JPWO2016031564A1 - 流量可変バルブ機構及び過給機 - Google Patents

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Abstract

アクチュエータ(57)の作動ロッド(75)の先端部に連結ピン(79)が一体的に設けられ、リンク部材(55)の先端部に連結ピン(79)を挿通させるためのピン穴(81)が貫通形成され、リンク部材(55)のピン穴(81)の内側に連結ピン(79)をピン穴(81)の中心側へ付勢する環状の波スプリング(89)が設けられ、波スプリング(89)は、連結ピン(79)の周溝(85)に嵌合し、複数の凸部(91)と複数の凹部(93)をその周方向に沿って交互に有し、波スプリング(89)の各凸部(91)はピン穴(81)の内周面に圧接し、波スプリング(89)の各凹部(93)は連結ピン(79)の周溝(85)の底面(85f)に圧接している。

Description

本発明は、車両用過給機等の過給機におけるタービンインペラ側へ供給される排気ガスの流量を調整するためのガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構及び過給機に関する。
車両用過給機による過給圧の過度の上昇を抑制する対策として、通常、車両用過給機におけるタービンハウジングの内部にはバイパス通路が形成されている。排気ガスの一部はこのバイパス通路を流れ、タービンインペラをバイパスする。また、タービンハウジングの適宜位置には、バイパス通路の出口側における開口部を開閉するウェイストゲートバルブが設けられている。ここで、バイパス通路は、タービンインペラ側へ供給される排気ガスの流量を調整するガス流量可変通路の1つであって、ウェイストゲートバルブは、ガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構の1つである。
ウェイストゲートバルブは、タービンハウジングに回転可能に支持されたステム(回転軸)と、バイパス通路の開口部側のバルブシートに当接可能および離隔可能なバルブと、ステム及びバルブを連結する取付部材とを備える。ステムは、タービンハウジングの外壁に貫通形成された支持穴に、正方向及び逆方向へ回転可能に支持されている。ステムの基端部(一端部)は、タービンハウジングの外側へ突出している。また、ステムの先端部には、取付部材の基端部が一体的に連結されている。取付部材の先端部にはバルブが設けられている。バルブは、バイパス通路の開口部側のバルブシートに当接可能及び離隔可能である。更に、ステムの基端部には、リンク部材の基端部(一端部)が一体的に連結されている。リンク部材が、ステムの軸心周りに正方向或いは逆方向へ揺動すると、バルブがステム及び取付部材を介して正方向或いは逆方向(開方向或いは閉方向)へ揺動する。
車両用過給機におけるコンプレッサハウジングの外壁にはアクチュエータが配設されている。アクチュエータは、リンク部材をステムの軸心周りに揺動させる。また、アクチュエータは、自己の軸方向(作動ロッドの軸方向、換言すれば、アクチュエータの軸方向)へ移動可能な作動ロッドを備えている。作動ロッドの先端部は、リンク部材の先端部(他端部)に回転可能に連結されている。作動ロッドの先端部とリンク部材の先端部を回転可能に連結するため、作動ロッドの先端部には、連結ピンが設けられており、リンク部材の先端部には、前記連結ピンを挿通(嵌合)させるためのピン穴が貫通形成されている。過給圧が設定圧に達すると、アクチュエータの駆動により作動ロッドがその軸方向(作動ロッドの軸方向)の一方側へ移動して、リンク部材を正方向へ揺動させる。バイパス通路の開口部を開いた後に、過給圧が設定圧未満になると、アクチュエータの駆動により作動ロッドがその軸方向の他方側へ移動して、リンク部材を逆方向へ揺動させる。
なお、本発明に関連する技術が、特許文献1及び特許文献2に示されている。
特開2009−236088号公報 特開2008−101589号公報
