<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る走行計画提示装置20の構成を示す図である。また、図2は、各地を走行する車両の情報(車両情報)を走行計画提示装置20に配信する車両情報配信システムの構成を示す図である。
走行計画提示装置20は、ユーザの車両(以下「自車」ともいう)100の走行計画を作成し、作成した走行計画をユーザに提示する装置である。実施の形態1では、走行計画提示装置20は、例えば携帯電話やスマートフォンなど、自車100とは独立した機器に搭載されているものと仮定する。ただし、自車100の情報(自車情報)を走行計画提示装置20に登録することによって、走行計画提示装置20は自車100に対応付けされる。
走行計画提示装置20が提示する走行計画は、自車100の走行予定経路だけでなく、自車100を他の車両(以下「他車」ともいう)101に追従させて走行する追従走行の計画も含まれている。すなわち、走行計画には、少なくとも、自車100の走行予定経路の情報と、走行予定経路において自車100を手動運転で走行させる区間(手動運転区間)を示す情報と、走行予定経路において自車100を他車101(先導車)に追従させて走行させる区間(追従走行区間)を示す情報と、それぞれの追従走行区間で先導車となる他車101を示す情報とが含まれる。
図1に示すように、走行計画提示装置20は、走行計画作成装置10と、走行計画作成装置10と連携して動作する入力装置21、通信装置22、地図情報記憶装置23および表示装置24とから成るシステムとして構成されている。
入力装置21は、ユーザが走行計画作成装置10に対して入力する操作や情報を受け付けるユーザインターフェイスである。入力装置21は、操作ボタンやマウス等のハードウェアでもよいし、画面に表示されるアイコンを用いたソフトウェアキーでもよい。さらに、ユーザが音声で操作内容を入力する音声認識装置であってもよい。
入力装置21から入力される情報には、走行計画作成装置10が走行計画を作成するために必要な自車100の情報(自車情報)と、走行計画作成装置10が走行計画を作成する際に優先させる項目(優先項目)とが含まれる。また、走行計画作成装置10は、追従走行制御装置40との通信を行い、追従走行制御装置40に対し、走行計画に従った追従走行指示を送信する。追従走行制御装置40は、追従走行指示に基づいて自車100の走行制御系(不図示)を制御して、自車100を追従すべき先行車両に追従させる。また、追従走行制御装置40は、手動運転が計画されている区間(手動運転区間)を自車100が走行しているときは、自車100に定速走行を行わせたり、ユーザに自車100の手動運転を行わせるように促したりする。なお、優先項目は、ユーザが入力したものに限られず、例えば、予め定められたものでもよい。
図3は、自車情報の例を示す図である。自車情報には、少なくとも、自車100の出発地から目的地までの走行予定経路を特定できる情報と、自車の出発予定時刻の情報とが含まれていればよい。図3では、さらに自車情報の付属情報(付属自車情報)として、自車100の最高速度や最適速度などの性能(車両性能)の情報と、自車100が追従走行するときに先導を許可する車両の条件(先導車条件)とを含ませている。車両性能の情報は、走行計画作成装置10が走行計画を作成する際に、自車100が性能的に追従可能な他車101を先導車の候補にするために用いられる。先導車条件は、走行計画作成装置10が走行計画を作成する際に、ユーザの好みに応じた他車101を先導車の候補にするために用いられる。
図3では、先導車条件を「小型車を除く」とした例を示したが、例えば、「自車よりも車両性能が劣る車両」、「走行制約条件が自車と同じ」、「走行方式(エンジン、EV(Electric Vehicle)、FCV(Fuel Cell Vehicle)など)が同じ車両」などでもよい。また、先導車条件は可または不可の二者択一ではなく、優先度を設けてもよい(例えば、「軽自動車よりも、小型自動車や普通自動車を優先する」など)。
また、本実施の形態では、走行計画作成装置10に経路探索機能を持たせており、ユーザが入力装置21を用いて出発地と目的地(さらには経由地)を入力すると、走行計画作成装置10が適切な経路を探索して、走行予定経路を決定する構成となっている。出発地、目的地、経由地の表現形式は、住所でもよいし、緯度・経度でもよい。
また、優先項目は、走行計画について運転者にかかる負担(運転者負担)の大きさを評価するための評価基準となるものである。本実施の形態では、優先項目の候補として、予め複数の項目が用意されており、ユーザがそれらのうちの1以上を優先項目として選択するものとする。優先項目としては、走行予定経路の全長に占める追従走行区間の割合(追従走行距離の長さ)、目的地への到着時刻、全走行時間に占める追従走行区間の走行時間の割合(追従走行時間の長さ)、先導車の変更回数などが考えられる。また、先導車とする他車101の情報(図4に示す運転評価値、経路確実性など)を、優先項目とすることも考えられる。
走行計画作成装置10は、ユーザが設定(選択)した優先項目に基づき評価した運転者負担が最小となるように、走行計画を作成する。また、優先項目が複数設定されている場合には、走行計画作成装置10が、それぞれの優先項目ごとに、運転者負担が最小となる走行計画を作成し、ユーザがそのうちの一つを選択するようにしてもよい。
図1の説明に戻り、走行計画提示装置20の通信装置22は、走行計画作成装置10が車両情報配信システム(図2)の車両情報サーバー102との通信を行うためのものである。車両情報サーバー102は、各地を走行する複数の車両(他車)101が送信する車両情報を収集しており、走行計画作成装置10からの要求に応じて、各他車101の車両情報を、他車情報として走行計画作成装置10へ送信する。このとき、車両情報サーバー102は、必ずしも全ての他車101の車両情報を、他車情報として走行計画作成装置10へ送信しなくてもよく、例えば、自車100の走行予定経路を通る予定のある他車101の車両情報のみを送信したり、自車100の走行予定経路から一定範囲内に存在する他車101の車両情報のみを送信したりしてもよい。
本実施の形態の車両情報配信システムでは、自家用車である他車101は、車両情報を車両情報サーバー102へ直接送信する。しかし、他車101が商用車(路線バス、高速バス、配送車両、商用の先導車など)の場合は、他車101が車両情報を車両情報サーバー102へ直接送信する形態だけでなく、他車101の属する企業103が、他車101の車両情報を車両情報サーバー102へ送信する形態も考えられる。その場合、車両情報には、バスの運行情報(路線図、時刻表、運行遅延情報など)や配送車両の配送情報(配送経路および配送スケジュール)などを含んでいてもよい。
図4は、車両情報サーバー102が走行計画作成装置10へ送信する車両情報(他車情報)の例を示す図である。他車情報には、少なくとも、複数の他車101の走行予定経路と、その走行予定経路上の各地点の通過予定時刻とを予測可能な情報が含まれていればよい。他車101が商用車の場合、それらの情報は、バスの運行情報や配送車両の配送情報から求めたものでもよい。
