JPWO2016024309A1 - 同期リラクタンス回転電機 - Google Patents

同期リラクタンス回転電機 Download PDF

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Abstract

ロータの強度に優れ、かつ、低コストで製造することができる同期リラクタンス回転電機を提供する。同期リラクタンス電動機は、周方向に沿って複数本の横軸が形成されたロータ3を有する。ロータ3は、1本の横軸を形成するためにロータ3の周方向にセンタブリッジ32を挟んで隣り合った2個の横軸穴35aおよび35bを有する。この横軸穴35aおよび35bは、各々センタブリッジ32の反対側においてロータ3の外周に連通している。センタブリッジ32は、複数の横軸穴35aおよび35bの内接円よりもロータ3の半径方向外側に位置している。また、ロータ3は、隣り合った2本の横軸間の直軸の方向に突出した直軸突起37を有する。

Description

この発明は、リラクタンストルクを利用する同期リラクタンス電動機等の同期リラクタンス回転電機に関する。
同期リラクタンス電動機のトルクTは、次式により表すことができる。
T=Pn・(Ld−Lq)・id・iq ……(1)
上記式(1)において、Ldは直軸インダクタンス、Lqは横軸インダクタンス、idは直軸電流、iqは横軸電流、Pnは極対数である。ここで、直軸インダクタンスLdは電機子巻線の巻数、ギャップ長および鉄心材料の磁気特性によりほぼ決定される。同期リラクタンス電動機では、この直軸インダクタンスLdが最大のインダクタンスになるので、横軸インダクタンスLqがなるべく小さくなるようにロータの構造が決められる。巻線の巻回数が一定の状態で横軸インダクタンスを小さくするためには、横軸での比透磁率を小さくすること、すなわち磁気抵抗を増大することが必要である。そこで、従来の同期リラクタンス電動機では、横軸に沿った磁束の磁路1周当りの空気の割合を増やすことにより横軸インダクタンスLqを小さくしていた。
図5は従来の同期リラクタンス電動機のロータの構成例を示す断面図である。図示の例では、直軸インダクタンスLdを大きく、横軸インダクタンスLqを小さくするために、空気層のスリットを2層としている。図5において、101はロータ鉄心、102はスリット1層目(外周側)、103はスリット2層目、104はサイドブリッジ(1層目)、105はサイドブリッジ(2層目)である。ここで、スリット102、103のサイドブリッジ104および105の厚さは、両者同一であるのが一般的である。また、このサイドブリッジの厚さは可能な限り薄い方が横軸インダクタンスを小さくできて好ましいが、遠心力に対する機械的抗力が弱くなるので、回転数に応じて寸法を決めている。
同期リラクタンス電動機の長所はロータに磁石などがなく、高速回転に耐えられることである。しかし、同期リラクタンス電動機では、ロータに働く遠心力によって図5に示すスリット102のサイドブリッジ104およびスリット103のサイドブリッジ105に応力が集中する。このため、同期リラクタンス電動機では、サイドブリッジの応力を材料の強度以下に抑えるようにサイドブリッジの寸法を決める必要がある。
特開2002−10594号公報
一般に電動機は、シャフトに対してロータ鋼材を嵌め合い固定する場合に、ロータ鋼材に周方向の組み立て残留応力が残る。この組み立て残留応力が主に残留する範囲は、ロータ軸を中心とした円周上に穴や切り欠きが存在しない半径範囲(つまりリング状につながっている範囲)である。従来例の場合、サイドブリッジ104および105があるので、ロータの最外周にはリング状領域があり、この最外周のリング状領域には引張残留応力が残る。また、サイドブリッジ104および105には、ロータの回転時に遠心力に起因したせん断応力が加わる。従って、ロータの回転時にサイドブリッジ104および105には、組み立て時の引張残留応力に加え、遠心力に起因するせん断応力が重畳される。サイドブリッジが破損するのを防止するために従来例では、サイドブリッジ104および105の幅を広げる必要がある。このため従来例では、横軸インダクタンスLqの極小化に限界があった。
