JPWO2016039125A1 - アンチウォーターマークフィルム及びタッチパネルディスプレイ - Google Patents

アンチウォーターマークフィルム及びタッチパネルディスプレイ Download PDF

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Abstract

内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に、透明であり、表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.7nm以上5nm未満、かつ測定エリア500μm×500μmで算出した算術平均粗さRa2が10〜50nmである凹凸構造を有するアンチウォーターマークフィルムを積層する。特に、空隙層を介して対向する表面のうち、タッチパネルのフロント側の表面に、アンチウォーターマークフィルムを積層してもよい。このフィルムは、内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、ウォーターマークの発生を防止し、かつ高精細表示装置であってもギラツキを抑制できる。

Description

本発明は、内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に積層されるアンチウォーターマークフィルム及びこのフィルムを備えた静電容量方式タッチパネルディスプレイに関する。
マンマシンインターフェースとしての電子ディスプレイの進歩に伴い、対話型の入力システムが普及し、なかでもタッチパネル(座標入力装置)をディスプレイと一体化した装置がATM(現金自動受払機)、商品管理、アウトワーク(外交、セールス)、案内表示、娯楽機器などで広く使用されている。液晶ディスプレイなどの軽量・薄型ディスプレイでは、キーボードレスにでき、その特長が生きることから、モバイル機器にもタッチパネルが使用されるケースが増えている。タッチパネルは、指やペンなどの入力手段によって所定位置を押圧することにより、コンピュータなどに所定の情報等を入力する装置であり、位置検出の方法により、光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などに分類できる。
これらの方式のうち、静電容量方式は、静電容量の変化を利用し、位置の検出を行う方式であるが、近年、機能性に優れる点から、ITOグリッド方式を採用する投影型静電容量方式タッチパネルが、スマートフォン、携帯電話、電子ペーパー、タブレット型パーソナルコンピュータ(PC)、ペンタブレット、遊戯機器などのモバイル機器で採用されて脚光を浴びている。特に、スマートフォンやタブレット型PCなどでは、高精細な表示装置も普及し始めており、これらのデバイスでは、高度な透明性や防眩性などの光学特性も要求される。また、表示パネルの画素数がフルハイビジョンテレビの4倍ある高解像度のテレビ(4Kテレビ)のディスプレイにタッチパネルを搭載したテレビや、建築分野や医療分野で利用される高解像度のペン入力デバイスも開発されている。このようなデバイスのタッチパネルディスプレイの表示面(上部透明電極)としては透明材料が使用されるが、透明材料としては、透明性や耐熱性に優れる点から、ガラス材料が汎用されている。しかし、ガラス材料は、割れ易く、落下などにより砕けて破片が飛散し易いため、割れても破片が飛散しないための対策を採る必要がある。そこで、ガラス材料で形成された上部電極(カバーガラス)の割れによる破片の飛散を防止する方法として、割れ難いプラスチックで形成されたフィルム(ガラス破片の飛散防止フィルム)をカバーガラスの内側(裏側又は内層)に貼付する方法が知られている。
飛散防止フィルムは、通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの透明樹脂層と、この透明樹脂層の一方の面に積層され、かつカバーガラスと一体化するための粘着層[OCA(オプティカル・クリア・アドヒーシブ)フィルムなど]と、前記透明樹脂層の他方の面に積層され、かつ生産工程や流通工程における傷の発生を防止するためのクリアハードコート(CHC)層とで形成されている。例えば、ITOグリッド方式を採用する静電容量方式タッチパネルでは、最表面に配設されたカバーガラスの内側(裏側又は内層面)にITO(酸化インジウム−酸化錫系複合酸化物)膜が積層されているが、このITO膜に対して、前記飛散防止フィルムの粘着層が貼付され、CHC層側が液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ(OLED)などの表示素子(表示ユニット)に配設される。CHC層と表示素子とは、透明粘着層などを介して一体化されることもあるが、生産性などの点から、CHC層及び表示素子の端部(周縁部又は外枠部)間に接着層(スペーサ)を介在させて一体化し、ハードコート層と液晶層との間には空隙(空間層)を形成する方法が普及している。さらに、近年、PCタブレットなどでは、軽量化及び薄肉化の要望が大きいため、上部電極のカバーガラス(ガラス基板)として1枚のガラス基板のみを用いる1枚ガラスタイプも普及している。しかし、このような空間層(空間部)を設けたITOグリッド方式の静電容量方式タッチパネル(特に1枚ガラスタイプ)では、指やペンなどで表示面に接触すると、上部電極が湾曲し易く、CHC層と表示素子の表面(LCDにおける偏光層など)とが密着して離れずに、黒くなる現象(黒点)が発生する。この現象はウォーターマーク(WM)と称されるが、この現象に対して、従来のタッチパネルでは、ハードコート層にミクロンオーダーの粒子を配合し、表面にミクロンオーダーの凹凸構造を形成し、アンチウォーターマーク(AWM)層とすることにより、AWM層と表示素子表面との密着を抑制し、WMの発生を防止していた。しかし、近年のタッチパネルディスプレイの高精細化に伴い、粒子を含むAWM層を有する飛散防止フィルムでは、ギラツキが発生し、視認性が低下していた。特に、凸部の高さを大きくすれば、AWM特性は向上する反面、ギラツキは発生し易くなり、AWM性と光学特性とは両立困難なトレードオフの関係にある。
特許第5440747号公報(特許文献1)には、表示装置と、この表示装置との間に隙間を設けて配置された静電容量方式タッチパネルとを備えた静電容量方式タッチパネル付き表示装置において、前記隙間を介して対向する前記表示装置の表面又は前記静電容量方式タッチパネルの表面における表面粗さを1.5nm以上400nm以下に調整することが開示されている。この文献の実施例では、多官能(メタ)アクリレート及び粒子径100nmのコロイダルシリカを含むハードコート形成組成物を用いて保護シートを作製し、この保護シートにより表面粗さ50〜300nmの凹凸構造を形成している。また、この文献の比較例では、表面粗さ1nmの凹凸構造を有する保護シートが作製され、ニュートンリングが明確に発生し、偏光板とも付着している。
しかし、この静電容量方式タッチパネル付き表示装置でも、近年の高精細化が進んだタブレット型PCなどでは、ギラツキが発生し、光学特性は十分ではなかった。
特許第5440747号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、ウォーターマークの発生を防止し、かつ高精細表示装置であってもギラツキを抑制できるアンチウォーターマークフィルム及びこのフィルムを備えた静電容量方式タッチパネルディスプレイを提供することにある。
本発明の他の目的は、カバーガラスを含むタッチパネルディスプレイのガラスの割れによるガラス破片の飛散を抑制できるアンチウォーターマークフィルム及びこのフィルムを備えた静電容量方式タッチパネルディスプレイを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、低ヘイズであり、透明性に優れるとともに、耐擦傷性も有するアンチウォーターマークフィルム及びこのフィルムを備えた静電容量方式タッチパネルディスプレイを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、静電容量方式タッチパネルディスプレイの内部に含まれる空隙層を形成する内表面に、透明であり、かつ表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.7nm以上5nm未満、かつ測定エリア500μm×500μmで算出した算術平均粗さRa2が10〜50nmである微小の凹凸構造を有するアンチウォーターマークフィルムを積層することにより、従来の技術常識ではアンチウォーターマーク性が発現しないと考えられていた低いRaであっても、微小な凹凸構造に加えて、大きなうねりに該当する凹凸構造も併せ持つことにより、ウォーターマークの発生を防止でき、アンチウォーターマーク特性と高精細表示装置におけるギラツキの抑制とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のアンチウォーターマークフィルムは、内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に積層されるアンチウォーターマークフィルムであって、透明であり、かつ表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.7nm以上5nm未満かつ測定エリア500μm×500μmで算出した算術平均粗さRa2が10〜50nmである凹凸構造を有する。前記アンチウォーターマークフィルムは、透明樹脂層と、この透明樹脂層の一方の面に積層され、かつ硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び平均一次粒径1〜50nmの金属酸化物粒子を含む硬化性組成物の硬化物で形成され、かつ表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.8nm以上1.5nm未満である凹凸構造を有するアンチウォーターマーク層とを含む透明積層フィルムであってもよい。前記硬化性樹脂は、4官能以下の重合性基を有する硬化性樹脂と、5官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂とを含み、熱可塑性樹脂がセルロース誘導体であり、金属酸化物微粒子が、アンチモン含有酸化錫、酸化アンチモン、酸化錫及び酸化亜鉛からなる群から選択された少なくとも一種であってもよい。
