JPWO2016104313A1 - 半導体電極層形成用分散液及び半導体電極層 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ワレを生じ難い多孔質層を有し、さらに高い変換効率を得る事ができる色素増感太陽電池を得るための半導体電極層形成用スラリーに関する。半導体電極層形成用スラリーは、粒径の異なる二種類の金属酸化物半導体粒子を含む。スラリーを塗布、焼成して得られた半導体電極層は3〜20μmの膜厚においてもワレを生じ難く、高い変換効率を得る事ができる。

Description

本発明は、10〜20μmの厚膜においてもワレを生じ難い多孔質電極を形成する色素増感太陽電池等の光電変換素子に関する。
太陽電池に代表される再生可能エネルギーに関する研究開発は、地球温暖化や化石資源枯渇問題に対する関心の高まりとともに全世界の火急テーマとなってきている。太陽電池は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換デバイスであり、太陽光をエネルギー源としているため、有限な化石資源を使用する必要が少なく、かつ燃焼による二酸化炭素発生が抑制され地球環境に与える影響が極めて小さい。太陽電池の原理や構成材料として、様々なものが考案されてきたが、現在、シリコン半導体材料を用いた太陽電池(シリコン型太陽電池)が最も普及している。しかし、シリコン型太陽電池の製造には、高純度の半導体材料が必要であり、またpn接合を形成する精細な工程が必要なことから、製造工程数が多く大がかりな装置が必要で、太陽電池製造工程におけるエネルギー消費が大きい、製造コストが高くなる、ひいては環境負荷が大きいという問題がある。
一方、その太陽電池の中で検討されてきた、色素増感型太陽電池([非特許文献1][特許1]参照)はグレッツェルらにより提案されて以来、使用する材料が安価であること、比較的シンプルなプロセスで製造できること等の利点から、環境負荷の少ない太陽電池としてその実用化が期待されている。
B.O'Regan and M.Graetzel,Nature,353,p.737-740(1991) 岡井剛・椿原啓「高効率低温焼成色素増感太陽電池」 近畿大学工学部研究報告No.41,2007年、pp.51-56
特許第2664194号公報 特許3671183号公報 特許4608897号公報 特開2011-165469号公報 特開2011-210554号公報 特開2007-179766号公報 特開2013-140701号公報 特開2012-59599号公報
例えば、特許文献1に示されるように、従来の、一般的な色素増感型太陽電池は、主として、ガラスなどの透明基板、透明導電層(負極集電体)、光増感色素を保持した多孔質半導体電極層(負極)、電解質層、対向電極(正極)、対向基板、および封止材などで構成されている。
透明基板上に設けられた透明導電層は、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム・スズ複合酸化物)やFTO(フッ素がドープされた酸化スズ)などからなり、負極集電体として機能する。負極である半導体電極層は、酸化チタンなどの金属酸化物半導体の微粒子が焼結された多孔質層が用いられることが多く、透明導電層に接して設けられている。光増感色素は、透明導電層に接した多孔質半導体電極層を構成する金属酸化物の表面に吸着されている。電解質層としては、酸化還元種(レドックス対)を含む電解液などが用いられる。対向電極は白金層などで構成され、対向基板上に設けられている。
色素増感型太陽電池は、光が透明基板(負極集電体)側から入射するように構成されている。入射した光の一部は光増感色素によって吸収され、この光吸収によって励起された電子の一部が半導体電極層に取り出される。一方、電子を失った光増感色素は、電解質層中の還元種(還元剤)によって還元される。この反応によって電解質層中に生じた酸化種(酸化剤)は、対向電極から電子を受け取り、還元種にもどる。この結果、色素増感型太陽電池は、透明導電層および半導体電極層を負極、対向電極を正極とする光電池として動作する。
色素増感型太陽電池は、製造に真空処理工程などの大がかりな装置を必要とせず、また、酸化チタンなどの安価な酸化物半導体を塗布プロセスによって用いることで、生産性よく製造できる長所がある。また、可視光領域を中心として広い波長領域に、各波長領域の光を吸収できる光増感色素が種々存在するので、用いる色素種を変えることによって、吸収する光の波長を選択し、あるいは複数の色素を組み合わせることによって、広い波長領域の光を利用し低光量での高変換効率が可能であるなどの長所がある。加えて、プラスチックなどの、軽量でフレキシブルな基材を用いることで、ロール・ツー・ロール・プロセスによって、さらに生産性よく安価に製造できる可能性がある。このため、新世代の太陽電池として、近年非常に注目されている。
色素増感太陽電池における金属酸化物半導体電極層は色素吸着、励起色素からの電子の授受、電解質中での電荷の移動、光の閉じ込め、光散乱等の役割を担う。これらは光電変換効率に大きく影響を与える。これらを満足するためには、半導体電極層は表面積が大きく、多孔質である事、電気的に接触を持った連続層である事、空隙が連続である事等が求められる。
