JPWO2016157834A1 - 炭素膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含み、該繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が500m2/g以上である、炭素膜を提供する。また本発明は、BET比表面積が500m2/g以上である繊維状炭素ナノ構造体と、分散剤と、溶媒とを含有する繊維状炭素ナノ構造体分散液に、導電性カーボンを混合し、次いで該溶媒を除去して、炭素膜を成膜する工程を含む、炭素膜の製造方法も提供する。

Description

本発明は、炭素膜およびその製造方法に関し、特には、繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含む、炭素膜、および、当該炭素膜を製造する方法に関するものである。
導電性カーボンなどの炭素材料は、高い導電性、熱伝導性を示すことから、発見以来注目されている材料である。中でも、炭素材料のみからなるシート状構造体は、その特性から多くの用途展開の可能性が示唆されており、蓄電デバイス等への応用が期待されている。
特に近年、導電性、熱伝導性および機械的特性に優れる材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)が注目されている。
しかし、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体は直径がナノメートルサイズの微細な構造体であるため、単体では取り扱い性や加工性が悪い。そこで、例えば、複数本のCNTを膜状に集合させて「バッキーペーパー」と称されることもあるカーボンナノチューブ膜(以下、「CNT膜」と称することがある。)を形成し、当該CNT膜を導電膜などとして用いることが提案されている。具体的には、溶媒とCNTとを含むカーボンナノチューブ分散液からろ過および乾燥などの手段を用いて溶媒を除去することにより成膜したCNT膜を、太陽電池やタッチパネルなどの電極を構成する部材(例えば、導電膜や触媒層など)として用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−105909号公報
しかしながら、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体の製造には高度な技術および高い製造コストが必要であり、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体のみを炭素材料として作製した炭素膜は非常に高価である。また、粒子形状の導電性カーボンなどの炭素材料では、炭素材料同士の結合力が弱く、有機材料からなる結着材を用いてシート化して自立性や成膜性を確保していた。しかし、このような従来知られている手法で作製した炭素膜は、太陽電池やタッチパネルなどの用途に用いるには、導電性が不充分であり、さらなる特性改善が求められていた。
そこで、本発明は、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体とは異なる導電性カーボンを含みながらも、自立性および導電性に優れる炭素膜ならびにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、所定のBET比表面積を有する繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンと、を含む炭素膜を形成することで、自立性および導電性に優れる炭素膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の炭素膜は、繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含み、該繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が500m/g以上であることを特徴とする。このように、500m/g以上のBET比表面積を有する繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含めることにより、自立性および導電性に優れた炭素膜を提供することができる。
本発明の炭素膜では、前記繊維状炭素ナノ構造体と前記導電性カーボンとの含有割合が、質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65であることが好ましい。かかる繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合を質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65とすることにより、炭素膜の導電性を高めるとともに炭素膜の成膜性も向上させることができる。
また、本発明の炭素膜では、前記繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含むことが好ましい。カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、炭素膜の強度および自立性を更に高めることができる。
本発明の炭素膜の製造方法は、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、分散剤と、溶媒とを含有する繊維状炭素ナノ構造体分散液に、導電性カーボンを混合し、次いで該溶媒を除去して、炭素膜を成膜する工程を含むことを特徴とする。このように、かかる繊維状炭素ナノ構造体を予め分散させた繊維状炭素ナノ構造体分散液に、導電性カーボンを混合し、溶媒を除去して成膜することにより、自立性および導電性に優れた炭素膜を製造することができる。
本発明の炭素膜の製造方法では、前記溶媒中に、前記繊維状炭素ナノ構造体と、前記分散剤とを添加してなる粗分散液を、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供して、該繊維状炭素ナノ構造体を分散させて、前記繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製する工程を更に含むことが好ましい。粗分散液をキャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供することにより、繊維状炭素ナノ構造体を分散液中で良好に分散させることができ、続いて混合する導電性カーボンと繊維状炭素ナノ構造体とを均質に混合することができる。この均質な分散液から成膜した炭素膜では、繊維状炭素ナノ構造体および導電性カーボンが均質に分散して存在するため、自立性および導電性その他の特性を一層向上させることができる。
本発明の炭素膜の製造方法では、前記繊維状炭素ナノ構造体分散液中の前記繊維状炭素ナノ構造体と前記導電性カーボンとの含有割合が、質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65であることが好ましい。かかる繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合を質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65とすることにより、導電性がより高く成膜性にも優れた炭素膜を製造することができる。
また、本発明の炭素膜の製造方法では、前記繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含むことが好ましい。カーボンナノチューブを含む繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、炭素膜の強度および自立性を更に高めることができる。
本発明によれば、CNT等の繊維状炭素ナノ構造体とは異なる導電性カーボンを含みながらも、自立性および導電性に優れる炭素膜ならびにその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の炭素膜は、BET比表面積が500m/g以上である繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含む。本発明の炭素膜は、本発明の炭素膜の製造方法を用いて製造することができる。
