JP3944914B2 - 累進多焦点レンズの製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
この発明は、視力補正用の累進多焦点レンズの製造方法および製造装置、この製造方法によって製造される累進多焦点レンズおよび眼鏡レンズに関するものである。
背景技術
累進多焦点レンズは、屈折力の異なる2つの視野部分と、これらの間で屈折力が累進的に変わる視野部分とを備えたレンズであり、これらの視野部分に境目がなく外観的に優れ、さらに、1つのレンズで異なる屈折力の視野を得ることができる。このため、老視などの視力の補正機能を備えた眼鏡レンズとして多く用いられている。多くの累進多焦点レンズは、遠距離の物を見るための視野部分である遠用部が上方に設けられ、近距離の物をみるために遠用部と異なる屈折力を備えた視野部分が近用部として遠用部の下方に設けられている。そして、これら遠用部と近用部が、遠距離と近距離の中間距離の物を見るために連続的に変化する屈折力を備えた視野部分である累進部によって滑らかに連絡されている。従って、老視が進んで調整力が減退したユーザーであっても、累進多焦点レンズを用いた眼鏡を使用することにより、遠方と近傍の双方に焦点を合わせて明瞭な視野をえることができる。さらに、遠用部と近用部の間においては、累進的に屈折力が変化するため、中間距離でも快適な視野が得られる。従って、累進多焦点レンズは眼鏡レンズとして多くのユーザーに愛用されており、今後も多種多用な数多くのユーザーに採用されると考えられる。
累進多焦点レンズは、少なくとも2つの屈折力の異なる領域を備えており、これらを累進部によって連続的に繋げた累進面を有している。従って、この累進面は単一な球面とはならないので、累進面の少なくともいずれかの領域では直交する2方向の曲率が異なり、それにより非点収差が発生する。しかしながら、例えば、乱視を伴わない眼鏡の使用者(ユーザー)においては、レンズに現れた非点収差が1.0ディオプトリ、望ましくは0.5ディオプトリ以下であれば、像のボケをそれほど知覚せずに明瞭な視覚が得られる。従って、遠くを見る機会の多いドライバーやスポーツ好きのユーザーに対しては、遠用部に明瞭な視覚が得られる領域(明視域)が広く設定された累進多焦点レンズが望ましいと言える。一方、近くを見る機会の多い事務職や編み物などが趣味のユーザーに対しては、近用部に明視域が広い累進多焦点レンズが望ましい。このように、累進多焦点レンズにおいては、ユーザーの視力に応じたレンズ性能が必要であることはもちろん、眼鏡の用途によってもレンズの性能を変えることが望ましい。
さらに、遠方から近傍への眼の動きには、眼球が鼻側に近づく動き(輻輳)が伴う。このため、遠用部から近用部に向かって延る主注視線(主子午線)は、これをこの目の輻輳を加味して若干鼻側に曲げることが望ましく、この主注視線に沿って明視域を配置することが望ましい。この輻輳の量もユーザーによって異なるので、ユーザーに適した明視域の配置となった累進多焦点レンズでないと明瞭な視野を十分に得ることができない。その他に、回旋角や累進帯の長さなど、累進多焦点レンズとユーザーとのマッチングに影響を与える幾つかの要素が存在する。
このように、ユーザーが快適な視野を得ようとすると、上述したような点を考慮して累進多焦点レンズを選択する必要がある。
従来は、図14に示したように、平均的な数種類の光学的特性の累進面が凸面側に形成された基本タイプの累進多焦点レンズがメーカーによって用意されており、この中からユーザーに適していると思われるレンズを選択し、そのレンズをユーザーの度数に合わせて凹面側を加工するシステムが採用されている。累進多焦点レンズがユーザーに出荷されるまでの概略過程を説明すると、まず、ステップ91において、メーカー側がユーザーの平均的な用途や眼の動きなどによって数種類、例えば、遠用および中用を重視したレンズ、近用および中用を重視したレンズ、さらに、遠・中・近用にバランスのとれたレンズなどに適した累進面を設定し、その累進面が凸面側に形成された状態のレンズを加工する。そして、ステップ92において、加工されたセミフィニッシュレンズの在庫を用意しておく。ユーザーは、ステップ93に示すように、眼鏡の販売店などにおいて度数、乱視、あるいは輻輳や回旋角などの眼に関する情報を得て、さらに、眼鏡の用途を決め、ステップ94において、セミフィニッシュレンズの中から最も適していると思われるレンズを選択する。このセミフィニッシュレンズの中から適当なレンズを選択する作業は専門的な知識が必要となることが多いので、販売店やメーカー側において行われることが多く、選択用のソフトウェアが用意されることもある。
ステップ95において、選択されたレンズの凹面側が乱視矯正も含めたユーザーに適した度数となるように加工され、そのレンズがステップ96において出荷される。加工時には、ユーザーの選択した眼鏡フレームに合わせて加工形状が決定され、さらに、要求があればカラーコートなどの付加も行われる。このような過程を経ることにより、メーカーの用意した製品群の中からユーザーに適したレンズが選択され、ユーザーの手元に届けられる。そして、ステップ93において得られるユーザーの情報をよりきめ細かく検討することにより、セミフィニッシュの状態で用意された製品群の中からユーザーの要求にマッチした快適な視野の得られるレンズを提供することができる。
ユーザーにマッチした製品を選択するためには、ユーザーの要求に対処できるセミフィニッシュのレンズを在庫として用意しておく必要がある。しかしながら、在庫化できる種類の数、あるいは量を適当な範囲に収めるためには、セミフィニッシュとして製造できる種類は限られており、上述したような平均的で需要の多い、アウトドアタイプの遠中重視、汎用タイプの遠中近バランスおよび室内タイプの中近重視といった数種類程度に限定されてしまう。従って、ユーザーも、用意された種類の累進多焦点レンズの中で最適なものを選択できるだけであり、自己に最適なレンズを装着できるとはかぎらない。
そこで、本発明においては、ユーザーの生活や眼の状態あるいは動きに適した個々のユーザーに最適の累進多焦点レンズを提供できる製造方法および製造装置を提供することを目的としている。特に、累進多焦点レンズは、視力の調整力が減退していても遠近にわたり明瞭な視野が得られるが、その反面、レンズの各部で屈折力が異なり、明視域として得られる領域も限られてしまう。従って、眼鏡の使用目的や、過去の履歴、さらに眼の状態や動きなどによって一人一人のユーザーによって使用環境が異なり、同一の累進多焦点レンズで複数のユーザーに最適なものを提供することは不可能である。このため、本発明においては、一人一人のユーザーの眼の動きや生活に適合した累進面を備えた累進多焦点レンズを提供することを目的としており、使用環境の異なる各々のユーザーが常に快適な視野を得ることができる眼鏡レンズを提供することを目的としている。
発明の開示
このため、本発明においては、メーカー側が基本的な性能の累進面を有する累進多焦点レンズを用意し、その中からユーザー側が選択する、あるいはユーザーの情報に基づいてメーカー側で選択してユーザーに提供するという従来の製造方法とは異なり、ユーザー個別の情報にしたがって先ず累進面を設計し、その累進面(以降においてはカスタムメイドされた累進面)を備えた累進多焦点レンズ(以降においては、カスタムメイドされたレンズ、あるいはカスタムメイドレンズ)を加工してユーザーに供給できるようにしている。すなわち、本発明の、屈折力の異なる遠用部および近用部、およびこれらの間で屈折力が累進的に変化する累進部を構成する累進面を有する累進多焦点レンズの製造方法においては、各々のユーザーの眼に関連する情報およびユーザーの生活に関連する情報の少なくともいずれかを含むユーザー個別のカスタマイズ情報を反映した累進面を設計し、このカスタムメイドされた累進面を備えた累進多焦点レンズの加工データを導出するレンズ設計工程を有することを特徴としている。本発明の累進多焦点レンズの製造方法を採用することにより、用意された製品群の中からユーザーに適した累進面を有するレンズを選択するのではなく、ユーザーに適した累進面を備えたレンズを製造するといった全く新しい方法でユーザーに眼鏡レンズを提供することができる。従って、供給する時点の技術でユーザーに最適の累進多焦点レンズを必ず提供することが可能であり、さらに、技術の進展によって性能が向上した場合は、その優れた性能を備えた累進多焦点レンズを技術の進展と共にユーザーに提供することができる。また、セミフィニッシュのレンズを在庫しておく必要がないのでコストダウンも図れ、ユーザーにマッチしたレンズをより安価に提供できる。