特許文献2、3では、表面積を大きく、ネッキングの効果を得るために金属アルコキシドを用いる方法が提案されている。金属アルコキシドの加水分解反応を利用するものであるが、この物は空気中のごく微量の水分によっても分解しやすく、安定性に問題がある。反応後得られた金属酸化物はアモルファス状を呈するが、添加量が少ないと金属酸化物半導体微粒子間および金属酸化物半導体微粒子と導電性基板との密着性の不足から剥離しやすくなる。添加量が多すぎると金属酸化物微粒子表面がアモルファスの金属酸化物のよって被覆されてしまい膜は隠蔽になりやすくなる。また本来の目的である多孔質性の妨げとなり電極としての性能が低下する。
特許文献4、5、6では、2種類の金属酸化物半導体微粒子を混合して用いる方法が提案されている。特許文献4では2種類の金属酸化物半導体微粒子分散液を混合しているが、この粒子径ではクラックの発生は抑えられるが、隠蔽性が発現し電極としての効果が低減する。特許文献5では2種類の多孔質層をそれぞれ一層毎に塗布、焼成する事が提案されている。この場合、ネッキング効果により膜は割れにくくなると想像されるが、電極膜の製造により多くの時間を要すると思われる。
また、特許文献6では、2種類の酸化チタンを含有する分散液を電極及び色素増感太陽電池に利用することが提案されている。ここで使用される2種類の酸化チタンは、1種類(粒子A)が、一次粒子の粒径が10〜15nmの粒子が連結して100〜2000nmの二次粒子を形成しているものであり、もう1種類(粒子B)は、一次粒子の粒径が2〜15nmであり、粒子Bが粒子Aの間隙に入り込むことが意図されている。このような粒子Aは、塩基性チタン塩に水溶性アルカリを添加して水酸化チタンを析出させ、さらに水溶性酸と混合して、酸化チタンの水性ゾルを生成させることにより得るものとされている。
しかし、この方法は、析出、解砕による微粒子形成であるため、粒子の均一性が低いと推定される。また、粒子Aは、一次粒子が連結して100〜2000nmという大きな粒径の二次粒子を形成しており、そのままでは不安定で沈降、不均一化のおそがあると考えられる。そこで、粒子の電気的反発力により安定化を図っているものと考えられるが、このような方法では、均一かつ安定なスラリーを得るのは困難であると考えられる。また、減圧濃縮した上、エチレングリコール等を添加して粘性を上げることにより塗布可能な組成物としているが、一連の操作は非常に煩雑で、常に安定した物性を得る事は非常に困難と思われる。
非特許文献2でも、2種類の酸化チタン微粒子を用いることが提案されているが、記載された粒子径は一次粒子径と推測されるものの、特許文献6と同様の方法で得られたものであれば同様の問題が考えられる。また、2種類の粒子の混合方法や混合液の性状も記載されておらず、また得られた電池の変換効率は、せいぜい4%と十分とは言えなかった。
そこで、本発明者らは、以上の課題の解決のために鋭意検討を行った。そこで、粒子径の異なる特定の2種類の金属酸化物半導体微粒子を用いることに加え、スラリー中での分散状態をコントロールすることに着目した。その結果、スラリー中での特定の分散状態とすることが性能に大きく寄与すること、また、高分子分散剤を存在させて分散させることが好ましいこと、またこのようなスラリーを塗布、焼成して得られた塗膜は10〜20μmの厚膜においてもワレを生じ難く、高い変換効率を得る事ができ、3〜10μmの薄膜においても高い変換効率を得る事ができることを見いだした。すなわち、本発明は、
(1)異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子が液媒体中に分散されたスラリーであって、一次粒子径のうち1種類の最頻粒子径が1〜50nmであり、他の1種類の最頻粒子径が1〜13nmであり、かつ液中での金属酸化物半導体微粒子の分散粒径が1〜200nmであることを特徴とする、半導体電極層形成用スラリー、
(2)異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子が液媒体中に分散されたスラリーであって、一次粒子径のうち1種類の最頻粒子径が1〜50nmであり、他の1種類の最頻粒子径が1〜13nmであり、かつ高分子分散剤を含有することを特徴とする、半導体電極層形成用スラリー、
(3)高分子分散剤が、アクリル系共重合体、ブチラール樹脂、酢酸ビニル共重合体、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、アルキルポリアミン系、多価アルコールエステル系のうちいずれか1種以上であることを特徴とする上記(2)記載の半導体電極層形成用スラリー、
(4)金属酸化物半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウムからなる群のうち1以上である上記(1)〜(3)3のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリー、
