JPWO2016125835A1 - 樹脂膜形成用複合シート、及び樹脂膜付きチップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に、この樹脂膜付きチップは、樹脂を含む組成物の溶液をスピンコート法等により、ウエハの裏面に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を乾燥及び硬化させて樹脂膜を形成し、得られた樹脂膜付きウエハをダイシングすることで製造される。
このようなチップの裏面やウエハの裏面上に樹脂膜を形成する材料として、様々な樹脂膜形成用フィルムが提案されている。
例えば、特許文献1には、アクリル系共重合体からなるポリマー成分、エネルギー線硬化性成分、染料又は顔料、無機フィラー、及び光重合開始剤を含むエネルギー線硬化型保護膜形成層が2枚の剥離シートに挟持された構成を有するチップ保護用フィルムが開示されている。
特許文献1の記載によれば、当該チップ保護用フィルムは、エネルギー線の照射によって、レーザーマーキング認識性、硬度、及びウエハとの密着性が良好な保護膜を形成することが可能であるとし、従来のチップ保護用フィルムに比べて、工程の簡略化が可能とされている。
特許文献2の記載によれば、当該ウエハ裏面保護フィルムは、半導体ウエハのダイシング工程において、半導体ウエハとの保持力が良好であるとされている。
しかしながら、ウエハ上に一度貼付された保護フィルムを、ウエハ上に残渣を生じさせることなく、きれいにリワークすることは難しい場合が多い。
特に、特許文献1及び2に開示された保護フィルムは、貼付時のウエハとの密着性や、貼付後のウエハとの保持力の向上を目的としたものであるため、ウエハ上に一度貼付されると、ウエハとの密着性が高いため、リワークすることは大変困難である。
つまり、ウエハに一度貼付した保護フィルムを強引に剥がそうと、加えた力によってウエハが破損したり、保護フィルムを剥がせたとしても、ウエハ上に保護フィルムの一部が残存してしまい、当該ウエハを再利用することができない。
特許文献1及び2では、記載された保護フィルムについて、貼付時のウエハとの密着性や、貼付後のウエハとの保持力の観点からの検討はされているものの、一度ウエハに貼付された保護フィルムのリワーク性についての検討は一切なされていない。
〔1〕支持シート上に、樹脂膜を形成し得る樹脂膜形成用フィルムが直接積層した構成を有し、下記要件(I)及び(II)を満たす、樹脂膜形成用複合シート。
要件(I):シリコンウエハと貼付される側の前記樹脂膜形成用フィルムの表面(α)をシリコンウエハ上に貼付した後、23℃の環境下、引張速度300mm/分、及び引張角度180°での剥離条件(x)で測定した、当該シリコンウエハから、当該樹脂膜形成用フィルムを剥離するのに必要な剥離力(α1)が、0.05〜10.0N/25mmである。
要件(II):前記剥離条件(x)で測定した、前記支持シートと直接積層している側の前記樹脂膜形成用フィルムの表面(β)から、前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β1)が、剥離力(α1)以上の値である。
〔2〕さらに下記要件(III)を満たす、上記〔1〕に記載の樹脂膜形成用複合シート。
要件(III):前記樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成した際、前記剥離条件(x)で測定した、前記支持シートと直接積層している側の前記樹脂膜の表面(β’)から、前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β2)が、0.02〜5.0N/25mmである。
〔3〕剥離力(β1)が、0.05〜20.0N/25mmである、上記〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔4〕前記支持シートが、基材のみから構成されたシートである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔5〕前記支持シートが、基材上に粘着剤層を有する粘着シートであって、
当該粘着シートの粘着剤層と、前記樹脂膜形成用フィルムの表面(β)とが直接積層した構成を有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔6〕前記粘着剤層が、エネルギー線硬化型樹脂を含む粘着剤組成物から形成された層である、上記〔5〕に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔7〕前記樹脂膜形成用フィルムが、重合体成分(A)及び硬化性成分(B)を含む、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔8〕前記樹脂膜形成用フィルムが、保護膜又は接着膜の形成材料である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
〔9〕下記工程(1)〜(4)を有する、樹脂膜付きチップの製造方法。
工程(1):ワークの裏面に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シートを貼付する工程
工程(2):ワークをダイシングする工程
工程(3):樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成する工程
工程(4):工程(2)を経て得られたダイシングされたワークをピックアップし、チップを得る工程
また、「エネルギー線」とは、例えば、紫外線や電子線等を指し、紫外線が好ましい。
図1は、本発明の一態様の樹脂膜形成用複合シートの断面図である。
本発明の樹脂膜形成用複合シート(以下、単に「複合シート」ともいう)は、図1にも示されるとおり、支持シート上に、樹脂層を形成し得る樹脂膜形成用フィルムが直接積層した構成を有するものである。
なお、本発明の複合シートの形態については、特に制限は無く、例えば、長尺テープ状、単葉のラベル等の形態であってもよい。
本発明の一態様の複合シートの樹脂膜形成用フィルム20の形状としては、被着体であるシリコンウエハと略同一形状もしくはシリコンウエハの形状を含むことのできる形状であることが好ましい。
リング状の治具接着層40は、リングフレーム等の治具と接着する際に、当該治具に対する接着力を向上させる目的で設けられるものであり、基材(芯材)を有する両面粘着シートや、粘着剤から形成することができる。
なお、図1(c)に示された複合シート1cでは、治具接着層40は、樹脂膜形成用フィルム20の表面(α)21上に設けられているが、本発明の一態様の複合シートとしては、図1(b)に示されたような複合シート1bの支持シート10の表面上に治具接着層40を設けた構成としてもよい。
そのため、表面(α)21に異物の付着や傷付き等の防止のために、図1(d)に示すように、樹脂膜形成用フィルム20の表面(α)21上に、さらにシリコンウエハに貼付する際に剥離可能なキャリアシート50を積層した複合シート1dとしてもよい。
なお、図1(d)に示された複合シート1dが有するキャリアシート50は、樹脂フィルム等のキャリアシート用基材から構成されたものが挙げられるが、当該樹脂フィルム等のキャリアシート用基材の表面に剥離処理が施されたシートであることが好ましい。
また、複合シート1dの構成と同様に、図1(b)の複合シート1bにおいて、表面(α)21と支持シート10の表面とを覆うように、当該キャリアシートを更に設けてもよく、図1(c)に示す複合シート1cにおいて、表面(α)21と治具接着層40の表面とを覆うように、当該キャリアシートを設けてもよい。
