JP2021025844A - 濃度測定方法及び濃度測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出対象物質の濃度を精度良く測定できる濃度測定方法を提供する。【解決手段】濃度測定方法は、複合体6と未結合磁性粒子16aとを含む液体61を基板11上に配置し(S3001)、光21を基板11に照射して基板11表面の少なくとも検出領域23に近接場24を形成し(S3002)、第1磁場勾配を印加して検出領域23外に未結合磁性粒子16aを収集し(S3003)、第1磁場勾配が未結合磁性粒子16aを基板11の表面に到達させるために必要な所定時間印加された後に、第2磁場勾配を印加して検出領域23内に複合体6を収集し(S3004)、第2磁場勾配の印加の停止後、第3磁場勾配を印加して検出領域23内の複合体6を基板11の面方向に移動させ(S3005)、移動する複合体6が発する蛍光を示す動光点を計数して、検出対象物質1の濃度を測定する(S3006)。【選択図】図3

Description

本開示は、液体中の検出対象物質の濃度を光学的に測定する濃度測定方法及び濃度測定装置に関する。
近年、病原体による感染症の拡大及び新規病原体の出現等の問題から、これらの病原体を検出できる方法及び装置の開発が急がれている。検出対象物質(つまり、標的物質)としては、病原性タンパク質等の分子、ウイルス(外殻タンパク質等)、細菌(多糖類)等が知られている。
例えば、特許文献1では、蛍光体又は散乱体で標識された標的物質(以下、検出対象物質)と磁性粒子との結合体(以下、複合体)を検出板の表面の近接場内に引き寄せ、検出板の表面と平行な方向に移動させ、複合体の移動に伴う光信号の変動を計測して、検出対象物質を検出する技術が開示されている。
国際公開第2017/187744号
しかしながら、上記の特許文献1に記載の従来技術では、検出対象物質の濃度を精度良く測定できない場合がある。
そこで、本開示は、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができる濃度測定方法及び濃度測定装置を提供する。
本開示の一態様に係る濃度測定方法は、検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子が固定された第1物質と、前記検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、蛍光体又は散乱体が固定された第2物質と、前記検出対象物質とを結合させることにより形成された複合体と、前記複合体を形成していない前記磁性粒子である未結合磁性粒子とを含む液体を基板上に配置し、前記蛍光体が蛍光を発する波長又は前記散乱体が散乱光を発する波長を有する光を前記基板に照射することにより、前記基板の表面の少なくとも検出領域に前記光の近接場を形成し、前記未結合磁性粒子を前記基板の表面の前記検出領域外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石を用いて印加することにより、前記検出領域外に前記未結合磁性粒子を収集し、前記第1磁場勾配が前記未結合磁性粒子を前記基板の表面に到達させるために必要な所定時間印加された後に、前記複合体を前記基板の表面の検出領域内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内に前記複合体を収集し、前記第2磁場勾配の印加を停止した後に、前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内の前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に移動させ、前記検出領域内を前記基板の表面と平行な方向に移動する前記複合体中の前記蛍光体が発する蛍光又は前記散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、前記検出対象物質の濃度を測定する。
また、本開示の一態様に係る濃度測定装置は、検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子が固定された第1物質と、前記検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、蛍光体又は散乱体が固定された第2物質と、前記検出対象物質とを結合させることにより形成された複合体と、前記複合体を形成していない前記磁性粒子である未結合磁性粒子とを含む液体を基板上に保持する保持部と、前記蛍光体が蛍光を発する波長又は前記散乱体が散乱光を発する波長を有する光を前記基板に照射することにより、前記基板の表面の少なくとも検出領域に前記光の近接場を形成する光源と、前記未結合磁性粒子を前記基板の表面の前記検出領域外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石を用いて印加することにより、前記検出領域外に前記未結合磁性粒子を収集する第1磁場印加部と、前記複合体を前記基板の表面の検出領域内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内に前記複合体を収集する第2磁場印加部と、前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内の前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に移動させる第3磁場印加部と、前記検出領域内を前記基板の表面と平行な方向に移動する前記複合体中の前記蛍光体が発する蛍光又は前記散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、前記検出対象物質の濃度を測定する測定部と、を備える。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)などの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示によれば、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができる。
図1は、実施の形態における複合体の形成プロセスを示す図である。 図2は、実施の形態に係る濃度測定装置の一例を示す概略構成図である。 図3は、実施の形態に係る濃度測定装置の処理の一例を示すフローチャートである。 図4は、第1磁石の移動開始時間を決定する処理の一例を示すフローチャートである。 図5は、第1磁場勾配の印加に伴う散乱光を示す光点の増加量の時間変化及び蛍光を示す光点の増加量の時間変化の例を示す図である。 図6は、実施の形態に係る濃度測定装置の処理の一例を模式的に示す図である。 図7は、実施の形態に係る濃度測定装置の処理の一例を模式的に示す図である。 図8は、実施の形態に係る濃度測定装置の処理の一例を模式的に示す図である。 図9は、実施の形態に係る濃度測定装置の処理の一例を模式的に示す図である。 図10は、実施の形態に係る濃度測定装置の処理の一例を模式的に示す図である。 図11は、実施の形態に係る濃度測定装置を備える濃度測定システムの構成の一例を示す図である。
(本開示の基礎となった知見)
液体中のタンパク質等の分子、ウイルス、細菌を検出する技術としては、蛍光を利用する方法(以下、蛍光法)が広く用いられている。蛍光法では、検出対象物質と、蛍光体で標識された抗体(以下、蛍光標識抗体)とを抗原抗体反応により結合させる。そして、蛍光体を励起できる光を、検出対象物質と結合した標識抗体に照射することにより蛍光を発生させる。このように発生した蛍光を検出することにより、検出対象物質を検出することができる。
蛍光法の一例としては、免疫クロマトグラフ法にエバネセント波を利用する方法がある(例えば、特許文献1)。この方法では、基板の裏面から励起光が照射されエバネセント波が誘起される。誘起されたエバネセント波は、基板の表面にある固定化抗体に捕捉された蛍光標識抗体に照射され、蛍光標識抗体に蛍光を放出させる。このとき、エバネセント波は、基板表面から最大1μmの領域のみを照射するため、基板の表面から励起光を照射する場合と比べて、検出対象物質と結合していない蛍光標識抗体(以下、遊離の蛍光標識抗体)に照射される励起光の量を低減することができる。遊離の蛍光標識抗体が放射する蛍光は、検出対象物質の濃度が反映されないノイズ成分である。つまり、遊離の蛍光標識抗体が放射する蛍光は、検出対象物質と結合している蛍光標識抗体が放射する蛍光の計測を妨害して計測精度を低下させる。したがって、エバネセント波を利用して励起光の照射領域を制限して遊離の蛍光標識抗体が放射する蛍光を抑制することが有効である。