(5)最頻粒子径が1〜50nmの金属酸化物半導体微粒子と、最頻粒子径が1〜13nmの金属酸化物半導体微粒子の混合比率が、重量比で100/1〜23である上記(1)〜(4)4のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリー、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリーを基板上に塗布、焼成することを特徴とする半導体電極層の製造方法、
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリーを基板上に塗布、焼成して得られる半導体電極層、
(8)金属酸化物半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウムからなる群のうち1以上である上記(7)記載の半導体電極層、
(9)最頻粒子径が1〜50nmの金属酸化物半導体微粒子と、最頻粒子径が1〜13nmの金属酸化物半導体微粒子の混合比率が、100/1〜23重量部である上記(7)又は(8)記載の半導体電極層、
(10)異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子を含有する半導体電極層であって、膜厚が3μm〜20μmであり、実質的にワレを有さず、変換効率8.0以上であることを特徴とする半導体電極層、
(11)上記(7)〜(10)のいずれかに記載の半導体電極層を電極として有する太陽電池、
に存する。
なおここで金属酸化物半導体微粒子が「液媒体中に分散された」とは、液媒体中に分散状態で存在すること、すなわちスラリー状態であることをいう。
本発明により、塗膜は10〜20μmの厚膜においてもワレを生じ難く、高い変換効率を得る事ができ、3〜10μmの薄膜においても高い変換効率を得る事ができる色素増感太陽電池用金属酸化物半導体電極層を形成することのできる、優れた性能を有するスラリーを得ることができる。
図1は、本発明の電極層を用いて作成される太陽電池の一例を示す図である。 図2は、実施例1で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図3は、実施例2で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図4は、実施例3で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図5は、実施例4で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図6は、実施例5で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図7は、実施例6で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図8は、実施例7で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図9は、比較例1で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図10は、比較例2で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図11は、比較例3で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図12は、比較例4で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図13は、比較例5で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図14は、比較例6で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図15は、比較例7で得られた電極の倍率×500の写真を示す図である。 図16は、実施例10〜18で得られた電極の変換効率と膜厚の関係のグラフを示す図である。
〔材料〕
本発明の半導体電極層形成用スラリーは、分散媒中に、少なくとも、2種類の一次粒子径を有する金属酸化物半導体粒子を含有する。さらに、適宜、金属酸化物半導体粒子を分散媒中に微分散させるための分散剤、バインダー樹脂、その他太陽電池電極中に存在させることのできる材料及び電極形成ペースト中に存在させることのできる成分を含有させてもよい。
1.金属酸化物粒子
これらの成分の内、本発明では、金属酸化物半導体粒子として、異なる一次粒子径を有する2種以上の粒子を用いる。ここで「異なる一次粒子径を有する」とは、異なる最頻粒子径(モード径)を有する粒子の集合体であることをいう。つまり、「異なる一次粒子径を有する2種以上の粒子を用いる」とは、粒度分布において2つ以上の明確なピークを有していることになる。
二種類の金属酸化物半導体微粒子の一次粒子径は、大粒子径の粒子は一次粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜40nmの範囲である。また小粒子径の金属酸化物半導体粒子の一次粒子径は1〜13nm、好ましくは1〜12nmの範囲である。