レンズ設計工程においては、カスタマイズ情報を累進面の設計パラメータに反映する設計パラメータ決定工程と、設計パラメータに基づきカスタムメイドされた累進面の座標データを導出する工程とを用いることにより、ユーザーの眼の度数や動きなどの眼に関連する情報、さらには、仕事や趣味といったライフスタイルに関連する情報に合致した累進面を設計し、その座標を求めることができる。本発明においては、個々のユーザーに対して累進面を決めることができるので、従来のように加工済のレンズの数種類の基本的なタイプの累進面に限定されることなく、個々のユーザーに対して独自の累進面を導出したり、あるいは、参照可能な数十あるいはそれ以上の基本タイプを参照して独自のカスタムメイドされた累進面を設定することが可能である。このため、多種多用な設計が可能である累進面の特性を活かして、ユーザーの眼の動きに沿って明視域を形成し、ライフスタイルに適した広さの明視域を設けることが可能である。従って、ユーザーに対し常に快適な視野を提供できるカスタムメイドされた累進面を備えた累進多焦点レンズ(カスタムメイドレンズ)およびカスタムメイドされた累進多焦点レンズを玉型加工した眼鏡レンズを提供することができる。
本発明においては、個々のユーザーのカスタマイズ情報に基づいてユーザーに適合した累進面の設計を行えるようにしているので、様々な角度からユーザーに適合するように累進面の設計をトライすることができる。例えば、上述したようにカスタマイズ情報にユーザーのライフスタイルの情報として職業を設定し、その職業に合わせた累進面の設計を行うことも可能である。さらに、同一の職業のユーザーでも同一の累進面が適合しているとは限らないので、カスタマイズ情報にユーザーの生活に関連するカテゴリーの異なる少なくとも第1および第2の主ライフ情報、例えば、職業と趣味といった情報を設けることも可能である。そして、第1および第2の主ライフ情報がユーザーの眼に影響する比率を反映する副ライフ情報として、例えば、職業と趣味で眼鏡を使用する時間の割合や、趣味に費やす時間などを設けることができる。そして、設計パラメータ決定工程に、設計パラメータの内、少なくとも遠用部または近用部の明視域の設定に関する基礎パラメータを第1の主ライフ情報に基づき設定する第1の基礎パラメータ設定工程と、基礎パラメータを第2の主ライフ情報に基づき設定する第2の基礎パラメータ設定工程とを設け、これら第1および第2の基礎パラメータ設定工程で設定された複数の基礎パラメータを副ライフ情報に基づき調整し、累進面の設計パラメータとして採用する基礎パラメータ調整工程を設けることにより、同一の職業のユーザーでも趣味の差を反映した個々のユーザーにさらに適合した累進面を備えた眼鏡レンズを提供することができる。もちろん、職業と趣味に限らず、性別や年齢なども主ライフ情報として付加することも可能である。さらに、趣味などの1つのカテゴリーの内容をさらに細かなカテゴリーに分けて、例えば、趣味とするスポーツの種類などを基礎パラメータを選択するための主ライフ情報として採用することも可能である。このように、本発明の累進多焦点レンズの製造方法においては、1種類の情報に限定されることなく、複数の情報に基づき設計パラメータを設定し、生活様式などの異なる個々のユーザーのそれぞれに適合した累進多焦点レンズを設計あるいは製造することができる。
さらに、ユーザーが累進多焦点レンズに慣れているか否か、あるいは過去の装着していた累進多焦点レンズが好みにあっていたかなどの履歴によっても、違和感があるなどユーザーの眼鏡レンズに対する要求が異なる。本発明においては、累進面の設計からスタートするので、このような情報もカスタマイズ情報に含めて眼鏡レンズに反映することが可能である。すなわち、カスタマイズ情報にユーザーの眼鏡に関連する履歴情報を設け、設計パラメータ決定工程に、基礎パラメータ調整工程で設定された基礎パラメータを履歴情報で補正する基礎パラメータ補正工程を設けることにより、ユーザーの経験による相違も反映した眼鏡レンズを提供することができる。
このようにして個々のユーザー毎に設定された基礎パラメータに基づき累進面の座標データを求めるには基礎パラメータに適合した曲面を表現する関数を求めるなど様々な方法がある。これらの内、まず、ベースカーブ設定工程によってカスタマイズ情報に含まれたユーザーの眼の度数に関する度数情報によって遠用部および近用部のベースカーブを設定し、その後、予め用意された度数分布データ群の中から基礎パラメータに相当する度数分布データを求めてベースカーブの設定された遠用部および近用部の度数分布を決定する第1の度数分布決定工程と、遠用部および近用部の度数分布に基づき、累進部の度数分布を決定する第2の度数分布決定工程によって累進面を設計することにより、個々のユーザーに適合した性能の良い累進面を得ることができる。度数分布データなどの設計パラメータはファイル化されたデータ群から選択しても良いし、重み付け関数などを用いて補間法によって求めることも可能である。
さらに、本発明においては、個々の累進多焦点レンズを製造する際に、累進面から設計を開始するので、カスタムメイドされた累進面を備えたカスタムメイドレンズの形状を眼鏡のフレームなどのカスタマイズ情報に基づき決定する工程を採用することももちろん可能である。従って、フレームや乱視の度数および軸などに合わせてレンズの形状を決定し、ユーザーに快適な視野を実現すると共に、薄くて軽い使用し易いレンズを提供することができる。
また、本発明においては、累進面の設計から開始して個々のユーザーに適した累進多焦点レンズを提供できるようにしているので、カスタマイズ情報に含まれたそり角や前傾角などのフィッティング情報を用いて累進面やその他の面のデータを光学性能が向上するように補正し、ユーザーに適した光学的特性を持つ累進多焦点レンズを提供することが可能である。そして、これらのカスタマイズ情報に基づき導出された加工データにより、累進面も含めた一括したレンズ加工が可能であり、短時間でユーザーに適合した累進多焦点レンズを提供することができる。従って、従来のようにセミフィニッシュレンズを加工し、そのセミフィニッシュレンズの凹面をユーザーに合わせて加工するといった複数段階の加工は不要となり、短時間で安価にユーザーに適合したカスタムメイドレンズを提供することが可能になる。
