構わない。
前記光増感化合物を吸着させる際には、縮合剤を併用してもよい。
前記縮合剤は、無機物表面に物理的又は化学的に光増感化合物と電子輸送化合物を結合すると考えられる触媒的作用をするもの、又は化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるもののいずれであってもよい。
更に、前記縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
前記光増感化合物を溶解又は分散する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル系溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
前記炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
前記光増感化合物は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用しても構わない。
前記凝集解離剤としては、用いる色素に応じて特に制限はなく、目的応じて適宜選択することができるが、例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸等のステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸又は長鎖アルキルホスホン酸が好ましい。
前記凝集解離剤の含有量は、色素1質量部に対して、0.01質量部以上500質量部以下が好ましく、0.1質量部以上100質量部以下がより好ましい。
前記光増感化合物、あるいは前記光増感化合物と前記凝集解離剤を吸着する際の温度としては、−50℃以上200℃以下が好ましい。
前記吸着は、静置しても攪拌しながら行っても構わない。
前記攪拌する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、超音波分散などが挙げられる。
前記吸着に要する時間は、5秒間以上1,000時間以下が好ましく、10秒間以上500時間以下がより好ましく、1分間以上150時間が更に好ましい。
なお、前記吸着は暗所で行うことが好ましい。
<ホール輸送層>
前記ホール輸送層は、ホール輸送材料を含有し、塩基性化合物及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記ホール輸送層は、単層構造でも異なる化合物からなる積層構造でも構わない。前記積層構造の場合には、前記第二の電極に近い前記ホール輸送層のホール輸送材料は、ポリマーを用いることが好ましい。製膜性に優れるポリマーを用いることで多孔質状の電子輸送層の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができるためである。
前記ポリマーは多孔質状の電子輸送層内部へ浸透することが困難であるため、逆に多孔質状の電子輸送層表面の被覆にも優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
−ホール輸送材料−
前記単層構造において用いられるホール輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報等に示されているテトラアリールベンジジン化合物、特開昭58−65440号公報又は特開昭60−98437号公報等に示されているスチルベン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、光電変換効率の点から、「J.Am.Chem.Soc.,133(2011) 18042」に記載のホール輸送材料(2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene:spiro−OMeTAD)や、「J.Am.Chem.Soc.,135(2013) 7378」に記載のホール輸送材料(2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene)が好ましく、spiro−OMeTADが特に好ましい。前記spiro−OMeTADは下記構造式(1)のように表される。
<構造式(1)>
前記spiro−OMeTADは、高いホール移動度を有している他に、2つのベンジジン骨格分子が捻れて結合している。そのため、球状に近い電子雲を形成しており、分子間におけるホッピング伝導性が良好であることにより優れた光電変換特性を示す。また可溶性も高く各種有機溶媒に溶解し、アモルファス(結晶構造をもたない無定形物質)であるため、多孔質状の電子輸送層に密に充填されやすく、固体型色素増感型太陽電池にとって有用な特性を有している。更に、450nm以上の光吸収特性を有さないために、前記光増感化合物に効率的に光吸収をさせることができ、固体型色素増感型太陽電池にとって有用な特性を有している。前記spiro−OMeTADからなるホール輸送層の厚みは限定されないが、多孔質状の電子輸送層の細孔に入り込んだ構造を有することが好ましく、電子輸送層上に0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましい。
積層構造において用いられる第二の電極に近いホール輸送層に用いられるポリマーとしては、公知のホール輸送性ポリマーが用いられる。
前記ホール輸送性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン化合物、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリフルオレン化合物、ポリフェニレン化合物、ポリアリールアミン化合物、ポリチアジアゾール化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリチオフェン化合物としては、例えば、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)などが挙げられる。
前記ポリフェニレンビニレン化合物としては、例えば、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシー5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレンービニレン)]などが挙げられる。
前記ポリフルオレン化合物としては、例えば、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]などが挙げられる。
前記ポリフェニレン化合物としては、例えば、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]などが挙げられる。
前記ポリアリールアミン化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]などが挙げられる。
前記ポリチアジアゾール化合物としては、例えば、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)などが挙げられる。
これらの中でも、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルの点から、ポリチオフェン化合物とポリアリールアミン化合物が特に好ましい。
