JP2008115289A - ポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で広範囲に応用可能な、耐熱性の向上したポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂を、解重合剤により解重合反応を行なった後、鎖延長剤により鎖延長反応を行うポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法であって、解重合剤が、活性水素含有官能基を2つ以上有し、かつ環状構造を1つ以上有する化合物であり、解重合剤の添加量が、ポリ乳酸樹脂構成単位100モル部に対して、1〜100モル部であることを特徴とするポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ポリ乳酸樹脂を、解重合剤により解重合反応を行なった後、鎖延長剤により鎖延長反応を行うポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法であって、解重合剤が、活性水素含有官能基を2つ以上有し、かつ環状構造を1つ以上有する化合物であり、解重合剤の添加量が、ポリ乳酸樹脂構成単位100モル部に対して、1〜100モル部であることを特徴とするポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ乳酸樹脂を原料として、解重合反応と鎖延長反応とにより、ポリ乳酸系共重合樹脂を製造する方法に関するものである。
地球温暖化に関連した京都議定書の発効や、炭酸ガス排出権取引が話題になるなど、地球温暖化に対する注目が高まり、炭酸ガスの排出に厳しい目が向けられるようになった。このような中、生分解性プラスチックの分野では、「カーボンニュートラル」という考え方が用いられるようになり、広まってきている。
「カーボンニュートラル」の考え方は以下のようなものである。生物自身が合成する、または生物が生産する物質から合成される生分解性プラスチックにおいては、これが生分解されて発生する炭酸ガスと水は、元は大気中の炭酸ガスと土壌にあった水であるから、ライフサイクル全体でとらえれば、地表に存在する炭酸ガスの量を増やさず、したがって地球温暖化を促進しない。
「カーボンニュートラル」の考え方は以下のようなものである。生物自身が合成する、または生物が生産する物質から合成される生分解性プラスチックにおいては、これが生分解されて発生する炭酸ガスと水は、元は大気中の炭酸ガスと土壌にあった水であるから、ライフサイクル全体でとらえれば、地表に存在する炭酸ガスの量を増やさず、したがって地球温暖化を促進しない。
生分解性プラスチックのなかでもポリ乳酸樹脂は、再生可能な植物資源(トウモロコシやサツマイモなど)が原料であり、機械的特性、価格の面からも最も普及が期待されている。環境面では、生分解することから廃棄物問題が生じず、カーボンニュートラルな性質から地球温暖化防止に大きく寄与し、さらに、石油資源に由来しないため、石油由来成分を用いた合成樹脂の代替品として石油資源の節約にも貢献できる。
一方、ポリ乳酸樹脂の特性に目を向けると、ポリ乳酸樹脂と同じポリエステル系の合成樹脂として広く普及しているポリエチレンテレフタレート(PET)ではガラス転移温度(Tg)が約74℃であるのに対して、ポリ乳酸樹脂のTgは分子量や共重合組成にもよるが概ね60℃未満であり、耐熱性に劣っている。このため、ポリ乳酸樹脂を使用した製品は、トラックや船舶での輸送の際に室内の温度が上がると、融着したり変形したりするという問題があった。
ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上する方法としては、結晶化速度を向上させる方法、ステレオコンプレックスを用いる方法、Tgを向上する方法などが考えられる。結晶化速度の向上ではタルクなど結晶化を促進する核剤の添加が一般的である。しかしながら、樹脂が不透明になる、物性が低下するなどの問題点がある。ステレオコンプレックスを用いる場合にはポリD−乳酸が必要であるが、D−乳酸の生産量が少なく、高価で入手が困難であること、成型条件によっては耐熱性を向上できないなどの問題点がある。
Tgを向上させる技術として、特許文献1には芳香族ヒドロキシカルボン酸アリールエステルと共重合する方法、特許文献2には環構造を有する化合物と開環共重合する方法、特許文献3には環構造を有するジアミン等と共重合する方法、特許文献4には、芳香族ポリカーボネートと共重合する方法、および特許文献5にはポリ乳酸樹脂を芳香族ジカルボン酸で解重合した後に重縮合する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法ではTgの向上は十分ではなく、また、特許文献2の方法では、環構造含有エポキシではTgの向上は十分ではなく、その他の環構造含有モノマーは高価である。さらに、特許文献3および4の方法では、反応が有機溶剤中で行われ、操作が煩雑で、大量生産には向かない。加えて、特許文献4の方法では、反応に長時間を要するなどの問題点があった。さらには、これらの共重合法では原料としてラクチドを用いる必要があるが、精製および純度管理が必要であり、入手しやすさの点でも問題があった。一方、特許文献5の方法では、ポリ乳酸樹脂を解重合した後の重縮合反応時にラクチドの副生および着色が顕著で、実用的ではなかった。