ところで、作動ロッドとリンク部材との間の連動動作(挙動)の安定性を確保するには、リンク部材のピン穴の内周面と連結ピンの外周面との間に隙間を設ける必要がある。一方、その隙間を設けると、バイパス通路の開口部が開いたときに、連結ピンがリンク部材のピン穴に対して自由に動けるようになる。そのため、エンジン側からの排気ガスの脈動(脈動圧力)又はアクチュエータ側からの脈動等が生じると、作動ロッド等が振動することになる。このような場合に、ウェイストゲートバルブからチャタリング音(振動による接触音)が発生し、ウェイストゲートバルブの静音性の低下を招くことが懸念される。
なお、前述の問題は、ウェイストゲートバルブ以外の流量可変バルブ機構においても同様に生じる。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる流量可変バルブ機構及び過給機を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、タービンハウジング又は前記タービンハウジングに連通した状態で接続した接続体の内部に、タービンインペラ側へ供給される排気ガスの流量を可変とするためのガス流量可変通路が形成された過給機に用いられ、前記ガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構であって、前記タービンハウジング又は前記接続体の外壁に支持されたステムと、基端部が前記ステムに一体的に連結された取付部材と、前記取付部材の先端部に設けられ、前記ガス流量可変通路の開口部を開閉するバルブと、基端部が前記ステムの基端部に一体的に連結されたリンク部材と、先端部が前記リンク部材の先端部に回転可能に連結され、前記リンク部材を前記ステムの軸心周りに正方向及び逆方向へ揺動させるための作動ロッドと、を具備し、前記作動ロッドの先端部又は前記リンク部材の先端部に連結ピンが設けられ、前記リンク部材の先端部又は前記作動ロッドの先端部に前記連結ピンを挿通させるためのピン穴が貫通形成され、前記ピン穴の内側に前記連結ピンを前記リンク部材又は前記作動ロッドの前記ピン穴の中心側へ付勢する付勢部材が設けられていることを要旨とする。
ここで、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「過給機」とは、単一段の過給機だけでなく、複数段(低圧段と高圧段)の過給機を含む意である。また「タービンハウジングに連通した状態で接続した接続体」とは、タービンハウジングのガス導入口又はガス排出口に連通した状態で接続した配管、マニホールド、ケーシング等を含む意である。更に、「ガス流量可変通路」とは、排気ガスの一部をタービンインペラをバイパスさせるためのバイパス通路等を含む意であって、「流量可変バルブ機構」とは、バイパス通路の開口部を開閉するウェイストゲートバルブ等を含む意である。そして、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたこと、及び一体形成されたことを含む意であって、「連結され」とは、直接的に連結されたことの他に、別部材を介して間接的に連結されたことを含む意である。「支持され」とは、直接的に支持されたことの他に、別部材を介して間接的に支持されたことを含む意である。更に、「付勢部材」とは、トーションバネ、環状の波スプリング、板バネ、内外歯形の歯付き座金等のバネ部材、耐熱ゴムからなるゴム部材等を含む意である。
本発明の第2の態様は、エンジンからの排気ガスのエネルギーを利用して、前記エンジンに供給される空気を過給する過給機であって、第1の態様に係る流量可変バルブ機構を具備したことを要旨とする。
本発明によれば、エンジン側からの排気ガスの脈動等による作動ロッド等の振動を抑制できるため、流量可変バルブ機構からのチャタリング音を低減することができる。そのため、流量可変バルブ機構の静音性、換言すれば、過給機の静音性を向上させることができる。