また、大粒子の粒度分布は、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の粒子の一次粒子径が1〜60nm、より好ましくは1〜45nmである。小粒子の粒度分布は、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の粒子の一次粒子径が1〜20nm、より好ましくは1〜15nmである。粒子全体の粒度分布は、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上の粒子の一次粒子径が1〜60nm、より好ましくは1〜45nmである。この範囲にあることにより極端に大きな粒子の混在がなく分布のシャープなものが、性能発揮のために好ましいためである。
ここで金属酸化物半導体微粒子の一次粒子径は、日立ハイテクノロジーズ製超高分解能電解放出形走査電子顕微鏡(S-5200)を用いて、金属酸化物半導体微粒子を紛体で微量セットし、100,000倍で撮影し、OLYMPUS製画像解析ソフトScandiumも用いて画像解析を実施した。画像より、ノギスを用い粒子200個の粒子径を測定し、粒子径の頻度分布のグラフを作成し、その分布より求めた粒子径を最頻粒子径とした値である。同様の値を求めることのできる方法であれば、他の方法により測定することも差し支えない。
二種類の金属酸化物半導体微粒子の一次粒子径は、大粒子径の粒子は一次粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜40nmの範囲である。また小粒子径の金属酸化物半導体粒子は一次粒子径は1〜13nm、好ましくは1〜12nmの範囲である。これらの金属酸化物半導体微粒子は高分子分散剤、有機溶媒中で分散される。
最も大きい粒子径の微粒子及び二番目に大きい微粒子の組成比は、大粒子径粒子/小粒子径粒子=100/1〜23重量部、より好ましくは100/2〜20重量部である。2種以上の粒子径の金属酸化物半導体微粒子はそれぞれ単独で分散媒に分散して用いてもよく、同時に分散媒に投入して分散してもよい。
また、以上説明した大粒子と小粒子の他に、さらに大きな粒子や、より小さな粒子、あるいは中間の粒子を用いても構わないが、本発明の効果を損なわない程度に止める必要があり、上記の大粒子と小粒子以外の粒子の含有量は、金属酸化物半導体粒子の全体のうち10重量%以下に止めるのが好ましく、より好ましくは5重量%以下とする。
金属酸化物半導体微粒子は、好適には酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。
これらの中で、バンドギャップが広く、比較的資源も豊富で安価であるという点からは酸化チタン、酸化亜鉛が好ましく、さらに多孔質構造を精度よく制御できるという点からは、酸化チタンが特に好ましい。
酸化チタンには、アナターゼ型、ルチル型、これらの混合型などがあるが、本発明ではいずれにも限定せず使用できる。また、酸化チタンの製法も種々の公知の方法により得られたものが使用できる。市販品としては、大粒子としては「P25」(商品名。日本アエロジル(株)製、アナターゼ/ルチル=80/20、一次粒子径;21nm)、「F4」(商品名。昭和電工(株)製、ルチル化20%以下、一次粒子径;30nm)、「AMT600」(商品名。テイカ(株)製、アナターゼ100%、一次粒子径;30nm)などがある。また小粒子としては、たとえば「AMT100」(商品名。テイカ(株)製、アナターゼ100%、一次粒子径;6nm)などがある。
2.分散剤
分散剤とは、金属酸化物半導体微粒子を分散媒中に微分散する機能を有する物質である。一般に固体微粒子を液媒体中に分散させるための様々な分散剤が知られており、本発明では特に制限なく使用できるが、中でも、高分子分散剤が好ましく、特にアクリル系共重合体、ブチラール樹脂、酢酸ビニル共重合体、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、アルキルポリアミン系、多価アルコールエステル系等を挙げる事ができるが、これらに限られない。
3.分散媒
分散媒としては通常、有機溶剤を用いるが、使用する溶剤は特に限定されず、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、テルピネオール等のアルコール系溶剤グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ヘキサン、ミネラルスピリッツ、トルエン、キシレン等の炭化水素系、ジメチルホルムアミド、nメチルピロリドン等のアミン類等が挙げられるが、これに限らない。2種以上の溶剤を混合して用いても良い。
4.バインダー樹脂
