以下、本発明の実施の形態によるエアサスペンション装置を、4輪自動車等の車両に適用した場合を例に挙げ、添付図面の図1ないし図6を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図3は本発明の第1の実施の形態を示している。図において、1,2は車両に搭載されたエアサスペンションである。これらのエアサスペンション1,2は、車両の車軸側と車体側(いずれも図示せず)との間に設けられ、圧縮空気の給排に応じて車高調整を行うものである。4輪自動車の場合、例えば後輪側にのみ左,右のエアサスペンション1,2(合計2個)を配設するものがある。なお、本発明の実施形態はこれに限らず、例えば前輪側の2個と後輪側の2個とで合計4個のエアサスペンションを配設する構成でもよい。
エアサスペンション1は、例えば前記車両の車軸側に取付けられるシリンダ1Aと、該シリンダ1A内から軸方向へと伸縮可能に突出し突出端側が前記車体側に取付けられるピストンロッド1Bと、該ピストンロッド1Bの突出端とシリンダ1Aとの間に伸縮可能に設けられ空気ばねとして作動するエア室1Cとにより構成されている。エアサスペンション1のエア室1Cは、後述の分岐管10Aから圧縮空気が給排されることにより軸方向に拡縮される。このときに、エアサスペンション1は、ピストンロッド1Bがシリンダ1A内から軸方向に伸縮して車両の高さ(車高)を、前記圧縮空気の給排量に応じて調整する。他のエアサスペンション2についても、前記エアサスペンション1と同様に構成され、シリンダ2A、ピストンロッド2Bおよびエア室2Cを有している。
コンプレッサ3は、空気を圧縮してエアサスペンション1,2のエア室1C,2Cに圧縮空気を供給するものである。ここで、コンプレッサ3は、例えば往復動式圧縮機またはスクロール式圧縮機等からなるコンプレッサ本体4と、該コンプレッサ本体4を駆動する電動モータ5と、コンプレッサ本体4の吸込み側4A(以下、吸気側4Aという)に接続された吸・排気管路6と、コンプレッサ本体4の吐出側4Bに接続された給排管路7と、該給排管路7に設けられたエアドライヤ8と、コンプレッサ本体4をバイパスして該コンプレッサ本体4の吸気側4Aと吐出側4Bとの間を接続するバイパス管路9と、後述の戻し弁13とを含んで構成されている。
コンプレッサ3の吸・排気管路6は、分岐点6Aの位置で分岐した2つの分岐管路6B,6Cを含んで構成され、一方の分岐管路6Bは後述のタンク15に接続されている。他方の分岐管路6Cは、後述の排気バルブ16または吸気バルブ17を介して吸排ポート18に接続されている。コンプレッサ本体4は、吸・排気管路6から吸込んだ空気を圧縮し、圧縮空気をエアドライヤ8に向けて吐出する。また、吸・排気管路6は、後述の如く排気バルブ16が開弁したときに圧縮空気を外部に排気(大気中に排出)する機能も有している。
エアドライヤ8は、給排管路7の途中に設けられている。このエアドライヤ8は、例えば内部にシリカゲル等の乾燥剤(図示せず)が多数充填されている。これらの乾燥剤は、コンプレッサ本体4から吐出される圧縮空気に含まれる水分を内部に吸着する。このため、エアドライヤ8を通過した圧縮空気は、乾燥した圧縮空気となってエアサスペンション1,2のエア室1C,2C等に供給される。
エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cは、空気導管10を介してエアコンプレッサ3の給排管路7に接続されている。ここで、空気導管10は、例えば2つの分岐管10A,10Bに分岐して形成され、一方の分岐管10Aは、エアサスペンション1のエア室1Cに着脱可能に接続され、他方の分岐管10Bは、エアサスペンション2のエア室2Cに着脱可能に接続されている。
圧縮空気の給排制御弁11,12は、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cに対する圧縮空気の給排を制御するものである。給排制御弁11は、例えば2ポート2位置の電磁式切換弁(ソレノイドバルブ)により構成され、ソレノイド11Aと弁ばね11Bとパイロット管路11Cとを有している。給排制御弁11は、弁ばね11Bにより通常時は閉弁位置(a)におかれ、後述するコントローラ19からの制御信号によりソレノイド11Aが励磁されると、弁ばね11Bに抗して開弁位置(b)に切換えられる。
給排制御弁11は、エアサスペンション1のエア室1Cに圧縮空気を給排するため、例えば分岐管10Aの途中位置に設けられている。なお、この給排制御弁11は、エアサスペンション1のエア室1Cと分岐管10Aとの間に接続して設ける構成でもよい。また、給排制御弁11は、リリーフ用のパイロット管路11Cが設けられ、リリーフ弁(安全弁)としての機能を有している。このため、エア室1C内の圧力が弁ばね11Bの設定圧を越えると、ソレノイド11Aを消磁したままでも、給排制御弁11はリリーフ弁として、閉弁位置(a)から開弁位置(b)に一時的に切換わり、このときの過剰圧を空気導管10内に逃がすことができる。他の給排制御弁12についても、前述した給排制御弁11と同様に構成されており、例えばソレノイド12Aと弁ばね12Bとパイロット管路12Cとを有している。