本発明の累進多焦点レンズの製造方法は、ソフトウェアとして提供することが可能であり、磁気ディスクやCD−ROMなどの記憶媒体に記憶して供給することができる。そして、パーソナルコンピュータなどの適当な処理機能とファイルを記憶する機能を備えた次のような製造装置を提供することができる。すなわち、本発明の、屈折力の異なる遠用部および近用部、およびこれらの間で屈折力が累進的に変化する累進部を構成する累進面を有する累進多焦点レンズの製造装置においては、各々のユーザーの眼に関連する情報およびユーザーの生活に関連する情報の少なくともいずれかを含むユーザー個別のカスタマイズ情報を反映した累進面を設計し、このカスタムメイドされた累進面を備えた累進多焦点レンズの加工データを導出するレンズ設計部を有している。そして、このレンズ設計部は、カスタマイズ情報を累進面の設計パラメータに反映する設計パラメータ決定部と、設計パラメータに基づきカスタムメイドされた累進面の座標データを導出する座標データ導出部と、カスタムメイドされた累進面を備えたカスタムメイドレンズの形状をカスタマイズ情報に基づき決定するレンズ形状決定部と、カスタムメイドレンズの形状をカスタマイズ情報に基づき光学性能が向上するように補正する光学性能補正部と、補正されたカスタムメイドレンズの形状の加工データを導出する加工データ作成部と、設計パラメータの内、少なくとも遠用部または近用部の明視域の設定に関する複数の基礎パラメータが予め用意された基礎パラメータファイルと、これらの基礎パラメータに対応した遠用部または近用部の度数分布が予め用意された度数分布データファイルと、遠用部の表面屈折力を設定するベースカーブが複数種類予め用意されたベースカーブファイルとを備えている。さらに、設計パラメータ決定部は、カスタマイズ情報に含まれたユーザーの生活に関連するカテゴリーの異なる少なくとも第1および第2の主ライフ情報のそれぞれに基づき基礎パラメータファイルから基礎パラメータをそれぞれ選択する基礎パラメータ選択部と、カスタマイズ情報に含まれた第1および第2の主ライフ情報がユーザーの眼に影響する比率を反映する副ライフ情報に基づき基礎パラメータ選択部によって選択された複数の基礎パラメータからカスタムメイドレンズの設計に使用される基礎パラメータを決定する基礎パラメータ調整部と、カスタマイズ情報に含まれた度数情報に基づきベースカーブファイルから遠用部および近用部のベースカーブを選択するベースカーブ選択部と、度数分布データファイルの度数分布データに基づき遠用部または近用部の度数分布を決定する第1の度数分布決定部と、遠用部および近用部の度数分布に基づき累進部の度数分布を決定する第2の度数分布決定部とを備えていることを特徴としている。設計パラメータ決定部には、さらに、カスタマイズ情報に含まれたユーザーの眼鏡に関連する履歴情報に基づき基礎パラメータを補正する基礎パラメータ補正部を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の累進多焦点レンズの主な製造過程を示すフローチャートであり、図2は、本発明の累進多焦点レンズの製造装置の概略を示すブロック図であり、図3は、図1に示したフローチャートのうち、カスタマイズ情報を設計パラメータに反映する工程をさらに詳しく示すフローチャートであり、図4は、図3に示すフローチャートのうち、基礎パラメータを決定する工程をさらに詳しく示すフローチャートであり、図5は、基礎パラメータファイルの概要を示す図であり、図6は、職業に基づく基礎パラメータを設定した職業ファイルの概要を示す図であり、図7は、趣味に基づく基礎パラメータを設定した趣味ファイルの概要を示す図であり、図8は、ベースカーブを設定したベースカーブファイルの概要を示す図であり、図9は、職業により累進多焦点レンズのタイプを選択する例を示す図であり、図10は、趣味により累進多焦点レンズのタイプを選択する例を示す図であり、図11は、図1に示したフローチャートのうち、設計パラメータによって累進面を設計する工程をさらに詳しく示すフローチャートであり、図12は、図1に示したフローチャートのうち、レンズの形状を決定する工程および光学性能を補正する工程をさらに詳しく示すフローチャートであり、図13は、累進多焦点レンズおよび眼鏡レンズの概略構成を説明する図であり、図14は、従来の累進多焦点レンズを製造過程の概略を示すフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
以下に図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。図1に、本発明の累進多焦点レンズの製造方法の主な過程をフローチャートを用いて示してある。本発明の累進多焦点レンズを製造するためには、まず、ユーザー個別の情報(カスタマイズ情報)1を収集することが必要である。ユーザーに適したカスタムメイドの累進多焦点レンズを製造するには、大きく分けてユーザーの眼に関連する情報と、ユーザーの生活に関連する情報とを得ることが望ましい。眼に関連する情報としては、度数(S度数、乱視を矯正する必要がある場合はC度数および軸)、遠用部と近用部の度数の差を示す加入度、瞳の位置を示す瞳孔距離、遠用部から近用部にかけての眼の動きである輻輳量、眼球が回転運動(視線移動)する範囲を示す回旋角、視線の動きなどがある。さらに、眼鏡を装着する際のフィッティングデータとして、レンズの眼球側の面と角膜との距離である角膜頂点間距離、顔の垂線とレンズ面との角度を示す前傾角、左右のレンズ同士の傾きを示すそり角などを含めることができる。これらの眼に関する情報は、眼科や販売店などにおいてユーザーの眼の動きなどを測定することにより主に得ることができる。
一方、ユーザーの生活に関連した情報としては、ユーザーの仕事や趣味などの眼鏡の主な用途に関連するライフ情報、現在あるいは過去に装着していた眼鏡との相性・好み、眼鏡の経験の有無などの履歴情報、さらには、ユーザーが選択した眼鏡用のフレーム形状などがある。これらのユーザーの生活に関連した情報は、主に、インタビューやアンケートといった方式で眼科や販売店などにおいて取得することができる。
〔累進多焦点レンズの製造方法の概要〕
本例の累進多焦点レンズの製造方法10においては、上記のように収集されたカスタマイズ情報1を反映して累進面を含めた累進多焦点レンズを設計し加工データを導出する設計工程2と、この加工データに基づき累進多焦点レンズおよび眼鏡レンズを製造する加工工程3と、ユーザーに合わせてカスタムメイドされたレンズを出荷する工程4を備えている。このため、本例のカスタマイズ情報1は、レディーメイドの眼鏡レンズの中からユーザーに適合したレンズを選定するための情報ではなく、累進多焦点レンズを製造するために用いられる情報である。従って、後で設計パラメータに反映する必要はあるが、何らかの答え、すなわち、レディーメイドのレンズのいずれか1つを導き出すための情報ではないので、ユーザーが眼鏡を使用して快適な視野を得るために関連すると思われるどの様な種類の情報でも含めることができる。また、本例の製造方法においては、カスタマイズ情報に基づき累進面の設計から開始されカスタムメイドされた累進面、さらにその累進面を備えたカスタムメイドされたレンズを製造することができる。従って、多種多用なユーザーの一人一人に対応した眼鏡レンズを提供することが可能であり、個々のユーザーに対し快適な視野が必ず得られる眼鏡レンズを提供することができる。
また、本例の製造方法においては、カスタマイズ情報に基づき導出された加工データによってレンズを加工することにより、出荷可能なレンズを1つの工程ですぐに製造することが可能である。従って、従来のセミフィニッシュ状態のレンズを製造する工程は不要であり、短時間で安価にユーザーに適合したカスタムメイドのレンズを提供することができる。さらに、セミフィニッシュ状態のレンズを在庫しておく必要もないので、その面でもコストダウンを図ることができる。そして、カスタマイズ情報に基づき、累進面から設計を行うようにしているので、累進多焦点レンズの性能を向上する技術の進展があった場合は、設計ソフトをバージョンアップすることにより、技術の進展に伴い性能の向上した累進多焦点レンズをユーザーに対し提供することが可能である。また、ユーザー側も、設計の更新やレンズの仕様が変更になっても、メーカー側(レンズの製造側)に供給する情報を変える必要はなく、新旧のタイプ、あるいは目的の異なるタイプなどを含めた多種多用な種類のレンズの中から適当なレンズを選択するといった煩わしさをなくすことができる。