バインダー樹脂としては、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース等の樹脂セルロースが好ましいが、高分子バインダを構成する材料は、これに限定されるものではなく、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびこれらの混合物も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフロロエチレン等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。またこれらの混合物等であっても良く、また非結晶或いは結晶樹脂であっても良い。
〔各成分の含有量〕
金属酸化物半導体微粒子からなる電極層において太陽電池の性能を大きく左右すると考えられる要因として、半導体微粒子の表面積、粒子間の空隙構造と粒子同士の連続構造、空隙の大きさ及び空隙の分布などが挙げられる。このため、スラリー中に占める金属酸化物半導体微粒子の濃度、焼成時消滅して空隙を形成する有機バインダー樹脂の濃度は重要であると考えられる。
スラリー中に占める金属酸化物半導体微粒子の濃度は、好ましくは5〜50wt%、より好ましくは10〜45wt%、さらに好ましくは12〜35wt%である。金属酸化物半導体微粒子の濃度が上記下限未満では、膜中の金属酸化物半導体微粒子同士或いは基板への接着が不十分となり電子の授受が効率的に行われにくくなることがある。また金属酸化物半導体微粒子の濃度が50wt%を超えると、焼成後得られる空隙構造が占める部分が不連続になったり小さくなりすぎてレドックス反応が充分に行われにくくなることがある。金属酸化物半導体微粒子の含有量が12〜35wt%で、スラリー全体の濃度調整が格別に容易で適度な膜厚の多孔質電極層を容易に得ることができる。
スラリー中に占める有機バインダー樹脂の濃度は、好ましくはスラリー中の1〜60wt%、より好ましくは1.5〜50wt%、さらに好ましくは2〜40wt%である。有機バインダー樹脂の濃度が上記下限未満では、電極層中の空隙構造が得られにくくなることがある。また、上限を超えると焼成後空隙構造の占める割合が多くなりすぎ、膜強度が弱くなることがあり、また金属酸化物半導体微粒子同士の接着が不十分となり、電子の授受が行われにくくなることがある。
〔調製方法〕
1.金属酸化物半導体微粒子分散液の調製
予め、金属酸化物半導体微粒子に、分散媒及び高分子分散剤を加えて分散し、分散液を得ておくのが望ましい。
使用する溶剤は、前述したスラリーの成分としての分散媒を用いれば、ソルベントショックを防止でき、また余分な溶剤除去工程も要さないので好適である。
高分子分散剤としては、アクリル系共重合体、ブチラール樹脂、酢酸ビニル共重合体、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、アルキルポリアミン系、多価アルコールエステル系等を挙げる事ができるがこれに限らない。高分子分散剤を存在させて分散媒中で分散することにより、以下に説明する好ましい分散状態に維持することが容易となる。金属酸化物半導体微粒子がこのような好ましい分散状態に分散したスラリーを基板上に塗布することにより後述する優れた性能を有する電極を得ることができるのである。
金属酸化物半導体微粒子の分散状態は、以下に説明する一定の範囲の分散粒子径とするのが好ましい。分散粒子径とは、金属酸化物半導体微粒子が、分散媒中で存在している際の粒子径であり、(株)日機装製動的光散乱式ナノトラック粒度分布系UPA-EXを用い、分散時に用いた分散媒で、金属酸化物半導体微粒子分としての濃度が300ppmになるように希釈して測定したものである。より具体的には、分散時の金属酸化物半導体微粒子の濃度が30重量%の場合、分散液0.05グラムを正確には秤り取り、分散溶剤を用いて正確に50.00グラムとし、一時間撹拌して検体とする。粒子径分布を測定し、累積50%における粒径(nm)を求める。これが平均分散粒子径である。同様の値が求まる方法であれば、他の方法を用いることもできる。
分散粒子径が金属酸化物半導体微粒子の持つ最頻一次粒子径に近づくほど、分散が進行していると判断できる。大粒子径の金属酸化物半導体粒子の分散粒子径の好ましい範囲は、20〜200nm、より好ましい範囲は、20〜150nm、さらに好ましい範囲は20〜100nmである。また小粒子径の金属酸化物半導体微粒子の分散粒径の好ましい範囲は、1〜60nm、より好ましい範囲は1〜50nm、さらに好ましい範囲は1〜30nmである。
このように予め大粒子と小粒子とを別々に分散して所定の粒度分布に分散しておくのが好ましいが、大粒子と小粒子とを混合したものを分散してもよい。この場合には、好ましい粒度分布は、全体として好ましくは1〜200m、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nmである。
また、上記のようにして求めた粒度分布における累積90%における粒径は、大粒子の粒径が好ましくは10〜250nm、より好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは10〜150nmである。小粒子の粒径が好ましくは1〜80nm、より好ましくは1〜60nm、さらに好ましくは1〜50nmである。粒子全体としては好ましくは1〜250nm、より好ましくは1〜200nm、さらに好ましくは1〜150nmである。この範囲において粗大粒子量が抑えられているため、特に性能に優れたスラリーとなっていることが推測される。
