JPWO2015052792A1 - 運動靴 - Google Patents

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Abstract

運動靴であって、足の面に接する内装材1と、内装材1の一部を覆い、内装材1よりも伸び難い素材で形成されたループ状のラップWとを備え、ラップWは、踵骨BCの内側M、背面Bおよび外側Lを連続的に覆う踵部W1と、踵部W1の内側Mにおいて踵部W1の前端部に連なり、足の内側Mにおいて捩れながら足裏の下方に向かう帯状及び/又は紐状の捩れ部W2と捩れ部W2の前端部に連なり、足裏の下方において母趾球O1まで足裏の内側部に沿って延びる内側底部W3と、踵部W1の外側Lにおいて踵部W1の前端部に連なり、立方骨BCuの少なくとも一部及び/又は第5中足骨B5粗面B5fの少なくとも一部を覆い、更に足の甲の上面を斜め前方に向かって延び母趾の上面の一部及び母趾球O1の側面の少なくとも一部を覆う帯状及び/又は紐状の斜め横断部W4とを備える。

Description

本発明は主としてバレーボールやバスケットボールなどのインドアシューズ等に関する。
近年、バレーボールにおけるスパイクスタイルの変化に伴い、ジャンプする際の前足(ジャンプ直前に身体より進行方向前側に接地した足)のサイドブレーキに掛かる負荷が著しく大きくなっている。また、バスケットボールにおいてもユーロステップと呼ばれる激しい切り返し動作が一般化し始めている。
そのため、従来のシューズ構造ではアッパーの剛性の不足により、ソールから足が外側にはみ出る”棚落ち”と呼ばれる現象や、下肢が流されることに起因する踵の外捩れによって、鉛直方向に地面を蹴る際の入力位置が小趾球側へズレ易いという実情がある。
前記”棚落ち”や踵の外捩れは、ジャンプ動作時に地面を蹴る力の中心位置が小趾球側にズレたり、外に捩れた踵部を復帰させる必要があり、切り返しやスパイク動作の際にタイムロスの生じる要因となるだろう。
JP2005−152490A(要約)
本発明の目的は、”棚落ち”量の軽減や踵の外捩れ抑制による、鉛直方向に地面を蹴る際の入力位置の小趾球側へのズレを抑制すること、切り返し動作やスパイク動作におけるタイムロスの削減など、種々の競技においてパフォーマンスを向上させることである。
本発明は足の面に接する内装材1と、
前記内装材1の一部を覆い、前記内装材1よりも伸び難い素材で形成されたループ状のラップWとを備え、前記ラップWは、
踵骨BCの内側M、背面Bおよび外側Lを連続的に覆う踵部W1と、
前記踵部W1の内側Mにおいて前記踵部W1の前端部に連なり、前記足の内側Mにおいて捩れながら足裏の下方に向かう帯状及び/又は紐状の捩れ部W2と
前記捩れ部W2の前端部に連なり、前記足裏の下方において母趾球O1まで足裏の内側部に沿って延びる内側底部W3と、
前記踵部W1の外側Lにおいて前記踵部W1の前端部に連なり、立方骨BCuの少なくとも一部及び/又は第5中足骨B5粗面B5fの少なくとも一部を覆い、更に足の甲の上面を斜め前方に向かって延び母趾の上面の一部及び前記母趾球O1の側面の少なくとも一部を覆う帯状及び/又は紐状の斜め横断部W4とを備える。
本ループ状のラップWは、アッパー6において踵部W1から、内側Mにおいては捩れ部W2を通って、足裏の下方において母趾球O1まで内側底部W3が延び、かつ、前記踵部W1から外側Lにおいては立方骨BCuないし第5中足骨粗面B5fの側面及び/又は上面を覆い、更に、甲を斜め前方に向かって延び前記母趾球O1に至る。
今、ジャンプや切り返し動作時に、母趾球O1下に鉛直方向Zの力が入力されると、ループ状のラップWは足の内側Mおよび外側Lの双方から踵の外側Lを内側Mに向かって引き付けると共に甲の外側Lを内側Mへ向かって引き付けるだろう。
そのため、前記”棚落ち”や踵の外捩れが生じにくくなるだろう。したがって、着用者のパフォーマンスがアップするだろう。
本発明において、「ループ状」とは、ラップWが完全なループ(エンドレス)である場合の他に、局部的に例えば母趾の部位などで連なっていない場合を含むことを意味する。局部的に連なっていなくても、本質的にループ状であれば、ラップWによる引き付け作用が得られるだろう。
本発明において、「伸び難い素材」とは競技中に加わる負荷ではラップWが実質的ないし本質的に伸びない非伸縮材を意味する。したがって、「伸び難い素材」は好ましくはミッドソール5を構成する樹脂の発泡体よりも伸び難く、より好ましくはゴムのアウトソール4よりも伸び難い。
本発明において、「帯状」とはベルトを含み、かつ、複数本の互いに略平行に並んだ(並列に配置された)紐を含む。
