JPWO2015099081A1 - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

絶縁体の貫通孔内で中心電極と端子金具とを接続する接続部は、抵抗体と、抵抗体の先端側または後端側の抵抗体から離れた位置に配置された磁性体と導電体とを含む磁性体構造物と、を有する。抵抗体と磁性体構造物とのうち、先端側に配置された部材を第1部材とし、後端側に配置された部材を第2部材とする。接続部は、さらに、第1導電性シール部と第2導電性シール部と第3導電性シール部とを有する。第1導電性シール部は、第1部材の先端側に配置され、第1部材に接触する。第2導電性シール部は、第1部材と第2部材との間に配置され、第1部材と第2部材とに接触する。第3導電性シール部は、第2部材の後端側に配置され、第2部材に接触する。また、抵抗体とシール部とが省略され、接続部が、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物を含んでもよい。

Description

本開示は、スパークプラグに関するものである。
従来から、内燃機関に、スパークプラグが用いられている。また、点火によって発生する電波ノイズを抑制するために、絶縁体の貫通孔内に抵抗体を設ける技術が提案されている。また、絶縁体の貫通孔内に磁性体を設ける技術も提案されている。
特開平02−284374号公報 特開昭62−150681号公報 特開昭61−230281号公報 特開昭54−151736号公報 特開昭61−135079号公報 特開昭61−104580号公報 特開昭61−208768号公報
ところが、磁性体を用いて電波ノイズを抑制する点については、十分な工夫がなされていないのが実情であった。
本開示は、磁性体を用いて電波ノイズを抑制できる技術を開示する。
本開示は、例えば、以下の適用例を開示する。
[適用例1]
軸線の方向に延びる貫通孔を有する絶縁体と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入された中心電極と、
前記貫通孔の後端側に少なくとも一部が挿入された端子金具と、
前記貫通孔内で、前記中心電極と前記端子金具とを接続する接続部と、
を備えるスパークプラグであって、
前記接続部は、
抵抗体と、
前記抵抗体の先端側または後端側の前記抵抗体から離れた位置に配置された、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物と、
を有し、
前記抵抗体と前記磁性体構造物とのうち、先端側に配置された部材を第1部材とし、後端側に配置された部材を第2部材としたときに、
前記接続部は、さらに、
前記第1部材の先端側に配置され、前記第1部材に接触する第1導電性シール部と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材とに接触する第2導電性シール部と、
前記第2部材の後端側に配置され、前記第2部材に接触する第3導電性シール部と、
を有する、スパークプラグ。
この構成によれば、第1、第2、第3導電性シール部によって、抵抗体の両端における電気的な接触不良と、磁性体構造物の両端における電気的な接触不良とを抑制できる。以上により、抵抗体と磁性体構造物との両方を用いて適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例2]
適用例1に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物の先端から後端までの電気抵抗値は3kΩ以下である、
スパークプラグ。
この構成によれば、磁性体構造物の発熱を抑制できる。従って、磁性体構造物の発熱による不具合(例えば、磁性体の変質等)を抑制できる。
[適用例3]
適用例2に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物の前記先端から前記後端までの電気抵抗値は1kΩ以下である、
スパークプラグ。
この構成によれば、磁性体構造物の発熱を更に抑制できる。従って、磁性体構造物の発熱による不具合(例えば、磁性体の変質等)を更に抑制できる。
[適用例4]
適用例1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記導電体は、前記磁性体の外周の少なくとも一部を囲む螺旋状のコイルを含み、
前記コイルの電気抵抗値は、前記磁性体の電気抵抗値よりも、低い、
スパークプラグ。
この構成によれば、コイルによって、磁性体の発熱を抑制しつつ、適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例5]
適用例1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記導電体は、前記磁性体を前記軸線の方向に貫通する導電部を含む、
スパークプラグ。
この構成によれば、耐久性を向上しつつ、適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例6]
適用例1から5のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物は、前記抵抗体の後端側に配置されている、スパークプラグ。
この構成によれば、適切に、電波ノイズを抑制できる。
[適用例7]
適用例1から6のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記接続部は、さらに、前記磁性体構造物の外表面の少なくとも一部を覆い、前記磁性体構造物と前記絶縁体との間に介在する被覆部を有する、スパークプラグ。
この構成によれば、絶縁体と磁性体構造物とが直接的に接触することを抑制できる。
[適用例8]
適用例1から7のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体は、酸化鉄を含む強磁性の材料を用いて形成されている、スパークプラグ。
この構成によれば、適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例9]
適用例8に記載のスパークプラグであって、
前記強磁性の材料は、スピネル型フェライトである、スパークプラグ。
この構成によれば、容易に電波ノイズを抑制できる。
[適用例10]
適用例1から9のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体は、NiZnフェライト、または、MnZnフェライトである、スパークプラグ。
この構成によれば、適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例11]
適用例1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物は、
1)前記導電体としての、導電性物質と、
2)前記磁性体としての、鉄含有酸化物と、
3)珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックと、
を含み、
前記磁性体構造物の前記軸線を含む断面において、
前記軸線を中心線とし、前記軸線に垂直な方向の大きさが2.5mmであり、前記軸線の方向の大きさが5.0mmである矩形領域を、対象領域としたときに、
前記対象領域において、前記鉄含有酸化物の領域は、複数の粒状の領域を含み、
前記対象領域において、前記複数の粒状の領域のそれぞれの縁の少なくとも一部は、前記導電性物質によって被覆されており、
前記粒状の領域の前記縁の全長に対する前記導電性物質によって被覆されている部分の長さの割合を被覆率としたときに、前記対象領域において、前記複数の粒状の領域の前記被覆率の平均値は、50%以上である、
スパークプラグ。
この構成によれば、磁性体構造物が特定の構成を有することにより、適切にノイズを抑制できる。
[適用例12]
適用例11に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域のうち、前記鉄含有酸化物の前記領域を除いた残りの領域において、気孔率が5%以下である、
スパークプラグ。
この構成によれば、電波ノイズを適切に抑制できる。
[適用例13]
適用例11または12に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域内において、前記粒状の領域の面積と同じ面積を有する円の直径が、400μm以上、1500μm以下の範囲内である粒状の領域の総数が、6以上である、
スパークプラグ。
この構成によれば、更に適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例14]
適用例11から13のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域において、前記粒状の領域の縁を被覆する前記導電性物質の最小の厚さは、1μm以上、25μm以下である、スパークプラグ。
この構成によれば、更に適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例15]
適用例11から14のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記絶縁体の径方向の周囲に配置される主体金具を有し、
前記磁性体構造物は、前記抵抗体の後端側に配置され、
前記磁性体構造物の後端は、前記主体金具の後端よりも後端側に位置している、
スパークプラグ。
この構成によれば、更に適切に電波ノイズを抑制できる。
[適用例16]
軸線の方向に延びる貫通孔を有する絶縁体と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入された中心電極と、
前記貫通孔の後端側に少なくとも一部が挿入された端子金具と、
前記貫通孔内で、前記中心電極と前記端子金具とを接続する接続部と、
を備えるスパークプラグであって、
前記接続部は、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物を含み、
前記磁性体構造物は、
1)前記導電体としての、導電性物質と、
2)前記磁性体としての、鉄含有酸化物と、
3)珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックと、
を含み、
前記磁性体構造物の前記軸線を含む断面において、
前記軸線を中心線とし、前記軸線に垂直な方向の大きさが2.5mmであり、前記軸線の方向の大きさが5.0mmである矩形領域を、対象領域としたときに、
前記対象領域において、前記鉄含有酸化物の領域は、複数の粒状の領域を含み、
前記対象領域において、前記複数の粒状の領域のそれぞれの縁の少なくとも一部は、前記導電性物質によって被覆されており、
前記粒状の領域の前記縁の全長に対する前記導電性物質によって被覆されている部分の長さの割合を被覆率としたときに、前記対象領域において、前記複数の粒状の領域の前記被覆率の平均値は、50%以上である、
スパークプラグ。
この構成によれば、磁性体構造物が特定の構成を有することにより、適切にノイズを抑制できる。
なお、上記の適用例16に、上記の適用例1から15のうち任意に選択された1以上の適用例を組み合わせてもよい。
第1実施形態のスパークプラグ100の断面図である。 第2実施形態のスパークプラグ100bの断面図である。 参考例のスパークプラグ100cの断面図である。 第3実施形態のスパークプラグ100dの断面図である。 磁性体構造物200dの説明図である。 図4の断面図の一部分の拡大図である。 第4実施形態のスパークプラグ100eの断面図である。
A.第1実施形態:
A−1.スパークプラグの構成:
図1は、第1実施形態のスパークプラグ100の断面図である。図示されたラインCLは、スパークプラグ100の中心軸を示している。図示された断面は、中心軸CLを含む断面である。以下、中心軸CLのことを「軸線CL」とも呼び、中心軸CLと平行な方向を「軸線CLの方向」または、単に「軸線方向」とも呼ぶ。中心軸CLを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、中心軸CLを中心とする円の円周方向を「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLと平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向D1と呼び、上方向を後端方向D2とも呼ぶ。先端方向D1は、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、図1における先端方向D1側をスパークプラグ100の先端側と呼び、図1における後端方向D2側をスパークプラグ100の後端側と呼ぶ。
スパークプラグ100は、絶縁体10(「絶縁碍子10」とも呼ぶ)と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、第1導電性シール部60と、抵抗体70と、第2導電性シール部75と、磁性体構造物200と、被覆部290と、第3導電性シール部80と、先端側パッキン8と、タルク9と、第1後端側パッキン6と、第2後端側パッキン7と、を備えている。
絶縁体10は、中心軸CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔12(「軸孔12」とも呼ぶ)を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能)。絶縁体10は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、脚部13と、第1縮外径部15と、先端側胴部17と、鍔部19と、第2縮外径部11と、後端側胴部18と、を有している。
鍔部19は、絶縁体10の最大外径部分である。鍔部19よりも先端側の第1縮外径部15の外径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(図1の例では、先端側胴部17)には、後端側から先端側に向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部16が形成されている。鍔部19よりも後端側の第2縮外径部11の外径は、先端側から後端側に向かって、徐々に小さくなる。
絶縁体10の貫通孔12の先端側には、中心電極20が挿入されている。中心電極20は、中心軸CLに沿って延びる棒状の部材である。中心電極20は、電極母材21と、電極母材21の内部に埋設された芯材22と、を有している。電極母材21は、例えば、ニッケルを主成分として含む合金であるインコネル(「INCONEL」は、登録商標)を用いて形成されている。芯材22は、電極母材21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、銅を含む合金)で形成されている。
