JPWO2016092989A1 - シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子、およびマイクロレンズの製造方法 - Google Patents

シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子、およびマイクロレンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

シロキサン樹脂組成物は、シロキサン樹脂、金属含有粒子、および溶媒を含有するシロキサン樹脂組成物であって、上記金属含有粒子を組成物の固形成分中で10質量%以上90質量%以下で含有し、上記樹脂組成物より得られる塗布膜の水に対する表面接触角が50°以上70°以下である。

Description

本発明は、シロキサン樹脂組成物、これを用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子、およびマイクロレンズの製造方法に関する。
固体撮像素子などに組み込まれる透明材料として、ウエハレベルレンズや、マイクロレンズが挙げられる。あるいは、これらを被覆する反射防止膜、その下部に位置する透明画素、透明絶縁膜、平坦化膜などが挙げられる。それぞれの部材には、その機能に応じた特性が求められる。例えば、上記のマイクロレンズや透明画素には、高い屈折率と、高い光透過率が求められる。また、昨今、益々進む素子の微小化を実現するために、各材料には、微細な加工精度に適合する製造適性が要求される。
具体的に、透明樹脂に高屈折率粒子を導入する技術が検討されている。特許文献1では、ポリイミドに酸化チタン等の粒子を含有させたポジ型の感光性樹脂組成物を提案している。
国際公開第2005/088396号
本発明は、レンズや透明画素などの透明部材の材料として適合するシロキサン樹脂組成物の提供を目的とする。ポジ型に限らず、加熱硬化型の樹脂や、ネガ型の感光性樹脂としても対応することが可能であり、マイクロレンズや透明画素の微細加工にも好適に対応することができ、必要によりレジストを用いたレンズの加工性を良化することができるシロキサン樹脂組成物の提供を目的とする。また、上記シロキサン樹脂組成物を用いた透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子、およびマイクロレンズの製造方法の提供を目的とする。
さらに、上記のシロキサン樹脂組成物を利用し、高性能で品質の良いマイクロレンズおよびこれを配列したマイクロレンズアレイを好適に製造することができる製造方法の提供を目的とする。
上記の課題は下記の手段により解決された。
〔1〕シロキサン樹脂、金属含有粒子、および溶媒を含有するシロキサン樹脂組成物であって、上記金属含有粒子を上記シロキサン樹脂組成物の固形成分中で10質量%以上90質量%以下で含有し、上記シロキサン樹脂樹脂組成物より得られる塗布膜の水に対する表面接触角が50°以上70°以下であるシロキサン樹脂組成物。
〔2〕さらに、重合性化合物を含有する〔1〕に記載のシロキサン樹脂組成物。
〔3〕上記重合性化合物が、多官能(メタ)アクリロイル化合物を含む〔2〕に記載のシロキサン樹脂組成物。
〔4〕上記多官能(メタ)アクリロイル化合物が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはアルキレンオキシ基を含有する〔3〕に記載のシロキサン樹脂組成物。
〔5〕上記多官能(メタ)アクリロイル化合物が3個以上のアルキレンオキシ基を含有する〔3〕または〔4〕に記載のシロキサン樹脂組成物。
〔6〕上記シロキサン樹脂が、下記の式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物を加水分解縮合反応させた樹脂、または、下記の式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物を組み合わせて加水分解縮合反応させた樹脂である〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。

(RSi(OR4−a (1)

およびRはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。aは0、1または2である。

Si(R(OR3−c (2)

は官能基含有基である。RおよびRはそれぞれ独立に、Rと同義の基である。cは0または1である。

Si−X−(SiR (3)

およびRは、それぞれ独立に、上記Rと同義の基、あるいは、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基である。複数のR及びRのうち1〜4個は官能基含有基であってもよい。Xは2価以上の連結基である。dは1〜4の整数である。
〔7〕上記金属含有粒子100質量部に対して、シロキサン樹脂を30質量部以上80質量部以下含む〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔8〕上記金属含有粒子を構成する元素として、Ti、Ta、W、Y、Ba、Hf、Zr、Sn、Nb、V、およびSiから選ばれる金属を含有する〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔9〕上記金属含有粒子の数平均粒子径が5nm以上30nm以下である〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔10〕上記重合性化合物が、下記式(MO−1)〜(MO−7)のいずれかで表されるものである〔2〕〜〔9〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。