また、導電性を向上させる目的で、前記ホール輸送材料の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても構わない。
前記酸化剤としては、例えば、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、コバルト錯体系化合物などが挙げられる。
前記酸化剤の添加によって全ての有機ホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
−塩基性化合物−
前記ホール輸送層が、下記一般式(1)で表される塩基性化合物を含有することにより、高い開放電圧を得ることができる。また、光電変換素子における内部抵抗が高まり、室内光等の微弱光における損失電流を低減することができる。よって、従来の塩基性化合物より高い開放電圧を得られる。
<一般式(1)>
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは置換もしくは無置換のアルキル基又は芳香族炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、RとRは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。
従来から前記一般式(1)における化合物No.2−1やNo.2−3等の塩基性化合物は、ヨウ素電解液型色素増感太陽電池においては、塩基性化合物として用いることが知られている。しかし、これは開放電圧が高いが、短絡電流密度が大幅に減少し、光電変換特性は著しく悪化することは報告されている。
前記ホール輸送層は、ホール輸送性材料を用いるものであり、前記ヨウ素電解液等による正孔輸送モデルとは異なるものである。したがって、短絡電流密度の低下量が少なく、高い開放電圧が得られることで、優れた光電変換特性を得ることができる。更に、報告例が少ない室内光等の微弱光における光電変換する際に、特に際立って優位性が現れることを検証することができた。
以下に前記一般式(1)における具体的な例示化合物を示すが、何らこれらに限定されるものではない。以下の「日化辞番号」は日本化学物質辞書の番号を示し、科学技術振興機構による有機化合物のデータベースに基づくものである。
<化合物No.2−1、日化辞番号:J31.394G>
<化合物No.2−2、日化辞番号:J2.748.250C>
<化合物No.2−3、日化辞番号:J174K>
<化合物No.2−4、日化辞番号:J880.4591>
<化合物No.2−5、日化辞番号:J1.983.963J>
−前記一般式(1)で表される塩基性化合物の合成方法−
前記一般式(1)で表される塩基性化合物の合成方法としては、「J.Org.Chem.,67(2002) 3029」で報告されている下記合成ルートから容易に合成することができる。
ただし、前記一般式(1)中、R、Rは、置換もしくは無置換のアルキル基又は芳香族炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R、Rは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。Xは、ハロゲン元素を表す。
前記前記一般式(1)で表される塩基性化合物のホール輸送層中の添加量は、ホール輸送材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、10質量部以上20質量部以下がより好ましい。
また、前記一般式(1)で表される塩基性化合物を含有させることで、光電変換素子における内部抵抗がより高まり、室内光等の微弱光(50ルクスから300ルクス)における損失電流を低減することができる。
また、前記ホール輸送層は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物を含有することができる。これらの中でも、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属ヨウ化物、4級アンモニウム化合物のヨウ素塩、金属臭化物、4級アンモニウム化合物の臭素塩、金属塩化物、酢酸金属塩、金属硫酸塩、金属錯体、イオウ化合物、Inorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体、塩基性化合物、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、などが挙げられる。
前記金属ヨウ化物としては、例えば、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀などが挙げられる。
前記4級アンモニウム化合物のヨウ素塩としては、例えば、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウムなどが挙げられる。
前記金属臭化物としては、例えば、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウムなどが挙げられる。
前記4級アンモニウム化合物の臭素塩としては、例えば、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウムなどが挙げられる。
前記金属塩化物としては、例えば、塩化銅、塩化銀などが挙げられる。
前記酢酸金属塩としては、例えば、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウムなどが挙げられる。
前記金属硫酸塩としては、例えば、硫酸銅、硫酸亜鉛などが挙げられる。
前記金属錯体としては、例えば、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオンなどが挙げられる。
前記イオウ化合物としては、例えば、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどが挙げられる。
前記Inorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体としては、例えば、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミドなどが挙げられる。
前記塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
前記ホール輸送層は、光増感化合物を担持した前記電子輸送層の上に、直接ホール輸送層を形成することができる。
前記ホール輸送層の作製方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法、湿式製膜法が挙げられる。これらの中でも、製造コスト等を考慮した場合、湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法がより好ましい。
前記塗布方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法として、例えば、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等の様々な方法を用いることができる。なお、超臨界流体あるいは臨界点より低い温度・圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。
