JPWO2015098620A1 - 重合性組成物の製造方法 - Google Patents

重合性組成物の製造方法 Download PDF

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佳奈子 國井
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Abstract

【課題】(a)液状重合性単量体と(b)無機化合物粒子とを混合する際に、(b)無機化合物粒子の凝集体(二次粒子)を充分に解砕し、装置由来の金属濃度を低減できる重合性組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の重合性組成物の製造方法は、(a)液状重合性単量体及び(b)無機化合物粒子を含む重合性組成物の製造方法であって、オリフィス型せん断発生式分散機を用い、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s以上となる条件下で、(a)液状重合性単量体中に(b)無機化合物粒子を分散させる分散工程を含む。【選択図】 なし

Description

本発明は、液状重合性単量体と無機化合物粒子とを混合する際に、無機化合物粒子の凝集体(二次粒子)を充分に解砕し、装置由来の金属濃度を低減できる重合性組成物の製造方法に関する。
従来、液状重合性単量体を含有する重合性組成物を重合することで樹脂成形体を製造する方法が知られている。そして、この技術を利用して、高密度の多層プリント配線板等に用いられる樹脂成形体を製造することが行われている。
また、このような樹脂成形体を製造する際に、難燃化、低線膨張化、機械的強度の向上等を目的として、無機化合物粒子等の固体粉体を添加することも行われている。
特許文献1(特許第5010112号)では、エポキシ樹脂と硬化剤と無機充填材とを含むエポキシ樹脂組成物の溶剤系ワニスを、ボールミル、ビーズミル、複数本のロールで構成されるロールミルから選ばれる混練手段により混練することで、樹脂組成物の分散性を向上させている。このようなボールミル、ビーズミルやロールミル等の装置は一般に金属製である。
しかしながら、特許文献1の装置(混練手段)によりエポキシ樹脂組成物の溶剤系ワニスを混練すると、樹脂組成物中に装置由来の金属が混入することがあった。該金属の混入は、装置内部の機構(ボールミルやビーズミルにおいては硬質の球体、ロールミルにおいてはロール)により樹脂組成物をすりつぶす際に、金属製の装置の内壁が削れることに起因している。
樹脂組成物中に金属が混入すると、該樹脂組成物を用いて製造されるプリント配線板において層間絶縁抵抗の低下やショートという問題が生じる可能性がある。
特許第5010112号
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、(a)液状重合性単量体と(b)無機化合物粒子とを混合する際に、(b)無機化合物粒子の凝集体(二次粒子)を充分に解砕し、装置由来の金属濃度を低減できる重合性組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、オリフィス型せん断発生式分散機を用い、その最大流速を所定の範囲とすることで、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到った。
上記課題を解決する本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕(a)液状重合性単量体及び(b)無機化合物粒子を含む重合性組成物の製造方法であって、
オリフィス型せん断発生式分散機を用い、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s以上となる条件下で、(a)液状重合性単量体中に(b)無機化合物粒子を分散させる分散工程を含む、重合性組成物の製造方法。
〔2〕前記オリフィス型せん断発生式分散機が金属製である、〔1〕に記載の重合性組成物の製造方法。
〔3〕前記(b)無機化合物粒子の一次平均粒子径(D50)が3μm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の重合性組成物の製造方法。
〔4〕前記(b)無機化合物粒子の分散工程前の二次平均粒子径(D50)が10μmを超え200μm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
〔5〕前記(b)無機化合物粒子の分散工程後の二次平均粒子径(D50)が10μm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
〔6〕前記(b)無機化合物粒子が金属酸化物粒子である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
〔7〕前記金属酸化物粒子が、シリカ粒子を50質量%以上含有するものである、〔6〕に記載の重合性組成物の製造方法。
〔8〕前記重合性組成物が(a)液状重合性単量体100質量部に対して(b)無機化合物粒子を1〜1000質量部含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
〔9〕前記重合性組成物が、更に、(c)架橋剤を含む、〔8〕に記載の重合性組成物の製造方法。
〔10〕前記(c)架橋剤が(c1)有機過酸化物である、〔9〕に記載の重合性組成物の製造方法。
〔11〕分散工程を(c1)有機過酸化物の1分間半減期温度より100℃低い温度以下にて実施する、〔10〕に記載の重合性組成物の製造方法。
〔12〕上記〔9〕〜〔11〕のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法によって製造される、重合性組成物。
〔13〕プリント配線板用プリプレグの前駆体である、〔12〕に記載の重合性組成物。
〔14〕上記〔13〕に記載の重合性組成物を、繊維状強化材に含浸させた後、重合してなる、金属濃度が0.1mg/m2以下のプリント配線板用プリプレグ。
本発明に係る重合性組成物の製造方法によれば、(b)無機化合物粒子の凝集体を容易に解砕できるため、分散工程により得られた液を濾過した場合に捕捉される固形分質量を低減できる。その結果、重合性組成物中における(b)無機化合物粒子の分散性が向上し、塊状重合反応を均一に行うことができ、得られる架橋性樹脂成形体の成型性や保存安定性が向上する。
また、本発明に係る重合性組成物の製造方法によれば、重合性組成物に装置由来の金属が混入することを抑制できる。その結果、得られる架橋性樹脂成形体は絶縁性に優れる。
〔1〕重合性組成物の製造方法
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明に係る重合性組成物の製造方法は、オリフィス型せん断発生式分散機を用い、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s以上となる条件下で、(a)液状重合性単量体中に(b)無機化合物粒子を分散させる分散工程を含む。
オリフィス型せん断発生式分散機
本発明における、オリフィス型せん断発生式分散機とは、その配管中に分岐・合流する流路と、流路に沿って複数のオリフィス(処理流体の通過する小孔)を有し、処理流体が通過する際の衝突と剪断によるエネルギーで、処理流体中の固体成分を粉砕し、液中に分散させる装置をいう。
オリフィス型せん断発生式分散機におけるオリフィスの大きさは、処理流体の流れ方向に沿って、小さくなる。そのため、最下流のオリフィスの大きさが最小となると共に、処理流体の流速(すなわち線速度)が最大となる。処理流体の流速(線速度)は、処理流体の流量と、オリフィスの断面積により算出することができる(流速=流量/断面積)。最下流のオリフィスの大きさは、分散対象となる処理流体の規模(すなわち流量)に応じて、処理流体の最大流速が本発明の範囲となるように適宜定めればよい。
本発明における分散工程では、オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速(すなわち最大線速度)が1.8m/s以上となる条件下で、(a)液状重合性単量体中に(b)無機化合物粒子を分散させる。このような分散工程を経ることで、(a)液状重合性単量体と(b)無機化合物粒子を混合する際に、(b)無機化合物粒子の凝集物(一次粒子の凝集体、以下では単に「二次粒子」と記載することもある。)が充分に解砕される。未解砕の二次粒子を含む残渣物が多いと重合性組成物の塊状重合反応を均一に行うことができないことがある。その結果、成型性に優れる架橋性樹脂成形体を得ることが困難になる。
