JPWO2015075889A1 - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

燃料電池システム(61)であって、燃料電池(1)と、燃料電池(1)を含む燃料電池ユニットにおける排ガスから燃料電池(1)の発電に利用されるガスに水を移動させる凝縮前加湿器(4)と、凝縮前加湿器(4)を通過した排ガス中の水を凝縮させる凝縮器(2)とを備えている。また、凝縮器(2)を通過した排ガスから、凝縮前加湿器(4)に供給されるガスに水を移動させる凝縮後加湿器(3)と、燃料電池(1)から回収された熱を利用する熱利用部と、熱利用部を経由して熱媒体を循環する熱媒体循環経路とを備えている。さらに、熱媒体循環経路は、凝縮器に供給される排ガスを冷却し、熱を回収するように構成されている。

Description

本発明は、水素含有ガスを空気等の酸化剤ガスと反応させて、電力および熱を生み出す燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、通常、一般的な原料インフラである天然ガスまたはLPG(Liquified Petroleum Gas)から水素含有ガスを生成させる改質器を備えている。
改質器においては、水蒸気改質反応が一般的に用いられている。この水蒸気改質反応は、例えば、原料となる都市ガスと水蒸気とを、Ni系またはRu系の貴金属系の改質触媒を用いて、600℃〜700℃程度の高温で反応させるものである。これにより、水素を主成分とした水素含有ガスが生成される。
生成された水素含有ガスは燃料電池に供給され、別途供給される空気等の酸化剤ガスと反応して、電力および熱が生み出される。
水蒸気改質反応に用いられる水としては、改質器内の触媒を劣化させないように、純度の高いものを使用する必要がある。この水を水道水等のインフラから供給し続けると、水を純水にするために、多量のイオン交換樹脂が必要となり、燃料電池システムのコストが高騰してしまう。
そこで、燃料電池システム内で生成された水を回収し、その水を水蒸気改質反応の水として用いる燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、従来の燃料電池システム100の概略構成を示す概念図である。
図11の構成において、水素生成装置によって生成した水素含有ガスが、燃料電池101に供給される。燃料電池101には別途酸化剤ガスも供給される。そして、燃料電池101において、水素含有ガスと酸化剤ガスとが反応し、電気および熱が生み出される。この反応に用いられなかった酸化剤ガスは、オフ酸化剤ガスとして、燃料電池101から排出される。
オフ酸化剤ガス中には、燃料電池101において水素と酸素とが反応した時に生成された水が、蒸気として含まれている。このオフ酸化剤ガスを、凝縮器102において冷却することにより、水蒸気を凝縮させて水が回収される。
上述した燃料電池システム100では、凝縮器102における冷媒として、燃料電池101において生成された熱を回収するための排熱回収水を用いることが一般的である。この排熱回収水は貯湯タンクに蓄えられ、貯湯タンク下部から燃料電池システム100に排熱回収のための低温水が供給され、貯湯タンク上部に燃料電池システム100から回収された高温水が供給される。これにより、低温水を用いて燃料電池システム100から熱を回収し、高温水として貯湯タンクに蓄えることが可能となる。
ここで、貯湯タンク下部から供給される排熱回収水の温度が高温になると、凝縮器102において水を十分に回収することが出来なくなる。燃料電池システム100内では、燃料電池101に供給される水素含有ガスの加湿のための水、燃料電池101に供給される酸化剤ガスの加湿のための水、および、水素含有ガスを生成させるための改質反応に用いられる水等、多くの水が使用されている。燃料電池システム100での水回収量が低下すると、燃料電池システム100での水使用量に対する水回収量が不足してしまい、水収支が成立しなくなり、水自立出来ないという課題を有している。
従来の燃料電池システム100は、カソードから排出されるオフ酸化剤ガス、および、アノードから排出されるオフ燃料ガスを熱交換器に通して、排熱回収水等と熱交換することで冷却し水を回収する。しかしながら、従来の燃料電池システム100は、排熱回収水の温度が高くなっても、熱交換による冷却のみで水を回収するため、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスの冷却能力が低下し、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガス中の水蒸気を凝縮しきれず、燃料電池システムの運転に必要な水量を回収し難かった。
特開2008−234869号公報
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、燃料電池システムにおいて、水自立性能を従来よりも向上させるものである。
本発明の燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池を含む燃料電池ユニットにおける排ガスから燃料電池の発電に利用されるガスに水を移動させる凝縮前加湿器と、凝縮前加湿器を通過した排ガス中の水を凝縮させる凝縮器とを備えている。また、凝縮器を通過した排ガスから、凝縮前加湿器に供給されるガスに水を移動させる凝縮後加湿器と、燃料電池から回収された熱を利用する熱利用部と、熱利用部を経由して熱媒体を循環する熱媒体循環経路とを備えている。さらに、熱媒体循環経路は、凝縮器に供給される排ガスを冷却し、熱を回収するように構成されている。
このような構成により、燃料電池システムにおける排ガス中の水を凝縮器で凝縮させて分離してから、排ガスを凝縮後加湿器に供給し、排ガス中の水分をより確実に燃料電池の発電に利用されるガスに移動させることができる。さらに、凝縮後加湿器で比較的低い露点に加湿された燃料電池の発電に利用されるガスは、このまま燃料電池に供給すると加湿が不十分である虞があるため、このガスを凝縮前加湿器に供給し、凝縮器に供給される前の、水分を比較的多く含む燃料電池ユニットからの排ガス中の水分を、燃料電池の発電に利用されるガスへ移動させる。これにより、燃料電池の発電に利用されるガスを比較的高い露点へと加湿することができる。
