JP5827752B2 - 液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents

液晶滴下工法用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、接着性に優れ、かつ、硬化物の透湿性が低い液晶滴下工法用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
近年、液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、硬化性樹脂と光重合開始剤と熱硬化剤とを含有する光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うことで極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
タブレット端末や携帯端末の普及に伴い、液晶表示素子には高温高湿環境下での駆動等における耐湿信頼性がますます要求されており、シール剤には外部からの水の浸入を防止する性能が一層求められている。液晶表示素子の耐湿信頼性を向上させるためには、シール剤と基板等との接着性を向上させ、かつ、シール剤の硬化物の透湿性を低くする必要性がある。しかしながら、シール剤において、高い接着性と低い透湿性とを両立させることは困難であった。
特開2001−133794号公報 国際公開第02/092718号
本発明は、接着性に優れ、かつ、硬化物の透湿性が低い液晶滴下工法用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有する液晶滴下工法用シール剤であって、上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル樹脂とを含有し、上記硬化性樹脂100重量部中における上記エポキシ樹脂の含有量が5〜70重量部であり、かつ、上記エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂を20重量%以上含有する液晶滴下工法用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、硬化性樹脂としてジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂を特定量配合することにより、接着性に優れ、かつ、硬化物の透湿性が低い液晶滴下工法用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する。
上記エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂を含有する。上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂を含有することにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、高い接着性と低い透湿性とを両立させることができる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には例えば、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005827752
式(1)中、nは、1〜5であり、1であることが好ましい。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、HP−7200、HP−7200L(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂に加えて、その他のエポキシ樹脂を含有してもよい。
上記その他のエポキシ樹脂を含有する場合、上記エポキシ樹脂中における上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量の下限は20重量%である。上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量が20重量%未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤に高い接着性と低い透湿性とを両立させる効果が充分に発揮されない。上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量のより好ましい下限は25重量%である。上記エポキシ樹脂は、上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のみからなることが好ましい。
また、硬化性樹脂100重量部中における上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量は、70重量部未満であることが好ましい。上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量が70重量部以上であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度が高くなりすぎ、塗布性が悪化することがある。上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量は30重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることが更に好ましい。
上記その他のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型以外のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で使用されてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER 828、jER 1004(いずれも三菱化学社製)、EPICLON 850CRP(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER 806、jER 4004、jER YL983U(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE−810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA7015(DIC社製)、jER YX8000(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX−201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX−4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−50TE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV−80DE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型以外のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP−4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP4032、EPICLON EXA−4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N−770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N−670−EXP−S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC−3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN−165S(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER 630(三菱化学社製)、EPICLON 430(DIC社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX−1542(新日鉄住金化学社製)、EPICLON 726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR−450、YR−207(いずれも新日鉄住金化学社製)、エポリードPB(ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER YL−7000(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも新日鉄住金化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER 1031、jER 1032(いずれも三菱化学社製)、EXA−7120(DIC社製)等が挙げられる。
