JPWO2015099135A1 - 累進屈折力レンズを製造するための方法、プログラム及び装置並びに累進屈折力レンズの製造方法及びレンズ供給システム - Google Patents

累進屈折力レンズを製造するための方法、プログラム及び装置並びに累進屈折力レンズの製造方法及びレンズ供給システム Download PDF

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Abstract

第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定ステップと、ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度に基づいて第一屈折部の広さを調整する第一の広さ調整ステップと、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整ステップにて第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定ステップと、選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成ステップを含む方法を提供する。

Description

本発明は、累進屈折力レンズ(以下、「累進レンズ」と記す。)を製造するための方法、プログラム及び装置並びに累進レンズの製造方法及びレンズ供給システムに関する。
眼鏡店等において眼鏡を作成する際、装用者が眼鏡を装用したときのものの見え方を改善させるため、眼鏡レンズの処方度数の測定が行われる(例えば特開2002−200041号公報)。
例えば、処方測定を行う検査員は、オートレフラクトメータ等の眼の屈折度数を他覚的に測定する装置を用いて暫定的な処方度数を測定する。検査員は、次いで、フォロプターやテストフレームを用いて装用予定者の眼前に、測定結果(暫定的な処方度数)を参考にして検眼レンズを選択して配置し、配置された検眼レンズを介して装用予定者にテスト指標を視認させる。検査員は、視認させたテスト指標がどのように見えているかを装用予定者に訊き、その結果に応じて検眼レンズを差し替えるという作業を繰り返す。この検眼作業は、最も高い視力が得られる度数の値(完全矯正値)が判るまで続けられる。なお、検眼レンズを用いた検眼作業では、最も高い視力が得られる度数の内の最もプラス寄りの度数が完全矯正値とみなされる。
検査員は、装用予定者の完全矯正値が判ると、完全矯正値もしくは、完全矯正値に調整を加えた値を暫定的な処方度数とした検眼レンズを嵌めたテストフレームを装用予定者に一定時間掛けさせる。これにより、暫定的な処方度数の眼鏡を快適に掛け続けられるかどうかを装用予定者に判断させる。装用予定者は、暫定的な処方度数の眼鏡を一定時間掛けた結果、例えば、装用予定者がクリアに見え過ぎることで却って眼に負担が掛かることから度数を少し弱めてほしいと注文したり、もっときれいに見える度数にしてほしいなどの理由からさらに度数を少し強めてほしいと注文したりすることがある。検査員は、装用予定者の注文や自身の経験的判断等を考慮しながら検眼作業を続ける。検眼作業は、装用予定者の注文等が無くなって最終的な処方度数が決定されるまで続けられる。
このように、処方度数は、装用予定者等の主観を考慮したうえで決定されるため、完全矯正値とは必ずしも一致しない。特に、累進レンズのようにレンズ内で屈折力が変化するタイプでは、処方度数と完全矯正値とが一致しないことが眼鏡レンズを介したものの見え方に問題となって現れることがある。具体的には、累進レンズは、レンズ全体に収差が分布している。そのため、処方度数が完全矯正値から離れた値になるほど意図しない収差が発生してしまい、装用予定者が眼鏡を装用したときのものの見え方が完全矯正値に近い度数で処方した場合に対して異なってくる。そのため、例えば、完全矯正値から離れた処方度数で作成された眼鏡レンズを装用した場合、人によってはその見え方に対して不満を覚えることがある。
ここで、ボヤケた画像やシャープな画像を見たときにどのように知覚するか(ボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度)は人によって異なる。具体的には、ボヤケ感度は、瞳孔径の大きさ、眼球内の透光体の透明度、脳内での知覚画像を形成する能力等に依存して異なる。本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、検眼作業にて決定された処方度数に起因するボヤケ感度を求め、求められたボヤケ感度に基づいて上記不満を和らげられる眼鏡レンズを選択したり設計したりすることが可能であるとの知見を得た。
上記の事項を鑑みて発明された本実施形態に係る累進レンズを製造するための装置は、第一の屈折力を持つ第一屈折部、第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び第一屈折部から第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための装置であり、第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定手段と、ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度に基づいて第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整する第一の広さ調整手段と、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整手段により第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定手段と、設計基準レンズ選定手段により選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成手段とを備える。
本実施形態によれば、人によって異なるボヤケ感度に応じて第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが適切に調整された基本設計レンズが眼鏡装用者の装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定されるため、上記不満が和らげられる累進レンズを設計することが可能となる。
ボヤケ感度は、例えば、眼鏡装用者の完全矯正値と第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいて推定される。
第一の広さ調整ステップは、第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、及び第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整してもよい。
本実施形態に係る累進レンズを製造するための装置は、第二屈折部の処方度数での視力に基づいて第二屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整する第二の広さ調整手段を備える構成であってもよい。この場合、設計基準レンズ選定手段は、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整手段により第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似し且つ第二の広さ調整手段により第二屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する。
本実施形態に係る累進レンズを製造するための装置は、完全矯正値、及び第一屈折部の処方度数の値の入力を要求する入力部を備える構成であってもよい。この場合、ボヤケ感度推定手段は、入力部を介して入力された完全矯正値、及び入力部を介して入力された第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいてボヤケ感度を推定する。
入力部は、第一屈折部の処方度数での視力の入力も要求する構成としてもよい。この場合、第一の広さ調整手段は、第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、並びに入力部を介して入力された第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整する。
本実施形態に係る累進レンズを供給するためのレンズ供給システムは、上記の累進レンズを製造するための装置と、提示画像の鮮明度に応じた眼鏡装用者の生体信号を計測する生体信号計測装置とを備える。当該システムにおいて、ボヤケ感度は、生体信号計測装置にて計測される生体信号に基づいて推定される。
また、本実施形態に係る累進レンズを供給するためのレンズ供給システムは、累進レンズを製造するための上記装置と、上記装置と所定のネットワークを介して接続された入力装置とを備える。入力装置は、累進レンズを設計するための情報の入力を要求する入力部と、入力部を介して入力された情報を装置に送信する送信手段とを有する。ボヤケ感度推定手段は、送信手段により送信された情報に基づいてボヤケ感度を推定し、第一の広さ調整手段は、ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度に基づいて第一屈折部の広さを調整し、設計基準レンズ選定手段は、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整手段にて第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する。
入力部は、完全矯正値、及び第一屈折部の処方度数の値の入力を要求する構成としてもよい。ボヤケ感度推定手段は、送信手段により送信された完全矯正値、及び送信手段により送信された第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいてボヤケ感度を推定する。
