JPWO2015198748A1 - 脆性基板の分断方法およびスクライブ装置 - Google Patents

脆性基板の分断方法およびスクライブ装置 Download PDF

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Abstract

脆性基板(4)の表面(SF)に、突起部(PP)と突起部(PP)につながった前部とを有する刃先(51)が押し付けられる。押し付けられた刃先(51)が脆性基板(4)の表面(SF)上で前部が向く方向(DA)へ摺動させられる。刃先(51)が摺動させられることによって脆性基板(4)に塑性変形が生じることで、脆性基板(4)の表面(SF)上に、溝形状を有するトレンチラインが形成される。刃先(51)が摺動させられる際に、刃先(51)の前部における複数の位置(O1およびO2)が脆性基板(4)の表面(SF)と同じ高さの位置とされる。

Description

本発明は脆性基板の分断方法およびスクライブ装置に関する。
フラットディスプレイパネルまたは太陽電池パネルなどの電気機器の製造において、ガラス基板などの脆性基板を分断することがしばしば必要となる。まず基板上にスクライブラインが形成され、次にこのスクライブラインに沿って基板が分断される。スクライブラインは、基板上を刃先が摺動することで形成され得る。この摺動によって、基板上に塑性変形によるトレンチが形成されると同時に、このトレンチの直下には垂直クラックが形成される。その後、ブレーク工程と称される応力付与がなされる。ブレーク工程によりクラックを厚さ方向に完全に進行させることで、基板が分断される。
たとえば特開2013−71871号公報によれば、刃部を有するダイヤモンドポイントを用いて基板にスクライブラインが形成される。この公報によれば、ダイヤモンドポイントの刃部に冷却ガスが噴射されることで、刃部と基板との間で発生する摩擦熱に起因した刃部の酸化が抑制され、これによりダイヤモンドポイントの長寿命化が実現される。
特開2013−71871号公報
脆性基板のスクライブにおいて刃先の寿命を長くすることはこの分野において依然として重要な課題であり、さらなる技術が求められている。刃先として、スクライビングホイールのように転動するものではなく、上述したダイヤモンドポイントのように摺動するものが用いられる場合、この課題は特に深刻である。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、刃先の寿命を長くすることができる脆性基板の分断方法およびスクライブ装置を提供することである。
本発明の脆性基板の分断方法は、次の工程を有する。一の脆性基板の表面に、突起部と突起部につながった前部とを有する刃先が押し付けられる。押し付けられた刃先が脆性基板の表面上で前部が向く方向へ摺動させられる。刃先が摺動させられることによって脆性基板に塑性変形が生じることで、脆性基板の表面上に、溝形状を有する少なくとも1つのトレンチラインが形成される。刃先が摺動させられる際に、刃先の前部における複数の位置が脆性基板の表面と同じ高さの位置とされる。
本発明によれば、刃先が摺動させられる際に、刃先の前部における複数の位置が脆性基板の表面と同じ高さの位置とされる。これにより、刃先が特に磨耗する位置が拡散される。よって刃先の寿命を長くすることができる。
本発明の実施の形態1におけるスクライブ装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態1における刃先の変位の様子を概略的に示す図(A)、およびその矢印IIBの視野で刃先を示す図である。 クラックレス状態でのトレンチラインの構成を概略的に示す断面図(A)、およびクラックラインの構成を概略的に示す断面図(B)である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法において、刃先が摺動させられている際に刃先の前部としての側部における複数の位置が脆性基板の表面と同じ高さの位置とされる様子を示す図である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法における荷重変化の第1〜第3の例のそれぞれを示す斜視図(A)〜(C)である。 本発明の実施の形態1における脆性基板の分断方法における荷重変化の第4の例を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における刃先の変位の様子を概略的に示す図(A)、およびその矢印VIIBの視野で刃先を示す図である。 本発明の実施の形態2における脆性基板の分断方法において、刃先が摺動させられている際に刃先の前部としての天面における複数の位置が脆性基板の表面と同じ高さの位置とされる様子を示す図(A)、およびその矢印VIIIBの視野の図(B)である。 本発明の実施の形態3におけるスクライブ装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態3の変形例におけるスクライブヘッドの構成を概略的に示す図である。 本発明の実施の形態4における脆性基板の分断方法の第1および第2の工程のそれぞれを概略的に示す上面図(A)および(B)である。 本発明の実施の形態4の第1の変形例の脆性基板の分断方法の第1および第2の工程のそれぞれを概略的に示す上面図(A)および(B)である。 本発明の実施の形態4の第2の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態4の第3の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態5における脆性基板の分断方法の第1の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態5における脆性基板の分断方法の第2の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態5における脆性基板の分断方法の第3の工程を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態5の第1の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態5の第2の変形例の脆性基板の分断方法の第1および第2の工程のそれぞれを概略的に示す上面図(A)および(B)である。 