なお、支持シートとして粘着シートを用いる場合、当該粘着シートの粘着剤層と、樹脂膜形成用フィルム20の表面(β)22とが直接積層した構成となる。
本発明の樹脂膜形成用複合シートは、下記要件(I)及び(II)を満たすことを要する。
要件(I):シリコンウエハと貼付される側の前記樹脂膜形成用フィルムの表面(α)をシリコンウエハ上に貼付した後、23℃の環境下、引張速度300mm/分、及び引張角度180°での剥離条件(x)で測定した、当該シリコンウエハから、当該樹脂膜形成用フィルムを剥離するのに必要な剥離力(α1)が、0.05〜10.0N/25mmである。
要件(II):前記剥離条件(x)で測定した、前記支持シートと直接積層している側の前記樹脂膜形成用フィルムの表面(β)から、前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β1)が、剥離力(α1)以上の値である。
なお、本明細書において、上記要件(I)、(II)で規定する「剥離力(α1)」及び「剥離力(β1)」は、実施例に記載の条件及び方法により測定された値を意味する。
要件(I)で規定する「剥離力(α1)」は、図2に示すように、シリコンウエハ100と、シリコンウエハと貼付される側の樹脂膜形成用フィルム20の表面(α)21との境界面α1における剥離力を規定したものである。
例えば、特許文献1及び2に開示されたような、従来の樹脂膜形成用フィルムは、シリコンウエハとの密着性及び保持性の向上を目的とする場合が多く、上記の剥離力(α1)の値を高くするための材料設計がなされている。
しかしながら、剥離力(α1)が10.0N/25mmを超えると、一旦シリコンウエハ上に貼付した樹脂膜形成用フィルムをリワークすることが事実上困難となる。つまり、このような場合、シリコンウエハ上に貼付した当該樹脂膜形成用フィルムを強引に剥がそうとすると、シリコンウエハ上に樹脂膜形成用フィルムの一部が残存することや、シリコンウエハが破損することが考えられ、当該シリコンウエハを再利用することができない。
そこで、本発明の複合シートにおいては、リワーク性に優れ、シリコンウエハへ貼付後でも剥離可能である複合シートを得るために、上記の剥離力(α1)を10.0N/25mm以下に調整している。
一方、上記の剥離力(α1)が0.05N/25mm未満であると、シリコンウエハに貼付後、特に複合シートの端部に浮きや剥がれが生じ易くなる傾向にある。
なお、支持シートとして粘着シートを用いる場合には、当該「剥離力(β1)」は、樹脂膜形成用フィルムの表面(β)と、支持シートとして用いる粘着シートの粘着剤層との境界面における剥離力を規定したものとなる。
剥離力(β1)が剥離力(α1)未満の値であると、シリコンウエハに貼付された複合シートをリワークする際に、シリコンウエハ上に樹脂膜形成用フィルムの全部又は一部が残存してしまい、当該シリコンウエハを再利用することができない。
また、剥離力(β1)と剥離力(α1)との差〔β1−α1〕としては、好ましくは20N/25mm以下、より好ましくは12N/25mm以下であるが、ダイシングしたシリコンウエハをピックアップする際において、ピックアップ性を良好とする観点から、より好ましくは8.0N/25mm以下、更に好ましくは6.0N/25mm以下、更に好ましくは4.0N/25mm以下、より更に好ましくは2.5N/25mm以下である。
剥離力(β1)が0.05N/25mm以上であれば、シリコンウエハに貼付された複合シートをリワークする際に、境界面β1において、樹脂膜形成用フィルムと支持シートとが分離してしまう現象を防ぐことができる。
一方、剥離力(β1)が20.0N/25mm以下であれば、ダイシングしたシリコンウエハをピックアップする際において、ピックアップ性を良好とすることができる。
具体的な剥離力(β1)の調整方法については、後述の各成分の項目に記載された事項を適宜考慮することで、調整可能である。
要件(III):前記樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成した際、前記剥離条件(x)で測定した、前記支持シートと直接積層している側の前記樹脂膜の表面(β’)から、前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β2)が、0.02〜5.0N/25mmである。
なお、本明細書において、上記要件(III)で規定する「剥離力(β2)」は、実施例に記載の条件及び方法により測定された値を意味する。
要件(III)で規定する「剥離力(β2)」は、例えば、図3に示すように、樹脂膜形成用フィルムから形成した樹脂膜30の表面(β’)32と、支持シート10との境界面β2における剥離力を規定したものである。
なお、支持シートとして粘着シートを用いる場合には、当該「剥離力(β2)」は、樹脂膜の表面(β’)と、支持シートとして用いる粘着シートの粘着剤層との境界面における剥離力を規定したものとなる。
一方、剥離力(β2)が5.0N/25mm以下であれば、ダイシングしたシリコンウエハをピックアップする際において、ピックアップ性を良好とすることができる。
本発明の一態様において、上記の剥離力(β2)は、上記観点から、好ましくは0.03〜4.0N/25mm、より好ましくは0.05〜2.5N/25mm、更に好ましくは0.10〜2.0N/25mm、より更に好ましくは0.15〜1.5N/25mmである。
また、支持シートとして粘着シートを用いる場合には、エネルギー線硬化型樹脂を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートを用いることが好ましい。エネルギー線を照射することで、粘着剤層の粘着力を低下させ、剥離力(β2)を上記範囲に属するように調整し易い。
以下、本発明の一態様の樹脂膜形成用複合シートを構成する各層について説明する。
本発明の一態様の複合シートが有する樹脂膜形成用フィルムとしては、剥離力(α1)及び(β1)が上記範囲となるものであればよいが、重合体成分(A)及び硬化性成分(B)を含む樹脂膜形成用フィルムであることが好ましい。
なお、当該樹脂膜形成用フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、成分(A)及び(B)と共に、さらに無機充填材(C)、着色剤(D)、カップリング剤(E)、及び汎用添加剤(F)から選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
以下、樹脂膜形成用フィルムに含まれる上記成分(A)〜(F)について、説明する。
また、剥離力(α1)、(β1)及び(β2)の値は、以下の各成分における好適事項を適宜組み合わせて考慮することで調整可能である。
本明細書において、「重合体成分」とは、質量平均分子量(Mw)が2万以上であり、少なくとも1種の繰り返し単位を有する化合物を意味する。
本発明の一態様で用いる樹脂膜形成用フィルムは、重合体成分(A)を含有することで、可とう性及び造膜性を付与し、シート性状維持性を良好とすることができる。
重合体成分(A)の質量平均分子量(Mw)としては、上記観点から、好ましくは2万以上、より好ましくは2万〜300万、より好ましくは5万〜200万、更に好ましくは10万〜150万である。
つまり、各成分の含有量の規定において、「樹脂膜形成用フィルムの全質量(100質量%)に対して」との語は、「樹脂膜形成用フィルムの形成材料である組成物の有効成分の全質量(100質量%)に対して」との語に置き換えてもよい。
さらに、上記の「有効成分」とは、組成物中の溶媒等の直接的及び間接的に反応や形成されるシートの物性に影響を与えない物質を除いた成分を意味し、具体的には、組成物中に含まれる水及び有機溶媒等の溶媒以外の成分を意味する。