このような構成により、簡便な構成で、凝縮器で十分に水を凝縮できない場合であっても、燃料電池システムにおける排ガス中の水をより確実に回収して燃料電池システムの外部に放出することを抑制しつつ、燃料電池の発電に利用されるガスをより確実に加湿することを両立できるという効果を奏することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システムの凝縮器の周辺構成を示す図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態の第1変形例における燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図4は、本発明の第2の実施の形態における燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図5は、本発明の第3の実施の形態における、燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図6は、本発明の第3の実施の形態における、燃料電池システムの別の構成を示す図である。 図7は、本発明の第3の実施の形態の第1変形例における、燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図8は、本発明の第4の実施の形態における、燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図9は、本発明の第4の実施の形態の第1変形例における、燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図10は、本発明の第5の実施の形態における燃料電池システムの概略構成の一例を示す概念図である。 図11は、従来の燃料電池システムの概略構成を示す概念図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、各実施の形態に記載された内容に限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる燃料電池システム61の概略構成の一例を示す概念図である。
図1の例では、本実施の形態の燃料電池システム61は、燃料電池1と、凝縮器2と、凝縮前加湿器4と、凝縮後加湿器3とを備えている。
燃料電池1は、水素を含有した燃料ガスと、酸素を含有した酸化剤ガスとを用いて発電する。燃料電池1は、いずれの種類であってもよく、例えば、固体高分子形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、および燐酸形燃料電池等から選択されるものを用いることができる。
なお、燃料電池1での発電に使用されなかった燃料ガスは、オフ燃料ガスとして燃料電池1から排出される。また、燃料電池1での発電に使用されなかった酸化剤ガスは、オフ酸化剤ガスとして燃料電池1から排出される。なお、燃料電池1にて使用される燃料ガスは、都市ガスまたはLPG等の炭化水素を、改質器にて改質することによって生成される水素含有ガスを用いてもよいし、インフラ、ボンベ、またはタンク等から供給される水素含有ガスを用いてもよい。
凝縮前加湿器4は、燃料電池1を含む燃料電池ユニットにおける排ガスから燃料電池の発電に利用されるガスに水を移動させる。凝縮前加湿器4は、燃料電池1から排出される少なくともオフ酸化剤ガスと、後述する凝縮後加湿器3から排出される、燃料電池1の発電に利用されるガスとの間で水蒸気または水を移動させる。
凝縮器2は、凝縮前加湿器4を通過した排ガス中の水を凝縮させる。凝縮器2は、凝縮前加湿器4から排出される、オフ燃料ガスおよびオフ酸化剤ガス等の、水蒸気を含有したガスを冷却して、水を凝縮させる。凝縮させるガスは、水蒸気を含有していれば如何なるガスであってもよい。また、凝縮器2において冷却するための冷媒としては、水または空気等があるが、ガスを冷却することが出来れば如何なるものを用いてもよい。例えば、燃料電池1から発生する熱を回収するための排熱回収水を用いることが好ましい。
また、凝縮器2から排出される排ガスと、燃料電池1の発電に利用されるガスとが凝縮後加湿器3に供給される。
凝縮後加湿器3は、凝縮器2を通過した排ガスから、凝縮前加湿器4に供給されるガスに水を移動させる。凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3は、それぞれの加湿器内を複数のガスが流通し、複数のガス間で、水蒸気または水が移動するように構成されている。凝縮後加湿器3および凝縮前加湿器4において、水蒸気または水を多く含んだガスから、水蒸気または水が少ないガスへと、水蒸気または水が移動する。凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3としては、水蒸気または水を移動させることが出来れば、如何なる構成であってもよく、例えば、中空糸膜を用いることが好ましい。なお、凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3のうち少なくとも一方は、水のみを交換する加湿器であってもよいし、水だけでなく熱も交換可能な全熱交換器であってもよい。
[動作]
以下、燃料電池システム61の動作について、図1を用いて説明する。
燃料電池1から排出されるガスとしては、オフ燃料ガスおよびオフ酸化剤ガスがあり、どちらのガスも、排ガスとして燃料電池システム61から排出される際に、水蒸気が一緒に排出される。このため、燃料電池システム61として、水が回収されるべき排ガスは、オフ燃料ガスおよびオフ酸化剤ガスのうち、少なくともいずれかで有り得る。本実施の形態では、この中で、オフ酸化剤ガスを用いて説明する。
燃料電池1のカソードに供給される酸化剤ガスは、酸素ガスを含有していれば如何なるものでもよいが、本実施の形態では、酸化剤ガスとして空気を用いた例を用いて説明する。燃料電池1のカソードに供給される空気のうち、酸素の一部は、燃料電池1での発電および発熱に使用される。一方で、使用されなかった酸素および窒素等の空気成分は、オフ酸化剤ガスとしてカソードから排出される。燃料電池1では、酸素と水素とが反応して発電および発熱し、その結果として水が生成される。その水の全て、または一部は、水蒸気または液体としてカソードから排出される。このため、オフ酸化剤ガス中には、多量の水蒸気が含有されていることになる。
オフ酸化剤ガス中の水蒸気を回収するために、本実施の形態では、少なくともカソードから排出されたオフ酸化剤ガスと、カソードに供給される酸化剤ガスとを、凝縮後加湿器3とは別のカソード加湿器である凝縮前加湿器4に通し、凝縮前加湿器4を介して、水蒸気をオフ酸化剤ガスから酸化剤ガスに移動させている。
また、凝縮器2において、凝縮前加湿器4から排出されたオフ酸化剤ガスが冷却され、さらに水蒸気が凝縮される。凝縮器2における、オフ酸化剤ガスを冷却するための冷媒としては、オフ酸化剤ガスを冷却することが出来れば如何なるものを用いてもよい。本実施の形態では、燃料電池1から発生する熱を回収するための排熱回収水を用いる。この排熱回収水としては、燃料電池1にて発生した熱を蓄えるための貯湯タンクの水が使用される。
図2は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システム61の凝縮器2の周辺構成を示す図である。