コンプレッサ3には、バイパス管路9に戻し弁13が設けられている。該戻し弁13は、例えば2ポート2位置の電磁式切換弁(ソレノイドバルブ)により構成され、ソレノイド13Aと弁ばね13Bとパイロット管路13Cとを有している。戻し弁13は、弁ばね13Bにより通常時は遮断位置(c)におかれ、後述するコントローラ19からの制御信号によりソレノイド13Aが励磁されると、弁ばね13Bに抗して戻し位置(d)に切換えられる。
戻し弁13は、遮断位置(c)にあるときに、コンプレッサ本体4の吸気側4Aと吐出側4Bとの間をバイパス管路9を介して遮断し、圧縮空気がバイパス管路9内に流通するのを阻止する。しかし、戻し弁13が戻し位置(d)に切換わったときには、コンプレッサ本体4の吸気側4Aと吐出側4Bとがバイパス管路9を介して連通される。このため、給排管路7側の圧縮空気は、バイパス管路9を介して吸・排気管路6に戻される。即ち、エアサスペンション1,2内の圧縮空気が、バイパス管路9、戻し弁13を介して後述のタンク15側に戻されるようになる。
ここで、戻し弁13は、リリーフ用のパイロット管路13Cが設けられ、リリーフ弁としても作動する。このため、コンプレッサ本体4の吐出側4Bの圧力が弁ばね13Bの設定圧を越えると、ソレノイド13Aを励磁することなく消磁したままでも、戻し弁13はリリーフ弁として、遮断位置(c)から戻し位置(d)に切換わり、このときの過剰圧をバイパス管路9を介してコンプレッサ本体4の吸気側4Aに逃がすことができる。一方、コンプレッサ本体4の吐出側4Bの圧力が弁ばね13Bの設定圧よりも低くなると、戻し弁13は、弁ばね13Bの付勢力で戻し位置(d)から遮断位置(c)に復帰するように切換わる。
吸・排気管路6の一方の分岐管路6Bには、例えば可撓性ホース等からなる外部配管14を介してタンク15が取外し可能に設けられている。外部配管14は、分岐管路6Bの先端からコンプレッサ3の外部に向けて延び、その先端がタンク15に着脱可能に接続されている。このタンク15は、例えば車両に通常搭載されている予備のタイヤ(即ち、スペアタイヤ)により構成され、その内部に空気を貯留するものである。
そして、コンプレッサ本体4は、電動モータ5により駆動されるときに、タンク15内の空気を吸・排気管路6を介して吸込みつつ、これを圧縮して給排管路7側に圧縮空気を吐出する。なお、タンク15は、スペアタイヤに限るものではなく、例えば図4に示す第2の実施の形態のように、樹脂製のタンクとしてもよい。また、これ以外にも、車両に搭載可能な気密性容器等の種々のタンクを用いることも可能である。
吸・排気管路6の他方の分岐管路6Cには、排気バルブ16と吸気バルブ17とが互いに並列関係をなして設けられている。排気バルブ16と吸気バルブ17とは、コンプレッサ3の一部を構成するように、コンプレッサ3に設けられている。分岐管路6Cの先端側には、コンプレッサ3の外部に開口する吸排ポート18が設けられ、この吸排ポート18には、空気中の塵埃等を除去するフィルタ(図示せず)が設けられている。排気バルブ16と吸気バルブ17とは、吸・排気管路6の分岐点6Aと吸排ポート18との間に並列接続して設けられている。
ここで、排気バルブ16は、吸・排気管路6の分岐点6Aから吸排ポート18に向けて高い圧力の圧縮空気が排気(流通)されるのを許し、逆向きの流れを阻止する圧力設定式のチェック弁等により構成されている。即ち、排気バルブ16は、コンプレッサ本体4の吸気側4Aとタンク15との間で圧縮空気の圧力が第1の所定値P1(例えば、P1=250kPa=0.25MPa)以上となると開弁し、タンク15内の圧縮空気が図3中の矢示D方向に吸排ポート18から外部に排気されるのを許す弁である。
排気バルブ16と並列接続された吸気バルブ17は、所謂吸込弁として機能するもので、吸排ポート18から分岐管路6C内(即ち、吸・排気管路6の分岐点6A側)に向け空気が流通するのを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁等により構成されている。そして、吸気バルブ17は、コンプレッサ本体4の吸気側4Aとタンク15との間で空気の圧力が第1の所定値P1よりも十分に低い第2の所定値P2(例えば、大気圧)以下となると開弁する。これにより、外部の空気(大気)は、図1中の矢示A方向に吸排ポート18から吸・排気管路6、コンプレッサ本体4の吸気側4Aに吸込まれるように吸気される。このように、吸気バルブ17の開弁圧力を所定値P1よりも十分小さくすることにより、吸気バルブ17のチャタリングを防止することができる。
制御装置としてのコントローラ19は、例えばマイクロコンピュータ等により構成されている。コントローラ19の入力側には、例えば車高調整を行う上での自動モード、または運転者が好みに応じて任意に車高を変える選択モード等の切換えを行う選択スイッチ20と、複数の車高センサ21等とが接続されている。これらの車高センサ21は、エアサスペンション1,2による車高を個別に検出するものである。コントローラ19の出力側は、電動モータ5の作動用リレー、給排制御弁11,12のソレノイド11A,12Aおよび戻し弁13のソレノイド13A等に接続されている。
コントローラ19は、選択スイッチ20および各車高センサ21等からの信号に基づいて、電動モータ5の駆動制御を行うと共に、給排制御弁11,12のソレノイド11A,12Aおよび戻し弁13のソレノイド13Aに制御信号を出力し、これらのソレノイド11A,12A,13Aを個別に励磁したり、消磁したりする。これにより、給排制御弁11,12は、図示の閉弁位置(a)と開弁位置(b)との何れかに切換えられ、戻し弁13は、遮断位置(c)と戻し位置(d)との何れかに切換えられるものである。
