JP6808179B2 - 有機シリカ薄膜、その製造方法、それを用いたレーザー脱離イオン化質量分析用基板、及び、レーザー脱離イオン化質量分析法 - Google Patents
有機シリカ薄膜、その製造方法、それを用いたレーザー脱離イオン化質量分析用基板、及び、レーザー脱離イオン化質量分析法 Download PDFInfo
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Description
該有機基が波長300〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有するものであり、
該有機シリカを構成するケイ素及び前記有機基の含有割合が、前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にあり、
該薄膜が、凹凸の平均ピッチが20〜1000nmである凹凸構造を有し、かつ、
該凹凸構造の軸方向が、該有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直な方向にあること、
を特徴とするものである。
前記有機ケイ素化合物が、光を吸収可能な有機基として波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する有機基を有しかつケイ素及び該有機基の含有割合が前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にある有機ケイ素化合物であり、
前記有機シリカ薄膜が光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカからなる薄膜であり、
該薄膜中の前記有機基が波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有するものであり、
該有機シリカを構成するケイ素及び前記有機基の含有割合が前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にあり、
該薄膜が凹凸構造を有し、かつ、
該凹凸構造の軸方向が、該有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直な方向にあること、
を特徴とする方法である。
本発明の有機シリカ薄膜は、光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカからなる薄膜であり、
該有機基が波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有するものであり、
該有機シリカを構成するケイ素及び前記有機基の含有割合が、前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にあり、
該薄膜が凹凸構造を有し、かつ、
該凹凸構造の軸方向が、該有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直な方向にあること、
を特徴とするものである。
で表され、かつ、ケイ素及び光を吸収可能な有機基の含有割合が、光を吸収可能な有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にある有機ケイ素化合物が好ましい。なお、このような一般式(1−i)〜(1−iv)で表される化合物中の「光を吸収可能な有機基」に関して、前記一般式(1−i)で表される化合物においては該式中においてXで表される基(m価の有機基(結合手は省略))が「光を吸収可能な有機基」となり、前記一般式(1−ii)で表される化合物においては、式:
で表される有機基が「光を吸収可能な有機基」となり、また、前記一般式(1−iii)で表される化合物においては、式:
で表される有機基が「光を吸収可能な有機基」となり、前記一般式(1−iv)で表される化合物においては、式:
X−(L−Y)m− (III)
[式(III)中、Xはm価の有機基を示し、Lは単結合又はエーテル基、エステル基、アミノ基、アミド基及びウレタン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の有機基を示し、Yは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、mは1〜4の整数を示す(このように、X、L、Y及びmは、一般式(1−iv)中のX、L、Y及びmと同義である)。]
で表される有機基が「光を吸収可能な有機基」となる。このように、化合物中のケイ素と結合する基であって式中のXで示す基を含有する構造部分の有機基が「光を吸収可能な有機基」となる。