「足裏の内側部に沿って延びる内側底部W3」は、ソールとは別の部材がソールの上面の内側部に沿って配置されてもよいし、あるいは、足裏の内側部に沿うソールの内側部自体で形成されていてもよいことを意味する。
図1は本発明の原理を示し、足の骨格とラップとの関係を示す内側面図である。 図2は同関係を示す外側面図である。 図3は同関係を示す平面図である。 図4は本発明の一実施例を示し、外装材を剥がした運動靴を内側から見た斜視図である。 図5は運動靴を内側から見た斜視図である。 図6は運動靴を外側から見た斜視図である。 図7は運動靴の平面図である。 図8は外装材を開いて示す運動靴の平面図である。 図9は外側外装材を開いた運動靴を示す斜視図である。 図10は図4のX−X線における運動靴の模式的な横断面である。 図11は図7のXI−XI線、つまり、斜め横断部に沿った運動靴の模式的な横断面である。
好ましくは、前記斜め横断部W4は前記帯状及び/又は紐状の第1部W41と第2部W42とを包含し、
前記第1部W41と前記第2部W42とを互いに脱着可能に連結する連結構造Jを更に備える。
この場合、第1部W41と第2部W42とを互いに脱着するための連結構造Jが斜め横断部W4に設けられている。したがって、着用者はラップWの緊締と弛緩の切替が容易であろう。
好ましくは、前記連結構造Jは前記第2部W42の先端部は前記第1部W41が挿通される貫通孔W40を定義し、前記第1部W41の先端部において前記貫通孔W40に挿入されて折り返されている。
この場合、第1部W41と第2部W42との係合状態を維持し易く、かつ、係合部分においてラップWの伸びが生じにくいだろう。
好ましくは、足の甲を包むアッパー6を締め付けるシューレース3を更に備え、
前記第1部W41の前記折り返された先端部に前記シューレース3が係合している。
この場合、シューレース3を緩めるとラップWも緩み、アッパー6内に足を入れる動作が容易であろう。一方、シューレース3でアッパー6の内外を締め付けるとラップWも緊張し、着用も容易であろう。
好ましくは、前記内装材1の少なくとも一部を覆う外装材2を更に備え、
前記内装材1と前記外装材2との間に前記斜め横断部W4の一部が配置されている。
前記”棚落ち”や踵の外捩れを抑制するには、アッパー6の剛性が大きくなるのは避けられない。しかし、剛性の大きいアッパー6の外周囲にラップWを配置しても、ラップWによる引き付け力は足に作用しにくいだろう。
内装材1と外装材2との間に斜め横断部W4の一部が配置されると、ラップWの引き付け力が外装材2よりも柔軟な内装材1を通して足に直接的に作用する。したがって、”棚落ち”や踵の外捩れを抑制し易いだろう。
また、ラップWが外装材2から露出し難しく、そのため、ラップWが競技動作の妨げになるおそれもない。
好ましくは、前記内装材1は足の外側面に接する外側内装材10を包含し、
前記外装材2は前記外側内装材10を覆う外側外装材20を包含し、
前記外側内装材10と外側外装材20との間に前記斜め横断部W4の一部が配置されている。
この場合、足の外側においてラップWが内装材1と外装材2との間に隠れ、前記ラップWがプレー中に他の競技者の邪魔になる恐れがない。
なお、本「内装材」とはタンの一部であって足の内側Mまたは外側Lに配置された材料を含む。
好ましくは、前記外側外装材20における前記斜め横断部W4を覆う部位の少なくとも一部、並びに、前記外側外装材20における前記斜め横断部W4よりも前方の部位のうちの少なくとも一部において、前記外側外装材20が前記外側内装材10に付着されておらず、かつ、
足の甲を包むアッパー6を締め付けるシューレース3が係合するための係合部27が前記外側外装材20の前記外側内装材10に付着されていない非付着部201に複数設けられている。
この場合、足の外側Lにおいてアッパー6の横方向の剛性が外側内装材10及び外側外装材20により高くなり、一方、足が背屈しやすくなる。
好ましくは、前記複数の係合部27のうち、互いに隣接する係合部27の間において、前記外側外装材20に外側外装材20の上端から下方に向かって延びる切り欠き29が形成されている。
この場合、切り欠き29により、足が更に背屈しやすくなる。
好ましくは、前記外側内装材10に外側外装材20が前記踵部W1において一体に付着された付着部W10と、
前記外側内装材10に外側外装材20が少なくとも中足部の上部において非付着状態の非付着部201とを更に備え、
前記非付着部201の上部の前端から後端までの部位が前記外側内装材10に非付着状態に設定されている。
この場合、剛性の高い付着部W10により踵のホールド性が向上する一方で、剛性の低い非付着部W11により中足の動きが妨げられにくい。
