JPWO2016056560A1 - 液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents

液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

本発明は、塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性に優れ、高温高湿環境下でも液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。本発明は、硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、マイカとを含有する液晶滴下工法用シール剤である。

Description

本発明は、塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性に優れ、高温高湿環境下でも液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法は、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されているような光硬化性樹脂、光重合開始剤、熱硬化性樹脂、及び、熱硬化剤を含有する光、熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。小型化の手法として、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
このような狭額縁設計に伴い、液晶表示素子において、画素領域からシール剤までの距離が近くなっており、シール剤によって液晶が汚染されることによる表示むらが生じやすくなっている。
また、タブレット端末や携帯端末の普及に伴い、液晶表示素子には高温高湿環境下での駆動等における耐湿信頼性がますます要求されており、シール剤には外部からの水の浸入を防止する性能が一層求められている。液晶表示素子の耐湿信頼性を向上させるためには、シール剤と基板等との界面からの水の浸入を防ぐためにシール剤と基板等との接着性を向上させ、かつ、シール剤のバルクから進入する水を防ぐために、シール剤の透湿防止性を向上させる必要性がある。例えば、特許文献3に開示されているように、タルクのような無機充填剤をシール剤に配合する方法を用いた場合、シール剤の透湿防止性を向上させることができる。しかしながら、このような無機充填剤を配合した場合、得られるシール剤の接着性が低下したり、透湿防止性を向上させるために多量に配合することで粘度が上昇し、塗布性が低下したりする等の問題があった。
特開2001−133794号公報 国際公開第02/092718号 特開2008−40015号公報
本発明は、塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性に優れ、高温高湿環境下でも液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、マイカとを含有する液晶滴下工法用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、シール剤の透湿防止性を向上させる無機充填剤としてタルク等を配合した場合にシール剤の接着性や塗布性が低下する原因が、タルク等の表面に存在する水酸基による水素結合により、タルク等が凝集しやすくなっていることであると考えた。
そこで本発明者は、無機充填剤としてマイカを配合することにより、塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性に優れ、高温高湿環境下でも液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、マイカを含有する。上記マイカを含有することにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、優れた塗布性及び接着性を維持したまま、硬化物の透湿防止性に優れるものとなる。
上記マイカは、フィロケイ酸塩鉱物雲母族に属する鉱物であって、薄くはがれるのが特徴である。多くは六角板状の結晶であり、例えば、金雲母、白雲母、セリサイト等の天然マイカや、フッ素金雲母、カリウム四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、ナトリウムテニオライト、リチウムテニオライト等の合成マイカが挙げられる。なかでも、接着性や塗布性の低下を抑制する観点から合成マイカが好ましい。
上記合成マイカを製造する方法としては、例えば、タルクとケイフッ化カリウム等のアルカリ金属ケイフッ化物とを固相反応させる方法(固相反応法)、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等と、ケイフッ化カリウム等のアルカリ金属ケイフッ化物とを加熱して溶かし、冷却して結晶化させる方法(溶融合成法)等が挙げられる。
上記固相反応法により合成マイカを製造する場合、原料となるタルクは、精製処理や分級処理等により不純物を除去したものであることが好ましい。
上記マイカは、透湿防止性や接着性の観点から、アスペクト比が2以上のものの割合が85重量%以上であることが好ましい。上記マイカにおいて、アスペクト比が2以上のものの割合が85重量%未満であると、液晶滴下工法用シール剤の塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性を向上させる効果が充分に発揮されないことがある。上記マイカにおける、アスペクト比が2以上のものの割合のより好ましい下限は90重量%、更に好ましい下限は95重量%であり、アスペクト比が2以上のもののみからなることが特に好ましい。
なお、本明細書において上記アスペクト比は、走査型電子顕微鏡を用いて、5000倍の倍率で観察した粒子の長径と短径の比率(長径/短径)で規定され、上記マイカにおける、アスペクト比が2以上のものの割合は、40個の粒子のアスペクト比を測定することにより求めることができる。また、上記走査型電子顕微鏡としては、S−4300(日立ハイテクノロジーズ社製)等を用いることができる。
上記マイカにおいて、アスペクト比が2以上のものの割合を85重量%以上にする方法としては、例えば、アスペクト比が2以上のものの割合が85重量%未満のマイカを分級する方法等が挙げられる。具体的には例えば、強制渦中の粒子を遠心力と流体抗力の差によって分級を行う超微粉風力分級機や、旋回気流分級機、精密空気分級機等の分級機を用いる方法や、揺動式ふるい振とう機(伊藤製作所社製、「SS−S−230」)及び網目が5〜10μmのJIS規格の篩を使用して微粒子を除去する方法や、電磁振動式篩分器(例えば、伊藤製作所社製、「MS−200」)を使用して微粒子を除去する方法や、音波式篩分器(例えば、伊藤製作所社製、「MSS−75」)を使用して微粒子を除去する方法等が挙げられる。
上記マイカの平均粒子径の好ましい下限は0.05μm、好ましい上限は10μmである。上記マイカの平均粒子径が0.05μm未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤が塗布性に劣るものとなることがある。上記マイカの平均粒子径が10μmを超えると、ギャップ不良により液晶表示素子に表示むらが生じることがある。上記マイカの平均粒子径のより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は5.0μm、更に好ましい下限は0.3μm、更に好ましい上限は3.0μmである。