で表されるような反応により、重合後に得られる有機シリカ薄膜は、有機基(X)によりシロキサン構造(式:−(Si−O)y−で表される構造)を形成するケイ素原子が架橋された構造の繰り返し単位を有するものとなる(なお、pの数は特に制限されないが、一般的には10〜1000程度の範囲であることが好ましい。)。なお、このような架橋構造が形成された場合(有機シリカ薄膜が前記架橋型有機シリカ薄膜となる場合)には、これを質量分析に利用した場合、照射レーザー光をより効率よく吸収し、有機シリカ薄膜の細孔内に担持された測定対象分子に対して、より効率良く励起エネルギーを移動できる傾向にある。なお、本発明においては、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体からなる有機シリカは、その有機シリカ中の前記有機基(X)の総量(質量)とSiの総量(質量)の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])が0.05〜0.50の範囲の値となる。
で表される有機基が特に好ましい。なお、このような一般式(101)〜(111)で表される有機基において、有機基の高密度化及び安定固定化の観点から、記号*で表される結合手は直接ケイ素に結合していることがより好ましい。
本発明の有機シリカ薄膜の製造方法は、光を吸収可能な有機基を有する有機ケイ素化合物を部分的に重合せしめて得られたゾル溶液から得られる膜にナノインプリントにより凹凸構造を形成して硬化せしめることにより有機シリカ薄膜を得る工程を含み、
前記有機ケイ素化合物が、光を吸収可能な有機基として波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する有機基を有しかつケイ素及び該有機基の含有割合が前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にある有機ケイ素化合物であり、
前記有機シリカ薄膜が光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカからなる薄膜であり、
該薄膜中の前記有機基が波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有するものであり、
該有機シリカを構成するケイ素及び前記有機基の含有割合が前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にあり、
該薄膜が凹凸構造を有し、かつ、
該凹凸構造の軸方向が、該有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直な方向にあること、
を特徴とする方法である。
本発明のレーザー脱離イオン化質量分析用基板は、レーザー脱離イオン化質量分析法に用いる基板であって、該基板が上記本発明の有機シリカ薄膜を備えることを特徴とするものである。
本発明のレーザー脱離イオン化質量分析法は、分析用基板として上記本発明の有機シリカ薄膜を備える基板を用い、該有機シリカ薄膜に対して測定対象分子を含む試料を担持せしめた後、該膜の試料担持部位にレーザー光を照射することにより、前記測定対象分子をイオン化して質量分析を行うことを特徴とする方法である。
下記一般式(A):
で表される化合物(80mg、[ケイ素の質量]/[有機基の質量]の比率:0.174[ケイ素の質量割合が17.4質量%の化合物]:なお、ここにいう「有機基」は、一般式(A)から2つの式:−Si(OiPr)3で表される基を除いた残基をいう。)を、1,4−ジオキサン(1.5mL)中に溶解せしめて混合液を得た後、該混合液に2M(mol/L)の塩酸(15μL)を添加し、室温で2時間撹拌することにより、ゾル溶液を調製した。次いで、得られたゾル溶液をメンブレンフィルターで濾過した後、濾過後のゾル溶液をシリコン基板上にスピンコート([コートの条件]0rpmから1200rpmまで10秒かけて連続的に回転速度を上昇させて、1200rpmの回転で5秒間維持する条件を採用)することで、前記シリコン基板上に未硬化の有機シリカ薄膜(膜厚:200〜300nm)を形成した。なお、このようにして前記ゾル溶液から得られた膜(未硬化の有機シリカ薄膜)は、スピンコート時に溶媒の大半(ほとんど)が蒸発(揮発)した。このように製膜時に溶媒の大半が蒸発により除去されるため、塗膜の正確な膜厚を求めることは困難であったが、製膜直後の膜の原子間力顕微鏡(AFM)観察により、膜厚が所定の範囲(200〜300nmの範囲)にあることを確認した。
実施例1で得られた有機シリカ薄膜中の有機基の吸収波長を測定するため、以下のようにして試料を形成して紫外/可視吸収スペクトルを測定した。すなわち、先ず、実施例1と同様にしてゾル溶液を調製し、メンブレンフィルターで濾過し、かかる濾過後のゾル溶液を利用して、石英基板上にスピンコート([コートの条件]0rpmから1200rpmまで10秒かけて連続的に回転速度を上昇させて、1200rpmの回転で5秒間維持する条件を採用)により、未硬化の有機シリカ薄膜(膜厚:200〜300nm)を形成して試料とした。このような試料の紫外/可視吸収スペクトルを図3に示す。なお、一般式(A)で表される化合物(有機ケイ素化合物)の重合物中の有機基は、図3に示す紫外/可視吸収スペクトルからも明らかなように、243nm、344nm、354nmに吸収極大波長を示すものであり、実施例1で得られた有機シリカ薄膜中の有機基が光を吸収可能であることが分かった。