好ましくは、接地面を有するアウトソール4と、
前記アウトソール4の上に配置された熱可塑性樹脂の発泡体を主体とするミッドソール5と、
前記ミッドソール5に固着され足の甲を包むアッパー6とを更に備え、
前記捩れ部W2及び斜め横断部W4が前記ミッドソール5よりも伸び難い帯状及び/又は紐状の部材で形成されている。
この場合、ラップの伸びを抑制し得る。
好ましくは、複数のクリートを有し、革又は合成樹脂の非発泡体を主体とするソールと、
前記ソールに固着され足の甲を包むアッパー6とを更に備え、
前記ソールの少なくとも一部により前記内側底部W3が形成されている。
前記クリートは合成樹脂の非発泡体または金属により形成されている。
この場合、剛性の大きい革又は合成樹脂の非発泡体のソールが内側底部W3として機能し、別途、内側底部W3を構成する部材が設けられなくもよい。
好ましくは、足の甲を包むアッパー6が前記内装材1と前記内装材1よりも伸び難い外装材2とを備え、
前記外装材2の下縁がソールの上縁の内面に沿って延びており、
前記外装材2の下縁およびソールの一部により前記内側底部W3の少なくとも一部が形成されている。
この場合、伸び難い外装材2の下縁とソールの一部により内側底部W3の少なくとも一部が形成され、そのため、内側底部W3となる非伸縮材を別途配置する場合に比べコストアップを抑えることができるだろう。
好ましくは、前記ソールは、接地面を有するアウトソール4と、
前記アウトソール4の上に配置された熱可塑性樹脂の発泡体を主体とするミッドソール5と、
足の少なくとも内側MのアーチMAにおいて前記ミッドソール5に付着され、足のアーチが低下するのを抑制する強化部材7とを包含し、
前記ミッドソール5を前記強化部材7が強化することで、前記内側底部W3が強化されている。
この場合、強化部材により内側底部W3が強化され、内側底部W3の伸びや曲がりを抑制し易い。
好ましくは、前記斜め横断部W4の一端部はソールの上面に沿って、かつ、前記母趾球O1の裏面の少なくとも一部を覆うように、前記母趾球O1の側面から前記母趾球O1の下方に潜り込むように延びている。
この場合、母趾球O1の下方に斜め横断部W4の一端部が潜り込んでいることにより、母趾球O1において鉛直下方に向かって踏付力が作用した際に、母趾球O1のラップがソールと母趾球O1とで挟まれた状態で母趾球O1に踏み付けられ、前記”棚落ち”抑制や踵の外捩れ抑制の効果が高まるだろう。
好ましくは、ソールは中足の内側において巻き上る巻上部50を備え、
前記捩れ部W2の前端部は、前記巻上部50の上面に沿って、かつ、足裏の内側MのアーチMAと前記巻上部との間に潜り込むように延びている
この場合、捩れ部W2の前端部が足の内側のアーチとソールの巻上部との間で挟まれており、ラップの捩れ部W2の前端が足の内側のアーチで押さえ付けられ、前記”棚落ち”抑制等の効果が高まるだろう。
前記「ソールの上面に沿って」や「前記巻上部の上面に沿って」とは、斜め横断部W4の一端部や捩れ部W2の前端部が前記各上面に直接接合されている場合と、前記各上面とラップとの間に外装材2などが介挿されている場合がある。したがって、一般に前記各上面に前記ラップの一部が積層されたような構造となるだろう。
好ましくは、前記斜め横断部W4は前記立方骨BCuの少なくとも一部及び/又は前記第5中足骨B5の粗面B5fの少なくとも一部を覆う部位から、前記母趾の上面の一部に至る経路において足の甲の表面に沿って螺旋状に、かつ、連続的に延びている。
ここで、「螺旋状に延びている」とは、足の甲の表面は複雑な曲面で形成されているが、当該曲面に沿って斜めに巻き付くように延びることを意味する。「連続的に延びている」とは、斜め横断部W4が内側と外側とで完全に分離され、アッパーの前記内側と外側とを連結する通常のシューレース自体が斜め横断部W4を形成し得ないことを意味する。
シューレース自体のみで、アッパーの内側と外側とを連結した場合、甲の動きを妨げないようにシューレースには緩みがあり、かつ、通常のシューレースが配置されるラインは前記螺旋のラインとは大きく異なり、したがって、”棚落ち”抑制及び踵の外捩れ抑制の効果が著しく、低下するからである。
本質的ないし実質的に延びないシューレースで、かつ、前記螺旋に沿ってシューレースが配置される場合、当該シューレースは斜め横断部W4の一部を構成する。
なお、「足の甲の表面に沿って」とは、斜め横断部W4が少なくとも内装材1を介して甲の表面上に配置されることを意味する。
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
