JPWO2016129284A1 - 気管チューブ - Google Patents

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Abstract

湾曲部(10)を介して先端部(8)と基端部(11)とが繋がっているチューブ本体(2)と、前記チューブ本体(2)の外周面上に取り付けられたカフ(3)と、を備え、前記チューブ本体(2)の内周面の中心軸線(O1)に沿って延在する吸引用ルーメン(12)は、前記カフ(3)よりも前記基端部(11)側の位置で、前記吸引用ルーメン(12)の内壁に形成された内壁開口(26)から前記外周面に形成された外壁開口(27)まで貫通する吸引口(12b)を通じて外方と連通し、前記吸引口(12b)は、第1切込部(61)と第2切込部(62)が交わる2つの第3頂部(73)を結ぶ直線上の一点を視点として、前記中心軸線(O1)と直交する断面と、前記第1切込部(61)及び前記外周面が交わる頂部と前記第3頂部(73)とを結ぶ直線と、がなす第1の角度よりも、前記中心軸線(O1)と直交する断面と、前記第2切込部(62)及び前記外周面が交わる頂部と前記第3頂部(73)とを結ぶ直線と、がなす第2の角度が小さく形成されている。

Description

本発明は、気管チューブに関する。
従来から、自発呼吸が困難な患者や、自力で痰の排出が困難な患者等に対し、体外と気管内とを直接つなぎ、呼吸や痰等の異物の吸引を行い易くする気管チューブとしての気管切開チューブが知られている。医療従事者は、気管切開チューブに人工呼吸器を接続して患者の呼吸を維持したり、気管切開チューブ内に吸引用カテーテルを挿入して貯留した痰等の異物を吸引除去したりしている。特許文献1には、このような気管チューブが開示されている。
特開平09−290023号公報
しかしながら、従来の気管チューブでは、異物を吸引除去しにくい場合があった。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、異物の吸引性能を向上可能な気管チューブを提供することである。
本発明の第1の態様としての気管チューブは、湾曲部を介して先端部と基端部とが繋がっているチューブ本体と、前記チューブ本体の外周面上に取り付けられ、収縮及び拡張可能なカフと、を備える気管チューブであって、前記チューブ本体の壁内に、前記チューブ本体の内周面の中心軸線に沿って延在する吸引用ルーメンが区画され、当該吸引用ルーメンは、前記カフよりも前記基端部側の位置で、前記吸引用ルーメンの内壁に形成された内壁開口から前記外周面に形成された外壁開口まで貫通する吸引口を通じて外方と連通し、前記吸引口は、前記カフ側の第1切込部と、前記基端部側の第2切込部とにより規定され、前記第1切込部と前記第2切込部とが交わる2つの第3頂部を結ぶ直線上の当該気管チューブの外部の一点を視点として、前記第3頂部において前記中心軸線と直交する断面と、前記第1切込部及び当該気管チューブの前記外周面が交わる第1頂部と前記第3頂部とを結ぶ直線と、がなす角度を第1の角度とし、前記第3頂部において前記中心軸線と直交する断面と、前記第2切込部及び当該気管チューブの前記外周面が交わる第2頂部と前記第3頂部とを結ぶ直線と、がなす角度を第2の角度とした場合に、前記第1の角度よりも前記第2の角度が小さくなるように形成されていることを特徴とするものである。
本発明の1つの実施形態として、前記先端部及び前記基端部の位置での前記中心軸線を含む平面を第1仮想平面とし、前記第1仮想平面と、当該断面上の前記中心軸線を通り前記第1仮想平面と直交する第2仮想平面よりも、前記チューブ本体の外周面のうち前記湾曲部の外側湾曲面側に位置する下面部とが交わる線を第1交線とした場合に、前記チューブ本体の周方向における前記内壁開口の中点の位置は、前記断面において、前記第1交線上の点から中心角が0〜60度の範囲にあることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記吸引口を前記外周面の外方から正面に見た場合に、前記カフ側に直線部を有する略半楕円形状であることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記吸引口は、前記チューブ本体の外壁に形成された溝により構成されており、前記溝は、前記中心軸線と平行しない方向に前記チューブ本体の周方向に沿わず直線状に延在していることが好ましい。
本発明の1つの実施形態として、前記吸引用ルーメンを第1吸引用ルーメンとした場合に、前記チューブ本体の壁内に、前記中心軸線に沿って前記カフよりも前記基端部側から前記カフよりも前記先端部側まで延在すると共に、前記第1仮想平面と交わる位置に位置する第2吸引用ルーメンが区画されており、前記第1吸引用ルーメン及び前記第2吸引用ルーメンを含む前記中心軸線に直交する断面において、前記第1吸引用ルーメン及び前記第2吸引用ルーメンは略楕円形状を有すると共に、前記第2吸引用ルーメンが、前記第1吸引用ルーメンの長軸の延長線と交わらない位置に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、異物の吸引性能を向上可能な気管チューブを提供できる。
本発明の第1実施形態としての気管チューブ1を気管内に留置した状態を示す図である。 図1に示す気管チューブ1におけるチューブ本体2を単体で示す斜視図である。 図3(a)及び図3(b)それぞれは、図2に示すチューブ本体2単体の側面図である。 図4(a)及び図4(b)それぞれは、図2に示すチューブ本体2単体の側面図である。 図5(a)はチューブ本体2の上面図であり、図5(b)はチューブ本体2の下面図である。 図3(a)のI−I断面図である。 図5(a)のIII−III断面図に、カフ3を加えた断面図である。 図1に示す気管チューブ1を基端側から見た図である。 図3(a)のI−I断面における第1吸引用ルーメンの位置の変形例を示す図である。 図2に示すチューブ本体2の側面視において、第1吸引口部12bを拡大して模式的に示す図である。 図4(a)のIV−IV断面図である。 本発明の第1実施形態に係る気管チューブ1の製造方法のうち、チューブ本体2の製造方法の手順を示すフローチャート図である。 本発明の第1実施形態としての気管チューブセット100を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る気管チューブ1におけるチューブ本体2を単体で示す斜視図である。 図15(a)及び図15(b)それぞれは、図14に示すチューブ本体2単体の側面図である。 図16(a)及び図16(b)それぞれは、図14に示すチューブ本体2単体の側面図である。 図17(a)はチューブ本体2の上面図であり、図17(b)はチューブ本体2の下面図である。 図15(a)のI−I断面図である。 図15(a)のII−II断面図である。 図17(a)のIII−III断面図に、カフ3を加えた断面図である。 気管チューブ1を基端側から見た図である。 図16(a)のIV−IV断面図である。 本発明の第2実施形態に係る気管チューブ1の製造方法のうち、チューブ本体2の製造方法の手順を示すフローチャート図である。 第1吸引口部の変形例を示す側面図である。 図19に示す第2吸引口部の変形例を示す断面図である。