また、一般に、ロータの外周面に凹凸を設けると、ロータに発生するトルクの高調波成分を基本波成分に転換することができ、トルク脈動を減らし、トルクを増大させることができる。しかし、従来例のように、横軸穴の外側に穴や窪みのないリング状の最外周領域のあるロータの場合、最外周のリング状の領域に組み立て残留応力が残存する。従って、従来のロータにおいて、このような残留応力の残存しているロータの最外周面に応力集中を招く凹凸を設けるのは困難である。このため、従来の同期リラクタンス電動機は、ロータの外周面に凹凸を設けてトルクを高めることが困難であった。
この発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、ロータの強度に優れ、かつ、低コストで製造することができる同期リラクタンス回転電機を提供することにある。また、この発明の第2の目的は、ロータの強度を低下させることなく、ロータが発生するトルクを増加させることにある。
この発明は、周方向に沿って形成される横軸穴の間にセンタブリッジが形成されるロータを有し、偶数個の前記横軸穴と前記センタブリッジとで1極が構成される同期リラクタンス回転電機において、前記横軸穴は前記センタブリッジと反対側において前記ロータの外周に連通し、前記センタブリッジは前記横軸穴の内接円よりも前記ロータの半径方向外側に位置していることを特徴とする同期リラクタンス回転電機を提供する。
この発明によれば、横軸穴をロータ外周に連通させたため、ロータの最外周に組み立て残留応力の残存領域が発生しない。このため、回転時におけるロータの強度を高めることができる。また、横軸穴をロータ外周に連通させる構成であり、そもそもサイドブリッジが不要であるため、漏れ磁束低減のためにサイドブリッジのない鋼板とサイドブリッジのある鋼板とを組み合わせてロータを構成する必要もない。従って、1種類の鋼板のみを積層させてロータを製造できる。また、センタブリッジが複数の横軸穴の内接円よりもロータの半径方向外側に位置しているので、ロータの回転時におけるセンタブリッジの強度を高めることができる。さらに詳述すると、回転電機の製造においてシャフトのロータへの締り嵌めを行う際、ロータ鋼材には周方向に引張応力が残留する。この残留応力は、横軸穴の内接円の外側には殆ど発生しない。一方、ロータの回転時には、遠心力による引っ張り応力がセンタブリッジに発生する。この発明によれば、ロータの回転時に、遠心力による引っ張り応力が集中するセンタブリッジが、締り嵌め加工による残留応力が主に発生する内接円内から離れて位置しているため、ロータの回転時におけるセンタブリッジの強度を高めることができる。
この発明による同期リラクタンス回転電機の一実施形態である同期リラクタンス電動機の構成を示す縦断面図である。 同実施形態におけるロータの1極分の構成を示す斜視図である。 同実施形態におけるロータの1極分の構成を示す正面図である。 この発明の他の実施形態である同期リラクタンス回転電機のロータの1極分の構成を示す正面図である。 従来の同期リラクタンス電動機のロータの構成を示す図である。
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
図1はこの発明による同期リラクタンス回転電機の一実施形態である同期リラクタンス電動機の全体構成を示す縦断面図である。図1において、フレーム1は、同期リラクタンス電動機全体を覆う筐体であり、鉄、アルミ、ステンレスなどにより構成されている。フレーム1の内側には、中空円筒状の固定側鉄心2が設けられている。この固定側鉄心2は、けい素鋼板を積層してなるものである。この固定側鉄心2には、穴が設けられており、この穴には銅線などによるステータ巻線が挿通されている(図示略)。固定側鉄心2の内側には、固定側鉄心2との間に所定のギャップを挟んだ状態で、回転側鉄心であるロータ3が挿通されている。このロータ3は、けい素鋼板を積層してなるものである。なお、単純な鉄ブロックを切削加工することによりロータ3が構成される場合もある。ロータ3は、その中心を鉄などによるシャフト4が貫通している。理想的には、シャフト4の中心軸がロータ3の回転中心軸4aとなる。そして、シャフト4は、ベアリング鋼などからなる転がり軸受け5を介して、フレーム1の前後両端に設けられたシールド6に支持されている。