しかしながら、上述した方法では、以下のような課題がある。
液体中のウイルスなどの極微量な検出対象物質を高感度に、かつ、迅速に検出するためには、検出対象物質に対して十分多い数の磁性粒子と標識粒子(例えば、蛍光標識抗体)とを、検出対象物質を含む液体に混合する必要がある。例えば、それらの個数比は、検出対象物質:磁性粒子及び信号粒子=1:1000である。そのため、検出対象物質と磁性粒子と信号粒子とを混合して結合体(つまり、複合体)を形成した後も、検出対象物質と結合していない、磁性粒子(以下、未結合の磁性粒子ともいう)及び標識粒子(例えば、遊離の蛍光標識抗体)の個数は、複合体に比べて桁違いに多い。
また、複合体及び未結合の磁性粒子は、磁場勾配が印加されると、磁場勾配の方向に移動する。移動速度(以下、泳動速度ともいう)は、複合体よりも未結合の磁性粒子の方が速い。そのため、基板表面のエバネセント波により励起光が照射される領域(以下、近接場と呼ぶ)に複合体を引き寄せる際に、複合体よりも先に未結合の磁性粒子が近接場に到達し、基板表面に堆積する。上述のとおり、エバネセント波は、基板表面から最大1μmの領域のみを照射する。つまり、近接場は、基板表面から基板表面に垂直な方向に最大1μmの範囲に形成される、薄い光の層である。そのため、複合体よりも先に未結合の磁性粒子が基板表面に到達すると、基板表面に堆積した未結合の磁性粒子によって、複合体が基板表面の近接場内に到達できない場合がある。また、複合体が近接場内に到達できたとしても、基板表面と平行な方向に移動する際に、未結合の磁性粒子の堆積状態によっては、近接場の外に一時的に出る場合がある。
上述した方法では、複合体を近接場内に移動させることにより、複合体中の標識粒子が発する光信号(例えば、蛍光)を光点として検出し、複合体を近接場内で基板表面と平行な方向に移動させることにより、複合体を動光点として計数する。そのため、未結合の磁性粒子が基板表面に堆積すると、複合体が近接場内に到達できないために、本来計数されるべき複合体の光点が計数されないという問題が生じる(この現象は、偽陰性と呼ばれる)。また、基板表面と平行な方向に複合体を移動させる際に、複合体が近接場の外に一時的に出て近接場内に戻ることを繰り返すと、複合体の動光点が点滅するため、1つの複合体を複数の複合体として計数するという問題が生じる。
したがって、上述した方法では、複合体の動光点を正確に計数することができないため、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができないという課題がある。
(本開示の概要)
そこで、本開示の一態様に係る濃度測定方法は、検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子が固定された第1物質と、前記検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、蛍光体又は散乱体が固定された第2物質と、前記検出対象物質とを結合させることにより形成された複合体と、前記複合体を形成していない前記磁性粒子である未結合磁性粒子とを含む液体を基板上に配置し、前記蛍光体が蛍光を発する波長又は前記散乱体が散乱光を発する波長を有する光を前記基板に照射することにより、前記基板の表面の少なくとも検出領域に前記光の近接場を形成し、前記未結合磁性粒子を前記基板の表面の前記検出領域外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石を用いて印加することにより、前記検出領域外に前記未結合磁性粒子を収集し、前記第1磁場勾配が前記未結合磁性粒子を前記基板の表面に到達させるために必要な所定時間印加された後に、前記複合体を前記基板の表面の検出領域内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内に前記複合体を収集し、前記第2磁場勾配の印加を停止した後に、前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内の前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に移動させ、前記検出領域内を前記基板の表面と平行な方向に移動する前記複合体中の前記蛍光体が発する蛍光又は前記散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、前記検出対象物質の濃度を測定する。
これにより、未結合磁性粒子と複合体との移動速度の差異を利用して、未結合磁性粒子を基板の表面に到達させるために必要な所定時間、第1磁場勾配を印加することにより、複合体が検出領域に到達する前に、未結合磁性粒子を検出領域外に収集することができる。そのため、未結合磁性粒子が基板の表面の検出領域に堆積しにくくなり、複合体の近接場への到達、及び、近接場における複合体の移動が阻害されにくくなる。これにより、複合体中の蛍光体が発する蛍光又は散乱体が発する散乱光の検出感度が向上する。また、複合体が検出領域内を基板の表面と平行な方向に安定して移動することができるようになるため、移動する複合体を動光点として精度良く計数することができる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができる。
例えば、本開示の一態様に係る濃度測定方法は、前記未結合磁性粒子の収集では、前記所定時間、前記第1磁石を前記検出領域の下方に配置し、前記所定時間経過後に、前記検出領域から離れる方向に、前記第1磁石を前記基板と平行な方向に移動させてもよい。
これにより、未結合磁性粒子及び複合体は、所定時間、第1磁場勾配によって検出領域内に誘引される。また、複合体は、所定時間後に、第2磁場勾配によって検出領域に誘引される。その結果、第1磁場勾配の印加中も複合体を検出領域に向けて移動させることができるため、複合体の移動距離が短くなる。そのため、複合体が検出領域に早く到達する。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、測定時間の増加を抑制することができる。
例えば、本開示の一態様に係る濃度測定方法は、前記第1磁石の移動では、前記検出領域から離れる方向、かつ、前記第3磁場勾配の印加の際に前記第3磁石が配置される位置から離れる方向に前記第1磁石を移動させてもよい。
これにより、第3磁場勾配が未結合磁性粒子に及びにくくなり、第3磁場勾配によって未結合磁性粒子が検出領域内に誘引されることを抑制することができるため、複合体が検出領域内を基板の表面と平行な方向に安定して移動することができるようになる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、複合体を動光点として精度良く計数することができるため、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができる。
例えば、本開示の一態様に係る濃度測定方法では、前記所定時間経過後、かつ、前記第2磁場勾配が印加される前に、前記第1磁場勾配を弱めてもよい。
これにより、複合体が検出領域外に誘引されにくくなり、第2磁場勾配に誘引されやすくなる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、複合体が検出領域に収集されやすくなるため、検出精度が向上される。
例えば、本開示の一態様に係る濃度測定方法では、前記検出対象物質の濃度の測定に先んじて、未結合磁性粒子及び複合体を含む液体を前記基板上に配置し、前記光の近接場を形成すると共に前記第1磁場勾配を印加し、前記複合体及び前記未結合磁性が発する散乱光を示す光点の増加量の時間変化に基づいて前記所定時間を決定してもよい。
これにより、光点の増加量が変化するタイミングを検知することにより、適切なタイミングで、第1磁石を検出領域外に移動することができる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、複合体の検出領域への誘引と未結合磁性粒子の検出領域外への収集を効率よく実行することができる。
例えば、本開示の一態様に係る濃度測定方法では、前記第2磁場勾配は、前記第1磁場勾配よりも大きくてもよい。
これにより、複合体が第1磁場勾配の影響を受けにくくなり、第2磁場勾配に誘引されやすくなる。また、第2磁場勾配が大きいことにより、移動速度の遅い複合体をより強い磁場勾配で検出領域に誘引することができるため、複合体を検出領域により早く収集することができる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、複合体が検出領域に収集されやすくなるため、測定精度が向上される。