図1(a)は、図1(b)におけるIA-IA線に沿った断面図、図1(b)は、図4におけるIB-IB線に沿った拡大断面図であって、リンク部材のピン穴の内側に環状の波スプリングが設けられた様子を示す断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る過給機の正面図である。 図3は、図2におけるIII-III線に沿った断面図である。 図4は、ダイヤフラム式アクチュエータの断面図である。図4は、リンク部材も示している。 図5(a)は、図5(b)におけるVA-VA線に沿った断面図、図5(b)は、リンク部材のピン穴の内側に2つのトーションバネが設けられた様子を示す断面図である。 図6(a)は、図6(b)におけるVIA-VIA線に沿った断面図、図6(b)は、リンク部材のピン穴の内側に2つの板バネが設けられた様子を示す断面図である。 図7(a)は、図7(b)におけるVIIA-VIIA線に沿った断面図、図7(b)は、作動ロッドのピン穴の内側に環状の波スプリングが設けられた様子を示す断面図である。 図8は、本発明の実施形態に係る過給機の正断面図である。
本発明の実施形態について図1から図8を参照して説明する。なお、図面における「L」は左方向、「R」は右方向を示す。
本発明の実施形態に係る過給機1は例えば車両用のものである。図2及び図8に示すように、過給機1は、エンジン(図示省略)からの排気ガスのエネルギーを利用して、エンジンに供給される空気を過給(圧縮)する。
図8に示すように、過給機1は、ベアリングハウジング3を具備している。ベアリングハウジング3内には、一対のラジアルベアリング5、5及び一対のスラストベアリング7、7が設けられている。これらのベアリングは、左右方向へ延びたロータ軸(タービン軸)9を回転可能に支持する。換言すれば、ベアリングハウジング3には、ロータ軸9が複数のベアリング5,7を介して回転可能に設けられている。
ベアリングハウジング3の右側には、コンプレッサハウジング11が設けられている。また、コンプレッサハウジング11内には、コンプレッサインペラ13が回転可能に設けられている。コンプレッサインペラ13は、ロータ軸9の右端部に同心上に一体的に連結されており、遠心力を利用して空気を圧縮する。
コンプレッサハウジング11におけるコンプレッサインペラ13の入口側(空気の主流方向の上流側)には、空気を導入するための空気導入口(空気導入通路)15が形成されている。空気導入口15は、空気を浄化するエアクリーナー(図示省略)に接続する。また、ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング11との間におけるコンプレッサインペラ13の出口側(空気の主流方向の下流側)には、ディフューザ流路17が設けられている。ディフューザ流路17は環状に形成され、圧縮された空気を昇圧する。更に、コンプレッサハウジング11の内部には、コンプレッサスクロール流路19が設けられている。コンプレッサスクロール流路19は、コンプレッサインペラ13を囲むように渦巻き状に形成されており、ディフューザ流路17に連通している。コンプレッサハウジング11の外壁の適宜位置には、圧縮された空気を排出するための空気排出口(空気排出通路)21が形成されている。空気排出口21は、コンプレッサスクロール流路19に連通しており、エンジンの給気マニホールド(図示省略)に接続する。
ベアリングハウジング3の左側には、タービンハウジング23が設けられている。また、タービンハウジング23内には、タービンインペラ25が回転可能に設けられている。タービンインペラ25は、ロータ軸9の左端部に同心上に一体的に連結されており、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力(回転トルク)を発生させる。
図2、図3、及び図8に示すように、タービンハウジング23の外壁の適宜位置には、排気ガスを導入するためのガス導入口(ガス導入通路)27が形成されている。ガス導入口27は、エンジンの排気マニホールド(図示省略)に接続する。また、タービンハウジング23の内部におけるタービンインペラ25の入口側(排気ガスの主流方向の上流側)には、渦巻き状のタービンスクロール流路29が形成されている。そして、タービンハウジング23におけるタービンインペラ25の出口側(排気ガスの主流方向の下流側)には、排気ガスを排出するためのガス排出口(ガス排出通路)31が形成されている。ガス排出口31は、接続管(図示省略)等を介して、触媒を用いた排気ガス浄化装置(図示省略)に接続する。
