JPWO2015141721A1 - エンジンの動弁装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ロッカーアームは、このようにスライダと一体に移動することによって、第1の位置または第2の位置に位置付けられる。ロッカーアームが第1の位置に位置付けられると、第1のカムがロッカーアームに接触し、第1のカムによって規定されるバルブリフト特性に基づいて吸気弁または排気弁が動作する。
したがって、本発明によれば、前進用カムと後退用カムとを動力源として運転形態を切替える駆動装置を備えているにもかかわらず、カムシャフトの軸線方向にコンパクトに形成されたエンジンの動弁装置を提供することができる。
以下、本発明に係るエンジンの動弁装置の一実施の形態を図1〜図27によって詳細に説明する。
図1に示すエンジンの動弁装置1は、単気筒あるいは多気筒エンジン用シリンダヘッド2に設けられたカムシャフト3と、このカムシャフト3と吸気弁4との間に介在するロッカーアーム5とを備えている。この実施の形態においては、単気筒エンジンの動弁装置あるいは多気筒エンジンの1つの気筒に用いられる動弁装置について説明する。
後退用カム32の3つの機能部とは、図6Dの上半部で傾斜する傾斜部33Bと、この傾斜部33Bより回転方向の上流側(図6Dにおいては下側)に形成された直線部34Bと、傾斜部33Bより回転方向の下流側(図6Dにおいては上側)に形成された開始端部35Bである。前進用カム31の傾斜部33Fと、後退用カム32の傾斜部33Bは、カムシャフト本体21の軸線方向に推力を発生させるためのものである。
前進用カム31の開始端31aは、大径部27の外周面と同一周面上に位置し、後退用カム32の終端32dを構成している。
後退用カム32の開始端部35Bは、図6Bに示すように、回転方向の下流側に向かうにしたがって深さが次第に浅くなる形状に形成されている。開始端部35Bの底の傾斜角は、直線部34Bの底の傾斜角と較べて急峻である。後退用カム32の開始端32aは、大径部27の外周面と同一周面上に位置し、前進用カム31の終端31dを構成している。
切り欠き44bは、筒体44aの外周部を周方向の約半分だけ部分的に取り除いた形状に形成されている。なお、連結部材41は、ロッカーアーム5に一体に形成したり、後述するスライダ42に設けることができる。
アーム部42bには、図8に示すように、前進用アーム45と後退用アーム46とが設けられている。この実施の形態においては、これらの前進用アーム45と後退用アーム46とによって、本発明でいう「一対のアーム」が構成されている。
前進用アーム45の先端部には、前進用カム31に選択的に接触する前進用カムフォロア47が保持されている。後退用アーム46の先端部には、後退用カム32に選択的に接触する後退用カムフォロア48が保持されている。
この実施の形態による係合部材51は、C字状に形成されたスナップリングによって構成されており、ピン孔52の孔壁面に形成された第1の環状溝52aと第2の環状溝52bの中にそれぞれ収容されて支持されている。
ストッパー55は、カムシャフト本体21の両側方に位置する第1のストッパー本体57と第2のストッパー本体58とを備えている。第1のストッパー本体57と第2のストッパー本体58とは、カムシャフト3の軸線およびシリンダ軸線Cと直交する方向に並んでいる。この実施の形態によるストッパー55は、このように両ストッパー本体57,58が並ぶ状態で図示していないブラケットによってシリンダヘッド2に固定されている。
貫通穴69は、大径部66aが嵌合する大径穴69aと、小径部66bが嵌合する小径穴69bとから構成されている。大径穴69aと小径穴69bとの境界部分には段部71が形成されている。
第1のストッパー本体57の支軸65は、図14に示すように、第1のストッパー本体57の前側(カムシャフト本体21の前端部21a側であって、図14においては上側)に偏る位置に設けられている。第2のストッパー本体58の支軸65は、第2のストッパー本体58の後側に偏る位置に設けられている。
第1の側部74の他端部には、スライダ42の前進用アーム45の先端部が収容される第1の凹部77が形成されている。前進用アーム45の先端部は、図11および図12に示すように、移動部材56の第2の側部75が第2のストッパー本体58に当接した状態において、第1の凹部77内に収容される。
第1の凹部77と第2の凹部78とには、図14、図15Aおよび図15Bに示すように、上述した貫通孔67と、この貫通孔67とは前後方向(図において上下方向)において反対側に位置する押圧部材81と、カムシャフト3の前後方向に延びる第1および第2のガイド溝82,83とが設けられている。第1のガイド溝82は、第1の凹部77に形成されている。第2のガイド溝83は、第2の凹部78に形成されている。貫通孔67は、第1および第2のガイド溝82,83の一端部の底に開口している。この実施の形態においては、移動部材56の貫通孔67が本願発明でいう「カムフォロアの先端部が挿入される穴」に相当する。
