JPWO2015030196A1 - 電解液 - Google Patents

電解液

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Abstract

式(I):

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を示す)で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解され、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50であるアルミニウムめっき用電解液及びアルミニウム二次電池用電解液並びに前記アルミニウムめっき用電解液を用いるアルミニウム材料の製法。

Description

本発明は、電解液に関する。さらに詳しくは、本発明は、アルミニウムめっきのめっき液などとして有用なアルミニウムめっき用電解液、アルミニウム二次電池の電解液として有用なアルミニウム二次電池用電解液および当該電解液を用いるアルミニウム材料の製造方法に関する。
本発明のアルミニウムめっき用電解液は、室温付近の温度でアルミニウムの電析を行なうことができることから、アルミニウム材料の製造、被めっき物の表面へのアルミニウムめっき皮膜の形成などの際に用いられる電解液として用いられる。本発明のアルミニウムめっき用電解液は、例えば、安価で軽量で高強度の構造部材、電子部品、光学部品などの製造に用いることが期待される。
また、本発明のアルミニウム二次電池用電解液は、取り扱いが容易であり、しかも高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度で充放電反応を行なうことができることから、アルミニウム二次電池の電解液として用いられる。本発明のアルミニウム二次電池用電解液は、例えば、ポータブル機器、電気自動車などに用いられる二次電池などの製造に用いることが期待される。
さらに、本発明のアルミニウム材料の製造方法によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度で効率よくアルミニウム材料を製造することができることから、本発明のアルミニウム材料の製造方法は、安価で軽量で高強度の構造部材、電子・光学部品などを開発する際などに用いることが期待される。
アルミニウムは、地球における埋蔵量が多く、耐食性に優れ、ヒトへの負荷が小さいことから、亜鉛およびクロムに代わる金属めっき材料として用いることが期待されている。アルミニウムの電析電位は、水素発生の電位よりも著しく卑であるため、水溶液から電析させることが困難である。そこで、アルミニウムの電析に際し、トルエンなどの非水有機溶媒を溶媒として含む電解液、イミダゾリウム塩などの常温イオン液体を溶媒として含む電解液などを用いることが検討されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、前記電解液は、取り扱いの容易性、製造コストなどの点で課題が多い。
そこで、比較的安価なアルミニウム電析用非水電解液として、例えば、分子性有機溶媒であるジメチルスルホンを溶媒として含む電解アルミニウムめっき液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ジメチルスルホンの融点が110℃であることから、ジメチルスルホンを溶媒にとして含む電解アルミニウムめっき液をアルミニウムの電析の際に用いるとき、めっき液を110℃程度に加熱する必要があるため、当該電解アルミニウムめっき液には、アルミニウムの電析する際に多大なエネルギーを消費するという欠点がある。
特開2006−161154号公報
上田幹人および宇井幸一、「低温溶融塩・室温イオン液体を用いるAlおよびAl合金電析」、一般社団法人表面技術協会、2009年発行、第60巻、pp.491−496
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、取り扱いが容易であり、高温に加熱しなくても、効率よくアルミニウムの電析を行なうことができるアルミニウムめっき用電解液、取り扱いが容易であり、高温に加熱しなくても、効率よく充放電反応を行なうことができるアルミニウム二次電池用電解液および高温に加熱しなくても、効率よくアルミニウム材料を製造することができるアルミニウム材料の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)式(I):
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基または炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を示す)
で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解されてなり、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比〔イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物〕が25/75〜50/50であるアルミニウムめっき用電解液、
(2)前記(1)に記載のアルミニウムめっき用電解液中に被めっき物を浸漬させ、前記アルミニウムめっき用電解液から被めっき物の表面にアルミニウムを電析させてアルミニウムめっき皮膜を形成させることを特徴とするアルミニウム材料の製造方法、ならびに
(3)式(I):
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基または炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を示す)
で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解されてなり、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比〔イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物〕が25/75〜50/50であるアルミニウム二次電池用電解液
に関する。
本発明のアルミニウムめっき用電解液は、取り扱いが容易であり、しかも高温に加熱しなくても、効率よくアルミニウムの電析を行なうことができるという優れた効果を奏する。本発明のアルミニウム二次電池用電解液は、取り扱いが容易であり、しかも高温に加熱しなくても、充放電反応を行なうことができるという優れた効果を奏する。また、本発明のアルミニウム材料の製造方法によれば、高温に加熱しなくても、効率よくアルミニウム材料を製造することができるという優れた効果が奏される。
(A)は実施例1で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフ、(B)は実施例1で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 実施例2で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフである。 (A)は実施例3で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフ、(B)は実施例3で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 実施例4で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフである。 実施例5で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフである。 比較例1で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフである。 (A)は実施例3で得られた電解液の温度を25℃に調整し、当該電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフ、(B)は実施例3で得られた電解液の温度を25℃に調整し、当該電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 実施例4で得られた電解液の温度を25℃に調整し、当該電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフである。 