JPWO2015108026A1 - 共重合ポリエステル樹脂及びこれを用いた接着剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを主たる構成成分とする共重合ポリエステル樹脂であって、(1)フランジカルボン酸成分を10モル%以上含み、かつ炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以上含むこと、(2)フランジカルボン酸成分を80モル%以上含み、かつ側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)を30モル%以上含み、炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以下含むこと、のいずれかを満たす共重合ポリエステル樹脂であり、優れた溶剤溶解性、接着性を発現する共重合ポリエステル樹脂である。

Description

本発明は、フランジカルボン酸を共重合成分として用いた共重合ポリエステル樹脂及びこれを用いた接着剤に関するものである。
共重合ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度と分子量を自由にコントロールすることができ、コーティング用途や接着剤用途をはじめ様々な用途で使用されている。例えば、組成中に脂肪族成分を多く含有させることで、樹脂のガラス転移温度を低くすることができる。脂肪族成分を多く含む樹脂は、流動性にも優れ、表面エネルギーも高くなり基材とのぬれ性が向上し、接着性が向上することが知られている。しかし、ガラス転移温度が室温を下回るくらい脂肪族成分を多く含む樹脂は、逆に接着性が弱くなる。よって、接着剤用途としては、できるだけ多く脂肪族成分を含有させ、かつガラス転移温度は室温付近を保持することが理想的である。
一方、硬い材料同士を接着する場合や高温領域での接着力が要求される場合には、ガラス転移温度は高いほど好ましく、この場合、高い表面エネルギーを併せ持つことや結晶性が高すぎないことが求められる。
また、近年石油資源の枯渇から、天然由来のモノマーに注目が集められており、中でもフランジカルボン酸は糖類等から容易に得ることができ、芳香環構造を有するため、共重合ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分として用いられている。バイオマス原料を用いて耐熱性、機械物性、耐候性に優れた、十分な分子量を有する熱可塑性樹脂を提供することを課題として、フランジカルボン酸を用いた熱可塑性樹脂が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の樹脂は、フィルム用途や射出成形品の用途を主として使用する機械物性に優れるものであるため、結晶性が高く、接着剤用途に使用する樹脂としては適していない。
特許第5233390号公報 特開2010−254827号公報
本発明の課題は、フランジカルボン酸成分を共重合成分として含有し、優れた溶剤溶解性、及び接着性を有する共重合ポリエステル樹脂及びこれを用いた接着剤を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究した結果、モノマー成分として、特定のジカルボン酸成分、グリコール成分を使用すれば前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。また、本発明者らは、フランジカルボン酸成分と特定の共重合成分をそれぞれ特定の共重合比率で共重合することによって、なおかつ接着剤として好適なガラス転移温度を有する共重合ポリエステル樹脂を得ることができ、前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
一般的に、脂肪族成分の共重合量が多くなるほど、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度が低くなる。このとき、室温を下回ったガラス転移温度を室温付近まで上げるために、あるいはガラス転移温度をさらに上昇させるために、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香環を有するモノマー、グリコール成分としてネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が使用される。しかし、これらの原料は、含有量が多いと表面エネルギーが低くなったり、共重合量に対するガラス転移温度の上昇率が低い等の問題がある。
本発明者らは、フランジカルボン酸がその骨格に起因して、共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高くする効果、及び表面エネルギーを高くする効果を有することを見出した。すなわち、フランジカルボン酸成分を共重合することにより、高いガラス転移温度と高い表面エネルギーを両立したポリエステル樹脂を得ることが可能である。また、ガラス転移温度を室温付近に保持したまま、より多くの脂肪族成分を含有させることも可能である。いずれにおいても表面エネルギーが高くなることに起因して、接着力をより高めることができるため、フランジカルボン酸は接着用途として理想的な原料である。
さらに、フランジカルボン酸成分を共重合したポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の原料としてよく用いられるテレフタル酸を共重合した樹脂と比較して、溶剤溶解性にも優れる。
本発明の要旨は下記の通りである。
[1] ジカルボン酸成分とグリコール成分とを主たる構成成分とする共重合ポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸成分としてフランジカルボン酸成分を含み、全ジカルボン酸成分を100モル%、全グリコール成分を100モル%としたとき、下記要件(1)、(2)のいずれかを満たすことを特徴とする共重合ポリエステル樹脂。