図2に示したように、燃料電池システム61は、熱利用部12および熱媒体循環経路13を備えている。熱利用部12は、燃料電池1から回収した熱を利用する。本実施の形態においては、貯湯タンクが熱利用部12に含まれる。また、熱媒体循環経路13は、熱利用部12を経由して熱媒体を循環させる。熱媒体循環経路13は、凝縮器2に供給される排ガスを冷却して、熱を回収するように構成されている。なお、熱利用部12は、貯湯タンク以外にも、例えば暖房等に熱を利用する放熱器であってもよいし、熱を貯める蓄熱部であってもよい。
貯湯タンク内には、排熱回収用の水が蓄えられており、高温水が上部に、低温水が下部に、それぞれ溜まるように構成されている。貯湯タンク下部から取り出された排熱回収水は、熱媒体循環経路13を介して凝縮器2に供給され、オフ酸化剤ガスから熱を回収することにより、オフ酸化剤ガスを冷却する。凝縮器2を通過した排熱回収水は、燃料電池1から発生する熱を回収する経路(熱媒体循環経路13)を通過し、熱交換して、燃料電池1の熱を回収する。熱を回収した排熱回収水は、温度が上昇しており、貯湯タンク上部に供給されて、お湯として蓄えられる。このように、凝縮器2においてオフ酸化剤ガスが冷却され、オフ酸化剤ガス中の水蒸気は、凝縮水として回収される。回収された水は、燃料電池1の発電に必要なガスの加湿や、燃料電池1の発電に用いられる水素含有ガスを生成するために使用される。
ここで、凝縮器2においてオフ酸化剤ガスから回収可能な水量は、凝縮器2に供給される冷媒の温度および流量に依存する。このため、冷媒の温度が上昇したり、冷媒の流量が低下したりしてしまうと、オフ酸化剤ガスから、燃料電池1の運転を継続するために必要な水量を回収出来なくなってしまう。
貯湯タンクから供給される排熱回収水の温度は、燃料電池システム61の運転条件および設置環境等により、燃料電池システム61の運転に必要な水量を回収するための凝縮器2の冷媒として、十分な温度にまで低下しない場合がある。例えば、本実施の形態では、40℃以上の水が貯湯タンクから供給された場合には、燃料電池1に必要な水量を凝縮器2から回収することが出来ない。このような場合においても燃料電池1に必要な水量を確保するため、本実施の形態では、凝縮器2から排出されたオフ酸化剤ガスを凝縮後加湿器3に供給する。
凝縮後加湿器3には、オフ酸化剤ガスとは別に、燃料電池1に利用されるガスが供給されている。燃料電池1に利用されるガスとしては、燃料電池1のカソードに供給される酸化剤ガス、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガス、および、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガスの原料となる都市ガスまたはLPG等の炭化水素ガス等のうち、少なくともいずれかが含まれる。
凝縮後加湿器3が一般的な加湿器である場合においては、オフ酸化剤ガスと、燃料電池1に利用されるガスとの間で、水蒸気分圧の高い側から低い側へ水蒸気が移動する。凝縮器2での水凝縮能力が低下し、オフ酸化剤ガスに水蒸気が多く含まれている場合には、燃料電池1に利用されるガスの水蒸気分圧よりも、オフ酸化剤ガスの水蒸気分圧が高くなる。このような場合には、オフ酸化剤ガスが保有する水蒸気が燃料電池1に利用されるガスに移る。
これにより、オフ酸化剤ガスとして燃料電池システム61外に排出される水量が減り、燃料電池システム61内で利用される水量が増えるので、燃料電池システム61として水収支が改善する。なお、凝縮後加湿器3および凝縮前加湿器4のうち少なくともいずれかは全熱交換器であってもよく、その場合には、凝縮後加湿器3および凝縮前加湿器4のうち少なくともいずれかにおいて、オフ酸化剤ガスと燃料電池1に利用されるガスとの間で、水蒸気の移動だけでなく、熱の移動も行われることとなる。
両方のガスの露点、およびガス温度に応じて、水蒸気および熱が移動する。なお、凝縮器2に供給される冷媒の温度が低く、凝縮前加湿器4および凝縮器2を通過したオフ酸化剤ガスの水蒸気分圧が低い場合には、凝縮後加湿器3において、燃料電池1に利用されるガスからオフ酸化剤ガスに水蒸気が移動し、移動した水が燃料電池システム61外に排出されることがある。この場合には、燃料電池1に利用されるガスが元々有していた水蒸気の一部が失われることになる。しかしながら、凝縮前加湿器4および凝縮器2においてオフ酸化剤に含まれていた水を十分に回収できているため、燃料電池システム61全体の水収支としては、回収する側が、消費する側よりも多くなり、水自立が成立する。なお、凝縮器2にて凝縮される排ガスは、オフ酸化剤ガスに限定されるものではなく、オフ燃料ガス、または、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスの混合ガスであってもよい。
以上述べたような本実施の形態の構成では、燃料電池1から排出される排ガスと、燃料電池1の発電に利用されるガスとの間で、加湿器が、凝縮後加湿器3一つの場合と比較して、さらに水蒸気を交換することが可能となり、燃料電池1に供給されるガスの水蒸気量を増加させることが可能となる。
燃料電池1は、完全にドライな状態では耐久性能を維持することが難しい。このため、カソードに供給される酸化剤ガスを、予め加湿しておくことが一般的である。この加湿方法として、本実施の形態では、カソードから排出されたオフ酸化剤ガスと、カソードに供給される酸化剤ガスとを、凝縮後加湿器3とは別のカソード加湿器である凝縮前加湿器4にも通し、凝縮前加湿器4を介して、さらに水蒸気をオフ酸化剤ガスから酸化剤ガスに移動させている。
本実施の形態では、燃料電池1のカソードから排出されたオフ酸化剤ガスを、凝縮器2に直接供給するのではなく、一度、凝縮前加湿器4に通して水蒸気を移動させた上で、凝縮器2に供給している。なお、凝縮前加湿器4に通される排ガスは、オフ酸化剤ガスに限定されず、オフ燃料ガス、または、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスの混合ガスであってもよい。
また、凝縮前加湿器4に通される燃料電池1の発電に利用されるガスは、酸化剤ガスに限定されるものではなく、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガス、または、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガスの原料となる都市ガスもしくはLPG等の炭化水素ガスであってもよい。
[第1変形例]
図3は、本発明の第1の実施の形態の第1変形例における燃料電池システム62の概略構成の一例を示す概念図である。
図3に示されるように、本変形例では、第1の実施の形態の燃料電池システム61と比較して、凝縮前加湿器4を通過した、燃料電池1の発電に利用されるガスが、第3の加湿器4aに供給されている点が異なる。
本変形例の燃料電池システム62において、上述の点以外は、第1の実施の形態の燃料電池システム61と同様に構成することができる。
このような構成では、燃料電池1の発電に利用されるガスを、第3の加湿器4aにより加湿することが可能となり、燃料電池1に供給されるガスの水蒸気量を第1の実施の形態の燃料電池システム61と比較して、さらに増加させることが可能となる。
