JP6414209B2 - 表面プラズモン増強蛍光測定方法および表面プラズモン増強蛍光測定装置 - Google Patents

表面プラズモン増強蛍光測定方法および表面プラズモン増強蛍光測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、表面プラズモン増強蛍光測定方法および表面プラズモン増強蛍光測定装置に関する。
タンパク質やDNAなどの微量の被検出物質を高感度かつ定量的に測定できる方法には、表面プラズモン増強蛍光分光法(Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy):以下「SPFS」と略記する)が知られている。SPFSには、蛍光磁性粒子を用いてB/F分離を行う方法が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1に記載のSPFSでは、磁性粒子、蛍光物質および被検出物質を、SPFS測定装置における金属膜の、被検出物質が固定されるべき測定位置で反応させ、磁界の印加によって、磁性粒子、蛍光物質および被検出物質を含む複合体を上記測定位置に固定して、SPFSにより被検出物質を測定する。磁性粒子は、例えば100nm〜1μmのサイズを有し、未反応の磁性粒子は、上記複合体に比べて磁気誘導されにくく、測定用に調製された試料液中を浮遊しやすいので、他の未反応成分と共に洗浄によって除去される。
特許文献2に記載のSPFSでは、蛍光磁性粒子と被検出物質との複合体を上記測定位置に捕捉した後、磁気誘導によって蛍光磁性粒子を金属膜の表面から一定の距離に揃えて、SPFSにより被検出物質を測定する。
特開2011−033454号公報 特開2010−008247号公報
一般に、SPFSは、被検出物質を高感度で検出することが可能である一方で、試料液中の夾雑物によるノイズシグナルの測定結果への影響がより大きくなる傾向にある。上記特許文献1および2に記載のいずれのSPFSでも、試料液が上記測定位置に直接触れるため、試料液中の夾雑物が非特異的に上記測定位置に吸着し、ノイズシグナルとして検出されることがある。このように、従来のSPFSでは、SPFSにおける被検出物質の検出の感度が相対的に低下し、不十分となることがある。
本発明は、SPFSにおいて、夾雑物によるノイズシグナルがもたらす被検出物質の感度の相対的な低下を抑制することを目的とする。
本発明者らは、上記測定位置とは独立した容器内で試料原液中の夾雑物を除去する前処理を、蛍光磁性粒子を利用して行い、かつその後、アフィニティ反応を利用して蛍光磁性粒子を被検出物質とともに上記測定位置へ固定し、その蛍光シグナルを検出することで、高感度かつ低ノイズの検出が可能であることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、前述した目的を実現するための一手段として、蛍光物質で標識された被検出物質が固定された金属膜に向けて励起光を照射し、前記励起光の前記金属膜への照射によって発生した表面プラズモンにより発生した増強電場によって励起された、前記蛍光物質の蛍光を検出することで前記被検出物質を測定する表面プラズモン増強蛍光測定方法であって、前記金属膜に対して独立して配置されている容器内で、蛍光物質を含有する磁性粒子に試料原液中の前記被検出物質を担持させる第1の工程と、前記容器内に磁界を発生させて前記磁性粒子を固定しながら前記容器内の前記試料原液中の夾雑物を除去して測定用の試料液を調製する第2の工程と、前記試料液中の前記被検出物質を前記金属膜に固定する第3の工程と、を含む、表面プラズモン増強蛍光測定方法、を提供する。
また、本発明は、前述した目的を実現するための一手段として、蛍光物質で標識された被検出物質が固定されるべき金属膜に向けて励起光を照射するための光源と、蛍光物質で標識された被検出物質が固定されたときに前記励起光の前記金属膜への照射によって発生する蛍光を検出するための光検出器と、前記金属膜に固定されるべき被検出物質を含有する測定用の試料液を、前記金属膜とは独立して配置される容器中で調製するための試料液調製部と、前記試料液の調製の作業に応じて前記容器内に磁界を発生させるための磁界発生装置と、を有する、表面プラズモン増強蛍光測定装置、を提供する。
本発明によれば、血清などの夾雑物が多く含まれる試料原液であっても、被検出物質を担持した磁性粒子が磁界によって固定されながら試料原液から夾雑物が除去される。このように、上記測定位置とは独立した場所で試料原液から夾雑物が除去され、かつ測定用の試料液が調製されるので、上記測定位置への夾雑物の吸着が防止される。よって、SPFSにおいて、夾雑物によるノイズシグナルがもたらす被検出物質の感度の相対的な低下が抑制される。
本発明の実施の形態に係る表面プラズモン増強蛍光測定装置の一例の構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る表面プラズモン増強蛍光測定方法の一例の途中の状態を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態における蛍光磁性粒子の断面を模式的に示す図である。 上記表面プラズモン増強蛍光測定装置の主な動作手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る表面プラズモン増強蛍光測定方法の他の例における主な工程の状態を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係る表面プラズモン増強蛍光測定装置の他の例の構成を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態に係る表面プラズモン増強蛍光測定方法(以下、「SPFS」とも言う)は、蛍光物質で標識された被検出物質が固定された金属膜に向けて励起光を照射し、上記励起光の上記金属膜への照射によって発生した表面プラズモンにより発生した増強電場によって励起された、上記被検出物質を標識する上記蛍光物質の蛍光を検出することで、上記被検出物質の存在や量などを測定する。