(1)フランジカルボン酸成分を10モル%以上含み、かつ炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以上含むこと
(2)フランジカルボン酸成分を80モル%以上含み、かつ側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)を30モル%以上含み、炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以下含むこと
[2] ガラス転移温度が100℃以下であることを特徴とする[1]に記載の共重合ポリエステル樹脂。
[3] [1]または[2]のいずれかに記載の共重合ポリエステル樹脂を用いた接着剤。
本発明によれば、フランジカルボン酸成分を共重合成分として有し、かつ接着性が高い共重合ポリエステル樹脂及びそれを用いた接着剤を得ることができる。本発明の好ましい実施態様においてはさらに、2−ブタノン/トルエン混合溶剤等の非塩素系汎用有機溶剤に対する溶解性に優れる共重合ポリエステル樹脂及びそれを用いた接着剤を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう共重合ポリエステル樹脂とは、主としてジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)の等モル量から構成され、必要に応じてヒドロキシカルボン酸成分(C)等が共重合されたものである。ジカルボン酸成分(A)及びグリコール成分(B)の少なくとも一方が2種類以上の成分からなる共重合体であることが好ましい態様であるが、上記の要件(1)または(2)を満たすのであれば、ジカルボン酸成分(A)及びグリコール成分(B)は単一の成分であっても構わない。また、本発明でいう共重合ポリエステル樹脂とは、3官能以上のカルボン酸化合物からなる多価カルボン酸成分や3官能以上のアルコール化合物からなる多価アルコール成分を含有してもよい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、主としてジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)からなる共重合ポリエステル樹脂である。ここで「主として」とは、本発明の共重合ポリエステル樹脂を構成する全カルボン酸成分と全アルコール成分の合計に対して、ジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)の合計がモル基準で50モル%以上を占めることを指す。ジカルボン酸成分(A)とグリコール成分(B)の合計は70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であっても差し支えない。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、全ジカルボン酸成分を100モル%、全グリコール成分を100モル%としたとき、下記要件(1)、(2)のいずれかを満たすことが必要である。
(1)フランジカルボン酸成分を10モル%以上含み、かつ炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以上含むこと。
(2)フランジカルボン酸成分を80モル%以上含み、かつ側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)を30モル%以上含み、炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以下含むこと。
なお、要件(1)、(2)のいずれかを満たせば良く、2つの要件とも満たす場合、すなわち炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)が25モル%で、要件(1)、(2)の両方を満たす場合であっても良い。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、フランジカルボン酸成分を共重合することにより、ガラス転移温度、表面エネルギーを効果的に高くすることができる。重合時にはジカルボン酸成分として、そのメチルエステル誘導体を用いてもよい。フランジカルボン酸は、反応性、ポリマー鎖の立体構造等を考慮すると、その異性体の中でも、特に2,5−フランジカルボン酸又はそのメチルエステル誘導体が、使用する原料モノマーとして好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に用いる炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸は、カルボキシル基を構成する炭素も含め、炭素が直鎖状に5〜12個つながった脂肪族ジカルボン酸化合物である。例としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸が挙げられる。重合時にはジカルボン酸成分として、そのメチルエステル誘導体を用いてもよい。
これらのうち、汎用性等の観点から好ましくは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸である。また、セバシン酸、アゼライン酸はバイオマス原料であるため、同じくバイオマス原料であるフランジカルボン酸と併用することでバイオマス度を高くできる点でも好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に用いる炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコールは、炭素が直鎖状に5〜12個つながり、その両端の炭素に水酸基が結合した脂肪族グリコール化合物である。例としては、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。これらのうち、汎用性等の観点から好ましくは、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールであり、さらに好ましくは1,6−ヘキサンジオールである。