nはそれぞれ0〜14である。mはそれぞれ1〜8である。pは0または1である。一分子内に複数存在するR、TおよびZは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。Rのうち少なくとも1つは、(R1)または(R2)である。Rは水素原子または置換基である。
〔11〕上記シロキサン樹脂が、金属含有粒子の存在下、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応を介して得た樹脂である〔1〕〜〔10〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔12〕紫外線硬化型の樹脂組成物である〔1〕〜〔11〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔13〕硬化膜の屈折率が1.65以上2.0以下である〔1〕〜〔12〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔14〕上記金属含有粒子がTiとZrとを含有し、Ti/Zrの比率が1以上40以下である〔1〕〜〔13〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物。
〔15〕〔1〕〜〔14〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物を硬化させてなる透明硬化物。
〔16〕〔15〕に記載の透明硬化物からなる透明画素。
〔17〕〔15〕に記載の透明硬化物からなるマイクロレンズ。
〔18〕〔16〕に記載の透明画素、〔17〕に記載のマイクロレンズ、またはこれらの両者を具備する固体撮像素子。
〔19〕〔1〕〜〔14〕のいずれか1つに記載のシロキサン樹脂組成物を基板上に付与し、該シロキサン樹脂組成物に放射線を照射して硬化膜とし、該硬化膜の表面にレジストを付与し、該レジストをパターニングし、該パターニングされたレジストを加熱して半球状とし、該パターニングされたレジストに沿って上記シロキサン樹脂組成物の硬化膜をエッチングすることによりマイクロレンズを形成するマイクロレンズの製造方法。
〔20〕上記レジストの水に対する表面接触角が65°以上85°以下である〔19〕に記載のマイクロレンズの製造方法。
本明細書における基(原子群)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線または放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、レンズや透明画素などの透明部材の材料として適合する。ポジ型に限らず、加熱硬化型の樹脂や、ネガ型の感光性樹脂としても対応することが可能であり、マイクロレンズや透明画素の微細加工にも好適に対応することができる。さらに、要求に応じて、レジストを用いたレンズの加工性を良化することができる。また、上記シロキサン樹脂組成物を用いた良質の透明硬化物、透明画素、マイクロレンズ、固体撮像素子を提供することができる。
さらに、本発明の製造方法によれば高性能で品質の良いマイクロレンズおよびこれを配列したマイクロレンズアレイを好適に製造することができる。
本発明の好ましい実施形態に係るマイクロアレイの製造工程を模式的に示した工程説明図である。 本発明の好ましい実施形態に係るマイクロアレイを模式的に示した断面図である。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、金属含有粒子とシロキサン樹脂と溶媒とを含有し、その塗布膜が特定の水接触角を示す。以下、その好ましい実施形態について詳細に説明する。
<水接触角>
本発明に係るシロキサン樹脂組成物は、その塗布膜の水に対する表面接触角(水接触角)が50°以上70°以下である。下限値はさらに、55°以上が好ましく、60°以上がより好まく、65°以上が特に好ましい。上限側の規定としては、69°以下が好ましく、68°以下がより好ましい。本発明において、このように樹脂組成物の塗布膜の水に対する接触角を好適化したことにより優れた効果が得られた要因は、不明な点を含むが、下記のように考えられる。すなわち、樹脂組成物の塗布膜が疎水的すぎると、レンズ形状を転写するためのレジストの加工適性が悪くなることが予想される(図1、図2参照)。具体的には、メルト時にレジストが横方向に広がりやすく、レンズの高さが低くなってしまう。逆に、親水的すぎると、隣接するレンズとのスペースが広く開きすぎてしまうことが考えられる。一方、本発明においては、単に材料の親疎水性だけでなく、表面の凹凸などの物性が反映される指標として水の接触角を規定した。この数値は、計算により算出される親疎水性のパラメーターとは異なり、レジストをメルトさせる際の実際の広がり方をほぼ正確に表すことができ、このことで、レジスト材料によるレンズの形成において特有の作用(製造適性と製造品質の良化)が発現されることは、本発明において見出された新たな知見である。
なお、本発明において塗布膜の水に対する表面接触角とは、特に断らない限り、後記実施例で測定した条件によるものとする。
上記のシロキサン樹脂組成物の塗布膜が呈する水の接触角は、配合成分の影響などを確認しながら、適宜調節することができる。これを大きくするためには、親疎水性の観点からは、使用素材の疎水性を向上させること、あるいは疎水性材料を増量することが挙げられる。親疎水性のパラメーターとしては種々存在するが、たとえばsp値やCLogP値など計算で算出することが挙げられる。sp値であれば数値が小さな材料、CLogP値であれば数値の大きな材料が、疎水性が大きいことを意味する。ただし、材料の親疎水性以外の影響も考慮される(実施例の結果参照)。その反応後の樹脂構造あるいはその表面の性質等を考慮して、必要により実験的な確認を通じ、適宜配合成分を選定しその量を調節することが好ましい。
<金属含有粒子>
金属含有粒子は金属を構成元素として含む粒子を広く包含する。ここでは金属の語は最も広義に解釈されるべきものであり、ホウ素、ケイ素、ヒ素などの半金属もここに含まれるものとする。金属含有粒子が、酸素原子を含んで構成されているとき、特に金属酸化物粒子と呼ぶことがある。
本発明において、金属含有粒子は、Ti、Ta、W、Y、Ba、Hf、Zr、Sn、Nb、V、およびSiから選ばれる金属を含有することが好ましい。なかでも、そのうちの2種以上を含む複合金属の酸化物粒子であることが好ましい。例えば、TiとZr(必要によりさらにSi)、TiとSn(必要によりさらにSi)、TiとZrとSn(必要によりさらにSi)の組み合わせが好ましく、TiとZrとSnとSiとを有する組み合わせがさらに好ましい。
金属含有粒子の構成材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、酸化バリウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化イットリウムが挙げられる。これらの構成材料は、2種以上を含有していてもよく、酸化チタンおよび酸化ジルコニウムを少なくとも含有することが好ましく、酸化チタンと酸化ジルコニウムと酸化スズと酸化シリコンとを含有することがさらに好ましい。
構成材料として、酸化チタンを含有する場合、ルチル型の酸化チタンを含有することが好ましい。さらに、酸化チタンの全量に対してルチル型の酸化チタンを80質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することがより好ましく、95質量%以上含有することが特に好ましい。上限は、100質量%である。
金属含有粒子の屈折率は、高屈折率を得る観点から、1.75以上が好ましく、1.90以上が特に好ましい。上限としては、2.70以下が好ましい。
金属含有粒子の数平均粒子径としては、500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下が特に好ましい。下限値としては、1nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、5nm以上が特に好ましい。上記粒子径の範囲とすることで、硬化膜の透明度が向上し好ましい。また、硬化膜等の均質性および必要により絶縁性や耐久性を付与することができ好ましい。金属含有粒子は適当な粒子の粉体を調達し、ビーズミル等の分散機を用いて粉砕又は分散することができる。
〜粒子の屈折率の測定〜
金属含有粒子の屈折率は以下の方法で測定することができる。金属含有粒子の含有率を0質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%に調製して、金属含有粒子とマトリックス樹脂とを混合した混合溶液サンプルを作製する。各混合溶液サンプルの固形分濃度は10%とする。それぞれの混合溶液サンプルを、シリコンウェハー上に、厚さが0.3〜1.0μmとなるように、スピンコーターを用いて塗布し、ついで200℃のホットプレートで5分間、加熱、乾燥させ、コーティング膜を得る。次に例えばエリプソメータ(大塚電子(株)社製)を用いて波長633nm(25℃)での屈折率を求め、金属含有粒子100質量%の値を外挿して求めることができる。
〜平均粒子径の測定〜
金属含有粒子の数平均粒子径(一次粒子径における平均粒子径を意味する)は、粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求めて、平均粒子径を算出する。なお、平均粒子径を求めるために100個の粒子について粒子径を測定し、測定した粒子径のうち最大側10個および最小側10個をのぞいた、80個の平均値を平均粒子径とする。
市販の金属含有粒子としては、例えば、T−BTO−020RF(チタン酸バリウム;戸田工業株式会社製)、UEP−100(酸化ジルコニウム;第一稀元素化学工業株式会社製)又はSTR−100N、STR−100W、STR−100WLPT(酸化チタン;いずれも堺化学工業株式会社製)が挙げられる。 金属含有粒子は、液中に分散した分散体としても入手することができる。酸化ケイ素−酸化チタン粒子としては、例えば、“オプトレイク”(登録商標)TR−502、“オプトレイク”TR−503、“オプトレイク”TR−504、“オプトレイク”TR−513、“オプトレイク”TR−520、“オプトレイク”TR−527、“オプトレイク”TR−528、“オプトレイク”TR−529、“オプトレイク”TR−544又は“オプトレイク”TR−550(いずれも日揮触媒化成工業(株)製)が挙げられる。酸化ジルコニウム粒子としては、例えば、“バイラール”登録商標Zr−C20(平均粒径=20nm;多木化学(株)製)、ZSL−10A(平均粒径=60−100nm;第一稀元素株式会社製)、“ナノユース”(登録商標)OZ−30M(平均粒径=7nm;日産化学工業(株)製)、SZR−M(堺化学(株)製)又はHXU−120JC(住友大阪セメント(株)製)が挙げられる。
金属含有粒子における金属元素の含有比率(元素組成)としては、Ti及びZrを含有しその割合が、Ti/Zr比で1以上が好ましく、3以上がより好ましく、6以上がより好ましく、9以上がさらに好ましく、11以上が特に好ましい。上限としては、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。このような数値範囲を満たす場合には、屈折率を維持しつつ、組成物の保存性を高めることができるため好ましい。
また、Ti及びSiを含有しその割合が、Ti/Si比で1以上が好ましい。上限としては、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、10以下が特に好ましい。
Ti/Sn比は、10以上であることが好ましく、13以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、17以上がさらに好ましく、19以上がさらに好ましく、20以上が特に好ましい。上限としては、1000以下であることが好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましく、100以下がさらに好ましく、60以下がさらに好ましく、50以下がさらに好ましく、40以下がさらに好ましく、35以下がさらに好ましく、30以下がさらに好ましく、25以下が特に好ましい。Ti/Sn比をこの範囲とすることで、金属含有粒子と共に使用される有機成分とのなじみが良好となるという作用が期待でき好ましい。
〜金属元素の含有率の測定〜
金属含有粒子の金属元素の含有率は、蛍光X線分析(リガク製 PrimusII型蛍光X線分析装置)で定量した元素組成(原子%)で評価する。複数の元素の比率は各元素組成(原子%)を求め、それぞれの元素組成(原子%)の比率で評価する。なお、元素組成比は、モル数の比率として求めても同義である。
金属含有粒子の表面処理はどのような態様であってもよいが、例えば後述する界面活性剤により処理する態様や、別の金属を含有する処理剤で処理する態様などが挙げられる。例えば、特定の金属含有粒子を形成し、その表面に別種の金属含有物等の被膜を形成する態様が挙げられる。あるいは、別種の金含有物等の被膜を厚みのあるものとし、コアシェル型の金属含有粒子としてもよい。コアとシェルの比率は特に限定されないが、粒子全体を100質量部としたときに、コアの比率は85質量部以上が好ましく、87質量部以上がより好ましく、90質量部以上が特に好ましい。上限は97質量部以下が実際的である。コアとシェルを構成する材料の組合せは特に限定されないが、コアをTi,Sn等を含有する粒子で構成し、シェルをZrを含有する被覆、Siを含有する被覆、あるいはZr及びSiを含有する被覆で構成する例が挙げられる。粒子の屈折率を高くするという意図から、シェルを構成する材料は高屈折率材料であることが特に望ましい。さらに、コアに使用する金属含有粒子成分として酸化チタンが含有される場合には、粒子表面に存在する酸化チタン成分の光触媒活性を抑制する目的で、シェルは光に対して安定な材料(例えばジルコニウム)であることが望ましい。
金属含有粒子の含有量は、組成物(シロキサン樹脂組成物)の固形成分中で10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、55質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。この量を上記の範囲とすることにより特に良好な分光特性を得ることができ好ましい。
金属含有粒子は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において固形成分(固形分)とは、170℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分を言う。典型的には、溶媒や分散媒体以外の成分を指す。
本発明で用いられる金属含有粒子は常法によって製造することができる。例えば、後記実施例のように、構成元素となる金属の塩をゾルを形成する媒体に添加し、さらに必要によりアルカリや酸を添加することにより分散ゾル(ケーキ)を得る。なお、媒体が酸やアルカリである場合は、これらを追加して添加する必要はない。これを加熱することにより、固形化し、粉末化する例が挙げられる。このとき、混合したい金属元素の塩を上記のゾルに添加することで、複合金属の粒子を得ることができる。あるいは、一度核粒子を形成しておき、さらにこれとともに所望の金属塩を含有するゾルを上記と同様に形成する。これを加熱し、固形化したものを粉砕等することにより、コアシェル型の粒子を得ることができる。
原料となる金属塩としては、上記で例示した各金属の塩が挙げられる。具体的には、四塩化チタン、スズ酸カリウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。
ゾルを形成する溶媒としては、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液、塩酸、硝酸、硫酸などの酸性水溶液などが挙げられる。あるいは、水や各種の有機媒体を用い、金属アルコキシドを溶解するゾルゲル法なども挙げられる。
本発明に適用できる金属含有粒子の製造方法としては、例えば、特開2008−69193の段落<0015>〜<0043>に記載の方法を参照することができる。また、その具体的な金属含有粒子として、特開2008−69193の段落<0015>〜<0043>に記載のものを利用することができ、本願に引用して取り込む。
<シロキサン樹脂>
本発明においてシロキサン樹脂は、本発明においてシロキサン樹脂は、金属含有粒子の存在下でアルコキシシラン化合物を加水分解縮合反応させた樹脂であることが好ましい。なかでも、下記の式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物を加水分解縮合反応させた樹脂であることが好ましい。さらに、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物をともに加水分解縮合反応させたものであることも好ましい。あるいは、式(1)の化合物と式(3)の化合物とをともに加水分解縮合反応させてもよく、式(2)の化合物と式(3)の化合物、あるいは式(1)の化合物と式(2)の化合物と式(3)の化合物とをともに加水分解縮合反応させたものとしてもよい。なお、各式の化合物を1種ずつ用いても、2種以上用いてもよい。

(RSi(OR4−a (1)

およびRはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基はアルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニル基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)が好ましく、アルキル基、アリール基、またはアルケニル基がより好ましい。
aは0、1または2である。

Si(R(OR3−c (2)

は官能基含有基である。官能基としてはヘテロ原子(S,O,N,P,Si等)を構造内に含む基であることが好ましい。あるいは、重合性基や酸性基、もしくは塩基性基を含むことが好ましい。(メタ)アクリロイルオキシ基、チオール基(スルファニル基)、エポキシ基、オキセタン基、グリシジル基、グリシドキシ基、ヒドロキシル基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、イソシアネート基、ウレア基、またはこれらの置換基を有する基である。Rが連結基を介してSiに結合するとき、後記連結基Lの例が挙げられ、中でも炭化水素連結基(特にアルキレン基)が好ましい。カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基は塩やエステル、その無水物を形成していてもよい。アミノ基も塩を形成していてもよい。
の炭素数は1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。なかでも、アミノアルキル基やグリシドキシアルキル基が好ましい。
およびRはそれぞれ独立に、Rと同義の基である。
cは0または1である。

Si−X−(SiR (3)