上記分散工程によれば、二次粒子を充分に解砕できる。そして、重合性組成物中における(b)無機化合物粒子の分散性を向上させることができる。また、重合性組成物の塊状重合反応を均一に行うことができるため、未反応の重合性単量体の残留が抑制され、成型性や保存安定性に優れる架橋性樹脂成形体を得ることができる。
一方、オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s未満であると、二次粒子の解砕が不十分となる。その結果、重合性組成物中における(b)無機化合物粒子の分散性が低下することに起因して、均一な塊状重合反応を行うことができず、未反応の重合性単量体が残留し、得られる架橋性樹脂成形体の成型性や保存安定性が低下する。また、二次粒子の解砕が不十分であることに起因して、粒径の比較的大きな二次粒子を取り除くための濾過工程における濾過フィルターの寿命が低下する。
上記観点から、オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速は、好ましくは1.8〜20m/s、より好ましくは1.8〜15m/s、更に好ましくは1.8〜10m/s、特に好ましくは1.8〜6.0m/sである。前記最大流速が大きすぎると、オリフィスを通過する液の圧力により分散機に削れが生じたり、場合によっては分散機が破損することがある。
また、オリフィス型せん断発生式分散機を用いることで、他の分散機(例えば、高速回転ローター・ステーターミル型分散機、遊星型3軸攪拌・乳化機、ボールミル、ビーズミルやロールミル等)を用いる場合に比較して、重合性組成物中に混入する装置由来の異物の濃度を低減できる。オリフィス型せん断発生式分散機は、処理流体が装置内を通過する際に発生するエネルギーにより二次粒子を解砕するため、装置内部の機構により二次粒子を解砕する他の装置と比較して、装置内壁が削れることがほとんどなく、その結果、得られる重合性組成物に混入する異物(装置が金属製の場合は金属クズ等)を低減できる。
オリフィス型せん断発生式分散機は、耐久性の観点から金属製であることが好ましい。この場合において、重合性組成物中の装置由来の金属濃度(コバルト(Co)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)の合計濃度)は、好ましくは2ppm以下、より好ましくは1.5ppm以下である。なお、装置由来の金属濃度は実施例に記載の方法により測定される。
また、装置由来の金属濃度が上記範囲の重合性組成物を用いて製造される架橋性樹脂成形体(例えばプリプレグ)は、その金属濃度が好ましくは0.15mg/m2以下、より好ましくは0.1mg/m2以下である。金属濃度が上記範囲の架橋性樹脂成形体によれば、層間絶縁抵抗が向上し、ショートが生じにくい。
なお、架橋性樹脂成形体の金属濃度は以下の方法により測定できる。
まず、繊維状強化材としてのガラスクロス#2112に重合性組成物を含浸させる(重合性組成物の目付量:70g/m2)。次いで、120℃で3.5分間加熱し塊状重合反応することにより、膜厚130μmの架橋性樹脂成形体(プリプレグ)を得る。このプリプレグについて、粉砕、湿式分解したものをICP−AES(装置:SPS−5100(SIIナノテクノロジー))を用いて、金属濃度(Co,Cr,Fe,Mn,Niの合計濃度)を測定する。
上記のようなオリフィス型せん断発生式分散機としては、吉田機械興業(株)製「ダマトリ君」(呼び寸法:1/2S)等が挙げられる。
(a)液状重合性単量体
本発明の重合性組成物は、(a)液状重合性単量体を含む。(a)液状重合性単量体としては、重合性を有する液状の単量体であれば特に制限されない。例えば、脂環式オレフィンモノマー、スチレン系モノマー、アクリレート系モノマー、エポキシ系モノマー等が挙げられる。これらの中でも、誘電損失が低い架橋性樹脂成形体を得ることができることから、(a1)脂環式オレフィンモノマーや(a2)スチレン系モノマーが好ましく、(a1)脂環式オレフィンモノマーがより好ましい。
(a1)脂環式オレフィンモノマー
(a1)脂環式オレフィンモノマーとしては、脂環構造を有するオレフィン化合物であれば特に制限されない。
脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらを組み合わせた環等が挙げられる(以下にて同じ。)。脂環構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
これらの中でも、(a1)脂環式オレフィンモノマーとしては、脂環構造内に二重結合を1つ有し、かつ、環構造外に鎖状二重結合を有するもの(以下、「脂環式オレフィンモノマー(a1−1)」という。鎖状二重結合の例には、ビニル基(CH2=CH−)やビニリデン基(CH2=C<)、エチリデン基(CH3CH=C<)などが含まれるが、好ましくはエチリデン基である。)、脂環構造内に二重結合を2つ以上有するもので、少なくとも1つは開環重合に関与しない二重結合を含むもの(以下、「脂環式オレフィンモノマー(a1−2)」という。)、その他の脂環式オレフィンモノマー(以下、「脂環式オレフィンモノマー(a1−3)」ということがある。)が挙げられる。
これらの中でも、脂環式オレフィンモノマー(a1−1)、脂環式オレフィンモノマー(a1−2)が好ましく、脂環式オレフィンモノマー(a1−1)が特に好ましい。
脂環式オレフィンモノマー(a1−1)としては、エチル基及び/又はエチリデン基を有する単環脂環式オレフィンモノマー、エチル基及び/又はエチリデン基を有するノルボルネン系モノマー等が挙げられ、エチル基及び/又はエチリデン基を有するノルボルネン系モノマーがさらに好ましい。
脂環式オレフィンモノマー(a1−1)の具体例としては、9−メチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−n−プロピリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−イソプロピルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−イソプロピリデン−10−ブチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のテトラシクロドデセン類;
5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、n−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネン等のノルボルネン類;等が挙げられる。
これらは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、本発明の作用効果がより一層顕著なものとなるという点より、テトラシクロドデセン類が好ましく、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンが特に好ましい。
重合性組成物中における、脂環式オレフィンモノマー(a1−1)の含有割合は、重合性組成物を構成する全単量体中、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは35質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。脂環式オレフィンモノマー(a1−1)の含有割合が少なすぎると、得られる架橋性樹脂成形体の耐クラック性が低下する場合があり好ましくない。
脂環式オレフィンモノマー(a1−2)における「開環重合に関与しない二重結合」とは「架橋性の炭素−炭素不飽和結合」のことをいい、開環重合には関与せず、架橋反応に関与可能な炭素−炭素不飽和結合をいう。架橋反応とは橋架け構造を形成する反応であり、縮合反応、付加反応、ラジカル反応、メタセシス反応など種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、ラジカル架橋反応またはメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合または脂肪族炭素−炭素三重結合が挙げられ、本発明においては、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。そして、本発明で用いる脂環式オレフィンモノマー(a1−2)は、このような架橋性の炭素−炭素不飽和結合を構成する全ての炭素原子が、脂環構造の一部を構成するものからなるものである。