本例の設計工程2に含まれる各工程をさらに詳しく説明する。本例の設計工程2は、カスタマイズ情報1から累進面の設計に係る情報を設計パラメータに反映する設計パラメータ決定工程5と、それらの設計パラメータに基づき累進面を設計し、カスタムメイドされた累進面の座標を導出する工程6と、カスタムメイドされた累進面を有するレンズ形状をフレーム形状などのカスタマイズ情報1に基づき決定する工程7と、上記にて設定された累進面やレンズ形状を、カスタマイズ情報1に含まれるフィッティングデータに基づき光学性能を最適化するように補正する工程8と、さらに、このようにして決定されたレンズの加工データを作成する工程9を備えている。
〔累進多焦点レンズの製造装置の概要〕
このような工程を備えた本発明の累進多焦点レンズの製造方法はソフトウェアとして提供することが可能であり、磁気ディスクやCD−ROMなどの記憶媒体に記憶して供給することができる。そして、パーソナルコンピュータなどの適当な処理機能とファイルなどを記憶する機能を備えた処理装置を累進多焦点レンズの製造装置60として用いることが可能であり、その製造装置の主な構成を図2に示してある。本例の製造装置60は、上記の各工程5〜9に対応して、カスタムメイドレンズ用の設計パラメータを決定してカスタムメイドされた累進面の座標分布を求める設計パラメータ決定部61と、カスタムメイドされた累進面の座標を導出する座標データ導出部62と、この座標と度数などのカスタマイズ情報に基づきユーザー個々に適したレンズ形状を決定するレンズ形状決定部63と、カスタマイズ情報に含まれるユーザー個々のフィッティング情報などに基づきカスタムメイドされたレンズ形状を光学性能が最適になるように補正する光学性能補正部64とを備えており、さらに、このようにして決定された座標データからレンズ加工用の数値データを導出する加工データ作成部65を備えている。また、本例の製造装置60は、予め作成された各種のデータが収納されたファイル群も備えている。例えば、遠用/近用の明視域を組み合わせたタイプ(基礎パラメータ)をきめ細かに予め定義した基本設計タイプ(基礎パラメータ)ファイル51、ユーザーの球面度数や乱視度数によって曲面の表面屈折力を与える最適の基本カーブ(ベースカーブ)が設定できるように用意されたベースカーブファイル53、基礎パラメータによって遠用部および近用部の水平方向の度数分布が得られるように用意された遠用部度数分布ファイル54および近用部度数分布ファイル55が設けられている。これらに収納されたデータは設計パラメータ決定部61における処理に用いられ、ユーザー個々に異なる多種多用な累進面の設計を短時間で行えるようになっている。
設計パラメータ決定部61で決定された累進面の座標分布は座標分布データファイル81に出力され、この座標分布データに基づき座標データ導出部62によって導出された座標データは座標データファイル82に出力される。レンズ形状決定部63は座標データファイル82の座標データと、レンズ径ファイル57、最低中心厚ファイル58および最低フチ厚ファイル59からカスタマイズ情報に基づき選択された値によってレンズ形状を決定し、レンズ形状を示す数値データがレンズ形状ファイル83に出力される。また、光学性能補正部64はレンズ形状ファイル83の形状を光学特性に基づき補正し、補正されたレンズ形状を示す数値データから加工データ作成部65が加工データを導出して加工データファイル84に出力する。この加工データがNCマシンなどに転送され、ユーザー個々に最適の眼鏡レンズが成形され、ユーザーに供給される。
以下において、この製造装置と、上述した累進多焦点レンズの製造方法の各工程のさらに詳しい説明を以下に示す各工程のフローチャートを参照しながら説明する。
〔設計パラメータ決定工程の概要〕
本例のカスタマイズ情報1を設計パラメータに反映する設計パラメータ決定工程5は、図3に示すように、大まかな処理ステップとして、累進多焦点レンズの基本的な性能に関する遠用/近用の基礎パラメータの決定を行うステップ11と、ベースカーブを求めて基礎パラメータに従って遠用部の度数(屈折力)分布を決定するステップ14と、基礎パラメータに従って近用部の度数分布を決定するステップ18と、これらの分布に基づき累進部の度数分布を決定するステップ22とを備えている。これらに対応して、本例の製造装置60の設計パラメータ決定部61も、ステップ11の処理を行う基礎パラメータ設定部66と、ステップ14およびステップ18における遠用部および近用部のベースカーブの設定を行うベースカーブ選択部67と、遠用部および近用部の度数分布を決定する第1の度数分布決定部68と、これらの度数分布に基づいて累進面全体の度数分布を決定する第2の度数分布決定部69とを備えており、決定された度数分布が度数分布データファイル81に出力される。
本例の累進多焦点レンズの製造方法においては、まず、ステップ11において、累進多焦点レンズの基本的な領域の設定を行う。このために、カスタマイズ情報1のライフスタイル1aに関連する情報(職業、趣味、活動の場所・範囲、過去の眼鏡の種類と評価など)によってステップ12において遠用部および近用部の基本的な位置および広さを決定する。本例においては、コンピュータ処理によって個々のユーザーに対しカスタマイズされた累進面および累進多焦点レンズを設計し、加工データを導出することにより、短時間で設計処理を行えるようにしている。さらに、コンピュータ処理を採用することにより、短時間で多くのパラメータから最適なものを選択したり、複雑に関数化された設計パラメータでも迅速に対処することができるので、よりユーザー本位のカスタマイズされた累進面および累進多焦点レンズを提供することができる。遠用部および近用部の位置・広さを決定する基礎パラメータを選択するステップ12においては、数十あるいはそれ以上の基本設計タイプ(基礎パラメータ)が予め基本設計タイプファイル(基礎パラメータファイル)51に設定されており、その中からライフスタイル情報1aに適合する基本設計タイプを選択し、例えば、図13に示すように、累進多焦点レンズ70の累進面の領域71に遠用部領域境界線72aを設定し、遠用部71の位置および広さを決定している。従来のセミフィニッシュされた数種類のレンズの中から適当なレンズを選択するのとは異なり、本例の製造方法においては、累進面71の設計の初期段階であるので数十あるいはそれ以上の基本パターンの中から細かな選択が可能である。例えば、遠用部領域境界線72aの位置や角度、さらには、曲率などを自由に変えるとが可能であり、これによって遠用部の位置、広さを自由に設定できる。
〔基礎パラメータの設定方法〕
図4に、本例の基礎パラメータを設定する工程であるステップ12のさらに詳しい処理の流れを示してある。本例の製造方法においては、遠近の明視域の広さを設定する際に、ユーザーが快適な視野が得られるようにするためにユーザー個々に適した眼鏡の基礎パラメータを生活に関連した情報で設定できるようにしている。基礎パラメータを設定するための生活に関連した情報としては、上述したように、眼鏡の使用目的に密接した職業や趣味など(以下においては主ライフ情報と呼ぶ)を選択することが可能である。さらに、本例の製造方法においては、主ライフ情報の内の1つのカテゴリーの情報で基礎パラメータを設定するのではなく、異なった複数の面からユーザーの生活状況(ライフスタイル)を捉えてユーザー個々に最適の眼鏡レンズを供給できるように複数のカテゴリーの主ライフ情報で基礎パラメータを選択している。例えば、本例においては、第1のカテゴリーの主ライフ情報としてライフスタイルの内から職業の情報1a.1を選択しており、ステップ12aにおいてこの職業情報1a.1に基づき第1の基礎パラメータを選択できるようにしている。また、第2のカテゴリーの主ライフ情報としてライフスタイルの内から趣味の情報1a.2を選択して、ステップ12bにおいて趣味情報1a.2に基づき第2の基礎パラメータを選択できるようにしている。