およびRは、それぞれ独立に、上記Rと同義の基、あるいは、アルコキシ基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニルオキシ基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アルキニルオキシ基(炭素数2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、またはアラルキルオキシ基(炭素数7〜23が好ましく、7〜15がより好ましく、7〜11が特に好ましい)である。複数のR及びRのうち1〜4個はRの基であってもよい。
Xは2価以上の連結基である。Xが2価の連結基のとき、後記連結基Lの例が挙げられる。具体的には、S、O、CO、NR、ポリスルフィド基(Sが2〜6個)などが挙げられる。Xが3価の連結基のとき例えばイソシアヌル骨格が挙げられる。dは1〜4の整数であり、1または2が好ましい。
〜Rはそれぞれ独立に任意の置換基Tを有していてもよい。また、本発明の効果を奏する範囲で、連結基Lを伴ってケイ素原子と結合していてもよい。さらに、隣接するものが結合ないし縮合して環を形成していてもよい。
式(1)で表されるシラン化合物の例:
3官能性シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシランなどが挙げられる。
2官能性シラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
4官能性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
式(2)で表されるシラン化合物の例:
3官能性シラン化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ−n−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ−t−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシ−t−ブチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシ−t−ブチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシ−t−ブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ−t−ブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
2官能性シラン化合物としては、例えばγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシランなどが挙げられる。
式(3)で表されるシラン化合物としては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノエチル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラエチルジシロキサン等が挙げられる。
シロキサン樹脂は、上述したアルコキシシラン化合物を用いて、加水分解反応および縮合反応を介して得ることができる。加水分解縮合反応としては公知の方法を使用することができ、必要に応じて、酸または塩基などの触媒を使用してもよい。触媒としてはpHを変更させるものであれば特に制限がなく、具体的には、酸(有機酸、無機酸)としては、硝酸、リン酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸などが挙げられる。アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。使用する量は、シロキサン樹脂が所定の分子量を満たせば、特に限定されない。
加水分解縮合反応の反応系には、必要に応じて、溶媒を加えてもよい。溶媒としては加水分解縮合反応が実施できれば特に制限されず、後記の溶媒の例が挙げられる。なかでも、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジアセトンアルコール(DAA)、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)などのエーテル化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトンなどのケトン化合物などが挙げられる。
加水分解縮合反応の条件(温度、時間、溶媒量)は使用される材料の種類に応じて、適宜好適な条件が選択されればよい。
本実施形態で使用されるシロキサン樹脂の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、3,000以上が特に好ましい。上限としては、500,000以下が好ましく、450,000以下がより好ましく、250,000以下が特に好ましい。
本発明においてポリマーの分子量については、特に断らない限り、重量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測する。測定装置は東ソー社製のものを使用する。条件としては、下記条件1によることとする。ただし、ポリマー種によっては、さらに適宜適切なキャリア(溶離液)およびそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。
(条件1)
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H、TOSOH
TSKgel Super HZ4000、TOSOH TSKgel
Super HZ2000をつないだカラムを用いる
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
シロキサン樹脂の場合には、シロキサン樹脂をジメチルホルムアミドにより試料濃度が0.3質量%になるよう調整し、測定を行なう。ただし、その種類や分子量によっては、上記条件1によって測定してもよい。
一部重複する部分もあるが、好ましいシロキサン樹脂としては、下記も挙げられる。
4つ以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラメトキシジシロキサン、テトラエトキシジシロキサン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。硬化膜の耐薬品性の向上の観点から、嵩高い9官能性シランと立体障害の少ない4官能性シランとを相互に反応させるようにするため、4官能性シランと9官能性シランとの混合物が好ましい。
シロキサン樹脂は2官能あるいは3官能のアルコキシシラン化合物との加水分解物縮合反応物であることも好ましい。シロキサン樹脂を構成するアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジヒドロキシジフェニルシラン、ジメトキシ(メチル)(フェニル)シラン、ジエトキシ(メチル)(フェニル)シラン、ジメトキシ(メチル)(フェネチル)シラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン又はシクロヘキシルジメトキシ(メチル)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン又は3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸、3−トリメトキシシリルエチル無水コハク酸、3−トリメトキシシリルブチル無水コハク酸、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが挙げられる。
シロキサン樹脂の含有量は、後述するアルカリ可溶性樹脂が含有している場合には、少なく、含有していない場合には多くすることが好ましい。すなわち、アルカリ可溶性樹脂を含有している場合、シロキサン樹脂の含有量は、組成物の固形成分中で1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
またアルカリ可溶性樹脂を含有していない場合、シロキサン樹脂の含有量は、組成物の固形成分中で10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。
金属含有粒子100質量部に対しては、10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが特に好ましい。上限としては、120質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることが特に好ましい。少なめにするときには、上限として、70質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下であることが特に好ましい。シロキサン樹脂の量は、上記下限値以上で用いることが、製膜性や膜の耐久性の観点で好ましい。一方、上記上限値以下に抑えることで、高屈折率を維持できる観点から好ましい。
<溶媒>
本発明のシロキサン樹脂組成物には溶媒を含有させる。この溶媒は、上記シラン化合物の加水分解縮合反応に用いた溶媒をそのまま組成物の溶媒として用いてもよく、あるいはその溶媒に加えて、または切り替えて下記の溶媒を用いてもよい。
溶媒としては、たとえば、水、脂肪族化合物、ハロゲン化炭化水素化合物、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホキシド化合物、芳香族化合物が挙げられる。これらの溶媒は混合して使用してもよい。それぞれの例を下記に列挙する。
・水
・脂肪族化合物
ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンなど
・ハロゲン化炭化水素化合物
塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルメタン、二塩化エタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、エピクロロヒドリン、モノクロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン、アリルクロライド、HCFC、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸トリクロル酢酸、臭化メチル、ウ化メチル、トリ(テトラ)クロロエチレなど
・アルコール化合物
メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなど
・エーテル化合物(水酸基含有エーテル化合物を含む)
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)など
・エステル化合物
酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど
・ケトン化合物
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロペンタノンなど
・ニトリル化合物
アセトニトリルなど
・アミド化合物
N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなど
・スルホキシド化合物
ジメチルスルホキシドなど
・芳香族化合物
ベンゼン、トルエンなど
溶媒としては、アルコール化合物、エステル化合物、又はエーテル化合物が好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、酢酸2−エトキシエチル、1−メトキシプロピル−2−アセテート、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、1,3−ブチレングリコルジアセテート,エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセト酢酸エチル又はγ―ブチロラクトンが挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、塗布液とするような場合には、固形成分が5質量%以上となるようにすることが好ましく、10質量%以上となるようにすることがより好ましく、15質量%以上となるようにすることが特に好ましい。上限としては、40質量%以下となるようにすることが好ましく、35質量%以下となるようにすることがより好ましく、30質量%以下となるようにすることが特に好ましい。
溶媒は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<紫外線吸収剤>
本発明のシロキサン樹脂組成物には紫外線吸収剤を用いてもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、又はトリアジン化合物を用いることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−tert−ペンチルフェノール、2−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール又は2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
トリアジン系化合物の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
<重合開始剤>
本発明のシロキサン樹脂組成物には、重合開始剤を含有させてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤でも光重合開始剤でもよいが、光重合性開始剤が好ましい。例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシム化合物、オニウム塩化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体化合物、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物、α−アミノアルキルフェノン化合物、安息香酸エステル化合物が挙げられる。
これらの具体例として、特開2010−106268号公報段落<0135>(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0163>)以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤を挙げることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を挙げることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤の市販品としてはIRGACURE−907、IRGACURE−369、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)等を用いることができる。また、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤の市販品としては、IRGACURE−819、ダロキュア4265、DAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
アゾ化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、3−カルボキシプロピオニトリル、アゾビスマレイロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)[V−601](Wako社製)等が挙げられる。
本発明においてはオキシム化合物を用いることが好ましい。オキシム化合物は、本発明のシロキサン樹脂組成物において重合を開始・促進する重合開始剤としての機能を効果的に発揮する。また、オキシム化合物は後加熱での着色が少なく、硬化性も良好である。なかでも、IRGACURE OXE01(下式)、IRGACURE OXE02(下式)などの市販品(いずれも、BASF社製)を好適に使用することができる。
重合開始剤となるオキシム化合物としては、下記式(OX)で表されるものが好ましく、式(OX−1)で表されるものがより好ましい。