本発明の実施の形態5の第3の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態6における脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態7における脆性基板の分断方法の第1および第2の工程のそれぞれを概略的に示す上面図(A)および(B)である。 本発明の実施の形態8における脆性基板の分断方法の第1および第2の工程のそれぞれを概略的に示す上面図(A)および(B)である。 本発明の実施の形態8の変形例の脆性基板の分断方法を概略的に示す上面図である。 本発明の実施の形態9における刃先の変位の様子を概略的に示す図(A)、およびその矢印XXVBの視野で刃先を示す図である。 本発明の実施の形態9における脆性基板の分断方法において、刃先が摺動させられている際に刃先の前部としての側部における複数の位置が脆性基板の表面と同じ高さの位置とされる様子を示す図である。 本発明の実施の形態9の変形例における刃先の変位の様子を概略的に示す図(A)、およびその矢印XXVIIBの視野で刃先を示す図である。 本発明の実施の形態9の変形例における脆性基板の分断方法において、刃先が摺動させられている際に刃先の前部における複数の位置が脆性基板の表面と同じ高さの位置とされる様子を示す図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態におけるスクライブ装置100の構成を概略的に示す図である。図中、分断されることになるガラス基板4(脆性基板)が2点鎖線で示されている。また説明の便宜のためにXYZ直交座標系が示されており、図示された例においては、X方向に沿った分断が行なわれる。スクライブ装置100はスクライブヘッド60と駆動部70とステージ80(基板支持部)と制御部90とを有する。
スクライブヘッド60はカッティング器具50と姿勢調整部61と保持部62と加圧部63と本体部64とを有する。カッティング器具50は刃先51およびシャンク52(図2(A))を有する。姿勢調整部61は、カッティング器具50の姿勢を調整可能に、カッティング器具50を支持している。保持部62は姿勢調整部61を保持している。加圧部63は、本体部64に固定されており保持部62に力を加えることができるアクチュエータである。
ステージ80は、表面SFを有する一のガラス基板4(一の脆性基板)を支持するものである。
駆動部70は、ステージ80に支持されたガラス基板4と、刃先51とを相対的に変位させるものである。よって駆動部70は、刃先51およびステージ80のいずれかを変位させるものであってもよく、あるいは刃先51およびステージ80の各々を変位させるものであってもよい。本実施の形態においては駆動部70は、ステージ80を変位させるステージ駆動部71と、スクライブヘッド60の本体部64を変位させるためのヘッド駆動部72とを有する。ステージ駆動部71は、たとえば、図中XYZ軸の各々に沿った並進変位と、図中Z軸周りの回転変位とをステージ80に与える。ヘッド駆動部72は、たとえば、図中X軸に沿った並進変位をスクライブヘッド60の本体部64に与える。
制御部90は摺動前制御部91と摺動制御部92と摺動後制御部93とを有する。制御部90は駆動部70および加圧部63を制御するものである。
摺動前制御部91は、ガラス基板4の表面SF上における刃先51の摺動に先立って、表面SF上に刃先51が押し付けられるように駆動部70を制御する。
摺動制御部92は、ガラス基板4の表面SF上で刃先51の前部が向く方向へ刃先51が摺動するように駆動部70を制御する。また摺動制御部92は、ガラス基板4上を摺動している刃先51の前部における複数の位置がガラス基板4の表面と同じ高さの位置とされるように加圧部63を制御する。言い換えれば、摺動制御部92は、加圧部63を制御することによって、ガラス基板4上を摺動している刃先51の前部において、ガラス基板4の表面SFと同じ高さとなる位置を変化させる。この目的で摺動制御部92は、加圧部63が発生する力を変化させることにより、刃先51に加えられる荷重を変化させる。
摺動後制御部93は、ガラス基板4の表面SF上における刃先51の摺動が行なわれた後に、刃先51がガラス基板4の表面SF上から離脱するように駆動部70を制御するものである。
図2(A)および(B)を参照して、刃先51には、天面SD1(第1の面)と、天面SD1を取り囲む複数の面とが設けられている。これら複数の面は側面SD2(第2の面)および側面SD3(第3の面)を含む。天面SD1、側面SD2およびSD3(第1〜第3の面)は、互いに異なる方向を向いており、かつ互いに隣り合っている。刃先51は、天面SD1、側面SD2およびSD3が合流する頂点を有し、この頂点によって刃先51の突起部PPが構成されている。よって天面SD1は突起部PPにつながっている。また側面SD2およびSD3は、刃先51の側部PSを構成する稜線をなしている。側部PSは、突起部PPとつながっており、突起部PPから線状に延びている。また側部PSは、上述したように稜線であることから、線状に延びる凸形状を有する。
刃先51はダイヤモンドポイントであることが好ましい。すなわち刃先51は、硬度および表面粗さを小さくすることができる点からダイヤモンドから作られていることが好ましい。より好ましくは、刃先51は単結晶ダイヤモンドから作られている。さらに好ましくは結晶学的に言って、天面SD1は{001}面であり、側面SD2およびSD3の各々は{111}面である。この場合、側面SD2およびSD3は、異なる向きを有するものの、結晶学上、互いに等価な結晶面である。
