JPWO2016136534A1 - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた成形体 - Google Patents

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Abstract

耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物重合体からなるクロス共重合体3〜30質量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物により、耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物得られる。さらにこれを用いた成形体は、耐傷付性を必要とされる特に自動車内装材、外装材、表皮材として有用である。

Description

本発明は、耐傷付き性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体に関する。
近年、自動車内装用材料は、軽量化、低コスト化の観点からポリプロピレン系材料が多用されるようになってきている。従来のポリプロピレン材料は、衝撃強度が低く、衝撃強度を改良するためにエチレン-αオレフィン共重合体系エラストマー成分(エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体等)を配合することが提案されている(特許文献1〜5)。自動車内装用材料としては剛性、耐熱性を改善するためにさらに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウムおよびタルク等の無機充填剤を加えて配合することも提案されている(特許文献6〜14)。
さらに、ポリプロピレンに添加されたエラストマー成分を微分散させ、耐衝撃性を向上させるために水素添加したスチレン−ジエン系ブロック共重合体(SEBS、SEPS)を添加することも提案されている(特許文献1〜5及び15)。このような樹脂組成物は良好な力学物性、すなわち高い弾性率と高い降伏点強度、降伏点伸び、破断点伸びを示し、優れた剛性、強度と耐衝撃性のバランスを指向しているが、反面ポリプロピレン系樹脂自体の耐傷付き性の悪さに加え、添加される無機充填剤のために一層傷が付き易く目立ち易くなるという課題を有している。
そこで、ポリプロピレンにエチレン-αオレフィン共重合体系エラストマー成分と完全飽和型のエチレン-スチレン共重合体を添加した耐摩耗性と耐衝撃性樹脂組成物が提案されている(特許文献16)。しかし摩耗性の向上効果は比較例と比較しそれほど顕著でもなく、また摩耗性の評価方法も本願の課題とする耐傷つき性の評価とは全く異なる方法である。さらに本願の課題である耐傷付き性に関しては何の記載もなく、さらに無機充填物を配合した系についての具体的な記載はない。
一方、エチレン-スチレン-ジビニルベンゼン共重合体からなるソフトセグメントとポリスチレンからなるハードセグメントを有する分岐型共重合体であるクロス共重合体、及びその製造法、用途に関する技術が開示されている(特許文献17〜18)。これらの軟質なクロス共重合体及びこれを主成分とする軟質樹脂はそれ自体高い耐傷付き性を有することが知られている(特許文献19)。しかし本クロス共重合体を含め、他の樹脂においても、硬質なポリプロピレン系樹脂や無機充填材を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物に少量添加することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐傷付き性を大幅に向上する提案は知られていない。そもそも、軟質樹脂の耐傷つき性と硬質な樹脂の耐傷つき性はその形態、メカニズムを含めて全く異なる。
さらに特許文献17〜18にはポリプロピレン系樹脂にクロス共重合体を配合した樹脂組成物が記載されている。しかしながらポリプロピレン系樹脂を主体とした配合において上記耐傷付き性を大きく向上させるという提案は従来知られていない。
特開昭53−22552号 特開平6−192500号 特開平6−248156号 特開平6−192506号 特開昭53−40045号 特開昭51−136735号 特開昭53−64256号 特開昭53−64257号 特開昭57−55952号 特開昭57−207630号 特開昭58−17139号 特開昭58−111846号 特開昭59−98157号 特公昭55−3374号公報 特開平11−029669号公報 特開2002−201332号公報 WO00/37517号公報 WO2007/139116号公報 特開2009−102515号公報
「相溶化技術を用いた新規自動車用PP 材料の開発」住友化学技術誌、 2002−II(2002年11月30日発行)
本発明は、上記問題と実状に鑑み、耐傷付き性に優れ、力学物性にも優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、このプロピレン系樹脂組成物を用いた成形体を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、下記より構成される。
[1](A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物重合体からなるクロス共重合体3〜30質量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物。