第1の実施の形態によるエアサスペンション装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
例えば、スペアタイヤ等からなるタンク15内の圧力が大気圧に近い圧力まで低下している場合には、電動モータ5によってコンプレッサ本体4を回転駆動する。これにより、コンプレッサ本体4の吸気側4Aは、大気圧よりも低い圧力(即ち、第2の所定値P2以下の圧力)となるので、吸気バルブ17が開弁する。このため、外部の空気(大気)が図1中の矢示A方向に吸排ポート18から吸・排気管路6を介してコンプレッサ本体4の吸気側4Aに向けて吸入される。そして、コンプレッサ本体4の吐出側4Bには圧縮空気が吐出され、この圧縮空気は給排管路7内に向けて流通し、エアドライヤ8は、内部を通過する圧縮空気を乾燥させる。これはオープンタイプと同様である。
次に、後述する方法でタンク15に第1の所定値P1以下の圧縮空気が充填されている場合で、車高を上げる場合に、コントローラ19は、選択スイッチ20および各車高センサ21等からの信号に基づいて、電動モータ5の駆動制御を行うと共に、給排制御弁11,12のソレノイド11A,12Aに制御信号を出力する。これにより、電動モータ5はコンプレッサ本体4を回転駆動し、コンプレッサ本体4は、タンク15内の圧縮空気を吸気側4Aから吸込みつつ、吐出側4Bにはより高い圧力の圧縮空気を吐出する。
この状態で、戻し弁13は遮断位置(c)のままとし、給排制御弁11,12を閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えると、高い圧力の圧縮空気が図2中の矢示B方向へとコンプレッサ本体4の吐出側4Bから給排管路7、エアドライヤ8、空気導管10の分岐管10A,10Bを介してエアサスペンション1,2のエア室1C、2C内に供給される。このときの圧縮空気は、エアドライヤ8により乾燥された状態でエアサスペンション1,2に供給される。
この場合、コンプレッサ本体4は、予めタンク15内に貯留された圧縮空気を吸気側4Aから吸込みつつ、吐出側4Bからより高い圧力の圧縮空気として、エアサスペンション1,2のエア室1C,2C内に供給することができる。このため、高い圧力の圧縮空気をエアサスペンション1,2のエア室1C、2C内に短時間で迅速に供給することができ、エアサスペンション1,2を早期に伸長させて車高を上げることができる。従って、従来のオープンタイプ(例えば、コンプレッサによって空気を大気圧から圧縮するタイプ)に比較して、車高を素早く効率的に上昇させることができる。
次に、コントローラ19は、車高センサ21からの検出信号に基づいて目標車高に達したと判定すると、車高の上げ動作を終了させるため、給排制御弁11,12のソレノイド11A,12Aを消磁させるように制御信号を出力し、給排制御弁11,12を閉弁位置(a)に復帰させる。これにより、コンプレッサ3の給排管路7は、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cに対して遮断されるので、エアサスペンション1,2は、前記目標車高を維持するように空気ばねとして動作し、前述の如く車高を上げた状態に保つことができる。このとき、コンプレッサ3の電動モータ5は、圧縮運転を中断させるために駆動を停止することができる。
一方、車高を下げる場合に、コントローラ19は、電動モータ5によりコンプレッサ本体4を停止させた状態で、給排制御弁11,12および戻し弁13のソレノイド11A,12Aおよび13Aを励磁するように制御信号を出力する。これにより、給排制御弁11,12は、弁ばね11B,12Bに抗して閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えられ、戻し弁13は、弁ばね13Bに抗して遮断位置(c)から戻し位置(d)へと切換えられる。
これにより、エアサスペンション1,2のエア室1C,2C内の圧縮空気は、図3中の矢示C方向へと空気導管10、給排管路7に向けて排出され、エアドライヤ8を通過(逆流)するときに、エアドライヤ8内の乾燥剤を再生させるように動作する。そして、このときの排気(圧縮空気)は、図3中の矢示C方向へとコンプレッサ本体4を迂回するように、戻し位置(d)にある戻し弁13、バイパス管路9を介して吸・排気管路6に導出され、タンク15内に貯められる。
このとき、タンク15内の圧力が仮に余剰圧(即ち、第1の所定値P1以上)となると、排気バルブ16が開弁して余剰圧を吸排ポート18から図3中の矢示D方向へと外部に排出することができる。このため、スペアタイヤからなるタンク15は、内部の圧力が前記第1の所定値P1以下の圧力に抑えられ、これ以上に高い圧力まで上昇することはない。
そして、コントローラ19は、車高センサ21からの検出信号に基づいて目標車高に達したと判定すると、車高の下げ動作を終了させるため、給排制御弁11,12および戻し弁13のソレノイド11A,12Aおよび13Aを消磁させるように制御信号を出力し、給排制御弁11,12を閉弁位置(a)に復帰させると共に、戻し弁13を遮断位置(c)に戻す。これにより、コンプレッサ3の給排管路7は、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cに対して遮断されるので、エアサスペンション1,2は、前記目標車高を維持するように空気ばねとして動作し、前述の如く車高を下げた状態に保つことができる。