分散するための装置は特に限定されないが、たとえばメディア媒体型分散機や衝突型分散機が挙げられる。メディア媒体型分散機とはベッセル内において、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、タングステン等の小径のメディアを高速で運動させ、その間を通過するスラリーをメディア間のせん断力で摩砕させる構造の分散機をいう。斯かるメディア媒体型分散機の具体例としては、ボールミル、サンドミル、パールミル、アジテータミル、コボールミル、ウルトラビスコミル、ウルトラビスコミル、ウルトラファインミル等が挙げられる。衝突型分散機とは、1つの壁面に流体を高速で衝突させるか、または、流体同士を高速で衝突させて流体中の顔料などを粉砕させる構造の分散機をいう。斯かる衝突型分散機の具体例をしては、ナノマイザー、ホモゲナイザー、マイクロフルイダイアー、マルチマイザー等が挙げられる。
2.バインダー樹脂溶液の調製
バインダー樹脂が粉末である場合は、必要に応じて、予め、溶剤を混合、攪拌、溶解して樹脂溶液としておくのが好ましい。バインダー樹脂の添加により、スラリーの粘度を塗布方法に適した粘度にすることができる。
特に好ましい樹脂成分としては、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース等の樹脂セルロースが好ましいが、高分子バインダーを構成する材料は、これに限定されるものではなく、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびこれらの混合物も使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフロロエチレン等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。またこれらの混合物等であっても良く、また非結晶或いは結晶樹脂であっても良い。
バインダー樹脂の溶解に使用する溶剤は特に限定されないが、ソルベントショックによる分散粒子の凝集等の危険を避けるため、前述した分散媒と同種のものを用いるのが好ましい。
以上の方法で予め金属酸化物半導体微粒子分散液、バインダー樹脂溶液、溶剤を得ておけば、これらを混合することにより、容易に優れた物性のスラリーを得ることができる。
〔電極層の形成〕
以上説明したスラリーを導電性基板に塗付し、電気炉で焼成する事により、半導体電極層を得ることができ、これを光電変換素子用電極層として用いることができる。この際の導電性基板としては特に限定されないが、FTOコートガラス、ITOコートガラス等、金属基板、透明基板上に金属膜が形成された基板等、各種の公知の基板材料を用いることができる。
スラリーの塗付方法としては、例えば、ディップ、スプレーコート、ワイヤーバーコート、スピンコート、ローラーコート、ブレードコート、グラビアコート、オフセット、スクリーン印刷等が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
このようにして得られた本発明の電極層は、10〜20μmの厚膜においても、透明性が高く、クラック発生が抑えられ、高い光電変換効率を示す。その機構は完全には明らかではないが、本発明で用いる金属酸化物半導体微粒子は数nmから数十nmの微粒子の集合体であるために、光の透過性も維持されて膜内部にまで光は透過されやすくなり、従って効率よく電荷分離され電子の授受がされやすくなると考えられること、また大小の微粒子が密に制御良く配列しているために、焼成時の熱収縮等によるクラックの発生を抑えることができていると考えられること、表面積が大きくなり色素吸着量も増加し、多孔質性を維持し、電荷輸送も悪化することなく電極の機能は保つ事ができているためと推測される。
また、本発明の電極層は、3〜10μmの薄膜においても、透明性が高く、クラック発生が抑えられ、高い光電変換効率を示し、さらに基板への接着も良好で、機械的強度が保たれ膜ハガレ等を起こしにくくなる。その機構は完全には明らかではないが、以上説明した機構により高い効率が得られると推定されるとともに、二種以上の半導体微粒子が膜中で制御良く配列し、微小微粒子によるネッキング効果が増加し、このために金属酸化物半導体微粒子同士の接着及び基板への接着も良好で機械的強度が保たれ膜ハガレ等を起こしにくくなっていることが推測される。
すなわち、最頻粒子径1〜50nmの金属酸化物半導体微粒子は膜中で膜構造を支配する骨子として作用し、一方最頻粒子径1〜13nmの微小微粒子は大きい粒子間の隙間に入り込み、粒子間、或いは基板と粒子の両方に接着し橋渡しの役割を果たし、電子の流れを効率よく促すと同時に膜強度を上げる働きを保っていることが推測される。