(炭素膜)
本発明の炭素膜は、複数本の繊維状炭素ナノ構造体を膜状に集合させてなる繊維状炭素ナノ構造体の集合体よりなる。そして、本発明の炭素膜は、集合体を構成する繊維状炭素ナノ構造体が500m/g以上のBET比表面積を有することを大きな特徴の一つとする。また、本発明の炭素膜は、繊維状炭素ナノ構造体以外の導電性カーボンを含むことも大きな特徴の一つとする。
なお、本発明において、炭素膜は、基材などの支持体上に形成された膜(支持体付き膜)であってもよいし、自立膜であってもよい。
[繊維状炭素ナノ構造体]
本発明に用いる繊維状炭素ナノ構造体は、BET比表面積が500m/g以上であるが、600m/g以上であることが好ましく、800m/g以上であることが更に好ましく、1000m/g以上であることが一層好ましい。また、当該BET比表面積は、2500m/g以下であることが好ましく、1200m/g以下であることが更に好ましい。更に、繊維状炭素ナノ構造体がCNTを含み、当該CNTが主として開口したものである場合は、BET比表面積が1300m/g以上であることが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が500m/g以上であれば、炭素膜の熱伝導性および強度を十分に高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が2500m/g以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の凝集を抑制して炭素膜中の繊維状炭素ナノ構造体の分散性を高めることができる。
なお、本発明において、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した窒素吸着比表面積を指す。
ここで、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体は、円筒形状の炭素ナノ構造体であるカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)のみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の非円筒形状の繊維状炭素ナノ構造体、例えば、後述するグラフェンナノテープとの混合物であってもよい。
なお、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、単層から5層までのカーボンナノチューブを用いることが好ましく、単層カーボンナノチューブを用いることがより好ましい。単層カーボンナノチューブを使用すれば、多層カーボンナノチューブを使用した場合と比較し、炭素膜の熱伝導性および強度を更に向上させることができるからである。
そして、カーボンナノチューブは、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて、効率的に製造することができる。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
なお、スーパーグロース法により製造したカーボンナノチューブは、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTと、非円筒形状の炭素ナノ構造体とから構成されていてもよい。
本発明の繊維状炭素ナノ構造体には、内壁同士が近接または接着したテープ状部分を全長に亘って有する単層または多層の扁平筒状の炭素ナノ構造体(以下、「グラフェンナノテープ(GNT)」と称することがある。)が含まれていてもよい。
ここで、GNTは、その合成時から内壁同士が近接または接着したテープ状部分が全長に亘って形成されており、炭素の六員環ネットワークが扁平筒状に形成された物質であると推定される。そして、GNTの形状が扁平筒状であり、かつ、GNT中に内壁同士が近接または接着したテープ状部分が存在していることは、例えば、GNTとフラーレン(C60)とを石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)して得られるフラーレン挿入GNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、GNT中にフラーレンが挿入されない部分(テープ状部分)が存在していることから確認することができる。
そして、GNTの形状は、幅方向中央部にテープ状部分を有する形状であることが好ましく、延在方向(軸線方向)に直行する断面の形状が、断面長手方向の両端部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法が、いずれも、断面長手方向の中央部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大寸法よりも大きい形状であることがより好ましく、ダンベル状であることが特に好ましい。
ここで、GNTの断面形状において、「断面長手方向の中央部近傍」とは、断面の長手中心線(断面の長手方向中心を通り、長手方向線に直交する直線)から、断面の長手方向幅の30%以内の領域をいい、「断面長手方向の端部近傍」とは、「断面長手方向の中央部近傍」の長手方向外側の領域をいう。
なお、非円筒形状の炭素ナノ構造体としてGNTを含む炭素ナノ構造体は、触媒層を表面に有する基材を用いてスーパーグロース法によりCNTを合成する際に、触媒層を表面に有する基材(以下、「触媒基材」と称することがある。)を所定の方法で形成することにより、得ることができる。具体的には、GNTを含む炭素ナノ構造体は、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布し、塗布した塗工液Aを乾燥して基材上にアルミニウム薄膜(触媒担持層)を形成した後、アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布し、塗布した塗工液Bを温度50℃以下で乾燥してアルミニウム薄膜上に鉄薄膜(触媒層)を形成することで得た触媒基材を用いてスーパーグロース法によりGNTを合成することで得ることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体としては、平均直径(Av)に対する、直径の標準偏差(σ)に3を乗じた値(3σ)の比(3σ/Av)が0.20超0.60未満の炭素ナノ構造体を用いることが好ましく、3σ/Avが0.25超の炭素ナノ構造体を用いることがより好ましく、3σ/Avが0.50超の炭素ナノ構造体を用いることが更に好ましい。3σ/Avが0.20超0.60未満の繊維状炭素ナノ構造体を使用すれば、炭素ナノ構造体の配合量が少量であっても炭素膜の熱伝導性および強度を十分に高めることができるので、繊維状炭素ナノ構造体の配合により炭素膜の硬度が上昇する(即ち、柔軟性が低下する)のを抑制して、熱伝導性、柔軟性および強度を十分に高いレベルで並立させた炭素膜を得ることができる。
なお、「繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)」および「繊維状炭素ナノ構造体の直径の標準偏差(σ:標本標準偏差)」は、それぞれ、透過型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した繊維状炭素ナノ構造体100本の直径(外径)を測定して求めることができる。そして、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)および標準偏差(σ)は、繊維状炭素ナノ構造体の製造方法や製造条件を変更することにより調整してもよいし、異なる製法で得られた繊維状炭素ナノ構造体を複数種類組み合わせることにより調整してもよい。