実施例3で得られた電解液の温度を40℃に調整し、当該電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 実施例3で得られた電解液の温度を50℃に調整し、当該電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 (A)は実施例3で得られた電解液を用い、0.25mA/cm2の電流密度で電析した後のカソード表面の図面代用写真、(B)は実施例3で得られた電解液を用い、0.5mA/cm2の電流密度で電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 (A)は実施例6で得られた電解液を用い、0.75mA/cm2の電流密度で電析した後のカソード表面の図面代用写真、(B)は実施例7で得られた電解液を用い、0.5mA/cm2の電流密度で電析したときのカソード表面の図面代用写真、(C)は実施例7で得られた電解液を用い、1mA/cm2の電流密度で電析した後のカソード表面の図面代用写真、(D)は実施例3で得られた電解液を用い、0.5mA/cm2の電流密度で電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 (A)は実験番号12で得られたアルミニウムめっき皮膜の表面の図面代用写真、(B)は実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜の表面の図面代用写真、(C)は電析前のカソード表面の図面代用写真である。 実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜のX線回折図である。 実施例8で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 (A)は実施例9で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフ、(B)は実施例9で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 実施例10で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の図面代用写真である。 試験例8において、実施例2および比較例2で得られた電解液の温度を80℃に調整し、当該電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示すグラフである。
(アルミニウムめっき用電解液およびアルミニウム二次電池用電解液)
本発明は、1つの側面では、式(I):
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基または炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を示す)
で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解されており、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比〔イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物〕が25/75〜50/50であるアルミニウムめっき用電解液である。また、本発明は、他の側面では、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解されており、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比〔イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物〕が25/75〜50/50であるアルミニウム二次電池用電解液である。以下において、特に断りのない限り、アルミニウムめっき用電解液およびアルミニウム二次電池用電解液を、「電解液」という。
本発明の電解液は、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物〔以下、単にイミダゾリジノン化合物という〕にアルミニウムハロゲン化物が溶解されており、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50であるので、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でもアルミニウムの析出(アルミニウムイオンの還元)および溶解(アルミニウムの酸化)を行なうことができる。したがって、本発明の電解液を用いることにより、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でもアルミニウムの電析および充放電反応(酸化還元反応)を行なうことができる。
イミダゾリジノン化合物は、アルミニウムハロゲン化物を溶解させる溶媒として用いられる。イミダゾリジノン化合物は、電解液が通常使用される温度範囲では従来のアルミニウムの電析用の電解液の溶媒として用いられているトルエンと比べて高い引火点および低い揮発性を有することから、取り扱いが容易である。
式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基または炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。
1およびR2において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1およびR2において、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基の炭素数は、1以上であり、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、4以下、好ましくは2以下である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1およびR2において、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルケニル基の炭素数は、2以上であり、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、4以下、好ましくは3以下である。炭素数2〜4のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、ブテニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルケニル基における置換基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基における置換基と同様である。
1およびR2において、アルコキシ基の炭素数は、1以上であり、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、4以下、好ましくは3以下である。炭素数2〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1およびR2において、アリール基の炭素数は、6以上であり、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、12以下、好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。炭素数6〜8のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1およびR2において、アラルキル基の炭素数は、7以上であり、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、13以下、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。炭素数7〜13のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1およびR2において、アルコキシカルボニル基のアルコキシ基の炭素数は、1以上であり、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、4以下、好ましくは3以下である。炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基およびプロポキシカルボニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
1およびR2に用いられるこれらの官能基のなかでは、電解液の取り扱いの容易性を向上させる観点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
イミダゾリジノン化合物としては、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−ブチル)−2−イミダゾリジノンなどのジアルキルイミダゾリジノン化合物、1,3−ジビニル−2−イミダゾリジノンなどの1,3−ジアルケニルイミダゾリジノン化合物;1−メチル−3−フェニル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−フェニル−4−イミダゾリジノン、3−メチル−1−フェニル−4−イミダゾリジノンなどのアルキルアリールイミダゾリジノン化合物;1,3−ジフェニル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリジノンなどのジアリールイミダゾリジノン化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのイミダゾリジノン化合物のなかでは、アルミニウムの電析および充放電反応の効率性と経済性との双方を満たすことから、好ましくはジアルキルイミダゾリジノン化合物、より好ましくは1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。