例えば、本開示の一態様に係る濃度測定方法では、前記第3磁場勾配は、前記第1磁場勾配よりも大きくてもよい。
これにより、検出領域内の複合体が第1磁場勾配の影響を受けにくくなり、第3磁場勾配の印加によって複合体が検出領域内を基板の表面と平行な方向に安定して移動することができる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定方法によれば、検出領域内を移動する複合体(動光点)を精度良く計数することができるため、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができる。
また、本開示の一態様に係る濃度測定装置は、検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子が固定された第1物質と、前記検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、蛍光体又は散乱体が固定された第2物質と、前記検出対象物質とを結合させることにより形成された複合体と、前記複合体を形成していない前記磁性粒子である未結合磁性粒子とを含む液体を基板上に保持する保持部と、前記蛍光体が蛍光を発する波長又は前記散乱体が散乱光を発する波長を有する光を前記基板に照射することにより、前記基板の表面の少なくとも検出領域に前記光の近接場を形成する光源と、前記未結合磁性粒子を前記基板の表面の前記検出領域外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石を用いて印加することにより、前記検出領域外に前記未結合磁性粒子を収集する第1磁場印加部と、前記複合体を前記基板の表面の検出領域内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内に前記複合体を収集する第2磁場印加部と、前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内の前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に移動させる第3磁場印加部と、前記検出領域内を前記基板の表面と平行な方向に移動する前記複合体中の前記蛍光体が発する蛍光又は前記散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、前記検出対象物質の濃度を測定する測定部と、を備える。
これにより、未結合磁性粒子と複合体との移動速度の差異を利用して、例えば未結合磁性粒子を基板の表面に到達させるために必要な所定時間、第1磁場勾配を印加することにより、複合体が検出領域に到達する前に、未結合磁性粒子を検出領域外に収集することができる。そのため、未結合磁性粒子が基板の表面の検出領域に堆積しにくくなり、複合体の近接場への到達、及び、近接場における複合体の移動が阻害されにくくなる。これにより、複合体中の蛍光体が発する蛍光又は散乱体が発する散乱光の検出感度が向上する。また、複合体が検出領域内を基板の表面と平行な方向に安定して移動することができるようになるため、移動する複合体を動光点として精度良く計数することができる。したがって、本開示の一態様に係る濃度測定装置によれば、検出対象物質の濃度を精度良く測定することができる。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
また、以下において、平行及び垂直などの要素間の関係性を示す用語、及び、円筒形状などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳密な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば、検出対象物質の量(例えば、数又は濃度等)又はその範囲を計測することなどを含む。
(実施の形態)
以下、実施の形態について図1〜図10を用いて説明する。
[複合体]
まず、複合体について図1を参照しながら説明する。図1は、実施の形態における複合体6の形成プロセスを示す図である。
図1では、まず、(a)に示されるように、検出対象物質1を含む試料に、磁性粒子2が固定された第1物質3と、蛍光体4又は散乱体(不図示)が固定された第2物質5とが混入される。本実施の形態では、第2物質5に蛍光体4が固定された例について説明する。
検出対象物質1は、検出の対象となる分子であり、例えば、タンパク質、脂質、糖、核酸等である。
第1物質3は、検出対象物質1と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子2が固定されている。検出対象物質1に対する第1物質3の組み合わせは、例えば、抗原に対する抗体、基質又は補酵素に対する酵素、ホルモンに対するレセプタ、抗体に対するプロテインA又はプロテインG、ビオチンに対するアビジン類、カルシウムに対するカルモジュリン、糖に対するレクチン等が挙げられる。
第2物質5は、検出対象物質1と特異的に結合する性質を有し、標識粒子(例えば、蛍光体4又は散乱体)が固定されている。本実施の形態では、第2物質5は、蛍光体4が固定されている。検出対象物質1に対する第2物質5の組み合わせは、第1物質3と同様であるため、ここでの説明を省略する。
磁性粒子2は、常磁性を有する粒子である。常磁性とは、外部磁場が無い時には磁化を持たず、磁場勾配を印加するとその磁場勾配の方向に弱く磁化する磁性を意味する。磁性粒子2は、磁場勾配の印加によって磁場勾配の方向に移動する。なお、磁性粒子2は、シェル構造を有してもよい。例えば、磁性粒子2は、常磁性を有する粒子を内核とし、樹脂、ガラス又は貴金属などで内核を被覆してもよい。これにより、内核を酸化から保護することができる。
標識粒子は、検出対象物質1を標識し、検出可能にする粒子である。標識粒子は、例えば、蛍光体4又は散乱体である。蛍光体4は、所定の波長を有する励起光の照射によって蛍光を放射する。蛍光体4は、例えば、有機分子又は量子ドット等であってもよく、有機蛍光分子、無機蛍光体、又は、量子ドットなどを組み込んだ樹脂(例えば、ポリスチレン又はアクリルなど)又はガラスから構成される蛍光粒子であってもよい。蛍光粒子の粒径は、数十nmから数百nmである。蛍光粒子は、樹脂又はガラスに蛍光の失活防止剤を含ませることにより、蛍光の退色が低減される。また、蛍光粒子は、アミノ基及びカルボキシ基を初めとする多様な表面修飾を施すことにより、検出対象物質1との結合性が向上される。また、蛍光粒子は、樹脂又はガラスを含むことにより、水中での分散性が向上される。
散乱体は、所定の波長を有する光の照射によって散乱光を放射する。散乱体は、例えば、磁場勾配を印加しても、その磁場勾配に影響されにくい材料で構成される。このような材料としては、例えば、金、銀、アルミニウム、マンガン、クロム、白金、銅、亜鉛、鉛、又は、マンガンなどの非磁性の金属、これらの金属の合金、金属酸化物もしくは金属窒化物であってもよく、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、エポキシ樹脂、又は、ABS樹脂などの樹脂であってもよい。また、散乱体は、泳動の点からは球形が好ましいが、例えば断面の形状が矩形、矩形に近い楕円、正弦形、又は、台形である粒子であってもよく、粒子の表面に凹凸を有してもよい。粒子の表面の凹凸の形状、深さ、又は、幅などにより、照射される光の波長に応じて所期の波長を有する散乱光を放射し得る。散乱体の粒径は、長径(例えば、外接円の直径)で、数十nmから数百nmであり、例えば、30nm以上であってもよく、50nmであってもよく、300nm以下であってもよく、200nmであってもよい。
次いで、(b)に示されるように、検出対象物質1と、磁性粒子2が固定された第1物質3と、蛍光体4が固定された第2物質5とが結合することにより、複合体6が形成される。なお、第1物質3と第2物質5とは、検出対象物質1の異なる部位と結合する。したがって、図1の(b)に示されるように、磁性粒子2が固定された第1物質3と、蛍光体4が固定された第2物質5とは、検出対象物質1を挟んで結合(サンドイッチ結合)して複合体6を形成する。このとき、液体61中には、検出対象物質1と結合していない、磁性粒子2が固定された第1物質3は、単独又は凝集した状態で未結合磁性粒子16aとして存在する。同様に、液体61中には、検出対象物質1と結合していない、蛍光体4が固定された第2物質5も、未結合蛍光粒子16bとして存在する。