図4では、さらに他車情報の付属情報(付属他車情報)として、他車101の出発予定時刻、出発地、目的地、先導車としての質の高さの評価値(運転評価値)、走行予定経路および通過予定時刻の確実性(経路確実性)、並びに、先導車となるときに追従を許可する車両の条件(追従車条件)を含ませている。運転評価は、例えば先導車としての実績(例えば、先導車としての走行時間の長さ)や、過去に先導した追従者からの評価などに基づいて決められる。経路確実性は、走行予定経路や経由地に高い計画性が求められない他車101(主に自家用車)では低い値となり、走行予定経路や経由地に高い計画性が求められる他車101(主に商用車)では高い値となる。
その他、他車情報には、他車101の予想速度の情報を含ませてもよい。他車情報に予想速度が含まれる場合には、走行計画作成装置10が走行予定経路と予想速度とから、各地点の通過予定時刻を推定できる。その場合には、必ずしも車両情報サーバー102が各地点の通過予定時刻の情報を配信しなくてもよい。逆に、図4のように、各地点の通過予定時刻が含まれていれば、走行計画作成装置10は、それらの値から他車101の予想速度を算出することができる。
図1の説明に戻り、走行計画提示装置20の地図情報記憶装置23は、道路網のデータを含む地図情報を記憶する記憶媒体であり、例えばハードディスク、リムーバブルディスク、メモリなどで構成される。この地図情報は、走行計画作成装置10が自車100の走行予定経路を決定するための経路探索を行うときや、作成した走行計画を地図に重畳して表示させるときに用いられる。
表示装置24は、走行計画作成装置10が作成した走行計画を表示してユーザに提示するためのものである。なお、入力装置21としてのソフトウェアキーを、表示装置24の画面に表示させる場合、表示装置24と入力装置21は、両者の機能を兼ね備えた1つのタッチパネルとして構成されてもよい。
次に、走行計画作成装置10の構成を説明する。走行計画作成装置10は、自車情報取得部11、他車情報取得部12、走行計画算出部13、優先項目設定部14、走行計画保持部15、表示処理部16および走行計画再算出指示部17から構成されている。
自車情報取得部11は、ユーザが入力装置21から入力した自車100の情報(自車情報)を取得する。自車情報の例は図3に示したが、自車情報には、少なくとも、自車100の出発地から目的地までの走行予定経路を特定できる情報と、自車の出発予定時刻の情報とが含まれていればよい。
本実施の形態では、自車情報取得部11は、地図情報記憶装置23に記憶されている地図情報を用いた経路探索を行う走行予定経路取得部11aを備えた構成となっている。走行予定経路取得部11aは、自車100の出発地と目的地との間の最適な経路を探索することによって、自車100の走行予定経路を決定する。この構成によれば、ユーザは、自車100の走行予定経路の情報の代わりに、出発地と目的地の情報を入力装置21に入力すればよいため、利便性が向上する。
なお、走行予定経路取得部11aは、自車100の走行予定経路を自ら算出せずに、外部のナビゲーション装置が算出した走行予定経路を取得するものであってもよい。また、ユーザが入力装置21から走行予定経路の情報を入力可能な場合には、走行予定経路取得部11aは省略してもよい。
他車情報取得部12は、通信装置22を用いて、車両情報サーバー102から、複数の他車101の車両情報(他車情報)を取得する。他車情報の例は図4に示したが、他車情報には、少なくとも、各他車101の走行予定経路と、当該走行予定経路上の各地点の通過予定時刻とを予測可能な情報が含まれていればよい。
走行計画算出部13は、自車情報および他車情報に基づいて、自車100の走行計画を作成する。先に述べたように、走行計画には、少なくとも走行予定経路の情報と、その走行予定経路における手動運転区間および追従走行区間を示す情報と、それぞれの追従走行区間で先導車となる他車101を示す情報と、が含まれる。また、走行計画算出部13は、追従走行区間ごとに、複数の他車101のうちから先導車を選択する。
優先項目設定部14は、ユーザが入力装置21を用いて選択した優先項目の情報を取得して、選択された優先項目を走行計画算出部13に設定する。
走行計画保持部15は、走行計画算出部13が算出した走行計画を保持する。表示処理部16は、走行計画保持部15に保持されている走行計画を、表示装置24に表示させるための処理を行う。
走行計画再算出指示部17は、予め定められた条件が満たされた場合に、走行計画算出部13に対して走行計画の再算出を指示する。実施の形態1では、走行計画再算出指示部17が、前回の走行計画の算出から一定時間が経過した場合と、車両情報サーバー102が配信する他車情報に変更があった場合とに、走行計画算出部13に対して走行計画の再算出を指示するものとする。
図5は、実施の形態1に係る走行計画作成装置10のハードウェア構成を示す図である。図5のように、走行計画作成装置10は、少なくともプロセッサ51、メモリ52(記憶装置)、入出力インターフェイス53を含む構成となっている。上記の自車情報取得部11、他車情報取得部12、走行計画算出部13、優先項目設定部14、走行計画保持部15、表示処理部16および走行計画再算出指示部17は、プロセッサ51がメモリ52に記憶されたプログラムを実行することにより実現される(走行計画保持部15としての記憶領域は、メモリ52内に確保される)。
また、走行計画提示装置20を構成する入力装置21、通信装置22、地図情報記憶装置23および表示装置24は、入出力インターフェイス53に接続され、プロセッサ51がメモリ52に記憶されたプログラムを実行することによって制御される。図1では、入力装置21、通信装置22、地図情報記憶装置23および表示装置24が、走行計画作成装置10に外付けされた構成としたが、それらのハードウェアが走行計画作成装置10の内部に配設されるようにしてもよい。
なお、図5には、プロセッサ51およびメモリ52を1つずつ示したが、複数のプロセッサ51および複数のメモリ52が連携して、走行計画作成装置10の各要素の機能を実現してもよい。
ここで、追従走行の幾つかの例を示しつつ、追従走行と運転者負担との関係について説明する。図6〜図31において、自車Sは図2の自車100に対応し、他車X1,X2,…のそれぞれは図2の他車101に対応している。
まず、図6のように、道路R1,R2を走行予定の自車Sと、道路R3,R2を走行予定の他車X1とが、交差点C1(道路R1,R2,R3の接続地点)にほぼ同じ時刻に到達する場合を考える。自車Sおよび他車X1が道路R2に進入した後、図7のように、自車Sを他車X1に後続させた状態で、自車Sの運転者が自車Sに特定の操作を行うと、自車Sは他車X1を先導車とする追従走行を開始する。通常は、自車Sを追従走行させることによって、運転者負担が軽減される。
しかし、例えば他車X1の速度が非常に遅い場合には、自車Sを他車X1に追従させると目的地への到着時刻が遅くなる(走行時間が長くなる)ため、長時間運転を負担に感じる運転者にとっては、むしろ運転者負担が増えることも考えられる。そのよう場合には、図8のように、道路R2で自車Sを手動運転して目的地への走行時間を短縮する方が、運転者負担は低減される。このように、追従走行と運転者負担とは一定の関係にはなく、運転者の嗜好によって変わる。
ユーザが入力装置21を用いて走行計画作成装置10に入力する優先項目は、そのような運転者の嗜好に基づいて運転者負担を評価するための評価基準となる。例えば、優先項目が「追従走行距離の長さ」であれば、追従走行距離が長くなる図7のような走行計画よりも、図8のような走行計画の方が運転者負担が大きいと評価される。また、優先項目が「目的地への到着時刻」であれば、走行時間が短縮される図8のような走行計画の方が、図7のような走行計画よりも運転者負担が小さいと評価される。