このように、本発明のスラリーを用いて基板上に塗布することにより、異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子を含有する半導体電極層であって、膜厚が3μm〜20μmであり、実質的にワレを有さず、変換効率8.0以上であることを特徴とする半導体電極層を得ることができる。ここで、実質的にワレを有さないとは、KEYENCE DIGITAL MICROSCOPE VHX-500Fまたは同等の性能の機器で500倍で観察したときに、判別できる100μmを超える長さのクラックが視野内に5本以下であることをいい、より好ましくは3本以下、最も好ましくは全く発生していないことをいう。
〔太陽電池の作製〕
以上説明した電極層を用い、公知の技術を用いて太陽電池を作製することができる。電池の構成は特に限定されず、例えば、特許文献1、特許文献7や特許文献8など各種の公知文献に示される電池の構成を採用することもできる。
(1)光電変換素子の構成
図−1に、本発明の電極層を用いた光電変換素子の構造の一例を示す。
光電変換素子(太陽電池)1は、作用電極2、対向電極3、これらの電極同士を接続し封止する封止層4、及びこれら電極及び封止層の内壁面が形成する密封空間5、及び密封空間5を満たす電解質層6、により構成されている。
作用電極2は、ガラスやセラミックス等の光透過性部材からなる板状の光透過性基板7と、ITO(酸化インジウム錫)やFTO(フッ素ドープ酸化錫)等からなる透明電極部材8から構成されている。透明電極部材8には、色素増感半導体層9が一面側に固着され、この色素増感半導体層9を密封空間5内に配置させるようにして封止層4が固着されている。
色素増感半導体層9は、本発明のスラリーを塗布して形成することができ、さらにアゾ系色素やルテニウムビピリジン系金属錯体色素等の増感色素を吸着させた構成を有し、太陽光等の光が増感色素に吸収されることで、増感色素が励起状態となり電子を放出し、この電子が酸化物半導体に注入され得る。
対向電極3は、ガラス、金属、セラミックス等の硬質部材からなる対向基板10と、その一面に被膜状に形成された導電性の触媒電極層11とから構成されている。
触媒電極層11には、封止層4が固着され、密封空間5を介して色素増感半導体層9と対向するように配置されている。
これら対向基板8、10及び触媒電極層11は、所定位置に貫通孔12を有し、当該貫通孔12から、電解質組成物を注入できるようになっている。電極作製にあたっては、まず作用電極2と対向電極3を封止材で固着した後、貫通孔12から密封空間5を形成する空間に電解質組成物を注入して満たした後、当該貫通孔12を封止材13で塞いで当該空間を密封し、当該密封空間5に電解質組成物からなる電解質層6を形成することができる。
以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜7、比較例1〜8〕
〔スラリーの調製〕
金属酸化物半導体微粒子として、酸化チタン微粒子を用いた。表−1に示す材料を、表−2に示す組成で配合し、以下の方法で各分散液を調製した。
酸化チタン分散液1〜8は、各材料をペイントシェーカー(浅田鉄工所製)を用い、直径0.1mmアルミナビーズを用いて7時間撹拌、分散した。
各分散液の粘度及び平均分散粒子径を、表−2に示す。
有機バインダーは固形分換算で15重量%となるように、テルピネオール中で攪拌し溶解して有機バインダー溶液とした。
次に、これらの各分散液及び溶液を、表−3に示す配合比で混合し、スラリー1〜15を得た。これらスラリー1〜15を用い、以下の方法で、素子を得た。
〔色素増感光電変換素子の作成〕
旭ガラス製FTO透明導電性ガラス基板(シート抵抗:13Ω/□(15mm×25mm×t1.8mm)サイズに加工し、予めUV処理にて洗浄した。
このFTO基板上に、上記の方法で得られたスラリー1〜15をスクリーン印刷機(200メッシュ)で塗布した。
この塗布工程を繰り返すことによりスラリー層を積層し焼成後の塗膜厚が15μmになるまで、基板ごと500℃で30分間電気炉(フルテック製FT-101FM)で焼成し、放冷した。
その後、0.5mM N719(ルテニウム錯体色素 Sigma-Aldrich製)に40℃×20時間浸漬し、アセトニトリルで洗浄、乾燥し、光増感色素を担持した多孔質光電極を得た。
対向電極としては、旭ガラス製FTO透明導電性ガラス基板に白金微粒子をスパッタリングにより修飾したFTO/ガラス対極を用いた。
電解液は、ヨウ素:0.025M、ヨウ化リチウム:0.1M、t-ブチルピリジン:0.5M、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムヨージド:0.6M をアセトニトリルに溶解させて得られたものを用いた。
以上の多孔質電極、対向電極、電解液を用い、半導体電極と対極との封止層を形成する封止剤としてはアイオノマー樹脂として三井デュポン社製ハイミランを用い、図1に示す構造の太陽電池を作成して変換効率を測定した。
〔多孔質光電極の膜特性及び電池性能の評価〕
以下の方法で測定、評価した。
1.膜厚測定
(株)東京製密製 :小型表面粗さ形状測定機 「サームコム130A」
2.色素増感太陽電池の評価