・A
は式(OX−1)の−A−Cまたはアルキル基であることが好ましい。アルキル基は、炭素数1〜12が好ましく、1〜6であることがより好ましい。アルキル基は、後記置換基Tを有していてもよい。また、置換基Tは後記連結基Lを介在して置換していてもよい。
・C
CはAr、−SAr、もしくは−COArを表す。
・R
Rは一価の置換基を表し、一価の非金属原子団であることが好ましい。上記一価の非金属原子団としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜3)、アリーロイル基(好ましくは炭素数7〜15、より好ましくは7〜11)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜3)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜15、より好ましくは7〜11)、複素環基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは2〜6)、アルキルチオカルボニル基(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜3)、アリールチオカルボニル基(好ましくは炭素数7〜15、より好ましくは7〜11)等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基Tで置換されていてもよい。置換基Tの中でも、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜3)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは6〜10)、アリーロイル基(好ましくは炭素数7〜15、より好ましくは7〜11))等が好ましい。連結基Lはなかでも、炭素数1〜6のアルキレン基,O,S,CO,NR,またはこれらの組み合わせが好ましい。
・B
Bは一価の置換基を表し、アルキル基(好ましくは炭素数1〜12)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜10)、複素環基(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜12)を表す。これらの基は、連結基Lを介して結合していてもよい。また、これらの基は1以上の置換基Tを有していてもよい。置換基Tも任意の連結基Lを介して置換していてもよい。ここでも連結基Lも、炭素数1〜6のアルキレン基,O,S,CO,NR,またはこれらの組み合わせが好ましい。Bの具体的な基として下記が挙げられる。*は結合位置を示すが、異なる位置で結合していてもよい。また、これらの基はさらに置換基Tを伴っていてもよい。具体的には、ベンゾイル基、フェニルチオ基、フェニルオキシ基が挙げられる。
・A
Aは単結合または連結基である。連結基の好ましい例としては、上記連結基Lまたはアリーレン基(好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜10)または複素環連結基(好ましくは芳香族複素環連結基)(好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜12)である。
・Ar
Arはアリール基またはヘテロアリール(芳香族複素環基)である。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜14、より好ましくは炭素数6〜10であり、フェニル基、ナフチル基が好ましい。ヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数2〜18、より好ましくは炭素数2〜12であり、N位にアルキル基等の置換基を有していてもよいカルバゾリル基が好ましい。
オキシム開始剤としては、特開2012−208494号公報段落0513(対応する米国特許出願公開第2012/235099号明細書の<0632>)以降の式(OX−1)、(OX−2)または(OX−3)で表される化合物の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
重合開始剤は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有することが好ましく、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることがより好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
重合開始剤の含有量(2種以上の場合は総含有量)は、組成物の全固形分に対し0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上8質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。この範囲で、良好な硬化性と透明性とが得られる。
また、重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
<重合性化合物>
重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリロイル化合物であることが好ましい。多官能(メタ)アクリロイル化合物とは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物の総称である。この多官能(メタ)アクリロイル化合物は、ヒドロキシル基、カルボキシル基あるいは(ポリ)アルキレンオキシ基(−(Lr−O)x−)(後記連結基Lの例を参照)を含有することがより好ましい。ここでのxは、なかでも、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい。Lrは後記の定義と同義である。あるいは、多官能(メタ)アクリロイル化合物が、3個以上のアルキレンオキシ基(−Lr−O−)を含有することが好ましい。アルキレンオキシ基の数に上限はないが、12個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、8個以下が特に好ましい。なお、アルキレンオキシ基はその向きは限定されず、オキシアルキレン基と同義である。
重合性化合物は、さらに、下記式(MO−1)〜(MO−7)で表されるものであることが好ましい。
式中、nは0以上であり、1以上が好ましい。上限は、14以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下が特に好ましい。mは1以上である。上限は、8以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。pは0または1である。一分子内に複数存在するR、TおよびZは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。Tが(T2)〜(T9)の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。Rのうち少なくとも1つは、(R1)または(R2)である。Rは水素原子または置換基であり、置換基の好ましい範囲は後記の定義に従う。
Tは中でも、(T2)〜(T9)が好ましく、(T2)、(T3)、(T4)、(T5)、(T8)、(T9)がより好ましい。
本発明においては、特に以下の条件1および2の組合せが好ましい。以下の組合せにおいては、特にその分子の親疎水性(sp値等)とは離れ、硬化膜としたときに、その表面の水に対する接触角を良好な範囲に至らせる効果を発揮するものと解される。
<条件1>
Rが(R3)〜(R5)のいずれかを含むとき:
nは0以上である。上限は、8以下がであり、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
本条件においては、分子内のTの数は特に限定されず、n=0でもよい。
<条件2>
Rが(R3)〜(R5)のいずれも含まないとき:
nは1以上であり、2以上がより好ましい。上限は、8以下であり、5以下がより好ましく、3以下が特に好ましい。
このとき、分子中に、Tとして(T2)、(T3)、(T4)、(T5)、(T8)、(T9)のいずれかを1つ以上含み、すべてのTが(T2)、(T3)、(T4)、(T5)、(T8)、(T9)から選ばれるものであることが好ましい。なかでも、Tが(T3)であるものが特に好ましい。
本条件において、分子内のTの数は1以上が必須である。分子内のTの数は、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましく、4以上であることが特に好ましい。上限は特にないが、12以下であることが実際的であり、10以下であることがより実際的である。
中でも、重合性化合物等としては、後記例示化合物Mで付番された化合物を好適に用いることができる。
重合性化合物としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基を有していてもよい。従って、エチレン性化合物が、混合物である場合のように未反応のヒドロキシル基やカルボキシル基を有するものであってもよく、これをそのまま利用することができる。必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸性基を導入してもよい。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
重合性化合物の分子量は特に限定されないが、300以上1500以下であることが好ましく、400以上700以下であることがより好ましい。
組成物中の全固形分に対して、重合性化合物の含有量は、1質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、3質量%〜40質量%の範囲であることがより好ましく、5質量%〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。この範囲内であると、屈折率や透明性を過度に低下させることなく、硬化性や上述した表面の親疎水性が良好となり好ましい。
重合性化合物は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明のシロキサン樹脂組成物には、アルカリ可溶性樹脂を含有させてもよい。アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有することが好ましい。
耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸性基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。溶媒に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、主鎖または側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、(イソ)ペンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、jN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体がなす繰返し単位としては、下記式(A1)で表される繰り返し単位であることも好ましい。
11は水素原子又はメチル基を表す。R12は炭素数2又は3のアルキレン基を表し、なかでも炭素数2が好ましい。R13は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。n1は1〜15の整数を表し、1〜12が好ましい。上記式(A1)で表される繰り返し単位は、側鎖に存在するベンゼン環のπ電子の効果により粒子表面への吸着及び/又は配向性が良好となる。特に、この側鎖部分が、パラクミルフェノールのエチレンオキシ又はプロピレンオキシ構造をとる場合には、その立体的な効果も加わり、より良好な吸着及び/又は配向面を形成することができる。そのため、より効果が高く好ましい。
13は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜10であるアルキル基がより好ましい。これは、R13の炭素数が大きい場合、この基が障害となり樹脂同士の接近を抑制し吸着及び/又は配向を促進するが、大きすぎると逆にその効果までをも妨げてしまう場合があるためである。R13で表されるアルキル基としては、無置換のアルキル基又はフェニル基で置換されたアルキル基が好ましい。
本発明のシロキサン樹脂組成物には、アルカリ可溶性ポリエステル樹脂を用いてもよい。アルカリ可溶性ポリエステル樹脂を含有することにより得られる効果の作用機序は明らかでないが、芳香環を有するものはエステル基の分解性を低下させ、効果的な現像を可能にするものと思料される。
アルカリ可溶性ポリエステル樹脂の合成方法としては、多官能エポキシ化合物と多価カルボン酸化合物との重付加反応、又は、ポリオール化合物と二酸無水物との重付加反応、を経る方法が好ましい。ポリオール化合物としては、多官能エポキシ化合物とラジカル重合性基含有一塩基酸化合物との反応により得られたものが好ましい。重付加反応および付加反応に用いる触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等のアンモニウム系触媒;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール若しくはジメチルベンジルアミン等のアミノ系触媒;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒;およびアセチルアセトネートクロム若しくは塩化クロム等のクロム系触媒等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は23℃で0.1質量%以上の濃度の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液に可溶であるものが好ましい。さらに1質量%以上のTMAH水溶液に可溶であること、さらに2質量%以上のTMAH水溶液に可溶であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30〜200mgKOH/g、より好ましくは50〜150mgKOH/g、さらに好ましくは70〜120mgKOH/gである。このような範囲とすることにより、未露光部の現像残渣を効果的に低減できる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、組成物の全固形分に対して、10〜50質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%であり、特に好ましくは20〜35質量%である。
アルカリ可溶性樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<重合禁止剤>
本発明のシロキサン樹脂組成物には重合禁止剤を含有させてもよい。重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、N−オキシド化合物類、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、ジアゾニウム化合物類、及びカチオン染料類、スルフィド基含有化合物類、ニトロ基含有化合物類、FeCl、CuCl等の遷移金属化合物類が挙げられる。重合禁止剤としては、具体的には、特開2010−106268号公報段落0260〜0280(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の<0284>〜<0296>)の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
重合禁止剤の好ましい添加量としては、重合開始剤100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、更に0.01質量部以上8質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下の範囲にあることが最も好ましい。
重合禁止剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<分散剤>
分散剤としては、特開2007−277514号公報の請求項1(対応するUS2010/0233595の請求項1)の一般式(1)で表される高分子化合物が好ましい。特開2007−277514号公報(対応するUS2010/0233595)の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
上記一般式(1)で表される高分子化合物は、特に制限されないが、特開2007−277514号公報段落0114〜0140及び0266〜0348に記載の合成方法に準じて合成することができる。
分散剤の含有量としては、金属含有粒子100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、30〜1000質量部がより好ましく、50〜800質量部がさらに好ましい。また、組成物の全固形分に対しては、10〜30質量%であることが好ましい。これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<界面活性剤>
本発明のシロキサン樹脂組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、オルガノポリシロキサン系等のケイ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリレート若しくはポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤又はアクリル系若しくはメタクリル系の重合物からなる界面活性剤が挙げられる。市販品の界面活性剤としては、例えば、“メガファック”(登録商標)F142D、F172、F173、F183、F445、F470、F475若しくはF477(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)又はNBX−15若しくはFTX−218(いずれも(株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、BYK−333、BYK−301、BYK−331、BYK−345若しくはBYK−307(いずれもビックケミー・ジャパン(株)製)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の添加量は、組成物の固形成分中、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。上限値は30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