このような脂環式オレフィンモノマー(a1−2)としては、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有する単環脂環式オレフィンモノマー、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、脂環構造内に架橋性の炭素−炭素不飽和結合を有するノルボルネン系モノマーが好ましい。
脂環式オレフィンモノマー(a1−2)の具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチル−ジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、エチルジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2,5−ノルボルナジエン、5−フェニル−2,5−ノルボルナジエン、5,6−ジメチル−2,5−ノルボルナジエンなどの脂環構造内に炭素−炭素不飽和結合を2つ有する化合物が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらのなかでも、本発明の作用効果がより一層顕著なものとなるという点より、ジシクロペンタジエンが好ましい。
重合性組成物に脂環式オレフィンモノマー(a1−2)を含有させる場合における、脂環式オレフィンモノマー(a1−2)の含有割合は、重合性組成物を構成する全単量体中、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
重合性組成物においては、前記脂環式オレフィンモノマー(a1−1)、脂環式オレフィンモノマー(a1−2)以外にも、その他の脂環式オレフィンモノマー(a1−3)を含有していてもよい。
その他の脂環式オレフィンモノマー(a1−3)としては、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、1−メチル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5,6−ジカルボキシル−2−ノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノ−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。
重合性組成物に脂環式オレフィンモノマー(a1−3)を含有させる場合における、脂環式オレフィンモノマー(a1−3)の含有割合は、重合性組成物を構成する全単量体中、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
(a2)スチレン系モノマー
(a2)スチレン系モノマーは、芳香族環と、これと結合するビニル基又はイソプロペニル基とを有する化合物である。
(a2)スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、なかでも、スチレンが好ましい。また、スチレン系モノマーとして、o−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン及びm−ジビニルベンゼン等の、2以上のビニル基又はイソプロペニル基を有する化合物を用いることもできる。かかる化合物を用いると、得られる架橋性樹脂成形体の架橋反応性を高くでき、また架橋性樹脂成形体の架橋密度を高くできるので好ましい。
本発明において、これらの(a2)スチレン系モノマーは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合性組成物中における、(a2)スチレン系モノマーの含有割合は、重合性組成物を構成する全単量体中、15質量%以下であるのが好ましい。
(b)無機化合物粒子
(b)無機化合物粒子としては、工業的に一般に使用されるものであれば格別な限定はなく用いることができる。本発明の重合性組成物に(b)無機化合物粒子を配合することにより、得られる架橋性樹脂成形体及びその積層体の機械強度と耐熱性の向上が可能となる。
(b)無機化合物粒子としては、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム、鉛、タングステン等の金属粒子;カーボンブラック、グラファイト、活性炭、炭素バルーン等の炭素粒子;シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の金属酸化物粒子;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩粒子;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩粒子;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、ガラスバルーン等の無機ケイ酸塩粒子;チタン酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛等のチタン酸塩粒子;三酸化アンチモン等のアンチモン化合物;窒化アルミニウム、炭化ケイ素粒子やウィスカー等が挙げられる。
これらの中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から(b)無機化合物粒子としては金属酸化物粒子が好ましい。また、低熱膨張性及び誘電特性の観点から金属酸化物粒子はシリカ粒子を好ましくは50質量%以上、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは50〜80質量%含有することが望ましい。
また、シリカ粒子としては、表面に疎水化処理を行ったものを用いてもよい。疎水化処理を行うことにより、(a)液状重合性単量体とシリカ粒子表面との親和性が向上し、シリカ粒子が(a)液状重合性単量体中により均一に分散しやすくなる。
(b)無機化合物粒子の一次平均粒子径(D50)は、好ましくは3μm以下、より好ましくは0.1〜3μmである。一次平均粒子径(D50)が上記範囲の(b)無機化合物粒子は、(a)液状重合性単量体と混合すると特に凝集しやすく、重合性組成物中における分散性が低下することがある。本発明の重合性組成物の製造方法は、(b)無機化合物粒子の凝集体(二次粒子)を充分に解砕できるため、一次平均粒子径(D50)が上記範囲の(b)無機化合物粒子に好適に用いることができる。
なお、本発明において、(b)無機化合物粒子の一次平均粒子径(D50)とは、無機化合物粒子を(a)液状重合性単量体と混合する前に、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定し、算出される(b)無機化合物粒子の50%体積平均粒子径のことをいう。
(b)無機化合物粒子の分散工程前の二次平均粒子径(D50)は、好ましくは10μmを超え200μm以下、より好ましくは10μmを超え100μm以下である。二次平均粒子径(D50)が上記範囲であっても、本発明の重合性組成物の製造方法によれば、分散工程の時間(平均処理時間)を短縮または分散工程の回数(平均処理回数)を少なくしても、二次粒子を容易に解砕できる。そのため、重合性組成物の生産性が向上する。
なお、本発明において、(b)無機化合物粒子の分散工程前の二次平均粒子径(D50)とは、(b)無機化合物粒子を(a)液状重合性単量体と混合した後であって、オリフィス型せん断発生式分散機を用いて上記分散工程を行う前において、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定し、算出される(b)無機化合物粒子の50%体積平均粒子径のことをいう。
(b)無機化合物粒子の分散工程後の二次平均粒子径(D50)は、好ましくは10μm以下、より好ましくは0.1μm以上8μm以下、更に好ましくは0.5μm以上6μm以下、特に好ましくは1μm以上4μm以下である。分散工程後の二次平均粒子径(D50)が上記範囲の(b)無機化合物粒子は重合性組成物中における分散性に優れる。その結果、重合性組成物の塊状重合反応を均一に行うことができ、未反応の(a)液状重合性単量体の残留が抑制され、保存安定性に優れる架橋性樹脂成形体を得ることができる。
なお、本発明において、(b)無機化合物粒子の分散工程後の二次平均粒子径(D50)とは、オリフィス型せん断発生式分散機を用いて上記分散工程を行った後において、レーザー回折式粒度分布測定装置にて測定し、算出される(b)無機化合物粒子の50%体積平均粒子径のことをいう。
