JPWO2015129361A1 - 表面プラズモン励起増強蛍光分光測定用センサーチップ - Google Patents

表面プラズモン励起増強蛍光分光測定用センサーチップ Download PDF

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Abstract

本発明は、測定試料(生体試料)由来の夾雑物がセンサー部に非特異的に吸着することが効果的に防止され、かつ時間経過によっても誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果が低下しないセンサーチップを提供することを課題とするものである。本発明のセンサーチップは誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する表面プラズモン励起増強分光測定のためのセンサーチップであって、前記捕捉物質が固定された領域を含む領域にブロッキング剤によるブロッキング処理が行われ、前記ブロッキング処理は測定試料と前記金属薄膜との接液面の全体には行われていない、センサーチップである。

Description

本発明は、測定試料(生体試料)由来の夾雑物がセンサー部に非特異的に吸着することが防止された表面プラズモン励起増強蛍光分光測定用センサーチップに関する。更に詳しくは、測定試料(生体試料)由来の夾雑物がセンサー部に非特異的に吸着することが防止され、更に誘電体部材からの自家蛍光によるノイズの発生が低減された表面プラズモン励起増強蛍光分光測定用センサーチップに関する。
ヒトや動物の血液、尿、その他の生体試料中に含まれる腫瘍マーカー、特定のタンパク質や核酸、その他の生体関連物質を検出、定量することは、今日の医療分野における診断や生物、生化学の分野における研究において広く行われている。そして、生体試料中に含まれる微量の生体関連物質を高感度に測定する方法として、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS、Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)(以下、「SPFS」ともいう)を用いた測定方法が知られている。
SPFSでは、光源より照射したレーザー光等の励起光が、金属薄膜表面で全反射減衰(ATR;attenuated total reflectance)する条件において、金属薄膜表面に表面プラズモン(粗密波)を発生させる。その結果、光源より照射した励起光が有するフォトン量が数十倍〜数百倍に増加され、表面プラズモン光の電場増強効果が得られる。そして、SPFSを用いた測定法では、金属薄膜の表面近傍に捕捉した測定対象化合物と結合した蛍光物質を、この電場増強効果により効率良く励起させ、発生する蛍光発光を観察することによって、極めて微量の測定対象化合物も測定可能となる。
表面プラズモン励起増強蛍光測定装置(以下、「SPFS装置」ともいう)の概略構成の一例を図1に示す。SPFS装置100は、センサーチップ装填部111を備えており、このセンサーチップ装填部111に、センサーチップ110が装填されるように構成されている。
図1の例では、センサーチップ110は、誘電体部材112と、誘電体部材112の主面112a上に形成された金属薄膜113と、金属薄膜113上の微細流路117の所定位置に形成されたセンサー部116を有している。センサー部116は、測定対象物質を捕捉する物質(以下、捕捉物質ともいう)が固定化された領域である。微細流路117は、薄層部材114とプレート(蓋)115によって、誘電体部材112の主面112aに金属薄膜113を介して形成されている。
SPFS装置100のセンサーチップ装填部111に装填されたセンサーチップ110の誘電体部材112側には、誘電体部材112の入射面112iから入射され、金属薄膜113において全反射減衰(ATR)が生じる所定の入射角θでセンサー部116に向かう励起光121を照射する光源120を備えるとともに、さらに光源120から照射された励起光121が金属薄膜113で反射した反射光122を受光する受光手段123が備えられている。また、センサーチップ110の上方には、センサー部116に捕捉された測定対象物質を標識する蛍光物質が発する蛍光131を受光する光検出手段130が設けられている。
センサーチップ110と光検出手段130との間には、蛍光131を効率良く集光するための集光部材126と、蛍光131以外の光を除去して蛍光131のみを選択的に透過する波長選択機能部材133が設けられている。
このようなSPFS装置100は、使用例は次の通りである。
先ず、センサー部116に微細流路117を通して測定対象物質を含有する検体液(測定試料)を流入させ、測定対象物質をセンサー部116に固定された捕捉物質に捕捉する。次いで、測定対象物質を蛍光標識する物質(例えば、蛍光標識化2次抗体)(以下、蛍光標識物質ともいう)を、同様に微細流路117を通して流入させることで、センサー部116に蛍光物質で標識された測定対象物質が捕捉された状態とする。
そして、この状態で光源120より誘電体部材112を介して、金属薄膜113において全反射減衰が生じる所定の入射角θで励起光121を照射することで、エバネッセント波と金属薄膜113からの表面プラズモンとの共鳴によって増強された電場が発生し、それによりセンサー部116に捕捉された測定対象物質を標識する蛍光物質による蛍光131を効率良く励起させる。この励起された蛍光131を光検出手段130で検出することで、極めて微量の測定対象物質でも検出・定量が可能である。
このようなSPFS装置を用いて、生体試料中の測定対象物質を測定する場合、センサー部116に捕捉された測定対象物質を標識する蛍光物質による蛍光131以外にもノイズが発生する。このノイズは、主として、蛍光標識物質がセンサー部116に非特異的に結合することによるノイズ(ブランクシグナル)並びに誘電体部材112等の基材からの自家蛍光及び環境由来の迷光によるノイズ(ベースラインシグナル)である。
このうち、ブランクシグナルの主な原因は、生体試料中に含まれる測定対象物質以外のタンパク質、脂質、糖、その他の夾雑物がセンサー部(センサー部の捕捉物質(1次抗体等)や捕捉物質を固定化するための支持体等)に非特異的に吸着し、この夾雑物に蛍光標識物質が結合することや、蛍光標識物質が直接センサー部に非特異的に吸着すること等にある。なお、夾雑物や蛍光標識物質の非特異的な吸着を防止する方法としては、ブロッキング剤による処理(以下、ブロッキング処理という)が知られている(特許文献1)。
また、ベースラインシグナルの原因の一つに、プリズム等の誘電体部材の材料から生じる自家蛍光があるが、自家蛍光の多くの部分は、金属薄膜により遮蔽されることにより、光検出手段には届かず、ベースラインシグナルが抑制されている。