アルミニウムハロゲン化物としては、フッ化アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、アルミニウムの電析および充放電反応を効率よく行なう観点から、塩化アルミニウム、臭化アルミニウムが好ましく、アルミニウムの電析および充放電反応の効率性および経済性の双方を満たすことから、塩化アルミニウムがより好ましい。
イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比(イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物)は、電解液の取り扱いの容易性を十分に確保する観点から、25/75以上、好ましくは33/67以上、より好ましくは38/62以上であり、アルミニウムの電析および充放電反応を効率よく行なう観点から、50/50以下、好ましくは49/51以下、より好ましくは46/54以下である。
本発明の電解液をアルミニウム材料の製造に用いる場合、すなわち、本発明の電解液がアルミニウムめっき用電解液である場合、アルミニウムめっき皮膜の平滑性を向上させる観点から、例えば、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリエチレンテトラミン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの有機溶媒を本発明の電解液に含有させることが好ましい。
本発明の電解液がアルミニウムめっき用電解液である場合、本発明の電解液中における前記有機溶媒の量は、有機溶媒の種類、電解液の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、有機溶媒の種類、電解液の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。例えば、平滑な表面のアルミニウムめっき皮膜を有するアルミニウム材料を製造する際に本発明の電解液に有機溶媒としてトリエチレンテトラミンを用いる場合には、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物との合計量100モルあたりの有機溶媒の量は、通常、好ましくは0.1〜2モル、より好ましくは0.5〜1.5モルである。また、平滑な表面のアルミニウムめっき皮膜を有するアルミニウム材料を製造する際に本発明の電解液に有機溶媒としてベンゼン、トルエンまたはキシレンを用いる場合には、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物との合計量100モルあたりの有機溶媒の量は、好ましくは0.1〜150モル、より好ましくは50〜120モルである。
以上説明したように、本発明のアルミニウムめっき用電解液は、取り扱いが容易である。また、本発明のアルミニウムめっき用電解液によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よくアルミニウムの析出および溶解を行なうことができる。したがって、本発明のアルミニウムめっき用電解液によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よくアルミニウムの電析を行なうことができる。このように、本発明のアルミニウムめっき用電解液によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よくアルミニウムの電析を行なうことができることから、アルミニウム材料の製造、被めっき物の表面へのアルミニウムめっき皮膜の形成などに利用されることが期待される。
また、本発明のアルミニウム二次電池用電解液は、取り扱いが容易である。また、本発明の電解液によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よくアルミニウムイオンの還元およびアルミニウムの酸化を行なうことができる。したがって、本発明の電解液によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よく充放電反応(酸化還元反応)を行なうことができる。このように、本発明の電解液によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よく充放電反応を行なうことができることから、例えば、ポータブル機器、電気自動車などに用いられる二次電池などの製造に用いることが期待される。
(アルミニウム材料の製造方法)
本発明のアルミニウム材料の製造方法は、被めっき物の表面にアルミニウムめっき皮膜が形成されたアルミニウム材料を製造する方法であり、前記アルミニウムめっき用電解液中に被めっき物を浸漬させ、前記アルミニウムめっき用電解液から被めっき物の表面にアルミニウムを電析させてアルミニウムめっき皮膜を形成させることを特徴とする。
本発明のアルミニウム材料の製造方法は、前記アルミニウムめっき用電解液を用いてアルミニウムを電析させるという操作が採られているので、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よく被めっき物の表面にアルミニウムめっき皮膜を形成させることができる。したがって、本発明のアルミニウム材料の製造方法によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よくアルミニウム材料を製造することができる。
アルミニウム材料は、被めっき物の表面にアルミニウムめっき皮膜が形成された材料である。被めっき物を構成する材料としては、例えば、アルミニウム以外の金属、合金などの導電性を有する材料、プラスチックなどの非導電性材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、プラスチックなどの非導電性材料を被めっき物の材料にとして用いる場合には、当該非導電性材料は、例えば、当該非導電性材料からなる被めっき物に無電解めっきを施して予め導電性を付与して用いることができる。
アルミニウムの電析は、不活性ガスの雰囲気中で行なわれる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
アルミニウムを電析させる際には、電解槽が用いられるが、当該電解槽の大きさおよび形状は、目的とするアルミニウム材料の大きさおよび形状に適したものであればよく、本発明は、かかる電解槽の大きさおよび形状によって限定されるものではない。
アルミニウムの電析は、例えば、電解槽内に前記アルミニウムめっき用電解液を入れ、電解槽内のアルミニウムめっき用電解液中にアノードとカソードとを挿入し、当該アノードとカソードとの間に通電することによって行なうことができる。かかる操作を行なうことにより、前記アルミニウムめっき用電解液からアルミニウムを電析させることができる。
アノードとしては、例えば、アルミニウムからなる電極、アルミニウムからなる表面層を有する基材からなる電極などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記基材を構成する材料としては、例えば、アルミニウム以外の導電性金属、導電性合金などの導電性を有する材料、非導電性プラスチックなどの非導電性材料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。カソードには、被めっき物を用いることができる。
アルミニウムを電析させる際の通電量は、目的とするアルミニウム材料の用途、アルミニウムめっき皮膜に求められる厚さなどによって異なるので一概には決定することができないことから、目的とするアルミニウム材料の用途、アルミニウムめっき皮膜に求められる厚さなどに応じて適宜決定することが好ましい。
また、前記アルミニウムめっき用電解液に挿入されたアノードとカソードとの間に通電する際の電流密度は、電析を行なう際の前記アルミニウムめっき用電解液の温度(以下、電析温度という)、イミダゾリジノン化合物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液に用いられるアルミニウムハロゲン化物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液中におけるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比などによって異なるので一概には決定することができないことから、電析温度、イミダゾリジノン化合物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液に用いられるアルミニウムハロゲン化物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液中におけるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比などに応じて適宜決定することが好ましい。