燃料電池1の発電に利用されるガスは、酸化剤ガス、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガス、および、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガスの原料となる都市ガスまたはLPG等の炭化水素ガス等のうち、少なくともいずれかを含むガスである。
第3の加湿器4aにおいて、燃料電池1の発電に利用されるガスを加湿する加湿元としては、如何なるものを用いてもよい。例えば、燃料電池1を冷却するために流れている水等を用いることができる。
以上述べたような、本実施の形態における燃料電池システム61,62の効果について説明する。
従来の燃料電池システムにおいても、凝縮器に供給されるガスを冷却する冷媒の温度が十分に低く、凝縮器に供給される排ガスを十分に冷却できる場合には、凝縮器で凝縮した水分を比較的多く分離できるため、燃料電池システムにおける排ガス中の水を、より確実に回収して燃料電池システムの外部に放出することを抑制することができる。しかしながら、凝縮後加湿器を通流する排ガスの露点が低くなるため、燃料電池の発電に利用されるガスを十分に加湿できない虞がある。そこで、本実施の形態においては、このガスを凝縮前加湿器4に供給し、水分を比較的多く含む凝縮器2に供給される前の燃料電池ユニットからの排ガス中の水分を、燃料電池1の発電に利用されるガスへ移動させ、燃料電池1の発電に利用されるガスを十分に加湿することができる。
一方で、従来の燃料電池システムにおいて、凝縮器に供給されるガスを冷却する冷媒の温度が高く、凝縮器に供給される排ガスを十分に冷却できない場合には、凝縮器で十分に水を凝縮できず、燃料電池システムにおける排ガス中の水分が燃料電池システムの外部に放出される虞がある。そこで、本実施の形態においては、凝縮後加湿器3を用いて、燃料電池システム61,62における排ガス中の水分を、燃料電池1の発電に利用されるガスへ移動させ、排ガス中の水をより確実に回収して燃料電池システム61,62の外部に放出することを抑制する。
さらに、燃料電池1の発電に利用されるガスは比較的低い露点で加湿されており、凝縮前加湿器4を用いて、燃料電池1の発電に利用されるガスを、ガスの露点がより高くなるように確実に加湿することができる。
ここで、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できない場合、凝縮後加湿器3を通流する排ガスの露点が比較的高くなり、凝縮後加湿器3を通流する燃料電池1の発電に利用させるガスの露点も比較的高くなる。そして、凝縮前加湿器4に供給される燃料電池1の発電に利用されるガスの露点は、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できる場合よりも高くなる。
そのため、凝縮前加湿器4において燃料電池システム61,62における排ガスから燃料電池1の発電に利用されるガスへ移動する水分は、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できる場合よりも少なくなる。従って、凝縮前加湿器4から凝縮器2へ供給される排ガスの露点は、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できる場合よりも高くなる。よって、本実施の形態の構成により、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できない場合であっても、凝縮器2で分離できる水分量をより多くすることができ、燃料電池システム61,62内で改質反応に利用する水が不足することを抑制できる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
[装置構成]
図4は、本発明の第2の実施の形態における燃料電池システム63の概略構成の一例を示す概念図である。
図4の例では、本実施の形態の燃料電池システム63は、燃料電池1、凝縮器2、凝縮後加湿器3、凝縮前加湿器4、および燃焼器5を備えている。
燃料電池1、凝縮器2、凝縮前加湿器4、および凝縮後加湿器3については、第1の実施の形態の燃料電池システム61,62と同様であるので、その説明を省略する。
燃焼器5は、燃料電池1のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させるものである。燃焼器5は、オフ燃料ガスを燃焼させるものであれば、如何なるものであってもよい。本実施の形態では、燃料電池1のアノードに供給される、水素を含有した燃料ガスを生成する改質器において加熱するための燃焼バーナーを用いている。
改質器において、例えば水蒸気改質反応により燃料ガスを生成させる場合、その反応は吸熱反応であるため、燃焼バーナーから必要な熱量を与える必要がある。この熱の供給源として、燃焼器5を用いる。燃焼器5には、別途燃焼反応に必要な酸素を含んだガスを供給する必要がある。本実施の形態では、ファンを用いて空気を供給する。
なお、燃焼器5は、改質器を加熱するための燃焼バーナーに限定されるものではなく、例えば、純水素を燃料ガスとして発電する燃料電池1のオフ燃料ガスを燃焼させ、その燃焼熱で排熱回収水を加熱し、熱エネルギーとして回収するものであってもよい。
[動作]
以下、燃料電池システム63の動作について説明する。
本実施の形態の燃料電池システム63は、燃料電池1のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼器5で燃やし、燃焼器5から排出される燃焼排ガスを凝縮前加湿器4、および凝縮後加湿器3に供給して、燃焼排ガス中の水蒸気を回収する。以上の点を除いて、本実施の形態の燃料電池システム63の動作は、基本的に第1の実施の形態の燃料電池システム61,62と同様の動作となるため、その特徴について、図4を用いて説明する。
燃料電池1のアノードには水素を含有した燃料ガスが供給される。その燃料ガスのうち、燃料電池1での反応に使用されなかったガスは、オフ燃料ガスとして、燃料電池1のアノードから排出される。燃料電池1は、完全にドライな状態では耐久性能を維持することが難しいので、アノードに供給される燃料ガスは、水を含有しているのが一般的である。
この水は、燃料電池1のアノードを加湿した上で、オフ燃料ガスとともに排出される。また、燃料電池1の発電に伴って、カソードで発生した水がアノードに移動し、その水がオフ燃料ガスに含有される場合がある。このように、オフ燃料ガスには水蒸気が含まれている。なお、本実施の形態では、水蒸気を含有したオフ燃料ガスを燃焼器5に供給しているが、オフ燃料ガスの水を一度凝縮させて回収した後、燃焼器5で燃焼させてもよい。
オフ燃料ガスは、燃焼器5に供給されて、オフ燃料ガス中の水素および炭化水素等の可燃性ガスが燃やされる。水素または炭化水素を燃焼させると、水が発生する。このため、燃焼器5から排出されるオフ燃料ガスには、水が多く含まれている。この水を回収するために、オフ燃料ガスを凝縮前加湿器4および凝縮器2に供給する。凝縮前加湿器4における加湿方法、および、凝縮器2での水凝縮の方法については、第1の実施の形態と同様のため、省略する。