まず、要件(1)について詳細に説明する。
炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分を共重合することによって、表面エネルギーを効果的に高くすることができる。ここで、フランジカルボン酸成分を10モル%以上含み、かつ炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群(以下、直鎖脂肪族成分と称することもある)から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以上含むことにより、ガラス転移温度が室温付近に保持され、かつ表面エネルギーが高くなり、さらには直鎖脂肪族成分による応力緩和効果も伴って優れた接着性を発現する。
フランジカルボン酸成分が10モル%未満であると、ガラス転移温度、表面エネルギーを高める効果がほとんどないので好ましくない。より優れた接着性を得るためにはフランジカルボン酸成分を30モル%以上含むことが好ましく、50モル%以上含むことがより好ましく、上限は100モル%である。特に、フランジカルボン酸成分を含まずに、炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分(X+Y)量を多くすることは、ガラス転移温度を著しく低下させ、接着性を低下させてしまうため好ましくない。
前記(X+Y)が25モル未満であると、表面エネルギーを高める効果、応力緩和効果が小さくなるため好ましくない。特に、炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分を含まずに、フランジカルボン酸成分量を多くする(後記する要件(2)を満たす場合を除く)ことは、応力緩和の効果が得られず接着性が低下するばかりか、共重合ポリエステル樹脂の溶剤溶解性が低下し、結晶性が高くなりすぎる場合もあるため好ましくない。より優れた接着性を得るためには、前記(X+Y)が30モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上である。フランジカルボン酸成分とともに共重合することにより、それを共重合しない場合と比較して、より多くの直鎖脂肪族成分を含有することが可能であるが、ガラス転移温度が著しく低下すると接着性に悪影響を及ぼすため、前記(X+Y)は150%モル以下が好ましく、100モル%以下がより好ましい。
前記炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)は、極めて柔軟な構造であるアルキレン基を有するため、これらの成分を共重合すると表面エネルギーを高める効果や応力緩和効果を発現し、本発明のポリエステル樹脂の接着性を効果的に高めることができる。
(A)成分を構成する他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、オクタデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸を例示できる。(A)成分を構成する他のジカルボン酸成分は、これらジカルボン酸のうちから選択されるいずれか一成分あるいは複数成分であってもよい。ジカルボン酸成分として、そのメチルエステル誘導体を用いてもよい。
(B)成分を構成する他のグリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジメチロールトリシクロデカン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4′−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイド付加体等の芳香族グリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、等を例示できる。中でも、汎用性があるエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましい。(B)成分を構成する他のグリコール成分は、これらグリコールのうちから選択されるいずれか一成分あるいは複数成分であってもよい。
次に、要件(2)について詳細に説明する。
フランジカルボン酸成分を80モル%以上含むことにより、炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群(以下、直鎖脂肪族成分と称することもある)から選ばれる一種以上を共重合せずとも、優れた溶剤溶解性、接着性を得ることができる。さらには、ガラス転移温度、表面エネルギーをともに高くすることが可能であるため、室温領域に加え、高温領域でも高い接着力を発現することが期待できる。またガラス転移温度が高いため、より強固な塗膜を形成することが可能であり、硬い材料同士の接着にも好適に用いることができる。
フランジカルボン酸成分が80モル%未満であると、炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分の共重合なしには優れた接着性を発現できない。フランジカルボン酸成分の含有量の上限は100モル%である。
フランジカルボン酸成分を80モル%以上含む場合、側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)を30モル%以上含む必要がある。
前記(Y’)が30モル%未満であると、結晶性が著しく高くなり、接着性が低下する場合があるため好ましくない。