なお単結晶でないダイヤモンドが用いられてもよく、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で合成された多結晶体ダイヤモンドが用いられてもよい。あるいは、微粒のグラファイトや非グラファイト状炭素から、鉄族元素などの結合材を含まずに焼結された多結晶体ダイヤモンド粒子を鉄族元素などの結合材によって結合させた焼結ダイヤモンドが用いられてもよい。
シャンク52は軸方向AXに沿って延在している。刃先51は、天面SD1の法線方向が軸方向AXにおおよそ沿うようにシャンク52に取り付けられることが好ましい。ガラス基板4の表面SFに対する軸方向AXの角度は、姿勢調整部61(図1)によって調整可能であることが好ましい。この場合、姿勢調整部61によって、表面SFに対する刃先51の姿勢が調整可能である。
次にスクライブ装置100の動作について説明する。
まず摺動前制御部91による駆動部70および加圧部63の制御によって、ガラス基板4の表面SFに刃先51が押し付けられる。刃先51が表面SFに押しつけられると、突起部PPは基板表面SFよりも基板内部側に位置することとなる。
次に摺動制御部92による駆動部70の制御によって、側部PSを上面SF1上に射影した方向におおよそ沿って、押し付けられた刃先51が表面SF上を摺動させられる。本実施の形態においては、摺動において刃先51の側部PSが前部であり、押し付けられた刃先51はガラス基板4の表面SF上で、側部PSが向く方向DA(図中、+X軸方向)へ摺動させられる。方向DAは、刃先51から延びる軸方向AXを表面SF上へ射影した方向に対応している。摺動中、刃先51はシャンク52によって表面SF上を引き摺られる。
刃先51が摺動させられることによってガラス基板4に塑性変形が生じることで、ガラス基板4の表面SF上に、溝形状を有する少なくとも1つのトレンチラインTL(図3(A)または(B))が形成される。トレンチラインTLはガラス基板4の塑性変形によって生じるが、この際にガラス基板4が若干削れてもよい。ただしこのような削れは微細な破片を生じ得ることから、なるべく少ないことが好ましい。
刃先51の摺動によって、クラックを伴わずにトレンチラインTLが形成される場合(図3(A))と、トレンチラインTLが形成されるとともにクラックラインCLが実質的にほぼ同時に形成される場合とがある。クラックラインCLは、トレンチラインTLのくぼみから厚さ方向DTに伸展したクラックであり、表面SF上においては線状に延びている。
前者の場合、トレンチラインTLを形成する工程は、トレンチラインTLの直下においてガラス基板4がトレンチラインTLの延在方向(図中、X軸方向)と交差する方向DC(図中、Y軸方向)において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように行なわれる。クラックレス状態を得るためには、刃先51に加えられる荷重は、クラックが発生しない程度に小さく、かつ塑性変形が発生する程度に大きくされる。この、クラックレス状態でのトレンチラインTLの形成(図3(A))の後に、後述する方法により、トレンチラインTLに沿って厚さ方向DTにおけるガラス基板4のクラックを伸展させることによって、クラックラインCL(図3(B))を形成し得る。クラックラインCLの形成によって、クラックレス状態が破られる。つまりクラックラインCLは、トレンチラインTLの直下でトレンチラインTLと交差する方向DCにおいてガラス基板4の連続的なつながりを断つ。
いずれの場合においても、クラックラインCLに沿ってガラス基板4が分断される。この際に、必要に応じて、いわゆるブレーク工程が行なわれる。
摺動制御部92によって、刃先51が摺動させられている際に刃先51の前部としての側部PSにおける複数の位置(たとえば、図4における位置O1およびO2)がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる。その目的で、摺動している刃先51に加えられる荷重が変化させられる。荷重は、加圧部63が発生する力を調整することによって変化させられる。位置O1およびO2は、たとえば、高さにして0.5〜2.5μm程度、互いに離れていることが好ましい。
なお位置O1およびO2のみがガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる必要はなく、摺動中に表面SFが位置O1およびO2の間を連続的に変位してもよい。この場合、位置O1およびO2の間の任意の位置が、表面SFと同じ高さを有する時点を有する。
本実施の形態によれば、1つのガラス基板4上において刃先51が摺動させられている際に刃先51への荷重が変化させられる。荷重は、たとえば、その最小値に対して最大値が1.5〜2倍程度となるように変化させることができる。これにより、刃先51の前部としての側部PSにおける位置O1およびO2(図4)がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる。よって、1つのガラス基板4上において刃先51が摺動させられている際に刃先51の前部における一の位置のみ(たとえば、位置O1のみ)がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる場合に比して、刃先51が特に磨耗する位置が拡散される。よって刃先51の寿命を長くすることができる。
摺動中の刃先51に与える荷重は、1つの脆性基板に対するスクライブにおける任意の時期に変化させ得る。以下、その例について説明する。
図5(A)〜(C)の各々は、脆性基板としてのガラス基板4に対するスクライブの例を示す。図中、太線は相対的に大きい荷重を、細線は相対的に小さい荷重を表している。
図5(A)の例においては、ガラス基板4の表面SF上における刃先51(図2(A))の摺動が、X軸に沿う直線SLXmおよびY軸に沿う直線SLYmに沿って行なわれる。直線SLXmの各々における摺動中に刃先51へ荷重変化が与えられる。直線SLYmの各々においても同様である。