なお、図1では、複数の第1物質3が磁性粒子2に固定されているが、これに限定されない。例えば、1つの第1物質3のみが磁性粒子2に固定されてもよい。また、図1では、複数の第2物質5が蛍光体4に固定されているが、これに限定されない。例えば、1つの第2物質5のみが蛍光体4に固定されてもよい。
なお、(b)に示される複合体6の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、複合体6に含まれる磁性粒子2の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、例えば、複合体6に含まれる検出対象物質1の数は、2つ以上であってもよい。
[濃度測定装置の構成]
続いて、本実施の形態に係る濃度測定装置について図2を参照しながら説明する。図2は、実施の形態に係る濃度測定装置100の一例を示す概略構成図である。なお、図2において、保持部10は、基板11の主面(XY平面)と直交する面(XZ平面)で切断した断面を示している。
濃度測定装置100は、液体61中の微量な検出対象物質1の濃度を光学的に測定する。より具体的には、濃度測定装置100は、検出対象物質1と結合していない磁性粒子2(つまり、未結合磁性粒子16a)と複合体6との液体61中の泳動速度の差異を利用して、複合体6よりも泳動速度の速い未結合磁性粒子16aを基板11の表面の検出領域23外に収集し、複合体6を検出領域23内に収集する。これにより、基板11の表面の検出領域23内に未結合磁性粒子16aが堆積しにくくなる。そのため、基板11の表面に堆積した未結合磁性粒子16aによって、複合体6の近接場24への到達、及び、近接場24における複合体6の移動が阻害されにくくなる。これにより、例えば、複合体6中の蛍光体4が発する蛍光の検出精度が向上する。また、例えば、複合体6が検出領域23内を基板11の表面と平行な方向(例えば、X軸方向)に安定して移動することができるため、複合体6の動光点を精度良く計数することができる。以上により、検出対象物質1の濃度の測定精度が向上する。
図2に示されるように、濃度測定装置100は、保持部10と、光源20と、第1磁場印加部31と、第2磁場印加部32と、第3磁場印加部33と、測定部50と、を備える。以下、各構成について説明する。
保持部10は、液体61を基板11上に保持する。液体61は、予め調製されてもよく、保持部10の空間15内で調製されてもよい。液体61は、例えば、複合体6と、未結合磁性粒子16aと、未結合蛍光粒子16bとを含む。保持部10は、スペーサ14と、基材12とを備える。
スペーサ14は、基板11上に配置される。基材12は、例えば、ガラス又は樹脂製の透明基材であり、スペーサ14上に配置される。基材12は、導入孔13a及び排出孔13bを有する。導入孔13aは、液体61を空間15に導入する。排出孔13bは、余剰の液体61を空間15から排出してもよく、測定が終了した液体61及び洗浄液を空間15から排出してもよい。なお、図1では、基材12に液体61の導入孔13a及び排出孔13bを設ける例を示しているが、これに限定されない。例えば、スペーサ14に導入孔及び排出孔を設けてもよい。
基板11は、光透過性を有する平板状の部材である。光源20からの光21の照射により、基板11の表面(Z軸プラス側の主面)に光21の近接場24が形成される。近接場とは、高屈折率側の媒体から臨界角以上で入射された光が界面で全反射する際、低屈折率側の媒体に染み出した光(エバネセント光)の層である。ここでは、基板11の裏面(Z軸マイナス側の主面)から照射された光21が基板11と液体61との界面で全反射することにより、当該界面において、基板11(例えば、ガラス)よりも屈折率の小さい液体61(例えば、水)側に光21が染み出し、光21の近接場24が形成される。基板11は、例えば、屈折率の異なる複数の材料層が積層されて形成された導波路であってもよい。このとき、基板11は、2つのガラス層の間にガラスよりも屈折率の大きいシリコン層が積層されてもよい。なお、図2では、基板11は、導波路である例を示しているが、これに限定されない。例えば、基板11は、ガラス基板であってもよい。このとき、ガラス基板は、プリズム(不図示)上に配置されている。なお、図2に示す基板11(導波路)も、プリズム(不図示)上に配置されてもよい。
光源20は、蛍光体4が蛍光を発する波長又は散乱体が散乱光を発する波長を有する光21を基板11に照射することにより、基板11の表面に光21の近接場24を形成する。本実施の形態では、光源20は、蛍光体4が蛍光を発する波長の光21を基板11に照射する。光源20としては、公知の技術を特に限定することなく利用することができる。例えば、半導体レーザ又はガスレーザ等のレーザを光源20として用いることができる。なお、光源20から照射される光21の波長としては、ウイルスなどの検出対象物質1に含まれる物質と相互作用が小さい波長であってもよい。例えば、光21の波長は、400nm以上2000nm以下の範囲の波長であってもよく、水又はウイルスの構成物質と相互作用が小さい波長であってもよい。さらには、光21の波長は、半導体レーザが使用できる波長である400nm以上850nm以下の範囲の波長であってもよい。
第1磁場印加部31は、未結合磁性粒子16aを基板11の表面の検出領域23外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石(不図示)を用いて印加する。これにより、未結合磁性粒子16aは、検出領域23外に収集される。第1磁場印加部31は、例えば、第1磁石と第1磁石の位置を制御する第1位置制御手段(不図示)とを備えてもよい。第1磁石は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。例えば、第1磁石が永久磁石である場合、第1位置制御手段は、第1磁石を基板11の裏面(Z軸マイナス側の主面)から離れる方向に移動させ、第1磁場勾配の強度を調整する。また、例えば、第1磁石が電磁石である場合、第1磁場印加部31は、電磁石への電流量を調整することにより、磁場勾配の方向及び強度を調整する。第1位置制御手段は、未結合磁性粒子16aを検出領域23外に収集する場合に、第1磁場勾配の印加前に、第1磁石を検出領域23外の所定領域の下方に移動させ、配置してもよい。また、第1移動制御手段は、所定時間、第1磁石を検出領域23の下方に配置し、所定時間の経過後に、第1磁石を検出領域23外の所定領域の下方に移動させてもよい。
なお、検出領域23外の所定領域は、検出領域23から離れており、かつ、第3磁場印加部33から離れる方向に位置する領域であってもよい。
また、図において、見やすさの観点から、検出領域23が高さ方向に厚みを有するように記載されているが、検出領域23は、光検出部40が蛍光又は散乱光を検出可能な基板11上の領域である。検出領域23は、例えば、光検出部40の視野領域である。例えば、光検出部40が撮像部である場合は、検出領域23は、撮像領域である。
第2磁場印加部32は、磁性粒子2を基板11の表面の検出領域23内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加する。これにより、複合体6は、検出領域23内に収集される。第2磁場印加部32は、例えば、第2磁石と、第2磁石の位置を制御する第2位置制御手段(不図示)とを備えてもよい。第2磁石は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。なお、第2位置制御手段の動き及び第2磁場勾配の強度の調整については、第1磁場印加部31と同様であるため、ここでの説明を省略する。
第3磁場印加部33は、複合体6を基板11の表面と平行な方向(例えばX軸方向)に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加する。これにより、検出領域23内の複合体6は、基板11の表面と平行な方向に移動する。第3磁場印加部33は、例えば、第3磁石と、第3磁石の位置を制御する第13位置制御手段(不図示)とを備えてもよい。第3磁石は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。なお、第3位置制御手段の動き及び第3磁場勾配の強度の調整については、第1磁場印加部31と同様であるため、ここでの説明を省略する。
測定部50は、検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に移動する複合体6中の蛍光体4が発する蛍光を示す動光点を計数することにより、検出対象物質1の濃度を測定する。測定部50は、例えば、光検出部40と処理部45と備える。
