JPWO2016088867A1 - スパッタリング用MgOターゲット材及び薄膜 - Google Patents

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Abstract

MgとTiとOとを主成分とするスパッタリング用MgOターゲット材であって、MgとTiとの合計量に対するMgの比率が75を超えて95mol%以下の範囲内であり、体積抵抗率が1×102Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング用MgOターゲット材である。MgとOを主成分としTiを固溶したMgO相と、TiとOを主成分としMgを固溶したTiO相とを含むことが好ましい。また、上記のスパッタリング用MgOターゲット材を用いて成膜されたことを特徴とする薄膜である。

Description

本発明は、スパッタリング用MgOターゲット材及び薄膜に関し、特に、Mg(マグネシウム)とTi(チタン)とO(酸素)とを主成分とするスパッタリング用MgOターゲット材及びこれを用いて成膜された薄膜に関するものである。
従来、電子・電気部品用材料の成膜法の一つとして、オングストローム単位〜ミクロンオーダーまでの膜厚や成分を容易に制御できるスパッタリング法が広く使用されている。スパッタリング法では、正の電極と負の電極とを備えたスパッタリング装置を使用し、基板とターゲット材とを対向させ、不活性ガス雰囲気下でこれらの基板とターゲット材の間に高電圧を印加して電場を発生させることで、電離した電子と不活性ガスが衝突してプラズマを形成させる。そして、このプラズマ中の陽イオンがターゲット材(負の電極)表面に衝突してターゲット材構成原子を叩きだし、この飛び出した原子が対向する基板表面に付着して膜が形成されるという原理である。
磁気記録媒体などの層構造をしたデバイスの下地層などでは、MgO(酸化マグネシウム)を主成分とするターゲット材(MgOターゲット材)が使用されている。MgOは絶縁体であるため、通常は高周波(RF)スパッタリング法を用いる必要があるが、RFスパッタリングでは基板とターゲット材との間に交流電圧を印加するため、成膜速度が遅く、生産性に劣るという問題があった。そこで従来、MgOと導電性物質とを主成分とし、DC(直流)スパッタリング法によって成膜された際に配向性を付与するMgOターゲット材が知られている(例えば、特許文献1参照)。この文献中には、導電性化合物としてTiC、VC、WC、TiNが挙げられている。
一方、TiO(一酸化チタン)を主成分とし、MgOを添加した焼結体も知られている(例えば、非特許文献1参照)。この文献には、MgOを0〜20mol%添加したTiO焼結体の物理的諸性質が記載されている。また、この文献には、TiO相にMgOが15%まで固溶すること、焼結体のマイクロビッカース硬度が最大1350、電気抵抗率が2.8×10−4Ω・cmを示すこと、MgOの添加量の増加により相対密度が減少することなどが記載されている。
また、TiOを25〜90mol%含有し、残部がMgOからなるMgO−TiO焼結体を用いたターゲット材において、DCスパッタリングにより成膜可能であることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、DCスパッタリングによって(Mg0.2Ti0.8)O膜をガラス基板上に成膜する技術も知られている(例えば、非特許文献2参照)。
特開2013−241684号公報 国際公開第2014/156497号
飯泉ほか、「TiO焼結体の物理的諸性質におよぼすMgO添加の影響」、東京工芸大学紀要、Vol.8、No.1、pp.30−34(1985) B.S.D.Ch.S.Varaprasadら、"Electrially conductive (Mg0.2Ti0.8)O underlayer to grow FePt−based perpendicular recrding media on glass substrates"、JOURNAL OF APPLIED PHYSICS、Vol.113、No.203907(2013)
しかしながら、特許文献1に記載の導電性化合物としてTiC、VC、WC、TiNを使用した場合、MgO比率が高い場合においてMgOターゲット材の体積抵抗率が高くなりやすい傾向があった。このため、MgO比率が高いMgOターゲット材は、DCスパッタリングに用いることが困難であったり、あるいはDCスパッタリングに用いることができたとしても成膜速度が低くなって生産性に劣ったりするという不都合があった。