[2](A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、さらに(C)相溶化材樹脂5〜30質量部を含む、[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[3](C)相溶化材樹脂がエチレン-αオレフィン共重合体であることを特徴とする[2]記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[4](A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、さらに(D)無機充填材1〜60質量部を含む、[1]〜[3]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[5](B)クロス共重合体が、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程から得られ、前記配位重合工程が、シングルサイト配位重合触媒を用いて、エチレン、芳香族ビニル化合物、及び芳香族ポリエンを重合し、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を製造する工程であり、前記アニオン重合工程が、アニオン重合開始剤を用いて前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物を重合する工程である、[1]〜[4]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[6](B)クロス共重合体が、以下の(1)〜(3)の全てを満たす、[5]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(1)前記配位重合工程で得られる、前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物単位が5〜35モル%、芳香族ポリエン単位が0.01〜0.2モル%、残部がエチレン単位である。
(2)前記配位重合工程で得られる、前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量平均分子量が5万〜30万、分子量分布が1.8〜6である。
(3)前記クロス共重合体中に含まれる、前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が50〜95質量%である。
[7] 前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量平均分子量が10万〜25万、分子量分布が1.8〜3である、[6]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[8]前記[1]〜[7]の何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた成形体。
[9]前記[1]〜[7]の何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた射出成形体。
[10]前記[1]〜[7]の何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた表皮材。
本発明では、ポリプロピレン系樹脂とクロス共重合体からなるポリプロピレン系樹脂組成物が、耐傷付き性に優れることを見出した。さらに特定のエチレンーαオレフィン共重合体を一定量配合することで得られるポリプロピレン系樹脂組成物が、耐傷付き性に一層優れ、力学物性も良好であることを見出した。これらポリプロピレン系樹脂組成物を用いた成形体は、特に自動車内装材、外装材として有用である。また、本ポリプロピレン系樹脂組成物は、耐傷付き性に優れるため、生活環境まわりの表皮材として有用である。
本発明の第一は、(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)クロス共重合体3〜30質量部を含み、(B)クロス共重合体がエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物重合体とのクロス共重合体からなる、ポリプロピレン系樹脂組成物である。本ポリプロピレン系樹脂組成物は良好な耐傷つき性を有する。
(A)ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主体とする重合体で、アイソタクティック、またはシンジオタクティックの立体規則性を有する。好ましくはアイソタクティックの立体規則性を有し、さらに好ましくはホモポリプロピレン(ホモPP)、あるいはブロックポリプロピレン(ブロックPP)、あるいはこれらの混合物である。ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンについては、例えば特開平11−29690号公報、特開平11−29669号公報に記載してあるものも好適に使用できる。
(B)クロス共重合体は、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物重合体とのクロス共重合体からなる。
クロス共重合体は、ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対し3〜30質量部であり、好ましくは3〜20質量部であり、さらに好ましくは5〜20質量部であり、さらに好ましくは5〜15質量部である。クロス共重合体が3質量部未満であると、耐傷付き性が低下する場合がある。また、30質量部を超えると、剛性が低下する場合がある。
