JPWO2015075921A1 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、陰極体と、を備え、前記誘電体層と前記陰極体との間に、前記誘電体層に付着した有機高分子を含み、前記有機高分子は、酸性基および前記酸性基の残基からなる群より選択される基を1以上有し、前記1以上の基の少なくとも1つが、前記誘電体層に取り込まれている、電解コンデンサである。これにより、誘電体層の漏れ電流が抑制された電解コンデンサを提供することができる。

Description

本発明は、陽極酸化により形成される誘電体層を有する電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化および軽量化に伴って、小型かつ大容量の高周波用コンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性に優れている電解コンデンサの開発が進められている。電解コンデンサは、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどの弁作用金属を含む陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、陰極体とを含む。中でも、誘電体層上に陰極体として導電性高分子を含む固体電解質層(以下、単に導電性高分子層と称する)が形成された電解コンデンサは、固体電解コンデンサと呼ばれている。
誘電体層は、陽極体の一部を化成処理(つまり、陽極酸化)することにより形成される。従来の化成処理は、陽極体を、リン酸水溶液などの化成液に浸漬させて、カソード電極と陽極体(アノード電極)との間に電流を印加することにより行われている(特許文献1,2)。
特開2000−164472号公報 特開2003−338432号公報
従来の化成処理では、特許文献1,2のように、リン酸などの低分子化合物を電解質として含む化成液が使用されている。しかし、低分子化合物を含む化成液により陽極体を処理すると、形成される誘電体層の膜質(例えば、膜の緻密性)が十分ではない場合があり、電解コンデンサの漏れ電流が大きくなることがある。
そこで、本発明は、誘電体層を有する電解コンデンサにおいて、漏れ電流を抑制することを目的とする。
本発明の一局面は、陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層を介して前記陽極体と対向する陰極体と、を備え、前記誘電体層と前記陰極体との間に、前記誘電体層に付着した有機高分子を含み、前記有機高分子は、酸性基および前記酸性基の残基よりなる群から選択される基を1以上有し、前記1以上の基の少なくとも1つが、前記誘電体層に取り込まれている、電解コンデンサに関する。
本発明の別の局面は、陽極体を準備する工程と、前記陽極体上に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層を介して前記陽極体と対向するように陰極体を配置する工程と、を含み、前記誘電体層を形成する工程は、前記陽極体を、1以上の酸性基を有する有機高分子を含む第1処理液と接触させて、前記陽極体を陽極酸化する工程aを含む、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、誘電体層の漏れ電流が抑制された電解コンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。 図1の実線αで囲まれた領域を拡大して示す断面模式図である。 本発明の別の実施形態に係る電解コンデンサの要部の断面模式図である。
本発明の電解コンデンサは、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘電体層を介して陽極体と対向する陰極体と、を備える。誘電体層と陰極体との間には、誘電体層に付着した有機高分子が存在する。有機高分子は、酸性基および酸性基の残基よりなる群から選択される基(以下、酸性型官能基と称する)を1以上有する。また、1以上の酸性型官能基の少なくとも1つは、誘電体層に取り込まれている。有機高分子の酸性型官能基が誘電体層に取り込まれることにより、有機高分子と誘電体層との密着性が高められる。
上記電解コンデンサでは、誘電体層に有機高分子が高い密着性で付着しているため、誘電体層のクラック等の欠陥が生じにくくなり、漏れ電流の増大が抑制される。また、誘電体層の膜質が緻密になりやすい。
更に、陰極体が誘電体層上に形成された導電性高分子層を有する場合には、有機高分子の存在により、誘電体層と導電性高分子層との密着性が向上する。よって、漏れ電流を抑制する効果が大きくなる。
有機高分子は、モノマーの繰り返し単位あたり1つの酸性型官能基を有してもよいし、重合により配列したモノマーの繰り返し単位の一部が酸性型官能基を有するものであってもよい。有機高分子は、互いに異なる複数種の酸性基を有してもよく、互いに異なる複数種の酸性基の残基を有してもよい。また、有機高分子は、共重合体であってもよい。この場合、2種類以上の異なるモノマーのうち、1種のモノマーのみが酸性型官能基を有していてもよいし、複数種の異なるモノマーの全部または一部が酸性基を有してもよい。
