JPWO2016174723A1 - 線量率測定装置 - Google Patents

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Abstract

線量率測定装置は、無機結晶シンチレータを有する第1の放射線検出器と、プラスチックシンチレータを有する第2の放射線検出器と、円筒部を有する検出器架台と、第1の放射線検出器が出力する検出信号パルスを基に、入射した放射線の第1の補償線量率を算出する低レンジ演算部と、第2の放射線検出器が出力する検出信号パルスを基に、入射した放射線の第2の補償線量率を算出する高レンジ演算部と、低レンジ演算部が算出した第1の補償線量率と高レンジ演算部が算出した第2の補償線量率から、線量率比を求め、この求められた線量率比の大きさに従って出力する補償線量率を選定する線量率切換部と、線量率切換部が出力した補償線量率を表示する表示操作部と、を備え、第2の放射線検出器が有するプラスチックシンチレータは、検出器架台の円筒部に巻き回されている。

Description

本発明は、線量率測定装置に関し、特に、広範囲の線量率に対応した線量率測定装置に関するものである。
平静時の自然放射線レベルから事故時の高放射線レベルまでの広い範囲に亘る線量率を測定するために、原子炉施設、使用済燃料再処理施設等の周辺には、それぞれが種類の異なる放射線検出器を備えた2台の線量率測定装置(または放射線測定装置)が設置されている(例えば特許文献1〜6)。同一の測定点を測定レンジを分担して測定する意図に対して検出装置を並べて設置することは、装置全体が大型化するだけではなく、空間放射線の入射障害を生み出し、測定精度にも影響を与える。
コスト低減及び省スペースの観点からも1台の線量率測定装置で、広範囲の線量率に対応した測定を可能にすることが求められている。この課題を解決する方策として、低レンジ用検出器と高レンジ用検出器を1つの検出部に配置した放射線測定装置(または線量率測定装置)が提案されている。低レンジ用検出器にはシンチレーション検出器を使用し、高レンジ用検出器には半導体検出器を使用している。放射線測定装置は線量率の大きさに対応して測定レンジを切り換えて出力する。
低レンジと高レンジの線量率を切り換えて出力するときには、放射線検出器のエネルギー特性が異なることに起因して測定値に段差が発生する。特許文献1に係わる放射線測定装置は、この段差を抑制するために、少なくとも一方の検出器の出力パルスについて波高スペクトルを測定して入射放射線のエネルギーを推定している。この推定値を、切換点を含むその上下の線量率領域についてどちらか一方のエネルギー特性に合わせ込むことにより、測定レンジの切換点に生じる大きな段差を解消するようにしている。
特許文献2に係わる放射線測定装置は、シンチレーション検出器の円柱状シンチレータのヘッド面に1台、その円柱状シンチレータの側面に角度180度でもう2台と、半導体検出器を3台配置している。放射線検出器の配置を工夫することで、低レンジ用検出器と高レンジ用検出器の方向依存性(放射線入射方向による感度の違い)によりレンジ切換時に発生する段差を抑制するようにしたものである。両方の特許文献では、シンチレーション検出器として、例えばタリウム活性化ヨウ化ナトリウムシンチレータを使用したNaI(Tl)シンチレーション検出器が使用されている。
特開2002−22839号公報 特開2002−168957号公報 特開2000−275347号公報 特開平11−160437号公報 特開2000−65937号公報 特開2013−195320号公報
特許文献1に係わる線量率測定装置によれば、切換点における段差の発生を抑制できるにしても、低レンジ線量率及び高レンジ線量率を合わせた全レンジの直線性及びエネルギー特性は改善されるものではない。また特許文献2に係わる線量率測定装置によれば、半導体検出器の全数がシンチレーション検出器の放射線センサ(シンチレータ)に対して影になって測定の障害になる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低レンジ線量率及び高レンジ線量率の両方のエネルギー特性を平坦化し、その結果として全レンジの直線性及びエネルギー特性を改善し、ワイドレンジでかつ高精度の測定が可能な線量率測定装置を提供することを目的とする。
本発明の線量率測定装置は、無機結晶シンチレータを有し、放射線が入射すると検出信号パルスを出力する第1の放射線検出器と、プラスチックシンチレータを有し、放射線が入射すると検出信号パルスを出力する第2の放射線検出器と、円筒部を有し、第1の放射線検出器および第2の放射線検出器を収容する検出器架台と、第1の放射線検出器が出力する検出信号パルスを基に、エネルギー補償係数とG(E)関数テーブルを用いて入射した放射線の第1の補償線量率を算出する低レンジ演算部と、第2の放射線検出器が出力する検出信号パルスを基に、エネルギー補償係数を用いて入射した放射線の第2の補償線量率を算出する高レンジ演算部と、低レンジ演算部が算出した第1の補償線量率と高レンジ演算部が算出した第2の補償線量率から、線量率比(第2の補償線量率/第1の補償線量率)を求め、この求められた線量率比の大きさに従って出力する補償線量率を選定する線量率切換部と、線量率切換部が出力した補償線量率を表示する表示操作部と、を備え、第2の放射線検出器が有するプラスチックシンチレータは、検出器架台の円筒部に巻き回されている。