クロス共重合体は、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程から得られる。
配位重合工程では、まず、シングルサイト配位重合触媒を用いて、エチレン、芳香族ビニル化合物、及び芳香族ポリエンを重合しエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を製造し、次に、アニオン重合工程にて、アニオン重合開始剤の存在下、本エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物を重合する工程により得る。
なお、シングルサイト配位重合触媒、アニオン重合開始剤およびクロス共重合体の製造方法に関しては、国際公開WO00/037517号公報および国際公開WO07/139116号公報に記載の方法を採用することができる。
配位重合工程で得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体は、芳香族ビニル化合物単位が5〜35モル%、芳香族ポリエン単位が0.01〜0.2モル%、残部がエチレン単位であることが好ましい。
芳香族ビニル化合物単位の含量を5モル%以上とすることで、ソフトセグメントであるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体鎖の結晶性を適切範囲に保つことができ、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が向上し、得られるポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性がより良好となる。また、35モル%以下とすることで、ポリプロピレン系樹脂との相溶性が良好となり、ポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性や耐衝撃性がより良好となる。
さらに芳香族ポリエン単位を0.01〜0.2モル%以下とすることで、ポリプロピレン系樹脂との相溶性、ポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性および成型加工性がより良好となる。
配位重合工程で得られる、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量平均分子量は5万〜30万、分子量分布は1.8〜6が好ましく、質量平均分子量が10万〜25万、分子量分布が1.8〜3であることがより好ましい。
質量平均分子量を5万以上、分子量分布を6以下とすることで、ポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性がより向上すると共に、成形品表面のべたつきを抑えることができる。また、質量平均分子量を30万以下、分子量分布を1.8以上とすることで、ポリプロピレン系樹脂組成物の成型加工性がより良好となる。
なお、分子量分布は、質量平均分子量を数平均分子量で除した値(質量平均分子量/数平均分子量)を意味する。
クロス共重合体中に含まれる、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含有量、すなわち、配位重合工程にて得られるエチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と、アニオン重合工程にて重合して得られる芳香族ビニル重合体との総和に対する、エチレン−芳香族ビニル−芳香族ポリエン共重合体の含有量は、50〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。50質量%以上とすることで、(A)ポリプロピレン系樹脂との相溶性が向上し、得られるポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性がより良好となる。また、95質量%以下にすることで、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性や伸びがより良好となる。クロス共重合した芳香族ビニル化合物重合体の質量平均分子量は直接求めることが困難であるために、本発明では、クロス共重合化されなかった芳香族ビニル重合体ホモポリマーの分子量と同一であるとして、溶媒分別等公知の適切な方法で分離して得た芳香族ビニル化合物重合体ホモポリマ−の分子量を用いて規定した。
芳香族ビニル化合物としては、スチレンおよび各種の置換スチレン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン等が挙げられる。工業的には好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
芳香族ポリエンとしては、特に限定されずに、任意の従来公知の芳香族ポリエンを使用可能であるが、重合反応促進の面および得られる重合体の種々の物性面からは、10以上30以下の炭素数を持ち、複数の二重結合(ビニル基)と単数または複数の芳香族環を有するもの。さらに、配位重合可能な芳香族ポリエンであり、二重結合(ビニル基)の1つが配位重合に用いられて重合した状態において、残された二重結合がアニオン重合またはラジカル重合可能な芳香族ポリエンであることが好ましい。とりわけ好ましくは、ジビニルベンゼンであり、オルトジビニルベンゼン、パラジビニルベンゼン及びメタジビニルベンゼンのいずれか1種または2種以上の混合物が好適に用いられる。