微細流路を有するセンサーチップにおいて、従来は、ブロッキング剤を含む溶液を微細流路に導入し、微細流路中の金属薄膜全体をブロッキング剤を含む溶液で覆うことにより、ブロッキング処理を行っていた。このブロッキング処理により、夾雑物がセンサー部に非特異的に吸着することは防止される。しかしながら、時間の経過により、金属薄膜が部分的に誘電体部材から剥離する場合があった。すなわち、通常、プラズマ支援型スパッタ法、電子ビーム加熱式真空蒸着法等の真空成膜法等によって誘電体部材の主面上に金属薄膜が形成されるが、上記のように金属薄膜をブロッキング処理した後に時間が経過すると、金属薄膜が部分的に円形隆起し誘電体部材から剥離する現象が生じる場合があった。その結果、誘電体部材の材料から生じる自家蛍光が金属薄膜によって十分に遮蔽されなくなり、ベースラインシグナルが増大し、ノイズの原因となることが分かってきた。
特開2006−292472号公報
本発明は、測定試料(生体試料)由来の夾雑物がセンサー部に非特異的に吸着することが効果的に防止され、かつ時間経過によっても誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果が低下しないセンサーチップを提供することを課題とする。
本発明者らは、誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果が時間経過によって低下する原因は、金属薄膜が誘電体部材から部分的に剥離することにあることに着目した。そして検討した結果、金属薄膜が誘電体部材から剥離するのは金属薄膜上のブロッキング剤が影響していること、またその原因として、特許文献1に記載されているように微細流路を形成してブロッキング剤を送液し、底面に相当する金属薄膜表面を含む微細流路の内壁を全面的にブロッキング処理をした場合、ブロッキング剤溶液が微細流路内(金属薄膜表面)に残存し、その水分が金属薄膜の隆起や剥離を生み出している可能性があることを見い出した。そして、ブロッキング処理を、センサー部を含む必要な範囲のみに限定することが、金属薄膜の誘電体部材からの剥離防止に有効であることを見い出し、本発明を完成させた。
更に、異なる領域にそれぞれ異なる種類の捕捉物質を固定したセンサーチップの場合は、それぞれのセンサー部に固定した捕捉物質に捕捉される物質、すなわち、それぞれのセンサー部に捕捉される測定対象物質、に適したブロッキング剤で、それぞれのセンサー部を含む必要な範囲のみをブロッキング処理をすることが、夾雑物の非特異吸着防止と誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果の低減防止の両者を実現するために有効であることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の表面プラズモン励起増強分光測定のためのセンサーチップは、次の通りである。
[項1]
誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する表面プラズモン励起増強分光測定のためのセンサーチップであって、
前記捕捉物質が固定された領域を含む領域にブロッキング剤によるブロッキング処理が行われ、前記ブロッキング処理は測定試料と前記金属薄膜との接液面の全体には行われていない、センサーチップ。
[項2]
前記ブロッキング処理が前記捕捉物質が固定された領域のみに行われている、項1に記載のセンサーチップ。
[項3]
前記捕捉物質が固定された領域を複数有し、前記複数の領域のそれぞれに行うブロッキング処理のブロッキング剤のうち少なくとも1種が他のブロッキング剤と異なっている項1又は2に記載のセンサーチップ。
[項4]
前記ブロッキング剤がブロッキング効果を有する物質と糖類とを含む、項1〜3いずれか一項に記載のセンサーチップ。
[項5]
前記ブロッキング剤がウシ血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン及びスキムミルクのうちの少なくとも1種を含む項1〜4いずれか一項に記載のセンサーチップ。
本発明によれば、測定試料(生体試料)由来の夾雑物がセンサー部に非特異的に吸着することが効果的に防止され、かつ時間経過によっても誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果が低下しないセンサーチップが提供される。
図1は、従来の表面プラズモン励起増強蛍光測定装置の構成を説明するための概略図である。 図2aは、1つのセンサー部を有する本発明のセンサーチップの一具体例を説明する概略図である。 図2bは、1つのセンサー部を有する流路を形成した本発明のセンサーチップの一具体例を説明する概略図である。 図2cは、3つのセンサー部を有する本発明のセンサーチップの一具体例を説明する概略図である。なお、図2a、図2b及び図2cを合わせて、図2という。 図3は、本発明のセンサーチップを作製するためのブロッキング処理を行う工程の一具体例を説明するための概略図である。 図4は、センサー部を3個有するセンサーチップの場合に、測定試料と金属薄膜との接液面の全体をセンサー部をそれぞれ1個ずつ含む領域に分けて、それぞれの領域の全体を、その領域に適したブロッキング剤によりブロッキング処理を行ったセンサーチップの一具体例を説明する概略図である。
以下に、図面を用いて本発明のセンサーチップについて詳細に説明するが、本発明のセンサーチップは図面の具体例に限定されるものではない。
1.センサーチップの構成
本発明のセンサーチップは、
「誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する表面プラズモン励起増強分光測定のためのセンサーチップであって、
前記捕捉物質が固定された領域を含む領域にブロッキング剤によるブロッキング処理が行われ、前記ブロッキング処理は測定試料と前記金属薄膜との接液面の全体には行われていない、センサーチップ」
である。
図2に示した本発明のセンサーチップの一具体例に基づいて、本発明のセンサーチップの主要な構成を説明する。図2aは、1つのセンサー部を有するセンサーチップの一具体例である。なお、図2aでは蓋などの部材は省略して示している。図2bは、1つのセンサー部を有するセンサーチップの一具体例を用いて、流路を形成したものである。図2cは、3つのセンサー部を有するセンサーチップの一具体例である。なお、図2cにおいても簡略化のため流路を形成する部材(蓋など)は省略して示している。