電析温度は、電流密度、イミダゾリジノン化合物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液に用いられるアルミニウムハロゲン化物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液中におけるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比などによって異なるので一概には決定することができないことから、電流密度、イミダゾリジノン化合物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液に用いられるアルミニウムハロゲン化物の種類、前記アルミニウムめっき用電解液中におけるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比などに応じて適宜決定することが好ましい。電析温度は、通常、室温(25℃)〜100℃である。このように、本発明のアルミニウム材料の製造方法によれば、比較的低温で前記アルミニウムめっき用電解液からアルミニウムを電析させることができるので、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でもアルミニウム材料を製造することができる。
アルミニウムの電析に要する時間は、電流密度、電析温度、通電量などによって異なるので一概には決定することができないことから、電流密度、電析温度、通電量などに応じて適宜決定することが好ましい。
以上説明したように、本発明のアルミニウム材料の製造方法によれば、高温に加熱しなくても、例えば、室温付近の温度でも効率よくアルミニウム材料を製造することができる。したがって、本発明の電解液および本発明のアルミニウム材料の製造方法は、例えば、安価で軽量で高強度の構造部材の開発などの際に利用することが期待されるものである。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、式(I)において、R1およびR2がいずれもメチル基であるイミダゾリジノン化合物(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)とアルミニウムハロゲン化物(塩化アルミニウム)とを、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)が48.8/51.2となるように混合し、電解液を得た。
実施例2
実施例1において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)を48.8/51.2から45.5/54.5に変更したことを除き、実施例1と同様にして電解液を得た。
実施例3
実施例1において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)を48.8/51.2から40.0/60.0に変更したことを除き、実施例1と同様にして電解液を得た。
実施例4
実施例1において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)を48.8/51.2から38.5/61.5に変更したことを除き、実施例1と同様にして電解液を得た。
実施例5
実施例1において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)を48.8/51.2から33.3/66.7に変更したことを除き、実施例1と同様にして電解液を得た。
比較例1
実施例1において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)を48.8/51.2から76.9/23.1に変更したことを除き、実施例1と同様にして電解液を得た。
製造例1
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、ガラス状カーボン製電極(直径:3.0mm、長さ:55mm)を、ダイヤモンドペーストを用いて研磨し、蒸留水およびエタノールで洗浄した後、冷風で乾燥させることにより、作用電極を得た。
製造例2
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内でアルミニウム製板材(純度:99質量%、幅:20mm、長さ:30mm、厚さ:1.0mm)を、炭化ケイ素製研磨紙(P#220番)で研磨し、蒸留水およびエタノールで洗浄した後、冷風で乾燥させることにより、対極を得た。
製造例3
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、アルミニウム製線材(純度:99質量%、直径:0.80mm、長さ:100mm)を、炭化ケイ素製研磨紙(P#220番)で研磨し、蒸留水およびエタノールで洗浄した後、冷風で乾燥させることにより、参照電極を得た。
製造例4
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、銅製板材(純度:99.99質量%、幅:15mm、長さ:30mm、厚さ:0.5mm)を、炭化ケイ素製研磨紙(P#1200番)で研磨し、蒸留水およびエタノールで洗浄した後、冷風で乾燥させた。つぎに、乾燥後の銅製板材の露出部が1cm2となるように、当該銅製板材の表面をポリテトラフルオロエチレン製テープで覆い、カソードを得た。
製造例5
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、アルミニウム製板材(純度:99質量%、幅:20mm、長さ:30mm、厚さ:1.0mm)を、炭化ケイ素製研磨紙(P#220番)で研磨し、蒸留水およびエタノールで洗浄した後、冷風で乾燥させることにより、アノードを得た。
試験例1
(1)サイクリックボルタンメトリー
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、製造例1で得られた作用電極と、製造例2で得られた対極と、製造例3で得られた参照電極と、実施例1で得られた電解液とを用い、3電極式電気化学セル(実験番号1)を作製した。
前記において、実施例1で得られた電解液の代わりに、実施例2で得られた電解液(実験番号2)、実施例3で得られた電解液(実験番号3)、実施例4で得られた電解液(実験番号4)、実施例5で得られた電解液(実験番号5)および比較例1で得られた電解液(実験番号6)を用いたことを除き、前記と同様の操作を行なうことにより、3電極式電気化学セルを作製した。
実験番号1〜6で得られた3電極式電気化学セルと、電気化学測定システム〔北斗電工(株)製、品番:HZ−5000〕とを用い、表1に示される条件でサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。なお、表中、「DMI」は1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、「AlCl3」は塩化アルミニウムを示す。
なお、実験番号3、5および6における電解液の温度は、実験番号1、2および4における電解液の温度と異なっている。しかし、サイクリックボルタンメトリーにおいて、電解液の温度は、アルミニウムの溶解および析出それぞれに起因する電流のピークの出現に対して影響を与えないことから、実験番号1、2および4における電解液の温度と実験番号1〜6における電解液の温度の違いは、アルミニウムの溶解および析出それぞれの有無に対して影響を与えないと考えられる。
試験例1において、実施例1で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図1(A)に、実施例2で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図2に、実施例3で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図3(A)に、実施例4で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図4に、実施例5で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図5に、比較例1で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図6に示す。
図1〜5に示された結果から、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引したとき、電位0V付近(図1〜5中、矢印A参照)において、カソード電流の立ち上がりが見られることから、電解液中のアルミニウムイオンが還元され、アルミニウムが析出していることがわかる。
一方、図1〜5に示された結果から、−4Vまたは−1Vの電位で掃引を折り返し、電位をアノード側に掃引したとき電位0V付近(図1〜5中、矢印B参照)からアノード電流の立ち上がりが見られることがわかる。試験例1では、3電極式電気化学セルの参照電極としてアルミニウム製線材からなる参照電極が用いられているので、作用電極の表面にアルミニウムが存在している場合、0V以上の電位でアルミニウムの酸化による溶解に起因する電流が生じることが予想される。したがって、図1〜5に示された結果から、析出していたアルミニウムが溶解していることがわかる。