特開2002−338666号公報
特開2003−238667号公報
特開2006−037055号公報
特開平9−216942号公報
特開2006−143810号公報
本発明は、以上のような問題点を解決するものであり、簡便な方法で広範囲に応用可能な、耐熱性の向上したポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリ乳酸樹脂を特定の化合物で解重合したのち、鎖延長反応を行なうことによって、上記問題が解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)ポリ乳酸樹脂を、解重合剤により解重合反応を行なった後、鎖延長剤により鎖延長反応を行うポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法であって、解重合剤が、活性水素含有官能基を2つ以上有し、かつ環状構造を1つ以上有する化合物であり、解重合剤の添加量が、ポリ乳酸樹脂構成単位100モル部に対して、1〜100モル部であることを特徴とするポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
(2)鎖延長剤が環状構造を有する化合物であることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
(3)解重合反応および/または鎖延長反応を溶融状態で行うことを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
(1)ポリ乳酸樹脂を、解重合剤により解重合反応を行なった後、鎖延長剤により鎖延長反応を行うポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法であって、解重合剤が、活性水素含有官能基を2つ以上有し、かつ環状構造を1つ以上有する化合物であり、解重合剤の添加量が、ポリ乳酸樹脂構成単位100モル部に対して、1〜100モル部であることを特徴とするポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
(2)鎖延長剤が環状構造を有する化合物であることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
(3)解重合反応および/または鎖延長反応を溶融状態で行うことを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
本発明の製造方法によれば、ポリ乳酸系共重合樹脂を簡便に得ることができる。
また、本発明の方法で製造されたポリ乳酸系共重合樹脂は、従来のポリ乳酸樹脂に比べてTgが高められており、耐熱性の必要とされる広範な分野に応用が可能であり、また透明で、重量平均分子量が2万以上であるため、脆すぎず通常の成形加工が可能である。さらに、ポリ乳酸樹脂を使用していることから、カーボンニュートラルであるため地球温暖化防止に大きく寄与し、また、石油資源の節約にも貢献できるなど、産業上の利用価値はきわめて高い。
また、本発明の方法で製造されたポリ乳酸系共重合樹脂は、従来のポリ乳酸樹脂に比べてTgが高められており、耐熱性の必要とされる広範な分野に応用が可能であり、また透明で、重量平均分子量が2万以上であるため、脆すぎず通常の成形加工が可能である。さらに、ポリ乳酸樹脂を使用していることから、カーボンニュートラルであるため地球温暖化防止に大きく寄与し、また、石油資源の節約にも貢献できるなど、産業上の利用価値はきわめて高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるポリ乳酸樹脂はいかなるものでもよく、D−乳酸、L−乳酸、乳酸オリゴマー、L−またはD−ラクチドなどの乳酸成分から重合して得られるポリ乳酸樹脂が好ましい。また、ポリ乳酸樹脂は、共重合成分を含んでいてもよく、共重合成分としては、解重合反応を著しく阻害するような化合物でなければいかなるものでも用いることができる。
上記ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は5万〜50万が好ましく、10万〜30万がより好ましい。ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量が5万未満では、解重合剤を所定量用いて解重合反応を行なった場合、ポリ乳酸樹脂の分子量低下が顕著で、その後に鎖延長反応を行なっても、分子量を向上させることが困難となる。一方、重量平均分子量が50万を超えるものは入手および製造困難であると同時に、溶融粘度が高いため解重合反応での撹拌が困難となる。