図2a及び図2cに示すように、センサーチップの一具体例200は、誘電体部材201と、誘電体部材201の主面201a上に形成された金属薄膜202と、金属薄膜202の一部に設けられたセンサー部203とを有する。センサー部とは、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域のことをいい、金属薄膜202上の一部の領域に形成される。センサー部203を含む領域は、ブロッキング剤によるブロッキング処理が行われているが、このブロッキング処理は測定試料と金属薄膜202との接液面の全体、すなわち流路206内の金属薄膜202全体には行われていない。これらセンサーチップは、具体的には図2bに例示するような流路等が形成されたセンサーチップに構成されて使用される。
図2bに示すセンサーチップは、図2a及び図2cに示したセンサーチップと同様な構成を備え、さらに流路等が形成された状態の一具体例を示している。なお、図2bは図2aに示したように1つのセンサー部を有するセンサーチップの具体例であるが、図2cに示したように複数のセンサー部を有するセンサーチップの場合にも同様な構成にすることができる。図2bに示すように、センサーチップの一具体例200は、金属薄膜202上に薄層部材204を設置し、薄層部材204上にプレート(蓋)205を設置することにより、測定試料が流れる流路206がセンサー部203を含む金属薄膜202上に形成される。測定試料は、ピペット等を用いて、流入・排出口207から流路206に導入し、導入された測定試料は液溜部208に溜るようになっている。
センサーチップ200は、SPFS装置に装填して使用する。測定に際しては、測定試料を流入・排出口207から注入する。流入・排出口207でピペット等により測定試料を注入し、所定時間反応させることで、測定対象物質はセンサー部203に固定された捕捉物質に捕捉される。その後、測定試料を流入・排出口207からピペット等により排出する。続いて、洗浄液(例えば界面活性剤が溶解したPBS)を流入・排出口207から注入し、流路206に残存する測定試料や非特異的に吸着した測定対象物質を洗い流した後、それらが溶け込んだ洗浄液を流入・排出口207から吸引する。次に、センサー部203に捕捉された測定対象物質を蛍光物質で標識するため、蛍光物質の溶液を流入・排出口207から注入し、測定試料のときと同様、所定時間反応させた後、流入・排出口207から吸引する。再び、洗浄液を流入・排出口207から注入し、流路206に残存する蛍光物質の溶液や非特異的に吸着した蛍光物質を洗い流した後、それらが溶け込んだ洗浄液を流入・排出口207から吸引する。最後に、測定液(例えばPBS)を流入・排出口207から注入し、流路206を測定液で満たした状態にしてから、センサー部に励起光を照射し、表面プラズモン励起増強蛍光分光法による蛍光物質の励起された蛍光を測定する。
なお、本発明で測定試料とは、本発明のセンサーチップを装填したSPFS装置に供する試料をいい、例えば、測定試料は生体試料、すなわち、ヒトや動物から採取された検体、および生体試料に由来する物質を含んだ試料である。また、本発明で測定対象物質とは、本発明のセンサーチップを装填したSPFS装置を用いて検出又は定量する物質をいい、例えば、測定対象物質は、測定試料から検出又は定量するタンパク質、脂質、糖、核酸、その他の物質である。
2.誘電体部材
上記の本発明のセンサーチップの一具体例(図2)では、誘電体部材201は、断面が台形状をなした六面体形状に形成されている。その上側の面が主面201aであり、この六面体の側面の一面が、励起光の入射面である入射面201iである。
誘電体部材201の形状は、上記のような六面体形状に限定されない。少なくともセンサー部203が形成される主面201aと、励起光が入射する面である入射面201iを有し、入射面201iから入射した励起光が、誘電体部材201の内部を通過し、全反射条件となる所定の入射角θでセンサー部203を照射するように構成されていればよく、その形状は、例えば円錐形状や、三角錐や四角錐などの角錐形状、或いはかまぼこ状であってもよい。また、誘電体部材201に二面以上の入射面201iを形成することも可能である。
誘電体部材の材質は、少なくとも励起光に関して光学的に透明な材料から形成されていればその材質は特に限定されないが、安価で取り扱い性に優れるセンサーチップを提供する上では、例えば樹脂材料から形成されていることが好ましい。誘電体部材を樹脂材料から形成する場合は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などのポリ環状オレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
誘電体部材の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記のような樹脂材料を用いる場合には、射出成形によって形成することができる。
3.金属薄膜
金属薄膜202(図2参照)は、一般的なSPFS装置に用いられるセンサーチップを構成する金属薄膜と同様の金属を用いることができる。すなわち、金属薄膜は、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることが好ましく、その中でも金からなることがより好ましい。これらの金属については、その合金の形態であってもよく、金属を積層したものであってもよい。
金属薄膜を誘電体部材の主面上に形成する方法としては、通常行われている方法を用いればよく、例えば、電子ビーム加熱真空蒸着法、抵抗加熱真空蒸着法、マグネトロンスパッタ法、プラズマ支援スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によって、誘電体部材の主面上に金属薄膜を成膜することができる。
金属薄膜の厚さとしては、金は5〜500nm、銀は5〜500nm、アルミニウムは5〜500nm、銅は5〜500nm、白金は5〜500nm、これらの合金は5〜500nmが好ましい。電場増強効果の観点からは、金は20〜70nm、銀は20〜70nm、アルミニウムは10〜50nm、銅は20〜70nm、白金は20〜70nm、これらの合金は10〜70nmがより好ましい。金属薄膜の厚さが上記範囲内であると、表面プラズモンが発生し易いので好適である。
4.センサー部
センサー部203(図2参照)は、金属薄膜202上の一部の領域に設けられており、この領域に捕捉物質が固定されている。この場合、センサー部は複数個設けられていてもよく、それぞれのセンサー部には異なる捕捉物質が固定されていてもよい(図2c参照)。
捕捉物質は、測定対象物質(タンパク質、脂質、糖、核酸、その他の物質)を特異的に捕捉する物質である。捕捉物質としては、例えば、抗原に対する抗体、基質・補酵素に対する酵素、ホルモンに対するレセプタ、抗体に対するプロテインA・プロテインG、ビオチンに対するアビジン類、カルシウムに対するカルモジュリン、糖に対するレクチン、等が挙げられる。また、測定対象物質が核酸である場合、それと特異的に結合する配列を有する核酸も捕捉物質として使用可能である。