以下、本発明に係る気管チューブの実施形態について、図を参照して説明する。各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の気管チューブ1を気管内に留置した状態を示す図であり、図2は、気管チューブ1のチューブ本体2単体を示す斜視図である。図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)はチューブ本体2の側面図である。図5(a)はチューブ本体2の上面図であり、図5(b)はチューブ本体2の下面図である。また、図6は図3(a)のI−I断面図、図7は図5(a)のIII−III断面図である。図8は、気管チューブ1を基端側から見た図である。図9は、図3(a)のI−I断面における第1吸引用ルーメンの位置の変形例を示す図である。図10は、図2に示すチューブ本体2の側面視において、第1吸引口部12bを拡大して模式的に示す図である。図11は、図4(a)のIV−IV断面図である。なお、図7では、説明の便宜上、チューブ本体2に加えてカフ3を示している。
図1に示すように、気管チューブ1は、チューブ本体2と、このチューブ本体2の外周面上に取り付けられた収縮及び拡張可能なカフ3と、チューブ本体2の一方の端部に装着されたフランジ部材4と、を備える。
図2〜図5等に示すように、チューブ本体2は、チューブ本体2の内周面の中心軸線O1の延在方向(以下、単に「中心軸線方向A」と記載する。)において先端5から基端6まで貫通する中空部7を区画しており、気管チューブ1が外方から気管内に挿入されて留置されている状態では、この中空部7により気道が確保される。なお、チューブ本体2の先端5とは、チューブ本体2の遠位端であり、気管チューブ1が気管内に留置されている状態において、気管分岐部側に位置する一端である。また、基端6とは、チューブ本体2の近位端であり、気管チューブ1が気管内に留置されている状態において顎側に位置する他端である。
より具体的には、チューブ本体2は、先端5を含む先端部8と、中心軸線方向Aにおいて先端部8の基端6側で連続し、外周面上にカフ3が取り付けられるカフ装着部9と、このカフ装着部9の基端6側で連続する湾曲部10と、この湾曲部10の基端6側で連続し、基端6を含む基端部11と、を備える。換言すれば、チューブ本体2の先端部8は、カフ装着部9及び湾曲部10を介して、基端部11と繋がっている。なお、フランジ部材4は、基端部11に装着される。
ここで、本実施形態では、チューブ本体2を先端部8の先端5側から見た場合(図3(b)参照)において、先端5に対して基端6がある方向、すなわち、先端5に対して湾曲部10が湾曲している方向を「上側」とし、その反対側を「下側」とする。
また、図2〜図7等に示すように、チューブ本体2の外周面とチューブ本体2の中空部7を区画する内周面との間であるチューブ本体2の壁内には、中心軸線O1に沿って延在する2つの中空部が区画されている。具体的には、チューブ本体2は、壁内に形成され、基端面に区画された第1基端開口12a及び第3基端開口14aから中心軸線O1に沿って延在する第1ルーメン12及び第3ルーメン14を備える。なお、壁内に区画された小径の第1ルーメン12及び第3ルーメン14も中空部であるが、説明の便宜上、気道を確保するための大径の中空部7と区別するため、ここでは「ルーメン」と記載する。
なお、チューブ本体2は、第1ルーメン12及び第3ルーメン14の他、第2ルーメン13を備えていてもよいが、本実施形態では、チューブ本体2が第2ルーメン13を備えない場合について説明する。第2ルーメン13を備えるチューブ本体2の構成については、第2実施形態において説明する。
第1ルーメン12は、基端面の第1基端開口12aから、カフ3及びカフ装着部9よりも基端部11側の所定の位置まで延在しており、その所定の位置に形成されたチューブ本体2の外周面まで貫通する第1吸引口部12bを通じてチューブ本体2の外方と連通している。なお、本実施形態の第1吸引口部12bは吸引口であり、カフ3及びカフ装着部9よりも基端部11側の位置として、湾曲部10に形成されている。より具体的には、本実施形態の第1吸引口部12bは、湾曲部10の先端部8側の端部、すなわち、カフ装着部9の基端部11側の近傍に形成されている。この第1ルーメン12は、気管内に留置されている状態のカフ3よりも気管上流側(顎側)に貯留する痰や唾液、血液などの異物Xを吸引して除去するためのルーメンであり、以下、「第1吸引用ルーメン」と称する。
第3ルーメン14は、基端面の第3基端開口14aから、カフ3及びカフ装着部9の位置まで延在しており、その位置に形成されたチューブ本体2の外周面まで貫通する流路14bを通じて外方と連通している。従って、例えばシリンジ等を用いて、第3ルーメン14の第3基端開口14aから流路14bを通じて、カフ装着部9の外周面とカフ3の内面とで区画される環状空間Y内へ空気等の流体を供給することにより、カフ3を、この供給された流体により径方向B(図7参照)に拡張させることができる。また、拡張した状態のカフ3に対しては、上述の環状空間Yから、第3ルーメン14の流路14b及び第3基端開口14aを通じて流体を吸引すれば、カフ3を径方向Bに収縮させることができる。このように、第3ルーメン14は、カフ3を収縮及び拡張させるために用いられるルーメンであり、以下、「カフ用ルーメン」と称する。
チューブ本体2の構成材料としては、例えば、シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12)等の各種樹脂を用いることができる。その中でも、成形が容易であるという点で、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)等の樹脂を用いることが好ましい。
カフ3は、図1及び図7に示すようにチューブ本体2のカフ装着部9の外周面上に取り付けられており、上述したチューブ本体2のカフ用ルーメン14を通じて、カフ装着部9の外周面とカフ3の内面とで区画される環状空間Yに供給される流体の圧力により、拡張させることができる。従って、気管チューブ1を外方から気管内へと挿入し、所定の位置で気管チューブ1を留置しようとする際に、チューブ本体2のカフ用ルーメンを通じて環状空間Yへと流体を供給し、カフ3をチューブ本体2の径方向B(図7参照)に拡張させる。これにより、拡張したカフ3の外面が気管内壁と密着し、カフ3の外面と気管内壁との摩擦力等によって、カフ3が気管内周面に挟持されると共に、カフ3チューブ本体2周囲で気管内を閉塞する。そのため、気管内でのカフ3の位置が固定され、気管チューブ1を上述した所定の位置で留置させることができる。
また、気管チューブ1を気管内から外方へ抜去する際や、気管チューブ1の留置する位置を再調整する際などは、カフ用ルーメンを用いて環状空間Yの流体を吸引し、カフ3を収縮させる。これにより、気管チューブ1のチューブ本体2を気管内で気管に沿って移動させることができる。
このようなカフ3は、中心軸線方向Aにおける基端6側の端縁部15及び先端5側の端縁部16それぞれが、チューブ本体2の周方向C(図2、図6等参照)の全域において、カフ装着部9の外周面上に溶着や超音波接着等により接着されている。これにより、カフ3の内面とカフ装着部9の外周面とにより上述した環状空間Yが区画されている。より具体的には、図7に示すように、基端6側の端縁部15は、環状空間Yの内側に折り曲げられており、端縁部15のうちカフ3の外面から延在する面が、環状空間Y内で、カフ装着部9の外周面に接着されている。また、先端5側の端縁部16は、環状空間Yの外側に折り曲げられており、端縁部16のうちカフ3の内面から延在する面が、環状空間Y外で、カフ装着部9の外周面に接着されている。
なお、カフ3の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、シリコーン、またはこれらのうち任意の材料を混合した、可撓性を有する材料を用いることができる。