結晶性を抑制する効果、ガラス転移温度を高くする効果の観点から、前記(Y’)は35モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、上限は100モル%である。ただし、ガラス転移温度が高すぎると、室温における接着性が低下する場合があることから、前記(Y’)は80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。
側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコールは、グリコールの主鎖部、側鎖部をそれぞれ
主鎖部:水酸基を両端にした時に挟まれる直線状の部位
側鎖部:前記主鎖部のいずれかの炭素部位に結合した部位
と定義すると、ガラス転移温度を低下させずに結晶性を低下させるために、主鎖部の炭素数は3〜5が好ましい。側鎖の構成元素にとくに制限はないが、汎用性を考慮するとアルキル基であることが好ましく、その場合、側鎖部の炭素数は置換基1つあたり1〜4が好ましい。結合位置や置換数も制限はなく、置換可能な位置に1箇所以上結合されていればよい。例えば、側鎖部に炭素数が1のアルキル基(メチル基)を2個有する場合、主鎖部の同じ炭素部位に2個結合されていても良いし、異なる炭素部位に1個ずつ結合されていてもよい。
側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコールとしては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、等が挙げられる。これらの中でも、結晶性を抑制する効果、ガラス転移温度を高くする効果の観点から、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましい。
フランジカルボン酸成分を80モル%以上含む場合、炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)は25モル%以下である必要がある。
前記(X+Y)が25モル%を超えると、ガラス転移温度が低下し、フランジカルボン酸成分を80モル%以上含むことで発現する高温領域での接着力が得られなくなる場合がある。前記(X+Y)は好ましくは20モル%以下であり、下限は0モル%である。
(A)成分を構成する他のジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、オクタデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸を例示できる。(A)成分を構成する他のジカルボン酸成分は、これらジカルボン酸のうちから選択されるいずれか一成分あるいは複数成分であってもよい。ジカルボン酸成分として、そのメチルエステル誘導体を用いてもよい。
(B)成分を構成する他のグリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジメチロールトリシクロデカン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールC、ビスフェノールZ、ビスフェノールAP、4,4′−ビフェノールのエチレンオキサイド付加体またはプロピレンオキサイド付加体等の芳香族グリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、等を例示できる。中でも、汎用性があるエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましい。(B)成分を構成する他のグリコール成分は、これらグリコールのうちから選択されるいずれか一成分あるいは複数成分であってもよい。
以下、要件(1)及び(2)に共通する事項について説明する。
本発明の共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、室温領域における接着性の観点から100℃以下であることが好ましく、90℃以下がさらに好ましい。またガラス転移温度は5℃以上であることが好ましく、10℃以上がより好ましい。ガラス転移温度が5℃よりも低いと取り扱いが困難になる。高温領域における接着性が要求される場合には、ガラス転移温度は40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には、少量であれば、3官能以上のカルボン酸や3官能以上のアルコール成分を共重合成分として添加してもよい。3官能以上のモノマーの共重合比率としては、全カルボン酸成分100モル%または全アルコール成分100モル%に対して0.2〜5モル%程度が適当である。なお、「全カルボン酸成分」とは、本発明の共重合ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分(A)、ヒドロキシカルボン酸成分(C)、モノカルボン酸成分、3官能以上のカルボン酸成分の総和、「全アルコール成分」とは、本発明の共重合ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分(B)、ヒドロキシカルボン酸成分(C)、モノアルコール成分、3官能以上のアルコール成分の総和を意味する。
この範囲で共重合することにより樹脂の骨格に分岐が入り、末端を増加させ、反応を促進させる効果が発揮される。3官能以上の化合物の共重合比率が高すぎるとゲル化し、溶剤溶解性が悪くなる。
3官能以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸等の芳香族カルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられる。3官能以上のアルコール成分としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には、適度な柔軟性、接着性の向上、ガラス転移温度の調整等の目的に応じて、ヒドロキシカルボン酸成分(C)を共重合することができる。(C)成分は、全カルボン酸成分の20モル%以下とすることが好ましい。(C)成分の割合が20モル%よりも高いと、接着性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくない。