捕捉物質を金属薄膜上に固定する方法としては、通常行われている方法を用いればよく、例えば、金属薄膜の表面に特定の結合を生じる修飾基を導入し、捕捉物質にこの修飾基に対応した反応基を導入し、これらの修飾基と反応基を結合させることにより、捕捉物質を金属薄膜上に固定することができる。
具体的には、例えば、必要に応じて金属薄膜上に誘電体層を形成させた後、金属薄膜の表面を、末端にアミノ基を有するシランカップリング剤で処理してアミノ基で修飾し、続いてNHS(N−ヒドロキシコハク酸イミド)−PEG4−ビオチンで処理して上記アミノ基にビオチンを結合させ、このビオチンにアビジンを反応させた後に、ビオチン化した捕捉物質(例えば抗体)を反応させることにより、金属薄膜上に捕捉物質を固定することができる。あるいは、金属薄膜の表面を、末端にカルボキシル基を有するシランカップリング剤で処理してカルボキシル基で修飾し、続いてEDC(1-Ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl]carbodiimide hydrochloride)およびNHSで処理してそのカルボキシル基を活性エステル化した後に、アミノ基を有する捕捉物質(例えば抗体)を反応させることによっても、金属薄膜上に捕捉物質を固定することができる。
また、必要に応じて、SAM(Self−Assembled Monolayer;自己組織化単分子膜)を、金属薄膜の表面に形成させ、捕捉物質を金属薄膜上に固定してもよい。SAMは、捕捉物質を金属薄膜上に固定する際の土台としての役割を有する。
このSAMが含む単分子としては、例えば、炭素原子数4〜20程度のカルボキシアルカンチオール(例えば、(株)同仁化学研究所、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)などから入手可能)、特に好ましくは10−カルボキシ−1−デカンチオールが用いられる。炭素原子数4〜20のカルボキシアルカンチオールは、それを用いて形成されたSAMの光学的な影響が少ない、すなわち透明性が高く、屈折率が低く、膜厚が薄いなどの性質を有していることから好適である。
SAMの形成方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体例として、金属薄膜を、10−カルボキシ−1−デカンチオール((株)同仁化学研究所製)を含むエタノール溶液に浸漬する方法などが挙げられる。このように、10−カルボキシ−1−デカンチオールが有するチオール基が、金属と結合し固定化され、金薄膜の表面上で自己組織化し、SAMを形成する。形成したSAM上へ捕捉物質を固定する方法も、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、上記のEDC及びNHSで処理する方法を用いることができる。
金属薄膜上に捕捉物質が固定された領域、すなわちセンサー部、の形状及び面積は、特に限定されるものではないが、入射した励起光が照射される照射領域の面積以上であることが好ましい。特に、センサー部で励起された蛍光測定時のS/Nを向上させるためには、センサー部の形状は、励起光が照射される領域と同じ形状であることが好ましい。この場合、金属薄膜上の一部の領域のみに捕捉物質を固定するためには、捕捉物質を固定する領域の形状に応じて、例えば後述する溶液貯留部材304のような部材を金属薄膜上の所定の位置に設置して、この部材の中へ上記の捕捉物質を金属薄膜上に固定する方法で用いる試薬等を添加すればよい。
なお、センサー部は、上記のような流路の金属薄膜上に形成する場合に限定されるものではなく、例えば、ウエルを有するプレートのウエル内の金属薄膜上に形成してもよい。
5.ブロッキング処理
本発明でブロッキング処理とは、測定試料中の夾雑物(測定対象物質以外のタンパク質、脂質、糖、その他)や蛍光標識物質がセンサー部に非特異的に吸着又は結合することを防止する処理をいい、本発明でブロッキング剤とは、このような吸着又は結合を防止する物質をいう。
本発明のセンサーチップ203(図2参照)は、金属薄膜202上の捕捉物質が固定された領域(センサー部203)を含む領域にブロッキング剤によるブロッキング処理が行われている。ただし、このブロッキング処理は、測定試料と金属薄膜202との接液面の全体には行われていない。
前述のように、本発明者らが検討したところ、誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果が時間経過によって低下する原因は金属薄膜が誘電体部材から部分的に剥離することにあり、このように金属薄膜が誘電体部材から剥離するのは金属薄膜上のブロッキング剤が影響している。従って、金属薄膜の誘電体部材からの剥離を防止するためには、ブロッキング処理を、捕捉物質が固定された領域(センサー部)を含む必要な範囲、好ましくは捕捉物質が固定された領域(センサー部)のみに限定して行うことが効果的である。
また、捕捉物質が固定された領域を複数有するセンサーチップの場合、捕捉物質が固定されたそれぞれの領域に行うブロッキング処理のブロッキング剤のうち少なくとも1種が他のブロッキング剤と異なっていることが好ましい。異なる領域にそれぞれ異なる種類の捕捉物質を固定したセンサーチップの場合(例えば、図2cの場合)は、それぞれのセンサー部に固定した捕捉物質に捕捉される物質、すなわち、それぞれのセンサー部に捕捉される測定対象物質、に適したブロッキング剤で、それぞれのセンサー部のみをブロッキング処理をすることが、夾雑物の非特異吸着防止と誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果の低減防止の両者を実現するために有効である。全てのセンサー部の領域を同じブロッキング剤でブロッキング処理すると、それぞれのセンサー部に捕捉される測定対象物質に対してブロッキング効果が異なり、ブロッキング効果を最適化することができない場合がある。従って、例えば、図2cのセンサー部203の場合は、それぞれの領域に捕捉される測定対象物質に適したブロッキング剤でそれぞれのセンサー部のみをブロッキングすることが好ましく、これによって、いわゆるマルチアッセイにおいても、ノイズが低減された高感度の測定を達成できる。
なお、捕捉物質が固定された金属薄膜上の領域(センサー部)を複数有するセンサーチップの場合、測定試料と金属薄膜との接液面の全体を、上記センサー部をそれぞれ1個ずつ含む領域に分けて、それぞれの領域の全体を、その領域に適したブロッキング剤、すなわち、その領域のセンサー部で捕捉される測定対象物質に適したブロッキング剤によりブロッキング処理を行ってもよい(例えば、図4を参照)。このように、測定対象物質が異なる複数のセンサー部を有するセンサーチップにおいては、少なくともセンサー部のそれぞれの領域には各センサー部に適したブロッキング処理を行うべく、センサー部毎に異なるブロッキング剤によるブロッキング処理を行うことが好ましく、このようにブロッキング処理を行うことにより、前述のように、マルチアッセイにおいてもノイズが低減された高感度の測定を達成することができる。