疑似太陽光(1sun:AM1.5、100mW/cm2)を照射して、短絡電流密度(Jsc)、解放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、光電変換効率(η)を測定した。(25℃)
3.膜性評価
KEYENCE DIGITAL MICROSCOPE VHX-500F を用い透過モード、倍率×500にて観察し、表−4の基準で評価した。倍率×500の写真を図2〜15に示す。図2〜15中、図9〜13に見える黒く太い線、図14に見える100μmを超える黒い線は、膜に発生したクラックである。
〔実施例8〜16、比較例9〜13〕
スラリー3を用い、表−5に示すように焼成時の膜厚を変えた以外は実施例1〜7と同様にして電極層を作製し、さらに実施例1〜7と同様にしてセルを組んで変換効率を測定した。結果を表−5に示す。
図16は、表−5に示す実施例10〜18の膜厚と変換効率をグラフ化した図である。
図2〜15からわかるように、比較例2〜7で膜にクラックが発生しているのに対し、本発明のスラリーを用いた本発明の電極層(多孔質光電極)では、いずれもクラックの発生は見られず、実質的にワレがない電極層を得られていることがわかる。
また、比較例1では、変換効率が十分でないのに対し、本発明の本発明のスラリーを用いた本発明の電極層(多孔質光電極)では、いずれも高い変換効率を得ていることがわかる。
また、図16から明らかなように、本発明のスラリーを用いた本発明の電極層(多孔質光電極)では、膜厚3未満から20μmを超える広い範囲の膜厚において、8.0以上の高い変換効率を得られていることがわかる。
本発明により、広い範囲の膜厚で実質的にワレのない高い変換効率の色素増感光電変換素子を得ることができる。
1 太陽電池
2 作用電極
3 対向電極
4 封止層
5 密封空間
6 電解質層
7 光透過性基板
8 透明電極部材
9 色素増感半導体層 電解質層
10 対向基板
11 触媒電極層
12 貫通孔

Claims (11)

  1. 異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子が液媒体中に分散されたスラリーであって、一次粒子径のうち1種類の最頻粒子径が1〜50nmであり、他の1種類の最頻粒子径が1〜13nmであり、かつ液中での金属酸化物半導体微粒子の分散粒径が1〜200nmであることを特徴とする、半導体電極層形成用スラリー。
  2. 異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子が液媒体中に分散されたスラリーであって、一次粒子径のうち1種類の最頻粒子径が1〜50nmであり、他の1種類の最頻粒子径が1〜13nmであり、かつ高分子分散剤を含有することを特徴とする、半導体電極層形成用スラリー。
  3. 高分子分散剤が、アクリル系共重合体、ブチラール樹脂、酢酸ビニル共重合体、水酸基含有カルボン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸の塩、アルキルポリアミン系、多価アルコールエステル系のうちいずれか1種以上であることを特徴とする請求項2記載の半導体電極層形成用スラリー。
  4. 金属酸化物半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウムからなる群のうち1以上である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリー。
  5. 最頻粒子径が1〜50nmの金属酸化物半導体微粒子と、最頻粒子径が1〜13nmの金属酸化物半導体微粒子の混合比率が、重量比で100/1〜23である請求項1〜4のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリー。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリーを基板上に塗布、焼成することを特徴とする半導体電極層の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の半導体電極層形成用スラリーを基板上に塗布、焼成して得られる半導体電極層。
  8. 金属酸化物半導体微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化タングステン、チタン酸ストロンチウムからなる群のうち1以上である請求項7記載の半導体電極層。
  9. 最頻粒子径が1〜50nmの金属酸化物半導体微粒子と、最頻粒子径が1〜13nmの金属酸化物半導体微粒子の混合比率が、重量比で100/1〜23である請求項7又は8記載の半導体電極層。
  10. 異なる2種類以上の一次粒子径の金属酸化物半導体微粒子を含有する半導体電極層であって、膜厚が3μm〜20μmであり、実質的にワレを有さず、変換効率8.0以上であることを特徴とする半導体電極層。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の半導体電極層を電極として有する太陽電池。
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