一方、非特許文献2及び特許文献2のように、MgとTiとOからなりMgとTiの合計量に対するMgの比率が低いターゲット材では、成膜した配向膜の結晶性(以下、単に「結晶性」という場合がある)に乏しいという不都合があった。
また、特許文献2では、前述のMgの比率が高いターゲット材、例えばMgが90mol%において低い体積抵抗率を得ることができず、DC成膜が不能との不都合があった。
そこで、本発明は、特にDCスパッタリングに好適に用いることができ、成膜速度を高速化するとともに、成膜後の配向膜の結晶性も良好なスパッタリング用MgOターゲット材を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、このようなスパッタリング用MgOターゲット材を用いて成膜された薄膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、スパッタリング用ターゲット材として、MgとTiとOを主成分とし、MgとTiとの合計量に対するMgの比率を制御することによって、ターゲット材自体の体積抵抗率が低く、DC成膜可能でかつ成膜後の結晶性が良好であることを見出し、本発明に至った。
本発明は、MgとTiとOとを主成分とするスパッタリング用MgOターゲット材であって、MgとTiとの合計量に対するMgの比率が75を超え95mol%以下の範囲内であり、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング用MgOターゲット材に関する。
この場合、MgとOを主成分としTiが固溶した結晶相であるMgO相と、TiとOを主成分としMgが固溶した結晶相であるTiO相とを含むことが好ましい。
あるいは、MgとOを主成分としたMgO相と、TiとOを主成分としたTiO相とを含んだ構成相を有し、前記構成相の平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。
さらに、上記において、相対密度が95%以上であることが好適である。
また、本発明は、上記のいずれかに記載のスパッタリング用MgOターゲット材を用いて成膜されたことを特徴とする薄膜である。
以上のように、本発明のスパッタリング用MgOターゲット材は、ターゲット材の体積抵抗率が低く、かつMgの比率が高いため成膜後の膜の結晶性も良好である。このため、本発明によれば、特にDCスパッタリングに好適に用いることができ、成膜速度を高速化
するとともに、成膜後の膜の結晶性も良好なスパッタリング用MgOターゲット材を提供することができる。また、本発明によれば、このようなスパッタリング用MgOターゲット材を用いて成膜された結晶性の優れた薄膜を提供することができる。
実施例に係るMgOターゲット材の反射電子像を示した写真である。 本願の実施例と特許文献1(先願)の実施例に記載されたMgOターゲット材の体積抵抗率を重ねて示したグラフである。
(1)スパッタリング用MgOターゲット材
本発明のスパッタリング用MgOターゲット材(以下、「MgOターゲット材」と記す)は、後述のバッキングプレート等のボンディング材と共に、スパッタリング用MgOターゲット(以下、「MgOターゲット」と記す)の構成材であり、Mg(マグネシウム)とTi(チタン)とO(酸素)とを主成分とし、MgとTiとの合計量に対するMgの比率が75mol%を超え95mol%以下の範囲内であり、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下である。
MgとTiの合計量に対するMgの比率(すなわち、「Mg/(Mg+Ti)」)は、75mol%を超え95mol%以下であり、80mol%以上95mol%以下が好ましく、90mol%以上95mol%以下が特に好ましい。上記の比率が75mol%以
下だと、MgOターゲット材を使用して製膜した薄膜中のMg比率が低くなり、薄膜の結晶性が悪化しやすくなる。一方、上記の比率が95mol%を上回ると、後述のMgO相の比率が相対的に高くなりすぎてしまい、MgOターゲット材の体積抵抗率が高くなりやすい。
MgとTiの合計量に対するMgの比率は、MgOターゲット材を組成分析することで求めることができる。測定方法としては、例えばXRF分析法、ICP発光分析法やフィールドエミッション型電子線プローブ分析法など公知の分析法を使用することができる。本発明では、後述する実施例に記載の方法で測定した値を採用している。