上記励起光は、被検出物質を標識する蛍光物質を直接または間接的に励起させる光である。当該励起光は、蛍光物質を直接励起させる光であれば、被検出物質に直接照射され、蛍光物質を間接的に励起させる光であれば、蛍光物質の励起を発生させる場所(例えば、金属膜における回折格子または金属膜の裏面)に照射される。
本実施の形態に係るSPFSは、励起光と表面プラズモンとの結合にプリズムを利用するプリズムカップリングSPFS(PC−SPFS)にも、励起光と表面プラズモンとの結合に回折格子を利用する格子カップリングSPFS(GC−SPFS)にも適用可能である。
本実施の形態にかかるSPFSは、少なくとも第1〜第3の工程を含む。
上記第1の工程では、上記金属膜に対して独立して配置されている容器内で、蛍光物質を含有する磁性粒子(以下、「蛍光磁性粒子」とも言う)に試料原液中の上記被検出物質を担持させる。
「独立して配置されている」とは、上記容器から上記金属膜に直接に至る液体の流路が形成されないように上記容器が配置されていることを意味する。たとえば、上記容器は、当該金属膜の平面方向において上記金属膜から離れて配置される。
上記容器は、試料原液からの夾雑物の除去(後述する複合体の洗浄)や試料液の調製などに使用することが可能であり、かつ、容器外の後述する磁界発生装置による磁界が容器内に作用する範囲から、適宜に決めることが可能である。当該容器の例には、ガラスや樹脂などの非磁性材料による容器が含まれる。なお、本発明において、「試料液」は、後述する金属膜に固定される直前の(SPFSに供されるべき)被検出物質を含有する液を言い、「試料原液」は、被検出物質を含有する、本発明における処理前または処理中の液を言う。
上記磁性粒子は、試料液の調製または夾雑物の除去の際に磁界発生装置の磁界によって容器内に固定される粒子である。磁性粒子の例には、磁性体の粒子、樹脂成分で被覆された磁性体の粒子、および、磁性体の粒子が分散した樹脂製の粒子が含まれる。上記磁性粒子の粒径は、上記の磁界によって固定される範囲において適宜に決めることが可能であり、個数平均粒径で10〜300nmであることが好ましく、10〜150nmであることがより好ましい。
上記蛍光物質は、表面プラズモンによって増強される電場によって励起されて蛍光を発生する物質である。蛍光物質は、単分子であってもよいし、蛍光を発する分子構造(置換基など)を含むポリマーであってもよい。また、蛍光物質は、上記磁性粒子の表面に担持されていてもよいし、上記磁性粒子内に含有されていてもよいし、上記磁性粒子の表面を被覆していてもよい。
上記蛍光物質の例には、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(例えばIntegrated DNA Technologies社製)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(例えばライフテクノロジーズジャパン(株)製)、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(例えばライフテクノロジーズジャパン(株)製)、クマリン・ファミリーの蛍光色素(例えばライフテクノロジーズジャパン(株)製)、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(例えばGEヘルスケア・ジャパン株式会社製)、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY・ファミリーの蛍光色素(例えばライフテクノロジーズジャパン(株)製。「BODIPY」は同社の登録商標)、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor色素シリーズ(例えばライフテクノロジーズジャパン(株)製。「Alexa Fluor」はモレキュラー・プローブス社の登録商標)、CF色素シリーズ(例えばBiotium社製)、などの有機蛍光色素が含まれる。
また、上記蛍光物質の例には、Eu、Tb等の希土類錯体系の蛍光色素(例えばATBTA−Eu3+)、青色蛍光タンパク質(BFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、赤色蛍光タンパク質(DsRed)またはAllophycocyanin(APC)などの蛍光タンパク質、および、ラテックスやシリカなどの蛍光微粒子、が含まれる。
上記蛍光物質は、SPFSにおける他の要件に応じて適宜に決めることが可能である。たとえば、血液検体に由来する試料を分析に供する場合は、血液中の血球成分由来の鉄による吸光の影響を最小限に抑えるため、Cy5やAlexa Fluor 647など、近赤外領域に最大蛍光波長を有する蛍光色素を用いることが望ましい。
また、上記蛍光磁性粒子の例には、国際公開09/072457号に記載されている「蛍光物質を保持したポリマー被覆磁性微粒子」が含まれる。
上記試料原液の例には、血液、血清、血漿、リンパ液、唾液、脳脊髄液、尿などの生体試料、細胞培養液などの生合成による成分、およびその希釈液が含まれる。
上記被検出物質は、上記試料原液中の一以上の成分である。被検出物質の例には、タンパク質、ホルモン、核酸、エキソソーム、細胞などの生体物質が含まれる。
上記被検出物質は、水素結合や分子間力による結合などの化学的な手法によって上記蛍光磁性粒子へ担持されてもよいが、抗原抗体反応などの、生化学的な特異的な結合によって上記蛍光磁性粒子へ好適に担持させることが可能である。