入力部は、第一屈折部の処方度数での視力の入力も要求する構成としてもよい。第一の広さ調整手段は、第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、並びに送信手段により送信された第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整する。
本実施形態に係る累進レンズを製造するための方法は、第一の屈折力を持つ第一屈折部、第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び第一屈折部から第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための方法であり、第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定ステップと、ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度に基づいて第一屈折部のクリアに見える範囲のクリアに見える範囲の広さを調整する第一の広さ調整ステップと、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整ステップにて第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定ステップと、設計基準レンズ選定ステップにて選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成ステップとを含む。
本実施形態に係る累進レンズの製造方法は、上記の累進レンズを製造するための方法を実施することにより作成されたデータを用いて累進レンズを製造するステップを含む。
本実施形態に係るプログラムは、上記の累進レンズを製造するための方法をコンピュータに実行させるためのものである。
本実施形態によれば、累進レンズを介したものの見え方に対する不満を装用予定者が感じにくくなるのに好適な、累進レンズを製造するための方法、プログラム及び装置並びに累進レンズの製造方法及びレンズ供給システムが提供される。
本発明の実施形態の眼鏡レンズ製造システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の眼鏡店に備えられた店頭コンピュータに表示される眼鏡セレクタアプリの画面例を示す図である。 本発明の実施形態の眼鏡レンズ製造工場内での眼鏡レンズの製造工程のフローチャートを示す図である。 本発明の実施形態の眼鏡セレクタアプリによる遠近両用累進レンズの選択フローを示す図である。 遠用部と近用部とのバランスをタイプ別に並べた基本設計レンズ群(度数分布(平均度数誤差・非点収差))を示す図である。 遠近両用累進レンズの設計ポイントとして第8の基本設計ポイントDES8を導入したことによる効果を説明するための図である。 提示画像の鮮明度に応じた被検者(装用予定者)のエントロピーを示すグラフである。 提示画像の鮮明度に応じた被検者(装用予定者)のエントロピーを示すグラフである。 提示画像の鮮明度に応じた被検者(装用予定者)のエントロピーを示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る眼鏡レンズ製造システムについて説明する。
[眼鏡レンズ製造システム1]
図1は、本実施形態の眼鏡レンズ製造システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、眼鏡レンズ製造システム1は、顧客(装用予定者)に対する処方に応じた眼鏡レンズを発注する眼鏡店10と、眼鏡店10からの発注を受けて眼鏡レンズを製造する眼鏡レンズ製造工場20を有している。眼鏡レンズ製造工場20への発注は、インターネット等の所定のネットワークやFAX等によるデータ送信を通じて行われる。発注者には眼科医や一般消費者を含めてもよい。
[眼鏡店10]
眼鏡店10には、店頭コンピュータ100が備えられている。店頭コンピュータ100は、例えばタブレット端末やスマートフォン、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC等であり、装用予定者に適した眼鏡を選択するアプリケーション(以下、「眼鏡セレクタアプリ」と記す。)102がインストールされている。
図2(a)〜図2(d)は、店頭コンピュータ100に表示される眼鏡セレクタアプリ102の画面例を示す。図2(a)及び図2(b)は、レンズデータやフレームデータの入力画面例を示す。レンズデータには、例えば、処方値(球面屈折力、乱視屈折力、乱視軸方向、プリズム屈折力、プリズム基底方向、加入度数、瞳孔間距離(PD:Pupillary Distance)等)、レンズ材質、屈折率、光学設計の種類、レンズ外径、レンズ厚、コバ厚、偏心、ベースカーブ、眼鏡レンズの装用条件(角膜頂点間距離、前傾角、フレームのそり角)、眼鏡レンズの種類(単焦点球面、単焦点非球面、多焦点(二重焦点、累進)、コーティング(染色加工、ハードコート、反射防止膜、紫外線カット等))、装用予定者の要望に応じたレイアウトデータ等が含まれる。フレームデータには、装用予定者により選択されたフレームの形状データが含まれる。また、図2(a)に示されるように、眼鏡セレクタアプリの情報取得項目には、上記の一般的なレンズデータやフレームデータに加えて、完全矯正値(球面屈折力、乱視屈折力、乱視軸方向、加入度数)、処方度数による左右の遠方視力及び近方視力並びに完全矯正値による左右の視力がある。
図2(c)は、装用予定者の生活スタイルの情報を取得する画面の例を示す。この情報取得の項目には、例えば、装用予定者の基本的生活スタイル(仕事がデスクワークである、車を長時間運転する等)を問うものや生活シーン(室内で行うこと、屋外で行うこと等)を問うものがある。
検査員によって検眼レンズ等を用いた検眼作業が行われる。次いで、眼鏡店10の店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面や生活スタイルを問う画面等の各画面に対する検査員又は装用予定者による入力が行われる。店頭コンピュータ100は、眼鏡レンズの設計に必要な全ての画面に対する入力を全て受け付けると、所定の基本設計レンズ群(図5参照。詳しくは後述する。)の中から少なくとも一つの基本設計レンズを選定し、選定された基本設計レンズを画面に表示する(図2(d)参照)。店頭コンピュータ100は、画面に表示された基本設計レンズが装用予定者の装用する眼鏡レンズとして選択操作されると、発注データ(レンズデータ及びフレームデータ)を例えばインターネット経由で眼鏡レンズ製造工場20に送信する。
なお、眼鏡セレクタアプリ102は、ネットワーク上に配置されたサーバ(不図示)にインストールされていてもよい。この場合、眼鏡セレクタアプリ102は、例えば店頭コンピュータ100の汎用ブラウザをGUI(Graphical User Interface)として又は店頭コンピュータ100にインストールされた専用のGUIアプリを介してサーバ上で実行される。店頭コンピュータ100とサーバとの通信は、例えばブラウザ上に表示された各種データの入力画面や生活スタイルを問う画面等の各画面(サーバ(眼鏡セレクタアプリ102)からネットワークを介してダウンロードされるもの)が遷移するタイミング等で逐次行われる。発注データは、ブラウザ等に表示された基本設計レンズが装用予定者の装用する眼鏡レンズとして選択された時点でサーバから眼鏡レンズ製造工場20に送信される。
[眼鏡レンズ製造工場20]
眼鏡レンズ製造工場20には、ホストコンピュータ200を中心としたLAN(Local Area Network)が構築されており、眼鏡レンズ設計用コンピュータ202や眼鏡レンズ加工用コンピュータ204をはじめ多数の端末装置が接続されている。眼鏡レンズ設計用コンピュータ202、眼鏡レンズ加工用コンピュータ204は一般的なPCであり、それぞれ、眼鏡レンズ設計用のプログラム、眼鏡レンズ加工用のプログラムがインストールされている。ホストコンピュータ200には、店頭コンピュータ100からインターネット経由で送信された発注データが入力される。ホストコンピュータ200は、入力された発注データを眼鏡レンズ設計用コンピュータ202に送信する。
[眼鏡レンズ製造工場20内での眼鏡レンズの製造]
[図3のS11(眼鏡レンズの設計)]
図3は、眼鏡レンズ製造工場20内での眼鏡レンズの製造工程を示すフローチャートである。眼鏡レンズ設計用コンピュータ202は、受注に応じた眼鏡レンズを設計するためのプログラムがインストールされており、発注データ(レンズデータ)に基づいてレンズ設計データを作成し、発注データ(フレームデータ)に基づいて玉型加工データを作成する。眼鏡レンズ設計用コンピュータ202は、作成されたレンズ設計データ及び玉型加工データを眼鏡レンズ加工用コンピュータ204に転送する。
[図3のS12(眼鏡レンズの製造)]
眼鏡レンズ加工用コンピュータ204は、眼鏡レンズ設計用コンピュータ202から転送されたレンズ設計データ及び玉型加工データを読み込み、加工機206を駆動制御する。
例えば、注型重合法によりプラスチック眼鏡レンズを製造する場合を考える。この場合、加工機206は、レンズ設計データに従って例えば金属、ガラス、セラミックス等の材料を研削・研磨することにより、レンズの外面(凸面)、内面(凹面)の各面に対応する成形型を製作する。製作された一対の成形型は、眼鏡レンズの厚みに対応する間隔をもって対向配置され、両成形型の外周面が粘着テープで巻き付けられて、成形型間が封止される。一対の成形型は、眼鏡レンズ用成形装置208にセットされると、粘着テープの一部に孔が開けられ、この孔を通じてレンズ原料液がキャビティ(成形型間の封止空間)に注入される。キャビティに注入され充填されたレンズ原料液は、熱や紫外線照射等によって硬化される。これにより、一対の成形型の各転写面形状及び粘着テープによる周縁形状が転写された眼鏡レンズ基材が得られる。硬化によって得られた眼鏡レンズ基材は、成形型から取り外される。離型された眼鏡レンズ基材には、アニール処理による残留応力の除去が行われる。この後、染色加工、ハードコート加工、反射防止膜、紫外線カット等の各種コーティングが施される。これにより、眼鏡レンズが完成して眼鏡店10に納品される。