本発明で用いるポリ乳酸樹脂はいかなるものでもよく、D−乳酸、L−乳酸、乳酸オリゴマー、L−またはD−ラクチドなどの乳酸成分から重合して得られるポリ乳酸樹脂が好ましい。また、ポリ乳酸樹脂は、共重合成分を含んでいてもよく、共重合成分としては、解重合反応を著しく阻害するような化合物でなければいかなるものでも用いることができる。
上記ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は5万〜50万が好ましく、10万〜30万がより好ましい。ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量が5万未満では、解重合剤を所定量用いて解重合反応を行なった場合、ポリ乳酸樹脂の分子量低下が顕著で、その後に鎖延長反応を行なっても、分子量を向上させることが困難となる。一方、重量平均分子量が50万を超えるものは入手および製造困難であると同時に、溶融粘度が高いため解重合反応での撹拌が困難となる。
本発明で用いられる解重合剤は、活性水素含有官能基を2つ以上有し、かつ環構造を1つ以上有する化合物であることが必要である。活性水素含有官能基としては水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。環構造としてはシクロヘキサン環やトリシクロドデカン環やベンゼン環が好適であり、前記活性水素含有官能基が環構造に直接結合していることがより好ましい。
解重合剤の具体例としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、イソソルビド、4−ヒドロキシフェニル−2−エチルアルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレングリコール付加体、ビスフェノキシエタノールフルオレン、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、トリシクロデカンジアミン、アダマンタンジアミンなどが挙げられる。なかでも、脂環族系化合物が好適に用いられる。
解重合剤の具体例としては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、イソソルビド、4−ヒドロキシフェニル−2−エチルアルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレングリコール付加体、ビスフェノキシエタノールフルオレン、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、トリシクロデカンジアミン、アダマンタンジアミンなどが挙げられる。なかでも、脂環族系化合物が好適に用いられる。
解重合剤の添加量はポリ乳酸樹脂構成単位100モル部に対して、1〜100モル部であることが必要であり、5〜80モル部が好ましく、10〜50モル部がより好ましい。解重合剤の添加量が1モル部未満では、解重合反応後に鎖延長反応を行なっても、得られる樹脂のTgを十分向上させることができない。また100モル部を超えると、その後の鎖延長反応が困難になり、さらにコスト高となる。
また、解重合反応を行なう際には、解重合反応を著しく阻害しないのであれば、ポリ乳酸樹脂以外のポリマーやオリゴマーなどの化合物が共存していてもよい。共存する化合物は一種類でも複数種類でもかまわない。共存する化合物としては、ポリ乳酸樹脂と同様に、解重合して鎖延長剤と反応する末端官能基を有するオリゴマーを生成するポリマーが好ましく、また、解重合しない場合には、鎖延長剤と反応する官能基を有するオリゴマーが好ましい。このような化合物を共存させることによって鎖延長剤によってポリ乳酸系共重合体を得ることができる。
本発明においては、解重合反応や、下記で詳述する鎖延長反応を溶融状態で行うことが好ましい。これらの反応を溶融状態で行なうことにより、溶媒を用いず、煩雑な工程を省き、簡便で生産性高くポリ乳酸系共重合樹脂を製造することができる。
本発明において、解重合反応の反応温度は、ポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度以上、250℃以下であることが好ましく、より好ましくはポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度+5℃以上、240℃以下、さらに好ましくはポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度+10℃以上、230℃以下である。ポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度以下では、反応を均一に進めることが困難であるとともに、反応効率が低いため好ましくない。また反応温度が250℃を超える場合は、ポリ乳酸樹脂の熱分解および着色が顕著となるため好ましくない。