MgOターゲット材は、これを用いて成膜した薄膜に(002)面((001)面と同じである)に配向性を付与することが可能である。また、成膜後の薄膜は高い結晶性を有している。
MgOターゲット材は、構成相の平均粒子径が5μm以下であり、3μm以下が好ましく、1.5μm以下が特に好ましい。この平均粒子径が5μmを上回るとMgOターゲット材の体積抵抗率が高くなり、MgとTiの合計量に対するMgの比率が高い組成においては特に、DCスパッタでの成膜が不能あるいは成膜速度が低下する。この構成相の平均粒子径の下限は特に限定されないが、多くは用いる原料粉末の粒子径と工程における粉砕能力により制約されるため、通常用いられる工程で実現可能な範囲であることが好適である。なお、「構成相」とは、MgOターゲット材を構成するすべての相を意味し、具体的には、後述するMgO相とTiO相を含み、これ以外にもMgOターゲット材中に存在する後述の岩塩構造以外の構造を持つ結晶相(例えばMgとTiとOで構成されるスピネル相等)や、これらの結晶相で区画される領域を埋める単数若しくは複数の粒子を含む非晶質の相(非晶質相)も含み得る。また、「構成相の平均粒子径」とは、構成相を構成する結晶相(すなわち、MgO相、TiO相、岩塩構造以外の構造を持つ結晶相)に含まれる粒界で規定される微小な粒子及び非晶質相に含まれる粒子の径の平均値を意味する。
MgOターゲット材は、MgとOを主成分とする結晶相(以下、「MgO相」と記す)
と、TiとOを主成分とする結晶相(以下、「TiO相」と記す)とが混ざった状態となっている。これらの結晶相は粒界で規定される微小な粒子を複数含んでいる。また、MgOターゲット材は、上記のMgO相とTiO相とが完全に均一に混ざり合った状態のものでもよい。MgO相とTiO相は、基本的には岩塩構造(岩塩構造の対称性が低下した単斜晶系の構造を含む)を持っている。一方で、MgOターゲット材には、岩塩構造以外の構造を持つ、MgとTiとOで構成される結晶相(例えばスピネル構造の結晶相など)、TiとOを主成分とする結晶相(例えばルチル構造の結晶相など)、更には、これらの結晶相で区画される領域を埋める単数若しくは複数の粒子からなる非晶質相等が含まれていてもよい。
MgOは本来絶縁性であるが、MgO相は、MgとOを主成分とし、微量のTiが固溶した結晶相であり、これにより絶縁性が低下する。一方、TiO相は、TiとOを主成分とし、微量のMgが固溶した結晶相であり、基本的に導電性である。このため、TiO相の結晶粒子どうしが互いに接触することで、MgOターゲット材に導電性パスが形成される。MgO相の絶縁性が低下することと、TiO相が導電性パスを形成することと、平均粒子径が小さいことにより、DCスパッタリング可能な導電性をMgOターゲット材に好適に付与することができる。
MgO相とTiO相は、画像解析による面積比が、MgO相の面積:TiO相の面積=60:40〜94:6となる範囲内であることが好ましい。MgO相の面積が全体(すなわち、MgO相の面積+TiO相の面積の合計)に対して60%を下回ると、成膜後の薄膜の結晶性が低くなりやすい。一方、MgO相の面積が全体(MgO相の面積+TiO相の面積の合計)に対して94%を上回ると、TiO相の全体比率が低くなりすぎて導電性パスが形成されにくくなり、MgOターゲット材全体の体積抵抗率が高くなりやすくなる。MgO相の面積:TiO相の面積は、好ましくは65:35〜93:7の範囲内であり、より好ましくは70:30〜92:8の範囲内である。なお、画像解析は、後述する実施例に記載の方法で行うことができる。
MgO相は、MgとTiの合計原子数に対するTiの原子数の割合(Ti/Mg+Ti)が0.05〜1.00at%(アトミックパーセント)の範囲内であることが好ましい。上記「Ti/Mg+Ti」の数値が0.05at%を下回ると、MgO相に含まれるTiの割合が少なくなり、MgOターゲット材の体積抵抗率が高くなりやすい。一方、上記「Ti/Mg+Ti」の数値が1.00at%を上回ると、MgO相に含まれるTiの割合が高くなりすぎて相対的にTiO相の割合が減少し、MgOターゲット材の体積抵抗率が高くなりやすくなる。また、MgとTiの合計原子数とに対するOの原子数の割合(O/Mg+Ti)は、例えば岩塩構造を持つことによるなどにより、MgOターゲット材が本発明の効果を有する限り、必ずしも100at%でなくても良い。