前記超臨界流体は、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
前記超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、n−ブタノール等のエルコール系溶媒、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロトリフロロメタン等のハロゲン系溶媒、ジメチルエーテル等のエーテル系溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せると共に、不燃性で取扱いが容易である点から、特に好ましい。
前記亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
前記超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
更に、前記超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。前記有機溶媒及び前記エントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、炭化水素系溶媒などが挙げられる。
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記エステル系溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
前記炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメンなどが挙げられる。
本発明においては、前記光増感化合物を被覆した電子輸送層を設けた第一の電極上にホール輸送層を設けた後、プレス処理工程を施しても構わない。
前記プレス処理を施すことによって、有機ホール輸送材料がより多孔質電極と密着するため効率が改善すると考えている。
前記プレス処理方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IR錠剤整形器に代表されるような平板を用いたプレス成型法、ローラ等を用いたロールプレス法などが挙げられる。
圧力としては、10kgf/cm以上が好ましく、30kgf/cm以上がより好ましい。プレス処理する時間については、特に制限はないが、1時間以内で行うことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
また、上述のプレス処理の際、プレス機と電極間に離型材を挟んでも構わない。
前記離型材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プレス処理工程を行った後、第二の電極を設ける前に、前記ホール輸送層と第二の電極の間に、金属酸化物層を設けてもよい。
前記金属酸化物層としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルなどが挙げられる。これらの中でも、酸化モリブデンが好ましい。
前記金属酸化物層をホール輸送層上に設ける方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スパッタリングや真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式成膜法などが挙げられる。
前記湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末又はゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
前記湿式成膜法を用いた場合、塗布方法については、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができ、例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法などが挙げられる。また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等の様々な方法を用いることができる。
前記金属酸化物層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1nm以上50nm以下が好ましく、1nm以上10nm以下がより好ましい。
<第二の電極>
前記第二の電極は、透光性を有する導電性膜であれば特に制限はなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。
ここで、前記透光性とは、可視光の透過率が50%以上であることを意味し、70%以上であることがより好ましい。
前記可視光の透過率は、例えば、可視・紫外分光法(UV−vis)により測定することができる。
前記第二の電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属又はこれらのナノワイヤー、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素系化合物、インジウム・スズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性ポリマー、PEDOT/PSSなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリチオフェン、PEDOT/PSS、金属ナノワイヤーが好ましい。
また、銀等の金属ワイヤーが分散されることで、透光性を有しながら、低い電気抵抗を得ることも可能である。
また、抵抗を下げる目的で、金属リード線等を併用してもよい。前記金属リード線の材質は、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。前記金属リード線は、第二の電極膜上にスクリーン印刷や蒸着等で形成することができる。
前記第二の電極層の厚みについては、特に制限はなく、透光性を有する必要があり、1種単独又は2種以上の混合で用いても構わない。
前記第二の電極は、前記ホール輸送層上に形成される。
前記第二の電極の塗設については、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類に応じて、適宜前記ホール輸送層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
色素増感型太陽電池として動作するためには、前記第一の電極及び前記第二の電極の少なくとも一方は実質的に透明(透光性を有する)でなければならない。本発明においては、第二の電極側が透明であり、太陽光を第二の電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、第一の電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、又は金属薄膜が好ましい。
また、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