本発明の線量率測定装置によれば、低レンジ線量率及び高レンジ線量率の両方のエネルギー特性を平坦化し、その結果として全レンジの直線性及びエネルギー特性を改善し、ワイドレンジでかつ高精度の測定が可能な線量率測定装置を提供することができる。
実施の形態1に係る線量率測定装置の構成を示す図である。 実施の形態1に係る第1の放射線検出器の構成を示す図である。 実施の形態1に係る第2の放射線検出器の構成を示す図である。 実施の形態1に係る検出部の構成を示す斜視図である。 実施の形態1に係る検出部の要部を示す断面図である。 低レンジ線量率の補償係数テーブルを示す図である。 高レンジ線量率の補償係数テーブルを示す図である。 低レンジ線量率のエネルギー特性を示す図である。 高レンジ線量率のエネルギー特性を示す図である。 線量率切換によるレンジの引継を示す図である。 実施の形態2に係るPLシンチレーションファイバー束の構造を示す図である。 実施の形態3に係る検出部の要部を示す断面図である。 実施の形態4に係る線量率切換部の演算処理フローを示す図である。
本発明の実施の形態に係る線量率測定装置について、図を参照しながら以下に説明する。なお、各図において、同一または同様の構成部分については同じ符号を付しており、対応する各構成部のサイズや縮尺はそれぞれ独立している。例えば構成の一部を変更した断面図の間で、変更されていない同一構成部分を図示する際に、同一構成部分のサイズや縮尺が異なっている場合もある。また、線量率測定装置の構成は、実際にはさらに複数の部材を備えているが、説明を簡単にするため、説明に必要な部分のみを記載し、他の部分については省略している。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態に係る線量率測定装置について図1〜13を参照して説明する。図1は、実施の形態1に係る線量率測定装置の構成を示す図である。図に示すように、線量率測定装置1は、検出部2と測定部3を有する。検出部2は低レンジ線量率範囲を担当する第1の放射線検出器21と、低レンジ線量率範囲に続くその上の高レンジ線量率範囲を担当する第2の放射線検出器22を備えている。第1の放射線検出器21は、吸収した放射線のエネルギーに比例する波高値を有する離散的な検出信号パルス(第1の検出信号パルス)を低レンジ線量率において出力する。第2の放射線検出器22は、吸収した放射線のエネルギーに比例する波高値を有する離散的な検出信号パルス(第2の検出信号パルス)を高レンジ線量率において出力する。
第1の放射線検出器21の構成を図2に基づいて説明する。図に示すように、第1の放射線検出器21は、無機結晶シンチレータ211と、光電子増倍管212と、プリアンプ213と、検出器ケース214を備えている。円柱状の無機結晶シンチレータ211は放射線の入射により蛍光を発する。光電子増倍管212は円柱状の無機結晶シンチレータ211に光接合して蛍光を取り込み、その蛍光を電流パルスに変換および増倍する。プリアンプ213は、光電子増倍管212が生じる電流パルスを電圧パルスに変換して出力する。検出器ケース214は3者(無機結晶シンチレータ211、光電子増倍管212およびプリアンプ213)を内包して遮光すると共に電気的にシールドする。
第2の放射線検出器22の構成を図3に基づいて説明する。図に示すように、第2の放射線検出器22は、PLシンチレーションファイバー221(またはプラスチックシンチレータ)、フィルタ222、光カプラ223、光ファイバー224、遮光チューブ225、ライトガイド226、光電子増倍管227、プリアンプ228および検出器ケース229を備えている。PLシンチレーションファイバー221a、221b、221cは、放射線の入射により蛍光を発する。フィルタ222a、222b、222cは、それぞれのPLシンチレーションファイバーを覆って、入射する放射線を減弱させ、測定部3における計数率応答を全体として平坦にすると共に遮光する。光カプラ223a、223b、223cは、PLシンチレーションファイバー221a〜cを光ファイバー224にそれぞれ光接合する。
光ファイバー224a、224b、224cは、PLシンチレーションファイバー221a〜cから発せられた蛍光をそれぞれライトガイド226へ伝達する。遮光チューブ225a、225b、225cは、光カプラ223及び光ファイバー224を遮光する。ライトガイド226は、光ファイバー224で伝達された蛍光を集光する。光電子増倍管227は、集光した蛍光を取り込んで電流パルスに変換および増倍する。プリアンプ228は、電流パルスを電圧パルスに変換して出力する。検出器ケース229は、ライトガイド226、光電子増倍管227、プリアンプ228を内包して遮光すると共に電気的にシールドする。なお、フィルタ222a、222b、222cは、片端を塞いで遮光した厚み2mm程度の金属筒が適用できるが、金属粉を含むゴム材の筒でもよい。フィルタ222の厚みは放射線の減弱計算と型式照射試験で決定する。