TiO相は、MgとTiの合計原子数に対するMgの原子数の割合(Mg/Mg+Ti)が1〜20at%の範囲内であることが好ましい。上記「Mg/Mg+Ti」の数値が1at%を下回ると、TiO相に含まれるMgの割合が少なくなり、相対的にMgO相の割合が増加し、MgOターゲット材の体積抵抗率が高くなりやすい。一方、上記「Mg/Mg+Ti」の数値が20at%を上回ると、TiO相に含まれるMgの割合が高くなりすぎて導電性パスの抵抗が高くなり、MgOターゲット材の体積抵抗率が高くなりやすい。なお、各相への原子の固溶量は、後述する実施例と同様の方法で算出することができる。また、MgとTiの合計原子数とに対するOの原子数の割合(O/Mg+Ti)は、例えば岩塩構造又は岩塩構造の対称性が低下した単斜晶系の構造を持つなどにより、MgOターゲット材が本発明の効果を有する限り、必ずしも100at%でなくても良い。
MgOターゲット材の体積抵抗率は、1×10Ω・cm以下である。このため、例え
ばDCスパッタリング法によって成膜する際に、放電を安定して維持することができ、DCスパッタリングが可能となる。
MgOターゲット材の体積抵抗率は、好ましくは8×10Ω・cm以下であり、より好ましくは5×10Ω・cm以下である。MgOターゲット材の体積抵抗率の下限は特に限定はないが、通常技術の範囲内で低い方が好ましい。
MgOターゲット材の相対密度は、95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、98%以上であることが特に好ましい。MgOターゲット材の相対密度が95%を下回ると、MgOターゲット材中に気孔が多く含まれており、曲げ強度の低下などを招く。MgOターゲット材の相対密度は、後述する実施例と同様の方法で測定することができる。
MgOターゲット材の強度は、3点曲げ強度で250MPa以上であり、300MPa以上であることがより好ましい。3点曲げ強度が250MPaを下回るとスパッタ成膜時にMgOターゲット材が割れやすくなり、大電力をかけてスパッタすることが困難となるため、成膜速度が抑制されてしまう。なお、MgOターゲット材の曲げ強度は、JIS R 1601(2008年度版)に準拠した曲げ強度試験法により測定することができる。
MgOターゲット材は、上記のように体積抵抗率が1×10Ω・cm以下と低抵抗であるため、特にDCスパッタリング法によって好適に成膜を行うことができる。このため、RFスパッタリング法と比較して、薄膜の成膜速度が速く生産性を向上することができる。なお、MgOターゲット材は、DCスパッタリング法にのみ適用されるわけでなく、RFスパッタリング、マグネトロンスパッタリング、イオンビームスパッタリングなど、他のスパッタリング法にも適用することができる。
(2)MgOターゲット材の製造方法
MgOターゲット材はMgとTiとOとを主成分とし、原料となる酸化マグネシウム粉末と一酸化チタン粉末とを混合して焼結することで製造することができる。各粉体は、MgとTiの合計量に対するMgの比率(すなわち、「Mg/(Mg+Ti)」)が、75mol%を超え95mol%以下となる割合になるよう秤量し混合する。なお、原料としては、上記材料に特定されるものではなく、工程中において酸化物となるものについても使用することができる。このような原料としては、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水素化チタン(TiH)などを挙げることができる。また、原料の粒径は1μm以下であることが好ましく、後述する混合の際に粉砕されて1μm以下となっても良い。原料の粒径が1μmより大きい場合、MgOターゲット材の平均粒径が大きくなり、結果として体積抵抗率が高くなる。
原料の混合には、湿式ボールミルを用いると好適である。溶媒は、水やアルコール等の有機溶媒を用いることができ、特にメタノールが好ましい。混合時間は、特に限定されないが、原料が均一に混合されるのに十分な時間とすることが望ましい。原料が均一に混合されていない場合、MgOターゲット材に組成、密度ムラが生じ、材料強度が低下しやすくなる。また、原料混合の際には、必要に応じ分散剤を添加することができる。分散剤の種類は、特に限定されないが、焼結で分解し、残留しない成分であることが好ましい。混合の際の原料濃度は、特に限定されないが、一般的には溶媒に対し、15〜75wt%が用いられる場合が多い。