以上の結果から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)が48.8/51.2(実施例1)、45.5/54.5(実施例2)、40.0/60.0(実施例3)、38.5/61.5(実施例4)および33.3/66.7(実施例5)である電解液を用いた場合には、アルミニウムイオンの還元およびアルミニウムの酸化を行なうことができることから、アルミニウムの電析および充放電反応を行なうことができることがわかる。
これに対し、図6に示された結果から、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引したとき、電位0V付近(図6中、矢印A参照)でカソード電流の立ち上がりが見られないことから、アルミニウムが析出していないことがわかる。また、図6に示された結果から、−4Vまたは−1Vの電位で掃引を折り返し、電位をアノード側に掃引したとき、電位0V付近(図6中、矢印B参照)でのアノード電流の立ち上がりが見られないことから、作用電極上にアルミニウムが存在していないことがわかる。これらの結果から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)が76.9/23.1である電解液を用いてもアルミニウムイオンの還元およびアルミニウムの酸化を行なうことができないことがわかる。
以上の結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用いることにより、アルミニウムの電析および充放電反応を行なうことができることがわかる。
(2)アルミニウムの電析
実施例1で得られた電解液(実験番号7)を電解槽内に入れた。その後、前記電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードおよび製造例5で得られたアノードおよび製造例3で得られた参照電極を挿入し、表2に示される条件でアノードとカソードとの間に通電することにより、電析した。なお、このとき、アノードとカソードとの間の電流が4.3mA/cm2であることが確認された。
実施例3で得られた電解液(実験番号8)を電解槽内に入れた。その後、前記電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードおよび製造例5で得られたアノードを挿入し、表2に示される条件でアノードとカソードとの間に通電することにより、電析した。
試験例1において、実施例1で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図1(B)、実施例3で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図3(B)に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。
図1(B)および図3(B)に示された結果から、実施例1で得られた電解液および実施例3で得られた電解液を用いて電析したとき、カソード表面にアルミニウムめっき皮膜が形成されていることがわかる。なお、実施例2で得られた電解液、実施例4で得られた電解液および実施例5で得られた電解液を用いた場合には、前記したように、アルミニウムイオンの還元およびアルミニウムの酸化を行なうことができることから、実施例1で得られた電解液および実施例3で得られた電解液を用いて電析したときと同様に、アルミニウムめっき皮膜が形成されるものと考えられる。
以上の結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用いることにより、アルミニウムを電析させることができることがわかる。イミダゾリジノン化合物は、電解液が通常使用される温度範囲では、従来のアルミニウムの電析用の電解液の溶媒として用いられているトルエンと対比して、引火点が高く、揮発性が小さく、取り扱いが容易であることから、前記電解液は、取り扱いが容易である。また、イミダゾリジノン化合物は、従来のアルミニウムの電析用の電解液の溶媒として用いられているジメチルスルホンと比べて融点が低いことから、前記電解液は、ジメチルスルホンを含有する従来の電解液よりも低い温度範囲でアルミニウムの電析することができると考えられる。
試験例2
(1)サイクリックボルタンメトリー
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、製造例1で得られた作用電極と、製造例2で得られた対極と、製造例3で得られた参照電極と、実施例3で得られた電解液(実験番号9)または実施例4で得られた電解液(実験番号10)とを用い、3電極式電気化学セルを作製した。
前記で得られた3電極式電気化学セルと、電気化学測定システム〔北斗電工(株)製、品番:HZ−5000〕とを用い、電解液の温度:25℃、掃引速度:10mV/s、掃引範囲:アルミニウムに対して−1〜2Vの条件でサイクリックボルタンメトリーを行なった。
試験例2において、実施例3で得られた電解液の温度を25℃に調整し、当該電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図7(A)、実施例4で得られた電解液の温度を25℃に調整し、当該電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図8に示す。
図7(A)に示された結果から、実施例3で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を25℃に調整したとき、実施例3で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を80℃に調整したとき〔図3(A)参照〕と同様に、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引した際に、電位0V付近〔図7(A)中、矢印A参照〕でカソード電流の立ち上がりが見られることから、電解液中のアルミニウムイオンが還元され、アルミニウムが析出していることがわかる。
また、図7(A)に示された結果から、実施例3で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を25℃に調整したとき、実施例3で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を80℃に調整したとき〔図3(A)参照〕と同様に、−1V以下の電位で掃引を折り返し、電位をアノード側に掃引した際に、電位0V付近〔図7(A)中、矢印B参照〕からアノード電流の立ち上がりが見られることから、析出していたアルミニウムが溶解していることがわかる。
一方、図8に示された結果から、実施例4で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を25℃に調整したとき、実施例4で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を60℃に調整したとき(図4参照)と同様に、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引した際に、電位0V付近(図8中、矢印A参照)でカソード電流の立ち上がりが見られることから、電解液中のアルミニウムイオンが還元され、アルミニウムが析出していることがわかる。
また、図8に示された結果から、実施例4で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を25℃に調整したとき、実施例4で得られた電解液を用い、当該電解液の温度を60℃に調整したとき(図4参照)と同様に、−1V以下の電位で掃引を折り返し、電位をアノード側に掃引した際に、電位0V付近(図8中、矢印B参照)からアノード電流の立ち上がりが見られることから、析出していたアルミニウムが溶解していることがわかる。
これらの結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用い、当該電解液の温度を25℃に調整したとき、アルミニウムを電析させることができることがわかる。
(2)アルミニウムの電析
実施例3で得られた電解液を電解槽内に入れた後、電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードと、製造例5で得られたアノードとを挿入し、表3に示される条件にて当該アノードとカソードとの間に通電することにより、電析した。
試験例2において、実施例3で得られた電解液の温度を25℃に調整し、当該電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図7(B)、実施例3で得られた電解液の温度を40℃に調整し、当該電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図9、実施例3で得られた電解液の温度を50℃に調整し、当該電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図10に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。また、カソード表面の状態を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表3に示す。