(b)無機化合物粒子の配合量は、(a)液状重合性単量体100質量部に対して、好ましくは1〜1000質量部、より好ましくは10〜500質量部、更に好ましくは50〜200質量部、特に好ましくは50〜150質量部である。
(他の添加剤)
本発明の重合性組成物には、上記成分の他、所望により、他の添加剤として、重合触媒、架橋剤、架橋助剤、連鎖移動剤、難燃剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、老化防止剤、又はその他の配合剤をさらに添加することができる。
いずれの成分も、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その添加量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択すればよい。
本発明に用いる重合性組成物は、重合触媒を含有することができる。重合触媒としては、メタセシス重合触媒が好ましい。
メタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン、及び化合物などが結合してなる遷移金属錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表による。以下同じ。)の原子が挙げられる。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、タンタルが挙げられ、6族の原子としては、モリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。なかでも、遷移金属原子としては、8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。
すなわち、メタセシス重合触媒としては、ルテニウム又はオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体がより好ましい。
ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、重合性組成物を塊状重合に供して架橋性樹脂成形体を得る場合、得られる成形体には未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、生産性良く良質な成形体が得られる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、以下の式(V)又は式(VI)で示される錯体が挙げられる。
Figure 2015098620
式(V)及び(VI)において、R11及びR12はそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20の炭化水素基;を表す。X1及びX2はそれぞれ独立して、任意のアニオン性配位子を表す。L1及びL2はそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。また、R11とR12は互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。さらに、R11、R12、X1、X2、L1及びL2は、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表15族及び16族の原子を意味し、具体的には、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原子(As)、及びセレン原子(Se)などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSなどが好ましく、Nが特に好ましい。
前記ルテニウムカルベン錯体としては、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の機械的強度と耐衝撃性とが高度にバランスされ得ることから、ヘテロ原子含有カルベン化合物としてヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として少なくとも1つ有するものが好ましい。ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造又はイミダゾリジン環構造が好ましい。
ヘテロ環構造を有するカルベン化合物としては、以下の式(VII)又は式(VIII)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2015098620
式(VII)及び(VIII)において、R13〜R16はそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20個の炭化水素基;を表す。また、R13〜R16は任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
前記式(VII)又は式(VIII)で示される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、及び1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙げられる。
また、前記式(VII)又は式(VIII)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、及び3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(V)及び式(VI)において、アニオン(陰イオン)性配位子X1、X2は、中心原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。例えば、弗素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、及び沃素原子(I)などのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びカルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性電子供与性化合物は、中心原子から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、及びチオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(V)で示されるルテニウムカルベン錯体としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及び(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物及び中性の電子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウムカルベン錯体;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドや(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドやベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウムカルベン錯体;などが挙げられる。
前記式(VI)で示されるルテニウムカルベン錯体としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及びビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらのルテニウムカルベン錯体の中でも、前記式(V)で表され、かつ配位子として前記式(VII)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウムカルベン錯体は、Org.Lett.,1999年,第1巻,953頁や、Tetrahedron.Lett.,1999年,第40巻,2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
メタセシス重合触媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