(C)成分としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、オキシラン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、これらの中でも、汎用性があるε−カプロラクトンが好ましい。
また、本発明の共重合ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸及び/またはモノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等が挙げられる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は前記のモノマーを組み合わせて、公知の重合釜で製造することができる。
一般的に共重合ポリエステル樹脂を製造する反応は、エステル化反応工程またはエステル交換反応工程、及び重縮合反応工程からなる。エステル化反応工程またはエステル交換反応工程は、全モノマー及び/または低重合体から、所望の組成の低重合体を作製する工程であり、重縮合反応は、低重合体からグリコール成分を留去させ、所望の分子量の重合物を得る工程である。
本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造においても、一般的な共重合ポリエステル樹脂を製造する方法を用いることができる。
以下、各工程について説明する。
組成によって条件を変える必要がある場合もあるが、例えば、上記のジカルボン酸成分及びグリコール成分を150〜250℃でエステル化反応後、減圧しながら200〜280℃で重縮合することにより、目的のポリエステルを得ることができる。あるいは、上記のジカルボン酸のジメチルエステル等の誘導体とグリコール成分を用いて150℃〜250℃でエステル交換反応後、減圧しながら200℃〜280℃で重縮合することにより、目的のポリエステルを得ることができる。
共重合ポリエステル樹脂を製造する際には、触媒として公知のものを用いることができる。例えば、鉛、亜鉛、マンガン、カルシウム、コバルト、マグネシウム、ナトリウム等の酢酸塩や炭酸塩、又はマグネシウム、亜鉛、鉛、アンチモン、ゲルマニウム等の金属酸化物やスズ、鉛、チタン等の有機金属化合物等を、反応系に応じて1種類、もしくは複数を組み合わせて使用することができる。
また、一般的に共重合ポリエステル樹脂に所望の酸価や水酸基価を付与する場合には、前記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸成分や多価アルコール成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合を行うことができる。本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造においても、一般的な共重合ポリエステル樹脂を製造する場合と同様に解重合を行い、所望の酸価や水酸基価を付与することができる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、25℃において、2−ブタノン/トルエン(質量比1/1)混合溶媒に、15質量%以上の濃度で溶解することが好ましい。濃度15質量%以上で溶解しない場合には、接着剤として使用する際の作業性が低下する。溶解濃度の上限は特にないが、溶液の粘性が高くなりすぎないためには50質量%以下が好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、溶剤への溶解性に優れるため、様々な汎用溶媒に溶解させてポリエステル溶液として利用することができる。溶液濃度は15〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。また、好ましい溶媒としては、シクロヘキサノン、2−ブタノン、トルエンからなる少なくとも1種が挙げられる。中でも2−ブタノン/トルエンの混合溶媒は一般に溶解性が高いので好ましく、両者の質量比を8/2〜2/8の範囲としたものが最も好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂の還元粘度は特に制限はないが、0.1〜2.0dl/gであることが望ましい。0.1dl/g未満であると、コーティングした際に皮膜が割れてしまうので好ましくない。2.0dl/g超であると、溶液粘度が高くなり、塗布し難く安定した塗膜を得られない恐れがある。好ましくは0.15〜1.8dl/g、より好ましくは0.2〜1.5dl/gである。
また、本発明の共重合ポリエステル樹脂には、必要に応じて硬化剤、各種添加剤、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料、染料、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、セルロース誘導体等を配合することができる。
また、本発明の共重合ポリエステル樹脂には、必要に応じて、顔料分散剤、紫外線吸収剤、離型剤、顔料分散剤、滑剤等の添加剤を配合することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)還元粘度(ηsp/c)
充分乾燥した試料0.1gをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