また、中心電極20の外観形状に着目すると、中心電極20は、先端方向D1側の端を形成する脚部25と、脚部25の後端側に設けられた鍔部24と、鍔部24の後端側に設けられた頭部23と、を有している。頭部23と鍔部24とは、貫通孔12内に配置され、鍔部24の先端方向D1側の面は、絶縁体10の縮内径部16によって、支持されている。脚部25の先端側の部分は、絶縁体10の先端側で、貫通孔12の外に露出している。
絶縁体10の貫通孔12の後端側には、端子金具40が挿入されている。端子金具40は、導電材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。端子金具40の表面には、防食のための金属層が形成され得る。例えば、Ni層がメッキで形成される。端子金具40は、鍔部42と、鍔部42より後端側の部分を形成するキャップ装着部41と、鍔部42より先端側の部分を形成する脚部43と、を有している。キャップ装着部41は、絶縁体10の後端側で、貫通孔12の外に露出している。脚部43は、絶縁体10の貫通孔12に挿入されている。
絶縁体10の貫通孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための抵抗体70が配置されている。抵抗体70は、主成分であるガラス粒子(例えば、B23−SiO2系のガラス)と、ガラス以外のセラミック粒子(例えば、ZrO)と、導電性材料(例えば、炭素粒子)と、を含む組成物で形成されている。
絶縁体10の貫通孔12内において、抵抗体70と端子金具40との間には、電気的なノイズを抑制するための磁性体構造物200が配置されている。図1の右部には、被覆部290に覆われた状態の磁性体構造物200の斜視図と、被覆部290を取り除いた状態の磁性体構造物200の斜視図と、が示されている。磁性体構造物200は、磁性体210と、導電体220と、を有している。
磁性体210は、中心軸CLを中心とする略円柱状の部材である。磁性体210は、例えば、酸化鉄を含む強磁性の材料を用いて形成されている。酸化鉄を含む強磁性の材料としては、例えば、スピネル型フェライト、六方晶フェライト等を採用可能である。また、スピネル型フェライトとしては、例えば、NiZn(ニッケル−亜鉛)フェライト、MnZn(マンガン−亜鉛)フェライト、CuZn(銅−亜鉛)フェライト等を採用可能である。
導電体220は、磁性体210の外周を囲む螺旋状のコイルである。導電体220は、金属線、例えば、主にニッケルとクロムとを含む合金の線材を用いて形成されている。導電体220は、磁性体210の先端方向D1側の端の近傍から後端方向D2側の端の近傍までの範囲に亘って、巻かれている。
貫通孔12内において、抵抗体70と中心電極20との間は、抵抗体70と中心電極20とに接触する第1シール部60が配置されている。抵抗体70と磁性体構造物200との間には、抵抗体70と磁性体構造物200とに接触する第2導電性シール部75が配置されている。磁性体構造物200と端子金具40との間には、磁性体構造物200と端子金具40とに接触する第3導電性シール部80が配置されている。シール部60、75、80は、例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(Cu、Feなど)と、を含んでいる。
中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70と磁性体構造物200とシール部60、75、80とを介して、電気的に接続される。すなわち、第1導電性シール部60と、抵抗体70と、第2導電性シール部75と、磁性体構造物200と、第3導電性シール部80とは、中心電極20と端子金具40とを電気的に接続する導電経路を形成する。導電性シール部60、75、80を用いることによって、積層される部材20、60、70、75、200、80、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることができる。以下、貫通孔12内で、中心電極20と端子金具40とを接続する複数の部材60、70、75、200、290、80の全体を、「接続部300」とも呼ぶ。
図1には、抵抗体70の後端方向D2側の端の位置72が、示されている(「後端位置72」と呼ぶ)。絶縁体10の貫通孔12のうちの、後端位置72から後端方向D2側の部分の内径は、後端位置72から先端方向D1側の部分(特に、第1導電性シール部60と抵抗体70とを収容する部分)の内径よりも、若干大きい。ただし、双方の内径が同じであってもよい。
磁性体構造物200の外周面は、被覆部290によって覆われている。被覆部290は、磁性体構造物200の外周を覆う円筒状の部材である。被覆部290は、絶縁体10の内周面10iと、磁性体構造物200の外周面と、の間に介在する。被覆部290は、ガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)を用いて形成されている。スパークプラグ100を装着した内燃機関(図示省略)が動作すると、内燃機関からスパークプラグ100に振動が伝達する。この振動は、絶縁体10と磁性体構造物200との間の位置ズレを引き起こし得る。しかし、第1実施形態のスパークプラグ100では、絶縁体10と磁性体構造物200との間に配置された被覆部290が、振動を吸収することによって、絶縁体10と磁性体構造物200との間の位置ズレを抑制可能である。
主体金具50は、中心軸CLに沿って延びて主体金具50を貫通する貫通孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電材料(例えば、金属材料)も採用可能)。主体金具50の表面には、防食のための金属層が形成され得る。例えば、Ni層がメッキで形成される。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入され、主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50の先端側では、絶縁体10の先端(本実施形態では、脚部13の先端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。主体金具50の後端側では、絶縁体10の後端(本実施形態では、後端側胴部18の後端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。座部54の先端方向D1側の胴部55の外径は、座部54の外径よりも、小さい。胴部55の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部52が形成されている。座部54とネジ部52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
主体金具50は、変形部58よりも先端方向D1側に配置された、縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。先端側パッキン8は、鉄製のOリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
主体金具50の変形部58は、径方向の外側(中心軸CLから離れる方向)に向かって中央部が突出するように、変形している。変形部58の後端側には、工具係合部51が設けられている。工具係合部51の形状は、スパークプラグレンチが係合する形状(例えば、六角柱)である。工具係合部51の後端側には、工具係合部51よりも肉厚が薄い加締部53が設けられている。加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端(すなわち、後端方向D2側の端)を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。
主体金具50の後端側では、主体金具50の内周面と、絶縁体10の外周面と、の間に、環状の空間SPが形成されている。本実施形態では、この空間SPは、主体金具50の加締部53および工具係合部51と、絶縁体10の第2縮外径部11および後端側胴部18と、に囲まれた空間である。この空間SP内の後端側には、第1後端側パッキン6が配置され、この空間SP内の先端側には、第2後端側パッキン7が配置されている。本実施形態では、これらの後端側パッキン6、7は、鉄製のCリングである(他の材料も採用可能である)。空間SP内における2つの後端側パッキン6、7の間には、タルク(滑石)9の粉末が充填されている。
スパークプラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が先端方向D1側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、先端側に向けて押圧される。先端側パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、内燃機関の燃焼室内のガスが、主体金具50と絶縁体10との間を通って外に漏れることが、抑制される。また、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
接地電極30は、主体金具50の先端(すなわち、先端方向D1側の端)に接合されている。本実施形態では、接地電極30は、棒状の電極である。接地電極30は、主体金具50から先端方向D1に向かって延び、中心軸CLに向かって曲がって、先端部31に至る。先端部31は、中心電極20の先端面20s1(先端方向D1側の表面20s1)との間でギャップgを形成する。また、接地電極30は、主体金具50に、電気的に導通するように、接合されている(例えば、レーザ溶接)。接地電極30は、接地電極30の表面を形成する母材35と、母材35内に埋設された芯部36と、を有している。母材35は、例えば、インコネルを用いて形成されている。芯部36は、母材35よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅)を用いて形成されている。
以上のように、第1実施形態では、中心電極20と端子金具40とを結ぶ導電経路の途中に、磁性体210が配置されている。従って、放電によって生じる電波ノイズを抑制できる。また、導電体220が、磁性体210の少なくとも一部と並列に接続されている。従って、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値が大きくなることを抑制できる。また、導電体220が、螺旋状のコイルであるので、電波ノイズをさらに抑制できる。
A−2.製造方法:
第1実施形態のスパークプラグ100の製造方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、以下の製造方法を採用可能である。まず、絶縁体10と、中心電極20と、端子金具40と、導電性シール部60、75、80のそれぞれの材料粉末と、抵抗体70の材料粉末と、磁性体構造物200と、を準備する。磁性体構造物200は、公知の方法で形成された磁性体210に、導電体220を巻き付けることによって、形成される。
次に、絶縁体10の貫通孔12の後端方向D2側の開口(以下、「後開口14」と呼ぶ)から、中心電極20を挿入する。図1で説明したように、中心電極20は、絶縁体10の縮内径部16によって支持されることによって、貫通孔12内の所定位置に配置される。
次に、第1導電性シール部60、抵抗体70、第2導電性シール部75のそれそれの材料粉末の投入と投入された粉末材料の成形とが、部材60、70、75の順番に、行われる。粉末材料の投入は、貫通孔12の後開口14から、行われる。投入された粉末材料の成形は、後開口14から挿入した棒を用いて、行われる。材料粉末は、対応する部材の形状と略同じ形状に、成形される。
次に、貫通孔12の後開口14を通じて、磁性体構造物200を、第2導電性シール部75の後端方向D2側に、配置する。そして、磁性体構造物200と絶縁体10の内周面10iとの間の隙間に、被覆部290の材料粉末を充填する。次に、第3導電性シール部80の材料粉末を、貫通孔12の後開口14から、投入する。そして、絶縁体10を、各材料粉末に含まれるガラス成分の軟化点よりも高い所定温度まで加熱し、所定温度に加熱した状態で、貫通孔12の後開口14から、端子金具40を貫通孔12に挿入する。この結果、各材料粉末が圧縮および焼結されて、導電性シール部60、75、80と、抵抗体70と、被覆部290と、のそれぞれが形成される。
次に、絶縁体10の外周に主体金具50を組み付け、主体金具50に、接地電極30を固定する。次に、接地電極30を屈曲して、スパークプラグを完成させる。
B.第2実施形態:
図2は、第2実施形態のスパークプラグ100bの断面図である。図1に示す第1実施形態のスパークプラグ100との差異は、磁性体構造物200が、磁性体構造物200bに置換されている点だけである。スパークプラグ100bの他の構成は、図1のスパークプラグ100の構成と、同じである。図2の要素のうち、図1の要素と同じ要素には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
図示するように、磁性体構造物200bは、絶縁体10の貫通孔12内における抵抗体70と端子金具40との間に配置されている。図2の右部には、被覆部290bに覆われた状態の磁性体構造物200bの斜視図(「第1斜視図P1」と呼ぶ)と、被覆部290bを取り除いた状態の磁性体構造物200bの斜視図(「第2斜視図P2」と呼ぶ)と、が示されている。第2斜視図P2は、磁性体構造物200bの内部の構成を表すように、磁性体構造物200bの一部が切り取られた状態を示している。
図示するように、磁性体構造物200bは、磁性体210bと、導電体220bと、を有している。第2斜視図P2では、導電体220bにハッチングが付されている。磁性体210bは、中心軸CLを中心とする円筒状の部材である。磁性体210bの材料は、図1の磁性体210の材料と同様に、種々の磁性材料を採用可能である(例えば、酸化鉄を含む強磁性の材料)。
導電体220bは、中心軸CLに沿って磁性体210bを貫通している。導電体220bは、磁性体210bの先端方向D1側の端から後端方向D2側の端まで、延びている。導電体220bの材料としては、図1の導電体220の材料と同様に、種々の導電性材料を採用可能である(例えば、主にニッケルとクロムとを含む合金)。
磁性体構造物200bの外周面は、被覆部290bによって覆われている。被覆部290bは、図1の被覆部290と同様に、磁性体構造物200bを覆う円筒状の部材である。被覆部290bは、絶縁体10の内周面10iと、磁性体構造物200bの外周面と、の間に介在することによって、絶縁体10と磁性体構造物200bとの間の位置ズレを抑制する。被覆部290bの材料としては、図1の被覆部290の材料と同様に、種々の材料を採用可能である(例えば、ホウケイ酸ガラス等のガラス)。
貫通孔12内において、磁性体構造物200bと抵抗体70との間には、磁性体構造物200bと抵抗体70とに接触する第2導電性シール部75bが配置されている。また、磁性体構造物200bと端子金具40との間には、磁性体構造物200bと端子金具40とに接触する第3導電性シール部80bが配置されている。導電性シール部75b、80bのそれぞれの材料としては、図1の導電性シール部75、80のそれぞれの材料と同様に、種々の導電性材料を採用可能である(例えば、抵抗体70と同様のガラス粒子と、金属粒子(Cu、Feなど)とを含む材料)。