上記蛍光磁性粒子は、その表面に、上記被検出物質と特異的に結合する第1の捕捉体を有することが、試料の洗浄の観点から好ましい。この場合では、上記第1の工程では、上記被検出物質を上記第1の捕捉体に特異的に結合させて上記被検出物質を上記蛍光磁性粒子に担持させることが可能である。
上記第1の捕捉体は、被検出物質に応じて適宜に決めることが可能であり、上記第1の捕捉体の例には、抗体、核酸、酵素、ストレプトアビジン、ビオチンおよびレクチンが含まれる。上記第1の捕捉体と上記被検出物質との特異的な結合は、例えば、常温での混合などの常法によって行うことが可能である。
上記第2の工程では、上記容器内に磁界を発生させて上記蛍光磁性粒子を固定しながら上記容器内の上記試料原液中の夾雑物を除去して上記試料液を調製する。
上記磁界は、磁性粒子を容器内の一部分に留めるように発生させられる。当該上記磁界を発生させる装置は、任意のタイミングで上記磁界を発生させることが好ましく、当該装置の例には、電磁石、および、永久磁石および搬送装置、が含まれる。当該搬送装置は、永久磁石を上記容器に対して適時に接近、離間させてもよいし、上記容器を永久磁石に接近、離間させてもよい。
上記夾雑物は、試料原液中の被検出物質以外の、上記金属膜または第3の捕捉体に対して吸着され得る成分であり、被検出物質や金属膜または第3の捕捉体に応じて適宜に決められる。夾雑物の例には、異好性抗体、イムノグロブリン、乳び、ビリルビン、アルブミン、リウマチ因子およびヘモグロビンが含まれる。
上記夾雑物の試料原液からの除去は、例えば、蛍光磁性粒子の磁界による固定時における容器内からの液の排出、洗浄液の供給、および、蛍光磁性粒子の磁界による固定時における容器内からの洗浄液の排出、によって行うことが可能である。容器内に供給された洗浄液は、洗浄効果を高める観点から、攪拌されることが好ましい。
上記洗浄液は、上記夾雑物を排出させることが可能な範囲から適宜に決められる。上記洗浄液は、上記試料原液または試料液の液成分と同じかそれに似た性状を有することが、被検出物質の蛍光磁性粒子との結合に悪影響を及ぼさずに夾雑物を除去する観点から好ましい。当該洗浄液の例には、PBSやTBSなどの緩衝液、および、当該緩衝液に界面活性剤が添加された液、が含まれる。
また、上記第3の工程では、上記夾雑物が除去された上記試料原液(上記試料液)中の上記被検出物質を上記金属膜に固定する。
上記金属膜は、例えば、30〜70nmの厚みを有する。当該金属膜の材料の例には、金、銀、アルミニウム、銅および白金が含まれる。上記金属膜は、例えばスパッタリング法、めっきや蒸着法などの公知の方法によって作製することが可能である。
上記金属膜は、その表面に回折格子を有していてもよい。金属膜が回折格子を有していると、本実施の形態に係るSPFSをGC−SPFSに適用することが可能である。当該回折格子は、励起光で照射された時にエバネッセント波を生じさせる。当該回折格子は、例えば1次元回折格子であってもよいし、2次元回折格子であってもよい。
上記被検出物質は、水素結合や分子間力による結合によって上記金属膜の測定位置へ固定されてもよいが、抗原抗体反応などの特異的な結合によって上記金属膜へ好適に固定させることが可能である。
上記第3の工程は、上記金属膜は、その表面に、上記被検出物質と特異的に結合する第2の捕捉体を捕捉する第3の捕捉体を有するとともに、上記第2の捕捉体を上記第3の捕捉体で捕捉することによって上記被検出物質を上記金属膜に固定することが、未反応磁性粒子の除去の観点から好ましい。この場合、本実施の形態に係るSPFSは、第4の工程をさらに含む。当該上記第4の工程では、上記蛍光磁性粒子に担持された上記被検出物質に上記第2の捕捉体を結合させる。
上記第2の捕捉体は、上記被検出物質および上記第3の捕捉体に応じて、適宜に決めることが可能である。たとえば、第2の捕捉体は、上記被検出物質に対して特異的に結合する部位と、上記第3の捕捉体に対して特異的に結合する部位とを含む。上記第2の捕捉体の例には、ビオチン標識抗体およびビオチン標識核酸が含まれる。
上記第3の捕捉体は、上記第2の捕捉体に応じて適宜に決めることが可能である。上記第3の捕捉体の例には、第2の捕捉体に特異的な抗体、アビジン、改変アビジンおよび核酸が含まれる。上記改変アビジンは、アビジンの一部のアミノ酸配列を改変したものであり、改変アビジンの例には、ストレプトアビジンおよび中性アビジンが含まれる。
上記第3の捕捉体は、上記金属膜に直接固定されていてもよいし、他の物質を介して上記金属膜に固定されていてもよい。当該他の物質の例には、一種以上の単量体の重合による高分子化合物が含まれる。当該単量体の例には、グルコース、カルボキシメチル化グルコース、ならびにビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、および、ビニルケトン類、が含まれる。
上記高分子化合物は、デキストランおよびデキストラン誘導体などの親水性高分子化合物と、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類およびビニルケトン類からなる疎水性単量体の群から選ばれる一以上が重合してなる疎水性高分子化合物と、を含むことがより好ましく、上記親水性高分子化合物は、カルボキシメチルデキストラン(CMD)などのデキストランが、生体親和性、非特異的な吸着反応の抑制性、高い親水性の観点から特に好適である。
本実施の形態に係るSPFSにおいて、第2の工程および第4の工程は、第3の工程の前の任意の時期に行うことが可能である。たとえば、上記第1の工程および第2の工程は、同時に行われてもよいし、あるいは、上記第1の工程、第2の工程および第4の工程は、同時に行われてもよいし、あるいは、上記第2の工程は、上記第1の工程および第4の工程の後に行われてもよい。
また、本実施の形態に係るSPFSは、本発明の効果が得られる範囲において、前述した第1から第4の工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。
