JP6652509B2 - 電子デバイス製造用溶剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電子デバイスの製造において、印刷法を用いて配線又は電極を形成するためのインクに用いられる溶剤組成物に関する。本願は、2015年2月3日に日本に出願した、特願2015−019637号の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
印刷法を用いて製造する電子デバイスにはコンデンサ、インダクタ、バリスタ、サーミスタ、トランジスタ、スピーカ、アクチュエータ、アンテナ、固体酸化物燃料電池等がある。
例えば積層セラミックコンデンサは、一般的に、次のような工程を経て製造される。
1.セラミックスの粉末、ポリビニルアセタール樹脂等のバインダー樹脂、及び溶剤を含むスラリーをシート状に成形してグリーンシートを得る。
2.電気特性付与材(例えば、ニッケル、パラジウム等)、バインダー樹脂(例えば、エチルセルロース等)、及び有機溶剤(例えば、ターピネオール等)を含むインクを、グリーンシート上に印刷法により塗布し導電回路の配線や電極等(以後、「配線等」と称する場合がある)を形成する(塗布工程)。
3.塗布されたインクを乾燥させる(乾燥工程)。
4.配線等が形成されたグリーンシートを所定寸法に切断し、複数枚積み重ねて圧着する。
5.焼成させる(焼成工程)。
インクに含まれるバインダー樹脂は電気特性付与材をグリーンシート上に固定する働きや、適度な粘度を付与して微細な印刷パターンの形成を可能とする働きを有する。バインダー樹脂としては、従来、エチルセルロースが主に用いられてきた。しかし、エチルセルロースは熱分解性が低いため高温で焼成する必要があり、長時間高温に曝されることにより被塗布面を有する部材(以後、「被塗布面部材」と称する場合がある)が軟化、変形する場合があること、また、焼成後にカーボン成分が灰分として残留し、それにより導電性の低下が引き起こされることが問題であった。
上記問題を解決するため、バインダー樹脂の改善が種々検討された。例えば、特許文献1には、エチルセルロースに代えてポリビニルアセタール樹脂を用いることで灰分の生成量を低減できることが開示されている。しかしながら、ポリビニルアセタール樹脂を使用しても、これらの問題について十分満足できる結果は得られなかった。
特開2006−299030号公報
従って、本発明の目的は、印刷法によって電子デバイスの配線や電極を形成するためのインクに使用する溶剤組成物であって、インクの印字精度を向上することができ、低温で焼成することができ、焼成後に生じる灰分量を極めて低く抑制することができる溶剤組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、印刷法によって電子デバイスの配線や電極を形成するためのインクであって、印字精度に優れ、低温で焼成することができ、焼成後に生じる灰分量が極めて少ないインク、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表される化合物は、溶剤中で加熱溶解すると自己組織化してひも状会合体を形成し、高分子化合物のような粘性を生じること、エチルセルロース等のバインダー樹脂に比べ低温で焼成可能であること、焼成後の灰分の残留量が極めて少ないことを見いだした。
そして、上記式(1)で表される化合物と溶剤を加熱溶解する工程を経て得られるインクは、印刷法による配線等の形成に適した粘性を有するため、液ダレが抑制され、高精度の配線パターンを形成することができること、焼成工程においては、エチルセルロース等のバインダー樹脂を含むインクを焼成する場合に比べて、より低温で速やかに焼成することができ、被塗布面部材が長時間高温に曝されることにより軟化、変形することを防止できること、焼成後の灰分の残留量を著しく低減することができ、これにより引き起こされていた電気特性の低下を抑制することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、印刷法によって電子デバイスを製造するためのインクに用いられる溶剤組成物であって、溶剤と下記式(1)
Figure 0006652509
(式中、Rは炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。尚、式中の4つのRは全て同一の基、又は2種の異なる基である)
で表される化合物を含む電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、式(1)中のRが炭素数6〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、溶剤の25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が7.0〜9.0である前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、溶剤が、n−デカン、n−ドデカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソアミルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、及び4−t−ブチルシクロヘキシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1つである前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、式(1)で表される化合物の含有量が、溶剤100重量部に対して0.1〜50重量部である前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を提供する。
本発明は、また、前記の電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃で加熱溶解する工程を有する電子デバイス製造用インクの製造方法を提供する。
本発明は、また、溶剤と下記式(1)
Figure 0006652509
(式中、Rは炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。尚、式中の4つのRは全て同一の基、又は2種の異なる基である)
で表される化合物を含む電子デバイス製造用インクを提供する。
本発明は、また、更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を含む前記の電子デバイス製造用インクを提供する。