図4は検出部2の全体構造を示すものである。検出器架台23は第1の放射線検出器および第2の放射線検出器を収容している。図に示すように、第1の放射線検出器の無機結晶シンチレータ211は、検出部2の中央に、片側の端面(上面211a)を真上に向けて配置されている。無機結晶シンチレータ211の反対側の端面(底面211b)には光電子増倍管212が光接合されている。第1の放射線検出器21は検出器架台23に支持されている。検出器架台23は、無機結晶シンチレータ211(または第1の放射線検出器21)の測定空間の障害にならない位置に設けている。検出部外套24は、第1の放射線検出器21、第2の放射線検出器22、検出器架台23を内包して電気的に遮蔽する。検出部2を屋外設置する場合、検出部外套24は外気を遮断した防水構造とする。スタンド25は、検出部外套24とそれに内包される機器を支持すると共に、第1の放射線検出器21を決められた高さに保持する。なお、図にはPLシンチレーションファイバー221は2本しか描かれていないが、裏面側にもう一本のPLシンチレーションファイバー221が配設されている。各PLシンチレーションファイバー221は、検出器架台23の円筒部に巻き回されている。ファイバー状の一本のPLシンチレーションファイバーを巻き回す回数は、ここでは、1/3周にしてあるが、円筒部を1周させてもよい。
図5は、検出部2の要部を示す断面図である。検出器架台23は、第1の放射線検出器21の外側に、検出器(第1の放射線検出器21および第2の放射線検出器22)の中心軸を共用する円筒部23aを有している。第2の放射線検出器22は検出器架台23の円筒部23aに収容されている。PLシンチレーションファイバー221a〜221cは、検出器架台23のシンチレーションファイバー配位領域に、しかも円筒部23aの外周に沿って配設される。検出器架台23の円筒部23aの外表面には、第2の放射線検出器22を構成する3本のPLシンチレーションファイバー221が、検出器の中心軸方向の真上から見て相互に重ならないように、斜めに取り付けられている。PLシンチレーションファイバー221a、221b、221cは、真上から見通したそれぞれの面積の合計と、真横から見通したそれぞれの面積の合計が概ね等しくなるように配置されている。
検出器架台23の先端は、光電子増倍管212の蛍光入射面212aよりも無機結晶シンチレータ211側には飛び出していない。また、PLシンチレーションファイバー221は無機結晶シンチレータ211の底面211bよりも奥側(光電子増倍管212の側)に引っ込んでいる。第2の放射線検出器は、第1の放射線検出器の中心軸の周りにその測定エリアの影にならないように、かつ第1の放射線検出器と測定エリアを共有するように、配置している。また、中心軸に対して対称かつ等角度になるように配置しているので、第1の放射線検出器の中心軸方向から放射線を照射したときの感度と、その中心軸と直角方向から放射線を照射した感度が同等になる。PLシンチレーションファイバー221は、型式試験として照射実験を行って、斜めに取り付ける角度を微調整して標準配置を決定することで好適な方向特性が得られる。
第1の放射線検出器21と第2の放射線検出器22は、それぞれの検出信号パルス列においてパルスが近接して重なる確率が測定に影響することがない線量率レンジを分担する。第1の放射線検出器21と第2の放射線検出器22の分担領域は一部がオーバーラップしてトータルで必要なワイドレンジを実現する。検出効率の大きな違いは、第1の放射線検出器21に無機結晶シンチレータ211を使用し、第2の放射線検出器22のシンチレータとしてPLシンチレーションファイバー221a、221b、221cを使用していることに加えて、シンチレータの種類毎に径と長さを違えることにより実現する。
無機結晶シンチレータとしては、入手が容易で廉価な、円柱状NaI(Tl)シンチレータを使用しているが、BGO(BiGe)シンチレータ、CsI(Tl)シンチレータ等も、また形状としては球状のものも適用可能である。なお、第2の放射線検出器22は3本のPLシンチレーションファイバーを備えたものとしているが、レンジ分担性、方向特性、および必要な可撓性を満たせば1本でも可能であり、2本または4本以上の複数本で構成するようにしてもよい。
第1の放射線検出器21は線量率が高くなると第1の検出信号パルスのパイルアップの発生確率が無視できなくなって測定レンジの直線性が低下する。第2の放射線検出器22も同様に線量率が高くなると直線性が低下する。第1の放射線検出器21は必要な下限レンジを確保してかつ上限レンジが第2の放射線検出器22と適度にオーバーラップするように、また入手の容易性にも配慮してシンチレータの径と長さが決められる。第2の放射線検出器22のPLシンチレーションファイバー221a〜221cは上限レンジが測定精度内になるようにかつ下限レンジが第1の放射線検出器21の上限レンジ以下となってオーバーラップするように、径と寸法が決められる。
第1の放射線検出器21と第2の放射線検出器22は、検出効率(同じエネルギーにおける単位線量率当たりの計数率)が例えば5桁程度異なる。PLシンチレーションファイバー221a、221b、221cの検出効率が低過ぎると、分担する高レンジにおける下限レンジ付近の線量率の分解能が悪くなり、低レンジ線量率から高レンジ線量率への切換時にゆらぎが急に大きくなる。こうしたことを考慮してPLシンチレーションファイバーの径と長さを決定する。なお、線量率測定装置のトータルレンジは第1の放射線検出器21の下限レンジから第2の放射線検出器22の上限レンジまでとなる。