図5(B)の例においては、ガラス基板4の表面SF上における刃先51(図2(A))の摺動が、X軸に沿う直線SLXwおよびSLXsと、Y軸に沿う直線SLYwおよびSLYsとに沿って行なわれる。各直線における摺動中の刃先51への荷重は一定である。直線SLXsにおける荷重と、直線SLXwにおける荷重とは、互いに異なっている。言い換えれば、直線SLXsおよびSLXwの間で荷重が変化させられる。またSLYsにおける荷重と、直線SLYwにおける荷重とは、互いに異なっている。言い換えれば、直線SLYsおよびSLYwの間で荷重が変化させられる。本例においては、互いに隣り合う直線間で、用いられる荷重が異なっている。たとえば、一の方向(図中、右方向)に並んでいる直線SLYs、SLYw、SLYsおよびSLYwの順で摺動が行なわれる場合に、これら直線上での摺動において交互に荷重の強弱変化が付与される。
図5(C)の例においては、ガラス基板4の表面SF上における刃先51の摺動が、X軸に沿う直線SLXsおよびY軸に沿う直線SLYwに沿って行なわれる。各直線における摺動中の刃先51への荷重は一定である。直線SLXsにおける荷重と、直線SLYwにおける荷重とは、互いに異なっている。言い換えれば、直線SLXsおよびSLYwの間で荷重が変化させられる。
図6の例においては、1つのセル基板4C(脆性基板)の表面SF上で摺動が行なわれる。セル基板4Cは脆性材料から作られた基板(たとえばガラス基板)4Tおよび4Bを有する。基板4Tおよび4Bは接合部9を介して互いに積層されている。これにより、表面SFは、基板4Tからなる部分STと、基板4Bからなる部分SBとを有する。セル基板4Cの表面SF上における刃先51の摺動が部分ST上(矢印SLTw参照)および部分SB上(矢印SLBs参照)において行なわれる。部分ST上における摺動中の刃先51への荷重は一定であり、また部分SB上における摺動中の刃先51への荷重は一定である。一方、部分ST上に比して部分SB上において、摺動中の刃先51への荷重が大きくされる。言い換えれば、部分STおよびSBの間で荷重が変化させられる。
(実施の形態2)
図7(A)および(B)を参照して、本実施の形態においては、刃先51が方向DA(図1(A)および(B))とは逆の方向DBへ摺動させられる。なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施の形態によれば、1つのガラス基板4上において刃先51が摺動させられている際に刃先51への荷重が変化させられることによって、刃先51の前部としての天面SD1における位置O1およびO2(図8(A))がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる。これにより、1つのガラス基板4上において刃先51が摺動させられている際に刃先51の前部における一の位置のみがガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる場合に比して、刃先51が特に磨耗する位置が拡散される。よって刃先51の寿命を長くすることができる。
また刃先51が方向DBへ摺動する場合は、刃先51が方向DAへ摺動する場合と異なり、位置O1およびO2の各々で、ガラス基板4と刃先51とが所定の長さをもって接触することとなるので(図8(B)参照)、刃先51の寿命をより長くすることができる。
(実施の形態3)
図9は本実施の形態におけるスクライブ装置100Vの構成を概略的に示す図である。図中、分断されることになるガラス基板4が2点鎖線で示されている。また説明の便宜のためにXYZ直交座標系が示されており、図示された例においては、X方向に沿った分断が行なわれる。スクライブ装置100Vはスクライブヘッド60Vと制御部90Vとを有する。
スクライブヘッド60Vは、刃先51(図2(A))が摺動させられる際に刃先51の姿勢を変化させる(図中、矢印参照)ことができる姿勢調整部61Vを有する。姿勢の変化として、たとえば、表面SFに対する軸方向AX(図2(A)または図7(A))の角度が変化させられる。
制御部90Vは、駆動部70、加圧部63および姿勢調整部61Vを制御するものであり、摺動制御部92Vを含む。摺動制御部92Vは、ガラス基板4の表面SF上で刃先51の前部が向く方向へ刃先51が摺動するように駆動部70を制御する。また摺動制御部92Vは、ガラス基板4上を摺動している刃先51の前部における複数の位置がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされるように姿勢調整部61Vを制御する。言い換えれば、摺動制御部92Vは、姿勢調整部61Vを制御することによって、ガラス基板4上を摺動している刃先51の前部における、ガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置を変化させる。この目的で摺動制御部92Vは刃先51の姿勢を変化させる。たとえば、刃先51の角度を1〜5°変化させることが好ましい。刃先51の姿勢が変化すると、刃先51が表面SF中へ食い込む程度が変化することにより、刃先51の前部におけるガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置が変化する。
図10は本実施の形態におけるスクライブヘッド60V(図9)の変形例としてのスクライブヘッド60Wの構成を概略的に示す図である。スクライブヘッド60Wは、ボディ部110と、カッティング器具50と、加圧部63Wと、本体部64Wとを有する。カッティング器具50はボディ部110に取り付けられている。カッティング器具50は、ボディ部110からの作用によって、ガラス基板4の表面SFに荷重Fで押し付けられる。ボディ部110はボディ本体111およびカッティング器具支持部材112を有する。カッティング器具支持部材112は、カッティング器具50のシャンク52の軸方向AX(図2)を調整可能に、シャンク52を支持している。本体部64Wはベース本体151およびリミッタ152を有する。ベース本体151は、ボディ部110を回動可能に支持する支点STを有する。リミッタ152は、ボディ部110が下方に向かって回動可能な範囲を制限している。加圧部63Wは本体部64Wに支持されている。加圧部63Wは、ガラス基板4の表面SF上へカッティング器具50が押し付けられるようにボディ部110に連続的な力LDを加え得るものである。加圧部63Wは、力LDを発生させるためのエアシリンダと、力を伝達するための押圧ピンとを有する。