次に、図9のように、道路R1,R2を走行予定の自車Sが追従可能な2台の他車X1,X2が存在する場合を考える。この例では、他車X1は自車Sと同じく道路R1,R2を走行予定であり、他車X2は道路R1,R3を走行予定である。また、他車X1は他車X2よりも速度が遅いものとする。
この場合、図10のように自車Sを他車X1に追従させると、道路R1,R2で自車Sを他車X1に追従させて走行できるため、追従走行距離を長くできる点では運転者負担を小さくできるが、その反面、目的地への到着時刻は遅くなる。また、図11のように自車Sを他車X2に追従させると、走行時間を短縮できる点では運転者負担を小さくできるが、交差点C1(道路R1,R2,R3の接続地点)までしか自車Sを追従走行させることができないため追従走行距離は短くなる。
本実施の形態では、追従走行の途中で先導車を変更することも想定される。例えば、図12のように、道路R1において、道路R1,R4を走行予定の自車Sが、道路R1,R2を走行予定の他車X1を先導車として追従走行している場合を考える。この例において、道路R3,R4を走行予定の他車X2が存在し、他車X1と他車X2とが交差点C1(道路R1〜R4の接続地点)にほぼ同じ時刻に到達するものとする。この場合、交差点C1で自車Sの他車X1への追従を終了させ、その後、図13のように自車Sを他車X2に追従させることができる。このように先導車を乗り継ぐことで、追従走行距離を長くすることができる。
さらに、本実施の形態では、先導車の変更のしやすさも考慮される。例えば、図14のように、道路R1,R4を走行予定の自車Sが追従可能な2台の他車X1,X2が存在し、他車X1,X2は共に道路R1,R2を走行予定である場合を考える。この場合、自車Sを他車X1に追従させることができる距離と、自車Sを他車X2に追従させることができる距離とは同じである。しかし、道路R3,R4を走行予定の他車X3への乗り継ぎを考慮すると、自車Sを他車X1,X2のどちらに追従させるかによって、運転者負担が変わる。
ここで、図15(自車Sは不図示)のように、他車X1は他車X3とほぼ同じ時刻に交差点C1(道路R1〜R4の接続地点)に到達し、他車X2は他車X3よりも早い時刻に交差点C1に到達するものとする。この場合、図16のように自車Sを他車X1に追従させると、図17のように他車X3への乗り継ぎを楽に行うことができ(自車Sを他車X2に追従させると、他車X3を待たなければ、自車Sを他車X3へ追従させることができない)、運転者負担を小さくできる。
ただし、他車X1,X3の速度が非常に遅ければ、先導車を容易に変更できたとしても、目的地への到着時刻が遅くなることで運転者負担が大きくなることが考えられる。そのよう場合には、図18のように自車Sを他車X2に追従させて早く交差点C1へ到達させ、図19のように道路R4で自車Sを手動運転して走行時間を短縮すれば、運転者負担を小さくできる。
また、本発明では、自車Sの付近に先導車にできる他車が存在しない場合に、自車Sを停車させて他車を待つことも考慮される。例えば、図20のように、道路R1を走行予定の自車Sの後方に、道路R1を走行経路とする他車X1が存在する場合を考える。この場合、図21のように、自車SをサービスエリアSAに停車させて他車X1が接近するのを待ち、その後、図22のように自車Sを他車X1に追従させれば、道路R1で自車Sを追従走行させることができる。このように他車X1を待つことで、追従走行距離を長くでき、運転者負担を小さくできる(目的地への到着時刻は遅くなるが、自車Sを停車させて待機させることで運転者負担の増大は抑えられる)。
自車Sの待機は、先導車の変更(乗り継ぎ)にも利用できる。例えば、図23のように、道路R1,R2を走行予定の自車Sが、道路R1,R3を走行予定の他車X1に追従して走行しており、その自車Sの後方に、道路R1,R2を走行経路とする他車X2が存在する場合を考える。この場合、サービスエリアSAの手前で自車Sの他車X1への追従を終了させ、図24のように、自車SをサービスエリアSAに停車させて他車X2が接近するのを待ち、その後、図25のように自車Sを他車X2に追従させることで、先導車を他車X1から他車X2へと変更できる。その結果、道路R1だけでなく道路R2でも自車Sを追従走行させることができる。
以上の例では、自車Sが走行中の道路またはその次の道路を走行する他車の存在を考慮したが、本実施の形態の走行計画作成装置10は、さらに先の道路を走行する他車の存在も考慮して、自車100の走行計画を作成する。
例えば、図26のように、自車Sが道路R1,R8,R9,R6を走行予定の場合、走行中の道路R1およびその次の道路R8を走行する他車だけでなく、さらに先の道路R9,R6を走行する他車まで考慮に入れる。例えば、優先項目が「追従走行距離の長さ」に設定されている場合には、図27のように道路R8で自車Sを他車X1に追従させ、且つ、図28のように道路R9で自車Sを他車X2に追従させるように(つまり、他車X1と他車X2とを乗り継ぐように)、自車Sの走行計画が作成される。なお、優先項目が「追従走行距離の長さ」に設定されていても、図29のように道路R6で自車Sが追従可能な他車が存在しないと予想されるときは、道路R6で自車Sを手動運転するような走行計画が立てられる。
また、図26の例において、優先項目が「目的地への到着時刻」に設定されており、他車X1,X2の速度が非常に遅い場合には、道路R8で自車Sを他車X1に追従させずに手動運転する走行計画が作成される。その場合、図30のように自車Sが他車X2よりも先に交差点C2(道路R3,R4,R8,R9の接続地点)に到着するため、図31のように道路R9,R6も自車Sを手動運転するように走行計画が立てられる。なお、図30の状態で他車X2を待つことも可能であるが、そのようにすると道路R8で自車Sを手動運転して走行時間を短縮したことが無意味になるため、そのような走行計画は好ましくない。
次に、実施の形態1に係る走行計画作成装置10の動作を説明する。図32は、その動作を示すフローチャートである。
走行計画作成装置10が起動すると、まず、自車情報取得部11および優先項目設定部14が、ユーザが入力装置21から入力した情報を取得する(ステップS101)。具体的には、自車情報取得部11はユーザが入力した自車情報を取得し、優先項目設定部14はユーザが選択した優先項目を取得する。自車情報は、少なくとも、自車100の出発地から目的地までの走行予定経路を特定できる情報と、自車の出発予定時刻の情報とを含む。本実施の形態の自車情報取得部11は、走行予定経路取得部11aを有しているため、ユーザが自車100の出発地と目的地を入力すれば、自車情報取得部11は自車100の走行予定経路を取得できる。
次に、他車情報取得部12が、通信装置22を介して他車情報を取得する(ステップS102)。他車情報には、少なくとも、複数の他車101の走行予定経路と、その走行予定経路上の各地点の通過予定時刻とを予測可能な情報が含まれる。
その後、走行計画算出部13が、自車100の走行計画を算出する処理(走行計画算出処理)を行う(ステップS103)。走行計画算出処理の詳細は後述する。