また、眼鏡レンズ製造工場20には、生産性を向上させるため、全製作範囲の度数を複数のグループに区分し、各グループの度数範囲に適合した凸面カーブ形状(例えば球面形状、非球面形状など)とレンズ径を有するセミフィニッシュトレンズブランク群が眼鏡レンズの注文に備えて予め用意されていてもよい。セミフィニッシュトレンズブランクは、例えば樹脂ブランク又はガラスブランクであり、凸面、凹面が夫々、光学面(完成面)、非光学面(未完成面)である。この場合、レンズデータに基づいて最適なセミフィニッシュトレンズブランクが選択され、選択されたセミフィニッシュトレンズブランクが加工機206にセットされる。加工機206は、セットされたセミフィニッシュトレンズブランクの凹面をレンズ設計データに従って研削・研磨することにより、アンカットレンズを製作する。凹面形状製作後のアンカットレンズには、染色加工、ハードコート加工、反射防止膜、紫外線カット等の各種コーティングが施される。各種コーティング後のアンカットレンズは、眼鏡レンズ設計用コンピュータ202により作成される玉型加工データに基づいて外周面が周縁加工される。玉型形状に加工された眼鏡レンズは眼鏡店10に納品される。また、眼鏡レンズ製造工場20では、セミフィニッシュトレンズブランクに代えて、凸面及び凹面が両面とも球面に成形されたレンズブランクスを用いて眼鏡レンズが製造加工されてもよい。
[設計・製造対象の眼鏡レンズに関する説明]
本実施形態では、2つの基準点間で屈折力が累進的に変化する領域を持つ眼鏡レンズ及びこれに類する領域を持つ眼鏡レンズ(以降、これらの眼鏡レンズを包括する文言として「累進レンズ」を用いる。)が設計・製造される。本実施形態で設計・製造される累進レンズには、例えば、遠近両用累進レンズ、中近両用レンズ、近々レンズなど、用途に応じた複数タイプが存在する。また、累進屈折要素の設計タイプも複数存在する。累進屈折要素の設計タイプには、例えば、累進屈折要素を凸面(物体側面)又は凹面(眼球側面)に与える片面累進タイプ、累進屈折要素を凸面と凹面とに配分する両面累進タイプ、縦方向の累進屈折要素を凸面に配分すると共に横方向の累進屈折要素を凹面に配分する両面複合タイプが挙げられる。
例えば、遠近両用累進レンズは、遠距離から近距離に至る広い距離範囲をカバーするものであり、基本的に遠方視を重視した設計となっている。具体的には、遠近両用累進レンズは、遠方視領域(遠用部)がレンズの中心よりも上側の領域に広くレイアウトされており、近方視領域(近用部)がレンズの下方部の限られた領域にレイアウトされている。遠用部側の基準点と近用部側の基準点とを結ぶ中間視領域(累進帯部)は、2つの基準点間で屈折力が累進的に変化する領域であり、子午線に沿う明視域(クリアに見える領域)の幅が遠用部や近用部に対して狭い。
遠近両用累進レンズを装用する装用予定者にとっては、遠用部、近用部、累進帯部の全ての領域が広いことが望ましい。しかし、レンズ内で屈折力が変化する構造を持つ遠近両用累進レンズでは、全ての領域を広く確保することが技術的に不可能である。遠近両用累進レンズは、遠用部や近用部を広くレイアウトするほど、また、遠用部から近用部までの距離(累進帯長)を短くするほど、累進帯部の両側に不要な乱視が発生して明視域の幅が狭くなるという特性を持つ。そのため、累進帯部の両側の領域では、ものをクリアに見ることができないうえ、ものが歪んで見えたり揺れて見えたりする。
このように、遠近両用累進レンズでは、遠用部や近用部を必要以上に広くすると、累進帯部の両側の領域に発生する不要な乱視が強くなり、ものが強く歪んで見えたり強く揺れて見えたりする。そのため、遠近両用累進レンズでは、遠用部は比較的広くレイアウトされる一方、近用部はある程度狭くレイアウトされる。これにより、累進帯部の両側の領域に発生する不要な乱視や歪み、揺れが抑えられる。
遠用部や近用部の広さには、遠近両用累進レンズの用途や装用予定者の生活スタイルに合わせて多くのバリエーションが用意されている。具体的バリエーションとして、遠用部のクリアに見える領域を標準的設計から狭めることにより累進帯部の両側に発生する不要な乱視や歪み、揺れを抑えるタイプ、遠用部のクリアに見える領域を標準的設計から広げたタイプ、近用部のクリアに見える領域を標準的設計から狭めることにより累進帯部の両側に発生する不要な乱視や歪み、揺れを抑えるタイプ、近用部のクリアに見える領域を標準的設計から広げたタイプ等が挙げられる。
中近両用レンズは、遠近両用累進レンズよりも中間視を重視して設計されており、パソコン作業やその他のデスクワーク、家事など、室内全般の距離をカバーする。近々レンズは、近方視専用に設計されており、パソコン作業やその他のデスクワークなど、例えば手元からデスク内の奥行きまでの距離をカバーする。中近両用レンズ及び近々レンズも遠近両用累進レンズと同様の特性を有しており、その用途や装用予定者の生活スタイルに合わせて多くのバリエーションが用意されている。
なお、以降の実施形態の説明では、遠近両用累進レンズを想定した内容となっているが、遠近両用累進レンズを中近両用レンズや近々レンズ等の他の累進レンズに置き換えた内容も本発明の実施形態の範疇である。
[眼鏡レンズを介したものの見え方に関する説明]
人がボヤケた画像やシャープな画像を見たときにどのように知覚するか(ボヤケ感度)は、個々人で異なっており、知覚される画像の質によって決まる。知覚される画像の質は、眼鏡レンズの処方度数の値、瞳孔径の大きさ、眼球内の透光体の透明度、脳内で処理されて形成される知覚画像等によって決まるものと考えられる。
知覚画像を脳内で形成する能力には個人差がある。例えば、人に僅かにボヤケた画像を見せた場合を考える。この場合、見せた画像は、人によって、脳内の処理で改善されてボヤケの無い画像として知覚されたり、脳内の処理でも改善されずそのままボヤケを伴う画像として知覚されたりする。
(装用予定者の視力レベルについて)
検眼によって測定され決定された眼鏡レンズの処方度数で装用予定者がどの程度の視力レベルで見えるかの情報については、眼鏡レンズメーカに提供されることはなく、眼科医、検眼士又は眼鏡店内でのみ把握されているだけである。しかし、遠近両用累進レンズは、各領域(遠用部、累進帯部、近用部)の広さに制約があり、各領域の広さの与え方によって周囲に発生する収差量が変化するという特性を持つ。このような遠近両用累進レンズを新しく作成する場合、装用予定者の視力レベルが良好であったか否かによって選択されるべき遠近両用累進レンズの基本的な設計が異なる。例えば、決定された処方度数によって遠方の視力が良好に得られている場合、装用予定者は、遠用部周辺にある程度の収差が発生しているタイプの遠近両用累進レンズを装用する場合であっても不便さを殆ど感じない。一方、決定された処方度数で遠方の視力が充分に得られていない場合、装用予定者は、上記と同じ(遠用部周辺にある程度の収差が発生しているタイプの)遠近両用累進レンズを装用すると、その収差によるボヤケを知覚しやすくなり邪魔に感じて不満を覚える。
このように、遠近両用累進レンズに分布する収差をどのように感じるかは、たとえ同じ遠近両用累進レンズの眼鏡を装用する場合であっても、装用予定者の視力レベルによって異なる。
(既存の方法で決定される処方度数について)
上述したように、検査員によって行われる検眼作業(処方度数の測定及び決定)では、検査員が装用予定者に対して検眼レンズを介したものの見え方を訊き、装用予定者がそれに返答するという形式で行われる。しかし、検眼レンズの度数が最適に近い度数になると、装用予定者は、その度数付近において何れの検眼レンズを介したものの見え方が良好であるかを判断することが難しくなり、返答に困ることがある。すなわち、装用予定者の返答には、ある程度の不正確性が残る。
また、上述したように、検眼作業にて決定された処方度数は、装用予定者自身の要望や検査員の経験的判断等に応じて調整されることがある。しかし、遠近両用累進レンズの注文時、眼鏡レンズメーカには、度数について眼鏡店等で最終的に決定された処方度数の値が通知されるだけであり、処方度数がどのような値なのか(例えば完全矯正値なのか、完全矯正値から幾つ調整された値なのか等)という情報については通知されない。このように、眼鏡レンズメーカには、処方度数が完全矯正値からどのように調整された値なのかという情報が無いため、装用予定者が非球面レンズや累進レンズのようにレンズ全体に屈折力が変化するタイプのレンズを掛けた時にどのように見えるかを知得することができない。
(ボヤケ感度について)
本発明者は、上記の情報を知得することができない状態で製造された眼鏡レンズでは、そのものの見え方について装用予定者が不満を感じることがあるという考えを想起した。
例えば、近視を補正するためのマイナス度数の眼鏡レンズとして単焦点の非球面設計レンズが注文された場合を考える。注文された処方度数が完全矯正値で且つ装用予定者の視力レベルを良好なレベルに改善させるものであるとき、非球面設計によって収差が改善されていることから、一般的な球面設計レンズと比べてボヤケが少なくなる。一方、注文された処方度数が例えば完全矯正値からプラス度数側に調整された(マイナス度数を弱める調整がされた)ものであるとき、非球面設計によるレンズ周辺の収差改善に伴いレンズ周辺で平均屈折力が強まることが抑えられるため、レンズ周辺を介した遠方視では、かえってものが若干ボヤケて見える。寧ろ、マイナス度数を弱めた処方度数では、収差補正されずにレンズ周辺での平均屈折力がマイナス側に強くなっている球面設計レンズの方が、レンズ周辺を介した遠方視時にものがクリアに見えることがある。このようなケースを鑑みると、処方度数がどのような値なのかがレンズ設計にフィードバックされていれば、装用予定者の上記不満を和らげることが可能な眼鏡レンズを設計することが可能になるものと考えられる。