本発明の累進多焦点レンズの製造方法においては、累進面の設計から個々のユーザーに対応して行えるようにしてあるので、基礎パラメータとして多種多用な累進多焦点レンズのパターンを用意することができる。図5に、本例の基礎パラメータファイル51に用意された基礎パラメータの例を示してある。本例においては、累進帯上端から7mm上のフィッティングポイントにおける遠用部の水平方向の明視域(収差0.50D以下)の広さを5〜50mmまで5mmピッチで設定し、さらに、累進帯下端から3mm下の近用部の水平方向の明視域の広さを2〜20mmまで2mmピッチで設定し、これらのそれぞれの組み合わせを基本となる累進面の基礎パターン(基礎パラメータ)としてある。従って、基礎パラメータファイル51には100タイプの累進面を示す基礎パラメータが予め用意されている。図5には、中間視野を重視するタイプに区分けできるものを「中間」、遠中視野を重視するタイプに区分けできるものを「遠中」、遠用視野を重視するタイプに区分けできるものを「遠用」、中近視野を重視するタイプに区分けできるものを「中近」、遠中近のバランスをとったタイプに区分けできるものを「バラ」、近用視野を重視するタイプに区分けできるものを「近用」、遠近視野を重視するタイプに区分けできるものを「遠近」という名称をふってグループ分けして基礎パラメータとしているが、もちろん基礎パラメータがこれらの名称や区分けの基準に限定されるものではない。
これらの基礎パラメータと職業を対応するデータが図6に示す職業ファイル52aに予め用意されている。例えば、過去の眼鏡レンズの販売実績などから弁護士は遠用部20mmおよび近用部10mmの明視域を備えた累進多焦点レンズが一般的に望ましいという結果が得られていると、弁護士という職業に対しては中近4という基礎パラメータが割り当てられる。同様に、医者という職業に対しては遠用部30mmおよび近用部12mmの明視域を備えた累進多焦点レンズが一般的に望ましいという結果が得られていると、中近13という基礎パラメータが割り当てられる。従って、ステップ12aでは、職業ファイル52aを参照してユーザーの職業に適した基礎パラメータを設定できる。
さらに、本例の多焦点レンズの製造方法においては、図7に示す趣味ファイル52bも用意されている。例えば、趣味がドライブの場合は、遠用部50mmおよび近用部2mmの明視域を備えた累進多焦点レンズが一般的に望ましいという結果が得られていれば、遠用2という基礎パラメータが割り当てられる。従って、ステップ12bでは、趣味ファイル52bを参照してユーザーの趣味に適した基礎パラメータを設定できる。図6および図7に示した基礎パラメータはもちろん例示にすぎず、過去の眼鏡レンズの販売実績やその後の追跡調査などによって設定されるものである。
このように、本例の累進多焦点レンズの製造方法においては、職業が同じであっても個々のユーザーによって眼鏡の使用目的や必要とされる視野の位置および広さは異なっており、それを趣味という別のカテゴリーの主ライフ情報によって補い、個々のユーザーに最適の累進多焦点レンズを提供できるようにしている。例えば、職業が医者で趣味がゴルフのユーザーは、ステップ12aにおいて第1の基礎パラメータとして中近13が得られ、ステップ12bにおいて第2の基礎パラメータとして遠用2が得られる。これらの基礎パラメータは異なったタイプの累進面を示す設計パラメータであり、このままではカスタムメイドされた累進面を設計することができない。そこで、本例の製造方法においては、図4に示すように、副ライフ情報1a.3としてユーザーが職業と趣味に費やす比率をライフスタイルのデータとしてカスタマイズ情報1に含めるようにしている。例えば、趣味であるゴルフの比率が月に1回程度であれば、遠用部の使用頻度は少ないと判断できるので、職業に係る第1の基礎パラメータをベースに最低必要な明視域として遠用部だけを2ランク上げたバラ4、すなわち、遠用部40mmおよび近用部12mmの明視域が確保できる基礎パラメータに設定することができる。このため、ステップ12aおよび12bでそれぞれ設定された第1および第2の基礎パラメータを調整する基礎パラメータ調整工程をステップ12cに設けてある。
さらに、長年眼鏡を使用していたユーザーであれば、前に装着していた眼鏡レンズの明視域の広さと比較し、新たな眼鏡レンズの明視域の広さが大きくことなると、視野の範囲のみならず、累進部における収差分布も大きく異なり違和感が生じやすい。一方、前に装着していた眼鏡レンズに視野が狭いなどの不満がある場合は、この不満を取り除く眼鏡レンズを提供することが望ましい。また、初めて累進多焦点レンズを装着するユーザーの場合には、累進レンズ特有の視野の制限や像の歪みが気になることが多い。従って、明視域の広い遠用重視の眼鏡レンズが望ましい。このように、ユーザーの眼鏡の履歴によっても最適な眼鏡レンズの仕様が異なることがあるので、本例の製造方法においては、図4に示すように、カスタマイズ情報1にユーザー毎の眼鏡の履歴に関する情報1kを設け、ステップ12cで設定された基礎パラメータを履歴情報1kで補正する基礎パラメータの補正工程をステップ12dに設けてある。
このようなステップ12a〜12dに対応して、図2に示した本例の累進多焦点レンズの製造装置60の基礎パターン設定部66には、職業ファイル52aから職業に対応する基礎パラメータを設定する第1の基礎パラメータ設定部66aと、趣味ファイル52bから趣味に対応する基礎パラメータを設定する第2の基礎パラメータ設定部66bと、職業と趣味の比率によって累進面の設計に使用する基礎パラメータを調整する基礎パラメータ調整部66cと、さらに、ユーザーの履歴によって基礎パラメータを補正する基礎パラメータ補正部66dを備えている。
〔遠用部および近用部の補正〕
次に、ステップ13においてカスタマイズ情報1に含まれる回旋角1bおよび輻輳量1cあるいは遠用から近用にかけてのユーザーの視線の使い方から上記の基礎パラメータによって設定された遠用部および近用部の広さおよび位置を補正する。本例においては、上記のカスタマイズ情報1によって累進帯の長さ、累進帯形状および累進帯における加入変化率を求め、これによって近用部の位置決めを最終的に行っている。
回旋角1bは、水平視線を基準に下方に回旋できる最大値(最大回旋角)をユーザー毎に測定することによってカスタマイズ情報1に含めることができる。眼鏡レンズの後面から眼球の回旋中心までを25mmとした場合に、最大回旋角Aを使用したときの視線の位置はレンズ上で近似的に25×tan(A)mmで得ることができる。例えば、最大回旋角Aが40°では、水平視線からレンズ面上で下方約20mmまで視線を移動できる。従って、この20mm下方の位置では度数的に安定した近用部領域を設定することが望ましい。このため、レンズ中心の3mm程度上方である水平視線の位置から17mm程度下方に近用開始点(累進帯下端)を設定する。また、通常のユーザーの視線は水平視線より5〜6°程度下方にあるときが多く、これを常用視線というが、これを考慮して水平視線位置より2mm程度下方に累進開始点を設定する。従って、このような最大回旋角Aを備えたユーザーの場合は、上記のように近用部の位置決めが行われて累進帯長の長さが15(17−2)mmに設定される。
輻輳量1cは従来はレンズ上で片眼ほぼ2.5mmが一般的な値として設定されているが、眼筋の動きや調整力によって実際はユーザー毎に輻輳量1cは異なっている。さらに、近くをみるときに頭を傾げる癖などがあるユーザーでは、左右の輻輳量を変えることが望ましいこともあり、この場合は、左右の眼鏡レンズで異なった位置に近用部をそれぞれ設定することが望ましい。個々のユーザーの輻輳量1cは、例えば、遠用視線の位置を基準に近用視線の位置が何mm程度内側(鼻側)にあるかによって測定することが可能である。本例の累進多焦点レンズの製造方法においては、個々のユーザー毎に累進面を設計するようにしているので、このようなユーザー毎の癖や眼の動きを反映し、さらに左右の眼で異なった輻輳量を加味した累進面を備えた眼鏡レンズを提供することができる。