図2及び図3に示すように、タービンハウジング23の内部には、バイパス通路33が形成されている。ガス導入口27から導入した排気ガスの一部は、バイパス通路33を流れ、ガス排出口31側へ導出される。即ち、排気ガスの一部は、バイパス通路33によって、タービンインペラ25をバイパスする。バイパス通路33は、タービンインペラ25側へ供給される排気ガスの流量を調節するための所謂ガス流量可変通路であり、例えば特開2013−185552号公報に示す公知のバイパス通路と同様の構成を有している。
タービンハウジング23の適宜位置には、ウェイストゲートバルブ35が設けられている。ウェイストゲートバルブ35は、バイパス通路33の開口部を開閉するように構成されている。即ち、ウェイストゲートバルブ35は所謂流量可変バルブ機構である。
ウェイストゲートバルブ35は、タービンハウジング23に回転可能に支持されたステム(回転軸)39と、バイパス通路33の開口部(バルブシート47)を開閉するバルブ45と、ステム39及びバルブ45を連結する取付部材43とを備える。ステム39は、タービンハウジング23の外壁に貫通形成された支持穴37に、ブッシュ41を介して正方向及び逆方向へ回転可能に支持されている。ステム39の基端部(一端部、第1の端部)は、タービンハウジング23の外側へ突出している。また、ステム39の先端部(他端部、第2の端部)には、取付部材(取付板)43の基端部が一体的に連結されている。取付部材43の先端部には、二面幅(width across flats)を有する形状又は円形状の取付穴(図示省略)が貫通形成されている。なお、取付部材43の基端部は、例えば、隅肉溶接、TIG溶接、レーザビーム溶接、又はかしめ等によってステム39の先端部に固定される。
取付部材43の取付穴には、バルブ45が嵌合している。この嵌合において、バルブ45は、取付部材43に対する遊び(傾動及び微動を含む)が許容されている。また、バルブ45は、バイパス通路33の開口部側のバルブシート47に当接可能及び離隔可能なバルブ本体49、及びバルブ本体49の中央部に一体形成されかつ取付部材43の取付穴に嵌合したバルブ軸51を備えている。上述の通り、取付部材43に対するバルブ45の遊び(ガタ)が許容されることによって、バルブシート47に対するバルブ本体49の密着性を確保している。更に、バルブ軸51の先端部には、取付部材43に対するバルブ45の離脱を防止するための環状の止め金(座金)53が隅肉溶接によって一体的に設けられている。なお、止め金53は、例えば、隅肉溶接、TIG溶接、レーザビーム溶接、又はかしめ等によってバルブ軸51の先端部に一体的に設けられる。
ここで、バルブ軸51がバルブ本体49の中央部に一体形成されかつ止め金53がバルブ軸51の先端部に一体的に設けられる代わりに、バルブ軸51がバルブ本体49の中央部に一体的に設けられかつ止め金53がバルブ軸51の先端部に一体形成されても構わない。なお、バルブ軸51は、例えば、かしめ、隅肉溶接、TIG溶接、又はレーザビーム溶接によってバルブ本体49の中央部に一体的に設けられる。
ステム39の基端部には、リンク部材(リンク板)55の基端部(一端部)が一体的に連結されている。ここで、リンク部材55をステム39の軸心周りに正逆方向へ揺動させることによって、バルブ45がステム39及び取付部材43を介して正方向及び逆方向(開方向及び閉方向)へ揺動する。なお、リンク部材55の基端部は、例えば、隅肉溶接、TIG溶接、レーザビーム溶接、又はかしめ等によってステム39の基端部に一体的に連結される。
図2から図4に示すように、コンプレッサハウジング11の外壁には、アクチュエータ57がブラケット59を介して設けられている。アクチュエータ57は、例えば下記の通り、ダイヤフラム式アクチュエータであり、リンク部材55をステム39の軸心周りに正逆方向へ揺動させる。アクチュエータ57は、筒状のアクチュエータ本体61を備えている。また、アクチュエータ本体61内には、ダイヤフラム63が圧力室65と大気室67を区画するように設けられている。圧力室65は、圧力源としての空気排出口21から正圧の空気が供給される部屋(空間)である。大気室67は、大気に連通した部屋である。ダイヤフラム63における圧力室65側の面には、第1リテーナプレート69が設けられている。ダイヤフラム63における大気室67側の面には、第2リテーナプレート71が設けられている。更に、大気室67内には、復帰バネ(コイルバネ)73が設けられている。復帰バネ73は、ダイヤフラム63を圧力室65側へ付勢する。