本発明の実施例の説明に先立って、まず、本発明にかかるループ状のラップの経路について説明される。
図1においてラップWは踵部W1、捩れ部W2、内側底部W3および斜め横断部W4を備える。なお、図1〜図9において、ラップWには小さい網点が付されている。
図1〜図3に示すように、前記踵部W1は踵骨BCの内側M、背面Bおよび外側Lを連続的に覆う。
図1の捩れ部W2は前記踵部W1の内側Mにおいて前記踵部W1の前端部に連なり、前記足の内側Mにおいて捩れながら足裏の下方に向かい、帯状及び/又は紐状である。
前記内側底部W3は前記捩れ部W2の前端部に連なり、前記足裏の下方において母趾球O1までソールの内足部に沿って延びる。
すなわち、前記足の内側Mにおいて、ラップW(前記踵部W1,前記捩れ部W2および前記内側底部W3)の上縁は踵骨BCの後端よりも上方に位置し、前記踵骨BCの後部の側面を通り、第1中足骨B1の下方に向かって延びている。換言すると、前記ラップWの上縁は前記踵骨BCの後端よりも上方の位置から前方に行くに従い下方に向かって延びている。
前記斜め横断部W4は、図2の前記踵部W1の外側Lにおいて前記踵部W1の前端部に連なり、立方骨BCuの少なくとも一部及び/又は第5中足骨B5粗面B5fの少なくとも一部を覆う。更に足の甲の上面を斜め前方に向かって延び、図1の母趾の上面の一部及び前記母趾球O1の側面の少なくとも一部を覆い、帯状及び/又は紐状である。
すなわち、前記足の外側Lにおいて、ラップW(前記踵部W1および前記斜め横断部W4)の上縁は前記踵骨BCの後端よりも上方の位置から前記踵骨BCの後部の側面を通って前方に行くに従い下方に向かって延びている。前記踵骨BCの前部の下方の位置まで延びた後、前記立方骨Bcuの下部の側面を通り、前方に行くに従い上方に向かって延びている。換言すると、前記ラップWは前記踵骨BCの後端よりも上方の位置から一旦下方へ向かって延びた後に上方へ向かって延びている。
図2の前記斜め横断部W4は前記立方骨Bcuの少なくとも一部及び/又は前記第5中足骨B5の粗面B5fの少なくとも一部を覆う部位から、図1の前記母趾の上面の一部に至る経路において、足の甲の表面に沿って螺旋状に、かつ連続的に延びている。
図3に示すように、前記斜め横断部W4は足の外側Lから足の内側Mへ斜め前方へ向かって延びており、足の甲の上面において第4中足骨B4の骨底の一部を通り、かつ、第3中足骨B3の骨体および第2中足骨B2の骨頭の一部を通って第1中足骨B1の骨頭(母趾球O1)まで延びている。
図1に示すように、母趾球O1の下方に位置する前記斜め横断部W4の下端部W43(前記内側底部W3の前端部)において、前記斜め横断部W4と前記内側底部W3とが連なっている。
つぎに、具体的な一実施例が図4〜図11にしたがって説明される。
以下、ラップWの説明に先立って、本実施例の全体構造が説明される。図4および図5に示す本実施例はソール4Aとアッパー6とシューレース3とを備える。
図4において、前記ソール4Aは、互いに一体に結合されたアウトソール4、ミッドソール5、強化部材7およびインソール(中底)8(図10)を備える。なお、ミッドソール5にはアッパー6が固着されている。
図10に示すように、前記アウトソール4は接地面を有し、本実施例の場合、ゴムやウレタン樹脂などを主素材としており、ミッドソール5に比べ、ヤング率が大きく、比較的伸び難い。ゴム製等のアウトソール4の接地面41はインドア競技において、床面との間に大きな摩擦力を発生させる。
前記ミッドソール5は前記アウトソール4の上に配置された熱可塑性樹脂の発泡体を主体とし、たとえば、EVAの発泡体を主体とし、一部にゲルなどの他の緩衝部材が含まれていてもよい。
図10の前記強化部材7は、例えば熱可塑性ないし熱硬化性樹脂などの非発泡体からなり、本実施例の場合、足の少なくとも内側MのアーチMA(図1)において前記ミッドソール5に付着され、足のアーチMAが低下するのを抑制する。この強化部材7は前記アウトソール4およびミッドソール5に比べヤング率が大きく、着用中の負荷では殆ど伸びが生じない。
図4、図10および図11に示すように、前記ミッドソール5および強化部材7は、内側Mおよび外側Lの双方において、アッパー6に沿って上方に巻き上がる巻上部50、70を有する。したがってこれらの巻上部50、70においては、ミッドソール5及び/又は強化部材7がアッパー6の下端部と積層された状態となっている。
前記インソール(中底)8(図10および図11)の上には、図示しないソックライナ(中敷き)が載せられる。