酸性基の残基は、酸性基の反応により形成される。酸性基の反応とは、例えば、酸性基と、誘電体層の構成成分または陰極体(例えば導電性高分子層)の構成成分との反応であり得る。例えば、酸性基がリン含有オキソ酸基(例えばホスホン酸基)であれば、酸性基の残基は、リンを含む。酸性基がイオウ含有オキソ酸基(例えばスルホン酸基)であれば、酸性基の残基は、イオウを含む。酸性基が炭素含有オキソ酸基(カルボン酸基)であれば、酸性基の残基は、炭素を含む。これらの酸性基を有する有機高分子は、陽極酸化で用いる化成液の成分として適するとともに、誘電体層の内部に取り込まれやすい。
誘電体層の内部に取り込まれる酸性型官能基の数は、有機高分子の1分子あたり、1以上であればよい。つまり、全ての酸性型官能基が、誘電体層の内部に取り込まれる必要はない。ただし、有機高分子の1分子あたり、合計で1%以上、更には5%以上の酸性型官能基が、誘電体層の内部に取り込まれていることが好ましい。これにより、有機高分子と誘電体層との密着性が高められる。
有機高分子は、例えば、主鎖と側鎖とを含む。主鎖は、ポリアルキレン主鎖であることが好ましい。この場合、側鎖が、酸性型官能基を含む。ポリアルキレン主鎖に結合する酸性型官能基は、誘電体層の内部に取り込まれやすく、かつ有機高分子は、誘電体層の表面の少なくとも一部を覆いやすい。
次に、本発明の電解コンデンサの製造方法は、陽極体を準備する工程と、陽極体上に誘電体層を形成する工程と、誘電体層を介して陽極体と対向するように陰極体を配置する工程と、を含む。ここで、誘電体層を形成する工程は、陽極体と、1以上の酸性基を有する有機高分子を含む第1処理液とを接触させて、陽極体を陽極酸化する工程aを含む。なお、誘電体層を介して陽極体と対向するように陰極体を配置する工程は、例えば、誘電体層上に導電性高分子層を形成する工程を含む。
上記方法によれば、陽極酸化により形成される誘電体層の膜質が緻密になりやすい。また、酸性型官能基の少なくとも一部が誘電体層の内部に取り込まれやすく、かつ有機高分子が誘電体層の表面に付着しやすい。更に、有機高分子(もしくは有機高分子を含む化成液)は、無機酸および低分子カルボン酸に比べると、陽極体の内部に浸透しにくいため、陽極体の過度な酸化が抑制される。よって、誘電体層は薄く形成されやすく、静電容量が大きくなりやすい。緻密かつ薄い誘電体層が形成されることで、耐電圧特性に優れ、かつ高い静電容量を有する電解コンデンサが得られる。
また、有機高分子(もしくは有機高分子を含む化成液)は、陽極体の表層部に優先的に作用するため、陽極体の表層側に向かうほど、誘電体層の厚さは大きくなる傾向がある。よって、外的要因で欠陥の生じやすい陽極体の表層側ほど、緻密で厚い誘電体層を形成することが容易となる。
一方、無機酸(例えばリン酸)および低分子カルボン酸(例えば酢酸)は、低分子化合物であるため、陽極体の内部に浸透し易く、陽極体の酸化が過度に進行する場合がある。よって、陽極体の内部にまで厚い誘電体層が形成される傾向があり、静電容量の向上が困難である。また、無機酸または低分子カルボン酸を用いる場合、酸性基を有する有機高分子を用いる場合に比べ、誘電体層の膜質が緻密になりにくい。
なお、低分子カルボン酸とは、例えば分子量1000未満のカルボン酸を意味する。一方、酸性基を有する有機高分子の重量平均分子量は1000以上である。
誘電体層を形成する工程は、上記工程aに加え、陽極体を、無機酸および低分子カルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2処理液と接触させて、陽極体を陽極酸化する工程bを含ことができる。これにより、漏れ電流を抑制する効果が大きくなる。また、誘電体層の膜質を更に向上させることができる。
第1処理液を用いる工程aは、第2処理液を用いる工程bの後で行うことが好ましい。これにより、外部からの応力が加わりやすい陽極体の表層側の誘電体層が、選択的に、厚く、かつ緻密になりやすい。よって、静電容量を確保しながら、漏れ電流を抑制する効果を高めることができる。また、外部からの応力が加わりやすい陽極体の表層側において、優先的に誘電体層を有機高分子で覆うことができる。
第1処理液の粘度は、25℃において、0.05〜10Pa・sであることが好ましい。これにより、陽極体の過度な酸化を抑制することが容易となる。
第1または第2処理液は、陽極体の表層側から内部に向かって徐々に浸透する。よって、陽極体の表層側とは、第1または第2処理液に陽極体を浸漬したときに、初期に処理液と接触する陽極体の領域をいう。すなわち、陽極体の表層側とは、陽極体の見かけの表面に近い領域である。一方、陽極体の内部とは、陽極体の見かけの表面から離れた領域(例えば陽極体が有する細孔の深部)をいう。
以下、本発明の実施形態について、より詳細に説明する。
[実施形態1]
以下、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電解コンデンサ20の断面模式図である。図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
電解コンデンサ20は、ほぼ直方体の外形を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する樹脂外装体11と、樹脂外装体11の外部にそれぞれ露出する陽極端子7および陰極端子9と、を備えている。電解コンデンサ20は、コンデンサ素子10と同じく、ほぼ直方体の外形を有する。