本発明では、(D)無機充填材を配合することが好ましい。無機充填材は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し1〜60質量部が好ましく、5〜40質量部であることがより好ましい。無機充填材を1〜60質量部とすることで、ポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性と耐熱性を向上することができる。
無機充填材の好適な例としては炭酸カルシウム、タルク、クレ−、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、公知の黒鉛、炭素繊維等が例示できる。耐衝撃性と力学物性のバランスのためには好ましくはタルク、マイカが用いられ、最も好ましくはタルクが用いられる。好ましくはタルクの平均粒子径は3μm以下である。3μmより大きいものは衝撃強度の低下が大きく、光沢等の外観も悪くなる。タルクは無処理のまま使用しても良いがポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、また分散性を向上させる目的で通常知られている各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で表面を処理したものを使用することができる。ここでタルクの平均粒子径とは遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じ滑剤、オイル、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、内部離型剤、無機顔料、着色剤を添加することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂組成物に他の熱可塑性樹脂またはゴム系弾性材料を添加させてもよい。
本発明の第二は、好ましくは(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)クロス共重合体3〜30質量部を含み、さらに(C)相溶化材樹脂5〜30質量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物である。
(C)相溶化材樹脂は、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)クロス共重合体の相溶化材として有効な樹脂であり、具体的にはエチレン-αオレフィン共重合体や水素添加したスチレンージエン系ブロック共重合体である。これら相溶化材樹脂を加えることにより、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)クロス共重合体の相溶性が向上し、得られる樹脂組成物の耐傷つき性をさらに向上させることが可能となる。またこれら相溶化材樹脂は一般にガラス転移点が−30℃以下であり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の低温物性、特に低温での耐衝撃性の改善に有効である。さらにこれら相溶化材樹脂は、プロピレン系樹脂の耐衝撃性改良に効果があるため、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の強度、剛性と耐衝撃性のバランスの向上に効果がある。ここで水素添加したスチレン−ジエン系ブロック共重合体とは水素化スチレンーブタジエンブロック共重合体(SEB、SEBS)、や水素化スチレンイソプレンブロック共重合体(SEP、SEPS)である。(C)相溶化材樹脂としては、コストと性能のバランスから、エチレン-αオレフィン共重合体が好ましく用いられる。(C)相溶化材樹脂、好ましくはエチレン-αオレフィン共重合体は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し5〜30質量部であり、10〜25質量部であることがより好ましい。エチレン−αオレフィン共重合体が5質量部未満であると、耐衝撃性が低下する場合がある。また、30質量部を超えると、力学物性、特に剛性と耐熱性が低下する場合がある。
エチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3〜10のαオレフィンの共重合体であることが好ましく、力学物性と耐衝撃性のバランスおよび耐寒性(低温での耐衝撃性)の点で、1−オクテンであることが特に好ましい。エチレン-αオレフィン共重合体は、メタロセン系触媒を用いた公知の方法により製造することができる。
エチレン-αオレフィン共重合体中のαオレフィン含量は、15〜35質量%であることが耐衝撃性の点で好ましい。また、エチレン−αオレフィン共重合体は、(A)ポリプロピレン系樹脂との相溶性および耐衝撃性の点で、JIS K7210に準じて測定されるMFRが0.5〜20であることが好ましい。
さらに、エチレン−αオレフィン共重合体は、力学物性および耐衝撃性の点で、密度が0.850〜0.900g/cmであることが好ましい。
本ポリプロピレン系樹脂組成物においても上記(D)無機充填材を配合することが好ましい。無機充填材は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し1〜60質量部が好ましく、5〜40質量部であることがより好ましい。無機充填材を1〜60質量部とすることで、ポリプロピレン系樹脂組成物の力学物性と耐熱性を向上することができる。