フランジ部材4は、図1に示すようにチューブ本体2の基端部11(図2等参照)に装着されており、チューブ本体2を体外から気管内に挿入して気管チューブ1を留置した際に、皮膚に当接することで、先端部8を気管内の適切な位置に固定する。図1及び図8に示すように、フランジ部材4は、チューブ本体2の基端部11が内挿され、チューブ本体2と嵌合することでチューブ本体2に対して装着される円筒状の筒部17と、この筒部17の外壁から径方向外側に向かって突出し、気管チューブ1を留置した状態で皮膚に当接する板状のフランジ部18と、を備える。なお、図8では、説明の便宜上、チューブ本体2の第1吸引用ルーメン12及びカフ用ルーメン14の位置を二点鎖線により示している。
図8に示すように、筒部17には、フランジ部18よりも基端側の位置に、上述した第1吸引用ルーメン12及びカフ用ルーメン14それぞれと連通する連通孔17a及び17cが区画されている。筒部17内にチューブ本体2の基端部11が嵌合することにより装着されている状態において、第1吸引用ルーメン12及びカフ用ルーメン14は、それぞれ対応する連通孔17a及び17cを介して、気管チューブ1の外方と連通しており、この連通孔17a及び17cのそれぞれに医療用チューブが接続されている。
具体的には、第1吸引用ルーメン12は、筒部17に形成された対応する連通孔17aを通じて、気管チューブ1の基端側で気管チューブ1の外方と連通している。従って、体外に露出している筒部17の連通孔17aに一端が嵌合した吸引用チューブ19の他端にシリンジまたは吸引ポンプ等を接続して吸引を行えば、体外から第1吸引用ルーメン12を通じて痰等の異物Xを吸引することができる。
また、カフ用ルーメン14は、筒部17に形成された対応する連通孔17cを通じて、気管チューブ1の基端側で気管チューブ1の外方と連通している。従って、体外に露出している筒部17の連通孔17cに一端が嵌合したカフ用チューブ21の他端にシリンジ等を接続すれば、体外にあるシリンジ等の操作により、カフ3の環状空間Yへの流体の供給や吸引を行うことができ、それによりカフ3の拡張及び収縮を操作することができる。
なお、フランジ部材4の筒部17は、チューブ本体2の基端部11と同心円状に装着されており、チューブ本体2の周方向Cにおける第1吸引用ルーメン12の位置及びカフ用ルーメン14の位置は、それぞれ筒部17における対応する連通孔17a及び17cの周方向Cの位置の近傍にある。これにより、各連通孔17a及び17cを短くすることができ、筒部17の連通孔17a及び17cの構成が複雑化することが抑制される。また、図8に示すように、吸引用チューブ19及びカフ用チューブ21は、図8の平面視において、各連通孔17a及び17cからフランジ部18の突設されている方向に延在するように接続され、先端部8側には延在していない。このように接続することにより、気管チューブ1が気管内に留置された状態において、吸引用チューブ19及びカフ用チューブ21が、患者の顎にぶつかりにくくなり、患者の不快感を軽減することができる。
フランジ部材4は、例えば、チューブ本体2と同様の材料で形成することができる。
以下、本実施形態におけるチューブ本体2の詳細を更に説明する。
[チューブ本体2の先端部8]
図6に示すように、チューブ本体2は、外周面の中心軸線O2と、中空部7を区画する内周面の中心軸線O1とが異なっている。具体的には、図6に示す内周面の中心軸線O1と直交する断面(本実施形態では、チューブ本体2の先端面を含む一断面を除く)において、内周面の中心軸線O1は、外周面の中心軸線O2よりも上側に位置しており、図6に示す断面では外周面と内周面とは同心円ではない。より具体的には、図6に示すように、チューブ本体2の外周面は、内周面の中心軸線O1と直交する断面において、湾曲部10の外側湾曲面側(図6における下側)に位置する下面部22と、湾曲部10の内側湾曲面側(図6における上側)に位置する上面部23と、チューブ本体2の周方向Cにおいて下面部22と上面部23とを繋ぐ側面部24と、で構成されており、チューブ本体2の厚みTは、同断面(本実施形態では、後述するテーパー形状部25のうち上面部23側の部分を含まない同断面)において、上面部23側よりも下面部22側が大きい。更に本実施形態では、同断面において、チューブ本体2の厚みTが、上面部23から下面部22に向かって周方向Cに進むにつれて漸増するように構成されている(図6参照)。なお、「チューブ本体2の厚みT」とは、中心軸線O1と外周面上の一点とを結ぶ線分上でのチューブ本体2の肉厚を意味する。
チューブ本体2の下面部22側の厚みTを、上面部23側の厚みTよりも厚くすることにより、下面部22側の壁内に形成される第1吸引用ルーメン12の断面積を比較的大きくすることが可能となり、第1吸引用ルーメン12での異物Xの詰まりを防止しやすくなると共に、吸引に必要な吸引圧力を低減でき、吸引効率を向上させることができる。
ここで、図2〜図7等に示すように、チューブ本体2の先端部8の外周面には、外径が先端5に向かって漸減し、先端5まで延在するテーパー形状部25が形成されている。このテーパー形状部25により、チューブ本体2を体外から気管内に挿入する際の、挿入抵抗を軽減することができる。特に、上述したように周方向Cの位置により厚みT(図6参照)が異なるチューブ本体2の先端部8の外周面にテーパー形状部25を設けることにより、チューブ本体2を体外から気管内に挿入する際に厚みTが厚い部分で生じ得る挿入抵抗の増大を、抑制することができる。なお、チューブ本体2を体外から気管内に挿入する際は、例えば、喉元の皮膚及び気管を切開して挿入口を形成し、後述するオブチュレータ50等を用いて挿入口を拡大させながら、チューブ本体2を挿入していく。オブチュレータ50は、カフ3を拡張させてチューブ本体2を気管内の所定位置に留置した後にチューブ本体2の基端6側から抜去される。また、オブチュレータ50は、チューブ本体2を気管内の所定位置に留置し、カフ3を拡張させる前にチューブ本体2の基端6側から抜去してもよい。
更に本実施形態では、図7に示すように、チューブ本体2の内周面の中心軸線O1に対するテーパー形状部25の角度θ1は、周方向Cの位置によらず略同一である。これにより、チューブ本体2を体外から気管内に挿入する際の、周方向Cの位置によって中心軸線O1に対する角度が異なることにより生じ得る周方向Cにおける挿入抵抗差を、低減することができる。
また更に、本実施形態のテーパー形状部25は、下面部22での中心軸線方向Aにおける長さが上面部23での中心軸線方向Aにおける長さよりも長い斜円錐台形状を有する。具体的には、上述したようにチューブ本体2の内周面の中心軸線O1に対するテーパー形状部25の角度θ1は、周方向Cの位置によらず略同一である(図7参照)と共に、図3(a)に示すように、中心軸線方向Aにおけるテーパー形状部25の外周面の基端を周方向Cに結ぶことで形成される楕円(図3(a)において「M」で示す実線により形成される楕円)を含む断面と、テーパー形状部25の外周面の先端(チューブ本体2の外周面の先端と同じ)を周方向Cに結ぶことで形成される円(図3(a)において「N」で示す実線により形成される円)を含む断面とは平行していない。つまり、図7に示すように、下面部22及び上面部23での中心軸線O1に対するテーパー形状部25の角度θ1は同一であるが、下面部22及び上面部23での中心軸線方向Aにおけるテーパー形状部25の長さは異なっている。
そして、下面部22での中心軸線方向Aの長さを、上面部23での中心軸線方向Aの長さよりも長い構成とすることにより、テーパー形状部25以外の部分では下面部22側のチューブ本体2の厚みT(図6参照)が上面部23側のチューブ本体2の厚みTよりも厚いにもかかわらず、チューブ本体2の先端面では、下面部22側の厚みTと上面部23側の厚みTとの間の肉厚差(厚みTの差)が小さい構成又は両者の厚みTが略等しい構成とすることが可能となる。すなわち、チューブ本体2の先端面において、周方向Cの位置による肉厚差を低減することができるため、周方向Cでの剛性差に起因するチューブ本体2の不均一な変形や、この不均一な変形に基づく挿入抵抗の増大を抑制することができる。