コンデンサ素子10は、ほぼ直方体の陽極体1と、第一端部2aが陽極体1に埋設され、第二端部2bが陽極体1から引き出された陽極リード2と、陽極体1の表面を覆う誘電体層3と、誘電体層3を介して陽極体1と対向する陰極体とを有している。陰極体は、電解質層4と、電解質層4の表面を覆う陰極層5と、を有している。
電解質層4を構成する電解質材料には、二酸化マンガン等の導電性無機材料、TCNQ(Tetracyano-quinodimethane)錯塩や導電性高分子等の導電性有機材料が用いられる。なお、電解質材料は、これらの導電性無機材料や導電性有機材料に限定されず、種々の物質を用いることができる。ただし、以下の実施形態では、電解質層4として導電性高分子により導電性高分子層4を形成する場合について例示的に説明する。
図示例の陰極層5は、2層構造であり、導電性高分子層4と接触するカーボン層5aと、カーボン層5aの表面を覆う銀ペースト層5bと、を有している。なお、陰極体の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
陽極リード2の第二端部2bは、樹脂外装体11で封止されている陽極端子7の第一端部7aと、溶接等により電気的に接続されている。一方、陰極層5は、樹脂外装体11で封止されている陰極端子9の第一端部9aと、導電性接着材8(例えば熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子7の第二端部7bおよび陰極端子9の第二端部9bは、それぞれ樹脂外装体11の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、固体電解コンデンサ20を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続等に用いられる。
陽極体1は、導電性を有する多孔質体から構成されている。陽極リード2は、例えば導電性を有するワイヤから構成されている。陽極体1は、例えば、陽極リード2の第一端部2aを弁作用金属または弁作用金属を含む合金の粒子に埋め込み、その状態で金属粒子を直方体に成形し、成形体を焼結させることにより作製される。すなわち、陽極体1は、弁作用金属または弁作用金属を含む合金の粒子の結合体(焼結体)である。これにより、陽極体1の外周面から、陽極リード2の第二端部2bが植立するように引き出される。本実施形態においては、陽極体1は弁作用金属の粒子の多孔質体である。
陽極体1および陽極リード2を構成する導電性材料には、同種または異種の材料が用いられる。導電性材料としては、弁作用金属であるチタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)等が用いられる。これらの金属は、その酸化物も含め、誘電率が高いため、陽極体1の構成材料として適している。なお、導電性材料は、2種以上の金属からなる合金であってもよい。例えば、弁作用金属と、ケイ素、バナジウム、ホウ素等とを含む合金を用いることができる。また、弁作用金属と窒素等の典型元素とを含む化合物を用いてもよい。
なお、本実施形態において、弁作用金属の合金は、弁作用金属を主成分とし、弁作用金属を50原子%以上含むことが好ましい。また、陽極1および陽極リード2は、互いに異なる導電性材料により構成してもよい。
誘電体層3は、陽極体1を構成する導電性材料の表面に形成されている。具体的には、誘電体層3は、陽極体1を構成する導電性材料の表面を陽極酸化することにより形成することができる。従って、誘電体層3は、図2に示すように、陽極体1を構成する多孔質体の表面(細孔の内壁面を含む)に沿って形成されている。
誘電体層3の表面には、酸性基および酸性基の残基よりなる群から選択される基(酸性型官能基)を1以上有する有機高分子が付着している。例えば、図1に示すように、誘電体層3の表面には、酸性型官能基を有する有機高分子を含む層(以下、有機高分子層12)が形成されている。また、酸性型官能基の少なくとも1つは、誘電体層3の内部に取り込まれている。誘電体層3に含まれる酸性型官能基の濃度は、誘電体層3の表層側ほど多く分布する傾向がある。
なお、有機高分子層12は、誘電体層3の表面の少なくとも一部を覆っていればよく、誘電体層3の表面全体を覆っている必要はない。
少なくとも1つの酸性型官能基が誘電体層3に取り込まれていることは、例えば、飛行時間二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により、誘電体層3の組成を分析することにより確認することができる。
陰極体としての導電性高分子層4は、有機高分子層12の表面を覆うように形成されている。また、有機高分子層12から誘電体層3が露出する場合、露出した誘電体層3の表面にも導電性高分子4が形成される。なお、導電性高分子層4は、単層であってもよく、同種また別種の導電性高分子を含む複数層から構成されてもよい。
導電性高分子層4を形成する導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。