前記光電変換素子の構成について図1に基づいて説明する。この図1は、光電変換素子及び太陽電池の断面図の一例である。
図1に示す態様においては、基板1上に第一の電極2が形成され、第一の電極2上にホールブロッキング層3が形成され、ホールブロッキング層3上に電子輸送層4が形成され、電子輸送層4における電子輸送性材料に光増感化合物5が吸着し、第一の電極2と対向する第二の電極7との間にホール輸送層6が挟み込まれた構成の例が図示されている。また、図1では、第一の電極2と第二の電極7が導通するようにリードライン8、9が設けられている構成の例が図示されている。なお、第一の電極2が硬性を有している場合には、基板1は不要である。
<用途>
本発明において光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子あるいは電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子を表し、具体的には、太陽電池あるいはフォトダイオード等が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。前記電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。その他、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換素子を有する電源装置を適用することができる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として本発明の光電変換素子を有する電源装置を用いることもできる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、透光性であるとは、可視光の透過率が50%以上であり、非透光性であるとは、可視光の透過率が50%未満であることを意味する。
前記可視光の透過率は、可視・紫外分光装置(UV−vis)であるV−660DS(日本分光株式会社製)により測定した。
(実施例1)
<酸化チタン半導体電極の作製>
第一の電極としての厚み50μmのチタン箔(非透光性)を焼成炉(フルテック社製、FTM−1300G−400)により、酸素雰囲気中、750℃で30分間加熱処理を行い、表面に酸化チタンからなる緻密なホールブロッキング層を形成した第一の電極を得た。
次に、酸化チタン(日本エアロジル株式会社製、P90)3g、アセチルアセトン0.2g、及び界面活性剤(和光純薬工業株式会社製、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、及びエタノール1.0gと共に、ビーズミル処理を12時間施し、酸化チタン分散液を得た。
得られた酸化チタン分散液にポリエチレングリコール(#20,000、和光純薬工業株式会社製)1.2gを加えてペーストを作製した。
得られたペーストを、前記ホールブロッキング層上に平均厚みが1.5μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中、500℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。以上により、酸化チタン半導体電極を作製した。
<色素増感型太陽電池の作製>
前記酸化チタン半導体電極を、増感色素として下記構造式(4)で表される三菱製紙株式会社製D358(0.5mM、アセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)溶液)に浸漬し、1時間暗所にて静置し光増感化合物を吸着させた。
<構造式(4)>
次に、ホール輸送材料(Luminescence Technology社製、銘柄:N,N,N’,N’−tetrakis(4−methoxyphenyl)benzidine、品番:LT−N212)のクロロベンゼン溶液(固形分14質量%)1.28gに、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(固形分1質量%、関東化学株式会社製)12.83mg、及び下記構造式で表される例示塩基性化合物No.2−1(固形分1.4質量%)18.3mgを加えて、ホール輸送層塗布液を調製した。
<化合物No.2−1>
次に、前記光増感化合物を担持した半導体電極上に、前記ホール輸送層塗布液をスピンコートしてホール輸送層を成膜した。
次に、前記ホール輸送層上に、PEDOT/PSS(アルドリッチ社製、OrgaconTM EL−P−5015)ペースト(透光性)をスクリーン印刷により製膜し、100℃で30分間加熱乾燥させ、第二の電極を形成した。以上により、色素増感型太陽電池を作製した。
<色素増感型太陽電池の評価>
得られた色素増感型太陽電池の白色LED照射下(300ルクス:75μW/cm、100ルクス:25μW/cm、50ルクス:12.5W/cm)における、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
白色LEDはコスモテクノ株式会社製デスクランプCDS−90α(スタディーモード)、評価機器はNF回路設計ブロック株式会社製太陽電池評価システムAs−510−PV03にて測定した。
(実施例2)
実施例1において、ホール輸送材料としてのN,N,N’,N’−tetrakis(4−methoxyphenyl)benzidineを、前記構造式(1)で表わされるspiro−OMeTAD(メルク株式会社製、銘柄:2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene、品番:SHT−263)に代えた以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(実施例3)
実施例2において、第一の電極としてのチタン箔を、チタン(厚み20μm)/ステンレス(厚み60μm)/チタン(厚み20μm)の3層構造の金属箔(非透光性)に変更した以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(実施例4)
実施例2において、第二の電極としてのPEDOT/PSSを、銀ナノワイヤー(アルドリッチ社製、品番:730777)塗布液(透光性)に変更した以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(実施例5)
実施例2において、ホール輸送層におけるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、1−n−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドに代えた以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(実施例6)
実施例2において、例示塩基性化合物No.2−1を、下記構造式で表される例示塩基性化合物No.2−3に代えた以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
<化合物No.2−3>
(実施例7)
<酸化チタン半導体電極の作製>