なお、本明細書において上記「マイカの平均粒子径」は、走査型電子顕微鏡を用いて、5000倍の倍率で観察した粒子10個の粒子径(長径)の平均値を意味する。
上記マイカのうち市販されているものとしては、例えば、MK−100、MK−200、MK−300(いずれもコープケミカル社製)等が挙げられる。
上記マイカは、表面処理剤によって表面処理されたものであってもよい。上記表面処理を行ったマイカはシール剤中の分散性に優れるものとなり、得られるシール剤が接着性や透湿防止性により優れるものとなる。
上記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、脂肪酸、チタネートカップリング剤等が挙げられる。なかでも、得られるシール剤の接着性を向上させる効果に優れることから、シランカップリング剤が好ましく、エポキシ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
上記マイカの表面処理剤として用いるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記シランカップリング剤のうち市販されているものとしては、例えば、KBM−303、KBM−403、KBM−502、KBM−602、KBM−603(いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。
上記マイカの表面処理剤として用いる脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
上記マイカの表面処理剤として用いるチタネートカップリング剤としては、例えば、トリブトキシチタンステアレート、イソプロポキシチタントリイソステアレート、モノ−i−プロポキシチタントリ−i−ステアレート等のチタンアシレートや、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシドや、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート等が挙げられる。
上記チタネートカップリング剤のうち市販されているものとしては、例えば、TAA、TOG、A−1、TOT、B−1(いずれも日本曹達社製)等が挙げられる。
上記表面処理としては、例えば、原料となる未処理のマイカを流動させた状態で、水と表面処理剤との混合液を噴霧させる方法や、有機溶媒中に未処理のマイカを加え、更に、水と表面処理剤とを加えて混合した後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法等が挙げられる。
上記マイカの含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が30重量部である。上記マイカの含有量が0.5重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の硬化物の透湿防止性を向上させる効果が充分に発揮されないことがある。上記マイカの含有量が30重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が塗布性や接着性に劣るものとなることがある。上記マイカの含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は20重量部、更に好ましい下限は2重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記マイカ以外のその他の充填剤を含有してもよい。
上記その他の充填剤としては、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、窒化アルミニウム等のその他の無機充填剤や、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機充填剤が挙げられる。
また、液晶汚染及び液晶のシール剤への差し込みを防止する観点から、その他の充填剤として液晶表示素子のセルギャップよりも大きいシリコーン粒子を含有してもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、主骨格が炭素原子からなることが好ましい。
また、上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂を含有することが好ましい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、速やかに硬化させることができるため、硬化性樹脂として(メタ)アクリル樹脂を含有し、かつ、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。
上記硬化性樹脂は、上記(メタ)アクリル樹脂としてエポキシ(メタ)アクリレートを含有することがより好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ樹脂中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを意味する。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1001、jER1004(いずれも三菱化学社製)、エピクロン850−S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004、jER YL983U(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jERYX−4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−50TE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−80DE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンN−670−EXP−S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンHP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN−165S(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱化学社製)、エピクロン430(DIC社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX−1542(新日鉄住金化学社製)、エピクロン726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR−450、YR−207(いずれも新日鉄住金化学社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jERYL−7000(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも新日鉄住金化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱化学社製)、EXA−7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYLRDX63182(いずれもダイセル・オルネクス社製)、EA−1010、EA−1020、EA−5323、EA−5520、