界面活性剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のシロキサン樹脂組成物は、必要に応じて、その他、溶解抑止剤、安定剤又は消泡剤等の添加剤を含有しても構わない。
<低分子有機酸>
本発明のシロキサン樹脂組成物は、低分子の有機酸(低分子有機酸)を含有しても良い。低分子有機酸は単一の分子であれば実質的に分子量分布を持たない分子であり、かつ酸性官能基を有する有機化合物である。酸性官能基のpKaは5.5以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、4以下であることが特に好ましい。下限値は特にないが、−3以上であることが実際的である。具体的な構造としてはカルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、およびスルホン酸基から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。酸価は50mgKOH/g以上が好ましく、100mgKOH/g以上がより好ましく、150mgKOH/g以上がさらに好ましく、200mgKOH/g以上が特に好ましい。上限値は700mgKOH/g以下が好ましく、500mgKOH/g以下がより好ましい。
低分子有機酸の添加量は、シロキサン樹脂組成物中0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。上限値は3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。固形分中では1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。上限値は10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
シロキサン樹脂と低分子有機酸との比率「シロキサン樹脂」/「低分子有機酸」は3〜50が好ましく、5〜30がより好ましく、6〜25がさらに好ましく、7〜20が特に好ましい。この範囲とすることで膜の現像液への染み込みを良化させ、解像性をさらに向上させることができる。
<現像液>
現像液としては、アルカリ性溶液を用いることが好ましい。例えば、アルカリ性化合物の濃度を0.001〜10質量%とすることが好ましく、0.01〜5質量%とすることがより好ましい。アルカリ性化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシ、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等が挙げられる。このうち、本発明においては、有機アルカリが好ましい。なお、アルカリ性水溶液を現像液として用いた場合は、一般に現像後に水で洗浄処理が施される。これらの現像液の中で好ましくは第四級アンモニウム塩、更に好ましくは、テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド(TMAH)もしくはコリンである。
現像液は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において化合物の表示(例えば、化合物と末尾に付して呼ぶとき)については、上記化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、置換基を導入するなど一部を変化させた誘導体を含む意味である。
本明細書において置換・無置換を明記していない置換基(連結基についても同様)については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等、ただしアルキル基というときには通常シクロアルキル基を含む意味である。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、ピロリドン基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、3−メチルフェノキシカルボニル、4−メトキシフェノキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等)、アリーロイル基(好ましくは炭素原子数7〜23のアリーロイル基、例えば、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ等)、アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素原子数7〜23のアリーロイルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数6〜22のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、アルキルシリル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルシリル基、例えば、モノメチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、アリールシリル基(好ましくは炭素原子数6〜42のアリールシリル基、例えば、トリフェニルシリル等)、ホスホリル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスホリル基、例えば、−OP(=O)(R)、ホスホニル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスホニル基、例えば、−P(=O)(R)、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスフィニル基、例えば、−P(R)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルイミノ基((メタ)アクリルアミド基)、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。
また、上記置換基が酸性基または塩基性基のときはその塩を形成していてもよい。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基、アルキニル基・アルキニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。
本明細書で規定される各置換基は、本発明の効果を奏する範囲で下記の連結基Lを介在して置換されていても、その構造中に連結基Lが介在していてもよい。たとえば、アルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基等はさらに構造中に下記のヘテロ連結基を介在していてもよい。
連結基Lとしては、炭化水素連結基〔炭素数1〜10のアルキレン基(より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは1〜3)、炭素数2〜10のアルケニレン基(より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは2〜4)、炭素数2〜10のアルキニレン基(より好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは2〜4)、炭素数6〜22のアリーレン基(より好ましくは炭素数6〜10)、またはこれらの組合せ〕、ヘテロ連結基〔カルボニル基(−CO−)、チオカルボニル基(−CS−)、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、イミノ基(−NR−)、ポリスルフィド基(Sの数が1〜8個)、イミン連結基(R−N=C<,−N=C(R)−)、スルホニル基(−SO−)、スルフィニル基(−SO−)、リン酸連結基(−O−P(OH)(O)−O−)、ホスホン酸連結基(−P(OH)(O)−O−)、またはこれらの組合せ〕、またはこれらを組み合せた連結基が好ましい。なお、縮合して環を形成する場合には、上記炭化水素連結基が、二重結合や三重結合を適宜形成して連結していてもよい。形成される環として好ましくは、5員環または6員環が好ましい。5員環としては含窒素の5員環が好ましく、その環をなす化合物として例示すれば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、インダゾール、インドール、ベンゾイミダゾール、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、インドリン、カルバゾール、またはこれらの誘導体などが挙げられる。6員環としては、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、またはこれらの誘導体などが挙げられる。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。
は水素原子または置換基である。置換基としては、アルキル基(炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、2〜3が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、2〜3が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜22が好ましく、7〜14がより好ましく、7〜10が特に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)が好ましい。
は水素原子、ヒドロキシル基、または置換基である。置換基としては、アルキル基(炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、2〜3が特に好ましい)、アルキニル基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、2〜3が特に好ましい)、アラルキル基(炭素数7〜22が好ましく、7〜14がより好ましく、7〜10が特に好ましい)、アリール基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましい)、アルケニルオキシ基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、2〜3が特に好ましい)、アルキニルオキシ基(炭素数2〜24が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましく、2〜3が特に好ましい)、アラルキルオキシ基(炭素数7〜22が好ましく、7〜14がより好ましく、7〜10が特に好ましい)、アリールオキシ基(炭素数6〜22が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10が特に好ましい)、が好ましい。
連結基Lを構成する原子の数は、1〜36であることが好ましく、1〜24であることがより好ましく、1〜12であることがさらに好ましく、1〜6であることが特に好ましい。連結基の連結原子数は10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。下限としては、1以上である。上記連結原子数とは所定の構造部間を結ぶ経路に位置し連結に関与する最少の原子数を言う。たとえば、−CH−C(=O)−O−の場合、連結基を構成する原子の数は6となるが、連結原子数は3となる。
具体的に連結基の組合せとしては、以下のものが挙げられる。オキシカルボニル基(−OCO−)、カーボネート基(−OCOO−)、アミド基(−CONH−)、ウレタン基(−NHCOO−)、ウレア基(−NHCONH−)、(ポリ)アルキレンオキシ基(−(Lr−O)x−)、カルボニル(ポリ)オキシアルキレン基(−CO−(O−Lr)x−、カルボニル(ポリ)アルキレンオキシ基(−CO−(Lr−O)x−)、カルボニルオキシ(ポリ)アルキレンオキシ基(−COO−(Lr−O)x−)、(ポリ)アルキレンイミノ基(−(Lr−NR)x)、アルキレン(ポリ)イミノアルキレン基(−Lr−(NR−Lr)x−)、カルボニル(ポリ)イミノアルキレン基(−CO−(NR−Lr)x−)、カルボニル(ポリ)アルキレンイミノ基(−CO−(Lr−NR)x−)、(ポリ)エステル基(−(CO−O−Lr)x−、−(O−CO−Lr)x−、−(O−Lr−CO)x−、−(Lr−CO−O)x−、−(Lr−O−CO)x−)、(ポリ)アミド基(−(CO−NR−Lr)x−、−(NR−CO−Lr)x−、−(NR−Lr−CO)x−、−(Lr−CO−NR)x−、−(Lr−NR−CO)x−)などである。xは1以上の整数であり、1〜500が好ましく、1〜100がより好ましい。
Lrはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基が好ましい。Lrの炭素数は、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい(アルケニレン基、アルキニレン基は2以上)。複数のLrやR、R、x等は同じである必要はない。連結基の向きは上記の記載により限定されず、適宜所定の化学式に合わせた向きで理解すればよい。
<容器>
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(キットであるか否かに関わらず)対腐食性等が問題とならない限り、任意の容器に充填して保管、運搬、そして使用することができる。また、半導体用途向けに、容器のクリーン度が高く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。使用可能な容器としては、アイセロ化学(株)製の「クリーンボトル」シリーズ、コダマ樹脂工業(株)製の「ピュアボトル」などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この容器ないしその収容部の内壁は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、及び、ポリエチレン−ポリプロピレン樹脂からなる群より選択される1種以上の樹脂とは異なる樹脂、又は、防錆・金属溶出防止処理が施された金属から形成されることが好ましい。このような容器保存については、その好ましい実施形態について、後記のレジストの保存についても同じである。
<フィルタリング>
本発明のシロキサン樹脂組成物は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、さらに好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、さらに好ましくは0.3〜6.0μm程度である。この範囲とすることにより、混合液に含有されている成分粒子を残存させたまま、混合液に混入している異物を除去することができる。
例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、分散液のみで行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタリングを行ってもよい。
<メタル濃度>
本発明のシロキサン樹脂組成物は、そのメタル(Na、K、Ca、Fe、Cu、Mg、Mn、Li、Al、Cr、Ni、及び、Znの金属元素)の濃度がいずれも5ppm以下であることが好ましい。このようなメタル濃度の低減については、その好ましい実施形態について、後記のレジスト材料についても同じである。
<透明硬化物の形成>
本発明のシロキサン樹脂組成物を用いた透明硬化物(膜)の形成方法について、例を挙げて説明する。シロキサン樹脂組成物を塗布液とした際には、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング又はスリットコーティング等の公知の方法によって下地基板上に塗布することができる。その後、ホットプレート又はオーブン等の加熱装置でプリベークし、膜を形成することができる。プリベークは、50〜150℃で30秒〜30分間行うことが好ましい。プリベーク後の膜厚は、0.1〜15μmとすることが好ましい。
プリベーク後、例えば、ステッパ、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(以下、PLA)等の露光機を用いて、10〜4000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を所望のマスクを介して又は介さずに照射する。露光光源(活性放射線)に制限はなく、i線(波長365nm)、g線(波長436nm)、もしくはh線(波長405nm)等の紫外線、KrF(波長248nm)レーザー又はArF(波長193nm)レーザー等を用いることができる。その後、この膜をホットプレート又はオーブン等の加熱装置を用いて、150〜450℃で1時間程度加熱する露光後ベークを行っても構わない。本発明においては中でも紫外線、特にi線を用いることが好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物は紫外線硬化型であることが好ましい。
パターニング露光後、現像により非露光部が溶解し、ネガ型パターンを得ることができる。現像方法としては、シャワー、ディッピング又はパドル等の方法で、現像液に5秒〜10分間浸漬する方法が好ましい。現像液としては、先に例示したものが挙げられる。現像後は、膜を水でリンスすることが好ましい。続いて50〜150℃で乾燥ベークを行ってもよい。その後、この膜をホットプレート又はオーブン等の加熱装置を用いて、120〜280℃で1時間程度熱硬化することにより、硬化物(膜)が得られる。
固体撮像素子に組み込まれる透明画素などは、このような手順で基板上に形成することができる。
得られる硬化物(膜)の膜厚は、0.1〜10μmが好ましい。リーク電流は10−6A/cm以下、比誘電率は6.0以上であることが好ましい。
本発明のシロキサン樹脂組成物の硬化物(膜)の屈折率は1.65以上であることが好ましく、1.70以上であることがより好ましく、1.75以上であることが特に好ましい。上限は特にないが、2.20以下であることが実際的であり、2.00以下であることがより実際的である。屈折率は特に断らない限り、後記実施例で測定した条件によるものとする。
本発明のシロキサン樹脂組成物の硬化膜は透明性が高いことが好ましい。可視光の透過率で90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。上限は特にないが、99%以下であることが実際的である。可視光の透過率は特に断らない限り、後記実施例で測定した条件によるものとする。
本発明のシロキサン樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、固体撮像素子のマイクロレンズや透明画素として特に好適に用いることができる。
<マイクロレンズアレイの形成方法[図1参照]>
