JPWO2015087811A1 - 電気デバイス製造用溶剤組成物 - Google Patents

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Abstract

印刷法を使用して精度良く塗布することができ、塗布後、焼成することにより、灰分や揮発物の発生を抑制して電気特性に優れた配線・塗膜を歩留まりよく形成することができるペースト組成物の原料となる電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、溶剤と下記式(1)(式中、環Zはベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、及びナフタレンから選択される環を示し、Rは炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数を示す。n個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい)で表される化合物を含む【化1】

Description

本発明は、溶剤と増粘剤を含み、加熱溶解することによってペースト組成物を形成する溶剤組成物に関する。前記ペースト組成物は電子デバイスの製造工程において、被塗布面を有する部材(以後、「被塗布面部材」と称する場合がある)に印刷法を用いて塗布することにより配線又は塗膜を形成する用途に用いられる。本願は、2013年12月9日に日本に出願した、特願2013−254105号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
印刷法を用いて製造する電子デバイスにはコンデンサ、インダクタ、バリスタ、サーミスタ、トランジスタ、スピーカ、アクチュエータ、アンテナ、固体酸化物燃料電池(SOFC)などがある。
例えば積層コンデンサは、一般的に、次のような工程を経て製造される。
1.セラミックスの粉末をポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂又はアクリル樹脂等のバインダー樹脂と溶剤で分散させてスラリーとし、シート状に成形してグリーンシートを得る。
2.導電性金属材料(例えば、ニッケル、パラジウム等)、バインダー樹脂(例えば、エチルセルロース等)、及び有機溶剤(例えば、ターピネオール等)を主成分とするペースト組成物を、グリーンシート上に印刷法等により塗布し配線、塗膜を形成する(塗布工程)。
3.上記ペースト組成物中の有機溶剤を乾燥させる(乾燥工程)。
4.配線、塗膜が形成された積層シートを所定寸法に切断し、複数枚積み重ねて加熱圧着して積層体とする。
5.該積層体に電極等を取り付け、高温で焼成させると積層コンデンサが得られる(焼成工程)。
上記バインダー樹脂は導電性金属材料又は絶縁材料をグリーンシート上に固定する働きを有する。従来、塗布性に優れ、精密な形状の塗膜を容易に形成することができるという理由から、エチルセルロース樹脂が主に用いられてきた。しかし、エチルセルロース樹脂は熱分解性が低いため焼成後にカーボン成分が灰分として残留し、それにより電気特性が低下したり、熱分解する過程で揮発分となり空隙(ボイド)を発生させ、配線・塗膜の形成不良や層間剥離(デラミネーション)等により歩留まりを低下させたりすることが問題であった。
従来は各層の膜厚が厚かったために、これらの問題が発生することはそれほど多くなかったが、近年、電子デバイスの高性能化、小型化に伴い、装置を構成する配線、塗膜、セラミック層の薄層化が求められるようになったため、これらの問題の発生が顕著に認められるようになった。
そこで、電気特性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を改善する方法として、ペースト組成物に含まれるバインダー樹脂の改善が種々検討された。例えば、特許文献1には、エチルセルロース樹脂に代えてポリビニルアセタール樹脂を用いることでグリーンシートとの密着性向上や灰分を低減することが開示されている。しかしながら、上記ポリビニルアセタール樹脂を使用しても導電性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を完全に防ぐことは困難であった。
特開2006−299030号公報
従って、本発明の目的は、印刷法を使用して精度良く塗布することができ、塗布後、焼成することにより、灰分や揮発物の発生を抑制して電気特性に優れた配線・塗膜を歩留まりよく形成することができるペースト組成物の原料となる電子デバイス製造用溶剤組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、印刷法を使用して精度良く塗布することができ、塗布後、焼成することにより、灰分や揮発物の発生を抑制して電気特性に優れた配線・塗膜を歩留まりよく形成することができる電子デバイス製造用ペースト組成物、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表される低分子量の化合物は、加熱溶解すると溶剤中において自己組織化することによりひも状会合体を形成して高分子のような粘性を示すこと、エチルセルロース等の高分子化合物に比べて低温で揮発すること、熱分解性に優れ、焼成による灰分の残留や揮発分の発生を著しく低減することができることを見いだした。
そして、印刷法による電子デバイス製造において、エチルセルロース等のバインダー樹脂を溶剤と混合して得られたペースト組成物に代えて前記式(1)で表される低分子量の化合物と溶剤との混合物を加熱溶解して得られるペースト組成物を使用すると、塗布工程においては印刷法による配線・塗膜の形成に適した粘度を有し、液ダレしにくく高精度の配線パターンを形成することができること、乾燥・焼成工程においては、高温で長時間加熱する必要が無く、低温で速やかに乾燥・焼成することができ、被塗布面部材が高温に長時間曝されることにより軟化、変形することを防止できること、焼成工程を経ても配線・塗膜中に灰分の残留や揮発分の発生を著しく低減することができ、これらにより引き起こされていた電気特性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を抑制することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、印刷法を用いて電子デバイスを製造するための溶剤組成物であって、溶剤と下記式(1)
Figure 2015087811
(式中、環Zはベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、及びナフタレンから選択される環を示し、Rは炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数を示す。n個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表される化合物を含む電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、式(1)中のRが、炭素数6〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基若しくはアルキニル基である前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、溶剤が、25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が7.0〜9.2の範囲にある溶剤、及び25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が10.0〜14.0の範囲にある溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤である前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、溶剤が、n−デカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、及び1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールから選択される少なくとも1つである前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、式(1)で表される化合物の含有量が、電子デバイス製造用溶剤組成物全体の0.1〜50重量%である前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃で加熱溶解することを特徴とする電子デバイス製造用ペースト組成物の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記の電子デバイス製造用ペースト組成物の製造方法により得られる電子デバイス製造用ペースト組成物を提供する。