これらの重合体成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系重合体(A1)の質量平均分子量(Mw)は、樹脂膜形成用フィルムに可とう性及び造膜性を付与する観点から、好ましくは2万〜300万、より好ましくは10万〜150万、更に好ましくは15万〜120万、より更に好ましくは25万〜100万である。
〔上記式(1)中、W1、W2、W3、W4・・・は、樹脂成分を構成するモノマー成分の質量分率(質量%)を示し、Tg1、Tg2、Tg3、Tg4・・・は、樹脂成分を構成する各モノマー成分のホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を示す。〕
アクリル系重合体(A1)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、アクリル系重合体(A1)が共重合体である場合、当該共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
なお、これらのアルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系重合体(A1)中の炭素数1〜3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a1−1)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは5〜98質量%、より好ましくは10〜95質量%、更に好ましくは20〜90質量%である。
構成単位(a1−1)と構成単位(a1−2)との含有比〔(a1−1)/(a1−2)〕としては、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは15/85〜85/15である。
構成単位(a2)を構成するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等の官能基を有する官能基含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類モノマー;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類モノマー;スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー:ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマー等が挙げられる。
これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
なお、エポキシ基含有モノマーに由来する構成単位を有するMwが2万以上のアクリル系重合体は、熱硬化性を有しているが、硬化性成分(B)ではなく、重合体成分(A)の概念に含まれるものとする。
アクリル系重合体(A1)中のヒドロキシ基含有モノマーに由来する構成単位(a2−1)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%である。
アクリル系重合体(A1)中のニトリル系モノマーに由来する構成単位(a2−2)の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
アクリル系重合体(A1)中のエポキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量としては、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0〜4質量%、より好ましくは0〜3質量%、更に好ましくは0〜2質量%、より更に好ましくは0質量%である。
硬化性成分(B)としてエポキシ系熱硬化性成分を用いる場合、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有量は、アクリル系重合体(A1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜2質量%、より更に好ましくは0質量%である。
本発明で用いる樹脂膜形成用フィルムは、必要に応じて、上述のアクリル系重合体(A1)以外のMw2万以上の重合体成分として、非アクリル系重合体(A2)を含有してもよい。
非アクリル系重合体(A2)としては、例えば、ポリエステル、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ゴム系重合体等が挙げられる。
これらの非アクリル系重合体(A2)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、エポキシ基を有するMwが2万以上のフェノキシ樹脂は、熱硬化性を有しているが、硬化性成分(B)ではなく、非アクリル系重合体(A2)に含まれるものとする。
硬化性成分(B)は、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて、硬質の樹脂膜を形成する役割を担うものである。
本発明で用いる樹脂膜形成用フィルムは、硬化性成分(B)として、熱硬化性成分(B1)及びエネルギー線硬化性成分(B2)の少なくとも一方を含むことが好ましく、樹脂膜形成用フィルムから形成される樹脂膜の着色を抑える観点、硬化反応を十分に進行させる観点、並びに、コスト削減の観点から、熱硬化性成分(B1)を含むことがより好ましい。
熱硬化性成分(B1)としては、少なくとも加熱により反応する官能基を有する化合物を含有することが好ましく、エポキシ基を有する化合物(B11)を含有することがより好ましい。
また、エネルギー線硬化性成分(B2)としては、エネルギー線照射により反応する重合性官能基を有する化合物(B21)を含有することが好ましい。
これらの硬化性成分が有する官能基同士が反応し、三次元網目構造が形成されることにより硬化が実現される。
熱硬化性成分(B1)としては、エポキシ系熱硬化性成分が好ましい。
エポキシ系熱硬化性成分は、エポキシ基を有する化合物(B11)と共に、熱硬化剤(B12)を組み合わせたものを用いることが好ましい。
なお、エポキシ基を有する化合物(B11)及び熱硬化剤(B12)は、質量平均分子量(Mw)が2万未満の化合物であり、上述の重合体成分(A)とは区別されるものである。
質量平均分子量(Mw)が2万以上のエポキシ基を有する化合物及び熱硬化剤は、重合体成分(A)に含まれるものとする。
これらのエポキシ化合物(B11)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(B11)の質量平均分子量(Mw)は、20,000未満であるが、成分(A)と組み合わせて用いることで、樹脂膜形成用フィルムを形成する組成物の粘度を抑制し、取り扱い性を向上させる等の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは100〜10,000である。
当該組成物中に含まれる、液体のエポキシ化合物と固体のエポキシ化合物との含有比〔液体のエポキシ化合物/固体のエポキシ化合物〕としては、剥離力(α1)を上述の範囲に調整する観点から、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20、より更に好ましくは30/70〜70/30である。
なお、液体のエポキシ化合物の割合が増えるほど、剥離力(α1)の値は大きくなり、固体のエポキシ化合物の割合が増えるほど、剥離力(α1)の値は小さくなる傾向がある。