室温で真空乾燥した共重合ポリエステル樹脂5.0mgをDSC用のアルミパンに入れ、160℃で加熱溶融した後、液体窒素で冷却した。そのように前処理した共重合ポリエステル樹脂を日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量分析計「X−DSC7000」を用いて測定した。窒素雰囲気下中、−50〜250℃の範囲を20℃/分で昇温して、その途中において観察される、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(3)共重合ポリエステル樹脂の組成
共重合ポリエステル樹脂の組成及び組成比の決定は、共鳴周波数400MHzのH−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はVARIAN社製、NMR装置・400−MRを用い、溶媒には重クロロホルム/トリフルオロ酢酸=85/15(質量比)を用いた。
(4)ワニス調製(溶解性の評価)
200mLの四つ口フラスコに、樹脂40g、2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)60gを入れ(濃度40質量%)、フラスコに設置したメカニカルスターラーを用い、攪拌速度100rpm、温度65℃で溶解した。溶解性評価は、目視で溶解したものを「○」、溶解しなかったものを「×」と判定した。2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)の他、塩化メチレン、シクロヘキサノンを用いて溶解性の評価をした。いずれの溶媒も樹脂濃度は40重量%であり、溶解温度は塩化メチレンの場合は30℃、シクロヘキサノンの場合は115℃とした。
(5)接着性評価
A.サンプルの調製
上記(4)で調製したワニスを用いて接着性評価を実施した。実施例1〜9、比較例1、2、6は、2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)を用いたワニス、比較例4、5、7は、塩化メチレンを用いたワニス、比較例3はシクロヘキサノンを用いたワニスで評価した。ワニスを50μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡エステル、品名;E5100)のコロナ面に100μmの厚さになるように塗布した。ワニスを塗布したフィルムを、ヤマト科学製DH−41を用いて乾燥した。乾燥後の樹脂の膜厚は40μmであった。なお、2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)を用いたワニスの乾燥条件は120℃、5分間、塩化メチレンを用いたワニスの乾燥条件は60℃、5分間乾燥後、80℃、5分間の乾燥をおこなった。また、シクロヘキサノンを用いたワニスの乾燥条件は120℃、120分間とした。このように塗布したPET面に50μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡エステル、品名;E5100)のコロナ面を合わせ、テスター産業社製ロールラミネーターを用いて接着した。なお、ラミネートは温度130℃、圧力3MPa、速度2m/minで行った。
B.接着力測定
上記で調製したラミネート後のサンプルを、島津製作所(SHIMADZU)製精密万能試験機オートグラフ(形式;AG―1kNIS)を用いて、27℃空気下で引っ張り試験をおこなった。引っ張り速度を50mm/minとし、180°剥離接着力を測定した。接着力は値が高いほど望ましい。
(6)樹脂の表面エネルギー測定
A.サンプルの調製
上記(4)で調製したワニスを用いて接触角測定を実施した。各実施例、比較例で使用したワニスは、上記(5)と同様にした。ワニスを50μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡エステル、品名;E5100)のコロナ面に100μmの厚さになるように塗布した。ワニスを塗布したフィルムを、ヤマト科学製DH−41を用いて乾燥した。乾燥後の樹脂の膜厚は、40μmであった。なお、2−ブタノン/トルエン混合溶媒(質量比1/1)を用いたワニスの乾燥条件は120℃、5分間、塩化メチレンを用いたワニスの乾燥条件は60℃、5分間乾燥後、80℃、5分間の乾燥をおこなった。また、シクロヘキサノンを用いたワニスの乾燥条件は120℃、120分間とした。
B.接触角測定
樹脂の表面エネルギーは、接触角から算出した。接触角の測定は、協和界面化学製接触角計CA−X型を用いて、JISR3257の静滴法に準じ測定した。具体的には23℃、湿度50%RHの環境下で、サンプルを水平に置き、水およびヨウ化メチレンで各7回測定し、上限値と下限値を除き、n=5で測定した接触角の平均値を各溶媒の接触角とした。なお、水の接触角を求める際、滴下量を1.8μlとし、1分間静置後の接触角を読み取った。また、ヨウ化メチレンの接触角を求める際は滴下量を0.9μlとし、30秒間静置後の接触角を読み取った。
接触角θと表面エネルギーの関係は、Youngの式より、
γs=γsl+γlcosθ ・・・(式1)
が成り立つ。ここでγsは固体の表面エネルギー、γlは液体の表面エネルギー、γslは固体と液体の界面エネルギーを表す。また、拡張Fowkes式より、
γsl=γs+γl−2(γsd×γld)1/2−2(γsh×γlh)1/2 ・・・(式2)
ここでγsd、γshは固体の表面エネルギーの分散成分、極性成分、γld、γlhは、液体の表面エネルギーの分散成分、極性成分を表す。
(式1)、(式2)より、(式3)が導き出される。
1+cosθ=2[(γsd×γld)1/2/γl+(γsh+γlh)1/2/γl] ・・・(式3)
また、
γs=γsd+γsh ・・・(式4)
と近似できる。
接触角測定に水を用いた場合、(式3)に表面張力γl=72.8、分散成分γld=21.8、極性成分γlh=51.0、サンプルに水を滴下した際の接触角(θ(HO))を代入し、(式5)を得た。