走行計画算出部13が算出した走行計画は、走行計画保持部15に格納される(ステップS104)。表示処理部16は、走行計画保持部15に格納されている走行計画を、表示装置24に表示するための画像データを生成する(ステップS105)。表示処理部16が生成した画像データは表示装置24に入力され、その結果、表示装置24に走行計画が表示される(ステップS106)。
次に、走行計画算出処理(図32のステップS103)を詳細に説明する。図33は、走行計画算出処理のフローチャートである。
走行計画算出処理が開始されると、走行計画算出部13は、自車100の走行予定経路上に複数の分割地点を設定することにより、複数の区間に分割する(ステップS201)。隣り合う2つの分割地点の間が1つの区間となり、各区間は走行計画を算出する単位となる。分割地点を配置する方法は任意でよい。例えば、複数の道路が接続する地点(交差点、分岐点等)、車両を停車できる地点(パーキングエリア、サービスエリア、道の駅等)など、特定の属性を有する地点を分割地点とする方法が考えられる。また、一定距離ごとに分割地点を配置するシンプルな方法でもよい。走行予定経路を細かく分割する(分割地点の数を多くする)と、より多くのパターンの走行計画を算出可能となるが、それらを算出するための計算量が膨大になる。よって、分割地点の数は、走行計画算出部13としてのプロセッサ51の計算能力、および、走行計画に要求される精細度に応じて決定するとよい。
ここでは、走行予定経路の始点(出発地)を分割地点P0とし、走行予定経路の終点(目的地)を分割地点PNとするN+1個の分割地点P0〜PNが設定されて、走行予定経路がN個の区間に分割されたと仮定する。また、分割地点Piと分割地点Pi+1とで区切られる区間を、区間Qiと定義する。つまり最初の区間はQ0と表され、最後の区間はQN−1と表される。
次に、走行計画算出部13は、算出済みの走行計画のデータがストックされるデータの集合体である「算出済み走行計画集合RF」をクリアする(ステップS202)。走行計画算出部13は、異なるパターンの走行計画を複数算出して、それらを算出済み走行計画集合RFに格納し、その後、格納された走行計画のうちからユーザが選択した優先項目に適合したものを抽出して出力する。
次に、走行計画算出部13は、算出途中の走行計画のデータである「算出中走行計画R」をクリアする(ステップS203)。算出中走行計画Rをクリアする際、走行計画の算出に使用する各変数を自車情報に基づいて初期化する。本実施の形態では、時刻を表す変数Tと、位置を表す変数Lと、区間を表す変数Dとが用いられる(以下ではそれらの各変数を単に「時刻T」、「位置L」、「区間D」という)。初期化によって、時刻Tは自車100の出発予定時刻に設定され、位置Lは出発地である分割地点P0に設定され、区間Dは最初の区間である区間Q0に設定される。
次に、走行計画算出部13は、地図情報記憶装置23の地図情報を参照して、位置Lの付近に、自車100を停車させて先導車としての他車101を待つことが可能な地点(待機可能地点)があるか否かを判断する(ステップS204)。ここでいう「位置Lの付近」は、区間Dの手前または途中(位置Lを含む)であればよい(ただし、位置Lが分割地点P0のときは区間D(区間Q0)の手前に区間は存在しない)。例えば、位置Lから一定距離内を「位置Lの付近」と定義してもよいし、位置Lを挟む2区間(区間Dとその直前の区間)を「位置Lの付近」と定義してもよい。また、待機可能地点は走行予定経路上の地点でなくてもよく、走行予定経路周辺の一定範囲内(例えば、区間Dとその直前の区間の周囲20mの範囲など)にある地点を待機可能地点としてもよい。その場合、走行予定経路と待機可能地点との間の距離が短い方が、先導車と合流できる時間が早くなる、すなわち、早く追従走行を開始できるので、運転者負担は小さくなる。
位置Lの付近に待機可能地点がある場合、走行計画算出部13は、その待機可能地点で待つことが可能な先導車の候補となる他車101を検索する。具体的には、走行計画算出部13は、時刻Tから予め定められた時間内に区間Dを通る他車101のうち、区間Dで合流可能なものを、他車情報に基づいて検索する(ステップS205)。
ここで、他車101が区間Dで自車100と合流可能か否かは、自車100が、区間Dに入ってから予め定められた時間内に合流できるか否かによって判断する(待機可能地点が区間Dの途中地点である場合は、待機可能地点を自車100が出発してから予め定められた時間内に合流できるか否かによって判断する)。例えば、自車100の車両性能を上回るような速度で区間Dを走行する他車101は、合流不可能である。
そして、走行計画算出部13は、区間Dでの行動を次の2通りから選択し、選択した内容を算出中走行計画Rに追加する(ステップS206)。
[行動1−1]待機可能地点で、ステップS205で見つかった他車101を待つ。
[行動1−2]他車101を待たない。
また、ステップS206で行動1−1が選択された場合は、その待ち時間を時刻Tに加算することによって、時刻Tが更新される。ステップS206で行動1−2が選択された場合は、時刻Tの値は維持される。
ステップS206では行動1−1または行動1−2の片方が選択されるが、後述するステップS211の処理によって、最終的には、行動1−1を選択する走行計画と、行動1−2を選択する走行計画との両方が作成されることになる。ただし、ステップS205で該当する他車101が見つからなかった場合には、行動1−1が選択されることはない。
ステップS205で該当する他車101が複数見つかった場合には、行動1−1が更に複数の選択肢に分けられ、それぞれの他車101を待つ走行計画が作成されることになる。例えば、ステップS205で、該当する他車101として車両A,Bの2台が見つかった場合は、ステップS206では以下の3通りの行動から1つが選択される。
[行動1−1A]待機可能地点で車両Aを待つ。
[行動1−1B]待機可能地点で車両Bを待つ。
[行動1−2]他車101(車両A,車両B)を待たない。
なお、ステップS205で該当する他車101が多数見つかった場合には、行動1−1の対象(自車100が待つ対象)をそのうちの一部に限定してもよい。例えば、該当する複数の他車101のうち、待ち時間が比較的短いものだけを対象としたり、自車100の目的地に比較的近い地点を目的地とするものだけを対象としたりすることが考えられる。そうすることにより、ステップS206での選択肢が減り、走行計画算出部13としてのプロセッサ51の計算負荷を軽減させることができる。
なお、上記のステップS205、S206の処理は、位置Lの付近に待機可能地点が存在しない場合(ステップS204でNO)には行われない。
次に、走行計画算出部13は、区間Dにおける自車100の先導車の候補となる他車101を検索する。具体的には、走行計画算出部13は、他車情報に基づいて、時刻Tに位置Lの付近にいる他車101のうち、区間Dを通り、区間Dで自車100が合流可能なものを検索する(ステップS207)。ここでも、他車101が区間Dで自車100と合流可能か否かは、自車100が区間Dに入ってから予め定められた時間内に合流できるか否かによって判断する。
ステップS207では、ユーザが選択した優先項目に、先導車とする他車101に関する項目が含まれている場合には、その優先項目に適した他車101のみを検索対象としてもよい。例えば、優先項目として、他車101の運転評価値や経路確実性が選択されている場合には、それらが一定レベル以上の他車101のみが検索対象とされる。