実施例1で得られた有機シリカ薄膜を、レーザー脱離イオン化質量分析法に用いる分析用の基板として利用し、レーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)を行った。なお、実施例1で得られた有機シリカ薄膜はシリコン基板上に積層した状態で用いた。このようなレーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)においては、先ず、測定対象分子としてアンジオテンシンIを選択し、アンジオテンシンIの水溶液(アンジオテンシンIの濃度:0.5pmol/μL、0.1質量%のトリフルオロ酢酸を含有)を準備し、該アンジオテンシンIの水溶液を有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている表面上に1μL塗布して、有機シリカ薄膜に試料(アンジオテンシンI)を担持した。次いで、該試料(アンジオテンシンI)を担持した有機薄膜に対して、MALDI−TOF−MS装置(照射レーザー光の波長:337nm)を利用して、波長337nmのレーザ光を照射してレーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)を行った。このような分析の結果として、マススペクトル(LDI−MSスペクトル)のグラフを図6に示す。
アンジオテンシンIの水溶液の濃度を0.5pmol/μLから0.1pmol/μLに変更した以外は、実施例2と同様にしてレーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)を行った。このような分析の結果として、マススペクトル(LDI−MSスペクトル)のグラフを図7に示す。
<ナノモールドの調製工程>
先ず、ポリジメチルシロキサン(PDMS)と紫外線硬化型液状シリコーンゴム(信越化学、KER−4690−A/B)とを質量比が1:1となる割合で混合し、ポリジメチルシロキサン前駆溶液(PDMS前駆溶液)を調製した。次いで、ナノインプリントニッケル標準モールド(綜研化学製の商品名「刻王」;ナノピラーアレイ、ピッチ250nm、ピラー直径150nm、ピラー高さ250nm)の凹凸面上に、PDMS前駆溶液(50μL)を滴下してPDMS前駆溶液の塗膜を形成し、該塗膜上に石英ガラスを乗せ、石英ガラスを乗せた状態で2分間保持して、ナノインプリントニッケル標準モールドと石英ガラスとの間に塗膜を挟んだ積層体を得た。その後、該積層体をUV式インプリント装置(エンジニアリングシステム、EUN−4200型)にセットし、375nmのUV光を30分間照射することで、PDMS前駆溶液の塗膜を硬化せしめた後、前記ナノインプリントニッケル標準モールドを取り外して、石英ガラス(石英基板)上に凹凸構造が形成されたPDMSの重合体からなる薄膜が積層されたPDMSモールド(転写構造体:ナノモールド)を得た。なお、このようにして得られたナノモールド(転写構造体)の凹凸構造の状態を原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。得られた原子間力顕微鏡(AFM)像を図8に示す。図8に示す結果(AFM像)からも明らかなように、PDMSモールド(転写構造体:ナノモールド)の凹凸構造は、ニッケル標準モールドの構造を反映したナノホールアレイ構造(多孔構造)となっていることが確認された。なお、このようなAFM測定は測定箇所を変えて複数箇所について行い、かかる測定結果から、それぞれ断面図(縦断面図)を求めて、任意の100点の凸部に関して、最近接の凸部との間の中心間(頂点間)の距離を測定し、その平均から凹凸の平均ピッチ(細孔の平均ピッチ)を求めたところ、ナノモールドの凹凸の平均ピッチは250nmであることが確認された。更に、AFM測定により得られる断面図から、任意の100点の凸部について、平均高さの半分の高さの位置における最近接の凸部との間の壁面間距離(水平方向の距離)を測定して、その平均を求め、凸部の壁面間の距離の平均値(平均細孔直径)を測定したところ、ナノモールドの凹凸構造の凸部の壁面間の距離の平均値は120nmであることが確認された。また、ナノモールドのAFM測定により得られる断面図から、任意の100点の凹凸構造に関して凸部の平均高さ(細孔(凹部)の平均深さ)を求めたところ、凸部の高さ(凹部の深さ)の平均値は110nmであることが分かった。更に、ナノモールドのAFM測定により得られた複数の断面図から、任意の100点の凹凸構造の軸方向(細孔の長軸の方向)を測定したところ、測定した凹凸構造の軸方向はいずれも、ナノモールドの凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して90°±20°の範囲内の角度となっており、凹凸構造の軸方向はナノモールドの凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直に配向していることが確認された。