上記の考えは、遠近両用累進レンズにも適用することができる。例えば、遠方視があまり重要でない装用予定者(車の運転が必要でない者や主に室内で行動する生活スタイルの者)にとっては、遠用部を広く確保する必要性が低い。寧ろ、累進帯部の両側に発生する収差を抑えると共に遠近両用累進レンズ特有の欠点である像の歪みや揺れの発生を抑える目的で、遠用部を狭くする代わりに累進帯部のクリアに見える幅を広くしたり、周辺の非点収差や度数誤差を抑えた設計が好適である。
遠用部がやや狭く設計された遠近両用累進レンズの場合、レンズの上部中央領域(遠用部の中央領域)には処方度数に近い屈折力が分布している。そのため、遠用部の中央領域を介して遠方視したときには、ものがクリアに見える。一方、レンズの上部中央から鼻側又は耳側にずれた遠用部の周辺領域では収差(非点収差やプラス度数寄りの度数誤差)が発生している。そのため、遠用部の周辺領域を介して遠方視したときには、注文された処方度数が完全矯正値であったとしても、処方度数に対して発生している収差の分だけ屈折力が処方度数からずれていることから、ものがボヤケて見える。但し、主に室内等で行動する生活スタイルの者は、基本的に視距離が室内等の範囲に限られる。そのため、遠用部の周辺領域を介して室内の遠方を見た場合にも、ものがクリアに見え、実質的に問題にはならない。
しかし、注文された処方度数が完全矯正値に対してプラス度数寄りに調整されたものである場合、遠用部の中央領域を介した遠方視時には、調整度数分だけボヤケて見える。遠用部の周辺領域を介した遠方視時には、周辺領域に分布している収差(特にプラス度数寄りの度数誤差)と調整度数分の収差とが重畳されることから更にボヤケて見える。後者の場合、室内での遠方視であってもボヤケて見えるという虞がある。この問題を解消するためには、例えば遠用部を広く設計することが考えられる。これにより、遠用部の中央領域を介して室内を遠方視したときと遠用部の周辺領域を介して室内を遠方視したときとの見え方の差が少なくなるため、遠用部の周辺領域を介したものの見え方にボヤケを感じにくくなる。
以上のことから、検眼作業にて決定された完全矯正値と検眼作業にて調整等がされて決定された処方度数の値との関係は、装用予定者が遠近両用累進レンズを介してものを見たときに知覚するボヤケ具合(ボヤケ感度)と密接に関連するものと考えられる。そこで、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、検眼作業にて決定された完全矯正値と検眼作業にて調整等がされて決定された処方度数の値との関係(差異)から装用予定者のボヤケ感度を推定すること、すなわちボヤケ感度の高低を見積もることができ、推定されたボヤケ感度に基づいて適切な遠近両用累進レンズの設計傾向を判断することができるとの知見を得た。また、装用予定者の視力レベルも考慮することにより、より適切な遠近両用累進レンズの設計傾向を判断することができるとの知見も得た。
[眼鏡セレクタアプリ102による遠近両用累進レンズの選択方法]
図4は、眼鏡セレクタアプリ102による遠近両用累進レンズについて、あらかじめ設計バリエーションとして用意されている基本設計レンズ群の中から装用予定者に適した基準設計の遠近両用累進レンズを選択するフローを示す。
[図4のS21(各基本設計ポイントDES1〜DES7の計算)]
本処理ステップS21では、基本設計ポイントDES1〜DES7が計算される。ここでは、基本設計ポイントDES1〜DES7について概説的に説明する。基本設計ポイントDES1〜DES7の詳細な説明については、特許第5094968号公報にて参照することができる。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力された左右の遠用球面屈折力SPH、円柱屈折力CYL及び乱視の軸方向AXに基づいて左右の平均値MPWを計算し、計算された平均値MPWに基づいて第1の基本設計ポイントDES1を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力された左右の加入度数ADDに基づいて第2の基本設計ポイントDES2を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力されたフレーム情報(レンズの前傾角PA)に基づいて第3の基本設計選択ポイントDES3を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力されたフレーム情報(左右のレンズ裏面と左右の眼球角膜頂点との距離VDL、VDR)に基づいて平均頂間距離MVDを計算し、計算された平均頂間距離MVDに基づいて第4の基本設計選択ポイントDES4を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される生活スタイルを問う画面を通じて入力された各生活シーン(テレビ鑑賞、パソコン、楽器演奏、料理、ガーデニング、ダンス・フィットネス)に対する重要度A1〜A6、各生活シーン(ショッピング、会食・パーティー、旅行・リゾート、風景写真撮影、ランニング、ウォーキング)に対する重要度B1〜B6及び各生活シーン(ドライブ、バイク・ツーリング・スタジアム観戦、ゴルフ、登山・ハイキング、劇場・映画鑑賞)に対する重要度C1〜C6に基づいて第5の基本設計選択ポイントDES5を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力された重視度FWT(装用予定者の遠方視に対する重要度)に基づいて第6の基本設計選択ポイントDES6を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力されたタイプ情報KBtp(累進レンズ・多焦点レンズ・その他短焦点レンズなど、装用予定者が前回使用していた眼鏡のレンズ種の情報)、前回使用していた眼鏡の満足度SAT及び平均値MPWp並びにMPWに基づいて第7の基本設計選択ポイントDES7を計算する。
[図4のS22(第8の基本設計ポイントDES8の計算)]
本処理ステップS22では、第8の基本設計ポイントDES8が計算される。
[図4のS23(基本設計ポイントDESの計算)]
本処理ステップS23では、DESTT(=DES1+DES2+DES3+DES4+DES5+DES6+DES7+DES8)、CURD(前回使用眼鏡のタイプの指標)及び満足度SATに基づいて基本設計ポイントDESが計算される。なお、基本設計ポイントDESの計算の詳細(但し、第8の基本設計ポイントDES8を除く内容)は、特許第5094968号公報にて参照することができる。
[図4のS24(基本設計レンズの選定)]
本処理ステップS24では、処理ステップS23(基本設計ポイントDESの計算)にて計算された基本設計ポイントDESに基づいて、所定の基本設計レンズ群の中から、少なくとも一つの基本設計レンズが装用予定者に装用される遠近両用累進レンズの設計基準レンズとして選定されて、店頭コンピュータ100の画面に表示される。
ここで、図5及び図6に、遠近両用累進レンズの設計ポイントとして第8の基本設計ポイントDES8を導入したことによる効果を説明するための図を示す。
図5は、遠用部と近用部とのバランスをタイプ別に並べた基本設計レンズ群(度数分布(平均度数誤差・非点収差))を示す。図5中、右側の基本設計レンズ(度数分布)ほど遠用部が広い遠用クリアタイプ(遠方視領域の周辺部の収差が少ない)レンズであり、左側の基本設計レンズ(度数分布)ほど遠用部が狭い遠用ソフトタイプ(遠方視領域の周辺部の収差が多い)レンズである。また、図5中、下側の基本設計レンズ(度数分布)ほど近用部が広い近用クリアタイプ(近方視のための屈折力を広く分布させた)レンズであり、上側の基本設計レンズ(度数分布)ほど近用部が狭い近用ソフトタイプ(近方視のための屈折力を狭く分布させた)レンズである。なお、図5(及び後述の図6)に並べられた各基本設計レンズの分布は、近用部の鼻側に寄せるインセットを行う前の基本的な分布である。それぞれの基本設計分布が右レンズに使用されるか左レンズに使用されるかが決まると、近用部を鼻側に寄せる近用部のインセットが行われる。
遠用クリアタイプの設計は、主に、遠用部(又は近用部)の僅かな像のボヤケが気になりやすい条件(車を運転する頻度が高い等)の装用予定者に適しており、標準タイプ(本実施形態では基本設計レンズ群の中央に配置されたレンズタイプ)に対して、累進帯部でクリアな領域が狭められる代わりに、遠用部(又は近用部)でクリアに見える領域が広く確保される。遠用クリアタイプの設計によれば、累進帯部の両側の領域に発生する不要な乱視や歪み、揺れが増加するものの、遠用部(又は近用部)でクリアに見える領域が広くなるため、遠方視(又は近方視)を重視する装用予定者に好適である。
遠用ソフトタイプの設計は、主に、遠用部(又は近用部)の僅かな像のボヤケが気になりにくい条件(車を運転しない等)の装用予定者に適しており、遠用部(又は近用部)でクリアに見える領域が狭められる代わりに、累進帯部が広く確保される。遠用ソフトタイプの設計によれば、遠用部(又は近用部)でクリアに見える領域が狭められているものの、累進帯部の両側の領域に発生する不要な乱視や歪み、揺れが抑えられるため、中間視を重視する装用予定者に好適である。
図6(a)〜図6(d)を参照して、第8の基本設計ポイントDES8に基づいて遠用部の設計傾向(遠用クリアタイプ、遠用ソフトタイプ等)が変更されるケースを4例説明する。なお、図6(a)〜図6(d)の各図中、便宜上、DESTTが基本設計ポイントDES1〜DES7の加算値(第8の基本設計ポイントDES8を加算しない値)であるときの基本設計ポイントDESに基づいて選定される基本設計レンズの範囲に符号SDLを付す。また、DESTTが基本設計ポイントDES1〜DES8の加算値であるときの基本設計ポイントDESに基づいて選定される基本設計レンズの範囲に符号SDL’を付す。なお、図6(a)〜図6(d)の各図中、範囲SDL’に一部でも含まれる基本設計レンズ(度数分布(平均度数誤差・非点収差))が装用予定者に装用される遠近両用累進レンズの設計基準レンズとして選定される。