<評価基準>
AA:カソード表面に銀白色を有し、平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されている。
A:カソード表面にアルミニウムめっき皮膜が形成されている。
図7(B)、図9および図10に示された結果から、電解液の温度を25℃(実験番号11)、40℃(実験番号12)および50℃(実験番号13)に調整したとき、アルミニウムを電析させることができることがわかる。なかでも、表3に示された結果から、電解液の温度を40℃(実験番号12)および50℃(実験番号13)に調整したとき、カソード表面に銀白色のアルミニウムめっき皮膜(図中、矢印参照)が形成されていることがわかる。
これらの結果および図1〜5に示された結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用い、当該電解液の温度を25〜80℃に調整したとき、アルミニウムを良好に電析させることができることがわかる。したがって、前記電解液によれば、常温付近の温度でもアルミニウムを良好に電析させることができることから、エネルギー効率よくアルミニウム材料の製造およびアルミニウムめっき皮膜を形成させることができることがわかる。
(3)アルミニウムめっき皮膜の元素分析
走査型電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分析装置〔オックスフォード・インストゥルメンツ(OXFORD INSTRUMENTS)製、商品名:INCAxact)を用い、実験番号12で得られたアルミニウムめっき皮膜の元素分析を行なった。その結果、めっき皮膜は、アルミニウム99.71原子%および塩素0.29原子%で構成されていることが確認された。
なお、図1〜5に示された結果から、電解液の温度を60〜80℃に調整したとき、アルミニウムを電析させることができることがわかる。
以上の結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用い、当該電解液の温度を25〜80℃に調整したとき、アルミニウムを電析させることができることがわかる。
試験例3
実施例3で得られた電解液を電解槽内に入れた後、前記電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードと、製造例5で得られたアノードとを挿入し、表4に示される条件にて当該アノードとカソードとの間に通電することにより、電析した(実験番号14および12)。
試験例3において、実施例3で得られた電解液を用い、0.25mA/cm2の電流密度で電析(実験番号14)した後のカソード表面の光学写真を図11(A)、実施例3で得られた電解液を用い、0.5mA/cm2の電流密度で電析(実験番号12)した後のカソード表面の光学写真を図11(B)に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。また、カソード表面の状態を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
<評価基準>
AA:カソード表面に銀白色を有し、平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されている。
A:カソード表面に銀白色を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されている。
図11および表4に示された結果から、電流密度を0.25mA/cm2(実験番号14)および0.5mA/cm2(実験番号12)に調整したとき、カソード表面にアルミニウムめっき皮膜(図中、矢印参照)が形成されていることがわかる。なかでも、表4に示された結果から、電流密度を0.5mA/cm2(実験番号12)に調整したとき、カソード表面に銀白色を有し、平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜(図中、矢印参照)が形成されていることがわかる。
実施例6
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、式(I)において、R1およびR2がメチル基であるイミダゾリジノン化合物(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)とアルミニウムハロゲン化物(塩化アルミニウム)と添加剤(テトラエチルアンモニウムクロリド)とを、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム/テトラエチルアンモニウムクロリド(モル比)が40/60/1となるように混合し、電解液を得た。
実施例7
実施例6において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム/テトラエチルアンモニウムクロリド(モル比)を40/60/1から40/60/2に変更したことを除き、実施例6と同様の操作を行なうことにより、電解液を得た。
試験例4
(1)アルミニウムの電析
実施例6で得られた電解液(実験番号15)、実施例7で得られた電解液(実験番号16および実験番号17)または実施例3で得られた電解液(実験番号12)を電解槽内に入れた後、電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードと、製造例5で得られたアノードとを挿入し、表5に示される条件でアノードとカソードとの間に通電することにより、電析した。
試験例4において、実施例6で得られた電解液を用い、0.75mA/cm2の電流密度で電析(実験番号15)した後のカソード表面の光学写真を図12(A)、実施例7で得られた電解液を用い、0.5mA/cm2の電流密度で電析(実験番号16)した後のカソード表面の光学写真を図12(B)、実施例7で得られた電解液を用い、1mA/cm2の電流密度で電析(実験番号17)した後のカソード表面の光学写真を図12(C)、実施例3で得られた電解液を用い、0.5mA/cm2の電流密度で電析(実験番号12)した後のカソード表面の光学写真を図12(D)に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。また、カソード表面の状態を試験例2と同様にして評価した。その結果を表5に示す。
図12に示された結果から、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド1モルを含有する実施例6で得られた電解液を用い、電流密度を0.75mA/cm2に調整して電析したとき〔実験番号15、図12(A)参照〕、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド2モルを含有する実施例7で得られた電解液を用い、電流密度を0.5mA/cm2に調整して電析したとき〔実験番号16、図12(B)参照〕、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド2モルを含有する実施例7で得られた電解液を用い、電流密度を1mA/cm2に調整して電析したとき〔実験番号17、図12(C)参照〕、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリドを含有しない実施例3で得られた電解液を用い、電流密度を0.5mA/cm2に調整して電析したとき〔実験番号12、図12(D)参照〕、カソード表面にアルミニウムめっき皮膜(図中、矢印参照)されていることがわかる。
また、表5に示された結果から、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド1モルを含有する実施例6で得られた電解液を用い、電流密度を0.75mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号15)、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド2モルを含有する実施例7で得られた電解液を用い、電流密度を0.5mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号16)、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド2モルを含有する実施例7で得られた電解液を用い、電流密度を1mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号17)および添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリドを含有しない実施例3で得られた電解液を用い、電流密度を0.5mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号12)には、カソード表面にアルミニウムめっき皮膜(図中、矢印参照)が形成されていることがわかる。なかでも、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド1モルを含有する実施例6で得られた電解液を用い、電流密度を0.75mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号15)、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド2モルを含有する実施例7で得られた電解液を用い、電流密度を0.5mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号16)および添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリドを含有しない実施例3で得られた電解液を用い、電流密度を0.5mA/cm2に調整して電析したとき(実験番号12)には、カソード表面に銀白色の平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されていることがわかる。