オフ燃料ガス中の水蒸気は、凝縮前加湿器4において燃料ガスを加湿し、凝縮器2において凝縮されて回収される。しかしながら、凝縮器2での水凝縮能力が低下すると、燃料電池システム63における、水使用量に対する水回収量が少なくなり、燃料電池システム63内での水自立が成立しなくなる。そこで、水回収量を増やすために、オフ燃料ガスを、さらに凝縮後加湿器3に供給する。凝縮後加湿器3による水回収方法は、第1の実施の形態と同様のため、説明は省略する。
本実施の形態の燃料電池システム63は、上記特徴部分以外は、第1の実施の形態の燃料電池システム61,62と同様に構成してもよい。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
[装置構成]
図5は、本発明の第3の実施の形態における、燃料電池システム64の概略構成の一例を示す概念図である。
図5の例では、本実施の形態の燃料電池システム64は、燃料電池1、凝縮前加湿器4、凝縮後加湿器3、燃焼器5、第1の凝縮器6、および第2の凝縮器7を備えている。
燃料電池1、凝縮前加湿器4、凝縮後加湿器3、および燃焼器5については、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
第1の凝縮器6は、燃料電池1から排出されるオフ酸化剤ガス中の水蒸気を凝縮して回収する凝縮器である。凝縮方法や冷媒は、第1の実施の形態の凝縮器2と同様であるので、その説明を省略する。
第2の凝縮器7は、燃焼器5および凝縮前加湿器4から排出される燃焼排ガス中の水蒸気を凝縮し、回収する凝縮器である。凝縮方法や冷媒は、第1の実施の形態および第2の実施の形態の凝縮器2と同様であるので、その説明を省略する。なお、第1の凝縮器6および第2の凝縮器7に供給される冷媒は、同じ冷媒を並列に分けて供給されていてもよいし、第1の凝縮器6と第2の凝縮器7とを直列に繋いで、同じ冷媒を順番に流して冷却してもよい。なお、直列に繋ぐ場合には、第1の凝縮器6と第2の凝縮器7とを繋ぐ順番は、どちらが先になってもよい。また、別の冷媒が第1の凝縮器6および第2の凝縮器7それぞれに供給される構成であってもよい。本実施の形態では、第1の凝縮器6と第2の凝縮器7とに、排熱回収水を並列に分岐して供給している。
[動作]
以下、燃料電池システム64の動作について説明する。
本実施の形態の燃料電池システム64の動作は、第1の実施の形態、および第2の実施の形態のうち、少なくともいずれかの燃料電池システム61〜63と同様の動作となるため、その特徴について、図5を用いて説明する。
燃料電池1のカソードからオフ酸化剤ガスが排出され、燃料電池1のアノードからオフ燃料ガスが排出される。オフ燃料ガスは、燃焼器5において燃焼され、さらに水蒸気を含有したオフ燃料ガスになる。
オフ酸化剤ガス中の水蒸気を凝縮させて、水を回収するために、第1の凝縮器6にオフ酸化剤ガスを流通させる。また、オフ燃料ガス中の水蒸気を凝縮させて、水を回収するために、凝縮前加湿器4および第2の凝縮器7にオフ燃料ガスを流通させる。このようにして、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスから水を回収する。しかしながら、第1の凝縮器6および第2の凝縮器7のうち、少なくともいずれかの冷却能力が低下すると、燃料電池システム64内での水回収量が低下し、水収支のバランスが崩れてしまい、水自立が出来なくなる。そこで、第1の凝縮器6を通過したオフ酸化剤ガス、および、第2の凝縮器7を通過したオフ燃料ガスを凝縮後加湿器3に流して、燃料電池1に利用されるガスに水蒸気を供給する。
ここで、凝縮後加湿器3を二つ用意して、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスから、それぞれ別々に燃料電池1に利用されるガスに水蒸気を移動させてもよい。本実施の形態では、燃料電池システム64の構成を簡略化するために、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスを混合した上で、凝縮後加湿器3に供給している。
このように、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスの両方から、燃料電池1に利用されるガスに水蒸気を移動させることで、燃料電池1に利用されるガスにより回収される水の量を増やすことが可能となる。
図6は、本発明の第3の実施の形態における、燃料電池システム65の別の構成を示す図である。
図6に示した燃料電池システム65では、凝縮前加湿器4を、燃料電池1から排出されたオフ酸化剤ガスと、凝縮後加湿器3において加湿された燃料電池1に利用されるガスとの間に配置している。
このような構成によっても、燃料電池システム64と比較して、よりオフ酸化剤ガスから回収される水の量を増やし、酸化剤ガスを加湿することが可能となる。
[第1変形例]
図7は、本発明の第3の実施の形態の第1変形例における、燃料電池システム66の概略構成の一例を示す概念図である。
図7に示されるように、本変形例では、燃料電池1のカソードから排出されるオフ酸化剤ガスと、燃焼器5から排出されるオフ燃料ガスとが混合され、その混合ガスが、凝縮前加湿器4および凝縮器2に供給されている。
本変形例の燃料電池システム66において、上述の点以外は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、および第3の実施の形態のうち、少なくともいずれかの燃料電池システム61〜65と同様に構成することができる。
このような構成によれば、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガス中の水蒸気を、一つの凝縮器2で凝縮することが出来るので、システム構成を簡素化することが可能となる。なお、本実施の形態では、オフ燃料ガスを燃焼器5にて燃焼させた後、オフ酸化剤ガスと混合している。しかしながら、オフ酸化剤ガスとオフ燃料ガスとを混合させた後、燃焼器5にて燃焼させ、その後、凝縮器2に供給してもよい。例えば、燃料電池1として固体酸化物形燃料電池を使用する場合には、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスを燃焼させる方がよい。
本実施の形態の燃料電池システム64,65,66は、上記特徴部分以外は、第1の実施の形態の燃料電池システム61,62と同様に構成してもよい。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
[装置構成]
図8は、本発明の第4の実施の形態における、燃料電池システム67の概略構成の一例を示す概念図である。
図8の例では、本実施の形態の燃料電池システム67は、燃料電池1、凝縮器2、凝縮前加湿器4、凝縮後加湿器3、および改質器8を備えている。