本変形例のスクライブヘッド60Wによれば、加圧部63Wによる力LDを変化させることによって、刃先51(図2)に加えられる荷重Fが変化すると同時に、支点ST周りのボディ部110の回動によって刃先51の姿勢も変化させることができる。従って、スクライブ中においても刃先51の姿勢を容易に変更することができる。またスクライブヘッド60Wは、スクライブ中の姿勢調整のための専用の機構を有する場合に比して、簡素な構成を有する。よってスクライブヘッド60Wは、容易に軽量化することができ、よって低荷重でのスクライブにも適している。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1または2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
(実施の形態4)
実施の形態4以降における脆性基板の分断方法においては、実施の形態1〜3のいずれかで説明した方法を用いてクラックレス状態のトレンチラインTL(図3(A))が形成され、そしてトレンチラインTLに沿ったクラックラインCL(図3(B))が形成される。なお、前述したように、トレンチラインTLの形成のために刃先51が摺動される際に、刃先51の前部における複数の位置がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる。
図11(A)を参照して、まずガラス基板4が準備される。ガラス基板4は、表面SF(図2(A))として、平坦な上面SF1を有する。上面SF1を囲む縁は、互いに対向する辺ED1および辺ED2を含む。図11(A)で示す例においては、縁は長方形状である。よって辺ED1およびED2は互いに平行な辺である。また図11(A)で示す例においては辺ED1およびED2は長方形の短辺である。またガラス基板4は、上面SF1に垂直な厚さ方向DT(図2(A))を有する。
次に、上面SF1に刃先51が位置N1で押し付けられる。位置N1の詳細は後述する。刃先51の押し付けは、図2(A)を参照して、ガラス基板4の上面SF1上で刃先51の突起部PPが辺ED1および側部PSの間に配置されるように、かつ刃先51の側部PSが突起部PPと辺ED2の間に配置されるように行なわれる。
次に、上面SF1上にトレンチラインTLa〜TLe(総称してトレンチラインTLとも称する)が形成される。この際、実施の形態1で説明したように、刃先51が摺動される際に刃先51へ荷重または姿勢の変化が与えられ得る。具体的には、図5(A)の直線SLXmと同様にトレンチラインTLa〜TLeの各々において刃先51の荷重または姿勢が変化させられてもよい。あるいは、図5(B)の直線SLXwおよびSLXsと同様に、トレンチラインTLa〜TLeのうち異なるトレンチラインの間で刃先51の荷重または姿勢が変化させられてもよい。たとえば、トレンチラインTLa、TLcおよびTLeが相対的に大きい荷重で形成され、トレンチラインTLbおよびTLdが相対的に小さい荷重で形成されてもよい。
トレンチラインTLの形成は、位置N1(第1の位置)および位置N3の間で行なわれる。位置N1およびN3の間には位置N2(第2の位置)が位置する。よってトレンチラインTLは、位置N1およびN2の間と、位置N2およびN3の間とに形成される。位置N1およびN3はガラス基板4の上面SF1の縁から離れている。よって、形成されるトレンチラインTLは、図11(A)に示すようにガラス基板4の縁から離れて位置してもよく、あるいは、その一方または両方が上面SF1の縁に位置してもよい。形成されるトレンチラインTLは、前者の場合はガラス基板4の縁から離れており、後者の場合はガラス基板4の縁に接している。
位置N1およびN2のうち位置N1の方が辺ED1により近く、また位置N1およびN2のうち位置N2の方が辺ED2により近い。なお図11(A)に示す例では、位置N1は辺ED1およびED2のうち辺ED1に近く、位置N2は辺ED1およびED2のうち辺ED2に近いが、位置N1およびN2の両方が辺ED1またはED2のいずれか一方の近くに位置してもよい。
トレンチラインTLが形成される際には、本実施の形態においては、位置N1から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N3へ変位させられる。すなわち、図2(A)を参照して、刃先51が、辺ED1から辺ED2へ向かう方向である方向DAへ変位させられる。方向DAは、刃先51から延びる軸方向AXを上面SF1上へ射影した方向に対応している。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を引き摺られる。
図11(B)を参照して、トレンチラインTLが形成された後に、トレンチラインTLに沿って位置N2から位置N1の方へ(図中、破線矢印参照)、厚さ方向DTにおけるガラス基板4のクラックを伸展させることによってクラックラインCL(図3(B))が形成される。クラックラインCLの形成は、アシストラインALおよびトレンチラインTLが位置N2で互いに交差することによって開始される。この目的で、トレンチラインTLを形成した後にアシストラインALが形成される。アシストラインALは、厚さ方向DTにおけるクラックをともなう通常のスクライブラインであり、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放するものである。アシストラインALの形成方法は、特に限定されないが、図11(B)に示すように、上面SF1の縁を基点として形成されてもよい。
なお位置N2から位置N1への方向に比して、位置N2から位置N3への方向へは、クラックラインCLが形成されにくい。つまりクラックラインCLの伸展のしやすさには方向依存性が存在する。よってクラックラインCLが位置N1およびN2の間には形成され位置N2およびN3の間には形成されないという現象が生じ得る。本実施の形態は位置N1およびN2間に沿ったガラス基板4の分断を目的としており、位置N2およびN3間に沿ったガラス基板4の分離は目的としていない。よって位置N1およびN2間でクラックラインCLが形成されることが必要である一方で、位置N2およびN3間でのクラックラインCLの形成されにくさは問題とはならない。