本発明の第一、第二、いずれのポリプロピレン系樹脂組成物においても、必要に応じ滑剤、オイル、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、内部離型剤、無機顔料、着色剤を添加することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂組成物に他の熱可塑性樹脂またはゴム系弾性材料を添加させてもよい。
本発明のいずれのポリプロピレン系樹脂組成物ともに、任意の形状に加工して用いることができる。成形体の製造方法としては特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物に関して一般的に採用される成形方法を選択することができる。成形方法としては、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、ブロー成形法、インサート成形、ブロー成形、二色成形等の方法を採用することができる。成形温度としては成形方法及び成形体の形状によるが、200〜250℃が好ましい。
本発明のいずれのポリプロピレン系樹脂組成物ともに、耐傷付き性に関して従来のポリプロピレン系樹脂組成物に比較して、格段に優れる特徴を有する。そのため、各種成型方法による成形体、特に射出成形体として優れた特性を示す。また、ダブルモールド成形(二色成形)やマルチモールド成形(多色成形)等の異材質成形において成形体の表皮側に好適に用いられる。
本発明の第一である(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)クロス共重合体、および必要に応じて(D)無機充填材からなるポリプロピレン系樹脂組成物は、耐傷つき性に優れるため、特に自動車内層、外装、生活周りの表皮材として有用である。本発明の第二である(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)クロス共重合体、(C)相溶化材樹脂、および必要に応じて(D)無機充填材からなるポリプロピレン系樹脂組成物は、力学物性、すなわち、初期引張弾性率、降伏点強度、降伏点伸び、破断点伸び、破断点強度等に優れ、耐傷付き性に関しては従来のポリプロピレン系樹脂組成物に比較して、格段に優れる特徴を有することができる。そのため表皮材としても有用であるが、特に表皮材レスの自動車内層、外装、生活周りの各種構造材、部材として有用である。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<原料樹脂>
実施例、比較例に用いた原料樹脂は以下の通りである。
(A)ポリプロピレン系樹脂
プライムポリマー社製ブロックポリプロピレン「プライムポリプロJ704UG」を使用した。
(B)クロス共重合体
下記クロス共重合体B1〜B4を使用した。
これらのクロス共重合体は、配位重合により得られるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体と、スチレンの共存下でアニオン重合を行うことにより得られる、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を有する共重合体である。
これらのクロス共重合体は、WO2000/37517またはWO2007/139116号公報記載の実施例あるいは比較例の製造方法で製造したもので、下記組成は、同様にこれら公報記載の方法で求めた。
なお、クロス共重合体を規定するために、用いられるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量、ジビニルベンゼン含量、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、クロス共重合体中のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量、ポリスチレン鎖の質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を示す。
クロス共重合体(B1)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量13モル%、ジビニルベンゼン含量0.04モル%、質量平均分子量78000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量:85質量%、
・ポリスチレン鎖の質量平均分子量30000、分子量分布1.2
クロス共重合体(B2)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量17モル%、ジビニルベンゼン含量0.04モル%、質量平均分子量101000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量:82質量%、
・ポリスチレン鎖の質量平均分子量30000、分子量分布1.2
クロス共重合体(B3)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量25モル%、ジビニルベンゼン含量0.04モル%、質量平均分子量142000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量82質量%、
・ポリスチレン鎖の質量平均分子量35000、分子量分布1.2
クロス共重合体(B4)