本発明のアンチウォーターマークフィルムは、凹凸構造を有する側の表面に、さらに低屈折率層が積層されていてもよく、凹凸構造を有する側とは反対側の表面に、さらに接着層が積層されていてもよい。本発明のアンチウォーターマークフィルムは、凹凸構造を有する側の表面の水接触角が65〜80°であってもよい。
本発明には、内部に空隙層を有し、かつ前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に、前記アンチウォーターマークフィルムが積層された静電容量方式タッチパネルディスプレイも含まれる。本発明のタッチパネルディスプレイは、空隙層を介して対向する表面のうち、タッチパネルのフロント側の表面に、アンチウォーターマークフィルムが積層されていてもよい。本発明のタッチパネルは、前記空隙層とディスプレイ表面との間に含まれる透明基板が1枚のみであってもよい。この透明基板が、厚み50〜3000μmのガラス板であってもよい。
本発明では、静電容量方式タッチパネルディスプレイ(特に1枚ガラスタイプのディスプレイ)の内部に含まれる空隙層を形成する内表面に、透明であり、かつ表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.7nm以上5nm未満かつ測定エリア500μm×500μmで算出した算術平均粗さRa2が10nm以上50nm未満である凹凸構造を有するアンチウォーターマークフィルムが積層されているため、ウォーターマークの発生を防止し、かつ高精細表示装置であってもギラツキを抑制できる。また、空隙層を介して対向する表面のうち、タッチパネルのフロント側の表面に、アンチウォーターマークフィルムを積層すると、カバーガラスを含むタッチパネルディスプレイのガラスの割れによるガラス破片の飛散を抑制できる。さらに、特定の硬化性組成物の硬化物で形成すると、低ヘイズであり、透明性に優れるとともに、耐擦傷性も向上できる。
[アンチウォーターマークフィルムの特性]
本発明のアンチウォーターマーク(AWM)フィルムは、内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に積層され、タッチパネルのフロント側の表面に積層されてもよく、リア側の表面に積層されてもよい。タッチパネルのフロント側の表面に積層すると、カバーガラスを備えたタッチパネルに対するガラス破片の飛散防止フィルムとしても利用できる。
本発明のAWMフィルムは、表面に比較的小さい凹凸構造を有しており、測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.7nm以上5nm未満(例えば、0.75nm以上2nm未満)であり、特に1.5nm未満の微小な凹凸構造であっても、AWM性を発現でき、好ましくは0.8nm以上1.5nm未満、さらに好ましくは0.9〜1.48nm(特に0.95〜1.45nm)程度であってもよい。Ra1が小さすぎると、AWM性が低下し、大きすぎると、高精細ディスプレイでギラツキが発生し易い。この凹凸構造は、AWMフィルムの最表面で形成されていればよく、例えば、低屈折率層が最表面に形成されている場合は、低屈折率層が、このようなRa1を有していればよい。
本発明のAWMフィルムは、前記微細な凹凸構造に加えて、より大きな凹凸構造(うねり)も有しており、測定エリア500μm×500μmで算出した算術平均粗さRa2が10〜50nm(例えば11〜45nm)であり、特に40nm以下の微小な凹凸構造であっても、AWM性を発現でき、好ましくは12〜44nm、さらに好ましくは13〜40nm程度であってもよい。Ra2が小さすぎると、AWM性が低下し、大きすぎると、高精細ディスプレイでギラツキが発生し易い。この凹凸構造は、AWMフィルムの最表面で形成されていればよく、例えば、低屈折率層が最表面に形成されている場合は、低屈折率層が、このようなRa2を有していればよい。本発明では、微細な凹凸構造である前記Ra1に加えて、うねり構造であるRa2をこのような範囲で有することにより、AWM性とギラツキの抑制とを両立できる。
なお、本発明では、Ra1及びRa2は、JIS B0601に準拠した方法で測定できる。
本発明のAWMフィルムは、透明であり、厚み100μmにおいて、JIS K7361に準拠した全光線透過率が、例えば70〜100%、好ましくは80〜100%(例えば85〜99%)、さらに好ましくは90〜98%(特に、92〜96%)程度である。
本発明のAWMフィルムは、ヘイズも小さく、厚み100μmにおいて、JIS K7136に準拠したヘイズ率が、例えば、0.2〜1.5%、好ましくは0.25〜1%、さらに好ましくは0.3〜0.6%(特に0.4〜0.5%)程度である。本発明では、このような低いヘイズ値を有することにより、高精細ディスプレイでもギラツキを抑制でき、視認性を向上できる。
本発明のAWMフィルムの透過像鮮明度は、0.5mm幅の光学櫛を使用した場合、例えば、80〜l00%、好ましくは85〜99%、さらに好ましくは88〜98%(特に90〜97%)程度である。透過像鮮明度が前記範囲にあると、直進透過光の散乱が少ないため、透明積層フィルムを高精細表示装置に配設した場合であっても、各々の画素からの散乱が少なくなり、ギラツキを防止できる。
透過像鮮明度とは、膜を透過した光のボケや歪みを定量化する尺度である。透過像鮮明度は、膜からの透過光を移動する光学櫛を通して測定し、光学櫛の明暗部の光量により値を算出する。すなわち、膜が透過光をぼやかす場合、光学櫛上に結像されるスリットの像は太くなるため、透過部での光量は100%以下となり、一方、不透過部では光が漏れるため0%以上となる。透過像鮮明度の値Cは光学櫛の透明部の透過光最大値Mと不透明部の透過光最小値mから次式により定義される。
C(%)=[(M−m)/(M+m)]×100
すなわち、Cの値が100%に近づく程、透明積層フィルムによる像のボケが小さい[参考文献;須賀、三田村,塗装技術,1985年7月号]。
本発明のAWMフィルムは、反射率も低く、10%以下であってもよく、例えば、0.1〜8%、好ましくは0.5〜6%、さらに好ましくは1〜5%程度である。
本発明のAWMフィルムは、表面の濡れ性にも優れており、凹凸構造を有する側の表面の水接触角が80°以下(例えば、65〜80°)であり、例えば、69〜80°、好ましくは70〜75°、さらに好ましくは71〜74°程度である。水接触角が低すぎると、滑り性が低下するためか、耐擦傷性が低下する虞もある。この水接触角は、AWMフィルムの最表面が有していればよく、例えば、低屈折率層が最表面に形成されている場合は、低屈折率層が、このような水接触角を有していればよい。なお、本発明では、水接触角は、自動・動的接触角計を用いて測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
[AWMフィルムの材質及び構造]
AWMフィルムは、前記特性を有していれば、材質は特に限定されず、無機材料であってもよく、有機材料であってもよいが、可撓性などの機械的特性に優れる点から、樹脂などの有機材料が好ましく、機械的特性や生産性などの点から、透明樹脂層と、この透明樹脂層の一方の面に積層され、かつ表面に前述の算術平均粗さRa1とRa2を満たす凹凸構造を有するアンチウォーターマーク(AWM)層とを含む透明積層フィルムが特に好ましい。
(AWM層)
AWM層は、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び平均一次粒径1〜100nmの金属酸化物粒子を含む硬化性組成物の硬化物で形成されていてもよい。
(A)硬化性樹脂