本実施の形態に係るSPFSは、前述の試料液の調製(試料原液からの夾雑物の除去)のための磁界発生装置を有する以外は、通常のSPFS装置を用いて行うことが可能である。たとえば、本実施の形態に係るSPFSは、図1に示されるようなSPFS装置を用いて行うことが可能である。図1は、本実施の形態に係るSPFSを実施可能なSPFS装置の一例の構成を模式的に示す図である。
SPFS装置100は、PC−SPFS用の装置である。SPFS装置100は、図1に示されるように、励起光学系ユニット110、受光光学系ユニット120、試料液調製部130および制御部(CU)160から構成される。
励起光学系ユニット110は、光源ユニット111、角度調整機構(ARS)112および光源制御部(ICU)113によって構成される。
光源ユニット111は、例えば、レーザーダイオード(以下「LD」とも言う)、ビーム整形光学系、APC機構および温度調整機構(いずれも不図示)から構成される。上記ビーム整形光学系は、例えば、コリメーター、バンドパスフィルター、直線偏光フィルター、半波長板、スリットおよびズーム手段によって構成される。上記APC機構は、コリメートされた後の励起光αの光量を検出する手段(例えば励起光αを分岐させる装置および分岐させた光の光量を検出するフォトダイオードなど)で構成されている。上記温度調整機構は、例えば、ヒーターやペルチェ素子などである。
角度調整機構112は、励起光αの照射角度を変更するための装置であり、例えば、光源ユニット111を回動させる回転支持部材やロボットアームなどで構成される。
光源制御部113は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。光源制御部113は、光源ユニット111を構成する前述した各種機器を作動させ、制御し、光源ユニット111の出射光の出射を制御する。
受光光学系ユニット120は、例えば、受光ユニット121、位置切り替え機構(PSS)122およびセンサー制御部(SCU)123によって構成される。
受光ユニット121は、例えば、分析チップ10の金属膜(成膜面22)の法線方向に順次配置されている、第1レンズ124、光学フィルター125、第2レンズ126および受光センサー127によって構成される。
第1レンズ124は、例えば、金属膜30上から出射される光を集光するための集光レンズであり、第2レンズ126は、例えば、第1レンズ124で集光された上記光を受光センサー127の受光面に再結像させるための結像レンズである。両レンズの間には、光学フィルター125が配置されている。光学フィルター125は、例えば、所定の光成分を反射することで除去する多層膜からなるフィルターである。
受光センサー127は、上記蛍光の光量を検出するための受光センサーであり、微少量の被検出物質からの微弱な蛍光を検出することが可能な、高い感度を有する。受光センサー127は、例えば、ヘッドオンタイプの光電子増倍管(PMT)である。
位置切り替え機構122は、例えば、回転駆動部と、光学フィルター125を有するターンテーブルやラックアンドピニオンなどの、回転運動によって光学フィルター125を上記光路に対して進出させ、当該光路から後退させる公知の機構とによって構成される。
センサー制御部123は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。センサー制御部123は、受光センサー127による光量の検出や、受光センサー127の検出レンジの管理、変更、などを制御する。
試料液調製部130は、容器131に試料原液、薬液または洗浄液を供給し、分析チップ10に試料液または洗浄液を供給する。試料液調製部130は、例えば、容器131、シリンジポンプ132、磁石137および試料液調製機構(SPS)133によって構成される。
容器131は、複数用意されている。容器131は、例えば、試料液を調製するための容器、および、試料原液、各種の薬液、洗浄液をそれぞれ収容する容器、を含む。
シリンジポンプ132は、シリンジ134と、シリンジ134内を往復動作可能なプランジャー135とによって構成される。プランジャー135の往復運動によって、試料原液、薬液または洗浄液の吸引および排出が定量的に行われる。
磁石137は、例えば永久磁石である。磁石137は、容器131に対して接近、離間可能に配置されている。
試料液調製機構133は、例えば、プランジャー135の駆動装置と、シリンジポンプ132の移動装置と、磁石137の移動装置と、によって構成される。
プランジャー135の駆動装置は、プランジャー135を往復運動させるための装置であり、例えば、ステッピングモーターを含む。ステッピングモーターを含む当該駆動装置は、シリンジポンプ132の送液量や送液速度を一定に管理し、分析チップ10の残液量を一定に管理する観点から好ましい。
シリンジポンプ132の移動装置は、例えば、シリンジポンプ132を、シリンジ134の軸方向(例えば垂直方向)と、当該軸方向を横断する方向(例えば水平方向)との二方向に自在に動かす装置である。シリンジポンプ132の移動装置は、例えば、ロボットアーム、2軸ステージまたは上下動自在なターンテーブルによって構成される。磁石137の移動装置も、シリンジポンプ132の移動装置と同様に構成される。
制御部160は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。制御部160は、角度調整機構112、光源制御部113、位置切り替え機構122、センサー制御部123および試料液調製機構133を制御し、上記の機構などに種々の操作を実行させる。また、制御部160は、受光センサー127の検出レンジなどの、上記の操作に必要な数値を適宜に設定する。