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量29モル%、ジビニルベンゼン含量0.05モル%、質量平均分子量118000、分子量分布2.2、
・エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量75質量%、
・ポリスチレン鎖の質量平均分子量41000、分子量分布1.2
(C)相溶化材樹脂 エチレン-αオレフィン共重合体
ダウケミカル社製エチレン-オクテン共重合体「エンゲージ8003」、オクテン含量26質量%、密度0.885g/cm3、190℃、荷重2.16kgでのMFRは1.0g/10min.を使用した。
(D)無機充填材成分およびその他の成分
日本タルク株式会社製タルク「ミクロエースP−3」を使用した。
<クロス共重合体の組成>
上記共重合体中のスチレン単位量の決定は、1H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500及びBRUCKER社製AC−250を用いた。重1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、測定は、80〜100℃で行った。各組成の定量は、TMSを基準としてフェニル基プロトン由来のピーク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基由来のプロトンピーク(0.8〜3ppm)の面積強度比較で行った。
クロス共重合体中のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の含量(質量%)は、配位重合工程で得られたエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の組成(スチレン含量及びエチレン含量)と、アニオン重合工程を経て得られたクロス共重合体の組成(スチレン含量及びエチレン含量)から、各組成の変化分がアニオン重合で生成したポリスチレンの質量によるとして求めた。また、別法として配位重合終了時に重合液を一部サンプリングし分析して求めた主鎖エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体生成質量とアニオン重合後の重合液を一部サンプリングし分析して求めたクロス共重合体生成質量の比較からも本割合を求めたが、両値は実質的に一致した値であった。
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のジビニルベンゼン含量は、ジビニルベンゼン使用量と配位重合工程終了後にサンプリングした重合液のガスクロ分析による未反応ジビニルベンゼン量から求めた。
<分子量及び分子量分布>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて標準ポリスチレン換算の質量平均分子量と数平均分子量を求めた。分子量分布は、質量平均分子量を数平均分子量で除した値とした。常温でのGPC測定は、日立製作所社製L−3350 (検出器は示差屈折率検出器)を使用し、 カラムはTSK−GEL MultiporeHXL-M(東ソ−社製)を2本直列し、テトラヒドロフランを溶媒として送液流量1.0ml/min.、40℃で測定した。また常温で溶媒に溶解しにくい試料、本明細書中ではクロス共重合体(C1)の製造工程中のエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体の分子量は、高温GPCにより測定した。高温GPC測定は、東ソー社製HLC−8121GPC/HT(検出器は示差屈折率検出器)を用い、カラムはTSKgelGMHHR−H HT(東ソー社製)を2本直列し、オルトジクロロベンゼンを溶媒として送液流量1.0ml/min.、145℃で測定した。
水添ブロック共重合体(SEBS、SEPS)
クロス共重合体の比較例として、市販の下記水添ブロック共重合体(SEBS、SEPS)を用いた。SEBSは、スチレン含量29質量%、密度0.91g/cm、A硬度79、MFR(230℃、荷重2.16kg)1.8g/10min.を使用した。SEPSは、スチレン含量30質量%、密度0.91g/cm、A硬度80、MFR(230℃、荷重2.16kg)2.4g/10min.を使用した。
エチレン−αオレフィン共重合体
クロス共重合体の比較例として、ダウケミカル社製エチレン-オクテン共重合体「エンゲージ8003」、オクテン含量26質量%、密度0.885g/cm3、190℃、荷重2.16kgでのMFRは1.0g/10min.を使用した。
ブロックポリプロピレン「プライムポリプロJ704UG」50質量部に対し、電気化学工業社アセチレンブラック(デンカブラック)10質量部を加え混練して得られた黒色顔料マスターバッチを用いた。さらに酸化防止剤としてイルガノックス1076を用いた。
(実施例1〜5)
<ポリプロピレン系樹脂組成物の作製>
ブラベンダ−プラスチコ−ダ−(ブラベンダ−社製「PL2000型」)を使用し、(A)成分であるブロックポリプロピレン、黒色マスターバッチ、(D)成分であるタルク、および(B)成分であるクロス共重合体を200℃、60rpm、10分間混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物を作製した。
(比較例1〜3)
実施例1と同様に、ただし比較例1ではクロス共重合体を用いずに、比較例2〜4ではクロス共重合体の代わりにエチレン−αオレフィン共重合体、及び水添ブロック共重合体(SEBS,SEPS)を同量用いて試験を行った。