燃料電池1、凝縮器2、凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3については、第1の実施の形態、第2の実施の形態、および第3の実施の形態のうち、少なくともいずれかと同様であるので、その説明を省略する。
改質器8は、原料を用いて水素含有ガスを生成する。具体的には、改質器8内の改質部において、原料を改質反応させて、水素含有ガスを生成させる。改質反応は、いずれの形態であってもよく、例えば、水蒸気改質反応、オートサーマル反応または部分酸化反応等を用いることができる。図8には示されていないが、各改質反応において必要となる機器は適宜設けられる。
例えば、改質反応が水蒸気改質反応であれば、改質器を加熱する燃焼器5、水蒸気を生成する蒸発器、および、蒸発器に水を供給する水供給器が設けられる。改質反応がオートサーマル反応であれば、さらに、改質器8に空気を供給する空気供給器が設けられる。なお、原料は、メタンを主成分とする都市ガス、天然ガス、またはLPG等の、少なくとも炭素および水素から構成される有機化合物を含むガスである。
[動作]
以下、燃料電池システム67の動作について説明する。
本実施の形態の燃料電池システム67の動作は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態のうち、少なくともいずれかの燃料電池システム61〜66と同様の動作となるので、その特徴について、図8を用いて説明する。
改質器8において、燃料電池1のアノードに供給される、水素含有ガスである燃料ガスが生成される。燃料ガスを生成するためには、原料以外に、水も必要となる。この水の一部を、凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3に原料を通すことにより回収する。原料の加湿量が、改質器8において改質反応させる量に対して十分でない構成であれば、別途改質水を改質器8に追加供給すればよい。本実施の形態では、改質水を改質器8に追加する構成とする。
[第1変形例]
図9は、本発明の第4の実施の形態の第1変形例における、燃料電池システム68の概略構成の一例を示す概念図である。
図9に示されるように、本変形例では、改質器8において、原料から水素含有ガスである燃料ガスが生成され、その燃料ガスを凝縮後加湿器3および凝縮前加湿器4に流通させることで、凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3から水蒸気が移動して加湿される。凝縮後加湿器3および凝縮前加湿器4により加湿された燃料ガスは、燃料電池1に供給されて、燃料電池1にて発電に使用される。
本変形例の燃料電池システム68において、上述の点以外は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、および第4の実施の形態のうち、少なくともいずれかの燃料電池システム61〜67と同様に構成することができる。
このような構成により、燃料電池1に、加湿された燃料ガスを供給することができ、さらに、燃料電池システム68から、排ガスを通して排出される水蒸気を低減することができるので、燃料電池システム68の水収支を改善し、水自立性能を高めることが可能となる。
本実施の形態の燃料電池システム67,68は、上記特徴部分以外は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、および第3の実施の形態の燃料電池システム61〜66と同様に構成してもよい。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
[装置構成]
図10は、本発明の第5の実施の形態における燃料電池システム69の概略構成の一例を示す概念図である。
図10の例では、本実施の形態の燃料電池システム69は、燃料電池1、凝縮器2、凝縮前加湿器4、凝縮後加湿器3、水タンク9、および水利用機器10を備えている。
燃料電池1、凝縮器2、凝縮前加湿器4、および凝縮後加湿器3については、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、および、第4の実施の形態のうち、少なくともいずれかと同様であるので、その説明を省略する。
水タンク9は、凝縮器2において凝縮された水を回収して貯めるためのタンクである。水タンク9は、凝縮された水を貯めることが出来れば、いかなる構成であってもよい。
水利用機器10は、水タンク9に貯められた水を利用する機器である。水利用機器10としては、例えば、改質反応に水を使用する改質器8、改質器8に水蒸気を供給する蒸気発生器、燃料電池1のアノードまたはカソードに供給されるガスの加湿に用いる加湿装置、燃料電池1を冷却するための冷却器、および、その冷却水を蓄える冷却水タンク等が挙げられる。燃料電池システム69内で水を使用する機器であれば、如何なるものであってもよい。
[動作]
以下、燃料電池システム69の動作について説明する。
本実施の形態の燃料電池システム69の動作は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、および第4の実施の形態のうち、少なくともいずれかの燃料電池システム61〜68と同様の動作となるため、その特徴について、図10を用いて説明する。
凝縮器2にて凝縮された水は、水タンク9に貯められる。水タンク9に貯められた水は、水利用機器10にて使用される。このように、一旦、水タンク9に水を貯めることにより、凝縮器2での水凝縮性能が変動しても、安定して水利用機器10に水を供給することが可能となる。
水利用機器10において使用された水は、再び凝縮器2において凝縮され、水タンク9に貯められることにより、燃料電池システム69内において水が再利用される。これにより、燃料電池システム69内で水を循環させることが可能となり、燃料電池システム69外部から別途水を供給する必要が無くなる。
もし、燃料電池システム69の外部から水を供給してしまうと、その水としては水道水を使用することになり、その水を純水にして燃料電池システム69内で使用するには、多量のイオン交換樹脂等の純水装置が必要となってしまう。そうなると、コストが増大するとともに、燃料電池システム69の大きさが大きくなるので、燃料電池システム69内で水を回収するものである。
本実施の形態の燃料電池システム69は、上記特徴部分以外は、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、および第4の実施の形態の燃料電池システム61〜68と同様に構成してもよい。
本実施の形態では、凝縮器2での水凝縮性能が低下した場合には、凝縮後加湿器3および凝縮前加湿器4において、燃料電池1に利用されるガスを用いて燃料電池システム69内に水を戻す。これにより、燃料電池システム69外部への水排出を抑制し、燃料電池システム69内での水自立を成立させることができる。