これらの結果から、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリドを含有する実施例6および実施例7で得られた電解液によれば、添加剤を含有しない実施例3で得られた電解液と同様にアルミニウムの電析を行なうことができることがわかる。
(2)アルミニウムめっき皮膜の観察
走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製、商品名:JSM−6510LV〕を用い、実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜、実験番号12で得られたアルミニウムめっき皮膜および電析前のカソード表面を観察した。試験例4において、実験番号12で得られたアルミニウムめっき皮膜の表面の光学写真を図13(A)、実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜の表面の光学写真を図13(B)、電析前のカソード表面の光学写真を図13(C)に示す。図中、スケールバーは10μmを示す。
図13に示された結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用いて電析したとき〔図13(A)および(B)参照〕、結晶が並んだ構造を有することがわかる。この構造は、電析を行なう前のカソード表面〔図13(C)参照〕には見られなかったことから、前記結晶は、アルミニウムの結晶であることがわかる。
また、図13に示された結果から、実験番号12で得られたアルミニウムめっき皮膜を構成する結晶の大きさ〔図13(A)参照〕と比べて、実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜を構成する結晶の大きさ〔図13(B)参照〕が小さいことがわかる。
以上の結果から、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリドを含有する実施例6で得られた電解液を用いて電析したとき(実験番号15)、添加剤を含有しない実施例3で得られた電解液を用いた場合(実験番号12)よりも、より平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜を得ることができる傾向があることがわかる。
(3)アルミニウムめっき皮膜の組成分析
X線回折装置〔パナリティカル(PANalytical)製、商品名:X’Pert Pro−MPD PW 3040/60〕を用い、CuKα線の平行ビームにより、管電圧45kVおよび管電流40mAにて実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜のX線回折を調べた。試験例4において、実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜のX線回折を図14に示す。また、走査型電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分析装置〔オックスフォード・インストゥルメンツ(OXFORD INSTRUMENTS)製、商品名:INCAxact)を用い、実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜の元素分析を行なった。その結果、このアルミニウムめっき皮膜は、アルミニウム原子99.5原子%および塩素0.5原子%で構成されていることが確認された。また、図14に示された結果から、実験番号15で得られたアルミニウムめっき皮膜は、アルミニウム原子を含有することがわかる。
以上の結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50であり、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリドを含有する電解液によれば、より平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜を得ることができることがわかる。
実施例8
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、式(I)において、R1およびR2がメチル基であるイミダゾリジノン化合物(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)とアルミニウムハロゲン化物(塩化アルミニウム)と添加剤(トリエチレンテトラミン)とを1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム/トリエチレンテトラミン(モル比)が40/60/1となるように混合し、電解液を得た。
試験例5
実施例8で得られた電解液を電解槽内に入れた。その後、前記電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードと、製造例5で得られたアノードとを挿入し、電解液の温度:40℃、電流密度:0.75mA/cm2および通電量:10C/cm2にて当該アノードとカソードとの間に通電する定電流電解により、電析した。
試験例5において、実施例8で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図15に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。
図15に示された結果から、添加剤としてトリエチレンテトラミンを含有する電解液(実施例8)を用いて電析したとき、カソード表面に銀白色を有し、平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されていることがわかる。
したがって、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50であり、添加剤としてトリエチレンテトラミンを含有する電解液を用いることにより、より平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜を得ることができることがわかる。
実施例9
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、式(I)において、R1およびR2がメチル基であるイミダゾリジノン化合物(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)とアルミニウムハロゲン化物(塩化アルミニウム)と添加剤(トルエン)とを、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム/トルエン(モル比)が40/60/120となるように混合し、電解液を得た。
試験例6
(1)サイクリックボルタンメトリー
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、製造例1で得られた作用電極と、製造例2で得られた対極と、製造例3で得られた参照電極と、実施例9で得られた電解液とを用い、3電極式電気化学セルを作製した。
前記で得られた3電極式電気化学セルと、電気化学測定システム〔北斗電工(株)製、商品名:HZ−5000〕とを用い、電解液の温度:25℃、電位の掃引速度:10mV/sおよび電位の掃引範囲:アルミニウムに対して−1〜2Vの条件でサイクリックボルタンメトリーを行なった。
試験例6において、実施例9で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図16(A)に示す。
図16(A)に示された結果から、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引したとき、電位0V付近(図中、矢印A参照)でカソード電流の立ち上がりが見られることから、電解液中のアルミニウムイオンが還元され、アルミニウムが析出していることがわかる。
また、図16(A)に示された結果から、−1Vの電位で掃引を折り返し、電位をアノード側に掃引したとき、電位0V付近(図中、矢印B参照)からアノード電流の立ち上がりが見られることから、析出していたアルミニウムが溶解していることがわかる。
(2)アルミニウムの電析