メタセシス重合触媒の含有量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:(a)液状重合性単量体)で、好ましくは1:2,000〜1:2,000,000、より好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、更に好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶媒に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、及びミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;インデンやテトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(c)架橋剤
本発明で用いる(c)架橋剤は、本発明の重合性組成物を塊状重合することにより得られる架橋性樹脂成形体において、架橋反応を誘起する目的で使用される。従って、得られる架橋性樹脂成形体は後架橋可能な熱可塑性樹脂となりうる。ここで「後架橋可能な」とは、該樹脂を加熱することにより架橋反応を進行させて架橋樹脂になし得ることを意味する。
本発明の架橋性樹脂成形体は、ガラス転移温度以上に加熱することで軟化し、この状態で加圧することにより所望の形状に成形することが可能である。さらに、用いた(c)架橋剤が活性を示す温度以上に加熱することにより架橋性樹脂成形体が架橋反応して、架橋樹脂成形体が得られる。複数枚の架橋性樹脂成形体を積層、あるいは架橋性樹脂成形体と任意の部材とを積層させた状態で架橋性樹脂成形体を加熱加圧することにより、架橋性樹脂成形体の積層体、あるいは架橋性樹脂成形体と任意の部材とが一体化してなる積層体を得ることが可能である。このようにして得られた積層体を、(c)架橋剤が活性を示す温度以上に加熱することにより架橋性樹脂成形体が架橋反応して、架橋樹脂成形体の積層体、あるいは、架橋樹脂成形体と任意の部材とが一体化してなる積層体が得られる。なお、積層体は、それを構成する各層の少なくとも一部が互いに重なったものであればよい。
(c)架橋剤としては、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤等が挙げられ、好ましくは(c1)有機過酸化物である。
(c1)有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等のジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等のペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等のペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナート等のペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド等のアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサン等の環状ペルオキシド類;が挙げられる。これらのなかでも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、及び環状ペルオキシド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン等が挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。
(c)架橋剤として、ラジカル発生剤を使用する場合、ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、架橋の条件により適宜選択されるが、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、更に好ましくは150〜250℃、特に好ましくは160〜230℃の範囲である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メーカー(例えば、日本油脂社)のカタログやホームページを参照すればよい。
(c)架橋剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明に用いる重合性組成物中の架橋剤の含有量としては、重合性組成物中の(a)液状重合性単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。
また、重合性組成物が、(c)架橋剤として(c1)有機過酸化物を含有する場合には、上記オリフィス型せん断発生式分散機を用いた分散工程の温度は、好ましくは重合性組成物の融点以上、(c1)有機過酸化物の1分間半減期温度より100℃低い温度以下であり、より好ましくは重合性組成物の融点以上、(c1)有機過酸化物の1分間半減期温度より120℃低い温度以下であり、さらに好ましくは重合性組成物の融点以上、(c1)有機過酸化物の1分間半減期温度より150℃低い温度以下である。また、重合性組成物の25℃における粘度値の2倍の粘度値となる温度が、かかる重合性組成物の融点より高い場合、上記分散工程の温度は、「重合性組成物の25℃における粘度値の2倍の粘度値となる温度」以上、(c1)有機過酸化物の1分間半減期温度より100℃低い温度以下がより好ましい。重合性組成物が(c1)有機過酸化物を含有する場合に分散工程を上記温度で行うことで、工程中の架橋反応開始を抑制できる。架橋体が形成されると、重合性組成物の粘度が増加してオリフィスが詰まり、分散処理が行えなくなる。
なお、重合性組成物の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて毎分5℃で昇温して測定される値である。
また、「重合性組成物の25℃における粘度値の2倍の粘度値となる温度」は、以下のようにして求めることができる。まず、重合性組成物の25℃における粘度値を測定する。具体的には、重合性組成物の25℃における粘度値は、ハイシェアレート粘度計を用い、直径35mmのコーンプレート、25℃の温度、10rpmの回転数の条件で測定できる。重合性組成物の温度(液温)は、粘度計付属の恒温槽によって調整できる。恒温槽がない場合は、該重合性組成物を入れた容器を、25℃の水槽に10分間以上浸漬することによって調整する。そして、その後に上記条件で測定を実施する。測定時間は、回転開始から1分後とし、そのときの粘度値を読む。次いで、得られた粘度値から2倍の粘度値を算出する。同様に、分散工程を行う温度に調整した該重合性組成物の粘度を測定し、25℃の粘度の2倍以内の値となることを確認する。
架橋助剤は、重合反応には関与しないが、架橋剤で誘起される架橋反応に関与し得る官能性基を2以上有し、架橋構造の一部を構成し得る多官能化合物である。架橋助剤を用いることで、架橋密度が高く、より耐熱性に優れる、架橋樹脂成形体や積層体を得ることができる。
架橋助剤の官能性基としては、ビニリデン基が挙げられる。特に、架橋反応性に優れることから、ビニリデン基は、イソプロペニル基又はメタクリロイル基として存在するのが好ましく、メタクリロイル基として存在するのがより好ましい。
架橋助剤としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼン等のイソプロペニル基を2以上有する化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート等のメタクリロイル基を2以上有する化合物;等が挙げられる。なかでも、架橋助剤としては、メタクリロイル基を2以上有する化合物が好ましく、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート等のメタクリロイル基を3つ有する化合物がより好ましい。
架橋助剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋助剤を用いる場合、その含有量は、(a)液状重合性単量体100質量部に対して、通常、0.1〜100質量部、好ましくは、0.5〜50質量部である。
架橋助剤の含有量が上記範囲内であることで、耐熱性に優れ、誘電正接が小さい架橋樹脂成形体や積層体が得られやすくなる。
連鎖移動剤
本発明の重合性組成物は、連鎖移動剤を含有しているのが好ましい。重合性組成物に連鎖移動剤を配合した場合、該組成物を塊状重合して得られる架橋性樹脂成形体の表面では、加熱溶融時の追従性がより向上し得る。それゆえ、連鎖移動剤を配合してなる重合性組成物を用いて得られた架橋性樹脂成形体を積層し、加熱して溶融、架橋して得られる積層体では、層間の密着性が一層高まり、ピール強度がより向上するので、好ましい。連鎖移動剤は、架橋性炭素−炭素不飽和結合をさらに1以上有していてもよい。かかる架橋性炭素−炭素不飽和結合としては、ビニル基又はビニリデン基として存在するのが好ましい。