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレート以外の他の(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られる(メタ)アクリル酸エステル化合物、イソシアネート化合物に水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られる(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネート化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL8803、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL1290、EBECRYL5129、EBECRYL4842、EBECRYL210、EBECRYL4827、EBECRYL6700、EBECRYL220、EBECRYL2220(いずれもダイセル・オルネクス社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(いずれも共栄社化学社製)等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル樹脂は、液晶への悪影響を抑える点で、−OH基、−NH−基、−NH基等の水素結合性のユニットを有するものが好ましい。
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、反応性の高さから分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜3個有するものが好ましい。
上記硬化性樹脂は、得られる液晶滴下工法用シール剤の接着性を向上させることを目的として、エポキシ樹脂を含有してもよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ樹脂や、部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する樹脂を意味し、例えば、2つ以上のエポキシ基を有する樹脂の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂のうち、市販されているものとしては、例えば、KRM8287(ダイセル・オルネクス社製)等が挙げられる。
上記硬化性樹脂として上記エポキシ樹脂を含有する場合、上記硬化性樹脂全体における(メタ)アクリロイル基とエポキシ基との合計量に対するエポキシ基の比率の好ましい上限は50モル%である。上記エポキシ基の比率が50モル%を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の液晶に対する溶解性が高くなって液晶汚染を引き起こし、得られる液晶表示素子が表示性能に劣るものとなることがある。上記エポキシ基の比率のより好ましい上限は20モル%である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤を含有する。
なお、本明細書において、上記「ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤を含有する」とは、ラジカル重合開始剤又は熱硬化剤、或いは、ラジカル重合開始剤及び熱硬化剤を含有することを意味する。
上記ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等を好適に用いることができる。
また、上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア907、イルガキュア2959、イルガキュアOXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。なかでも、吸収波長域が広いことから、イルガキュア651、イルガキュア907、ベンゾインイソプロピルエーテル、及び、ルシリンTPOが好適である。これらの光ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤であることが好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ開始剤とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
また、上記高分子アゾ開始剤は、通常、光照射によっても分解してラジカルを発生することから、上記光ラジカル重合開始剤としても機能し得る。
上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量が1000未満であると、高分子アゾ開始剤が液晶に悪影響を与えることがある。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量が30万を超えると、硬化性樹脂への混合が困難になることがある。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
上記高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。このような高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられ、具体的には例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
また、高分子アゾ開始剤以外のアゾ開始剤の例としては、例えば、V−65、V−501、V−601(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が30重量部である。上記ラジカル重合開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の重合が充分に進行しないことがある。上記ラジカル重合開始剤の含有量が30重量部を超えると、未反応のラジカル重合開始剤が多く残り、得られる液晶滴下工法用シール剤の耐候性が悪くなることがある。上記ラジカル重合開始剤の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は10重量部であり、更に好ましい上限は5重量部である。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられ、市販されているものとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアUDH(いずれも味の素ファインテクノ社製)、SDH、IDH、ADH(いずれも大塚化学社製)、MDH(日本ファインケム社製)等が挙げられる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤としては、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができることから、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