熱硬化剤(B12)は、エポキシ化合物(B11)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が好ましい。
当該官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及び酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸無水物が好ましく、フェノール性水酸基及びアミノ基がより好ましく、アミノ基が更に好ましい。
アミノ基を有するアミン系熱硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。
これらの熱硬化剤(B12)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂膜形成用フィルムの熱硬化の速度を調整するために、硬化促進剤(B13)を用いてもよい。硬化促進剤(B13)は、熱硬化性成分(B1)として、エポキシ化合物(B11)と併用することが好ましい。
これらの硬化促進剤(B13)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エネルギー線硬化性成分(B2)としては、エネルギー線照射により反応する重合性官能基を有する化合物(B21)を単独で用いてもよいが、化合物(B21)と共に、光重合開始剤(B22)を組み合わせて用いることが好ましい。
エネルギー線照射により反応する重合性官能基を有する化合物(B21)(以下、「エネルギー線反応性化合物(B21)」ともいう)としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性官能基を有する化合物であればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
これらのエネルギー線反応性化合物(B21)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、エネルギー線反応性化合物(B21)は、質量平均分子量(Mw)が2万未満の化合物であり、上述の重合体成分(A)とは区別されるものである。
質量平均分子量(Mw)が2万以上のエネルギー線反応性化合物は、重合体成分(A)に含まれるものとする。
エネルギー線反応性化合物(B21)の質量平均分子量(Mw)は、20,000未満であるが、好ましくは100〜15,000、より好ましくは300〜10,000である。
上述のエネルギー線反応性化合物(B21)と共に、光重合開始剤(B22)と併用することで、重合硬化時間を短くし、光線照射量を少なくても、樹脂膜形成用フィルムの硬化を進行させることができる。
より具体的な光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、硬化性成分(B)の含有量には、上述のエポキシ化合物(B11)、熱硬化剤(B12)、及び硬化促進剤(B13)を含む熱硬化性成分(B1)、並びに、エネルギー線反応性化合物(B21)、及び光重合開始剤(B22)を含むエネルギー線硬化性成分(B2)の合計含有量である。
本発明の一態様で用いる樹脂膜形成用フィルムには、さらに無機充填材(C)を含むことが好ましい。
無機充填材(C)を含むことで、樹脂膜形成用フィルムから形成される樹脂膜の熱膨張係数を適度な範囲に調整することが可能となり、樹脂膜付きチップの熱膨張係数を最適化することで、当該チップが組み込まれた半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、樹脂膜形成用フィルムから形成される樹脂膜の吸湿率を低減させることも可能となる。
これらの無機充填材(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、シリカ及びアルミナが好ましい。
なお、本発明において、無機充填材(C)の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した値であり、体積中位粒径(D50)を意味する。
なお、樹脂膜形成用フィルム中の無機充填材の含有量が増えるほど、剥離力(α1)及び(β1)の値(特に、剥離力(β1)の値)が小さくなる傾向にある。
本発明の一態様で用いる樹脂膜形成用フィルムには、さらに着色剤(D)を含むことが好ましい。
樹脂膜形成用フィルムに着色剤(D)を含有することで、樹脂膜形成用フィルムから形成される樹脂膜を有する半導体チップを機器に組み込んだ際、周囲の装置から発生する赤外線等を遮蔽して、半導体チップの誤作動を防止することができる。
染料としては、例えば、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等のいずれの染料であっても用いることが可能である。
また、顔料としては、特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、電磁波や赤外線の遮蔽性が良好で、且つレーザーマーキング法による識別性をより向上させる観点から、黒色顔料が好ましい。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が挙げられるが、半導体チップの信頼性を高める観点から、カーボンブラックが好ましい。
なお、これらの着色剤(D)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様で用いる樹脂膜形成用フィルムには、さらにカップリング剤(E)を含むことが好ましい。
カップリング剤(E)を含むことで、得られる樹脂膜形成用フィルムから形成される樹脂膜は、耐熱性を損なうことなく、耐水性を向上させることもできる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
これらのカップリング剤(E)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オリゴマータイプのカップリング剤も含めたカップリング剤(E)の分子量としては、好ましくは100〜15000、より好ましくは150〜10000、より好ましくは200〜5000、更に好ましくは250〜3000、より更に好ましくは350〜2000である。
そのため、カップリング剤(E)の含有量は、剥離力(α1)、(β1)、及び(β2)を上述の範囲に調整する観点から、特に剥離力(α1)の調整の観点から、少ない方が好ましい。
上記観点から、カップリング剤(E)の含有量は、樹脂膜形成用フィルムの全質量(100質量%)に対して、好ましくは0.01〜4質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、更に好ましくは0.10〜1.5質量%、より更に好ましくは0.15〜1質量%である。
本発明の一態様で用いる樹脂膜形成用フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、上記の成分の他に、必要に応じて汎用添加剤(F)を含有してもよい。
汎用添加剤(F)としては、例えば、架橋剤、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤等が挙げられる。
これらの汎用添加剤(F)のそれぞれの含有量は、樹脂膜形成用フィルムの全質量(100質量%)に対して、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜2質量%である。