実施例9で得られた電解液を電解槽内に入れた。その後、前記電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードと、製造例5で得られたアノードとを挿入し、電解液の温度:40℃、電流密度:1mA/cm2および通電量:10C/cm2にて当該アノードとカソードとの間に通電する定電流電解により、電析した。
試験例6において、実施例9で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図16(B)に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。
図16(B)に示された結果から、添加剤としてトルエンを含有する電解液(実施例9)を用いて電析したとき、カソード表面に銀白色を有し、平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されていることがわかる。
したがって、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50であり、添加剤としてトルエンを含有する電解液を用いることにより、より平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜を得ることができることがわかる。
実施例10
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、式(I)において、R1およびR2がメチル基であるイミダゾリジノン化合物(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)とアルミニウムハロゲン化物(塩化アルミニウム)と添加剤(m−キシレン)とを、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム/m−キシレン(モル比)が40/60/100となるように混合することにより、電解液を得た。
試験例7
実施例10で得られた電解液を電解槽内に入れた後、前記電解槽内の電解液中に製造例4で得られたカソードと、製造例5で得られたアノードとを挿入し、電解液の温度:40℃、電流密度:1mA/cm2および通電量:20C/cm2で当該アノードとカソードとの間に通電する定電流電解により、電析した。
試験例7において、実施例10で得られた電解液を用いて電析した後のカソード表面の光学写真を図17に示す。図中、スケールバーは、10mmを示す。
図17に示された結果から、添加剤としてm−キシレンを含有する電解液(実施例10)を用いて電析したとき、カソード表面に銀白色を有し、ほぼ平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜が形成されていることがわかる。
なお、添加剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド、トリエチレンテトラミン、トルエンまたはm−キシレンを含有する電解液を用いる代わりに添加剤としてベンゼンを含有する電解液を用いて電析したときにも、添加剤としてトラエチルアンモニウムクロリド、トリエチレンテトラミン、トルエンまたはm−キシレンを含有する電解液を用いたときと同様の結果が得られる。
したがって、以上の結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50であり、テトラエチルアンモニウムクロリド、トリエチレンテトラミン、トルエン、m−キシレン、ベンゼンなどの溶媒を含有する電解液によれば、より平滑な表面を有するアルミニウムめっき皮膜を得ることができることがわかる。
比較例2
実施例1において、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)を48.8/51.2から52/48に変更したことを除き、実施例1と同様にして電解液を得た。
試験例8
(1)サイクリックボルタンメトリー
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、製造例1で得られた作用電極と、製造例2で得られた対極と、製造例3で得られた参照電極と、実施例2または比較例2で得られた電解液とを用い、3電極式電気化学セルを作製した。
前記で得られた3電極式電気化学セルと、電気化学測定システム〔北斗電工(株)製、品番:HZ−5000〕とを用い、電解液の温度:80℃、掃引速度:50mV/s、掃引範囲:アルミニウムに対して−4〜2Vの条件でサイクリックボルタンメトリーを行なった。
試験例8において、実施例2または比較例2で得られた電解液の温度を80℃に調整し、当該電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を図18に示す。図中、Aは実施例2で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果、Bは比較例2で得られた電解液の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーで測定した結果を示す。
図18に示された結果から、電解液として実施例2で得られた電解液を用いた場合(図中、A参照)、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引したとき、電位0V付近(矢印(a)参照)において、カソード電流の立ち上がりが見られることから、電解液中のアルミニウムイオンが還元され、アルミニウムが析出していることがわかる。一方、電位をアノード側に掃引したとき、電位0V付近からアノード電流の立ち上がりが見られることから、析出していたアルミニウムが溶解していることがわかる。
これに対し、図18に示された結果から、電解液として比較例2で得られた電解液を用いた場合(図中、B参照)、自然電位(約0.3V)から電位をカソード側に掃引したとき、電位0V付近でカソード電流の立ち上がりが見られないことから、アルミニウムが析出していないことがわかる。また、電位をアノード側に掃引したとき、電位0V付近でのアノード電流の立ち上がりが見られないことから、作用電極上にアルミニウムが存在していないことがわかる。これらの結果から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン/塩化アルミニウム(モル比)が52/48である電解液を用いた場合、アルミニウムイオンの還元およびアルミニウムの酸化を行なうことができないことがわかる。
以上の結果から、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液を用いることにより、アルミニウムの電析および充放電反応を行なうことができることがわかる。
以上説明したように、イミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とを含有し、イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物(モル比)が25/75〜50/50である電解液は、取り扱いが容易であり、エネルギー効率よくアルミニウムの電析および充放電反応を行なうことができることから、アルミニウム二次電池、アルミニウム材料の製造、被めっき物の表面へのアルミニウムめっき皮膜の形成などの電解液として用いることができることから、例えば、ポータブル機器、電気自動車などに用いるための二次電池の開発、安価で、高強度の構造部材の開発などに利用されることが期待されるものである。

Claims (3)

  1. 式(I):

    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基または炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を示す)
    で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解されてなり、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比〔イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物〕が25/75〜50/50であるアルミニウムめっき用電解液。
  2. 請求項1に記載のアルミニウムめっき用電解液中に被めっき物を浸漬させ、前記アルミニウムめっき用電解液から被めっき物の表面にアルミニウムを電析させてアルミニウムめっき皮膜を形成させることを特徴とするアルミニウム材料の製造方法。
  3. 式(I):

    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜13のアラルキル基または炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基を示す)
    で表わされるイミダゾリジノン化合物にアルミニウムハロゲン化物が溶解されてなり、式(I)で表わされるイミダゾリジノン化合物とアルミニウムハロゲン化物とのモル比〔イミダゾリジノン化合物/アルミニウムハロゲン化物〕が25/75〜50/50であるアルミニウム二次電池用電解液。
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