次に、湿式ボールミルから原料が混合されたスラリーを取り出し、このスラリーを乾燥して成形に適する形状に造粒する。乾燥は、スプレードライヤーを用いることが好適であ
る。この際、必要に応じて成形用助剤を加えても良い。助剤の種類は、特に限定されないが、一般的にはポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、セロゾール、パラフィン等が用いられる。
続いて、乾燥造粒粉を所定の形状に成形する。成形は、金型を用いた一軸成形、CIP(冷間等方加圧)成形などを単独、あるいは組み合わせて行うことができる。成形圧力は、特に限定されないが、一般的に100MPa以上の圧力をかけた場合、良好な成形体を得ることが可能であり、好ましい。
次に、この成形体を、既知の酸化マグネシウムなどの焼結方法、例えば、常圧焼結法、ホットプレス焼結法、熱間等方圧(HIP)焼結法、放電プラズマ(SPS)焼結法などで焼結する。焼結温度は、原料中のMgOの割合によって適宜調整されるが、1000〜1600℃が好ましく、1200〜1500℃がより好ましい。焼結温度が高すぎると、焼結体が溶解し、所望の焼結密度や体積抵抗率が得られず、焼結温度が低すぎると、焼結できずに、成膜後にガスが内包され均質な膜が得られにくくなる。また、焼結圧力は、特に制限はなく、常圧であっても、加圧下又は減圧下であってもよい。
上記の焼成工程で得られた焼結体は、目的に応じて所望の形状に加工して用いることができる。外形加工の方法としては、研削など公知の方法を用いることができる。また、外形加工後は、必要に応じてバッキングプレートへのボンディングなどを行うことで、スパッタリング用MgOターゲットとすることができる。
(3)薄膜
本発明の薄膜は、MgOターゲット材をスパッタリング法によって成膜することで製造することができる。スパッタリング法としては、DCスパッタリング法のほか、上述した公知のスパッタリング法を適用することができる。DCスパッタリング法で成膜する場合、スパッタ条件としては、基板温度10〜500℃の範囲内が好ましく、10〜300℃の範囲内が特に好ましい。また、スパッタを行う真空チャンバー内の真空度は、1×10Pa以下が好ましい。また、真空チャンバー内はアルゴン(Ar)やヘリウム(He)、窒素(N)など不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
このようにして得られる薄膜は、(002)面に単一配向性のあるMgO膜となる。また、薄膜の結晶性が優れている。ここでのMgO膜は、MgとTiとOを含み、MgOと同様の結晶構造を持つものである。
本発明の薄膜は、例えば磁気記録媒体の磁性層の下地層として好適に用いることができる。磁気記録媒体は何層もの層構造を有しているため、従来のMgOターゲット材を用いた場合は、層によってDCスパッタリング法とRFスパッタリング法を使い分けなければならなかったが、本発明のMgOターゲット材を用いると、各層ともDCスパッタリング法を用いて作製することができる。このため、磁気記録媒体の製造速度を高速化することが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。
MgOターゲット材及び薄膜(スパッタ膜)の特性測定法は以下のとおりである。
(1)MgOターゲット材のアルキメデス密度及び相対密度の測定
MgOターゲット材の焼結密度をアルキメデス法にて測定した。また、各組成における真密度を、ターゲット材の粉砕粉末を用いて気体式ピクノメーター(Quantachr
ome.Co製 UPY−2)で求め、得られた真密度に対するMgOターゲット材の相対密度を算出した。
(2)MgOターゲット材の体積抵抗率の測定
抵抗率計(CRESBOX ナプソン製)を用い、4探針法にてMgOターゲット材の電気抵抗を測定した。また、得られた電気抵抗値とターゲット材の形状から体積抵抗率を算出した。
(3)MgOターゲット材の曲げ強度の測定
テンシロン(エーアンドディ)を用い、MgOターゲット材の曲げ強度を、JIS R
1601(2008年度版)に準拠した3点曲げ強度試験法により測定した。
(4)MgOターゲット材のMg/(Mg+Ti)の測定
XRF装置(Supermini 200 リガク製)を用い、検量線法にてMgOタ
ーゲット材の組成分析をおこなった。得られた組成値より、MgとTiの合計量に対するMgの比率(Mg/(Mg+Ti))を算出した。
(5)MgO(002)相対強度の測定