本発明は、また、バインダー樹脂含有量が10重量%以下である前記の電子デバイス製造用インクを提供する。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 印刷法によって電子デバイスを製造するためのインクに用いられる溶剤組成物であって、溶剤と式(1)で表される化合物を含む電子デバイス製造用溶剤組成物。
[2] 式(1)中のRが炭素数6〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である[1]に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[3] 式(1)で表される化合物が、式(1-2)〜(1-5)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物である[1]又は[2]に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[4] 式(1)で表される化合物が、式(1-3)で表される化合物及び/又は式(1-4)で表される化合物である[1]又は[2]に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[5] 式(1)で表される化合物の蒸発温度が120〜380℃である[1]〜[4]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[6] 溶剤の25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が7.0〜9.0である[1]〜[5]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[7] 溶剤の含有量が電子デバイス製造用溶剤組成物全量の20.0〜99.9重量%である[1]〜[6]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[8] 溶剤が、n−デカン、n−ドデカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソアミルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、及び4−t−ブチルシクロヘキシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1つである[1]〜[7]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[9] n−デカン、n−ドデカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソアミルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、及び4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート以外の溶剤の含有量が、電子デバイス製造用溶剤組成物に含まれる全溶剤の50重量%未満である[1]〜[8]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[10] 式(1)で表される化合物の含有量が、溶剤100重量部に対して0.1〜50重量部である[1]〜[9]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
[11] [1]〜[10]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃で加熱溶解する工程を有する電子デバイス製造用インクの製造方法。
[12] [11]に記載の製造方法により得られる電子デバイス製造用インク。
[13] [1]〜[10]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用溶剤組成物を含む電子デバイス製造用インク。
[14] 溶剤と式(1)で表される化合物を含む電子デバイス製造用インク。
[15] 更に、電気特性付与材を含む[12]〜[14]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用インク。
[16] 電気特性付与材が、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料である[15]に記載の電子デバイス製造用インク。
[17] バインダー樹脂含有量が10重量%以下である[12]〜[16]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用インク。
[18] バインダー樹脂が、分子量10000以上の高分子化合物である[17]に記載の電子デバイス製造用インク。
[19] バインダー樹脂が、エチルセルロース樹脂、アルキルセルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である[17]又は[18]に記載の電子デバイス製造用インク。
[20] 25℃における粘度[せん断速度0.5s-1における]が0.01〜1000Pa・sである[12]〜[19]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用インク。
[21] [12]〜[20]の何れか1つに記載の電子デバイス製造用インクを印刷法により塗布し、乾燥後、焼成する工程を経て配線を形成する工程を有する電子デバイスの製造方法。
[22] 焼成温度が100〜350℃の範囲である[21]に記載の電子デバイスの製造方法。
[23] 灰分の残存量が4.5重量%以下である配線を形成する[21]又は[22]に記載の電子デバイスの製造方法。
[24] 電子デバイスが積層セラミックコンデンサである[21]〜[23]の何れか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
[25] [21]〜[24]の何れか1つに記載の電子デバイスの製造方法により得られる電子デバイス。
[26] 灰分の残存量が4.5重量%以下である配線を有する[25]に記載の電子デバイス。
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、上記式(1)で表される化合物を含有するため、加熱溶解する工程を経て、印刷法による配線等の形成に適した粘性を有するインクを製造することができる。