また、解重合反応の反応時間は、30分〜12時間であることが好ましく、1時間〜8時間であることがさらに好ましい。反応時間が30分未満であると、反応が不十分であり、反応時間が12時間を超えると副反応や着色が顕著となる。
また、解重合反応の反応時間は、30分〜12時間であることが好ましく、1時間〜8時間であることがさらに好ましい。反応時間が30分未満であると、反応が不十分であり、反応時間が12時間を超えると副反応や着色が顕著となる。
本発明においては、ポリ乳酸系共重合樹脂の分子量を増大するために、鎖延長剤を用いる。鎖延長剤としては、解重合剤が有する水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの活性水素含有官能基と反応し得る官能基を2つ以上有し、かつ環構造を1つ以上有する化合物が好ましい。鎖延長剤としては、解重合剤の活性水素含有官能基が水酸基である場合には、イソシアネート、エポキシ、酸無水物、酸クロライドなどの化合物が、カルボキシル基である場合には、イソシアネート、エポキシ、オキサゾリンなどの化合物が、アミノ基である場合には、イソシアネート、エポキシ、フェノール類などの化合物が挙げられる。環構造としてはシクロヘキサン環やベンゼン環が好適であり、解重合剤の活性水素含有官能基と反応しうる官能基が環構造に直接結合していることがより好ましい。
鎖延長剤の具体例としては、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビスイソシアナトメチルシクロヘキサンなどのジイソシアネート、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタル酸、ジグリシジルイソフタル酸、などのジグリシジルエーテル、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ジオキソテトラヒドロフラニルメチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、テトラフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、ターフェニルテトラカルボン酸無水物、シクロブタンテトラカルボン酸無水物、カルボキシメチルシクロペンタントリカルボン酸無水物などの酸無水物、
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族カルボン酸およびその酸クロライド、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリンなどのビスオキサゾリンなどが挙げられる。
なかでもジイソシアネートが反応性が高く、取り扱いが容易であることから特に好ましい。さらには、反応性が高く、Tgの低下を防ぐ効果が高いことから脂環族系ジイソシアネートが最も好適である。
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族カルボン酸およびその酸クロライド、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス−2−オキサゾリンなどのビスオキサゾリンなどが挙げられる。
なかでもジイソシアネートが反応性が高く、取り扱いが容易であることから特に好ましい。さらには、反応性が高く、Tgの低下を防ぐ効果が高いことから脂環族系ジイソシアネートが最も好適である。
鎖延長剤の添加量は、その官能基のモル数をNb、用いた解重合剤の官能基のモル数をNaとした場合に、0.8≦Nb/Na≦1.3、であることが好ましく、0.9≦Nb/Na≦1.2がより好ましく、0.95≦Nb/Na≦1.1がさらに好ましい。Nb/Naが0.8未満では、鎖延長効果が乏しく、分子量が向上しにくい。またNb/Naが1.3を超えると過剰な鎖延長剤による副反応や着色が起こりやすく、分子量も向上しにくい。
本発明において、鎖延長反応の反応温度は、解重合したポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度以上、230℃以下であることが好ましく、より好ましくは、解重合したポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度+5℃以上、220℃以下、さらに好ましくは解重合したポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度+10℃以上、210℃以下である。解重合したポリ乳酸樹脂の融点または流動開始温度以下では、反応を均一に進めることが困難であるとともに、反応効率が低いため好ましくない。また反応温度が230℃を超える場合は、鎖延長反応時に副反応による着色が顕著となるため好ましくない。
また、鎖延長反応の反応時間は、3分〜2時間であることが好ましく、5分〜1時間であることがさらに好ましい。反応時間が3分未満であると、反応が不十分であり、2時間を超えると副反応や着色が顕著になる。