次に、車高調整を自動モードで行うように選択スイッチ20を操作した場合を例に挙げて説明する。ここで、GVW状態とは、車両の載荷状態(最大定員が乗車し、かつ荷物が最大積載量の状態)である。一方、CARB状態とは、全乗車員と全ての荷物を降ろした空荷状態(即ち、標準装備でのエンジンオイル、クーラントおよび燃料だけを乗せた状態)である。
車両がGVW(載荷)状態からCARB(空荷)状態になると、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cが空気ばねとして作動することにより、軽減された重量分だけ車高が上昇する。このため、コントローラ19は、目標とする基準車高までエアサスペンション1,2のエア室1C,2Cを縮小(下降)させる制御を下記のように行う。
CARB(空荷)状態でのエアサスペンション1,2(エア室1C,2C)内の圧力が全体として、例えば400kPaで、空気容量が2.9Lだったとし、基準車高のエアサスペンション容積(即ち、エア室1C,2Cの空気容量)が、2.4Lの場合を一つの例に挙げて説明する。この場合、GVW(載荷)状態からCARB(空荷)状態に変わることで車高が変化する間、エアサスペンション1,2(エア室1C,2C)の内圧は、ほぼ一定であるため、後輪のみがエアサスペンション1,2の車両にあっては、空気容量は約400kPaの空気で、(2.9L−2.4L)×2本=1.0Lを排気する必要がある。
ゲージ圧400kPaは絶対圧で500kPaとなり、絶対圧500kPaの容量1Lの空気量は5Lである。一方、大気圧(絶対圧約100kPa)の2Lタンクには2Lの空気がある。そこに5Lの空気が全て入ると、合計7Lになる。合計7Lの空気が2Lのタンクに入ると、圧力は350kPaになるので、ゲージ圧だと250kPaになる。従って、排気バルブ16の開弁圧(設定圧)を、第1の所定値P1(例えば、250kPa)にすることにより、閉回路(クローズドシステムの回路)が成立する。圧力が約250kPa上昇することになる。
仮に、想定した車高調整範囲を超えた変化が必要となった場合、タンク15の圧力が250kPaを越える可能性がある。しかし、その場合には、例えば250kPa(第1の所定値P1)以上となった圧縮空気は、排気バルブ16が開弁することによって吸排ポート18から大気に排出されることになる。
換言すれば、第1の所定値P1は、タンクが大気圧且つGVW状態からCARB状態になった時に増加するエアサスペンション容量の空気が全てタンク15に入った際に到達する圧力値(例えば250kPa)以下に設定すればよい。このとき、エアサスペンション1,2は、静的な状態で予め決められた基準車高まで車高を下げるために、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cから前記圧力値の圧縮空気がタンク15側に排気される。これにより、タンク15、コンプレッサ3およびエアサスペンション1,2からなるクローズドタイプのエアサスペンション装置を実現することができる。
次に、このCARB(空荷)状態から再び乗員と荷物を乗せた載荷状態になると、車両重量の増加に伴ってエアサスペンション1,2のエア室1C,2Cが縮小されるので、車高が目標とする基準車高よりも低くなる。そこで、今度は車高を目標車高(基準車高)まで上昇させるため、コントローラ19は、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cを伸長(上昇)させるように、コンプレッサ3および給排制御弁11,12等を制御する。
この場合、コンプレッサ3のコンプレッサ本体4は、タンク15に貯めた圧縮空気(例えば、250kPaの圧縮空気)を吸気側4Aから吸込みつつ、吐出側4Bにより高い圧力の圧縮空気を発生させることができ、この圧縮空気をエアサスペンション1,2のエア室1C、2C内に迅速に供給することができる。換言すると、コンプレッサ3は、大気圧状態の空気ではなく、予め圧縮されたタンク15内の圧縮空気を吸い込んで、より高い圧力の圧縮空気を生成できるので、圧縮空気の昇圧時間を短くすることができ、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cを早期に伸長(上昇)させることができる。
例えば、車両のGVW(載荷)状態で、仮に乗車員と荷物の重量が想定した荷重よりも重い場合には、コンプレッサ3が圧縮空気をエアサスペンション1,2のエア室1C,2Cに供給し続ける途中で、タンク15内から圧縮空気が吸込まれて圧力(即ち、吸気側4Aの圧力)が大気圧まで低下することもあり得る。しかし、この場合には、吸気バルブ17を第2の所定値P2(例えば、0kPaとなる大気圧)以下で開弁するように設定することで、コンプレッサ3は圧縮に不足する空気を吸排ポート18から吸込んで、必要な吸込み空気量を確保することができる。
排気バルブ16の開弁圧となる第1の所定値P1と、吸気バルブ17の開弁圧となる第2の所定値P2(P2<P1)は、当該エアサスペンション装置が搭載される車両毎に適切に設定することが可能な値であり、初期設定すれば途中で変更する必要はなくなる。