ブロッキング剤及びブロッキング処理方法は、特に制限はなく、通常行われているものを使用すればよい。ブロッキング剤としては、例えば、スキムミルク、フィッシュゼラチン、ウシ血清アルブミン(BSA)、界面活性剤、カゼイン、プロタミン、ポリエチレングリコール、トレハロース、デキストラン等が知られており、測定試料、測定対象物質に応じて適切なものを選べばよい。このうち、ウシ血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、スキムミルクがより一般的によく使用される。
ブロッキング剤の選定方法の例は、次の通りである。すなわち、候補とするブロッキング剤で本発明のセンサーチップのセンサー部を含む領域をブロッキング処理し、センサーチップをSPFS装置に装填した後、測定試料をセンサーチップの流路に導入し、センサー部に測定対象物質を捕捉し、捕捉された測定対象物質を蛍光物質で標識して、センサー部に励起光を照射し蛍光を測定する。ブロッキング処理しないセンサーチップについても、同様に蛍光を測定し、両者の蛍光を比較して、観察されるノイズ(ブランクシグナル及びベースラインシグナルの合計)が目的に応じた程度に低減されるブロッキング剤を選定すればよい。
測定対象物質に対するブロッキング剤の好ましい例としては、トロポニンIに対するブロッキング剤としてはカゼイン、NT−ProBNPに対するブロッキング剤としてはゼラチン、D−Dimerに対するブロッキング剤としてはBSAが挙げられる。
このようなブロッキング剤は、更に糖類を含むことによって、捕捉物質、特に抗体のようなタンパク質の捕捉物質、の構造を安定に保護し、時間経過による測定対象物質が有する捕捉効果の減少を防ぐ効果がある。このような糖類は、単糖(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖(スクロース、マルトース等)、及び3〜10個の単糖から構成されるオリゴ糖(ラフィノース、パノース等)からなる群から選択される少なくとも1種の糖であることが好ましい。また、糖類がブロッキング剤溶液に含まれる量は、ブロッキング剤溶液に対して、1〜20重量%であることが好ましく、5〜12重量%であることがより好ましい。
ブロッキング処理の方法としては、例えば、ブロッキング剤を溶液状態として、金属薄膜のセンサー部の表面に加えて覆い、所定時間保持後、金属薄膜のセンサー部から余剰のブロッキング剤溶液を除去すればよい。具体的には、例えば、ブロッキング剤溶液で覆った状態で室温で1時間保持し、ブロッキング剤溶液を除去して、ブロッキング剤溶液で覆ったセンサー部等の表面を乾燥させるように、例えばセンサーチップ全体を乾燥させることが挙げられる。
ブロッキング処理は、捕捉物質が固定された領域、すなわちセンサー部203のみに行われていることが好ましい。これは、ブロッキング剤によるブロッキング処理を必要最小限とすることにより、前述のブロッキング剤(水分の残存等)の金属薄膜の剥離に与える影響を最小限とするためである。
金属薄膜上の捕捉物質が固定された領域(センサー部)のみをブロッキングする方法の例として、図3に示す工程を説明する。センサー部303が円形の場合、センサー部と同じ寸法の内径を有する円筒形の溶液貯留部材304を、金属薄膜302のセンサー部303上に、センサー部303がブロッキング溶液貯留部材の内径に入るように設置する。溶液貯留部材304の材質は、ブロッキング剤溶液を貯留できるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの樹脂等である。次に、溶液貯留部材304内へ、ピペット等により、センサー部303全体が覆われるようにブロッキング溶液を加え、所定の時間、例えば1時間保持する。この場合、溶液貯留部材304内に入れたブロッキング剤溶液305が溶液貯留部材304と金属薄膜302との隙間から漏れ出さないように、溶液貯留部材304と金属薄膜302との間をシールしておく。このシールは、例えば、溶液貯留部材304の下部に巻いたシール部材306より行われる。シール部材306の材質は、例えばゴムであり、シール部材306の効果をより十分にするために、例えばブロッキング剤溶液貯留部材304と誘電体部材300を適当な板部材(図示せず)で挟んで力を加える等の方法によって、溶液貯留部材304の上から力を加えてシール部材306を金属薄膜303の表面に密着させることが好ましい。室温で所定時間(例えば1時間)保持後、ピペット等により、溶液貯留部材304からブロッキング剤溶液305を取り出した後、恒温槽にセンサーチップを入れて乾燥させる。
センサー部303に対して行うブロッキング処理は、複数のブロッキング剤を用いた処理であってもよい。例えば、測定試料と測定対象物質に応じて、複数のブロッキング剤を用いることがブロッキング効果が高い場合は、ある種類のブロッキング剤溶液を用いて処理した後に、別の種類のブロッキング剤溶液を用いて処理すれば、それらの2種類のブロッキング剤からなる層でセンサー部303を被覆することができる。
センサー部の形状は円形に限るものではないことは前述の通りであり、円形以外の形状のセンサー部の場合は、その形状に応じたブロッキング剤溶液貯留部材を設置すればよい。また、例えば図2cのような複数のセンサー部を有するセンサーチップの場合は、上記の方法を複数のセンサー部に対して行えばよい。
なお、前述のように、捕捉物質が固定された金属薄膜上の領域(センサー部)を複数有するセンサーチップの場合、測定試料と金属薄膜との接液面の全体を、上記センサー部をそれぞれ1個ずつ含む領域に分けて、それぞれの領域の全体を、その領域に適したブロッキング剤によりブロッキング処理を行ってもよい(例えば、図4を参照)。この場合、1つの領域を適当な部材で区切り、他の領域にブロッキング剤が接触しないようにして、それぞれの領域を、その領域に適したブロッキング剤によりブロッキング処理を行うことができる。
6.測定試料中の測定対象物質の検出、定量
本発明のセンサーチップは、SPFS装置に装填して、測定試料中の測定対象物質の検出、定量に使用することができる。SPFS装置は、従来公知のものを使用することができ、測定対象物質のセンサー部への捕捉、捕捉された測定対象物質の蛍光標識(例えば、標識化2次抗体の使用等)、励起光の照射、エバネッセント波と金属薄膜からの表面プラズモンとの共鳴、蛍光発光の測定等についても、従来公知の種々の方法でよく、特に制限はない。