また、下記ケース1〜4においては、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが良好か否かが判定される。具体的には、検眼作業にて測定された両眼視力値VAbが0.9以上のときには視力レベルが良好と判定され、両眼視力値VAbが0.9未満のときには視力レベルが不良と判定される。なお、両眼視力値VAbが測定されていない場合は、左右眼の視力(図2(a)の画面を介して入力された処方度数による左右の遠方視力)に基づいて両眼視力値VAbが計算される。下記は、両眼視力値VAbの計算例である。
両眼視力値VAb=((右眼視力+左目視力))/2)×1.1
[ケース1:遠用部を介した装用予定者の視力レベルが良好で且つ遠用処方度数が完全矯正値又はそれに近似する値]
遠用処方度数が完全矯正値又はそれに近似する値であるため、遠方視時におけるもののボヤケが少ない。なお、遠用処方度数と完全矯正値との関係(差異)は、図2(a)の画面を介して入力された処方度数と完全矯正値に基づいて把握される。そのため、遠用部の設計傾向を多少変えたとしても、少なくとも遠方視時に限ってはボヤケが知覚されにくい。従って、本ケース1では、装用予定者は、遠用処方度数ではボヤケに対して鈍く、ボヤケ感度が低いものと推定される。附言するに、ボヤケ感度は、遠用処方度数と完全矯正値とが近いほど低いものと推定される。なお、通常は意図して行われることは無いと考えられるが、もし、遠用処方度数が完全矯正よりも僅かにマイナス寄りに処方されただけの場合もボヤケ感度は低いものと推定される。
本ケース1では、次式により、第8の基本設計ポイントDES8が計算される。
DES8=(ΔPW−0.25)×(VAb−0.6)×30
ΔPWは、遠用処方度数(右)と完全矯正値(右)との平均度数の差と、遠用処方度数(左)と完全矯正値(左)との平均度数の差の平均値である。数式で表すと、
ΔPW=((SPH+CYL/2)−(SPHR0+CYLR0/2)+(SPH+CYL/2)−(SPHL0+CYLL0/2))/2
となる。
第8の基本設計ポイントDES8がマイナス値のときには、遠用部がソフトな設計を選択するように作用し、第8の基本設計ポイントDES8がプラス値のときには、遠用部がクリアな設計を選択するように作用する。本ケース1では、第8の基本設計ポイントDES8がマイナス値となる。そのため、図6(a)に示されるように、選定される基本設計レンズの範囲は、範囲SDLから遠用ソフト側の範囲SDL’にシフトされる。シフトの量は、第8の基本設計ポイントDES8の絶対値が大きいほど大きく、小さいほど小さくなる。
なお、本ケース1では、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが良好であるため、選定される基本設計レンズの範囲を遠用ソフト側(すなわちボヤケが増える側)にシフトさせたとしても、実質的に問題にはならない。
[ケース2:遠用部を介した装用予定者の視力レベルが良好で且つ遠用処方度数が完全矯正値からプラス度数側に離れた値に調整]
遠用処方度数が完全矯正値からプラス度数側に離れた値に調整されているため、遠方視時におけるもののボヤケが若干大きい。特に、遠用部の周辺領域を介してものを見たときのボヤケは大きい。そのため、例えば遠用部の設計傾向を更にプラス度数側に変えると、遠方視時のボヤケがかなり大きくなる虞がある。従って、本ケース2では、装用予定者は、遠用処方度数ではボヤケに対して敏感で、ボヤケ感度が高いものと推定される。附言するに、ボヤケ感度は、遠用処方度数と完全矯正値とが離れているほど高いものと推定される。
本ケース2においてもケース1と同じ式で第8の基本設計ポイントDES8が計算される。本ケース2では、第8の基本設計ポイントDES8がプラス値となる。そのため、図6(b)に示されるように、選定される基本設計レンズの範囲は、範囲SDLから遠用クリア側(完全矯正値に近い側)の範囲SDL’にシフトされる。シフトの量は、第8の基本設計ポイントDES8の絶対値が大きいほど大きく、小さいほど小さくなる。
なお、本ケース2では、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが既に良好ではあるが、完全矯正値に近づけるほど視力レベルが更に向上すると考えられる。
[ケース3:遠用部を介した装用予定者の視力レベルが不良で且つ遠用処方度数が完全矯正値又はそれに近似する値]
本ケース3においてもケース1と同じく遠用処方度数が完全矯正値又はそれに近似する値であるため、装用予定者のボヤケ感度が低いものと推定される。本ケース3では、視力レベルが不良と判定された場合を考慮するための次式により、第8の基本設計ポイントDES8が計算される。
DES8=ΔPW×10
本ケース3では、ケース1と同じく遠用ソフト側へのシフトが可能と思われる。しかし、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが不良であるため、基本設計レンズの範囲のシフトは推奨されない。そのため、図6(c)に示されるように、選定される基本設計レンズの範囲が遠用ソフト側へシフトされない。
[ケース4:遠用部を介した装用予定者の視力レベルが不良で且つ遠用処方度数が完全矯正値からプラス度数側に離れた値に調整]
本ケース4においてもケース2と同じく遠用処方度数が完全矯正値からプラス度数側に離れた値に調整されているため、装用予定者のボヤケ感度が高いものと推定される。第8の基本設計ポイントDES8の計算式は、視力レベルが不良であることから、ケース3と同じである。
本ケース4では、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが不良であるが、完全矯正値に近づければ視力レベルが改善するものと考えられる。そのため、図6(d)に示されるように、選定される基本設計レンズの範囲は、範囲SDLから遠用クリア側(完全矯正値に近い側)の範囲SDL’にシフトされる。シフトの量は、第8の基本設計ポイントDES8の絶対値が大きいほど大きく、小さいほど小さくなる。
[発注データの作成]
図4の処理ステップS24(装用される遠近両用累進レンズの基本設計レンズの選定)にて選定された基本設計レンズの中から一つが選択操作されると、眼鏡セレクタアプリ102は、選択された基本設計レンズに基づいて、装用予定者の身体的特徴、使用状況及び処方度数に適した遠近両用累進レンズの発注データ(レンズデータ及びフレームデータ)を作成して眼鏡レンズ製造工場20に送信する。
[近用部の設計傾向(近用クリアタイプ、近用ソフトタイプ等)の変更]
上記においては、遠用部の設計傾向が変更されているが、併せて近用部の設計傾向を変更してもよい。近用部の設計傾向は、例えば、以下に説明されるように、近方視力表を用いて測定された両眼での近方視力値に基づいて変更するとよい。
近方視力測定に用いられる近方視力表として、印刷物による近方視力測定用の視力表や、近方距離に設置された小型ディスプレイ装置に表示される視力表が挙げられる。近方視力の測定は、通常40cmの距離で行われる。但し、装用予定者の近方視のための距離が明確である場合は、その距離で近方視力測定を行うとよい。以下、近用部の設計傾向の変更について、近方視力(近方の両眼視力値VAbn)に応じた3つのケースを説明する。
[0.6≦VAbn<1.0のケース]
本ケースでは、普通のレベルの近方視力が得られているため、近方視力を考慮することによる近用部の設計傾向の変更は必要が無い。近用部の設計傾向は、主に、装用予定者の生活シーン(例えば読書や新聞をよく読むかどうか)等の近方視力以外の情報によって決定される。
[1.0≦VAbnのケース]
本ケースでは、特に良好な近方視力が得られている。近用部を介した近方視が快適であると考えられるため、近方視力以外の情報に基づく近用部の設計傾向に対し、近方視力の値に応じてやや狭い近用部を持つ近用ソフトタイプが選定される(例えば図6(a)では範囲SDLが上側にシフト)。近用ソフトタイプでは、近用部が狭められる代わりに累進帯部におけるクリアな領域が広くなり、累進帯部の両側の領域に発生する不要な乱視や歪み、揺れが抑えられる。なお、累進レンズの近用部の広さを狭くすることには限度があり、本ケースでは、近用部の広さは、両眼視力値VAbnに拘わらず、標準的設計に対して20%程度狭くするのが限度であるものと考えられる。
[VAbn<0.6のケース]
本ケースでは、良好な近方視力が得られていない。近用部を介した近方視を快適にするためには、近方視力以外の情報に基づく近用部の設計傾向に対し、近方視力の値に応じてやや広い近用部を持つ近用クリアタイプが選定される(例えば図6(a)では範囲SDLが下側にシフト)。但し、近用部が広がる代わりに累進帯部におけるクリアな領域が狭くなり、累進帯部の両側の領域に発生する不要な乱視や歪み、揺れが増加する。なお、累進レンズの近用部の広さを広くすることには限度があり、本ケースでは、近用部の広さは、両眼視力値VAbnに拘わらず、標準的設計に対して30%程度広くするのが限度であるものと考えられる。
遠用部の設計傾向を変更する方法と近用部の設計傾向を変更する方法の両方を実施した上で遠近両用累進レンズを設計することにより、装用予定者に対してより適切な遠近両用累進レンズを提供することが可能となる。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例や変形例又は自明な実施例や変形例を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
上記の実施形態では、検眼作業にて決定された完全矯正値と検眼作業にて調整等がされて決定された処方度数の値との関係(差異)から装用予定者のボヤケ感度が推定されているが、別の実施形態では、NIRS(Near-infrared spectroscopy)脳計測装置を用いてボヤケ感度が測定されてもよい。