アクチュエータ本体61には、作動ロッド75が、ブッシュ77を介して設けられている。作動ロッド75は、アクチュエータ本体61から外側へ突出しており、その軸方向(作動ロッド75の軸方向)へ移動可能である。また、作動ロッド75の基端部は、ダイヤフラム63の中央部に一体的に連結されている。作動ロッド75の先端部は、平板形状を呈しており、リンク部材55の先端部に回転可能(揺動可能)に連結されている。
図1(a)、図1(b)及び図4に示すように、作動ロッド75の先端部とリンク部材55の先端部を回転可能に連結するため、作動ロッド75の先端部には、断面円形状の連結ピン79(連結ピン79の基端部)が一体的に設けられる(一体的に連結される)。また、リンク部材55の先端部には、連結ピン79を挿通(嵌合)させるための円形状のピン穴81が貫通形成されている。連結ピン79は、基端部側に、リンク部材55の先端部を支持可能なフランジ部83を有している。連結ピン79の中間部(基端部と先端部の間の部位)には、周溝85が形成されている。更に、連結ピン79の先端部には、作動ロッド75に対するリンク部材55の離脱を防止するための止め輪87が設けられている。なお、連結ピン79は、例えば、かしめ、隅肉溶接、TIG溶接、又はレーザビーム溶接によって作動ロッド75の先端部に一体的に設けられる。連結ピン79の断面形状及びピン穴81の形状は円形である。しかしながら、これらの形状は、連結ピン79がピン穴81に対して相対的に回転可能であれば、四角形状等の任意の形状に変更してもよい。例えば、連結ピン79の断面形状を円形状にしかつピン穴81の形状を四角形状にする等、連結ピン79の断面形状とピン穴81の形状の組み合わせも適宜に変更してもよい。
図1(a)及び図1(b)に示すように、リンク部材55のピン穴81の内側には、連結ピン79をピン穴81の中心側へ付勢する付勢部材としての波スプリング89が設けられている。波スプリング89は環状に形成され、連結ピン79をピン穴81の中心側へ付勢する。波スプリング89は、例えばNi基合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等の耐熱金属からなり、連結ピン79の周溝85に嵌合している。また、波スプリング89は、連結ピン79(リンク部材55のピン穴81)の半径方向外側へ突出した複数の凸部(山部、凸面部)91と、連結ピン79の半径方向内側へ窪んだ複数の凹部(谷部、凹面部)93とを有する。凸部91と凹部93は、波スプリング89の周方向に沿って交互に配列している。更に、波スプリング89の各凸部91は、波スプリング89の弾性力(付勢力)によって、リンク部材55のピン穴81の内周面に圧接している。なお、圧接とは押し付けられながら接触することを意味する。波スプリング89の各凹部93は、波スプリング89の弾性力によって連結ピン79の周溝85の底面85f(連結ピン79の外周面)に圧接している。なお、波スプリング89の個数は、1つに限るものでなく、2つ以上であってもよい。波スプリング89の凸部91及び凹部93の個数についても適宜に変更可能である。波スプリング89には、本発明の効果を発揮できる範囲内において、複数の切れ目(図示省略)等を周方向(波スプリング89の周方向)に沿って間隔を置いて形成してもよい。