かくして、第1の実施の形態によれば、空気を貯留するタンク15と、エアサスペンション1,2(エア室1C,2C)内の圧縮空気をタンク15に戻す戻し弁13と、コンプレッサ本体4の吸気側4Aとタンク15との間の圧縮空気が第1の所定値P1以上となるとタンク15内の圧縮空気を吸排ポート18から外部に排気する排気バルブ16と、コンプレッサ本体4の吸気側4Aとタンク15との間で空気の圧力が第1の所定値P1よりも低い第2の所定値P2(P2<P1)で開弁して吸排ポート18から大気(空気)が吸気されるのを許す吸気バルブ17とを備え、コンプレッサ3のコンプレッサ本体4は、タンク15内の圧縮空気を含む空気を圧縮する構成としている。
このため、第1の本実施の形態によるエアサスペンション装置は、圧縮された圧縮空気をタンク15に蓄えておくことができ、このタンク15に蓄えられた圧縮空気を、さらにコンプレッサ3で圧縮しつつ、エアサスペンション1,2に供給することができる閉回路(クローズドタイプ)を実現することができる。また、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cから排出される圧縮空気を大気中に放出することなく、戻し弁13を用いてタンク15に戻し貯留しておくことができ、圧縮空気を無駄に排気することなく、有効に活用することができる。
また、第1の本実施の形態によるエアサスペンション装置は、コンプレッサ本体4がタンク15内の圧縮空気を吸込んで圧縮するため、外部の大気から空気を吸込む頻度(即ち、吸気バルブ17の開弁頻度)を大幅に減らすことができ、大気中の粉塵や水分を吸込むことによる不具合の発生頻度を下げることができる。また、従来のクローズドタイプに比較して、特別に圧力センサ等を用いて圧力制御等を行うことは必須ではなく、複雑な制御をする必要がなく、全体の構成を簡素化することができる。
また、排気バルブ16の設定圧が任意に調整できるので、タンク15は、従来の高圧用タンクに比べて耐圧強度を必要とせず、軽量で低コストにすることができる。よって、圧縮空気を貯留するタンク15として、例えば車両に通常搭載されている予備のタイヤ(即ち、スペアタイヤ)を用いることができる。これにより、設置スペースの縮小化、製造コストの低減化を図ることができる。
従って、第1の実施の形態によれば、複雑な制御を必要としないクローズドタイプのシステムを提供することができる。また、給排制御弁11,12および戻し弁13として用いる電磁式切換弁の数量を、最小限とすることができる。しかも、タンク15は、その耐圧性能(高い圧力)を考慮しなくてもよく、予備のタイヤ(スペアタイヤ)により構成することができるため、低コストでクローズドシステムを実現することができる。予備のタイヤ(スペアタイヤ)をタンク15とする場合、排気バルブ16の設定圧は予備のタイヤの設定圧力とすることが望ましい。また、予備のタイヤを使用する際には、運転席でのスイッチ操作により、戻し弁13を開弁し、コンプレッサ本体4を所定時間作動することで、タイヤの使用圧とすることができる。よって、予備のタイヤの圧力を所望の値にすることができるので、通常使用時のタイヤがパンクした際、すぐにスペアタイヤの使用が可能である。
さらに、第1の実施の形態によれば、タンク15内の圧力が第1の所定値P1以下となる通常使用範囲では、クローズドシステムとしてエアサスペンション装置を稼働することができ、通常使用(即ち、高頻度使用)時の車高上昇時間を短縮することができる。そして、車高調整範囲が通常使用範囲よりも大きくなった場合にのみ、必要に応じて大気を吸気(吸気バルブ17を開弁)したり、圧縮空気を大気中に放出(排気バルブ16を開弁)したりすることができる。
次に、図4は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、排気バルブと吸気バルブとをコンプレッサの外部でタンクに接続して設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
ここで、第2の実施の形態で採用したコンプレッサ31は、第1の実施の形態で述べたコンプレッサ3と同様に、コンプレッサ本体4、電動モータ5、給排管路7、エアドライヤ8、バイパス管路9および戻し弁13を含んで構成されている。しかし、この場合のコンプレッサ31は、コンプレッサ本体4の吸気側4Aに接続された吸・排気管路32が、後述のタンク34に外部配管33を介して接続される構成としている点で、第1の実施の形態で述べた吸・排気管路6とは異なっている。
外部配管33は、第1の実施の形態で述べた外部配管14とほぼ同様に可撓性ホース等を用いて構成されている。但し、タンク34を車両から取外す必要がない場合には、外部配管33を金属等の剛性パイプで構成することができる。外部配管33は、吸・排気管路32の先端からコンプレッサ3の外部に向けて延び、その先端がタンク34に着脱可能に接続されている。
ここで、タンク34は、合成樹脂製のタンクを用いて形成されている。これにより、タンク34は、車両内の取付スペース(空間)等に応じてタンク形状を選択することができ、設計(製作)段階での形状変更を容易に行うことができる。そして、タンク34の容量は、第1の実施の形態で述べたタンク15とほぼ同様に構成されている。しかし、樹脂製のタンク34は、その容量をスペアタイヤよりも大きくしたり、小さくしたりすることができる。