特に、本実施形態のチューブ本体2のように、先端面でのチューブ本体2の厚みTを周方向Cの位置によらず均一にし、チューブ本体2の先端面において、内周面の中心軸線O1と外周面の中心軸線O2とが略一致する同心円状の構成とすることが好ましい(図7参照)。このような構成とする場合には、先端面での挿入抵抗を小さくするために、先端面での厚みTが薄くなるように均一化することが特に好ましい。なお、本実施形態のチューブ本体2の先端面の厚みTは、周方向Cの位置によらず0.6mmとしている。
[チューブ本体2の第1吸引用ルーメン12]
次に、第1吸引用ルーメン12(第1ルーメン12)について詳細に説明する。
図2〜図7に示すように、第1吸引用ルーメン12は、チューブ本体2の壁内に、チューブ本体2の内周面の中心軸線O1に沿って延在している。この第1吸引用ルーメン12は、カフ3及びカフ装着部9よりも基端部11側の位置で、第1吸引用ルーメン12の内壁に形成された内壁開口26からチューブ本体2の外周面に形成された外壁開口27まで貫通する第1吸引口部12bとしての吸引口を通じて外方と連通している。
ここで、図6に示す断面は、第1吸引用ルーメン12及びカフ用ルーメン14を含み中心軸線O1と直交する断面である。そして、図6に破線で示す「P1」は、チューブ本体2の先端部8及び基端部11の位置での中心軸線O1を含む第1仮想平面P1を示しており、本実施形態の第1仮想平面P1は、チューブ本体2の中心軸線O1を全て含む平面である。また、図6に破線で示す「P2」は、図6の断面上での中心軸線O1を通り、第1仮想平面P1と直交する第2仮想平面P2を示している。そして、第1仮想平面P1と、チューブ本体2の外周面のうち湾曲部10(図2等参照)の外側湾曲面側に位置する下面部22とが交わる交線を第1交線L1(図7参照)とした場合に、図6に示す点K1は、第1交線L1上の点を示している。また、第1仮想平面P1と、チューブ本体2の外周面のうち湾曲部10の内側湾曲面側に位置する上面部23とが交わる交線を第2交線L2(図7参照)とした場合に、図6に示す点K2は、第2交線L2上の点を示している。更に、図6に二点鎖線で示す直線L3は、この断面視において、第1吸引用ルーメン12を区画する内壁のうち、第1吸引用ルーメン12の最大径を構成する2点を通る仮想線を示している。なお、説明の便宜上、以下、直線L3を「第1直線L3」と記載する。
図6に示すように、第1吸引用ルーメン12は、チューブ本体2の下面部22側であって、第1仮想平面P1と交わる位置に設けられている。チューブ本体2の下面部22は、気管チューブ1が気管内に留置された状態において背中側となる面であり、仰向けに寝ている患者にとっては鉛直方向下側の面となる。つまり、第1吸引用ルーメン12を、下面部22側に配置することにより、寝ている患者の気管内で鉛直方向下方の内面(背中側の面)上に貯留し易い痰等の異物X(図1参照)を、第1吸引用ルーメン12を通じて容易に吸引することが可能となる。
図6に示すように、本実施形態では、第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rが第1仮想平面P1上に存在するため、第1吸引口部12bは、仰向けに寝ている患者の鉛直方向下側に向かって開口しているため、異物Xの吸引率は高くなりやすい。ここで、異物Xの吸引率は、患者の気管内の異物Xの量に対して、第1吸引用ルーメン12を通じて吸引可能な異物Xの量である。
なお、第1吸引用ルーメン12の位置は、第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rが第1仮想平面P1上に存在する場合に限られない。第1吸引用ルーメン12は、例えば、図9に変形例として示すように、中心軸線O1を中心として、第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rが、前記第1交線L1上の点K1から中心角θ2が0〜60度の範囲となる位置に配置されていてもよい。中心角θ2が60度よりも大きいと、第1吸引用ルーメン12の吸引口が、寝ている患者の気管内で鉛直方向下方の内面(背中側の面)上に貯留し易い異物Xに接触しにくくなり、異物Xの吸引率が大きく低下しやすい。しかし、中心角θ2を0〜60度の範囲とすることにより、第1吸引用ルーメン12を通じた異物Xの吸引率は、気管チューブ1としての機能を果たしうる所定値以上に維持されやすくなる。
また、図6に示すような、第1吸引用ルーメン12を含み中心軸線O1に直交する断面において、第1吸引用ルーメン12は略楕円形状を有している。従って、本実施形態での第1直線L3は、第1吸引用ルーメン12の長軸及びその延長線である。
なお、図6に示すような、第1吸引用ルーメン12及びカフ用ルーメン14を含み中心軸線O1と直交する断面において、カフ用ルーメン14についても、チューブ本体2の外周面の上面部23側で、第1仮想平面P1と交わる位置に形成されている。すなわち、図6に示す断面視で、第1吸引用ルーメン12とカフ用ルーメン14とは、中心軸線O1を挟んで略対向する位置に形成されている。
[第1吸引用ルーメン12の第1吸引口部12b]
次に、第1吸引用ルーメン12の第1吸引口部12bとしての吸引口の詳細について説明する。図3(a)、図4(a)及び5(b)に示すように、第1吸引口部12bは、カフ3よりも基端部11側の位置で、第1吸引用ルーメン12の内壁に形成された内壁開口26からチューブ本体2の外周面に形成された外壁開口27まで貫通する吸引口である。
図5(b)に示すように、第1吸引口部12bは、カフ装着部9側に第1切込部61を有し、基端6側に第2切込部62を有する、下面(すなわち第1吸引口部の正面)視における半楕円形状に形成される。すなわち、第1吸引口部12bの開口部分(外壁開口27)は、第1切込部61及び第2切込部62により規定され、下面視において第1切込部61に直線部を有する略半楕円形状に形成される。このような内壁開口26及び外壁開口27の形状は、第1吸引口部12bとしての吸引口をチューブ本体2の外壁に形成された溝とすることにより形成されている。具体的には、第1吸引口部12bを形成する溝は、中心軸線O1と平行しない方向にチューブ本体2の周方向Cに沿わず直線状に延在している。第1切込部61の中点を第1頂部71とし、第2切込部62の中点を、第2頂部72とする。
第1吸引口部12bを形成する溝は、図4(a)に示すように、側面視において最も上面部23側に位置する第3頂部73を有する。第3頂部73は、第1切込部61と第2切込部62とが交わる(接触する)点である。第1切込部61と第2切込部62とは2点で交わる。図10は、図2に示すチューブ本体2の側面視において、第1吸引口部12bを拡大して模式的に示す図である。図10は、2つの第3頂部73を結ぶ直線上の一点を視点として見た場合の図であり、図5(b)の下方に示された矢印の方向から見た図である。但し、視点として、気管チューブ1の内部(2つの第3頂部73を結ぶ線分上)は除き、外部から見るものとする。本実施形態では、図10に示すように、第3頂部73は、側面視において第1切込部61から上面部23方向(つまり、図4(a)における真上の方向)に存在する。すなわち、第3頂部73において中心軸線O1と直交する断面と、第1頂部71と第3頂部73とを結ぶ直線とが、第1吸引口部12bの側面視において一致し、この直線は、側面視において第1交線L1と直交する。また、本実施形態では、第1切込部61は、側面視において直線状に形成され、第2切込部62は、側面視において上面部23方向に膨らんだ緩やかな曲線状に形成されている。なお、吸引口を形成する溝は、別の言い方をすれば、チューブ本体2の外周面に、横断面外形が側面視における第1吸引口部12bを形成する溝の形状を有する筒状部材の外周面を押しつけて模ったような、筒状部材の外周面の受け形状をしている。