また、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物を使用して得られるインクは液ダレしにくく、印刷法により高精度の配線パターンを形成することができる。また、焼成工程において、より低温で焼成することができ、被塗布面部材が長時間高温に曝されることにより軟化、変形することを防止できる。更に、焼成後の灰分の残留量を著しく低減することができ、これにより引き起こされていた電気特性の低下を抑制することができる。
従って、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物を使用すれば、印刷法により電気特性に優れた配線等を形成することができ、電気特性に優れた配線等を有する電子デバイスを効率よく製造することができる。
[電子デバイス製造用溶剤組成物]
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物(以後、「溶剤組成物」と称する場合がある)は、印刷法を用いて電子デバイスを製造するためのインクに用いられる溶剤組成物であって、溶剤と式(1)で表される化合物を含む。
(式(1)で表される化合物)
本発明の溶剤組成物は、下記式(1)で表される化合物を含有する。式中、Rは炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。尚、式中の4つのRは全て同一の基、又は2種の異なる基である。下記式(1)で表される化合物は増粘剤として作用する。
Figure 0006652509
式(1)中、Rは炭素数1以上の脂肪族炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ミリスチル、ステアリル、ノナデシル基等の炭素数1〜20程度(好ましくは6〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;ビニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、9−デセニル、11−ドデセニル、オレイル基等の炭素数2〜20程度(好ましくは6〜18、特に好ましくは12〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基;ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニル、デシニル、ペンタデシニル、オクタデシニル基等の炭素数2〜20程度(好ましくは6〜18、特に好ましくは12〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル基等を挙げることができる。
式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1-1)〜(1-5)で表される化合物等を挙げることができる。下記式中、R1、R2は互いに異なって炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示し、上記Rと同様に例を挙げることができる。尚、式中に複数のR1が存在する場合、それらは同じ基を示す。R2についても同様である。
Figure 0006652509
本発明における式(1)で表される化合物としては、なかでも少量の添加で増粘できる点で上記式(1-2)〜(1-5)で表される化合物が好ましく、特に上記式(1-3)で表される化合物及び/又は上記式(1-4)で表される化合物が好ましい。
式(1)で表される化合物としては、なかでも、蒸発温度が120〜380℃(好ましくは150〜330℃、更に好ましくは150〜320℃、特に好ましくは150〜315℃、最も好ましくは170〜315℃)のものが好ましく、蒸発温度は、側鎖の種類によりコントロールすることができる。蒸発温度が上記範囲を上回ると、低温で焼成することが困難となり、被塗布面部材が長時間高温に曝されることにより軟化、変形する場合がある。一方、蒸発温度が上記範囲を下回ると、インク調製時若しくは印刷時に気化して組成が変動する恐れがあり、安定して配線等を形成することが困難となる傾向がある。
式(1)で表される化合物は、アミド結合部位において水素結合により自己会合してファイバー状の自己組織体を形成することができる。更に、R基が溶剤に対して親和性を有するため、溶剤と相溶させることにより溶剤を増粘することができ、経時的に安定な電子デバイス製造用インクを形成することができる。
本発明の溶剤組成物中の式(1)で表される化合物の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、溶剤100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部程度、好ましくは0.5〜30重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部である。式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲を下回ると温度変化によって低粘度化する等、インクの粘度を安定的に維持することが困難となり、液ダレにより高精度の配線パターンを形成することが困難となる場合がある。一方、式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲を上回ると、インクの粘度が高くなりすぎ、印刷法による配線等の形成が困難となる場合がある。
式(1)で表される化合物は、例えば、下記方法等により製造することができる。
1.シクロヘキサンテトラカルボン酸を塩化チオニルと反応させてシクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドを得、得られたシクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドにアミンを反応させる方法
2.シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物にアミン(1)を反応させてアミック酸を得、更にアミン(2)(アミン(1)と同一であってもよく異なっていてもよい)を縮合剤を用いて縮合させる方法
上記1の製造方法で使用するシクロヘキサンテトラカルボン酸としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸を好適に使用することができる。