このように、ユーザー毎の遠用から近用に視線が移動する際の動きを示すこれらの回旋角1bおよび輻輳量1cに基づき、図13に示すように、遠用部72の中心(遠用中心)72bや近用部73の中心(近用中心)73bなどの位置をユーザーに合わせて設定することが可能である。これによって、遠用部72、近用部73およびこれらを接続する累進部74の領域が決まり、さらに、主注視線75も設定できるので、累進面71の基本的な仕様が決定される。
〔ベースカーブおよび度数分布の決定〕
次に、ステップ14において、遠用部72の屈折力(度数)分布を決定する。まず、ステップ15において、カスタマイズ情報1の度数を示すS度数1dおよび乱視矯正を示すC度数1eからベースカーブを選択する。本例においては、図8に示すように、S度数1dおよびC度数1eの組み合わせによってベースカーブ値が選択できるルックアップテーブルがベースカーブファイル53に設定されており、例えば、S度数1dおよびC度数1eがそれぞれ0.25ディオプトリ(D)単位で適当なベースカーブを設定できるようになっている。
累進レンズの遠用部の表面屈折力を与える基本カーブ(ベースカーブ)は、光学性能、外観、物理的にレンズとして製造可能であるかなどを考慮して球面度数(S度数)1dおよび乱視度数(C度数)1eの関係で予め設定することができる。従って、カスタマイズ情報1に含まれる処方度数(球面度数および乱視度数)から遠用部のベースカーブが決定される。また、近用部のベースカーブも、以下のステップ19で述べるように、遠用部のベースカーブに対し加入度1fを加味して設定することができる。例えば、S度数1dが1.50DでC度数1eが−1.00Dであり、さらに、加入度2.25Dのユーザーの場合は図8に示したベースカーブファイル53に基づき、遠用部のベースカーブが3.50D、近用部のベースカーブが5.75Dに設定される。
ステップ15において遠用部のベースカーブが決定されると、ステップ16において、カスタマイズ情報1のライフスタイル1aに関連する情報に基づき決定された基礎パラメータに対応した遠用部の水平度数分布が遠用度数分布ファイル54から抽出される。度数分布に関しても、ファイル54に基礎パラメータファイル51に用意された基礎パラメータのそれぞれに対応して遠用度数分布を決定するルックアップテーブルが予め用意されており、これを参照してユーザー毎の度数分布を決定できるようになっている。上述したように数十あるいはそれ以上の累進面のパターンに係る度数分布をルックアップテーブルとして用意することが可能であり、もちろん、関数などを用いて度数分布を求めることも可能である。さらに、ステップ17において、ベースカーブと水平方向の度数分布から遠用部72全体の度数分布を決定する。決定された度数分布は度数分布データファイル81に出力される。
次に、ステップ18において、近用部73の屈折力(度数)分布を決定する。本ステップにおいては、まず、ステップ19において、カスタマイズ情報の加入度1fによってステップ15で決定したベースカーブから近用部のカーブを決定する。さらに、遠用部と同様にライフスタイル1aの情報に基づき設定された基礎パラメータに基づきステップ20において近用度数分布をファイル55を参照して決定し、ステップ21において近用部72全体の度数分布を決定する。決定された近用部の度数分布も度数分布データファイル81に出力される。
このようにして図13に示す遠用部72および近用部73の度数分布が決まるので、ステップ22において、度数分布データファイル81に出力されたこれらの領域の度数分布に基づき累進部(中間部)74の屈折力(度数)分布を決定する。中間部の度数分布は遠用部から近用部までほぼ一定の度数変化の設定で決定しても良いが、ユーザーの視線の使い方に合わせて変化させることも可能である。本例の製造方法においては、累進帯の位置や長さはステップ11によって決定されているので、ステップ23においてカスタマイズ情報1の視線1gの情報から累進帯の度数変化を決定する。そして、上下に位置する遠用部72および近用部73の水平方向の度数分布を参照してステップ24において累進帯側方度数変化を決定する。以上のステップでカスタマイズ情報1の内、累進面の設計に反映すべき情報を累進面の設計パラメータに反映することができ、本例においては、最終的には各領域の度数分布が得られるようにしている。最終的に決定した各領域の度数分布は度数分布データファイル81に出力され、後流の座標を導出する工程6に渡される。
〔設計パラメータの異なった設定方法〕
上記では、累進多焦点レンズの設計の基礎となる遠用部および近用部の明視域を定める基礎パラメータが数多く予めファイル51に用意され、その中の最適の基礎パラメータをユーザーのカスタマイズ情報1によって選択することによって個々のユーザーに最適な累進多焦点レンズをカスタムメイドできる製造方法を例示している。本発明がこの製造方法に限定されないことはもちろんである。主ライフ情報の職業に基づき大きな累進多焦点レンズのタイプ、例えば、遠用重視タイプ、遠中近バランスタイプあるいは近用重視タイプのいずれかを選択し、また、趣味に基づき同様の複数のタイプのいれずかを選択し、これらを副ライフ情報によって重み付けして基礎パラメータを設定することも可能である。
遠用重視タイプをA群、遠中近バランスタイプをB群、さらに、近用重視タイプをC群としたときに、これらの各タイプの眼鏡レンズを採用するのに適した職業は、例えば、図9に示すように区分けすることができる。同様に、各タイプの眼鏡レンズを採用するのに適した趣味を図10に示すように区分けすることができる。A群、B群およびC群毎に遠用部および近用部の明視域の広さや位置を示す基礎パラメータや、さらに度数分布といったその他の設計パラメータを設定することが可能であり、職業と趣味による選択結果が同じタイプを示す場合は、それぞれの群で設定された設計パラメータで累進多焦点レンズの設計を進めることができる。一方、職業に基づきタイプと、趣味に基づくタイプが異なる場合は、ユーザー毎の職業と趣味の比率情報などによって重み付け関数W1を求め、以下のような式によってユーザーに最適な基礎パラメータなどの設計パラメータを求めることができる。
最適な設計パラメータ
=職業に基づき選択されたタイプの設計パラメータ×W1
+趣味に基づき選択されたタイプの設計パラメータ×(1−W1)
・・・・・(1)
ここで、重み付け関数W1は、職業による重み付け関数とする。
例えば、職業と趣味でほぼ均等に眼鏡を使用するユーザーであれば、重み付け関数W1を50%に設定することができる。一方、90%は職業で眼鏡を使用するユーザーであれば重み付け関数W1を90%に設定することができる。本例においても、このように、カテゴリーの異なる2つの主ライフ情報に基づき基礎パラメータなどの設計パラメータを設定し、それらをユーザーの職業と趣味に費やす時間の比率などの副ライフ情報で調整することにより、いっそう個々のユーザーに適した累進多焦点レンズを製造し、供給することができる。
このようにしてユーザーの個々のライフワークに対応した最適な眼鏡レンズの設計パラメータが決まるので、上述した製造方法と同様に他のユーザーの眼に関連するカスタマイズ情報を使用して設計を進めることができる。また、本例においても、ユーザーの眼鏡レンズの使用経験(履歴)情報に基づき、上記の式(1)で設定された最適な設計パラメータをさらに補正することも可能である。
一例として、今回が初めて累進多焦点レンズを装着するユーザーの場合は、累進多焦点レンズ特有の視野の制限や像の歪みが気になることが多い。従って、このようなユーザーには、遠用重視のタイプ、すなわちA群に近い設計の累進多焦点レンズが好ましい。そこで、上記の式(1)で定まった最適な設計パラメータを最適設計パラメータ1として以下の式(2)で補正することができる。