また、上記その他のエポキシ樹脂として、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する樹脂を含有してもよい。このような化合物としては、例えば、2以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂は、後述する(メタ)アクリル樹脂でなく、エポキシ樹脂として扱う。
なお、上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を用いてもよい。
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂としては、具体的には例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、「N−770」)190gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加えて均一な溶液とし、得られた溶液にアクリル酸35gを還流撹拌下にて2時間滴下した後、更に還流撹拌を6時間行い、次に、トルエンを除去することによって50モル%のエポキシ基がアクリル酸と反応した部分アクリル変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂を得ることができる(この場合50%部分アクリル変性されている)。
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、UVACURE1561(ダイセル・オルネクス社製)が挙げられる。
上記硬化性樹脂100重量部中における上記エポキシ樹脂の含有量の下限は5重量部、上限は70重量部である。上記エポキシ樹脂の含有量が5重量部未満であると、上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量が少なくなるため、得られる液晶滴下工法用シール剤が、高い接着性と低い透湿性とを両立させることができなくなる。上記エポキシ樹脂の含有量が70重量部を超えると、液晶汚染が生じやすくなる。上記エポキシ樹脂の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は65重量部、より好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は60重量部である。
また、上記硬化性樹脂100重量部中における、上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を除くエポキシ樹脂の含有量の好ましい下限は3重量部、好ましい上限は59重量部である。上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を除くエポキシ樹脂の含有量が3重量部未満であると、上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量が少なくなるため、得られる液晶滴下工法用シール剤が、高い接着性と低い透湿性とを両立できなくなることがある。上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を除くエポキシ樹脂の含有量が59重量部を超えると、液晶汚染が生じることがある。上記エポキシ樹脂の含有量のより好ましい下限は5重量部、好ましい上限は30重量部、より好ましい上限は20重量部である。
上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂を含有する。
上記(メタ)アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において上記(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂を意味し、上記(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。上記エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ化合物の全てのエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応したものを意味する。
なかでも、上記(メタ)アクリル樹脂は、上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の全てのエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応してなるジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
上記エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、上述したエポキシ樹脂と同様のものを用いることができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には例えば、レゾルシノール型エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製、「EX−201」)360重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸210重量部を、90℃で空気を送り込みながら還流攪拌し、5時間反応させることによってレゾルシノール型エポキシアクリレートを得ることができる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYL RDX63182(いずれもダイセル・オルネクス社製)、EA−1010、EA−1020、EA−5323、EA−5520、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となる水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品やエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、具体的には例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合禁止剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート51重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL8803、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL1290、EBECRYL5129、EBECRYL4842、EBECRYL210、EBECRYL4827、EBECRYL6700、EBECRYL220、EBECRYL2220(いずれもダイセルユーシービー社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I(いずれも共栄社化学社製)等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル樹脂は、液晶への悪影響を抑える点で、−OH基、−NH−基、−NH基等の水素結合性のユニットを有するものが好ましく、合成の容易さ等からエポキシ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、反応性の高さから分子中に(メタ)アクリロイル基を2〜3個有するものが好ましい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤を含有する。
上記ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン系化合物等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACUREOXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF Japan社製)、NCI−930(ADEKA社製)、SPEEDCURE EMK(DKSHジャパン社製)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤が好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ開始剤とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量が1000未満であると、高分子アゾ開始剤が液晶に悪影響を与えることがある。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量が30万を超えると、硬化性樹脂への混合が困難になることがある。上記高分子アゾ開始剤の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記高分子アゾ開始剤としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。このような高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記ラジカル重合開始剤の含有量が0.01重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤を充分に硬化させることができないことがある。