このように、第1吸引口部12bとしての吸引口を、中心軸線O1と平行しない方向にチューブ本体2の周方向Cに沿わず直線状に延在する溝で構成することにより、吸引中に気管内面が内壁開口26を塞ぐように密着することを抑制することができる。図6に示すように、第1吸引用ルーメン12が、チューブ本体2の下面部22側であって、第1仮想平面P1と交わる位置に設けられている場合(すなわち図9のθ2が0度の場合)には、特に吸引口が気管内面により塞がれやすい。しかし、本実施形態のように、中心軸線O1と平行しない方向にチューブ本体2の周方向Cに沿わず直線状に延在する溝により吸引口を構成することで、吸引中に気管内面が内壁開口26を塞ぐように密着することを抑制しやすくなる。また、第3頂部73が第1頂部71から上面部23方向に位置するように形成されることにより、気管チューブ1は、第3頂部73が第1頂部71よりも第2頂部72に近い位置に形成される場合には吸引しにくいカフ3の周辺の異物X(図1参照)を、第1吸引口部12bから吸引しやすくなる。
また、本実施形態では、図10に示すように、第1頂部71と第3頂部73とを結ぶ直線が、第1交線L1と直交する。そのため、第1吸引口部12bを外周面の外方から正面に見た場合、第1切込部61がカフ3側で中心軸O1と直交する断面上に形成されることとなり、カフ3と内壁開口部26の距離が近くなるため、吸引性能を向上できる。
なお、第1吸引口部12bとしての吸引口を構成する溝の内面には、複数の凸部が設けられ、凹凸形状が形成されていてもよい。溝の内面にこのような凹凸形状を形成することにより、吸引中に気管内面が内壁開口26を塞ぐように密着することを、更に抑制しやすくなる。
図11は、中心軸線O1と直交し内壁開口26を含む断面を示す。図11に示すように、第1吸引用ルーメン12は、上述した図6と同様に、第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rが第1仮想平面P1上に存在する位置に形成されている。すなわち、図11に示す断面において、内壁開口26の周方向における中点Wの位置は、上述した図6における第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rと同じである。なお、第1吸引用ルーメン12は、第1吸引用ルーメン12の中点Wが、断面上での中心軸線O1を中心として、第1交線L1上の点K1から中心角θ2が0〜60度の範囲となる位置に配置されていてもよい。
なお、上述したように、第1吸引口部12bとしての吸引口は、気管チューブ1のカフ3の基端6側近傍に貯留する痰や唾液等の異物X(図1参照)を吸引することができるように、中心軸線方向Aにおいて、カフ3及びカフ装着部9の基端6側近傍の位置にあることが特に好ましい。
[気管チューブ1の製造方法]
次に、本実施形態の気管チューブ1の製造方法について説明する。図12は、気管チューブ1の製造方法のうちチューブ本体2の製造方法の手順を示すフローチャート図である。図12に示すように、気管チューブ1のチューブ本体2の製造方法は、先端5から基端6まで貫通する中空部7を区画すると共に壁内に第1吸引用ルーメン12を有するチューブ材を押し出し成型するステップS1と、この押し出し成型されたチューブ材の外周面にカフ3を接着するステップS2と、チューブ材の先端部に、テーパー形状に形成された内面を有する金型を押しあて、チューブ材の先端部における外周面に、外径が先端に向かって漸減し、先端まで延在するテーパー形状部25を形成するステップS3と、チューブ材のカフ装着部9から基端6側近傍の位置に、先端が側面視における第1吸引口部12bを形成する溝の形状を有する刃物等により第1吸引口部12bを形成するステップS4と、を含む。
上述したテーパー形状部25を形成するステップS3では、金型の内面と、チューブ材の外周面との間に、カフ3のチューブ材の先端5側の端縁部16を挟み込み、カフ3の一部を溶融させる。これにより、溶融したカフ3の端縁部16が溶融して、カフ3の端縁部16とカフ装着部9の外周面との接着力を更に強くすることができる。
また、上述した製造方法では、第1吸引口部12bを形成するステップS5において、先端が所定の形状を有する刃物を用いて図3(a)、図4(a)及び図5(b)等に示す溝状の第1吸引口部12bを形成しているが、チューブ材の外壁の一部を切り欠いて溝状の第1吸引口部12bを形成可能な切り欠き部材であればよく、上述した刃物に限られるものではない。
また、第1吸引口部12bを形成するステップS5において、例えば平板状の刃物を使用して、第1切込部61及び第2切込部62を形成するようにチューブ本体2の下面部22を彫り込むことにより、溝状の第1吸引口部12bを形成することもできる。
なお、チューブ本体2の製造方法以外の気管チューブ1の製造方法の各ステップについては、公知の種々の方法を用いて実現することができ、ここでは記載を省略する。
[気管チューブセット100]
最後に、上述した気管チューブ1と、チューブ本体2と共に体外から気管内に挿入されるオブチュレータ50と、を備える気管チューブセット100について説明する。
図13は、気管チューブセット100の断面図である。図13に示すように、気管チューブセット100は、チューブ本体2を備える気管チューブ1と、先端がチューブ本体2の先端開口28から突出した状態で、気管チューブ1と共に体外から気管内へと挿入されるオブチュレータ50と、を備えている。
オブチュレータ50の先端は、気管チューブ1のチューブ本体2の先端5よりも先に皮膚及び気管に形成された挿入口に挿入される。オブチュレータ50により挿入口が拡がり、チューブ本体2が気管内に挿入され易くなる。
気管チューブ1には、オブチュレータ50をチューブ本体2内に挿入する際に、オブチュレータ50と係合して、チューブ本体2の内周面の中心軸線方向Aにおける、気管チューブ1に対するオブチュレータ50の挿入量を規制する係合部29が設けられている。
具体的には、図13に示す気管チューブ1の係合部29は、フランジ部材4の筒部17の基端面であり、オブチュレータ50をチューブ本体2の基端6(図2等参照)側からチューブ本体2内に挿入していくと、オブチュレータ50の基端部51に設けられたフランジ部52が、気管チューブ1のフランジ部材4における筒部17の基端面と当接し、オブチュレータ50をそれ以上挿入することができなくなる。つまり、気管チューブ1に対するオブチュレータ50の挿入量は、気管チューブ1のフランジ部材4における筒部17の基端面により規制される。なお、係合部は、図13に示すものに限られるものではなく、例えば、フランジ部材4の筒部17の内面に雌ねじ部を設け、オブチュレータ50の基端部51の外面に雄ねじ部を設け、雌ねじ部と雄ねじ部とを螺合することにより、気管チューブ1とオブチュレータ50とを係合させる構成としてもよい。
上述したように、チューブ本体2の先端部8の外周面には、先端5(図2等参照)に向かって外径が漸減する、先端5まで延在するテーパー形状部25が形成されている。また、オブチュレータ50の先端部53の外周面には、先端に向かって外径が漸減するテーパー形状部54が形成されている。以下、チューブ本体2のテーパー形状部25と、オブチュレータ50のテーパー形状部54とを区別するために、チューブ本体2のテーパー形状部25を「第1テーパー形状部25」と称し、オブチュレータ50のテーパー形状部54を「第2テーパー形状部54」と称する。