光検出部40は、例えば、光学レンズ41、光学フィルタ42、及び、撮像素子43を備える。光学レンズ41は、検出領域23からの光を略平行光に変換する。ここで、検出領域23からの光には、蛍光体4から発せられた蛍光、及び、散乱体から発せられた散乱光などが含まれる。光学フィルタ42は、例えば、所定の波長の光のみを透過させ、その他の波長の光を吸収又は反射する光学特性を有する。光検出部40が蛍光を検出する場合は、蛍光のみを透過させ、散乱光を検出する場合は、散乱光のみを透過させてもよい。本実施の形態では、複合体6の濃度を測定する際に、光検出部40は、検出領域23からの蛍光を受光し、蛍光の強度に応じた電気信号を処理部45に出力する。さらに、光検出部40は、第1磁石の移動開始時間を決定する際に、未結合磁性粒子16a及び複合体6が発する散乱光を受光し、散乱光の強度に応じた電気信号を処理部45に出力する。これらの動作の詳細については、後述する。
処理部45は、光検出部40から出力された電気信号に基づいて、検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に移動する複合体6中の蛍光体4が発する蛍光を示す動光点を計数し、検出対象物質1の濃度を算出する。また、処理部45は、第1磁石の移動開始時間を決定する際に、例えば、検出領域23内の未結合磁性粒子16a及び複合体6が発する散乱光を示す光点を計数し、当該光点の増加量の時間変化に基づいて、第1磁石の移動開始時間を導出する。これらの動作の詳細については、後述する。
[濃度測定装置の動作]
以上のように構成された濃度測定装置100の動作について図3及び図6〜図10を参照しながら説明する。図3は、実施の形態に係る濃度測定装置100の処理の一例を示すフローチャートである。図6〜図10は、実施の形態に係る濃度測定装置100の処理の一例を模式的に示す図である。
まず、導入部60(図11参照)は、予め調製された液体61(図1参照)を導入孔13a(図2参照)から保持部10(図2参照)の空間15に導入する(図3にて不図示)。これにより、液体61は、基板11上に配置される(S3001)。保持部10は、測定処理が終了するまで、液体61を基板11上に保持する。なお、液体61は、検出対象物質1を含む溶液、及び、磁性粒子2が固定された第1物質3と、蛍光体4が固定された第2物質5とを含む溶液の順不同な混合により行われる。
次いで、光源20は、蛍光体4が蛍光を発する波長を有する光21を基板11に照射することにより、基板11の表面に光21の近接場24を形成する(S3002)。なお、光21の照射は、測定処理が終了するまで継続的に行われる。
次いで、第1磁場印加部31は、未結合磁性粒子16aを基板11の表面の検出領域23外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石(不図示)を用いて印加する。これにより、検出領域23外に未結合磁性粒子16aを収集する(S3003)。ステップS3003の処理では、未結合磁性粒子16aの移動速度(泳動速度ともいう)が複合体6の移動速度よりも速いことを利用して、未結合磁性粒子16aを検出領域23外に収集する。このとき、第1磁場印加部31は、第1磁石を検出領域23外の所定領域の下方に配置して、未結合磁性粒子16aを検出領域23外(上記の検出領域23外の所定領域)に収集してもよい。また、図6及び図7に示されるように、第1磁場印加部31は、所定時間、第1磁石を検出領域23の下方に配置し、所定時間経過後に、検出領域23から離れる方向に、第1磁石を基板11と平行な方向(例えば、矢印aの方向)に移動させてもよい。なお、基板11と平行な方向は、図7に示す例に限られず、XY平面と略平行な方向であってもよい。また、図7及び図8に示されるように、第1磁場印加部31は、検出領域23から離れる方向、かつ、第3磁場勾配の印加の際に第3磁石が配置される位置から離れる方向(例えば、矢印aの方向)に、第1磁石を移動させてもよい。このとき、第1磁場印加部31は、所定時間経過後、かつ、第2磁場勾配が印加される前に、第1磁場勾配を弱めてもよい。例えば、図7及び図8に示されるように、第1磁場印加部31は、所定時間経過後、かつ、第2磁場印加部32が矢印cの方向に移動する前に、矢印bの方向に移動して、基板11との距離を離すことにより、第1磁場勾配を弱めてもよい。なお、第1磁場印加部31が第1磁石を検出領域23外の所定領域の下方に配置して当該所定領域に未結合磁性粒子16aを収集する場合、第1磁場印加部31は、未結合磁性粒子16aが所定領域に収集された後、かつ、第2磁場勾配が印加される前に、第1磁場勾配を弱めてもよい。第1磁場勾配の強度の調整は、例えば、第1磁石が永久磁石である場合は、第1磁石を基板11の裏面から下方に離して、第1磁石と基板11の裏面との距離を調整することにより実現されてもよい。また、第1磁場勾配は、第1磁石の移動に伴い徐々に弱められてもよく、第1磁石の移動開始時に、所定の強度に弱められてもよい。ここでは、第1磁石は、永久磁石である例を説明するが、これに限られない。例えば、第1磁石は、電磁石であってもよい。
所定時間とは、第1磁場勾配の印加により、液体61中に分散している未結合磁性粒子16aが基板11の表面に到達するために十分な長さを有する時間であり、複合体6が基板11の表面に到達するために必要な時間よりも短い時間である。所定時間は、検出対象物質1の濃度の測定に先んじて、未結合磁性粒子16a及び複合体6を含む液体を基板11上に配置し、光21の近接場24を形成すると共に第1磁場勾配を印加し、複合体6及び未結合磁性粒子16aが発する散乱光を示す光点の増加量の時間変化に基づいて決定される。以下、所定時間を導出して、第1磁石の移動開始時間を決定する処理について図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、第1磁石の移動開始時間を決定する処理の一例を示すフローチャートである。図4では、複合体6及び未結合磁性粒子16aが発する散乱光を示す光点に基づいて所定時間を決定する例を説明する。図5は、第1磁場勾配の印加に伴う散乱光を示す光点の増加量の時間変化及び蛍光を示す光点の増加量の時間変化の例を示す図である。
図4で図示を省略しているが、図3に示されるステップS3001及びステップS3002の処理を行った後、第1磁場印加部31は、第1磁石を検出領域23の下方に配置し、第1磁場勾配を印加する。これにより、未結合磁性粒子16aは、検出領域23に収集される。測定部50は、検出領域23に収集される未結合磁性粒子16aが発する散乱光を示す光点と、未結合磁性粒子16aに遅れて検出領域23に到達する複合体6が散乱する散乱光を示す光点とを計数する(S4001)。例えば、光検出部40は、検出領域23からの散乱光を光学レンズ41及び光学フィルタ42を介して撮像素子43で受光し、散乱光の強度に応じた電気信号を処理部45に出力する。処理部45は、光検出部40から出力された電気信号に基づいて、検出領域23内の光点を計数する。このとき、測定部50は、所定の時間毎に光点を計数してもよい。
次いで、測定部50では、処理部45は、光点の増加量が変化したか否かを判定する(S4002)。光点の増加量が変化していない場合(S4002でNo)、処理部45は、検出領域23内の光点を計数する(S4001)。一方、光点の増加量が変化した場合(S4002でYes)、処理部45は、光点の増加量が変化した時間を第1磁石の移動開始時間に決定する(ステップS4003)。
未結合磁性粒子16aは複合体6よりも移動速度が速いため、複合体6よりも早く基板11の表面の検出領域23に到達する。このように未結合磁性粒子16aと複合体6とで泳動速度に違いが出る理由は、以下のメカニズムが関係していると考えられる。未結合磁性粒子16aと、複合体6とが、第1磁場勾配に引き寄せられて液体61中を移動する(つまり、泳動する)際に、磁性粒子2の磁化は、未結合磁性粒子16a及び複合体6が第1磁場勾配の方向に泳動する駆動力になる。しかしながら、複合体6中の検出対象物質1と蛍光体4とは、複合体6が液体61中を泳動する際に、液体61の抵抗を受けるため、磁性粒子2の駆動力を低下させる。そのため、未結合磁性粒子16aの泳動速度>複合体6の泳動速度>蛍光体4の泳動速度=0の関係が成り立つ。