次に図1を参照して測定部3の役割を説明する。低レンジ線量率測定部31(第1の線量率測定手段、第1のエネルギー補償係数演算手段)は、第1の放射線検出器21から第1の検出信号パルスを入力し、その第1の検出信号パルスの第1の波高スペクトルを測定し、その第1の波高スペクトルの各波高値を単位計数率当たりの線量率(nGy・h−1/cpm)で重み付し、その線量率に各波高値に対応した計数値を乗じ、その結果の値を測定エネルギー範囲について積算し、更に測定時間で移動平均してエネルギー補償前低レンジ線量率D1(第1の線量率)を求め、そのエネルギー補償前低レンジ線量率D1をエネルギー補償係数β1(第1のエネルギー補償係数)でエネルギー補償した低レンジ補償線量率DL(第1の補償線量率)を出力する。
高レンジ線量率測定部32(第2の線量率測定手段、第2のエネルギー補償係数演算手段)は、第2の放射線検出器22から第2の検出信号パルスを入力し、その第2の検出信号パルスの第2の波高スペクトルを測定し、その第2の波高スペクトルの各波高値に対応した計数値を測定エネルギー範囲について積算し、更に測定時間で移動平均して計数率を求め、その計数率に換算定数(nGy・h−1/cpm)を乗算してエネルギー補償前高レンジ線量率D2(第2の線量率)を求め、そのエネルギー補償前高レンジ線量率D2をエネルギー補償係数β2(第2のエネルギー補償係数)でエネルギー補償した高レンジ補償線量率DH(第2の補償線量率)を出力する。
なお、第2の放射線検出器22において、それぞれのPLシンチレーションファイバーに物理的フィルタがない場合は、放射線による単位時間当たりの発光量と線量率(nGy/h)に相関があるので、演算周期毎に、第2の波高スペクトルの各波高値に当該波高値の計数を乗じて測定エネルギー範囲について積算する。この積算値を定周期時間で除算したものを測定時間で移動平均して求めた単位時間当たりの積算波高値(単位時間当たりの発光量に相当)に基づき線量率を求めると、その線量率は良好なエネルギー特性を有することになる。
計数率は低エネルギーになるにしたがって指数関数的に大きくなり、その結果としてレンジ上限が低下して必要な上限レンジを満たさなくなる。この点を解決するために、それぞれのPLシンチレーションファイバーに物理的フィルタを設けてPLシンチレーションファイバーに入射する放射線を減弱させる。それぞれのPLシンチレーションファイバーに物理的フィルタを設ける代わりに、全てのPLシンチレーションファイバーを内包するフィルタを設けてもよい。
第2の放射線検出器22のPLシンチレーションファイバーにおいて、放射線(光子)のエネルギーに対する単位時間当たりの発光量の関係は、100keV以上で良好なエネルギー特性を有しており、それ以下のエネルギーではエネルギーの低下と共に低下して50keVで1/2程度に低下する。また、発光量のエネルギー特性は、50keV以上において径に対する依存性が小さい。したがって、PLシンチレーションファイバーはフィルタでエネルギー特性を全体的に平坦化し、残ったエネルギー特性の歪をエネルギー補償係数β2でエネルギー補償することで、特に低エネルギーの特性が改善され、測定エネルギー全般において良好なエネルギー特性が得られる。
線量率切換部33(線量率切換手段)は、線量率上昇時は測定レンジを設定された上昇時切換点で低レンジ補償線量率DLから高レンジ補償線量率DHに切り換え、線量率下降時は測定レンジを設定された下降時切換点で高レンジ補償線量率DHから低レンジ補償線量率DLに切り換える。切り換え時のハンチングを防止するために、上昇時切換点>下降時切換点としてヒステリシスを設ける。表示操作部34は、線量率切換部33から出力された補償線量率(高レンジ補償線量率DHまたは低レンジ補償線量率DL)を表示すると共に、タッチパネルで測定部の設定を行う。
次に、低レンジ線量率測定部31及び高レンジ線量率測定部32の詳細な構成と動作について説明する。低レンジ線量率測定部31はパルス増幅器311、A-D変換部312(アナログ-デジタル変換部)、低レンジ演算部313、高圧電源314を有する。パルス増幅器311は第1の放射線検出器21から出力された第1の検出信号パルスを入力して増幅する共に、重畳されている高周波ノイズを除去する。A-D変換部312はパルス増幅器311で増幅された第1の検出信号パルスの波高値を測定してその波高値Vp1を出力する。高圧電源314は第1の放射線検出器21(シンチレーション検出器)を動作させるために高電圧を供給する。低レンジ演算部313は波高スペクトル生成部3131、G(E)関数メモリ3132、低レンジ線量率演算部3133、エネルギー補償係数演算部3134(第1のエネルギー補償係数演算手段)を備えている。
低レンジ演算部313において、波高スペクトル生成部3131はA-D変換部312から出力された波高値Vp1を入力し、第1の波高スペクトルを生成して出力する。G(E)関数メモリ3132は、例えば測定エネルギー範囲50〜3000keVを10〜600チャンネル(ch)に分割し、波高に相当する各ch(i)と線量率Gi(nGy・h−1/cpm)を対応させたG(E)関数テーブルを記憶している。このG(E)関数テーブルを用いて、低レンジ線量率演算部3133は波高スペクトル生成部3131からスペクトルデータを入力し、演算周期毎に定周期分の10〜600chの各ch(i)の線量率Giと計数値Niとの積を積算したΣGi×Niを定周期時間で除算して当該演算周期時間の線量率とする。線量率の最新化された測定時間分のデータ列を移動平均すると、エネルギー補償前低レンジ線量率D1が求められる。