そして、繊維状炭素ナノ構造体としては、前述のようにして測定した直径を横軸に、その頻度を縦軸に取ってプロットし、ガウシアンで近似した際に、正規分布を取るものが通常使用される。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、ラマン分光法を用いて評価した際に、Radial Breathing Mode(RBM)のピークを有することが好ましい。なお、三層以上の多層カーボンナノチューブのみからなる繊維状炭素ナノ構造体のラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。G/D比が1以上20以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体の配合量が少量であっても炭素膜の熱伝導性および強度を十分に高めることができるので、繊維状炭素ナノ構造体の配合により炭素膜の硬度が上昇する(即ち、柔軟性が低下する)のを抑制して、熱伝導性、柔軟性および強度を十分に高いレベルで並立させた炭素膜を得ることができる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることが更に好ましく、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が0.5nm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の凝集を抑制して炭素ナノ構造体の分散性を高めることができる。また、繊維状炭素ナノ構造体の平均直径(Av)が15nm以下であれば、炭素膜の熱伝導性および強度を十分に高めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、合成時における構造体の平均長さが100μm以上5000μm以下であることが好ましい。なお、合成時の構造体の長さが長いほど、分散時にCNTに破断や切断などの損傷が発生し易いので、合成時の構造体の平均長さは5000μm以下であることが好ましい。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、スーパーグロース法によれば、カーボンナノチューブ成長用の触媒層を表面に有する基材上に、基材に略垂直な方向に配向した集合体(配向集合体)として得られるが、当該集合体としての、繊維状炭素ナノ構造体の質量密度は、0.002g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましい。質量密度が0.2g/cm以下であれば、繊維状炭素ナノ構造体同士の結びつきが弱くなるので、炭素膜中で繊維状炭素ナノ構造体を均質に分散させることができる。また、質量密度が0.002g/cm以上であれば、繊維状炭素ナノ構造体の一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
更に、繊維状炭素ナノ構造体は、複数の微小孔を有することが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体は、中でも、孔径が2nmよりも小さいマイクロ孔を有するのが好ましく、その存在量は、下記の方法で求めたマイクロ孔容積で、好ましくは0.40mL/g以上、より好ましくは0.43mL/g以上、更に好ましくは0.45mL/g以上であり、上限としては、通常、0.65mL/g程度である。繊維状炭素ナノ構造体が上記のようなマイクロ孔を有することで、繊維状炭素ナノ構造体の凝集が抑制され、繊維状炭素ナノ構造体が高度に分散した炭素膜を得ることができる。なお、マイクロ孔容積は、例えば、繊維状炭素ナノ構造体の調製方法および調製条件を適宜変更することで調整することができる。
ここで、「マイクロ孔容積(Vp)」は、繊維状炭素ナノ構造体の液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定し、相対圧P/P0=0.19における窒素吸着量をVとして、式(II):Vp=(V/22414)×(M/ρ)より、算出することができる。なお、Pは吸着平衡時の測定圧力、P0は測定時の液体窒素の飽和蒸気圧であり、式(II)中、Mは吸着質(窒素)の分子量28.010、ρは吸着質(窒素)の77Kにおける密度0.808g/cmである。マイクロ孔容積は、例えば、「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用して求めることができる。
また、繊維状炭素ナノ構造体は、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すことが好ましい。中でも、CNTの開口処理が施されておらず、t−プロットが上に凸な形状を示すことがより好ましい。なお、「t−プロット」は、窒素ガス吸着法により測定された繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することにより得ることができる。すなわち、窒素ガス吸着層の平均厚みtを相対圧P/P0に対してプロットした、既知の標準等温線から、相対圧に対応する窒素ガス吸着層の平均厚みtを求めて上記変換を行うことにより、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットが得られる(de Boerらによるt−プロット法)。
ここで、表面に細孔を有する物質では、窒素ガス吸着層の成長は、次の(1)〜(3)の過程に分類される。そして、下記の(1)〜(3)の過程によって、t−プロットの傾きに変化が生じる。
(1)全表面への窒素分子の単分子吸着層形成過程
(2)多分子吸着層形成とそれに伴う細孔内での毛管凝縮充填過程
(3)細孔が窒素によって満たされた見かけ上の非多孔性表面への多分子吸着層形成過程
そして、上に凸な形状を示すt−プロットは、窒素ガス吸着層の平均厚みtが小さい領域では、原点を通る直線上にプロットが位置するのに対し、tが大きくなると、プロットが当該直線から下にずれた位置となる。かかるt−プロットの形状を有する繊維状炭素ナノ構造体は、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、繊維状炭素ナノ構造体を構成する炭素ナノ構造体に多数の開口が形成されていることを示している。
なお、繊維状炭素ナノ構造体のt−プロットの屈曲点は、0.2≦t(nm)≦1.5を満たす範囲にあることが好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが更に好ましい。
なお、「屈曲点の位置」は、前述した(1)の過程の近似直線Aと、前述した(3)の過程の近似直線Bとの交点である。
更に繊維状炭素ナノ構造体は、t−プロットから得られる全比表面積S1に対する内部比表面積S2の比(S2/S1)が0.05以上0.30以下であるのが好ましい。
また、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、特に限定されないが、個別には、S1は、600m/g以上1400m/g以下であることが好ましく、800m/g以上1200m/g以下であることが更に好ましい。一方、S2は、30m/g以上540m/g以下であることが好ましい。
ここで、繊維状炭素ナノ構造体の全比表面積S1および内部比表面積S2は、そのt−プロットから求めることができる。具体的には、まず、(1)の過程の近似直線の傾きから全比表面積S1を、(3)の過程の近似直線の傾きから外部比表面積S3を、それぞれ求めることができる。そして、全比表面積S1から外部比表面積S3を差し引くことにより、内部比表面積S2を算出することができる。
因みに、繊維状炭素ナノ構造体の吸着等温線の測定、t−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1と内部比表面積S2との算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を用いて行うことができる。
〔導電性カーボン〕
本発明に用いる導電性カーボンは、上述したBET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体とは異なる導電性カーボンである。すなわち、本発明に用いる導電性カーボンは、膨張化黒鉛、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛等のカーボン粒子、カーボンナノホーン、およびカーボンナノファイバーなどの、繊維状炭素ナノ構造体とは異なる導電性カーボンである。本発明において、500m/g以上のBET比表面積を有する繊維状炭素ナノ構造体を、繊維状炭素ナノ構造体とは異なる導電性カーボンと組み合わせることにより、自立性および導電性に優れた炭素膜を得ることができた。