磁性体構造物200bの先端方向D1側の端、すなわち、磁性体210bと導電体220bとのそれぞれの先端方向D1側の端は、第2導電性シール部75bによって、抵抗体70と電気的に接続される。また、磁性体構造物200bの後端方向D2側の端、すなわち、磁性体210bと導電体220bとのそれぞれの後端方向D2側の端は、第3導電性シール部80bによって、端子金具40と電気的に接続される。第1導電性シール部60と、抵抗体70と、第2導電性シール部75bと、磁性体構造物200bと、第3導電性シール部80bとは、中心電極20と端子金具40とを電気的に接続する導電経路を形成する。導電性シール部60、75b、80bを用いることによって、積層される部材20、60、70、75b、200b、80b、40間の接触抵抗が安定し、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることができる。以下、貫通孔12内で、中心電極20と端子金具40とを接続する複数の部材60、70、75b、200b、290b、80bの全体を、「接続部300b」とも呼ぶ。
以上のように、第2実施形態では、中心電極20と端子金具40とを結ぶ導電経路の途中に、磁性体210bが配置されている。従って、放電によって生じる電波ノイズを抑制できる。また、導電体220bが、磁性体210bと並列に接続されている。従って、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値が大きくなることを抑制できる。また、導電体220bは、磁性体210bに埋め込まれている。すなわち、導電体220bは、両端を除く全体に亘って、磁性体210bによって覆われている。従って、導電体220bの破損を抑制できる。例えば、振動によって導電体220bが断線することを抑制できる。
なお、第2実施形態のスパークプラグ100bは、第1実施形態のスパークプラグ100と同じ方法を用いて製造可能である。磁性体構造物200bは、公知の方法で形成された磁性体210bの貫通孔に、導電体220bを挿入することによって、形成される。
C.参考例:
図3は、参考例のスパークプラグ100cの断面図である。このスパークプラグ100cは、後述する評価試験で、参考例として用いられる。図1、図2に示す実施形態のスパークプラグ100、100bとの差異は、磁性体構造物200、200bと第3導電性シール部80、80bとが省略されている点である。参考例では、端子金具40cの脚部43cは、脚部43cの先端方向D1側の端が抵抗体70の近傍に届くように、実施形態の脚部43よりも長い。脚部43cと抵抗体70との間には、脚部43cと抵抗体70とに接触する第2導電性シール部75cが配置されている。第2導電性シール部75cの材料としては、上記実施形態の第2導電性シール部75の材料と同じ材料を、採用可能である。
また、図3には、絶縁体10cの貫通孔12cのうちの脚部43cを収容する部分の途中の位置44が示されている(「途中位置44」と呼ぶ)。貫通孔12cのうちの、途中位置44から後端方向D2側の部分の内径は、途中位置44から先端方向D1側の部分(特に、第1導電性シール部60と抵抗体70と第2導電性シール部75cと脚部43の一部とを収容する部分)の内径よりも、若干大きい。ただし、双方の内径が同じであってもよい。
参考例のスパークプラグ100cの他の部分の構成は、図1、図2に示すスパークプラグ100、100bの構成と、同じである。第1導電性シール部60と、抵抗体70と、第2導電性シール部75cとの全体は、貫通孔12c内で中心電極20と端子金具40cとを接続する接続部300cを形成する。このような参考例のスパークプラグ100cは、実施形態のスパークプラグ100、100bと同じ方法を用いて、製造可能である。
D.評価試験:
D−1.スパークプラグのサンプルの構成:
スパークプラグの複数種類のサンプルを用いた評価試験について説明する。以下に示す表1は、各サンプルのそれぞれの構成と、4つの評価試験のそれぞれの評価結果と、を示している。
Figure 2015099081
この評価試験では、互いに構成が異なる13種類のサンプルが、評価された。表中には、サンプルの種類の番号と、構成の種類を示す符号と、被覆部の有無と、電波ノイズ特性の評価結果と、耐衝撃特性の評価結果と、抵抗値安定性の評価結果と、耐久性の評価結果とが、示されている。
構成の種類を示す符号とスパークプラグの構成との対応関係は、以下の通りである。
A:図1の構成
B:図2の構成
C:図3の構成
D:図1の構成において、抵抗体70と磁性体構造物200との配置を入れ替えた構成
E:図2の構成において、抵抗体70と磁性体構造物200bとの配置を入れ替えた構成
F:図1の構成において、磁性体210を、アルミナ製の同形状の部材に置換した構成
G:図2の構成において、導電体220bを、2kΩの導電体に置換した構成
H:図2の構成において、導電体220bを、1kΩの導電体に置換した構成
I:図1の構成において、第3導電性シール部80を省略した構成
J:図1の構成において、第2導電性シール部75を省略した構成
K:図2の構成において、導電体220bを、200Ωの導電体に置換した構成
なお、表1に示すように、被覆部290、290bの有無は、上記の構成A〜Kとは独立に、決定される。
各構成A〜Kに共通な構成は、以下の通りである。
1)抵抗体70の材料:B23−SiO2系のガラスとセラミック粒子としてのZrOと導電性材料としてのCとの混合物
2)磁性体210、210bの材料:MnZnフェライト
3)導電体220、220bの材料:主にニッケルとクロムとを含む合金
4)導電性シール部60、75、75b、80、80b、80cの材料:B23−SiO2系のガラスと金属粒子としてのCuとの混合物
ここで、導電体の電気抵抗値は、先端方向D1側の端と後端方向D2側の端との間の電気抵抗値である。以下、先端方向D1側の端と後端方向D2側の端との間の電気抵抗値を「両端抵抗値」と呼ぶ。次に、各評価試験の内容と結果について説明する。
D−2.電波ノイズ特性の評価試験:
電波ノイズ特性は、JASO D002−2に規定された方法に従って測定された挿入損を用いて、評価されている。具体的には、3番のサンプルを基準とした場合の300MHzの周波数での挿入損の改善値(単位はdB)を、評価結果として採用した。「m(mはゼロ以上、かつ、10以下の整数)」の評価結果は、3番のサンプルからの挿入損の改善値が、m(dB)以上、かつ、m+1(dB)未満であることを示している。例えば、「5」の評価結果は、改善値が、5dB以上、かつ、6dB未満であることを示している。改善値が10dB以上である場合、評価結果を「10」に決定した。なお、この評価試験では、サンプルの各種類の挿入損として、構成が同じ5本のサンプルの挿入損の平均値を用いた。5本のサンプルとしては、中心電極20と端子金具40、40cとの間の電気抵抗値が、5kΩを中心とする幅が0.6kΩである範囲内、すなわち、4.7kΩ以上、かつ、5.3kΩ以下の範囲内にある5本のサンプルが、採用された。11番と12番とについては、電気抵抗値のバラツキが大きく、電気抵抗値が上記の範囲内である5本のサンプルを確保できなかったので、評価を省略した。
表1に示すように、1番と8番とを比較すると、磁性体210を有する1番の方が、磁性体210が省略された8番よりも、評価結果が良好であった。このように、磁性体210を設けることによって、電波ノイズを抑制できた。
また、コイル状の導電体220を有する1番と6番の評価結果は、最も良い「10」であり、直線状の導電体220bを有する2番と7番の評価結果は、10よりも低い「6」であった。このように、コイル状の導電体220を設けることによって、大幅に電波ノイズを抑制できた。
また、1番と4番とを比較すると、磁性体構造物200が抵抗体70よりも後端方向D2側に配置された1番の方が、磁性体構造物200が抵抗体70よりも先端方向D1側に配置された4番よりも、評価結果が良好であった。同様に、2番と5番とを比較すると、磁性体構造物200bが抵抗体70よりも後端方向D2側に配置された2番の方が、磁性体構造物200bが抵抗体70よりも先端方向D1側に配置された5番よりも、評価結果が良好であった。このように、磁性体構造物の構成に拘わらずに、磁性体構造物を抵抗体の後端方向D2側に配置することによって、電波ノイズを抑制できた。
また、磁性体構造物200を挟む第2導電性シール部75と第3導電性シール部80との少なくとも一方を省略する場合(11番、12番)、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値を安定させることが困難であった。一方、第2導電性シール部75と第3導電性シール部80とを設けることによって、電気抵抗値を安定させることができた。
D−3.耐衝撃特性の評価試験:
耐衝撃特性は、JIS B8031:2006の7.4に規定された耐衝撃性試験に基づいて、評価されている。「0」の評価結果は、耐衝撃性試験によって異常が生じたことを示している。耐衝撃性試験によって異常が生じなかった場合、さらに、追加の30分間の振動試験をおこなった。そして、評価試験を行う前の電気抵抗値の測定値と、評価試験を行った後の電気抵抗値の測定値と、の間の差分を算出した。ここで、電気抵抗値は、中心電極20と端子金具40、40cとの間の電気抵抗値である。「5」の評価結果は、電気抵抗値の差分の絶対値が、試験前の電気抵抗値の10%を超えたことを示している。「10」の評価結果は、電気抵抗値の差分の絶対値が、試験前の電気抵抗値の10%以下であることを示している。
表1に示すように、磁性体構造物200を挟む第2導電性シール部75と第3導電性シール部80との少なくとも一方が省略された11番と12番の評価結果は「0」であった。一方、磁性体構造物200、200bを挟む2つの導電性シール部(例えば、図1の導電性シール部75、80)を有する1番〜10番、13番の評価結果は、11番と12番との評価結果よりも良好な「5」または「10」であった。このように、磁性体構造物200、200bを2つの導電性シール部で挟むことによって、耐衝撃性を向上できた。
また、磁性体構造物200、200bが2つの導電性シール部によって挟まれるものの、被覆部290、290bを有さない6番と7番の評価結果は、「5」であった。一方、磁性体構造物200、200bを挟む2つの導電性シール部と被覆部290、290bとを有する1番〜5番、8番〜10番、13番の評価結果は「10」であった。このように、被覆部290、290bを設けることによって、耐衝撃性を大幅に向上できた。ただし、被覆部290、290bを省略してもよい。
D−4.抵抗値安定性の評価試験:
抵抗値安定性は、中心電極20と端子金具40、40cとの間の電気抵抗値の標準偏差に基づいて評価されている。評価試験で用いたスパークプラグは、上述したように、接続部(例えば、図1の接続部300)の材料が貫通孔12、12c内に配置された状態で、絶縁体10を加熱することによって、製造される。この加熱によって、導電性シール部60、75、75b、75c、80、80bの粉末材料は、流動し得る。この流動によって、電気抵抗値がばらつく場合がある。このばらつきの大きさを、評価した。具体的には、サンプルの各種類毎に、構成が同じ100本のスパークプラグを製造する。そして、中心電極20と端子金具40、40cとの間の電気抵抗値を測定し、測定された電気抵抗値の標準偏差を算出する。「0」の評価結果は、標準偏差が0.8よりも大きいことを示し、「5」の評価結果は、標準偏差が0.5より大きく、かつ、0.8以下であることを示し、「10」の評価結果は、標準偏差が0.5以下であることを示している。
表1に示すように、磁性体構造物200を挟む第2導電性シール部75と第3導電性シール部80との少なくとも一方が省略された11番と12番の評価結果は「0」であった。一方、磁性体構造物200、200bを挟む2つの導電性シール部(例えば、図1の導電性シール部75、80)を有する1番〜10番、13番の評価結果は、11番と12番との評価結果よりも良好な「10」であった。このように、磁性体構造物200、200bを2つの導電性シール部で挟むことによって、電気抵抗値を大幅に安定化できた。
D−5.耐久性の評価試験:
耐久性は、放電に対する耐久性を示している。この耐久性を評価するために、スパークプラグのサンプルを自動車用のトランジスタ点火装置に接続し、以下の条件下で放電を繰り返す運転を行った。
温度 :摂氏350度
スパークプラグに印加される電圧 :20kV
放電周期 :3600回/分
運転時間 :100時間
評価試験では、上記条件下での運転を行い、その後に、中心電極20と端子金具40、40cとの間の常温での電気抵抗値を測定した。そして、評価試験後の電気抵抗値が評価試験前の電気抵抗値の1.5倍未満である場合、評価結果を「10」に決定した。評価試験後の電気抵抗値が評価試験前の電気抵抗値の1.5倍以上である場合、評価結果を「1」に決定した。
表1に示すように、導電体220bを有する2番の評価結果は、「10」であった。また、導電体220bの代わりに200Ωの導電体を有する13番の評価結果は、「10」であった。また、導電体220bの代わりに1kΩの導電体を有する10番の評価結果は、「10」であった。また、導電体220bの代わりに2kΩの導電体を有する9番の評価結果は、「1」であった。なお、導電体220bの両端抵抗値は、おおよそ、50Ωであった。このように、磁性体構造物の導電体(具体的には、磁性体210bに接続された導電体)の両端抵抗値を小さくすることによって、放電に対する耐久性を向上できた。
磁性体構造物の導電体の両端抵抗値を小さくすることによって放電に対する耐久性を向上できる理由は、以下のように推定できる。すなわち、放電時には、磁性体210bに接続された導電体に電流が流れるので、導電体が発熱する。放電時の電流の大きさは、スパークプラグの内部構成には依存せず、ギャップgにおける適切な火花発生を実現するように調整される。従って、導電体の両端抵抗値が大きいほど、導電体の温度が高くなり得る。導電体の温度が高くなると、導電体の断線の可能性が高くなる。導電体が断線すると、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値が増大し得る。また、導電体の温度が高くなると、磁性体210bの温度も高くなる。磁性体210bは、温度が高い場合には、温度が低い場合と比べて、損傷しやすい(例えば、磁性体210bにクラックが生じる)。磁性体210bが損傷すると、磁性体210bの両端抵抗値が増大することによって、中心電極20と端子金具40との間の電気抵抗値が増大し得る。以上により、導電体の両端抵抗値が小さいほど、磁性体210bの損傷と導電体の断線とを抑制できる。この結果、放電に対する耐久性を向上できる、と推定できる。また、導電体の両端抵抗値が大きい場合には、放電のように電流が導電体の表面に沿って流れることによって、電波ノイズが発生する場合がある。以上により、磁性体構造物の導電体の両端抵抗値が小さいことが好ましい。