<シ−ト作製>
ポリプロピレン系樹脂組成物を加熱プレス法(温度220℃、時間5分間、圧力50kg/cm)により厚さ1mmのシートを得た。本シートに、さらに皮シボ型をプレスしてシボ付きシ−トを得た。
<耐傷付き性>
試験は23±1℃、相対湿度50±2%の恒温恒湿室で実施した。日本電色工業社製測色色差計「ZE−2000」を使用し、シボ付きの樹脂シートの傷を付ける前の L*(明度)を測定した。直径1.0mmボールチップ(超硬性)を有するエリクセン社製引掻き式硬度計「318S」型とAllgoodクロスカット用等間隔スペーサーを使用し、荷重1.7NにてシートのL測定位置に1.5mm間隔で11本傷を引き、さらに垂直方向に1.5mm間隔で11本の傷を引き碁盤目状の傷を付けた。再び同じ場所のL*(明度)を測定しその差ΔL*(明度差)を求めた。本値が低いほど傷が付きにくい、あるいは目立ちにくいことを示す。また本値が1.3以下であると、傷が目立たなくなり好ましい。
実施例1〜4は、ブロックPP100質量部に対して、黒色顔料マスターバッチ3質量部、タルク30質量部、クロス共重合体18質量部を配合して得られたポリプロピレン系樹脂組成物である。実施例5は実施例1において、クロス共重合体の添加量を8質量部に変更し得られたポリプロピレン系樹脂組成物である。比較例1は実施例1〜3と同じ配合でクロス共重合体を使用しなかった場合、比較例2は実施例1〜3の配合においてクロス共重合体を使用せず、クロス共重合体と同じ質量部のエチレン−αオレフィン共重合体を増量したものである。また、比較例3、4はクロス共重合体の代わりにそれぞれSEBS、SEPSを用いた場合である。
実施例1〜5の本発明のポリプロピレン系樹脂組成物はいずれも比較例より低いΔL*値を示し、良好な耐傷付き性を有していることが解る。
実施例6では、ブラベンダ−プラスチコ−ダ−(ブラベンダ−社製「PL2000型」)を使用し、タルクを用いず、表2の配合で(A)成分であるブロックポリプロピレン、黒色マスターバッチ、および(B)成分であるクロス共重合体を200℃、60rpm、10分間混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物を作製した。得られたシボ付きシートに対し、直径1.0mmボールチップ(超硬性)を有するエリクセン社製引掻き式硬度計「318S」型とAllgoodクロスカット用等間隔スペーサーを使用し荷重5N〜9Nまでの範囲で荷重を変更して耐傷付き性試験を実施した。比較例5では、実施例6のクロス共重合体の代わりにエチレン−αオレフィン共重合体を用いて、同様に試験を実施した。
実施例6の本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、タルクを含まないが、いずれの荷重においても比較例5より低いΔL*値を示し、良好な耐傷付き性を有していることが解る。
(実施例7)
<ポリプロピレン系樹脂組成物の作製>
(A)成分100質量部、(B)成分として(B1)7質量部、(C)成分18質量部、(D)成分30質量部、黒色顔料マスターバッチ3質量部、酸化防止剤0.1質量部を、ブラベンダ−プラスチコ−ダ−(ブラベンダ−社製「PL2000型」)を使用し、200℃、60rpm、10分間混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物を作製した。なお、「エンゲージ8003」50質量部に対し、電気化学工業社アセチレンブラック(デンカブラック)10質量部を加え混練して得られた黒色顔料マスターバッチを用いた。さらに酸化防止剤としてイルガノックス1076を用いた。
<シ−トの成形>
ポリプロピレン系樹脂組成物を加熱プレス法(温度220℃、時間5分間、圧力50kg/cm)により厚さ0.5mmのシートを得た。本シートは引張試験に用いた。
同様な方法で成形した厚さ1mmのシートに、さらに皮シボ型をプレスしてシボ付きシ−トを得た。本シートは耐傷付き性試験に用いた。
<力学物性(引張試験)>
JIS K−6251に準拠し、シートを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所「AGS−100D」型引張試験機を用い、23℃±1℃、相対湿度50±2%にて、引張速度500mm/min.及び10mm/minで測定した。初期引張弾性率、降伏点伸び、降伏点強度、破断点伸び、破断点強度を測定し、同一シートよりカットした試料を計5回測定しその平均値を求めた。
<流動性(MFR)>
MFRはJIS K7210に従い、230℃、荷重2.16kgfにて測定した。
耐傷付き性評価は上記と同様にして実施した、ただし引掻き式硬度計の荷重は上記と同じ1.7Nで行ったところ、ほとんど傷がつつかずΔL*値の測定が困難であったため、引掻き式硬度計の荷重は5Nで実施した。5N測定において本ΔL*値が1.0未満であると、表面の傷を目視で認識するのが困難になり非常に好ましい。
(実施例8〜10、比較例6〜8)
表3に配合に変更した以外は実施例7と同様な方法で、ポリプロピレン系樹脂組成物を作製し、各試験を実施した。結果を表3に示す。