本発明は、また、更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を含む前記の電子デバイス製造用ペースト組成物を提供する。
本発明は、また、バインダー樹脂含有量が10重量%以下である前記の電子デバイス製造用ペースト組成物を提供する。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 印刷法を用いて電子デバイスを製造するための溶剤組成物であって、溶剤と式(1)で表される化合物を含む電子デバイス製造用溶剤組成物。
[2] 電子デバイス製造用溶剤組成物が、印刷法を用いて電子デバイスを製造する際に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料の分散媒として使用する溶剤組成物である[1]に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[3] 電子デバイス製造用溶剤組成物が、印刷法を用いて電子デバイスを構成する配線又は塗膜を形成する際に使用する電子デバイス製造用ペースト組成物において分散媒として使用する溶剤組成物である[1]又は[2]に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[4] 式(1)中のRが、炭素数6〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基若しくはアルキニル基である[1]〜[3]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[5] 式(1)で表される化合物が、式(1)中のRが、全て同一に、炭素数6〜18の直鎖状アルキル基である化合物及び/又は、式(1)中のRが2種の異なる基であり、一方の基が炭素数6〜18の分岐鎖状アルキル基、他の一方の基が炭素数12〜18の直鎖状アルケニル基である化合物である[1]〜[3]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[6] 式(1)で表される化合物が、式(1-1)〜(1-22)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物である[1]〜[3]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[7] 溶剤が、25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が7.0〜9.2の範囲にある溶剤、及び25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が10.0〜14.0の範囲にある溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤である[1]〜[6]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[8] 溶剤が、n−デカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、及び1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールから選択される少なくとも1つである[1]〜[7]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[9] 溶剤と式(1)で表される化合物の組み合わせが、溶剤としてSP値が7.0〜9.2(cal/cm30.5の溶剤を使用する場合は、n個のRの少なくとも1つが炭素数が18〜20の脂肪族炭化水素基(特に好ましくは、炭素数が18〜20の直鎖状アルケニル基)である式(1)で表される化合物を使用し、溶剤としてSP値が10.0〜14.0(cal/cm30.5の溶剤を使用する場合はn個のRの少なくとも1つが炭素数が18〜20の脂肪族炭化水素基(特に好ましくは、炭素数が6〜12の直鎖状アルキル基)である式(1)で表される化合物を使用する[7]又は[8]に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[10] 式(1)で表される化合物の含有量が、電子デバイス製造用溶剤組成物全体の0.1〜50重量%である[1]〜[9]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[11] [1]〜[10]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃で加熱溶解することを特徴とする電子デバイス製造用ペースト組成物の製造方法。
[12] [11]に記載の電子デバイス製造用ペースト組成物の製造方法により得られる電子デバイス製造用ペースト組成物。
[13] 更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を含む[12]に記載の電子デバイス製造用ペースト組成物。
[14] 導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を、電子デバイス製造用ペースト組成物全量の0.1〜90重量%含有する[13]に記載の電子デバイス製造用ペースト組成物。
[15] バインダー樹脂の含有量が10重量%以下である[12]〜[14]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用ペースト組成物。
[16] 電子デバイス製造用ペースト組成物が、印刷法を用いて電子デバイスを構成する配線又は塗膜を形成するためのペースト組成物である[12]〜[15]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用ペースト組成物。
[17] [12]〜[16]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用ペースト組成物を印刷法により塗布する工程、乾燥工程、及び焼成工程を経て導電性若しくは絶縁性を有する配線又は塗膜を形成する配線又は塗膜の製造方法
[18] [17]に記載の配線又は塗膜の製造方法で得られた配線又は塗膜を備えた電子デバイス。