さらに、ステップS207では、時刻Tと現在時刻との差が予め定められた閾値よりも大きい場合(つまり、時刻Tが現在時刻から長時間経過した後の時刻を示している場合)、経路確実性の高い他車101のみを検索対象にすることが好ましい。長時間経過した後には、経路確実性が低い他車101の走行予定経路や通過予定時刻は、変更されている可能性が高いからである。また、自車100と同等以下の車両性能を有する他車101のみを検索対象とすることが好ましい。自車100を、自車100よりも車両性能の高い他車101に追従させて走行させるのは困難な場合があるからである。
その後、走行計画算出部13は、区間Dでの行動を、次の2通りから選択し、その内容を算出中走行計画Rに追加する(ステップS208)。
[行動2−1]自車100を、ステップS207で見つかった他車101に追従させて走行させる。
[行動2−2]自車100を手動運転する。
行動2−1が選択された場合、区間Dは追従走行区間とされ、区間Dで先導車となる他車101を特定する情報(例えば、車体ナンバーや、車両情報配信システムへの登録IDなど)が算出中走行計画Rに追加される。そして、先導車としての他車101の予想速度から算出した区間Dの走行時間を時刻Tに加算することによって、時刻Tが更新される。また、位置Lを次の分割地点に設定することによって、位置Lが更新される。さらに、位置Dを次の区間(更新後の位置Lを始点とする区間)に設定することで、区間Dが更新される。なお、連続する区間で同一の他車101が先導車として選択された場合は、それらの区間では先導車を変更しない走行計画となる。
行動2−2が選択された場合、区間Dは手動運転区間とされる。その場合、自車100の速度に基づいて算出した区間Dの走行時間を時刻Tに加算することによって、時刻Tが更新される。また、位置Lを次の分割地点に設定することによって、位置Lが更新される。さらに、位置Dを次の区間(更新後の位置Lを始点とする区間)に設定することで、区間Dが更新される。
ステップS208では行動2−1または行動2−2の片方が選択されるが、後述するステップS211の処理によって、最終的には、行動2−1を選択する走行計画と、行動2−2を選択する走行計画との両方が作成されることになる。ただし、ステップS207で該当する他車101が見つからなかった場合には、ステップS208で行動2−1が選択されることはない。
ステップS207で該当する他車101が複数見つかった場合には、行動2−1が更に複数の選択肢に分けられ、それぞれの他車101に自車100を追従させる走行計画が作成されることになる。例えば、ステップS207で、該当する他車101として車両A,Bの2台が見つかった場合は、以下の3通りの行動から1つが選択される。
[行動2−1A]自車100を車両Aに追従させて走行させる。
[行動2−1B]自車100を車両Bに追従させて走行させる。
[行動2−2]自車100を手動運転する。
また、ステップS207で該当する他車101が多数見つかった場合には、優先項目に応じて、行動2−1の対象(自車100が追従する対象)をそのうちの一部に限定してもよい。例えば、自車100の目的地に比較的近い地点を目的地とする他車101だけを対象としてもよい。そうすることにより、ステップS208での選択肢が減り、走行計画算出部13としてのプロセッサ51の計算負荷を軽減させることができる。
次に、走行計画算出部13は、更新された位置Lが目的地(分割地点PN)かどうかを確認する(ステップS209)。位置Lが目的地でない場合、すなわち位置Lが走行予定経路の途中地点である場合は(ステップS209でNO)、位置Lから始まる区間(更新後の区間D)の走行計画を算出するために、ステップS204に戻る。
位置Lが目的地(走行予定経路の終点)である場合は(ステップS209でYES)、算出中走行計画Rに走行予定経路全体の走行計画が格納されたことになるので、それを算出済み走行計画集合RFに追加する(ステップS210)。そして、ステップS206およびステップS208で選択され得る行動の組み合わせパターン(行動組み合わせパターン)が全通り選択されたか否か(各行動組み合わせパターンに対応する全ての走行計画が作成されたか否か)を判定する(ステップS211)。
未選択の行動組み合わせパターンが存在する場合には(ステップS211でNO)、それらの行動組み合わせパターンに対応する走行計画を作成するために、ステップ203に戻る。2回目以降のループでは、先に選択済みの行動組み合わせパターンと全く同じものが選択されないようにする。
全通りの行動組み合わせパターンが選択済みになると(ステップS211でYES)、各行動組み合わせパターンに対応する全ての走行計画が、算出済み走行計画集合RFに格納されたことになる。この場合、算出済み走行計画集合RFから、運転者負担が小さいと判断される走行計画を抽出して出力する(ステップS212)。このとき、各走行計画の運転者負担は、優先項目を考慮して評価する。
例えば、優先項目が「追従走行距離の長さ」の場合には、走行予定経路の全長に占める追従走行区間の割合が最も大きい走行計画ほど、運転者負担が小さいと判断される。また、優先項目が「目的地への到着時刻」の場合には、目的地への到着予想時刻が最も早い走行計画ほど、運転者負担が小さいと判断される。優先項目が「追従走行時間の長さ」の場合には、全走行時間に占める追従走行区間の走行時間の割合が最も大きい走行計画ほど、運転者負担が小さいと判断される。優先項目が「先導車の変更回数」の場合には、先導車の変更回数が少ない走行計画ほど、運転者負担が小さいと判断される。
また、例えば、優先項目が「運転評価値」の場合には、先導車となる他車101の運転評価値の平均値が高い走行計画ほど、運転者負担が小さいと判断される。また、優先項目が「経路確実性」の場合には、先導車となる他車101の経路確実性の評価値の平均値が高い走行計画ほど、運転者負担が小さいと判断される。
各走行計画の運転者負担の算出は、必ずしも全区間の走行計画が決定した後(例えばステップS212)に行わなくてもよく、各区間の走行計画を決定する処理(ステップS204〜S209のループ)と並行して行われてもよい。
図33のステップS212で走行計画算出部13が複数の走行計画を出力して、ユーザがそのうちの1つを選択できるようにしてもよい。例えば、走行計画算出部13が、運転者負担が小さいものから予め定められた数の走行計画を出力したり、選択項目ごとに最も運転者負担の小さいものを出力したりする態様が考えられる。
走行計画算出部13が出力した走行計画は、図32のステップS105,S106の処理により、表示装置24に表示される。ここでは、走行計画算出部13が出力した走行計画の表示態様の例を示す。
走行計画の表示態様としては、図34のようにテキスト表示とすることが考えられる。走行計画の内容が文章で表示されるので、例えば第三者に走行計画を電話等で伝える場合などに有効である。
また、図35のように走行計画をグラフ化して表示してもよい。図35のように、追従走行区間と手動運転区間とを色分けすることで、走行予定経路全体に占める追従走行区間または手動運転区間の割合を把握しやすくなる。そのため、ユーザが走行計画の運転者負担を直感的に認識できるという利点が得られる。