次に、クラックラインCLに沿ってガラス基板4が分断される。具体的にはブレーク工程が行なわれる。なおクラックラインCLがその形成時に厚さ方向DTに完全に進行した場合は、クラックラインCLの形成とガラス基板4の分断とが同時に生じ得る。この場合、ブレーク工程を省略し得る。
以上によりガラス基板4の分断が行なわれる。
次に、上記分断方法の第1〜第3の変形例について、以下に説明する。
図12(A)を参照して、第1の変形例は、アシストラインALとトレンチラインTLとの交差が、クラックラインCL(図11(B))の形成開始のきっかけとして不十分な場合に関するものである。図12(B)を参照して、ガラス基板4へ、曲げモーメントなどを発生させる外力を加えることで、アシストラインALに沿って厚さ方向DTにおけるクラックが伸展し、その結果、ガラス基板4が分離される。これによりクラックラインCLの形成が開始される。なお、図12(A)においてはアシストラインALがガラス基板4の上面SF1上に形成されるが、ガラス基板4を分離するためのアシストラインALはガラス基板4の下面(上面SF1と反対の面)上に形成されてもよい。この場合、アシストラインALおよびトレンチラインTLは、平面レイアウト上、位置N2で互いに交差するが、互いに直接接触はしない。
図13を参照して、第2の変形例においては、ガラス基板4の上面SF1に刃先51が位置N3で押し付けられる。トレンチラインTLが形成される際には、本変形例においては、位置N3から位置N2へ刃先51が変位させられ、さらに位置N2から位置N1へ変位させられる。すなわち、図7を参照して、刃先51が、辺ED2から辺ED1へ向かう方向である方向DBへ変位させられる。方向DBは、刃先51から延びる軸方向AXを上面SF1上へ射影した方向と反対方向に対応している。この場合、刃先51はシャンク52によって上面SF1上を押し進められる。
図14を参照して、第3の変形例においては、複数のトレンチラインTLに含まれる各トレンチラインTLmが形成される際に、刃先51はガラス基板4の上面SF1に位置N1に比して位置N2でより大きな荷重で押し付けられる。具体的には、位置N4を位置N1およびN2の間の位置として、トレンチラインTLmの形成が位置N4に至った時点で、刃先51の荷重が高められる。言い換えれば、トレンチラインTLmの荷重が、位置N1に比して、トレンチラインTLmの終端部である位置N4およびN3の間で高められる。これにより、終端部以外での荷重を軽減しつつ、位置N2からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
本実施の形態によれば、トレンチラインTLからクラックラインCLを、より確実に形成することができる。また実施の形態1〜3と同様、刃先51が磨耗する位置が拡散されることにより、刃先51の寿命を長くすることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態における脆性基板の分断方法について、図15〜図17を用いつつ、以下に説明する。
図15を参照して、本実施の形態においてはアシストラインALがトレンチラインTLの形成前に形成される。アシストラインALの形成方法自体は、図11(B)(実施の形態4)と同様である。
図16を参照して、次に、上面SF1に刃先51が押し付けられ、そしてトレンチラインTLが形成される。トレンチラインTLの形成方法自体は、図11(A)(実施の形態4)と同様である。アシストラインALおよびトレンチラインTLは位置N2で互いに交差する。
図17を参照して、次に、ガラス基板4へ曲げモーメントなどを発生させる外力を加える通常のブレーク工程によって、アシストラインALに沿ってガラス基板4が分離される。これにより、実施の形態4と同様のクラックラインCLの形成が開始される(図中、破線矢印参照)。なお、図15においてはアシストラインALがガラス基板4の上面SF1上に形成されるが、ガラス基板4を分離するためのアシストラインALはガラス基板4の下面上に形成されてもよい。この場合、アシストラインALおよびトレンチラインTLは、平面レイアウト上、位置N2で互いに交差するが、互いに直接接触はしない。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4の構成とほぼ同じである。
図18を参照して、第1の変形例においては、クラックラインCLの形成が、アシストラインALおよびスクライブラインSLが位置N2で互いに交差することによって開始される。
図19(A)を参照して、第2の変形例においては、図13(実施の形態4)と同様に、各トレンチラインTLの形成が位置N3から位置N1へ行なわれる。図19(B)を参照して、ガラス基板4へ曲げモーメントなどを発生させる外力を加えることで、アシストラインALに沿ってガラス基板4が分離される。これによりクラックラインCLの形成が開始される(図中、破線矢印参照)。
図20を参照して、第3の変形例においては、複数のトレンチラインTLに含まれる各トレンチラインTLmが形成される際に、刃先51はガラス基板4の上面SF1に位置N1に比して位置N2でより大きな力で押し付けられる。具体的には、位置N4を位置N1およびN2の間の位置として、トレンチラインTLmの形成が位置N4に至った時点で、刃先51の荷重が高められる。言い換えれば、トレンチラインTLmの荷重が、位置N1に比して、トレンチラインTLの終端部である位置N4およびN3の間で高められる。これにより、終端部以外での荷重を軽減しつつ、位置N2からのクラックラインCLの形成を誘起されやすくすることができる。
(実施の形態6)
図21を参照して、本実施の形態における各トレンチラインTLの形成においては、位置N1から刃先51が辺ED2を越えて摺動させられる。刃先51が辺ED2を通過する際、トレンチラインTL直下の基板内部に生じた応力の歪みが解放され、辺ED2上に位置するトレンチラインTLの端から位置N1へ向かってクラックラインが伸展する。