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、溶剤と上記式(1)で表される低分子量の化合物を含有するため、加熱溶解することにより、印刷法による配線・塗膜の形成に適した粘度を有するペースト組成物を形成することができる。前記ペースト組成物を使用すると、液ダレしにくく高精度の配線パターンを形成することができる。また、乾燥・焼成工程において、低温で乾燥・焼成することができ、被塗布面部材が高温に長時間曝されることにより軟化、変形することを防止できる。更に、焼成工程を経ても配線・塗膜中に灰分の残留や揮発分の発生を著しく低減することができ、これらにより引き起こされていた電気特性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を抑制することができる。従って、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、各印刷法により微細パターンを精度良く形成することができ、配線・塗膜の形成不良や層間剥離(デラミネーション)等により歩留まりが低下する問題を解消することができるため、電気特性に優れた配線、塗膜を形成するペースト組成物の原料として極めて有用である。
図1は実施例及び比較例で得られたペースト組成物について20℃から400℃まで10℃/分で昇温した際の重量減少態様と、300℃における残留灰分量を示す図である。
[電子デバイス製造用溶剤組成物]
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、印刷法により電子デバイスを製造するための溶剤組成物(より詳細には、電子デバイスの製造工程において、印刷法により電子回路を製造する際に使用される溶剤組成物)であって、溶剤と下記式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
(式(1)で表される化合物:増粘剤)
本発明の増粘剤は、下記式(1)で表される。
Figure 2015087811
式(1)中、環Zはベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、及びナフタレンから選択される環である。
式(1)中、Rは炭素数6以上の脂肪族炭化水素基であり、例えば、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ミリスチル、ステアリル、ノナデシル基等の炭素数6〜20程度(好ましくは6〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、9−デセニル、11−ドデセニル、オレイル基等の炭素数6〜20程度(好ましくは6〜18、特に好ましくは12〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基;ヘキシニル、オクチニル、デシニル、ペンタデシニル、オクタデシニル基等の炭素数6〜20程度(好ましくは6〜18、特に好ましくは12〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル基等を挙げることができる。
式(1)中、nは3以上の整数を示し、好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。
n個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(1)で表される化合物のうちnが4である化合物としては、下記式で表される化合物等を挙げることができる。下記式中、R1、R2は互いに異なって、炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を示し、上記Rと同様の例を挙げることができる。
Figure 2015087811
Figure 2015087811
式(1)で表される化合物としては、なかでも、蒸発温度(常圧下における)が120〜380℃(好ましくは150〜330℃、更に好ましくは150〜320℃、特に好ましくは150〜315℃、最も好ましくは170〜315℃)のものが好ましく、蒸発温度は、側鎖の種類によりコントロールすることができる。蒸発温度が上記範囲を上回ると、低温条件において速やかに気化させることが困難となり、被塗布面部材が高温に長時間曝されることにより軟化、変形する場合がある。一方、蒸発温度が上記範囲を下回ると、ペースト組成物調整時若しくは印刷時に気化して組成が変動する恐れがあり、安定した配線・塗膜形成が困難となる傾向がある。尚、式(1)で表される化合物の蒸発温度は、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を使用して20℃から400℃まで10℃/分で昇温した場合に、重量の5%が減少した時点の温度である。
式(1)で表される化合物としては、環Zがベンゼンであり、Rが炭素数6〜20程度(好ましくは6〜18)の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、nが3又は4である化合物、及び環Zがベンゾフェノンであり、Rが炭素数6〜20程度(好ましくは6〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、nが3又は4である化合物が好ましい。
式(1)で表される化合物は、アミド結合部位において水素結合により自己会合してファイバー状の自己組織体を形成することができる。更に、R基が溶剤に対して親和性を有するため、溶剤と相溶させることにより、溶剤を増粘することができる。そして、特に、式(1)で表される化合物においてRが2種以上の異なる基である場合は、溶剤が透明性を有する場合はその透明性を維持しつつ増粘することができ、経時的に安定な電子デバイス製造用ペースト組成物を形成することができる。
式(1)で表される化合物は、例えば、下記方法等により製造することができる。
1、下記式(2)
Figure 2015087811
(式中、環Z、nは前記に同じ)
で表される芳香族カルボン酸を塩化チオニルと反応させて芳香族カルボン酸クロライドを得、得られた芳香族カルボン酸クロライドにアミン(R−NH2)(Rは前記に同じ)を反応させる方法
2、前記芳香族カルボン酸に対応する芳香族カルボン酸無水物にアミン(1)(R−NH2)(Rは前記に同じ)を反応させてアミック酸を得、更にアミン(2)(R−NH2)(Rは前記に同じ)[アミン(2)はアミン(1)と同一であっても異なっていてもよい]をカルボジイミドを用いて縮合させる方法
前記芳香族カルボン酸としては、例えば、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、2,4,5−ベンゾフェノントリカルボン酸、3,4,3’−ベンゾフェノントリカルボン酸、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1’−ビフェニル−2,4,4’−トリカルボン酸、1,1’−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,3−ナフタレントリカルボン酸、1,3,8−ナフタレントリカルボン酸、1,4,6−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
アミン(R−NH2)としては、例えば、へキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等の炭素数6以上(好ましくは、炭素数6〜20)の脂肪族炭化水素基(好ましくは、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基)を有するアミンを挙げることができる。
上記1の製造方法において、芳香族カルボン酸クロライドとアミンの反応は、例えばアミンを仕込んだ系内に芳香族カルボン酸クロライドを滴下することにより行うことができる。
アミンの使用量は、芳香族カルボン酸クロライド1モルに対して、例えば4〜8モル程度、好ましくは4〜6モルである。ここで、2種以上の異なるアミンを使用すると、式(1)で表される化合物であってn個のRが2種以上の異なる基である化合物を得ることができる。