SPFS装置100には、被検出物質の測定において、不図示のチップホルダーに分析チップ10が装着される。上記チップホルダーは、分析チップ10を、試料液調製部130とSPFS装置100の測定可能位置とのいずれかに搬送するように構成されている。
分析チップ10は、プリズム20と、プリズム20の成膜面22に形成された金属膜30と、成膜面22または金属膜30上に配置された流路蓋40とを有する。
プリズム20は、入射面21、成膜面22および出射面23を有し、励起光αに対して透明な誘電体からなる。プリズム20は、複屈折特性を少なからず有する。プリズム20の材料の例には、樹脂およびガラスが含まれる。プリズム20の材料は、好ましくは、屈折率が1.4〜1.6であり、かつ複屈折が小さい樹脂である。
プリズム20の形状は、例えば、台形を底面とする柱体である。台形の一方の底辺に対応する面が成膜面22であり、一方の脚に対応する面が入射面21であり、他方の脚に対応する面が出射面23である。底面となる台形は、等脚台形であることが好ましい。これにより、入射面21と出射面23とが対称になり、励起光αのS波成分がプリズム20内に滞留しにくくなる。
なお、分析チップ10の設計により共鳴角(およびその極近傍にある増強角)が凡そ決まる。設計要素は、プリズム屈折率、金属の屈折率、金属の膜厚、金属の消衰係数、励起波長などである。金属膜に固定された被検出物質の量に応じて共鳴角および増強角がシフトするが、そのシフト量は数度未満である。
入射面21は、励起光αの波長または出力の変動を防止する観点から、励起光αが励起光学系ユニット110に戻らないように形成されている。たとえば、入射面21と成膜面22との角度および成膜面22と出射面23との角度は、いずれも約80°である。
金属膜30は、例えば金の蒸着膜であり、金属膜30の厚さは、例えば50nmである。金属膜30の表面には、後述する第3の捕捉体が固定されており、当該第3の捕捉体は、たとえば保湿剤で覆われている。
流路蓋40は、金属膜30のプリズム20と対向しない面上に、流路を挟んで配置されている。金属膜30がプリズム20の成膜面22の一部にのみ形成されている場合は、流路蓋40は、流路を挟んで成膜面22上に配置されていてもよい。流路蓋40は、金属膜30(およびプリズム20)と共に、液体が流れる流路を形成する。
流路蓋40は、金属膜30上から放出された光(プラズモン散乱光および蛍光)に対して透明な材料からなる。流路蓋40の材料の例には、樹脂が含まれる。流路蓋40は、これらの光を受光光学系ユニット120に導くことができればよい。たとえば、少なくとも、被検出物質を標識した蛍光物質からの蛍光を外部に取り出す面が光学的に透明であれば、流路蓋40の一部は、不透明な材料で形成されていてもよい。流路蓋40は、例えば、両面テープや接着剤などによる接着や、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより金属膜30またはプリズム20に接合されている。
次に、SPFS装置100による、本実施の形態に係るSPFSの一例を説明する。図2は、本実施の形態に係るSPFSの一例の途中の状態を模式的に示す図である。図3は、本実施の形態における蛍光磁性粒子の断面を模式的に示す図である。図4は、SPFS装置100の主な動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部160は、蛍光磁性粒子400を収容する容器131から調製用の容器131に、蛍光磁性粒子400を供給させ(図2の(A))、次いで、試料原液を収容する容器131から調製用の容器131に、試料原液を供給させ、一定時間、反応させる(図2の(B)、図4のステップ401)。試料原液は、被検出物質500と夾雑物600とを含む。
蛍光磁性粒子400は、図3に示されるように、磁性粒子410と、磁性粒子410の表面を覆う蛍光層420と、蛍光層420の表面に配置された第1の捕捉体430とを有する。蛍光磁性粒子400の体積平均粒径は、例えば0.2μmである。磁性粒子410は、例えば、磁性体微粒子が分散した樹脂製の粒子であり、蛍光層420は、例えば、Cy5などの蛍光色素を含有する樹脂層であり、第1の捕捉体430は、試料原液中の被検出物質500と特異的に結合する抗体(例えば、抗PSA抗体)である。
蛍光磁性粒子400と試料原液との混合(反応)によって、被検出物質500は、蛍光磁性粒子400の第1の捕捉体430と特異的に結合する。こうして、金属膜30に独立した容器131内で、蛍光物質を有する磁性粒子に、試料原液中の被検出物質が担持され、被検出物質500と蛍光磁性粒子400との第1の複合体450が生成する。
次いで、制御部160は、磁石137を調製用の容器131の周壁の近傍に配置させ(図2の(C)、図4のステップ402)、調製用の容器131内の第1の複合体450を容器131の壁面に引き寄せ、容器131内の液体を吸引させて除去させる(図2の(D)、図4のステップ403)。この液体の除去に伴い、容器131内の夾雑物600も容器131から除去される。
次いで、制御部160は、容器131に洗浄液を注入させ、磁石137を容器131の周面から離して配置させて第1の複合体450を容器131内の洗浄液中に一定時間、分散させ、再び磁石137を容器131の周面近傍に配置させて第1の複合体450を容器131の壁面に引き寄せ、容器131内の洗浄液を吸引させて除去させる。制御部160は、例えば、上記の洗浄液の注入から洗浄液の吸引の操作(洗浄操作)を3回繰り返させる(図4のステップ404)。この操作により、試料原液中の夾雑物600は、容器131から実質的に除去される。
次いで、制御部160は、第2の捕捉体であるビオチン化抗体700の溶液を、薬液を収容する容器131から調製用の容器131に供給させる(図2の(E)、図4のステップ405)。こうして、第1の複合体450の被検出物質とビオチン化抗体700とが特異的に結合し、ビオチン化抗体700と、被検出物質500と、蛍光磁性粒子400との第2の複合体650が構成される。