タンク34には、外部配管33とは別に外気を吸込む(または、圧縮空気を排気する)ための吸・排気管35が接続され、吸・排気管35の途中には、排気バルブ36と吸気バルブ37とが互いに並列関係をなして設けられている。即ち、この場合の排気バルブ36と吸気バルブ37とは、コンプレッサ31の外部でタンク34に設けられている。吸・排気管35の先端側には、タンク34の外部で大気中に開口する吸排ポート38が設けられ、この吸排ポート38には、空気中の塵埃等を除去するフィルタ(図示せず)が設けられている。排気バルブ36と吸気バルブ37とは、タンク34と吸排ポート38との間で吸・排気管35の中間部位に並列接続して設けられている。
ここで、排気バルブ36は、第1の実施の形態で述べた排気バルブ16と同様な圧力設定式のチェック弁等により構成されている。そして、排気バルブ36は、タンク34内の圧力(圧縮空気の圧力)が第1の所定値P1(例えば、P1=250kPa)以上となると開弁し、タンク34内の圧縮空気が吸排ポート38から外部に排気されるのを許すものである。
吸気バルブ37は、第1の実施の形態で述べた吸気バルブ17と同様に所謂吸込弁として機能するチェック弁等により構成されている。そして、吸気バルブ37は、タンク34内の空気の圧力が第2の所定値P2(例えば、大気圧)以下となると開弁する。これにより、外部の空気(大気)は、吸排ポート38から吸・排気管35、タンク34を介してコンプレッサ本体4の吸気側4Aに吸込まれるように吸気される。
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、コンプレッサ31で圧縮された圧縮空気をタンク34に蓄えておくことができ、このタンク34に蓄えられた圧縮空気を、さらにコンプレッサ31で圧縮しつつ、エアサスペンション1,2に供給することができる閉回路(クローズドタイプ)を実現することができ、前記第1の実施の形態と同様な効果を奏する。
特に、第2の実施の形態によれば、コンプレッサ31の外部に排気バルブ36、吸気バルブ37と共に設けるタンク34を、樹脂製のタンクとして形成することにより、車両内でのタンク34の取付スペース(隙間)等に応じてタンク形状を選択することができ、設計(製作)段階での形状変更が容易なタンク34として構成することができる。
なお、第2の実施の形態では、コンプレッサ31の外部に設けるタンク34を樹脂製のタンクとする場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限らず、例えば第1の実施の形態のように、スペアタイヤを用いてタンクを構成してもよい。また、車両に搭載可能な気密性容器等の種々のタンクを用いることも可能である。
次に、図5は本発明の第3の実施の形態を示し、第3の実施の形態の特徴は、エアサスペンション内の圧縮空気を大気に急速に排気するための急速排気手段を設ける構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。ことができる。
ここで、第3の実施の形態で採用したコンプレッサ41は、第1の実施の形態で述べたコンプレッサ3と同様に、コンプレッサ本体4、電動モータ5、吸・排気管路6、給排管路7、エアドライヤ8、バイパス管路9および戻し弁13を含んで構成されている。しかし、この場合のコンプレッサ41は、急速排気手段としての排気弁42を追加して設けている点で、第1の実施の形態で述べたコンプレッサ3とは相違している。
急速排気手段としての排気弁42は、コンプレッサ本体4の吐出側4Bとエアドライヤ8との間に排気管路43を介して設けられ、排気管路43の先端(下流)側は、吸排ポート18の近傍で分岐管路6Cに接続されている。排気弁42は、戻し弁13とほぼ同様な電磁式切換弁により構成され、ソレノイド42Aと弁ばね42Bとパイロット管路42Cとを有している。排気弁42は、弁ばね42Bにより通常時は遮断位置(e)におかれ、コントローラ19からの制御信号によってソレノイド42Aが励磁されると、弁ばね42Bに抗して排気位置(f)に切換えられる。
即ち、排気弁42は、遮断位置(e)にあるときに、コンプレッサ本体4の吐出側4Bとエアドライヤ8との間が排気管路43を介して吸排ポート18に連通するのを遮断し、圧縮空気が排気管路43内に流通するのを阻止する。しかし、排気弁42が遮断位置(e)から排気位置(f)に切換わったときには、コンプレッサ本体4の吐出側4Bとエアドライヤ8との間が排気管路43を介して吸排ポート18に連通される。このため、給排管路7側の圧縮空気は、排気管路43を介して吸排ポート18から外気中に排出され、圧縮空気の急速排気が行われることになる。
例えば、車両の走行途中等で車高を急速に下げるような場合には、戻し弁13を遮断位置(c)に保持したままで、給排制御弁11,12を閉弁位置(a)から開弁位置(b)に切換えると共に、排気弁42を遮断位置(e)から排気位置(f)に切換えることにより、エアサスペンション1,2のエア室1C,2C内から圧縮空気を給排管路7、エアドライヤ8および排気管路43を介して吸排ポート18から大気中に急速排気することができる。この結果、エアサスペンション1,2のエア室1C,2Cを急速に縮小させ、車高を急速に下げることができる。
そして、このように車高を急速に下げるときにも、エアサスペンション1,2から排出された圧縮空気は、エアドライヤ8を通過(逆流)して排気管路43へと流れる。これにより、エアドライヤ8内に充填された乾燥剤から水分を除去することができ、乾燥剤を再生することができる。