芳香族カルボン酸クロライドとアミンの反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。前記溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の飽和又は不飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;スルホラン等のスルホラン系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;シリコーンオイル等の高沸点溶媒等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記溶媒の使用量としては、芳香族カルボン酸クロライドとアミンの総量に対して、例えば50〜300重量%程度である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
芳香族カルボン酸クロライドとアミンの反応(=滴下)は、通常、常圧下で行われる。また、上記反応(=滴下時)の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。反応温度(=滴下時温度)は、例えば30〜60℃程度である。反応時間(=滴下時間)は、例えば0.5〜20時間程度である。反応(=滴下)終了後は、熟成工程を設けてもよい。熟成工程を設ける場合、熟成温度は例えば30〜60℃程度、熟成時間は例えば1〜5時間程度である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
上記2の製造方法では、例えば、芳香族カルボン酸無水物とアミン(1)及び下記溶媒を系内に仕込み、熟成させることによりアミック酸を形成し、その後、アミン(2)と縮合剤(カルボジイミド又はその塩)を仕込み、熟成させることにより式(1)で表される化合物を製造することができる。アミン(1)、(2)として、互いに異なる2種以上のアミンを使用すると、式(1)で表される化合物であってn個のRが2種以上の異なる基である化合物を得ることができる。
前記芳香族カルボン酸無水物としては、上記式(2)で表される芳香族カルボン酸に対応する二無水物を挙げることができる。例えば、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸−3,4:3’,4’−二無水物、1,1’−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸−2,3:3’,4’−二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸−1,8:4,5−二無水物等を挙げることができる。
前記アミン(1)、(2)としては、上記1の製造方法で使用されるアミンと同様の例を挙げることができる。
アミン(1)の使用量としては、芳香族カルボン酸無水物1モルに対して、例えば2〜4モル程度、好ましくは2〜3モルである。また、アミン(2)の使用量としては、芳香族カルボン酸無水物1モルに対して、例えば2〜4モル程度、好ましくは2〜3モルである。
前記カルボジイミドは下記式で表される。
3−N=C=N−R4
上記式中、R3、R4としては、例えば、ヘテロ原子含有置換基を有していてもよい、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は3〜8員のシクロアルキル基である。R3、R4は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、R3とR4は互いに結合して(−N=C=N−)基と共に環を形成していてもよい。
前記炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル基等を挙げることができる。
前記3〜8員のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等を挙げることができる。
前記ヘテロ原子含有置換基としては、窒素原子含有基(例えば、アミノ基や、ジメチルアミノ基等のジ(C1-3)アルキルアミノ基)等を挙げることができる。
カルボジイミドとしては、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド等を挙げることができる。また、カルボジイミドの塩としては、例えば、塩酸塩(具体的には、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩等)等を挙げることができる。
カルボジイミドの使用量としては、芳香族カルボン酸無水物1モルに対して、例えば2〜6モル程度、好ましくは2〜4モルである。
前記溶媒としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミック酸の溶解性に優れるプロトン受容性溶媒を使用することが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記溶媒の使用量としては、アミック酸の総量に対して、例えば50〜300重量%程度、好ましくは100〜250重量%である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
上記反応は、通常、常圧下で行われる。また、上記反応の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。熟成温度(反応温度)は、例えば30〜70℃程度である。芳香族カルボン酸無水物とアミンの熟成時間は、例えば0.5〜5時間程度であり、アミック酸とアミンの熟成時間は、例えば0.5〜20時間程度である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
(溶剤)
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物に含まれる溶剤は、上記式(1)で表される化合物と共に加熱溶解することにより増粘する性質を有する溶剤を使用することが好ましい。
前記溶剤としては、なかでも、25℃におけるSP値[(cal/cm30.5:Fedors計算値]が7.0〜9.2(好ましくは7.0〜8.5、特に好ましくは7.0〜8.0)の範囲にある溶剤、及び25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が10.0〜14.0(好ましくは10.0〜12.0、特に好ましくは10.0〜11.5)の範囲にある溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤を使用することが、上記式(1)で表される化合物の溶解性に優れ、上記式(1)で表される化合物を溶解する際の加熱温度を抑制することができ、温和な条件下で容易に増粘することができる点で好ましい。SP値が上記範囲を外れる溶剤は上記式(1)で表される化合物の溶解性が低いため、該溶剤を含む電子デバイス製造用溶剤組成物は、増粘させる際に、より高い温度での加熱が必要となる傾向がある。