上記チタンブラックは、波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶滴下工法用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。従って、上記光ラジカル重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370〜450nm)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の液晶滴下工法用シール剤の光硬化性をより増大させることができる。また一方で、本発明の液晶滴下工法用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記遮光剤は、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記遮光剤の遮光性は高ければ高いほどよく、上記遮光剤のOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶滴下工法用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N(いずれも三菱マテリアル社製)、ティラックD(赤穂化成社製)等が挙げられる。
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5μmである。上記遮光剤の一次粒子径が1nm未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度やチクソトロピーが大きく増大してしまい、作業性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径が5μmを超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の基板への塗布性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
上記遮光剤の含有量は、本発明の液晶滴下工法用シール剤全体に対して、好ましい下限が5重量%、好ましい上限が80重量%である。上記遮光剤の含有量が5重量%未満であると、充分な遮光性が得られないことがある。上記遮光剤の含有量が80重量%を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の基板に対する接着性や硬化後の強度が低下したり、描画性が低下したりすることがある。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量%、より好ましい上限は70重量%であり、更に好ましい下限は30重量%、更に好ましい上限は60重量%である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサー、3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素、イソシアヌルカルボン酸等の硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、エラストマー粒子、アクリル粒子、コアシェル粒子等の有機微粒子、その他のカップリング剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、マイカと、必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤に導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の液晶滴下工法用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては、例えば、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤又は本発明の上下導通材料を有する液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、例えば、ITO薄膜等の電極付きのガラス基板やポリエチレンテレフタレート基板等の2枚の透明基板の一方に、本発明の液晶滴下工法用シール剤等をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する工程、本発明の液晶滴下工法用シール剤等が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに別の基板を重ね合わせる工程、シールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化したシール剤を加熱して本硬化させる工程を有する方法等が挙げられる。
本発明によれば、塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性に優れ、高温高湿環境下でも液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶滴下工法用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成マイカAの製造)
平均粒子径1.5μmの薄片状タルク80重量部とケイフッ化カリウム20重量部とを混合して磁性ルツボに入れ、電気炉にて900℃で1時間加熱し、合成マイカAを得た。得られた合成マイカAを走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「S−4300」)で観察し、平均粒子径及びアスペクト比を測定したところ、合成マイカAの平均粒子径は1.5μmであり、合成マイカA中におけるアスペクト比2以上のものの割合は97重量%であった。
(合成マイカAの表面処理)
上記「(合成マイカAの製造)」により得られた合成マイカAとエタノールとを、撹拌機を備えた2Lの反応容器中に入れ、該反応容器を恒温槽にセットし、混合液を撹拌しながら25℃に加温した。次いで、該混合液を撹拌したまま、表面処理剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−403」)を45分かけて連続的に添加した後、50℃に昇温し、一晩撹拌した。その後、ろ過し、130℃で一晩乾燥することにより、エポキシ表面処理合成マイカAを得た。
得られたエポキシ表面処理合成マイカAについて、未処理の合成マイカAと同様にして測定した平均粒子径は1.5μmであり、エポキシ表面処理合成マイカA中におけるアスペクト比2以上のものの割合は97重量%であった。
(合成マイカBの製造)
平均粒子径0.7μmの薄片状タルク80重量部とケイフッ化カリウム20重量部とを混合して磁性ルツボに入れ、電気炉にて900℃で1時間加熱し、合成マイカBを得た。得られた合成マイカBについて、未処理の合成マイカAと同様にして測定した平均粒子径は0.7μmであり、合成マイカB中におけるアスペクト比2以上のものの割合は97重量%であった。
(合成マイカBの表面処理)
上記「(合成マイカBの製造)」により得られた合成マイカBとエタノールとを、撹拌機を備えた2Lの反応容器中に入れ、該反応容器を恒温槽にセットし、混合液を撹拌しながら25℃に加温した。次いで、該混合液を撹拌したまま、表面処理剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−503」)を45分かけて連続的に添加した後、50℃に昇温し、一晩撹拌した。その後、ろ過し、130℃で一晩乾燥し、メタクリル表面処理合成マイカBを得た。
得られたメタクリル表面処理合成マイカBについて、未処理の合成マイカAと同様にして測定したメタクリル表面処理合成マイカBの平均粒子径は0.7μmであり、メタクリル表面処理合成マイカB中におけるアスペクト比2以上のものの割合は97重量%であった。
(合成マイカCの製造)