そして、連結ピン79をピン穴81の中心側へ付勢する付勢部材等の構成については、次のように変更が可能である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、上述の付勢部材として、少なくとも2つのトーションバネ95を用いてもよい。トーションバネ95は、例えばNi基合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等の耐熱金属からなる。トーションバネ95を用いる場合、連結ピン79の側面には、トーションバネ95を収容する周溝85が形成される。ここで、各トーションバネ95は、連結ピン79の周溝85に囲むように嵌合して設けられたコイル部97と、このコイル部97の両端にそれぞれ突出して一体形成された一対のアーム部99とを備えている。また、各トーションバネ95の各アーム部99の先端側は、曲げ成形されており、各トーションバネ95の弾性力(付勢力)によってリンク部材55のピン穴81の内周面に圧接している。更に、一方のトーションバネ95のアーム部99と他方のトーションバネ95のアーム部99は、互いに反対方向へ突出している。なお、トーションバネ95の個数は、2つに限られず、1つ又は3つ以上であってもよい。連結ピン79の周溝85の個数も、トーションバネ95の個数に等しくてもよく、異なっていてもよい。例えば、連結ピン79に1つの周溝85を設け、2つのトーションバネ95のコイル部97がこの1つの周溝85に嵌合していてもよい。
図6(a)及び図6(b)に示すように、上述の付勢部材として、板バネ101を用いてもよい。板バネ101は、例えばNi基合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等の耐熱金属からなり、連結ピン79を挟持することで、連結ピン79をリンク部材55のピン穴81の中心側へ付勢する構造を有する。図6(a)及び図6(b)に示す例では、2つの板バネ101が用いられる。リンク部材55のピン穴81の形状は矩形状(四角形状)を呈している。ここで、各板バネ101の断面は、U字形状を呈しており、各板バネ101の一部分は、連結ピン79の周溝85に嵌合している。また、各板バネ101は、その弾性力(付勢力)によってリンク部材55のピン穴81の内周面及び連結ピン79の周溝85の底面85f(連結ピン79の外周面)に圧接している。なお、板バネ101の個数は2つに限られず、複数の板バネ101が連結ピン79をリンク部材55のピン穴81の中心側へ付勢していれば、3つ以上であってもよい。また、リンク部材55のピン穴81の形状は、矩形状以外の多角形状であってもよい。
図7(a)及び図7(b)に示すように、リンク部材55の先端部に連結ピン79が一体的に設けられ、作動ロッド75の先端部にピン穴81が貫通形成されてもよい。この場合に、連結ピン79のフランジ部83は、作動ロッド75の先端部を支持可能になっている。なお、図7(a)及び図7(b)は、作動ロッド75のピン穴81の内側に付勢部材の一例として環状の波スプリング89が設けられた様子を示している。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
ガス導入口27から導入した排気ガスがタービンスクロール流路29を経由してタービンインペラ25の入口側から出口側へ流通することにより、排気ガスの圧力エネルギーを利用して回転力(回転トルク)を発生させて、ロータ軸9及びコンプレッサインペラ13をタービンインペラ25と一体的に回転させることができる。これにより、空気導入口15から導入した空気を圧縮して、ディフューザ流路17及びコンプレッサスクロール流路19を経由して空気排出口21から排出することができ、エンジンに供給される空気を過給することができる。
過給機1の運転中に、過給圧(空気排出口21の圧力)が設定圧に達して、圧力源としての空気排出口21から圧力室65に正圧が印加されると、作動ロッド75がその軸方向(作動ロッド75の軸方向)の一方側(左方向)へ移動して、リンク部材55を正方向(図2及び図4において時計回り方向)へ揺動させる。すると、バルブ45がステム39及び取付部材43を介して正方向(開方向)へ揺動して、バイパス通路33の開口部を開くことができる。これにより、ガス導入口27から導入した排気ガスの一部をタービンインペラ25をバイパスさせて、タービンインペラ25側へ供給される排気ガスの流量を減少させることができる。