MgOターゲット材を用いて、ガラス基板上にスパッタ成膜したMgO膜について、X線回折装置(D8 ADVANCE Bruker AXS製)を用いてOut of Planeでの測定を行い、MgO(002)ピークの強度(面積)を算出した。各組成のMgOターゲット材において、得られたMgO(002)ピーク強度を、後述の実施例5記載のMgOターゲット材でのピーク強度を1とした相対値で示した。
(6)MgOターゲット材の走査電子顕微鏡(SEM)観察
MgOターゲット材を表面研磨加工し、SEMで観察を行った。SEMは電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子製 JSM−7000F型)を使用し、加速電圧5kV、倍率は5000倍にて、反射電子像を得た。
(7)MgO相とTiO相の面積比の算出
上記(6)で得られたSEM撮影した画像を用い、Media Cybernetic
s,Inc.製 ImageproPlusを使用して画像解析をおこない、MgO相(黒色部)とTiO相(白色部)の面積比を算出した。
(8)MgO相及びTiO相への元素の固溶量の算出
TEM−EDS分析により、MgO相に固溶したTiと、TiO相に固溶したMgの量を算出した。TEMは電界放射型透過電子顕微鏡(日本電子製JEM−2010F型)を使用し、加速電圧200kV,倍率30000倍とし、EDSは、NORAN製UTW型Si(Li)半導体検出器を使用し、ビーム径1nmにて測定を行った。
(9)ターゲット材を構成する構成相の平均粒子径の測定
上記(6)にて加速電圧2kV、倍率を1000倍とし2次電子像を得た。この画像を画像解析ソフト(MacView 株式会社マウンテック製)を用い、MgOターゲット材を構成する構成相の平均粒子径(Heywood径)を測定した。
(実験例1:MgOターゲット材の作製及びスパッタ膜の成膜ならびに評価)
(実施例1)
<MgOターゲット材の製造>
酸化マグネシウム粉末(平均粒子径0.2μm)と一酸化チタン粉末(平均粒子径0.15μm)を、MgOが95mol%、TiOが5mol%になるよう秤量し、酸化マグ
ネシウムと一酸化チタンの総重量を100重量部としてメタノール溶媒200重量部と共に、ナイロンボールを入れた樹脂製容器中で16時間混合し、原料スラリーを得た。得られたスラリーを乾燥し、造粒粉を得た。
得られた造粒粉を、油圧式一軸成形機を用い面圧50MPaにて所定の形状に金型プレス成形後、CIP(冷間等方加圧)成形機を用い圧力100MPaにて加圧し、ターゲット材用成形体を得た。得られたターゲット材用成形体を、電気炉中で、最高温度1300℃、保持時間2時間、不活性ガス雰囲気にて焼成し、MgOターゲット材を製造した。
<MgOターゲット材の物性測定>
得られたMgOターゲット材に対して、上記「(1)MgOターゲット材のアルキメデス密度及び相対密度の測定」、「(2)MgOターゲット材の体積抵抗率の測定」「(3)MgOターゲット材の曲げ強度の測定」「(4)MgOターゲット材のMg/(Mg+Ti)の測定」を行い、物性値を測定した。その結果、焼結密度がアルキメデス法にて3.57g/cm、相対密度は97.8%であった。また、体積抵抗率は4.0×10Ω・cmであった。さらに、曲げ強度は375MPaであり、MgとTiとの合計量に対するMgの比率(Mg/Mg+Ti)は、95mol%であった。これらの結果を表1及び表2に示す。
<MgOターゲットの作製及び薄膜の物性測定>
得られたMgOターゲット材をΦ80mm×厚み4mmに加工し、洗浄・乾燥後、バッキングプレートにボンディングし、MgOターゲットを得た。得られたMgOターゲットを、スパッタ装置(ULVAC製CS−L)に装着し、DCマグネトロンスパッタ法で、ガラス基板(コーニング社製:EAGLE XG)上にスパッタ成膜を行い、MgO膜(厚み:100nm)を得た。スパッタ条件は、基板温度200℃、チャンバーの到達真空度1×10−4Pa以下、Arガス圧0.2Pa、投入電力100Wとした。上記「(5)MgO(002)相対強度の測定」で測定したところ、得られたMgO膜のMgO(002)相対強度は2.12であった。この結果を表1及び表2に示す。
<MgOターゲット材のSEM観察>
得られたMgOターゲット材に対して、上記「(6)MgOターゲット材の走査電子顕微鏡(SEM)観察」の方法でSEM観察を行った。SEM観察で得られた反射電子像を図1(a)に示す。この写真から、MgOターゲット材にはMgO相(黒色部)とTiO相(白色部)が含まれることがわかった。