図5において、前記アッパー6は、内装材1および外装材2を備える。前記アッパー6は足の甲を包むと共に足を挿入するための履き口60を定義する。なお、アッパー6はシューレース3によって締め付けられる。
図10および図11に示すように、内装材1は足の上面、側面又は背面に接する。前記内装材1はメッシュ状や織布などの伸び易い素材で形成され、足をソフトに包むと共に足当たりを良くする。
図10の内装材1は、舌片状の内装材1T、内側内装材1Mおよび外側内装材10を備える。図11および図4に示すように、本実施例の場合、前記舌片状の内装材1Tは、内装材1のうちの最も内に配置され、前足部において、足の甲の内側M、上面および外側Lを覆うと共に、これらに直接接する。
前記内側内装材1Mおよび外側内装材10は、舌片状の内装材1Tの外(周囲)に配置され、舌片状の内装材1Tの存在する前足部ないし中足部においては、それぞれ、足の内側面および外側面に舌片状の内装材1Tを介して間接的に足に接する。
一方、前記内側内装材1Mおよび外側内装材10は、舌片状の内装材1Tの存在しない中足部ないし後足部においては、それぞれ、足の内側面および外側面に直接的に足に接する。
前記前足部、中足部および後足部とは、それぞれ、足の前足、中足および後足を覆う部位を意味する。前記前足は5本の中足骨と14個の趾骨からなる。前記中足は舟状骨、立方骨および3個の楔状骨からなる。前記後足は距骨および踵骨からなる。
図8および図10に示すように、前記外装材2は、内側外装材2Mおよび外側外装材20を備える。前記外側外装材20は第1の外側外装材21と第2の外側外装材22とを備える。
前記外装材2の材料としては、たとえば、人工皮革や合成皮革などの伸び難い又は実質的に伸びない材料を用いる。また、屈曲性を高めるために、外装材に適宜貫通孔を設け、同貫通孔に内装材よりも伸び難いメッシュ材を配置してもよい。
なお、図10および図11において、各部材間の接着ないし縫着部分はxxxの記号を付して図示されている。
図8および図9に示すように、本実施例の運動靴では、
前記外側内装材10に外側外装材20が前記踵部W1において一体に付着された付着部W10と、前記外側内装材10に外側外装材20のうちの第1の外側外装材21が少なくとも中足部の上部において非付着状態の非付着部201とを備える。
前記非付着部201の上部の前端から後端までの部位は前記外側内装材10に非付着状態に設定されている。
つぎに、ループ状の前記ラップWと前記靴の構造との関係について説明する。
前記ラップWは前記内装材1の一部を覆い、前記内装材1よりも伸び難い素材で形成され、好ましくはアウトソール4およびミッドソール5よりも伸び難い素材で形成される。
図4において、本実施例の場合、前記踵部W1は細かい網点を付した帯状の非伸縮材と、踵の下部をホールド(支持)するヒールカウンタ23とを備える。本例の場合、ヒールカウンタ23は帯状の踵部W1の下部の肌面側(内)に積層された状態となっている。
なお、ヒールカウンタ23は一般に剛性が大きく、したがって、本例のようにヒールカウンタ23の外(周囲)に踵部W1が配置されている方が、ラップWがヒールカウンタ23ごと足を引き付けることができる。
前記捩れ部W2は図1の踵骨BCの内側面において、踵部W1に連なっている。図1、図4及び図10に示すように、前記捩れ部W2の前端部W21は、中足の内側において巻き上げる前記巻上部50の上面に沿って、かつ、足裏の内側MのアーチMAと前記巻上部との間に潜り込むように延びている。
より詳しくは、図10のように、前記捩れ部W2は互いに接合(接着及び/又は縫着)された内側内装材1Mと内側外装材2Mの間に挿入されて、これらの部材1M、2Mに接合されている。
図4および図5に示すように、前記踵部W1の上には踵骨の少なくとも一部を覆う外装材28が部分的に積層されて配置されている。前記外装材28の上縁は前記踵部W1および前記捩れ部W2の下部にオーバーラップしながら足の内側において前記踵部W1および前記捩れ部W2に対して並行に延びている。すなわち、前記外装材28の上縁は前方に行くに従い下方に延びており、前記外装材28の肌面側(内)に前記踵部W1および前記捩れ部W2の下部が部分的に積層されて配置されている。
図6に示すように、前記外装材28の上縁は前記踵部W1の下部にオーバーラップしながら足の外側において前記踵部W1に対して並行に延びている。すなわち、前記外装材28の上縁は前方に行くに従い下方に延びており、前記外装材28の肌面側(内)に前記踵部W1の下部が部分的に積層されて配置されている。
図6〜図9に示すように、前記斜め横断部W4は前記帯状及び/又は紐状の第1部W41第2部W42と連結構造Jとを備える。本実施例の場合、前記斜め横断部W4は図3の踵骨BCの外側面の下部ないし下方において踵部W1に連なっている。以下連結構造Jについて説明する。