また、鎖延長反応の反応時間は、3分〜2時間であることが好ましく、5分〜1時間であることがさらに好ましい。反応時間が3分未満であると、反応が不十分であり、2時間を超えると副反応や着色が顕著になる。
これらの解重合反応や鎖延長反応の際には、反応を著しく阻害しないのであれば、酸化防止剤などの各種添加物を添加していてもよい。
本発明の製造方法によって、ポリ乳酸系共重合樹脂の重量平均分子量を2万以上とすることができる。重量平均分子量が2万未満ではTgが十分に高くならないことがある。重量平均分子量は、好ましくは4万以上であり、さらに好ましくは6万以上である。
また、ポリ乳酸系共重合樹脂のTgを65℃以上とすることができる。Tgが65℃未満であると、得られる共重合樹脂の耐熱性が十分でなく、使用できる用途が制限されてしまう。
さらに、本発明の製造方法によって、厚み100μmでの全光線透過率が80%以上のポリ乳酸系共重合樹脂を得ることができる。厚み100μmでの全光線透過率が80%未満であると、得られる共重合樹脂の透明性が十分でなく、使用できる用途が制限されてしまう。
また、ポリ乳酸系共重合樹脂のTgを65℃以上とすることができる。Tgが65℃未満であると、得られる共重合樹脂の耐熱性が十分でなく、使用できる用途が制限されてしまう。
さらに、本発明の製造方法によって、厚み100μmでの全光線透過率が80%以上のポリ乳酸系共重合樹脂を得ることができる。厚み100μmでの全光線透過率が80%未満であると、得られる共重合樹脂の透明性が十分でなく、使用できる用途が制限されてしまう。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
(1)重量平均分子量
重量平均分子量は示差屈折率計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、分子量はポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として換算した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)の測定には示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用いた。Tgは65℃以上となることが好ましく、用途が拡大することから70℃以上となることがより好ましい。
(3)全光線透過率
全光線透過率の測定は、払い出した樹脂を170℃で厚さ100μmのシートに熱プレス成形した後、日本電色工業社製ヘイズメーターを用いて測定した。全光線透過率80%以上を透明と判断した。
(1)重量平均分子量
重量平均分子量は示差屈折率計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、分子量はポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として換算した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)の測定には示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用いた。Tgは65℃以上となることが好ましく、用途が拡大することから70℃以上となることがより好ましい。
(3)全光線透過率
全光線透過率の測定は、払い出した樹脂を170℃で厚さ100μmのシートに熱プレス成形した後、日本電色工業社製ヘイズメーターを用いて測定した。全光線透過率80%以上を透明と判断した。
実施例1
ポリ乳酸樹脂(NatureWorks社製、重量平均分子量18万、D体1.1%)100g(乳酸単位1.4モル)と、解重合剤として1,4−シクロヘキサンジオール25g(0.22モル、乳酸100モル部に対して16モル部)とをガラス製重合管に入れ、窒素ガスで置換した後、攪拌しながら220℃まで加熱し、このまま5時間反応した。
その後190℃に降温して、鎖延長剤としてイソホロンジイソシアネート50g(0.23モル、乳酸100モル部に対して16モル部)を加え、30分間攪拌反応した。
その後、真空ポンプを用いて5hPaまで減圧し、30分間後、窒素ガスを用いて常圧に戻し、ガラス管内のポリ乳酸系共重合樹脂を払い出して回収した。
ポリ乳酸樹脂(NatureWorks社製、重量平均分子量18万、D体1.1%)100g(乳酸単位1.4モル)と、解重合剤として1,4−シクロヘキサンジオール25g(0.22モル、乳酸100モル部に対して16モル部)とをガラス製重合管に入れ、窒素ガスで置換した後、攪拌しながら220℃まで加熱し、このまま5時間反応した。
その後190℃に降温して、鎖延長剤としてイソホロンジイソシアネート50g(0.23モル、乳酸100モル部に対して16モル部)を加え、30分間攪拌反応した。
その後、真空ポンプを用いて5hPaまで減圧し、30分間後、窒素ガスを用いて常圧に戻し、ガラス管内のポリ乳酸系共重合樹脂を払い出して回収した。
実施例2〜6、比較例1〜3