以上述べたように、実施の形態の燃料電池システム61〜69の各々は、燃料電池1と、燃料電池1を含む燃料電池ユニットにおける排ガスから燃料電池1の発電に利用されるガスに水を移動させる凝縮前加湿器4と、凝縮前加湿器4を通過した排ガス中の水を凝縮させる凝縮器2とを備えている。また、凝縮器2を通過した排ガスから、凝縮前加湿器4に供給されるガスに水を移動させる凝縮後加湿器3と、燃料電池1から回収された熱を利用する熱利用部12と、熱利用部12を経由して熱媒体を循環する熱媒体循環経路13とを備えている。さらに、熱媒体循環経路13は、凝縮器2に供給される排ガスを冷却し、熱を回収するように構成されている。
かかる構成により、排ガス中の水蒸気を凝縮器2だけで凝縮させ水を回収する場合に比べ、凝縮器2で凝縮出来なかった水蒸気を凝縮後加湿器3によって燃料電池1の発電に利用されるガスに移動させることで水回収量が増し、水自立性能を向上させることができる。
このような構成により、燃料電池システム61〜69から燃焼排ガスとして水蒸気が排出される前に、燃料電池システム61〜69内に水を回収することが出来、燃料電池システム61〜69の水回収量を増やすことが可能となる。
従来の燃料電池システムにおいても、凝縮器に供給されるガスを冷却する冷媒の温度が十分に低く、凝縮器に供給される排ガスを十分に冷却できる場合には、凝縮器で凝縮した水分を比較的多く分離できるため、燃料電池システムにおける排ガス中の水を、より確実に回収して燃料電池システムの外部に放出することを抑制することができる。しかしながら、凝縮後加湿器を通流する排ガスの露点が低くなるため、燃料電池の発電に利用されるガスを十分に加湿できない虞がある。そこで、各実施の形態においては、このガスを凝縮前加湿器4に供給し、水分を比較的多く含む凝縮器2に供給される前の燃料電池ユニット61〜69からの排ガス中の水分を、燃料電池1の発電に利用されるガスへ移動させ、燃料電池1の発電に利用されるガスを十分に加湿することができる。
一方で、従来の燃料電池システムにおいて、凝縮器に供給されるガスを冷却する冷媒の温度が高く、凝縮器に供給される排ガスを十分に冷却できない場合には、凝縮器で十分に水を凝縮できず、燃料電池システムにおける排ガス中の水分が燃料電池システムの外部に放出される虞がある。そこで、各実施の形態においては、凝縮後加湿器3を用いて、燃料電池システム61〜69における排ガス中の水分を、燃料電池1の発電に利用されるガスへ移動させ、排ガス中の水をより確実に回収して燃料電池システム61〜69の外部に放出することを抑制する。
さらに、燃料電池1の発電に利用されるガスは比較的低い露点で加湿されており、凝縮前加湿器4を用いて、燃料電池1の発電に利用されるガスを、ガスの露点がより高くなるように確実に加湿することができる。
ここで、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できない場合、凝縮後加湿器3を通流する排ガスの露点が比較的高くなり、凝縮後加湿器3を通流する燃料電池1の発電に利用させるガスの露点も比較的高くなる。そして、凝縮前加湿器4に供給される燃料電池1の発電に利用されるガスの露点は、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できる場合よりも高くなる。
そのため、凝縮前加湿器4において燃料電池システム61〜69における排ガスから燃料電池1の発電に利用されるガスへ移動する水分は、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できる場合よりも少なくなる。従って、凝縮前加湿器4から凝縮器2へ供給される排ガスの露点は、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できる場合よりも高くなる。よって、本実施の形態の構成により、凝縮器2に供給される排ガスを十分に冷却できない場合であっても、凝縮器2で分離できる水分量をより多くすることができ、燃料電池システム61〜69内で改質反応に利用する水が不足することを抑制できる。
また、燃料電池システム61〜69は、凝縮器2で凝縮された水を貯える水タンク9と、原料および水タンクの水を改質し、生成された水素含有ガスを燃料電池1のアノードに供給する改質器8と、をさらに備えた構成であってもよい。
なお、水タンク9を有する構成を燃料システム69に、改質器8を有する構成を燃料電池システム67,68としてそれぞれ説明しているが、この例に限定されず、燃料電池システム61〜69が、それぞれ水タンク9および改質器8を有する構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、一旦、水タンク9に水を貯めることにより、凝縮器2での水凝縮性能が変動しても、安定して水利用機器に水を供給することができる。かかる構成により、燃料電池システム内で凝縮器2により凝縮された水を蓄えて、利用することが可能となる。また、水素含有ガスを生成する改質器8にて使用される原料により、凝縮後加湿器3を介して水蒸気を回収することが可能となる。
また、改質器8によって水タンク9の水を改質して生成された水素含有ガスを燃料電池1のアノードに供給することにより、さらに、水自立性能を向上させることができる。
また、凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3のうち少なくとも一方は、排ガスと、燃料電池1の発電に利用されるガスとの間で全熱交換する全熱交換器である構成であってもよい。
このような構成によれば、排ガス中の水蒸気を凝縮器2だけで凝縮させて水を回収する場合に比べて、凝縮器2で凝縮できなかった水蒸気を、凝縮前加湿器4および凝縮後加湿器3のうち少なくとも一方により、燃料電池1の発電に利用されるガスに移動させることにより、水回収量を増加させ、水自立性能を向上させることができる。
また、排ガスは、燃料電池1のカソードから排出されるオフ酸化剤ガスである構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、燃料電池システムからオフ酸化剤ガスが排出される前に、燃料電池システム内に水を回収することが出来、燃料電池システムの水回収量を増やすことが可能となる。
また、燃料電池システム61〜69は、燃料電池1のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させる燃焼器5をさらに備え、凝縮器2は、燃焼器5から排出される燃焼排ガス中の水を凝縮させる構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、燃料電池システムから燃焼排ガスとして水蒸気が排出される前に、燃料電池システム内に水を回収することが出来、燃料電池システムの水回収量を増やすことが可能となる。