この例においてロータ3は、ステータ巻線(図示せず)によって作られる回転磁界によってエネルギを与えられ、回転中心軸4a廻りに回転する。
本実施形態の特徴は、ロータ3の構成にある。図2は本実施形態におけるロータ3の1極分の構成を示す斜視図である。また、図3は回転中心軸4a方向からロータ3の1極分を見た正面図である。なお、図3では、ロータ3の構成の理解を容易にするため、1極分の構成に加えて、その回転方向両隣の極の構成を破線により示した。
本実施形態によるロータ3は、回転中心軸4a寄りの芯部31と、横軸近辺に設けられた2個の横軸穴35aおよび35bと、回転中心軸4aからみて横軸穴35aおよび35bの外側のロータ鋼材からなる横軸外周縁部33と、横軸穴35aおよび35bの間に形成され、芯部31と横軸外周縁部33とを各々繋ぐ各極のセンタブリッジ32と、直軸方向に設けられた直軸突起37とに大別することができる。ここで、横軸は直軸に比べて磁気抵抗が大きく磁束が流れにくくなっており、例えば、センタブリッジ32の周方向幅を直軸突起37の周方向幅よりも狭くすることで形成することができる。
1極分の横軸外周縁部33は、略円弧状の断面形状を有しており、ロータ回転方向中央において、センタブリッジ32を介して芯部31と繋がっている。この横軸外周縁部33の外周面は、回転中心軸4aからロータ最外周部までの距離よりも大きい曲率半径を有している。なお、このように横軸外周縁部33の全部ではなく、横軸外周縁部33の一部の曲率半径を回転中心軸4aからロータ最外周部までの距離より大きくしてもよい。
横軸外周縁部33の内側には、横軸穴35aおよび35bが設けられている。この横軸穴35aおよび35bは、横軸外周縁部33、センタブリッジ32および芯部31により3方向から囲まれている。横軸外周縁部33は、直軸インダクタンスLdを高める役割を持つ。各極に対応した各横軸外周縁部33は、隣のものとの間に隙間を挟んでロータ回転方向に並んでいる。2個の横軸外周縁部33間の隙間は、直軸付近に位置している。横軸穴35aおよび35bは、センタブリッジ32と反対側、すなわち、直軸付近の隙間を介してロータ外周に連通している。
横軸穴35aおよび35bは、横軸を対称軸として逆V字状に配列されている。そして、横軸穴35aおよび35bの内周壁における回転中心軸4a側の領域(芯部31)は、直軸から離れて横軸付近(すなわち、センタブリッジ32付近)に近づくに従って回転中心軸4aから離れる方向に傾いている。このため、センタブリッジ32は、横軸穴35a、35bの内接円36よりもロータ半径方向外側に離れた位置にある。このように、2個の横軸穴35aおよび35bとセンタブリッジ32とで1極が構成される。
また、直軸突起37は2個の横軸穴35aおよび35bのセンタブリッジ32に対してロータ回転方向反対側、すなわち直軸上にある。なお、図2および図3では1極分しか示されていないが、全周分では隣り合った2つのセンタブリッジの間に位置することになる。
以上が本実施形態におけるロータ3の構成である。
本実施形態におけるロータ3は、横軸穴35aおよび35bがロータ外周に連通した構成となっている。以下、この構成を採用した理由を説明する。
電動機の製造では、焼き嵌めなどの締り嵌めによって、シャフトとロータ鋼材を組み立てる方法が一般的である。この締り嵌めの工程において、ロータ鋼材には周方向に引張応力が残留する。この残留応力は、ロータの高速回転中にも残ったままである。本願発明者らが有限要素法により計算したところ、この残留応力は、ロータ鋼材に穴や窪みなどのある部分と同じ半径を持つ円周上には殆ど発生しないことが確認された(すなわち、穴も窪みもなく、リング状につながっている部分でないと応力は残存しない)。