次いで、制御部160は、磁石137を調製用の容器131の周壁の近傍に配置させ(図4のステップ406)、調製用の容器131内の第2の複合体650を容器131の壁面に引き寄せ、容器131内の液体を吸引させて除去させる(図4のステップ407)。この液体の除去に伴い、容器131内の余剰のビオチン化抗体700が容器131から除去される(図2の(F))。
次いで、制御部160は、容器131に洗浄液を注入させ、磁石137を容器131の周面から離して配置させて第2の複合体650を容器131内の洗浄液中に一定時間、分散させ、再び磁石137を容器131の周面近傍に配置させて第2の複合体650を容器131の壁面に引き寄せ、容器131内の洗浄液を吸引させて除去させる。制御部160は、例えば、上記の洗浄操作を3回繰り返させる(図4のステップ408)。この操作により、試料原液中の余剰のビオチン化抗体700は、容器131から実質的に除去される。そして、制御部160は、調製用の容器131に洗浄液を適量供給する。こうして、測定用の試料液が調製される。
次いで、制御部160は、分析チップ10を試料液調製部130の操作位置に搬送させ、分析チップ10の金属膜30の表面に塗布されている保湿剤を除去させる(図2の(G)、図4のステップ409)。分析チップの金属膜30に第3の捕捉体800が配置されている場合では、金属膜30にさらに保湿剤が塗布されていることがある。保湿剤の除去によって、第3の捕捉体800が、高い活性を有した状態で、金属膜30の表面に現れる。第3の捕捉体800は、例えば、ストレプトアビジン810を含有するカルボキシメチルデキストラン820である。
次いで、制御部160は、分析チップ10に上記試料液を供給させ、一定時間、反応させる(図4のステップ410)。上記試料液中の第2の複合体650のビオチン化抗体700は、第3の捕捉体800のストレプトアビジン810に特異的に結合し、分析チップ10における第3の捕捉体800に上記試料液中の第2の複合体650が捕捉される。次いで、制御部160は、分析チップ10に対して、例えば、上記の洗浄操作を5回繰り返させる(図4のステップ411)。この操作により、余剰の蛍光磁性粒子400が分析チップ10から実質的に除去される。
次いで、制御部160は、緩衝液(洗浄液)を分析チップ10に注入して金属膜30と流路蓋40との間の流路を緩衝液で満たし、分析チップ10におけるプリズム20と金属膜30との界面に励起光αを、全反射角以上の入射角度で入射させて金属膜30上に表面プラズモンによる増強電場を生じさせ、当該増強電場によって励起した、第2の複合体中の蛍光物質の蛍光を受光センサー127によって検出させる(図2の(H)、図4のステップ412)。
SPFS装置100では、蛍光磁性粒子400の蛍光物質のSPFSによる蛍光が高感度で検出されるが、金属膜30の表面には、第3の捕捉体800に非特異的に結合する物質が実質的には存在しないので、ノイズシグナルとなる他の蛍光は実質的には検出されない。
上記反応の時間や上記洗浄操作における分散の時間は、同じでも異なっていてもよい。例えば当該時間は、一律に10分間であってもよいし、例えば、5分間、3分間、1分間、30秒間、10秒間、とそれぞれ異なっていてもよい。
上記のように、第1の捕捉体と第2の捕捉体とを順次反応させて試料液を調製し、第3の捕捉体によって分析チップ10の金属膜30上に固定することは、例えば、強力なアフィニティ反応であるアビジン−ビオチン反応を利用することができ、反応時間の短縮と蛍光強度の高感度化とを達成する観点から、より効果的である。
本実施の形態に係るSPFSでは、より短縮された工程で試料液を調製することが可能である。図5は、本実施の形態に係るSPFSの他の例における途中の状態を模式的に示す図である。
まず、制御部160は、蛍光磁性粒子400を収容する容器131から調製用の容器131に、蛍光磁性粒子400を供給させ(図5の(A))、次いで、試料原液を収容する容器131から調製用の容器131に、試料原液を供給させ、さらに、ビオチン化抗体700を収容する容器131から調製用の容器131に、ビオチン化抗体700を供給させ、これらを一定時間、反応させる。当該反応によって、第2の複合体650が生成する(図5の(B))。
次いで、制御部160は、磁石137を調製用の容器131の周壁の近傍に配置させ、調製用の容器131内の第2の複合体650を容器131の壁面に引き寄せ(図5の(C))、容器131内の液体を吸引させて除去する。この液体の除去に伴い、容器131内の夾雑物600および余剰のビオチン化抗体700が容器131から除去される。
そして、制御部160は、例えば、上記の洗浄操作を3回繰り返させる(図5の(E))。この操作により、試料原液中の夾雑物600は、容器131から実質的に除去される。そして、制御部160は、調製用の容器131に洗浄液を適量供給させる。こうして、測定用の試料液が調製される。
次いで、制御部160は、分析チップ10を試料液調製部130の操作位置に搬送させ、分析チップ10の金属膜30の表面に塗布されている保湿剤を除去させ(図5の(F))、分析チップ10に上記試料液を供給させ、一定時間、反応させ、分析チップ10に対して、例えば、上記の洗浄操作を5回繰り返させる。この操作により、余剰の蛍光磁性粒子400が分析チップ10から実質的に除去される。
そして、制御部160は、緩衝液を分析チップ10に注入させて金属膜30と流路蓋40との間の流路を緩衝液で満たし、分析チップ10におけるプリズム20と金属膜30との界面に励起光αを、全反射角以上の入射角度で入射させて金属膜30上に表面プラズモンによる増強電場を生じさせ、当該増強電場によって励起した、第2の複合体中の蛍光物質の蛍光を受光センサー127によって検出させる(図5の(G))。