なお、本明細書では、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどを基本骨格とする高分子を意味する。したがって、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどには、それぞれの誘導体も含まれ得る。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
陰極層5は、導電性高分子層4の表面を覆うように形成されている。具体的には、陰極層5は、導電性高分子層4の表面に形成されたカーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された銀ペースト層5bと、を有している。
以上の構成において、陽極体1および陽極リード2は、コンデンサ素子10の陽極部材である。また、導電性高分子層4および陰極層5は、コンデンサ素子10の陰極部材である。誘電体層3は、コンデンサ素子10の誘電体部材である。
次に、誘電体層3と導電性高分子層4との間について、より詳細に説明する。
誘電体層3と導電性高分子層4との間には、複数の酸性型官能基を有する有機高分子(有機高分子層12)が付着している。酸性型官能基の一部は、誘電体層3の内部に取り込まれている。
例えば、酸性基がリン含有オキソ酸基(例えばホスホン酸基)であれば、リン含有オキソ酸基またはその残基が誘電体層3に取り込まれる。従って、誘電体層3は、内部(特に導電性高分子層4の近傍)にリンを含む。酸性基がイオウ含有オキソ酸基(例えばスルホン酸基)であれば、イオウ含有オキソ酸基またはその残基が誘電体層3に取り込まれる。従って、誘電体層3は、内部(特に導電性高分子層4の近傍)にイオウを含む。酸性基が炭素含有オキソ酸基(カルボン酸基)であれば、炭素含有オキソ酸基またはその残基が誘電体層3に取り込まれる。従って、誘電体層3は、内部(特に導電性高分子層4の近傍)に炭素を含む。これにより、以下のような効果を奏する。
第一に、誘電体層3に有機高分子が付着しているため、誘電体層3のクラック等の欠陥が生じにくくなり、漏れ電流の増大が抑制される。この効果は、誘電体層3と有機高分子との密着性が高いほど大きくなる。通常、有機高分子は、酸性型官能基を複数有する。そして、複数の酸性型官能基の一部が、誘電体層3の内部に取り込まれている。よって、有機高分子と誘電体層との密着性が十分に確保される。
第二に、誘電体層の膜質が緻密になりやすい。これは、誘電体層3の形成過程に有機高分子が関与するためである。その結果、漏れ電流の増大が更に抑制される。
第三に、有機高分子層12の存在により、誘電体層3と導電性高分子層4との密着性が向上する。その結果、漏れ電流を抑制する効果が更に大きくなる。これは、有機高分子層12と導電性高分子層4を構成する高分子との親和性が高いためである。この効果も、酸性型官能基が誘電体層の内部に取り込まれ、有機高分子層12と誘電体層3との密着性が高くなることにより高められる。
リン含有オキソ酸基としては、リン酸基(phosphoric acid group)、亜リン酸基(phosphorous acid group)、ホスホン酸基(phosphonic acid group)などが挙げられる。イオウ含有オキソ酸基としては、スルホン酸基が挙げられる。炭素含有オキソ酸基としては、カルボン酸基が挙げられる。これらは単独で有機高分子に含まれていてもよく、複数種が含まれていてもよい。これらの中では、特にホスホン酸基が、緻密な誘電体層を形成するのに適している。
次に、電解コンデンサの製造方法について、更に具体的に説明する。
以下、陽極体1を準備する工程、陽極体1上に誘電体層3を形成する工程、誘電体層3を介して陽極体1と対向する陰極体(導電性高分子層4)を形成する工程、および、陰極層5を形成する工程について、順に説明する。
(1)陽極体1を形成する工程
図2に示すような多孔質焼結体からなる陽極体1は、陽極リード2の第一端部2aを弁作用金属の粒子に埋め込み、その状態で金属粒子を直方体に成形し、成形体を焼結させることにより作製される。
(2)誘電体層3を形成する工程
誘電体層3を形成する工程は、陽極体1を、酸性基を有する有機高分子を含む第1処理液と接触させて、陽極体1を陽極酸化する工程aを含む。
工程aでは、第1処理液が満たされた化成槽に陽極体1を浸漬し、陽極リード2を化成槽の陽極に接続する。このとき、第1処理液は、多孔質体である陽極体1を構成する弁作用金属の粒子の隙間に侵入する。次に、化成槽内のカソード電極と陽極体1(アノード電極)との間に電流を流し、陽極酸化を行うことにより、陽極体1の表面(陽極体1を構成する多孔質体の孔の表面)に誘電体層3が形成される。
(第1処理液)
第1処理液は、電解質として、酸性基を有する有機高分子を含む水溶液であることが好ましい。第1処理液に含まれる有機高分子の濃度は、例えば0.01〜60質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。有機高分子の濃度を制御することにより、第1処理液の粘度を所望の粘度に制御することが可能である。有機高分子が酸性基を有するため、第1処理液は酸性を示す。適度な化成を行う観点から、第1処理液のpHは0より大きく、かつ5以下であることが好ましい。