下記一般式(B):
で表される化合物(30mg、[ケイ素の質量]/[有機基の質量]の比率:0.347[ケイ素の質量割合が34.7質量%の化合物]:なお、ここにいう「有機基」は、一般式(B)から3つの式:−Si(OEt)3で表される基を除いた残基をいう)をエタノール(0.9mL)に溶解せしめて混合液を得た後、該混合液に2M(mol/L)の塩酸(6μL)を添加し、室温で24時間撹拌することにより、ゾル溶液を調製した。次いで、得られたゾル溶液をシリコン基板上にキャストすることで、前記シリコン基板上にゾル溶液の薄膜を形成した。次に、前述のようにして得られたPDMSモールド(ナノモールド)の凹凸面側が接触するようにして、前記ゾル溶液の薄膜上にPDMSモールド(ナノモールド)を載せて、室温で12時間静置した。その後、PDMSモールド(ナノモールド)を乗せたままで、前記ゾル溶液の薄膜に対して100℃で1時間加熱処理を行って薄膜を硬化せしめ、その後、PDMSモールド(ナノモールド)を除去することで、有機シリカ薄膜(膜厚:150nm)を形成せしめた。
実施例4で得られた有機シリカ薄膜の凹凸構造の状態を原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。得られた原子間力顕微鏡(AFM)像を図9に示し、図9中の白線部分の断面像(縦断面図)を図10に示す。図9に示すAFM像からも明らかように、ナノモールドの構造が転写された規則的なナノ多孔質構造が形成されていることが分かった。また、図10に示す断面図からは、ナノモールドの構造が転写された高さ80〜130nmの範囲のナノピラーアレイ構造が形成されていることが分かった。なお、このようなAFM測定は測定箇所を変えて複数箇所について行い、かかる測定により得られる複数の断面図から、任意の100点の凹凸構造の軸方向(柱状体(凸部)の長軸の方向)を測定したところ、測定した凹凸構造の軸方向はいずれも、有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して90°±20°の範囲内の角度となっており、凹凸構造の軸方向は有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直に配向していることが確認された。
実施例1で得られた有機シリカ薄膜の代わりに、実施例4で得られた有機シリカ薄膜を用い、かつ、アンジオテンシンIの水溶液の濃度を変更した以外は、実施例3で採用している方法と同様にしてレーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)を行った。すなわち、アンジオテンシンIの水溶液(アンジオテンシンIの濃度:1.0pmol/μL、0.1質量%のトリフルオロ酢酸を含有)を有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている表面上に1μL塗布して、有機シリカ薄膜に試料(アンジオテンシンI)を担持した後、MALDI−TOF−MS装置(照射レーザー光の波長:337nm)を利用して、波長337nmのレーザ光を照射してレーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)を行った。このような分析の結果として、マススペクトル(LDI−MSスペクトル)のグラフを図11に示す。
シリコン基板上にゾル溶液の薄膜を形成した後、該薄膜に対してナノモールドを押圧する工程を実施せずに、シリコン基板上にゾル溶液の薄膜を形成した後、ナノモールドを利用せずに、該薄膜に対してそのまま80℃で72時間加熱する処理を施した以外は実施例1と同様にして、凹凸構造の形成されていない状態の有機シリカ薄膜(非多孔質)を得た。次いで、このようにして得られた凹凸構造の形成されていない状態の有機シリカ薄膜(非多孔質)を、実施例1で得られた有機シリカ薄膜の代わりに利用した以外は、実施例2に記載されている方法と同様にして、レーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)を行った。このような分析の結果として、マススペクトル(LDI−MSスペクトル)のグラフを図12に示す。図12に示すマススペクトル(LDI−MSスペクトル)からも明らかなように、このようなレーザー脱離イオン化質量分析(LDI−MS)では、アンジオテンシンIに相当するシグナル(m/z=1297の位置においてマススペクトルのピーク(シグナル))を検出できないことが分かった。
下記一般式(C):
で表される化合物(80mg、[ケイ素の質量]/[有機基の質量]の比率:0.737[ケイ素の質量割合が73.7質量%の化合物]:なお、ここにいう「有機基」は、一般式(C)から2つの式:−Si(OEt)3で表される基を除いた残基をいう)をエタノール(1.5mL)に溶解せしめて混合液を得た後、該混合液に2M(mol/L)の塩酸(15μL)を添加し、室温で2時間撹拌することにより、ゾル溶液を調製した。次いで、得られたゾル溶液をメンブレンフィルターで濾過した後、濾過後のゾル溶液をシリコン基板上にスピンコート([コートの条件]0rpmから1200rpmまで10秒かけて連続的に回転速度を上昇させて、1200rpmの回転で5秒間維持する条件を採用)することで、前記シリコン基板上に有機シリカ薄膜(膜厚:200nm)を形成した。