前記溶剤としては、例えば、n−プロパノール(SP値:11.8)、1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール(SP値:11.3)、ジエチレングリコールエチルエーテル(SP値:10.9)、3−メトキシブタノール(SP値:10.9)、トリアセチン(SP値:10.2)、シクロペンタノン(SP値:10.0)、シクロヘキシルアセテート(SP値:9.2)、2−メチルシクロヘキシルアセテート(SP値:9.0)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート(SP値:9.0)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(SP値:9.0)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値:8.9)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(SP値:8.9)、メチルアセテート(SP値:8.8)、エチルアセテート(SP値:8.7)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:8.7)、n−プロピルアセテート(SP値:8.7)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(SP値:8.7)、3−メトキシブタノールアセテート(SP値:8.7)、ブチルアセテート(SP値:8.7)、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート(SP値:8.6)、イソプロピルアセテート(SP値:8.5)、テトラヒドロフラン(SP値:8.3)、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(SP値:8.0)、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(SP値:8.0)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:7.9)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(SP値:7.8)、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(SP値:7.8)、n−デカン(SP値:7.7)、3−メトキシブチルアセテート(SP値:8.7)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値:10.2)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
化合物(1)と溶剤の組み合わせは、化合物(1)と溶剤が相溶すれば特に制限されないが、最小添加量(最低増粘濃度)の観点から、溶剤の極性が低い(例えば、SP値が7.0〜9.2(cal/cm30.5)場合は、n個のRの少なくとも1つが炭素数が8〜20(特に好ましくは18〜20)の脂肪族炭化水素基である化合物(1)を使用することが好ましい。また、溶剤の極性が高い(例えば、SP値が10.0〜14.0(cal/cm30.5)場合はn個のRの少なくとも1つが炭素数が6〜12(特に好ましくは6〜8)の脂肪族炭化水素基である化合物(1)を使用することが好ましい。
電子デバイス製造用溶剤組成物中の式(1)で表される化合物の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば0.1〜50重量%程度、好ましくは0.5〜30重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。また、電子デバイス製造用溶剤組成物中の式(1)で表される化合物の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、溶剤100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部程度であり、上限は好ましくは30重量部、特に好ましくは10重量部、最も好ましくは5重量部、下限は好ましくは0.5重量部である。式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲を下回ると温度変化によって溶液化する等、ゲル状態を安定的に有するペースト組成物を得ることが困難となり、液ダレにより高精度の配線パターンを形成することが困難となる場合がある。一方、式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲を上回ると、式(1)で表される化合物を完全に溶解させることが困難となる場合がある。
また、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物には、上記式(1)で表される化合物以外にも、増粘性を付与する効果を有する他の化合物を含有していてもよいが、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物に含まれる全ての増粘性を付与する効果を有する化合物(100重量%)における上記式(1)で表される化合物(2種以上含有する場合はその総量)の占める割合は、例えば5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
電子デバイス製造用溶剤組成物中の溶剤の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば10〜99.9重量%程度、好ましくは20〜99.5重量%、特に好ましくは30〜99.5重量%、最も好ましくは40〜99.5重量%である。溶剤の含有量が上記範囲を下回ると、ペースト組成物の粘度が高くなりすぎ、印刷法への適用が困難となる場合がある。一方、溶剤の含有量が上記範囲を上回ると、温度変化によって溶液化する等、ゲル状態を安定的に有するペースト組成物を得ることが困難となり、液ダレにより高精度の配線パターンを形成することが困難となる場合がある。
また、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物には、その効果を損なわない範囲であれば、上記溶剤以外に他の有機溶剤を添加していてもよい。他の有機溶剤を添加することにより本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物の物性を用途に合わせて調整することができる。他の有機溶剤の添加量としては、電子デバイス製造用溶剤組成物全量の、例えば50重量%未満、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。他の有機溶剤の含有量が上記範囲を上回ると、上記式(1)で表される化合物の溶解性が低下し、温和な温度における加熱では溶解することが困難となる場合がある。
他の有機溶剤としては、例えば、シクロアルキルアルコール、シクロアルキルアセテート、アルキレングリコール、アルキレングリコールジアセテート、アルキレングリコールモノエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、アルキレングリコールモノエーテルアセテート、ジアルキレングリコールモノエーテル、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリアルキレングリコールモノエーテル、トリアルキレングリコールモノエーテルアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアセテート、テルペン系化合物とその誘導体等を挙げることができる。
前記シクロアルキルアルコールとしては、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクチルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、iso−プロピルシクロヘキシルアルコール、ブチルシクロヘキシルアルコール、iso−ブチルシクロヘキシルアルコール、s−ブチルシクロヘキシルアルコール、t−ブチルシクロヘキシルアルコール、ペンチルシクロヘキシルアルコール等のC1-5アルキル基等の置換基を有していてもよい3員〜15員のシクロアルキルアルコール等を挙げることができる。
前記シクロアルキルアセテートとしては、例えば、シクロペンチルアセテート、シクロオクチルアセテート、エチルシクロヘキシルアセテート、プロピルシクロヘキシルアセテート、iso−プロピルシクロヘキシルアセテート、ブチルシクロヘキシルアセテート、iso−ブチルシクロヘキシルアセテート、s−ブチルシクロヘキシルアセテート、ペンチルシクロヘキシルアセテート等のC1-5アルキル基等の置換基を有していてもよい3員〜15員のシクロアルキルアセテート等を挙げることができる。