オブチュレータ50が係合部29と係合した状態において、第2テーパー形状部54の少なくとも一部はチューブ本体2の先端開口28から外方に露出しており、中心軸線方向Aでは、チューブ本体2の第1テーパー形状部25と、オブチュレータ50の第2テーパー形状部54とが、連続して位置している。このような構成とすることにより、体外から気管内に挿入する際の、チューブ本体2の先端5での挿入抵抗を低減することができる。
また、図13では、中心軸線方向Aに対する第1テーパー形状部25の角度θ1は、第2テーパー形状部54の角度θ3よりも大きい。なお、中心軸線方向Aに対する第1テーパー形状部25の角度θ1は、第2テーパー形状部54の角度θ3より小さくすることも、略等しくすることも可能であるが、図13に示すように、第1テーパー形状部25の角度θ1を、第2テーパー形状部54の角度θ3よりも大きくすることで、チューブ本体2の先端5における挿入抵抗を軽減することができるため、より好ましい。また、第1テーパー形状部25の角度θ1を、第2テーパー形状部54の角度θ3と略等しい角度にすることで、チューブ本体2の先端5とオブチュレータ50とを略一体構造とし、先端5における挿入抵抗を軽減することもできる。また、第1テーパー形状部25の角度θ1を、第2テーパー形状部54の角度θ3よりも小さくすることで、チューブ本体2の先端5とオブチュレータ50とが過度に挿入されることによる気管内壁への損傷を軽減することができる。
更に、チューブ本体2は、先端開口28を区画する縁部30を含む先端面を備えており、オブチュレータ50が係合部29と係合した状態において、第2テーパー形状部54の外周面はチューブ本体2の縁部30と嵌合して当接している。つまり、第2テーパー形状部54の外周面は、周方向Cの全域に亘って縁部30と当接した状態となっている。このような構成とすることにより、第1テーパー形状部25と第2テーパー形状部54との間の径方向Bの段差を、チューブ本体2の先端面における厚みT(図6参照)だけとすることができ、第2テーパー形状部54の外周面が周方向Cの全域でチューブ本体2の縁部30と当接していない構成と比較して、チューブ本体2の先端5における挿入抵抗を軽減することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、チューブ本体2が第1吸引用ルーメン12及びカフ用ルーメン14を備える構成について説明した。第2実施形態では、チューブ本体2が、更に第2吸引用ルーメンを備える構成について説明する。第1実施形態と同じ点については説明を省略し、異なる点について説明を行う。
図14は、第2実施形態に係る気管チューブ1のチューブ本体2単体を示す斜視図である。図15(a)、図15(b)、図16(a)及び図16(b)はチューブ本体2の側面図である。図17(a)はチューブ本体2の上面図であり、図17(b)はチューブ本体2の下面図である。また、図18は図15(a)のI−I断面図、図19は図15(a)のII−II断面図、図20は図17(a)のIII−III断面図である。図21は、気管チューブ1を基端側から見た図である。図22は、図16(a)のIV−IV断面図である。なお、図20では、説明の便宜上、チューブ本体2に加えてカフ3を示している。
第2実施形態では、図14〜図20等に示すように、チューブ本体2の外周面とチューブ本体2の中空部7を区画する内周面との間であるチューブ本体2の壁内には、中心軸線O1に沿って延在する3つの中空部が区画されている。具体的には、チューブ本体2は、第1実施形態と比較して、壁内に形成され、基端面に区画された第2基端開口13aから中心軸線O1に沿って延在する第2ルーメン13を更に備える。
第2ルーメン13は、基端面の第2基端開口13aから、カフ3及びカフ装着部9よりも先端部8側の所定の位置まで延在しており、その所定の位置に形成されたチューブ本体2の内周面まで貫通する第2吸引口部13bを通じてチューブ本体2の中空部7と連通している。なお、本実施形態の第2吸引口部13bは、カフ3及びカフ装着部9よりも先端部8側の位置として、先端部8に形成されている。より具体的に、本実施形態の第2吸引口部13bは、図19に示すように、先端部8の内周面において先端5の位置まで続く切り欠き状の吸引口である。この第2ルーメン13は、気管内に留置されているカフ3よりも気管下流側(気管分岐部側)で、先端部8近傍に貯留する痰等の異物Xを吸引して除去するためのルーメンであり、以下、「第2吸引用ルーメン」と記載する。
本実施形態では、図21に示すように、筒部17には、フランジ部18よりも基端側の位置に、上述した第1吸引用ルーメン12、第2吸引用ルーメン13及びカフ用ルーメン14それぞれと連通する連通孔17a、17b及び17cが区画されている。筒部17内にチューブ本体2の基端部11が嵌合することにより装着されている状態において、第1吸引用ルーメン12、第2吸引用ルーメン13及びカフ用ルーメン14は、対応する連通孔17a、17b、17cを介して、気管チューブ1の外方と連通しており、この連通孔17a〜17cそれぞれに医療用チューブが接続されている。なお、図21では、説明の便宜上、チューブ本体2の第1吸引用ルーメン12、第2吸引用ルーメン13及びカフ用ルーメン14の位置を二点鎖線により示している。
本実施形態において、第2吸引用ルーメン13は、第1実施形態における第1吸引用ルーメン12と同様にして、吸引用チューブ20、筒部17に形成された対応する連通孔17b及び第2吸引用ルーメン13を通じて異物Xを吸引することができる。
フランジ部材4の筒部17は、チューブ本体2の基端部11と同心円状に装着されており、チューブ本体2の周方向Cにおける第1吸引用ルーメン12の位置、第2吸引用ルーメン13の位置、及びカフ用ルーメン14の位置は、それぞれ筒部17における対応する連通孔17a、17b及び17cの周方向Cの位置の近傍にある。これにより、各連通孔17a、17b及び17cを短くすることができ、筒部17の連通孔17a、17b及び17cの構成が複雑化することが抑制される。また、図21に示すように、吸引用チューブ19及び20、並びにカフ用チューブ21は、図21の平面視において、各連通孔17a、17b及び17cからフランジ部18の突設されている方向に延在するように接続され、先端部8側には延在していない。このように接続することにより、気管チューブ1が気管内に留置された状態において、吸引用チューブ19及び20、並びにカフ用チューブ21が、患者の顎にぶつかりにくくなり、患者の不快感を軽減することができる。
[チューブ本体2の第1及び第2吸引用ルーメン12及び13]
次に、第1吸引用ルーメン12(第1ルーメン12)と、第2吸引用ルーメン13(第2ルーメン13)との位置関係について詳細に説明する。
第2吸引用ルーメン13は、チューブ本体2の壁内に、チューブ本体2の内周面の中心軸線O1に沿って、カフ3よりも基端部11側の基端部11からカフ3よりも先端部8側の先端部8まで延在している。なお、第2吸引用ルーメン13は、上述したように、チューブ本体2の内周面まで貫通する第2吸引口部13bとしての吸引口を通じてチューブ本体2の内方の中空部7と連通している。
図18に示す断面は、第1吸引用ルーメン12、第2吸引用ルーメン13及びカフ用ルーメン14を含み中心軸線O1と直交する断面である。図18に二点鎖線で示す直線L3は、この断面視において、第1吸引用ルーメン12を区画する内壁のうち、第1吸引用ルーメン12の最大径を構成する2点を通る仮想線を示し、図18に二点鎖線で示す直線L4は、この断面視において、第2吸引用ルーメン13を区画する内壁のうち、第2吸引用ルーメン13の最大径を構成する2点を通る仮想線を示している。説明の便宜上、以下、直線L3を「第1直線L3」と記載し、直線L4を「第2直線L4」と記載する。