NIRS脳計測装置を用いたボヤケ感度の測定方法についての詳細は、例えば国際公開第2014/22926号パンフレット(以下、「国際公開公報1」と記す。)に開示されている。一例として、装用予定者は、NIRS脳計測装置を用いてボヤケ感度を測定するに当たり、検眼作業にて決定された処方度数(遠用度数)の検眼レンズを装用する。また、装用予定者の前頭部にNIRS脳計測装置のプローブがセットされる(例えば国際公開公報1の図3参照)。プローブがセットされた装用予定者に対して、鮮明度(Image Clarity Level)の異なる複数枚の画像がランダムに提示される。なお、検眼レンズの度数は、装用予定者と提示画像との距離に応じて適宜調整される。複数枚の提示画像には、鮮明度が調節されていないオリジナル画像並びにオリジナル画像に対して鮮明化された(sharpened)画像及びぼやかされた(blurred)画像が含まれる。複数枚の提示画像の具体例は、国際公開公報1の図22や図25等にて参照される。
図7〜図9に、国際公開公報1の図23A〜図23Cを引用して示す。図7〜図9はそれぞれ、提示画像の鮮明度に応じた被検者(装用予定者)毎のエントロピーを例示するグラフである。図7〜図9中、縦軸は、相対エントロピー(Relative Entropy)を示しており、オリジナル画像を見たときの装用予定者のエントロピーの値を基準(エントロピーがゼロ)としている。横軸は、提示画像の鮮明度(Image Clarity Level(slope index))を示している。図7〜図9において、オリジナル画像の鮮明度はゼロであり、オリジナル画像に対して鮮明化された画像の鮮明度はゼロより大きく(プラスの値であり)、オリジナル画像に対してぼやかされた画像の鮮明度はゼロより小さい(マイナスの値)。図7〜図9において、相対エントロピーは、NIRS脳計測装置にて計測される生体信号(脳内血流(酸化ヘモグロビンの量))から決定される。国際公開公報1のNIRS脳計測装置を用いたボヤケ感度の測定方法においては、図7〜図9のグラフの傾きが大きいほど(画像が僅かに鮮明化された(sharpened)又は僅かにぼやかされた(blurred)ときにおける装用予定者の脳の反応が高いほど)ボヤケ感度が高いと評価される。すなわち、本測定方法を採用することにより、装用予定者のボヤケ感度が脳内血流に基づいて客観的に評価される。
ここで、ボヤケ感度の高低を判断するための判断基準の一例を説明する。判断基準は、例えば20名程度の被検者に対する測定の結果に基づいて決定される。具体的には、オリジナル画像(slope index=0)を基準としてslope indexが±0.1刻みで変化され、被検者が画像処理によって鮮明化された(sharpened)又はぼやかされた(blurred)画像を見たときの相対エントロピーが測定される。次いで、これらの被検者に対する測定の結果から、相対エントロピーの平均的な変化具合(図7〜図9のグラフでいうところの傾き)が求められる。以下、説明の便宜上、相対エントロピーの平均的な変化具合を「基準変化具合」と記す。装用予定者について相対エントロピーが測定されその変化具合が求められると、基準変化具合との比較判断が行われる。装用予定者の相対エントロピーの変化具合が基準変化具合よりも大きい(例えば装用予定者の相対エントロピーの低下が平均的な相対エントロピーの低下よりも大きい)場合にボヤケ感度が高いと判断され、基準変化具合よりも小さい(例えば装用予定者の相対エントロピーの低下が平均的な相対エントロピーの低下よりも小さい)場合にボヤケ感度が低いと判断される。
判断基準(基準変化具合)を求めるための測定は被検者が多いほど好ましいが、20名程度の被検者を測定すれば適切かつ妥当な基準変化具合が求まる。但し、各被検者は、提示画像に対して十分に視力が出ていることが必要である。そのためには、眼鏡レンズなどによる適切な視力補正をしたうえで測定を行う必要がある。また、基準変化具合を求めるときに、被検者への提示画像の大きさや提示画像自体によって相対エントロピーの変化する程度や範囲が変わることから、基準変化具合を求める時の提示画像と、装用予定者の測定を行う時の提示画像は同じものを使用することが望ましい。
また、オリジナル画像(slope index=0)よりも鮮明化された(sharpened)画像(slope index>0)に対する反応の高さ(装用予定者の相対エントロピーの変化具合)や、オリジナル画像(slope index=0)よりもぼやかされた(blurred)画像(slope index<0)に対する反応の高さ(装用予定者の相対エントロピーの変化具合)から、(1)処方度数が完全矯正値に近い値であるかどうか、(2)処方度数が完全矯正値よりもプラス度数側に調整されているかどうか、(3)装用予定者のボヤケ感度が高いか低いか、のそれぞれを評価することもできる。この評価では、オリジナル画像(slope index=0)を中心にslope indexが±0.05刻みで変化された画像が装用予定者に提示される。評価は、画像を僅かに鮮明化させる(sharpened)又は僅かにぼやかせる(blurred)範囲内で行われる。
オリジナル画像に対して鮮明化された(sharpened)画像に対するエントロピーの上昇が小さいほど(装用予定者の相対エントロピーの変化具合が小さいほど)、装用予定者は処方された度数のレンズを装用し且つ鮮明化された(sharpened)画像を充分に知覚できている状態にあると考えられる。また、オリジナル画像に対してぼやかされた(blured)画像に対するエントロピーの低下が小さいほど(装用予定者の相対エントロピーの変化具合が小さいほど)、装用予定者は処方された度数のレンズを装用し且つぼやかされた(blured)画像をあまりぼやけていない画像として知覚できている状態にあると考えられる。この場合、処方度数が完全矯正値に近い状態であると評価される(上記(1))。これとは逆に、オリジナル画像に対して鮮明化された(sharpened)画像に対するエントロピーの上昇が大きいほど(装用予定者の相対エントロピーの変化具合が大きいほど)、装用予定者は処方された度数のレンズを装用し且つより鮮明化された(sharpened)画像を求めている状態にあると考えられる。また、オリジナル画像に対してぼやかされた(blured)画像に対するエントロピーの低下が大きいほど(装用予定者の相対エントロピーの変化具合が大きいほど)、装用予定者は処方された度数のレンズを装用し且つよりぼやかされた(blured)画像を大きくぼやけた画像として知覚している状態にあると考えられる。この場合、処方度数が完全矯正値よりもプラス度数側に調整されていると評価される(上記(2))。また、上記(3)について、オリジナル画像に対してぼやかされた(blurred)画像に対する反応が小さければ、装用予定者のボヤケ感度が低いと評価され、オリジナル画像に対してぼやかされた(blurred)画像に対する反応が大きければ、装用予定者のボヤケ感度が高いと評価される。
次に、例えば、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが良好で且つ遠方距離の提示画像に対する装用予定者のボヤケ感度が低いと評価された場合を考える。この場合、選定される基本設計レンズの範囲は上記の実施形態のケース1と同じく、図6(a)に示されるように、範囲SDLから遠用ソフト側の範囲SDL’にシフトされる。
なお、処方度数において装用予定者の視力レベルが良好か否かは、例えばIPSD(Integral of the entropy's Power Spectrum Density)に基づいて判定してもよい(国際公開公報1の図27〜図32参照)。
また、例えば、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが良好で且つ遠方距離の提示画像に対する装用予定者のボヤケ感度が高いと評価された場合を考える。この場合、選定される基本設計レンズの範囲は上記の実施形態のケース2と同じく、図6(b)に示されるように、範囲SDLから遠用クリア側の範囲SDL’にシフトされる。
また、例えば、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが不良で且つ遠方距離の提示画像に対する装用予定者のボヤケ感度が低いと評価された場合を考える。この場合、選定される基本設計レンズの範囲は上記の実施形態のケース3と同じく、図6(c)に示されるように、範囲SDLからシフトされない。
また、例えば、遠用部を介した装用予定者の視力レベルが不良で且つ遠方距離の提示画像に対する装用予定者のボヤケ感度が高いと評価された場合を考える。この場合、選定される基本設計レンズの範囲は上記の実施形態のケース4と同じく、図6(d)に示されるように、範囲SDLから遠用クリア側の範囲SDL’にシフトされる。
本実施形態に係る累進レンズを製造するための装置は、完全矯正値、及び第一屈折部の処方度数の値の入力を要求する入力部を備える構成であってもよい。この場合、ボヤケ感度推定手段は、入力部を介して入力された完全矯正値と、入力部を介して入力された第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいてボヤケ感度を推定する。
また、本実施形態に係る累進レンズを供給するためのレンズ供給システムは、累進レンズを製造するための上記装置と、上記装置と所定のネットワークを介して接続された入力装置とを備える。入力装置は、累進レンズを設計するための情報の入力を要求する入力部と、入力部を介して入力された情報を装置に送信する送信手段とを有する。ボヤケ感度推定手段は、送信手段により送信された情報に基づいてボヤケ感度を推定し、第一の広さ調整手段は、ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度に基づいて第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整し、設計基準レンズ選定手段は、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整手段にて第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する。