図5に示されるように、散乱光の光点数は、第1磁場勾配の印加を開始してから所定の時間までは一定の割合で増加している。光点数の増加率は、未結合磁性粒子16a及び複合体6それぞれの泳動速度に対応する。つまり、泳動速度が速いと、検出領域23内に到達する個数の増加量が大きく、泳動速度が遅いと、検出領域23内に到達する個数の増加量が小さい。また、図5に示される散乱光の光点の増加量の時間変化は、例えば、図6及び図7で模式的に示されるように、未結合磁性粒子16aが基板11の表面の検出領域23に到達し、近接場24で光21を照射されて発した散乱光71を示す光点を計数している。また、図7に示されるように、未結合磁性粒子16aが基板11の表面に堆積した後に、複合体6が近接場24内に到達し、散乱光(不図示)と蛍光72(図8参照)とを発する。このとき、複合体6が発する散乱光を示す光点は、複合体6の泳動速度が未結合磁性粒子16aの泳動速度よりも遅いため、複合体6が近接場24内に到達すると、光点の増加量が変化する。
ここでは、散乱光を示す光点の増加量の時間変化に基づいて第1磁石の移動開始時間を決定する例を説明したが、これに限られない。例えば、図5に示されるように、複合体6が発する蛍光を示す光点の増加量の時間変化に基づいて決定されてもよい。この場合、蛍光を示す光点が検出される時間を第1磁石の移動開始時間としてもよい。
ここで、図3のフローチャートの説明に戻る。ステップS3003に示す処理に次いで、第2磁場印加部32は、第1磁場勾配が所定時間印加された後に、複合体6を基板11の表面の検出領域23内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加する。これにより、検出領域23内に複合体6を収集する(S3004)。例えば、図7に示されるように、第1磁場印加部31は、所定時間、第1磁石を検出領域23の下方に配置し、所定時間経過後に、検出領域23から離れる方向に、第1磁石を基板11と平行な方向(例えば、矢印aの方向)に移動させる。このとき、図7及び図8に示されるように、第2磁場印加部32は、第2磁石を矢印cの方向に移動させて、検出領域23の下方に配置し、第2磁場勾配を印加する。これにより、複合体6を検出領域23内に収集する(図8及び図9)。
次いで、第3磁場印加部33は、第2磁場勾配の印加を停止した後に、複合体6を基板11の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加する。これにより、検出領域23内の複合体6を基板11の表面と平行な方向に移動させる(S3005)。例えば、図9及び図10に示されるように、複合体6が検出領域23内に収集されると、第2磁場印加部32は、第2磁石を基板11の裏面から離れる方向(矢印dの方向)に移動させて、第2磁場勾配の印加を停止する。そして、第3磁場印加部33は、第3磁石を保持部10に近づける方向(矢印eの方向)に移動させて、第3磁場勾配を印加することにより、検出領域23内の複合体6を基板11の表面と平行な方向(例えば、X軸マイナス方向)に移動させる。
次いで、測定部50は、検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に移動する複合体6中の蛍光体が発する蛍光72を示す動光点を計数する。これにより、検出対象物質1の濃度を測定する(S3006)。図2に示されるように、測定部50は、光検出部40と処理部45とを備える。光検出部40は、例えば、イメージセンサであり、検出領域23内の蛍光72(図9及び図10参照)を受光し、蛍光の強度に応じた電気信号を処理部45に出力する。このとき、検出対象物質1と結合していない、蛍光体4が固定された第2物質5(いわゆる、未結合蛍光粒子16b)も近接場24によって蛍光体4が励起されて蛍光を発する。そのため、光検出部40は、複合体6から発せられる蛍光72に加えて、検出領域23内の未結合蛍光粒子16bから発せられる蛍光も受光し、蛍光の強度に応じた電気信号を処理部45に出力する。
処理部45は、光検出部40から出力された電気信号を解析し、第3磁場勾配の方向に移動する複合体6中の蛍光体4が発する蛍光72を動光点として検出する。また、処理部45は、第3磁場勾配の影響を受けずに移動しない未結合蛍光粒子16b中が発する蛍光を静止した光点として検出する。例えば、処理部45は、例えば光検出部40から出力された複数の2次元画像を解析して、複数の2次元画像間で位置変化する光点(つまり、動光点)を計数することにより、検出対象物質1の濃度を算出する。
なお、図3に示すステップの順番は、例示であり、これに限定されない。例えば、ステップS3002における近接場24の形成は、ステップS3003における第1磁場勾配の印加の後に開始されてもよく、ステップS3001における液体61の基板11上への配置の前に開始されてもよい。
[効果等]
以上のように、本実施の形態では、未結合磁性粒子16aと複合体6との泳動速度(移動速度)の差異を利用して、未結合磁性粒子16aを基板11の表面に到達させるために必要な所定時間、第1磁場勾配を印加することにより、複合体6が検出領域23に到達する前に、複合体6よりも泳動速度が速い未結合磁性粒子16aを検出領域23外に収集することができる。これにより、検出領域23内に未結合磁性粒子16aが堆積しにくくなる。そのため、複合体6の近接場24への到達、及び、近接場24における複合体6の移動が阻害されにくくなる。これにより、複合体6中の蛍光体4が発する蛍光の検出感度が向上する。また、複合体6が検出領域23内を基板11の表面と平行な方向(例えばX軸方向)に安定して移動することができるようになるため、移動する複合体6を動光点として精度良く計数することができる。以上により、本実施の形態に係る濃度測定装置100及び濃度測定方法によれば、検出対象物質1の濃度を精度良く測定することができる。
例えば、本実施の形態に係る濃度測定方法は、未結合磁性粒子16aの収集では、所定時間、第1磁石を検出領域23の下方に配置し、所定時間経過後に、検出領域23から離れる方向に、第1磁石を基板11と平行な方向に移動させてもよい。
これにより、未結合磁性粒子16a及び複合体6は、所定時間、第1磁場勾配によって検出領域23内に誘引される。また、複合体6は、所定時間後に、第2磁場勾配によって検出領域23に誘引される。その結果、第1磁場勾配の印加中も複合体6を検出領域23に向けて移動させることができるため、複合体6の移動距離が短くなる。そのため、複合体6が検出領域23に早く到達する。したがって、本実施の形態に係る濃度測定方法によれば、測定時間の増加を抑制することができる。
例えば、本実施の形態に係る濃度測定方法は、第1磁石の移動では、検出領域23から離れる方向、かつ、第3磁場勾配の印加の際に第3磁石が配置される位置から離れる方向に第1磁石を移動させてもよい。
これにより、第3磁場勾配が未結合磁性粒子16aに及びにくくなり、第3磁場勾配によって未結合磁性粒子16aが検出領域23内に誘引されることを抑制することができるため、複合体6が検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に安定して移動することができるようになる。したがって、本実施の形態に係る濃度測定方法によれば、複合体6を動光点として精度良く計数することができるため、検出対象物質1の濃度を精度良く測定することができる。
例えば、本実施の形態に係る濃度測定方法では、所定時間経過後、かつ、第2磁場勾配が印加される前に、第1磁場勾配を弱めてもよい。
これにより、複合体6が検出領域23外に誘引されにくくなり、第2磁場勾配に誘引されやすくなる。したがって、本実施の形態に係る濃度測定方法によれば、複合体6が検出領域23に収集されやすくなるため、検出精度が向上される。
例えば、本実施の形態に係る濃度測定方法では、検出対象物質1の濃度の測定に先んじて、未結合磁性粒子16a及び複合体6を含む液体61を基板11上に配置し、光21の近接場24を形成すると共に第1磁場勾配を印加し、複合体6及び未結合磁性粒子16aが発する散乱光を示す光点の増加量の時間変化に基づいて所定時間を決定してもよい。
これにより、光点の増加量が変化するタイミングを検知することにより、適切なタイミングで、第1磁石を検出領域23外に移動することができる。したがって、本実施の形態に係る濃度測定方法によれば、複合体6の検出領域23への誘引と未結合磁性粒子16aの検出領域23外への収集を効率よく実行することができる。
例えば、本実施の形態に係る濃度測定方法では、第2磁場勾配は、第1磁場勾配よりも大きくてもよい。
これにより、複合体6が第1磁場勾配の影響を受けにくくなり、第2磁場勾配に誘引されやすくなる。また、第2磁場勾配が大きいことにより、移動速度の遅い複合体6をより強い磁場勾配で検出領域23に誘引することができるため、複合体6を検出領域23により早く収集することができる。したがって、本実施の形態に係る濃度測定方法によれば、複合体6が検出領域23に収集されやすくなるため、測定精度が向上される。