本発明のセンサーチップの一具体例として、図2bに示すように、金属薄膜202上に薄層部材204を設置し、薄層部材204上にプレート(蓋)205を設置することにより、測定試料が流れる流路206をセンサー部203を含む金属薄膜202上に形成したセンサーチップが挙げられることは前述の通りである。この場合の薄層部材204の材質は、例えばアクリル性粘着シートであり、その厚さは目的の流路の高さに応じて決めればよく、例えば、20〜1000μmである。プレート(蓋)205の材質は、例えば前述した誘電体部材と同様の樹脂材料である。流入・排出口207及び液溜部208の形状は、前述のように、流入・排出口207からピペット等を用いて測定試料を導入し、流入・排出口207でピペット等により測定試料を数回繰り返し吸引、注入することにより、液溜部208に溜った測定試料が撹拌されやすいように、適宜設定することができる。
また、本発明のセンサーチップは、上記のような流路を構成して使用する場合だけでなく、他の形態、例えば、ウエルを有するプレートのウエル内にセンサー部を形成したセンサーチップをSPFS装置に装填して使用してもよいことも前述の通りである。
測定試料は、前述の通り、例えば生体試料(ヒトや動物から採取された検体)であるが、実際の測定のために、液状の検体が好ましい。このような測定試料の例として代表的なものは、血液(血清、血漿を含む)及び尿である。細胞を対象とする場合も、所定の方法に従って細胞懸濁液を作製して、液状の測定試料とすることもできる。また、採取された検体は、必要に応じて、抗凝固処理、遠心分離、抽出、その他の必要な処理を行った上で、測定試料としてもよい。
測定対象物質は、前述の通り、測定試料から検出又は定量するタンパク質、脂質、糖、核酸、その他の物質である。測定試料が血液の場合の測定対象物質の例として、心筋マーカーであるトロポニンI、NT−ProBNP、D−Dimer等が挙げられる。
以下に、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)センサーチップの作製
工程(a):誘電体部材の材料としてシクロオレフィンポリマー樹脂(日本ゼオン株式会社)、ZEONEX(登録商標)用いて作成した略台形の断面形状を持つプリズム部材の主面に、まずクロム薄膜をスパッタリング法により形成し、さらにその表面に金薄膜をスパッタリング法により形成した。このクロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
工程(b):得られた成膜済みプリズムを、10−カルボキシ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、金薄膜の片面にSAM(自己組織化単分子膜)を形成した。プリズムを該溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールで洗浄した後、エアガンで乾燥させた。
工程(c):ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)製の外径7mm、内径5mm、長さ15mmの円筒部材の一方の端に、深さ0.5mm、幅1mmの溝を形成し、フッ素ゴム製の太さ1mm、内径6mmのOリング(株式会社ミスミ)を設置した容液貯留部材を、該工程(b)で得られたプリズムの金属薄膜上に設置した。溶液貯留部材からの漏出を防ぐため、ステンレス製の板材2枚を用いて溶液貯留部材及びプリズムを上下から挟み込み、ビスで固定した(上側のステンレス製の板材には、溶液貯留部材へ試薬等を出し入れするための開口部が設けられている)。
工程(d):N−ヒドロキシコハク酸イミド〔NHS〕を25mg/mLと、水溶性カルボジイミド〔EDC〕を25mg/mLとを含むMES〔2-morpholinoethanesulfonic acid〕緩衝生理食塩水(pH6.0)を0.2mL導入し、20分間反応させた後、反応液を抜き取り、抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体を含むAcetate溶液(pH6.0)0.2mLを導入し、30分間反応させることで、SAM上に1次抗体を固相化した。
工程(e):次いで、50mMのTris(pH7.4)0.2mLを導入し、15分間反応させることで、未反応の活性化エステル基を不活性化した。
工程(f):ブロッキング剤溶液として1重量%カゼインと10重量%スクロースを含むPBS緩衝生理食塩水を導入し、30分間放置後に該ブロッキング剤溶液を抜き取り、1次抗体が固定化された領域に非特異的吸着防止処理を行った。
工程(g):溶液貯留部材を除去し、流路を形成するための貫通孔(7mm×30mm)を形成したPET基材両面テープNo.5610(日東電工株式会社)(薄層部材204)を用いて、流入・排出口207および液溜部208を有する、厚さ10mmのポリメチルメタクリレート製プレートを接着し、流路206を形成し、センサーチップとした。
(2)センサーチップ作製直後と保存後の比較
(2−1)作製直後のセンサーチップを用いた測定
抗原添加工程:(1)によって作製したセンサーチップに、抗原となるトロポニンIを0.1ng/mLと1重量%牛血清アルブミン〔BSA〕を含むPBS緩衝生理食塩水を注入し、固相化された1次抗体と抗原を30分間反応させた。抗原を含む溶液を吸引除去し、Tween20を0.05重量%含むTBSを注入・吸引除去する操作を数回繰り返し、洗浄操作を行った。
ベースラインシグナル測定:ここでブランクの蛍光(ベースラインシグナル)を、光源としてレーザー光源を用いて、波長635nmのレーザー光を、光学フィルター(シグマ光機(株))によりフォトン量を調節し、センサーチップの金属薄膜に照射し、カットフィルターとして蛍光成分以外の波長をカットするカットフィルター、対物レンズ(20倍)を用いてCCDイメージセンサー(テキサスインスツルメント(株)製)により検出した。
標識抗体添加工程:Tween20を0.05重量%含むTBSを吸引除去し、Alexa Fluor(商標名)647タンパク質ラベリングキット(インビトロゲン社)を用いて蛍光標識化した抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体(一次抗体とは異なるクローン)を含むPBS緩衝生理食塩水を流路に注入し、15分間反応させ、免疫複合体を形成させた。蛍光標識抗体を含む溶液であるPBS緩衝生理食塩水を吸引除去した後、Tween20を0.05重量%含むTBSを注入・吸引除去する操作を数回繰り返し、洗浄操作を行った。
アッセイシグナル測定:ベースラインシグナル測定と同様に蛍光を測定し、免疫複合体に由来する蛍光シグナルを測定した。
ブランクシグナル測定:標識化抗体の非特異的な吸着に由来するブランクシグナルの測定は、別のセンサーチップを用いて上記抗原添加工程において、抗原となるトロポニンIを含まない1重量%牛血清アルブミン〔BSA〕を含むPBS緩衝生理食塩水を注入することを除いて同様の工程で行った。