入力部は、完全矯正値、及び第一屈折部の処方度数の値の入力を要求する構成としてもよい。ボヤケ感度推定手段は、送信手段により送信された完全矯正値と、送信手段により送信された第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいてボヤケ感度を推定する。
本実施形態に係る累進レンズを製造するための方法は、第一の屈折力を持つ第一屈折部、第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び第一屈折部から第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための方法であり、第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定ステップと、ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度に基づいて第一屈折部クリアに見える範囲の広さを調整する第一の広さ調整ステップと、所定の基本設計レンズ群の中から、第一の広さ調整ステップにて第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定ステップと、設計基準レンズ選定ステップにて選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成ステップとを含む。
[図4のS21(各基本設計ポイントDES1〜DES7の計算)]
本処理ステップS21では、基本設計ポイントDES1〜DES7が計算される。ここでは、基本設計ポイントDES1〜DES7について概説的に説明する。基本設計ポイントDES1〜DES7の詳細な説明については、特許第5094968号公報(対応米国特許第8690323(B2))にて参照することができる。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力されたフレーム情報(レンズの前傾角PA)に基づいて第3の基本設計ポイントDES3を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力されたフレーム情報(左右のレンズ裏面と左右の眼球角膜頂点との距離VDL、VDR)に基づいて平均頂間距離MVDを計算し、計算された平均頂間距離MVDに基づいて第4の基本設計ポイントDES4を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される生活スタイルを問う画面を通じて入力された各生活シーン(テレビ鑑賞、パソコン、楽器演奏、料理、ガーデニング、ダンス・フィットネス)に対する重要度A1〜A6、各生活シーン(ショッピング、会食・パーティー、旅行・リゾート、風景写真撮影、ランニング、ウォーキング)に対する重要度B1〜B6及び各生活シーン(ドライブ、バイク・ツーリング・スタジアム観戦、ゴルフ、登山・ハイキング、劇場・映画鑑賞)に対する重要度C1〜C6に基づいて第5の基本設計ポイントDES5を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力された重視度FWT(装用予定者の遠方視に対する重要度)に基づいて第6の基本設計ポイントDES6を計算する。
眼鏡セレクタアプリ102は、店頭コンピュータ100に表示される各種データの入力画面を通じて入力されたタイプ情報KBtp(累進レンズ・多焦点レンズ・その他焦点レンズなど、装用予定者が前回使用していた眼鏡のレンズ種の情報)、前回使用していた眼鏡の満足度SAT及び平均値MPWp並びにMPWに基づいて第7の基本設計ポイントDES7を計算する。
[図4のS23(基本設計ポイントDESの計算)]
本処理ステップS23では、DESTT(=DES1+DES2+DES3+DES4+DES5+DES6+DES7+DES8)、CURD(前回使用眼鏡のタイプの指標)及び満足度SATに基づいて基本設計ポイントDESが計算される。なお、基本設計ポイントDESの計算の詳細(但し、第8の基本設計ポイントDES8を除く内容)は、特許第5094968号公報(対応米国特許第8690323(B2))にて参照することができる。

Claims (23)

  1. 第一の屈折力を持つ第一屈折部、該第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び該第一屈折部から該第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための装置であって、
    前記第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定手段と、
    前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度に基づいて前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整する第一の広さ調整手段と、
    所定の基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整手段にて前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定手段と、
    前記設計基準レンズ選定手段により選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成手段と、
    を備える、
    累進レンズを製造するための装置。
  2. 前記第一の広さ調整手段は、
    前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、及び前記第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整する、
    請求項1に記載の累進レンズを製造するための装置。
  3. 前記第二屈折部の処方度数での視力に基づいて該第二屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整する第二の広さ調整手段
    を備え、
    前記設計基準レンズ選定手段は、
    前記基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整手段により前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似し且つ前記第二の広さ調整手段により前記第二屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する、
    請求項1又は請求項2に記載の累進レンズを製造するための装置。
  4. 前記ボヤケ感度は、
    前記眼鏡装用者の完全矯正値と前記第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいて推定される、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の累進レンズを製造するための装置。
  5. 前記完全矯正値、及び前記第一屈折部の処方度数の値の入力を要求する入力部
    を備え、
    前記ボヤケ感度推定手段は、
    前記入力部を介して入力された完全矯正値、及び該入力部を介して入力された前記第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいて前記ボヤケ感度を推定する、
    請求項4に記載の累進レンズを製造するための装置。
  6. 前記入力部は、
    前記第一屈折部の処方度数での視力の入力も要求し、
    前記第一の広さ調整手段は、
    前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、並びに前記入力部を介して入力された前記第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整する、
    請求項2を引用する請求項5に記載の累進レンズを製造するための装置。
  7. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載の累進レンズを製造するための装置と、
    前記装置と所定のネットワークを介して接続された入力装置と、
    を備え、
    前記入力装置は、
    前記累進レンズを設計するための情報の入力を要求する入力部と、
    前記入力部を介して入力された情報を前記装置に送信する送信手段と、
    を有し、
    前記ボヤケ感度推定手段は、
    前記送信手段により送信された情報に基づいて前記ボヤケ感度を推定し、
    前記第一の広さ調整手段は、
    前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度に基づいて前記第一屈折部の広さを調整し、
    前記設計基準レンズ選定手段は、
    所定の基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整手段にて前記第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する、
    累進レンズを供給するためのレンズ供給システム。
  8. 前記入力部は、
    前記完全矯正値、及び前記第一屈折部の処方度数の値の入力を要求し、
    前記ボヤケ感度推定手段は、
    前記送信手段により送信された完全矯正値、及び該送信手段により送信された前記第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいて前記ボヤケ感度を推定する、