前記アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。
前記アルキレングリコールジアセテートとしては、例えば、エチレングリコールジアセテート、1,3−プロパンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,5−ペンタンジオールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等を挙げることができる。
前記アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル等のエチレングリコールモノC1-5アルキルエーテル;プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノペンチルエーテル等のプロピレングリコールモノC1-5アルキルエーテル等を挙げることができる。
前記アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジペンチルエーテル等のエチレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基対称);エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールメチルプロピルエーテル、エチレングリコールブチルメチルエーテル、エチレングリコールメチルペンチルエーテル、エチレングリコールエチルプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエチルエーテル、エチレングリコールエチルペンチルエーテル、エチレングリコールブチルプロピルエーテル、エチレングリコールプロピルペンチルエーテル、エチレングリコールブチルペンチルエーテル等のエチレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基非対称);プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジペンチルエーテル等のプロピレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基対称);プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールメチルペンチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエチルエーテル、プロピレングリコールエチルペンチルエーテル、プロピレングリコールブチルプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルペンチルエーテル、プロピレングリコールブチルペンチルエーテル等のプロピレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基非対称)等を挙げることができる。
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノペンチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノC1-5アルキルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノペンチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノC1-5アルキルエーテルアセテート等を挙げることができる(異性体を含む)。
前記ジアルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル等のジエチレングリコールモノC1-5アルキルエーテル;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル等のジプロピレングリコールモノC1-5アルキルエーテル等を挙げることができる(異性体を含む)。
前記ジアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジペンチルエーテル等のジエチレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基対称);ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールエチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールブチルプロピルエーテル、ジエチレングリコールプロピルペンチルエーテル、ジエチレングリコールブチルペンチルエーテル等のジエチレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキルエーテル(直鎖)(末端アルキル基非対称);ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジペンチルエーテル等のジプロピレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基対称);ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルペンチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルペンチルエーテルなどのジプロピレングリコールC1-5アルキル(直鎖)C1-5アルキル(直鎖)エーテル(末端アルキル基非対称、異性体を含む)等を挙げることができる。
前記ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノペンチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノC1-5アルキルエーテルアセテート;ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノC1-5アルキルエーテルアセテート等を挙げることができる(異性体を含む)。
前記トリアルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル等のトリエチレングリコールモノC1-5アルキルエーテル;トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル等のトリプロピレングリコールモノC1-5アルキルエーテル等を挙げることができる(異性体を含む)。
前記トリアルキレングリコールモノエーテルアセテートとしては、例えば、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノペンチルエーテルアセテート等のトリエチレングリコールモノC1-5アルキルエーテルアセテート;トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテルアセテート等のトリプロピレングリコールモノC1-5アルキルエーテルアセテート等を挙げることができる(異性体を含む)。
前記テルペン系化合物とその誘導体としては、例えば、ターピネオール、ターピネオールアセテート、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、ジヒドロターピニルプロピオネート、リモネン、メンタン、メントール等を挙げることができる。
[電子デバイス製造用ペースト組成物]