トレンチラインTLを形成する際に刃先51に加えられる荷重は一定であってもよいが、位置N1から位置N2へ刃先51が変位させられた際に、位置N2で刃先51に加える荷重が増大させられてもよい。たとえば荷重が50%程度増大される。増大された荷重が加えられた刃先51が辺ED2を越えて摺動させられる。言い換えれば、トレンチラインTLの終端部で刃先51の荷重が増大される。刃先51が辺ED2に達すると、辺ED2上に位置するトレンチラインTLの端から位置N2を経由して位置N1へ向かってクラックラインが伸展する。このように荷重の増大が行われる場合、応力の歪みも増大し、刃先51が辺ED2を通過する際にこの応力の歪みが解放されやすくなるので、クラックラインをより確実に形成することができる。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4の構成とほぼ同じである。
(実施の形態7)
図22(A)を参照して、本実施の形態における脆性基板の分断方法においては、位置N1から位置N2を経由して辺ED2へ達するトレンチラインTLが形成される。
図22(B)を参照して、次に位置N2と辺ED2との間に、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みを解放させるような応力が加えられる。これによりトレンチラインTLに沿ったクラックラインの形成が誘起される。応力の印加として具体的には、上面SF1上において位置N2と辺ED2との間(図中、破線および辺ED2の間の領域)で、押し付けられた刃先51が摺動させられる。この摺動は辺ED2に達するまで行なわれる。刃先51は好ましくは最初に形成されたトレンチラインTLの軌道に交差するように、より好ましくは最初に形成されたトレンチラインTLの軌道に重なるように摺動される。この再度の摺動の長さは、たとえば0.5mm程度である。またこの再度の摺動は、複数のトレンチラインTL(図22(A))が形成された後にそれぞれに対して行なわれてもよく、あるいは、1つのトレンチラインTLの形成および再度の摺動を行なう工程がトレンチラインTLごとに順次行なわれてもよい。
変形例として、位置N2と辺ED2との間に応力を加えるために、上述した刃先51の再度の摺動に代えて、上面SF1上において位置N2と辺ED2との間にレーザ光が照射されてもよい。これにより生じた熱応力によっても、トレンチラインTL付近の内部応力の歪みが解放され、それによりクラックラインの形成開始を誘起することができる。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4の構成とほぼ同じである。
(実施の形態8)
図23(A)を参照して、本実施の形態における脆性基板の分断方法においては、位置N1から位置N2へ、そしてさらに位置N3へ刃先51を変位させることによって、上面SF1の縁から離れたトレンチラインTLが形成される。トレンチラインTLの形成方法自体は図11(A)(実施の形態4)とほぼ同様である。
図23(B)を参照して、図22(B)(実施の形態7またはその変形例)と同様の応力印加が行なわれる。これによりトレンチラインTLに沿ったクラックラインの形成が誘起される。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4の構成とほぼ同じである。
図24を参照して、図23(A)の工程の変形例として、トレンチラインTLの形成において、刃先51が位置N3から位置N2へそして位置N2から位置N1へ変位させられてもよい。
(実施の形態9)
図25(A)および(B)を参照して、上記各実施の形態において、刃先51(図2(A)および(B))に代わり、刃先51vが用いられてもよい。刃先51vは、頂点と、円錐面SCとを有する円錐形状を有する。刃先51vの突起部PPvは頂点で構成されている。刃先の側部PSvは頂点から円錐面SC上に延びる仮想線(図25(B)における破線)に沿って構成されている。これにより側部PSvは、線状に延びる凸形状を有する。
本実施の形態においては、摺動において刃先51vの側部PSvが前部であり、押し付けられた刃先51vはガラス基板4の表面SF上で、側部PSが向く方向DAへ摺動させられる。方向DAは、刃先51vから延びる軸方向AXを表面SF上へ射影した方向に対応している。摺動中、刃先51vはシャンク52によって表面SF上を引き摺られる。
本実施の形態によれば、1つのガラス基板4上において刃先51vが摺動させられている際に刃先51vの荷重または姿勢が変化させられることによって、刃先51vの前部としての側部PSvにおける位置O1およびO2(図26)がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる。これにより、1つのガラス基板4上において刃先51vが摺動させられている際に刃先51vの前部における一の位置のみがガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる場合に比して、刃先51vが特に磨耗する位置が拡散される。よって刃先51vの寿命を長くすることができる。
図27を参照して、変形例として、刃先51vが方向DAと反対の方向DBへ摺動されてもよい。1つのガラス基板4上において刃先51vが摺動させられている際に刃先51vの荷重または姿勢が変化させられることによって、刃先51vの前部(側部PSvと反対の部分)における位置O1およびO2(図28)がガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる。これにより、1つのガラス基板4上において刃先51vが摺動させられている際に刃先51vの前部における一の位置のみがガラス基板4の表面SFと同じ高さの位置とされる場合に比して、より大きな面積でガラス基板4の表面SFと接触することとなり、刃先51vが特に磨耗する位置が拡散される。よって刃先51vの寿命を長くすることができる。