硬化性樹脂(硬化性モノマー又は硬化性樹脂前駆体)としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。前記硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)など]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、本発明では、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれる。単量体は、例えば、1つの重合性基を有する単官能単量体と、少なくとも2つの重合性基を有する多官能単量体とに分類できる。
単官能単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能単量体には、2〜8程度の重合性基を有する多官能単量体が含まれ、2官能単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3〜8官能単量体としては、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなど)、ポリエステル(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレートなど)、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート(ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレートなど)、シリコーン(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらの(メタ)アクリレートオリゴマー又は樹脂には、前記ポリマー成分における(メタ)アクリル系樹脂の項で例示された共重合性単量体が含まれていてもよい。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、硬化性樹脂は、AWM層の強度を向上する点などから、フッ素原子や無機粒子を含有していてもよい。フッ素含有硬化性化合物としては、前記単量体及びオリゴマーのフッ化物、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート[例えば、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレートやトリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど]、フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[例えば、フルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フルオロプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、フッ素含有エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。無機粒子を含有する硬化性化合物としては、例えば、表面に重合性基を有する無機粒子(例えば、重合性基を有するシランカップリング剤で表面を修飾したシリカ粒子など)などが例示できる。表面に重合性基を有するナノサイズのシリカ粒子としては、例えば、JSR(株)製から、多官能ハイブリッド系UV硬化剤(Z7501)が市販されている。
好ましい硬化性樹脂は、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂など)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂である。
また、本発明では、AWM層の耐擦傷性を向上させるため、硬化性樹脂は、2官能以上(例えば、2〜10官能程度)、好ましくは3官能以上(例えば、3〜8官能程度)の重合性基を有する硬化性樹脂、特に、多官能(メタ)アクリレート、例えば、3官能以上(特に4〜8官能)の(メタ)アクリレート(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど)を含むのが好ましい。
さらに、本発明では、AWM層の表面に特定の表面凹凸構造を形成するため、4官能以下(好ましくは2〜4官能、さらに好ましくは3〜4官能程度)の重合性基を有する硬化性樹脂と、5官能以上(例えば、5〜10官能、好ましくは5〜8官能、さらに好ましくは5〜7官能程度)の重合性基を有する硬化性樹脂とを組み合わせるのが好ましい。特に、2〜4官能(メタ)アクリレート[特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3〜4官能(メタ)アクリレート]と、5〜8官能(メタ)アクリレート[特に、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの5〜7官能(メタ)アクリレート]とを組み合わせてもよい。
4官能以下の重合性基を有する硬化性樹脂(例えば、2〜4官能(メタ)アクリレート)と、5官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂(例えば、5〜10官能(メタ)アクリレート)との重量割合は、前者/後者=99/1〜1/99、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは70/30〜30/70(特に60/40〜40/60)程度である。本発明では、官能基数の硬化性樹脂をこのような割合で組み合わせることにより、機械的特性を損なうことなく、AWM層の表面に特定の凹凸構造を形成できる。
硬化性樹脂の分子量としては、後述する熱可塑性樹脂との相溶性を考慮して5000以下(例えば、100〜5000)、好ましくは2000以下(例えば、200〜2000)、さらに好ましくは1000以下(例えば、300〜1000)程度である。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で測定した重量平均分子量であり、低分子は分子式から算出できる。
硬化性組成物は、硬化性樹脂の種類に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類などの硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光硬化剤などの硬化剤の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であり、3〜8重量部程度であってもよい。
さらに、硬化性樹脂は硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤などを含んでいてもよい。
(B)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、AWM層に対して、柔軟性などの機械的特性を向上させるために配合され、硬化性樹脂の硬化反応に関与する反応性基(特にエチレン性不飽和結合などの重合性基)を有さない樹脂が好ましい。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂[ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体など]、(メタ)アクリル系樹脂[ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸イソボルニルなど]、有機酸ビニルエステル系樹脂[エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂など]、ビニルエーテル系樹脂(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルプロピルエーテル、ポリビニルt−ブチルエーテルなど)、ハロゲン含有樹脂[ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など]、オレフィン系樹脂[ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、脂環式オレフィン系樹脂など]、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンアリレート、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなどの非晶性ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12などの脂肪族ポリアミドなど)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(ポリエステル型ウレタン系樹脂など)、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステルなど)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体などが汎用されるが、透明性及び耐熱性に優れるとともに、柔軟性などの機械的特性も向上できる点から、セルロース誘導体が好ましい。