最適な設計パラメータ2
=最適設計パラメータ1×W2+A群の設計パラメータ×(1−W2)
・・・・・(2)
ここで重み付け関数W2は、ユーザーの累進多焦点レンズに対する適性に関する値であり、0〜1の値を採用しうるが0.1〜0.7程度が良いようである。
また、重み付け関数W2をユーザーの加入度数1fの関数とすることも可能である。加入度1fが低いユーザーの場合は、最適設計パラメータ1のままでも視野の制限は少なく歪みも小さいため、重み付け関数W2は1に近い値で良い。これに対し、加入度1fが大きいユーザーの場合は、重み付け関数W2が0に近い、すなわち、遠用重視のタイプに近いほうが初めてのユーザーでもかけ慣れ易い。このような重み付け関数W2としては、次の式(3)に示すような関数を採用することができる。
W2 = α−ADD×β ・・・・・(3)
ここで、ADDは加入度1fであり、αおよびβは加入度1fに対し適当な重み付け関数W2が得られるように設定された係数である。例えば、α=0.8、β=0.2のとき、加入度1fが0.50〜3.50Dの範囲で式(3)は0.1〜0.7の値をとる。
また、すでに累進多焦点レンズを装用したことのあるユーザーの場合は、以前に装用していたレンズに満足していたか否かを最適設計パラメータ1に反映する補正を行うことができる。例えば、以前(現行)のレンズに満足しているユーザーの場合は、以前の累進多焦点レンズのタイプと最適設計パラメータ1を用いて以下のような式(4)で最適な設計パラメータ3を求めることができる。
最適な設計パラメータ3
=最適設計パラメータ1×(1−W3)
+以前の累進多焦点レンズのタイプの設計パラメータ×W3
・・・・・(4)
ここで重み付け関数W3は、ユーザーの以前の累進多焦点レンズに対する適性に関する値であり、0〜1の値を採用しうる。
あるいは、以前のレンズの個々の要素を示す設計パラメータを事前に解析して、個々の設計パラメータを以前のレンズの設計パラメータに近づくように補正することも可能である。
逆に、以前のレンズに不満があるユーザーの場合は、特に不満な部分を改善するように設計パラメータを補正することができる。例えば、以前のレンズが歪みが大きくてかけられなかったユーザーに対しては、以前のレンズの設計パラメータと最適設計パラメータ1とを比較し、歪みを低く抑えた方が望ましい場合は歪みの少ないA群の設計パラメータを重み付けして加算する。また、近用部が狭いという不満のあるユーザーに対しては、近用重視のタイプであるC群の設計パラメータを重み付けして加算し、最適な設計パラメータを導出することができる。このようにして個々のユーザーのライフワークに関連するカスタマイズ情報を反映した設計パラメータを決定し、上記と同様に個々のユーザーの眼に関するカスタマイズ情報に基づきさらなる補正を加え、カスタマイズ情報を反映した累進面の度数分布を導出する。このように、本発明においては、カスタマイズ情報を適当な関数を用いて個々のユーザーに最適な設計パラメータに変換してカスタムメイドされた累進多焦点レンズを設計および製造することができる。
〔累進面の座標データの導出〕
図11に、座標データ導出部62にて行われるカスタムメイドされた累進面71の座標を導出する工程6における処理を示してある。この処理では、具体的には、各点の度数分布に応じた曲率半径を持つ微小球面を接続することによってレンズの中心部から外周方向に向かって次々と座標を計算する。各点の曲率半径R(m)は、度数分布をD(ディオプトリー)、レンズの素材屈折率をnとする次の式で得ることができる。
R=(n−1)/D ・・・・・(5)
まず、ステップ25において、主子午線(主注視線)75に沿った面形状を決定する。通常、多くの場合は主子午線75に沿って非点収差が発生しないように面形状が決定されるが、乱視矯正機能を持たせたり、あるいは他の目的で所定の収差を折り込むことも可能である。ステップ26において、上記にて決定された遠用部72の度数分布に従って、遠用部72の主子午線75に沿った面形状が決定される。同様にステップ27において近用部73の主子午線75に沿った面形状、およびステップ28において累進部74の主子午線75に沿った面形状が決定される。
次に、ステップ29において、主子午線75から側方に延びる累進面71の座標が決定される。まず、ステップ30において、カスタマイズ情報1によって決定された遠用部72の度数分布にしたがって遠用側方形状が決定される。同様に、ステップ31において近用部73の度数分布にしたがって近用側方形状が決定され、ステップ32において累進部74の度数分布にしたがって累進帯側方形状が決定される。このようにして、カスタマイズ情報1を反映した累進面、すなわち、カスタムメイドされた累進面71の座標が決定される。このカスタムメイドされた累進面71は、各々のユーザーに対してそれぞれ異なる一品一様の累進面であり、ユーザーの眼の状態やライフスタイルなどに合致した累進面となる。従って、各々のユーザーに対し、使いやすく快適な視野の得られる累進面を提供することができる。
〔レンズ形状の決定〕
以上で累進面が決定されるので、次に、図12(a)にさらに詳細に示すように、レンズ形状決定部63においてステップ7のレンズ形状が決定される。レンズ形状としては、凸面に累進面71を形成するのであれば、凹面の形状を決定する必要がある。レンズの裏面は、通常、半径R1の球面または半径R1およびR2を有するトーリック面形状をしており、遠用部の表面のベースカーブをD0(デイオプトリー)、レンズの中心厚をt(m)とすると次の式(6)によって計算することができる。
R1=(n−1)/Dl
R2=(n−1)/D2
D1=D0/(1−t・D0/n)−S
D2=D1+C ・・・・・(6)
ここで、Sはカスタマイズ情報1の処方の球面度数(S度数)1dであり、Cは乱視度数(C度数)1eである。
このように、カスタマイズ情報1のS度数1d、C度数1eおよび乱視の方向を示す乱視軸1hによってレンズの裏面を形成するトーリック面が決定される。プラス度数が処方されたユーザーに対しては、レンズの大きさにより物理的に製作可能な中心厚tがきまるので、カスタマイズ情報のフレーム形状1iによて中心厚tを評価し、最適な厚みのレンズを決定することができる。また、このtの値によって裏面の曲率R1およびR2も変化する。一方、フレームの形状が指定されないユーザーに対しては、標準レンズ径、最低中心厚、最低縁厚が処方度数1dおよび1eに対応して設定できるので、この値を用いて裏面の形状を計算し、累進多焦点レンズの形状が決定される。このため、本例の製造方法においては、レンズ径ファイル57、最低中心厚ファイル58および最低フチ厚ファイル59が用意されており、これらのファイル中にはS度数およびC度数によってそれぞれの値が求められるように形成されたルックアップテーブルが収納されている。このようにして座標データファイル82に収納された座標データに基づき決定されたユーザー毎のレンズの形状を示す値はレンズ形状ファイル83に出力され、次の工程に渡される。
〔光学性能の補正〕