耐久性の良好な評価結果「10」が得られた2番と13番と10番とのそれぞれの導電体220bの両端抵抗値は、50Ω、200Ω、1kΩであった。これらの値のうちの任意の値を、導電体220bの両端抵抗値の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の上限として採用可能である。また、これらの値のうちの上限以下の任意の値を、下限として採用可能である。例えば、導電体220bの両端抵抗値として、1kΩ以下の値を採用可能である。また、より好ましくは、導電体220bの両端抵抗値として、200Ω以下の値を採用可能である。なお、導電体220bの両端抵抗値の好ましい範囲の下限としては、上記の値に加えて、ゼロΩを採用可能である。
以上、図2の構成を有する2番と10番と11番と13番との評価結果を用いて説明したが、導電体の発熱と不具合(導電体の断線と磁性体の損傷)の生じ易さとの関係は、磁性体構造物の構成によらず、適用可能であると推定される。従って、図1の構成を有するスパークプラグにおいても、コイル状の導電体220の両端抵抗値が小さいほど、導電体220の断線と磁性体210の損傷を抑制でき、この結果、放電に対する耐久性を向上できる、と推定できる。なお、コイル状の導電体220の材料としては、鉄系材料や銅などの導電性金属を採用することが好ましい。また、耐熱性とコストを考慮する場合、ステンレス鋼、または、ニッケル系合金を採用することが、特に好ましい。
なお、放電時には、導電体220、220bに加えて、磁性体210、210にも、電流が流れ得る。従って、磁性体210、210bの損傷を抑制するためには、磁性体210、210bと導電体220、220bとの全体である磁性体構造物200、200bの両端抵抗値が小さいことが好ましい。磁性体構造物200、200bの両端抵抗値の好ましい範囲としては、例えば、ゼロΩ以上、かつ、3kΩ以下の範囲を採用可能である。ただし、3kΩよりも大きな値を採用してもよい。また、耐久性の良好な評価結果が得られた2番と13番と10番の導電体の両端抵抗値は、それぞれ、50Ω、200Ω、1kΩである。そのような導電体を採用することを考慮することによって、これらの両端抵抗値のうちの任意の値を、磁性体構造物200、200bの両端抵抗値の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の上限として採用可能である。また、これらの値のうちの上限以下の任意の値を、下限として採用可能である。例えば、磁性体構造物200、200bの両端抵抗値として、1kΩ以下の値を採用可能である。また、より好ましくは、磁性体構造物200、200bの両端抵抗値として、200Ω以下の値を採用可能である。なお、磁性体構造物200、200bの両端抵抗値の好ましい範囲の下限としては、上記の値に加えて、ゼロΩを採用可能である。
また、磁性体構造物200、200bの発熱を抑制するためには、導電体220、220bの両端抵抗値が、磁性体210、210bの両端抵抗値よりも低いことが好ましい。この構成によれば、磁性体210、210bに導電体220、220bを接続することによって、磁性体構造物200、200bの両端抵抗値を低減できる。この結果、磁性体構造物200、200bの発熱を抑制できる。なお、上記の1番から13番までの各サンプルでは、磁性体210、210bの両端抵抗値は、いずれも、数kΩであり、導電体(例えば、導電体220、220b)の両端抵抗値よりも大きい。そして、表1に示すように、1番〜8番、10番、13番のサンプルは、耐久性の良好な評価結果を示している。
また、表1に示すように、磁性体構造物200を挟む第2導電性シール部75と第3導電性シール部80との少なくとも一方が省略された11番と12番の評価結果は「1」であった。良好な「10」の評価結果が得られた1番〜8番、10番、13番のサンプルは、いずれも、磁性体構造物200、200bを挟む2つの導電性シール部(例えば、図1の導電性シール部75、80)を有している。このように、磁性体構造物200、200bを2つの導電性シール部で挟むことによって、放電に対する耐久性を、向上できた。
なお、スパークプラグに設けられた磁性体構造物の両端抵抗値を測定する方法としては、以下の方法を採用可能である。以下、図1、図2のスパークプラグ100、100bを例に説明する。まず、絶縁体10から主体金具50を取り外し、そして、ダイヤモンドブレード等の切削工具を用いて絶縁体10を切断し、貫通孔12内に配置された接続部300、300bを取り出す。次に、磁性体構造物200、200bに接触する導電性シール部を、ニッパー等の切削工具を用いて、磁性体構造物200、200bから取り外す。次に、磁性体構造物200、200bに接触する被覆部290、290bを、CTスキャンにて内部構造を観察後、該当箇所を切断及び研磨によって削り出すことによって、磁性体構造物200、200bから取り外す。このようにして得られた磁性体構造物200、200bの先端方向D1側の端と後端方向D2側の端とに抵抗値測定器のプローブを接触させることによって、両端抵抗値を測定する。
また、磁性体構造物の導電体の両端抵抗値を測定する方法としては、以下の方法を採用可能である。すなわち、上記の方法で得られた磁性体構造物200、200bから、ニッパー等の切削工具を用いて、磁性体210、210bを取り除くことによって、導電体220、220bを取得する。得られた導電体220、220bの先端方向D1側の端と後端方向D2側の端とに抵抗値測定器のプローブを接触させることによって、両端抵抗値を測定する。
また、磁性体構造物の磁性体の両端抵抗値を測定する方法としては、以下の方法を採用可能である。すなわち、上記の方法で得られた磁性体構造物200、200bから、CTスキャンにて内部構造を観察後、該当箇所を切断及び研磨によって削り出すことによって得られた磁性体210、210bの先端方向D1側の端と後端方向D2側の端とに抵抗値測定器のプローブを接触させることによって、両端抵抗値を測定する。
磁性体構造物と、導電体と、磁性体とのそれぞれにおいて、先端方向D1側の端と後端方向D2側の端との少なくとも一方が面である場合がある。この場合、その面上の任意の位置にプローブを接触させることによって得られる最小の両端抵抗値を採用する。
E.第3実施形態:
E−1.スパークプラグの構成:
図4は、第3実施形態のスパークプラグ100dの断面図である。第3実施形態では、図1、図2に示す実施形態の磁性体構造物200、200bの代わりに、磁性体構造物200dが設けられている。図4の右部には、磁性体構造物200dの斜視図が示されている。磁性体構造物200dは、中心軸CLを中心とする略円柱状の部材である。絶縁体10dの貫通孔12d内には、先端方向D1側から後端方向D2に向かって、中心電極20の後端方向D2側の部分と、第1導電性シール部60dと、抵抗体70dと、第2導電性シール部75dと、磁性体構造物200dと、第3導電性シール部80dと、端子金具40dの脚部43dとが、この順番に配置されている。磁性体構造物200dは、抵抗体70dの後端方向D2側に配置されている。そして、部材60d、70d、75d、200d、80dの全体は、貫通孔12d内で中心電極20と端子金具40dとを接続する接続部300dを形成している。第3実施形態のスパークプラグ100dの他の部分の構成は、図1、図2に示すスパークプラグ100、100bの構成と、概ね同じである。図4では、第3実施形態のスパークプラグ100dの他の部分については、図1、図2のスパークプラグ100、100bの対応する部分と同じ符号を付して、説明を省略する。
図5は、磁性体構造物200dの説明図である。図5の左上部には、磁性体構造物200dの斜視図が示されている。この斜視図は、一部分が切断された磁性体構造物200dを示している。図中の断面900は、中心軸CLを含む平面による磁性体構造物200dの断面である。図5の中央上部には、断面900上の一部分800を拡大した模式図が示されている(以下、「対象領域800」と呼ぶ)。対象領域800は、中心軸CLを中心線とする矩形領域であり、その矩形状は、中心軸CLに平行な2辺と、中心軸CLに垂直な2辺と、で構成されている。対象領域800の形状は、中心軸CLを対称軸とする線対称である。図中の第1長Laは、対象領域800の中心軸CLに垂直な方向の長さであり、第2長Lbは、対象領域800の中心軸CLに平行な方向の長さである。ここで、第1長Laは、2.5mmであり、第2長Lbは、5.0mmである。
図示するように、対象領域800(すなわち、磁性体構造物200dの断面)は、セラミック領域810と、導電領域820と、磁性領域830と、を含んでいる。磁性領域830は、複数の粒状の領域835で構成されている(以下、「磁性粒領域835」または、単に「粒領域835」とも呼ぶ)。磁性領域830は、磁性体としての鉄含有酸化物で形成されている。鉄含有酸化物としては、例えば、スピネルフェライトである(Ni,Zn)Feや、六方晶フェライトであるBaFe1219などを採用可能である。複数の磁性粒領域835は、磁性体構造物200dの材料として鉄含有酸化物の粉末を用いることによって、形成される。例えば、材料の粉末に含まれる鉄含有酸化物の1つの粒子が1つの磁性粒領域835を形成し得る。また、材料の粉末に含まれる鉄含有酸化物の複数の粒子が互いにくっついて1つの粒子状の構造物を形成し、形成された1つの粒子状の構造物が磁性粒領域835を形成し得る。粒子状の構造物は、例えば、鉄含有酸化物の材料粉末にバインダを添加して混合することによって、形成される。鉄含有酸化物の複数の粒子は、バインダを介して互いにくっつくことによって、大きな径を有する粒子状の構造物を形成できる。以下、1つの粒子と、複数の粒子で構成された1つの粒子状の構造物と、を区別する必要がない場合には、1つの磁性粒領域835を形成する立体的な粒子状の要素を「磁性粒子」と呼ぶ。1つの磁性粒領域835は、1つの磁性粒子の断面を示している。
図示を省略するが、複数の磁性粒領域835を形成する複数の磁性粒子のそれぞれの表面は、導電性物質の被覆層に被覆されている。導電性物質としては、例えば、金属(Ni、Cuなど)、ペロブスカイト型酸化物(SrTiO、SrCrOなど)、炭素(C)、炭素化合物(Cr、TiCなど)を採用可能である。
図5の導電領域820は、磁性粒子の表面に形成された導電性物質の被覆層の断面を示している。図示するように、導電領域820は、磁性粒領域835の縁を被覆している。導電領域820は、複数の磁性粒領域835を被覆する複数の被覆領域825で構成されている。1つの磁性粒領域835を被覆する部分が、1つの被覆領域825に対応する。1つの磁性粒領域835と、その磁性粒領域835を被覆する1つの被覆領域825とは、粒子状の領域840を形成する(「複合粒領域840」と呼ぶ)。図示するように、複数の複合粒領域840は、互いに被覆領域825が接するように、配置されている。互いに接する複数の被覆領域825は、後端方向D2側から先端方向D1側へ延びる電流の経路を形成している。
図示を省略するが、対象領域800(すなわち、断面900)上には、2つの複合粒領域840が離れて配置され得る。このように対象領域800上では互いに離れた2つの複合粒領域840は、対象領域800よりも奥、または、手前の位置で、互いに接する2つの立体的な粒子状の部分の断面を表している場合がある。このように、対象領域800上で、互いに接する、または、互いに離れた、複数の複合粒領域840は、後端方向D2側から先端方向D1側へ延びる電流の経路を形成可能である。放電時には、電流が、複数の複合粒領域840の複数の被覆領域825(すなわち、導電領域820)を通じて、磁性体構造物200dを流れる。
上述のように、導電領域820は、磁性領域830を被覆している。すなわち、電流の経路は、磁性体を囲むように構成されている。磁性体が導電経路の近傍に配置されると、放電によって生じる電波ノイズが抑制される。例えば、導電経路がインダクタンス素子として機能することによって、電波ノイズが抑制される。また、導電経路のインピーダンスが大きくなることによって、電波ノイズが抑制される。
セラミック領域810は、セラミックで形成されている。セラミックとしては、例えば、珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックを採用可能である。このようなセラミックとしては、例えば、第1実施形態で説明したガラスを採用可能である。ガラスとしては、例えば、シリカ(SiO)とホウ酸(B)とリン酸(P)とから任意に選択された1つ以上の酸化物を含む物質を採用可能である。図示するように、複数の複合粒領域840(すなわち、複数の磁性粒領域835と、複数の磁性粒領域835を被覆する複数の被覆領域825)は、セラミック領域810に囲まれている。
図5の中央下部には、1つの粒領域835と、1つの円835cとが示されている。円835cは、粒領域835の面積と同じ面積を有する仮想円である(以下「仮想円835c」と呼ぶ)。図中の直径Dcは、仮想円835cの直径である。この直径Dcは、粒領域835を円で近似して得られる直径である(以下「近似径Dc」とも呼ぶ)。近似径Dcは、粒領域835が大きいほど、大きい。
複数の粒領域835のそれぞれの近似径Dcが大きいことは、複数の被覆領域825のそれぞれが大きいこと、すなわち、電流の経路が太いことを意味している。電流経路の耐久性は、電流経路が太いほど良好である。従って、対象領域800に含まれる複数の粒領域835のうち、大きな近似径Dc(例えば、400μm以上、1500μm以下の範囲内の近似径Dc)を有する磁性粒領域835の数が多いほど、電流経路、ひいては、磁性体構造物200dの耐久性を向上できる。
図5の右下部には、対象領域800の一部分の拡大図が示されている。図中の最小厚さTは、対象領域800内における導電領域820の最小の厚さである。最小厚さTが小さい場合には、導電領域820の耐久性が低下し得る。また、最小厚さTが大きい場合には、磁性体構造物200dの形成のための導電領域820の材料の量が多くなる。
セラミック領域810は、磁性体構造物200dの材料としてセラミックの粉末を用いることによって、形成される。従って、対象領域800上において、セラミック領域810内には、気孔が生じ得る。図5の左下部には、セラミック領域810の拡大図が示されている。図示するように、セラミック領域810内には、気孔812が生じている。スパークプラグ100dの放電時には、気孔812内においても部分的な放電が生じ得る。気孔812内で部分放電が生じることによって、磁性体構造物200dが劣化し、また、電波ノイズが生じ得る。従って、磁性体構造物200dに対する気孔812の割合(例えば、対象領域800から磁性領域830を除いた残りの領域の面積に対する気孔812の面積の割合)が小さいことが好ましい。
図6は、図4の断面図の一部分の拡大図である。図中には、主体金具50の加締部53の近傍が示されている。図中の突出距離Ldは、加締部53の後端53e(すなわち、主体金具50の後端)と、磁性体構造物200dの後端200deと、の間の中心軸CLに平行な距離である。磁性体構造物200dの後端200deが主体金具50の後端53eよりも後端方向D2側に位置している場合に、突出距離Ldが正値である。そして、突出距離Ldが大きいほど、端子金具40dの脚部43dと主体金具50との間の距離が大きい。