一方、ロータの回転時、特に高速回転時には、ロータの各部分に強大な遠心力が発生する。その際、従来例のように、ロータがサイドブリッジを持つ場合には、このサイドブリッジに大きな応力が発生する。この場合、ロータの回転により発生する遠心力により、サイドブリッジにはせん断応力が発生する。このため、高速回転時には、組み立て時に発生し高速回転中も残留したままの周方向引っ張り応力と、高速回転に伴う遠心力に由来する径方向のせん断応力とが重畳する。高速回転によるロータの破損を防止するためには、サイドブリッジの強度を十分に高くする必要があり、そのためにサイドブリッジを太くしたりすると横軸インダクタンスLqを十分に小さくできず、この点がロータの強度設計を難しくしていた。
そこで、本実施形態では、ロータの構成として、横軸穴35aおよび35bがロータ外周に連通した構成、すなわち、従来例におけるサイドブリッジのない構成を採用した。本実施形態によれば、ロータが最外周にサイドブリッジを有していないため、ロータの最外周には組み立て残留応力が残存しない。ロータの回転時の遠心力により発生する応力はセンタブリッジに集中するが、このセンタブリッジに働く応力は引っ張り応力であるため、センタブリッジの幅の調整等によりセンタブリッジが破損に至らないように対処することが容易である。しかも、横軸穴35aおよび35bがロータ外周に連通したロータ構成は、以下に述べる大きな利点をもたらす。
まず、本実施形態におけるロータ3には、製作面での利点がある。すなわち、本実施形態による横軸穴を一体物の金属塊から成形する場合、ワイヤカットなどにより、外周側からの除去加工のみで成形可能である。従来例のように、スリットを成形する際に、アキシャル方向からの加工を行う必要がなく、全てラジアル方向からの加工で成形可能である。
また、本実施形態におけるロータ3は、サイドブリッジのある従来例に比して磁束の漏れ経路が少ない。本実施形態のセンタブリッジも磁束の漏れ経路にはなるが、従来例のサイドブリッジの本数に比べて明らかにセンタブリッジの本数が少ない。また、センタブリッジは、細くすることが可能である。すなわち、本実施形態によるセンタブリッジには組み立て時の応力は残留しておらず、遠心力も、単純な一軸引張の状態で、このような応力状況に対して鉄鋼材料は強い。このため本実施形態によるセンタブリッジは、従来例のサイドブリッジよりも細いものが可能で、これによりブリッジ1本当たりの漏れ磁束量も減らせる。このため、従来例より横軸インダクタンスLqを小さくすることができ、これがトルクの増加に貢献する。
さらに本実施形態によるロータ3には冷却面でも利点がある。すなわち、ロータ3は、回転軸方向の風通しがよく、ロータ冷却に有利である。従って、本実施形態によるロータ3を採用することにより、電動機容量に関する規制を緩和することができる。
本実施形態の他の特徴として直軸突起37がある。この直軸突起37は、強いリラクタンストルクを生むことができ、ロータに発生するトルクの増加に貢献する。
さらに本実施形態の他の特徴として、横軸外周縁部33の形状がある。ロータの外周面に凹凸を設けると、ロータに発生するトルクの高調波成分を基本波成分に転換することができ、トルク脈動を減らし、トルクを増大させることができる。一方、凹凸部に力が加わると、応力集中と呼ばれる現象により、局所的に高い応力が発生することが広く知られている。従来例のようにスリットがロータ外周に連通しておらず、最外周がリング状に連続したロータがある場合、ロータ外周面付近のリング状の領域に組み立て残留応力が残存する。このため従来例のロータにおいて、このような残留応力の残存しているロータの最外周面に、応力集中を招く凹凸を設けるのは困難である。しかしながら、本実施形態において、横軸穴35aおよび35bをロータ外周と連通させているため、ロータ3の最外周領域である横軸外周縁部33に残留応力は残存しない。従って、本実施形態では、トルクを増大させるために、ロータ3の最外周領域である横軸外周縁部33の外周面に凹凸を設けることが容易である。そこで、本実施形態において、ロータ回転中心からみて横軸穴の外側にある横軸外周縁部33の外周面の曲率半径を、ロータ回転中心からロータ最外周部までの距離よりも大きくしている。なお、横軸外周縁部33の外周面は曲面である必要はなく、ロータ回転中心からみてセンタブリッジ32を通る延長線上に位置する横軸外周縁部33の外周面がその他の位置の外周面に対し、ロータ回転中心からの距離が短ければトルクを増大させることができる。このように、本実施形態では、発生応力を高めることなく、ロータ3に発生するトルクの脈動を減らし、トルクを増大させることができる。