図6の前記第2部W42の先端部においては前記第1部W41が挿通される貫通孔W40が定義される。
前記第1部W41の先端部は前記貫通孔W40に挿入されて折り返されている。
前記アッパー6を締め付けるシューレース3は、前記第1部W41の前記折り返された先端部に紐通し孔J0(図7)において係合して、ラップWの緊締力が発揮される。
こうして、前記連結構造Jは前記斜め横断部W4が緩んで足の甲が前記斜め横断部W4の下を通り抜けることができる非着用状態と、前記斜め横断部W4が足の甲を緊締した着用状態とを選択するために、前記第1部W41と前記第2部W42とを互いに脱着可能に連結すると共に前記斜め横断部W4に付与した緊締力を保持する。
すなわち、図7に示すように、靴の着用時にはシューレース3の締付により、前記第1部W41の折り返された部分を介して前記第1部W41および第2部W42(前記斜め横断部W4)が足の甲を緊締する。
図8、図9および図11に示すように、前記第2部W42の大半は、互いに一体の外側内装材10および第2の外側外装材22と第1の外側外装材21との間に配置されている。本実施例の場合、第2部W42は、互いに接合された外側内装材10および第2の外側外装材22の外表面に接合されている。
一方、図5および図11に示すように、前記第1部W41の大半は、互いに一体に接合された舌片状の内装材1Tおよびクッション材1Cと、互いに一体に接合された内側内装材1Mおよび内側外装材2Mとの間に配置されている。第1部W41の上部は、アッパー6の内側と外側との間の開口において露出する。
なお、図4に示す第1部W41は前記クッション材1Cに断続的に縫着されてもよい。
図4および図11に示すように、前記第1部W41の下端部W43はミッドソール5の上面に沿って、かつ、図1の前記母趾球O1の裏面の少なくとも一部を覆うように、前記母趾球O1の側面から前記母趾球O1の下方に向かって潜り込むように延びている。
つまり、母趾球O1からの踏み付け力が第1部W41の下端部W43に負荷されるように下端部W43がミッドソール5の上面に沿って配置されるのが好ましい。
図4において、前記内側底部W3はソール4Aの一部又は全部で形成される。本実施例の場合、内側底部W3はミッドソール5とミッドソール5を強化する強化部材7とアウトソール4とで形成されている。この場合、前記ミッドソール5を前記強化部材7が強化することで、前記内側底部W3が強化されている。
下端部W43と強化部材7との間は、アウトソール4およびミッドソール5で連結され、前端部W21と強化部材7との間はミッドソール5で連結されている。そのため、これらの連結部分(主に巻上部50)のミッドソール5には若干の伸びが生じるかもしれない。しかし、前記”棚落ち”等が生じる動作時には前記連結部分に強い圧縮力が負荷され、前記伸びは殆ど生じないだろう。
上述のとおり、ラップWの一部(内側底部W3)は非伸縮材で形成されていなくてもよいが、アッパー6に巻きついているラップWの部分(踵部W1、捩れ部W2および斜め横断部W4)は非伸縮材で形成されている方が好ましい。
すなわち、図10および図11のように、前記内側外装材2Mの下縁がソール4Aの上縁の内面に沿って延びており、前記内側外装材2Mの下縁およびソール4Aの一部により前記内側底部W3の少なくとも一部が形成されている。
ここで、インドア競技用ではなく、複数のクリートを有し、革又は合成樹脂の非発泡体を主体とする硬いソールの場合、前記硬いソールの少なくとも一部により前記内側底部W3が形成される。
つぎに、図8および図9の外側外装材20について説明する。
前記外側外装材20における前記斜め横断部W4を覆う部位の少なくとも一部、並びに、前記外側外装材20における前記斜め横断部W4よりも前方の部位のうちの少なくとも一部において、前記第1の外側外装材21は前記外側内装材10および第2の外側外装材22に付着されていない。
また前記シューレース3が係合するための係合部(貫通孔)27が前記第1の外側外装材21の前記外側内装材10および第2の外側外装材22に付着されていない非付着部201に複数設けられている。
前記複数の係合部27のうち、互いに隣接する係合部27の間において、前記第1の外側外装材21には、その上端から下方に向かって延びるV字状や台形状等の切り欠き29が形成されている。