例えば、本実施の形態に係る濃度測定方法では、第3磁場勾配は、第1磁場勾配よりも大きくてもよい。
これにより、検出領域23内の複合体6が第1磁場勾配の影響を受けにくくなり、第3磁場勾配の印加によって複合体6が検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に安定して移動することができる。したがって、本実施の形態に係る濃度測定方法によれば、検出領域23内を移動する複合体6(動光点)を精度良く計数することができるため、検出対象物質1の濃度を精度良く測定することができる。
また、本実施の形態に係る濃度測定装置100は、検出対象物質1と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子2が固定された第1物質3と、検出対象物質1と特異的に結合する性質を有し、蛍光体4又は散乱体が固定された第2物質5と、検出対象物質1とを結合させることにより形成された複合体6と、複合体6を形成していない磁性粒子2である未結合磁性粒子16aとを含む液体61を基板11上に保持する保持部10と、蛍光体4が蛍光を発する波長又は散乱体が散乱光を発する波長を有する光21を基板11に照射することにより、基板11の表面の少なくとも検出領域23に光21の近接場24を形成する光源20と、未結合磁性粒子16aを基板11の表面の検出領域23外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石(不図示)を用いて印加することにより、検出領域23外に未結合磁性粒子16aを収集する第1磁場印加部31と、複合体6を基板11の表面の検出領域23内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石(不図示)を用いて印加することにより、検出領域23内に複合体6を収集する第2磁場印加部32と、複合体6を基板11の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石(不図示)を用いて印加することにより、検出領域23内の複合体6を基板11の表面と平行な方向に移動させる第3磁場印加部33と、検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に移動する複合体6中の蛍光体4が発する蛍光又は散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、検出対象物質1の濃度を測定する測定部50と、を備える。
これにより、未結合磁性粒子16aと複合体6との泳動速度(移動速度)の差異を利用して、例えば、未結合磁性粒子16aを基板11の表面に到達させるために必要な所定時間、第1磁場勾配を印加することにより、複合体6が検出領域23に到達する前に、複合体6よりも泳動速度が速い未結合磁性粒子16aを検出領域23外に収集することができる。そのため、未結合磁性粒子16aが基板11の表面の検出領域23に堆積しにくくなり、複合体6の近接場24への到達、及び、近接場24における複合体6の移動が阻害されにくくなる。これにより、複合体6中の蛍光体4が発する蛍光又は散乱体が発する散乱光の検出感度が向上する。また、複合体6が検出領域23内を基板11の表面と平行な方向に安定して移動することができるようになるため、移動する複合体6を動光点として精度良く計数することができる。したがって、本実施の形態に係る濃度測定装置100によれば、検出対象物質1の濃度を精度良く測定することができる。
(他の実施の形態)
以上、本開示の1つ又は複数の態様に係る濃度測定装置及び濃度測定方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
また、本開示の一態様は、濃度測定方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
[適用例]
図11は、実施の形態に係る濃度測定装置100を備える濃度測定システム400の構成の一例を示す図である。濃度測定システム400は、例えば、人が出入りする部屋の室内、空港、ショッピングモール、医療施設、又は、学校などに設置されている。濃度測定システム400は、例えば、空気中の浮遊するウイルス等の検出対象物質1を含み得る微粒子を捕集し、微粒子に含まれる検出対象物質1の濃度を測定する。以下では、検出対象物質1がウイルス又はウイルスの構成成分(以下、単に、ウイルスという)である場合について説明する。ウイルスの構成成分は、例えば、ウイルスを構成するタンパク質又は核酸などである。ウイルスの種類は特に限定されず、一般にウイルスと分類されるものであればよい。
図1に示すように、濃度測定システム400は、捕集装置200と、濃度測定装置100と、コントローラ300とを備える。以下に、捕集装置200、濃度測定装置100及びコントローラ300の詳細について説明する。
[捕集装置の構成]
捕集装置200は、空気中の検出対象物質1を含み得る微粒子を捕集して捕集液に混合する。より具体的には、捕集装置200は、空気吸入口105から周辺の雰囲気空気を吸入し、空気中のウイルス等を含み得る微粒子を捕集して捕集液に混合することにより、空気中のウイルスを捕集する。図11に示すように、捕集装置200は、吸引器101と、捕集液タンク102と、ポンプ103と、サイクロン104と、空気吸入口105と、洗浄液タンク106と、ポンプ107と、洗浄液タンク108と、ポンプ109と、廃液タンク110と、液体流路111と、を備える。以下に、捕集装置200の各構成要素について説明する。
吸引器101は、空気吸入口105から周辺の雰囲気空気を吸入する。これにより、周辺の雰囲気空気中を浮遊するウイルスを含み得る微粒子は、空気とともに空気吸入口105よりサイクロン104に吸入される。吸引器101は、サイクロン104に接続されており、サイクロン104を動作させるために駆動される。
捕集液タンク102は、空気中のウイルスを捕集するための捕集液を保持するための容器である。
ポンプ103は、捕集液タンク102内の捕集液をサイクロン104に供給する。
サイクロン104は、空気吸入口105及び捕集液タンク102に接続されており、吸引器101により空気吸入口105から吸入された空気中のウイルスを含み得る微粒子と、ポンプ103により捕集液タンク102から供給された捕集液とを混合する。すなわち、サイクロン104は、吸入した空気中のウイルスを含み得る微粒子を捕集液に混合する。つまり、サイクロン104は、吸気中の微粒子と捕集液とを混合することにより、微粒子が混合された捕集液を調製する。サイクロン104は、液体流路111を介して濃度測定装置100に接続されている。試料は、サイクロン104から液体流路111を介して濃度測定装置100に供給される。
洗浄液タンク106は、サイクロン104及び液体流路111を洗浄するための洗浄液を保持するための容器である。洗浄液タンク106は、サイクロン104に接続されており、洗浄液タンク106内の洗浄液は、ポンプ107によってサイクロン104に供給される。
洗浄液タンク108は、液体流路111を洗浄するための洗浄液を保持するための容器である。洗浄液タンク108は、液体流路111に接続されており、洗浄液タンク108内の洗浄液は、ポンプ109によって液体流路111に供給される。
廃液タンク110は、不要な液体を貯蔵するための容器である。廃液タンク110は、例えば、サイクロン104及び液体流路111を洗浄した後の洗浄液等を貯蔵する。
液体流路111は、サイクロン104から排出された試料を濃度測定装置100に導くための経路である。液体流路111は、濃度測定装置100の導入部60に接続されている。
[濃度測定装置の構成]
濃度測定装置100は、保持部10と、基板11と、光源20と、測定部50と、導入部60と、を備える。濃度測定装置100は、捕集装置200によって微粒子が混合された捕集液からウイルスを検出する。ここでは、実施の形態で説明した内容について、説明を省略する。
導入部60は、捕集液と、磁性粒子2が固定された第1物質3と、標識粒子(例えば蛍光体4又は散乱体)が固定された第2物質5とが混合された液体61を保持部10内の空間15に導入する。
[コントローラの構成]
コントローラ300は、濃度測定システム400全体の動作を制御する。具体的には、コントローラ300は、捕集装置200及び濃度測定装置100を制御する。