図示するように、端子金具40dと主体金具50との間には、絶縁体10dが配置されている。すなわち、端子金具40dと主体金具50とは、絶縁体10dを挟むコンデンサを形成する。従って、電波ノイズは、端子金具40dから、絶縁体10dを介して、接地電極30と同電位である主体金具50へ流れ得る。この結果、電波ノイズの抑制の効果が低減し得る。ここで、突出距離Ldが大きい場合には、端子金具40dと主体金具50との間の距離が大きくなるので、コンデンサの容量が小さくなる。コンデンサの容量が小さい場合には、コンデンサのインピーダンスの大きさ(絶対値)が大きい。従って、端子金具40dと主体金具50との間の距離が小さい場合と比べて、電波ノイズを抑制できる。
E−2.製造方法:
磁性体構造物200dを有するスパークプラグ100dは、第1実施形態で説明した製造方法と同じ手順で製造可能である。絶縁体10dの貫通孔12d内の部材については、以下の通りである。導電性シール部60d、75d、80dのそれぞれの材料粉末と、抵抗体70dの材料粉末と、磁性体構造物200dの材料粉末と、を準備する。導電性シール部60d、75d、80dと抵抗体70dとのそれぞれの材料粉末としては、第1実施形態で説明した導電性シール部60、75、80と抵抗体70とのそれぞれの材料粉末と同じものを採用可能である。磁性体構造物200dの材料粉末は、例えば、以下のように準備される。磁性体の粉末に、無電解メッキによって、磁性体の粒子の表面を覆う導電性物質の被覆層を形成する。被覆層で覆われた磁性体の粉末と、セラミックの粉末とを、混合することによって、磁性体構造物200dの材料粉末を準備する。また、メッキに代えて、磁性体の粉末の表面にバインダを塗布し、導電性物質の粒子を磁性体の粒子の表面に付着させることによって、被覆層を形成してもよい。そして、被覆層に覆われた磁性体の粉末と、セラミックの粉末とを、混合することによって、磁性体構造物200dの材料粉末を準備してもよい。
次に、第1実施形態の製造方法と同様に、貫通孔12d内の縮内径部16によって支持される所定位置に、中心電極20を配置する。そして、第1導電性シール部60d、抵抗体70d、第2導電性シール部75d、磁性体構造物200d、第3導電性シール部80dのそれそれの材料粉末の貫通孔12dへの投入と投入された粉末材料の成形とが、部材60d、70d、75d、200d、80dの順番に、行われる。粉末材料の投入は、貫通孔12dの後開口14から、行われる。投入された粉末材料の成形は、後開口14から挿入した棒を用いて、行われる。材料粉末は、対応する部材の形状と略同じ形状に、成形される。
そして、絶縁体10dを、各材料粉末に含まれるガラス成分の軟化点よりも高い所定温度まで加熱し、所定温度に加熱した状態で、貫通孔12dの後開口14から、端子金具40dを貫通孔12dに挿入する。この結果、各材料粉末が圧縮および焼結されて、導電性シール部60d、75d、80dと、抵抗体70dと、磁性体構造物200dと、のそれぞれが形成される。
F.第4実施形態:
図7は、第4実施形態のスパークプラグ100eの断面図である。図4のスパークプラグ100dとの差異は、抵抗体70dと第2導電性シール部75dとが省略されている点である。第4実施形態のスパークプラグ100eでは、中心電極20と磁性体構造物200dとは、第1導電性シール部60eによって接続され、磁性体構造物200dと端子金具40eの脚部43eとは、第2導電性シール部80eによって接続されている。部材60e、200d、80eの全体は、貫通孔12d内で中心電極20と端子金具40eとを接続する接続部300eを形成している。図7では、磁性体構造物200dの全体は、主体金具50の後端53eよりも先端方向D1側に配置されている。ただし、磁性体構造物200dの少なくとも一部が、主体金具50の後端53eよりも後端方向D2側に配置されてもよい。第4実施形態のスパークプラグ100eの他の部分の構成は、図4に示すスパークプラグ100dの構成と、概ね同じである。図7では、第4実施形態のスパークプラグ100eの他の部分については、図4のスパークプラグ100dの対応する部分と同じ符号を付して、説明を省略する。
第4実施形態の磁性体構造物200dは、図4で説明した磁性体構造物200dと同じである。上述したように、磁性体構造物200d内では、電流の経路を形成する導電領域820が磁性領域830の近傍を通るので、磁性体構造物200dは、電波ノイズを抑制できる。
なお、第4実施形態のスパークプラグ100eは、図4で説明したスパークプラグ100dの製造方法と同様の方法で、製造可能である。導電性シール部60e、80eの材料粉末としては、図4の導電性シール部60d、80dの材料粉末と同じものを採用可能である。
G.評価試験:
G−1.概要
図4のスパークプラグ100dの複数種類のサンプルと、図7のスパークプラグ100eの複数種類のサンプルと、を用いた評価試験について説明する。以下に示す表2、表3、表4は、各サンプルのそれぞれの構成と、評価試験の結果と、を示している。
Figure 2015099081
Figure 2015099081
Figure 2015099081
この評価試験では、A−1番からA−30番と、B−1番からB−4番との34種類のサンプルが評価された。表3のA−18番からA−28番の11種類のサンプルは、図4のスパークプラグ100dのサンプルであり、他の23種類のサンプルは、図7のスパークプラグ100eのサンプルである。スパークプラグ100d(図4:A−18番からA−28番)の11種類のサンプルの間では、磁性体構造物200dの内部構成と、突出距離Ldと、の少なくとも一方が互いに異なっている。スパークプラグ100e(図7)の23種類のサンプルの間では、磁性体構造物200dの内部構成が互いに異なっている。表2、表3、表4は、サンプルの番号と、磁性体構造物200dの内部構成(ここでは、鉄含有酸化物の構成と、導電性物質の構成と、セラミックに含まれる元素と、気孔率)と、突出距離Ldと、シール部75dの有無と、抵抗体70dの有無)と、耐久試験前後のノイズ試験の結果と、を示している。なお、磁性体構造物200dの内部構成と、接続部300d、300eの構成と、以外の部分の構成は、スパークプラグの34種類のサンプルの間で、同じであった。例えば、磁性体構造物200dの形状は、34種類のサンプルの間で、おおよそ同じであった。磁性体構造物200dの外径(すなわち、貫通孔12dの磁性体構造物200dを収容する部分の内径)は、3.9mmであった。
鉄含有酸化物の構成としては、組成と、特定の磁性粒領域835の数(粒数)と、が示されている。鉄含有酸化物の組成は、磁性体構造物200dの材料に含まれる鉄含有酸化物の材料から特定された。粒数にカウントされる特定の磁性粒領域835は、近似径Dc(図5)が400μm以上、1500μm以下の範囲内の磁性粒領域835である。近似径Dcは、以下のように算出された。サンプルの磁性体構造物200dを、中心軸CLを含む平面で切断し、磁性体構造物200dの断面を、アルゴンイオン等のイオンビームで試料の断面を処理するクロスセクションポリッシャ(Cross Section Polisher)で処理した。そして、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、断面上の対象領域800(図5)に対応する2.5mm×5.0mmの領域を含む領域を撮影した。SEMの加速電圧は、15.0kVに設定され、作動距離(working distance)は、10mm以上12mm以下の範囲内に設定された。得られたSEM画像は、図5の中央上部の対象領域800に示すような画像を表していた。SEM画像は、画像解析ソフト(Soft Imaging System GmbH社製のAnalysis Five)を用いて2値化された。2値化の閾値は、以下のように設定した。
(1)SEM画像のうちの二次電子像及び反射電子像を確認し、反射電子像における濃色の境界(結晶粒界に相当する)にラインを引き、結晶粒界の位置を明確にした。
(2)反射電子像の画像を改善するために、結晶粒界のエッジを保ちながら反射電子像の画像を滑らかにした。
(3)反射電子像の画像から、横軸に明るさ、縦軸に頻度をとったグラフを作成した。得られるグラフは二山状のグラフになる。この二つの山の中間点の明るさを2値化の閾値に設定した。
このような2値化によって、磁性領域830と導電領域820(すなわち、磁性粒領域835と被覆領域825)が分離された。2値化された画像を用いて複数の磁性粒領域835のそれぞれの面積を算出した。算出された面積を用いて、複数の磁性粒領域835のそれぞれの近似径Dcが算出された。そして、近似径Dcが400μm以上、1500μm以下の範囲内の磁性粒領域835の個数をカウントした(以下、「特定粒数」とも呼ぶ)。なお、1つの磁性粒領域835の一部分が対象領域800の外にはみ出ている場合、その磁性粒領域835は対象領域800内の磁性粒領域835であることとして、特定の磁性粒領域835の数をカウントした。また、特定粒数が小さいサンプルでは、上記の範囲よりも小さい近似径Dcを有する磁性粒領域835の数が多かった。すなわち、特定粒数が大きいサンプルでは、特定粒数が小さいサンプルと比べて、大きな近似径Dcを有する磁性粒領域835の割合、すなわち、400μm以上1500μm以下の近似径Dcを有する磁性粒領域835の割合が高かった。
導電性物質の構成としては、被覆率と最小厚さTとが示されている。被覆率は、磁性粒領域835の縁の全長(1周の長さ)対する、被覆領域825によって被覆されている部分の長さの割合である。被覆率は、上記の2値化された画像を解析することによって、算出された。表中の被覆率は、対象領域800内の複数の磁性粒領域835の被覆率の平均値である。磁性粒領域835の一部が対象領域800の外にはみ出ている場合、その磁性粒領域835は対象領域800内の磁性粒領域835であることとして、被覆率を算出した。なお、導電性物質としては、金属(具体的には、Ni、Cu、Fe)、ペロブスカイト型酸化物(具体的には、LaMnO、YMnO)、炭素(具体的には、カーボンブラック)、炭素化合物(具体的には、TiC)から選択された材料が採用された。本評価試験では、導電性物質の違いがノイズ抑制能力と耐久性とに与える影響は、小さいと推定される。
最小厚さTは、上記の2値化された画像を用いて、算出された。なお、被覆率が100%よりも小さい場合には、被覆領域825は、磁性粒領域835の縁の一部分のみを被覆する。図5の右上部には、磁性粒領域835の縁の一部分を被覆する被覆領域825の例が示されている。図示するように、被覆領域825は、磁性粒領域835の縁上の第1端E1から第2端E2までの部分を被覆している。このような被覆領域825の厚さは、端E1、E2の近傍で局所的に小さくなり得る。そこで、被覆領域825のうち、端E1、E2からの直線距離が所定値(ここでは、50μm)以下である端部EP1、EP2を除いた残りの部分を用いて、最小厚さTを算出した(図中では、端部EP1、EP2に、ハッチングが付されている)。
セラミックに含まれる元素は、セラミック材料(本評価試験では、非晶質のガラスの材料)に含まれる元素から、特定された。表中には、酸素以外の他の元素が示されている。例えば、「SiO」がセラミック材料として用いられる場合、酸素(O)の表記が省略されて「Si」が示されている。また、セラミック材料には、種々の添加成分が追加され得る。表中には、このような添加成分の元素も示されている(例えば、Ca、Na)。なお、セラミックに含まれる元素は、セラミック領域810のEPMA分析によって特定することもできる。
気孔率は、対象領域800から磁性領域830を除いた残りの領域における気孔812(図5)の面積割合である。気孔率は、以下のように算出された。上記のSEM画像を、上述の方法と同様の方法で2値化した。ここで、2値化の閾値は、気孔812と他の領域とを分離できるように、調整された。このような2値化によって、気孔812と他の領域とが分離された。この2値化の結果を用いて、気孔812の面積を算出した(「第1面積」と呼ぶ)。そして、この2値化の結果と、上記の2値化によって特定された磁性領域830と、を用いて、対象領域800から磁性領域830を除いた残りの領域の面積を算出した(「第2面積」と呼ぶ)。気孔率は、第1面積/第2面積である。
突出距離Ldは、図6で説明した突出距離Ldである。表中では、磁性体構造物200dの全体が主体金具50の後端53eよりも先端方向D1側に配置されているサンプルに関しては、突出距離Ldの記載を省略した。
シール部75dの有無に関しては、表中の「A」は、サンプルがシール部75dを有していることを示し、「N」は、サンプルがシール部75dを有していないことを示している。抵抗体70dに有無に関しても、同様に、「A」は、サンプルが抵抗体70dを有していることを示し、「N」は、サンプルが抵抗体70dを有していないことを示している。
シール部75dと抵抗体70dとの両方が「A」であるサンプルは、図4のスパークプラグ100dのサンプルである。シール部75dと抵抗体70dとの両方が「N」であるサンプルは、図7のスパークプラグ100eのサンプルである。
なお、磁性体構造物200dの断面の画像を解析して得られる数値(例えば、特定の磁性粒領域835の個数と、平均被覆率と、最小厚さTと、気孔率)としては、10枚の断面の画像から得られる10個の値の平均値を採用した。1つの種類のサンプルの10枚の断面の画像は、同じ条件下で製造された同じ種類の10個のサンプルの10個の断面を用いて、撮影された。
ノイズ試験では、JASO D002−2(日本自動車技術会伝送規格D−002−2)の「自動車−電波雑音特性−第2部:防止器の測定方法 電流法」に従って、ノイズの強度が測定された。具体的には、スパークプラグのサンプルのギャップgの距離を0.9mm±0.01mmに調整し、13kVから16kVの範囲内の電圧をサンプルに印加して放電させた。そして、放電時に、電流プローブを用いて端子金具40d、40eを流れる電流を測定し、測定された値を、比較のためにdBに換算した。ノイズとしては、30MHz、100MHz、200MHzの3種類の周波数のノイズが測定された。表中の数値は、所定の基準に対するノイズの強度を示している。数値が大きいほど、ノイズが強い。「耐久前」は、後述する耐久試験を行う前のノイズ試験の結果を示し、「耐久後」は、耐久試験を行った後のノイズ試験の結果を示している。耐久試験は、摂氏200度の環境下で、20kVの放電電圧で、スパークプラグのサンプルに400時間放電させる試験である。このような耐久試験によって磁性体構造物200dの劣化が進行し得る。磁性体構造物200dの劣化が進行することによって、「耐久後」ノイズが、「耐久前」のノイズよりも強くなり得る。
なお、表2から表4に示すように、耐久前と耐久後のいずれにおいても、周波数が高いほどノイズ強度は小さかった。
G−2.導電性物質の平均被覆率について:
A−1番からA−6番では、導電性物質の平均被覆率は、50%以上、100%以下の範囲内であった。このようなA−1番からA−6番は、耐久前には、全ての周波数において66dB以下という十分に小さいノイズ強度を実現できた。また、耐久後であっても、全ての周波数においてノイズ強度は77dB以下であり、ノイズの増大を抑制できた。すなわち、磁性体構造物200dの良好な耐久性を実現できた。また、耐久試験によるノイズ強度の増大量は、全ての周波数において、8dB以上、13dB以下の範囲内であった。