図5〜図7のように配置されたラップWは、第1部W41と第2部W42とが互いに係合した状態で、シューレース3が紐通し孔J0に挿通されて足を締め付ける。インドア競技において、図4の内側に大きなサイドブレーキが作用すると、足の内側は第1部W41の下端部W43および捩れ部W2の前端部W21が足裏とソール4Aとの間で挟み付けられる。そのため、ループ状のラップWは図6の足の外側において、前記”棚落ち”や踵部の外捩れなどを抑制するだろう。
ところで、連結構造Jとしては雄面と雌面が係合するベルトが用いられてもよい。
また、本実施例の場合、ラップWは内側底部W3を除き、帯状に形成されているが、ラップWは複数本の互いに並列に配置された紐で形成されてもよい。
一方、アウトソール4とミッドソール5との間に斜め横断部W4および捩れ部W2が挿入されていてもよい。またミッドソール5の前足部や中後足部が2層構造である場合、斜め横断部W4や捩れ部W2は前記2層のミッドソールの間に挿入されていてもよい。
斜め横断部W4の下端部W43や捩れ部W2の前端部W21はボルトやタッカ(ホチキス)のような留め具でミッドソールに固定されてもよい。
斜め横断部W4の下端部W43や捩れ部W2の前端部W21が足裏まで潜り込んでいる必要はなく、アッパー6の内側面の下端部において斜め横断部W4と捩れ部W2とを連ねる外装材が設けられていてもよい。
ラップWを形成する非伸縮材は、帯と複数本の紐とを組み合わせてもよいし、帯の幅が部分的に広く又は狭くなっていてもよい。
また、アッパー6に設けられるシューレース3を通す孔の径の大きさをシューレース3の径の大きさよりも小さくしてもよい。この場合、シューレース3が動きにくくなるため、連結構造の緊締状態が維持され易くなるだろう。
また、シューズは軸足のみに本発明の構造が適用されてもよいし、両足とも本発明の構造が適用されてもよい。
したがって、そのような変更および修正は本発明の範囲のものと解釈される。
本発明はバレーボールやハンドボールなどのインドアシューズだけでなく、屋外における競技用のシューズにも適用できる。
1:内装材 1C:クッション材 1M:内側内装材 1T:舌片状の内装材 10:外側内装材
2:外装材 2M:内側外装材 20:外側外装材 21:第1の外側外装材 22:第2の外側外装材 23:ヒールカウンタ
27:係合部 28:外装材 29:切り欠き
3:シューレース
4:アウトソール 4A:ソール
5:ミッドソール 50:巻上部
6:アッパー 60:履き口 61:開口
7:強化部材 70:巻上部
8:インソール
B:背面 B1〜B5:第1〜第5中足骨 B5f:粗面 BC:踵骨
BCu:立方骨
J:連結構造 J0:紐通し孔
M:内側 MA:アーチ L:外側
O1:母趾球
W:ラップ W1:踵部 W2:捩れ部 W3:内側底部 W4:斜め横断部
W10:付着部 201:非付着部
W40:貫通孔 W41:第1部 W42:第2部
Z:鉛直方向 L:外側 M:内側

Claims (16)

  1. 運動靴であって、
    足の面に接する内装材1と、
    前記内装材1の一部を覆い、前記内装材1よりも伸び難い素材で形成されたループ状のラップWとを備え、前記ラップWは、
    踵骨BCの内側M、背面Bおよび外側Lを連続的に覆う踵部W1と、
    前記踵部W1の内側Mにおいて前記踵部W1の前端部に連なり、前記足の内側Mにおいて捩れながら足裏の下方に向かう帯状及び/又は紐状の捩れ部W2と
    前記捩れ部W2の前端部に連なり、前記足裏の下方において母趾球O1まで足裏の内側部に沿って延びる内側底部W3と、
    前記踵部W1の外側Lにおいて前記踵部W1の前端部に連なり、立方骨BCuの少なくとも一部及び/又は第5中足骨B5粗面B5fの少なくとも一部を覆い、更に足の甲の上面を斜め前方に向かって延び母趾の上面の一部及び前記母趾球O1の側面の少なくとも一部を覆う帯状及び/又は紐状の斜め横断部W4とを備える。
  2. 請求項1の運動靴において、
    前記斜め横断部W4は前記帯状及び/又は紐状の第1部W41と第2部W42とを包含し、
    前記第1部W41と前記第2部W42とを互いに脱着可能に連結する連結構造Jを更に備える。
  3. 請求項2の運動靴において、前記連結構造Jは、
    前記第2部W42の先端部は前記第1部W41が挿通される貫通孔W40を定義し、 前記第1部W41の先端部において前記貫通孔W40に挿入されて折り返されている。
  4. 請求項3の運動靴において、足の甲を包むアッパー6を締め付けるシューレース3を更に備え、
    前記第1部W41の前記折り返された先端部に前記シューレース3が係合している。
  5. 請求項1の運動靴において、
    前記内装材1の少なくとも一部を覆う外装材2を更に備え、
    前記内装材1と前記外装材2との間に前記斜め横断部W4の一部が配置されている。