かくして、このように構成される第3の実施の形態では、排気弁42による急速排気を行う場合に、先に戻し弁13を戻し位置(d)に切換え、一定時間経過後に戻し弁13を遮断位置(c)に復帰させると共に、排気弁42を遮断位置(e)から排気位置(f)に切換えることにより、急速排気を行うことができる。そして、戻し弁13を戻し位置(d)に切換えている間は、圧縮空気をタンク15に戻すことができ、次に車高を上げるときにタンク15内の圧縮空気を使用することが可能となる。
即ち、このような場合には、コンプレッサ41で圧縮された圧縮空気をタンク15に蓄えておくことができ、このタンク15に蓄えられた圧縮空気を、さらにコンプレッサ41で圧縮しつつ、エアサスペンション1,2に供給することができ、前記第1の実施の形態と同様な効果を奏する。
なお、前記第3の実施の形態では、排気弁42にリリーフ用のパイロット管路42Cを設け、排気弁42をリリーフ弁としても機能させる場合を例に挙げて説明した。しかし、この場合の排気弁42は、必ずしもリリーフ弁として作動する必要はなく、リリーフ機能を有さない電磁式切換弁を用いて排気弁を構成してもよい。即ち、コンプレッサ本体4の吐出側4Bの圧力が過剰圧になると、戻し弁13がリリーフ弁として、遮断位置(c)から戻し位置(d)に切換わり、このときの過剰圧をバイパス管路9を介してコンプレッサ本体4の吸気側4Aに逃がすことができる。
次に、図6は本発明の第4の実施の形態を示し、第4の実施の形態の特徴は、タンク内の圧縮空気が第1の所定値以上の圧力になると、これを外部に排気する排気バルブを三方弁により構成したことにある。なお、第4の実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
ここで、第4の実施の形態で採用したコンプレッサ51は、第1の実施の形態で述べたコンプレッサ3と同様に、コンプレッサ本体4、電動モータ5、給排管路7、エアドライヤ8、バイパス管路9および戻し弁13を含んで構成されている。しかし、この場合のコンプレッサ51は、吸・排気管路52と、排気バルブとしての三方弁53を備えている点で、第1の実施の形態で述べたコンプレッサ3とは相違している。
コンプレッサ51の吸・排気管路52は、外部配管14を介してタンク15に接続される第1の管路部52Aと、該第1の管路部52Aから分岐点52Bの位置で分岐し先端側が吸排ポート18に接続された第2の管路部52Cと、第1,第2の管路部52A,52Cに対し並列関係をなして吸排ポート18に接続された第3の管路部52Dとを含んで構成されている。第2の管路部52Cには、その途中部位に第1の実施の形態で述べた吸気バルブ17が設けられている。
排気バルブを構成する三方弁53は、コンプレッサ本体4の吸気側4Aに吸・排気管路52を介して設けられ、第1,第3の管路部52A,52Dのいずれか一方をコンプレッサ本体4の吸気側4Aに選択的に接続するものである。三方弁53は、例えば3ポート2位置の電磁式切換弁により構成され、ソレノイド53Aと弁ばね52Bとパイロット管路53Cとを有している。三方弁53は、弁ばね53Bにより通常時は第1位置(g)におかれ、コントローラ19からの制御信号によってソレノイド53Aが励磁されると、弁ばね53Bに抗して第2位置(h)に切換えられる。
即ち、三方弁53は、第1位置(g)にあるときに、コンプレッサ本体4の吸気側4Aを第1の管路部52A、外部配管14を介してタンク15に連通させ、タンク15に対する圧縮空気の排出、またはコンプレッサ51によるタンク15からの圧縮空気の吸込み(吸気)を許す。一方、三方弁53が第1位置(g)から第2位置(h)に切換わったときには、コンプレッサ本体4の吸気側4Aを吸・排気管路52の第3の管路部52Dを介して吸排ポート18に連通させる。
特に、三方弁53は、排気バルブとして作動するように弁ばね53Bの設定圧を、第1の実施の形態で述べた第1の所定値P1(例えば、P1=250kPa)に設定している。三方弁53は、パイロット管路53Cを有しているので、コンプレッサ本体4の吸気側4Aの圧力が弁ばね53Bの設定圧を越えると、ソレノイド53Aを励磁することなく消磁したままで、パイロット管路53Cからの圧力により弁ばね13Bの付勢力に抗して第1位置(g)から第2位置(h)に切換わる。
これにより、コンプレッサ本体4の吸気側4Aは、第3の管路部52D、吸排ポート18を介して外気に連通され、吸気側4Aの圧力が急速に低下する。しかし、吸気側4Aの圧力が弁ばね53Bの設定圧(第1の所定値P1)以下まで下がると、三方弁53は、弁ばね53Bにより第2位置(h)から再び第1位置(g)に戻される。
換言すると、三方弁53は、ソレノイド53Aを消磁したままで、パイロット管路53Cからの圧力により弁ばね13Bに抗して第1位置(g)から第2位置(h)に切換わることにより、タンク15内の圧縮空気(コンプレッサ本体4の吸気側4A)の圧力が、第1の所定値P1以上に高い圧力になるのを抑える。そして、吸気側4Aの圧力が弁ばね53Bの設定圧(第1の所定値P1)以下まで下がると、三方弁53は第2位置(h)から第1位置(g)に自動復帰し、タンク15内の圧力を第1の所定値P1以下の圧力に維持するように動作する。
かくして、このように構成される第4の実施の形態では、排気バルブを三方弁53とし、三方弁53を第1位置(g)に配置してエアサスペンション1,2内の圧縮空気をタンク15に戻した後、三方弁53を第2位置(h)に切換えることによりエアサスペンション1,2とタンク15との間を閉として遮断し、かつ三方弁53はエアサスペンション1,2内の圧縮空気を大気に開放する排気手段を有する構成としている。