マイクロレンズの形成方法の一形態としてマイクロレンズアレイ10の形成工程の一例について説明する。凹凸のある素子の表面(基材)3などを、必要により透明樹脂(平坦化膜)2のスピンコートで埋め込み平坦化しておく。平坦化した基材3の表面にレンズ材料1を均一に塗布する(工程1)。このレンズ材料1として上記のシロキサン樹脂組成物を用いることができる。レンズ材料1の上にフォトレジスト(感光性材料)4を均一に塗布する(工程2)。この感光性材料としてはこの種の加工に常用されるものを用いることができる。ステッパ装置でレチクルをマスクとして紫外線照射を行い、レンズ間スペースの部分を露光する。現像液で感光した部分を分解除去しパターン形成する(工程3)。パターン化された感光材料4aから、半球状のパターン(感光性材料4b)を加熱することで得る(工程4)。このときレジスト(感光性材料)は溶融し液相となり(メルト)、半球状態になった後、固相に変化する。その後、ドライエッチングによりレンズ材料の層をエッチングする(工程5)。このようにして半球状のレンズ(マイクロレンズ1a)が配列されたレンズアレイ10を形成することができる。
なお、上記レジスト材料としては、適宜この種の加工に用いることができるものを採用することができる。例えば、ポジ型、ネガ型、およびポジ−ネガ兼用型のフォトレジストが挙げられる。ポジ型レジストの具体例は、ケイ皮酸ビニル系、環化ポリイソブチレン系、アゾ−ノボラック樹脂系、ジアゾケトン−ノボラック樹脂系などの各感光性樹脂組成物が挙げられる。また、ネガ型レジストの具体例は、アジド−環化ポリイソプレン系、アジド−フェノール樹脂系、クロロメチルポリスチレン系などが挙げられる。更に、ポジ−ネガ兼用型レジストの具体例は、ポリ(p−ブトキシカルボニルオキシスチレン)系などの各感光性樹脂組成物が挙げられる。なかでも好ましくは、特開平1−142548の段落[実施例4]に開示のものを好適に採用することができる。具体的には、クレゾールノボラック樹脂とナフトキノンジアジドスルホン酸エステルを主成分とする感光性樹脂組成物である。さらに具体的には、2,3,4,4‘−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとのエステル化反応生成物(トリエステルの含有量 85モル%)を例示することができる。
レジスト材料は、なかでもノボラック系樹脂を含むポジ型レジストが好ましい。より具体的には、以下の式(R−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含有するポジ型レジストが挙げられる。
式中、R13〜R16はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基(炭素数1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい)を示す。sは1〜3の整数を表す。上記樹脂の分子量は特に限定されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量において、通常1000〜100万、好ましくは2000〜10万、より好ましくは3000〜5万である。
レジスト材料としては、硬化膜としたときの水接触角が65°以上であることが好ましく、70°以上であることがより好ましく、72°以上であることが特に好ましい。上限としては、85°以下であることが好ましく、80°以下であることがより好ましく、78°以下であることが特に好ましい。
図2は上記工程(4)で得られた半球状のレジストの模式図(断面図)である。本発明によれば、十分な高さbをもち、良好な離間部aを有する半球状レジスト4bを形成することができる。半球状レジストの高さbは、一般的なレンズとしては、100nm以上5000nm以下であることが好ましく、500nm以上3000nm以下であることがより好ましい。本発明において顕著な効果を得る観点からは、1150nm以上であることが好ましく、1200nm以上であることがより好ましく、1250nm以上であることが特に好ましい。上限としては、1350nm以下であることが好ましく、1330nm以下であることがより好ましく、1300nm以下であることが特に好ましい。半球状レジストの幅cは、一般的なレンズとしては、100nm以上5000nm以下であることが好ましく、500nm以上3000nm以下であることがより好ましい。離間幅aは、150nm以上であることが好ましく、160nm以上であることがより好ましく、170nm以上であることが特に好ましい。上限としては、250nm以下であることが好ましく、240nm以下であることがより好ましく、230nm以下であることが特に好ましい。
<固体撮像素子>
本発明の好ましい実施形態に係る固体撮像素子は、本発明のシロキサン樹脂組成物の硬化物からなる透明画素および/またはマイクロレンズを有してなる。半導体受光ユニット上にレンズユニットを有し、レンズアレイ部材とカラーフィルタが隣接するように組み込まれる。受光素子は透明樹脂膜、レンズ、及びカラーフィルタの順に通過する光を受光し、イメージセンサーとして機能する。具体的には、透明樹脂膜が反射防止膜として機能し、レンズの集光効率を向上させ、レンズによって効率的に集められた光がカラーフィルタを介して受光素子に検知される。これらがRGBそれぞれに対応する光を検知する素子の全般に渡って機能する。そのため、受光素子とレンズとが高密度に配列されている場合でも、極めて鮮明な画像を得ることができる。上記のレンズやRGBの画素配列に介在させる透明画素として本発明のシロキサン樹脂組成物の硬化物を好適に利用することができる。
レンズアレイを適用した固体撮像素子の例として、特開2007−119744号公報に記載のものが挙げられる。具体的には、半導体基板の表面に形成されたCCD領域や光電変換部の間に転送電極を有しており、その上には層間膜を介して遮光膜が形成されている。遮光膜の上には、BPSG(Boro−Phospho−Silicate Glass)等による層間絶縁膜、パッシベーション膜及びアクリル系樹脂等による低屈折率の透明平坦化膜が積層され、その上に、R.G.B.が組み合わされたカラーフィルタが形成されている。さらに保護膜を介して、受光領域である光電変換部の上方に位置するようにマイクロレンズが多数配列して形成されてなる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」及び「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
シロキサン樹脂試料A−1の合成例
<核微粒子の水分散ゾル(AA−1)の調製>
四塩化チタンをTiO換算基準で7.8質量%含む四塩化チタン水溶液7.6kgと、アンモニアを15質量%含むアンモニア水3.0kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、この白色スラリー液を濾過した後、イオン交換水で洗浄して、固形分含有量が10質量%の含水チタン酸ケーキ6.2kgを得た。
次に、このケーキに、過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水7.1kgとイオン交換水20.0kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらにイオン交換水28.9kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO換算基準で1質量%含む過酸化チタン酸水溶液を62.2kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
次いで、上記過酸化チタン酸水溶液62.2kgに陽イオン交換樹脂3.0kgを混合して、これに、スズ酸カリウムをSnO換算基準で1質量%含むスズ酸カリウム水溶液7.8kgを撹拌下で徐々に添加した。次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂を分離した後、この混合水溶液をオートクレーブ中で165℃の温度で18時間、加熱した。
次に、得られた混合水溶液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10質量%の核微粒子の水分散ゾル(AA−1)7.0kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含む水分散ゾル(AA−1)は透明な乳白色であった。さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO 87.5質量%、SnO 10.6質量%およびKO 1.8質量%であった。
<表面処理金属酸化物微粒子の水分散ゾル(AB−1)の調製>
上記で得られた核微粒子の水分散ゾル(AA−1)7.0kgに、水酸化カリウム水溶液でpHを7.0に調整しながらZrO質量換算で3.6%濃度のオキシ塩化ジルコニウム八水和物水溶液1.5kgを徐々に添加し、40℃にて1時間で攪拌混合してジルコニウムで表面処理された金属酸化物微粒子の水分散液を得た。このとき、ジルコニウムの量は核微粒子中に含まれる金属元素に対して酸化物換算基準で5.0モル%であった。
次いで、ジルコニウムで表面処理された金属酸化物微粒子の水分散液8.5kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥した。これにより、平均粒子径が約2μmの表面処理金属酸化物微粒子からなる乾燥粉体0.9kgを得た。
次に、上記で得られた表面処理金属酸化物微粒子の乾燥粉体0.9kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて2時間焼成して、表面処理金属酸化物微粒子の焼成粉体0.8kgを得た。上記で得られた表面処理金属酸化物微粒子の焼成粉体0.2kgを純水0.2kgに分散させ、これに、濃度28.6%の酒石酸水溶液0.1kg、濃度50質量%のKOH水溶液0.06kgを加えて充分攪拌した。ついで、粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業(株)製 高純度アルミナビース)を加え、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、上記表面処理金属酸化物微粒子(チタニア系複合酸化物微粒子)の焼成粉体の粉砕及び分散処理を行った。その後、アルミナビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらに純水1.4kgを添加して撹拌し、固形分含有量が11質量%の表面処理金属酸化物微粒子の水分散液1.7kgを得た。
ついで、限外濾過膜を用いてイオン交換水で洗浄した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)0.09kgを加えて脱イオン処理をした後、遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理した後、イオン交換水を添加して固形分濃度10質量%の表面処理金属酸化物微粒子の水分散ゾル(AB−1)1.9kgを調製した。
この表面処理金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO 82.6質量%、SnO 10.3質量%、ZrO 4.9質量%およびKO 2.2質量%であった。このときの、Ti/Zr(モル比)は26.00であった。Ti/Snは15.13であった。金属酸化物微粒子の数平均粒子径は約15nmであった。
<表面処理金属酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(AC−1)の調製>
上記で調製した表面処理金属酸化物微粒子の水分散ゾル(AB−1)0.6kgに陽イオン交換樹脂9.6gを攪拌下で添加して後、樹脂を分離して脱イオンされた表面処理金属酸化物微粒子の水分散液を調製した。ついで、上記脱イオンされた表面処理金属酸化物微粒子の水分散液を、冷却した後に限外濾過膜装置(旭化成(株)製濾過膜、SIP−1013)を用いて分散媒を水からメタノールに置換して表面処理金属酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(AC−1)0.3kgを得た。その結果、得られたメタノール分散液中に含まれる固形分濃度は30質量%であり、また水分含有量は約0.3質量%であった。
<シロキサン樹脂試料A−1の調製>
メチルトリメトキシシラン10.9g(0.08mol)、フェニルトリメトキシシラン63.5g(0.32mol)、メタノール分散ゾル(AC−1)(固形分濃度30質量%、メタノール70質量%)1050.0g、γ―ブチロラクトン44.1gを反応容器に入れ、この溶液に、水32.0gおよびリン酸1.0gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、金属酸化物微粒子を含有するシロキサン樹脂試料A−1を得た。シロキサン樹脂試料A−1において、その固形成分中、金属含有粒子の割合は48.5質量%であった。
<シロキサン樹脂試料A−2の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、メチルトリメトキシシランを3−アミノプロピルトリメトキシシラン10.9gに変更した以外は同様にして反応を実施し、シロキサン樹脂試料A−2を得た。
<シロキサン樹脂試料A−3の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、メチルトリメトキシシランを3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン10.9gに変更した以外は同様にして反応を実施し、シロキサン樹脂試料A−3を得た。
<シロキサン樹脂試料A−4の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、フェニルトリメトキシシランを1−ナフチルトリメトキシシラン63.5gに変更した以外は同様にして反応を実施し、シロキサン樹脂試料A−4を得た。
<シロキサン樹脂試料A−5の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、フェニルトリメトキシシランを9−フェナントレニルトリメトキシシラン63.5gに変更した以外は同様にして反応を実施し、シロキサン樹脂試料A−5を得た。
<シロキサン樹脂試料A−6の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、フェニルトリメトキシシランを1,4−ビス(トリメトキシシリル)ナフタレン63.5gに変更した以外は同様にして反応を実施し、シロキサン樹脂試料A−6を得た。
<シロキサン樹脂試料A−7の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、フェニルトリメトキシシランを1−アントラセニルトリメトキシシラン63.5gに変更した以外は同様にして反応を実施し、シロキサン樹脂試料A−7を得た。
<レンズアレイの形成>
上記シロキサン樹脂試料を用いて表1−1及び表1−2のとおりに配合してシロキサン樹脂組成物を調製し、これを、シリコンウエハー(基板)上に塗布した。その後、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して膜厚1.1μmの塗布膜を形成した(図1.(1))。この状態のサンプルを下記の水の接触角の測定(接触角評価)に供した。
さらに、この上にFHi−4750([商品名]富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)FFEM社製レジスト液)(レジスト膜への水接触角:74.4°)を乾燥膜厚1.5μmとなるよう塗布し、90℃で1分間、ホットプレートで加熱した(図1.(2))。この塗布膜を、1辺1.4μm、パターン間ギャップが0.35μmの正方格子パターンを有するマスクを介してi線ステッパー(製品名:FPA−3000i5+、キヤノン(株)製)により300mJ/cmで露光した。
これをアルカリ性現像液HPRD−429E(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて、室温にて60秒間、パドル現像した後、さらに20秒間、純水を用いてスピンシャワーにてリンスを行った。その後更に、純水にて水洗を行い、その後、高速回転にて基板を乾燥させ、レジストパターンを形成した(図1.(3))。パターニングしたときの離間幅は238.7nmであった。145℃120秒、160℃120秒、175℃120秒、の順にホットプレートでポストベーク処理し、レジストをレンズ状の形状(半球状)に整形した(図1.(4))。
以上のようにして得られた基板を、ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ製:U−621)を使用し、下記条件にてドライエッチング処理を実施し、レンズアレイを形成した(図1.(5))。レンズ体の高さは、380nmであった。
・RFパワー:800W
・アンテナバイアス:400W
・ウエハバイアス:400W
・チャンバー内圧:2Pa
・基板温度:50℃
・混合ガス種および流量:CF/C/Ar = 350/25/800ml/分・フォトレジストエッチングレート:140nm/分
配合(%):質量基準
M−1:ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成社製M−305)
M−2:ペンタエリスリトールテトラアクリレートと
ペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物に
無水コハク酸を反応させて得られたモノマー混合物
(東亞合成製アロニックスM−510)
M−3:エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(新中村工業社製NKエステルATM−4E)
M−4:エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(新中村工業社製NKエステルA−DPH−12E)
M−5:プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(日本化薬製カヤラッドTPA−320)
M−6:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(新中村工業社製NKエステルA−TMMT)
M−7:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
M−8:ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
M−9:下記化合物
M−10:下記化合物
M−11:エトキシ化グリセリントリアクリレート
(新中村工業社製NKエステルA−GLY−9E)
M−12: トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
(新中村工業社製A−DPH)
OXE02:BASF社製 IRGACURE OXE02(商品名)
Si樹脂:シロキサン樹脂(硬化性樹脂試料)
Cで始まる試験は比較例
MO:金属含有粒子の配合
Si:シロキサン樹脂の配合
シロキサン樹脂組成物の調製においては、固形分中の濃度が35質量%である多官能アクリル(重合性化合物)溶液を用いて、多官能アクリルを配合させた。