上記1の製造方法で使用するアミン(R−NH2:Rは前記に同じ)としては、例えば、ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、へキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等の炭素数1以上(好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜18)の脂肪族炭化水素基(例えば、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基)を有するアミンを挙げることができる。
上記1の製造方法において、シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドとアミンの反応は、例えばアミンを仕込んだ系内にシクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドを滴下することにより行うことができる。アミンは、1種を単独で使用しても良く、2種の異なるアミンを使用しても良い。
アミンの使用量(2種の異なるアミンを使用する場合はその総量)は、シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライド1モルに対して、例えば4〜8モル程度、好ましくは4〜6モルである。
シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドとアミンの反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。前記溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の飽和又は不飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;スルホラン等のスルホラン系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;シリコーンオイル等の高沸点溶媒等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記溶媒の使用量としては、シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドとアミンの総量に対して、例えば50〜300重量%程度である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラクロライドとアミンの反応は、通常、常圧下で行われる。また、上記反応の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。反応温度は、例えば30〜60℃程度である。反応時間は、例えば0.5〜20時間程度である。反応終了後(=滴下終了後)は、熟成工程を設けてもよい。熟成工程を設ける場合、熟成温度は例えば30〜60℃程度、熟成時間は例えば1〜5時間程度である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
上記2の製造方法では、例えば、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物とアミン(1)及び下記溶媒を系内に仕込み、熟成させることによりアミック酸を形成し、その後、アミン(2)と縮合剤(例えば、カルボジイミド又はその塩等)を仕込み、熟成させることにより式(1)で表される化合物を製造することができる。
前記シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物を好適に使用することができる。
前記アミン(1)、(2)としては、上記1の製造方法で使用できるアミンと同様の例を挙げることができる。
アミン(1)の使用量としては、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、例えば2〜4モル程度、好ましくは2〜3モルである。また、アミン(2)の使用量としては、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、例えば2〜4モル程度、好ましくは2〜3モルである。
前記カルボジイミドは下記式で表される。
R”−N=C=N−R’
上記式中、R’、R”としては、例えば、ヘテロ原子含有置換基を有していてもよい、炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は3〜8員のシクロアルキル基を挙げることができる。R’、R”は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、R’とR”は互いに結合して上記式中の(−N=C=N−)基と共に環を形成していてもよい。
前記炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル基等を挙げることができる。
前記3〜8員のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等を挙げることができる。
前記ヘテロ原子含有置換基としては、アミノ基、ジメチルアミノ基等のジ(C1-3)アルキルアミノ基等の窒素原子含有置換基を挙げることができる。
カルボジイミドとしては、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド等を挙げることができる。また、カルボジイミドの塩としては、例えば、塩酸塩(具体的には、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩等)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボジイミドの使用量としては、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、例えば2〜6モル程度、好ましくは2〜4モルである。
前記溶媒としては、アミック酸の溶解性に優れるプロトン受容性溶媒(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等)を使用することが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記溶媒の使用量としては、アミック酸の総量に対して、例えば50〜300重量%程度、好ましくは100〜250重量%である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