本発明の一態様の樹脂膜形成用フィルムの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、上述の各成分を含む樹脂膜形成用組成物を調製した後、適宜有機溶媒を加えて希釈し、樹脂膜形成用組成物の溶液を得る。そして、当該樹脂膜形成用組成物の溶液を、図1でいう、支持シート10、10’上に公知の塗布方法により塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることで、樹脂膜形成用フィルムを形成することができる。
有機溶媒を配合した場合の樹脂膜形成用組成物の溶液の固形分濃度は、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、更に好ましくは30〜65質量%である。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ロールナイフコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
2層以上の多層構造の樹脂膜形成用フィルムを製造するには、例えば、2つ以上の支持シート上に、それぞれ樹脂膜形成用組成物の溶液を塗布して塗膜を形成し、形成した各塗膜を重ね合わせて塗膜の積膜をしてから、乾燥させることで、多層構造からなる樹脂膜形成用フィルムを製造することができる。
本発明の一態様で用いる支持シートとしては、基材のみから構成されたシートや、基材上に粘着剤層を有する粘着シートが挙げられる。
本発明の一態様の複合シートが有する支持シートは、樹脂膜形成用シートの表面にホコリ等の付着を防止する剥離シート、もしくは、ダイシング工程等で樹脂膜形成用シートの面を保護するためのダイシングシート等の役割を果たすものである。
なお、上記の支持シートの厚さには、支持シートを構成する基材の厚さだでなく、粘着剤層を有する場合には、それらの層や膜の厚さも含む。
支持シートを構成する基材としては、樹脂フィルムが好ましい。
当該樹脂フィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムや直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム等のポリエチレンフィルム、エチレン・プロピレン共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。
本発明の一態様で用いる基材は、1種類の樹脂フィルムからなる単層フィルムであってもよく、2種類以上の樹脂フィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
また、本発明の一態様においては、上述の樹脂フィルム等の基材の表面に、表面処理を施こしたシートを支持シートとして用いてもよい。
また、これらの樹脂フィルムを着色したもの、又は印刷を施したもの等も使用できる。
さらに、樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を押出形成によりシート化したものであってもよく、延伸されたものであってもよく、硬化性樹脂を所定手段により薄膜化及び硬化してシート化したものが使われてもよい。
なお、ポリプロピレンフィルムを含む基材の構成としては、ポリプロピレンフィルムのみからなる単層構造であってもよく、ポリプロピレンフィルムと他の樹脂フィルムとからなる複層構造であってもよい。
樹脂膜形成用フィルムが熱硬化性である場合、基材を構成する樹脂フィルムが耐熱性を有することで、基材の熱によるダメージを抑制し、半導体装置の製造プロセスにおける不具合の発生を抑制できる。
本発明の一態様で支持シートとして用いる粘着シートとしては、上述の樹脂フィルム等の基材上に、粘着剤から形成した粘着剤層を有するものが挙げられる。
粘着剤層の形成材料である粘着剤としては、粘着性樹脂を含む粘着剤組成物が挙げられ、当該粘着剤組成物は、さらに上述の架橋剤や粘着付与剤等の汎用添加剤を含有してもよい。
当該粘着性樹脂としては、その樹脂の構造に着目した場合、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げられ、その樹脂の機能に着目した場合、例えば、エネルギー線硬化型粘着剤等が挙げられる。
本発明の一態様において、剥離力(β2)を上述の範囲に調整する観点、並びに、ピックアップ性を良好とする観点から、エネルギー線硬化型樹脂を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有する粘着シートが好ましい。
エネルギー線硬化型樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性基を有する樹脂であればよいが、重合性基を有する粘着性樹脂であることが好ましい。
当該アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(x1)を有するアクリル系重合体が好ましく、構成単位(x1)と、官能基含有モノマーに由来する構成単位(x2)とを有するアクリル系共重合体がより好ましい。
当該アルキル(メタ)アクリレートとしては、上述の構成単位(a1)を構成するアルキル(メタ)アクリレートと同じものが挙げられる。
なお、アルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上を併用してもよい。
構成単位(x1)の含有量は、アクリル系重合体の全構成単位(100質量%)に対して、通常50〜100質量%、好ましくは50〜99.9質量%、より好ましくは60〜99質量%、更に好ましくは70〜95質量%である。
なお、これらは、単独で又は2種以上を併用してもよい。
構成単位(x2)の含有量は、アクリル系重合体の全構成単位(100質量%)に対して、通常0〜40質量%、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。
エネルギー線重合性基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の重合性基を有する化合物であればよい。
当該架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等が挙げられるが、剥離力(β1)及び(β2)を上述の範囲に調整する観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
架橋剤の含有量は、上記粘着剤中に含まれるアクリル系樹脂の全質量(100質量部)に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは0.5〜10質量部、より更に好ましくは1〜8質量部である。
なお、粘着剤は、更に希釈溶媒を加えて、溶液形態としたり、エマルションの形態としてもよい。
治具接着層は、基材(芯材)を有する両面粘着シートや、粘着剤から形成することができる。
当該基材(芯材)としては、上述の基材として使用できる樹脂フィルムが挙げられ、ポリプロピレンフィルム、及びポリ塩化ビニルフィルムが好ましい。
また、上記粘着剤としては、上述の粘着シートの粘着剤層の形成材料である粘着剤と同じものが挙げられる。
治具接着層の厚さは、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜70μmである。
キャリアシートとしては、使用する際に剥離可能なものであれば特に制限はなく、上述の基材として使用できる樹脂フィルムや、当該樹脂フィルムの表面上に剥離処理が施されたシート等が挙げられる。
キャリアシートの厚さは、特に制限はなく、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜150μm、更に好ましくは10〜100μmである。