S/Nの算出:上記測定で得られた、ノイズ成分(ベースラインシグナル、ブランクシグナル)と抗原を含む溶液を用いて得られたシグナルから、下記式によりS/Nを算出した。
S/N
=|(アッセイシグナル)|/|(ベースラインシグナル+ブランクシグナル)|
金属薄膜欠陥の評価:金属薄膜欠陥の有無は、光学顕微鏡を用いて金属薄膜の表面状態を観察することによって確認した。得られた結果を表1に示す。
(2−2)保存後のセンサーチップを用いた測定
(1)の手法で作製したセンサーチップを、4℃で60日間保存した後、(2−1)と同様にベースラインシグナルおよびアッセイシグナルを測定し、S/Nを算出した。また、(2−1)と同様に、金属薄膜欠陥の有無は、光学顕微鏡を用いて金属薄膜の表面状態を観察することによって確認した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)センサーチップの作製
工程(a)〜工程(e):上記実施例1と同様の手順で、プリズム上に成膜された金薄膜上に1次抗体を固相化した。
工程(f):溶液貯留部材を除去し、流路を形成するための貫通孔(7mm×30mm)を形成したPET基材両面テープNo.5610(日東電工株式会社)(薄層部材204)を用いて、流入・排出口207および液溜部208を有する、厚さ10mmのポリメチルメタクリレート製プレートを接着し、流路206を形成した。
工程(g):最後にブロッキング剤溶液として1重量%カゼインと10重量%スクロースを含むPBS緩衝生理食塩水を流路206に導入し、30分間放置後に該ブロッキング剤溶液を抜き取って非特異的吸着防止処理(ブロッキング処理)を行い、センサーチップとした。
(2)センサーチップ作製直後と保存後の比較
(2−1)作製直後のセンサーチップを用いた測定
上記実施例1の(2−1)と同様にして、ベースラインシグナルおよびアッセイシグナルの測定ならびにS/Nの算出を行い、金属薄膜欠陥の有無を確認した。得られた結果を表1に示す。
(2−2)保存後のセンサーチップを用いた測定
上記実施例1の(2−2)と同様にして、(1)の手法で作製したセンサーチップを保存した後、ベースラインシグナルおよびアッセイシグナルの測定ならびにS/Nの算出を行い、金属薄膜欠陥の有無を確認した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2015129361
※1 実施例1、比較例1のベースラインシグナル、ブランクシグナルのそれぞれにおいて、保存0日の場合を100%として保存60日の場合を換算して%で表記した。
※2 比較例1の保存日数0の場合のS/Nを1として、他の場合のS/Nを換算して表記した。
[実施例2]
(1)センサーチップの作製
工程(a):実施例1の工程(a)と同様に金成膜済みプリズムを作製した。
工程(b):実施例1と同様に、金薄膜の片面にSAM(自己組織化単分子膜)を形成した。
工程(c):実施例1と同様のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)製の溶液貯留部材を、金成膜済みプリズム上の3カ所(領域1〜3のセンサー部)に設置し、溶液貯留部からの漏出を防ぐため、ステンレス製の板材2枚を用いて溶液貯留部材及びプリズムを上下から挟み込み、ビスで固定した(上側のステンレス製の板材には、溶液貯留部材へ試薬等を出し入れするための開口部が設けられている)。
工程(d):N−ヒドロキシコハク酸イミド〔NHS〕を25mg/mLと、水溶性カルボジイミド〔EDC〕を25mg/mLとを含むMES〔2-morpholinoethanesulfonic acid〕緩衝生理食塩水(pH6.0)を0.2mLを各溶液貯留部材に導入し、20分間反応させた後、反応液を抜き取り、それぞれの溶液貯留部材に、抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体を含むAcetate溶液(pH6.0)を0.2mL、抗NT−ProBNPモノクローナル抗体を含むAcetate溶液(pH6.0)を0.2mL、抗D−Dimerモノクローナル抗体を含むAcetate溶液(pH6.0)を0.2mL導入し、30分間反応させることで、SAM上に異なる種類の1次抗体を固相化した。
工程(e):次いで、50mMのTris(pH7.4)0.2mLを各溶液貯留部材に導入し、15分間反応させることで、未反応の活性化エステル基を不活性化した。
工程(f):、抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体を固相化した領域に、ブロッキング剤溶液として1重量%カゼインと10重量%スクロースを含むPBS緩衝生理食塩水を導入し、30分間放置後に該ブロッキング剤溶液を抜き取り、抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体が固定化された領域に非特異的吸着防止処理を行った。
工程(g):同様に抗NT−ProBNPモノクローナル抗体を固相化した領域に、1重量%ゼラチンと10重量%スクロースを含むPBS緩衝生理食塩水を導入し、30分間放置後に該ブロッキング剤溶液を抜き取り、抗NT−ProBNPモノクローナル抗体が固定化された領域に非特異的吸着防止処理を行った。
工程(h):同様に抗D−Dimerモノクローナル抗体を固相化した領域に、ブロッキング剤溶液として1重量%ゼラチンと10重量%スクロースを含むPBS緩衝生理食塩水を導入し、30分間放置後に該ブロッキング剤溶液を抜き取り、抗D−Dimerモノクローナル抗体が固定化された領域に非特異的吸着防止処理を行った。
工程(i):溶液貯留部材を除去し、流路を形成するための貫通孔(7mm×30mm)を形成したPET基材両面テープNo.5610(日東電工株式会社)(薄層部材204)を用いて、流入・排出口207および液溜部208を有する、厚さ10mmのポリメチルメタクリレート製プレートを接着し、流路206を形成し、3カ所(領域1〜3のセンサー部)の抗体固相化領域を有するセンサーチップとした。
(2)センサーチップ作製直後と保存後の比較
(2−1)作製直後のセンサーチップを用いた測定
抗原添加工程:抗原溶液として、トロポニンIを0.1ng/mLと、NT−ProBNPを0.1ng/mLと、D−Dimerを0.1ng/mLと1重量%牛血清アルブミン〔BSA〕とを含むPBS緩衝生理食塩水を使用することを除いては実施例1と同様に行った。
ベースラインシグナル測定:レーザー光源からの励起光を、センサーチップ上の3カ所の抗体固定化領域にそれぞれ照射することを除いて、実施例1と同様にベースラインシグナルの測定を行った。