平均粒子径1.0μmの薄片状タルク80重量部とケイフッ化カリウム20重量部とを混合して磁性ルツボに入れ、電気炉にて900℃で1時間加熱し、合成マイカCを得た。得られた合成マイカCについて、未処理の合成マイカAと同様にして測定した平均粒子径は1.0μmであり、合成マイカC中におけるアスペクト比2以上のものの割合は87.5重量%であった。
(実施例1〜17、比較例1〜3)
表1〜3に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌機(シンキー社製「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜17、比較例1〜3の液晶滴下工法用シール剤を調製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたシール剤について以下の評価を行った。結果を表1〜3に示した。
(塗布性)
ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いて、実施例及び比較例で得られた各シール剤をガラス基板上に塗布した際の塗布性を評価した。ディスペンスノズルを400μm、ノズルギャップを30μm、塗出圧を300kPaに固定して塗布したとき、かすれなく塗布できた場合「○」、かすれが生じた場合「△」、全く塗布できなかった場合「×」として評価した。
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各シール剤に、シリカスペーサー(積水化学工業社製、「SI−H055」)を1重量%配合し、2枚のITO膜付きアルカリガラス試験片(30×40mm)のうち一方に微小滴下し、これにもう一方のガラス試験片を十字状に貼り合わせ、シール剤を硬化(実施例1〜8、13〜17、及び、比較例1〜3で得られた各シール剤については、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって硬化、実施例9で得られたシール剤については、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化、実施例10〜12で得られた各シール剤については、120℃で60分加熱することによって硬化)させることによって接着試験片を得た。これを上下に配したチャックにて引っ張り試験(5mm/sec)を行った。得られた測定値(kgf)をシール塗布断面積(cm)で除した値が60kgf/cm以上であった場合を「○」、30kgf/cm以上60kgf/cm未満であった場合を「△」、30kgf/cm未満であった場合を「×」として評価した。
(透湿防止性)
実施例及び比較例で得られた各シール剤を、平滑な離型フィルム状にコーターで厚さ200〜300μmに塗布した後、シール剤を硬化(実施例1〜8、13〜17、及び、比較例1〜3で得られた各シール剤については、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって硬化、実施例9で得られたシール剤については、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化、実施例10〜12で得られた各シール剤については、120℃で60分加熱することによって硬化)させることによって透湿度測定用硬化フィルムを得た。JIS Z 0208の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じた方法で透湿度試験用カップを作製し、得られた透湿度測定用硬化フィルムを取り付け、温度80℃湿度90%RHの恒温恒湿オーブンに投入して透湿度を測定した。得られた透湿度の値が50g/m・24hr未満であった場合を「○」、50g/m・24hr以上70g/m・24hr未満であった場合を「△」、70g/m・24hr以上であった場合を「×」として透湿防止性を評価した。
(高温高湿下で保管した後に駆動した液晶表示素子の色むら評価)
実施例及び比較例で得られた各シール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行った。次いで、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いてITO薄膜付きの透明電極基板に長方形の枠を描く様にシール剤を塗布した。続いて、TN液晶(チッソ社製、「JC−5001LA」)の微小滴を液晶滴下装置にて滴下塗布し、他方の透明基板を、真空貼り合わせ装置にて5Paの減圧下にて貼り合わせた。貼り合わせ後のセル中のシール剤を硬化(実施例1〜8、13〜17、及び、比較例1〜3で得られた各シール剤については、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって硬化、実施例9で得られたシール剤については、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射することによって硬化、実施例10〜12で得られた各シール剤については、120℃で60分加熱することによって硬化)させ、液晶表示素子を各シール剤につき5枚ずつ作製した。得られた液晶表示素子を温度80℃、湿度90%RHの環境下にて36時間保管した後、AC3.5Vの電圧駆動をさせ、中間調のシール剤周辺を目視で観察した。シール剤部周辺に色むらが全く見られなかった場合を「○」、少し薄い色むらが見えた場合を「△」、はっきりとした濃い色むらがあった場合を「×」として評価した。
Figure 2016056560
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本発明によれば、塗布性、接着性、及び、硬化物の透湿防止性に優れ、高温高湿環境下でも液晶汚染性の低い液晶滴下工法用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶滴下工法用シール剤を用いて製造される上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。

Claims (8)

  1. 硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、マイカとを含有することを特徴とする液晶滴下工法用シール剤。
  2. マイカは、合成マイカであることを特徴とする請求項1記載の液晶滴下工法用シール剤。
  3. マイカは、表面処理剤によって表面処理されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶滴下工法用シール剤。
  4. 表面処理剤は、シランカップリング剤であることを特徴とする請求項3記載の液晶滴下工法用シール剤。
  5. マイカは、アスペクト比が2以上のものを85重量%以上含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶滴下工法用シール剤。
  6. 遮光剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の液晶滴下工法用シール剤。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の液晶滴下工法用シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
  8. 請求項1、2、3、4、5若しくは6記載の液晶滴下工法用シール剤又は請求項7記載の上下導通材料を有することを特徴とする液晶表示素子。
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