特に、導電性を向上させる観点から、導電性カーボンとして、膨張化黒鉛またはカーボンブラックを使用することが好ましい。膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名)等が挙げられる。導電性カーボンとして膨張化黒鉛を使用すると、熱伝導性も向上させることができる。カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ブラックパール、及びバルカンなどが挙げられる。特に、導電性と耐久性に優れることから、導電性カーボンとしてケッチェンブラックを使用することが好ましく、耐食性の観点から、導電性カーボンとしてアセチレンブラックを使用することが好ましい。アセチレンブラックは、粒子の微結晶構造が黒鉛状に発達し、炭素分が他のカーボンブラックと比較して高いことから、耐食性に優れるからである。
なお、これら導電性カーボンの製造方法は特に限定されるものではなく、一般的な方法により製造することができる。
導電性カーボンの粒子の大きさに特に制限は無く、炭素膜の厚みを適切な範囲で制御するという観点からは、平均一次粒子径が、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。
さらに、導電性カーボンとして、カーボンブラックを熱処理したものを用いることもできる。これにより、導電性だけでなく耐食性にも優れる導電性カーボンが得られる。前記熱処理したカーボンブラックは、ラマンスペルトルから得られたGバンドの半値幅が、好ましくは55cm−1以下、より好ましくは52cm−1以下、特に好ましくは49cm−1以下のものを用いる。導電性カーボンの結晶性は、高いほどグラファイト構造に似た三次元的結晶格子が形成される。Gバンドの半値幅が小さいほど、結晶性が高く耐食性に優れ、不純物の少ないカーボンが得られる。
ここで、ラマンスペクトルとは、ラマン効果によって散射された光について、どの波長の光がどの程度の強さで散射されたかを示すスペクトルである。本発明においては、ラマンスペクトルは、波数(cm−1)を一方の軸、強度を他方の軸として表したスペクトルを用いて、Gバンドの半値幅が算出されうる。「Gバンド」とは、カーボン粒子のラマン測定により得られたスペクトルにおける1580cm−1付近に現れるカーボンの結晶性を示すピークを指す。また、「半値幅」とは、所定の吸収帯の分布状態を判断するために用いられる値であり、吸収帯のピーク高さの2分の1の高さにおける吸収帯の広がり幅をいう。
導電性カーボンのラマン測定は、公知のラマン分光測定装置を用いて測定することができる。ラマン分光測定装置は、Gバンドが、一定の再現性を持って測定されうるのであれば、特に限定されない。ただし、ラマン分光測定装置によって、Gバンドの形状や位置が異なる場合には、特定の顕微レーザーラマン分光分析装置(Kaiser Optical System Inc社製、Holo Lab 5000R)を用いて、特定の測定条件(励起波長:532nm;出力:3mW;測定時間:露光30秒×積算5回)に従って測定されたラマンスペクトルが基準スペクトルとして用いられるものとする。
なお、Gバンド近辺に他の吸収帯が存在し、Gバンドと接合しているために半値幅がスペクトルからは一見したところ判断できない場合、通常は、ラマン分光測定装置に付随する解析プログラムによって半値幅が決定されうる。例えば、Gバンドのピークが含まれている領域に直線のベースラインを引き、Lorentz波形のカーブフィットを実施し、Gバンドのピーク分離を行う処理によって、半値幅が決定される。
Gバンドの半値幅が55cm−1以下の、熱処理されてなるカーボンブラックは、上述したカーボンブラックを1500〜3000℃程度の高温で熱処理することにより得られる。また、熱処理時間としては、特に制限されないが1〜10時間程度で十分である。
特に、導電性カーボンとしてアセチレンブラックを使用する場合、耐食性を向上させる観点から、ラマンスペルトルから得られたGバンドの半値幅が、好ましくは55cm−1以下、より好ましくは52cm−1以下、特に好ましくは49cm−1以下のものを用いることが好ましい。
〔繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合〕
本発明の炭素膜は、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含有するものである。さらに、本発明の炭素膜は、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとの含有割合が、質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65であることが好ましく、90/10〜40/60であることがより好ましい。炭素膜中における、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合が上述の範囲内であれば、炭素膜の導電性を更に高めるとともに、炭素膜の成膜性も向上させることができる。
<炭素膜の性状>
本発明の炭素膜は、上述するように、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含有することにより、成膜性、自立性および導電性に優れている。
なお、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとを含有することにより、炭素膜が自立性および導電性に優れる理由は、明らかではないが、かかる繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとを含有することにより、高度に発達したネットワークを有するポーラス構造を得ることができるためであると推察される。
ここで、本発明の炭素膜は、更に、以下の性状を有していることが好ましい。
[導電性]
本発明の炭素膜は、太陽電池やタッチパネルにおける導電膜として使用可能な導電性を有することが好ましい。具体的には、表面抵抗率が10Ω/□以下であることが好ましく、5Ω/□以下であることがより好ましく、3.5Ω/□以下であることがより一層好ましい。表面抵抗率が10Ω/□以下であれば、太陽電池やタッチパネルにおける導電膜として十分に使用可能な導電性を有するからである。
尚、炭素膜の表面抵抗率は、四端子四探針法にて測定することができる。また、炭素膜の表面抵抗率は、炭素膜の形成に使用する繊維状炭素ナノ構造体の種類および量、導電性カーボンの種類、並びに、かかる繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合などを調整することにより、調節することができる。
[繊維状炭素ナノ構造体および導電性カーボンの含有量]
即ち、本発明の炭素膜は、75質量%以上が繊維状炭素ナノ構造体および導電性カーボンで構成されていることが好ましく、製造時に不可避的に混入する不純物以外の成分を含まないことがより好ましい。繊維状炭素ナノ構造体および導電性カーボンの含有量が75質量%以上であれば、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができるからである。
[光沢度]
本発明の炭素膜は、60度における膜表面の光沢度が5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、15以上であることが更に好ましく、また、50以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましい。
なお、炭素膜の光沢度は、JIS Z8741に準拠し、入射角度60度の条件で測定することができる。また、炭素膜の光沢度は、炭素膜の形成に使用する繊維状炭素ナノ構造体の種類および量、並びに、炭素膜の形成に使用する繊維状炭素ナノ構造体分散液の調製方法などを調整することにより調節することができる。
[密度]
更に、本発明の炭素膜の密度は、0.4g/cm以上であることが好ましく、0.6g/cm以上であることがより好ましく、また、1.0g/cm以下であることが好ましい。
なお、本発明において、炭素膜の密度は、炭素膜の質量、面積および厚さを測定し、炭素膜の質量を体積で割って求めることができる。
[自立性]
更に、本発明の炭素膜は、支持体が存在していなくとも膜としての形状を保つことができる自立膜であることが好ましい。具体的には、本発明の炭素膜は、厚さが10nm〜500μm、面積が1mm〜100cmのサイズにおいて支持体無しで膜としての形状を保つことがより好ましい。