また、本実施形態の最大の特徴として、横軸穴内接円36と、センタブリッジ32の位置関係がある。この特徴により得られる効果を説明すると、次の通りである。
まず、シャフト4のロータ3への締り嵌め工程において、ロータ鋼材には周方向に引張応力が残留する。この残留応力は、横軸穴35aおよび35bと同じ半径を持つ円周上には殆ど発生しない。従って、本実施形態におけるロータ3では、横軸穴35aおよび35bの内接円36よりもロータ半径方向外側には、組み立て残留応力は殆ど残存しない。一方、ロータ3の回転時には、遠心力による引っ張り応力がセンタブリッジ32に発生する。横軸穴内周壁の横軸付近を、同じく横軸内周壁の直軸付近よりも、半径方向外側に配置した場合、このセンタブリッジ32の位置は、残留応力が主に発生する内接円36内よりもロータ半径方向外側に遠ざかる。このように本実施形態によれば、ロータ3の回転時に、遠心力による引っ張り応力が集中するセンタブリッジ32が、締り嵌め加工による残留応力が主に発生する内接円36内から離して配置されているため、ロータ3の回転時におけるセンタブリッジ32の強度を高めることができる。なお、以上の例では内周壁が直線状である場合を例に説明したが、曲線状である場合には、必ずしも内周壁直軸付近に対して内周壁横軸付近が半径方向外側にある必要はなく、内周壁のどこかに内周壁横軸付近よりも半径方向内側にある部分があればよい。
以上のように、本実施形態によれば、ロータの強度に優れ、低コストで製造することができ、大きなトルクの得られる同期リラクタンス電動機を実現することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば上記実施形態では、2個の横軸穴と、その穴及び外周に囲まれる鋼材(すなわちセンタブリッジ32と横軸外周部33)で、1つの横軸を形成した。しかし、1つの横軸を形成するために、センタブリッジに対して設ける横軸穴は、2個に限定されるものではなく、偶数個であればよい。例えば1つの横軸を形成するために、ロータ回転方向にセンタブリッジ32を間に挟んだ横軸穴の対をロータ半径方向に沿って複数対形成してもよい。図4は、そのような同期リラクタンス回転電機のロータの構成例を示すものである。この例では、センタブリッジ32のロータ回転方向左側にロータ半径方向に並んだ2個の横軸穴35a1および35a2があり、センタブリッジ32のロータ回転方向右側にロータ半径方向に並んだ2個の横軸穴35b1および35b2がある。各横軸穴35a1、35a2、35b1、35b2は、センタブリッジ32と反対側においてロータ外周と連通している。なお、この例では、1つの極を形成するためにセンタブリッジ32を間に挟んだ穴の対をロータ半径方向に2対形成したが、穴の対を3対またはそれ以上形成してもよい。また、横軸穴の内周壁の形状として、直線的なものを例示したが、曲線であっても、内接円とセンタブリッジが離れていれば、その電動機にも適用可能である。また、上記実施形態において、トルクを高めるために、ロータ3の外周面とロータ3の外周に配置される固定側鉄心2の内周面との間の距離を横軸に近いほど離してもよい。また、上記実施形態では、この発明を電動機に適用したが、この発明は発電機にも勿論適用可能である。
3……ロータ、35a,35b,35a1,35a2,35b1,35b2……横軸穴、4a……回転中心軸、31……芯部、32……センタブリッジ、33……横軸外周縁部、37……直軸突起。