ガラス基板上に、金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により、厚み100nmのチタン(非透光性)からなる第一の電極と厚み10nmの酸化チタンからなる緻密なホールブロッキング層を形成した。
次に、酸化チタン(日本エアロジル株式会社製、P90)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬工業株式会社製、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理を12時間施した。
得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000、和光純薬工業株式会社製)1.2gを加えてペーストを作製した。
得られたペーストを、前記ホールブロッキング層上に、厚みが1.5μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。以上により、酸化チタン半導体電極を作製した。
<色素増感型太陽電池の作製>
前記酸化チタン半導体電極を、増感色素として下記構造式(4)で表される三菱製紙株式会社製D358(0.5mM、アセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)溶液)に浸漬し、1時間暗所にて静置し、光増感化合物を吸着させた。
<構造式(4)>
次に、ホール輸送材料である前記構造式(1)で表わされるspiro−OMeTAD(メルク株式会社製、銘柄:2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene、品番:SHT−263)のクロロベンゼン溶液(固形分14質量%)1.28gに、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(固形分1質量%、関東化学株式会社製)12.83mg、及び下記構造式で表される例示塩基性化合物No.2−1(固形分1.4質量%)18.3mgを加えて、ホール輸送層塗布液を調製した。
<化合物No.2−1>
次に、前記光増感化合物を担持した半導体電極上に、前記ホール輸送層塗布液をスピンコートしてホール輸送層を成膜した。
次に、前記ホール輸送層上に、PEDOT/PSS(アルドリッチ社製、OrgaconTM EL−P−5015)ペースト(透過性)をスクリーン印刷により製膜し、100℃で30分間加熱乾燥させ、第二の電極を作製し、色素増感型太陽電池を作製した。
得られた色素増感型太陽電池について、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(比較例1)
実施例1において、第一の電極としてのチタン箔(非透光性)及び該チタン箔上に形成した酸化チタンからなるホールブロッキング層を、金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により、ITO系ガラス基板(透光性)及び該ITO系ガラス基板上に形成した酸化チタンの緻密なホールブロッキング層に変更した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(比較例2)
実施例1において、第一の電極としてのチタン箔をステンレス箔(非透光性)に変更し、前記ステンレス箔上に金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により酸化チタンからなるホールブロッキング層を形成した以外は、実施例1と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(比較例3)
実施例2において、第一の電極としてのチタン箔(非透光性)及び該チタン箔上に形成した酸化チタンからなるホールブロッキング層を、金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により、ITO系ガラス基板(透光性)及び該ITO系ガラス基板上に形成した酸化チタンの緻密なホールブロッキング層に変更した以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(比較例4)
実施例2において、第一の電極としてのチタン箔をステンレス箔(非透光性)に変更し、前記ステンレス箔上に金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により酸化チタンからなるホールブロッキング層を形成した以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
(比較例5)
実施例2において、第二の電極としてのPEDOT/PSSを、真空蒸着により平均厚み100nmの銀膜(非透光性)に変更した以外は、実施例2と同様にして、太陽電池を作製し、実施例1と同様にして、開放電圧、短絡電流密度、及び光電変換効率を測定した。結果を表1−1から表1−3に示した。
表1−1から表1−3の結果から、透光性を有する第一の電極及び第二の電極を用いた比較例1は、光閉じ込め効果が少ないことから、実施例1に比べて短絡電流密度及び光電変換効率が低かった。
また、第一の電極とホールブロッキング層の金属種が異なる比較例2は、電子注入性が悪くなることから、実施例1に比べて短絡電流密度及び光電変換効率が低かった。
また、透光性を有する第一の電極及び第二の電極を用いた比較例3は、光閉じ込め効果が少ないことから、実施例2に比べて短絡電流密度が低かった。
また、第一の電極とホールブロッキング層の金属種が異なる比較例4は、電子注入性が悪くなることから、実施例2に比べて短絡電流密度が低かった。
また、非透光性の第二の電極を用いた比較例5は発電層に光が届かないことから、全く光電変換性はなかった(測定不能)。
これに対して、実施例1〜7の太陽電池は、いずれも優れた光電変換効率を有していた。これらの中でも、ホール輸送材料として前記構造式(1)で表されるspiro−OMeTADを用いた実施例2〜7は、特に高い光電変換効率が得られた。
以上説明したとおり、本発明の光電変換素子は、室内光等の微弱な照射光(50ルクスから300ルクス)の場合であっても、良好な光電変換性能が得られることがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 非透光性を有し、かつ金属により構成されている第一の電極と、
前記第一の電極の上に設けられたホールブロッキング層と、
前記ホールブロッキング層の上に設けられた電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に設けられたホール輸送層と、
前記ホール輸送層の上に設けられた透光性を有する第二の電極と、を有してなり、
前記ホールブロッキング層が、前記第一の電極における前記金属の酸化物を含むことを特徴とする光電変換素子である。
<2> 前記ホールブロッキング層における前記金属の酸化物が、第一の電極を酸素雰囲気中で加熱処理して得られる前記<1>に記載の光電変換素子である。
<3> 前記ホールブロッキング層における前記金属の酸化物が、前記金属からなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により得られる前記<1>に記載の光電変換素子である。