比較例2で得られた有機シリカ薄膜中の有機基の吸収波長を測定するため、以下のようにして試料を形成して紫外/可視吸収スペクトルを測定した。すなわち、先ず、実施例1と同様にしてゾル溶液を調製し、メンブレンフィルターで濾過し、かかる濾過後のゾル溶液を利用して、石英基板上にスピンコート([コートの条件]0rpmから1200rpmまで10秒かけて連続的に回転速度を上昇させて、1200rpmの回転で5秒間維持する条件を採用)により、有機シリカ薄膜(膜厚:200nm)を形成して試料とした。このような試料の紫外/可視吸収スペクトルを図13に示す。なお、一般式(C)で表される化合物(有機ケイ素化合物)の重合物中の有機基は、図13に示す紫外/可視吸収スペクトルからも明らかなように、220nm、271nm、277nmに吸収極大波長を示すものであり、有機シリカ薄膜中の有機基は光を吸収可能なものであることが分かった。
Claims (7)
- 光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカからなる薄膜であり、
該有機基が波長300〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有するものであり、
該有機シリカを構成するケイ素及び前記有機基の含有割合が、前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にあり、
該薄膜が、凹凸の平均ピッチが20〜1000nmである凹凸構造を有し、かつ、
該凹凸構造の軸方向が、該有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直な方向にあること、
を特徴とする有機シリカ薄膜。 - 前記有機基が波長300〜600nmの範囲に極大吸収波長を有することを特徴とする請求項1に記載の有機シリカ薄膜。
- 前記有機シリカ薄膜が、凹部が柱状の細孔により形成されてなる凹凸構造を有する多孔膜、又は、凸部が柱状体により形成されかつ該柱状体が配列されてなるピラーアレイからなる凹凸構造を有する薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機シリカ薄膜。
- 光を吸収可能な有機基を有する有機ケイ素化合物を部分的に重合せしめて得られたゾル溶液から得られる膜にナノインプリントにより凹凸構造を形成して硬化せしめることにより有機シリカ薄膜を得る工程を含み、
前記有機ケイ素化合物が、光を吸収可能な有機基として波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する有機基を有しかつケイ素及び該有機基の含有割合が前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にある有機ケイ素化合物であり、
前記有機シリカ薄膜が光を吸収可能な有機基を骨格に有する有機シリカからなる薄膜であり、
該薄膜中の前記有機基が波長200〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有するものであり、
該有機シリカを構成するケイ素及び前記有機基の含有割合が前記有機基の質量に対するケイ素の質量の比率([ケイ素の質量]/[有機基の質量])を基準として0.05〜0.50の範囲にあり、
該薄膜が凹凸構造を有し、かつ、
該凹凸構造の軸方向が、該有機シリカ薄膜の凹凸構造が形成されている面とは反対側の面の表面に対して略垂直な方向にあること、
を特徴とする有機シリカ薄膜の製造方法。 - 前記有機シリカ薄膜が、凹部が柱状の細孔により形成されてなる凹凸構造を有する多孔膜、又は、凸部が柱状体により形成されかつ該柱状体が配列されてなるピラーアレイからなる凹凸構造を有する薄膜であることを特徴とする請求項4に記載の有機シリカ薄膜の製造方法。
- レーザー脱離イオン化質量分析法に用いる基板であって、該基板が請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の有機シリカ薄膜を備えることを特徴とするレーザー脱離イオン化質量分析用基板。
- 分析用基板として請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の有機シリカ薄膜を備える基板を用い、該有機シリカ薄膜に対して測定対象分子を含む試料を担持せしめた後、該膜の試料担持部位にレーザー光を照射することにより、前記測定対象分子をイオン化して質量分析を行うことを特徴とするレーザー脱離イオン化質量分析法。
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