上記反応は、通常、常圧下で行われる。また、上記反応の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。熟成温度(反応温度)は、例えば30〜70℃程度である。シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物とアミンの熟成時間は、例えば0.5〜5時間程度であり、アミック酸とアミンの熟成時間は、例えば0.5〜20時間程度である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
(溶剤)
本発明の溶剤組成物に含まれる溶剤としては、上記式(1)で表される化合物の溶解性に優れる溶剤を使用することが好ましい。
前記溶剤としては、なかでも、25℃におけるSP値[(cal/cm30.5:Fedors計算値]が7.0〜9.0(好ましくは7.5〜9.0)の範囲にある溶剤を1種又は2種以上使用することが、上記式(1)で表される化合物の溶解性に優れ、且つ上記式(1)で表される化合物を溶解する際の加熱温度を低く、例えば50〜90℃程度に抑制することができる点で好ましい。SP値が上記範囲を外れる溶剤は上記式(1)で表される化合物の溶解性が低いため、前記化合物を溶解する際に、より高い温度での加熱が必要となる傾向がある。
前記溶剤としては、例えば、n−デカン(SP値:7.6)、n−ドデカン(SP値:7.7)、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(SP値:8.1)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(SP値:8.1)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(SP値:8.4)、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(SP値:8.2)、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(SP値:8.2)、ジプロピレングリコールメチルイソアミルエーテル(SP値:8.0)、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(SP値:8.2)、シクロヘキシルアセテート(SP値:8.9)、2−メチルシクロヘキシルアセテート(SP値:8.5)、及び4−t−ブチルシクロヘキシルアセテート(SP値:8.2)からなる群より選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明の溶剤組成物中の溶剤の含有量(2種以上含有する場合は合計含有量)は、例えば20.0〜99.9重量%、好ましくは30.0〜99.5重量%、特に好ましくは40.0〜99.5重量%、最も好ましくは50.0〜99.5重量%、とりわけ好ましくは70.0〜99.5重量%である。溶剤の含有量が上記範囲を下回ると、インクの粘度が高くなりすぎ、印刷法によって配線等を形成することが困難となる場合がある。一方、溶剤の含有量が上記範囲を上回ると、温度変化によって低粘度化する等、インクの粘度を安定的に維持することが困難となり、液ダレ等により高精度の配線パターンを形成することが困難となる場合がある。
また、本発明の溶剤組成物には、その効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて上記溶剤以外の溶剤(以後、「他の溶剤」と称する場合がある。他の溶剤には、電子デバイス製造用途に用いられる周知慣用の溶剤が含まれる)を添加していてもよい。他の溶剤の添加量としては、本発明の溶剤組成物に含まれる全溶剤(100重量%)の、例えば50重量%未満、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
[電子デバイス製造用インク、及びその製造方法]
本発明の電子デバイス製造用インク(以後、「インク」と称する場合がある)は、印刷法によって塗布することにより電子デバイスの配線や電極を形成するためのインクであり、溶剤と上記式(1)で表される化合物を含む。
本発明のインクは、例えば、上記溶剤組成物を30〜90℃(上限は好ましくは80℃、下限は好ましくは40℃、特に好ましくは50℃、最も好ましくは70℃)で加熱溶解する工程を経て製造することができる。
本発明のインクの製造方法は、上記溶剤組成物を30〜90℃(上限は好ましくは80℃、下限は好ましくは40℃、特に好ましくは50℃、最も好ましくは70℃)で加熱溶解する工程を有する。
加熱溶解に要する時間は、例えば3〜60分間程度(好ましくは10〜30分間)である。
加熱溶解後は、室温(例えば、1〜30℃)以下にまで冷却する工程を有することが好ましい。冷却は、室温で徐々に冷却してもよいし、氷冷等により急速に冷却してもよい。
本発明のインクには、更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、及びは絶縁材料からなる群より選択される少なくとも1種の電気特性付与材を添加することが好ましい。電気特性付与材の含有量(2種以上含有する場合はその総量)としては、インク全量(100重量%)の例えば0.1〜90重量%程度である。
前記導電性金属材料、磁性材料としては周知慣用のものを使用することができ、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、鉄、白金、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉛、コバルト、酸化鉄・酸化クロム、フェライト、及びこれらの合金等を挙げることができる。半導体材料としては周知慣用のものを使用することができ、例えば、ペンタセン、フラーレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、金属(銅、インジウム、ガリウム、セレン、砒素、カドミウム、テルル、及びこれらの合金)、シリコン微粒子等を挙げることができる。誘電材料、絶縁材料としては周知慣用のものを使用することができ、例えば、シクロオレフィンポリマー、フッ素樹脂、ブチラール樹脂、ガラス、紙、テフロン(登録商標)等を挙げることができる。
上記工程を経て得られる本発明のインクは上記式(1)で表される化合物を含有し、前記化合物は溶剤中で自己組織化してひも状会合体を形成し、高分子化合物のような粘性を生じるため、バインダー樹脂を配合しなくても、印刷法によって電子デバイスの配線や電極を精度良く形成するのに適度な粘度を有する。