上記のように、第1の捕捉体と第2の捕捉体とを同時に反応させて試料液を調製することは、洗浄操作の回数をより削減することが可能となり、低コスト化の観点、および、試料の調製から高感度の蛍光検出までに要する時間をより短縮する観点、からより効果的である。
前述したSPFSは、図6に示されるようなSPFS装置を用いても、実施することが可能である。図6は、本実施の形態に係るSPFSを実施可能なSPFS装置の他の例の構成を模式的に示す図である。
SPFS装置900は、GC−SPFS用の装置である。SPFS装置900は、分析チップ15の金属膜35の表面の、第2の複合体が固定されるべき部分に回折格子37が形成されていること、励起光学系ユニット110の光源ユニット111が、回折格子37に励起光αを照射するように金属膜35の表面側に配置されていること、受光光学系ユニット120の受光センサー127が、回折格子37に固定された第2の複合体から生じる蛍光βを受光する位置に配置されていること、および、受光光学系ユニット120が、受光センサー127と、蛍光βから励起光αを除去するための蛍光フィルター128と、から主に構成されていること、以外は、SPFS装置100と同様に構成されている。
分析チップ15は、基板25と、基板25の上に形成された金属膜35とを有する。金属膜35には、回折格子37が形成されている。回折格子37には、例えば、第3の捕捉体が固定されている。
基板25は、金属膜35の支持部材である。基板25の材料は、金属膜35を支持できる機械的強度を有するものであれば特に限定されない。基板25の材料の例には、ガラスや石英、シリコンなどの無機材料、ポリメタクリル酸メチルやポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィンなどの樹脂が含まれる。
金属膜35は、回折格子37を有する以外は、前述の金属膜30と同様に構成される。
回折格子37は、金属膜35に光を照射された時に、エバネッセント波を生じさせるように形成されている。たとえば、回折格子37は、1次元回折格子であってもよいし、2次元回折格子であってもよい。回折格子37は、例えば、平板状の基板25の上に配置した金属膜35に凹凸形状を付与することによって形成することが可能であり、あるいは、予め凹凸形状を付与された基板25の上に金属膜35を作製することによって形成することが可能である。
本実施の形態に係るSPFSは、回折格子37上に第2の複合体を固定し、蛍光βを検出する以外は、前述したSPFS装置100を用いる方法と同様に行うことが可能である。SPFS装置900を用いる方法は、SPFS装置100を用いる方法と同様に高感度の蛍光の検出が可能である。
なお、本実施の形態において、試料液調製部130が複数のシリンジ134を有し、シリンジ134を交換可能であると、シリンジ134の洗浄が不要となる。このため、不純物の混入などの影響を抑える観点から好ましい。シリンジ134が交換可能に構成されていない場合では、シリンジ134内を洗浄する構成または操作をさらに含むことにより、シリンジ134の交換が不要となる。このため、シリンジ134の消費を抑制する観点から好ましい。
また、試料液調製部130は、シリンジ134の先端の位置を検出する装置をさらに有することが、シリンジ134と分析チップ10との相対的な高さを一定に調整し、分析チップ10内での残液量を一定に管理する観点から好ましい。
さらに、分析チップ10における、分析チップ10に供給されるべき液体が収容される液収容部が多層フィルムで保護されており、シリンジ134が当該液体の供給のために当該多層フィルムを貫通した時に上記液収容部を密閉するように分析チップ10およびシリンジ134が構成されていることが、好ましい。
上記の説明から明らかなように、本実施の形態に係るSPFSは、蛍光物質で標識された被検出物質が固定された金属膜に向けて励起光を照射し、上記励起光の上記金属膜への照射によって発生した表面プラズモンにより発生した増強電場によって励起された、上記蛍光物質の蛍光を検出することで上記被検出物質を測定する表面プラズモン増強蛍光測定方法であって、上記金属膜に対して独立して配置されている容器内で、蛍光物質を含有する蛍光磁性粒子に試料原液中の上記被検出物質を担持させる第1の工程と、上記容器内に磁界を発生させて上記蛍光磁性粒子を固定しながら上記容器内の上記試料原液中の夾雑物を除去して測定用の試料液を調製する第2の工程と、上記試料液中の上記被検出物質を上記金属膜に固定する第3の工程と、を含む。このため、上記SPFSでは、夾雑物によるノイズシグナルがもたらす被検出物質の感度の相対的な低下を抑制することができる。よって、高感度ならではのSPFSによる被検出物質の測定結果がノイズシグナルに埋没しないので、上記SPFSでは、被検出物質の高感度な測定結果が、従来のSPFSに比べてより明確に得られる。
上記SPFSでは、上記蛍光磁性粒子がその表面に、上記被検出物質と特異的に結合する第1の捕捉体を有するとともに、上記第1の工程において上記被検出物質を上記第1の捕捉体に特異的に結合させて上記被検出物質を上記蛍光磁性粒子に担持し、さらに、上記第3の工程の前に、上記蛍光磁性粒子に担持された上記被検出物質に、上記被検出物質と特異的に結合する第2の捕捉体を結合させる第4の工程を含み、かつ、上記金属膜がその表面に、上記第2の捕捉体を捕捉する第3の捕捉体を有するとともに、上記第3の工程では、上記第2の捕捉体を上記第3の捕捉体で捕捉することによって上記被検出物質を上記金属膜に固定することが、夾雑物によるノイズシグナルの低減とそれによる被検出物質の高感度な測定結果の明示をより穏和な条件で簡易に行う観点からより一層効果的である。