このように、第4の実施の形態では、三方弁53が弁ばね53Bにより第1位置(g)に配置されている間は、コンプレッサ51で圧縮された圧縮空気(エアサスペンション1,2内の圧縮空気)をタンク15に蓄えておくことができ、このタンク15に蓄えられた圧縮空気を、さらにコンプレッサ51で圧縮しつつ、エアサスペンション1,2に供給することができる閉回路(クローズドタイプ)を実現することができ、前記第1の実施の形態と同様な効果を奏する。
特に、第4の実施の形態によれば、車高を下げるために、給排制御弁11,12を開弁位置(b)に切換えると共に、戻し弁13を戻し位置(d)に切換えた状態で、エアサスペンション1,2からの圧縮空気をバイパス管路9等を介してタンク15へと排気するときに、タンク15内の圧縮空気(コンプレッサ本体4の吸気側4A)の圧力が第1の所定値P1以上に高い圧力になると、三方弁53は、ソレノイド53Aを励磁することなく、消磁したままで第1位置(g)から第2位置(h)に切換わる。
これにより、タンク15内の圧力を第1の所定値P1以下の圧力に抑えることができる。そして、吸気側4Aの圧力が弁ばね53Bの設定圧(第1の所定値P1)以下まで下がると、三方弁53は第2位置(h)から第1位置(g)に自動復帰し、圧縮空気が第3の管路部52D側に無駄に排気されるのを防ぐことができる。
このように、第4の実施の形態によれば、ソレノイド53Aを励磁することなく消磁したままでも、三方弁53がパイロット管路53Cからの圧力により弁ばね13Bに抗して第2位置(h)に切換わり、排気バルブとして作動する。これにより、タンク15側の回路(第1の管路部52A)を遮断し、タンク15内の圧力が大気に開放されるのを抑えながら、エアサスペンション1,2内の圧縮空気を大気へと排出することができる。
また、三方弁53による急速排気を行う場合には、コントローラ19からの制御信号で戻し弁13を戻し位置(d)に切換えると共に、ソレノイド53Aを励磁して三方弁53を第2位置(h)へと切換えれば、コンプレッサ本体4の吸気側4Aを第3の管路部52Dを介して吸排ポート18に連通させ、エアサスペンション1,2内の圧縮空気を大気へと排出する急速排気を行うことができる。
本発明の一実施形態によれば、排気バルブが開弁する前記第1の所定値は、タンクが大気圧且つGVW状態からCARB状態になった時に増加するエアサスペンション容量の空気が全てタンク15に入った際に到達する圧力値(例えば250kPa)以下に設定すればよい。これにより、タンク、コンプレッサおよびエアサスペンションからなるクローズドタイプのエアサスペンション装置を実現することができる。
また、本発明の一実施形態によれば、前記排気バルブは、前記コンプレッサに設けられる構成としている。これにより、タンク内の圧縮空気が前記第1の所定値以上の圧力となると開弁する排気バルブをコンプレッサに設けることができる。一方、排気バルブはタンクに設ける構成としてもよい。この場合には、コンプレッサの外部に排気バルブを設けることができ、コンプレッサの構成を簡素化することができる。
また、本発明の一実施形態によれば、エアサスペンション内の圧縮空気を一時的にタンクに戻した後、エアサスペンションとタンクとの間を閉として遮断し、かつ前記エアサスペンション内の圧縮空気を大気に開放する急速排気手段を有する構成としている。これにより、エアサスペンションからの急速排気を行う場合に、先に戻し弁を戻し位置に切換え、一定時間経過後に戻し弁を遮断位置に復帰させると共に、急速排気手段を排気位置に切換えることによって、急速排気を行うことができる。そして、戻し弁を戻し位置に切換えている間は、圧縮空気をタンクに戻すことができ、次に車高を上げるときにタンク内の圧縮空気を使用することが可能となる。
また、本発明の一実施形態によれば、前記排気バルブを三方弁とし、前記エアサスペンション内の圧縮空気を前記タンクに戻した後、前記エアサスペンションと前記タンクとの間を閉とし、かつ前記エアサスペンション内の圧縮空気を大気に開放する排気手段を有する構成としている。これにより、車高を下げるためエアサスペンションからの圧縮空気をタンクに向けて排気するときに、タンク内の圧縮空気の圧力が第1の所定値以上に高い圧力になると、排気バルブとして三方弁は、ソレノイドを励磁することなく消磁したままで、前記エアサスペンション内の圧縮空気を大気に開放する位置に切換わる構成とすることができる。
さらに、本発明の一実施形態によれば、従来の高圧タンクに比べて耐圧強度を必要とせず、軽量で低コストにすることができる。これによって設置スペースの縮小化、製造コストの低減化を図ることができる。また、前記タンクとしてスペアタイヤを用いることもできる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上述した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
本願は、2014年11月10日出願の日本特許出願番号2014−228203号に基づく優先権を主張する。2014年11月10日出願の日本特許出願番号2014−228203号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書を含む全ての開示内容は、参照により全体として本願に組み込まれる。