連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン等のヘテロ原子を持たない炭化水素化合物;アリルアミン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレート、アリルトリビニルシラン、テトラアリルシラン等のヘテロ原子を有する炭化水素化合物;等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。これらの中でも、得られる架橋樹脂成形体及び積層体を、ピール強度、耐クラック性により優れたものとすることができるという点より、ヘテロ原子を持たない炭化水素化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
連鎖移動剤の配合量としては、(a)液状重合性単量体1モルに対して、好ましくは0.01〜10モルであり、より好ましくは0.02〜1モルである。連鎖移動剤の配合比が少なすぎると、得られる架橋性樹脂成形体の積層性が低下する傾向にあり、一方、多すぎると、得られる積層体のピール強度が低下する傾向にある。
難燃剤
難燃剤としては、工業的に使用されるものであれば格別な限定なく用いることができる。例えば、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエン等のハロゲン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物系難燃剤;ジメチルホスフィン酸アルミニウムなどの、含リン難燃剤;含窒素難燃剤;等の非ハロゲン系難燃剤;等が挙げられる。
難燃剤の配合量は、重合性組成物100質量部に対して、通常1〜1000質量部、好ましくは10〜500質量部の範囲である。
重合調整剤
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものである。重合調整剤としては、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウム等が挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤は用いなくともよいが、所望により重合調整剤を用いる場合における、重合調整剤の配合量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)で、好ましくは1:0.05〜1:100、より好ましくは1:0.2〜1:20、さらに好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合反応遅延剤
重合反応遅延剤は、重合性組成物の粘度増加を抑制し、該組成物の繊維状強化材へのより均一な含浸を図る目的で使用される。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、スチリルジフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;アニリンやピリジン等のルイス塩基;等が挙げられる。
老化防止剤
老化防止剤としては、例えば、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤、及びイオウ系老化防止剤等が挙げられ、これらの老化防止剤を配合することにより、架橋反応を阻害しないで、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の耐熱性を高度に向上させることができるため、好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤及びアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。
その他の配合剤
その他の配合剤としては、界面活性剤、溶剤、着色剤、光安定剤、及び発泡剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤は、重合触媒を必要に応じて溶解又は分散するために少量使用することができる。かかる溶剤としては、重合触媒の活性を低下させないものであれば特に限定されず、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、テトラヒドロナフタレン等の芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の含酸素炭化水素;等が挙げられる。これらの中では、重合触媒の溶解性に優れ工業的に汎用されている芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。また、重合触媒の活性を低下させないものであれば、液状の酸化防止剤、液状の可塑剤、液状の改質剤を溶剤として用いてもよい。
溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤としては、染料や顔料等が用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
重合性組成物は(a)液状重合性単量体、(b)無機化合物粒子および必要に応じて配合される上記他の添加剤を含む。
本発明の重合性組成物の製造方法は、上記のオリフィス型せん断発生式分散機を用い、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s以上となる条件下で、(a)液状重合性単量体中に(b)無機化合物粒子を分散させる分散工程を含む。
本発明の重合性組成物の製造方法により得られる重合性組成物は、(a)液状重合性単量体及び(b)無機化合物粒子の他に、重合触媒を含有することができる。該重合触媒は、適宜溶剤に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)の状態で重合性組成物に添加し、攪拌することによって調整することが好ましい。
なお、必要に応じて、重合性組成物を濾過してもよい(濾過工程)。濾過工程は、濾過フィルターにより行われる。上記分散工程を経た重合性組成物は、二次粒子が一次粒子に充分に解砕されているため、濾過フィルターに補足される凝集物の固形分質量濃度を低減できる。その結果、濾過フィルターの寿命を長くすることができる。
触媒液の添加は、次に述べる重合を行う直前に行うことが好ましい。また、触媒液の添加は、窒素等不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
触媒液を添加するときの重合性組成物の温度は、通常、−10〜+25℃、好ましくは−5〜+20℃、より好ましくは−5〜+15℃、特に好ましくは −5〜+10℃である。この温度範囲内であることで、混合した瞬間に重合反応が開始して、重合性組成物の粘度が増加することを避けることができる。
また触媒液を添加してから重合を開始するまでの重合性組成物の温度は、通常、−10〜+25℃、好ましくは−5〜+20℃、より好ましくは −5〜+15℃、特に好ましくは−5〜+10℃である。この温度範囲内であることで、重合反応を開始させず、安定に保存することができる。また、重合性組成物の凍結を防ぐことができる。
上記分散工程により得られる重合性組成物の調製に際して、(a)液状重合性単量体に(b)無機化合物粒子及び必要に応じて添加されるその他の添加剤を入れる順序は特に限定されない。
重合性組成物の粘度は、上限が好ましくは5Pa・s、より好ましくは3Pa・s、更に好ましくは2Pa・s、特に好ましくは1Pa・sである。また、粘度の下限は、好ましくは0.01Pa・s、より好ましくは0.1Pa・sである。
重合性組成物の粘度が上記範囲内にあることで、均一に塊状重合させることができ、重合反応率を高くでき、高分子量の架橋性樹脂成形体を得ることができる。また、架橋性樹脂成形体中に未反応の重合性単量体が残留することを防ぐことができる。
ここで、重合性組成物の粘度は、重合触媒を添加した直後、25℃において、ハイシェアレート粘度計を用いて直径35mmのコーンプレート、10rpmで1分間測定し、測定される値である。
重合性組成物の粘度は、たとえば(b)無機化合物粒子の量が増加すると、増大する傾向にあり、また界面活性剤の量が増加すると、減少する傾向にある。
〔2〕架橋性樹脂成形体
本発明の製造方法により得られる重合性組成物は、架橋性樹脂成形体の前駆体であり、架橋性樹脂成形体は該重合性組成物を塊状重合して得られる。塊状重合は、実質的に溶剤を用いないで重合を行うものである。