エネルギー補償係数演算部3134は、波高スペクトル生成部3131からスペクトルデータを入力し、定周期で測定された10〜600chの各ch(i)の波高値Hiと計数値Niとの積を積算した積算波高値ΣHi×Niを積算計数値ΣNiで除して当該演算周期時間の平均波高値とする。平均波高値を取り込んで最新化された測定時間分の平均波高値データ列を移動平均すると移動平均波高値h1が求められる。移動平均波高値h1は第1の放射線検出器21に入射する放射線の代表エネルギーと相関関係にある。なお、測定エネルギー範囲の計数全てが代表エネルギーであるとしてG(E)関数に基づき求めた線量率は、上記のようにしてスペクトルとG(E)関数に基づき求めた線量率に等しいという関係にある。
図6は移動平均波高値h1とエネルギー補償係数β1を対応させた低レンジ補償係数テーブル(第1の補償係数テーブル)を示している。エネルギー補償係数演算部3134は、この低レンジ補償係数テーブル(β1)を記憶しており、移動平均波高値h1を低レンジ補償係数テーブルと照合し、エネルギー補償係数β1を決定して出力する。低レンジ線量率演算部3133は、エネルギー補償前低レンジ線量率D1にエネルギー補償係数β1を乗算して得られる低レンジ補償線量率DLを出力する。なお、補償係数テーブル(β1)において基準エネルギーは、例えばCs−137のγ線662keVとし、対応するエネルギー補償係数β1を1とし、その他のエネルギーのエネルギー補償係数β1を基準との比で示している。
高レンジ線量率測定部32はパルス増幅器321、A-D変換部322(アナログ-デジタル変換部)、高レンジ演算部323を有する。パルス増幅器321は第2の放射線検出器22から出力された第2の検出信号パルスを入力して増幅する共に、重畳されている高周波ノイズを除去する。A-D変換部322はパルス増幅器321で増幅された第2の検出信号パルスの波高値を測定してその波高値Vp2を出力する。高圧電源324は第2の放射線検出器22を動作させるために高電圧を供給する。高レンジ演算部323は波高スペクトル生成部3231、高レンジ線量率演算部3232、エネルギー補償係数演算部3233(第2のエネルギー補償係数演算手段)を備えている。
高レンジ演算部323において、波高スペクトル生成部3231はA-D変換部322から出力された波高値Vp2を入力し、第2の波高スペクトルを生成して出力する。高レンジ線量率演算部3232は波高スペクトル生成部3231からスペクトルデータを入力し、定周期で測定された10〜600chの各ch(i)の計数値Miを積算した積算計数値ΣMiを定周期時間で除して当該演算周期時間の計数率を求める。計数率の最新化された測定時間分のデータ列を移動平均すると移動平均計数率が求められるので、この移動平均計数率に校正定数を乗算してエネルギー補償前高レンジ線量率D2を求める。
エネルギー補償係数演算部3233は、波高スペクトル生成部3231からスペクトルデータを入力し、定周期で測定された10〜600chの各ch(i)の波高値Hiと計数値Miとの積を積算した積算波高値ΣHi×Miを積算計数値ΣMiで除して当該演算周期時間の平均波高値とし、その平均波高値を取り込んで最新化された測定時間分の平均波高値データ列を移動平均した移動平均波高値h2を求める。その移動平均波高値h2は当該測定時間における線量率の支配的エネルギーと相関関係にあり、移動平均波高値h2の上昇に伴いその支配的エネルギーも上昇する。
図7は移動平均波高値h2とエネルギー補償係数β2(第2のエネルギー補償係数)を対応させた高レンジ補償係数テーブル(第2の補償係数テーブル)を示している。エネルギー補償係数演算部3233は、この高レンジ補償係数テーブル(β2)を記憶しており、移動平均波高値h2を高レンジ補償係数テーブルと照合し、エネルギー補償係数β2を決定して出力する。高レンジ線量率演算部3232は、エネルギー補償前高レンジ線量率D2にエネルギー補償係数β2を乗算して得られる高レンジ補償線量率DH(第2の補償線量率)を出力する。なお、高レンジ補償係数テーブルにおいて基準エネルギーは、例えばCs−137のγ線662keVとし、対応するエネルギー補償係数β2を1とし、その他のエネルギーのエネルギー補償係数β2を基準との比で示している。高レンジ補償係数テーブルは、低レンジ補償係数テーブルと同様にして作成する。
図8は、低レンジ線量率のエネルギー補償前後のエネルギー特性を説明するものである。エネルギー特性aは第1の放射線検出器21の円柱状の無機結晶シンチレータ211としてNaI(Tl)シンチレータを使用した場合におけるエネルギー補償前低レンジ線量率D1のエネルギー特性を示している。エネルギー特性bはエネルギー補償前低レンジ線量率D1にエネルギー補償係数β1を乗算した結果の低レンジ補償線量率DLのエネルギー特性を示している。いずれもCs(セシウム)−137のγ線のエネルギー662keVが入射したときのエネルギー補償前低レンジ線量率D1のレスポンスを1としたときの他のエネルギーのレスポンスの比で表したエネルギー特性を示すものある。