式中の[ ]は条件番号
OTは条件1、2以外の意味

重量平均分子量 14000 酸価 80mgKOH/g
[接触角評価]
得られた塗布膜上に純水を1滴(1μl)垂らした後、5秒経過した際の静的接触角を自動接触角計((株)協和界面化学製 CA−V型[商品名])を用い、θ/2法にて自動測定を行った(測定温度:25℃)。同様の測定をN=5で繰り返し測定し、その平均値を純水に対する静的接触角とした。
[半球状レジストの離間幅a]
レジストFHi−4750のリソグラフィー後にポストベークし、レジストをレンズ状の形状(半球状)に整形した後の基板を、測長SEM S−9260A(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用し、半球状レジストの離間隔a(図2参照)を測定した。5点を測定した平均値を採用した。
[半球状レジストの高さb]
上記レジスト離間隔aを測定した後のウエハーを割り、この断面を走査電子顕微鏡S−4800(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を使用することで、半球状レジストの高さb(図2参照)を測定した。5点を測定した平均値を採用した。
上記の結果より、本発明のシロキサン樹脂組成物は、その硬化膜が好適な水に対する接触角を有し、レジストを用いたレンズの加工に適していることが分かる。なお、硬化膜の水に対する接触角はアクリル化合物のsp値により序列づけられるものではない。
シロキサン樹脂組成物101の透明硬化膜について光学特性を確認したところ、屈折率1.7を示し、光透過率は90%以上であった。その他のシロキサン樹脂組成物の透明硬化膜についても同様に光学特性の確認を行っており、実施例のシロキサン樹脂組成物の透明硬化膜はいずれも所望の高屈折率と高い光透過性を示すことを確認した。なお、屈折率と光透過率の測定は下記のようにして行った。
〜屈折率および可視光透過率の測定〜
高屈折率ガラス((株)住田光学ガラス社製SFLD−6)に、シロキサン樹脂組成物をスピーンコーターMS−A200(ミカサ株式会社製)で0.6μmの厚さに塗布した。ホットプレ−ト ND−2(アズワン株式会社製)を用いて、90℃で2分プリベークして塗布膜を得た。この塗布膜を、ホットプレ−ト ND−2(アズワン株式会社製)上で200℃で8分加熱し硬化膜を得た。得られた硬化膜について、エリプソメータ(大塚電子(株)社製)を用い、室温25℃での波長550nmにおける屈折率を測定した。このときに、透過率は400〜700nmの最低透過率の値を採用した。試験は各試料につき5回行い、最大値と最小値を除いた3回の結果の平均値を採用した。
(実施例2)
実施例1におけるシロキサン樹脂組成物の調製において、メチルトリメトキシシランをエチルトリメトキシシランに代えて同様にシロキサン樹脂組成物を作成した。また、メチルトリメトキシシランの一部をテトラメトキシシランに代えて同様にシロキサン樹脂組成物を作成した。これらのシロキサン樹脂組成物を用いて上記の各試験を実施して、いずれも良好な結果が得られることを確認した。
(実施例3)
上記シロキサン樹脂組成物101の調製において、Ti/Zr/Snを含む金属含有粒子(試料A−1)に代えて、メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製、平均粒子径10〜20nm、メタノール分散物、シリカ固形分30%)を用いた以外同様にしてシロキサン樹脂組成物(感光性)401を調製した。シロキサン樹脂組成物101及び401を用いて、上記の試験と同様にシリコウエハー上にレンズアレイを形成して、Siウェハサンプルを作製した。このサンプルに対して、耐光試験機(スガ試験機(株)製Xenon Weather Meter SX75[商品名])を用いて10万lxの光を50時間照射して、耐光試験を行った。被検体と光源の距離は300mmとした。被検体の温度(試験装置内温度)は50℃に設定した。試験装置内の相対湿度は50%RHとした。耐光試験後、硬化膜の透過率測定により耐光性を評価した。試験は各試料につき5回行い、最大値と最小値を除いた3回の結果の平均値を採用した。
その結果、シロキサン樹脂組成物101のサンプルは、透過率の変化が5%以下の良好な結果を示した。一方、シリカ粒子を用いたサンプル(シロキサン樹脂組成物401のサンプル)は透過率の変化が5%超8%以下となった。上記の結果より、いずれのサンプルにおいても良好な耐光性を示すことが確認できた。なかでもTi/Zr/Snを含む金属含有粒子を用いることで耐光性の一層の良化が見込めることが分かった。また、シリカ粒子を用いたサンプルはその硬化膜の屈折率が低く劣るものとなった。
(実施例4)
上記の水分散ゾル試料(AB−1)及びシロキサン樹脂試料A−1の調製において、その成分組成(Ti及びZrの組成比)が下表2となるように各原料の添加量を調整して、各試料を調製した。表2−1及び表2−2中、「Ti/Zr」はTiとZrとのモル比を示す。
上記各試料について実施例1、3と同様にして各試験を行った。ただし、耐光性については、よりシビアな条件での評価を行った。具体的には、上記の耐光性試験(実施例3)の条件に対して、被検体周辺の温度(装置内温度)を70℃とし、湿度を70 %RHとした。光の照射時間は100時間とした。
その結果、表面接触角については、いずれの試料も良好な成績であった。一方、シビアな耐光性試験では、下記表2−1及び表2−2のとおりとなり、有意な差を生じることを確認した。
上記の結果から分かるとおり、本発明の好ましい実施形態において、金属酸化物微粒子のTi/Zr比を好適な範囲とすることにより、シビアな環境下で使用されるような場合に、特に高い耐光性を実現することができる。
(実施例5)
上記のシロキサン樹脂試料A−1に対して、金属含有粒子の固形成分中の含有量を30質量%、60質量%にそれぞれ変えて同様の試験を行った。硬化膜の屈折率はそれぞれ1.67、1.8となった。また、各項目において、良好な性能を示すことも確認した。また、金属含有粒子の濃度を10質量%とした試料を調製した。その結果、硬化膜の屈折率は1.6を大きく割り込んだ。一方、この濃度では、水に対する表面接触角が50°未満又は70°より大きい試料を用いても、表面接触角(濡れ性)の問題は生じにくかった。この結果から、本発明に係る構成は、金属含有粒子を相当量用いたときに初めて、その有用性を発揮することが分かる。
(実施例6)
上記シロキサン樹脂組成物101、104、110で調製したシロキサン樹脂試料それぞれを、シリコンウェハー上に塗布した。その後、プリベーク(100℃2min)、ポストベーク(230℃10min)を実施して膜厚1.1μmの塗布膜を形成した(図1.(1))。さらに、この上にFHi−4750([商品名]富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)FFEM社製レジスト液)を乾燥膜厚1.5μmとなるよう塗布し、90℃で1分間、ホットプレートで加熱した(図1.(2))。この塗布膜を、1辺1.4μm、パターン間ギャップが0.35μmの正方格子パターンを有するマスクを介してi線ステッパー(製品名:FPA−3000i5+、キヤノン(株)製)により300mJ/cmで露光した。
これをアルカリ性現像液HPRD−429E(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて、室温にて60秒間、パドル現像した後、さらに20秒間、純水を用いてスピンシャワーにてリンスを行った。その後更に、純水にて水洗を行い、その後、高速回転にて基板を乾燥させ、レジストパターンを形成した(図1.(3))。パターニングしたときの離間幅は238.7nmであった。145℃120秒、160℃120秒、175℃120秒、の順にホットプレートでポストベーク処理し、レジストをレンズ状の形状(半球状)に整形した(図1.(4))。
以上のようにして得られた基板を、ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ製:U−621)を使用し、下記条件にてドライエッチング処理を実施し、レンズアレイを形成した(図1.(5))。レンズ体の高さは、380nmであった。
・RFパワー:800W
・アンテナバイアス:400W
・ウエハバイアス:400W
・チャンバー内圧:2Pa
・基板温度:50℃
・混合ガス種および流量:CF/C/Ar = 350/25/800ml/分・フォトレジストエッチングレート:140nm/分
上記の各マイクロレンズアレイ試験体について諸特性を確認したところ、固体撮像素子への利用に適合した優れた性能を示すことを確認した。
(実施例7)
<非コアシェル型微粒子の水分散ゾル(BA−1)の調製>
四塩化チタンをTiO換算基準で7.75質量%含む四塩化チタン水溶液7.60kgと、アンモニアを15質量%含むアンモニア水2.91kgとを混合した。これらを混合しながらZrO質量換算で1.23%濃度のオキシ塩化ジルコニウム八水和物水溶液7.6kgを24時間かけて滴下し、pH8.8の白色スラリー液を調製した。次いで、この白色スラリー液をイオン交換水で5倍に希釈してから濾過し、さらにイオン交換水で洗浄して、固形分含有量が10質量%の含水チタンジルコニウム酸ケーキ5.2kgを得た。
次に、このケーキに、過酸化水素を35質量%含む過酸化水素水7.1kgとイオン交換水20.0kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらにイオン交換水28.90kgを加えて、過酸化チタンジルコニウム酸をTiO換算基準で1質量%含む過酸化チタンジルコニウム酸水溶液を61.39kg得た。この過酸化チタンジルコニウム酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.9であった。
次いで、上記過酸化チタンジルコニウム酸水溶液60.78kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製4.00kgを混合して、これに、スズ酸カリウムをSnO換算基準で1質量%含むスズ酸カリウム水溶液8.01kgを撹拌下で徐々に添加した。次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂を分離した後、この混合水溶液をオートクレーブ中で168℃の温度で20時間、加熱した。
次に、得られた混合水溶液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置で濃縮して、固形分含有量が10質量%の微粒子の水分散液6.89kgを得た。
このようにして得られた金属酸化物微粒子を含む水分散ゾル(BA−1)は透明な乳白色であった。この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO 90.0質量%、SnO 4.2質量%、KO 0.5質量%、およびZrO 5.3質量%であった。
<非コアシェル型金属酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(BC−1)の調製>
上述の水分散ゾル(BA−1)7.51kgをスプレードライヤーにて噴霧乾燥した。これにより、平均粒子径が約2μmの金属酸化物微粒子からなる乾燥粉体0.90kgを得た。
次に、この乾燥粉体0.90kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて2時間焼成して、金属酸化物微粒子の焼成粉体0.90kgを得た。この焼成粉体0.20kgを純水0.18kgに分散させ、これに、濃度28.6%の酒石酸水溶液0.13kg、濃度50質量%のKOH水溶液0.06kgを加えて充分攪拌した。
次に、粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業(株)製高純度アルミナビース)を加え、これを湿式粉砕機(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、上記焼成粉体の粉砕及び分散処理を行った。その後、アルミナビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらに純水1.39kgを添加して撹拌し、固形分含有量が11.0質量%の金属酸化物微粒子の水分散液1.70kgを得た。
次に、限外濾過膜を用いてイオン交換水で洗浄した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)0.09kgを加えて脱イオン処理をした後、遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して11,000rpmの速度で1時間処理した後、イオン交換水を添加して固形分濃度10質量%の金属酸化物微粒子の水分散ゾル(BZ−1)1.86kgを調製した。
さらに、この金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO 88.9質量%、SnO 5.3質量%、ZrO 5.3質量%およびKO 0.5質量%であった(TiOは79.87g/mol、ZrOは123.2g/molであり、上記の配合におけるTi/Zr(モル比)は26となる)。
次に、冷却した後に限外濾過膜装置(旭化成(株)製濾過膜、SIP−1013)を用いて、水分散ゾル(BZ−1)の分散媒を水からメタノールに置換して、金属酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(BC−1)0.32kgを得た。得られたメタノール分散ゾル(BC−1)中に含まれる固形分濃度は約30質量%であり、水分含有量は0.28質量%であった。
<コアシェル型無機酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(SC−1)の調製>
珪酸液の調製
市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)0.31kgを純水にて希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸をSiO換算基準で2.0重量%含む珪酸水溶液3.00kgを得た。なお、この珪酸水溶液のpHは、2.3であった。
メタノール分散ゾル(BC−1)1.80kgに純水12.3kgを加えて撹拌して90℃の温度に加熱したのち、これに上記珪酸水溶液2.39kgを徐々に添加した。添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で10時間熟成した。このとき、金属酸化物微粒子を被覆する複合酸化物の量は、この金属酸化物微粒子100重量部に対して12重量部であった。
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製)に入れて、165℃の温度で18時間、加熱処理を行った。次に、この混合溶液を室温まで冷却してから、限外濾過膜(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて濃縮して固形分含有量が10.0重量%の水分散ゾルを調製した。これにより、表面処理金属酸化物微粒子の表面をケイ素を含む酸化物で被覆してなるコアシェル型金属酸化物微粒子の水分散ゾル(SZ−1)を得た。
得られたコアシェル型金属酸化物微粒子中に含まれる金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO 86.3質量%、SnO 5.1質量%、ZrO 5.1質量%およびKO 0.5質量%であった。(TiOは79.87g/mol、ZrOは123.2g/molであり、上記の配合におけるTi/Zr(モル比)は26となる)。
次に、冷却した後に限外濾過膜装置(旭化成(株)製濾過膜、SIP−1013)を用いて、水分散ゾル(SZ−1)の分散媒を水からメタノールに置換して金属酸化物微粒子のメタノール分散ゾル(SC−1)を得た。その結果、得られたメタノール分散ゾル(SC−1)中に含まれる固形分濃度は約30質量%であり、水分含有量は0.28質量%であった。
<シロキサン樹脂試料A−101及びA−201の調製>
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、メタノール分散ゾル(AC−1)を、(BC−1)に変更した以外は、同様の方法でシロキサン樹脂試料(A−101)を調製した。
シロキサン樹脂試料A−1の調製において、メタノール分散ゾル(AC−1)を、(SC−1)に変更した以外は、同様の方法でシロキサン樹脂試料(A−201)を調製した。
シロキサン樹脂試料(A−101)及び(A−201)を用いて表3のとおりに配合してシロキサン樹脂組成物を調製した。これらの試料について、試料101と同様に、「接触角評価」、「半球状レジストの離間幅a」、及び「半球状レジストの高さb」について評価した。
(実施例8)
上記の水分散ゾル試料(AB−1)及びシロキサン樹脂試料A−1の調製において、その成分組成(Ti及びSnの組成比)が下表4となるように各原料の添加量を調整して、各試料を調製した。表4中、「Ti/Sn」はTiとSnとのモル比を示す。
上記各試料について実施例1、4と同様にして各試験を行った。その結果、表面接触角については、いずれの試料も良好な成績であった。
(符号の説明)
1 レンズ材料(lens material)
1a マイクロレンズ
2 平坦化膜(leveling film)
3 基材(substrate)
4 感光性材料(photo resist)
4a パターン化された感光性材料
4b 半球状の感光性材料
10 マイクロレンズアレイ(Microlens array)
(1)塗布及び硬化工程(Coating and curing)
(2)i−線感光材料の塗布工程(i-line photo resist Coating)
(3)パターニング及びソリグラフィー工程(Patterning by Litho.)
(4)加熱フロー工程(Thermal flow)
(5)ドライエッチング(Dry etching)