表4のB−1番の平均被覆率は、A−1番からA−6番の平均被覆率よりも小さい49%であった。耐久前と耐久後のそれぞれにおいて、B−1番のノイズ強度は、A−1番からA−6番の任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、大きかった。また、B−1番では、耐久試験によるノイズ強度の増大量は、21dB (30MHz)、24dB(100MHz)、22dB(200MHz)であった。A−1番からA−6番の増大量(8dB以上、13dB以下)は、B−1番の同じ周波数での増大量(21dB以上、24dB以下)と比べて、8dB以上改善された。
表4のB−2番の平均被覆率は、B−1番の平均被覆率よりも更に小さい42%であった。耐久前と耐久後のそれぞれにおいて、B−2番のノイズ強度は、A−1番からA−6番の任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、大きかった。また、B−2番では、耐久試験によるノイズ強度の増大量は、24dB (30MHz)、23dB(100MHz)、22dB(200MHz)であった。A−1番からA−6番の増大量(8dB以上、13dB以下)は、B−2番の同じ周波数での増大量(22dB以上、24dB以下)と比べて、11dB以上改善された。
このように、比較的大きい平均被覆率を有するA−1番からA−6番は、比較的小さい平均被覆率を有するB−1番、B−2番と比べて、良好な耐久性を実現できた。この理由は、平均被覆率が大きい場合には、平均被覆率が小さい場合と比べて、導電領域820(図5)によって形成される電流の経路が太くなり、また、導電領域820によって形成される電流の経路が多くなるからだと推定される。
ノイズを抑制し、そして、良好な耐久性を実現したA−1番からA−6番の導電性物質の平均被覆率は、小さい順に、50、55、69、72、94、100(%)であった。対象領域800内の複数の磁性粒領域835のそれぞれの平均被覆率の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)を、上記の6個の値を用いて定めることが可能である。具体的には、上記の6個の値のうちの任意の値を、平均被覆率の好ましい範囲の下限として採用可能である。また、これらの値のうちの下限以上の任意の値を、上限として採用可能である。例えば、対象領域800内の複数の磁性粒領域835の被覆率の平均値の好ましい範囲として、50%以上、100%以下の範囲を採用可能である。
一般的に、被覆率が50%以上である場合には、粒領域835の特定方向側の表面と反対方向側の表面との双方が被覆領域825によって被覆されている可能性が高い。従って、1つの被覆領域825が他の複数の被覆領域825と接している可能性が高い。従って、磁性体構造物200d内に局所的に電気抵抗が高い高抵抗部分が形成されることを、抑制できる。高抵抗部分では、低抵抗部分よりも、電流による発熱が大きい。このような発熱によって、磁性体構造物200dが劣化し得る。対象領域800内の複数の磁性粒領域835の被覆率の平均値が50%以上である場合には、高抵抗部分の形成が抑制されるので、磁性体構造物200dの耐久性を向上できる。
なお、対象領域800内の複数の磁性粒領域835が、上記の好ましい範囲の外の平均被覆率を有する磁性粒領域835を含んでも良い。この場合も、スパークプラグは、磁性体構造物200dが省略される場合と比べて、ノイズを抑制できると推定される。
平均被覆率を調整する方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、導電性物質の無電解メッキのメッキ時間を長くすることによって、平均被覆率を増大できる。また、導電性物質の材料の量を増大することによって、平均被覆率を増大できる。なお、本評価試験の34種類のサンプルでは、以下のように平均被覆率が調整された。全表面が導電性物質で被覆された磁性粒子の材料粉末を準備した。そして、100%未満の平均被覆率を実現するために、導電性物質で被覆済の磁性粒子の材料粉末をかき回すことによって、導電性物質の一部を磁性粒子から剥がした。
G−3.セラミックについて:
A−1番からA−6番の磁性体構造物200dのセラミックは、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含んでいた。表4のB−3番とB−4番の磁性体構造物200dのセラミックは、Si、B、Pのいずれも含んでおらず、代わりに、Ca、Mg、Kを含んでいた。なお、B−3番、B−4番の平均被覆率は、68%、75%であった。
耐久前には、A−1番からA−6番のノイズ強度は、B−3番、B−4番のうち任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度と同じ、または、より小さかった。耐久後には、A−1番からA−6番のノイズ強度は、B−3番、B−4番のうち任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、小さかった。このように、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含むセラミックを有するA−1番からA−6番は、Si、B、Pのいずれも含まないセラミックを有するB−3番、B−4番と比べて、ノイズを抑制できた。
また、B−3番、B−4番の耐久試験によるノイズの増大量は、21dB以上、26dB以下であった。A−1番からA−6番の増大量(8dB以上、13dB以下)は、B−3番、B−4番の同じ周波数での増大量と比べて、8dB以上改善された。
このように、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含むセラミックを採用することによって、良好なノイズ抑制能力と耐久性とを実現できた。この理由は、以下のように推定される。Si、B、Pのいずれも含まないセラミックは、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含むセラミック(例えば、ガラス)と比べて、放電時の電流によって生じる熱によって鉄含有酸化物と反応し易い。従って、耐久試験によって、セラミックと鉄含有酸化物との反応による新たな相が形成され得る。これにより、気孔812の数が増加し、そして、気孔812の径が増大する。一方、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含むセラミックは、ガラスの一種である。このようなセラミックを用いる場合、Si、B、Pと鉄含有酸化物との反応は、抑制される。従って、Si、B、Pのいずれも含まないセラミックを用いる場合と比べて、気孔812の数の増加と気孔812の径の増大とが、抑制される。これにより、気孔812での部分放電を抑制できる。
G−4.平均被覆率と磁性体構造物200dの材料について:
ノイズを抑制し、そして、良好な耐久性を実現したA−1番からA−6番のサンプルでは、以下の材料が用いられた。磁性体構造物200dの磁性領域830を形成する磁性体は、酸化鉄であるFe、Fe、FeOと、スピネルフェライトである(Ni,Zn)Feと、六方晶フェライトであるBaFe1219、SrFe1219と、から選択された材料が用いられた。磁性体構造物200dのセラミックは、珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含んでいた。
一般的には、第1材料と同じ種類の第2材料は、第1材料と同様の特性を有する場合が多い。従って、磁性体構造物200dの上記の材料に代えて同じ種類の他の材料を用いる場合にも、導電性物質の平均被覆率の上記の好ましい範囲を適用可能と推定される。例えば、磁性体構造物200dが以下の構成Z1〜構成Z3を有する場合に、平均被覆率の好ましい範囲を適用可能と推定される。
[構成Z1]磁性体構造物200dは、導電体としての、導電性物質を含む。
[構成Z2]磁性体構造物200dは、磁性体としての、鉄含有酸化物を含む。
[構成Z3]磁性体構造物200dは、珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックを含む。
G−5.気孔率について:
表2のA−1番からA−6番の気孔率は、4.3%以上、5%以下の範囲内であった。そして、A−1番からA−6番は、上述したように、ノイズを抑制でき、そして、良好な耐久性を実現できた。表3のA−29番、A−30番の気孔率は、A−1番からA−6番の気孔率と比べて大きく、6.6、7.2(%)であった。なお、A−29番、A−30番の他の構成については、以下の通りであった。すなわち、平均被覆率は、56、62(%)であった。そして、磁性体構造物200dのセラミックは、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含んでいた。
耐久前と耐久後とのそれぞれにおいて、A−1番からA−6番のノイズ強度は、A−29番、A−30番のうち任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、小さかった。このように、比較的小さい気孔率を有するA−1番からA−6番は、比較的大きい気孔率を有するA−29番、A−30番と比べて、ノイズを抑制できた。この理由は、気孔率が小さい場合には、気孔率が大きい場合と比べて、気孔812(図5)内での部分放電が抑制されるからだと推定される。
ノイズ抑制の能力が比較的良好であったA−1番からA−6番の気孔率は、小さい順に、4.3、4.6、4.8、5(%)であった。これら4個の値のうちの任意の値を、気孔率の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の上限として採用可能である。また、これらの値のうちの上限以下の任意の値を、下限として採用可能である。例えば、気孔率として、4.3%以上、5%以下の値を採用可能である。なお、ノイズ抑制の能力と耐久性とは、気孔率が小さいほど良いと推定される。従って、気孔率の下限としては、ゼロ%を採用してもよい。例えば、気孔率の好ましい範囲として、ゼロ%以上5%以下の範囲を採用可能である。
なお、A−1番からA−6番のノイズ抑制の能力は、一般的なスパークプラグ(例えば、磁性体構造物200dが省略されたスパークプラグ)の能力と比べて、良好である。従って、気孔率が更に大きい場合であっても、実用可能なノイズ抑制の能力を実現可能と推定される。従って、気孔率の上限としては、更に大きい値(例えば、10%)を採用可能と推定される。例えば、A−29番とA−30番とのいずれかの構成を採用してもよい。
気孔率を調整する方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、磁性体構造物200dの焼成温度(例えば、貫通孔12d内に接続部300d、300eの材料を収容する絶縁体10dの加熱温度)を高くすることによって、磁性体構造物200dのセラミック材料が溶融し易くなり、そして、気孔率を小さくできる。また、端子金具40d、40eを貫通孔12d内に挿入する場合の端子金具40d、40eに印加される力を強くすることによって、気孔812を潰すことができ、そして、気孔率を小さくできる。また、磁性体構造物200dのセラミック材料の粒径を小さくすることによって、気孔率を小さくできる。
G−6.特定の磁性粒領域835の個数(特定粒数)について:
表2のA−1番からA−6番では、特定粒数、すなわち、近似径Dcが400μm以上、1500μm以下の範囲内である磁性粒領域835の総数は、3個以上、5個以下であった。A−7番からA−11番の特定粒数は、A−1番からA−6番の特定粒数よりも多く、6個以上8個以下の範囲内であった。なお、A−7番からA−11番の他の構成については、以下の通りであった。すなわち、平均被覆率は、56%以上、74%以下であった。気孔率は、4%以上、4.3%以下であった。そして、磁性体構造物200dのセラミックは、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含んでいた。
耐久前と耐久後とのそれぞれにおいて、A−7番からA−11番のノイズ強度は、A−1番からA−6番の任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、小さかった。このように、特定粒数(すなわち、比較的大きい近似径Dcを有する磁性粒領域835の数)が大きい場合には、特定粒数が小さい場合と比べて、ノイズを抑制できた。この理由は、以下のように推定される。特定粒数が大きいことは、導電領域820(すなわち、電流の経路)の近傍に大きな磁性体が配置されていることを示している。電流の経路(導電領域820)の近傍に大きな磁性体が配置されている場合には、電流の経路の近傍の磁性体が小さい場合と比べて、ノイズを抑制できる。
また、A−7番からA−11番の耐久試験によるノイズの増大量は、全ての周波数で、8dBであった。A−1番からA−6番の増大量は、8dB以上、13dB以下の範囲内であり、A−7番からA−11番の増大量よりも大きかった。このように、特定粒数が大きい場合には、特定粒数が小さい場合と比べて、磁性体構造物200dの耐久性を向上できた。この理由は、以下のように推定される。特定粒数が大きいことは、磁性粒領域835の近似径Dcが大きいことを示している。近似径Dcが大きいことは、被覆領域825、ひいては、電流の経路が太いことを示している。電流の経路が太い場合には、電流の経路が細い場合と比べて、電流経路、ひいては、磁性体構造物200dの耐久性を向上できる。
このように、A−1番からA−6番に加えて、A−7番からA−11番も、良好なノイズ抑制能力と耐久性とを実現した。A−1番からA−11番の特定粒数は、小さい順に、3、4、5、6、7、8であった。これら6個の値のうちの任意の値を、特定粒数の好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の下限として採用可能である。例えば、特定粒数として、3個以上の値を採用可能である。また、これら6個の値のうちの下限以上の任意の値を、上限として採用可能である。例えば、特定粒数として、8個以下の値を採用可能である。
また、更に良好なノイズ抑制能力と耐久性とを実現したA−7番からA−11番の特定粒数は、小さい順に、6、7、8であった。従って、特定粒数の好ましい範囲の下限を、これら3個の値から任意に選択することが好ましい。例えば、特定粒数として、6個以上の値を採用してもよい。
なお、ノイズ抑制能力と耐久性とは、特定粒数が大きいほど良いと推定される。従って、特定粒数の上限としては、更に大きい値(例えば、20個)を採用可能と推定される。また、後述するように、A−12番からA−28番のサンプルは、更に良好なノイズ抑制能力と耐久性とを実現した。そして、A−1番からA−28番の特定粒数は、小さい順に、3、4、5、6、7、8、9、10、11であった。これら9個の値のうちの任意の値を、特定粒数の好ましい範囲の下限として採用可能である。また、これら9個の値のうちの下限以上の任意の値を、上限として採用可能である。例えば、特定粒数として、11個以下の値を採用してもよい。