また、図36のように、走行計画を表す文字や図形を地図に重畳表示させてもよい。図36の例では、自車100(円で囲まれた三角形のアイコン)の走行予定経路を示すラインを、追従走行区間と手動運転区間とで色分けして表示させている。また、地図上に、先導車となる他車101の現在位置(三角形のアイコン)およびその走行予定経路も示させている。走行計画を地図に重畳表示させることで、走行計画の内容を直感的かつ具体的に表すことができる。
図33のステップS212で走行計画算出部13が複数の走行計画を出力して、ユーザがそのうちの1つを選択できるようにする場合、複数の走行計画を同時に表示装置24に表示させるとよい。図37は、複数の走行計画をそれぞれグラフ化して同時に表示する場合の表示例である。走行計画をグラフ化すると、ユーザが走行計画の運転者負担を直感的に認識できるので、グラフ化した走行計画を並べて表示すると、各走行計画の運転者負担を容易に比較することができる。例えば、ユーザが図37の画面を見れば、ユーザは追従走行距離が最も長い走行計画は「走行計画3」であり、先導車の変更回数が最も少ない走行計画は「走行計画1」であることを一目で把握できる。
図37では、各グラフの横軸の長さは距離を表しているが、時間を表すようにしてもよい。各グラフとの横軸の長さが時間を表す表示形態は、運転者が追従走行時間の長い走行計画を選択したい場合や、目的地への到着時間が最も早い走行計画を選択したい場合に、選択が容易となって有効である。
なお、本明細書で図示した走行計画の表示例では、図示の便宜上、先導車を示す情報を「車両X1に追従」などと簡易な表示としたが、実際にはより具体的に先導車を特定できる情報が表示される。運転者は追従走行を開始する前に目視で先導車を見つける必要があるため、外見から先導車を特定できる情報、例えば、車種、車名、車体の色、ナンバープレートの番号などを、先導車を示す情報として表示することが望ましい。また、車種、車名および車体の色については、車両の写真や画像を用いて表現してもよい。
次に、走行計画の再算出について説明する。実施の形態1では、走行計画再算出指示部17は、前回の走行計画の算出から一定時間が経過した場合と、車両情報サーバー102が配信する他車情報に変更があった場合とに、走行計画算出部13に対して走行計画の再算出を指示する。
例えば、図26に示した例において、図27〜図29のように、自車100を他車X1と他車X2に追従させるような走行計画が作成されていたと仮定する(追従走行区間は道路R8,R9)。その走行計画が作成された後、図38のように、道路R4,R9,R6を走行予定の他車X3が現れた場合、道路R9で自車Sを他車X2ではなく他車X3に追従させるように走行計画を変更すると、図39のように道路R6も追従走行できる。それにより、追従走行距離が長くなるため、運転者負担を小さくできる(優先項目が「追従走行距離の長さ」の場合)。走行計画再算出指示部17は、そのような走行計画の変更を可能にするものである。
再算出された走行計画が、現在の走行計画よりも運転者負担を小さくできるものであれば、走行計画を変更することが望ましい。また、再算出された走行計画が、現在の走行計画よりも運転者負担が大きくなるものであっても、現在の走行計画が利用できない状態になっていれば、走行計画を再算出されたものに変更せざるを得ない。しかしそのような場合でも、ユーザの承認なしに走行計画を変更することは好ましくない。
そこで、現在の走行計画が利用可能な状態で、再算出によって現在の走行計画よりも運転者負担を小さくできる走行計画が得られた場合は、表示処理部16が、図40のように、どちらの走行計画を採用するか運転者に選択させる画面(走行計画選択画面)を表示装置24に表示させる。図40の走行計画選択画面では、再算出した走行計画と、走行計画を変更するか否かを選択させるテキストおよびアイコンとを、地図に重畳表示させている。
走行計画選択画面には、図41のように、現在の走行計画を表したテキストと、再算出した新たな走行計画を表したテキストとを並べて表示してもよい。あるいは、図42のように、走行計画選択画面に、現在の走行計画を表したグラフと、再算出した新たな走行計画を表したグラフとを並べて表示してもよい。図41および図42のように、走行計画選択画面に、現在の走行計画と再算出した走行計画の両方を表示させれば、ユーザは両者を容易に比較することができる。
また、現在の走行計画が利用不可能な状態で走行計画が再算出された場合には、運転者負担を小さくできるか否かに関わらず自動的に走行計画を変更し、図43のように、その旨を運転者に通知する画面(走行計画変更通知画面)を表示させる。図43の走行計画変更通知画面では、変更後の走行計画(再算出した走行計画)と、走行計画を変更した旨のテキストとを、地図に重畳表示させている。図示は省略するが、走行計画変更通知画面には、変更後の走行計画をテキストやグラフで表したものを表示してもよい。
このように、走行計画算出部13が再算出した走行計画を出力するときに、走行計画変更通知画面または走行計画選択画面が表示装置24に表示されることで、ユーザ(運転者)が気付かないうちに走行計画が変更されることが防止され、運転者への心理負担を軽減することができる。
次に、走行計画作成装置10が走行計画を再算出するための処理(走行計画再算出処理)を説明する。図44は、その処理を示すフローチャートである。
走行計画再算出指示部17は、前回の走行計画作成から一定時間が経過したか否かを確認する(ステップS301)。前回の走行計画作成から一定時間が経過した場合(ステップS301でYES)、走行計画再算出指示部17は、走行計画算出部13に走行計画算出処理を行わせて、走行計画を再算出させる(ステップS306)。ステップS306の走行計画算出処理は、図33で示したものと同じでよい。
前回の走行計画作成から一定時間が経過していない場合には(ステップS301でNO)、走行計画再算出指示部17は、通信装置22を介して、自車100の先導車となる他車101の他車情報を取得し(ステップS302)、当該他車情報に変更があったか否かを確認する(ステップS303)。当該他車情報に変更があった場合も(ステップS303でYES)、走行計画再算出指示部17は、走行計画算出部13に走行計画を再算出させる(ステップS306)。
なお、前回の走行計画作成から一定時間が経過しておらず、且つ、他車情報の変更も無い場合には(ステップS303でNO)、走行計画の再算出は行われず、現在の走行計画が維持される(ステップS304)。すなわち、走行計画保持部15に記憶されている走行計画が維持される。
ステップS306の走行計画算出処理が完了して、再算出された走行計画が走行計画算出部13から出力されると、走行計画再算出指示部17は現在の走行計画が利用可能か否かを確認する(ステップS307)。現在の走行計画に寄与している他車101の他車情報に大きな変更(現在の走行経路を維持できない程の変更)が生じている場合には、現在の走行計画が利用不可能となる。この判断は、ステップS306の走行計画算出処理の際に、現在の走行計画と同じ走行計画が算出済み走行計画集合RFに格納されたか否かを確認することによって行うことができる。
現在の走行計画が利用可能である場合(ステップS307でYES)、再算出された走行計画によって運転者負担を小さくできるか否かを確認する(ステップS308)。すなわち、再算出された走行計画の運転者負担の方が、現在の走行計画の運転者負担よりも小さいか否かを確認する。再算出された走行計画によって運転者負担を小さくできない場合は(ステップS308でNO)、現在の走行計画が維持される(ステップS304)。