上記各実施の形態においてはガラス基板の縁の第1および第2の辺が長方形の短辺であるが、第1および第2の辺は長方形の長辺であってもよい。また縁の形状は長方形に限定されるものではなく、たとえば正方形であってもよい。また第1および第2の辺は直線状のものに限定されるものではなく曲線状であってもよい。また上記各実施の形態においてはガラス基板の面が平坦であるが、ガラス基板の面は湾曲していてもよい。
上述した分断方法に特に適した脆性基板としてガラス基板が用いられるが、脆性基板はガラス基板に限定されるものではない。脆性基板は、ガラス以外に、たとえば、セラミックス、シリコン、化合物半導体、サファイア、または石英から作られ得る。
スクライブ装置の制御部は、入力部と出力部と記憶部とCPU(Central Processing Unit)とを有するコンピュータによって構成され得る。この場合、プログラムがCPUに制御部の処理を実行させる。プログラムは記録媒体に記録され得る。記録媒体は、たとえば、記録ディスク、固体メモリまたは記録テープである。
本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
4 ガラス基板(脆性基板)
4C セル基板(脆性基板)
51,51v 刃先
60,60V,60W スクライブヘッド
61,61V 姿勢調整部
62 保持部
63,63W 加圧部
64,64W 本体部
70 駆動部
71 ステージ駆動部
72 ヘッド駆動部
80 ステージ
90,90V 制御部
91 摺動前制御部
92,92V 摺動制御部
93 摺動後制御部
100,100V スクライブ装置
AL アシストライン
CL クラックライン
SL スクライブライン
TL トレンチライン

Claims (8)

  1. 一の脆性基板の表面に、突起部と前記突起部につながった前部とを有する刃先を押し付ける工程と、
    押し付けられた前記刃先を前記脆性基板の前記表面上で前記前部が向く方向へ摺動させる工程とを備え、前記刃先を摺動させる工程によって前記脆性基板に塑性変形が生じることで、前記脆性基板の前記表面上に、溝形状を有する少なくとも1つのトレンチラインが形成され、前記刃先を摺動させる工程において、前記刃先の前記前部における複数の位置が前記脆性基板の前記表面と同じ高さの位置とされる、
    脆性基板の分断方法。
  2. 前記刃先を摺動させる工程において、前記刃先に加えられる荷重が変化させられる、請求項1に記載の脆性基板の分断方法。
  3. 前記刃先を摺動させる工程において、前記刃先の姿勢が変化させられる、請求項1に記載の脆性基板の分断方法。
  4. 前記刃先を摺動させる工程は、前記トレンチラインに沿って延び、前記トレンチラインの直下で前記トレンチラインと交差する方向において前記脆性基板の連続的なつながりを断つクラックラインが生成されるように行なわれる、請求項1から3のいずれか1項に記載の脆性基板の分断方法。
  5. 前記刃先を摺動させる工程は、前記トレンチラインの直下において前記脆性基板が前記トレンチラインと交差する方向において連続的につながっている状態であるクラックレス状態が得られるように行なわれ、
    前記トレンチラインに沿って前記脆性基板のクラックを伸展させることによって、前記トレンチラインの直下で前記トレンチラインと交差する方向において前記脆性基板の連続的なつながりを断つクラックラインを形成する工程をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の脆性基板の分断方法。
  6. 前記刃先を押し付ける工程において、前記脆性基板の前記表面は一の面を含み、前記一の面は、互いに対向する第1および第2の辺を含む縁に囲まれており、
    前記刃先の前記前部は前記刃先の側部であり、前記側部は前記突起部から延びかつ凸形状を有し、
    前記刃先を押し付ける工程は前記脆性基板の前記一の面上で前記刃先の前記突起部が前記第1の辺および前記側部の間に配置されかつ前記刃先の前記側部が前記突起部と前記第2の辺の間に配置されるように行なわれ、
    前記刃先を摺動させる工程において、前記トレンチラインは、前記第1および第2の辺のうち前記第1の辺に近い第1の位置と、前記第1および第2の辺のうち前記第2の辺に近い第2の位置との間で形成され、
    前記クラックラインを形成する工程は、前記トレンチラインに沿って前記第2の位置から前記第1の位置の方へ前記脆性基板のクラックを伸展させることによって行なわれる、
    請求項5に記載の脆性基板の分断方法。
  7. 前記刃先を押し付ける工程において、前記脆性基板の前記表面は一の面を含み、前記一の面は、互いに対向する第1および第2の辺を含む縁に囲まれており、
    前記刃先は、前記突起部から延びかつ凸形状を有する側部を有し、
    前記刃先を押し付ける工程は前記脆性基板の前記一の面上で前記刃先の前記突起部が前記第1の辺および前記側部の間に配置されかつ前記刃先の前記側部が前記突起部と前記第2の辺の間に配置されるように行なわれ、
    前記刃先を摺動させる工程において、前記トレンチラインは、前記第1および第2の辺のうち前記第1の辺に近い第1の位置と、前記第1および第2の辺のうち前記第2の辺に近い第2の位置との間で形成され、
    前記クラックラインを形成する工程は、前記トレンチラインに沿って前記第2の位置から前記第1の位置の方へ前記脆性基板のクラックを伸展させることによって行なわれる、
    請求項5に記載の脆性基板の分断方法。
  8. 表面を有する一の脆性基板を支持する基板支持部と、
    突起部と、前記突起部につながった前部とを有する刃先と、
    前記脆性基板と前記刃先とを相対的に変位させる駆動部と、
    前記脆性基板の前記表面上で前記刃先の前記前部が向く方向へ前記刃先が摺動するように前記駆動部を制御する摺動制御部とを備え、前記摺動制御部によって、前記脆性基板上を摺動している前記刃先の前記前部における複数の位置が前記脆性基板の前記表面と同じ高さの位置とされる、
    スクライブ装置。
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