コントローラ300は、例えば、空気中を浮遊するウイルスの測定の開始を制御する。具体的には、コントローラ300は、吸引器101を駆動させて空気吸入口105の周辺の雰囲気空気を吸引させ、かつ、ポンプ103に、捕集液タンク102内の捕集液をサイクロン104に供給させる。このとき、サイクロン104は吸引器101が駆動することにより動作する。次いで、コントローラ300は、サイクロン104に、吸入された空気中のウイルスを含み得る微粒子と捕集液とを混合させることにより、捕集液を調製させる。次いで、コントローラ300は、サイクロン104に、液体流路111を介して濃度測定装置100に捕集液を供給させる。なお、コントローラ300は、捕集液が濃度測定装置100に到達するまでに、捕集液と、磁性粒子2が固定された第1物質3と、標識粒子(例えば蛍光体4又は散乱体)が固定された第2物質5とを混合させることにより、液体61を調製させてもよい。また、コントローラ300は、導入部60に液体61を保持部10の空間15に供給させてもよく、捕集液と、磁性粒子2が固定された第1物質3と、標識粒子(例えば蛍光体4又は散乱体)が固定された第2物質5とをこの順に保持部10内の空間15に供給させてもよい。さらには、コントローラ300は、光源20に光21を出射させて基板11に光21を照射させ、光検出部40に、検出領域23で発生した蛍光を検出させる制御を行う。
例えば、コントローラ300は、各種入力パラメーターに基づいて、予め設定された条件で、各ポンプを制御してもよい。これにより、所定体積の液体61が濃度測定装置100の保持部10内の空間15に供給される。さらに、コントローラ300は、例えば、計時機能を有しており、各動作に要した時間情報を生成し記憶してもよい。また、コントローラ300は、濃度測定装置100から計測値を取得して、当該計測値と時間情報とに基づいて、空気中を浮遊するウイルスの濃度の経時的変化を算出する機能を有していてもよい。
なお、コントローラ300は、例えば1以上の専用の電子回路によって実現される。1以上の専用の電子回路は、1個のチップ上に集積されてもよいし、複数のチップ上に個別に形成されてもよい。また、コントローラ300は、1以上の専用の電子回路の代わりに、汎用のプロセッサ(図示せず)と、ソフトウェアプログラム又はインストラクションが格納されたメモリ(図示せず)とによって実現されてもよい。この場合、ソフトウェアプログラム又はインストラクションが実行されたときに、プロセッサは、コントローラ300として機能する。
本開示は、簡単、高速、高精度に検出対象物質を検出するセンサデバイスに用いられる。
1 検出対象物質
2 磁性粒子
3 第1物質
4 蛍光体
5 第2物質
6 複合体
10 保持部
11 基板
12 基材
13a 導入孔
13b 排出孔
14 スペーサ
15 空間
16a 未結合磁性粒子
16b 未結合蛍光粒子
20 光源
21 光
23 検出領域
24 近接場
31 第1磁場印加部
32 第2磁場印加部
33 第3磁場印加部
40 光検出部
41 光学レンズ
42 光学フィルタ
43 撮像素子
45 処理部
50 測定部
60 導入部
61 液体
71 散乱光
72 蛍光
100 濃度測定装置
101 吸引器
102 捕集液タンク
103、107、109 ポンプ
104 サイクロン
105 空気吸入口
106、108 洗浄液タンク
110 廃液タンク
200 捕集装置
300 コントローラ
400 濃度測定システム

Claims (8)

  1. 検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子が固定された第1物質と、前記検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、蛍光体又は散乱体が固定された第2物質と、前記検出対象物質とを結合させることにより形成された複合体と、前記複合体を形成していない前記磁性粒子である未結合磁性粒子とを含む液体を基板上に配置し、
    前記蛍光体が蛍光を発する波長又は前記散乱体が散乱光を発する波長を有する光を前記基板に照射することにより、前記基板の表面の少なくとも検出領域に前記光の近接場を形成し、
    前記未結合磁性粒子を前記基板の表面の前記検出領域外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石を用いて印加することにより、前記検出領域外に前記未結合磁性粒子を収集し、
    前記第1磁場勾配が前記未結合磁性粒子を前記基板の表面に到達させるために必要な所定時間印加された後に、前記複合体を前記基板の表面の検出領域内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内に前記複合体を収集し、
    前記第2磁場勾配の印加を停止した後に、前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内の前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に移動させ、
    前記検出領域内を前記基板の表面と平行な方向に移動する前記複合体中の前記蛍光体が発する蛍光又は前記散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、前記検出対象物質の濃度を測定する、
    濃度測定方法。
  2. 前記未結合磁性粒子の収集では、
    前記所定時間、前記第1磁石を前記検出領域の下方に配置し、
    前記所定時間経過後に、前記検出領域から離れる方向に、前記第1磁石を前記基板と平行な方向に移動させる、
    請求項1に記載の濃度測定方法。
  3. 前記第1磁石の移動では、前記検出領域から離れる方向、かつ、前記第3磁場勾配の印加の際に前記第3磁石が配置される位置から離れる方向に前記第1磁石を移動させる、
    請求項2に記載の濃度測定方法。
  4. 前記所定時間経過後、かつ、前記第2磁場勾配が印加される前に、前記第1磁場勾配を弱める、
    請求項2又は3に記載の濃度測定方法。
  5. 前記検出対象物質の濃度の測定に先んじて、
    前記未結合磁性粒子及び前記複合体を含む液体を前記基板上に配置し、
    前記光の近接場を形成すると共に前記第1磁場勾配を印加し、
    前記複合体及び前記未結合磁性粒子が発する散乱光を示す光点の増加量の時間変化に基づいて前記所定時間を決定する、
    請求項2〜4のいずれか1項に記載の濃度測定方法。
  6. 前記第2磁場勾配は、前記第1磁場勾配よりも大きい、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の濃度測定方法。
  7. 前記第3磁場勾配は、前記第1磁場勾配よりも大きい、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の濃度測定方法。
  8. 検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、磁性粒子が固定された第1物質と、前記検出対象物質と特異的に結合する性質を有し、蛍光体又は散乱体が固定された第2物質と、前記検出対象物質とを結合させることにより形成された複合体と、前記複合体を形成していない前記磁性粒子である未結合磁性粒子とを含む液体を基板上に保持する保持部と、
    前記蛍光体が蛍光を発する波長又は前記散乱体が散乱光を発する波長を有する光を前記基板に照射することにより、前記基板の表面の少なくとも検出領域に前記光の近接場を形成する光源と、
    前記未結合磁性粒子を前記基板の表面の前記検出領域外に誘引する第1磁場勾配を第1磁石を用いて印加することにより、前記検出領域外に前記未結合磁性粒子を収集する第1磁場印加部と、
    前記複合体を前記基板の表面の検出領域内に誘引する第2磁場勾配を第2磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内に前記複合体を収集する第2磁場印加部と、
    前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に誘引する第3磁場勾配を第3磁石を用いて印加することにより、前記検出領域内の前記複合体を前記基板の表面と平行な方向に移動させる第3磁場印加部と、
    前記検出領域内を前記基板の表面と平行な方向に移動する前記複合体中の前記蛍光体が発する蛍光又は前記散乱体が発する散乱光を示す動光点を計数することにより、前記検出対象物質の濃度を測定する測定部と、
    を備える、
    濃度測定装置。
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