有機高分子は、水溶性であることが好ましい。水溶性の有機高分子を用いることで、水溶液の第1処理液を得ることができる。ただし、第1処理液の溶媒は、水だけである必要はなく、有機溶媒を含んでもよい。
第1処理液の粘度は、25℃において、0.05〜10Pa・sであることが好ましい。粘度が高いほど、陽極体の表層側に、優先的に、酸性基を有する有機高分子が作用する。また、粘度が低いほど、陽極体の内部の細孔にまで、酸性基を有する有機高分子が作用する。よって、第1処理液の粘度を制御することで、誘電体層3の厚さに所望の分布を持たせることができる。例えば、第1処理液の粘度を高くするほど、陽極体1の表層側の誘電体層3だけを厚く形成することができる。
酸性基を有する有機高分子は、例えばポリアルキレン主鎖と、酸性基を含む側鎖とを含む。ポリアルキレン主鎖は、ビニル基を有するモノマーの重合により形成される。ポリアルキレン主鎖を有する有機高分子の代表は、ポリビニル化合物である。ポリビニル化合物としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。なかでも、芳香環を有さない脂肪族ポリビニル化合物が、酸性基を有する有機高分子として好適である。ただし、これらのポリビニル化合物は、更なる側鎖を有し、その側鎖は酸性基を有する。
芳香環を有さない脂肪族ポリビニル化合物としては、例えば、一般式(1):
−An−Bm
で表され得る。ただし、AおよびBで示されるブロックは、それぞれ独立に、エチレン基を主鎖とするグループである。Aは酸性基を有さず、Bは酸性基を有する。AおよびBは、規則的またはランダムな配列で結合している。nおよびmは、それぞれ独立であり、nは0以上の任意の整数、mは1以上の任意の整数である。両末端は、特に限定されないが、例えば、水素原子である。
酸性基は、上記のように、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基などである。中でも酸性基がホスホン酸基を有する場合、誘電体層3の膜質を改善する効果が高く、電解コンデンサの漏れ電流を低減する効果が大きくなる。なお、有機高分子の1分子が、複数種の酸性基を有してもよい。また、異なる酸性基を有する有機高分子を複数種組み合わせて用いてもよい。
ホスホン酸基(phosphonic acid group)は、一般式(2):
−R0-P(=O)(OR1)(OR2)で表される。
0は主鎖または側鎖の炭化水素基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6(好ましくは1〜3)の炭化水素基、例えばメチル基、エチル基などである。
酸性基を有する有機高分子の重量平均分量は、1000以上が好ましく、1万〜100万が更に好ましい。このような分子量を有する有機高分子を用いることにより、陽極体の少なくとも表層部に有機高分子が浸透しやすく、緻密な誘電体層が形成されやすい。また、陽極体の内部にまで有機高分子が浸透しやすい。
有機高分子の1分子あたりに含まれる酸性基の数は、特に限定されず、モノマーの繰り返し単位あたり1つの酸性基を有してもよいし、重合により配列したモノマーの繰り返し単位の一部が酸性基を有してもよい。ただし、有機高分子が1分子あたり複数の酸性基を有することで、より緻密な誘電体層が形成されやすく、かつ有機高分子と誘電体層との十分な密着性が確保される。また、誘電体層と導電性高分子層との十分な密着性が確保される。
(3)導電性高分子層を形成する工程
導電性高分子層4は、どのような方法で形成してもよい。例えば、有機高分子が付着した誘電体層3を有する陽極体1を、導電性高分子の原料モノマーを含む溶液に浸漬し、化学重合、電解重合などの方法で、導電性高分子層4を形成することができる。また、導電性高分子が溶解する溶液または導電性高分子が分散する分散液に、陽極体1を浸漬し、その後、乾燥させることにより、誘電体層3の表面に、導電性高分子のディップ膜を形成してもよい。また、導電性高分子層4は、複数層の導電性高分子層の積層膜でもよい。
以下、2層構造の導電性高分子層を形成する場合を例にとって説明する。
(3−1)第1導電性高分子層を形成する工程
有機高分子が付着した誘電体層3を有する陽極体1を、第1導電性高分子が溶解する溶液に浸漬し、その後、乾燥させる。これにより、有機高分子が付着した誘電体層3の表面に、第1導電性高分子のディップ膜が形成される。また、第1導電性高分子の分散液を誘電体層3に塗布し、乾燥させて、第1導電性高分子層を形成してもよい。溶液または分散液中の第1導電性高分子の濃度は、例えば0.5〜6g/L(リットル)であればよい。
第1導電性高分子層を形成する方法は、ディップ膜を形成する方法に限られない。例えば、第1導電性高分子の原料モノマーとドーパントとを含む溶液に浸漬し、化学重合を行ってもよい。
(3−2)第2導電性高分子層を形成する工程
次に、第1導電性高分子層を形成した誘電体層3を有する陽極体1を、第2導電性高分子の原料モノマーとドーパントとを含む溶液に浸漬し、電解重合を行う。これにより、第1導電性高分子層の表面に、第2導電性高分子層が形成される。溶液中のモノマー濃度は、例えば0.1〜2mol/L(リットル)であればよい。
第2導電性高分子層を形成する方法は、電解重合に限られない。例えば、第2導電性高分子の溶液または分散液を、第1導電性高分子層を介して、誘電体層3の表面に、塗布し、乾燥させてもよい。