上記ラジカル重合開始剤の含有量が10重量部を超えると、貯蔵安定性が低下することがある。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられ、市販されているものとしては、例えば、SDH(日本ファインケム社製)、ADH(大塚化学社製)、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部未満であると、本発明の液晶滴下工法用シール剤を充分に硬化させることができないことがある。上記熱硬化剤の含有量が50重量部を超えると、本発明の液晶滴下工法用シール剤の粘度が高くなり、塗工性が悪化することがある。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、硬化促進剤を含有することが好ましい。上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂は、充分に硬化させるためには比較的高い温度で加熱する必要があるが、上記硬化促進剤を用いることにより、高温で加熱しなくても充分に硬化させることができ、高い接着性と低い透湿性を両立させる効果が充分に発揮される。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、チオール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、硬化速度が速くかつ室温における粘度上昇率が低いことから、イミダゾール系硬化促進剤及び/又はチオール系硬化促進剤を含有することが好ましい。
上記イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールや、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記チオール系硬化促進剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールエタントリスチオグリコレート等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記硬化促進剤の含有量が1重量部未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤が充分に硬化しなかったり、硬化させるために高温での加熱が必要となったりすることがある。上記硬化促進剤の含有量が10重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が接着性に劣るものとなることがある。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等を目的として、更にフィラーを含有してもよい。
上記フィラーとしては、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土、窒化アルミニウム等の無機フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機フィラーが挙げられる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤100重量部中における上記フィラーの含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は70重量部である。上記フィラーの含有量が5重量部未満であると、接着性の改善等の効果が充分に発揮されないことがある。上記フィラーの含有量が70重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度が高くなりすぎ、塗工性が悪化することがある。上記フィラーの含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は60重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、シランカップリング剤を含有してもよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は20重量部である。上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部未満であると、シランカップリング剤を配合することによる効果が充分に発揮されないことがある。上記シランカップリング剤の含有量が20重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤が液晶汚染を引き起こすことがある。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は10重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
上記チタンブラックは、波長300〜800nmの光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370〜450nmの光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶滴下工法用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。従って、上記光ラジカル重合開始剤や上記光カチオン重合開始剤として、上記チタンブラックの透過率の高くなる波長(370〜450nm)の光によって反応を開始可能なものを用いることで、本発明の液晶滴下工法用シール剤の光硬化性をより増大させることができる。また一方で、本発明の液晶滴下工法用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶滴下工法用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N(いずれも三菱マテリアル社製)、ティラックD(赤穂化成社製)等が挙げられる。
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5μmである。上記遮光剤の一次粒子径が1nm未満であると、得られる液晶滴下工法用シール剤の粘度やチクソトロピーが大きく増大してしまい、作業性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径が5μmを超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の基板への塗布性が悪くなることがある。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
本発明の液晶滴下工法用シール剤100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量が5重量部未満であると、充分な遮光性が得られないことがある。上記遮光剤の含有量が80重量部を超えると、得られる液晶滴下工法用シール剤の基板に対する密着性や硬化後の強度が低下したり、描画性が低下したりすることがある。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部であり、更に好ましい下限は30重量部、更に好ましい上限は60重量部である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、チクソ性を調整する揺変剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサー、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤等のその他の公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の液晶滴下工法用シール剤を製造する方法としては、例えば、硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤と、必要に応じて添加されるシランカップリング剤等を、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような上下導通材料を用いれば、電極間を確実に導電接続することができる。
本発明の液晶滴下工法用シール剤と、導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては、例えば、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明の液晶滴下工法用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、例えば、ITO薄膜等を有する2枚の基板の一方に、本発明の液晶滴下工法用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布し、長方形状のシールパターンを形成する工程、液晶の微小滴をシールパターンの枠内全面に滴下塗布し、真空下で他方の基板を重ね合わせる工程、本発明の液晶滴下工法用シール剤に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を有する方法等が挙げられる。