横軸は、放射線の入力エネルギーE(MeV)を示し、縦軸は、基準点Pを基準値1とした線量率測定装置1のレスポンス比Fを示す。エネルギー特性aは、エネルギー補償前低レンジ線量率D1がG(E)関数で波高スペクトルを木目細かく線量率に対応させて求めたものなので基本的に良好なエネルギー特性が得られているが、A-D変換部312においてノイズの影響を除去するために50keV未満の検出器信号パルスを測定せずにノイズとみなして破棄している。第1の放射線検出器21に入射する放射線のエネルギーは測定エネルギー範囲内であっても、波高スペクトルは入射する放射線のエネルギーに相当するピーク波高値以下に一部が分布する。入射する放射線のエネルギーが下限エネルギーの50keVに近接するに従って破棄する割合が増加するため、エネルギー補償前低レンジ線量率D1への影響が無視できないようになる。
入射する放射線が400keV以下では付与された単位エネルギー当たりの発光量が、最大1.2倍程度の山型になる。50keV以下のパルス破棄の影響と低エネルギーにおける発光量の増加の影響を合わせると、エネルギー特性aは、おおよそ100keVで若干山型になり、それ以下のエネルギーで立ち下がるようになる。このエネルギー特性に残された歪を補償するためにエネルギー補償係数β1をエネルギー補償前低レンジ線量率D1に乗じてエネルギー補償後の低レンジ補償線量率DLとすることにより、エネルギー特性bのような良好な特性が得られる。
図9は、高レンジ線量率のエネルギー補償前後のエネルギー特性について説明するものである。エネルギー特性cは、エネルギー補償前高レンジ線量率D2のエネルギー特性を示している。エネルギー特性dは、エネルギー補償前高レンジ線量率D2にエネルギー補償係数β2を乗算した結果の高レンジ補償線量率DHのエネルギー特性を示している。それぞれのPLシンチレーションファイバー221a、221b、221cを内包するように設けられた物理的なフィルタ222a、222b、222cの作用により線量率当たりの計数率としての感度は概ね平坦化できるが、100keV以下の低エネルギーで若干の山型になる。
また、A-D変換部322においてノイズの影響を除去するために50keV未満の検出器信号パルスを測定せずに破棄する結果として100keVと200keVの間に若干の谷が生じると共に、60keV以下で急激に低下する。このエネルギー特性に残された歪を補償するためにエネルギー補償係数β2をエネルギー補償前高レンジ線量率D2に乗じてエネルギー補償後の高レンジ補償線量率DHとすることにより、エネルギー特性dのような良好な特性が得られる。
第1の放射線検出器21及び第2の放射線検出器22は、高線量率になると検出信号パルスの間隔が短くなり、更に高線量率になると検出器パルス信号のパイルアップの確率が影響して線量率が低下する。同じ線量率では入射する放射線のエネルギーが大きくなるにしたがって第1の放射線検出器21(シンチレーション検出器)から出力されるアナログ電圧パルスの単位時間当たりの数は少なくなり、パイルアップによる飽和は高線量率側にシフトする。そこでPLシンチレーションファイバー221a、221b、221cを被覆するように物理的なフィルタ222a、222b、222cを設けている。フィルタ222がない場合には低エネルギーになるにしたがって線量率に対応する検出信号パルスの計数率が指数関数的に増加するエネルギー特性を概ね平坦に制御できると共に、低エネルギーにおける検出信号パルスのパイルアップを抑制できる。
図10は線量率切換部33の切換動作点について説明するもので、横軸は入射放射線の入力線量率D(in)、縦軸は低レンジ線量率演算部3133及び高レンジ線量率演算部3232の出力線量率D(out)を示す。横軸と縦軸はともにログスケールで表示されている。入出力応答特性a1は、Am(アメリシウム)−241の実効エネルギー57keVに対する、低レンジ線量率測定部31の特性を概念的に示したものである。低レンジ補償線量率DLは入力線量率D(in)に比例して実線のように増加し、それに続いて点線のように飽和する。同様に、入出力応答特性a2は、Cs(セシウム)−137の実効エネルギー660keVに対する、低レンジ線量率測定部31の特性を概念的に示したものである。入出力応答特性a2は概ね入出力応答特性a1と重なって実線のように推移し、入出力応答特性a1より線量率が高いところで点線のように飽和する。
入出力応答特性b1は高レンジ線量率測定部32のAm−241に対する特性を概念的に示したものである。ゆらぎの切換点付近では中心値が概ね入出力応答特性a1と重なり、飽和が入出力応答特性a1より高レンジ線量率側に4デカード以上シフトして測定レンジ内では飽和しない。同様に、入出力応答特性b2は高レンジ線量率測定部32のCs−137に対する特性を概念的に示したものである。ゆらぎの中心値が概ね入出力応答特性a2に重なり、飽和が入出力応答特性a2より高線量率側に4デカード以上シフトしている。測定レンジ内では飽和せず、測定レンジ内で入出力応答特性b1と入出力応答特性b2は概ね重なる。
入出力応答特性a1と入出力応答特性b1の実線の重なりは低レンジ補償線量率DLが完全な直線性を有してかつエネルギー特性が完全に平坦に補償された理想的な場合を示している。同様に入出力応答特性a2と入出力応答特性b2の実線の重なりは高レンジ補償線量率DHが完全な直線性を有してかつエネルギー特性が完全に平坦に補償された理想的な場合を示している。切換点付近の入出力応答特性a1、a2、b1、b2の重なりは線量率測定の器差がなくかつ低レンジ補償線量率DLと高レンジ補償線量率DHのエネルギー特性が完全に重なった理想的な場合を示している。