再算出された走行計画によって運転者負担を小さくできる場合は(ステップS308でYES)、図40のような走行計画選択画面の画像データを生成し(ステップS309)、走行計画選択画面を表示装置24に表示する(ステップS310)。そして、ユーザから走行計画の変更指示があれば(ステップS311でYES)、再算出された走行計画を採用する。すなわち、走行計画保持部15に保持させる走行計画を、現在のものから再算出したものに変更する(ステップS312)。
なお、ユーザから走行計画の変更指示が得られなければ(ステップS311でNO)、現在の走行計画が維持される(ステップS304)。
このように、現在の走行計画が利用可能な状況で、走行計画算出部13が再算出した走行計画を出力したときは、現在の走行計画よりも再算出された走行計画の方が運転者負担が小さいときに限り、走行計画の変更が許容される。従って、現在の走行計画が利用可能であるにもかかわらず、現在の走行計画よりも運転者負担が大きい走行計画が選択されることが防止される。
一方、現在の走行計画が利用可能でない場合には(ステップS307でNO)、再算出された走行計画を自動的に採用して(ステップS313)、図43のような走行計画変更通知画面の画像データを生成し(ステップS314)、走行計画変更通知画面を表示装置24に表示する(ステップS315)。
以上の処理の後は、自車100の走行が終了したかを確認する(ステップS305)。ユーザがその旨を入力するか、走行計画作成装置10が自車100の現在地が目的地であることを確認できれば、自車100の走行が終了したと判断して(ステップS305でYES)、走行計画再算出処理を終了する。自車100の走行が終了していなければ、走行が終了するまで、以上の処理は繰り返し実行される。
また、現在の走行計画が利用可能でない場合としては、予定した先導車の走行計画が変更になった場合や、渋滞などの交通障害により走行計画どおりの走行が不可能になった場合などが考えられる。また、車車間通信などによって、新たに有利な追従条件(優先項目に合う条件)を持つ車両を発見した場合に、その車両に追従するように追従走行計画を変更する処理(再算出およびその表示)が行われるようにしてもよい。
<実施の形態2>
実施の形態2では、本発明に係る走行計画提示装置20をナビゲーション装置に適用する。図45は、実施の形態2に係るナビゲーション装置30の構成を示す図である。ナビゲーション装置30は、図1の走行計画提示装置20に、現在位置取得装置31、経路探索装置32および案内装置33を追加した構成となっている。
ナビゲーション装置30のハードウェア構成は、基本的には図5と同様であり、現在位置取得装置31、経路探索装置32および案内装置33も、走行計画作成装置10の各要素と同様に、プロセッサ51がメモリ52に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
図46は、実施の形態2に係る車両情報配信システムの構成を示す図である。当該車両情報配信システムは、図2と実質的に同じであるが、走行計画提示装置20を含むナビゲーション装置30が、自車100に搭載された構成となっている。ナビゲーション装置30は、自車100に常設されたものでなくてもよく、例えば、自車100に持ち込み可能なポータブル型のナビゲーション装置でもよい。
ナビゲーション装置30の現在位置取得装置31は、GPS(Global Positioning System)等から取得した位置情報などから、当該ナビゲーション装置30の現在地を算出するものである。
経路探索装置32は、ユーザが設定した出発地から目的地までの最適な経路を検索するものである。通常は、現在位置取得装置31が取得した現在地が自動的に出発地として設定されるため、ユーザは目的地を入力するだけで、現在地から目的地までの経路(自車100の走行予定経路)を得ることができる。本実施の形態において、自車情報取得部11が有する走行予定経路取得部11aは、経路探索装置32が算出した自車100の走行予定経路を取得するものとする。
案内装置33は、走行計画作成装置10が作成した走行計画(走行計画保持部15に保存されている走行計画)に従って、自車100を走行させるように運転者に案内情報を提供するものである。案内装置33は、従来のナビゲーション装置のように走行予定経路を案内するだけでなく、自車100が走行計画どおりに追従走行できるように、自車100を先導車の位置へ案内したり、先導車を待つために自車100を待機可能地点(サービスエリア等)へ案内したりする。
例えば、自車100が、手動運転で追従走行区間に進入した場合、案内装置33は、通信装置22を用いた車車間通信により、先導車(他車101)の位置を取得する。そして、自車100と先導車との位置関係から、自車100を先導車に追従可能な位置へと案内する。例えば、表示装置24に表示した地図上に自車100と先導車の位置を表示し、自車100が先導車にある程度接近すると、図47のように、自車100と先導車との位置関係を拡大表示するとよい。その際、自車100が追従走行を開始することが可能なエリア(追従可能エリア)を示すと更に好ましい。
また、図47において、自車100と先導車との位置関係を示す画像は、図5のプロセッサ51に含まれるCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によって作成された画像である例を示したが、それに代えて、例えば自車100が搭載するカメラが撮影した自車100の前方の映像を用いてもよい。その場合、自車100の前方の映像に、追従可能エリアを示す画像を合成して表示するとよい。また、ヘッドアップディスプレイを用いて、運転者の視野に追従可能エリアを表示させてもよい。なお、ヘッドアップディスプレイとは、運転者が前方を見通せる画面(例えばフロントガラス)に画像を表示することによって、運転者の視野に画像を直接表示させる表示装置である。
なお、本実施の形態においても、走行計画作成装置10は、追従走行制御装置40との通信を行い、追従走行制御装置40に対し、走行計画に従った追従走行指示を送信する。追従走行制御装置40は、追従走行指示に基づいて自車100の走行制御系(不図示)を制御して、自車100を追従すべき先行車両に追従させる。また、追従走行制御装置40は、手動運転が計画されている区間(手動運転区間)を自車100が走行しているときは、自車100に定速走行を行わせたり、ユーザに自車100の手動運転を行わせるように促したりする。
また、案内装置33が生成する案内情報は、表示装置24に表示する他、自車100内のスピーカ等から音声メッセージとして出力させてもよい。例えば、手動運転から追従走行へ移行する際や、追従走行の途中で先導車を変更する際に、例えば「自動追従可能な位置へ移動してください。」という音声メッセージを出力して、ユーザに自車100を先導車に追従させるように促すとよい。また、図47のような表示と共に、「追従可能エリアへ移動して下さい。追従可能エリアに入ると自動的に追従走行が始まります。」という音声メッセージを出力してもよい。