また、燃料電池システム61〜69は、燃料電池1のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させる燃焼器5をさらに備え、凝縮器2は、燃料電池1のカソードから排出されるオフ酸化剤ガス、および、燃焼器5から排出される燃焼排ガスの混合ガス中の水を凝縮させる構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、燃料電池1から排出されるオフ燃料ガスとオフ酸化剤ガスの両方から、燃料電池システム内に水を回収することができ、燃料電池システムの水回収量を増やすことが出来る。
また、燃料電池システム61〜69は、燃料電池1のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させる燃焼器5をさらに備え、凝縮器2は、燃料電池1のカソードから排出されるオフ酸化剤ガス中の水を凝縮させる第1の凝縮器6と、燃焼器5から排出される燃焼排ガス中の水を凝縮させる第2の凝縮器7とを有していてもよい。また、凝縮後加湿器3は、第1の凝縮器6を通過したオフ酸化剤ガス、および、第2の凝縮器7を通過した燃焼排ガスの混合ガスと、燃料電池1に利用されるガスとの間で全熱交換する構成であってもよい。
このような構成によれば、凝縮後加湿器3への負担を低減しながら、オフ酸化剤ガスおよびオフ燃料ガスの両方から、燃料電池1に利用されるガスに水蒸気を移動させることにより、燃料電池1に利用されるガスにより回収される水の量を増やすことが可能となる。
また、燃焼器5は、原料、水素含有ガスおよびオフ燃料ガスのうち、少なくとも一つを燃焼させるように構成されていてもよい。
このような構成によれば、さらに、燃焼器5として、燃料電池1のアノードに供給される、水素を含有した燃料ガスを生成する改質器8における、加熱のための燃焼バーナーを用いることができる。
また、燃料電池1の発電に利用されるガスは、燃料電池1のカソードに供給される酸化剤ガスであってもよい。
かかる構成により、オフ酸化剤ガス中の水蒸気を、凝縮器2だけで凝縮させ水を回収する場合に比べ、凝縮器2後のオフ酸化剤ガス中に残存している水を回収できるため、水回収量を増やすことが可能となる。
また、燃料電池1の発電に利用されるガスは、燃料電池1のアノードに供給される水素含有ガスであってもよい。
上述した説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および機能の少なくともいずれかの詳細を実質的に変更することができる。例えば、各実施の形態の構成を組み合わせたものも、本発明の範囲内にあることはいうまでもない。
以上述べたように、本発明によれば、凝縮器で十分に水を凝縮できない場合であっても、簡便な構成で、燃料電池システムにおける排ガス中の水をより確実に回収して燃料電池システムの外部に放出することを抑制しつつ、燃料電池の発電に利用されるガスをより確実に加湿することを両立できるという効果を奏することができる。よって、本発明は、水素含有ガスを空気等の酸化剤ガスと反応させて、電力および熱を生み出す燃料電池システム等として有用である。
1 燃料電池
2 凝縮器
3 凝縮後加湿器
4 凝縮前加湿器
4a 第3の加湿器
5 燃焼器
6 第1の凝縮器
7 第2の凝縮器
8 改質器
9 水タンク
10 水利用機器
12 熱利用部
13 熱媒体循環経路
61〜69 燃料電池システム

Claims (10)

  1. 燃料電池と、
    前記燃料電池を含む燃料電池ユニットにおける排ガスから前記燃料電池の発電に利用されるガスに水を移動させる凝縮前加湿器と、
    前記凝縮前加湿器を通過した前記排ガス中の水を凝縮させる凝縮器と、
    前記凝縮器を通過した前記排ガスから、前記凝縮前加湿器に供給されるガスに水を移動させる凝縮後加湿器と、
    前記燃料電池から回収された熱を利用する熱利用部と、
    前記熱利用部を経由して熱媒体を循環する熱媒体循環経路とを備え、
    前記熱媒体循環経路は、前記凝縮器に供給される前記排ガスを冷却し、熱を回収するように構成された
    燃料電池システム。
  2. 前記凝縮器で凝縮された水を貯える水タンクと、
    原料および前記水タンクの水を改質し、生成された水素含有ガスを前記燃料電池のアノードに供給する改質器と、をさらに備えた
    請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記凝縮前加湿器および前記凝縮後加湿器のうち少なくとも一方は、前記排ガスと、前記燃料電池の発電に利用される前記ガスとの間で全熱交換する全熱交換器である、請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記排ガスは、前記燃料電池のカソードから排出されるオフ酸化剤ガスである、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させる燃焼器をさらに備え、
    前記凝縮器は、前記燃焼器から排出される燃焼排ガス中の水を凝縮させる、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記燃料電池のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させる燃焼器をさらに備え、
    前記凝縮器は、前記燃料電池のカソードから排出されるオフ酸化剤ガス、および、前記燃焼器から排出される燃焼排ガスの混合ガス中の水を凝縮させる
    請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池のアノードから排出されるオフ燃料ガスを燃焼させる燃焼器と、
    前記凝縮器は、前記燃料電池のカソードから排出されるオフ酸化剤ガス中の水を凝縮させる第1の凝縮器と、前記燃焼器から排出される燃焼排ガス中の水を凝縮させる第2の凝縮器とを有し、
    前記凝縮後加湿器は、前記第1の凝縮器を通過したオフ酸化剤ガス、および、前記第2の凝縮器を通過した燃焼排ガスの混合ガスと、前記燃料電池に利用される前記ガスとの間で全熱交換する
    請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃焼器は、前記原料、前記水素含有ガスおよび前記オフ燃料ガスのうち、少なくとも一つを燃焼させるように構成された
    請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池の発電に利用される前記ガスは、前記燃料電池のカソードに供給される酸化剤ガスである
    請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記燃料電池の発電に利用される前記ガスは、前記燃料電池のアノードに供給される水素含有ガスである
    請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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