解重合剤の種類と添加量、また鎖延長剤の種類と添加量を、表1に記載したように変更した以外は実施例1と同様に行ない、ポリ乳酸系共重合樹脂を得た。
なお、比較例3では、下記の方法で製造した芳香族ポリカーボネートを解重合剤として用いた。
磁気攪拌子および還流冷却管を備えた反応容器中に、1,2,4−トリクロロベンゼン300mL、芳香族ポリカーボネート(住友ダウ製カリバー200−13)60g、ビスフェノールA2.0g、酢酸亜鉛0.5gを入れて懸濁させ、180℃に加熱溶解して、3時間攪拌反応させた。放冷後、内容物を3Lのメタノール中に投入して反応生成物を沈澱させ、濾過分離・乾燥させて、末端にフェノール性水酸基を有する数平均分子量4,900の芳香族ポリカーボネートを得た。
解重合剤の種類と添加量、また鎖延長剤の種類と添加量を、表1に記載したように変更した以外は実施例1と同様に行ない、ポリ乳酸系共重合樹脂を得た。
なお、比較例3では、下記の方法で製造した芳香族ポリカーボネートを解重合剤として用いた。
磁気攪拌子および還流冷却管を備えた反応容器中に、1,2,4−トリクロロベンゼン300mL、芳香族ポリカーボネート(住友ダウ製カリバー200−13)60g、ビスフェノールA2.0g、酢酸亜鉛0.5gを入れて懸濁させ、180℃に加熱溶解して、3時間攪拌反応させた。放冷後、内容物を3Lのメタノール中に投入して反応生成物を沈澱させ、濾過分離・乾燥させて、末端にフェノール性水酸基を有する数平均分子量4,900の芳香族ポリカーボネートを得た。
実施例および比較例で得られた共重合体の特性を表1にまとめた。
表1から明らかなように、各実施例では、解重合剤でポリ乳酸樹脂を解重合し、さらに鎖延長剤で高分子量化することで、ポリ乳酸樹脂と比較してTgが向上した透明なポリ乳酸系共重合樹脂を得ることができた。
これに対し、比較例1では、解重合剤の添加量が本発明で規定する範囲に満たないため、Tgの向上がみられなかった。また、比較例2では、鎖延長剤を使用しなかったため、解重合したポリ乳酸樹脂の分子量が増加せず、またTgも低いままであった。
また、比較例3では、解重合剤の添加量が本発明で規定する範囲に満たないため、および解重合剤自体の分子量が高いため、ポリ乳酸樹脂と解重合剤成分が相分離を起こし、不透明かつ不均一な組成物となり、Tgの向上も見られなかった。
これに対し、比較例1では、解重合剤の添加量が本発明で規定する範囲に満たないため、Tgの向上がみられなかった。また、比較例2では、鎖延長剤を使用しなかったため、解重合したポリ乳酸樹脂の分子量が増加せず、またTgも低いままであった。
また、比較例3では、解重合剤の添加量が本発明で規定する範囲に満たないため、および解重合剤自体の分子量が高いため、ポリ乳酸樹脂と解重合剤成分が相分離を起こし、不透明かつ不均一な組成物となり、Tgの向上も見られなかった。
Claims (3)
- ポリ乳酸樹脂を、解重合剤により解重合反応を行なった後、鎖延長剤により鎖延長反応を行うポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法であって、解重合剤が、活性水素含有官能基を2つ以上有し、かつ環状構造を1つ以上有する化合物であり、解重合剤の添加量が、ポリ乳酸樹脂構成単位100モル部に対して、1〜100モル部であることを特徴とするポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
- 鎖延長剤が環状構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
- 解重合反応および/または鎖延長反応を溶融状態で行うことを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系共重合樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2011241314A (ja) * | 2010-05-19 | 2011-12-01 | Toyobo Co Ltd | 脂肪族ポリエステルポリウレタン |
CN103490763A (zh) * | 2013-09-04 | 2014-01-01 | 北京控制工程研究所 | 一种自储能大功率oc驱动接口电路 |
CN111973929A (zh) * | 2020-08-31 | 2020-11-24 | 东莞理工学院 | 一种无溶剂催化降解聚乳酸的方法 |
-
2006
- 2006-11-06 JP JP2006300255A patent/JP2008115289A/ja active Pending
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CN111973929B (zh) * | 2020-08-31 | 2021-11-02 | 济南磐升生物技术有限公司 | 一种无溶剂催化降解聚乳酸的方法 |
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