セルロース誘導体には、セルロースエステル類、セルロースエーテル類、セルロースカーバメート類が含まれる。
セルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC2−6アシレートなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)などが例示できる。セルロースエステル類は、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。
セルロースエーテル類としては、例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなどが例示できる。セルロースカーバメート類としては、例えば、セルロースフェニルカーバメートなどが例示できる。
これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのセルロース誘導体のうち、セルロースエステル類、特に、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−6アシレートが好ましい。なかでも、溶剤への溶解性が高く、塗工液の調製がし易い上に、少量の添加によって塗工液の粘度調節が容易にできるとともに、塗工液での微粒子の過度の凝集を抑制し、保存安定性を高めるため、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−4アシレート(特に、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテートC3−4アシレート)が好ましい。
熱可塑性樹脂の割合は、硬化性樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは0.1〜10重量部(例えば、0.3〜5重量部)、さらに好ましくは0.5〜3重量部(特に0.8〜2重量部)程度である。熱可塑性樹脂の割合は、金属酸化物微粒子100重量部に対して、例えば、100〜1000重量部、好ましくは150〜500重量部、さらに好ましくは200〜400重量部程度である。本発明では、熱可塑性樹脂の割合を調整することにより、耐擦傷性と、衝撃吸収性やクッション性などの機械的特性とのバランスを調整でき、この範囲にあると、両者のバランスに優れる。
(C)金属酸化物微粒子
本発明では、AWM層に金属酸化物微粒子を配合することにより、対流が発生し樹脂成分中の金属酸化物の分布が均一でなくなることにより樹脂成分が隆起してAWM層の表面において、ウォーターマークの発生を抑制でき、かつギラツキの発生を抑制できる微小な凹凸構造を形成できる。この金属酸化物微粒子は、透明性及び耐擦傷性に優れる上に、その上に低屈折率層を形成する場合、低屈折率層との密着性も向上できる。
金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、周期表第4A族金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)、第5A族金属酸化物(酸化バナジウムなど)、第6A族金属酸化物(酸化モリブデン、酸化タングステンなど)、第7A族金属酸化物(酸化マンガンなど)、第8族金属酸化物(酸化ニッケル、酸化鉄など)、第1B族金属酸化物(酸化銅など)、第2B族金属酸化物(酸化亜鉛など)、第3B族金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化インジウムなど)、第4B族金属酸化物(酸化錫など)、第5B族金属酸化物(酸化アンチモンなど)などが挙げられる。
これらの金属酸化物微粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属酸化物微粒子のうち、アンチモン、錫、亜鉛を含む金属酸化物、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン含有酸化錫(アンチモンドープ酸化錫)、酸化錫、酸化亜鉛などが好ましく、アンチモン含有酸化錫、酸化アンチモン、酸化錫及び酸化亜鉛からなる群から選択された少なくとも一種で構成された微粒子(特にアンチモン含有酸化錫粒子(ATO粒子))が特に好ましい。
金属酸化物微粒子は、溶媒中に分散された分散液の形態であってもよい。溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどの低級アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、エタノールやイソプロパノールなどの低級アルコール(例えば、重量比で、エタノール/イソプロパノール=90/10〜50/50(特に80/20〜60/40)程度の混合溶媒)が汎用される。分散液中の金属酸化物微粒子の濃度は、例えば、0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度である。金属酸化物微粒子の表面は、これらの溶媒に分散させるために、慣用の表面処理がされていてもよい。
金属酸化物微粒子の形状は、特に限定されず、球状、楕円体状、多角体状(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形などが挙げられるが、表面に均一な凹凸構造を形成する点から、略球状などの等方形状が好ましい。
金属酸化物微粒子の個数平均一次粒径は、例えば、1〜50nm、好ましくは1.5〜40nm(例えば2〜30nm)、さらに好ましくは3〜15nm(特に5〜10nm)程度である。一次粒径が小さすぎると、AWM層の表面に凹凸構造を形成するのが困難となり易く、大きすぎると、微小な凹凸構造を形成するのが困難となる上に、光の波長よりも大きくなり、ギラツキの発生原因となる虞がある。本発明では、粒径の大きな粒子を用いることなく、ナノメータサイズの粒子を用いて特定の条件で製造することにより、微小な凹凸構造を形成できる。
なお、本発明では、個数平均一次粒径は、粒度分布計、例えば、動的光散乱法に基づき、粒度測定装置(大塚電子(株)製「PAR−III」)を用いて、慣用の方法で測定できる。
金属酸化物微粒子の割合は、硬化性樹脂100重量部に対して、例えば0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.15〜3重量部(特に0.2〜1重量部)程度である。微粒子の割合が少なすぎると、AWM層の表面に凹凸構造を形成するのが困難となり易く、多すぎると、微小な凹凸構造を形成するのが困難となる。本発明では、微粒子の割合が少なくても、AWM性を実現できる凹凸構造を形成できる。
(D)他の添加剤
AWM層には、種々の添加剤、例えば、他の微粒子(有機微粒子、無機微粒子など)、レベリング剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤、水溶性高分子、充填剤、架橋剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ワックス、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などが含まれていてもよい。添加剤の割合は、例えば、AWM層全体に対して0.01〜10重量%(特に0.1〜5重量%)程度である。
本発明では、理由は定かではないが、微粒子の凝集剤(例えば、特開2009−265143号公報に記載の凝集剤など)を使用することなく、少量の金属酸化物微粒子がAWM層中で適度に凝集して核となり、乾燥工程で対流作用により金属酸化物微粒子と硬化前の樹脂成分とが一緒になってAWM層の表面で凝集して凸部を形成するようである。そのためか、AWM性を有し、かつギラツキを抑制できる微小な凹凸構造を形成できる。従って、AWM層は、実質的に凝集剤を含有しない。なお、このような本発明における作用には、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び溶媒の種類、配合割合なども関与していると推定される。
AWM層の厚み(平均厚み)は、例えば、0.5〜30μm、好ましくは0.8〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に2〜5μm)程度である。
(透明樹脂層)