本発明の一態様の複合シートは、フェースダウン方式のチップ用半導体ウエハや半導体チップ等のワークの裏面に貼付され、ワーク上に樹脂膜を形成することができる。この樹脂膜は、半導体ウエハや半導体チップ等のワークの裏面を保護する保護膜としての機能を有する。例えば、半導体ウエハに貼付した場合には、樹脂膜がウエハを補強する機能を有するためにウエハの破損等を防止し得る。
他に、本発明の複合シートは、いわゆる先ダイシング法(半導体ウエハに回路面側から、得ようとするチップの厚さよりも深い溝を形成し、少なくとも溝に達するまで半導体ウエハの裏面側から薄化処理を行うことで、チップ群を得る方法)においても使用でき、個片化されたチップ群に貼付して用いてもよい。
以下、本発明の一態様の複合シートを用いた、樹脂膜付きチップを製造する方法の一例を説明する。
例えば、本発明の一態様の樹脂膜付きチップの製造方法として、下記工程(1)〜(4)を有する、ブレードダイシングによる方法が挙げられる。
工程(1):ワークの裏面に、本発明の一態様の樹脂膜形成用複合シートを貼付する工程
工程(2):ワークをダイシングする工程
工程(3):樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成する工程
工程(4):工程(2)を経て得られたダイシングされたワークをピックアップし、チップを得る工程
なお、本発明の一態様の樹脂膜付きチップの製造方法において、工程(1)の後の工程(2)〜(4)の順序は問わず、例えば、「工程(1)、(2)、(3)、(4)」の順序でもよく、「工程(1)、(3)、(2)、(4)」の順序でもよく、「工程(1)、(2)、(4)、(3)」の順序でもよい。
工程(1)は、シリコンウエハ等のワークの裏面に、本発明の一態様の複合シートの樹脂膜形成用フィルムを貼付する工程である。
本工程で使用するワークは、シリコンウエハであってもよく、また、ガリウム及び砒素等の化合物半導体ウエハであってもよい。また、半導体ウエハは、その表面に回路が形成されていると共に、裏面が適宜研削等され、厚さが50〜500μm程度とされたものであってもよい。
工程(2)は、ワークを、表面に形成された回路ごとにダイシングし、チップに加工する工程である。
なお、本工程でダイシングを行う対象物であるワークは、工程(1)を経て得られた樹脂膜形成用フィルム付きワークであってもよく、工程(1)の後、先に工程(3)を経て得られた樹脂膜付きワークであってもよい。
なお、ワークのダイシングは、公知の方法により行うことができる。
一方、工程(1)の後、工程(3)を経た場合、本工程にて、樹脂膜付きワークをダイシングして、ダイシングされた樹脂膜付きワークが得られる。
工程(3)は、ワークに貼付した複合シートの樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成する工程である。
通常、樹脂膜は、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて形成するが、樹脂膜形成用フィルム自体が保護膜や接着膜の機能を有するのであれば、未硬化の樹脂膜形成用フィルムをそのまま樹脂膜とすることもできる。
なお、形成される樹脂膜は、完全に硬化させたものでもよく、一部が硬化されたものであってもよいが、完全に硬化されたものであることが好ましい。
熱硬化を行う場合の条件としては、硬化温度が、好ましくは100〜150℃であり、硬化時間が、好ましくは1〜3時間である。
また、エネルギー線の照射による硬化を行う場合の条件としては、使用するエネルギー線の種類により適宜設定される。例えば、紫外線を用いる場合、照度は好ましくは170〜250mw/cm2であり、光量は600〜1000mJ/cm2である。
工程(4)は、工程(2)を経て得られたダイシングされたワークをコレット等の汎用手段によりピックアップし、チップを得る工程である。本工程を経ることで、個別化されたチップを得ることができる。
工程(3)で、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて樹脂膜を形成している場合、樹脂膜の表面(β’)から前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β2)の値が上述の範囲であれば、ピックアップ適性が良好であり、樹脂膜付きチップの生産性を向上させることができる。
未硬化の樹脂膜形成用フィルムと、支持シートとして粘着シートとが積層した複合シートを使用している場合、この粘着シートは、エネルギー線硬化型樹脂を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層を有することが好ましい。
このような粘着剤層を有する粘着シートであれば、本工程のピックアップの作業の前に、エネルギー線を照射して、粘着剤層の粘着力を低下させることで、ピックアップ性を良好とすることができる。このようにエネルギー線を照射することで、未硬化の樹脂膜形成用フィルムの表面から、当該粘着シートを剥離するのに必要な剥離力の値を、上述の剥離力(β2)と同様の範囲に調整し易くなると考えられる。
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8220GPC」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−H」「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
上述の式(1)により算出された値を用いた。
表1に示す種類及び配合量(有効成分比)の各成分を配合し、メチルエチルケトンで希釈し、固形分濃度61質量%の樹脂膜形成用フィルムの樹脂膜形成用組成物の溶液を調製した。
そして、剥離処理が施された表面を有する樹脂フィルムから構成されたキャリアシート(リンテック社製、商品名「SP−PET3811」、厚さ:38μm)の剥離処理が施された表面上に、当該樹脂膜形成用組成物の溶液を塗布し、120℃で2分間の乾燥処理を行った。そして、当該キャリアシート上に厚さ25μmの樹脂膜形成用フィルムを形成し、キャリアシート及び樹脂膜形成用フィルムから構成されてなる積層体(1)を作製した。
そして、積層体(1)の樹脂膜形成用フィルム上に、表1に示す種類の支持シート(I)〜(VII)のいずれかを貼り合わせ、支持シート、樹脂膜形成用フィルム、及びキャリアシートをこの順に積層した積層体(2)を作製した。
なお、支持シート(I)、(II)、(IV)〜(VII)を用いる場合、当該樹脂膜形成用フィルムと、これらの支持シートの粘着剤層とが直接積層するように貼り合わせて、積層体(2)を作製した。
<重合体成分>
・(A−1):エチルアクリレート(EA)、n−ブチルアクリレート(BA)、及びアクリロニトリル(AN)からなるアクリル共重合体(Mw=85万、Tg=12℃)。
・(A−2):メチルアクリレート(MA)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル共重合体(MA/HEA=85/15(質量%)、Mw=37万、Tg=6℃)。
・(A−3):メチルアクリレート(MA)、n−ブチルアクリレート(BA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、及びグリシジルメタクリレート(GMA)からなるアクリル共重合体(MA/BA/HEA/GMA=70/10/15/5(質量%)、Mw=80万、Tg=−1℃)。
<硬化性成分>