本発明のインクは適度な粘性を有し、25℃における粘度[せん断速度0.5s-1における]は、例えば0.01〜1000Pa・s程度、好ましくは0.1〜500Pa・s、特に好ましくは1〜200Pa・sである。
そのため、本発明のインクはバインダー樹脂(例えば、エチルセルロース樹脂、アルキルセルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂等の分子量10000以上の高分子化合物)を添加する必要がなく、添加する場合であっても、添加量は、インク全量(100重量)の例えば10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは5重量%未満、特に好ましくは3重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。バインダー樹脂の添加量が上記範囲を上回ると、焼成によって生じるバインダー樹脂由来の灰分によって、電気特性の低下が引き起こされるため好ましくない。
また、本発明のインクに含まれる式(1)で表される化合物からなるひも状会合体は、熱分解性に優れ容易に低分子量化する。そのため、本発明のインクはエチルセルロース等のバインダー樹脂により粘度が付与されたインクに比べて低温(例えば100〜350℃、好ましくは150〜300℃、特に好ましくは150〜250℃)で焼成することができ、焼成工程における被塗布面部材の軟化、変形を防止することができる。更に、焼成後の灰分の残留量を極めて低く低減することができ(灰分の残存量は、例えば4.5重量%以下、好ましくは4.0重量%以下、特に好ましくは3.0重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以下)、灰分によって引き起こされる電気特性の低下を抑制することができる。
本発明のインクによれば、印刷法により被塗布面部材(例えば、セラミック基板、グリーンシート等)に塗布、乾燥し、焼成する工程を経て電気特性(例えば、導電性又は絶縁性)に優れた配線等を精度良く形成することができる。従って、本発明のインクは、例えば、コンデンサ、インダクタ、バリスタ、サーミスタ、スピーカ、アクチュエータ、アンテナ、固体酸化物燃料電池(SOFC)等(特に、積層セラミックコンデンサ)の製造用インクとして特に有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
調製例1[増粘剤(1):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(2−エチルヘキシルアミド)ジ(オレイルアミド)の合成]
ジムロート冷却管、窒素導入口、滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにピリジン20mL、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物4.5g(0.02mol)、オレイルアミン10.6g(0.04mol)を仕込み、系内温度を50℃に設定して、3時間熟成した。
その後、2−エチルヘキシルアミン5.2g(0.04mol)、ジイソプロピルカルボジイミド5.5g(0.044mol)を仕込み、更に8時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、淡黄色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(2−エチルヘキシルアミド)ジ(オレイルアミド)[1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,4−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,5−ジ(オレイルアミド)と1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,5−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,4−ジ(オレイルアミド)の混合物]を11.9g得た(収率:61%)。反応生成物の構造は1H−NMRにより確認した。
調製例2[増粘剤(2):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(2−エチルヘキシルアミド)ジ(ステアリルアミド)の合成]
オレイルアミンに代えてステアリルアミン10.7g(0.04mol)を使用した以外は調製例1と同様に行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(2−エチルヘキシルアミド)ジ(ステアリルアミド)[1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,4−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,5−ジ(ステアリルアミド)と1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,5−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,4−ジ(ステアリルアミド)の混合物]を11.2g得た(収率:57%)。
調製例3[増粘剤(3):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(ステアリルアミド)ジ(オレイルアミド)の合成]
2−エチルヘキシルアミンに代えてステアリルアミン10.7g(0.04mol)を使用した以外は調製例1と同様に行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(ステアリルアミド)ジ(オレイルアミド)[1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,4−ジ(ステアリルアミド)−2,5−ジ(オレイルアミド)と1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,5−ジ(ステアリルアミド)−2,4−ジ(オレイルアミド)の混合物]を13.4g得た(収率:53%)。
調製例4[増粘剤(4):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラ(オレイルアミド)の合成]
2−エチルヘキシルアミンに代えてオレイルアミン10.7g(0.04mol)を使用した以外は調製例1と同様に行って、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラ(オレイルアミド)を12.3g得た(収率:49%)。