化学重合および/または電解重合で用いるドーパントは、特に限定されないが、例えば、スルホン酸系金属塩がある。スルホン酸系金属塩は、酸化剤とドーパントとしての役割を果たす。スルホン酸を構成する部分としては、アルキルスルホン酸(1−オクタンスルホン酸など)、芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸など)、多環芳香族スルホン酸(ナフタレンジスルホン酸など)などが挙げられ、金属塩を構成する部分としては、鉄(III)、銅(II)、クロム(IV)、亜鉛(II)などから適宜選択することができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(4)陰極層5を形成する工程
導電性高分子層4の表面に、カーボンペーストおよび銀ペーストを順次に塗布することにより、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5が形成される。カーボン層5aの厚さは、例えば1〜20μmであり、銀ペースト層5aの厚さは、例えば50〜100μmであればよい。カーボンペーストは、黒鉛などの導電性炭素材料を含む組成物である。また、銀ペースト層5bは、銀粒子と樹脂とを含む組成物である。なお、陰極層5の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
《実施形態2》
本実施形態では、有機高分子を含む第1処理液による処理(工程a)に加えて、無機酸および低分子カルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2処理液による処理(工程b)を行うことにより、誘電体層3を形成する。工程bは、工程aの前後のどちらで行ってもよい。本実施形態では、工程bを先に行う場合について説明する。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
工程bでは、第2処理液が満たされた化成槽に陽極体1を浸漬し、陽極リード2を化成槽の陽極に接続する。次に、化成槽内の陰極と陽極体1との間に電流を流し、陽極酸化を行う。第2処理液に含まれる無機酸または低分子カルボン酸は、低分子化合物である。よって、第2処理液は、多孔質体である陽極体1の内部に浸透し易い。よって、内部の弁作用金属の粒子の隙間にまで作用する。工程bにより、陽極体1の内部から表層部にわたる全体に、誘電体層3が形成されやすい。
(第2処理液)
第2処理液は、電解質として、無機酸および低分子カルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1種を含む水溶液であることが好ましい。第2処理液に含まれる無機酸および/または低分子カルボン酸の濃度は、例えば、第2処理液のpHが0より大きく、5以下の範囲となるように制御すればよい。無機酸としては、リン酸、硝酸、酢酸、硫酸を用いることができる。低分子カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などを用いることができる。より具体的には、例えば、濃度0.001〜10質量%のリン酸水溶液を用いることが好ましい。第2処理液の粘度は、25℃において、0.1mPa・s〜2mPa・sであることが好ましい。
次に、実施形態1と同様に、第1処理液を用いて、陽極体1の陽極酸化を行う。このときの陽極酸化は、実施形態1で行う場合より短くてよい。これにより、陽極体1の表層側で優先的に陽極酸化が進行する。よって、陽極体1の、主として表層側に、緻密な膜質の誘電体層が追加的に形成される。
本実施形態によれば、図3に示すように、陽極体1の内部の細孔の表面に形成される誘電体層3の厚さを小さく、陽極体1の表層側に形成される誘電体層3の厚さを大きくすることができる。よって、静電容量を確保することが容易となる。また、欠陥の生じやすい陽極体1の表層側ほど、緻密で厚い誘電体層3を形成することが容易となる。更に、外部からの応力が加わりやすい陽極体1の表層側の誘電体層3に、高効率で、酸性基を有する有機高分子を付着させることができる。よって、漏れ電流の増大は大きく抑制される。一方、図3に示すように、誘電体層3の内部には、酸性基を有する有機高分子がほとんど付着せず、あるいは付着量は少なくなる。よって、有機高分子の使用量を低減でき、少量で効率よく陽極体1の表層側を補強できる。
また、第1処理液は有機高分子を含むため、粘度の調整が容易である。第1処理液の粘度を第2処理液の粘度より高くすることで、陽極体1のより表層側に、有機高分子を付着させやすく、より表層側に、緻密な膜質の誘電体層を追加的に形成しやすくなる。これにより、静電容量の低下を抑制しつつ、漏れ電流の増大を抑制する効果が大きくなる。
《実施形態3》
本実施形態でも、有機高分子を含む第1処理液による処理(工程a)に加えて、無機酸および低分子カルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2処理液による処理(工程b)を行う。ただし、本実施形態では、工程aを先に行う。以下、実施形態1、2と異なる点を中心に説明する。