  6. 請求項5の運動靴において、
    前記内装材1は足の外側面に接する外側内装材10を包含し、
    前記外装材2は前記外側内装材10を覆う外側外装材20を包含し、
    前記外側内装材10と外側外装材20との間に前記斜め横断部W4の一部が配置されている。
  7. 請求項6の運動靴において、
    前記外側外装材20における前記斜め横断部W4を覆う部位の少なくとも一部、並びに、前記外側外装材20における前記斜め横断部W4よりも前方の部位のうちの少なくとも一部において、前記外側外装材20が前記外側内装材10に付着されておらず、かつ、
    足の甲を包むアッパー6を締め付けるシューレース3が係合するための係合部27が前記外側外装材20の前記外側内装材10に付着されていない非付着部201に複数設けられている。
  8. 請求項7の運動靴において、
    前記複数の係合部27のうち、互いに隣接する係合部27の間において、前記外側外装材20に外側外装材20の上端から下方に向かって延びる切り欠き29が形成されている。
  9. 請求項6の運動靴において、
    前記外側内装材10に外側外装材20が前記踵部W1において一体に付着された付着部W10と、
    前記外側内装材10に外側外装材20が少なくとも中足部の上部において非付着状態の非付着部201とを更に備え、
    前記非付着部201の上部の前端から後端までの部位が前記外側内装材10に非付着状態に設定されている。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項の運動靴において、
    接地面を有するアウトソール4と、
    前記アウトソール4の上に配置された熱可塑性樹脂の発泡体を主体とするミッドソール5と、
    前記ミッドソール5に固着され足の甲を包むアッパー6とを更に備え、
    前記捩れ部W2及び斜め横断部W4が前記ミッドソール5よりも伸び難い帯状及び/又は紐状の部材で形成されている。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項の運動靴において、
    複数のクリートを有し、革又は合成樹脂の非発泡体を主体とするソールと、
    前記ソールに固着され足の甲を包むアッパー6とを更に備え、
    前記ソールの少なくとも一部により前記内側底部W3が形成されている。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項の運動靴において、
    足の甲を包むアッパー6が前記内装材1と前記内装材1よりも伸び難い外装材2とを備え、
    前記外装材2の下縁がソールの上縁の内面に沿って延びており、
    前記外装材2の下縁およびソールの一部により前記内側底部W3の少なくとも一部が形成されている。
  13. 請求項12の運動靴において、前記ソールは、
    接地面を有するアウトソール4と、
    前記アウトソール4の上に配置された熱可塑性樹脂の発泡体を主体とするミッドソール5と、
    足の少なくとも内側MのアーチMAにおいて前記ミッドソール5に付着され、足のアーチが低下するのを抑制する強化部材7とを包含し、
    前記ミッドソール5を前記強化部材7が強化することで、前記内側底部W3が強化されている。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項の運動靴において、
    前記斜め横断部W4の一端部はソールの上面に沿って、かつ、前記母趾球O1の裏面の少なくとも一部を覆うように、前記母趾球O1の側面から前記母趾球O1の下方に潜り込むように延びている。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項の運動靴において、
    ソールは中足の内側において巻き上る巻上部50を備え、
    前記捩れ部W2の前端部は、前記巻上部50の上面に沿って、かつ、足裏の内側MのアーチMAと前記巻上部との間に潜り込むように延びている。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項の運動靴において、
    前記斜め横断部W4は前記立方骨BCuの少なくとも一部及び/又は前記第5中足骨B5の粗面B5fの少なくとも一部を覆う部位から、前記母趾の上面の一部に至る経路において足の甲の表面に沿って螺旋状に、かつ、連続的に延びている。

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