(炭素膜の製造方法)
本発明の炭素膜の製造方法は、上述した本発明の炭素膜を製造する際に用いることができる。そして、本発明の炭素膜の製造方法は、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、分散剤と、溶媒とを含有する繊維状炭素ナノ構造体分散液に、導電性カーボンを混合し、次いで溶媒を除去して、炭素膜を成膜する工程(成膜工程)を含むことを特徴とする。なお、本発明の炭素膜の製造方法は、かかる繊維状炭素ナノ構造体、分散剤および溶媒を含む粗分散液を分散処理して繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製する工程(分散液調製工程)を成膜工程の前に含んでいてもよい。
そして、本発明の炭素膜の製造方法を用いて得られる炭素膜は、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含んでいるので、自立性および導電性に優れている。
<分散液調製工程>
ここで、分散液調製工程では、溶媒中に繊維状炭素ナノ構造体および分散剤を添加してなる粗分散液をキャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供し、繊維状炭素ナノ構造体を分散させて繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製することが好ましい。このように、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理を用いれば、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散した繊維状炭素ナノ構造体分散液が得られるからである。そして、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散した繊維状炭素ナノ構造体分散液を用いて炭素膜を調製すれば、優れた特性を有する繊維状炭素ナノ構造体を均一に集合させて、導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性に優れる炭素膜が得られる。
なお、本発明の炭素膜の製造方法で用いる繊維状炭素ナノ構造体分散液は、上記以外の公知の分散処理方法を用いて繊維状炭素ナノ構造体を溶媒中に分散させることにより調製してもよい。また、繊維状炭素ナノ構造体分散液には、製造する炭素膜の用途に応じて、充填材、安定化剤、着色剤、電荷調整剤、滑剤などの既知の添加剤を配合してもよい。
[繊維状炭素ナノ構造体]
繊維状炭素ナノ構造体分散液の調製に用いる繊維状炭素ナノ構造体としては、上述した、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体を用いることができる。かかる繊維状炭素ナノ構造体は、円筒形状の炭素ナノ構造体であるCNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の非円筒形状の繊維状炭素ナノ構造体、例えば、GNTとの混合物であってもよい。
[分散剤]
また、繊維状炭素ナノ構造体分散液の調製に用いる分散剤は、繊維状炭素ナノ構造体を分散可能であり、後述する溶媒に溶解可能であれば、特に限定されないが、界面活性剤、合成高分子または天然高分子を用いることができる。
ここで、界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
また、合成高分子としては、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合樹脂、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、変性フェノキシ系樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
更に、天然高分子としては、例えば、多糖類であるデンプン、プルラン、デキストラン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アラビアガム、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キチン、キトサン、セルロース、並びに、その塩または誘導体が挙げられる。誘導体とはエステルやエーテルなどの従来公知の化合物を意味する。
これらの分散剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。中でも、繊維状炭素ナノ構造体の分散性に優れることから、分散剤としては、界面活性剤が好ましく、デオキシコール酸ナトリウムなどが特に好ましい。
[溶媒]
繊維状炭素ナノ構造体分散液の溶媒としては、特に限定されることなく、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[分散処理]
そして、分散液調製工程では、上述した溶媒に対して上述した繊維状炭素ナノ構造体および分散剤を添加して、繊維状炭素ナノ構造体を分散させて、繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製する。かかる分散処理は、後述する公知の混合方法および分散方法を利用することができる。特に限定されないが、本発明の製造方法においては、以下に詳細に説明するキャビテーション効果が得られる分散処理または解砕効果が得られる分散処理に供することにより、繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製することが好ましい。繊維状炭素ナノ構造体をより均質に分散させた繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製することができるため、続く導電性カーボンとの混合においても、繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとを互いに均質に分散させることができるためである。
[[キャビテーション効果が得られる分散処理]]
キャビテーション効果が得られる分散処理は、液体に高エネルギーを付与した際、水に生じた真空の気泡が破裂することにより生じる衝撃波を利用した分散方法である。この分散方法を用いることにより、繊維状炭素ナノ構造体を良好に分散させることができる。
ここで、キャビテーション効果が得られる分散処理の具体例としては、超音波による分散処理、ジェットミルによる分散処理および高剪断撹拌による分散処理が挙げられる。これらの分散処理は一つのみを行なってもよく、複数の分散処理を組み合わせて行なってもよい。より具体的には、例えば超音波ホモジナイザー、ジェットミルおよび高剪断撹拌装置が好適に用いられる。これらの装置は従来公知のものを使用すればよい。
繊維状炭素ナノ構造体の分散に超音波ホモジナイザーを用いる場合には、粗分散液に対し、超音波ホモジナイザーにより超音波を照射すればよい。照射する時間は、繊維状炭素ナノ構造体の量等により適宜設定すればよく、例えば、3分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、また、5時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましい。また、例えば、出力は20W以上500W以下が好ましく、100W以上500W以下がより好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
また、ジェットミルを用いる場合、処理回数は、繊維状炭素ナノ構造体の量等により適宜設定すればよく、例えば、2回以上が好ましく、5回以上がより好ましく、100回以下が好ましく、50回以下がより好ましい。また、例えば、圧力は20MPa以上250MPa以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
さらに、高剪断撹拌を用いる場合には、粗分散液に対し、高剪断撹拌装置により撹拌および剪断を加えればよい。旋回速度は速ければ速いほどよい。例えば、運転時間(機械が回転動作をしている時間)は3分以上4時間以下が好ましく、周速は5m/秒以上50m/秒以下が好ましく、温度は15℃以上50℃以下が好ましい。