実施例1
調製例1で得られた増粘剤(1)を、溶剤としてのn−デカン(和光純薬工業(株)製)に増粘剤濃度が1重量%になるように添加して溶剤組成物(1)を得た。
得られた溶剤組成物(1)を液温80℃で0.5時間加熱溶解し、室温(25℃)まで放冷して、ペースト状のインク(1)を得た(25℃における粘度[せん断速度0.5s-1における]:6Pa・s)。
実施例2〜6、比較例1
下記表1に記載の組成(単位:重量%)に変更した以外は実施例1と同様にして溶剤組成物を得、インクを得た。尚、比較例1では増粘剤に代えてエチルセルロース(商品名「エトセルSTD200」、日新化成(株)製)を樹脂濃度が5重量%になるように添加し、液温80℃で3時間加熱溶解し、室温(25℃)で放冷してペースト状のインクを得た。
<評価>
実施例で及び比較例で得られたインクについて、下記方法により残留灰分量、及び塗布性について評価した。
残留灰分量:
インク各20mgを、TG−DTAにて20℃から400℃まで10℃/分で昇温測定を行い、温度毎の重量を測定し、250℃における残留灰分量(インク全量に対する残留灰分の割合)を評価した。
塗布性:
スクリーン印刷機(商品名「LS−150型TVスクリーン印刷機」、ニューロング精密工業(株)製)を用い、塗布できたものを「○」、塗布できなかったものを「×」とした。
結果を下記表にまとめて示す。
Figure 0006652509
表1中の略号は以下の通りである。
増粘剤
1:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(2−エチルヘキシルアミド)ジ(オレイルアミド)
2:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(2−エチルヘキシルアミド)ジ(ステアリルアミド)
3:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジ(ステアリルアミド)ジ(オレイルアミド)
4:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラ(オレイルアミド)
樹脂
EC200:エチルセルロース、商品名「エトセルSTD200」、日新化成(株)製
溶剤
decane:n−デカン(和光純薬工業(株)製、SP値:7.6)
DPMNP:ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル((株)ダイセル製、SP値:8.2)
CHXA:シクロヘキシルアセテート((株)ダイセル製、SP値:8.9)
実施例で得られたインクは何れも、比較例で得られたインクより低温で気化した。また、250℃の加熱によって、比較例で得られたインクはインク全体の4.6重量%が灰分として残ったのに対し、実施例で得られたインクの残留灰分はインク全体の2.1重量%以下であった。
本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物は、加熱溶解する工程を経て、印刷法による配線等の形成に適した粘性を有するインクを製造することができる。
また、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物を使用して得られるインクは液ダレしにくく、印刷法により高精度の配線パターンを形成することができる。また、焼成工程において、より低温で焼成することができ、被塗布面部材が長時間高温に曝されることにより軟化、変形することを防止できる。更に、焼成後の灰分の残留量を著しく低減することができ、これにより引き起こされていた電気特性の低下を抑制することができる。
従って、本発明の電子デバイス製造用溶剤組成物を使用すれば、印刷法により電気特性に優れた配線等を形成することができ、電気特性に優れた配線等を有する電子デバイスを効率よく製造することができる。

Claims (9)

  1. 印刷法によって電子デバイスを製造するためのインクに用いられる溶剤組成物であって、溶剤と下記式(1)
    Figure 0006652509
    (式中、Rは炭素数6〜18のアルキル基、又は、炭素数6〜18のアルケニル基を示す。尚、式中の4つのRは全て同一の基、又は2種の異なる基である)
    で表される化合物を含む電子デバイス製造用溶剤組成物。
  2. 式(1)中のRの少なくとも1つはオレイル基である請求項1に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  3. 溶剤の25℃におけるSP値[(cal/cm30.5]が7.0〜9.0である請求項1又は2に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  4. 溶剤が、n−デカン、n−ドデカン、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルイソアミルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、シクロヘキシルアセテート、2−メチルシクロヘキシルアセテート、及び4−t−ブチルシクロヘキシルアセテートからなる群より選択される少なくとも1つである請求項1〜3の何れか1項に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  5. 式(1)で表される化合物の含有量が、溶剤100重量部に対して0.1〜50重量部である請求項1〜4の何れか1項に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の電子デバイス製造用溶剤組成物を30〜90℃で加熱溶解する工程を有する電子デバイス製造用インクの製造方法。
  7. 溶剤と下記式(1)
    Figure 0006652509
    (式中、Rは炭素数6〜18のアルキル基、又は、炭素数6〜18のアルケニル基を示す。尚、式中の4つのRは全て同一の基、又は2種の異なる基である)
    で表される化合物を含む電子デバイス製造用インク。
  8. 更に、導電性金属材料、半導体材料、磁性材料、誘電材料、又は絶縁材料を含む請求項7に記載の電子デバイス製造用インク。
  9. バインダー樹脂含有量が10重量%以下である請求項7又は8に記載の電子デバイス製造用インク。
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