<MgO相とTiO相の面積比算出>
図1(a)のSEM画像をもとに、上記「(7)MgO相とTiO相の面積比の算出」の方法でMgO相とTiO相の面積比(面積%)を算出した。その結果を表3に示す。また、表3には、仕込み組成のモル比(mol%)と体積比(体積%)も示す。仕込み組成の体積%と比較して、面積%が変化している(減少している)ことから、MgOとTiOが互いに固溶していることがわかった。
<MgO相とTiO相の固溶量算出>
MgOターゲット材に対して、上記「(8)MgO相及びTiO相への元素の固溶量の算出」の方法でTEM−EDS分析を行い、MgO相へのTiの固溶量と、TiO相へのMgの固溶量を算出した。TEM画像でMgO相(黒色部)の2点(Spot1、Spot2)と、TiO相(白色部)の1点(Spot3)を任意に選び、それぞれのEDS分析結果から、元素の固溶量を算出した。その結果を表4に示す。
MgO相のSpot1は主成分がMgOであり、Mgの99.81%に対して、Tiが
0.19%固溶していることがわかった。同様に、MgO相のSpot2は主成分がMgOであり、Mgの99.84%に対して、Tiが0.16%固溶していることがわかった。反対に、TiO相のSpot3は主成分がTiOであり、Tiの93.51%に対して、Mgが6.49%固溶していることがわかった。すなわち、MgO相にはTiが固溶しており、TiO相にはMgが固溶していることがわかった。
(実施例2)
MgOを92mol%、TiOを8mol%としたこと以外は実施例1と同様の原料及び方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。また上記「(9)ターゲット材を構成する構成相の平均粒子径の測定」の方法で平均粒子径の測定を行った。その結果、平均粒子径は1.5μmであった。この結果を表5に示す。
(実施例3)
MgOを90mol%、TiOを10mol%としたこと以外は実施例1と同様の原料及び方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(実施例4)
MgOを80mol%、TiOを20mol%としたこと以外は実施例1と同様の原料及び方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
また、実施例1と同様にして、TEM観察を行った。得られた反射電子像を図1(b)に示す。また、MgO相とTiO相の面積比と各相での固溶量を算出した。その結果をそれぞれ表3、表4に示す。
(実施例5)
MgOを77mol%、TiOを23mol%としたこと以外は実施例1と同様の原料及び方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(実施例6)
実施例2と同様にMgOを92mol%、TiOを8mol%とし、MgO粉末の粒子径を0.5μm、TiO粉末の粒子径を0.7μmとしたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲット材の製造を行った。また実施例2と同様の方法で平均粒子径及び体積抵抗率の測定を行った。その結果を表5に示す。
(実施例7)
MgO粉末の粒子径を0.2μm、TiO粉末の粒子径を0.3μmとしたこと以外は実施例6と同様の方法でMgOターゲット材の製造を行った。また実施例2と同様の方法で平均粒子径及び体積抵抗率の測定を行った。その結果を表5に示す。
(実施例8)
MgO粉末の粒子径を0.1μm、TiO粉末の粒子径を0.08μmとしたこと以外は実施例6と同様の方法でMgOターゲット材の製造を行った。また実施例2と同様の方法で平均粒子径及び体積抵抗率の測定を行った。その結果を表5に示す。
(比較例1)
MgOを100mol%としたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲットの
作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。MgOターゲット材の抵抗値が高すぎたため、体積抵抗率は測定不能であった。また、MgOターゲット材の抵抗が高くて成膜ができなかったため、MgO(002)相対強度は評価できなかった。その結果を表1及び表2に示す。
(比較例2)
MgOを98mol%、TiOを2mol%としたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。また、MgOターゲット材の抵抗が高くて成膜ができなかったため、MgO(002)相対強度は評価できなかった。その結果を表1及び表2に示す。