重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体を得る方法に限定はないが、例えば、(i)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、 (ii)重合性組成物を成形型の空間部に注入し、次いで塊状重合する方法、(iii)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合する方法等が挙げられる。
重合性組成物は粘度が低いため、(i)の方法における塗布は円滑に実施でき、(ii)の方法における注入は複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに行き渡らせることが可能であり、(iii)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく含浸させることができる。
(i)の方法によれば、フィルム状、板状等の架橋性樹脂成形体が得られる。該成形体の厚みは、通常15mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロン等の樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀等の金属材料からなるフィルムや板;等が挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚みは、作業性等の観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
支持体上に重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を必要に応じて乾燥させ、次いで塊状重合する。塊状重合するために重合性組成物を加熱する。加熱方法としては、加熱プレート上に支持体に塗布された重合性組成物を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、熱したローラーを押圧する方法、加熱炉を用いる方法等が挙げられる。
(ii)の方法によって得られる架橋性樹脂成形体の形状は、成形型により任意に設定できる。例えば、フィルム状、柱状、その他の任意の立体形状等が挙げられる。成形型の形状、材質、大きさ等は特に制限されない。かかる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型;2枚の板の間にスペーサーを設けた成形型;等を用いることができる。
成形型の空間部(キャビティー)に重合性組成物を注入する圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。注入圧力が低すぎると、充填が不十分になり、キャビティー内面に形成された転写面の転写が良好に行われないおそれがあり、注入圧力が高すぎると、成形型は剛性が高いものが必要となり経済的ではない。型締圧力は、通常0.01〜10MPaの範囲内である。
空間部に充填された重合性組成物を加熱することによって塊状重合させることができる。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器、スチーム等の加熱手段を利用する方法、成形型を電気炉内で加熱する方法等が挙げられる。
(iii)の方法によって得られる架橋性樹脂成形体としては、例えば、塊状重合体が繊維状強化材のすき間に充填されて成るプリプレグ等が挙げられる。繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレート等の液晶繊維等の公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、マット、クロス、不織布等が挙げられる。上記のプリプレグはプリント配線板に用いられる。
上記のプリプレグ中の金属濃度は、好ましくは0.1mg/m2以下である。金属濃度が上記の範囲内であると、プリプレグをプリント配線板用に用いた際に絶縁不良などの悪影響を及ぼすことを効果的に防止することができる。
上記のプリプレグは、プリント配線板用に好適に用いられる。
繊維状強化材に重合性組成物を含浸させるには、例えば、該重合性組成物の所定量を、繊維状強化材製のクロス、マット等の上に注ぎ、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上方からローラー等で押圧することにより行うことができる。繊維状強化材に該重合性組成物を含浸させた後に、所定温度に加熱して、含浸物を塊状重合させることにより樹脂の含浸したプリプレグを得ることができる。加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(i)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材をセットしておき、重合性組成物を含浸させてから前記(ii)の方法のようにして加熱する方法等が用いられる。
上記(i)、(ii)及び(iii)のいずれの方法においても、重合性組成物を塊状重合させるための加熱温度((ii)の方法においては金型温度)は、通常 30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常1秒から20分、好ましくは10秒から5分以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより塊状重合反応が開始する。塊状重合反応が開始すると、重合性組成物の温度は反応熱により急激に上昇し、短時間(例えば、10秒から5分程度)でピーク温度に到達する。さらに塊状重合反応は進むが、重合反応は次第に収まり、温度が低下していく。ピーク温度を、この重合反応により得られる成形体を構成する重合体のガラス転移温度以上になるように制御すると、完全に重合が進行するので好ましい。ピーク温度は加熱温度により制御できる。
架橋性樹脂成形体を構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、溶離液をトルエンとする、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる測定(ポリスチレン換算)で、10,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは15,000〜40,000、さらに好ましくは20,000〜35,000である。かかる範囲の重量平均分子量を有する樹脂を含有する樹脂成形体は、加熱溶融時における樹脂流動性、及びその成形体の強度のバランスに優れる。
また、架橋性樹脂成形体の製造に用いる重合性組成物は、(b)無機化合物粒子の分散性に優れる。したがって、均一に塊状重合反応を行うことができ、未反応の重合性単量体の残留が抑制され、保存安定性に優れる架橋性樹脂成形体を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における部および%は、特記しない限り質量基準である。実施例および比較例において、各種物性は以下のように評価した。
<最大流速(最大線速度)>
重合性組成物の調製に用いる各成分を、各分散機(オリフィス型せん断発生式分散機、高速回転ローター・ステーター型分散機、遊星型3軸攪拌・乳化機)を用いて分散した際における重合性組成物の最大流速(最大線速度)を測定した。
オリフィス型せん断発生式分散機における最大流速は、最下流のオリフィスを通過する重合性組成物の流量と該オリフィスの断面積とから算出した(流速=流量/該オリフィスの断面積)。
高速回転ローター・ステーター型分散機における最大流速は、ローターに液が接した場合、ローター外縁の回転速度と液の流速が等しいことから算出した。
遊星型3軸攪拌・乳化機における最大流速は、ホモミキサーの回転速度と等しいことから算出した。
<無機化合物粒子の体積平均粒子径の測定>
レーザー回折式粒度分布装置(SALD−3100;島津製作所製)を用いて、分散工程前における二次平均粒子径(D50)、分散工程後における二次平均粒子径(D50、D90)を測定した。
<体積平均粒子径が10μm以上の無機化合物粒子の割合>
分散工程後の重合性組成物について、体積平均粒子径が10μm以上の無機化合物粒子の割合を、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−3100;島津製作所製)を用い、粒度分布を測定することにより求めた。