駆動装置6は、前進用カム31と、後退用カム32と、スライダ42と、前進用カムフォロア47と、後退用カムフォロア48とを用いてカムシャフト本体21の回転を軸線方向の往復運動に変換し、ロッカーアーム5に伝達する。ここでは先ず、通常時の運転形態である第1の運転形態から第2の運転形態に切替わるときの動作を説明する。
この動弁装置11において、第1の運転形態が採られているときは、図2に示すように、第1のカム25にロッカーアーム5のローラ39が接触している。また、第1の運転形態において、スライダ42は、図14に示すように、ストッパー55および移動部材56に対してカムシャフト本体21の前側(図14において上側)に位置している。移動部材56は、図11および図12に示すように、ストッパー55の第2のストッパー本体58に当接している。
また、第1の実施の形態が採られているときの前進用カムフォロア47と後退用カムフォロア48は、カムシャフト本体21の軸線方向において、前進用カム31の終端31d(図6A〜図6D参照)および後退用カム32の開始端32aと同一位置に位置している。
移動部材56が第1のストッパー本体57に当接した状態においては、第2の側部75に設けられている押圧部材81を付勢する圧縮コイルばね86の圧縮量が増大し、この圧縮コイルばね86のばね力が保持力より大きくなる。しかし、このとき、後退用カムフォロア48がカムシャフト本体21の外周面と対向している場合は、後退用カムフォロア48がばね力で押されて外周面に押し付けられる。すなわち、図19Bに示すように、後退用カムフォロア48の移動が規制され、後退用カムフォロア48が退避位置で待機する。
したがって、この実施の形態によれば、前進用カム31と後退用カム32とを動力源として運転形態を切替える駆動装置6を備えているにもかかわらず、カムシャフト3の軸線方向にコンパクトに形成されたエンジンの動弁装置を提供することができる。
前進用カムフォロア47と後退用カムフォロア48は、スライダ42の前進用アーム45または後退用アーム46をカムシャフト本体21の径方向に貫通するピン49,50によって形成されている。これらの前進用カムフォロア47および後退用カムフォロア48をそれぞれ形成するピン49,50は、スライダ42の前進用アーム31および後退用アーム32とともにピン49,50をカム溝27aに挿入される使用位置と、カム溝27aから出る退避位置とのいずれか一方の位置に保持する係合部材51と係合している。また、ピン49,50は、ピン49,50の使用位置から後退位置へ向かう方向の端部を押圧して、前進用カムフォロア47および後退用カムフォロア48のうち一方を選択的に使用位置に位置付ける押圧機構54と接続されている。
この前進用カムフォロア47または後退用カムフォロア48は、係合部材51によって使用位置に保持された状態で前進用カム31または後退用カム32の傾斜部33F,33Bを進み、スライダ42をカムシャフト本体21の軸線方向に押す。その後、前進用カムフォロア47または後退用カムフォロア48は、傾斜部33F,33Bから直線部34F,34Bに進み、この直線部34F,34Bを通過したときに、カム溝27aの底によってカムシャフト本体21の径方向の外側に押される。このように前進用カムフォロア47または後退用カムフォロア48が押されることにより、係合部材51の係合状態が解除される。前進用カムフォロア47または後退用カムフォロア48は、直線部34F,34Bを通過して前進用カム31または後退用カム32から出てカムシャフト本体21の外周面に接触することにより、係合部材51によって退避位置に保持される。
前進用カムフォロア47と後退用カムフォロア48は、係合部材51によって使用位置に保持された状態で前進用カム31または後退用カム32の中を進む。このため、切替動作中に押圧機構54による押圧力が消失したとしても切替動作が中断することなく終了するから、切替動作の信頼性が高い動弁装置を提供することができる。
この実施の形態において、スライダ42と、移動部材56と、ストッパー55と、前進用アクチュエータ61および後退用アクチュエータ62とは、カムシャフト本体21の軸線方向において、前進用カム31および後退用カム32と同一位置に配置することができる。
したがって、この実施の形態によれば、スライダ42と、移動部材56と、ストッパー55と、前進用アクチュエータ61および後退用アクチュエータ62などを有する駆動装置6がカムシャフト本体21の軸線方向において小型に形成されるから、より一層コンパクトなエンジンの動弁装置を提供することができる。
この実施の形態によれば、前進用カムフォロア47および後退用カムフォロア48を構成するピン49,50が使用位置と退避位置との間で移動するときにスナップリングが弾性変形し、係合状態が解除される。この係合状態を解除する動作は、自動で行われる。
カムフォアを退避位置または使用位置に保持するための係合部材は、図28A〜図28Dに示すように構成することができる。図28A〜図28Dにおいて、図1〜図27によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