    請求項7に記載の累進レンズを供給するためのレンズ供給システム。
  9. 前記入力部は、
    前記第一屈折部の処方度数での視力の入力も要求し、
    前記第一の広さ調整手段は、
    前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、並びに前記送信手段により送信された前記第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整する、
    請求項8に記載の累進レンズを供給するためのレンズ供給システム。
  10. 第一の屈折力を持つ第一屈折部、該第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び該第一屈折部から該第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための方法であって、
    前記第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定ステップと、
    前記ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度に基づいて前記第一屈折部の広さを調整する第一の広さ調整ステップと、
    所定の基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整ステップにて前記第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定ステップと、
    前記設計基準レンズ選定ステップにて選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成ステップと、
    を含む、
    累進レンズを製造するための方法。
  11. 前記第一の広さ調整ステップにて、
    前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さは、
    前記ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度、及び前記第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整される、
    請求項10に記載の累進レンズを製造するための方法。
  12. 前記第二屈折部の処方度数での視力に基づいて該第二屈折部の広さを調整する第二の広さ調整ステップ
    を含み、
    前記設計基準レンズ選定ステップにて、
    前記基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整ステップにて前記第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似し且つ前記第二の広さ調整ステップにて前記第二屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズが、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定される、
    請求項10又は請求項11に記載の累進レンズを製造するための方法。
  13. 前記ボヤケ感度は、
    前記眼鏡装用者の完全矯正値と、前記第一屈折部の処方度数の値との関係に基づいて推定される、
    請求項10から請求項12の何れか一項に記載の累進レンズを製造するための方法。
  14. 請求項10から請求項13の何れか一項に記載の方法を実施することにより作成されたデータを用いて累進レンズを製造するステップ
    を含む、
    累進レンズの製造方法。
  15. 請求項10から請求項13の何れか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  16. 第一の屈折力を持つ第一屈折部、該第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び該第一屈折部から該第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための装置であって、
    前記第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定手段と、
    前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度に基づいて前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整する第一の広さ調整手段と、
    所定の基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整手段にて前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定手段と、
    前記設計基準レンズ選定手段により選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成手段と、
    を有する、前記累進レンズを製造するための装置と、
    提示画像の鮮明度に応じた眼鏡装用者の生体信号を計測する生体信号計測装置と、
    を備え、
    前記ボヤケ感度は、
    前記生体信号計測装置にて計測される生体信号に基づいて推定される、
    累進レンズを供給するためのレンズ供給システム。
  17. 前記第一の広さ調整手段は、
    前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さを、前記ボヤケ感度推定手段により推定されたボヤケ感度、及び前記第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整する、
    請求項16に記載の累進レンズを供給するためのレンズ供給システム。
  18. 前記第二屈折部の処方度数での視力に基づいて該第二屈折部のクリアに見える範囲の広さを調整する第二の広さ調整手段
    を備え、
    前記設計基準レンズ選定手段は、
    前記基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整手段により前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似し且つ前記第二の広さ調整手段により前記第二屈折部のクリアに見える範囲の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する、
    請求項16又は請求項17の何れか一項に記載の累進レンズを供給するためのレンズ供給システム。
  19. 第一の屈折力を持つ第一屈折部、該第一の屈折力に対して近方視のために屈折力(加入屈折力)が付加された第二の屈折力を持つ第二屈折部、及び該第一屈折部から該第二屈折部に至る子午線沿いに屈折力が累進的に変化する累進帯部を持つ累進レンズを製造するための方法であって、
    提示画像の鮮明度に応じた眼鏡装用者の生体信号を計測する生体信号計測ステップと、
    前記生体信号計測ステップにて計測される生体信号に基づいて、前記第一屈折部の処方度数を持つレンズを介してものを見たときの眼鏡装用者のボヤケに対する感じやすさを示すボヤケ感度を推定するボヤケ感度推定ステップと、
    前記ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度に基づいて前記第一屈折部の広さを調整する第一の広さ調整ステップと、
    所定の基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整ステップにて前記第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズを、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定する設計基準レンズ選定ステップと、
    前記設計基準レンズ選定ステップにて選定された設計基準レンズのレンズ設計に基づいて累進レンズを製造するためのデータを作成するデータ作成ステップと、
    を含む、
    累進レンズを製造するための方法。
  20. 前記第一の広さ調整ステップにて、
    前記第一屈折部のクリアに見える範囲の広さは、
    前記ボヤケ感度推定ステップにて推定されたボヤケ感度、及び前記第一屈折部の処方度数での視力に基づいて調整される、
    請求項19に記載の累進レンズを製造するための方法。
  21. 前記第二屈折部の処方度数での視力に基づいて該第二屈折部の広さを調整する第二の広さ調整ステップ
    を含み、
    前記設計基準レンズ選定ステップにて、
    前記基本設計レンズ群の中から、前記第一の広さ調整ステップにて前記第一屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似し且つ前記第二の広さ調整ステップにて前記第二屈折部の広さが調整されたレンズと一致又は近似する少なくとも一つの基本設計レンズが、前記眼鏡装用者が装用する累進レンズの設計基準レンズとして選定される、
    請求項19又は請求項20に記載の累進レンズを製造するための方法。
  22. 請求項19から請求項21の何れか一項に記載の方法を実施することにより作成されたデータを用いて累進レンズを製造するステップ
    を含む、
    累進レンズの製造方法。
  23. 請求項19から請求項21の何れか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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