実施例7〜9は、ブロックPP100質量部に対して、エチレン−αオレフィン共重合体18質量部、黒色顔料マスターバッチ3質量部、タルク30質量部、クロス共重合体7質量部を配合して得られたポリプロピレン系樹脂組成物である。実施例10はブロックPP100質量部に対して、エチレン−αオレフィン共重合体10質量部、黒色顔料マスターバッチ3質量部、タルク30質量部、クロス共重合体10質量部を配合して得られたポリプロピレン系樹脂組成物である。比較例6は実施例7〜9と同じ配合でクロス共重合体を使用しなかった場合、比較例7は実施例7〜9の配合においてクロス共重合体を使用せず、クロス共重合体と同じ質量部のエチレン−αオレフィン共重合体を増量したものである。また、比較例8はクロス共重合体の代わりにSEBSを用いた場合である。
ここで、エチレン−αオレフィン共重合体とクロス共重合体の合計を軟質樹脂成分量とする。引張速度500mm/min.で引張試験を行った場合、軟質樹脂成分量が同一の実施例7〜9と比較例6,7を比較すると、実施例は総合的に優れた力学物性、すなわち同等以上の高い初期引張弾性率、降伏点伸び、降伏点強度、破断点伸び、破断点強度を示している。軟質樹脂成分量を減じた実施例10も同様に優れた力学物性を示す。
引張速度10mm/min.で引張試験を行った場合も、軟質樹脂成分量が同一の実施例7〜9は比較例3(SEBSを同量添加)と比較し同等以上の高い初期引張弾性率、降伏点伸び、降伏点強度、破断点伸び、破断点強度を示している。初期引張弾性率はエチレン−αオレフィン共重合体のみを用いた比較例7と比較し低い値となるが、軟質樹脂成分量を減じた実施例10では同等以上の高い初期引張弾性率を示すと共に、高い降伏点伸び、降伏点強度、破断点伸び、破断点強度を維持している。
すなわち樹脂組成物の力学物性の観点では、本発明の樹脂組成物はその配合組成を本発明の範囲内で適宜調整することで、総合的に高い初期引張弾性率、高い降伏点強度、高い降伏点伸び、高い破断点伸びを満足させることができる。
耐傷付き性の観点では、実施例7〜10の本発明の樹脂組成物はいずれも比較例より低いΔL*値を示し、良好な耐傷付き性を有していることが解る。

Claims (10)

  1. (A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、(B)エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物重合体からなるクロス共重合体3〜30質量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. (A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、さらに(C)相溶化材樹脂5〜30質量部を含む、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. (C)相溶化材樹脂がエチレン-αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. (A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、さらに(D)無機充填材1〜60質量部を含む、請求項1〜3に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. (B)クロス共重合体が、配位重合工程とこれに続くアニオン重合工程から得られ、前記配位重合工程が、シングルサイト配位重合触媒を用いて、エチレン、芳香族ビニル化合物、及び芳香族ポリエンを重合し、エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体を製造する工程であり、前記アニオン重合工程が、アニオン重合開始剤を用いて前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体と芳香族ビニル化合物を重合する工程である、請求項1〜4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. (B)クロス共重合体が、以下の(1)〜(3)の全てを満たす、請求項5に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    (1)前記配位重合工程で得られる、前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体中の芳香族ビニル化合物単位が5〜35モル%、芳香族ポリエン単位が0.01〜0.2モル%、残部がエチレン単位である。
    (2)前記配位重合工程で得られる、前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量平均分子量が5万〜30万、分子量分布が1.8〜6である。
    (3)前記クロス共重合体中に含まれる、前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の含量が50〜95質量%である。
  7. 前記エチレン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン共重合体の質量平均分子量が10万〜25万、分子量分布が1.8〜3である、請求項6に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた成形体。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた射出成形体。
  10. 請求項1〜7の何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた表皮材。
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