(比較例3)
MgOを75mol%、TiOを25mol%としたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(比較例4)
MgOを70mol%、TiOを30mol%としたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(比較例5)
MgOを50mol%、TiOを50mol%としたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲットの作製及びスパッタ膜の成膜と評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
(比較例6)
MgOを92mol%、TiOを8mol%とし、MgO粉末の粒子径を1μm、TiO粉末の粒子径を1μmとしたこと以外は実施例1と同様の方法でMgOターゲット材の製造を行った。また実施例2と同様の方法で平均粒子径及び体積抵抗率の測定を行った。その結果を表5に示す。
以上の結果から、MgとTiとの合計量に対するMgの比率(Mg/(Mg+Ti))が77〜95mol%の範囲内にある実施例1〜8は、いずれも体積抵抗率が低く、しかも成膜後のMgO膜の結晶性に優れることがわかった。一方、実施例1よりもMgの比率が高い比較例1,2では、体積抵抗率が高すぎて測定できず、DC成膜が不可能であった。また、実施例5よりもMgの比率が低い比較例3では、体積抵抗率は低いが、成膜後のMgO膜の結晶性が劣る結果となった。
また、構成相の平均粒子径と体積抵抗率との関係では、Mgの比率(Mg/(Mg+Ti)が同一な物において、平均粒子径が5μm以下を示す実施例3及び実施例6〜8で体積抵抗率が低い値を示していた。しかし平均粒子径が5μmより大きい比較例6では、体積抵抗値が高い値を示していた。
次に、本発明の実施例、比較例に係る体積抵抗率と、特許文献1(特開2013−241684号公報)に記載されたMgOターゲット材の体積抵抗率との比較について説明する。図2は、本願の実施例、比較例(いずれもTiO)の体積抵抗率(◇プロット)、特許文献1の実施例に記載されたMgOターゲット材のうちTiCを含む例の体積抵抗率(□プロット)とTiNを含む例の体積抵抗率(△プロット)を重ねて示したグラフである。これらの結果から、MgOのモル比が全体の80mol%を下回る範囲では、TiO(本願)もTiC、TiN(特許文献1)も、ほぼ同等の体積抵抗率を示しているが、MgOのモル比が全体の80mol%を超えると、TiOは他に比べて体積抵抗率が低くなり、特に90mol%を超えるとその差は非常に顕著となる。このことから、特にMgOのモル比が全体の90mol%を超えると、TiOはTiCやTiNに比べて体積抵抗率が顕著に低くなることがわかった。

Claims (5)

  1. MgとTiとOとを主成分とするスパッタリング用MgOターゲット材であって、
    MgとTiとの合計量に対するMgの比率が75を超えて95mol%以下の範囲内であり、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることを特徴とするスパッタリング用MgOターゲット材。
  2. MgとOを主成分としTiが固溶した結晶相であるMgO相と、TiとOを主成分としMgが固溶した結晶相であるTiO相とを含むことを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング用MgOターゲット材。
  3. MgとOを主成分としたMgO相と、TiとOを主成分としたTiO相とを含んだ構成相を有し、前記構成相の平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング用MgOターゲット材。
  4. 相対密度が95%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリング用MgOターゲット材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタリング用MgOターゲット材を用いて成膜されたことを特徴とする薄膜。
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