なお、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理は、50℃以下の温度で行なうことがより好ましい。溶媒の揮発による濃度変化が抑制されるからである。
[[解砕効果が得られる分散処理]]
解砕効果が得られる分散処理は、繊維状炭素ナノ構造体を溶媒中に均一に分散できることは勿論、上記したキャビテーション効果が得られる分散処理に比べ、気泡が消滅する際の衝撃波による繊維状炭素ナノ構造体の損傷を抑制することができる点で一層有利である。
この解砕効果が得られる分散処理では、粗分散液にせん断力を与えて繊維状炭素ナノ構造体の凝集体を解砕・分散させ、さらに粗分散液に背圧を負荷し、また必要に応じ、粗分散液を冷却することで、気泡の発生を抑制しつつ、繊維状炭素ナノ構造体を溶媒中に均一に分散させることができる。
なお、粗分散液に背圧を負荷する場合、粗分散液に負荷した背圧は、大気圧まで一気に降圧させてもよいが、多段階で降圧することが好ましい。
ここに、粗分散液にせん断力を与えて繊維状炭素ナノ構造体をさらに分散させるには、例えば、以下のような構造の分散器を有する分散システムを用いればよい。
すなわち、分散器は、粗分散液の流入側から流出側に向かって、内径がd1の分散器オリフィスと、内径がd2の分散空間と、内径がd3の終端部と(但し、d2>d3>d1である。)、を順次備える。
そして、この分散器では、流入する高圧(例えば10〜400MPa、好ましくは50〜250MPa)の粗分散液が、分散器オリフィスを通過することで、圧力の低下を伴いつつ、高流速の流体となって分散空間に流入する。その後、分散空間に流入した高流速の粗分散液は、分散空間内を高速で流動し、その際にせん断力を受ける。その結果、粗分散液の流速が低下すると共に、繊維状炭素ナノ構造体が良好に分散する。そして、終端部から、流入した粗分散液の圧力よりも低い圧力(背圧)の流体が、繊維状炭素ナノ構造体分散液として流出することになる。
なお、粗分散液の背圧は、粗分散液の流れに負荷をかけることで粗分散液に負荷することができ、例えば、多段降圧器を分散器の下流側に配設することにより、粗分散液に所望の背圧を負荷することができる。
そして、粗分散液の背圧を多段降圧器により多段階で降圧することで、最終的に繊維状炭素ナノ構造体分散液を大気圧に開放した際に、繊維状炭素ナノ構造体分散液中に気泡が発生するのを抑制できる。
また、この分散器は、粗分散液を冷却するための熱交換器や冷却液供給機構を備えていてもよい。というのは、分散器でせん断力を与えられて高温になった粗分散液を冷却することにより、粗分散液中で気泡が発生するのをさらに抑制できるからである。
なお、熱交換器等の配設に替えて、粗分散液を予め冷却しておくことでも、繊維状炭素ナノ構造体を含む溶媒中で気泡が発生することを抑制できる。
上記したように、この解砕効果が得られる分散処理では、キャビテーションの発生を抑制できるので、時として懸念されるキャビテーションに起因した繊維状炭素ナノ構造体の損傷、特に、気泡が消滅する際の衝撃波に起因した繊維状炭素ナノ構造体の損傷を抑制することができる。加えて、繊維状炭素ナノ構造体への気泡の付着や、気泡の発生によるエネルギーロスを抑制して、繊維状炭素ナノ構造体を均一かつ効率的に分散させることができる。
以上のような構成を有する分散システムとしては、例えば、製品名「BERYU SYSTEM PRO」(株式会社美粒製)などがある。そして、解砕効果が得られる分散処理は、このような分散システムを用い、分散条件を適切に制御することで、実施することができる。
[繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度]
なお、繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度は、0.001Pa・s以上であることが好ましく、0.01Pa・s以上であることが更に好ましく、また、0.8Pa・s以下であることが好ましく、0.6Pa・s以下であることが更に好ましい。繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度が0.001Pa・s以上0.8Pa・s以下であれば、後述する成膜工程においてBET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体及び導電性カーボンを良好に成膜して、得られる炭素膜の導電性、熱伝導性および機械的特性などの特性を十分に高めることができると共に、炭素膜を容易に製造することができるからである。なお、繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度は、例えば、繊維状炭素ナノ構造体および分散剤の配合量や種類を変更することにより調整することができる。
ここで、本発明において、繊維状炭素ナノ構造体分散液の粘度は、B型粘度計を使用し、JIS K7117−1に準拠して、温度:23℃、ローター:M4、回転数:60rpmの条件下で測定することができる。
<成膜工程>
成膜工程では、上述した繊維状炭素ナノ構造体分散液に導電性カーボンを混合し、次いで溶媒を除去して炭素膜を成膜する。繊維状炭素ナノ構造体分散液を予め調製した後に導電性カーボンを混合することにより、繊維状炭素ナノ構造体が十分均質に分散した中に導電性カーボンを混合することができ、繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとが互いに均質に分散した炭素膜を成膜することができるためである。
[導電性カーボン]
繊維状炭素ナノ構造体分散液に混合する導電性カーボンとしては、上述したように、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体とは異なる導電性カーボンを用いることができる。かかる導電性カーボンは、上述した、膨張化黒鉛、カーボンブラック、活性炭、コークス、天然黒鉛、人造黒鉛等のカーボン粒子、カーボンナノホーン、及びカーボンナノファイバーなどの、繊維状炭素ナノ構造体以外の他の導電性カーボンである。導電性を向上させる観点からは、導電性カーボンとして、膨張化黒鉛またはカーボンブラックを使用することが好ましい。
〔分散液中の繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合〕
繊維状炭素ナノ構造体分散液に含まれるBET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとの含有割合が、質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65であることが好ましく、90/10〜40/60であることがより好ましい。炭素膜中における、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとの含有割合が上述の範囲内であれば、導電性がより高く成膜性にも優れた炭素膜を製造することができる。
[導電性カーボンの混合]
上述の導電性カーボンを上述の繊維状炭素ナノ構造体分散液に混合して、分散させる。これら混合処理や分散処理は、公知の方法を利用することができる。例えば、ナノマイザー、アルティマイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、ダイノミル、スパイクミル、DCPミル、バスケットミル、ペイントコンディショナー、ホモジナイザー、高剪断撹拌装置(例えば、プライミクス社製、製品名「フィルミックス(登録商標)」)、高速攪拌装置等を用いる方法が挙げられる。
[溶媒の除去]
導電性カーボンを混合した繊維状炭素ナノ構造体分散液から、例えば下記(A)および(B)の何れかの方法を用いて溶媒を除去し、炭素膜を成膜する。
(A)繊維状炭素ナノ構造体分散液を成膜基材上に塗布した後、塗布した繊維状炭素ナノ構造体分散液を乾燥させる方法。
(B)多孔質の成膜基材を用いて繊維状炭素ナノ構造体分散液をろ過し、得られたろ過物を乾燥させる方法。
なお、本発明の炭素膜の製造方法では、BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と導電性カーボンとを成膜することにより、高度に発達したネットワークを有するポーラス構造を得ることができるため、自立性および導電性に優れた炭素膜が得られると推察される。