本発明の電子デバイス製造用ペース組成物は、上記電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃(好ましくは40〜80℃)で加熱溶解することにより、溶剤と式(1)で表される化合物を相溶させて、製造することができる。
加熱溶解に要する時間としては、例えば3〜60分間程度(好ましくは10〜30分間)である。
加熱溶解後は室温(例えば、25℃以下)にまで冷却することが好ましく、室温で徐々に冷却してもよいし、氷冷等により急速冷却してもよい。
本発明の電子デバイス製造用ペースト組成物には、更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を添加することが、電気特性を付与することができる点で好ましい。導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料の含有量としては、電子デバイス製造用ペースト組成物全量(100重量%)の0.1〜90重量%程度である。
前記導電性金属材料、磁性材料としては周知慣用のものを使用することができ、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、鉄、白金、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉛、コバルト、酸化鉄・酸化クロム、フェライト、及びこれらの合金等を挙げることができる。半導体材料としては周知慣用のものを使用することができ、例えば、ペンタセン、フラーレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、金属(銅、インジウム、ガリウム、セレン、砒素、カドミウム、テルル、及びこれらの合金)、シリコン微粒子等を挙げることができる。誘電材料、絶縁材料としては周知慣用のものを使用することができ、例えば、シクロオレフィンポリマー、フッ素樹脂、ブチラール樹脂、ガラス、紙、テフロン(登録商標)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明の電子デバイス製造用ペースト組成物はバインダー樹脂(例えば、アルキルセルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂等)を含有していてもよいが、その含有量としては、電子デバイス製造用ペースト組成物全量(100重量%)の、例えば10重量%以下程度が好ましく、特に好ましくは5重量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記範囲を上回ると、電気特性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を抑制することが困難となる傾向がある。
上記製造方法により得られる本発明の電子デバイス製造用ペースト組成物は、印刷法(例えば、スクリーン印刷法)による電子デバイス製造に好適な粘度を有し、その粘度[25℃、せん断速度20(1/s)における]は、例えば0.1〜200Pa・s、好ましくは0.1〜10Pa・sである。
また、従来のエチルセルロース等の高分子バインダー樹脂により粘度が付与されたペースト組成物に比べて、低温で乾燥、焼成することができ、乾燥・焼成工程における被塗布面部材の軟化、変形を防止することができる。更に、焼成工程を経ても配線・塗膜の中に灰分を残さず、電気特性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を抑制することができる。
本発明の電子デバイス製造用ペースト組成物を使用すれば、印刷法により、被塗布面部材(例えば、セラミック基板、グリーンシート等)に塗布し、乾燥、焼成工程を経ることにより導電性又は絶縁性に優れた配線、塗膜を形成することができ、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生による歩留まりの低下を防止することができる。従って、本発明の電子デバイス製造用ペースト組成物は、例えば、コンデンサ、インダクタ、バリスタ、サーミスタ、スピーカ、アクチュエータ、アンテナ、固体酸化物燃料電池(SOFC)等(特に、積層セラミックコンデンサ)の製造用に特に有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
調製例1(増粘剤(1):1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口および滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにクロロホルム20mL、ヘキシルアミン3.6g(0.036mol)を仕込んで、系内温度を40℃に設定した。
その後、ピロメリット酸テトラクロリド3g(0.009mol)の10mLクロロホルム溶液を2時間かけて滴下し、更に2時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、白色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラ(ヘキシルアミド)を3.5g得た(収率:67%)。反応生成物の構造は1H−NMRにより確認した。
また、生成物の蒸発温度は308℃であった。
調製例2(増粘剤(2):1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラオクチルアミドの合成)
ヘキシルアミンに代えてオクチルアミン4.8g(0.036mol)を使用した以外は調製例1と同様にして、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラ(オクチルアミド)を3.7g得た(収率:59%)。
生成物の蒸発温度は315℃であった。
調製例3(増粘剤(3):1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口および滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにピリジン20mL、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物3.0g(0.014mol)、オレイルアミン7.4g(0.028mol)を仕込んだ。系内温度を50℃に設定し、3時間熟成した。
その後、2−エチルヘキシルアミン3.6g(0.028mol)、ジイソプロピルカルボジイミド7.0g(0.056mol)を仕込み、更に8時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、淡黄色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミド[1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,4−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,5−ジ(オレイルアミド)と1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,5−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,4−ジ(オレイルアミド)の混合物]を5.9g得た(収率:51%)。
生成物の蒸発温度は289℃であった。