工程aでは、実施形態1と同様に、酸性基を有する有機高分子を含む第1処理液を用いて、陽極体1の陽極酸化を行う。ただし、このときの陽極酸化は、実施形態1で行う場合より短くてよい。
第1処理液に含まれる有機高分子は、無機酸および低分子カルボン酸に比べると、多孔質体である陽極体1の内部にまで浸透しにくい。ただし、第2処理液による陽極酸化を先に行う場合に比べ、有機高分子は、内部の弁作用金属の粒子の隙間に作用しやすい。よって、実施形態2に比べると、陽極体1の内部の誘電体層3が緻密になりやすく、また、陽極体1の内部の誘電体層3の表面に、有機高分子を付着させやすい。これにより、陽極体1の表層側だけでなく、内部でも、誘電体層3と導電性高分子との密着性を高めやすい。
次に、実施形態2と同様に、無機酸および/または低分子カルボン酸を含む第2処理液を用いて、陽極体1の陽極酸化を行う。このとき、陽極体1の内部から表層にかけて陽極酸化が更に進行し、陽極体1の全体にわたって誘電体層3が追加的に形成される。これにより、陽極体1の表面のうち、誘電体層3が形成されない面積を低減することができる。また、誘電体層3の膜質が更に向上する。
なお、上記実施形態では、陽極体1が金属粒子から形成された多孔質体である場合について説明したが、陽極体の構成は、これに限定されるものではない。陽極体1は、例えば、弁作用金属の金属箔や金属板であってもよい。その場合、金属箔や金属板には、エッチングピットを設けることが好ましい。
また、上記実施形態では、導電性高分子層4が、第1導電性高分子層4aと第2導電性高分子層4bを有する2層構造である場合について説明したが、導電性高分子層4は、1層構造でもよく、3層以上の構造を有してもよい。
次に、実施例に基づいて、本発明の電解コンデンサについて、より具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
下記の要領で電解コンデンサを作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体を形成する工程
弁作用金属として、一次粒径が約0.5μm、二次粒径が約100μmであるタンタル金属粒子を用いた。タンタルからなる陽極リード2の第一端部2aがタンタル金属粒子に埋め込まれるように、タンタル金属粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。これにより、タンタルの多孔質焼結体からなる陽極体1を得た。陽極体1は、長さ4.4mm、幅3.3mm、厚さ0.9mmの直方体である。陽極体1の一側面(3.3mm×0.9mm)からは、陽極リード2の第二端部2bが突出した状態で固定されている。
(2)誘電体層を形成する工程
第1処理液として、ホスホン酸基を有するポリビニル化合物(高分子A)を含む水溶液を調製した。
第1処理液の25℃での粘度を粘度計(スピンドル型)を用いて測定したところ、0.1Pa・sであった。
第1処理液が満たされた化成槽に、陽極体1と陽極リード2の一部を浸漬し、陽極リード2の第二端部2bを化成槽の陽極に接続した。そして、陽極酸化を行うことにより、図1に示すように、陽極体1の表面および陽極リード2の一部の表面に、酸化タンタル(Ta25)の誘電体層3を形成した。陽極酸化により、図2に示すように、陽極体1を構成する多孔質体の表面(細孔の内壁面を含む)および陽極リード2の一部に、誘電体層3が形成された。
第1処理液による陽極酸化の条件は、以下の通りである。
直流電圧:50V
陽極体の単位重量あたりの電流密度:1mA
酸化時間:1時間
このように誘電体層3が形成された陽極体1を切断し、断面をTOF-SIMSで観察した。このとき、陽極体1の表面に緻密な誘電体層3が形成されていること、および誘電体層にホスホン酸基に由来するリンが取り込まれていることが観測された。
(3)導電性高分子層の形成
誘電体層3の表面に、ポリピロールからなる導電性高分子層4を化学重合により形成した。
(4)陰極層5の形成
導電性高分子層4の表面に、カーボンペーストを塗布することにより、カーボン層5aを形成した。次に、カーボン層5aの表面に、銀ペーストを塗布することにより、銀ペースト層5bを形成した。こうして、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成した。
上記のようにして、実施例1の電解コンデンサを完成させた。
(実施例2)
実施例1と同様に作製した陽極体1を、第2処理液が満たされた化成槽に浸漬し、陽極酸化を行うことにより、陽極体1の表面および陽極リード2の一部の表面に、酸化タンタル(Ta25)の誘電体層3を形成した。
第2処理液として、リン酸を1質量%含む水溶液を調製した。第2処理液のpHは0〜1であった。また、第2処理液の25℃での粘度を粘度計(スピンドル型)を用いて測定したところ、1mPa・sであった。
第2処理液による陽極酸化の条件は、以下の通りである。
直流電圧:30V
陽極体の単位重量あたりの電流密度:1mA
酸化時間:3時間
次に、実施例1と同じ第1処理液を用いて、更に陽極酸化を行った。
第1処理液による陽極酸化の条件は、以下の通りである。
直流電圧:50V
陽極体の単位重量あたりの電流密度:1mA
酸化時間:3時間
上記以外、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製した。
(実施例3)