・(B−1):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名「jER828」、25℃で液体、エポキシ化合物(B11)に該当する化合物)。
・(B−2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名「jER1055」、25℃で固体、エポキシ化合物(B11)に該当する化合物)。
・(B−3):ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC(株)製、商品名「エピクロンHP−7200HH」、25℃で固体、エポキシ化合物(B11)に該当する化合物)。
・(B−4):アミン系硬化剤(ADEKA(株)製、商品名「アデカハードナー3636AS」、熱硬化剤(B12)に該当する化合物)。
・(B−5):硬化促進剤(四国化成工業社製、商品名「キュアゾール2PHZ」、硬化促進剤(B13)に該当する化合物)。
<無機充填材>
・(C−1):シリカフィラー(アドマテックス社製、商品名「SC2050MA」)。
<着色剤>
・(D−1):カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#MA650」)。
<シランカップリング剤>
・(E−1):シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、商品名「A−1110」)。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製)の一方の表面上に、粘着剤(i)から形成された厚さ90μmの粘着剤層を有する粘着シート(粘着剤層の表面の表面張力=30mN/m)。
当該粘着剤(i)は、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、メチルメタクリレート(MMA)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系樹脂(2EHA/MMA/HEA=60/30/10(質量%)、Mw=50万)100質量部(固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「タケネートD110N」)10質量部(固形分)を含む。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製)の一方の表面上に、粘着剤(ii)から形成された厚さ90μmの粘着剤層を有する粘着シート(粘着剤層の表面の表面張力=33mN/m)。
当該粘着剤(ii)は、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、メチルメタクリレート(MMA)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系樹脂(2EHA/MMA/HEA=60/30/10(質量%)、Mw=50万)100質量部(固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「タケネートD110N」)5質量部(固形分比)を含む。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製、表面張力=35mN/m)のみから構成された支持シート。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製)の一方の表面上に、エネルギー線硬化型粘着剤(iii)から形成された厚さ90μmの粘着剤層を有する粘着シート。
当該エネルギー線硬化型粘着剤(iii)は、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)40質量部、酢酸ビニル(VAc)40質量部、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(HEA)20質量部を共重合して得られるプレ共重合体(2EHA/VAc/HEA=40/40/20(質量%))に、さらに2−イソシアナトエチルメタクリレート21.4質量部(HEAの水酸基100モル%に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレートのイソシアナト基が80モル%となる量)を反応させて得られたエネルギー線硬化型アクリル系共重合体(質量平均分子量:60万)100質量部(固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「タケネートD110N」)5質量部(固形分)を含む。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製)の一方の表面上に、粘着剤(iv)から形成された厚さ10μm の粘着剤層を有する粘着シート(粘着剤層の表面の表面張力=33mN/m)。
当該粘着剤(iv)は、ブチルアクリレート(BA)、メチルアクリレート(MA)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系樹脂(BA/MA/HEA=60/30/10(質量%)、Mw=80万)100質量部(固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「タケネートD110N」)1質量部(固形分)を含む。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製)の一方の表面上に、粘着剤(v)から形成された厚さ10μmの粘着剤層を有する粘着シート(粘着剤層の表面の表面張力=29mN/m)。
当該粘着剤(v)は、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、メチルメタクリレート(MMA)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系樹脂(2EHA/MMA/HEA=50/40/10(質量%)、Mw=80万)100質量部(固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「タケネートD110N」)10質量部(固形分)を含む。
厚さ80μmのポリプロピレンフィルム(三菱樹脂(株)製)の一方の表面上に、粘着剤(vi)から形成された厚さ10μm の粘着剤層を有する粘着シート(粘着剤層の表面の表面張力=33mN/m)。
当該粘着剤(vi)は、ブチルアクリレート(BA)、メチルアクリレート(MA)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系樹脂(BA/MA/HEA=60/30/10(質量%)、Mw=80万)100質量部(固形分)、及び3官能キシリレンジイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「タケネートD110N」)2質量部(固形分)を含む。
積層体(1)の表出している樹脂膜形成用フィルムの表面上に、裏打ちテープとして、粘着テープ(リンテック社製、商品名「PET25PLシン」、厚さ25μmのPETフィルム上に、アクリル系樹脂を含む厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着シート)を貼付し、横25mm×縦150mmの大きさに切断し、試験用サンプルを作製した。
当該試験サンプルのキャリアシートを除去し、表出した樹脂膜形成用フィルムの表面と、ドライポリッシュ研削を施したシリコンウエハ(直径:6インチ、厚さ:500μm)の表面とを、ラミネーター(Fuji社製、製品名「LAMIPACKER LPD3214」)を用いて貼付し、30分間静置した。