まず、シャフト4のロータ3への締り嵌め工程において、ロータ鋼材には周方向に引張応力が残留する。この残留応力は、横軸穴35aおよび35bと同じ半径を持つ円周上には殆ど発生しない。従って、本実施形態におけるロータ3では、横軸穴35aおよび35bの内接円36よりもロータ半径方向外側には、組み立て残留応力は殆ど残存しない。一方、ロータ3の回転時には、遠心力による引っ張り応力がセンタブリッジ32に発生する。横軸穴内周壁の横軸付近を、同じく横軸内周壁の直軸付近よりも、半径方向外側に配置した場合、このセンタブリッジ32の位置は、残留応力が主に発生する内接円36内よりもロータ半径方向外側に遠ざかる。このように本実施形態によれば、ロータ3の回転時に、遠心力による引っ張り応力が集中するセンタブリッジ32が、締り嵌め加工による残留応力が主に発生する内接円36内から離して配置されているため、ロータ3の回転時におけるセンタブリッジ32の強度を高めることができる。なお、以上の例では内周壁が直線状である場合を例に説明したが、曲線状である場合には、必ずしも内周壁直軸付近に対して内周壁横軸付近が半径方向外側にある必要はなく、内周壁のどこかに内周壁横軸付近よりも半径方向内側にある部分があればよい。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば上記実施形態では、2個の横軸穴と、その穴及び外周に囲まれる鋼材(すなわちセンタブリッジ32と横軸外周部33)で、1つの横軸を形成した。しかし、1つの横軸を形成するために、センタブリッジに対して設ける横軸穴は、2個に限定されるものではなく、偶数個であればよい。例えば1つの横軸を形成するために、ロータ回転方向にセンタブリッジ32を間に挟んだ横軸穴の対をロータ半径方向に沿って複数対形成してもよい。図4は、そのような同期リラクタンス回転電機のロータの構成例を示すものである。この例では、センタブリッジ32のロータ回転方向左側にロータ半径方向に並んだ2個の横軸穴35a1および35a2があり、センタブリッジ32のロータ回転方向右側にロータ半径方向に並んだ2個の横軸穴35b1および35b2がある。各横軸穴35a1、35a2、35b1、35b2は、センタブリッジ32と反対側においてロータ外周と連通している。なお、この例では、1つの極を形成するためにセンタブリッジ32を間に挟んだ穴の対をロータ半径方向に2対形成したが、穴の対を3対またはそれ以上形成してもよい。また、横軸穴の内周壁の形状として、直線的なものを例示したが、曲線であっても、内接円とセンタブリッジが離れていれば、その電動機にも適用可能である。また、上記実施形態において、トルクを高めるために、ロータ3の外周面とロータ3の外周に配置される固定側鉄心2の内周面との間の距離を横軸に近いほど離してもよい。また、上記実施形態では、この発明を電動機に適用したが、この発明は発電機にも勿論適用可能である。

Claims (4)

  1. 周方向に沿って形成される横軸穴の間にセンタブリッジが形成されるロータを有し、偶数個の前記横軸穴と前記センタブリッジとで1極が構成される同期リラクタンス回転電機において、
    前記横軸穴は前記センタブリッジと反対側において前記ロータの外周に連通し、
    前記センタブリッジは前記横軸穴の内接円よりも前記ロータの半径方向外側に位置していることを特徴とする同期リラクタンス回転電機。
  2. 前記ロータは、隣り合った2つのセンタブリッジ間に半径方向外側に突出した直軸突起を有することを特徴とする請求項1に記載の同期リラクタンス回転電機。
  3. 前記ロータの中心軸から前記センタブリッジを通る半径方向の延長線上にある外周面までの距離が、前記ロータの中心軸から前記ロータの外周面のその他の箇所までの距離と比べて短いことを特徴とする請求項1または2に記載の同期リラクタンス回転電機。
  4. 前記横軸近辺の前記ロータの外周面の一部または全部が、前記ロータの回転中心軸から前記ロータの最外周部までの距離よりも大きい曲率半径を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の同期リラクタンス回転電機。
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