なお、特定粒数を調整する方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、鉄含有酸化物の材料粉末の粒径を大きくすることによって、特定粒数を大きくできる。なお、特定粒数が、上記の好ましい範囲外であってもよい。
G−7.導電性物質の最小厚さTについて:
表2のA−1番からA−6番の最小厚さTは、1μm未満、または、28μm以上であった。また、表3のA−12番からA−17番の最小厚さTは、1μm以上、25μm以下であった。なお、A−12番からA−17番の他の構成については、以下の通りであった。すなわち、平均被覆率は、58%以上、69%以下であった。気孔率は、3.6%以上、4%以下であった。特定粒数は、6個以上、9個以下であった。そして、磁性体構造物200dのセラミックは、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含んでいた。
耐久前と耐久後とのそれぞれにおいて、A−12番からA−17番のノイズ強度は、A−1番からA−6番の任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、小さかった。この理由は、以下のように推定される。最小厚さTが1μmよりも小さい場合、導電領域820が薄いので、耐久前であっても、種々の原因(例えば、製造時の加熱や試験放電による電流)によって、電流の経路が損傷を受け得る。これにより、最小厚さTが大きい場合と比べて、ノイズが強くなり得る。また、最小厚さTが28μm以上である場合には、導電領域820が厚いので、電流が磁性粒領域835から遠い位置を流れ得る。従って、最小厚さTが小さい場合と比べて、ノイズが強くなり得る。
また、A−12番からA−17番の耐久試験によるノイズ強度の増大量は、4dB以上、6dB以下の範囲内であった。A−12番からA−17番の増大量(4dB以上、6dB以下)は、1μmよりも小さい最小厚さTを有するA−1番からA−3番の同じ周波数での増大量(8dB以上、13dB以下)と比べて、3dB以上改善された。この理由は、以下のように推定される。最小厚さTが1μmよりも小さい場合には、電流の経路が損傷を受け易い。従って、最小厚さTが大きい場合と比べて、耐久性が低くなり得る。
良好なノイズ抑制能力と耐久性とを実現したA−12番からA−17番の最小厚さTは、小さい順に、1、11、16、19、22、25(μm)であった。これらの6個の値のうちの任意の値を、最小厚さTの好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の上限として採用可能である。また、これらの値のうちの上限以下の任意の値を、下限として採用可能である。例えば、最小厚さTとして、1μm以上、25μm以下の値を採用可能である。ただし、A−1番からA−6番のように、最小厚さTが、好ましい範囲の外であってもよい。
なお、最小厚さTを調整する方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、無電解メッキによって導電領域820を形成する場合には、メッキ時間を長くすることによって、最小厚さTを増大できる。また、導電性物質の材料粉末を用いる場合には、導電性物質の粒子の粒径を大きくすることによって、最小厚さTを増大できる。
G−8.突出距離Ldについて:
表3のA−18番からA−28番は、他のサンプルとは異なり、図4のスパークプラグ100dのサンプルであり、突出距離Ld(図6)がゼロよりも大きかった。具体的には、A−18番からA−23番の突出距離Ldは、10mmであった。また、A−24番からA−28番の突出距離Ldは、サンプル番号の順に、1、3、5、7、9(mm)であった。なお、A−18番からA−28番の他の構成については、以下の通りであった。すなわち、平均被覆率は、69%以上、95%以下であった。気孔率は、3.3%以上、3.9%以下であった。特定粒数は、8個以上、11個以下であった。最小厚さTは、3μm以上、13μm以下であった。そして、磁性体構造物200dのセラミックは、Si、B、Pのうちの少なくとも1つを含んでいた。
耐久前と耐久後とのそれぞれにおいて、A−18番からA−28番のノイズ強度は、A−1番からA−17番の任意のサンプルの同じ周波数のノイズ強度よりも、小さかった。この理由は、図6で説明したように、突出距離Ldが大きい場合には、端子金具40dと主体金具50とによって形成されるコンデンサの容量が小さくなるので、電波ノイズが端子金具40dから絶縁体10dを介して主体金具50へ流れることが抑制されるからである。
良好なノイズ抑制能力を実現したA−18番からA−28番の突出距離Ldは、小さい順に、1、3、5、7、9、10(mm)であった。これらの6個の値のうちの任意の値を、突出距離Ldの好ましい範囲(下限以上、上限以下の範囲)の上限として採用可能である。また、これらの値のうちの上限以下の任意の値を、下限として採用可能である。例えば、突出距離Ldとして、1mm以上、10mm以下の値を採用可能である。なお、ノイズ抑制の能力は、突出距離Ldが大きいほど良いと推定される。従って、突出距離Ldがゼロよりも大きい場合、すなわち、磁性体構造物200dの後端200deが、主体金具50の後端53eよりも後端方向D2側に位置している場合には、磁性体構造物200dの全体が、主体金具50の後端53eよりも先端方向D1側に配置されている場合と比べて、ノイズを抑制できると推定される。また、突出距離Ldの上限としては、更に大きい値(例えば、20mm)を採用可能と推定される。また、突出距離Ldの好ましい範囲に関する上記の説明は、抵抗体70、70dを有するスパークプラグ100、100b、100dにも適用可能と推定される。但し、A−1番からA−17番のように、磁性体構造物200dの全体が、主体金具50の後端53eよりも先端方向D1側に配置されてもよい。
G−9.鉄含有酸化物について:
磁性領域830を形成する鉄含有酸化物としては、表2から表4の鉄含有酸化物、例えば、FeOと、Feと、Feと、Niと、Mnと、Cuと、Srと、Baと、Znと、Yと、のうちの少なくとも1つを含む鉄含有酸化物を採用可能である。また、電波ノイズを抑制可能な鉄含有酸化物としては、表2から表4のサンプルに含まれる鉄含有酸化物に限らず、他の種々の鉄含有酸化物(例えば、種々のフェライト)を採用可能と推定される。また、磁性領域830が、複数種類の鉄含有酸化物で形成されてもよい。
以上、抵抗体70dを有するスパークプラグ100d(図4)のサンプルと、抵抗体70dを有さないスパークプラグ100e(図7)のサンプルとを用いて、スパークプラグの構成(例えば、磁性体構造物200dの構成)について検討した。ここで、抵抗体70dが省略される場合には、磁性体構造物200dが、抵抗体70dの代わりに、電流を抑制する抵抗体として機能し得る。従って、抵抗体70dを有するスパークプラグ100d(図4)のサンプルの評価結果から導かれた好ましい構成を、抵抗体70dを有さないスパークプラグ100e(図7)に適用可能と推定される。例えば、突出距離Ldの好ましい範囲を、図7のスパークプラグ100eに適用してもよい。また、抵抗体70dを有さないスパークプラグ100e(図7)のサンプルの評価結果から導かれた好ましい構成を、抵抗体70dを有するスパークプラグ100d(図4)に適用可能と推定される。例えば、平均被覆率の好ましい範囲と、気孔率の好ましい範囲と、特定粒数の好ましい範囲と、最小厚さTの好ましい範囲と、セラミック領域810と導電領域820と磁性領域830とのそれぞれの好ましい材料とを、図4のスパークプラグ100dに適用してもよい。
E.変形例
(1)磁性体210、210bの材料としては、MnZnフェライトに限らず、種々の磁性材料を採用可能である。例えば、種々の強磁性材料を採用可能である。ここで、強磁性材料は、自発磁化を形成している材料である。強磁性材料としては、例えば、フェライト(スピネル型を含む)などの酸化鉄を含む材料や、アルニコ(Al−Ni−Co)などの鉄合金などの、種々の材料を採用可能である。このような強磁性材料を採用すれば、電波ノイズを適切に抑制できる。また、強磁性材料に限らず、常磁性材料を採用してもよい。この場合も、電波ノイズを抑制できる。
(2)磁性体構造物の構成としては、図1、図2に示す構成に限らず、磁性体と導電体とを有する種々の構成を採用可能である。例えば、コイル状の導電体が、磁性体の内部に、埋設されてもよい。一般には、磁性体構造物の先端方向D1側の端と後端方向D2側の端とを結ぶ導電経路上において、導電体が磁性体の少なくとも一部と並列に接続されているような構成を採用することが好ましい。このような構成を採用すれば、磁性体によって電波ノイズを抑制できる。さらに、導電体によって磁性体構造物の両端抵抗値を低減できるので、磁性体構造物の温度が高くなることを抑制できる。この結果、磁性体構造物の損傷を抑制できる。
また、磁性体構造物の構成としては、図4、図5で説明したように、導電体としての導電性物質と、磁性体と、セラミックと、が混合された部材を採用してもよい。ここで、導電性物質は、複数種類の導電性物質を含んでもよい(例えば、金属とペロブスカイト型酸化物との両方)。また、磁性体は、複数種類の鉄含有酸化物を含んでも良い(例えば、Feと六方晶フェライトであるBaFe1219との両方)。また、セラミックは、複数種類の成分を含んでもよい(例えば、SiOとBとの両方)。いずれの場合も、導電性物質と、磁性体としての鉄含有酸化物と、セラミックと、の組合せとしては、表2、表3のサンプルの組合せに限らず、他の種々の組合せを採用可能である。いずれの場合も、導電性物質の組成と鉄含有酸化物の組成とは、種々の方法で特定可能である。例えば、微小X線回折法で組成を特定してもよい。
(3)磁性体構造物200dに含まれるセラミックは、導電性物質と磁性体(ここでは、鉄含有酸化物)とを支持している。このように導電性物質と磁性体とを支持するセラミックとしては、種々のセラミックを採用可能である。例えば、非晶質のセラミックを採用してもよい。非晶質のセラミックとしては、例えば、SiO、B、Pから任意に選択された1以上の成分を含むガラスを採用可能である。これに代えて、結晶性のセラミックを採用してもよい。結晶性のセラミックとしては、例えば、LiO−Al−SiO系ガラスなどの結晶化ガラス(ガラスセラミックとも呼ばれる)を採用してもよい。いずれの場合も、表2、表3のA−1番からA−30番のように、珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックを採用することによって、適切なノイズ抑制の能力と適切な耐久性とを実現できると推定される。
(4)磁性体構造物200dの導電領域820を形成する導電性物質としては、種々の導電性物質を採用可能と推定される。磁性体構造物200dの良好な耐久性を実現するためには、良好な耐酸化性を有する導電性物質を採用することが好ましい。また、電気抵抗率が50Ω・m以下の導電性物質を採用すれば、大電流が流れた場合の発熱による劣化を抑制できる。例えば、導電領域820の材料としては、金属と、炭素と、炭素化合物と、ペロブスカイト型酸化物と、のうちの少なくとも1つを含む材料を採用してもよい。金属としては、例えば、Ag、Cu、Ni、Sn、Fe、Cr、インコネル、センダスト、パーマロイから任意に選択された1以上の金属を採用可能である。炭素化合物としては、例えば、Cr、TiCから任意に選択された1以上の化合物を採用可能である。
ペロブスカイト型酸化物については、以下の通りである。ペロブスカイト型酸化物は、一般式ABOで表される。先頭の元素A(例えば、LaMnOの「La」)は、Aサイトの元素を示し、続く元素B(例えば、LaMnOの「Mn」)は、Bサイトの元素を示している。結晶構造が歪みの無い立方晶である場合には、Bサイトは、6配位のサイトであり、酸素によって構成される8面体に囲まれており、Aサイトは、12配位のサイトである。このようなペロブスカイト型酸化物としては、例えば、LaMnO、LaCrO、LaCoO、LaFeO、NdMnO、PrMnO、YbMnO、YMnO、SrTiO、SrCrOの10個の酸化物から任意に選択された1以上の酸化物を採用可能である。これらの酸化物は、電気抵抗が小さく安定であるので、良好なノイズ抑制能力と耐久性とを実現可能である。
また、Bサイトの元素が異なる場合であっても、Aサイトの元素が同じである複数種類のペロブスカイト型酸化物は、同程度のノイズ抑制の能力と同程度の耐久性とを実現可能であると推定される。例えば、上記の10個のペロブスカイト型酸化物のAサイトの元素は、La、Nd、Pr、Yb、Y、Srから選択されている。磁性体構造物200dの導電性物質が、AサイトがLa、Nd、Pr、Yb、Y、Srの少なくとも1つであるペロブスカイト型酸化物を含む場合には、ノイズを抑制でき、良好な耐久性を実現できると推定される。なお、ペロブスカイト型酸化物としては、Aサイトの元素として複数種類の元素を有する酸化物を採用してもよい。また、導電性物質は、複数種類のペロブスカイト型酸化物を含んでもよい。
いずれの場合も、磁性体構造物200dの導電領域820に含まれる元素は、EPMA分析によって特定可能である。
(5)図4、図5、図7で説明した磁性体構造物200dの製造方法としては、絶縁体10dの貫通孔12dの内に磁性体構造物200dの材料を配置して焼成する方法に代えて、他の任意の方法を採用可能である。例えば、成形型を用いて磁性体構造物200dの材料を円柱状に成形し、成形体を焼成することによって円柱状の焼成済の磁性体構造物200dを形成してもよい。そして、絶縁体10dの貫通孔12d内に他の部材(例えば、図4の部材60d、70d、75d、80d、または、図7の部材60e、80e)の材料粉末を投入するときに、磁性体構造物200dの材料粉末の代わりに、焼成済の磁性体構造物200dを貫通孔12d内に挿入すればよい。そして、絶縁体10dを加熱した状態で端子金具40d、40eを後開口14から貫通孔12dに挿入することによって、接続部(例えば、図4の接続部300d、または、図7の接続部300e)を形成できる。
(6)磁性体構造物の構成としては、図1、図2、図4、図5、図7に示す構成に限らず、他の種々の構成を採用可能である。例えば、図4、図5で説明した磁性体構造物200dの構成を、図1、図2の磁性体構造物200、200bに適用してもよい。例えば、図1、図2の磁性体210、210bとして、図4、図5で説明した磁性体構造物200dと同じ構成の部材を採用してもよい。また、図6で説明したスパークプラグ100dの構成を、図1、図2、図7のスパークプラグ100、100b、100eに適用してもよい。例えば、図1、図2、図7の磁性体構造物200、200b、200dの後端が、主体金具50の後端よりも後端方向D2側に位置してもよい。ただし、磁性体構造物200、200b、200dの後端が、主体金具50の後端よりも先端方向D1側に位置してもよい。また、図1、図2で説明したスパークプラグ100、100bの構成を、図4、図5、図7のスパークプラグ100d、100eに適用してもよい。例えば、図4、図7の磁性体構造物200dの外周面を、図1、図2の被覆部290、290bと同様の被覆部によって被覆してもよい。また、磁性体構造物200dの両端抵抗値が、磁性体構造物200、200bの両端抵抗値の上記の好ましい範囲内となるように、磁性体構造物200dを形成してもよい(例えば、ゼロΩ以上、3kΩ以下の範囲内、または、ゼロΩ以上、1kΩ以下の範囲内)。ただし、磁性体構造物200dの両端抵抗値が、上記の好ましい範囲外であってもよい。また、抵抗体70、70dとシール部60、60d、60e、75、75b、75d、80、80b、80d、80eとの少なくとも1つは、結晶性のセラミックを含んでも良い。また、磁性体構造物200dが抵抗体70dよりも先端方向D1側に配置されてもよい。また、シール部60、60d、60e、75、75b、75d、80、80b、80d、80eの少なくとも1つが省略されてもよい。