図18に示すように、第2吸引用ルーメン13は、第1直線L3が交わらない位置に形成されると共に、第1吸引用ルーメン12は、第2直線L4が交わらない位置に形成される。このような構成とすることにより、第1吸引用ルーメン12と第2吸引用ルーメン13との周方向Cにおける距離を所定距離以上とすることができ、気管チューブ1のチューブ本体2を製造する際に、第1吸引用ルーメン12及び第2吸引用ルーメン13とを分離した別々のルーメンとして形作ることが容易となる。また、図11に示すように、チューブ本体2の外周面に外壁開口27を形成する際に、形成する開口部が第2吸引用ルーメン13まで連通するのを防ぐことができる。
本実施形態では、図18に示すように、第2吸引用ルーメン13は、チューブ本体2の下面部22側であって、第1仮想平面P1と交わる位置に設けられている。チューブ本体2の下面部22は、気管チューブ1が気管内に留置された状態において背中側となる面であり、仰向けに寝ている患者にとっては鉛直方向下側の面となる。つまり、第2吸引用ルーメン13を、下面部22側に配置することにより、寝ている患者の気管内で鉛直方向下方の内面(背中側の面)上に貯留し易い痰等の異物Xを、第2吸引用ルーメン13を通じて容易に吸引することが可能となる。
更に、図18に示すように、第1直線L3と第2直線L4とがなす角度θ4は90度より大きい。このような構成とすることにより、第1吸引用ルーメン12と第2吸引用ルーメン13との周方向Cにおける距離を所定距離未満とすることができる。上述したように、寝ている患者の気管内では、気管内の背中側の面上に痰等の異物Xが貯留し易い。従って、第1吸引用ルーメン12についても、第2吸引用ルーメン13と同様、チューブ本体2の下面部22側にあることが好ましい。そのため、第1吸引用ルーメン12及び第2吸引用ルーメン13を、図18の断面視において第1直線L3と第2直線L4とのなす角度θ4が90度より大きくなるように配置することにより、第1吸引用ルーメン12の周方向Cの位置を、第1仮想平面P1と下面部22側で交わる位置に配置された第2吸引用ルーメン13と近い位置にすることができる。
換言すれば、第1吸引用ルーメン12は、図18の断面視において、中心軸線O1を中心として第1交線L1上の点K1から中心角が90度未満の位置に形成されていると共に、第1仮想平面P1及び第2仮想平面P2と交わらない位置に形成されている。つまり、図18の断面視において、第1吸引用ルーメン12は、第2仮想平面P2よりも下面部22側であって、第1仮想平面P1及び第2仮想平面P2と交わらない位置に形成されている。
なお、図18の断面視において、中心軸線O1を中心として、第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rは、第1実施形態と同様に、前記第1交線L1上の点K1から中心角が0〜60度の範囲となるように設定されている。また、図18の断面視において、第2直線L4上の第2吸引用ルーメン13の中点Sは、第1仮想平面P1と交わる位置にあることが好ましいことから、図18の断面視において、中心軸線O1を中心として、第1直線L3上の第1吸引用ルーメン12の中点Rは、第2直線L4上の第2吸引用ルーメン13の中点Sからも中心角が30〜80度の範囲にあることが好ましく、40〜70度の範囲とすることがより好ましく、55〜65度の範囲とすることが特に好ましい。但し、第2吸引用ルーメン13は、下面部22側に位置していればよく、図18に示すように、第2吸引用ルーメン13の中点Sが、第1仮想平面P1上に位置しない構成であってもよい。
また、図18に示すような、第1吸引用ルーメン12及び第2吸引用ルーメン13を含み中心軸線O1に直交する断面において、第1吸引用ルーメン12及び第2吸引用ルーメン13は略楕円形状を有している。従って、本実施形態での第1直線L3は、第1吸引用ルーメン12の長軸及びその延長線であり、本実施形態での第2直線L4は、第2吸引用ルーメン13の長軸及びその延長線である。
また、本実施形態において、図18に示すような、第1吸引用ルーメン12、第2吸引用ルーメン13及びカフ用ルーメン14を含み中心軸線O1と直交する断面において、カフ用ルーメン14についても、チューブ本体2の外周面の上面部23側で、第1仮想平面P1と交わる位置に形成されている。すなわち、図18に示す断面視で、第2吸引用ルーメン13とカフ用ルーメン14とは、中心軸線O1を挟んで略対向する位置に形成されている。
[気管チューブ1の製造方法]
次に、本実施形態の気管チューブ1の製造方法について説明する。図23は、第2実施形態の気管チューブ1の製造方法のうちチューブ本体2の製造方法の手順を示すフローチャート図である。図23において、ステップS11、S12、S13及びS15は、それぞれ第1実施形態における図12のステップS1、S2、S3及びS4に対応する。第2実施形態におけるチューブ本体2の製造方法は、第1実施形態におけるチューブ本体の製造方法に対して、更に、チューブ材の先端開口から例えばフェザー刃等の刃物を挿入し、外周面のテーパー形状部25が形成された位置での内周面のうち、第2吸引用ルーメン13の先端部がある位置に溝を形成するステップS14を含む。
第2吸引用ルーメン13の先端部を区画する内周面に溝を形成するステップS14で形成された溝により、上述した第2吸引用ルーメン13の第2吸引口部13b(図19参照)が形成される。上述した製造方法では、刃物を用いて内壁の一部を切り取ることにより溝を形成しているが、内壁の一部を切り欠いて溝を形成可能な切り欠き部材であればよく、上述の刃物に限られるものではない。
なお、本発明は、上述した実施形態で特定される構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上述したチューブ本体2は、先端部8、カフ装着部9及び基端部11を湾曲しない直線状の筒部としているが、先端部から基端部までを湾曲したチューブ本体とすることもできる。
また、例えば、第1吸引口部12bの形状は、第1実施形態において説明したものに限られない。図24は、第1吸引口部12bの変形例を示す図である。第1吸引口部12bは、第1切込部61及び第2切込部62により規定される。図24は、第1切込部61と第2切込部62とが交わる2つの第3頂部73を結ぶ直線上に存在する、気管チューブ1の外部の一点を視点として第1吸引口部12bを見た場合の図である。つまり、例えば第1吸引口部12bが第1実施形態に示す位置に形成されているとすると、図24は、第1吸引口部12bを、気管チューブ1の側面視で示す図となる。図24(a)に示す変形例において、第3頂部73は、第1実施形態と異なり、第1頂部71から上面部23方向(図4(a)における真上の方向)ではなく、上面部23側であって基端6側に存在する。図24(a)に示す例では、第1頂部71から第3頂部73に向かう第1切込部61と、第2頂部72から第3頂部73に向かう第2切込部62とは、いずれも側面視において直線状に形成されている。
ここで、第3頂部73において中心軸線O1と直交する断面と、第1頂部71と第3頂部73とを結ぶ直線とが、第1吸引口部12bの側面視においてなす角をθ5とする。また、第3頂部73において中心軸線O1と直交する断面と、第2頂部72と第3頂部73とを結ぶ直線とが、第1吸引口部12bの側面視においてなす角をθ6とする。第1吸引口部12bは、θ5がθ6よりも小さくなるように形成される。これにより、気管チューブ1は、第3頂部73が第1頂部71よりも第2頂部72に近い位置に形成される場合には吸引しにくいカフ3の周辺の異物X(図1参照)を、第1吸引口部12bから吸引しやすくなり、異物Xの吸引性能を向上できる。