本発明によれば、接着性に優れ、かつ、硬化物の透湿性が低い液晶滴下工法用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
硬化性樹脂としてジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON HP−7200」)5重量部、(メタ)アクリル樹脂としてビスフェノールA型エポキシメタクリレート95重量部、光ラジカル重合開始剤としてジフェニル(2,4,6−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASF Japan社製、「ルシリンTPO」)1.5重量部、熱硬化剤としてマロン酸ジヒドラジド(日本ファインケム社製、「MDH」)1.1重量部、硬化促進剤として2−ウンデシルイミダゾール0.2重量部、フィラーとしてタルク(日本タルク社製、「ナノエースD−600F」)10重量部、及び、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、「S510」)1.5重量部を、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合させることにより実施例1の液晶滴下工法用シール剤を調製した。
実施例2〜4、9〜15、比較例1〜13
表1〜3に記載された配合比の各材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4、9〜15、比較例1〜13の液晶滴下工法用シール剤を調製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1〜3に示した。
(1)塗布性
実施例及び比較例で得られた各液晶滴下工法用シール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行った。次いで、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いて、2枚のITO薄膜付きの透明電極基板のうちの一方に長方形の枠を描く様にシール剤を塗布した。続いて、TN液晶(チッソ社製、「JC−5001LA」)の微小滴を液晶滴下装置にて滴下塗布し、他方の透明基板を、真空張り合わせ装置にて5Paの減圧下にて貼り合わせた。貼り合わせた後のセルにメタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによってシール剤を熱硬化させ、液晶表示素子を各シール剤につき100枚作製した。得られた液晶表示素子を観察し、シール部に断線が発生したものが、0個であった場合を「◎」、1〜3個であった場合を「○」、4〜10個であった場合を「△」、11個以上であった場合を「×」として塗布性を評価した。
(2)接着性
実施例及び比較例で得られた各液晶滴下工法用シール剤に、シリカスペーサー(積水化学工業社製、「SI−H055」)を1重量%配合し、2枚のITO膜付きアルカリガラス試験片(30×40mm)のうち一方に微小滴下し、これにもう一方のガラス試験片を十字状に張り合わせたものに、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって接着試験片を得た。接着試験片の上下にチャックを配して引っ張り試験(5mm/sec)を行った。得られた測定値(kgf)をシール塗布断面積(cm)で除した値が、60kgf/cm以上であった場合を「◎」、40kgf/cm以上60kgf/cm未満であった場合を「○」、10kgf/cm以上40kgf/cm未満であった場合を「△」、10kgf/cm未満であった場合「×」として接着性を評価した。
(3)硬化物の耐湿性
平滑な離型フィルム上に実施例及び比較例で得られた各液晶滴下工法用シール剤をコーターで厚さ200〜300μmに塗工した。次いで、メタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって透湿度測定用フィルムを得た。JIS Z 0208の防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じた方法で透湿度試験用カップを作製し、得られた透湿度測定用フィルムを取り付け、温度80℃湿度90%RHのオーブンに投入して透湿度を測定した。得られた透湿度の値が、50g/m・24hr未満であった場合を「◎」、50g/m・24hr以上70g/m・24hr未満であった場合を「○」、70g/m・24hr以上100g/m・24hr未満であった場合を「△」、100g/m・24hr以上であった場合を「×」として硬化物の耐湿性を評価した。
(4)液晶表示素子の表示性能(高温高湿下で保管した後に駆動した液晶表示素子の色むら評価)
各実施例及び各比較例で得られた液晶滴下工法用シール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY−10E」)に充填し、脱泡処理を行った。次いで、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いて、2枚のITO薄膜付きの透明電極基板のうちの一方に長方形の枠を描く様にシール剤を塗布した。続いて、TN液晶(チッソ社製、「JC−5001LA」)の微小滴を液晶滴下装置にて滴下塗布し、他方の透明基板を、真空張り合わせ装置にて5Paの減圧下にて貼り合わせた。貼り合わせた後のセルにメタルハライドランプにて3000mJ/cmの紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによってシール剤を熱硬化させ、液晶表示素子を各シール剤につき5枚ずつ作製した。得られた液晶表示素子を温度80℃、湿度90%RHの環境下にて36時間保管した後、AC3.5Vの電圧駆動をさせ、中間調のシール剤周辺を目視で観察した。シール剤部周辺に色むらが全く見られなかった場合を「◎」、少し薄い色むらが見えた場合を「○」、はっきりとした濃い色むらがあった場合を「△」、通電しない状態で色むらが見えた場合を「×」として評価した。
Figure 0005827752
Figure 0005827752
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本発明によれば、接着性に優れ、かつ、硬化物の透湿性が低い液晶滴下工法用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶滴下工法用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。

Claims (7)

  1. 液晶滴下工法による液晶表示素子の製造に用いられる液晶滴下工法用シール剤であって、
    硬化性樹脂と、ラジカル重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有し、
    前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する樹脂を含む)と(メタ)アクリル樹脂とを含有し、
    前記硬化性樹脂100重量部中における前記エポキシ樹脂の含有量が5〜70重量部であり、前記エポキシ樹脂中のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量が20重量%以上であり、かつ、前記硬化性樹脂100重量部中におけるジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の含有量が30重量部以下である
    ことを特徴とする液晶滴下工法用シール剤。
  2. 硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項1記載の液晶滴下工法用シール剤。
  3. 硬化促進剤は、イミダゾール系硬化促進剤及び/又はチオール系硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項2記載の液晶滴下工法用シール剤。
  4. (メタ)アクリル樹脂は、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶滴下工法用シール剤。
  5. 遮光剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液晶滴下工法用シール剤。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の液晶滴下工法用シール剤と、導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
  7. 請求項1、2、3、4若しくは5記載の液晶滴下工法用シール剤又は請求項6記載の上下導通材料とから成ることを特徴とする液晶表示素子。

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