この実施の形態による前進用カムフォロア47と後退用カムフォロア48の外周部には、図28Dに示すように、使用位置側環状溝101と退避位置側環状溝102とが所定の間隔をおいて形成されている。これらの使用位置側環状溝101と退避位置側環状溝102の溝幅は、第1の実施の形態で示す第3の環状溝53の溝幅より広く形成されている。これらのカムフォロア47,48が移動自在に嵌合されたスライダ42のピン孔52は、カムシャフト本体21の軸線方向およびシリンダ軸線とは直交する方向に延びて前進用アーム45および後退用アーム46の先端部を貫通している。
Claims (5)
- シリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフト本体と、
前記カムシャフト本体の吸気弁または排気弁と対応する位置に設けられた第1のカムと、
前記第1のカムとはバルブリフト特性が異なる形状に形成され、前記第1のカムと前記カムシャフト本体の軸線方向に隣り合う位置に設けられた第2のカムと、
前記カムシャフト本体と平行なロッカーシャフトを中心として揺動自在に支持されるとともに前記軸線方向に移動自在に支持され、前記第1のカムまたは第2のカムと吸気弁または排気弁との間に介在するロッカーアームと、
前記カムシャフト本体の回転を前記軸線方向の往復運動に変換して前記ロッカアームに伝達し、前記第1のカムと前記第2のカムのバルブリフト量が共に0であるときに前記ロッカーアームに前記軸線方向へ推力を加え、このロッカーアームを前記第1のカムと接触する第1の位置と前記第2のカムに接触する第2の位置とのいずれか一方の位置に位置付ける駆動装置とを備え、
前記駆動装置は、
前記カムシャフト本体の外周部に設けられ、前記軸線方向の一方と前記カムシャフト本体の回転方向とに延びる傾斜部を有する前進用カムと、
前記カムシャフト本体の外周部における前記前進用カムと前記カムシャフト本体の周方向に並ぶ位置に設けられ、前記軸線方向の他方と前記回転方向とに延びる傾斜部を有する後退用カムと、
前記前進用カムおよび後退用カムを前記カムシャフト本体の径方向の一方と他方とからそれぞれ挟む一対のアームを有しかつ前記ロッカーアームに連結されたスライダと、
前記スライダの前記一対のアームのうちの一方のアームに保持され、前記前進用カムに選択的に接触する前進用カムフォロアと、
前記スライダの前記一対のアームのうちの他方のアームに保持され、前記後退用カムに選択的に接触する後退用カムフォロアとを備えることを特徴とするエンジンの動弁装置。 - 請求項1記載のエンジンの動弁装置において、
前記前進用カムおよび前記後退用カムは、前記カムシャフト本体の外周面に開口するカム溝によって形成されており、
前記カム溝は、前記回転方向に延びるとともに、前記前進用カムおよび前記後退用カムの一方の前記傾斜部の前記回転方向における上流端と他方の前記傾斜部の下流端とを接続し、前記各傾斜部から前記回転方向の上流側に離れるにしたがって深さが次第に浅くなる直線部を有し、
前記前進用カムフォロアと前記後退用カムフォロアは、前記スライダのアームを前記カムシャフト本体の径方向に貫通するピンによって形成され、
前記前進用カムフォロアおよび前記後退用カムフォロアをそれぞれ形成する前記ピンは、
前記スライダのアームとともに前記ピンを前記カム溝に挿入される使用位置と、前記カム溝から出る退避位置とのいずれか一方の位置に保持する係合部材と係合し、かつ、前記ピンの前記使用位置から前記後退位置へ向かう方向の端部を押圧して、前記前進用カムフォロアおよび前記後退用カムフォロアのうち一方を選択的に前記使用位置に位置付ける押圧機構と接続されていることを特徴とするエンジンの動弁装置。 - 請求項2記載のエンジンの動弁装置において、
前記押圧機構は、
前記ピンが前記スライダの前記一対のアームをそれぞれ貫通する方向を移動方向として前記スライダに対して平行移動可能な移動部材と、
この移動部材に予め定めた間隔をおいて前記移動方向の一方側と他方側とから対向するストッパーと、
前記移動部材を前記移動方向の一方または他方に押圧して前記ストッパーに当接させるアクチュエータとを備え、
前記移動部材における前記移動方向の両端部には、前記前進用カムフォロアおよび前記後退用カムフォロアのうち一方のカムフォロアを押圧して使用位置に移動させる押圧部材と、前記スライダが前記軸線方向に移動した後に前記一方のカムフォロアが前記退避位置に移動することによりこのカムフォロアの先端部が挿入される穴とが設けられていることを特徴とするエンジンの動弁装置。 - 請求項2または請求項3記載のエンジンの動弁装置において、
前記係合部材は、前記スライダと前記ピンとのうちいずれか一方の部材に支持されたスナップリングによって構成され、
前記スナップリングは、前記スライダと前記ピンとのうち他方の部材に形成された環状溝に係合可能な形状に形成されていることを特徴とするエンジンの動弁装置。 - 請求項2または請求項3記載のエンジンの動弁装置において、
前記係合部材は、前記スライダに保持されるとともにばね部材によって前記ピンに向けて付勢されたボールによって構成され、
前記ピンには、前記ボールが係合する環状溝が形成されていることを特徴とするエンジンの動弁装置。
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