実施例1と同様に作製した陽極体1を、実施例1と同じ第1処理液が満たされた化成槽に浸漬し、陽極酸化を行うことにより、陽極体1の表面および陽極リード2の一部の表面に、酸化タンタル(Ta25)の誘電体層3を形成した。
第1処理液による陽極酸化の条件は、以下の通りである。
直流電圧:50V
陽極体の単位重量あたりの電流密度:1mA
酸化時間:1時間
次に、実施例2と同じ第2処理液を用いて、更に陽極酸化を行った。
第2処理液による陽極酸化の条件は、以下の通りである。
直流電圧:50V
陽極体の単位重量あたりの電流密度:1mA
酸化時間:3時間
上記以外、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製した。
(比較例1)
実施例1と同様に作製した陽極体1を、実施例2と同じ第2処理液が満たされた化成槽に浸漬し、陽極酸化を行うことにより、陽極体1の表面および陽極リード2の一部の表面に、酸化タンタル(Ta25)の誘電体層3を形成した。第1処理液による陽極酸化は行わなかった。
第2処理液による陽極酸化の条件は、以下の通りである。
直流電圧:30V
陽極体の単位重量あたりの電流密度:1mA
酸化時間:3時間
上記以外、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製した。
[評価]
実施例1〜3および比較例1の電解コンデンサを、それぞれ250個ずつ作製し、漏れ電流を測定した。具体的には、陽極体1と陰極5との間に10Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流を測定した。そして、所定の基準値と対比することにより、良否判定を行い、歩留まりを求めた。
表1に、測定結果を示す。なお、表1では、比較例1の数値を1とし、実施例1の数値は、比較例1に対して規格化した。
Figure 2015075921
表1より、実施例1〜3は、比較例1と比べて、漏れ電流の基準値に対する良否判定において、歩留まりが高くなっている。以上より、誘電体層の表面に有機高分子を付着させることにより、漏れ電流を低減できることが確認できた。
1:陽極体、2:陽極リード、3:誘電体層、4:導電性高分子層、5:陰極層、5a:カーボン層、5b:銀ペースト層、7:陽極端子、8:導電性接着材、9:陰極端子、10:コンデンサ素子、11:樹脂外装体、12:有機高分子層、20:電解コンデンサ

Claims (9)

  1. 陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層を介して前記陽極体と対向する陰極体と、を備え、
    前記誘電体層と前記陰極体との間に、前記誘電体層に付着した有機高分子を含み、
    前記有機高分子は、酸性基および前記酸性基の残基よりなる群から選択される基を1以上有し、
    前記1以上の基の少なくとも1つが、前記誘電体層に取り込まれている、電解コンデンサ。
  2. 前記酸性基は、リン含有オキソ酸基である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記リン含有オキソ酸基は、ホスホン酸基である、請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記有機高分子は、ポリアルキレン主鎖と、前記酸性基および/または前記残基を含む側鎖とを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記陰極体は、前記誘電体層上に形成された導電性高分子層を含み、前記導電性高分子層の少なくとも一部は、前記有機高分子に付着している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6. 陽極体を準備する工程と、
    前記陽極体上に誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層を介して前記陽極体と対向するように陰極体を配置する工程と、を含み、
    前記誘電体層を形成する工程は、
    前記陽極体を、1以上の酸性基を有する有機高分子を含む第1処理液と接触させて、前記陽極体を陽極酸化する工程aを含む、電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記誘電体層を形成する工程は、さらに、
    前記陽極体を、無機酸および低分子カルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2処理液と接触させて、前記陽極体を陽極酸化する工程bを含む、請求項6に記載の電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記工程bの後、前記工程aを行う、請求項7に記載の電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記第1処理液の粘度は、25℃において、0.05〜10Pa・sである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
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