[成膜基材]
ここで、成膜基材としては、特に限定されることなく、製造する炭素膜の用途に応じて既知の基材を用いることができる。
具体的には、上記方法(A)において繊維状炭素ナノ構造体分散液を塗布する成膜基材としては、樹脂基材、ガラス基材などを挙げることができる。ここで、樹脂基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロースなどよりなる基材を挙げることができる。また、ガラス基材としては、通常のソーダガラスよりなる基材を挙げることができる。
また、上記方法(B)において繊維状炭素ナノ構造体分散液をろ過する成膜基材としては、ろ紙や、セルロース、ニトロセルロース、アルミナ等よりなる多孔質シートを挙げることができる。
[塗布]
上記方法(A)において繊維状炭素ナノ構造体分散液を成膜基材上に塗布する方法としては、公知の塗布方法を採用できる。具体的には、塗布方法としては、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法などを用いることができる。
[ろ過]
上記方法(B)において成膜基材を用いて繊維状炭素ナノ構造体分散液をろ過する方法としては、公知のろ過方法を採用できる。具体的には、ろ過方法としては、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過などを用いることができる。
[乾燥]
上記方法(A)において成膜基材上に塗布した繊維状炭素ナノ構造体分散液または上記方法(B)において得られたろ過物を乾燥する方法としては、公知の乾燥方法を採用できる。乾燥方法としては、熱風乾燥法、真空乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定されないが、通常、室温〜200℃、乾燥時間は、特に限定されないが、通常、0.1〜150分である。
<炭素膜の後処理>
ここで、上述のようにして成膜した炭素膜は、通常、繊維状炭素ナノ構造体、導電性カーボンおよび分散剤などの繊維状炭素ナノ構造体分散液に含まれていた成分を繊維状炭素ナノ構造体分散液と同様の比率で含有している。そこで、本発明の炭素膜の製造方法では、任意に、成膜工程において成膜した炭素膜を洗浄して炭素膜から分散剤を除去してもよい。炭素膜から分散剤を除去すれば、炭素膜の導電性などの特性を更に高めることができる。
なお、炭素膜の洗浄は、分散剤を溶解可能な溶媒と接触させ、炭素膜中の分散剤を溶媒中に溶出させることにより行なうことができる。そして、炭素膜中の分散剤を溶解可能な溶媒としては、特に限定されることなく、繊維状炭素ナノ構造体分散液の溶媒として使用し得る前述した溶媒、好ましくは繊維状炭素ナノ構造体分散液の溶媒と同じものを使用することができる。また、炭素膜と溶媒との接触は、炭素膜の溶媒中へ浸漬、または、溶媒の炭素膜への塗布により行なうことができる。更に、洗浄後の炭素膜は、既知の方法を用いて乾燥させることができる。
また、本発明の炭素膜の製造方法では、任意に、成膜工程において成膜した炭素膜をプレス加工して密度を更に高めてもよい。繊維状炭素ナノ構造体の損傷または破壊による特性低下を抑制する観点からは、プレス加工する際のプレス圧力は3MPa未満であることが好ましく、プレス加工を行なわないことがより好ましい。
(炭素膜の用途)
本発明の炭素膜は、太陽電池やタッチパネルなどの導電膜として特に好適に用いることができる。
なお、本発明の炭素膜は、成膜基材上に形成した状態のままで、或いは、成膜基材から剥離してから使用することができる。また、本発明の炭素膜は、任意にオーバーコート層等の既知の機能層を積層してから各種製品に使用することもできる。ここで、オーバーコート層等の機能層の炭素膜上への積層は、既知の手法を用いて行なうことができる。
<タッチパネル>
具体的には、本発明の炭素膜は、透明基板上に形成されて静電容量式タッチパネルなどのタッチパネルのタッチセンサーを構成する導電層として好適に用いることができる。
<太陽電池>
また、本発明の炭素膜は、色素増感型太陽電池などの太陽電池の電極を構成する導電層や触媒層として用いることができる。より具体的には、本発明の炭素膜は、色素増感型太陽電池の光電極を構成する導電層や、色素増感型太陽電池の対向電極(触媒電極)を構成する導電層および/または触媒層として用いることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<繊維状炭素ナノ構造体の合成>
下記の手順に従い、繊維状炭素ナノ構造体を合成した。
まず、アルミニウム化合物としてのアルミニウムトリ−sec−ブトキシド1.9gを、有機溶剤としての2−プロパノール100mLに溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.9gを加えて溶解させて、触媒担持層形成用の塗工液Aを調製した。
また、鉄化合物としての酢酸鉄174mgを有機溶剤としての2−プロパノール100mLに溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン190mgを加えて溶解させて、触媒層形成用の塗工液Bを調製した。
基材としてのFe−Cr合金SUS430基板(JFEスチール株式会社製、40mm×100mm、厚さ0.3mm、Cr18%、算術平均粗さRa≒0.59μm)の表面に、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、ディップコーティングにより上述の塗工液Aを塗布した。具体的には、基材を塗工液Aに浸漬後、20秒間保持して、10mm/秒の引き上げ速度で基材を引き上げた。その後、5分間風乾し、温度300℃の空気環境下で30分間加熱後、室温まで冷却することにより、基材上に膜厚40nmのアルミナ薄膜(触媒担持層)を形成した。
次いで、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基材に設けられたアルミナ薄膜の上に、ディップコーティングにより上述の塗工液Bを塗布した。具体的には、アルミナ薄膜を備える基材を塗工液Bに浸漬後、20秒間保持して、3mm/秒の引き上げ速度でアルミナ薄膜を備える基材を引き上げた。その後、5分間風乾(乾燥温度45℃)することにより、膜厚3nmの鉄薄膜(触媒層)を形成した。
このようにして、基材の上に、アルミナ薄膜、鉄薄膜をこの順に有してなる触媒基材1を得た。
作製した触媒基板1を、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持されたCVD装置の反応炉内に設置し、この反応炉内に、He:100sccmおよびH:800sccmの混合ガスを10分間導入した(フォーメーション工程)。次いで、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応炉内に、He:850sccm、エチレン:100sccmおよびHO含有He(相対湿度23%):50sccmの混合ガスを8分間供給した(成長工程)。
その後、反応炉内にHe:1000sccmを供給し、残余の原料ガスおよび触媒賦活物質を排除した。これにより、繊維状炭素ナノ構造体の配向集合体1を得た。得られた配向集合体1は、収量:1.8mg/cm、G/D比:3.7、密度:0.03g/cm、BET比表面積:1,060m/g、炭素純度99.9%であった。作製した配向集合体1を触媒基材1から剥離し、繊維状炭素ナノ構造体を得た。
<繊維状炭素ナノ構造体分散液1の調製>
分散剤を含む溶媒としてのデオキシコール酸ナトリウム(DOC)2質量%水溶液500mLに、上述した繊維状炭素ナノ構造体を1.0g加え、分散剤としてDOCを含有する粗分散液を得た。この繊維状炭素ナノ構造体を含む粗分散液を、分散時に背圧を負荷する多段圧力制御装置(多段降圧器)を有する高圧ホモジナイザー(株式会社美粒製、製品名「BERYU SYSTEM PRO」)に充填し、100MPaの圧力で粗分散液の分散処理を行った。具体的には、背圧を負荷しつつ、粗分散液にせん断力を与えて繊維状炭素ナノ構造体を分散させ、繊維状炭素ナノ構造体分散液としての繊維状炭素ナノ構造体分散液1を得た。なお、分散処理は、高圧ホモジナイザーから流出した分散液を再び高圧ホモジナイザーに返送しつつ、10分間実施した。