(7)スパークプラグの構成としては、図1、図2、表1、図4から図7、表2から表4で説明した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、中心電極20のうちのギャップgを形成する部分に、貴金属チップを設けても良い。また、接地電極30のうちのギャップgを形成する部分に、貴金属チップを設けてもよい。貴金属チップの材料としては、イリジウムや白金等の貴金属を含む合金を採用可能である。
また、上記の各実施形態では、接地電極30の先端部31が、中心電極20の先端方向D1側を向く面である先端面20s1と対向して、ギャップgを形成している。この代わりに、接地電極30の先端部が、中心電極20の外周面と対向して、ギャップを形成してもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
本開示は、内燃機関等に使用されるスパークプラグに、好適に利用できる。
5...ガスケット、6...第1後端側パッキン、7...第2後端側パッキン、8...先端側パッキン、9...タルク、10、10c、10d...絶縁体(絶縁碍子)、10i...内周面、11...第2縮外径部、12、12c、12d...貫通孔(軸孔)、13...脚部、14...後開口、15...第1縮外径部、16...縮内径部、17...先端側胴部、18...後端側胴部、19...鍔部、20...中心電極、20s1...先端面、21...電極母材、22...芯材、23...頭部、24...鍔部、25...脚部、30...接地電極、31...先端部、35...母材、36...芯部、40、40c、40d、40e...端子金具、41...キャップ装着部、42...鍔部、43、43c、43d、43e...脚部、50...主体金具、51...工具係合部、52...ネジ部、53...加締部、54...座部、55...胴部、56...縮内径部、58...変形部、59...貫通孔、60、60d、60e...第1導電性シール部、70、70d...抵抗体、75、75b、75c、75d、80e...第2導電性シール部、80、80b、80d...第3導電性シール部、100、100b、100c、100d、100e...スパークプラグ、200、200b、200d...磁性体構造物、210、210b...磁性体、220、220b...導電体、290、290b...被覆部、300、300b、300c、300d、300e...接続部、800...対象領域、810...セラミック領域、812...気孔812、820...導電領域、825...被覆領域825、830...磁性領域、835...磁性粒領域、840...複合粒領域、g...ギャップ、CL...中心軸(軸線)
本開示は、例えば、以下の態様または適用例を開示する。
[態様1]
軸線の方向に延びる貫通孔を有する絶縁体と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入された中心電極と、
前記貫通孔の後端側に少なくとも一部が挿入された端子金具と、
前記貫通孔内で、前記中心電極と前記端子金具とを接続する接続部と、
を備えるスパークプラグであって、
前記接続部は、
抵抗体と、
前記抵抗体の先端側または後端側の前記抵抗体から離れた位置に配置された、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物と、
を有し、
前記抵抗体と前記磁性体構造物とのうち、先端側に配置された部材を第1部材とし、後端側に配置された部材を第2部材としたときに、
前記接続部は、さらに、
前記第1部材の先端側に配置され、前記第1部材に接触する第1導電性シール部と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材とに接触する第2導電性シール部と、
前記第2部材の後端側に配置され、前記第2部材に接触する第3導電性シール部と、
を有し、
前記磁性体構造物は、
1)前記導電体としての、導電性物質と、
2)前記磁性体としての、鉄含有酸化物と、
3)珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックと、
を含み、
前記磁性体構造物の前記軸線を含む断面において、
前記軸線を中心線とし、前記軸線に垂直な方向の大きさが2.5mmであり、前記軸線の方向の大きさが5.0mmである矩形領域を、対象領域としたときに、
前記対象領域において、前記鉄含有酸化物の領域は、複数の粒状の領域を含み、
前記対象領域において、前記複数の粒状の領域のそれぞれの縁の少なくとも一部は、前記導電性物質によって被覆されており、
前記粒状の領域の前記縁の全長に対する前記導電性物質によって被覆されている部分の長さの割合を被覆率としたときに、前記対象領域において、前記複数の粒状の領域の前記被覆率の平均値は、50%以上であり、
前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域内において、前記粒状の領域の面積と同じ面積を有する円の直径が、400μm以上、1500μm以下の範囲内である粒状の領域の総数が、6以上である、
スパークプラグ。
[態様2]
軸線の方向に延びる貫通孔を有する絶縁体と、
前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入された中心電極と、
前記貫通孔の後端側に少なくとも一部が挿入された端子金具と、
前記貫通孔内で、前記中心電極と前記端子金具とを接続する接続部と、
を備えるスパークプラグであって、
前記接続部は、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物を含み、
前記磁性体構造物は、
1)前記導電体としての、導電性物質と、
2)前記磁性体としての、鉄含有酸化物と、
3)珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックと、
を含み、
前記磁性体構造物の前記軸線を含む断面において、
前記軸線を中心線とし、前記軸線に垂直な方向の大きさが2.5mmであり、前記軸線の方向の大きさが5.0mmである矩形領域を、対象領域としたときに、
前記対象領域において、前記鉄含有酸化物の領域は、複数の粒状の領域を含み、
前記対象領域において、前記複数の粒状の領域のそれぞれの縁の少なくとも一部は、前記導電性物質によって被覆されており、
前記粒状の領域の前記縁の全長に対する前記導電性物質によって被覆されている部分の長さの割合を被覆率としたときに、前記対象領域において、前記複数の粒状の領域の前記被覆率の平均値は、50%以上であり、
前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域内において、前記粒状の領域の面積と同じ面積を有する円の直径が、400μm以上、1500μm以下の範囲内である粒状の領域の総数が、6以上である、
スパークプラグ。

Claims (16)

  1. 軸線の方向に延びる貫通孔を有する絶縁体と、
    前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入された中心電極と、
    前記貫通孔の後端側に少なくとも一部が挿入された端子金具と、
    前記貫通孔内で、前記中心電極と前記端子金具とを接続する接続部と、
    を備えるスパークプラグであって、
    前記接続部は、
    抵抗体と、
    前記抵抗体の先端側または後端側の前記抵抗体から離れた位置に配置された、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物と、
    を有し、
    前記抵抗体と前記磁性体構造物とのうち、先端側に配置された部材を第1部材とし、後端側に配置された部材を第2部材としたときに、
    前記接続部は、さらに、
    前記第1部材の先端側に配置され、前記第1部材に接触する第1導電性シール部と、
    前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材とに接触する第2導電性シール部と、
    前記第2部材の後端側に配置され、前記第2部材に接触する第3導電性シール部と、
    を有する、スパークプラグ。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物の先端から後端までの電気抵抗値は3kΩ以下である、
    スパークプラグ。
  3. 請求項2に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物の前記先端から前記後端までの電気抵抗値は1kΩ以下である、
    スパークプラグ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記導電体は、前記磁性体の外周の少なくとも一部を囲む螺旋状のコイルを含み、
    前記コイルの電気抵抗値は、前記磁性体の電気抵抗値よりも、低い、
    スパークプラグ。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記導電体は、前記磁性体を前記軸線の方向に貫通する導電部を含む、
    スパークプラグ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物は、前記抵抗体の後端側に配置されている、スパークプラグ。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記接続部は、さらに、前記磁性体構造物の外表面の少なくとも一部を覆い、前記磁性体構造物と前記絶縁体との間に介在する被覆部を有する、スパークプラグ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体は、酸化鉄を含む強磁性の材料を用いて形成されている、スパークプラグ。
  9. 請求項8に記載のスパークプラグであって、
    前記強磁性の材料は、スピネル型フェライトである、スパークプラグ。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体は、NiZnフェライト、または、MnZnフェライトである、スパークプラグ。
  11. 請求項1から3のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物は、
    1)前記導電体としての、導電性物質と、
    2)前記磁性体としての、鉄含有酸化物と、
    3)珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックと、
    を含み、
    前記磁性体構造物の前記軸線を含む断面において、
    前記軸線を中心線とし、前記軸線に垂直な方向の大きさが2.5mmであり、前記軸線の方向の大きさが5.0mmである矩形領域を、対象領域としたときに、
    前記対象領域において、前記鉄含有酸化物の領域は、複数の粒状の領域を含み、
    前記対象領域において、前記複数の粒状の領域のそれぞれの縁の少なくとも一部は、前記導電性物質によって被覆されており、
    前記粒状の領域の前記縁の全長に対する前記導電性物質によって被覆されている部分の長さの割合を被覆率としたときに、前記対象領域において、前記複数の粒状の領域の前記被覆率の平均値は、50%以上である、
    スパークプラグ。
  12. 請求項11に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域のうち、前記鉄含有酸化物の前記領域を除いた残りの領域において、気孔率が5%以下である、
    スパークプラグ。
  13. 請求項11または12に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域内において、前記粒状の領域の面積と同じ面積を有する円の直径が、400μm以上、1500μm以下の範囲内である粒状の領域の総数が、6以上である、
    スパークプラグ。
  14. 請求項11から13のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記磁性体構造物の前記断面上の前記対象領域において、前記粒状の領域の縁を被覆する前記導電性物質の最小の厚さは、1μm以上、25μm以下である、スパークプラグ。
  15. 請求項11から14のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記絶縁体の径方向の周囲に配置される主体金具を有し、
    前記磁性体構造物は、前記抵抗体の後端側に配置され、
    前記磁性体構造物の後端は、前記主体金具の後端よりも後端側に位置している、
    スパークプラグ。
  16. 軸線の方向に延びる貫通孔を有する絶縁体と、
    前記貫通孔の先端側に少なくとも一部が挿入された中心電極と、
    前記貫通孔の後端側に少なくとも一部が挿入された端子金具と、
    前記貫通孔内で、前記中心電極と前記端子金具とを接続する接続部と、
    を備えるスパークプラグであって、
    前記接続部は、磁性体と導電体とを含む磁性体構造物を含み、
    前記磁性体構造物は、
    1)前記導電体としての、導電性物質と、
    2)前記磁性体としての、鉄含有酸化物と、
    3)珪素(Si)とホウ素(B)とリン(P)とのうちの少なくとも1つを含むセラミックと、
    を含み、
    前記磁性体構造物の前記軸線を含む断面において、
    前記軸線を中心線とし、前記軸線に垂直な方向の大きさが2.5mmであり、前記軸線の方向の大きさが5.0mmである矩形領域を、対象領域としたときに、
    前記対象領域において、前記鉄含有酸化物の領域は、複数の粒状の領域を含み、
    前記対象領域において、前記複数の粒状の領域のそれぞれの縁の少なくとも一部は、前記導電性物質によって被覆されており、
    前記粒状の領域の前記縁の全長に対する前記導電性物質によって被覆されている部分の長さの割合を被覆率としたときに、前記対象領域において、前記複数の粒状の領域の前記被覆率の平均値は、50%以上である、
    スパークプラグ。
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