Claims (20)

  1. シロキサン樹脂、金属含有粒子、および溶媒を含有するシロキサン樹脂組成物であって、
    上記金属含有粒子を上記シロキサン樹脂組成物の固形成分中で10質量%以上90質量%以下で含有し、
    上記シロキサン樹脂組成物より得られる塗布膜の水に対する表面接触角が50°以上70°以下であるシロキサン樹脂組成物。
  2. さらに、重合性化合物を含有する請求項1に記載のシロキサン樹脂組成物。
  3. 上記重合性化合物が、多官能(メタ)アクリロイル化合物を含む請求項2に記載のシロキサン樹脂組成物。
  4. 上記多官能(メタ)アクリロイル化合物が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはアルキレンオキシ基を含有する請求項3に記載のシロキサン樹脂組成物。
  5. 上記多官能(メタ)アクリロイル化合物が3個以上のアルキレンオキシ基を含有する請求項3または4に記載のシロキサン樹脂組成物。
  6. 上記シロキサン樹脂が、下記の式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物を加水分解縮合反応させた樹脂、または、下記の式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物を組み合わせて加水分解縮合反応させた樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。

    (RSi(OR4−a (1)

    およびRはそれぞれ独立に水素原子または炭化水素基を表す。aは0、1または2である。

    Si(R(OR3−c (2)

    は官能基含有基である。RおよびRはそれぞれ独立に、Rと同義の基である。cは0または1である。

    Si−X−(SiR (3)

    およびRは、それぞれ独立に、上記Rと同義の基、あるいは、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基である。複数のR及びRのうち1〜4個は官能基含有基であってもよい。Xは2価以上の連結基である。dは1〜4の整数である。
  7. 上記金属含有粒子100質量部に対して、シロキサン樹脂を30質量部以上80質量部以下含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  8. 上記金属含有粒子を構成する元素として、Ti、Ta、W、Y、Ba、Hf、Zr、Sn、Nb、V、およびSiから選ばれる金属を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  9. 上記金属含有粒子の数平均粒子径が5nm以上30nm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  10. 上記重合性化合物が、下記式(MO−1)〜(MO−7)のいずれかで表される請求項2〜9のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。

    nはそれぞれ0〜14である。mはそれぞれ1〜8である。pは0または1である。一分子内に複数存在するR、TおよびZは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。Rのうち少なくとも1つは、(R1)または(R2)である。Rは水素原子または置換基である。
  11. 上記シロキサン樹脂が、金属含有粒子の存在下、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応を介して得た樹脂である請求項1〜10のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  12. 紫外線硬化型の樹脂組成物である請求項1〜11のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  13. 硬化膜の屈折率が1.65以上2.0以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  14. 上記金属含有粒子がTiとZrとを含有し、
    Ti/Zrの比率が1以上40以下である請求項1〜13のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物を硬化させてなる透明硬化物。
  16. 請求項15に記載の透明硬化物からなる透明画素。
  17. 請求項15に記載の透明硬化物からなるマイクロレンズ。
  18. 請求項16に記載の透明画素、及び/または、請求項17に記載のマイクロレンズを具備する固体撮像素子。
  19. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のシロキサン樹脂組成物を基板上に付与し、
    該シロキサン樹脂組成物に放射線を照射して硬化膜とし、
    該硬化膜の表面にレジストを付与し、
    該レジストをパターニングし、
    該パターニングされたレジストを加熱して半球状とし、
    該パターニングされたレジストに沿って上記シロキサン樹脂組成物の硬化膜をエッチングすることによりマイクロレンズを形成するマイクロレンズの製造方法。
  20. 上記レジストの水に対する表面接触角が65°以上85°以下である請求項19に記載のマイクロレンズの製造方法。
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