透明樹脂層(又は基材層)としては、可撓性が高く、耐割れ性に優れる透明樹脂で形成されたプラスチックフィルム又はシート(未延伸又は延伸プラスチックフィルム)を利用できる。透明樹脂としては、前記AWM層で例示された熱可塑性樹脂と同様の樹脂を使用できる。好ましい透明樹脂としては、例えば、セルロース誘導体[セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテートなど]、ポリエステル系樹脂[PET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート系樹脂など]、ポリスルホン系樹脂[ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど]、ポリエーテルケトン系樹脂[ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど]、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、環状ポリオレフィン系樹脂[トパス(TOPAS)(登録商標)、アートン(ARTON)(登録商標)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)など]、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル系樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、酢酸ビニル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)などが挙げられる。これらの透明樹脂で形成されたプラスチックフィルムは1軸又は2軸延伸されていてもよい。
光学的に等方性の透明プラスチックフィルムには、例えば、ポリエステル、セルロース誘導体類などが含まれ、特に、耐熱性や透明性などのバランスに優れる点から、PETやPENなどのポリC2−4アルキレンアリレートで形成されたフィルムが好ましい。さらに、透明樹脂層は、二軸延伸したフィルムであってもよい。
透明樹脂層は、前記AWM層の項で例示された慣用の添加剤(例えば、紫外線吸収剤など)を含んでいてもよい。添加剤の割合は、例えば、透明樹脂層全体に対して0.01〜10重量%(特に0.1〜5重量%)程度である。
透明樹脂層の厚み(平均厚み)は、例えば、5〜1000μm、好ましくは15〜500μm、さらに好ましくは20〜300μm(特に30〜100μm)程度の範囲から選択できる。
(低屈折率層)
本発明のAWMフィルムは、前述の算術平均粗さRaを有する凹凸構造の表面(凹凸構造を有する側の表面)、特に、透明積層フィルムのAWM層の上に、AWMフィルム(特にAWM層)表面での反射率を下げて、外部への出射光の透過率を向上させるために、さらに低屈折率層を積層してもよい。さらに、詳しいメカニズムは不明であるが、低屈折率層を積層することにより、AWM性も向上できる。
低屈折率層は、慣用の低屈折率層、例えば、特開2001−100006号公報、特開2008−58723号公報に記載の低屈折率層などが使用できる。低屈折率層は、通常、低屈折率樹脂や、AWM層の項で例示された硬化性樹脂とフッ素含有化合物又は低屈折率の無機フィラーとの組み合わせなどで構成されている。
低屈折率樹脂としては、例えば、メチルペンテン樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)などのフッ素樹脂などが挙げられる。
また、低屈折率層は、通常、フッ素含有化合物や低屈折率の無機フィラーを含有するのが好ましく、フッ素含有化合物や低屈折率の無機フィラーを用いると、低屈折率層の屈折率を所望に応じて低減できる。
前記フッ素含有化合物としては、フッ素原子と、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基(架橋性基又は重合性基などの硬化性基など)とを有し、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋してフッ素含有樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能なフッ素含有樹脂前駆体が挙げられる。
このようなフッ素含有樹脂前駆体としては、例えば、フッ素原子含有熱硬化性化合物又は樹脂[フッ素原子とともに、反応性基(エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基など)、重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基など)などを有する低分子量化合物]、活性光線(紫外線など)により硬化可能なフッ素原子含有光硬化性化合物又は樹脂(光硬化性フッ素含有モノマー又はオリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示できる。
前記熱硬化性化合物又は樹脂としては、例えば、少なくともフッ素含有モノマーを用いて得られる低分子量樹脂、例えば、構成モノマーとしてのポリオール成分の一部又は全部に代えてフッ素含有ポリオール(特にジオール)を用いて得られるエポキシ系フッ素含有樹脂;同様に、ポリオール及び/又はポリカルボン酸成分の一部又は全部に代えて、フッ素原子含有ポリオール及び/又はフッ素原子含有ポリカルボン酸成分を用いて得られる不飽和ポリエステル系フッ素含有樹脂;ポリオール及び/又はポリイソシアネート成分の一部又は全部に代えて、フッ素原子含有ポリオール及び/又はポリイソシアネート成分を用いて得られるウレタン系フッ素含有樹脂などが例示できる。これらの熱硬化性化合物又は樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれ、単量体としては、例えば、前記AWM層の項で例示の単官能性単量体及び多官能性単量体に対応するフッ素原子含有単量体[(メタ)アクリル酸のフッ化アルキルエステルなどのフッ素原子含有(メタ)アクリル系単量体、フルオロオレフィン類などのビニル系単量体などの単官能性単量体;1−フルオロ−1,2−ジ(メタ)アクリロイルオキシエタンなどのフッ化アルキレングリコールのジ(メタ)アクリレートなど]などが例示できる。また、オリゴマー又は樹脂としては、前記防眩層の項で例示のオリゴマー又は樹脂に対応するフッ素原子含有オリゴマー又は樹脂などが使用できる。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
低屈折率層中におけるフッ素含有化合物の割合は、例えば、低屈折率層全体に対して1重量%以上であってもよく、例えば、5〜90重量%程度である。
低屈折率の無機フィラーとしては、例えば、前記特開2001−100006号公報に記載のフィラーなどが使用できるが、シリカやフッ化マグネシウムなどの低屈折率のフィラー、特にシリカが好ましい。シリカは、特開2001−233611号公報、特開2003−192994号公報などに記載されている中空シリカであってもよい。中空シリカは、透過率の向上効果が大きいだけでなく、AWM性の向上効果も優れている。
無機フィラーの個数平均粒径は100nm以下、好ましくは80nm以下(例えば、10〜8nm)、さらに好ましくは20〜70nm程度である。
低屈折率層中における低屈折率の無機フィラーの割合は、例えば、低屈折率層全体に対して1重量%以上であってもよく、例えば、5〜90重量%程度である。また、低屈折率の無機フィラーは、カップリング剤(チタンカップリング剤、シランカップリング剤)により表面改質されていてもよい。さらに、低屈折率層は、塗膜強度を向上させるために、他の無機フィラーを含んでいてもよい。
低屈折率層の屈折率としては、例えば、1.3〜1.5、好ましくは1.35〜1.45程度である。本発明では、屈折率は、波長633nmにおいて、メトリコンプリズムカプラーを用いて測定できる。
低屈折率層の厚みは、例えば、50〜1000nm、好ましくは60〜500nm、さらに好ましくは70〜300nm(特に80〜200nm)程度である。
(接着層)
本発明のAWMフィルムは、前述の算術平均粗さRaを有する凹凸構造が形成された表面の裏面(凹凸構造を有する側とは反対側の表面)、特に、透明積層フィルムの場合、透明樹脂層のAWM層が積層されていない側の表面に、さらに接着層が積層されていてもよい。接着層としては、タッチパネルの電極や偏光板などと一体化可能な透明バインダー樹脂で形成されていればよい。透明バインダー樹脂としては、例えば、慣用の接着性樹脂又は粘着性樹脂などが例示できる。
接着性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタンなど)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂、アミノ樹脂、セルロース誘導体など)などが挙げられる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