調製例4(増粘剤(4):3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラドデシルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口および滴下ロート、熱伝対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにCHCl320mL、ドデシルアミン11.4g(0.062mol)を仕込んだ。系内温度を50℃に設定し、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボキシテトラクロリド4.97g(0.011mol)の10mLクロロホルム溶液を0.5時間かけて滴下し、更に4時間熟成を行った。その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、淡黄色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラ(ドデシルアミド)を2.4g得た(収率:27%)。
生成物の蒸発温度は188℃であった。
実施例1
調製例1で得られた増粘剤(1)を、溶剤としてのn−デカン(和光純薬工業(株)製)に増粘剤濃度が0.5重量%になるように添加して溶剤組成物(1)を得た。
得られた溶剤組成物(1)を液温80℃で0.5時間加熱溶解し、室温(25℃)まで放冷して、増粘したペースト組成物(1)(粘度:3Pa・s)を得た。
実施例2〜7、比較例1
下記表1に記載の組成(単位:重量比)に変更した以外は実施例1と同様にして溶剤組成物(2)〜(8)を得、ペースト組成物(2)〜(8)を得た。尚、比較例1では増粘剤に代えて高分子バインダー樹脂であるエチルセルロース(商品名「エトセルSTD200」、日新化成(株)製)を樹脂濃度が5重量%になるように添加し、液温80℃で3時間加熱溶解し、室温(25℃)で放冷して、ペースト組成物を得た。
<評価>
実施例で及び比較例で得られたペースト組成物について、下記方法により蒸発温度、残留灰分量、及び塗布性について評価した。
蒸発温度及び残留灰分量:
各20mgを、TG−DTAにて20℃から400℃まで10℃/分で昇温測定を行い、温度毎の重量を測定し、蒸発温度(ペースト組成物の蒸発温度は、重量が0.1%以下に減少した時点の温度である)と350℃における残留灰分量(ペースト組成物全量に対する残留灰分の割合)を評価した(図1参照)。
その結果、実施例で得られたペースト組成物は何れも、比較例で得られたペースト組成物より低温で気化した。さらに、比較例で得られたペースト組成物(8)は350℃の加熱を行ってもペースト組成物全体の3.0重量%が灰分として残ったのに対し、実施例で得られたペースト組成物の残留灰分はペースト組成物全体の0.5重量%以下であった。
塗布性:
「LS−150型TVスクリーン印刷機」(ニューロング精密工業(株)製)を用い、塗布できたものを「○」、塗布できなかったものを「×」とした。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 2015087811
表1中の略号は以下の通りである。
増粘剤
1:1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミド
2:1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラオクチルアミド
3:1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミド
4:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸テトラドデシルアミド
樹脂
EC200:エチルセルロース、商品名「エトセルSTD200」(日新化成(株)製)
溶剤
decane:n−デカン(和光純薬工業(株)製、SP値:7.7)
PMNB:プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル((株)ダイセル製、SP値:7.8)
MB:3−メトキシブタノール((株)ダイセル製、SP値:10.9)
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、加熱溶解することにより、印刷法による配線・塗膜の形成に適した粘度を有するペースト組成物を形成することができる。前記ペースト組成物を使用すると、液ダレしにくく高精度の配線パターンを形成することができる。また、乾燥・焼成工程において、低温で乾燥・焼成することができ、被塗布面部材が高温に長時間曝されることにより軟化、変形することを防止できる。更に、焼成工程を経ても配線・塗膜中に灰分の残留や揮発分の発生を著しく低減することができ、これらにより引き起こされていた電気特性の低下、配線・塗膜の形成不良やデラミネーションの発生を抑制することができる。従って、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、各印刷法により微細パターンを精度良く形成することができ、配線・塗膜の形成不良や層間剥離等により歩留まりが低下する問題を解消することができるため、電気特性に優れた配線、塗膜を形成するペースト組成物の原料として極めて有用である。

Claims (9)

  1. 印刷法を用いて電子デバイスを製造するための溶剤組成物であって、溶剤と下記式(1)
    Figure 2015087811
    (式中、環Zはベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、及びナフタレンから選択される環を示し、Rは炭素数6以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数を示す。n個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい)
    で表される化合物を含む電子デバイス製造用溶剤組成物。
  2. 式(1)中のRが、炭素数6〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基若しくはアルケニル基若しくはアルキニル基である請求項1に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  3. 溶剤が、25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が7.0〜9.2の範囲にある溶剤、及び25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が10.0〜14.0の範囲にある溶剤から選択される少なくとも1種の溶剤である請求項1又は2に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  4. 溶剤が、n−デカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、及び1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールから選択される少なくとも1つである請求項1〜3の何れか1項に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  5. 式(1)で表される化合物の含有量が、電子デバイス製造用溶剤組成物全体の0.1〜50重量%である請求項1〜4の何れか1項に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃で加熱溶解することを特徴とする電子デバイス製造用ペースト組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の電子デバイス製造用ペースト組成物の製造方法により得られる電子デバイス製造用ペースト組成物。
  8. 更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を含む請求項7に記載の電子デバイス製造用ペースト組成物。
  9. バインダー樹脂の含有量が10重量%以下である請求項7又は8に記載の電子デバイス製造用ペースト組成物。
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