図24(b)に示す例では、第1頂部71から第3頂部73に向かう第1切込部61と、第2頂部72から第3頂部73に向かう第2切込部62とが、いずれも側面視において緩やかな曲線状に形成されている。図24(b)に示す例においても、θ5がθ6よりも小さくなるように形成されるため、気管チューブ1は、吸引性能を向上可能である。なお、第1実施形態で示した図10は、θ5が0度の場合を示している。
また、第2実施形態において、図18に示すように、上述したチューブ本体2における、第2直線L4上の第2吸引用ルーメン13の中点Sは、第1仮想平面P1上に位置しておらず、側面部24側にずれた位置にあるが、図18の断面視において中点Sが第1仮想平面P1上に位置する構成とすれば、気管内の背中側の内面に貯留し易い痰等の異物Xが、第2吸引用ルーメン13を通じて吸引され易くなるため、このような配置とすることがより好ましい。また、図18に示すように、上述したチューブ本体2における、第2直線L4上の第2吸引用ルーメン13の中点Sが、第1仮想平面P1上に位置していない構成とする場合であっても、図25に示すように、第2吸引口部13bとしての吸引口については、第1交線L1上の点K1に近い位置に形成するようにすれば、異物Xを吸引し易い構成とすることができる。なお、図25は、図19と同位置での断面を示しており、この断面視において、第2吸引口部13bとしての吸引口のうち吸引口の最大径を構成する2点を通る第3直線L5(仮想線)上での吸引口の中点Uが第1仮想平面P1上に位置するように、第2吸引口部13bとしての吸引口は配置されている。
本発明は、気管チューブに関する。
1:気管チューブ
2:チューブ本体
3:カフ
4:フランジ部材
5:チューブ本体の先端
6:チューブ本体の基端
7:中空部
8:チューブ本体の先端部
9:チューブ本体のカフ装着部
10:チューブ本体の湾曲部
11:チューブ本体の基端部
12:第1吸引用ルーメン(第1ルーメン)
12a:第1基端開口
12b:第1吸引口部(吸引口)
13:第2吸引用ルーメン(第2ルーメン)
13a:第2基端開口
13b:第2吸引口部(吸引口)
14:カフ用ルーメン(第3ルーメン)
14a:第3基端開口
14b:流路
15:基端側の端縁部
16:先端側の端縁部
17:筒部
17a〜17c:連通孔
18:フランジ部
19、20:吸引用チューブ(医療用チューブ)
21:カフ用チューブ(医療用チューブ)
22:下面部
23:上面部
24:側面部
25:第1テーパー形状部(テーパー形状部)
26:内壁開口
27:外壁開口
28:先端開口
29:係合部
30:縁部
50:オブチュレータ
51:オブチュレータの基端部
52:フランジ部
53:オブチュレータの先端部
54:第2テーパー形状部(テーパー形状部)
61:第1切込部
62:第2切込部
71:第1頂部
72:第2頂部
73:第3頂部
A:チューブ本体の内周面の中心軸線の方向
B:チューブ本体の径方向
C:チューブ本体の周方向
K1:第1交線上の点
K2:第2交線上の点
L1:第1交線
L2:第2交線
L3:第1直線(仮想線)
L4:第2直線(仮想線)
L5:第3直線(仮想線)
M:テーパー形状部の基端を周方向に結ぶ線
N:テーパー形状部の先端を周方向に結ぶ線
O1:チューブ本体の内周面の中心軸線
O2:チューブ本体の外周面の中心軸線
P1:第1仮想平面
P2:第2仮想平面
R:第1直線上の第1吸引用ルーメンの中点
S:第2直線上の第2吸引用ルーメンの中点
T:チューブ本体の厚み
U:第3直線上の第2吸引口部の中点
X:異物
Y:環状空間
W:内壁開口の周方向における中点
θ1:中心軸線に対するチューブ本体のテーパー形状部の角度
θ2:第1仮想平面と、中心軸線及び第1直線上の第1吸引用ルーメンの中点Rを結ぶ直線とがなす角度
θ3:中心軸線に対するオブチュレータのテーパー形状部の角度
θ4:第1直線と第2直線とがなす角度
θ5:中心軸線と直交する断面と、第1頂部と第3頂部とを結ぶ直線とが、第1吸引口部の側面視においてなす角
θ6:中心軸線と直交する断面と、第2頂部と第3頂部とを結ぶ直線とが、第1吸引口部の側面視においてなす角

Claims (5)

  1. 湾曲部を介して先端部と基端部とが繋がっているチューブ本体と、前記チューブ本体の外周面上に取り付けられ、収縮及び拡張可能なカフと、を備える気管チューブであって、
    前記チューブ本体の壁内に、前記チューブ本体の内周面の中心軸線に沿って延在する吸引用ルーメンが区画され、当該吸引用ルーメンは、前記カフよりも前記基端部側の位置で、前記吸引用ルーメンの内壁に形成された内壁開口から前記外周面に形成された外壁開口まで貫通する吸引口を通じて外方と連通し、
    前記吸引口は、
    前記カフ側の第1切込部と、前記基端部側の第2切込部とにより規定され、
    前記第1切込部と前記第2切込部とが交わる2つの第3頂部を結ぶ直線上の当該気管チューブの外部の一点を視点として、前記第3頂部において前記中心軸線と直交する断面と、前記第1切込部及び当該気管チューブの前記外周面が交わる第1頂部と前記第3頂部とを結ぶ直線と、がなす角度を第1の角度とし、前記第3頂部において前記中心軸線と直交する断面と、前記第2切込部及び当該気管チューブの前記外周面が交わる第2頂部と前記第3頂部とを結ぶ直線と、がなす角度を第2の角度とした場合に、前記第1の角度よりも前記第2の角度が小さくなるように形成されていることを特徴とする気管チューブ。
  2. 前記先端部及び前記基端部の位置での前記中心軸線を含む平面を第1仮想平面とし、前記第1仮想平面と、当該断面上の前記中心軸線を通り前記第1仮想平面と直交する第2仮想平面よりも、前記チューブ本体の外周面のうち前記湾曲部の外側湾曲面側に位置する下面部とが交わる線を第1交線とした場合に、前記チューブ本体の周方向における前記内壁開口の中点の位置は、前記断面において、前記第1交線上の点から中心角が0〜60度の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の気管チューブ。
  3. 前記吸引口を前記外周面の外方から正面に見た場合に、前記カフ側に直線部を有する略半楕円形状であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の気管チューブ。
  4. 前記吸引口は、前記チューブ本体の外壁に形成された溝により構成されており、
    前記溝は、前記中心軸線と平行しない方向に前記チューブ本体の周方向に沿わず直線状に延在していることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の気管チューブ。
  5. 前記吸引用ルーメンを第1吸引用ルーメンとした場合に、前記チューブ本体の壁内に、前記中心軸線に沿って前記カフよりも前記基端部側から前記カフよりも前記先端部側まで延在すると共に、前記第1仮想平面と交わる位置に位置する第2吸引用ルーメンが区画されており、
    前記第1吸引用ルーメン及び前記第2吸引用ルーメンを含む前記中心軸線に直交する断面において、前記第1吸引用ルーメン及び前記第2吸引用ルーメンは略楕円形状を有すると共に、前記第2吸引用ルーメンが、前記第1吸引用ルーメンの長軸の延長線と交わらない位置に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の気管チューブ。
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