粘着性樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、ゴム系粘着剤、変性ポリオレフィン、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらの粘着性樹脂は、架橋性基(イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、アルコキシシリル基など)を有していてもよい。これらの粘着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの透明バインダー樹脂のうち、光学特性及び取り扱い性に優れる点から、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤(特にアクリル系粘着剤)が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C2−10アルキルエステルを主成分とするアクリル系共重合体で構成された粘着剤を使用できる。アクリル系共重合体の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなど]、重合性ニトリル化合物[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(例えば、無水マレイン酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、芳香族ビニル類(例えば、スチレンなど)などが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴム成分[一官能のRSiO1/2(式中、Rは、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などを示す。以下、同じ)と四官能のSiOからなるMQレジンなど]及びシリコーンレジン成分(二官能のRSiO単独、又は二官能のRSiOと一官能のRSiO1/2とを組み合わせたオイル状又はガム状成分など)を有機溶媒に溶解した粘着剤などを使用できる。前記シリコーンゴム成分は架橋されていてもよい。
接着層は、前記AWM層の項で例示された慣用の添加剤(例えば、紫外線吸収剤など)を含んでいてもよい。添加剤の割合は、例えば、接着層全体に対して0.01〜10重量%(特に0.1〜5重量%)程度である。
接着層の厚み(平均厚み)は、例えば、1〜100μm、好ましくは2〜80μm、さらに好ましくは3〜70μm(特に5〜50μm)程度である。
[AWMフィルムの製造方法]
本発明のAWMフィルムは、一方の表面に前述の算術平均粗さRaを有する凹凸構造を形成できればよく、特に限定されず、慣用のフィルム成形方法などを利用できる。AWMフィルムが透明積層フィルムで形成されている場合、例えば、透明樹脂層の一方の面に、硬化性組成物を塗布する塗布工程、塗布した硬化性組成物を乾燥後、活性エネルギー線を照射して硬化する硬化工程を経て製造してもよい。
塗布工程において、硬化性組成物は、通常、前記硬化性樹脂と熱可塑性樹脂と金属酸化物微粒子と溶媒とを含む混合液(特に均一溶液などの液状組成物)で構成されている。好ましい態様では、前記混合液として、光硬化性樹脂と、熱可塑性樹脂と、金属酸化物微粒子と、光重合開始剤と、前記光硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を可溶な溶媒とを含む組成物が使用される。
溶媒は、前記硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分(硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)など)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、混合溶媒であってもよい。これらの溶媒のうち、メチルエチルケトンやシクロヘキサノンなどのケトン類、ブタノールや1−メトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類が好ましく、これらを混合してもよい。例えば、前記ケトン類と前記アルコール類とを、前者/後者=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜40/60、さらに好ましくは70/30〜50/50程度の割合(重量比)で混合してもよい。さらに、ケトン類とメチルエチルケトンなどのアルカンケトン類と、シクロヘキサノンなどのシクロアルカンケトン類とを、前者/後者=95/5〜50/50(特に90/10〜70/30)程度の割合(重量比)で混合してもよい。また、ブタノールなどのアルカノールと、1−メトキシ−2−プロパノールなどのセロソルブ類とを、前者/後者=5/95〜50/50(特に10/90〜30/70)程度の割合(重量比)で混合してもよい。本発明では、溶媒を適宜組み合わせることにより、金属酸化物微粒子の凝集の程度を制御してもよい。本発明では、特に、このような割合で溶媒を組み合わせることにより、微細な凹凸構造とうねり構造とを有する表面構造を形成できる。
混合液中の溶質(硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、金属酸化物微粒子、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、流延性やコーティング性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%(特に20〜40重量%)程度である。
塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよい。
塗布工程では、さらに前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒を蒸発させる。溶媒の蒸発は、通常、例えば、溶媒の沸点に応じて、40〜150℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度の温度で行ってもよい。
本発明では、塗工液が凝集剤を含有していないにも拘わらず、ナノサイズの金属酸化物微粒子が塗工液中で適度に凝集し核となり、溶媒の蒸発に伴って起こる対流作用により金属酸化物微粒子と硬化前の樹脂成分とが一緒になって表面で凝集して凸部を形成していると推定できる。
硬化工程では、塗布した硬化性組成物を、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などにより最終的に硬化し、AWM層を形成する。硬化性樹脂の硬化は、硬化性樹脂の種類に応じて、加熱、光照射などを組合せてもよい。
加熱温度は、適当な範囲、例えば、50〜150℃程度から選択できる。光照射は、光硬化成分などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な露光源は、通常、紫外線照射装置である。
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なり10〜10000mJ/cm(例えば、50〜8000mJ/cm)程度の範囲から選択でき、例えば、10〜5000mJ/cm、好ましくは30〜3000mJ/cm、さらに好ましくは50〜1000mJ/cm程度であってもよい。
なお、光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。特に、光硬化を利用した場合、硬化性樹脂を硬化させることにより直ちに固定化できるだけでなく、透明樹脂層の内部から熱によりオリゴマーなどの低分子成分が析出することも抑制できる。さらに、AWM層に耐擦傷性を付与できる。
AWM層の上に、さらに低屈折率層を形成する場合も、通常、前記AWM層と同様の方法で、塗工液を塗布又は流延した後、活性光線や熱などを用いて硬化することにより形成できる。
なお、本発明では、低屈折率層の乾燥温度(溶媒を蒸発させるための温度)を比較的高温で乾燥することにより、微細な凹凸構造とうねり構造とを有する表面構造を形成できる。乾燥温度は、溶媒の沸点に応じて、例えば、40〜200℃、好ましくは60〜180℃、さらに好ましくは80〜150℃(特に100〜140℃)程度の温度で行ってもよい。
本発明では、AWM層に対する他の層(例えば、低屈折率層や透明導電層など)の密着性を向上させるために、AWM層を表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。
[静電容量方式タッチパネルディスプレイ]
本発明の静電容量方式タッチパネルディスプレイは、内部に空隙層を有し、かつ前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に、前記AWMフィルムが積層されている。
前記空隙層は、特に限定されないが、通常、透明導電層を含む透明電極と、LCDやOLEDなどの表示装置とを、両者の端部(周縁部又は外枠部)間に接着層(スペーサ)を介在させて、一体化させることにより形成される。透明電極の表面は、例えば、ITO(酸化インジウム−酸化錫系複合酸化物)膜などの透明導電層で形成されていてもよく、表示装置の表面は、LCDなどの場合、例えば、偏光層で形成されていてもよい。本発明のAWMフィルムは、空隙層を介して対向する表面に積層されていればよく、例えば、透明導電層の表面に凹凸構造を形成してもよいが、透明導電層は、自身の保護のために、通常、ハードコート層などの保護層で被覆されているため、この保護層の上に、AWMフィルムを適用するのが効果的である。特に、透明基板がガラス板で形成されたディスプレイに対して、ガラスの割れによるガラス破片の飛散を抑制できる点から、空隙層を介して対向する表面のうち、タッチパネルの表示体側の表面に、AWMフィルムを積層するのが好ましい。
空隙層の厚みは、例えば0.05〜1mm、好ましくは0.1〜0.5mm、さらに好ましくは0.15〜0.3mm程度である。