さらに、本例の製造方法においてはステップ8でそり角、前傾角、頂点間距離といったカスタマイズ情報1のフィッティングデータ1jによって上記のように決定されたレンズ形状をさらに詳細に補正できるようにしている。例えば、頂点間距離は通常12mmを基準としているが、実際にユーザーがレンズを装着したときに頂点間距離がこの値からずれると、眼鏡レンズの矯正効果が低下して実際に眼に感じられる度数が変化することが一般に知られている。また、乱視矯正機能を備えたレンズでは、乱視矯正効果も変化する。従って、このステップ8では、実際にユーザーが眼鏡を眼にかけたときの状態を想定し、そのときに適性な球面度数および乱視度数が得られるように裏面の曲率R1およびR2を補正できるようにしている。このような補正を行うステップ8においては、例えば、光線追跡法などを用いることが可能である。また、レンズ形状が決定した後、実際の眼の位置における非点収差と屈折力の分布差を求め、これらが最小となるように凸面の累進面あるいは凹面を補正したり、そり角や前斜角から近用部とユーザーの角膜の間の距離を計算して調節効果のずれを考慮した加入度の補正も行うことができ、個々のユーザーに対応して設計された眼鏡レンズの光学的な性能をさらに高めることができる。本例においては、個々のユーザー毎に累進面を設計し、それに基づきレンズ形状を決定しているので、このような個々のユーザーにおける眼鏡の装着状態(度数、身体的特徴、装用情報など)によって累進面あるいはレンズ形状の設計を補正することができる。従って、装着状態まで含めてユーザー個人に最適な眼鏡用のレンズを提供することができる。
〔加工データの導出〕
以上のようにして、レンズ形状ファイル83に出力されたレンズ形状が最終的に決まると、上述したようにステップ9においてNC加工などを行うための加工データを作成し、実際にレンズの加工を行う。従って、加工された累進多焦点レンズはユーザー個人に合わせてカスタムメイドされたレンズとなり、ユーザーに対し最も快適な視野を提供できるレンズを供給できる。また、ユーザーの度数、ライフスタイルおよびフィッティング状況などの条件は、上述したレンズの加工データが作成される以前に全て反映されているので、加工は1工程で良く、短時間で累進多焦点レンズをカスタムメイドすることができる。
加工ステップ3においては、レンズ基材を加工し累進多焦点レンズを形成すると共にフレーム枠に合わせて玉型加工が行われ、図13に示すような眼鏡レンズ79に成形され出荷される。さらに、ユーザーの要求によりカラーコート、UVコートなどの付加も同時に行われる。
以上に説明したように、本例の累進多焦点レンズの製造方法においては、ユーザーから得たカスタマイズ情報にしたがって、そのユーザーに最適の累進面を設計する工程からスタートし、カスタムメイドされた累進面を備えた累進多焦点レンズが加工され出荷される。従って、累進多焦点レンズの装着者の個々のライフスタイル、身体的特徴、装用状態などに合わせて一人一人に最適の光学性能を備えた累進多焦点レンズをカスタムメイドすることができる。このため、多種多様なユーザーの個々に対し従来にも増して快適な視野の得られる累進多焦点レンズを提供することができる。また、個々の累進多焦点レンズを製造する際に、累進面の設計からスタートするようにしているので、セミフィニッシュ状態のレンズを在庫し、その管理を行う必要がない。従って、加工コストも低減するとことができ、ユーザーが満足する光学的な性能を備えた眼鏡レンズを安価に提供することができる。
なお、上記では、物体側の凸面が累進面になった例で説明しているが、眼球側の凹面に累進面を構成することももちろん可能であり、凹面側に累進面およびトーリック面の機能を付加することも可能である。さらに、ユーザーの要望によっては、ファッション的な要素を取り入れた設計を行うことも可能であり、個々のユーザーの好みに合わせてファッショナブルで光学的な性能も優れた累進多焦点レンズを提供することができる。
さらに、上記において説明したレンズ設計用のソフトウェアではファイル化されたルックアップテーブルを多く用いた例を説明してあるが、ファイル化されたデータに加え、あるいは代わって適当な関数などを用いて設計パラメータ、レンズデータさらには補正用のデータなどを導出することももちろん可能である。また、累進多焦点レンズの設計手順は上記にフローチャートに示した手順に限定されるものではもちろんなく、同等の結果が得られるソフトウェアであればよい。さらに、累進多焦点レンズをカスタムメイドする際に用いられる情報は、上記に説明した情報の一部であっても累進面から個々のユーザー用のレンズの設計をスタートすることによって本発明の効果が得られることはもちろんである。さらに、上記に説明したカスタマイズ情報に加え、ユーザーの眼の状態あるいは生活に係るさらに多くの情報などをレンズの設計に反映することによりいっそうユーザーに適したレンズを提供できることはもちろんである。
産業上の利用可能性
以上に説明したように、本発明においては、ユーザー個々のカスタマイズ情報を反映した累進面をカスタムメイドし、そのカスタムメイドされた累進面を備えた累進多焦点レンズを設計し、個々のユーザーに最適の眼鏡レンズをカスタムメイドできるようにしている。従って、従来のように、メーカー側が適当に設定した基本的な光学的特性を備えた数種類のレンズの中から選択するのとは大幅に異なり、ユーザー個人に最適の光学的特性を備えた累進多焦点レンズを作成し提供することができる。従って、ユーザーも市場に流通している眼鏡レンズの中から選択するのではなく、自己の眼の状態およびライフスタイルさらには自己の主張までも取り入れられた最適の眼鏡レンズを購入することが可能となり、非常に快適な視野を得て生活をエンジョイすることができる。
さらに、本発明の製造方法を採用することにより、セミフィニッシュ状態のレンズを加工し、在庫するといった手間やコストを全くなくすことが可能である。このため、ユーザーに最適の眼鏡レンズを安価に提供することができる。

Claims (3)

  1. 屈折力の異なる遠用部および近用部、およびこれらの間で屈折力が累進的に変化する累進部を構成する累進面を有する累進多焦点レンズの製造方法であって、
    各々のユーザーの眼に関連する情報および前記ユーザーの生活に関連する情報を含むユーザー個別のカスタマイズ情報を累進面の設計パラメータに反映する設計パラメータ決定工程と、
    前記設定パラメータに基づき前記カスタムメイドされた累進面の座標データを導出する工程とを行うレンズ設定工程を有し、
    前記カスタマイズ情報が、前記ユーザーの生活に関連するカテゴリーの異なる少なくとも第1および第2の主ライフ情報と、
    前記第1および第2の主ライフ情報が前記ユーザーの眼に影響する比率を反映する副ライフ情報とを備え、
    前記設計パラメータ決定工程が、前記設計パラメータの内、少なくとも前記遠用部または近用部の明視域の設定に関する基礎パラメータを前記第1の主ライフ情報に基づき設定する第1の基礎パラメータ設定工程と、
    前記基礎パラメータを前記第2の主ライフ情報に基づき設定する第2の基礎パラメータ設定工程と、
    前記第1および第2の基礎パラメータ設定工程で設定された基礎パラメータを前記副ライフ情報に基づき調整し、前記設計パラメータとして採用する基礎パラメータ調整工程とを備えていることを特徴とする累進多焦点レンズの製造方法。
  2. 請求の範囲第1項に記載の累進多焦点レンズの製造方法において、
    前記カスタマイズ情報は、さらに、前記ユーザーの眼鏡に関連する履歴情報を備えており、
    前記設計パラメータ決定工程は、前記基礎パラメータ調整工程で設定された前記基礎パラメータを前記履歴情報で補正する基礎パラメータ補正工程を備えていることを特徴とする累進多焦点レンズの製造方法。
  3. 請求の範囲第1項又は第2項に記載の累進多焦点レンズの製造方法において、前記カスタマイズ情報は、さらに、前記ユーザーの眼の度数に関する度数情報を備えており、
    前記設計パラメータ決定工程は、前記度数情報に基づき前記遠用部及び近用部のベースカーブを設定するベースカーブ設定工程と、
    予め用意された度数分布データ群の中から前記基礎パラメータに相当する度数分布データを求めて前記ベースカーブの設定された前記遠用部および近用部の度数分布を決定する第1の度数分布決定工程と、
    前記遠用部および近用部の度数分布に基づき、前記累進部の度数分布を決定する第2の度数分布決定工程とを備えていることを特徴とする累進多焦点レンズの製造方法。
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