実際には、エネルギー補償後も若干の歪が残る等で理想的な重なりに対して、若干の乖離が発生する(図8および図9を参照)。また、低レンジ補償線量率DLに高レンジ補償線量率DHのゆらぎの中心値が重なる理想的状態においても、低レンジ補償線量率DLと高レンジ補償線量率DHの実際の切換はそれぞれのゆらぎの存在下で行われる。したがって、低レンジ補償線量率DLと高レンジ補償線量率DHの切換時には若干の段差が発生する。
線量率切換部33は、低レンジ線量率演算部3133から出力された低レンジ補償線量率DLと、高レンジ線量率演算部3232から出力された高レンジ補償線量率DHを入力して、線量率比(高レンジ補償線量率DH/低レンジ補償線量率DL)を求める。上昇切換時は線量率比(DH/DL)が1+k1以上になったら測定レンジを低レンジ補償線量率DLから高レンジ補償線量率DHに切り換える。また下降切換時は線量率比(DH/DL)が1+k2以下になったら測定レンジを高レンジ補償線量率DHから低レンジ補償線量率DLに切り換える。ここで定数k1と定数k2は正とする。この結果、表示操作部は、線量率比が1+k1を超えると表示レンジを低レンジから高レンジに切換え、線量率比が1+k2まで低下すると表示レンジを高レンジから低レンジに切換える。
図には、Am−241に対する上昇切換点A1と下降切換点A2が、およびCs−137に対する上昇切換点B1と下降切換点B2が示されている。ここで、ゆらぎによる切換動作のハンチングを防止するようにk1>k2とし、切り替えに伴う段差を最小限に抑えるように実験で求めた好適な値に設定される。定数k1及び定数k2を正数とすると共に、低レンジ補償線量率DLの飽和を検知して高レンジ補償線量率DHに切り換えるようにしたので、急激な上昇応答時にも確実に切換を行わせることができる。
以上のように、低レンジ線量率測定部31及び高レンジ線量率測定部32は、それぞれ波高スペクトルを測定して移動平均波高値を求め、その移動平均波高値に基づきそれぞれの低エネルギー領域のエネルギー特性を補償している。測定エネルギー全体に亘り好適なエネルギー特性が得られるようになり、好適なエネルギー特性のもとにそれぞれの分担の低レンジ補償線量率DLおよび高レンジ補償線量率DHが測定されている。線量率切換部33は線量率比(DH/DL)に基づいて入射放射線のエネルギーに応じて好適な切換点を自動的に決定して低レンジ補償線量率DLと高レンジ補償線量率DHを切り換えるようにしたので、全測定レンジに亘ってエネルギー特性及び直線性が良好な高精度の線量率測定装置を提供できる。
更に、第2の放射線検出器22のPLシンチレーションファイバー221a、221b、221cは、第1の放射線検出器の中心軸の周りに、それぞれのPLシンチレーションファイバーの解放された片端面が斜め上を向くように等間隔に配置しているため、PLシンチレーションファイバー221は、第1の放射線検出器の無機結晶シンチレータ211の測定空間の障害にならない位置に配置されている。また、天井方向から見た実効面積の合計と、第1の放射線検出器の中心軸と直角に交わる直線方向から見た実効面積が概ね等しくなるように配置している。その結果、第1の放射線検出器21と第2の放射線検出器22が相互に測定の障害になることがなくかつ測定空間に対して良好な方向依存性を得ることができる。
低レンジ線量率範囲を担当する第1の放射線検出器に無機結晶シンチレータを、高レンジ線量率範囲を担当する第2の放射線検出器にファイバー状のプラスチックシンチレータを適用した組合せとしている。第2の放射線検出器は、第1の放射線検出器の中心軸の周りにその測定エリアの影にならないように、かつ第1の放射線検出器と測定エリアを共有するようにしている。第1の放射線検出器の中心軸方向から放射線を照射したときの感度と、その中心軸と直角方向から放射線を照射した感度が同等になるように、中心軸に対して対称かつ等角度になるように配置している。その結果、両検出器の単位容積当たりの感度差と容積差の両方の違いにより、所望の測定レンジを、コンパクトにかつ方向依存性を抑制した形で容易に実現できる。
第1の線量率測定手段は、第1の検出信号パルスの波高値を測定し、その波高値に基づいて第1の波高スペクトルを生成し、その第1の波高スペクトルの波高値と単位計数率当たりの線量率の関係に基づいて第1の線量率を求めている。第2の線量率測定手段は、第2の検出信号パルスの波高値を測定し、その波高値に基づいて第2の波高スペクトルを生成し、その第2の波高スペクトルに基づいて計数率を求め、その計数率を線量率に換算して第2の線量率を求めている。
第1のエネルギー補償係数演算手段及び第2のエネルギー補償係数演算手段はそれぞれ低レンジ線量率範囲及び高レンジ線量率範囲のスペクトルに基づき平均波高値を求め、平均波高値に基づき放射線検出器に固有のエネルギー特性の歪を補正して全レンジに亘って良好なエネルギー特性が得られるようにしたので、低線量率レンジと高線量率レンジを切り換えて出力する際に、線量率切換に伴う段差を最小に抑制できると共に、全線量率レンジに亘って測定精度が良好な線量率測定装置を提供できる。
実施の形態2.