本発明の静電容量方式タッチパネルディスプレイは、内部に空隙層を有していればよいが、空隙層の表面側の層が容易に撓み、ウォーターマークが発生し易く、本発明の効果が顕著に発現する点から、空隙層とディスプレイ表面との間に含まれる透明基板が1枚のみであるディスプレイ(1枚ガラスタイプのディスプレイ)が好ましい。
透明基板としては、透明材料で形成されていればよく、透明樹脂層の項で例示された透明樹脂やガラスなどで形成された基板が挙げられる。これらのうち、AWMフィルムを空隙層を介して対向する表面のうち、タッチパネルのフロント側の表面に、AWMフィルムを積層する場合には、AWMフィルムがガラス破片の飛散防止フィルムとしても作用する点から、ガラス板が好ましい。
ガラス板としては、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、クラウンガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス、ホウ素含有ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、シリカガラス、石英ガラス、耐熱ガラスなどで形成されたガラス板を利用できる。
透明基板(特に1枚ガラス板タイプのディスプレイにおけるガラス板)の厚み(平均厚み)は、例えば、50〜3000μm、好ましくは100〜2000μm、さらに好ましくは200〜1500μm程度である。
本発明の静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、ガラス板などの透明基板は、通常、透明導電層と積層された透明電極を形成している。
透明導電層としては、例えば、酸化インジウム−酸化錫系複合酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、InO、SnO、ZnOなどの金属酸化物や、金、銀、白金、パラジウムなどの金属で構成された層(特に、ITO膜などの金属酸化物層)で構成されている。このような透明導電層は、慣用の方法、例えば、スパッタリング、蒸着、化学的気相成長法など(通常、スパッタリング)により形成できる。透明導電層の厚み(平均厚み)は、例えば、0.01〜0.05μm、好ましくは0.015〜0.03μm、さらに好ましくは0.015〜0.025μm程度である。
透明基板の上に形成される透明導電層は、タッチパネルの種類に応じて、通常、アナログ方式では面状に形成され、デジタル方式ではストライプ状に形成される。透明導電層を面状又はストライプ状に形成する方法としては、例えば、ガラス基板の全面に透明導電層を形成した後、エッチングにより面状又はストライプ状にパターン化する方法、予めパターン状に形成する方法などが挙げられる。
タッチパネルのフロント側の表面に、AWMフィルムを積層する場合、このような透明電極の透明導電層に対して、AWMフィルムの接着層を介して、AWMフィルムを積層してもよい。
本発明の静電容量方式タッチパネルディスプレイは、さらに他の光学要素(例えば、偏光板、位相差板、導光板などの光路内に配設される種々の光学要素)と組み合わせてもよい。LCDなどの表示装置に偏光板を積層させた場合、偏光板に対して、AWMフィルムの接着層を介して、AWMフィルムを積層してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られたAWMフィルムを以下の項目で評価した。
[全光線透過率及びヘイズ]
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7361に準拠して、全光線透過率を測定し、JIS K7136に準拠して、ヘイズを測定した。
[透過像(写像)鮮明度]
光学フィルムの写像鮮明度を、写像測定器(スガ試験機(株)製、商品名「ICM−1T」)を用いて、JIS K7105に基づき、フィルムの製膜方向と光学櫛の櫛歯の方向とが平行になるようにフィルムを設置して測定を行った。写像測定器の光学櫛のうち、0.5mm幅の光学櫛における写像鮮明度を測定した。
[反射率]
透明積層フィルムの透明樹脂層側に黒フィルムを貼り合わせ、積分球反射強度測定装置((株)日立ハイテクノロジーズ製、U−3300)を用いて、積分反射率(視感度換算)を測定した。
[耐擦傷性]
♯0000のスチールウールを2.45N/cmの荷重で凹凸構造が形成された表面(低屈折率層又はAWM層の表面)を10往復回擦り、目視にて傷を確認し、傷の本数に基づいて、以下の基準で評価した。
○:0〜5本
△:6〜9本
×:10本以上。
[鉛筆硬度]
JIS K5400に準拠し、荷重7.4Nで鉛筆硬度を測定した。
[算術平均粗さRa1]
JIS B0601に準拠して、実施例及び比較例で得られたAWMフィルムの粘着層側から、AWMフィルムのAWM層側の表面(凹凸面)の算術平均粗さを以下の手順で測定した。すなわち、走査プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、プローブとしてシリコンカンチレバーを使用し、測定モードをTappingモードとし、測定エリアを10μm×10μmとして画像の取り込みを行った。得られた画像について、前記走査プローブ顕微鏡に付属の解析ソフトウェアを用いて、うねりを除去するための加増処理としてFlaatten処理(0次)を1回、及びPlanefit処理(XY)を1回行った後、算術平均粗さRa1を算出した。
[算術平均粗さRa2]
JIS B0601に準拠して、非接触表面形状測定システム((株)菱化システム製「VertScan2.0」)を用いて、測定エリアを500μm×500μmとして算術平均粗さRa2を測定した。
[AWM層の水接触角]
自動・動的接触角計(協和界面科学(株)製「型式DCA−UZ」)を使用し、塗膜に対し、約3μLの各液の接触角を5点測定して平均した。
[ギラツキの評価]
表示面におけるギラツキの判定は、厚み3mmの透明ガラス板に実施例及び比較例で得られたAWMフィルムを、AWMフィルムの粘着層を介して貼り、5インチサイズのLCDモニター(画素数1920×1080、解像度440ppi)上に、AWMフィルム面とモニターとが対向するように載置し、モニターを緑表示としてモニター正面から目視で観察したときのギラツキを以下の基準で評価した。
◎:ギラツキが感じられない
○:ギラツキが僅かに感じられる
△:ギラツキが感じられる
×:強いギラツキが感じられる。
[アンチウォーターマーク(AWM)性]
実施例及び比較例で得られたAWMフィルムの粘着層を介して0.7mmの透明ガラス板を前記AWMフィルムに貼り合わせた。次に、外周に1cm幅で0.2mmのギャップを設けた10インチサイズ偏光板を前記AWMフィルムのAWM層と対向させて重ね合わせた。最後に、前記透明ガラス板の中心部を20N/cmの荷重で10秒間押し、離して10秒後の状態を以下の基準で評価した。
◎:AWMフィルムと透明ガラス板とが密着していない
○:AWMフィルムと透明ガラス板とが僅かな部分で密着している
×:両者の全体が密着している。
[塗工液の調製]
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製「DPHA」)50重量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(ダイセル・オルネクス(株)製「PETRA」)50重量部、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマン社製「CAP」)1.2重量部を、メチルエチルケトン(MEK)131重量部、1−メトキシ−2−プロパノール(MMPG)65重量部、1−ブタノール(BuOH)22重量部及びシクロヘキサノン24重量部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、光重合開始剤(BASFジャパン(株)製「イルガキュア184」)2重量部及び光重合開始剤(BASFジャパン(株)製「イルガキュア907」)1重量部を加えて溶解した。さらに、この溶液に、ATO粒子(日揮触媒化成(株)製「ELCOM SH−1212ATV」、一次粒径8nm、20重量%のアルコール(エタノール/イソプロパノール=80/20(重量比)の混合溶媒)分散液)1.5重量部を加えて、1時間攪拌し、AWM層塗工液:AWM−1を調製した。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−2)
ATO粒子の添加量を3.0重量部に変更する以外は、AWM−1と同様にしてアンチウォーターマーク層塗工液:AWM−2を調製した。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−3)
ATO粒子の添加量を4.5重量部に変更する以外は、AWM−1と同様にしてアンチウォーターマーク層塗工液:AWM−3を調製した。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−4)