<繊維状炭素ナノ構造体分散液2の調製>
繊維状炭素ナノ構造体分散液1で使用した繊維状炭素ナノ構造体を、JEIO社 JC142(BET比表面積:650m/g、G/D比:0.6、炭素純度:99.1%)に変えた以外は同様の操作により、繊維状炭素ナノ構造体分散液2を得た。
<比較例分散液の調製>
繊維状炭素ナノ構造体分散液1で使用した繊維状炭素ナノ構造体を、Nanocyl社 NC7000(BET比表面積:270m/g、G/D比:0.3、炭素純度:89.1%)に変えた以外は同様の操作により、比較例分散液を得た。
(実施例1)
200mLのビーカーに、作製した繊維状炭素ナノ構造体分散液1を100g、膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業社製、製品名「EC500」)0.022g加え、メンブレンフィルターを備えた減圧ろ過装置を用いて0.09MPaの条件下にてろ過を実施した。ろ過終了後、イソプロピルアルコールおよび水のそれぞれを減圧ろ過装置に通過させることで、メンブレンフィルター上に形成された炭素膜を洗浄し、その後15分間空気を通過させた。次いで、作製した炭素膜/メンブレンフィルターをエタノールに浸漬し、炭素膜をメンブレンフィルターから剥離することにより、炭素膜1を得た。
得られた炭素膜1の膜密度を測定した結果、密度は0.75g/cmであった。次いで、作製した炭素膜1について、60度における光沢度を光沢度計((株)堀場製作所製、ハンディ光沢計グロスチェッカ、波長(890nm))を使用して測定した結果、光沢度は25であった。また、炭素膜1について、抵抗率計(三菱化学社製、ロレスタ(登録商標)GP)を用いて四端子四探針法にて表面抵抗を測定した結果、表面抵抗値は2.3Ω/□ であった。
炭素膜1は、メンブレンフィルターと同等の大きさの直径が50mmの円形で、面積が約20cm、厚さが20μmであり、優れた成膜性を有しており、フィルターから剥離しても膜の状態を維持しており、優れた自立性も有していた。
(実施例2)
実施例1で使用した膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業社製、製品名「EC500」)の量を0.050gに変えた以外は実施例1と同様の操作により、炭素膜2を形成した。得られた炭素膜2の膜密度を測定した結果、密度は0.68g/cmであった。次いで、作製した炭素膜2について測定した、60度における光沢度は18、表面抵抗値は2.4Ω/□であった。
得られた炭素膜2は、炭素膜1と同様に、メンブレンフィルターと同等の大きさであり優れた成膜性を有しており、フィルターから剥離しても膜の状態を維持しており、優れた自立性も有していた。
(実施例3)
実施例1で使用した膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業社製、製品名「EC500」)の量を0.133gに変えた以外は実施例1と同様の操作により、炭素膜3を形成した。得られた炭素膜3の膜密度を測定した結果、密度は0.62g/cmであった。次いで、作製した炭素膜3について測定した、60度における光沢度は8、表面抵抗値は3.3Ω/□であった。
得られた炭素膜3は、炭素膜1と同様に、メンブレンフィルターと同等の大きさであり優れた成膜性を有しており、フィルターから剥離しても膜の状態を維持しており、優れた自立性も有していた。
(実施例4)
実施例1で使用した膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業社製、製品名「EC500」)をカーボンブラック(東海カーボン社製、製品名:「トーカブラック#4300」)とし、配合量を0.300gに変えた以外は実施例1と同様の操作により、炭素膜4を形成した。得られた炭素膜4の膜密度を測定した結果、密度は0.78g/cmであった。次いで、作製した炭素膜4について測定した、60度における光沢度は12、表面抵抗値は2.8Ω/□であった。
得られた炭素膜4は、炭素膜1と同様に、メンブレンフィルターと同等の大きさであり優れた成膜性を有しており、フィルターから剥離しても膜の状態を維持しており、優れた自立性も有していた。
(実施例5)
実施例1で使用したCNT分散液1をCNT分散液2に変えた以外は実施例1と同様の操作により、炭素膜5を形成した。得られた炭素膜5の膜密度を測定した結果、密度は0.64g/cmであった。次いで、作製した炭素膜5について測定した、60度における光沢度は12、表面抵抗値は3.4Ω/□であった。
得られた炭素膜5は、炭素膜1と同様に、メンブレンフィルターと同等の大きさであり優れた成膜性を有しており、フィルターから剥離しても膜の状態を維持しており、優れた自立性も有していた。
(実施例6)
実施例1で使用した膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業社製、製品名「EC500」)の量を0.467gに変えた以外は実施例1と同様の操作により、炭素膜6を形成した。得られた炭素膜6の膜密度を測定した結果、密度は0.42g/cmであった。次いで、作製した炭素膜6について測定した、60度における光沢度は3、表面抵抗値は4.0Ω/□であった。
得られた炭素膜6は、フィルターから剥離しても膜の状態を維持しており、優れた自立性も有していたが、膜の収縮が見られた。
(比較例1)
実施例1で使用したCNT分散液1を比較例分散液に変えた以外は同様の操作により、比較例炭素膜1を形成した。
得られた比較例炭素膜1は、膜の収縮が顕著に見られ、かつメンブレンフィルター上の膜も割れが顕著に見られ、膜の自立性は見られなかった。比較例炭素膜1の評価をすることができなかった.
尚、上記実施例及び比較例の結果を下記表1に示す。得られた炭素膜の成膜性について、メンブランフィルターから剥離した後に、メンブランフィルターと同等の大きさを有する膜の状態を維持できた場合にはA(優良)と評価し、収縮がやや認められたが実用上問題ない場合にはB(良)と評価し、割れが認められた場合にはC(不可)と評価した。得られた炭素膜の自立性について、自立性が認められた場合にはA(良)と評価し、自立性が認められなかった場合にはB(不可)と評価した。また、評価測定ができなかった項目に関しては−とした。
Figure 2016157834
表1から、実施例の炭素膜は、CNT等の繊維状ナノ構造体以外を含みながらも、自立性および導電性に優れていることが分かる。
本発明によれば、自立性および導電性に優れる炭素膜ならびにその製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 繊維状炭素ナノ構造体と、導電性カーボンとを含み、
    該繊維状炭素ナノ構造体のBET比表面積が500m/g以上である、炭素膜。
  2. 前記繊維状炭素ナノ構造体と前記導電性カーボンとの含有割合が、質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65である、請求項1に記載の炭素膜。
  3. 前記繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項1または2に記載の炭素膜。
  4. BET比表面積が500m/g以上の繊維状炭素ナノ構造体と、分散剤と、溶媒とを含有する繊維状炭素ナノ構造体分散液に、導電性カーボンを混合し、次いで該溶媒を除去して、炭素膜を成膜する工程を含む、炭素膜の製造方法。
  5. 前記溶媒中に、前記繊維状炭素ナノ構造体と、前記分散剤とを添加してなる粗分散液を、キャビテーション効果または解砕効果が得られる分散処理に供して、該繊維状炭素ナノ構造体を分散させて、前記繊維状炭素ナノ構造体分散液を調製する工程を更に含む、請求項4に記載の炭素膜の製造方法。
  6. 前記繊維状炭素ナノ構造体分散液中の前記繊維状炭素ナノ構造体と前記導電性カーボンとの含有割合が、質量比(繊維状炭素ナノ構造体/導電性カーボン)で95/5〜35/65である、請求項4または5に記載の炭素膜の製造方法。
  7. 前記繊維状炭素ナノ構造体がカーボンナノチューブを含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の炭素膜の製造方法。
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