静置後、精密万能試験機(島津製作所(株)製、製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、剥離角度180°、測定温度23℃、引張速度300mm/分にて、引っ張り試験を行い、シリコンウエハから、上記裏打ちテープ及び試験サンプルを一緒に剥がした際の荷重を測定した。
測定長さは100mmとし、測定の最初の10mmと最後の10mmは有効値から除外した。得られた測定値のうち最大値を剥離力(α1)とし、表1に記載している。
積層体(2)を横25mm×縦150mmの大きさに切断し、キャリアシートを除去し、樹脂膜形成用フィルムの表面を表出させたものを試験サンプルとした。
ポリメチルメタクレートからなる支持板と、当該試験サンプルの表出した樹脂膜形成用フィルムの表面とを、両面テープ(ポリエチレンテレフタレートからなる厚さ25μmの基材の両面に、アクリル系粘着剤からなる厚さ10μmの粘着剤層をそれぞれ有する両面テープ)を介して貼り合わせ、30分間静置した。
なお、当該両面テープは、引っ張り試験の際に、支持板と樹脂膜形成用フィルムとを固定することができる粘着力を有するものである。
静置後、精密万能試験機(島津製作所(株)製、製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、剥離角度180°、測定温度23℃、引張速度300mm/分にて、引っ張り試験を行い、樹脂膜形成用フィルムの表面(β)から支持シート(I)〜(IV)のいずれかを剥がした際の荷重を測定した。
測定長さは100mmとし、測定の最初の10mmと最後の10mmは有効値から除外した。得られた測定値のうち最小値を剥離力(β1)とし、表1に記載している。
積層体(2)を横25mm×縦150mmの大きさに切断し、キャリアシートを除去し、樹脂膜形成用フィルムの表面を表出させたものを試験サンプルとした。
表出した樹脂膜形成用フィルムの表面と、ドライポリッシュ研削を施したシリコンウエハ(直径:6インチ、厚さ:500μm)の表面とを、ラミネーター(Fuji社製、製品名「LAMIPACKER LPD3214」)を用いて貼付し、30分間静置した。
静置後、130℃で2時間加熱し、樹脂膜形成用フィルムを硬化させて樹脂膜を形成し、剥離力(β1)の測定と同様にして、当該樹脂膜の表面(β’)から支持シート(I)〜(IV)を剥がした際の荷重を測定した。
なお、実施例4については、樹脂膜を形成した後、UV照射装置(リンテック社製、商品名「RAD2000m/8」を用いて、紫外線(照度:220mW/cm2、光量:190mJ/cm2)を照射した後、上記測定を行った。
測定長さは、100mmとし、測定の最初の10mmと最後の10mmは有効値から除外した。得られた測定値のうち最小値を剥離力(β2)とし、表1に記載している。
積層体(2)を横25mm×縦150mmの大きさに切断し、キャリアシートを除去し、樹脂膜形成用フィルムの表面(β)を表出させたものを試験サンプルとした。
表出した樹脂膜形成用フィルムの表面と、ドライポリッシュ研削を施したシリコンウエハ(直径:6インチ、厚さ:500μm)の表面とを、ラミネータ―(Fuji社製、LAMIPACKER LPD3214)を用いて貼付し、30分間静置した。
静置後、精密万能試験機(島津製作所(株)製、製品名「オートグラフAG−IS」)を用いて、剥離角度180°、測定温度23℃、引張速度300mm/分にて、シリコンウエハから当該試験サンプル(支持シート及び樹脂膜形成用フィルム)を剥がし、シリコンウエハの表面上に樹脂膜形成用フィルムの一部が付着しているかを目視で観察した。その上で、下記の基準により、シリコンウエハに対するリワーク性を評価した。
・「A+」:シリコンウエハの表面上に、樹脂膜形成用フィルムの付着物が見られない。
・「A」:シリコンウエハの表面上に、樹脂膜形成用フィルムの直径5mm以上の付着物は見られず、直径5mm未満の付着物が極僅かに確認されるが、アルコール等で十分除去できる程度である。
・「B」:シリコンウエハの表面上に、樹脂膜形成用フィルムの直径10mm以上の付着物は見られず、直径10mm未満の付着物が若干に確認されるが、アルコール等で十分除去できる程度である。
・「C」:シリコンウエハの表面上に、樹脂膜形成用フィルムの直径10mm以上の付着物が確認され、アルコール等でも除去することも難しい。
10 支持シート
20 樹脂膜形成用フィルム
21 表面(α)
22 表面(β)
30 樹脂膜
31 表面(α’)
32 表面(β’)
40 治具接着層
50 キャリアシート
100 シリコンウエハ
Claims (9)
- 支持シート上に、樹脂膜を形成し得る樹脂膜形成用フィルムが直接積層した構成を有し、下記要件(I)及び(II)を満たす、樹脂膜形成用複合シート。
要件(I):シリコンウエハと貼付される側の前記樹脂膜形成用フィルムの表面(α)をシリコンウエハ上に貼付した後、23℃の環境下、引張速度300mm/分、及び引張角度180°での剥離条件(x)で測定した、当該シリコンウエハから、当該樹脂膜形成用フィルムを剥離するのに必要な剥離力(α1)が、0.05〜10.0N/25mmである。
要件(II):前記剥離条件(x)で測定した、前記支持シートと直接積層している側の前記樹脂膜形成用フィルムの表面(β)から、前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β1)が、剥離力(α1)以上の値である。 - さらに下記要件(III)を満たす、請求項1に記載の樹脂膜形成用複合シート。
要件(III):前記樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成した際、前記剥離条件(x)で測定した、前記支持シートと直接積層している側の前記樹脂膜の表面(β’)から、前記支持シートを剥離するのに必要な剥離力(β2)が、0.02〜5.0N/25mmである。 - 剥離力(β1)が、0.05〜20.0N/25mmである、請求項1又は2に記載の樹脂膜形成用複合シート。
- 前記支持シートが、基材のみから構成されたシートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
- 前記支持シートが、基材上に粘着剤層を有する粘着シートであって、
当該粘着シートの粘着剤層と、前記樹脂膜形成用フィルムの表面(β)とが直接積層した構成を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。 - 前記粘着剤層が、エネルギー線硬化型樹脂を含む粘着剤組成物から形成された層である、請求項5に記載の樹脂膜形成用複合シート。
- 前記樹脂膜形成用フィルムが、重合体成分(A)及び硬化性成分(B)を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
- 前記樹脂膜形成用フィルムが、保護膜又は接着膜の形成材料である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シート。
- 下記工程(1)〜(4)を有する、樹脂膜付きチップの製造方法。
工程(1):ワークの裏面に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂膜形成用複合シートを貼付する工程
工程(2):ワークをダイシングする工程
工程(3):樹脂膜形成用フィルムから樹脂膜を形成する工程
工程(4):工程(2)を経て得られたダイシングされたワークをピックアップし、チップを得る工程
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