また、上記SPFSに用いられるSPFS装置100、900は、いずれも、蛍光物質で標識された被検出物質が固定されるべき金属膜に向けて励起光を照射するための光源と、蛍光物質で標識された被検出物質が固定されたときに上記励起光の上記金属膜への照射によって発生する蛍光を検出するための光検出器と、上記金属膜に固定されるべき被検出物質を含有する試料液を、上記金属膜とは独立して配置される容器中で調製するための試料液調製部と、上記試料液の調製の作業に応じて上記容器内に磁界を発生させるための磁界発生装置と、を有する。このため、SPFS装置100、900のいずれにおいても、前述の蛍光磁性粒子に被検出物質を担持させることにより、上記磁界発生装置によって容器内に被検出物質を固定することが可能となる。よって、SPFS装置100、900は、いずれも、夾雑物によるノイズシグナルがもたらす被検出物質の感度の相対的な低下が抑制されるSPFSを実施することが可能となる。
また、SPFS装置100では、上記金属膜が誘電体で構成されたプリズムの表面の一部に配置され、上記光源が、上記プリズムを通して上記金属膜に向けて上記励起光を照射するように配置されていることから、上記の効果を奏するPC−SPFSを実施することが可能である。
また、SPFS装置900では、上記金属膜がその表面に回折格子を有し、上記光源が、上記回折格子に向けて上記励起光を照射するように配置されていることから、上記の効果を奏するGC−SPFSを実施することが可能である。
本出願は、2014年5月23日出願の特願2014−107013号に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明に係る表面プラズモン増強蛍光測定方法は、夾雑物によるノイズシグナルが非常に低減されることから、被検出物質を高感度で測定することが可能である。よって、上記測定方法には、例えば生体分子の研究、開発などの、より高感度の測定を求められる技術分野での利用、および、当該技術分野の発展への寄与、が期待される。
10、15 分析チップ
20 プリズム
21 入射面
22 成膜面
23 出射面
25 基板
30、35 金属膜
37 回折格子
40 流路蓋
100、900 SPFS装置
110 励起光学系ユニット
111 光源ユニット
112 角度調整機構
113 光源制御部
120 受光光学系ユニット
121 受光ユニット
122 位置切り替え機構
123 センサー制御部
124 第1レンズ
125 光学フィルター
126 第2レンズ
127 受光センサー
128 蛍光フィルター
130 試料液調製部
131 容器
132 シリンジポンプ
133 試料液調製機構
134 シリンジ
135 プランジャー
137 磁石
160 制御部
400 蛍光磁性粒子
410 磁性粒子
420 蛍光層
430 第1の捕捉体
450 第1の複合体
500 被検出物質
600 夾雑物
650 第2の複合体
700 ビオチン化抗体
800 第3の捕捉体
810 ストレプトアビジン
820 カルボキシメチルデキストラン
α 励起光
β 蛍光

Claims (5)

  1. 蛍光物質で標識された被検出物質が固定された金属膜に向けて励起光を照射し、前記励起光の前記金属膜への照射によって発生した表面プラズモンにより発生した増強電場によって励起された、前記蛍光物質の蛍光を検出することで前記被検出物質を測定する表面プラズモン増強蛍光測定方法であって、
    前記金属膜に対して独立して配置されている容器内で、蛍光物質を含有する磁性粒子に試料原液中の前記被検出物質を担持させる第1の工程と、
    前記容器内に磁界を発生させて前記磁性粒子を固定しながら前記容器内の前記試料原液中の夾雑物を除去して測定用の試料液を調製する第2の工程と、
    前記金属膜上に磁界を発生させずに、前記試料液中の前記被検出物質を前記金属膜に固定する第3の工程と、
    を含む、
    表面プラズモン増強蛍光測定方法。
  2. 前記磁性粒子は、その表面に、前記被検出物質と特異的に結合する第1の捕捉体を有するとともに、前記第1の工程では、前記被検出物質を前記第1の捕捉体に特異的に結合させて前記被検出物質を前記磁性粒子に担持し、
    前記表面プラズモン増強蛍光測定方法は、前記第3の工程の前に、前記磁性粒子に担持された前記被検出物質に、前記被検出物質と特異的に結合する第2の捕捉体を結合させる第4の工程をさらに含み、
    前記金属膜は、その表面に、前記第2の捕捉体を捕捉する第3の捕捉体を有するとともに、前記第3の工程では、前記第2の捕捉体を前記第3の捕捉体で捕捉することによって前記被検出物質を前記金属膜に固定する、
    請求項1に記載の表面プラズモン増強蛍光測定方法。
  3. 蛍光物質で標識された被検出物質が固定されるべき金属膜に向けて励起光を照射するための光源と、
    蛍光物質で標識された被検出物質が固定されたときに前記励起光の前記金属膜への照射によって発生する蛍光を検出するための光検出器と、
    前記金属膜に固定されるべき被検出物質を含有する測定用の試料液を、前記金属膜とは独立して配置される容器中で調製するための試料液調製部と、
    前記試料液の調製の作業に応じて前記容器内に磁界を発生させるための磁界発生装置と、
    を有
    前記金属膜上に磁界を発生させるための磁界発生装置を有しない、
    表面プラズモン増強蛍光測定装置。
  4. 前記金属膜は、誘電体で構成されたプリズムの表面の一部に配置され、
    前記光源は、前記プリズムを通して前記金属膜に向けて前記励起光を照射するように配置されている、
    請求項3に記載の表面プラズモン増強蛍光測定装置。
  5. 前記金属膜は、その表面に回折格子を有し、
    前記光源は、前記回折格子に向けて前記励起光を照射するように配置されている、
    請求項3に記載の表面プラズモン増強蛍光測定装置。
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