ここで、追従可能エリアは、追従走行制御装置40の性能、典型的には追従可能な車間距離に左右される。追従走行制御装置40の性能は、走行計画作成装置10に予め記憶されていてもよいし、走行計画作成装置10が追従走行制御装置40との通信によって入手してもよい。後者の方法の場合は、天候や明るさ、時刻などの走行環境に応じた追従走行制御装置40の動的な性能を反映させることができ、走行計画作成装置10がより正確な追従可能エリアを表示装置24に表示させることができる。
また、図47の例において、先導車の画像に特別な表示効果を与えてもよい。例えば、現在追従中の先導車の画像を青い実線の枠で囲み、先導車を変更する際に、追従中の先導車の画像の枠を黄色い破線に変更し、新たに追従すべき車両を青い破線の枠で囲み、先導車の乗り換えが完了した後は、新たな先導車を青い実線の枠で囲む、というように、現在および将来の先導車をそれぞれ識別できるように表示するとよい。また、現在の先導車への追従が困難になったにもかかわらず、乗り換える新たな追従車が見つからない場合に、現在の先導車の画像に赤い破線の枠を付加してもよい。
このような特別な表示効果を与えるタイミングは、先導車を変更する前後の一定期間のみにしてもよい。また、そのような特別な表示効果は、カメラが撮影した自車100の前方の映像を表示装置24に表示させる場合や、ヘッドアップディスプレイを用いる場合にも適用してもよい。また、特別な表示効果は、枠の表示に限られず、他の図形や文字などを用いた効果でもよい。
また例えば、待機可能地点で先導車を待つ場合には、「先導車を待ちます。サービスエリアに入ってください。先導車の到着はおよそ10分後です。」という音声メッセージにより自車100を待機可能地点へ誘導し、その後、先導車が接近してきたら「先導車が接近しています。走行を開始して下さい。」という音声メッセージで出発を促すようにするとよい。
ここで、自車100が追従走行区間を走行するときにおけるナビゲーション装置30の案内装置33の動作を説明する。図48は、その動作を示すフローチャートである。なお、自車100が手動運転区間を走行するときの案内装置33の動作は一般的なナビゲーション装置と同じでよいためここでの説明は省略する。
自車100が追従走行区間を走行しているとき、案内装置33は、走行計画に従って、その区間の先導車である他車101に追従走行可能な位置へ自車100を案内する(ステップS401)(既に自車100が走行計画どおりの先導車に追従しているときは、その案内は不要である)。
そして、案内装置33は、走行計画に基づく先導車の変更があるか否かを確認する(ステップS402)。先導車の変更があれば(ステップS402でYES)、案内装置33は、案内の目標とする先導車を変更後の先導車に設定して(ステップS403)、ステップS401に戻る。
また、走行計画に基づく先導車の変更がなければ(ステップS402でNO)、案内装置33は、走行計画の変更(再作成)に伴う先導車の変更があるか否かを確認する(ステップS404)。走行計画の変更に伴う先導車の変更があれば(ステップS404でYES)、案内装置33は、案内の目標とする先導車を変更後の先導車に設定して(ステップS405)、ステップS401に戻る。
また、走行計画に基づく先導車の変更も、走行計画の変更に伴う先導車の変更もなければ(ステップS404でNO)、案内装置33は、自車100が目的地に到着した否かを確認する(ステップS406)。自車100が目的地に到着していれば(ステップS406でYES)、案内装置33は案内処理を終了する。自車100が目的地に到着していなければ(ステップS406でNO)、ステップS401に戻る。
以上の処理により、案内装置33は、案内の目標とする先導車を常に把握することができる。
次に、実施の形態2に係るナビゲーション装置30の走行計画作成装置10が行う走行計画再算出処理について説明する。図49はその走行計画再算出処理のフローチャートである。図49のフローは、図44に示したフローと基本的に同じであるが、走行計画を再算出するための走行計画算出処理(ステップS306)を実行する条件が、図44のフローよりも増加している。
すなわち、図44のフローでは、前回の走行計画の作成から一定時間が経過した場合と、先導車となる他車101の他車情報が変更になった場合に、ステップS306が実行されるが、図49のフローではさらに以下の場合にもステップS306が実行される。それ以外のフローは、図44と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図49のフローでは、走行計画再算出指示部17が現在位置取得装置31から自車100の位置(自車位置)を取得して(ステップS351)、自車100の位置またはその変化量(つまり自車100の走行距離)が予め定められた条件を満たしていた場合も(ステップS352でYES)、ステップS306が実行される。ステップS352における「予め定められた条件」とは、例えば、自車100が一定距離だけ進んだ場合、自車100が予め定められた地点(例えば、交差点やサービスエリアなど特定の属性を有する地点や、走行計画を作成する際(図33のステップS201)に定めた分割地点など)を通過した場合、自車100が走行計画とは異なる行動をとった場合などである。
さらに、通信装置22を介した車車間通信により、現在追従している先導車がその車両情報(他車情報)とは異なる行動をとっていることが検出された場合にも(ステップS353でYES)、ステップS306の走行計画算出処理が実行される。他車情報とは異なる行動とは、例えば、走行予定経路とは異なる経路を走行することや、通過予定時刻から大きく外れた時刻に各地点を通過することなどである。
また、実施の形態2では、自車100を手動運転によって追従可能エリアへ移動させることを前提にしてナビゲーション装置30の動作を説明したが、例えば、追従走行制御装置40が走行速度自動制御機能およびレーンキーピング機能(車線逸脱防止機能)を有している場合には、運転者は車線変更の運転操作のみを手動で行えばよく、運転者負担をより小さくすることができる。その場合、走行速度自動制御機能およびレーンキーピング機能を用いた走行モードに切り替える旨を、ナビゲーション装置30が音声アナウンスや画面表示によって運転者へ通知すると、運転者の心理負担を小さくできる。
また、自車100が先導車に追従して走行している途中に、信号機や割り込み車両の影響によって自車100が先導車から離れてしまうことも考えられる。その場合には、当該先導車(本来の先導車)と進行方向が同じで、且つ、本来の先導車よりも速い速度で走行している他車を仮の先導車にして自車100を追従させ、自車100が本来の先導車に追いついた時点で、本来の先導車を運転者が判別できるような表示や音声アナウンスを行うことで、運転者に本来の先導車への乗り換えを促すようにしてもよい。
なお、本発明において、走行計画を算出または再算出する方法は、上で説明したものに限られない。すなわち、本発明は、走行計画の方式や内容に関わらず、追従走行に関連した特定の条件が満たされたときに走行計画の再算出を行い、走行計画変更通知画面または走行計画選択画面を、表示装置に表示させることを特徴としている。例えば、走行計画が走行予定経路を複数の区間に分割して作成されたものでなくてもよく、より単純な走行計画(例えば「車両X1に追従」というだけのもの)であっても、本発明は適用可能である。
また、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。