1+cosθ(HO)=2[(γsd×21.8)1/2/72.8+(γsh+51.0)1/2/72.8] ・・・(式5)
接触角測定にヨウ化メチレンを用いた場合、(式3)に表面張力γl=50.8、分散成分γld=48.5、極性成分γlh=2.3、サンプルにヨウ化メチレンを滴下した際の接触角(θ(CH))を代入し、(式6)を得た。
1+cosθ(CH)=2[(γsd×48.5)1/2/50.8+(γsh+2.3)1/2/50.8] ・・・(式6)
(式4)、(式5)、(式6)から樹脂の表面エネルギーγsを算出した。
表面エネルギーは値が高いほど、接着性が良好となるため好ましい。組成により値が異なるため、それらを一概には比較できない場合もあるが、目安としては45mN/m以上であることが望ましい。45mN/m未満であると接着性が低下する場合がある。
(実施例1)
攪拌機付き容量2リッターのステンレス製オートクレーブに2,5‐フランジカルボン酸269.5g(1.73モル)、セバシン酸149.6g(0.74モル)、エチレングリコール269.4g(4.34モル)、ネオペンチルグリコール61.6g(0.59モル)、触媒としてテトラブチルチタネート0.25gを仕込み、200℃まで昇温しつつ、0.25MPaの加圧下で150分間エステル化反応を行い、オリゴマー混合物を得た。その後、60分間かけて220℃まで昇温しつつ、反応系の圧力を徐々に下げて、13.3Pa(0.1Torr)として、さらに220℃、13.3Pa下でポリエステル重縮合反応を45分間行った。放圧に続き、微加圧下のレジンを冷水にストランド状に吐出して急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmのシリンダー形状のペレットを得た。このポリエステルペレットの組成並びに特性、上記の方法に従い実施した溶解性、表面エネルギー測定、及び接着性評価の結果を表1に示す。
(実施例2〜9、比較例1〜7)
使用原料、組成を変更した以外は、実施例1と同様の方法により合成した。組成及び物性は表1、2に示すような値となった。
実施例1〜9は本願発明で規定した範囲を満たしており、良好な接着性を示した。とくに実施例7〜9はガラス転移温度が高く、かつ表面エネルギーも高いので、高温領域でも高い接着力を発現することが期待できる。
比較例1〜7は、フランジカルボン酸成分を含まない、もしくは炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)と炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)の合計量が25モル%未満、あるいは側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)が30モル%未満であり、本願発明で規定した範囲を満足しない組成である。
比較例1はフランジカルボン酸成分を含まないため、フランジカルボン酸成分を含む類似の組成(例えば実施例2)に比べ、表面エネルギーが低く、接着力も低下した。
比較例2は炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分を規定量以上含むが、フランジカルボン酸成分を含まないため、ガラス転移温度を保持できずに著しく低下し、接着力も低下した。
比較例3、4はフランジカルボン酸成分、炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分をともに含有しないため、ガラス転移温度は高いが表面エネルギーは低いため、接着力が低下した。
比較例5は側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)を規定量以上含むが、フランジカルボン酸成分が規定量に対し少ないため、表面エネルギーを高くする効果、応力緩和効果が得られず、接着力が低下した。
比較例6、7はフランジカルボン酸成分を規定量以上含むが、炭素数5〜12の直鎖脂肪族成分、及び側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族成分が規定量に対し少ないため、結晶性が高くなり、応力緩和効果も得られず、接着性が著しく低下した。
本発明により、フランジカルボン酸を用い、優れた溶剤溶解性、接着性を発現する共重合ポリエステル樹脂、及びそれを用いた接着剤が提供され、産業上の利用価値は極めて高い。

Claims (3)

  1. ジカルボン酸成分とグリコール成分とを主たる構成成分とする共重合ポリエステル樹脂であって、ジカルボン酸成分としてフランジカルボン酸成分を含み、全ジカルボン酸成分を100モル%、全グリコール成分を100モル%としたとき、下記要件(1)、(2)のいずれかを満たすことを特徴とする共重合ポリエステル樹脂。
    (1)フランジカルボン酸成分を10モル%以上含み、かつ炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以上含むこと
    (2)フランジカルボン酸成分を80モル%以上含み、かつ側鎖を有する炭素数4〜9の脂肪族グリコール(Y’)を30モル%以上含み、炭素数5〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸(X)及び炭素数5〜12の直鎖脂肪族グリコール(Y)からなる群から選ばれる一種以上の合計(X+Y)を25モル%以下含むこと
  2. ガラス転移温度が100℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の共重合ポリエステル樹脂。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の共重合ポリエステル樹脂を用いた接着剤。
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