また、バイパス通路33の開口部を開いた後に、過給圧が設定圧未満になって、空気排出口21からの正圧の印加状態が解除されると、復帰バネ73の付勢力によって作動ロッド75がその軸方向の他方側(右方向)へ移動して、リンク部材55を逆方向(図2及び図4において反時計回り方向)へ揺動させる。すると、バルブ45がステム39及び取付部材43を介して逆方向(閉方向)へ揺動して、バイパス通路33の開口部を閉じることができる。よって、バイパス通路33内の排気ガスの流れを遮断して、タービンインペラ25側へ供給される排気ガスの流量を増加させることができる。
環状の波スプリング89等のバネ部材によって連結ピン79をリンク部材55又は作動ロッド75のピン穴81の中心側へ付勢しているため、エンジン側からの排気ガスの脈動(脈動圧力)又はダイヤフラム式アクチュエータ57側からの脈動等が生じても、その脈動等による作動ロッド75及びリンク部材55の振動、特に、作動ロッド75の軸方向の振動を抑制することができる。また、エンジン側からの排気ガスの脈動等による作動ロッド75等の振動を抑制することによって、結果的に、その脈動等によるバルブ45とバルブシート47又は取付部材43の振動も抑制することができる。特に、バネ部材として波スプリング89を用いた場合には、連結ピン79をその周方向(連結ピン79の周方向)に沿ってピン穴81の中心側へ安定して付勢することができ、作動ロッド75等の振動の抑制効果を高めることができる。
波スプリング89、トーションバネ95、又は板バネ101の少なくとも一部分が連結ピン79の周溝85に嵌合しているため、連結ピン79の外周面とピン穴81の内周面との最小隙間を変更することなく、波スプリング89等のバネ部材を容易に組付けることができると共に、波スプリング89等のバネ部材がピン穴81の内側から離脱することを防止することができる。
従って、本発明の実施形態によれば、エンジン側からの排気ガスの脈動等による作動ロッド75等の振動を抑制できるため、ウェイストゲートバルブ35からのチャタリング音を低減することができ、ウェイストゲートバルブ35の静音性、換言すれば、過給機1の静音性を向上させることができる。
また、波スプリング89等のバネ部材の取付性を高めつつ、波スプリング89等のバネ部材がリンク部材55又は作動ロッド75のピン穴81の内側から離脱することを防止できるため、ウェイストゲートバルブ35の組立性の向上を図りつつ、ウェイストゲートバルブ35の静音性を安定的に向上させることができる。
更に、エンジン側からの排気ガスの脈動等による作動ロッド75等の振動を抑制できるため、前述の効果の他に、連結ピン79の外周面の摩耗、リンク部材55又は作動ロッド75のピン穴81の内周面の摩耗を低減することができる。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、次のように種々の態様で実施可能である。
タービンハウジング23の適宜位置にバイパス通路33を開閉するウェイストゲートバルブ35が設けられる代わりに、タービンハウジング23のガス導入口27に連通した状態で接続した排気マニホールド(図示省略)の適宜位置に、排気マニホールドに形成したバイパス通路(図示省略)の開口部を開閉するウェイストゲートバルブ(図示省略)が設けられてもよい。
空気排出口21から圧力室65に正圧を印加する代わりに、エンジン側の別の圧力源(図示省略)から圧力室65に負圧を印加してもよい。この場合には、復帰バネ73が圧力室65に設けられる。また、アクチュエータ本体61が内側に大気室67の代わりに、負圧ポンプ等の別の圧力源(図示省略)から負圧を印加可能な別の圧力室(図示省略)を有してもよい。ダイヤフラム式アクチュエータの代わりに、電子制御による電動式アクチュエータ(図示省略)又は油圧駆動による油圧式アクチュエータ(図示省略)を用いてもよい。更に、リンク部材55の先端部及び作動ロッド75の先端部のうちの少なくとも一方が二股に分岐した形状を呈していてもよい。一例として、波スプリング89等の少なくとも一部分が連結ピン79の周溝85に嵌合する説明をしたが、連結ピン79の外周面に周溝85を形成する代わりに、ピン穴81の内径を大きくしたり、ピン穴81の内周面に波スプリング89等の少なくとも一部分を嵌合させるための周溝(図示省略)を形成したりしてもよい。連結ピン79をリンク部材55又は作動ロッド75のピン穴81の中心側へ付勢する付勢部材として、環状の波スプリング89等のバネ部材を用いる代わりに、内外歯形の歯付き座金等の別のバネ部材、又は耐熱ゴムからなるゴム部材を用いてもよい。この場合に、バネ部材又はゴム部材の表面に耐熱コーティングが施されていてもよい。
そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されない。即ち、本願の流量可変バルブ機構は、前述のウェイストゲートバルブ35に限定されるものでなく、例えば実開昭61−33923号公報及び特開2001−263078号公報等に示すように、タービンハウジング(図示省略)内に形成された複数のタービンスクロール流路(図示省略)のうちのいずれかのタービンスクロール流路に対して排気ガスの供給状態と供給停止状態とを切り替える切替バルブ機構(図示省略)にも適用可能である。また、本願の流量可変バルブ機構は、例えば特開2010−209688号公報、特開2011−106358号公報等に示すように、複数段のタービンハウジング(図示省略)のうちいずれかの段のタービンハウジングに対して排気ガスの供給状態と供給停止状態とを切り替える切替バルブ機構(図示省略)にも適用可能である。

Claims (5)

  1. タービンハウジング又は前記タービンハウジングに連通した状態で接続した接続体の内部に、タービンインペラ側へ供給される排気ガスの流量を可変とするためのガス流量可変通路が形成された過給機に用いられ、前記ガス流量可変通路の開口部を開閉する流量可変バルブ機構であって、
    前記タービンハウジング又は前記接続体の外壁に支持されたステムと、
    基端部が前記ステムに一体的に連結された取付部材と、
    前記取付部材の先端部に設けられ、前記ガス流量可変通路の開口部を開閉するバルブと、
    基端部が前記ステムの基端部に一体的に連結されたリンク部材と、
    先端部が前記リンク部材の先端部に回転可能に連結され、前記リンク部材を前記ステムの軸心周りに正方向及び逆方向へ揺動させるための作動ロッドと、を具備し、
    前記作動ロッドの先端部又は前記リンク部材の先端部に連結ピンが設けられ、前記リンク部材の先端部又は前記作動ロッドの先端部に前記連結ピンを挿通させるためのピン穴が貫通形成され、前記ピン穴の内側に前記連結ピンを前記リンク部材又は前記作動ロッドの前記ピン穴の中心側へ付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする流量可変バルブ機構。
  2. 前記連結ピンの中間部の外周面に周溝が形成され、前記付勢部材の少なくとも一部分が前記連結ピンの前記周溝に嵌合していることを特徴とする請求項1に記載の流量可変バルブ機構。
  3. 前記付勢部材は、前記連結ピンの半径方向外側へ突出した複数の凸部と、前記連結ピンの半径方向内側へ窪んだ複数の凹部を周方向に沿って交互に有した環状の波スプリングであって、前記波スプリングの前記凸部が前記リンク部材又は前記作動ロッドの前記ピン穴の内周面に圧接し、前記波スプリングの前記凹部が前記連結ピンの外周面に圧接していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流量可変バルブ機構。
  4. 前記付勢部材は、前記連結ピンの外周面に囲むように設けられたコイル部と、前記コイル部の両端にそれぞれ突出して設けられた一対のアーム部とを備えたトーションバネであって、前記トーションバネの各アーム部が前記リンク部材又は前記作動ロッドの前記ピン穴の内周面に圧接していることを特徴する請求項1又は請求項2に記載の流量可変バルブ機構。
  5. エンジンからの排気ガスのエネルギーを利用して、前記エンジンに供給される空気を過給する過給機において、
    請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の流量可変バルブ機構を具備したことを特徴とする過給機。
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