実施の形態2に係わる線量率測定装置におけるPLシンチレーションファイバーの構成を図11に示す。実施の形態1では、第2の放射線検出器22のPLシンチレーションファイバー221a、221b、221cは、1本のプラスチックシンチレーションファイバーで構成されている。実施の形態2では、複数の(例えば3本の)プラスチックシンチレーションファイバーを束ねたファイバー束220でPLシンチレーションファイバー221を構成した。ファイバー束を使うことで、レンジ配分においてシンチレータの実質的な径を大きくする必要が生じた場合にもフレキシブルに対応できる効果を奏する。
実施の形態3.
実施の形態3に係わる線量率測定装置における検出器架台23の構成を図12に示す。検出器架台23のシンチレーションファイバー配位領域に放射線を遮蔽する遮蔽体26を配置している。検出器架台23は、PLシンチレーションファイバー221a〜221cの内側と第1の放射線検出器21の外側の間の、第1の放射線検出器21の測定空間の障害にならない位置に遮蔽体26を備えている。遮蔽体26により第2の放射線検出器22の裏面方向の放射線を遮蔽するため、線量率測定における方向特性をより改善できる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る線量率測定装置における演算処理フローを図13に示す。本実施の形態では、線量率切換部33が、今回の演算周期で線量率出力の切換を行う場合に、線量率比(DH/DL)に基づき出力切換の診断を行うようにしている。処理がS0でスタートし、S1で実施の形態1と同様に、今回の演算周期に関する出力切換の要否の判定結果と線量率比(DH/DL)を読み込む。S2で出力切換が要かどうかについて判定し、NoならばS1に戻る。
出力切換の要がYesならばS3で今回の線量率比(DH/DL)が設定値以内かどうかを判定する。判定がYesならばS1に戻り、線量率比(DH/DL)が設定値よりも大きくて判定がNoならばS4で出力切換異常警報(異常警報)を表示操作部34に発信してS1に戻る。診断の結果をもとに、出力切換異常警報を表示操作部34が表示するようにしているので、正常なレンジ切換が行われているかどうかを自己診断することができ、より信頼性の高い線量率測定装置を提供できる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 線量率測定装置、2 検出部、21 第1の放射線検出器、211 無機結晶シンチレータ、212 光電子増倍管、213 プリアンプ、214 検出器ケース、22 第2の放射線検出器、221a、221b、221c PLシンチレーションファイバー、222a、222b、222c フィルタ、223a、223b、223c 光カプラ、224a、224b、224c 光ファイバー、225a、225b、225c 遮光チューブ、226 ライトガイド、227 光電子増倍管、228 プリアンプ、229 検出器ケース、220 ファイバー束、23 検出器架台、24 検出部外套、25 スタンド、26 遮蔽体、3 測定部、31 低レンジ線量率測定部、311 パルス増幅器、312 A-D変換部、313 低レンジ演算部、3131 波高スペクトル生成部、3132 G(E)関数メモリ、3133 低レンジ線量率演算部、3134 エネルギー補償係数演算部、314 高圧電源、32 高レンジ線量率測定部、321 パルス増幅器、322 A-D変換部、323 高レンジ演算部、3231 波高スペクトル生成部、3232 高レンジ線量率演算部、3233 エネルギー補償係数演算部、324 高圧電源、33 線量率切換部、34 表示操作部

Claims (7)

  1. 無機結晶シンチレータを有し、放射線が入射すると検出信号パルスを出力する第1の放射線検出器と、
    プラスチックシンチレータを有し、放射線が入射すると検出信号パルスを出力する第2の放射線検出器と、
    円筒部を有し、前記第1の放射線検出器および前記第2の放射線検出器を収容する検出器架台と、
    前記第1の放射線検出器が出力する検出信号パルスを基に、エネルギー補償係数とG(E)関数テーブルを用いて入射した放射線の第1の補償線量率を算出する低レンジ演算部と、
    前記第2の放射線検出器が出力する検出信号パルスを基に、エネルギー補償係数を用いて入射した放射線の第2の補償線量率を算出する高レンジ演算部と、
    前記低レンジ演算部が算出した第1の補償線量率と前記高レンジ演算部が算出した第2の補償線量率から、線量率比(第2の補償線量率/第1の補償線量率)を求め、この求められた線量率比の大きさに従って出力する補償線量率を選定する線量率切換部と、
    前記線量率切換部が出力した補償線量率を表示する表示操作部と、を備え、
    前記第2の放射線検出器が有するプラスチックシンチレータは、前記検出器架台の円筒部に巻き回されていることを特徴とする線量率測定装置。
  2. 前記第1の放射線検出器および前記第2の放射線検出器は、前記検出器架台の中心軸上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の線量率測定装置。
  3. 前記プラスチックシンチレータは、前記無機結晶シンチレータの底面よりも奥側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の線量率測定装置。
  4. 前記線量率切換部は、定数k1>定数k2>0として、線量率比が1+k1を超えると第2の補償線量率を選定して出力し、線量率比が1+k2まで低下すると第1の補償線量率を選定して出力することを特徴とする請求項1に記載の線量率測定装置。
  5. 前記プラスチックシンチレータは、ファイバー束からなることを特徴とする請求項1に記載の線量率測定装置。
  6. 前記検出器架台は、円筒部の内側に放射線の遮蔽体が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の線量率測定装置。
  7. 前記線量率切換部は、線量率比が設定値よりも大きい場合、異常警報を発信することを特徴とする請求項1に記載の線量率測定装置。
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