<フィルターに補足される固形分質量濃度>
目開き60μmのSUS製フィルターを用い、分散工程後の重合性組成物を濾過した場合に捕捉された固形分を乾燥し、その質量から、無機化合物粒子のうち分散工程後も解砕されずに残る粗大な粒子重量(重合性組成物質量基準)を算出した。
<重合性組成物中の装置(分散機)由来の金属濃度の測定>
まず、重合性組成物をポリエステル製フィルター(目開き:50μm)で濾過し、該フィルター上の残渣物を乾燥した。
上記残渣物をビーカーにて秤量し、硫酸、硝酸にて湿式分解し、その後10mLに定容した。そして、その上澄み液をICP−AESで測定(装置:SPS−5100(SIIナノテクノロジー)、検量線:内標準検量線法)し、分散機由来の金属濃度(Co,Cr,Fe,Mn,Niの合計濃度)を求めた。
<プリプレグ中の装置(分散機)由来の金属濃度の測定>
プリプレグを、ロータミルを用いて100μm以下に粉砕した。それをビーカーにて秤量し、硫酸、硝酸にて湿式分解した後、10mLに定容した。その上澄み液をICP−AESで測定(装置:SPS−5100(SIIナノテクノロジー)、検量線:内標準検量線法)し、分散機由来の金属濃度(Co,Cr,Fe,Mn,Niの合計濃度)を求めた。
(実施例1)
重合性組成物の調製
液状重合性単量体としての9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)100部、並びに、酸化防止剤としての2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール0.3部を添加した混合物をガラス容器に入れ、ここに無機化合物粒子としてのシリカ(体積平均粒子径(一次平均粒子径(D50)):0.5μm、二次平均粒子径(D50):62.5μm)100部、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート30部、並びに、難燃剤としてジメチルホスフィン酸アルミニウム60部を入れ、均一に混合した。
次いで、ここに、連鎖移動剤としてのスチレン2部、及び、架橋剤としてのジ−t−ブチルペルオキシド2部を投入し、オリフィス型せん断発生式分散機(吉田機械興業(株)製「ダマトリ君」(呼び寸法:1/2S))を用いて上記成分を分散し、重合性組成物を調整した。得られた重合性組成物について各評価を行った。結果を表1に示す。また、重合性組成物の25℃における粘度値の2倍の粘度値となる温度は5℃であった。
なお、分散工程後の無機化合物粒子の体積平均粒子径(二次平均粒子径(D50))が3μm程度になるように、上記分散工程を10回行った。分散工程1回あたり、単位体積あたりの時間、及び分散工程の循環回数を、「平均処理時間」及び「平均処理回数(θ)」として表1に記載する。また、上記分散工程の温度は25℃であった。
触媒液の調製
ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド0.6部と、トリフェニルホスフィン0.12部とを、インデン18.1部に溶解させて触媒液(メタセシス触媒液)を調製した。
プリプレグの調製
上記重合性組成物に上記メタセシス触媒液を全量投入して攪拌し、触媒含有重合性組成物を得た。得られた触媒含有重合性組成物を、ガラスクロス#2112に、目付量70g/m2にて塗布し、温度120℃、ゲージ圧力0kPaにて3.5分間重合反応を行い、膜厚130μmのプリプレグを作製した。
得られたプリプレグについて、分散機由来の金属濃度の測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例2、比較例1〜4)
表1に記載の分散機を用い、表1に記載の最大流速及び平均処理回数(θ)で分散工程を行ったこと以外は、実施例1と同様にしてモノマー液を得、重合性組成物を調整した。但し、比較例4については、バッチ式にて、容量10L、処理時間60分にて処理を行った。
Figure 2015098620
表1の結果より、オリフィス型せん断発生式分散機を用い、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s以上となる条件下で無機化合物粒子としてのシリカの分散を行った、実施例1及び実施例2では、体積平均粒子径が10μm以上の無機化合物粒子の割合が低く抑えられ、フィルターに捕捉される固形分質量濃度が低く抑えられ、かつ、装置由来金属濃度が低いという結果となった。
一方、オリフィス型せん断発生式分散機を用いたものの、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s未満となる条件下で無機化合物粒子としてのシリカの分散を行った、比較例1及び比較例2では、フィルターに捕捉される固形分質量濃度が高くなってしまった。これは、無機化合物粒子の二次粒子から一次粒子への解砕が一部において進まずに、二次粒子のまま残ったものが存在したことを示している。
また、オリフィス型せん断発生式分散機を用いずに、従来の高速回転ローター・ステーター型分散機を用いた比較例3では、フィルターに捕捉される固形分質量濃度がやや高く、装置由来金属濃度が高くなってしまった。これは、無機化合物粒子の二次粒子から一次粒子への解砕が一部において十分に進まずに、二次粒子のまま残ったものがやや存在した他、装置(分散機)からの金属粉の発生が非常に多かったことを示している。
更に、オリフィス型せん断発生式分散機を用いずに、従来の遊星型3軸撹拌・乳化機を用いた比較例4では、体積平均粒子径が10μm以上の無機化合物粒子の割合が高く、装置由来金属濃度がやや高くなってしまった。これは、無機化合物粒子の二次粒子から一次粒子への解砕の度合いが全体的にやや不十分で完全な一次粒子まで解砕したものの割合が低かった他、装置(分散機)からの金属粉の発生がやや多かったことを示している。

Claims (14)

  1. (a)液状重合性単量体及び(b)無機化合物粒子を含む重合性組成物の製造方法であって、
    オリフィス型せん断発生式分散機を用い、該オリフィス型せん断発生式分散機内のオリフィスにおける最大流速が1.8m/s以上となる条件下で、(a)液状重合性単量体中に(b)無機化合物粒子を分散させる分散工程を含む、重合性組成物の製造方法。
  2. 前記オリフィス型せん断発生式分散機が金属製である、請求項1に記載の重合性組成物の製造方法。
  3. 前記(b)無機化合物粒子の一次平均粒子径(D50)が3μm以下である、請求項1又は2に記載の重合性組成物の製造方法。
  4. 前記(b)無機化合物粒子の分散工程前の二次平均粒子径(D50)が10μmを超え200μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合性組成物の製造方法。
  5. 前記(b)無機化合物粒子の分散工程後の二次平均粒子径(D50)が10μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性組成物の製造方法。
  6. 前記(b)無機化合物粒子が金属酸化物粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性組成物の製造方法。
  7. 前記金属酸化物粒子が、シリカ粒子を50質量%以上含有するものである、請求項6に記載の重合性組成物の製造方法。
  8. 前記重合性組成物が(a)液状重合性単量体100質量部に対して(b)無機化合物粒子を1〜1000質量部含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合性組成物の製造方法。
  9. 前記重合性組成物が、更に、(c)架橋剤を含む、請求項8に記載の重合性組成物の製造方法。
  10. 前記(c)架橋剤が(c1)有機過酸化物である、請求項9に記載の重合性組成物の製造方法。
  11. 分散工程を(c1)有機過酸化物の1分間半減期温度より100℃低い温度以下にて実施する、請求項10に記載の重合性組成物の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の重合性組成物の製造方法によって製造される、重合性組成物。
  13. プリント配線板用プリプレグの前駆体である、請求項12に記載の重合性組成物。
  14. 請求項13に記載の重合性組成物を、繊維状強化材に含浸させた後、重合してなる、金属濃度が0.1mg/m2以下のプリント配線板用プリプレグ。
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