標識抗体添加工程:標識抗体溶液として、Alexa Fluor(商標名)647タンパク質ラベリングキット(インビトロゲン社)を用いて蛍光標識化した抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体(一次抗体とは異なるクローン)、抗NT−ProBNPモノクローナル抗体(一次抗体とは異なるクローン)、抗D−Dimerモノクローナル抗体(一次抗体とは異なるクローン)を含むPBS緩衝生理食塩水を使用することを除いて、実施例1と同様に行った。
アッセイシグナル測定:ベースラインシグナル測定と同様に、センサーチップ上の3カ所の抗体固定化領域にそれぞれ励起光を照射し、それぞれの抗体固定化領域における、免疫複合体に由来する蛍光シグナルを測定した。
ブランクシグナル測定:標識化抗体の非特異的な吸着に由来するブランクシグナルの測定は、別のセンサーチップを用いて上記抗原添加工程において、抗原を含まない1重量%牛血清アルブミン〔BSA〕を含むPBS緩衝生理食塩水を注入することを除いて同様の工程で行った。
S/Nの算出:上記測定で得られた、ノイズ成分(ベースラインシグナル、ブランクシグナル)と抗原を含む溶液を用いて得られたシグナルから、下記式によりS/Nを算出した。
S/N
=|(アッセイシグナル)|/|(ベースラインシグナル+ブランクシグナル)|
金属薄膜欠陥の評価:金属薄膜欠陥の有無は、光学顕微鏡を用いて金属薄膜の表面状態を観察することによって行った。得られた結果を表2に示す。
(2−2)保存後のセンサーチップを用いた測定
(1)の手法で作製したセンサーチップを、4℃で60日間保存した後、(2−1)と同様にベースラインシグナルおよびアッセイシグナルを測定し、S/Nを算出した。また、(2−1)と同様に、金属薄膜欠陥の有無は、光学顕微鏡を用いて金属薄膜の表面状態を観察することによって確認した。得られた結果を表2に示す。
[比較例2]
(1)センサーチップの作製
工程(a)〜工程(e):上記実施例2と同様の手順で、プリズム上に成膜された金薄膜上に各1次抗体を固相化した。
工程(f):溶液貯留部材を除去し、流路を形成するための貫通孔(7mm×30mm)を形成したPET基材両面テープNo.5610(日東電工株式会社)(薄層部材204)を用いて、流入・排出口207および液溜部208を有する、厚さ10mmのポリメチルメタクリレート製プレートを接着し、流路206を形成した。
工程(g):最後にブロッキング剤溶液として1重量%カゼインと10重量%スクロースを含むPBS緩衝生理食塩水を流路206に導入し、30分間放置後に該ブロッキング剤溶液を抜き取り、非特異的吸着防止処理を行い、3カ所(領域1〜3のセンサー部)の抗体固相化領域を有するセンサーチップとした。
(2)センサーチップ作製直後と保存後の比較
(2−1)作製直後のセンサーチップを用いた測定
上記実施例2の(2−1)と同様にして、ベースラインシグナルおよびアッセイシグナルの測定ならびにS/N比の算出を行い、金属薄膜欠陥の有無を確認した。得られた結果を表2に示す。
(2−2)保存後のセンサーチップを用いた測定
上記実施例2の(2−2)と同様にして、(1)の手法で作製したセンサーチップを保存した後、ベースラインシグナルおよびアッセイシグナルの測定ならびにS/Nの算出を行い、金属薄膜欠陥の有無を確認した。得られた結果を表2に示す。
表2から分かるように、実施例2によれば、異なる領域にそれぞれ異なる種類の捕捉物質を固定したセンサーチップであって、測定試料(生体試料)由来の夾雑物が、それぞれの捕捉物質が固定された領域(それぞれのセンサー部)に非特異的に吸着することが防止され、かつ時間経過によっても誘電体部材から生じる自家蛍光の遮蔽効果が低下しないセンサーチップが得られる。
Figure 2015129361
※1 各領域における実施例2、比較例2のベースラインシグナルの%は、その領域の実施例2又は比較例2における、保存日数の影響を表したものである。それぞれの領域の実施例2又は比較例2において、保存0日の場合を100%として保存60日の場合を換算して%で表記した。
※2 各領域における実施例2、比較例2のブランクシグナルの%は、同じ項目(測定対象物質)で同じ保存日数の場合のブロッキング剤の差の影響を表したものである。それぞれの領域の各保存日数で、比較例2(ブロッキング剤は、カゼインを使用)の場合を100%とし、それと同じ保存日数に対応する実施例2(ブロッキング剤は、各領域の測定対象物質に適したものを使用)の場合を換算して%で表記した。
※3 各領域において、比較例2の保存日数0(ブロッキング剤はカゼインを使用)の場合のS/Nを1として、他の場合のS/Nを換算して表記した。
100 SPFS装置
110 センサーチップ
111 センサーチップ装填部
112 誘電体部材
112a 誘電体部材の主面
112i 誘電体部材の入射面
113 金属薄膜
114 薄層部材
115 プレート(蓋)
116 センサー部
117 微細流路
120 光源
121 励起光
122 反射光
123 受光手段
130 光検出手段
131 蛍光
132 集光部材
133 波長選択機能部材
θ 入射角
200 センサーチップ
201 誘電体部材
201a 誘電体部材の主面
201i 誘電体部材の入射面
202 金属薄膜
203 センサー部
204 薄層部材
205 プレート(蓋)
206 流路
207 流入・排出口
208 液溜部
300 センサーチップ
301 誘電体部材
301a 誘電体部材の主面
301i 誘電体部材の入射面
302 金属薄膜
303 センサー部
304 溶液貯留部材
305 ブロッキング剤溶液
306 シール部材

Claims (5)

  1. 誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する表面プラズモン励起増強分光測定のためのセンサーチップであって、
    前記捕捉物質が固定された領域を含む領域にブロッキング剤によるブロッキング処理が行われ、前記ブロッキング処理は測定試料と前記金属薄膜との接液面の全体には行われていない、センサーチップ。
  2. 前記ブロッキング処理が前記捕捉物質が固定された領域のみに行われている、請求項1に記載のセンサーチップ。
  3. 前記捕捉物質が固定された領域を複数有し、前記複数の領域のそれぞれに行うブロッキング処理のブロッキング剤のうち少なくとも1種が他のブロッキング剤と異なっている請求項1又は2に記載のセンサーチップ。
  4. 前記ブロッキング剤がブロッキング効果を有する物質と糖類とを含む、請求項1〜3いずれか一項に記載のセンサーチップ。
  5. 前記ブロッキング剤がウシ血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン及びスキムミルクのうちの少なくとも1種を含む請求項1〜4いずれか一項に記載のセンサーチップ。
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