ATO粒子の添加量を7.5重量部に変更する以外は、AWM−1と同様にしてアンチウォーターマーク層塗工液:AWM−4を調製した。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−5)
ATO粒子の添加量を20重量部に変更する以外は、AWM−1と同様にしてアンチウォーターマーク層塗工液:AWM−5を調製した。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−6)
ATO粒子の添加量を0.5重量部に変更する以外は、AWM−1と同様にしてアンチウォーターマーク層塗工液:AWM−6を調製した。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−7)
市販のアクリル微粒子分散液(積水化学工業(株)製「K−001」、固形分20重量%)を用いた。
(アンチウォーターマーク層塗工液:AWM−8)
ATO粒子の添加量を30重量部に変更する以外は、AWM−1と同様にしてアンチウォーターマーク層塗工液:AWM−8を調製した。
(低屈折率層塗工液:LC)
市販の中空シリカ微粒子分散液(日揮触媒化成(株)製「ELCOM P−5063」、固形分3重量%)を固形分2.4重量%になるようにイソプロピルアルコール(IPA)希釈し、LCを調合した。
実施例1
透明樹脂層として、PETフィルム(三菱樹脂(株)製、PET、厚み75μm)を用い、このフィルムの上に、AWM層塗工液AWM−1をバーコーター♯8を用いて塗工した後、80℃で1分間乾燥した。塗工フィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:100mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、微小な表面凹凸構造及びハードコート性を有するAWM層を形成した。得られた透明積層フィルムにおけるAWM層の厚みは約3μmであった。
得られた透明積層フィルムのAWM層の上に、低屈折率層塗工液LCをバーコーター♯4を用いて塗工し、120℃で1分間乾燥した。その後、塗工フィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:100mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、低屈折率層を形成した。得られた低反射透明積層フィルム(AWMフィルム)における低屈折率層の厚みは約100nmであった。得られたAWMフィルムのPETフィルムの表面に、厚み25μmの粘着層を形成した。
実施例2〜5及び比較例1
AWM層塗工液として、AWM−1の代わりに、AWM−2〜6をそれぞれ用いる以外は実施例1と同様にしてAWMフィルムを作製した。
比較例2
透明樹脂層として、PETフィルム(三菱樹脂(株)製、PET、厚み75μm)を用い、このフィルムの上に、AWM層塗工液AWM−7をバーコーター♯8を用いて塗工した後、80℃で1分間乾燥した。塗工フィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:100mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、表面凹凸構造及びハードコート性を有するAWM層を形成した。得られた透明積層フィルム(AWMフィルム)におけるAWM層の厚みは約3μmであった。得られたAWMフィルムのPETフィルムの表面に、厚み25μmの粘着層を形成した。
比較例3
比較例2で得られた透明積層フィルム(粘着層を形成する前のフィルム)のAWM層の上に、低屈折率層塗工液LCをバーコーター♯4を用いて塗工し、120℃で1分間乾燥した。その後、塗工フィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:100mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、低屈折率層を形成した。得られた低反射透明積層フィルム(AWMフィルム)における低屈折率層の厚みは約100nmであった。得られたAWMフィルムのPETフィルムの表面に、厚み25μmの粘着層を形成した。
比較例4
透明樹脂層として、PETフィルム(三菱樹脂(株)製、PET、厚み75μm)を用い、このフィルムの上に、AWM層塗工液AWM−8をバーコーター♯8を用いて塗工した後、80℃で1分間乾燥した。塗工フィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製、高圧水銀ランプ、紫外線照射量:100mJ/cm)に通して、紫外線硬化処理を行い、表面凹凸構造及びハードコート性を有するAWM層を形成した。得られた透明積層フィルム(AWMフィルム)におけるAWM層の厚みは約3μmであった。得られたAWMフィルムのPETフィルムの表面に、厚み25μmの粘着層を形成した。
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られたAWMフィルムを評価した結果を表1に示す。
Figure 2016039125
表1の結果から明らかなように、実施例のAWMフィルムは、耐擦傷性及び光学特性に優れる上に、高精細ディスプレイであっても、ギラツキの発生を抑制でき、AWM性も有している。これに対して、比較例のAWMフィルムは、ギラツキの抑制とAWM性とを両立できない。
本発明のAWMフィルムは、内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイに利用できる。タッチパネルディスプレイとしては、例えば、PC、テレビ、携帯電話(スマートフォン)、電子ペーパー、遊技機器、モバイル機器、時計、電卓などの電気・電子又は精密機器の表示部において、表示装置(LCD、プラズマディスプレイ装置、有機又は無機EL表示装置など)と組み合わせて用いられる静電容量方式タッチパネルディスプレイなどに利用できる。特に、優れた視認性から、PC、4Kテレビ、スマートフォン、タブレット型PC、ペンタブレット、遊戯機器などのITOグリッド方式を採用する投影型静電容量方式タッチパネル(例えば、LCDやOLEDなどの高精細ディスプレイのタッチパネル)のアンチウォーターマークフィルムとして有用である。

Claims (10)

  1. 内部に空隙層を有する静電容量方式タッチパネルディスプレイにおいて、前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に積層されるアンチウォーターマークフィルムであって、透明であり、かつ表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.7nm以上5nm未満、かつ測定エリア500μm×500μmで算出した算術平均粗さRa2が10〜50nmである凹凸構造を有するアンチウォーターマークフィルム。
  2. アンチウォーターマークフィルムが、透明樹脂層と、この透明樹脂層の一方の面に積層され、かつ硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及び平均一次粒径1〜50nmの金属酸化物粒子を含む硬化性組成物の硬化物で形成され、かつ表面に測定エリア10μm×10μmで算出した算術平均粗さRa1が0.8nm以上1.5nm未満である凹凸構造を有するアンチウォーターマーク層とを含む透明積層フィルムである請求項1記載のアンチウォーターマークフィルム。
  3. 硬化性樹脂が、4官能以下の重合性基を有する硬化性樹脂と、5官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂とを含み、熱可塑性樹脂がセルロース誘導体であり、金属酸化物微粒子が、アンチモン含有酸化錫、酸化アンチモン、酸化錫及び酸化亜鉛からなる群から選択された少なくとも一種である請求項1又は2記載のアンチウォーターマークフィルム。
  4. 凹凸構造を有する側の表面に、さらに低屈折率層が積層されている請求項1〜3のいずれかに記載のアンチウォーターマークフィルム。
  5. 凹凸構造を有する側とは反対側の表面に、さらに接着層が積層されている請求項1〜4のいずれかに記載のアンチウォーターマークフィルム。
  6. 凹凸構造を有する側の表面の水接触角が65〜80°である請求項1〜5のいずれかに記載のアンチウォーターマークフィルム。
  7. 内部に空隙層を有し、かつ前記空隙層を介して対向する表面の少なくとも一方の表面に、請求項1〜6のいずれかに記載のアンチウォーターマークフィルムが積層された静電容量方式タッチパネルディスプレイ。
  8. 空隙層を介して対向する表面のうち、タッチパネルのフロント側の表面に、アンチウォーターマークフィルムが積層されている請求項7記載のタッチパネルディスプレイ。
  9. 空隙層とディスプレイ表面との間に含まれる透明基板が1枚のみである請求項7又は8記載のタッチパネルディスプレイ。
  10. 透明基板が、厚み50〜3000μmのガラス板である請求項9記載のタッチパネルディスプレイ。
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