<4> 前記ホールブロッキング層における前記金属の酸化物が、酸化チタンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<5> 前記ホール輸送層が、下記構造式(1)で表されるホール輸送材料を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<構造式(1)>
<6> 前記第一の電極が、ステンレス鋼、銅、チタン、及びアルミニウムから選択される少なくとも1種の金属を含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<7> 前記第二の電極が、ポリチオフェン及び金属ナノワイヤーの少なくともいずれかを含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<8> 前記ホール輸送層が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<9> 100ルクスの白色LED照射下での光電変換効率が11%以上である前記<1>から<8>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<10> 50ルクスから300ルクスの微弱光環境下で用いられる前記<1>から<9>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<11> 前記ホールブロッキング層の平均厚みが、10nm以上1μm以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<12> 前記第一の電極が、チタンを含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<13> 前記ホール輸送層が、下記一般式(1)で表される塩基性化合物を含有する前記<1>から<12>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<一般式(1)>
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは置換もしくは無置換のアルキル基又は芳香族炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、RとRは互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。
<14> 前記一般式(1)で表される塩基性化合物が、下記構造式で表されるいずれかである前記<1>から<13>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<化合物No.2−1>
<化合物No.2−2>
<化合物No.2−3>
<化合物No.2−4>
<化合物No.2−5>
<15> 前記電子輸送層が、下記一般式(2)で表される光増感化合物が吸着された電子輸送性材料を含む前記<1>から<14>のいずれかに記載の光電変換素子である。<一般式(2)>
ただし、前記一般式(2)中、Rは置換又は無置換のアルキル基を示す。
<16> 前記電子輸送性材料が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブから選択される少なくとも1種である前記<1>から<15>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<17> 前記ホール輸送層が、イオン液体を含む前記<1>から<16>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<18> 前記ホール輸送層と前記第二の電極の間に金属酸化物層を有する前記<1>から<17>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<19> 前記金属ナノワイヤーが、銀ナノワイヤーである前記<7>から<18>のいずれかに記載の光電変換素子である。
<20> 透光性であるとは、可視光の透過率が50%以上であり、非透光性であるとは、可視光の透過率が50%未満である前記<1>から<19>のいずれかに記載の光電変換素子である。
前記<1>から<20>のいずれかに記載の光電変換素子は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記光電変換素子は、室内光等の微弱な照射光(50ルクスから300ルクス)の場合であっても、良好な光電変換性能が得られる光電変換素子を提供することを目的とする。
1 基板
2 第一の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7 第二の電極
8、9 リードライン

Claims (9)

  1. 非透光性を有し、かつ金属により構成されている第一の電極と、
    前記第一の電極の上に設けられたホールブロッキング層と、
    前記ホールブロッキング層の上に設けられた電子輸送層と、
    前記電子輸送層の上に設けられたホール輸送層と、
    前記ホール輸送層の上に設けられた透光性を有する第二の電極と、を有してなり、
    前記ホールブロッキング層が、前記第一の電極における前記金属の酸化物を含むことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記ホールブロッキング層における前記金属の酸化物が、第一の電極を酸素雰囲気中で加熱処理して得られる請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記ホールブロッキング層における前記金属の酸化物が、前記金属からなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタ法により得られる請求項1に記載の光電変換素子。
  4. 前記ホールブロッキング層における前記金属の酸化物が、酸化チタンである請求項1から3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記ホール輸送層が、下記構造式(1)で表されるホール輸送材料を含む請求項1から4のいずれかに記載の光電変換素子。
    <構造式(1)>
  6. 前記第一の電極が、ステンレス鋼、銅、チタン、及びアルミニウムから選択される少なくとも1種の金属を含む請求項1から5のいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記第二の電極が、ポリチオフェン及び金属ナノワイヤーの少なくともいずれかを含む請求項1から6のいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 前記ホール輸送層が、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含む請求項1から7のいずれかに記載の光電変換素子。
  9. 50ルクスから300ルクスの微弱光環境下で用いられる請求項1から8のいずれかに記載の光電変換素子。
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